【姉しよ】きゃんでぃそふとSSAAスレ15【つよきす】at EROG
【姉しよ】きゃんでぃそふとSSAAスレ15【つよきす】 - 暇つぶし2ch217:大掃除 4/5
06/12/31 16:21:25 4NXPCpEt0

「これは!モエの高校卒業記念で川原でやったバーベキューの写真だ。
なんかモエが川に落ちたよね?この時」
「あぅ、アレは瀬芦里姉さんが突き落としたんだよ」
「そうだっけ?ごめんごめん、アハハハハ!」
 アルバムのページをめくりながら皆で思い出にふけっていると、
空也が、気のせいかもしれないけど、寂しそうに笑ってる。
 どうしたのかな?と思っていると、不意に空也が立ち上がって仏間を出て行った。
 空也があんな表情を見せたのは、写真が空也が柊の家を出ていった後の
時期に撮られたものに移ってからだ。
 もしかすると空也、自分がいなかった時間の事を私達が楽しそうに話してるから、
寂しくなっちゃったのかもしれないな。
 ちょっとだけ心配になって、空也に続いて私も廊下に出る。
「くっ、空也」
 仏間から少し離れたところで空也を呼び止める。
「何?どうしたのともねえ?」
「あの・・・・・・その・・・・・・ごっ、ごめんな」
「えっ?」
「私がアルバムなんかみっ、見始めたから、空也に寂しい思いさ、させちゃって」
「・・・・・・何のこと?」
 空也は私の言っていることがよくわからないという風だ。
「えっ?くっ、空也は、私達が空也が柊家にいない時の思い出を、
たっ、楽しそうに話してるから、寂して居たたまれなくなって仏間を出たのかな?
って思ったんだけど・・・・・・」
 私が言い切ると、空也はフフフと軽く笑って
「なんだ、違うよ。俺はトイレに行こうかと思って仏間を出たんだよ」
「あぅ・・・・・・ごめん。いっ、今のは忘れて」
 勘違いしたと気がついて、耳まで真っ赤になるのが感覚で分かる。
「でも、言われて見れば確かに少し寂しいって感じてたかもしれない。
ありがとうね。ともねえ。心配してくれて。俺、トイレ行ってくるから先に戻っててよ」
「うん」
 トイレに向かう空也を見送って、私は自分の部屋に寄ってから仏間に戻った。

218:大掃除 5/5
06/12/31 16:25:46 4NXPCpEt0
 仏間ではまだ姉さん達や妹達がアルバムを囲んで話していた。
 私が戻ったことに雛乃姉さんが気がついたらしく、
「おお!そういえば我等はまだ大掃除の途中だったな。各々、担当の場所にもどれ!」
「ひっ、雛乃姉さん、ちょっといいかな」
「なんだともえよ?」
「空也も、すぐここに戻ってくるから、そしたら・・・・・・」
 
 少しすると、空也が仏間に戻ってきた。それを待ちかねたかのように瀬芦里姉さんが
「クーヤ遅いよ!ほら早くここに入って!」
「えっ、何が?何でそんな皆並んでるの?」
「写真を撮るに決まってるじゃない。見ればわかるでしょ。ホントグズね」
「何で今写真なんか・・・・・・?」
「わっ、私が言い出したんだ。皆で写真とろうって」
「何でもいいから空也、早くここへいらっしゃいな」
「うん、わかったよ」
 空也もカメラの前に並んだ。並び方は空也出発前日の写真と同じ並び方。
 カメラをセットして、私もならびに入る。
「と、撮るよー。はい、チーズ・・・・・・」
 ・・・

「親父殿、あけましておめでとうございます」
「うむ、雛乃は今年も元気でやれそうだな」
 お正月になって帰ってきたお父さんに、一人ひとり順番に新年の挨拶。
 要芽姉さん、瀬芦里姉さんの番も終わって、次は私だ。
「お父さん、あけましておめでとう」
「うん、めでたいな!巴よ、今年こそいい男捕まえてこないと、そろそろパパ心配だぞ!」
「あは、あはははは」
 思わず苦笑いが出る。
「まぁ、巴はやさしいからな、心配はないがお前のお姉ちゃんや妹達は・・・・・・」
 一瞬、部屋の温度が下がったような気がして、お父さんが慌てて口をつぐんだ。
 去年末に仏間で撮った写真は、あのアルバムの、空也出発前日の写真の隣に入れてある。
 写真の中で、私も空也も、皆笑顔だ。 

219:SSD
06/12/31 16:33:59 4NXPCpEt0
年末ネタです。
ねぇやはちゃんと大掃除したんでしょうか?

今年はあまり書けませんでしたが、
来年はもうちょっとペースを上げれたらいいなぁと思います。
それではよいお年を

>>215
支援ありがとうございました

220:名無しさん@初回限定
06/12/31 16:34:14 kjuGwDE90
>>244
実際には2週間ぐらいで仕上げている乙女さん

221:シンイチ
06/12/31 16:37:40 FQsOn1wR0
GJです!
アルバムなんて、長いこと見てないですね。
むしろどこにあるかわからない…
良いお年を~

222:名無しさん@初回限定
06/12/31 16:41:17 uBpkaft80
>>219
GJ!
アルバムの中も外も、人柄が出てて凄い
親父殿は新年も相変わらずですな

223:名無しさん@初回限定
06/12/31 16:45:40 NxJUjFYZ0
>>219
淡々と乙

224:名無しさん@初回限定
06/12/31 17:31:56 jjma7vaC0
>>219
凡々と乙

225:名無しさん@初回限定
06/12/31 17:46:01 c/RRh24n0
>>219GJ
住民の皆さん、良いお年を~


226:名無しさん@初回限定
06/12/31 20:26:40 ObfNUsT00
>>219GJ

>>244
何を仕上げたんだい? 乙女さん

227:名無しさん@初回限定
06/12/31 21:11:01 fXW4veLO0
>>219GJ

>>244で乙女さんが何を仕上げるのかwktk

228:名無しさん@初回限定
06/12/31 21:43:11 Z3yhxjn5O
禿銅

229:名無しさん@初回限定
06/12/31 21:55:11 Z3yhxjn5O
禿銅

230:名無しさん@初回限定
07/01/01 00:07:29 I3OCP1JfO
乙女さん、あけましておめでとうございます!

231:名無しさん@初回限定
07/01/01 06:53:24 wnTmgqyH0
川に突き落とされるのは高嶺のほうがよかったと思う。
で、そこで海が石を投げまくって追撃。

232:名無しさん@初回限定
07/01/03 22:54:16 rqXtlRYzO
保守

233:名無しさん@初回限定
07/01/03 23:53:22 HRd+21iC0
盛り上がったと思ったらすぐ盛り下がるなぁー

234:名無しさん@初回限定
07/01/04 08:11:04 xbVUDIAk0
きぬママみたいな安定性がほしいよね

235:名無しさん@初回限定
07/01/06 00:51:02 qEYuoKnJ0


236:名無しさん@初回限定
07/01/06 19:49:15 3hDiJ/NT0
盛り下がってるんで明日の5時ごろにでも投下しようかな……。
長いんで支援募集。

237:名無しさん@初回限定
07/01/06 20:12:01 dzo2r6sD0
>>236
頑張れ!期待してる!!

保守保守

238:名無しさん@初回限定
07/01/06 20:37:40 3hDiJ/NT0
あ、午後5時ね。

239:名無しさん@初回限定
07/01/07 04:39:46 GsSmCb3S0
          _,.-‐'"´  ̄  ̄ ̄` 丶、
       _,.-´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
     /::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::、::::::::::::::::::ヽ
     /::::::::::::::::/:::::::::::i:::::::、:::::::::::\:::::::ト:::::::`、
   /::::/.:.:.:.:.:.:l.:.:.:.:.:.:.l.:.:.:.:ハ.:.:、::::::::\::|::::::::::::i
.  /.:.:/.:.:..:l:::::::|.:.:.:.:.:.:.l.:.:、.:.:ヽ.:.\.:.:.:弋つ::::::::i
  l.:.:.:|.:.:.:.:.!:::::::|.:.:.:.:.:.:.ト、:ト、::::::\::\_\l::::::::l
.  l:::::::{:::::::::|ト::::{〉、:::::::.├弋i弋:卞、_:.\つr‐、:::|
  l::::::::i:::::::::l K::| {ハ:::ト、:l  ヽ{ \〉_,`ト、.\} !::::l
  {、::::::l::::::::.ハ从`` \::ヾ ‐==='"´ l::::::`Yノ;:::::l
   }ト从 、::::if=='"´  ヾ、 ...::::::::::.. /::::::::::|;;;;;::}::|  なんだ、午前5時ならお姉ちゃんの出番かと思ってたのに…
     \N;ハ..::::::: ,         i::::::::::::|;;;;::ハノ
      |::i、;;ハ.   ヽ       ノ::/:::|::::|/iハ}
      |:i:::;;;;;;;\   r‐=、   /l::i::::::l::Y
      |:l.:::;;;;;;;;;:rfヽ. ` ‐’ / /:/:::::/i::|
      |:ハ:::f从{   `ニi ´   |//::::::ト|/
        }ハ::ハ} }_,.-'"´:_,.}   /ノi:/ヽ::|ヘ
     __ _,.-≦{´::::::::::::/ ノ     l/≦:::::::::::\
   /\  ト、:::::::::::::::{ ヽ  -‐/:::::::::::::::::::::::::::::>、_
    |.   Y |ハ.:::::::::::::i   /:::::::::::::::::::::::::::,.-‐' / ⌒ヽ
   /   } .{ \:::::::::|. /´:::::::::::::::_,.-‐'彡"  /     |
.  /    .レ ヾ=ニ≧:|/_,.-─‐‐'"´ ,‐'´   /      ト、
 /    /     /R.Y‐-----‐‐'´    /    _,.-─ヘ
./    /       ノ⌒/          レ  _,.-‐' -'´⌒\

240:生徒会改造計画
07/01/07 04:55:56 doP0igIw0
午後5時の人じゃないからね?大丈夫だからね?
投下

放課後・・
今日は何やら姫が俺に用事があるという事で生徒会に向かっている。。
どうせロクな事にはならないと分かっていても律儀に行く俺って健気だよな。
・・・・・・全く期待していないかと言われれば嘘になるけどさ。

到着。
既に何人かのメンバーが集まっていた。
姫は呼んだのだから当然として佐藤さんとカニで3人だ。
俺が席に着いたのを見て姫が口を開く。
エリカ「揃ったみたいね、一番遅かった罰として対馬君は椅子の上で正座ね」
何だか理不尽な気分になりつつもとりあえず従っておく。
あぁ・・・早速足が痺れてきやがった、この状態は地味に辛いから本題に入ってもらわねば。
レオ「姫、今日は何の集まりなんだ?」
俺に促された姫は怪しげな笑みを浮かべた後こう言った。
エリカ「対馬君改造計画の会議よ」
それを聞いた瞬間、頭部に鈍い痛みと音がして視界がブラックアウトした。

241:生徒会改造計画
07/01/07 04:56:32 doP0igIw0
目が覚めると俺は椅子に手錠で繋がれていた。
レオ「・・・・なんで俺、執事になってるの?」
そう、俺は服装が演劇部を手伝った時と同じ、つまり執事さんにされてしまっていた。
まぁ執事なのはともかくして、こうなっているということは服を着せ替えられたわけだ。
カニや乙女さん相手だってそんな事されるのは恥ずかしいのに佐藤さんや姫にされたとなると・・
赤面する俺の思考を見透かしたのかカニから強烈な一言
きぬ「おめーパンツの柄結構派手だな」
『レオは恥ずかしさのあまり混乱した!!』
『レオは混乱している!!レオは不思議な踊りを踊った!!しかし縛られて動けない!!』
『姫はクスクス笑っている、カニAはモジモジしている!!佐藤さんはモジモジしながら出て行った!!』
『レオの周りに戦える味方がいない!!レオは目の前が真っ白になった!!』
最悪だ、もうお婿に行けない。

242:生徒会改造計画
07/01/07 04:57:39 doP0igIw0
まぁ、絶望してても仕方ないしせめて理由くらい聞かないと。
レオ「・・で、俺を改造って?それにこの服装は?」
姫「最近私が思うにね、この執行部のエレガントさが低下していると思うのよ。
  基本的には私一人で十分過ぎる程だったんだけど、どうもフカヒレ君で相殺され気味で・・
  やっぱり私が会長をやるからには美しくしたいのよね。
  そこで、対馬君を執事、よっぴーをメイドに教育すればトータルで陽性かなって。」
なるほど、姫の言うことは全然分からないはずが何となく分かるような気がするから不思議だ。
でも腑に落ちない事はある。


(しまった変なところで区切ってしまった、これだからメモ帳でやるのは・・)

243:名無しさん@初回限定
07/01/07 05:04:37 knI0HA8r0
支援

244:名無しさん@初回限定
07/01/07 05:19:03 gdl46Jys0


245:生徒会改造計画
07/01/07 05:42:44 doP0igIw0
レオ「フカヒレは執事にしないの?」
スバルや乙女さんは部活で忙しいだろうし椰子は取り付く島もないだろう、
しかしそもそもフカヒレを陽性に出来れば済む話だったのではないだろうか。
そんな俺の問いに姫はこう答えた。
姫「確かに、フカヒレ君が陽性になれば話は早いわ。
  でもフカヒレ君なんかそもそも仕えさせたくないし、
  執事に教育したところで陽性になる気がしないもの。」
・・・・まぁフカヒレだしな。
レオ「じゃあカニは?」
俺と佐藤さんだけが犠牲になるのは気に入らないからカニも巻き添えにしてやる
エリカ「・・あまりエレガントになる気がしないのよね」
レオ「なるほど、物凄く納得」
きぬ「オイてめー・・そこは否定するところダロ?この妖精みたいなボクが陽性にならないって?」
レオ「・・・・・・・」
エリカ「・・・・・・・」
きぬ「・・・・・・」
なんという寒さ・・・思わず場が凍り付いてしまった、これは間違いなく気まずさが続く。

246:生徒会改造計画
07/01/07 05:45:58 doP0igIw0
               ガチャ
良美「エリー、着替え終わったけど、やっぱり恥ずかしいよ・・」
そんな殺伐とした竜宮に救世主が!!
ハイ、メイドですメイド、ロングスカート、カチューシャ、紛れも無いメイドです。
思わず心の中でプラカード100点を上げてしまうくらい見事に佐藤さんはメイドしていた。
エリカ「んん~、やっぱりよっぴーがメイド服着るとますます可愛いわね~・・えいっ」
良美「あっ・・そんないきなり・・・」
早速姫がセクハラをしていた。
きぬ「で、レオを執事としてしつけるんだったよね?
   そーゆー事はやっぱ言葉使いから入らないとね」
エリカ「そうね、二人とも基本的に色々と尽くしてくれるタイプだから言葉遣いと細かな所だけね。
    とりあえずそれぞれのイメージでやってみて頂戴」
きぬ「って事でオラ!ご主人様と呼べや!」
良美「はい、ご主人様」
なんでこいつはいきなり態度がでかいんだ、怒りのボルテージが上がったので後で泣かしてやる。
が、とりあえずまだ縛られてるし佐藤さんはちゃんと言ってるから俺も合わせておく。
レオ「はい、ご主人様、何か御用でしょうか?何なりとお申し付け下さいませ。」
演劇部のヘルプで扱かれたのは伊達じゃないぜ。

247:名無しさん@初回限定
07/01/07 05:48:18 gdl46Jys0


248:生徒会改造計画
07/01/07 05:49:39 doP0igIw0
エリカ「よっぴー、お茶淹れてきて、あとついでに調理室で何か簡単なの作ってきてね」
きぬ「レオ、ボクの靴が汚れてるから綺麗にしろ」
佐藤さんは早速お茶を淹れに行って、姫が悪戯しにその後を追った。
俺はまだ縛られたままなので動けない。
レオ「ご主人様、靴磨きを取りに行くので縄を解いて頂けますか?」
そんな俺の当然の要求に対してカニはとんでもない事を言い出しやがった。
きぬ「綺麗にしろって言われたら舐めるんだよ、全くつかえねーなこのヘタレは」
と言って蹴られた挙句靴にキスさせられた、何この扱い、執事じゃなくて奴隷じゃね?
怒りのボルテージが更に上がった。そろそろキレそうなので思いっきりカニを睨む。
なんだかんだでこうするとカニは大人しくなるのだ。
それからしばらくすると姫と佐藤さんが戻ってきた、姫は何だか満ち足りた表情で、
佐藤さんは目が一本線になっていた、二人に何があったんだろうか。
エリカ「よっぴーはメイドの素質あるわね~、バッチリかも」
何はともあれそろそろ今日は帰れそうだ、自由って良いよね。
などと考えているとカニがここにきて復讐に転じやがった。

249:生徒会改造計画
07/01/07 06:50:39 doP0igIw0

きぬ「レオは全然ダメ、中学生並みに反抗的なんだぜ?コイツ」
エリカ「え?そうなの?そうは思えないけど・・まぁいっか。
    じゃあ対馬君居残りね、私は予定がビッシリだから・・・よっぴー!教育お願いね」
畜生、なんて効果的且つ卑劣な嫌がらせだ。
当然俺に反論など許されずにあっと言う間に佐藤さんと二人きりになってしまった。
まぁ佐藤さんは優しいから適当に済ませて帰らせてくれるだろう。
           カチャ
入り口の鍵を閉める音が聞こえた気がするけど気のせいだろう。
何故か壁が開いたかと思ったら一階に続く階段、更に地下へ続く通路が現れたけど幻覚だろう。

           そして・・・

本日のニュースです、
行方不明者として捜査されていた対馬レオ(18)の捜索が打ち切りになりました。

                                           BadEnd

途中で面倒になった、反省はしていない。

250:名無しさん@初回限定
07/01/07 09:36:12 Q9bkGH8k0
乙女さん呼べよwwww

251:ハンチング男
07/01/07 09:40:11 doP0igIw0
規制に引っかかったから結構遅れたけども、
>>240-249「生徒会改造計画」
コソーリ投下完了、投下した後って細かなミスに気がついて悶えますね。
他のEnd書く事があったらその時にコッソリ直してやるんだからっ!

252:名無しさん@初回限定
07/01/07 10:10:45 SPsb7Ooq0
>>251


規制については>>3

253:名無しさん@初回限定
07/01/07 12:26:16 6eFuNsxc0
途中で面倒になるぐらいなら投下しないでいいよ

254:名無しさん@初回限定
07/01/07 13:25:43 aolBp0QC0
最後の一行で駄作になったな

255:それぞれのバレンタイン 1/8
07/01/07 16:59:59 JZyvIFqe0
 もう今学年もあと少しという冬の日。
「起きろレオ。朝だぞ」
 いつものように乙女さんに叩き起こされる。
「おはよう、乙女さん……」
「おはよう。レオ、今日は何の日かわかっているか?」
「今日……? ああ、バレンタインでしょ」
 そう、今日は2月14日。とはいっても俺はそれほど意識してはいないが。
 フカヒレあたりは1週間前から張り切っていたし、スバルは逃走ルートの確認とかしていたな。
「そうだ。だからピシッとしろ! 女の子達からチョコを貰えないぞ?」
 そういうフカヒレ的な思考はどうかと思うが……。と、心の中でツッコんでおく。
 それにしても……。
「♪~」
 乙女さんのご機嫌な態度がなんか怪しいと言うか……。
 まあいい。とにかくカニを叩き起こして登校だ。
「……超ねみー」
「なんかお前昨日夜中に奇声を上げてたようだが……何してたんだ?」
「オイオイ、ボクのような華麗な蝶々の化身が昨日やることと言えば1つだろ?」
「ああ、昨日は新作ゲームの発売日だったな。徹ゲーしてたのか」
「ちげーよボケ! ……ハイッ、レオ!」
 と、カニが俺に差し出してきたのは、一応ラッピングが施された、チョコ?
「なんで疑問系なんだコラァ!!」
「人の心の声を読むな! ……へえ、なんか去年よりでかくなったな」
「それはボクの愛がギュウギュウに詰まってるからさ」
「ま、アリガトな」
「おうよ、ホワイトデーは1000倍返しだかんな」
 ……もしかしてこれ手作り……じゃあないよな?
「よお、坊主、カニ」
 お、スバルだ。オフシーズン中は一緒になることが多い。
「スバル、おはよう、ってどうした? なんか元気無いけど」
「わかってるくせに言うなよ。今日はオレにとっちゃ1年で1番嫌な日だぜ」
 こういう台詞って、言う人が違うと意味も違ってくるよな……。

256:それぞれのバレンタイン 2/8
07/01/07 17:00:33 JZyvIFqe0
「じゃあ、そんなスバルを幸せな気分にしてやっか」
 と、スバルにチョコ? を差し出すカニ。
「ああ、ありがとよ。おお、なんかでかいな」
「それはボクの愛が詰まってるからさ。あ、ホワイトデーは1000倍返しな」
「ああ、わかってるさ」
 笑ってチョコを受け取るスバル。大人だねえ。
「よお、おはようさん!」
「よお、フカヒレ。なんか、臭うな」
「フカヒレ。……ウン、なんか臭うね」
「おはようさん。……やっぱ臭うな」
「なあ、お前ら。なんか今日の俺、いつもと違くね?」
「んー? ……いつもと変わらないな」
「よく見ろ。髪形とかメガネとかおしゃれな風に変わってるだろ? 香水も、高いやつに、変えたしよ!」
 さっきから臭ってたのはそのせいか……。
「あんま気負ってると、ガッツいてんのがばれちまうぞ?」
「へっ、ただ、何もせず、待ってるだけじゃ、得られるものは無いんだぜ?」
「言ってることだけはカッコいいよね」
「へへ、数時間後にはもう、俺の両手はもうチョコでいっぱいになってるぜ!!」
 そう言いつつ、フカヒレは勇んで校門へと駆けていった。
「カニはフカヒレにチョコやんねーのか?」
「一応5円チョコ用意したけど、あの臭いかいでやる気失せた」
 …………………………………………
 教室。
 一部の女子はチョコを配っていた。
「ハイ、対馬君。チョコあげるネ。料理部のみんなで作たヨ」
「対馬! チョコやるでー! ホワイトデー、1000倍返しな!」
 俺も何人かの女子から貰った。素直に嬉しい。
 早くも男どもはうれしそうに微笑んでいるもの、負のオーラを発するものとに分かれていた。
「あ……? あ……? なぜだ? なぜ俺はチョコを貰えない? なぜだ?」
 その原因の一端はお前から放たれている悪臭にあると思うな……。
「いーや、まだまだ1日は始まったばかり! 諦めたらそこで試合終了なんだ!」

257:それぞれのバレンタイン 3/8
07/01/07 17:01:08 JZyvIFqe0
「アイツ、まだ諦めてねーのか。さっさと諦めりゃーいいのにな」
「ま、それでこそフカヒレさ……。カニ、そういやスバルは?」
「オナゴに追い掛け回されて逃げ回ってる」
 モテすぎるのも、考え物、か。
 …………………………………………
「こ、これで、終わり!」
「ハーイ、ごくろうさま。アリガト」
「ありがとう、対馬君。助かったよ」
「ま、なんのこれしきですよ」
 昼休み。
 食後、姫と佐藤さんに頼まれて、俺は竜宮にダンボールを運んでいた。
 中身は、姫宛てのチョコレート。
「これでしばらくお茶菓子には困らないわねー」
 にしても、スッゴイ数……。女子なのに。
「それじゃあ、対馬クンにご褒美をあげましょうか。よっぴー、出して」
「うん」
「ご褒美?」
 佐藤さんがバッグからなにやら取り出した。
「ハイ、コ・レ・あ・げ・る」
「いつもありがとう、対馬君」
 2人から差し出されたのは、チョコ。
「え……、これを、俺に?」
「そ。いつも執行部とか頑張ってるからね。ご褒美」
「私とエリーで作ったんだ」
「あ、ありがとう!」
 2人からの手作り……。マジで嬉しい。
「じゃあ、お茶にしましょうか。美容と健康のためには食後に一杯の紅茶よね。お茶菓子もたっぷりあるし」
「うん、対馬君も座って」
 頑張ってれば、だれかが見てくれるんだな……。これからも頑張るぜ。
 そのころ、スバルは逃走しており、フカヒレはいつのまにか姿を消していた。

258:それぞれのバレンタイン 4/8
07/01/07 17:07:41 JZyvIFqe0
 …………………………………………
「対馬じゃないか」
「よお、ヒャッホウ!」
「もはや名前でもないじゃないか! 村田だ!」
 放課後。廊下を歩いているとコイツと会った。
「対馬。お前は今日チョコを貰ったのか?」
「ああ、いくつかな」
「チッ、0だったら僕の12人の」
「スイマセン、お断りします」
「まだ最後まで言ってないぞ!」
「言わずともわかるわ! どうせならフカヒレに言ってやってくれればよかったものを」
「ああ……。僕がもう少し早く言っていれば止められたのかと思うと、胸が痛む。難儀だ」
 フカヒレは自作自演がばれて、消えぬ汚名を手にしてしまっていた。
 スバルはとうとうつかまり、紙袋6袋分のチョコを手にしてしまっていた。
「ところでお前は貰ったの? 西崎さんから」
「ななななななんでそこで西崎の名前が出る!?」
「どうなんだ? 貰ったのか? ん?」
「い、いや、ま、まあ、も、貰った、が」
「ニヤニヤ」
「お、おっと、僕は部活の時間だ。これから鉄先輩のチョコ争奪戦があるのだからな!」
 まったく初々しいやつだ……。
 …………………………………………
 執行部。
 みんないつものように仕事。
 ただ1つ違うのは、フカヒレがいなかったくらいだが、もはやみんな誰も気に留めなかった。
 仕事も終わり帰る。今日は俺が戸締りの番。鍵を祈先生に返しに行く。
「祈先生、鍵です」
「ハイ、ご苦労様です。……そうですわね、対馬さんにはこれを差し上げましょう」
「これは……、麦チョコですか。ありがとうございます」
「せっかくのバレンタインですから。これからも頑張ってくださいな」

259:それぞれのバレンタイン 5/8
07/01/07 17:08:29 JZyvIFqe0
 役得、ってやつかな。
「ヘ、よかったな小僧。だが、調子に乗るんじゃないぞ。……ところで、乙女は我輩に何か用意してなかったか?」
「いや、まったく」
「貴様、こんなとこで長々と、何をしている? 鼠のように帰るか、我輩に突かれるか、どちらか選べい!!」
 じゃ、帰る。
「……」
「じゃあな、椰子」
 歩いていた椰子に声を掛ける。
「センパイ……。ちょうどいいか。センパイ、待ってください」
「? なんだ?」
「これをあげます」
「これは……板チョコ? お前が、俺に? しかもこんないっぱい……」
「マイマザーが店で配るやつを買い込みすぎまして……。今家がチョコで埋もれてるんです」
「それはそれは」
「誰かに引き取ってもらいたかったんですが……、センパイちょうどいいんで引き取ってください」
「フカヒレにあげたらよかったのに」
「フカヒレ先輩はキモイ勘違いをしそうなんで嫌です」
「俺ならいいのか」
「……やっぱあげません」
「待て待て! くれるんなら貰うよ。ありがとう」
「変な勘違いをしたら潰しますんで。それでは」
「ああ、じゃあな」
 ぶっきらぼうに去っていく椰子。可愛げのないやっちゃ。
 義理とはいえ、あいつが俺にチョコくれるとはね。入ったころと比べると随分進歩したものだな……。
「あ、つしまくん!」
 お、西崎さん。
「こんにちは。今帰り?」
「これ、あげる」
 これは……チョコ。
「あ、ありがとう」

260:それぞれのバレンタイン 6/8
07/01/07 17:09:04 JZyvIFqe0
 ちょっとテレながらニコっと笑う西崎さん。
 うーん……、こういう反応の女の子って可愛いよなあ。村田も幸せ者だ。
「じゃ、また明日」
「あ、ちょっと、ここで、まって、て」
 そう言って西崎さんは、物陰へと入っていった。
「ちょ……りこ。なん……タシが」
「は、や、く!」
「なんでこういう時だけ強引なのよアンタは……」
 あのチラチラ見えるツインテールは……。
「えいっ!」
「うわっ!」
 飛び出してきたのは……。
「あ、つ、対馬……」
「近衛……」
 冬風が、俺たちを撫でた。近衛のツインテールが揺れている。
「え、えと、その……」
「……なんだよ」
 何か、近衛がたどたどしい。下を向いていて、顔も見えない。いつもものをはっきり言う近衛とは、別人みたいだ。
「う……、べ、別に何でも……」
 そう言って踵を返そうとするが。
(ジーッ)
「う、紀子……」
 物陰の西崎さんから物凄い視線を受けて、再びこっちを向く近衛。
「あ、あの、その」
「……なんだよ。何の用だよ」
「えっと、その」
 何なんだ、いったい。
 夕日が、俺たちを照らす。近衛が、顔を上げた。
「……こ、これを、あげるわ」
 差し出されたのは。
「……これはチョコ? お前が、俺に……?」

261:名無しさん@初回限定
07/01/07 17:12:32 CzchNmBI0
>>4

262:それぞれのバレンタイン 7/8
07/01/07 17:17:25 JZyvIFqe0
 また風が吹く。
「……え? マジ?」
「こ、ここここれは演劇部に配ってたやつで、そ、それが1つ余って、で、そ、そこに偶・然!
アンタが通りかかって、で、捨てるのももったいないから、仕方なく、アンタにあげるのよ! そ、それだけよ!」
 まくし立てる近衛。……近衛の顔は、紅かった。それは、夕日のせいか。
「……」
「な、なんかリアクションしなさいよ!」
「近衛」
「な、何よ」
「ありがとう」
 ジッと目を見て。
「ありがとう、嬉しいよ」
「あ、う……、い、言っとくけど、完璧義理、いや、義理以下よ! お、お情けよ!」
 視線を外さず。
「それでも、嬉しいよ」
「あ、あ、う、あ……、ア、アタシ……」
 ─風が、落ち葉を舞い上げる。木が揺れて、唄を唄う。光が、2人を照らし─
 パシャリ!!
 いきなりフラッシュがたかれた。
「くーっ!(いい顔、ゲットですタイ!)」
「あ、あーっ! 紀子! 何撮ってんのよ!!」
「く!?(しまった、ついシャッターを切ってもうたですバイ!)」
「待ちなさい!!」
 逃げる西崎さんと、追いかける近衛。あ、近衛がこけた。また、追いかけていって、いつしか視界から消えた。
「やれやれ」
 前から思っていたが、近衛はこっちがマジになると弱いんだな。今のではっきりしたぜ。
 今度から、この方法であしらえそうだな。
 さて、帰るか。
 ……それにしても。
「……今日の近衛は、少し可愛かったな……」

263:それぞれのバレンタイン 8/8
07/01/07 17:18:06 JZyvIFqe0
 …………………………………………
「カニめ……、ラッピングだけ立派で中身は安物のちっちゃいチョコじゃねーか」
 昨日ドタバタしてたのはこれのせいかよ。つーかラッピングのほうが金かかってるだろ。
「レオー、降りてこーい」
「はーい」
 乙女さんはテーブルについていた。俺も向かいに座る。
「何、乙女さん」
「レオ、今日は結構チョコを貰ったそうじゃないか」
「うん、まあ……」
「うん。それはいつもお前が頑張っているからだ。いつでも頑張っていれば、今日のようにこういう形で返って来るんだぞ」
「うん、そうだね」
「よし、そんなお前に、お姉ちゃんからもお前にチョコを用意した」
「もしかして、おにぎりにチョコが入ったやつ、なんてことはないよね?」
「はっはっは、そんなわけないじゃないか」
「そ、そうだよね」
「一応作ってはみたが、ひねりが無いからな」
 作ったんですか。
「私のはこれだ!」
 どん、と置かれたそれは。
「おお、大きいね」
 これは、チョコ、つーか、塊。
「さあ、食べてくれ」
 ……大きい以外に変な点は見当たらないな。大丈夫そうか?
 チラッと乙女さんを見る。
 …………食わないと何されるかわからんな。
「じゃ、じゃあ、いただきマース。…………!? こ、これは……!?」
「逆に考えて、おにぎりをチョコでコーティングしてみた。斬新だろう?」
「あ、あ、甘……」
「どうした、照れるな照れるな、よし、食べさせてやろう。遠慮すること無いぞ、まだまだあるのだからな!!」
「うぐがあぁあああぁああああ!!」
 こうして、例年よりも騒がしかったバレンタインは終わった。だが、騒がしい日は、まだ終わらないのである。

264:獅子の白い1日 1/8
07/01/07 17:18:41 JZyvIFqe0
「えーと、カニにはこれ、浦賀さんにはこれ、豆花さんには……」
 これ、これ、これ、と。後は明日調達するか。よし、準備は整ったかな。
 だけど。
「……本当にこれで大丈夫かなぁ」
 ちょっと不安。……ま、何とかなるか。
 そして翌日。今日は3月14日、ホワイトデー。
 いつものように乙女さんに叩き起こされる。
「おはよう、乙女さん……」
「おはよう。昨日はバタバタしていたようだが、ちゃんと準備できたのか?」
「うん、一応ね」
「そうか。ちゃんとお返しするんだぞ。でないと、女の子達に嫌われてしまうからな」
 だからそういう思考はフカヒレっぽい……。と、心の中でツッコむ。
「さーて、レオは何をくれるんだろうな」
 そうわざと俺に聞こえるように言って、乙女さんは1階に下がってしまった。
 軽くプレッシャーをかけてくれるなぁ……。
 ちなみに乙女さんはもう卒業済み。しかしなぜか未だに制服を着て地獄蝶々を持って校門に立っていたりする。
 家を出て、カニと合流。
「……超ねみー」
「ちゃっちゃと歩け、化けカニ」
「ところでレオ、ボクに渡すものとかないか?」
「……ああ、借りてた10円今返しとくか」
「……テメー、その頭ぶん殴って1ヶ月前の出来事思い出させちゃろか? あ、でも10円は返せ」
「わかってるっての。ほれ」
 俺がカニに選んだのは、デッドのストラップ。俺はいつもカニへのお返しはデッドグッズにしている。
「……なんだストラップかよ。確かにこれはちょっと欲しかったけどさ、もっと高いもんよこせよ」
「お前、あのチョコでよくそんなこと言えるな。いらんなら返せ」
「ま、返したらオメーが惨めだろうから受け取ってやるぜ。感謝しな」
 と言いつつも早速ケータイにつけるカニ。ま、満足してくれているようでよかったよかった。
「よお、坊主、カニ」
 お、スバルだ。

265:獅子の白い1日 2/8
07/01/07 17:26:15 JZyvIFqe0
「おはよう」
「よお、スバル。ボクになにか渡すもの、あるよな?」
「お前会って一言目がそれかよ! まったく……。ほらよ」
 スバルはバレンタインで大量に貰うのだが、カニにだけお返しをする。っていうかカニがせがむ。他は無視。
「どれどれ……。お、デッドの新譜じゃん! サンキュー、スバル!」
「どういたしまして」
「お前、あのチョコにCDで返すか」
「値段の問題じゃねーぞ、坊主」
「そうだぜレオ、スバルを見習えや」
 ……カニに言われるとスッゲー腹立つ。
 校門前。見知った顔が続々と集まってくる。
「よ、おはようさん」
「フカヒレ。おはよう」
「よお、フカヒレ。どうした、今日は欝になってる日じゃねーのか?」
「よーく考えたらよ、たかがチョコに3倍返しだなんて理不尽極まりないぜ。金も掛かるしよ。そうだろ、レオ」
「確かに出費はかさんだけどさ」
 この1ヶ月バイトしましたよ、ええ。
「だろー。だから誰にもお返しをしなくてもいい俺は勝ち組なんだよ」
「何言ってんだ、返すやつはちゃんといるだろ。……自分にちゃんと返せよ」
「そうだぜフカヒレ。ちゃんとお返ししなよ。……自分に」
「値段の問題じゃねーぞ。ちゃんと返さねーとな。……自分に」
「ハロハロー、あ、フカヒレ君、バレンタインのお返し用意した? ……自分に」
「お返しはきちんとすべきだよ、鮫氷君。……自分にね」
「きちんと返すのは礼儀ネ。……自分に」
「そやでフカヒレ、ちゃんと返さな。……自分に」
「フカヒレ、3倍に返して、好感度をあげるべ。……自分に」
「フカヒレさん。きちんと返さないと、嫌われてしまいますわよ。……自分に」
「小僧、男なら黙って3倍返しだ。……自分にな」
「うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁああああああんんんんんんんんん…………」
「あ、走り去って行っちゃった」

266:獅子の白い1日 3/8
07/01/07 17:26:55 JZyvIFqe0
「よほどつらいことがあったのでしょうね……」
「ってゆーかみんないつの間に?」
 …………………………………………
 教室。
 男子の中には早速お返しをしている者もいる。俺もその1人。
「ワア、可愛いアクセサリネ。アリガト、対馬君」
「お、タオルやんか。ちょうど新しいの欲しかったんや。サンキュー、対馬」
「駄菓子セットですか。なかなかレアなものもありますわね。ありがとうございますわ」
 それぞれの人に合ったお返しって、結構難しいもんなんだけど、喜んでくれてなにより。
「坊主も結構マメだよな」
「ま、礼儀ってヤツさ」
「ところで、オレには返してくれないのかい?」
「だからそういう冗談はやめてくれ!!」
 …………………………………………
「よし、これで今日の分は終わりかな」
「ハーイ、ご苦労様。アリガト」
「いつも対馬君が手伝ってくれて、こっちは楽できるよ」
「ま、一応副会長だからね」
 昼休み。
 生徒会の雑務が溜まってきているので消化。
 1年の終わりと言うことで結構量があり、乙女さんも抜けているので、俺は昼休みも仕事の日々。
「ちょうどいいから2人に。はい、姫にはコレ、佐藤さんにはコレ。バレンタインのお返し」
「わあ、ありがとう対馬君」
「ふーん、開けてみていい?」
「どうぞ」
 2人に合うものを選んだつもりだが……。
「……お、猫のカップじゃない」
「猫好きって聞いたからさ」
「でもコレ私持ってるのよねー」
「グハッ」

267:獅子の白い1日 4/8
07/01/07 17:27:32 JZyvIFqe0
 アイテム選びに失敗した。
「そんな落ち込まないでもいいわよ。この柄お気に入りだし、ここで使うやつにならちょうどいいわ」
「そ、そう? よかった……」
「ええ、対馬クンの心はきちんと受け取ったわ、アリガト。ところでよっぴーは何を貰ったの?」
「ちょっと待って……。あ、ストール……。いいの、対馬君、高くなかった?」
「全然。3000円もしてないから」
「へー、対馬クンの選んだやつねー。つけてみたら?」
「い、いいかな?」
「どうぞ」
 ストールを纏う佐藤さん。……うん、自分で選んどいてなんだが、結構似合うんじゃないかな。
「ど、どうかな?」
「うん、似合ってるよ」
「悪くないんじゃない? よかったわね、よっぴー」
「うん! 本当にありがとう、対馬君」
「いえいえ、たいしたモノを返せなくて恐縮です」
「じゃ、お茶にしましょうか。早速このカップを使おうかしら」
「うん、ちょっと待ってね」
 2人とも喜んでくれたようでよかったよかった。
「ねえ、対馬クン?」
「何?」
「ス、スバル君にはお返しとかしたの?」
「そもそも貰ってもいないって!!」
 …………………………………………
「対馬じゃないか」
「よお、ガラハド!!」
「僕はアイスソードなんか持ってない! っていうか村田だ!」
 放課後。コイツに廊下で会った。ちょうどいい。
「ちょっといいか」
「なんだ、僕はこれから12人の妹にバレンタインのお返しをしないといけないんだが」
「西崎さんと近衛を学食に呼んでくれないか」

268:名無しさん@初回限定
07/01/07 17:33:14 oKRZ3VOcO
支援

269:名無しさん@初回限定
07/01/07 17:34:18 Lwel9B470
支援

270:獅子の白い1日 5/8
07/01/07 17:34:37 JZyvIFqe0
「何のようだ?」
「まあ、ホワイトデーなんでな」
「…………何!? どういうことだ?」
「あ、義理だったから心配せんでもいいぞ」
「そ、そうか。って、どういう意味だ!」
「うんにゃ、別になにも。ところで西崎さんにはお返ししたのか」
「あ、ああ。一応な」
「へー、喜んでたろ?」
「ま、まあ、な。って、なんでお前にこんなこと言わなければいけないんだ!!」
「なら答えるなよ……。ま、とにかく頼むぜ」
 …………………………………………
 学食。
「そんなわけなんで好きに頼んでくれ」
 正直この2人の欲しがりそうなものなんてあんまり想像つかなかったもので……。
 そんなときは食べ物が1番無難。
「ぷりん、ぷりん♪」
「西崎さんはプリンね。お前は?」
「……ピーナッツバターパンと豆乳で」
「あいよ」
 学食で頼まれたものを購入。席のほうに移動。
「おいしい♪」
「……まあ、おいしいわ」
「喜んでもらえて何より」
 西崎さんは夢中でプリンを食べている。近衛は……。
「……!」
 目が合ったが、すぐに視線を外された。
 なんかバレンタインの時以来、コイツの態度が少ーし変わった感があるんだが……。
 まあ、悪化したならともかく、良くなったんだから良しとするか。
 トラブルのない日々が一番だ。
「オイ、西崎」

271:獅子の白い1日 6/8
07/01/07 17:35:29 JZyvIFqe0
 村田がやってきた。
「く?」
「広報委員のやつらが呼んでいるぞ」
「くー……、でも、ぷりん……」
「プリンなら後で僕がおごってやる。ほら、行くぞ」
「くー……」
 西崎さんは、名残惜しそうに去っていった。
 後に残されたのは、近衛と、俺。
「……」
「……」
 近衛は無言でピーナッツバターパンを食べている。
 その様子を見ている俺。
「……何よ」
「ん……。相変わらず、そのパン好きなんだな、って思ってさ」
「相変わらずって……。アタシはアタシ。変わらないわよ。……アンタは腑抜けに変わったようだけどね」
 ……この流れは嫌な流れだな。
「そういえば近衛、バレンタインのときに貰ったチョコ、すごく美味かったぜ」
「!! あ、あれは別にアンタのために作ったわけじゃ……」
「え、手作りだったんだ。そうか……だからか」
「!!! な、何がだからなのよ」
「いや……、なんて言うかさ、作り手の愛情がこもってるって言うか、それが伝わってくるって言うか……」
「!!!!」
 真っ赤になってうつむく近衛。
 コイツはストレートな言葉に弱い。照れ屋さんなんだろう。
 弱点がわかると、普段攻撃されていた分、こっちが攻めたくなる。
「近衛─」
 パシャリ!
 いきなりフラッシュがたかれた。
「くーっ!(いい顔、ゲットでごわす!)」
「あ、あーっ! 紀子! 何撮ってんのよ!」

272:獅子の白い1日 7/8
07/01/07 17:36:11 JZyvIFqe0
「馬鹿、西崎、気づかれたじゃないか」
「く!?(しまった、ついシャッターを切ってしまったでごわす!)」
「待ちなさい!」
 逃げる西崎さん&村田と、追いかける近衛。あ、近衛がこけた。また、追いかけていって、いつしか視界から消えた。
「やれやれ」
 ま、お返しはしたし、義理は果たした。これでいいだろう。
 ……にしても。
「近衛はからかうと面白いなぁ」
 今まで散々バカにしてくれた仕返しにこれからもからかってやろう。なんだかちょっかい出したくなるぜ。
 …………………………………………
 帰り。
 俺はまっすぐ帰らずに、とある店に寄っていた。
「いらっしゃいませ、ってセンパイですか」
「よお、椰子。今日も店の手伝い、えらいな」
「……何の用ですか」
「花屋に来る理由なんて1つだけだ」
「センパイが……?」
「ああ、適当な花束を用意して欲しいんだけど」
「適当でいいんですか」
「ああ、花のことはよく知らんし。あ、変なのは却下な」
「わかりました。……母さん、これとこれとこれをラッピングで」
 ……うん、変なのは選んでないな。さすがに客には礼儀正しい。
「ところで椰子」
「ハイ?」
「お前に、これを」
「……なんですか、これ」
「いや、今日ホワイトデーだろ? だから」
「だから、って……。別にいりませんよ」
「いや、まあ、俺の顔を立てると思って受け取ってくれんかね」
「そこまで言うなら貰いますが。……これ、中身はなんですか」
「エプロン。料理、好きなんだろ。あ、変な柄じゃないから安心してくれ」

273:名無しさん@初回限定
07/01/07 17:37:37 clO070w40


274:獅子の白い1日 8/8
07/01/07 17:40:50 JZyvIFqe0
「そ、そうですか……」
 ……ちょっと照れてるか? いや、まさかな。
「なごみちゃん、できたわよ~」
「あ、うん……。センパイ、どうぞ」
「ありがと」
 会計を済ませ、店を出る。
「じゃあ、またな」
「……センパイ」
「ん?」
「……どうも、ありがとうございます……」
「……ああ」
 …………………………………………
「そんなわけで乙女さんには花束です」
「ほう……うん、いい香りだ。ありがとう、レオ」
「どういたしまして」
「レオも乙女というものがどういうものか、わかってきたな」
「ハハハハハ」(←乾いた笑い)
 ふう、好評でよかった。
「他のみんなにもきちんとお返しはしたのか?」
「うん、みんな喜んでくれたよ」
「そうか、よかったな」
「うん」
「よし、じゃあ、食事にしよう。お姉ちゃん、張り切っておにぎりいっぱい作っちゃったぞ」
「わぁい」
 こうして、何事も無くホワイトデーは終わった。
 そして明日からはまた、変わらぬ、しかし騒がしくも楽しい日常が、また始まる─。
「……ところで、フカヒレはどうしたんだろうな」
 …………………………………………
「へへへ、バレンタインのお返しに、奮発してエロゲを5本も買っちまったぜ。
 これで2次元の女の子達に癒してもらおっと。…………あれ、なんだろう、目から、魂の汗が……
 ちくしょう……。いつか必ず、幸せになってやるからなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……………………」

275:名無しさん@初回限定
07/01/07 17:41:25 JZyvIFqe0
年始になったので投下。あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
今年もどんどん投下! と言いたいところですが、仕事やら何やらが多くて……。
まあ、それはそれとしてバレンタインネタです。本当はホワイトデーネタって無くね?
ってなことでそっちを先に思いついたんですが、それだけってのはやっぱ不自然。
去年書いたバレンタインネタの続編にしようかと思ったんだけど、それには近衛いないし、くーはスルーしたしで、
それならいっそ新しいのを、ってなことでこんな感じに。新年1発目から長いですが楽しんでいただけると恐縮。
最近武装錬金が面白い。パピヨンが原作超えてますね。蝶・サイコーです。

276:名無しさん@初回限定
07/01/07 17:41:35 CzchNmBI0
2分あけないので支援しても意味がないと思われ

277:名無しさん@初回限定
07/01/07 17:43:21 CzchNmBI0
>>275
あ、終わってたのね



278:名無しさん@初回限定
07/01/07 17:44:31 JZyvIFqe0
支援ありがとうございました。3連投でも規制はかかるので支援はありがたいです。

279:名無しさん@初回限定
07/01/07 17:55:46 oKRZ3VOcO
乙 面白かったですよ
携帯から失礼しましたー

280:名無しさん@初回限定
07/01/07 18:07:46 s2VQKDtW0
>>275

テンプレぐらいは読もうぜ

281:名無しさん@初回限定
07/01/07 19:42:13 gqFQp1YU0
>>275
乙!
面白かったよ

282:名無しさん@初回限定
07/01/07 23:59:26 F86OLIzP0
>>275

セリフの比率が中途半端に高すぎる

いっそセリフだけの構成にしたほうがいいかも

283:名無しさん@初回限定
07/01/08 00:22:48 sQGqbFGWO
保管庫って見れないのか?

284:名無しさん@初回限定
07/01/08 00:49:41 MU9YumBl0
>>283
保管庫はフレームページなのでケータイの人は
下のリストページから読みたい作品に飛んでください


URLリンク(yellow.ribbon.to)

285:チャーハン1/6
07/01/08 01:32:11 8GVGpKXN0
「さてと、炒飯を作ろうと思う」
そう言いながら、乙女さんはエプロンの紐を、後ろ手で器用に蝶々結びする。
結び目はちょうど真ん中。余った紐の長さもこれでもかというほどに等しい。
こういうところを見ると、あながち不器用では無いように思えるんだけどなあ。
「美味しく出来るといいな」

珍しくおにぎりで無いのには理由がある。
昨日の晩、いつもの通り二人で向かい合って寝ていた。
この時間が一番好きなのかもしれない。
「明日のおにぎりの具は何にしよう…。
 うどんが残っていたな」
「炭水化物+炭水化物ぅ!?」
「わがままを言うんじゃない。それに結構美味いぞ」
実証済みですか…。
「たまには、素かな」
それだけはイヤだ!!

286:チャーハン2/6
07/01/08 01:36:33 8GVGpKXN0
「お、乙女さん!最近料理の腕が上がって参りましたよね!!」
「うん?そうかな」
「だって最近、お姉ちゃんの作ったおにぎり美味しいもん」
乙女さんの目がわずかに細くなる。
「そうか。私もひょっとしてと思っていたが…、とても嬉しい事だな」
頬を優しくさすってくれる。
あ、ちょっと罪悪感。
ええい!怯むな!!
「そろそろ違う料理にもチャレンジしては如何でございましょう?」
よし、言い切った!
「そうか…、たまにはいいかもしれない」
よし!もう一押し!!
「でも、レオはいいのか?おにぎり美味し」
「きっと今の乙女さんなら色々作れちゃうんだろなー!!」
「ふふっ、仕方の無いやつだ。ではレオは何が食べたいんだ?」
正直おにぎり以外なら…、というところだが、ここで本音を漏らしてはいけない。
「うーん突然に言われると、なんだろ?」
「よし、ちょっと待ってるんだぞ」
乙女さんが布団から出る。
どうする気なのかな。
タッタッタッタッ…。
タッタッタッタッ…。
「お待たせ、二人で決めよう」
手には『猪でも出来る料理教室 中級編』。
やったあお姉ちゃん!レベルアップしたんだね!!

287:チャーハン3/6
07/01/08 01:39:55 8GVGpKXN0
二人でページをめくりながら物色をする。
「どうだ、食べたいものは見つかったか?
 私はやはりおにぎりが…」
「炒飯がいいな!!」
「そうか、それなら簡単だ。やはり日本人は米だしな」
やはり米狙いは正解だったようだ。
「まったく、わがままな弟を持つと苦労するものだ」
とか言いながら、嬉しそうな顔をして頭を撫でて来る。
結局頼まれると弱いんだよね。
「そろそろ私は眠たくなってきた」
「おやすみ、乙女さん」
「おやすみ、レオ」
乙女さんが目を閉じる。
「zzz」
もう寝てる。
大好きな人が素直ないい人っていうことは幸せだな。

288:チャーハン4/6
07/01/08 01:42:55 8GVGpKXN0
「まずは、鍋を熱する」
「鍋を熱するー!」
やべ、軽くテンションが上がってきたせいか、自然と復唱してしまう。
「次に卵を溶く」
「卵を溶くー!」
「レシピでは2個となっているが、多いほうが美味いと決まっている。
 8個にしよう」
卵を溶くためだけに、既に2本の菜ばしがお亡くなりになっている。

「乙女さん、まだ卵入れないの?」
中華鍋の底が、ほんのり紅に変色している。
「やはりレオは男の子だな。まだ油も入れて無いじゃないか
 それに家庭用コンロは業務用と比べて火力が弱い。
 だから良く熱しておかないといけないのだぞ」(←本の受け売り)

段々紅から鮮やかなオレンジに…。
「さて、そろそろかな」
とくとくとくとく。
……。
グラグラグラ…。
「油って、沸騰するんだ!」
「しまった、少々入れすぎた。
 だがなレオ、美味しさの秘訣は油を多めに入れることだ」
そのままたっぷりの溶き卵を投入する。
「卵がそのまま飛び跳ねた!」
「少しは静かに見ていられないのか。
 私も見るのは初めてだが、書いてある通りにやっている。
 卵はそのまま飛び跳ねるものなのだろう」

289:名無しさん@初回限定
07/01/08 01:44:28 Ntr1zbfE0
支援

290:名無しさん@初回限定
07/01/08 01:44:37 5MEJ28FrO
支援

291:チャーハン5/6
07/01/08 01:46:11 8GVGpKXN0
その後も野菜、叉焼、ご飯と、投入されたものが全て飛び跳ねるという異様な光景を
目の当たりにしたものの、見た目は意外と普通な炒飯が中華鍋の中に出来上がっていた。
…軽く5人前はあるようだけど。
「やったね乙女さん!大成功だ」
「まだ完成では無いぞ」
得意げな顔で、乙女さんはさらさらと手に塩を降っている。
まさかっ!
「出来た!お姉ちゃん特製、炒飯乙女おにぎり!!」
「炒飯乙女ってどんな乙女?」
「名前だ!!」
「うっ」
炒飯乙女おにぎりを手にしながら、的確に筋肉の薄い膝上にローキックが放たれる。
「レオに炒飯を食べさせたいし、おにぎりも食べさせたい。悩んだ末の結果だ」
にぎったのは軽い意地悪かと思ったけど、俺のことを気遣ってくれる気持ちが嬉しい。
「俺のためにありがとう乙女さん」
「なあに、惚れた男に料理をするのは、うら若き乙女として当然のことだ」
「じゃあ早速頂くね」
「うむ、冷めないうちにどうぞ」
ぱくっ。
少々油っぽいものの、ご飯はしゃきっと、卵はふんわりとしている。
さすが大火力。
しかし…。
「あ、甘い…」
「馬鹿なっ!甘い訳など…」
ぱく。
「甘い!!」
いや、俺に凄んでも。
「乙女さん、さっきの塩ってもしかして…」
容器を確認する乙女さん。
「Sugarだそうだ…」
時既に遅し、砂糖でにぎられたおにぎりが並んでいる。

292:チャーハン6/6
07/01/08 01:50:42 8GVGpKXN0
「はあ、折角美味しそうに出来たのにな」
残された炒飯砂糖おにぎりを全て平らげた乙女さんが、ため息をついている。
おれは用意周到な乙女さんがあらかじめ作っていた、うどん入りのおにぎりを食べていた。
「そんなに気にすること無いって。失敗してこそ上手になるんだよ。
 大体乙女さんのキャラなら…」
「何ィ、砂糖だったか。ちょうど良い、おにぎりの限界を探ってくれるわ!
 ガッハッハッハッ!」
「___って感じじゃん」
「お前は勘違いをしている」
あれ、怒らない。
「失敗自体残念なことだが、それよりレオをぬか喜びさせてしまったことが辛い」
「そう?乙女さんが料理上手くなっているってことで、今も十分嬉しいよ」
「レオ…」
椅子に座っている俺の頭を、乙女さんの両腕が優しく包んだ。
「お前は優しいな。私は本当に幸せものだと、心から思う」
両腕の締め付けが段々強くなる。
軽く振りほどき、立ち上がった。
乙女さんの腰に手を回し、頬に軽くキスをした。
「乙女さん、大好きだ」
「レオ」
優しく口付けを交わす。
乙女さん、幸せなのはここまで思ってもらえる俺のほうだよ。
でも、今は譲っておこう。

293:名無しさん@初回限定
07/01/08 01:59:36 8GVGpKXN0
>>285
>>286
>>287
>>288
>>291
>>292

支援ありがとうございました。
久しぶりのエロゲ。
それも前々から買おう買おうと思っていた下級生2のついでに
買ったにもかかわらず、気づけばつよきすの虜に…。

エロを入れるはずが…、おかしい。

294:名無しさん@初回限定
07/01/08 02:15:21 51vKKqNa0
GJ!!!!!!!!!!!!!!!!!!

295:名無しさん@初回限定
07/01/08 04:54:43 +mnuM0LK0
>>251乙。あと二回見直してから投下するんだ!

>>275GJ 近衛ルート前夜? 俺としてはなごみフラグが気になるのだが。

>>293GJ なかなかいい味わいだ。砂糖チャーハンって食いたくないな・・・。

296:SSD
07/01/08 09:53:43 0FJMaazU0
>>251
オイラはメモ帳で32行書く毎に一回、完成した後一回、
時間を置いて、投下する前に一回、送信ボタン押す直前に一回チェックを入れます

>>293
乙女さん好きなおいらにはハァハァです
GJ

297:名無しさん@初回限定
07/01/08 11:17:25 sQGqbFGWO
>>284 感謝

298:名無しさん@初回限定
07/01/09 22:15:06 hLoiZ8D50
やっと素奈緒シナリオをプレイしたわけだが、最高だな
ツンデレのイデアって感じで
さんざん既出の感想だろうが
最初から祈先生のシナリオを削除して素奈緒シナリオに
しておけばよかったのに>PC版

以上非処女否定派の感想でした

299:名無しさん@初回限定
07/01/10 04:29:35 d9s8yfKT0
>>298
何故ここでそれを言う?

300:名無しさん@初回限定
07/01/10 05:09:58 /bGq1eSy0
浦賀さんだから。

301:名無しさん@初回限定
07/01/11 14:46:32 yoxOW7pV0
空気読めないネ。

302:名無しさん@初回限定
07/01/11 21:20:49 BSDaCm6z0
sageないお前もな。

303:名無しさん@初回限定
07/01/11 22:23:12 UH9sIHzB0
空気なんか読まなくていいから、作品どんどん投下してくれ
今はみなともOKなんだよ、

姉しよ、つよきす、がでがでクロス来いや~~

304:名無しさん@初回限定
07/01/11 23:34:13 gvOvxqjB0
>>303
どうせ追い出されちゃうのにがでがでSSなんか投下しないだろ

305:名無しさん@初回限定
07/01/12 00:38:51 /zmVj/yA0
>>304お前浦賀j認定


306:フカヒレ救出作戦(1)
07/01/12 22:57:28 RXp2aBcX0
ある晴れた日の朝。 俺とカニはいつもの道をいつも通り登校していた。
「ふあ~あ…」
「道のど真ん中で大あくびするなよ、カニ」
「だってねみーんだもん。 ふあ~あ…」
2度目のあくびをするカニ。 せめて口を手で隠すとか、それぐらいのことはしてもらいたいもんだ。
「だから昨日は早く寝ろって言ったんだ」
「バカ言ってんじゃねーよ。 大体、オメーだって…あ、フカヒレだ」
道のど真ん中を歩いているフカヒレを発見した。
なんだか背筋がピシっとしているというか、なんか機嫌が良さそうだが…
「おーい、フカヒレー」
「うおーっす、レオ! カニ! 今日はいい天気だよなぁ!
 今までこんなにハレバレとした気分はなかったぜ!」
「な、なんですかコイツ。 頭でも打ちましたか?」
さすがのカニも、フカヒレのテンションの高さにひいていた。
「き、今日はえらく機嫌がいいな」
「ああ! 最高ォォォォォにハイッ! てヤツだァァァァ~~~~ハハハハハ!
 おっはよーございます、乙女さん!」
気がつくといつの間にか正門まで到着していた。
なんか時間すら忘れてしまいそうなフカヒレの勢いに、俺もカニも完全に飲み込まれてしまったようだ。
「ああ、おはよう。 なんだ、今日はえらく機嫌がいいんだな、鮫氷」
「ええ、そりゃあもう! そんじゃーっす!」
…そういや昨日は日曜日、アイツの姿を見なかったな。
何かあったんだろうか?
「おい、ちょっと待てレオ」
「へ?」
「だらしのないやつだ、またシャツがはみ出てるぞ」
いつもの注意を受け、偶然現れた近衛から嫌な視線を向けられ、俺達は教室へと向かっていった。

307:フカヒレ救出作戦(2)
07/01/12 22:59:55 RXp2aBcX0
「おっはよー!」
教室に着いてもフカヒレの勢いは止まらなかった。
そのハイテンションぶりに、全員が言葉を失ってしまっている。
「ねぇ対馬君、鮫氷君どうしたの?」
「いや、全然わからん」
佐藤さんですらどうしていいかわからない状態だった。
そしてフカヒレは、椅子に座ってうつらうつらしているスバルに声をかけた。
「ようスバル!」
「ん…おお、おはよーさん。 どうした、なんかいい事でもあったか?」
「それがよう、聞いてくれよ。 とうとう…とうとう……」
全員がフカヒレのほうを注目している。
本当のところどうでもいいことなんだろうが、何故かフカヒレを見ずにはおけない、そんな空気が漂っていた。
そしてフカヒレは右の拳を高々と突き上げて叫んだ。
「とうとう俺にも彼女ができたんだ~~~~~!!!!」

……シーーーン……

『そして時は動き出す』

「ハッ! つーか、今のセリフは誰が言ったんだ?」
「う、うーん…」
「アカン、イガグリがひきつけを起こしよった! 誰か保健室に連れて行き!」
教室はいきなり騒然となったが、しかしここで動じていない人間が一人。
「ハイハイハイハイ、みんな落ち着いて。 冷静になりましょ」
手をパンパンと叩きながら、姫が全員に聞こえるように声を出した。
「よく考えなさいよ。 フカヒレ君を好きなる女の子っていると思う?
 もしくはそんな人間、想像できる?」
確かに、それもそうだ。 カニ曰く、黙ってればそんなでもないが、しゃべりだすとダメなのがフカヒレ。
コイツの事を好きになる女の子なんて、もはや二次元しかありえない。
「ということで、今回の事件はめでたく解決しましたっと」
「ちょっと待てって! 今回ばかりはマジだぞ!」

308:名無しさん@初回限定
07/01/12 23:01:35 hJoCjTd60
支援

309:フカヒレ救出作戦(3)
07/01/12 23:03:11 RXp2aBcX0
そして放課後…
竜宮でもフカヒレはこのことを話していた。
まぁ、話していたというよりはコイツが勝手にしゃべってるだけで、ほとんど誰も信じていないんだけど。
「あ~~もう! どうして誰も信じてくれねぇんだよ!
 よっぴーは信じてくれるよね? ね?」
「え? えっと…その……ちょっと真実味がないかなって…」
「ガーン…よっぴーにすら……」
佐藤さんの言うことももっともだ。
そんなボランティア精神をはるかに越えるような心の持ち主なんているものか?
例え佐藤さんでも、さすがにそこまでの心は持ち合わせていないと思う。
それはともかく、よろよろと椅子に腰掛け、がっくりとうなだれるフカヒレ。
土永さんはそんなフカヒレの肩を叩いて話した。
「嘘をつくならもっとマシな嘘をつくんだなー。 そんな嘘、ばれるのに1秒もかからねーぜー」
「うっせーよ、このインコ!」
「インコではない、我輩はオウムだ!」
土永さんも呆れ顔だった。 祈先生はもはや相手にもしないでソファに寝転がりながら漫画を読んでいる始末。
しかし、そんな時でも助け舟を出してくれる人間はいるものだ。
「まぁまぁ、もうちょっとフカヒレの言う事も聞いてやろうぜ」
「スバル…スバル~! やっぱ持つべきものは友達だよ~!!」
「一から話してみろや。 そうすりゃここにいるうちの一人ぐらいは、信じてくれるかもしれないぜ?」
スバルの寛大な心に胸を打たれたのか、目の幅の涙をドバドバと流したフカヒレだった。
「…妄想話も、お茶請けぐらいにはなりますわね」
「しょうがないわねー。 ま、そこまで言うならちょっとぐらいはつきあってあげるわ」
「あたしは帰ります」
「だったら黙って出て行けやネクラ。 オメーなんか声出す必要ねーんだよ」
「それじゃ(←無視)」
「あー! あいつこのボクを無視していきやがった! おーし、今日こそブッ殺す!」
「…やれやれだ。 話してみろ、鮫氷。 ここにいる全員は、お前の味方だぞ」
乙女さんの発言に数人があからさまに嫌な顔をしたが、それはさておき。
フカヒレはその事の顛末を話したのだった。

310:フカヒレ救出作戦(4)
07/01/12 23:07:14 RXp2aBcX0
話は2週間前の日曜日から始まるんだ。
あるイベントでの限定グッズを獲り損ねちまった俺は、そのまま駅まで向かっていったんだけど…
「すみませーん、ちょっとよろしいですか?」
駅前で綺麗なおねーさんに声をかけてもらっちゃったんだ。 もうこれがスッゲー美人でさ!
どうもファッションに関するアンケートに答えてもらいたかったらしくてさ、このシャーク鮫氷様は快く引き受けたってわけよ。
「へぇー、鮫氷さんって結構オシャレに気を使ってるんだー」
「いやぁ、それほどでも…あ、俺のことはシャークって呼んでくれよ」
「アハハ、ヤッダー! えーっと、シャーク君?」
「イヤッホウ! そうそう、それそれ!」
「おっかしーんだ、シャーク君って」
そんな具合で話がはずんでさ、なんとそこで携帯の番号とメアドを交換しちゃったってわけよ!

「そしてこれがその証拠の番号だ! いやー、ちょっと見得張って『T大学の学生です』って言ったのが効いたんだな」
「ふむ、ウソにしては手の込んだことするわねぇ」
「どーせ自分ででまかせの番号を登録したんじゃねーのか?」
「本当だって言ってんだろが!」
「ま、ちょっとは信頼性がなくもないけど」
「だろ? そんじゃ、話を続けるぜ」

で、それから昨日の話だ。
それまで夜中とかにちょっとずつ電話で連絡してたんだけどさ、ついに会う約束までこぎつけたんだよ!
昨日、急に向こうから電話してきたんだ。
それまで、俺の方からしか電話をかけてなかったんだけど、あっちからってのがポイントだよな。
「今度の土曜日の昼に会えない?」
だってよ! もうこれはアレだよな、ちょっと食事して、カラオケでもして、疲れたから…ってなもんだよな!
我が世の春が来たーーーーーっってやつだよ!

「なぁ、お前ってアレだったよな?」
「ん? ああ。 でもそれはそれ、これはこれだよ」

311:フカヒレ救出作戦(5)
07/01/12 23:10:40 RXp2aBcX0
その後もフカヒレは次から次へとその女の人のことをべらべらとしゃべりまくった。
ウソにしては出来過ぎていたこともあり、一応は信じるしかなくなってしまった。
フカヒレは話を終えると、そのまま気分よく帰っていったのだった。
「それにしても、フカヒレが幸せそうな顔してたらなんかムカツクぜ」
「まぁまぁ、カニっち。 とりあえずは祝福してあげようよ」
「なんかさー、よっぴー、ちょっと嬉しそうじゃねーか? フカヒレに変につきまとわられてたから」
「そ、そんなことないよう」
「まぁいいや。 どうなるかは神の味噌汁ってとこだな。 お茶ちょーだい」
「神のみぞ知る、だ」
「鮫氷には幸せになってもらいたいな。 佐藤、私にも茶を頼む」
「私にもですわー」
「はいはい、ちょっと待ってください」
カニが間違えてる事にだれも突っ込みもしなかったが、みんなが作業に戻る(お茶の時間にする)中、スバルと姫だけは…
「どうしたんだよ、姫もスバルも」
「いや…ちょっとこの話、おかしくないかなってな」
「フカヒレが手の込んだウソをついてるってことか?」
「そうじゃないわよ。 そういう意味とは違う『おかしい』って言う意味よ。 『怪しい』のほうがいいわね」
途端にスバルは険しい顔つきになった。 姫もこれだけは真剣に考えているようだし…
「ああ。 こいつはひょっとすると、やべぇことになるかもしれねぇぜ」
「やばいって…どういうことだ?」
「そうねぇ…変なところに連れて行かれるとかかしら」
「…ど、どうするんだよ!」
「どうするって言っても、今の段階じゃ何もできないわ」
「そうだな。 まだ何かされたってわけじゃないし…」
「スバル君と対馬君で、土曜日にフカヒレ君の後を尾行してみたら?」
「それがよさそうだな。 レオはどうする?」
「も、もちろん俺も行くぜ!」
フカヒレはあれでも一応友達だ。 心配だし、何かあったら…とにかく、注意しておくとしよう。

「ウフフフ…尾行途中でスバル君と対馬君がホテル街に…そこであわよくば……ウフフフフ…」
何か変なオーラを感じた。

312:フカヒレ救出作戦(6)
07/01/12 23:13:39 RXp2aBcX0
そんなこんなで運命の土曜日。
朝の6時から出発するというフカヒレのアホな行動を監視するため、俺とスバルは尾行を開始した。
カニは寝起きが悪いし、うるさくて尾行にならないので連れてきていない。
まずは電車に乗って目的地に向かう。 途中のフカヒレの笑顔がなんとなく気持ち悪い。
周りの人も『なんだコイツは』のような視線を向けていた。
とりあえずはフカヒレに気づかれることもなく、何とか問題の場所まで到着した。
今日は乙女さんが朝早くに稽古で出かけたため、いつものおにぎり弁当(おにぎりのみ)が俺の朝飯となった。
スバルと分け合って食べ、そのまま監視を続けると、11時頃にようやくそれらしき女の人がフカヒレに近づいてきた。
「どうやらあの人らしいな」
「ああ。 お水系と言われれば、それっぽいとも言えるな」
「お、そろそろ移動するぞ」
女性と一緒にフカヒレは移動を開始した。
何か話しては笑っている。『待った?』『全然待ってないッスよ!』なんて会話でもしてるんだろう。
そのまま二人は喫茶店に入ってしまった。 もちろん俺達もその喫茶店に入る。
俺もスバルも簡単な変装をしているから、大きな声を出さなければ気づかれることはあまりないだろう。
俺達はフカヒレが遠くから見える席に陣取って監視することにした。
フカヒレはすっかり鼻の下を伸ばして女の人の話を聞いているようだ。
「どう思う、スバル?」
「ああ…こないだのバイトの客にいたんだけどさ、ひょっとしてキャッチセールスやってる女じゃないかな」
「そんな客がいたのか?」
「『一気に客が取れたから、お金使いたくなったの』とか言ってたな。
 あ、今フカヒレと話してる女じゃないぜ」
「ということは…フカヒレが大金をむしり取られるかもしれないってことか!?
 つーか、高校生にそんな大金あるわけないだろ」
「アイツ、T大学の学生だって女にウソついたんだろ? バカな事するもんだな。
 とにかくヤバイ可能性はあるな。 ただ、まだ確証がねぇ。 本当に危ないと思ったら止めにいこうぜ」
しばらくしてからフカヒレと女の人は立ち上がって喫茶店を出て行った。
俺達もそれに続いて、再び尾行を開始することにした。

313:フカヒレ救出作戦(7)
07/01/12 23:16:44 RXp2aBcX0
まったくよう、誰も信じてくれねーんだもんな。
今の姿をみんなにも見せてやりたいぜ。 俺は今こうして美人と一緒にいる!
しかも二人きりで! これがデートと言わずして何と言うか!
あ、またウソだとか言われそうだから…
「ねぇ、写真撮らないッスか?」
「え!? いや…アタシ、写真嫌いなんだ」
「なんだ…じゃ、仕方ないッスね」
くそ、これじゃ証拠を残しておけねーなぁ。 何とかして1枚ぐらいでも…
「それじゃ、そろそろあそこに行こっか」
「ああ、展示会でしょ? でも俺そんなに毛皮とかには興味は…」
「でも、これから必要になってくるよ? 初対面の相手って絶対見た目から気にするもん。
 君を良く見せるためにも、きっと必要になるから」
「そ、そうッスか?」
「そうよ! それに…シャーク君って顔は結構カッコイイんだから、完璧なオシャレすれば…」
ちょっとこの人、顔が赤くなってる……ま、まさか本当に俺のこと…
う、うろたえるんじゃあないッ! シャーク鮫氷はうろたえないッ!
「お、俺…」
「あ、着いた着いた。 ここよ」
なんだ、着いたのか…って、ここ? このビルの中?
とてもじゃないけど、展示会とかそんな大それたものなんてできなさそうなんだけど…
「…ほ、本当にここッスか?」
「そうだよ」
「でもさ、なんか展示会って雰囲気とかじゃないんだけど…」
「まぁまぁ、入ればわかるから」
ぐいぐいと背中を押して俺を中に入れようとする彼女。
なんかこれって何かおかしくないか? …で、でも俺は……
「ほらほら、さっさと入ろう?」
「そ、それじゃ…」

「ちょっとそこらへんでやめてもらおうか」

314:フカヒレ救出作戦(8)
07/01/12 23:20:07 RXp2aBcX0
「ス、スバルにレオ!」
やれやれ、どうにか変なところに連れてかれる前に止めれたな。
「そこの綺麗なお姉さん、生憎だがそいつは俺の知り合いでね。ちょっと用事があるんで、こっちによこしてもらうぜ」
「な、何言ってるのよ。 シャーク君はアタシと一緒にいるのよ? ねー、シャーク君」
「あ、ああそうッスね。 スバル、俺は今日はデートなんだぜ? 頼むからさ…友達だろ?」
スバルはニヤッと笑った。
「ああ、だからこそお前を連れて帰るんだ」
「そうだぜ、フカヒレ。 その人は間違いなくキャッチセールスだぞ。 高い物無理矢理買わされるぜ?」
俺の言葉に、フカヒレはかなりの動揺を見せた。
「そ、そんな…ち、違うよね、おねーさん!」
「もちろんじゃないの! さ、その人たちは置いといて、中に入りましょ」
女の人は笑顔で促しているが、その笑顔は明らかに作り笑い。
顔面の筋肉だけで笑っている、なんとも不気味な笑顔だった。
さすがの俺もここは行動をする時だぜ!
「ふざけんな! フカヒレは帰してもらうっつっただろ!」
俺は飛び掛って無理矢理フカヒレを引っ張り、スバルのほうへフカヒレを突き出した。
「いった…何するのよ!」
「うるせぇ! どうせ悪巧みしか考えてねぇんだろうが! たとえこんな奴でも友達だ、見捨ててなんておけるかよ!
 さ、帰るぜフカヒレ」
「レオ…」
それでも女はなかなか退こうとはしなかった。 むしろより強引にでも、フカヒレを中に引き込もうとする。
「シャーク君には、私の頑張っているところを見てもらいたいの!
 それがそんなにいけないことなの!?」
何を言ってるのか、ワケがわからない。 ヤケになっているんだろうか、焦っているんだろうか。
だんだん笑顔も消えかかっているようだった。

315:フカヒレ救出作戦(9)
07/01/12 23:23:26 RXp2aBcX0
「ね、シャーク君! こっちに来てよ! ね!?」
「う…」
フカヒレも女の人の変な行動に、さすがに警戒を示すようになってきた。
それにしてもこの人、やたらとしつこい。
多分、給料とかは客を引き込んで買わせない限り、メチャクチャ少ないんだろう。
そりゃ相手も生活がかかってるんだから必死だ。
でも、だからと言って騙して金を稼ごうなんて馬鹿げてる。
しかも、人の心を踏みにじるような事までしやがって…
「なぁ、おねーさん」
スバルがズイと前に踏み出し、女の人の目の前まで接近した。
「俺はな、別にアンタがどうやって金を稼いでるかなんて知る気はねぇ。
 だが、騙す相手がダチとなりゃ話は別だ」
思い切り睨みつけられた女の人は、その威圧感に飲まれたのか、恐怖に怯えるような目になった。
「二度と俺達の前に姿を見せるんじゃねぇ。 でなきゃ…女だろうが容赦しねぇぜ」
「ひっ…」
後ずさりしてビルの中に女の人は逃げ込んだ。 だが、自分が安全な場所まで来たかと思うと、こっちに向き直り、
「バッカじゃないの!? 何がシャークよ! キモいんだよバーカ!」
と、捨て台詞を吐き、そのまま姿を消してしまった。 なんて奴だ、本当にこれじゃフカヒレがかわいそうだぜ。
それはそうと、フカヒレは大丈夫だろうか?
「なぁ、フカヒレ…」
「いいんだよ。 今は何も言わないでくれ…」

帰りの電車の中、元気のないフカヒレが小さな声で話した。
「ありがとうな、レオ、スバル。 俺、もうちょっとで騙されるところだったよ」
「いや、俺達は別に…」
「でもな…俺…俺……」
「…なぁ、スバル。 確か今日は豆花さんの屋台、早いうちからやってたよな」
「ああ、そうだな……いくか?」
「おごってやるよ、フカヒレ」
「…ありがとう……本当に…」
フカヒレが流していた涙は、いつものいじめられたりとかとは全く違う、本当の涙だと俺は思った。

316:シンイチ
07/01/12 23:25:31 RXp2aBcX0
悪徳商法はダメ!絶対!
ということで書かせていただきました。
今年もマイペースにSSを書いていこうと思います。

317:名無しさん@初回限定
07/01/12 23:51:17 WSySdVZW0
>>316
乙。フカヒレが「ホントはなんとなくわかってた」方がカッコイイ気もする。

318:名無しさん@初回限定
07/01/13 00:41:49 HXBPRAA40
>>316
フカヒレなら更にオチがありそうだけどGJ

319:名無しさん@初回限定
07/01/13 10:28:38 vWR+2WOtO
>>260

320:名無しさん@初回限定
07/01/13 10:30:53 vWR+2WOtO
>>250

321:名無しさん@初回限定
07/01/13 10:32:22 vWR+2WOtO
>>253

322:SSD
07/01/13 10:59:23 IXG9JFQs0
いつ見ても話の持って行き方が自然です。
見習わなくては……
ジョジョネタわらかしていただきました
GJです

323:名無しさん@初回限定
07/01/13 12:33:39 d9strMSq0

うまいなー GJ

324:名無しさん@初回限定
07/01/13 14:29:15 FVMdHnMn0
>>316
久々にいいものが読めた。
GJです

325:名無しさん@初回限定
07/01/13 15:43:42 kNJW740q0
>>316
今ひとつ盛り上がりとかひねりが欲しいような

326:名無しさん@初回限定
07/01/13 18:39:16 ryN9i4Yr0
324 はちさん ◆hachi1HAJI sage New! 2007/01/13(土) 17:08:35 ID:y2znu4fz
               |  いいか?  お前の物は俺の物
               |   俺の物は俺の物だ、よーく覚えとけよな!
               |  _________________
               )/
          / )   __
     _/ /  /      `ヽ
    /_ `ヾ  / ┃  ┃    ',
    {‘ー く  j\/\/^\ :::l
     `ー<I∨ヘ /\_/\ ヽ|
        >、ニ=≠⌒ヽ   .::::7
        弋::__人___ノ  .::::::/
          _,ゝ、 __;;;::∠
          (__ノ   ヽ、_)
君が主で執事が俺で      デニーロ

>>316相変わらず読ませるな~、登場人物の出し方といい、話の筋、コネタといい。GJ!!!!!
ラストに落ちなしは仕方ないか。フカヒレカワイソス

だが、あえて言おう。重箱の隅をつつける場所があったことを。
まったく読んでいく中で影響はなかったんだけど
シンイチさんは絶対校正を行ってるはずなんだ。そんなシンイチさんでも見落としがある。
だから皆さん、怖がらずにどんどんSSを書いて校正して投下しよう   と読み専の俺が言ってみる。

327:名無しさん@初回限定
07/01/13 20:03:37 CklZKxAR0
>>316
キャッチセールスは契約解除可能なんで、いったん買わされて、
だまされていることを知ったレオたちが解約交渉のためにがんばる的な感じのほうがいいと思った。

328:名無しさん@初回限定
07/01/13 20:33:41 e0uWH87i0
盛り上がらないのは最後フカヒレが動かないからじゃないかな

329:名無しさん@初回限定
07/01/13 22:19:16 bubXQMec0
>>316
というか、実はキャッチセールスじゃなかったという捻り方を、つい、期待してしまっていた
オチがないとちょっとつらいな

330:名無しさん@初回限定
07/01/15 22:48:16 4o6USlZG0
hosyu

331:名無しさん@初回限定
07/01/17 13:13:52 w7KWpUXR0
hosyu


332:名無しさん@初回限定
07/01/17 13:20:16 5z2MtJ1y0
ここも役目を終えつつあるのかなぁ

333:名無しさん@初回限定
07/01/17 13:30:51 5Z1zZNo3O
この時期(新作発売前)はだいたいこんなもんだから安心しる

334:名無しさん@初回限定
07/01/17 14:22:33 w7KWpUXR0
必要とされる容量の増加にともなって、スレを分け、板を分け、サーバーを分けて
来たのが2ちゃんの歴史だが、このぶんだと「みなとSS専用スレ」を立てるまで
のことはなさそうだな

335:名無しさん@初回限定
07/01/18 15:19:39 WPC/loxZ0
あんまり退屈なもんで 発電所に突入する

336:名無しさん@初回限定
07/01/18 16:12:52 JP+9PKqc0
>>335発電所勤務乙
俺はスポーツジムに突入してくるわ

337:名無しさん@初回限定
07/01/18 17:26:59 h5yH3h/m0
>>336
違う、奴はヘドロマンだwwww
URLリンク(www.youtube.com)

しかし何でこのスレに居るんだよw
つーか何で俺も知ってるんだwwwテライミフwwww

338:名無しさん@初回限定
07/01/18 17:43:37 WPC/loxZ0
まさか知ってる奴がいるとは… (;´Д`)
暇だったから何気なく書いただけなのにw

339:名無しさん@初回限定
07/01/18 18:11:08 JP+9PKqc0
ブルーハーツの中の人だったのか

340:名無しさん@初回限定
07/01/18 18:12:43 Pj50PcY80
雑談ってレベルじゃねーぞ

341:名無しさん@初回限定
07/01/18 18:17:45 WPC/loxZ0
マジすんません

342:名無しさん@初回限定
07/01/18 18:25:04 JP+9PKqc0
そうだぞ、おまいら、雑談はつよきすスレでやれ

343:名無しさん@初回限定
07/01/19 11:58:21 D8nIEj750
雑談をしている間にも保管庫は更新されている

中の人乙

344:しっかりしなくちゃ 1/6
07/01/19 18:33:25 dj4Vie760
 風も温かく、庭ではどこからか迷い込んだのか、
桜の花びらがふわりふわりと舞っている、そんな春先の事。
 珍しく皆がお昼時に家にいて、久しぶりに姉妹(+イカ、珍獣)揃ってのお昼ご飯。
 お昼だから手の込んだものではないけれど、やっぱり巴姉さんの作る物は美味しい。
「たまにはこうして皆で揃っての昼餉もいいものだなぁ」
 雛乃姉さんは上機嫌だ。
「ごちそうさまー・・・・・・っと、まだ苺があったね。大粒でうまそうだにゃー。
もたもたしてるとタカの分まで食べちゃうからね」
と言いながら瀬芦里姉さんがアタシの分の苺にも手を伸ばして来た。
 ぎりぎりのところで苺を魔の手から救う。
「おおっ、タカにしてはいい反応だね」
「・・・・・・ハァ・・・・・・フンっ。アンタのやることぐらいお見通しだわ。アーンっと」
 息が乱れたのを気付かれない様に整えてから、皿を高々と掲げ、
目線を瀬芦里姉さんに合わせたまま、見せ付けるように苺を口に放り込む。
「全く、自分の苺だけで・・・・・・もぐもぐ・・・・・・って!うぇっ!ぺっぺっ」
「あははは~、高嶺お姉ちゃんって、苺はヘタごと食べるんだね~」
「たかねよ!食べ物を粗末にするでない!」
「そうよ高嶺。出された食べ物は責任を持ってすべて食べなさい」
 言いながらも要芽姉様は野菜を巴姉さんの皿に移している。
「うぅぅぅ・・・・・・すみませんでした。って巴姉さん!
苺出すんならちゃんとヘタ取ってから出してよね!食べにくいったらありゃしないわ!」
 と、口にした瞬間に、毎度の事ながら巴姉さんに甘えている自分に腹が立った。
 でもこんなワガママを言うアタシにも、巴姉さんは優しく「ごめんな、高嶺。
今ヘタ取ってくるから、お皿貸して」って言ってくれるんだろうな。
 しかし
「たっ、高嶺!」
 口数の少なかった巴姉さんが箸を置いて真っ直ぐとアタシの目を見据えた。
「な、何よ?」
「いつまでも、私にばかり、頼っていちゃ、ダメだ」
 巴姉さんが、どもらないようにゆっくりと、強くそう言うと、次の瞬間には
目をウルウルさせて居間から出て行ってしまった。 

345:しっかりしなくちゃ 2/6
07/01/19 18:38:50 dj4Vie760
「何よ・・・・・・あれ・・・・・・」
「あ~あ、高嶺お姉ちゃん、巴お姉ちゃんを怒らせた~」
「ともねえもついに姉貴に愛想を尽かしたのか」
「ちょっ、ちょっと、何よその言い方!そんなわけないでしょ!」
「でもポエポエが隣に来てから、タカのモエに対するワガママにも
拍手がかかったからね」
「瀬芦里、拍車、よ」
「たかねよ、だれもともえを奪おうなどとは考えておらぬ。
だからあれにももう少し優しくしてやってくれ」
「そっ、そんなんじゃないわよ・・・・・・」
 でもどういうことかしら?
 アタシがワガママで怒らせたとしても、あの反応は少しおかしいような気がする。
 今朝まではいつも通りだったし、でもお昼食べてる時はどこなく沈んだような雰囲気だった。
 何かあったのかしら?
「うまうま!タカの苺ウマウマ」
「って人が考え事してる時に苺を横取りするなー!」
「もそっと静かに出来んのか・・・・・・」
 巴姉さんの食べ残しは勿論、瀬芦里姉さんが「モエが残すって珍しいね」
と言いながら平らげてしまった。
 皆がお昼ご飯を食べ終わった頃になって、巴姉さんが何事もなかったかのように
居間に戻って来た。
 空になった自分の食器を見ると「あは、瀬芦里姉さんは元気だね」と、
どことなくしんみりと言って、食器を集めて台所に消えていった。
 みんながぞろぞろと居間から出て行くところを、すかさず瀬芦里姉さんの手を引っ張って
居間に引き戻した。
「ちょっちょ、なによタカ。わたしはもう眠いから屋根の上で寝たいの。苺ならもうないよ」
「そんなのはどうでもいいわよ。それより瀬芦里姉さん、
巴姉さんの様子が変だったと思わない?」
「んー?モエを怒らせたこと?モエは優しいから、ちゃんと謝れば許してくれるよ」
「そうじゃなくてさ、アタシのワガママに怒ったにしては、反応がおかしくない?
目に涙まで溜めてさ」
「そうかな?目に涙なんか溜めてた?」

346:しっかりしなくちゃ 3/6
07/01/19 18:43:02 dj4Vie760
「鈍いわね。目もウルウルしてたじゃない。何かあったんだと思うわ」
「確かにモエが怒るのは珍しいけど、ウルウルしてたのは同時に感情が高ぶったんじゃない?
タカがモエの事気にしすぎなんだよ。血の繋がった姉妹なんだから、
変な期待は捨てたほうがいいよ」
「だっ、だからそんなんじゃないって!とりあえず、ちょっと協力してよね。
名探偵なんでしょ?」
 アタシの「名探偵」という言葉に刺激されたのか、やる気のなさそうだった
瀬芦里姉さんの目に、急に光が灯った。
「んふっふ~ん、そう言われたらしょうがないね。名探偵瀬芦里ちゃんがあなたの
お悩み一気に解決ぅ!」
 あらぬ方向に向かってビシッとポーズを決める瀬芦里姉さん。単純な人でよかった。

「そうと決まったらまずは張り込みだよ。探偵の基本だからね」ということで
かれこれ二時間ほど、二人で巴姉さんの部屋の天井裏に潜んでいる。
「何でアタシまで来る必要があるのよ!」という抗議に対して「張り込みは対象を
見てるだけではダメなのよ。観察しなくちゃ。観察しろっていうのは……
見るんじゃあなくて観ること…。聞くんじゃあなく聴くこと。
でないと…………これから死ぬことになるよ……」と返された。頭大丈夫かしら?
 二時間部屋の中にいる巴姉さんの動向を観察したところ
「顔を枕にうずめてじっと動かなかったり、写真見ながらぐずついてるって事は、
どうやらモエには、何か心配事とか、悲しい事があったみたいだね」
「ホラ見なさい、言った通りじゃない」 
「うーむ、悔しいけどタカの言う通りのようだね。
っと、モエが部屋から出て行くみたいだよ」
 見ると、巴姉さんが障子を少し開けて廊下を確認した後、部屋を出て行った。
 距離を置いて後をつけると、巴姉さんは洗面所に入って、間も無く出て来た。
「あれは泣き顔を見られないように顔を洗ってたんだね。」
「どうして分かるのよ?」
「あれ、音聞こえなかった?あの水音はおしっこじゃなかったもん」
 アンタこの距離からそんな音も聞き分け出来るのか。
 巴姉さんはそのまま、玄関に向かい靴を履いているようだ。
 どこかに出かけるのかしら?

347:名無しさん@初回限定
07/01/19 18:45:31 2nccMRyWO
師炎

348:しっかりしなくちゃ 4/6
07/01/19 18:47:14 dj4Vie760
 外は日がだいぶ傾いて薄暗くなっている。さすがに春先とはいえちょっと寒い。
 玄関を出た巴姉さんに気付かれないように、二人で後をつける。
 その矢先、巴姉さんは向かいの犬神家のドアベルを鳴らした。
「ポエポエに何か用なのかな?」
 ウチの玄関の陰に隠れて様子を伺っていると、犬神家の門が開いて
歩笑が顔を覗かせた。
「巴姉さんを見た瞬間に、すごい笑顔になったわね。歩笑」
「ポエポエがモエを家に誘い入れようとしているよ。あれ、でも入っていかないね」
 なぜか入って行かずに、その場で何かを話し始める巴姉さん。
 その話を聞いて驚いた表情をする歩笑。普段からぼそぼそと話す二人だから、
何を言っているのかは聞こえない。
「ねぇ、瀬芦里姉さん」
「しっ!静かにして」
 瀬芦里姉さんには聞こえているようだ。
 少し話した後に、突然巴姉さんがこっちにくるっと振り返って、ダッシュして来た。
 気付かれた!?と思ったが、巴姉さんはアタシ達には気付いていないようで、
アタシ達の横を駆け抜けて玄関に入っていった。
 歩笑はボーゼンとその場に立ち尽くした後、うなだれるように家に戻って行った。
「ははーん、そういうことだったのか・・・・・・」
 瀬芦里姉さんが一人で納得している。
「ちょっとなによ、自分だけ納得してないで教えなさいよ」
「今回の事件はね、こう言うことだったのだよ・・・・・・」
 ・・・・・・
 ・・・

 巴姉さんの部屋の前に立ち、中に声をかける。
「巴姉さん、入るわよ」
「あう!?高嶺?ちょ、ちょっとまって!」
 慌てた様子の巴姉さんの声を無視して、障子戸を開けて中に入ると、
「あぅ、ゆ、夕飯の支度今するから、ご、ごめんね・・・・・・」
と目を真っ赤に腫らした巴姉さんが涙をぬぐいながら答えた。

349:しっかりしなくちゃ 5/6
07/01/19 18:51:37 dj4Vie760
「・・・・・・はぁ、何泣いてんのよ。アホらし。」
「こっ、これは泣いているわけじゃあないから、心配しないで。
めっ、目にごみが入ったんだ」
 心配させまいとしたのか、ごまかそうとする巴姉さん。
「・・・・・・巴姉さんがお昼ごろから妙にしょんぼりしてるから、
どういうことか調べさせてもらったわよ」
「えっ?・・・・・・じゃ、じゃあ、た、高嶺は知ってるの?
私が、もう・・・死ぬかも・・・しれないって・・・・・・」
 言いながらも巴姉さんの声が震えだして、涙をボロボロこぼし始めた。
「・・・・・・あのねー、巴姉さん。健康診断で胃に影が見つかって再検査が必要って
言われたからって、癌で死ぬって決まったわけじゃあないんだから、やめてよね」
「えっ?」
 瀬芦里姉さん曰く、歩笑と巴姉さんの会話は「大学で受けた健康診断の結果が郵送で
家に届いて、再検査が必要らしい。私に何かあった場合は、人形達を頼む」との事だった。
 ポカーンと呆けている巴姉さんに、続けて言う。
「だから!影が見つかったって言っても必ず癌って訳じゃあないって言ってるの!
ただの胃潰瘍かもしれないし、良性のポリープっていう可能性のほうが十分に高いわよ!
それを死ぬもんだと勝手に思い込んで歩笑なんかに打ち明けたりして、
恥ずかしいったらありゃしないわ!」
「そ、そうなの?」
「それくらい常識よ!それになにより、何でまずアタシに心配事を打ち明けてくれなかったのよ!
アタシだって、巴姉さんのこと心配したんだから!」
 自分でも何を言っているかわからないくらい、ジーンとした痺れが体を包んでいる。
 勢いに任せたとはいえ、大声で本音を言っちゃうなんて、恥ずかしくて死にそう。
 ふと巴姉さんがアタシの事を抱きしめてきた
「うぇぇぇ・・・・・・ごめん・・・・・・ごめんな高嶺。ぐすっ、家族には心配かけたくなかったんだ」
「何のための家族よ・・・・・・巴姉さんのバカ」
 気がついたら二人で抱き合って泣いていた。
 巴姉さんの体に異常があると決まったわけじゃないし、何が悲しいのかよく分からないけど、
とりあえず今は泣いて、巴姉さんに甘えておこう。

350:しっかりしなくちゃ 6/6
07/01/19 18:55:51 dj4Vie760
「ねぇ、ねぇねぇ、何でともねえと姉貴は部屋の中で抱き合って泣いてるわけ?」
「んー?愛だよ。ラヴ」
「ふーん?まあ、あれはあれでなかなかどうして・・・・・・」
「いーから、邪魔しちゃ悪いから、今夜の夕飯はクーヤが一人で作ってよ」
「えー・・・・・・まぁ、でも、しょうがないかぁ」
 ・・・

 ゴールデンウィーク直前のある日、再検査を受けた巴姉さんが病院から帰ってきた。
「で、どうだったのよ」
「うん、正式な結果はまた郵送されてくるけど、きゅ、99%軽い胃潰瘍だろうって」
「ほら見なさい。アタシの言った通りだったじゃない。
それをあんなに大騒ぎして・・・・・・まったく」
「あはは・・・・・・ごめん」
 結果はアタシの思った通りだった。
 あの時巴姉さんが「いつまでも頼っていてはダメだ」って言ったのは、いざ巴姉さんが
居なくなってしまった時に、アタシが困るだろうと心配してくれたからだと思う。 
 それに食事バランスも生活習慣もちゃんとしている巴姉さんが胃潰瘍って事は、
巴姉さんはアタシには言わなかったけど、やっぱりストレス性のものかしら。
 アタシにも原因があるのかも・・・・・・・
 アタシもいつまでも巴姉さんに甘えてないで、少しはしっかりしなくちゃね。
「お、お茶でも入れてくるよ」
「あっ、巴姉さん、アタシがやるからいいわよ。座ってて」
「いっ、いいのか?」
「いいから座ってなさいって」
 アタシが立ち上がりかけた巴姉さんの肩を押さえつけて微笑みかけると、
巴姉さんの驚いた顔が、やわらかい微笑にかわった。
「うん、じゃあ、お願いするよ」
「あれ?姉貴がお茶入れるとかって、入れ方知ってるの?」
「それくらい知ってるわ!バカにしてんのかこのイカゲソが!」
「うわーん!」
 ぽかぽかとした陽気のせいか、何となく幸せだなぁって思った。


351:SSD
07/01/19 19:00:13 dj4Vie760
たとえ癌だとしても、今は治る確立が昔に比べて高いので、
希望を捨てずに頑張ってください。

つよきす目当てで来てる人、ごめんなさいね
姉しよも面白いのでやってみてください
たまにはともねえ以外も書かなきゃ・・・・・・

>>347
支援ありがとうございました

352:名無しさん@初回限定
07/01/19 19:09:29 HA6CmUqz0

別に面白ければ姉しよでも何でもかまわないんだけどね

353:名無しさん@初回限定
07/01/19 19:09:52 w1IEy3xj0
>>351 GJ!!

姉しよ書きはずいぶんと減ってしまいましたね。これからも頑張ってくださいな

人死にエンドはありだと思ったけど、賛否両論だろーなとか思った俺は見事釣られたんですね
ともねえかわいいよともねえ


354:名無しさん@初回限定
07/01/19 19:36:04 56pLangq0
これがひなのんだったら洒落にならんな

355:名無しさん@初回限定
07/01/19 20:58:12 iaCpZ1K10
がでがでSSはまだかいのぅ

356:名無しさん@初回限定
07/01/19 21:08:13 1aI2R2ad0
せめて体験版でるまで待て

357:名無しさん@初回限定
07/01/20 01:32:21 bmv9wk0O0
>>351
まともな思考をする高嶺には少し違和感があるがw
GJ!!

358:名無しさん@初回限定
07/01/21 03:17:32 Yo8eoueh0
作品はgj!
ついでに「確率」だねとツッコミ
あとがきまで見直せとは言わないが

359:名無しさん@初回限定
07/01/22 18:24:23 j+yEFGfE0
 

360:つよきすinDMC
07/01/24 05:54:01 BDUY6a3j0
「とうとう来たぜDMDモード ヴァージ○!!!!」
俺のアドレナリンは最高潮。今なら負ける気がしない!
例え最高難易度と謳われていようとも!!!

SSStylishにキメる自身はある!
徐々に減らしていく敵体力!!
俺の勝利は目前!!!

「またゲームしてるのか?」

不意に耳に入る乙女さんの声。
そこから一気に集中力が奪われ、こちらの体力は順調に削り取られていく。

「おい!! 聞いてるのか!?」

ここでトドメの次元斬。

「あー…………」
「ん? どうかしたのか?」
「いや、なんでもない」

とは言っても、今回ほど絶好調と思えた時なんて無く、
クリア目前からのゲームオーバーは俺のやる気を非情なまでに奪い取っていった。

「む、そこまで落ち込まれるとこちらとしても…………そうだ!」

何かを思いついたのか階段を駆け下りていき、

361:つよきすinDMC
07/01/24 05:57:07 BDUY6a3j0
日本刀片手に駆け上ってくる。

「さっきの技を実演して見せてやる!!」

どういった思考回路だとそれが励ましになるのか、と考える間に柄に手をやる乙女さん。

「行くぞ……破っ!!!!!」

歪む空間、刀が鳴く音。
しかし何も変わっている様には見えない。

「…………何も起きないけど?」
「甘いな。それをよく見ておけ」

乙女さんの目線の先にあるもの。
ガラス瓶が置いてある。
いや、あれは俺の宝物!!!!
「ちょっと待って乙女さん!!!!」

ビンを手に取り無事を確認する俺。どうやら何も無かったようだ。

「ふう、脅かさないでよ」
「何を言っている?」
その言葉と共に、部屋に響く鞘の音。それと共に崩れ落ちるビンの中の船。
刈り取られる俺の意識。
「どうだ、凄いだろう」
崩れ落ちる意識の中で、乙女さんの満足そうな声が聞こえた。
まさか出来るなんて思わなかったよ。
そんな人が姉なら、悪魔だって泣き出すだろ?

362:名無しさん@初回限定
07/01/24 05:59:51 BDUY6a3j0
久しぶりになんか書こうと思ってる時に目に付いたDMC3
無理矢理某青いお兄さんと乙女さんを関連付けてみました。

反省も後悔もしています。


でも、乙女さんなら出来そうですよねぇ。

363:名無しさん@初回限定
07/01/24 13:25:48 4G8d+SZZ0
元ネタがわからないので30点

364:名無しさん@初回限定
07/01/24 13:35:15 p8S9HjgW0
DMCはひとを選ぶよな

365:名無しさん@初回限定
07/01/24 13:39:15 AAALcMvS0
>>361みたいにボトルシップを壊された時のレオはいったいどういう反応を示すんだろう?
乙女さんだろうがエリカだろうがフカヒレだろうが対応一緒なのかな

366:名無しさん@初回限定
07/01/24 13:56:46 vFLRukyq0
普通にキレると思う。

367:名無しさん@初回限定
07/01/24 14:36:10 hYSo/d210
キレた上で相手に応じた対応になるでしょう

フカヒレならぶっ飛ばすだろうし
エリカなら説教してたし
乙女さんだと…拗ねて三日くらい口きかないとか

368:名無しさん@初回限定
07/01/24 16:54:11 p0Ob0ZDr0
小説だと乙女さんが引くぐらいキレてたな

369:名無しさん@初回限定
07/01/24 17:02:34 q1zo72+P0
キれると言うか情緒不安定になると言ってたな。
フカヒレは小説で殴り倒されてたっけか

370:名無しさん@初回限定
07/01/24 17:04:02 EqX7cl2F0
原作でも、ボトルシップには触らないって言ってたじゃんか

371:名無しさん@初回限定
07/01/24 17:17:56 mh8qgsyd0
DMCって別の奴思い浮かべたから困る

372:名無しさん@初回限定
07/01/24 18:41:08 hAFAuWMW0
オレは普通に楽しめた。
GJ!!

373:名無しさん@初回限定
07/01/24 19:20:31 RrIWpaCG0
クラウザーさんの出てこないDMCは知らね

374:名無しさん@初回限定
07/01/24 23:47:39 kprVnUtY0
乙女さんはレオが大事にしているボトルシップをわざと壊すような人じゃない
そしてもしうっかりでも壊してしまったらたぶんすごく必死に償おうとする

むしろそういう続きをキボンヌ

375:名無しさん@初回限定
07/01/25 00:19:50 tPnW373u0
うっかり壊してしまったら?


男らしくあやまウボァー

376:名無しさん@初回限定
07/01/25 20:27:19 zCNfYRwh0
俺は地獄のボトルシッパー
昨日はカニを犯したぜ
明日はスバルほってやる
殺せ殺せ殺せ 義姉など殺せ
SATSUGAIせよ SATSUGAIせよ
思い出を血に染めてやれー

オレには母さん父さんいねぇ
それはオレが殺したから
オレには友達恋人いねぇ
それはオレが殺したから
SATSUGAIせよ
SATSUGAIせよ

377:(Vo.ツチナガーさん)
07/01/25 21:45:02 zCNfYRwh0
目覚めよフカヒレ
祈の呪文が聞こえる
蟹坊主の泣き声

グロテスク乙女内臓爆破
グロテスク素奈緒内臓とびちり
グロテスクなごみ流血噴射
グロテスクエリカ目ん玉とびちり( Д)゜゜
グロテスク良美精神破壊

全ての者達 我輩に魂を売れ

378:名無しさん@初回限定
07/01/26 01:23:36 WJ2tZ6vf0
投稿しようと思うんだが、こんな時間に支援してくれる人はいるんだろうか
長いのは初なんで連投規制の仕組みがよくわかってない
2分以上間隔を開けていれば、支援なしでも大丈夫なのかな?

379:名無しさん@初回限定
07/01/26 01:34:15 Qp8HDlFP0
ノシ

380:名無しさん@初回限定
07/01/26 01:41:33 kc2uV+PW0
任せろ

381:名無しさん@初回限定
07/01/26 01:43:59 WJ2tZ6vf0

いらっしゃるようなので投稿します
支援を挟んだ場合でも、2分以上あけたほうがいいのかな?
とりあえずよろしくお願いします

382:ボトルシップ殺人事件 1/15
07/01/26 01:45:59 WJ2tZ6vf0
「レオは無事かっ!?」
陸上部のエース伊達スバルはその俊足で窓から部屋に飛び込んだ。
「レオっ! なんて変わり果てた姿に…!」
目も顔色も髪の色まで真っ白になって、口から魂まで出して
部屋の主こと対馬レオは横たわっていた。
「チクショウ、誰がこんな真似を! 俺がそいつぶっ飛ばして…」
「落ち着け、伊達。 原因はわかっている」
そう諌めたのは鉄乙女だった。 そして、少し離れた床を指差す。
「見ろ。 子供には少々刺激が強いかもしれんがな」
はたして、乙女の示す先には、あまりにも凄惨な光景が広がっていた。
「なんてこった…」
伊達は血の雨が降る予感に戦慄し、その恐ろしさに青ざめた。

383:ボトルシップ殺人事件 2/15
07/01/26 01:48:55 WJ2tZ6vf0
ぱしゃっ! ぱしゃっ!
カメラのフラッシュがたかれ、その光が被害者の遺体―ボトルシップの残骸を照らし出す。
ガラスの破片にきらきらと反射するさまはあまりに美しく、悲しかった。
『鑑識』の腕章をつけた蟹沢きぬが部屋の中をうろつきまわり、
被害者の無残な姿をあらゆる角度から撮影する。
鮫氷新一がその脇に立ち、難しい顔で被害者を見下ろす。
「死亡推定時刻は三十分から一時間前。 死亡の原因は転落死だ。
 粉々に砕け散っていることから強く床に叩きつけられたと推測される」
どこから持ってきたのか、くたびれたコートを着込み
手にした黒い手帳を淡々と読み上げる。 そのさまはまさに刑事のようであった。
「多少の衝撃なら中の船が破損するだけで済んだかもしれない。
 しかしこの状況からは、確実に殺そうという執念さえ感じる。
 残忍な手口だ。 一体犯人はこのボトルシップにどれほどの恨みを持っていたのか…」
「ただ単に棚から落っこちただけじゃねーか」
部屋の外から中を呆れ顔でうかがっていた伊達がぼそりとつぶやいた。
「そっ…そうかもしれないが、偽装の可能性もある。
 いずれにしても、我々は必ず犯人を検挙しなければならない!」
そう高らかに宣言する鮫氷の陰で、蟹沢はその身軽さで器用にガラスの破片を避け
写真を撮り続けながら不満げに溜め息を吐いた。
「なんでボクが刑事役じゃねーんだ…」

384:ボトルシップ殺人事件 3/15
07/01/26 01:54:25 WJ2tZ6vf0
対馬の寝室の出入り口には現場保全のために立ち入り禁止をしめす黄色いテープが貼られ
被害者の亡骸の跡(危ないからとの理由で乙女に片付けられた)には、白いチョークで
輪郭を囲われAとかBとかの札が添え置かれてあった。
そして、事件の関係者は皆、一階のリビングに集まっていた。
部屋の隅にはいまだ意識の戻らぬ被害者遺族(レオ)が寝かされている。
入口にはなぜか、張り紙に毛筆で『ボトルシップ殺人事件特別捜査本部』と書かれていた。
「なんで私たちまでいるわけ?」
そう言ったのは見事な金髪をポニーテールにまとめた霧夜エリカだった。
「対馬君が倒れたって聞いたからでしょ、エリー」
答えたのは付き人のごとき少女、佐藤良美である。
「せっかくのデートだったのに、よっぴーが対馬クンを心配して上の空になっちゃうから」
「エ、エリー!」
真っ赤になって抗議する良美を見て笑うエリカ。
わかっててやっているあたり、彼女が姫と呼ばれる所以である。
「で、あたしまで呼ばれた理由を教えてもらえますか」
今度は緑の黒髪の持ち主、椰子なごみである。
「テメーが近所をうろついてたからな。 犯人は現場に戻るってゆーし」
椰子を捕まえたのは天敵、蟹沢であった。
「家の手伝いで配達に来ただけだ。
 そもそも何が起きたのかも知らないのに犯人のわけないだろう」
そうして獣のように唸る蟹沢と、冷ややかに斜に構える椰子とのいつもの喧嘩が始まった。

385:ボトルシップ殺人事件 4/15
07/01/26 01:58:01 WJ2tZ6vf0
「さて、みなさん」
騒がしい一同を見渡して、さらに帽子とパイプ煙草を追加した鮫氷が切り出した。
「フカヒレ刑事(デカ)。いつの間にパーツ増やしたんだよ」
「なにを言っているのかね、ワトスン君。
 それから、私のことは名探偵シャークズと呼んでくれたまえ」
「とんだ迷探偵登場だな…」
「オホン!」
咳払いで誤魔化し、気を取り直して鮫氷が改めて話始めた。
「現場検証や事情聴取を終え、いくらか情報も集まりました。
 被害者遺族(レオ)はまだ目を覚ましませんが…この『ボトルシップ殺人事件』の
 謎を解く鍵は、すでに我々の手の中にあると言えるでしょう」
丁寧な口調に、普段の彼からは想像できない重々しさを感じて、一同は静かになった。
「そして状況から鑑みるに、この事件は内部犯の線が濃厚です。
 つまり! この中に犯人がいると考えていいでしょう」
一同が不安げな顔をする中、これに乙女が異を唱えた。
「まて鮫氷。 ここにいる人間にあんな惨たらしい真似をする者はいないと私は信じている」
正直で情に篤い乙女らしい意見だった。
しかし、これに対して鮫氷は意味ありげな笑みを返した。
「自分としましても非常に残念なことですが…。 そう考えざるを得ない状況なのですよ」
「ならば、誰が犯人だと言うんだ」
「いいでしょう。 教えて差し上げましょう。 犯人は…」
「犯人は…?」

386:名無しさん@初回限定
07/01/26 01:59:15 Og5QcvTV0
支援

387:ボトルシップ殺人事件 5/15
07/01/26 02:00:12 WJ2tZ6vf0
「犯人は……あなただ! 乙女さん!」
いくらかもったいつけて、鮫氷は乙女をびしりと指差した。
周囲は凍りつき、たっぷりと間をおいて……ようやく犯人呼ばわりされた本人から動き出した。
「……………………は?」
いまだ理解が追いつかず、戸惑ったように眉をひそめた。
それを見て、鮫氷はなぜか納得したように大仰にうなずいた。
「あやうく騙されるところでした。 しかし私の目は誤魔化せません。
 まず第一発見者を疑え。 これに従って状況と照らし合わせた結果…
 犯人は乙女さんしかありえない!」
「…どうしてそういう結論に至ったのか、詳しく説明してくれるんだろうな?」
うつむき加減に乙女が言う。
こめかみに青筋が浮かび、握りこぶしを震わせていることに気づき、周りの人間は距離をとった。
しかし得意満面の鮫氷はそれに気づかない。
「もちろんですとも。 いいですか。
 まず、乙女さんがボトルシップを棚から落として壊します。 これは故意でも過失でもいい。
 それから、本当の第一発見者であるレオを、殴打して昏倒させます。 レオが魂を吐き出して
 いたのがその証拠だ。 そして次に現場に現れたスバルに適当なことを言って、自分を
 容疑から遠ざける。 最後に壊れたボトルシップの破片を自ら片付けることで証拠隠滅を図った。
 …違いますか、乙女さん?」
これでどうだと言わんばかりに、
推理ドラマの主人公が犯人をいやらしく追い詰める口調で鮫氷は言った。

388:ボトルシップ殺人事件 6/15
07/01/26 02:03:21 WJ2tZ6vf0
だが。
「違うに……決まっているだろうがっ!!」
ごうと唸り声をあげて、乙女の一撃が鮫氷の腹部に命中し、鮫氷はそのまま壁際まで吹き飛んだ。
怒りの鉄拳制裁である。 鮫氷は、いみじくも彼の言ったように、口から魂を吐き出して昏倒した。
「失礼にもほどがあるぞ。 まったく」
「ほーんと、とんだ時間のムダねー」
「しょっぱなからありえねーだろ、この推理」
「帰っていいですか」
「あ、あははは…」
一様に呆れる面々。 白けた空気が流れる中、いち早く気を取り直した伊達が口を開いた。
「フカヒレの推理はともかくとして
 レオのボトルシップが壊れた原因は、確かめておいたほうがいいんじゃねーか」
真っ先に反応したのはエリカであった。 ただし、違う意味で。
(スバルクンが対馬クンのことを心配している…! これはやはり…!)
「エリー、それはいいから、真面目に考えようよ」
そして、これを窘めたのはやはり良美であった。

389:名無しさん@初回限定
07/01/26 02:04:34 kc2uV+PW0
4

390:ボトルシップ殺人事件 7/15
07/01/26 02:05:56 WJ2tZ6vf0
ようやく、エリカがその明晰な頭脳を使い始めた。
「とは言っても、対馬クンの部屋に出入りするのって
 対馬ファミリーと乙女センパイくらいなものよね」
「そうだね。 ボクらは窓から直接出入りするけど」
「ま、窓からって…それは危ないんじゃ…」
「それはともかく。 その中で、わざと壊そうとするようなヒト、いる?」
エリカの問いかけに、三者三様に首を振った。
「ボクはそんなことしねーよ。 あいつチキンのくせにすげー怒るし」
「無論、私もだ。 可愛い弟分が大切にしている物をわざわざ壊すはずがない」
「俺だってやらねー。 フカヒレもそうだと思うぜ」
その答えに満足し、ならば、とエリカは続けた。
「故意に壊すようなヒトはいないということね。 じゃあ、過失で壊した場合はどうかしら。
 もしそうしてしまったなら、様子がおかしくなるものだと思うケド」
「様子がおかしかったのは…フカヒレ君だけかな?」
自信がないようでいて、どこか断定的な口調で良美が言った。
「やー、さっきのは多分、単にゲームか漫画の影響だと思うぜ」
「と、すれば、人為的なものではないということになるわ。
 人為的なものでないなら、地震などの自然現象…あるいは、心霊現象かもね。
 ポルターガイストってやつ。 うわぁ、私はじめて見れるかも」
「ひひひひ姫! いいいいいきなり何をいい出すんだよ!」
「冗談よ。 ともかく、どんな状況だったかがもう少しわからないとね」

391:ボトルシップ殺人事件 8/15
07/01/26 02:09:29 WJ2tZ6vf0
「ほらよ、これで全部だぜ」
テーブルの上に、さきほど蟹沢が撮った殺人現場の写真が広げられた。
それを囲むようにして一同は写真を眺める。 そこに写ったバラバラ死体の惨たらしさに、
状況が飲み込めていなかった者達が、その写真でようやく事態の深刻さを理解したようであった。
「うわぁ…見るも無惨ね」
「これってもう、直せないのかな?」
「や、すでに乙女さんが処分しちゃったから」
「それにしても、こんなことくらいで気を失うものですか?」
ひとり、少しだけ輪から離れていた椰子が、つまらなそうにつぶやいた。
親友を悪し様に言われたように感じて、伊達は椰子と咎めようとしたが、先に乙女が窘めた。
「そういうな、椰子。 お前にも大切にしている物はあるだろう。
 それがある日突然、目の前で粉々に砕け散っていたら、衝撃を受けるのも無理はない」
「…………」
自分が大切にしている物。 そこにまで思い至って、椰子は自分の軽率さを反省した。
「…ちょっと、現場のほうを、見せてもらってもいいですか」

392:名無しさん@初回限定
07/01/26 02:11:43 Qp8HDlFP0
支援

393:ボトルシップ殺人事件 9/15
07/01/26 02:12:07 WJ2tZ6vf0
「やはり現場を見てこそ、わかることがあるはずです」
立ち入り禁止のテープをくぐって、椰子は対馬の寝室を見渡した。
「へー、ここが対馬クンの部屋なんだー」
「か、勝手に入っていいのかな…?」
急にやる気を出した椰子に続いて、ぞろぞろと部屋に入ってきた。
「なにかわかるか、姫」
「んーそうねー。 あの棚の上にあったものが、この印のついているところに落ちてたのよね。
 だとすると…自然に落ちたにしては、ちょっと距離があるかなー」
考え込むようにして、エリカは前髪をいじる癖が出た。
「これは本格的にポルターガイストだったりするかも…」
「な、なにいいいっ! それじゃあボクは、そんな心霊スポットに入り浸ってたっていうのか!?」
「入り浸っ…!」
蟹沢の問題発言にもっとも反応を示したのは良美だった。
心霊現象よりも空寒いものをうなじに感じて、蟹沢は慌てて取り繕った。
「か、勘違いすんじゃねーぞ。 ボクたち幼馴染だしスバルたちだっているし
 遊んだりダベったりしてるだけで、やましーことはしてねーから!」
かえって怪しまれるような弁解をする蟹沢に、伊達が助け舟を出す。
「それはともかく、本当に心霊現象だってなら、祈ちゃんの領分だ。
 念のため、呼んでおくか? オカルトに限っては役に立ちそうだし」


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