SS投稿スレッド@エロネギ板 #11at EROG
SS投稿スレッド@エロネギ板 #11 - 暇つぶし2ch1:名無しさん@初回限定
06/11/09 21:46:47 sHnFRjV70
エロゲー全般のSS投稿スレです。あなたの作品をお待ちしています。
エロエロ、ギャグ、シリアス、マターリ萌え話から鬼畜陵辱まで、ジャンルは問いません。

そこの「SS書いたけど内容がエロエロだからなぁ」とお悩みのSS書きの人!
名無しさんなら安心して発表できますよ!!

  【投稿ガイドライン】
1.テキストエディタ等でSSを書く。
2.書いたSSを30行程度で何分割かしてひとつずつsageで書き込む。
 名前の欄にタイトルを入れておくとスマート。
 なお、一回の投稿の最大行数は32行、最大バイト数2048バイトです
3.SSの書き込みが終わったら、名前の欄に作者名を書きタイトルを記入して、
 自分がアップしたところをリダイレクトする。>>1-3みたいな感じ。
4.基本的にsage進行でお願いします。また、長文uzeeeeeeと言われる
 恐れがあるため、ageる場合はなるべく長文を回した後お願いします。
5.スレッド容量が470KBを超えた時点で、
 ただちに書き込みを中止し、次スレに移行して下さい。

保管サイトはこちら
URLリンク(yellow.ribbon.to)

過去スレ >>2-4辺り

2:名無しさん@初回限定
06/11/09 21:47:22 sHnFRjV70
前スレ
【SS投稿スレッド@エロネギ板 #10】
スレリンク(erog板)

過去スレ
【SS投稿スレッド@エロネギ板 #9】
スレリンク(erog板)
【SS投稿スレッド@エロネギ板 #8改め】
スレリンク(erog板)
【SS投稿スレッド@エロネギ板 #7】
スレリンク(erog板)
【SS投稿スレッド@エロネギ板 #6】
スレリンク(erog板)
【SS投稿スレッド@エロネギ板 #5】
スレリンク(erog板)
【SS投稿スレッド@エロネギ板 #4】
スレリンク(erog板)
【SS投稿スレッド@エロネギ板 #3】
URLリンク(www2.bbspink.com)
【SS投稿スレッド@エロネギ板 #2】
URLリンク(www2.bbspink.com)
【SS投稿スレッド@エロネギ板】
URLリンク(www2.bbspink.com)
【SS投稿用スレッド@エロゲー板】
URLリンク(www2.bbspink.com)

3:名無しさん@初回限定
06/11/09 22:33:58 vPx5zTo70
>1


4:温泉の人
06/11/10 00:00:49 IPkGf4Ge0
>>1乙~
思えば前スレ終盤からすっかり読む専になってるわ自分w

このスレも盛り上がることを祈念しつつカキコ

5:名無しさん@初回限定
06/11/10 01:07:31 FE8V2FTW0
>>1乙~
&即死防止sage

6:前スレ650-
06/11/10 01:35:51 leX+KF/q0
>>1乙です
GJって言って下さった方ありがとうございます、もう嬉し涙が(´;ェ;`)
読み直すと脱字があったり読みにくい所があったり…本当に申し訳ありません
あんなのでも読んで頂いて本当にありがとうございました



7:世の中甘くないの者です
06/11/10 08:10:02 EqgSUV+Z0
 >>1様、新スレ乙です。

 前スレ>>650様、投稿乙です。
 面白いし心理描写が上手いなあ。
 やってること結構黒いのに、いじらしく感じる春姫に乾杯。


 しかし……改めて思うけど、自分のSS浮いてますね?
 もしかして場違い?


8:名無しさん@初回限定
06/11/10 09:04:28 ypiYh96j0
(・з・)キニスルナ!

9:名無しさん@初回限定
06/11/10 09:10:08 UM9yoADi0
>>1
乙です


SS作家さん達へ

いつも楽しく読ませてもらってます
ただ、あまりご自分の作品を卑下したり、ご謙遜し過ぎたりしないほうがいいと思います・・

10:名無しさん@初回限定
06/11/10 09:14:35 yjoWZ5CF0
>>1
乙ー このスレも11かあ。

>>7
全然大丈夫でしょ。むしろ、続きを楽しみにしていますぞ。

11:名無しさん@初回限定
06/11/10 11:33:18 kh+xnmyz0
>>6
前スレにも書きましたが、楽しく読ませてもらいました。超GJです。
続編とか、春姫以外のヒロインVerとかもしよければ…

12:はぴねす!『世の中やっぱり甘くない』第2話その2
06/11/10 11:46:32 EqgSUV+Z0
――中等部魔法科一年教室……のドアの前。

「うう……」

 緊張する。恐ろしく緊張する。

 雄真はまるで石化したかの様に、教室前で固まっている。
 その額には脂汗が流れていた。

 ……まあ無理もないだろう。

 何せ、高二にもなって中一と一緒に勉強をしなければならないのだ。
 その恥ずかしさたるや、察するに余り有る。

 が、いつまでもこうしている訳にはいかない。

「小日向君、大丈夫? 顔真っ赤よ?」

 担任の先生も心配そうに顔を覗き込む。
 若い女性で、どこか少し頼りなさそうな先生だ。

「やっぱり、御薙教授も一緒の方が良かったんじゃあ?」

「ごめんなさい。それだけは勘弁して下さい」

 雄真は、先生の申し出を即行で断った。

 この年で母親同伴なんて、勘弁して欲しい。
 只でさえこの少し前、自分も一緒に行くと言い張る鈴莉をなんとか追い返したばかりなのだ。
(それに、そんな不用意な発言をしたらあの人のことだ、ひょっこり登場しかねない)

13:はぴねす!『世の中やっぱり甘くない』第2話その2
06/11/10 11:48:47 EqgSUV+Z0
 ―あの人も、本当に読めない人だよなあ。

 先程までの鈴莉の様子を思い返し、雄真は内心溜息を吐く。
 何故だかしらないが、彼女はやたらハイテンションだった。
 その意図を訝しむ程に。

 ―『雄真くんたら、照れちゃって♪』なんて言うんだものなあ……どこまで本気やら……

 どうも、からかわれている様な気がしてならない。

「小日向君? もうそろそろ……」

 流石に時間を気にしだした先生が、雄真に催促する。

「分かりました。ええ~い! たのもう!」

 ガラガラ

 気合を入れ、扉を開ける。

 ……それは小日向雄真、運命の第一歩だった。




――中等部魔法科一年教室。

「たのもう!」

14:はぴねす!『世の中やっぱり甘くない』第2話その2
06/11/10 11:52:04 EqgSUV+Z0
 豪く大時代的な声と共に、教室のドアが開いた。
 そして入ってきたのは、何と男の人。
 ……その後を、慌てて先生がついて来る。
 (普通、逆だ)

 ザワザワ……

 訳が分からず生徒達が響めく。
 その『男の人』が転校生だなどと、誰も思い至らない。
 (そりゃあそうだ)

「はい、皆~ 静かにして下さい~」

 が、流石にいい学校の生徒達だけあって、先生の一言で騒ぎが静まる。

「え~、皆さんに転科生の紹介をします。
 皆、仲良くしてあげて下さいね? クラスで一人だけの男の子だからって、虐めちゃ駄目ですよ?」

 ! ザワザワ……

 再び響めきが起こる。
 転科生に驚くというよりも、如何見ても年上の男の子がクラスメートになるということに驚いているのだ。

 ……そして、驚く者がここにも。

(先生、『クラスで一人の男の子』って!?)

(言葉通り意味ですよ? この学年には今まで―それこそ幼稚舎から―男の子はいませんでした。
 だから、小日向くんが始めての男の子です。 最初はいろいろ戸惑うかもしれないけど、頑張ってくださいね?)

15:はぴねす!『世の中やっぱり甘くない』第2話その2
06/11/10 12:00:24 EqgSUV+Z0
(ちょっ! いえ……そういうことでは無くてですね!?)

 そこで気付く。
 何故、あれほど鈴莉がハイテンションだったかを。

 ―御薙先生! 謀りましたね!

 雄真の脳裏には、高笑いをしている鈴莉の姿が浮かんだ。
 きっと自分の不幸を肴に、楽しんでいるに違いない。
 ……全く、まるで小雪先輩みたいな人である。
 (無論濡れ衣だ。親の心、子知らずの典型的な例だろう。
  どうやら鈴莉の野望が適うのは、まだまだ先の様だった)

 そんな雄真の心情を他所に、先生は淡々と紹介を続ける。

「普通科の高等部から転科して来た、小日向雄真くんです」

「「あ~!!」」

 その瞬間、生徒達の響めきの中でも、とりわけ大きな声が二箇所から上がった。




「え~、皆さんに転科生の紹介をします」

 その声に、彩音はガバッ!と机から顔を上げた。
 見ると大きな男の子、いや上級生が壇上にいるではないか!

 ―あれが転校生?
 (転校生ではなく、転科生です)

16:はぴねす!『世の中やっぱり甘くない』第2話その2
06/11/10 12:02:12 EqgSUV+Z0
 どうみてもかなり年上の『男の人』を見、首を捻る。
 が、それも一瞬。
 ふと気になることが頭に擡げる。
 ……いや、どこかで見たような人なのだ。

 ―む~。

 悩む、悩むが出てこない。
 直ぐそこまで出かかっているのだけれど。

「普通科の高等部から転科して来た、小日向雄真くんです」

 ―雄真? 小日向雄真?

「あ~!!」

 間違い無い! 絶対間違いない! 『あの』神坂先輩が告白してた人だ!!

 これは大ニュースである。それも超々ド級の大ニュースだ。
 甲種特待生や男子転校生なんてニュース、目じゃ無い。

 ―早速発表して、先程の汚名挽回(←間違い。正解は『名誉挽回』、汚名は『返上』するものだ)しなければ!

 いやいや上杉彩音、待て待つのだ。
 慌てる乞食はなんとやら、ちゃんと裏をとってからでないと。
 そう。神坂先輩にそれとなく聞き、反応を確かめるのだ。
 発表するのはその後でも……

 そうだ。それかいい。
 ジャーナリストたる者、真実を報道しなければならない。
 嘘や誇張など、もっての他である。

17:はぴねす!『世の中やっぱり甘くない』第2話その2
06/11/10 12:07:00 EqgSUV+Z0
 先程までの意気消沈は何のその、彩音は不敵に笑った。




「え~、皆さんに転科生の紹介をします」

 この時点では、明日香は然程驚かなかった。
 多分、あの年になって急に魔法使いとして覚醒したのだろう、と当たりを付けていたのだ。

 ―同じ瑞穂坂の普通科にいた方ではないかしら?

 それならばウチに来たのも説明がつく。
 やはりいきなり違う学校、それも中等部に行くのは心細過ぎるというものだ。
 
 ―お気の毒に。

 すでに中等部の履修過程を終え、大学入学目指して頑張っていた時期だろうに、また一からやり直しだ。
 幾ら魔法使いが希少な存在とはいえ、あんまりといえばあんまりである。

 明日香は心根の優しい少女である。故に、雄真の境遇に対して心から同情していた。
 ……彼の名を聞くまでは。

「普通科の高等部から転科して来た、小日向雄真くんです」

 ―雄真? 小日向雄真?

「あ~!!」

18:はぴねす!『世の中やっぱり甘くない』第2話その2
06/11/10 12:15:06 EqgSUV+Z0
 ―あれが伊吹姉さまを誑かした男、憎き小日向雄真! 

 明日香は名門式守家、その分家の出身である。
(式守の姓を許されるだけあり、実家は分家の中でも高位の存在だ)
 当然、伊吹とも面識がある。
 ……というか、非常に親しかった。憧れていた。
 例えて言うならば、まるで伊吹が那津音を慕っていた様に。
 その敬愛する伊吹を誑かす稀代の極悪人を、どうして許せるだろうか?

 先程までの憐憫の情は消えうせ、激しい敵意が渦巻く。


 『誑かす』と言えば聞こえが悪いが、まあ早い話が『雄真は式守家から伊吹の婿に見込まれている』のだ。

 事件が解決した後、式守家では主だった者が集まり、会議を開いた。
 議題は事後処理(主に伊吹への対応)についてだ。

 何せ、あれだけの失態をしでかした伊吹である。
 如何な次期当主とはいえ、失脚してもおかしくない。本家の出でないなら尚更だ。

 が、伊吹程の使い手は式守と言えどもそうはいない。
 加えて、鈴莉が事件の存在自体を否定しているので、事件は公にはなっていない。
 (まあ式守家は鈴莉に大きな『借り』が出来たが、それはまた別の話)
 故に、伊吹への罰は『暫しの謹慎』で済んだ。

 ……その代わり、新たな問題が持ち上がったが。

 雄真の存在とその力に、式守家は瞠目した。
 雄真は、幾ら暴走し始めたばかりとはいえ『秘宝』の暴走を鎮め、その上伊吹に魔力まで分け与えているのだ。


19:はぴねす!『世の中やっぱり甘くない』第2話その2
06/11/10 12:16:32 EqgSUV+Z0
 その力、如何程か!?

 式守家が驚愕するのも無理は無かった。
 これ程の力の持ち主は、式守の歴史を見渡しても見当たらない。
 『稀代の天才』といわれた式守那津音すら、上回るのではないだろうか?
 故に、式守家が雄真を『伊吹の婿に』と考え始めたのも当然と言えた。


 この話を聞いて明日香は酷く気分を害したが、それ以上に気分を害したのは、それを問い質した際の伊吹の態度である。

『お姉さまは平気なのですか!? あの様なことを勝手に決められて!』

『いや、まあ、仕方が無かろう? 全ては私の責任だ。寧ろ、軽くて驚いている』

『謹慎についてではありません! 御存知無いのですか!? 姉さまに婿話が持ち上がっているのですよ?」

『何だ、小日向雄真のことか』

 満更でも無さそうな伊吹に、明日香の苛立ちはつのる。

『何処の馬の骨とも知らぬ男と!!』

『……雄真は『馬の骨』では無いな。私が認めた唯一の男だ』

 咎めるような声。
 が、尚も明日香は言い募る。

『姉さま!』

20:はぴねす!『世の中やっぱり甘くない』第2話その2
06/11/10 12:20:06 EqgSUV+Z0
『そっ、それにな? 確かに雄真は口は悪いし多少意地悪ではあるが、悪い奴では無いのだ。
 むしろ……』

『…………』

 顔を真っ赤にして雄真を弁護する伊吹を見、とうとう明日香は説得を諦めた。

 伊吹姉さまは悪い男に騙されている、自分が何とかしなければならない。
 ―という、実にはた迷惑な強迫観念を残して。

 かくして、明日香の『伊吹のための』暴走は始まった。

 ……本当、伊吹と那津音の関係そっくりである。




「先生、小日向先輩が甲種特待生という話は本当ですか?」

 さて、あっちの世界に行っている二人を他所に、教室では葵が一人質問をしていた。
(他のクラスメート達は気後れし、それ所で無い)

「は? 甲種?」

 何度目かの葵の質問に、雄真は首を捻った。
 甲種とは超エリートにのみ許された称号、自分には縁が無い代物である。

 代わりに答えたのは、先生だ。

21:はぴねす!『世の中やっぱり甘くない』第2話その2
06/11/10 12:26:14 EqgSUV+Z0
「本当ですよ。小日向くんは魔法学こそ学んでいませんが、その力はもの凄いのだそうです。
 だから理事会と魔法科首脳部は全会一致で、小日向くんに甲種特待生資格を贈ることを決定したのです」

 『力』だけで甲種!?

 クラスの誰もが唖然とし、言葉も出ない。
 『力』だけで甲種を得られるなんて、前例が無い。
 ならば一体、如何程の『力』だろうか!?

「とはいえ、魔法に関しては素人も同然です。
 皆さん、小日向くんを助けてあげて下さいね?」

「あの……先生? 俺、そんな話聞いて……」

 雄真は慌てて説明を求めるが、先生は話を聞いちゃあいなかった。

「……って、もうこんな時間!? じゃあ、そういうことで~」

 雄真の戸惑いもなんのその、先生は慌てて教室を駆け出していく。
 そういえば、始まりの礼も終わりの礼もしていない。余程慌てていたのだろうか?

 ……ついでに、雄真の席すら決めていない。

「……俺の席は?」

 雄真は一人、壇上に立ちつくすしかなかった。



22:はぴねす!『世の中やっぱり甘くない』第2話その2
06/11/10 12:27:38 EqgSUV+Z0
 SS投下終了。

 皆様、有難う御座います。
 御蔭で安心して続きを投下できました。
 ではまた第3話で。

23:名無しさん@初回限定
06/11/10 14:15:42 FdTiFgMM0
GJ!!
にしても、担任酷いな。燃料投下するだけして逃亡かよ(w
やっぱ件の少女は伊吹信者だったのか。さすが女難のUMA。運が良いな。

24:名無しさん@初回限定
06/11/11 07:40:34 hrWald1Q0
GJGJっ
雄真くん本当は凄いんですよね
明るくて読みやすくていいな、こんな風に書けたらいいのに

ところで前スレを見たら、650のすももverって希望してもらってたのですが
すももverってことは杏璃に惹かれる雄真に早くから気づいていたらしいすももの内面の話なのかな
それとも春姫や杏璃と付き合っている雄真に諦めずにアプローチをしかけるすももの話なのかな
どんなの書けばいいのかな、頑張ってみる

25:名無しさん@初回限定
06/11/11 09:13:09 vg9UWz600
>>24
前スレでその新SS希望した愚者ですが、春姫ルートだとすももの兄への好意や
未練、諦め(?)がそこそこ描かれているのですが、杏璃ルートだとそういうのがなくて、
素直に二人の仲を認めちゃってるんですね。というわけで、杏璃ルート後のすももの
秘めていた兄への切ない気持ちやら、すももルート序盤にあった擬似デートをやって
きっぱり諦めをつけたり、ヤキモチ妬きな杏璃がそれを見て焦ったり…
なんてのを考えてました。

とはいえ、>>24のアプローチを仕掛けるすももも見たいし、前スレSS後の
杏璃と春姫の争いも見てみたいし…(←そこまで具体的に考えてるのなら自分で創れ、と)

そんなわけで前スレ650氏、応援してますよ。

26:名無しさん@初回限定
06/11/12 11:02:11 cwwAkYnt0
GJ

27:名無しさん@初回限定
06/11/12 13:48:36 vtf24wy90
GJ。
しかし、女の子ばっかりとは言え、ここまで年下だとある意味気楽なのでは?と思ったり。
女子の方からすると、年上の男の子に教えると言うシチュになる訳で、ナカナカ(何がだ

伊吹が様子見に来たら、えらい事になりそうだなー


28:名無しさん@初回限定
06/11/12 21:32:39 kAw1Ixyg0
きっとアレよね、天然ジゴロUMA君は中等部の女の子にも気付かないうちにフラグ立てちゃうんでしょうね

29:名無しさん@初回限定
06/11/13 20:58:09 3+TxJUe90
初級の魔法に成功したら、嬉しくなって思わず教えて貰った女の子の手を握り、
笑顔で御礼を言うUMA→相手が赤くなって、第一フラグ成立(w

30:名無しさん@初回限定
06/11/13 21:13:08 zu1Zp12Z0
>>29
上のSSだとその相手は「明日香」の気がするw
そしてUMAと伊吹、どちらを信じればいいのか、で悩むw


31:名無しさん@初回限定
06/11/13 22:35:14 aevoIaGq0
伊吹と明日香の絡みに期待

32:へたれSS書き@保管サイト”管理”人
06/11/13 22:48:23 qcKW+box0
URLリンク(yellow.ribbon.to)
保管サイト更新~

今回は、っていうかこの所はぴねす!の勢いが凄いですな。
送ればせながら俺もやってみるか。アニメの方も脚本がゾイドジェネシスの人らしいし

今後自分が何書くかは狼少年になるので言わない……レイナナは期待してるけど、
こっちではダメかな?

33:はぴねす!SS『世の中やっぱり甘くない』第4話
06/11/14 11:55:47 b0uAWpGb0
「……俺の席は?」

 担任に放っぽられた形となった雄真は、壇上に一人立ちつくしていた。
 皆の視線を一身に集めており、具合が悪いことこの上ない。

 ―まあ、お互い様なんだけどな。

 心の片隅で、ふとそんなことを考える。

 いきなり四歳年下のクラスに放り込まれた自分も災難であるが、いきなり四歳も年上―それも男―に乱入されたこの子達(←この時点で異性として認識していない)はもっと災難だろう。
 高等部以下の世代において、四歳の差は非常に大きい。この差は埋めるのは一寸やそっとでは……

 この考えを裏付けるかの様に、彼に集まる視線は戸惑いのそれが大半である。
 皆、彼にどう対応したら良いか、てんで見当がつかないのだろう。

 が、何事にも例外というものがある。
 戸惑いの視線の中に、先程からやたら熱い視線が三方向から向けられてくる。

 一つは、まるで親の敵を見るかの様な視線。

 一つは、まるで獲物を見るかの様な視線。

 一つは、まるで珍獣を見るかの様な視線。

 ……何れにせよ、碌な視線じゃあ無かった。

 どうやらこのクラスでも、何か厄介ごとが起こりそうな予感がビンビンする。
(悲しいことに、こういう『不幸事に対する勘』に関しては良く当たるのだ)

34:はぴねす!SS『世の中やっぱり甘くない』第4話
06/11/14 11:57:15 b0uAWpGb0
 早くも前途多難を予想し、雄真は深い深い溜息を吐いた。




「小日向先輩? 席が無いのでしたら、しばらくこの席に座られたら如何でしょうか?」

 自分を呼ぶ声にふと視線を向けると、先程一人だけ自分に質問してきた少女が、自分の隣の席を推薦していた。
 窓際最後部の席で、中々の特等席だ。
 何時までもこうしている訳にもいかないので、雄真は有り難く少女の言葉に甘えることにした。

「ありがとう。じゃあ暫く使わせてもらうよ。ええと……」

「御門葵と申します」

 自己紹介すると、少女……いや葵は立ち上がり、ぺこりとお辞儀した。

 ―ちっちゃ!?

 立ち上がった葵を見て、思わず声を上げそうになる。
 雄真は、葵がせいぜい自分の肩の辺りまでしか背が無いことに驚愕したのだ。

 ……が、考えてみれば極当たり前のことである。

 葵は雄真のクラスメートではあるが、高等部二年では無く中等部一年なのだ。
(だから葵の背が低いという訳ではない。年相応だ)
 故に、雄真の174cm(伸びた)に対して145cmしかなく、自然と見下ろす姿勢と見上げる姿勢になる。

35:はぴねす!SS『世の中やっぱり甘くない』第4話
06/11/14 12:02:25 b0uAWpGb0
 ―本当、思えば遠くに来ちまったなあ……

 心中、乾いた笑いしか出てこなかった。
 とはいえ、流石にそれを表に出すほど雄真も子供ではない。
 故に、当たり障り無く返す。

「御門ちゃん、ありがとう」

 ―うん、上手く笑えたかな?

 何しろ、最初が肝心である。
 こうなったら仕方が無い。腹を括って出来る限り平穏な中等部生活が送れる様、努力していくしかないだろう。
 幸い、この少女とは会話が出来そうだ。加えて友好的でもある。

 ―この子を突破口とし、徐々にクラスに受け入れて貰えるようにしないと……

 そんな下心たっぷりに笑い返したのだ。
(良心が痛むが、非常事態ということでお引取りを願った)

「『葵』で結構ですよ? これから私達はクラスメートになることですし」

 そんな雄真の下心を知らず、朗らかに返答する葵。

 ―うん、笑顔が似合う可愛い子じゃあないか。

 将来有望である。 ……断じてそっちの気は無いが。

「分かったよ、葵ちゃん。じゃあ俺も『雄真』って呼んで欲しいなあ。
 正直、『先輩』は勘弁して欲しい……」

 ダブリみたいで何か嫌だ、と苦笑する雄真に、葵もクスクスと笑う。

36:はぴねす!SS『世の中やっぱり甘くない』第4話
06/11/14 12:04:18 b0uAWpGb0
「わかりました、雄真さん」

 男の転科生が珍しいのか、それとも年上の転科生が珍しいのか、或いはその両方か―
 兎に角、葵は雄真を珍しそうに見る。

 ……そう。『まるで珍獣を見るかの様な視線』で。

 が、珍獣だろうがなんだろうが、この際構わない。
 重要なことは、彼女が一番最初に声をかけてくれたこと、そして途方に暮れていた自分に手を差し伸べてくれたことだ。
 それだけで充分である。

 どうやら、この子とは上手くいけそうだ―雄真はそう確信した。




「ここが俺の席か。 ……仮だけど」

 どれ位の付き合いになるかは分からないが、『今後宜しく』と心中で机に挨拶する。

「元から使われていない席でしたから、ここが雄真さんの本当の席になるかもしれませんね」

「なるといいなあ。ここ、『特等席』だし」

「特等席、ですか? 極普通の席なのですけど?」

 葵は首を捻る。
 真面目そうな彼女には、その意味が分からないのだろう。

37:はぴねす!SS『世の中やっぱり甘くない』第4話
06/11/14 12:09:13 b0uAWpGb0
「あ、いや…… まあ、ここなら皆に迷惑かけないで済むからね。ほら、俺は座高が……」

 本格的に悩み始めた葵に対し、流石に『本当の理由』は言えず、取りあえず当たり障りの無い言葉で誤魔化す。

「ああ、そういえば雄真さん、背が高いですものね」

 納得しました、と葵。

「高いというか、普通なんだけどね……」

 高等部二年で174cmは、高いとは言えないだろう。


 身長といえば、このクラスの座席は皆、中等部一年用に高さがそろえてある。
 具体的には、150センチ以下の生徒用に。

 だから葵が推薦した席は雄真には小さかった。
 おまけに、元から使われていない席なので多少埃がかぶっている。

 が、葵が軽く呪文を唱えると、忽ち雄真に合わせた大きさに変化する。
 しかも、まるで新品の様にピカピカだ。

「……凄いなあ」

 雄真は、魔法の凄さとそれを使いこなす葵に感心する。
 ……ぶっちゃけ、自分にも同じ様なことが出来るとは、とても思えない。

「いえ、大したことありませんから」

 雄真の賛辞に対し、葵は笑いなら手を振って謙遜した。

38:はぴねす!SS『世の中やっぱり甘くない』第4話
06/11/14 12:21:07 b0uAWpGb0
 無論、『大したことない』筈が無い。
 何しろ、『物質変化』と『浄化』の二つの魔法を同時に、しかも短呪文で実行しているのだ。
 加えて、仕上がりも上等である。
 中等部一年としては、破格の使い手だろう。
(中等部全体を見渡しても、充分上位圏内に入る筈だ)

「いや、凄いよ。 ……しかし、困ったなあ」

「?」

「さっき先生も言ってたけど、俺、魔法に関してはド素人なんだよなあ。
 ついていけるか、心配だよ……」

 何せ、魔法を一つも使えない『魔法使い』である。
 今後のことを考えると不安だらけだ。

「でも、『甲種』なのでしょう?」

「……それが怪しいんだよなあ。正直、何で俺が甲種か見当もつかないよ。
 その内、『間違いでした』なんてことになって、剥奪されるかも」

「まあ」

 雄真は本気で言ったのだが、葵は冗談ととったらしく、クスリと笑う。

「いや、本当『随分と仲が宜しいですのね?』……へ?」

 見ると、やたら気が強そうな少女が一人、自分を睨みつけていた。
 ……『まるで親の敵を見るかの様な視線』で。



39:はぴねす!SS『世の中やっぱり甘くない』第4話
06/11/14 12:23:19 b0uAWpGb0
「こうも簡単に葵を誑しこむとは、流石ですね? 小日向先輩……いや、小日向雄真!」

「……ええっと、俺達初対面だよね? 何でそんなに恨まれるのか、分からないのだけれど?」

 何が何だか分からないが、豪く敵意剥き出しの少女の出現に、流石の雄真も戸惑う。 ……俺、何かしたっけ?

 けど、こういう唯我独尊かつ問答無用なお方には、何故か心当たりが色々あるから不思議だ。
 ……自分のあまりの女運の悪さに、思わず泣けてくる。

「そうですよ、明日香さん。雄真さんに失礼じゃないですか?」

 葵は二人の間に入り込み、少女―明日香―を諭す。

 が、葵の乱入は、余計事態を悪化させた。
 葵は丁度雄真の盾になる形で乱入し、それが明日香を一層憤慨させたのだ。

「葵を盾にするとは卑怯な!? 葵、その男は危険だから離れなさい!」

「危険、なのですか?」

 葵は後ろを振り返ると、不思議そうに雄真に尋ねた。

「……いや、本人に聞かれましても」

 葵の天然な行動に、思わず突っ込む雄真。
 そのせいで雄真は、葵が一瞬だけ真剣な表情をしたのを見逃した。
 ……その時の葵は、雄真ではなく、まるで『雄真の中の何か』を見るかの様だった。

40:はぴねす!SS『世の中やっぱり甘くない』第4話
06/11/14 12:28:10 b0uAWpGb0
「ですよねえ…… 雄真さんはいい人ですよね」

 葵は一人納得すると、再び明日香と対峙する。
 が、明日香は尚も葵に対して説得を試みる。

「葵、騙されちゃ駄目! その男は、伊吹姉さまを誑かした野獣なのよ!?」

「って、伊吹の関係者かよ!?」

 驚愕の新事実に、雄真は『勘弁してくれ』と頭を抱える。

「! 姉さまを呼び捨てにするとは!」

 雄真の呼び捨て発言に、甚くお怒りの明日香。
 ……が、雄真は聞いちゃあいなかった。

「あ~、も~、早速嫌な予感的中かよ、こん畜生! ちっとは猶予期間与えろや!?」

 さっきまで少しは平和が続きそうな流れだったのに、何だよこの急展開!?

 思わず天を呪う雄真。
 ……この態度が、明日香の怒りの炎に油を注ぐ。

「私をどこまで侮辱すれば……」

 ヤバイ、ヤバ過ぎる。
 このままじゃあ、直に魔法攻撃が来るだろう。

 とはいえ、既に説得は諦めている。

41:はぴねす!SS『世の中やっぱり甘くない』第4話
06/11/14 12:29:36 b0uAWpGb0
 何せあの伊吹の関係者である。
(多分血縁だろう。そういえば何となくどこか似てる)
 どんなに説得しようが、勝手に納得して勝手に盛り上がること間違い無し。説得するだけ無駄だ。

「天は我を見放したか……」

 雄真は諦観し、運命を受け入れることにした。
 が、何とか葵だけは逃がさなければならない。
 そう覚悟を決めて。

 ……しかし、予想していた攻撃は来なかった。

 明日香は暫くの間雄真を睨みつけていたが、魔法攻撃することも無く、教室の外に出て行ったのだ。

「?」

 思わず首を傾げる雄真。
 不覚にも、その時初めて気付いた。
 葵が戦闘態勢をとっていたことを。

 ……俺、こんな小さい子に庇われてたのか!?

 思わず情けなくて涙が出てしまう。
 なんかもー、落ちる所まで落ちた、と言った感じである。

「助かりましたね?」

 葵がにっこりと笑った。
 ……まるで、大きな犬に虐められていた仔犬を助けたかの様に。

42:はぴねす!SS『世の中やっぱり甘くない』第4話
06/11/14 12:34:25 b0uAWpGb0
「あ、有難う。御蔭で助かったよ」

「ふふふ、女の子と戦う訳にはいかなくて、困ってらっしゃる様でしたから」

「いや、そーじゃなくて」

 戦っても勝ち目ゼロだし。

 何と言ったら良いものやら、と雄真が苦笑したその時、先程から事態を見守っていたクラスメートの一人が叫んだ

「ラヴだわ!」

「……は?」

 雄真は怪訝そうに聞き返す。
 が、彼女は……彼女達は聞いちゃあいなかった。

「転校生を巡って葵と明日香が激突した!?」

「これって葵と転校生が良い雰囲気になってるのを、明日香が嫉妬したんだよね!?」

「うんうん。私達を無視して、二人だけの世界に入っていたものね~」

「三角関係だ!」

「……修羅場って初めて見たよ」

 クラスメート達は、先程の出来事を脳内で捏造し、勝手に盛り上がる。

43:はぴねす!SS『世の中やっぱり甘くない』第4話
06/11/14 12:36:11 b0uAWpGb0
「ちょっ! 君達! さっきの出来事を、一体全体如何見れば三角関係に!?」

 無駄とは思いつつも、雄真は必死に弁解を試みる。
 先程の明日香の場合には、無駄と悟った瞬間諦めたのに、だ。

 何故かと言えば、『このまま放って置けば、絶対とんでもないことになる』と、雄真の不幸探知機が最大級の警報を発していたからだ。
 ……それこそ、先の『秘宝事件』の時並に。

 故に、無駄とは知りつつも、雄真は必死で彼女達を抑えようと努力する。
 が、矢張り無駄だった。

 要は、彼女達は自分(雄真)達をだしに『恋愛ごっこ』を楽しんでいるだけなのだ。
 だから、真実など如何でも良い。
 それっぽい場面があれば充分である。後は脳内フィルターを通して、記憶を捏造するだけの話だ。
 そして、その捏造を共有しあう仲間が多ければ多い程、捏造の対象が近くにいればいる程、その捏造は彼女達の中では『真実』に近づいていく。
 まあ彼女達の年頃、しかも女子校同様の立場からすれば無理からぬことではある。
 が、だからといって笑って受け入れる訳にはいかない。
 ……だって、もしこのまま放っておいたら、絶対『とんでもないこと』になるに決まっているから。


「……御免ね、葵ちゃん。変な噂に巻き込んじゃって」

 努力が徒労に終わった後、雄真は葵に頭を下げた。
 彼女には、本当に申し訳ないことをしたと思っているのだ。


44:名無しさん@初回限定
06/11/14 12:39:38 KzLm9CbI0
一応規制回避レス。

45:はぴねす!SS『世の中やっぱり甘くない』第4話
06/11/14 12:41:11 b0uAWpGb0
 自分(雄真)は噂の格好位置にいるため、遅かれ早かれ、結局はこういう運命になった筈だ。
 彼女は、とんだとばっちりである。
(ちなみに、明日香については自業自得だ)

 が、葵は雄真が何故謝るのか理解出来なかったらしく、不思議そうに聞き返した。

「はい?」

「えっと、噂……」

「ああ、あれですか」

 葵は、クラスメート達がきゃいきゃいはしゃいでる方を見る。

「大丈夫ですよ。『人の噂も七十五日』ですから」

 だから大したことはありません、と葵。

「……そんなに待てないなあ」

 この年頃でこういう噂は辛いと思うのだが、と首を捻る雄真。
 どうやらやっぱり、この子もどこかずれているらしい。多分。

 ……それとも、深く考えている自分が間違っているのだろうか?

 男子と女子は別の生き物、と以前聞いた事がある。これで年の差が有れば、その距離は更に広がるだろう。
 オールドタイプ(元男子高等部生)の自分には、所詮ニュータイプ(女子中等部生)を理解出来ないのかも知れない。

46:はぴねす!SS『世の中やっぱり甘くない』第4話
06/11/14 12:43:06 b0uAWpGb0
 まあ、彼女達についていけないことだけは確かである。あの元気さが、正直羨ましい。
 ……そう考えること自体、若さを失いかけている証拠なのかもしれないが。

 何れにせよ、彼女達と上手くやるためには、相当の体力と気力を必要とするであろうことだけは確かの様だった。




 こうして雄真の中等部生活は、先行き不安だらけのまま始まった。

 だが、これはほんの前触れに過ぎぬことを、彼はまだ知らない。





 SS投稿終了。
 え~、「世の中やっぱり甘くない」第2話はその1とその2に分けて投稿しましたが、その1をHP掲載時に加筆修正した時点でボリュームが前話と同じになってしまい、やむを得ずその1だけで第2話とし、その2は第3話と変更しました。
 だから、第3話ではなく第4話となりました。御免なさい。


47:はぴねす!SS『世の中やっぱり甘くない』第4話
06/11/14 12:47:38 b0uAWpGb0
 皆様、有難う御座います。
>>23
>にしても、担任酷いな。燃料投下するだけして逃亡かよ(w
 この後、放置プレイをかまされたUMAに更なる悲劇が……

>さすが女難のUMA。運が良いな。
 彼の女運の悪さは天下一品です。
 きっとこのクラスでも遺憾なく発揮されるでしょう。
>>24
>雄真くん本当は凄いんですよね
 まあ発揮できなければ意味の無い才能ですけどね(苦笑)。
 遥か昔ならばいざ知らず、現代では必ずしも『魔力大きい=大魔法使い』とは言えませんから。そういう世界設定なのですよ。
>>27
>伊吹が様子見に来たら、えらい事になりそうだなー
 次回か次々回で、伊吹大暴れです。
>>28
>天然ジゴロUMA君は中等部の女の子にも気付かないうちにフラグ立てちゃうんでしょうね
 一応、雄真の好みは『巨乳』『大人の女性』と設定しています。巨乳の女教師なら文句なしです(笑)
>>29
 まあ最初は、クラスメートとしての付き合い方をお互い学ぶ必要があるでしょうねえ。
>>30
>明日香
 現在は敵意剥き出しですからね。取りあえず何とかしないと平穏な生活が……
>>31
>伊吹と明日香の絡みに期待
 三歳の年齢差もなんのその、悲しいことに二人の外見は然程……というか既に……


48:名無しさん@初回限定
06/11/14 15:03:38 KzLm9CbI0
GJですー 
唯一の味方っぽい子にも実はなにげに観察されているようで、イイ環境ですね(w
それに一足飛びに三角関係とは、さすが中学生。誰かの耳に届いたら死ねるな>UMA
平穏に暮らすための努力が「下心」と言うのも、結構心が荒んでいるのカモ。

>何せあの伊吹の関係者である。どんなに説得しようが、
>勝手に納得して勝手に盛り上がること間違い無し。説得するだけ無駄だ。

伊吹への認識が酷い(w

49:名無しさん@初回限定
06/11/14 16:36:32 uNm7TqWJ0
巨乳で大人ってアンタ…鈴莉先生に期待w

50:名無しさん@初回限定
06/11/14 22:45:59 TASSwnrU0
GJGJー
頑張って雄真君。学校生活も魔法の勉強もついでに春姫の嫉妬も!


|。・ω・)ところで少し前にリクエストしてもらった杏璃ルート後すももSS、プロットで見て半分まで出来たのですが
|。・ω・)難産で遅くなってるので半分の時点ででも投下したりしてもいいかな だめかな

51:名無しさん@初回限定
06/11/14 22:55:42 rYVBZJzn0
>>50
ぜひ投稿きぼんぬ!

52:名無しさん@初回限定
06/11/14 23:07:13 jHozmkun0
GJ

>>50
よろ

53:はぴねす!杏璃ルート/すもも 前編 1/10
06/11/14 23:34:48 TASSwnrU0


大好きな人の一番になりたい。女の子はいつだってそれを夢見ている。

本当は彼を独占したい。自分だけの彼で居て欲しい。
私の事だけを考えて、私だけに特別に優しくて、他の女の子には見向きもしない。
自分以外の何も彼には必要じゃないと、そう思える程に愛して欲しい。

でも、それはきっと無理な望みだから。
だからせめて一番に。比べられないくらいに、彼の一番になる。
幼い私はそれを願って、そしてその思いは叶った。
私は大好きな人の一番になった。


比べられない特別     彼の一番の―妹に。





54:はぴねす!杏璃ルート/すもも 前編 2/10
06/11/14 23:35:56 TASSwnrU0
「……うぅ」
落ち込んだ時には軽やかな油の音だって恨めしく思える。誰だってそうに違いない。
そんな言い訳を考えながら手の甲を冷水にさらし、しばらくは火脹れが続くのを覚悟した。
―3分前。自分の気持ちとは裏腹に楽しそうに歌うフライヤーの中身に、ちょっとした意趣返しを目論んだのがいけなかったらしい。
普段より少しだけ力を込めて押し込んだコロッケ。彼は律儀にその意思を伝え、素直な油さんは元気に飛び跳ねた。
無意味に力を込めていた右手は見事に着地点になって―直後、痛みに飛び跳ねたのは自分だった。
以前に火傷したときは兄さんがすぐに氷を用意してくれたのに、今は……


「……これもやっぱり、自業自得って言うんでしょうか……」
最愛の兄から今日も外食をするとの連絡を受けたのは夕食を作り始める前のこと。
なのに、自分の作ったコロッケを格別に好んでくれる兄さんの笑顔を思い出しながら作ったタネは―何故か三人前あって
そして今、私に反旗を翻したこの子からが丁度彼の分になる。

余分に作られた一人分のコロッケ達は食卓に残り、帰宅した兄さんはそれを見て何を思うのだろう。
それがわかっていて自分はこのコロッケをテーブルに載せ、きっと部屋まで謝りに来る彼に不満を言うのだ。


―惨めな抵抗


「ごめんなさい……」
つぶやいた言葉ですら、兄ではなく―これから冷めていくコロッケに向けられていたのだから
きっと私にはもう、一番の妹を名乗る資格すらないのだろう。



55:はぴねす!杏璃ルート/すもも 前編 3/10
06/11/14 23:36:53 TASSwnrU0
「おはよう、すもも。 ……本当にごめんな、昨日」
「もういいです。でも、夕食ぐらいは家族で食べたいですから」
「ああ、わかってる。今日はちゃんと帰るから……ごめん」

本当は謝るのは私の方。でもこれできっと、数日の間は早く帰ってきてくれる。

「じゃあ、先行くな。遅刻するなよ?」
「は~い。行ってらっしゃい、兄さん」

自己嫌悪と歪んだ喜びを整理する前に、兄さんは家を出てしまった。
週に3日は柊さんの早朝特訓に付き合っている兄さん。私が起こす機会も、一緒の登校も少なくなってしまった。
その上夕方はOasisでバイトを手伝い、彼女の仕事が終わるのを待っているのだから一緒には帰れない。
さらに外食の日には帰り着くのは日付も変わる時間になっていて……週末は勿論デート。
これだけすれ違いが続けば文句を言いたくなるのも当然の事に違いない。
そもそも学生の身で午前様だなんて……お母さんが何も言わないからって許していいものじゃない。

「そうそう、兄さんの為なんですから」
少し無理やりに自分を納得させ、調理の手を進める。
兄さんは頑張ってくれたようだけど、結局残ってしまったコロッケが今日のお弁当のメイン。
朝食のパンを焼き、自分とクラスメイト二人分のお弁当を包みながら
お弁当と朝食も一人分置いたままにしてみようか、なんて考えたけれど、流石にそれは辞めておいた。

なのに

何軒か店をまわって材料を買い集め、気合を入れて作った渾身のシーフードシチュー。
それは昨日のコロッケよりも絶対に満足してもらえるに違いなかった。

なのに

『ごめん、今夜は帰れそうにない』

鍋をかき混ぜながらメールを見た私は、明日は二日分の朝食とお弁当に夕食を並べて帰宅を待とうと決心した。

56:はぴねす!杏璃ルート/すもも 前編 4/10
06/11/14 23:37:42 TASSwnrU0
「う~ん、雄真くんもちょっとだらしなくなってるとは思うんだけど~、今が一番楽しい時期だから。
 もう少しすれば周りが見えるようになってくるから、すももちゃんも少し我慢しようね」
「それにしたってあんまりです~! 今朝、今朝ですよ! 今朝約束したんですよ!」
「気持ちはすご~くわかるんだけど、でも杏璃ちゃんも色々大変みたいだから。あんまり強く言わないで上げよう、ね?」

帰宅して早速シチューに手をつけるお母さんに詰め寄ってはみたけれど、やっぱり強く言ってはくれない。
年頃の女性の部屋に息子が泊まろうというのに、妹がこんなに心配しているのに、深刻に受け止めようとしない母に
そして妹としたささいな約束も守ってくれない兄に、苛立ちがつのる。
なんで、どうして、わかってくれないの。ほん少しだけ、少しだけでも、兄さんとの時間が欲しい。ただそれだけなのに。
どうして、どうして。

「すももちゃんもそろそろ兄離れの時期ってことなのかも~?」

シチューは本当に美味しい。まさに会心の出来。その美味しさが本当に悔しくて。

「ず~っとお兄ちゃんっ子だったもんね~。やっぱり寂しいとは思うんだけど~」

お昼のコロッケは冷めていたけれど、兄さんを想って揚げたコロッケは味が違う気がして。それがどうしても悔しくて。

「お母さんも寂しいんだよ、大事な息子が取られるのは。本当よ?」

目の前のお母さんは何もわかっていない。それなのに勝手なことばかり言われるのが悔しくてたまらなくて。

「杏璃ちゃんと雄真くんはお似合いだし、応援してあげたいと思わない?」

目の前に、全ての元凶が居るのに

だから

だから



57:はぴねす!杏璃ルート/すもも 前編 5/10
06/11/14 23:38:47 TASSwnrU0

「……お似合いって、何ですか」
「……すももちゃん?」

心の奥に仕舞っていた事を、絶対に言わないつもりだった言葉を

全部、叩き付けていた


「お似合いだって言うなら、私と兄さんはもっとずっとお似合いなんですっ!」

「元は他人なのに兄妹になって、それでもこんなに仲良しなんですよ?」

「悪いところも全部見せ合って、でも全然嫌いになんてならなくて」

「もし兄妹になったりしなければ、絶対に私と兄さんは上手くいっていたんです!」

「お母さんが再婚なんてしなかったら……しなかったら、絶対……っ」

「なんでですか、なんで私と兄さんを兄妹にしちゃったんですかっ!」

「言ったのに、あの日! 好きだって、そう言ったのに!」

「なんで……っ!」

知らぬ間に濡れた視界。目の前の女性の傷ついた表情に、私が今の幸せの全てを否定したことに気づいて

「……っ!」

ダイニングを走り出た私は自分の部屋に逃げ込んで―きっと部屋まで来る母に聞かせない為に、声を殺して、泣いた。



58:はぴねす!杏璃ルート/すもも 前編 6/10
06/11/14 23:39:33 TASSwnrU0

「すもも? 聞こえてるか、すもも?」

私との約束は守ってくれないのに、お母さんに言われたら帰ってくるんですね

「俺のせいでかーさんと喧嘩したって聞いたけど……ごめん、かーさんの説明じゃ要領を得なくて……。
 今日のことも含めて、最近わがままばかりしてるのはわかってる。杏璃とも話して、ちゃんとするから。
 俺に出来ることなら直すし、謝る。だから……話、出来ないか……?」

柊さんと別れて下さいって言ったら別れてくれるんですか?
出来ませんよね、出来っこないです。

「すもも……聞こえてるんだろう? すもも……」

聞きたくない。聞きたくないんです。

「すもも……返事をしてくれ、頼む……」

私の傍に居てくれるわけじゃないのに、私を一番になんて見てくれないのに

「……聞きたくないですっ! 一人にしてください!」

優しい言葉なんて、かけないで……っ!

「……わかった、話せるようになったらいつでも聞くから。もしも寝てたら叩き起こしてくれていい」

なんで優しくするんですか……

「俺はいつでもお前の味方だからな、一人で抱え込むなよ。頼れないかもしれないけど、お前の兄貴なんだ」

なんでそんなに優しいのに……なんで『兄さん』なんですか……兄さん……


59:はぴねす!杏璃ルート/すもも 前編 7.5/10
06/11/14 23:41:19 TASSwnrU0
「……俺、どうすればいいんだろう。もし俺が家を出たらお前のところ置いてくれるか、準?」
「それは歓迎だけど……うーん、一晩閉じこもったぐらいなら思春期ならあることだとは思うわ。でも……あのすももちゃんだものね。
 原因は雄真の自堕落について音羽さんと意見が合わなかったから……って完璧に雄真のせいよね~」
「そうなんだよ……。何かよくわかんないけど、かーさんは再婚なんてするんじゃなかったとか言い出してるし。
 よっぽど俺が気に入らないのかな……。今まで結構仲良くやってたと思ってたんだけどな、はぁ……」
「……それは……えっと……うん、わかったわ。お昼にでも音羽さんに詳しく聞いてくるから、雄真は余計なことしないようにして。」

すももがかーさんと喧嘩をして部屋に閉じこもった翌朝。
すももの部屋の前で持久戦の用意をしていた俺はかーさんに無理やり学校に行かされた。
少しでも話が出来ればきっとわかってくれる、そう思ったんだけど……。

「悪いけどこの話、杏璃には伏せておいてくれるか? あいつきっと気にするだろうから」
「はいはい、わかってるわ。全部雄真のせいだもの、杏璃ちゃんが落ち込むのは可哀想よね~」
「……そう、だけど、な、おまえ……」


60:名無しさん@初回限定
06/11/14 23:44:08 uNm7TqWJ0
私怨

61:はぴねす!杏璃ルート/すもも 前編 7.5/10
06/11/14 23:44:45 TASSwnrU0

俺の作戦はとりあえずなんとかして話をする、のみ。
別アプローチは準に任せておくことにした―結果。

「聞いてきたわよ、雄真。予想通りと言えば予想通りで……まあ、私なら話しくらいは聞けると思う」
「本当か? 何でもいい、わかったんなら教えてくれっ!」
「う~ん、とりあえずあたしがすももちゃんと話してからね」

あっさりと情報を持って帰ってくるこいつは本当に男の俺とは別の種類の生き物かもしれない。

「雄真、それって、昨日慌てて帰ってった件よね? 何それ、たいしたことなかったって言ってたの、嘘なの?
 も~、ちゃんと全部話しなさい! そういう隠し事が一番嫌いなのよあたしはっ」

怒る杏璃を必死になだめ、しばらく一緒に帰れないと言ってさらに機嫌をそこねたが、なんとかバイトに行ってもらった。
春姫はすももの事だと察しているらしく、どう見ても一緒に行きたそうだったけれど……見なかったことにして。
俺と準は出来る限り急いで、すももが待っている家に帰った。
そう、きっとすももは待っているはずなんだ。そんなに抱え込むようなこと、話したいに決まってる。
準でも俺でもいい、とにかく話してくれ。一人で背負い込まないでくれ、すもも……。



62:はぴねす!杏璃ルート/すもも 前編 8/10
06/11/14 23:45:15 TASSwnrU0
「悪いけど雄真はリビングか……そうね、この際家の外に居て。絶対に何話してるか聞こえない場所。絶対よ」
「……わかった、外に居るよ。ごめんな、すもも。俺じゃ力になれなくて……」

眠ったのは朝になってからで、目が覚めたらもうお昼を過ぎていた。
二日分の朝食とお弁当、それに沢山の夕食を並べて兄さんを待てば、またいつものように戻れる。そう思って、でも体は動かなくて。
私は何も出来なかったのに、すぐ帰ってきてくれた兄さんは準さんも一緒で……でも、こんなに早く帰って、柊さんはいいんですか?
私が原因で二人が喧嘩して、もしも別れたりしたら、そんなの……

「すももちゃん、聞こえる?」

最低な想像をしてしまう前に、準さんの声が私を現実に帰してくれた。
誰とも話したくない。私みたいな間違った子、誰かに話しを聞いてもらう価値もない。そう、思ったけれど。

「……はい……」

準さんなら、私の最低な想いも受け止めてくれるんじゃないか。そう思って……ゆっくりと、ノブを引いた。




「良かったわ。開けてくれるまで恥ずかしい身の上話をするつもりだったから……。
 聞きたいなら話すけど、すももちゃん、聞きたい?」
「いえ……いいです」

何を話すつもりだったのか。そんなの決まってる。

「準さんも私と同じなんですよね」
「……すももちゃんも、私と同じなのよね」

わざわざ言い直した準さんがおかしくて―ほんの少しだけ、一日振りに、笑えたと思う。


63:はぴねす!杏璃ルート/すもも 前編 9.2/10
06/11/14 23:46:13 TASSwnrU0
「音羽さんから、大体話は聞いたわ。急に雄真と接点がなくなっちゃって……破裂、しちゃったのよね。
 こんな事言われたら嫌かもしれないけど、凄く気持ちはわかるわ。 本当よ?」
「そんな、全然嫌じゃないです……。でも私、自分でもどうしたのか……。
 何ていうか、自分でも理解出来ない気持ちなのに、わかって欲しくて、わかってもらえなくて……」


64:はぴねす!杏璃ルート/すもも 前編 9.8/10
06/11/14 23:47:15 TASSwnrU0

要領を得ない私の話を、準さんはずっと聞いてくれた。
兄さんになる前から兄さんの事が好きで。
再婚する母さんに今まで通り仲良く出来るか聞かれて、大好きだから大丈夫って、そう答えた。
幼いころからずっと兄さんが好きだったから、それが当たり前で。
その気持ちが恋だと気づいたのは、兄さんが中学生になって初めて学校が別になった時。
兄さんが高校生になってまた学校が別になったけれど、その時は兄さんも家で勉強を見てくれて、一緒に居る時間もあった。
でも同じ高校に入学して、しかも魔法科とクラスが一緒になって……兄さんに美人の知り合いが沢山出来て。
特に再会して凄く綺麗になった姫ちゃんが、兄さんに何かしら好意を持っているのはすぐにわかった。
焦って、でも何も出来なくて……伊吹ちゃんにはそんなもやもやした気持ちも一緒にぶつけていた様な気がする。
だからかもしれない。伊吹ちゃんと本当に仲良くなれたのは、兄さんが柊さんに惹かれていることに気づいた後だったのは。
そして兄さんはすぐに柊さんと仲良くなってしまって、付き合い始めて。びっくりするぐらいに早くて、気持ちの整理なんて出来なかった。
妹としてでいい、少しでも兄さんの傍にいたい。でもそんな願いも叶わなくて。
あの頃に戻れたら、兄妹じゃなかったら……そんな事ばかり考えて、お母さんにあんな事を。

「あんな事言うつもりじゃなかったんです。お母さんが悪いなんて、全然思ってないのに……」
「うん、わかるわ。どこかに吐き出さないと耐えられなくて、一番近い人に向けちゃっただけよ。
 ……私も同じように、両親に言ったこと、あるのよ。『どうして私を男に産んだの』……って』

驚いて顔を上げた私の目に映る準さんは、いつもの準さんだったけれど。ほんの少しだけ、瞳が濡れていた。

「二人とも泣きながら謝るのよ、ごめんね、ごめんね……って。謝るのは私の方なのに……こんな失敗作の男で」
「そんなっ!準さんは失敗作なんかじゃないです、悪いのは準さんじゃないっ!」
「ありがとう……。でもそう言えるなら、すももちゃんはもう、大丈夫よね?」

―私みたいな間違った子、誰かに話しを聞いてもらう価値も……

「あっ……はい。頑張って、みますっ」

65:はぴねす!杏璃ルート/すもも 前編 10/10
06/11/14 23:49:28 TASSwnrU0
自分で自分を肯定、なんてあっさり割り切ることは出来なかったけれど
私は準さんみたいに真っ直ぐで綺麗じゃない。でも、ほんの少しだけ、自分が認められる気がした。

「すももちゃんはね、雄真と過ごす時間がなくなって、破裂しちゃったけど……
 幸いにも! 雄真はしばらくはすももちゃんの事凄く気にするでしょうから。
 その間に、すももちゃんなりに雄真への気持ちに折り合いをつけたらどう?」
「忘れるとか、諦めるとかするんですか……?」

忘れたくない。本当は、諦めたくもない。
そんなに必死な表情をしたつもりはなかったんだけれど、準さんはとっても慌てて手を振った。

「違うの、そうじゃなくて……もちろん忘れてもいいの、でもそうじゃなくてもいいの。
 私は雄真の事、ずっとずっと好きでいると思うから……耐えられなくなったらスキンシップして我慢してる。
 雄真はちょっと迷惑そうだけどね?」

わかってやってるの、秘密ね? なんてウインクする準さんはどうみても理想の女の子。
私なんかよりずっと辛い気持ちを抱えて、それなのにこんなに綺麗。
私もこんな風に。大事な兄さんへの気持ちをしっかり持って、そして兄さんの前で綺麗に笑えたら。
あの日の気持ちも、今の気持ちも、全部抱きしめて笑いたい。
浮かんだ光景は、夕焼けのショーケースと……

「準さん……手伝って欲しいことがあるんです」
「なになに? 何でも言って。今なら何でも手伝っちゃうから」

私の為に本当に嬉しそうに笑ってくれる準さんに、今の私に出来る精一杯の笑顔を返して。

「兄さんが今まで残してきた分のお夕飯、全部食べてもらうんです。
 一緒に作るの、手伝ってくださいっ!」


66:650の人
06/11/14 23:54:44 TASSwnrU0
>>53-65

投げないでぇ、石を投げないでぇぇぇぇぇぇ。
私は一体誰の喜ぶSSを書いたんでしょう、暗いし寒いよう。すもも可哀想だよう。杏璃出番ないよう。すももなのに伊吹出てないよう。
ここからの展開も極平凡な感じなので後は皆様のご想像に、ぐらいの気分でお願いします。
ああ、本当にもうなんでこう暗いんだろう。明るい話書けないのかな私。

今回もお付き合いありがとうございました。

67:名無しさん@初回限定
06/11/15 00:05:59 u6mcbxBs0
>>66
いえいえ、GJですよ。暗い部分もあってこそキャラも引き立つというもの。
平凡な展開にしても、ぶっ飛んだ展開が苦手な自分としてはむしろそっちの方が楽しい。
続きを楽しみにしてます。

68:名無しさん@初回限定
06/11/15 02:54:28 2RFqLORCO
グッジョブ!

しかし黒すももですな…何故か空鍋の人を思い出した俺は最早ダメだなw
暗いのも一つの物語を作るには必要な要素ですよ。続きが楽しみです。

俺も春姫SS早く書き上げないとな…。

69:名無しさん@初回限定
06/11/15 06:55:53 50GlJIzp0
>66
GJ!
番号がなんかワロタ
あと準も出てキター!!

>68
はぴねすスレでは、黒すもも=しももです。経緯は省略。

70:『世の中甘くない』の者です
06/11/15 10:48:29 78eql8HN0
 投稿乙です。
 黒いすもも……いいですねえ。
 しかし、前話とリンクしてたら杏璃ヤバイですね。
 『次回、黒い方々に囲まれた杏璃の運命は!?』なんて。

71:名無しさん@初回限定
06/11/15 11:37:00 bq/OY1GaO
>>69
しもも≠黒すもも
しももはしももであってしももw

72:名無しさん@初回限定
06/11/15 11:37:51 bq/OY1GaO
ageスマン

73:温泉の人
06/11/15 20:10:51 DgC9sDFf0
>>66
いやいやGJ!
思えば何気にこの2人って重いもの抱えてるよね・・・<準にすもも
この後すももがどんな攻勢に出るのか・・・楽しみに待ってます。

おいらもそろそろ何か投稿したいなぁ・・・
いろいろとネタは考えてるんだけど、なかなか話としてまとまんないです。
しかも8割方春姫ネタばっか・・・もうダメだ自分w

甘くない方の許可さえいただければ、甘くないお話のパラレルシナリオとして
春姫・杏璃サイドのお話書けたらなぁ・・・って思ってます(つかもう書き始めてるw)
他の方のふんどしで相撲取るような形になっちゃって少し申し訳ないのですが、
そのかわり精一杯甘くない方の物語を尊重しつつ、かつ書きたいものもしっかり書く方向でw

少々長くなりましたがではではノシ

74:名無しさん@初回限定
06/11/15 23:06:38 iPc+VFqi0
>73
そこで敢えて、砂糖が泣いてワビ入れるくらい甘い話を。

75:名無しさん@初回限定
06/11/15 23:10:25 y9LwjH8r0
でも思ったんだけどさ、別に杏璃END後である必要ってあるのかな?
別に文句ってわけじゃなくてね?ふっと思っただけなんで他意はないです。

76:650の人
06/11/15 23:47:37 oVg+Fp+/0
|。TωT)GJのお言葉ありがとうございます とっても励まされます

杏璃エンド後の必要って本当にさっぱりないです。何となく杏璃ルート後の春姫話を書いたらすももverのリクエストを頂いたのでっ
一応、再会した時からどことなく雄真を気にしていた幼馴染の春姫なら二人なりに折り合いつけそうで
すもも自身が入学する前から雄真と親しかったらしくて、付き合うまで間があった小雪さんならそれなりに諦めもつくんだろうけど
すももから見ればそんな雰囲気は全然なかったのに突然付き合い始めた杏璃だと整理する時間がなさそうかなーとか想像したりしました。
杏璃ルートでは、すももは実際に交際が始まるかなり前から二人が付き合っていると勘違いしていた台詞があったので……内心は大混乱じゃないかなって。

甘いの甘いの読みたいですっ ……甘いの甘いの書いて見たいです ぅぅぅ

77:名無しさん@初回限定
06/11/16 00:00:05 XXypuQig0
今気付いたんだが

はぴSSスレになってね?w

78:名無しさん@初回限定
06/11/16 00:02:16 BSJ7I0pV0
確かにw
まぁ荒れてるわけでも無いからいいけど気になる人がいるようだったらエロパロにでもはぴねすスレ立てた方がいいかもな

79:名無しさん@初回限定
06/11/16 00:09:52 gDzPCrNR0
>>77
たまたま今続いているだけでそのうち他の作品が来るでしょ。



80:名無しさん@初回限定
06/11/16 00:33:38 8oSAMo5d0
このスレが活気付く時は何故か一つの作品のSSが続く事が多いからな。
デモベとかあやかしびとなんかでも起こった現象。

81:名無しさん@初回限定
06/11/16 02:16:46 O70aRzW80
そう考えるとスレ初期の流れは色んな元ネタの作品が投下されて混沌としてたよな
面白かったからいいけど

82:『世の中甘くない』の者です
06/11/16 02:19:24 WOVJyjgH0
>>73
>甘くない方の許可さえいただければ、甘くないお話のパラレルシナリオとして
春姫・杏璃サイドのお話書けたらなぁ・・・って思ってます

 構いませんよ。むしろ楽しみにお待ちしています。

>そのかわり精一杯甘くない方の物語を尊重しつつ、かつ書きたいものもしっかり書く方向でw

 作者様によりそれぞれ解釈の違いがあると思いますので、アレンジして頂いて結構ですよ~

83:『世の中甘くない』の者です
06/11/16 02:23:01 WOVJyjgH0
>甘くない方
 今ふと思ったけど、これ自分のことですよね?
 違ってたら御免なさい。

84:はぴねす!SS『世の中やっぱり甘くない』第5話-1
06/11/17 12:55:57 MKIl5ueV0

――高等部魔法科二年教室。

「雄真はおるか!」

 その言葉と共に勢い良くドアが開き、高等部一年の式守伊吹が顔を出す。
 上級生の教室だというのに、遠慮も気後れも全く無い。

「これは伊吹様。一体何用でしょう?」

 伊吹の来訪に気付き、信哉と沙耶が慌てて出迎えた。
 が、伊吹は辺りをキョロキョロと見渡し、それどころではないご様子だ。

「ああ、信哉か。何、転科してきた雄真の様子を、な?」

 そう言いつつも、目はせわしくあちこちに動いている。

「……小日向殿ですか」

 途端に、信哉は顔を曇らせる。

「? 信哉、如何した?」

 不信に思った伊吹が問うと、信哉は顔を伏せ、耐え難きを耐える、といった風情で話し出した。

「……惜しい人物を無くしました」

「! おいっ! 一体、雄真の身に何が!?」

 その徒ならぬ様子に、伊吹は顔を真っ青にして信哉を問い詰める。

85:はぴねす!SS『世の中やっぱり甘くない』第5話-1
06/11/17 12:57:03 MKIl5ueV0

「小日向殿は……うおうっ!?」

 尚も続けようとする信哉の脳天に、椅子が叩きつけられた。
 流石の信哉も効いた様で、蹲って呻いている。

 ……が、叩きつけた当人は気にも留めず、返って信哉を窘めた。

「兄様、物事は簡潔明瞭にお伝えすべきです。伊吹様が混乱なさっているではありませんか」

「し、しかし…… (高等部二年が)惜しい人物を無くしたことに変わりあるまい?」

 蹲ていたのもつかの間、直ぐに復活し、信哉は何も無かったかの様に振舞う。

「その様な、誤解を招くような伝え方は問題です」

「うむ…… 言葉とは奥の深いものよ……」

「……では、別に雄真の身に、何かあった訳では無いのだな?」

 伊吹は、怒りに振るえながら信哉に問う。

「はい。至って健康かと」

「そうか……」

 伊吹はにっこり笑うと魔法を発動する。
 と、途端に信哉に10Gを越える重力が圧し掛かった。

「ぶろっ!?」

86:はぴねす!SS『世の中やっぱり甘くない』第5話-1
06/11/17 13:00:46 MKIl5ueV0

「己はそこで反省しておれ! 全く、人騒がせな! ……で、雄真は何処に?」

「雄真様は、高等部二年ではなく中等部一年に転科なされました」

「は!?」

「……何でも、単位が足りないからだそうです」

「な、なんだって~!?」

 想像外の答えに、伊吹は混乱した。

 ―雄真が中等部一年!? 後輩? ……う、悪くないかもしれない。

 そのシチュエーションを想像してみると、結構ドキドキものだ。
 ……それに良く考えてみれば、宿敵である神坂春姫と柊杏璃も、自分と同条件―別学年―になるということでもある。

 そこまで考えると、自然と頬が緩んできた。
 なんかもー、盆と正月が一度にやって来た様な目出度さである。

 ―中一の小娘共なら敵ではないし、良いこと尽くしだな。 ……ん、中一?

 はて。何か大事なことを忘れている様な気がする。

「はっ! いかん!」

 中等部一年といえば、明日香がいる学年ではないか!?

 何故だかしらないが、明日香は異常なほど雄真を敵視している。
 その雄真を目の前にして、あの明日香が何もしない筈がない。筈が無いのだ。

87:はぴねす!SS『世の中やっぱり甘くない』第5話-1
06/11/17 13:14:00 MKIl5ueV0

 ―拙い。非常に拙いぞ!

 流石の伊吹も真っ青である。

「こうしてはおれん!」

 伊吹は中等部一年の教室目指して駆け出した。




――高等部校舎、廊下。

「そこをどかぬか! 高峰小雪!」

「いいえ。どきませんよ、伊吹さん」

 中等部校舎に向かおうと急ぐ伊吹の行く手を、真正面から阻む者がいた。
 高等部三年、高峰小雪である。

「雄真の危機だぞ!?」

 切羽詰った伊吹の怒鳴り声。
 だが小雪には柳に風、である。

「雄真さんなら、大丈夫ですよ。きっと無事です」

 ……などと宣い、取り付く島も無い。

「憶測で物を言うな! お主は知らぬかもしれぬが、明日香は思い込んだら一直線。猪突猛進で他の意見は耳に入らぬぞ!?」

88:はぴねす!SS『世の中やっぱり甘くない』第5話-1
06/11/17 13:16:23 MKIl5ueV0

「まあ。誰かさんみたいですね」

 伊吹必死の説得にクスクスと笑う。

「き、貴様!……い、いや、今はそれどころでは無い」

 湧き上がる怒りを『雄真のため』と驚異的な自制心で押さえつけた伊吹は、再度説得を試みる。
 ……これで駄目ならば、力尽くで突破する腹積もりで。
 (こうしてる間にも……と思うと、気が気でないのだ)

「高峰小雪! 正真正銘、雄真の危機だぞ!?」

 伊吹、誠心誠意の説得。

「……今から10日間、雄真さんは私達と会ってはいけないのです。それが雄真さんのためなのですよ」

 と、急に小雪は真面目な顔、真面目な口調で話し出した。
 ……先程までとはまるで別人の様に。

「雄真のため、だと?」

 故に伊吹も気勢を殺がれ、思わず問い返してしまう。

「そうです。貴方も式守の次期当主なら分かるでしょう? ……何故雄真さんが、私達友人から切り離されたのか、を」

 小雪はそう言うと、じっと伊吹を見つめる。

「う……」

89:はぴねす!SS『世の中やっぱり甘くない』第5話-1
06/11/17 13:20:04 MKIl5ueV0

 分かる。何故、雄真が自分達と会ってはいけないのかが。

 雄真は、これから現中等部一年の級友達と、大学卒業までの長い時間を過ごすことになる。
 いや。その繋がりは大学卒業後も続き、絶える事は無いだろう。
 ……ならば邪魔をすべきではない。少なくとも、今は。
 自分達が介入すれば、必死で溶け込もうとしている雄真の努力に水をさすことになりかねない。

「し、しかし……」

 だが、伊吹は明日香の暴走を心配し、尚も躊躇する。

「大丈夫です。何しろ私達の雄真さんですから! ……あの秘宝事件の時だってそうだったでしょう?」

「…………」

 確かに、雄真は強い。自分などより遥かに。

「……それとも、伊吹さんは雄真さんを信じられませんか?」

「そっそんなことは!?」

 慌てて否定する伊吹。

「ですよね。『愛する雄真さん』のことですものね」

「う、う~」

 伊吹は顔を真っ赤にして頭を抱える。
 最早、否定をする余裕も無い様だ。

90:はぴねす!SS『世の中やっぱり甘くない』第5話-1
06/11/17 13:25:19 MKIl5ueV0

 後もう一押しである。が……

「小雪姉さん! 上手くいったな~」

「タマちゃん! シッ!」

 タマちゃんの余計な一言に、小雪は慌て口止めする。

「おおっ! そうやったなあ! かんにんや~」

「……?」

 そんな会話に不審を抱いた伊吹は、タマちゃんが手(?)にしていた書類に目を付けた。

「見せろ!」

「あ! 駄目や~!!」

 タマちゃんから取り上げた書類。
 それは、占い研究会に関するものだった。


 現在の占い研究会は、部長の高峰小雪以下、小日向すもも、式守伊吹、小日向雄真(名誉部員)の4人―幽霊部員は数に入らない―しかいない。
 が、部は5人以上が原則であり、それ以下の場合は同好会に格下げされる。

 占い研究会の場合は、その長い歴史と小雪の占い師としての優秀さのため、今まで見て見ぬ振りをされてきた。
 が、そのためには毎年生徒会と学園に提出する申請書類に、主だった教員のサインが必要である。

91:はぴねす!SS『世の中やっぱり甘くない』第5話-1
06/11/17 13:26:15 MKIl5ueV0

 ……これでもうお分かりだろう。

 書類の正体は契約書である。
 『もし伊吹を10日間雄真に近づけねば、サインを集めてやる』という、実にアレな。


「……これは何だ、高峰小雪?」

 震える声で尋ねる伊吹。
 気のせいか、契約書を持つ手も震えている。

「……残念、ばれちゃいました。あと少しだったのに」

「ふざけるな! 私を止めようとしたのは私利私欲か!?」

 口をバッテンにしてすねる小雪に、伊吹の怒りが爆発した。
 雄真のこともあるが、今回は『自分がおちょくられたこと』も含まれるので、先程以上にお怒りである。

「部長として、当然のことです。伊吹さんも部員として協力して下さい」

「できるか!」

「ちぇっ」

「……私をおちょくるのも大概にしろよ? 高峰小雪?」

「雄真さんも名誉部員です。だから占い研究会のために、喜んで犠牲になってくれる筈です」


92:名無しさん@初回限定
06/11/17 13:30:34 qWe3QMLy0
支援、足りてる?

93:はぴねす!SS『世の中やっぱり甘くない』第5話-1
06/11/17 13:31:16 MKIl5ueV0

「貴様は鬼か!?」

「それに雄真さんは、すももさんと伊吹さんという二人の部員をゲットしてきてくれました。
 新しいクラスでも、きっと沢山の部員をゲットしてくれるでしょう」

 そうなれば、面倒なサインを集めずとも部室を維持できます、と目を輝かせる小雪。

「……言いたいことはそれだけか?」

 伊吹の手には、いつの間にかビサイムが握られていた。
 ……気のせいか、魔方陣もあちこちに展開している。

「あらあら、タマちゃん。もしかして私ピンチですか?」

 が、普通ならば絶体絶命のピンチであるにも関わらず、小雪は平然―少なくとも表面上は―としたものだ。
 暢気にタマちゃんと会話などしている。

「いかんな~式守の嬢ちゃん。怒ると美容に差し障るで~」

「ふ、ふふふ…… そう言えば、貴様との決着は有耶無耶になっていたなあ?」

 ―もう会話は終わりだ。

 ドッゴ~ン!


 甲種特待生二人による、実に傍迷惑な魔法合戦が始まった。

94:はぴねす!SS『世の中やっぱり甘くない』第5話-1
06/11/17 13:33:01 MKIl5ueV0
 SS投下終了。
 今回は前半だけなので短いです。
 ……でも投稿に30分。

95:名無しさん@初回限定
06/11/17 13:43:27 8aq8HmMv0
GJ

ところでこのUMAは伊吹と沙耶に手を出してるの?

96:名無しさん@初回限定
06/11/17 17:54:58 pgnpv/g40
投下乙です
でも占い研究会って、小雪さんが入学する条件として理事に作らせた部なのよね。

97:名無しさん@初回限定
06/11/17 20:06:19 svuWPXcT0
>95
むしろ出してない理由が見つかりません。

98:温泉の人
06/11/17 20:21:56 5sWubv340
相変わらず小雪さんはステキだwwwwwww乙です!

それと>>82
遅ればせながら、寛大なるお心遣い感謝いたします。
完成までまだかかりそうですが、今しばらくお待ち下さいませ。

99:はぴねす!SS『世の中やっぱり甘くない』第5話-1
06/11/19 11:45:45 R4RiR/5K0
 皆様、有難う御座います。

>ところでこのUMAは伊吹と沙耶に手を出してるの?
>むしろ出してない理由が見つかりません。

 御想像にお任せしますよ~

>でも占い研究会って、小雪さんが入学する条件として理事に作らせた部なのよね。

 やっちまった…… 後で訂正せねば……
 (御指摘感謝です)

>相変わらず小雪さんはステキだwwwwwww乙です!

 未だ勝敗は不明なるも、既に精神的に優位に立っています。


100:名無しさん@初回限定
06/11/19 20:56:43 oYQ5hb/i0
乙です
しかし校内で攻撃魔法を堂々と・・・校舎と周囲の学生は無事か!?

まあ、この二人なら何かあっても理事長なり鈴莉さんなりがもみ消すだろうけど・・・

101:温泉の人
06/11/20 21:22:48 LIyohTDp0
では予告どおり、「世の中やっぱり甘くない」の続きで書いてみるテスト。

こっからの話はあくまで私、温泉の人が独自に妄想を働かせたものであり、
「世の中・・・」の作品世界を否定する目的のものではないことを先に申し上げておきます。
あくまで「世の中・・・」のパラレルとして捉えていただけたら幸い。

・・・あと「世の中・・・」は3人称視点でしたが、
こっちは適宜作中の様々な登場人物の視点を交えつつ物語を進めていきたいと思います。
理由? そっちのが俺が書き慣れてるからw
(繰り返しますが「世の中・・・」の作品否定が目的ではありません)

ではどぞ↓

102:「世の中やっぱり甘くない」Parallel(1/24)
06/11/20 21:23:27 LIyohTDp0
「~~~っ」
机に伏せ、何やら不満気にうなり声を上げている杏璃ちゃん。
私が話しかけても、先生に指名を受けても、その反応は一貫して変わることはない。
……ここ数日、杏璃ちゃんはずっとこうだ。
終始思い詰めるように唸っては、はぁっと諦めたかのように溜め息をつくのを繰り返す有様。
「……」
無論、この私……神坂春姫も例外ではなかった。
非情なまでに唐突に告げられた、雄真くんの中等部編入事件。
これからもうずっと、雄真くんといっしょに魔法を勉強することができない……
たったそれだけのことなのに、私の心は暗く、深く……沈みこんで浮上しない。
(でも駄目。これは雄真くん自身のためなの)
(今まで10年以上、魔法から離れていたのよ? そんな状態では、たちまち落ちこぼれるわね)
(もし破ったら、『雄真くんの母』として考えがあるわよ?)
狭い暗室で鐘が鳴り響くかのように、先生の言葉ががんがんと頭の中を駆け巡る。
何を話しても、先生の態度は変わることはなかった。
いや……私たちのような若輩者の意見で簡単に意見を覆すような人間ではないことくらい、
長いこと先生の下直属で魔法を学んできた私にはわかってる。
だけど、だけど……
こんな仕打ちって、ないよ……先生……!!

103:「世の中やっぱり甘くない」Parallel(2/24)
06/11/20 21:24:14 LIyohTDp0
「……私の授業中に考え事なんて、いい身分ね。ふたりとも」
「「!!?」」
私たちはほぼ同時に顔を上げ……
そして一瞬だけ……目の前にいる人物を、きっと睨みつけていた。
「……そんな目でいくら見つめても、雄真くんは帰って来ないわよ?」
「……」
「本当にあの子のことを考えるなら、それぞれが与えられたフィールドの中で、
 精一杯自分の為すべきことをすべきじゃないかしら?
 貴方達がそれじゃ、あの子もこっちの世界に帰ってきた甲斐がないじゃない」
「……」
あくまで毅然とした態度を崩さない先生の姿勢に……
私はそのまま、力なく視線を横に反らすしかできなかった。
「まぁ貴方達はまだ若いから、まだまだ納得するには時間がかかるでしょうけど……
 いずれわかるわ。あの時のあの子の決断が、決して間違ってはなかったって……」
「……」
「それと、今の態度はペナルティ1ね。ふたりとも放課後、私の研究室まで来なさい」
「……わかりました」
おなかの中をじんわり締めつけるおのが無力感に。
私は力なく、先生の言葉に従うのだった。


104:「世の中やっぱり甘くない」Parallel(3/24)
06/11/20 21:25:18 LIyohTDp0
「……本当に、このままでいいの? 春姫……」
放課後……御薙先生の教室へ向かう道中、杏璃ちゃんが私に問いかける。
「そりゃまぁ、先生の言いたいことも理解できなくはないけどさ……
 いくら何でもあれじゃ、雄真がちょっとかわいそうじゃない……」
「……うん……」
杏璃ちゃんの言葉に、力なく頷く私。
……本当はできることなら、雄真くんを力づくでもこっちに引き戻したい。
それこそ、今すぐ……中等部の校舎の中に忍び込んででも。
だけどそれが、今の雄真くんにとって……邪魔でしかないのだとしたら……
私にできることなんて、きっと何もない……
「……ちょっと、しっかりしてよね春姫……
 あんたがそんなんじゃ、こっちも張り合いないじゃない……」
「……うん……ごめんね、杏璃ちゃん」
私はわずかに顔を上げ、作り笑いを浮かべてみる。
「……」
杏璃ちゃんはそんな私を見て、少しだけ考え込んでいたが。
「……決めた。行くわよ、春姫!!」
「え? 行くって、どこへ……」
「決まってるじゃない。雄真を力づくで取り返しに行くのよ!!」
「え!? でも今から、御薙先生との約束が……」
「あんなわからず屋のことなんか無視無視!! さ、早く行くわよ!!」
「え、ちょ、ちょっと待っ……ひゃあっ!?」
杏璃ちゃんに無理矢理パエリアにまたがらされ、私たちは夕暮れの大空に飛び立って行った。


105:「世の中やっぱり甘くない」Parallel(4/24)
06/11/20 21:25:59 LIyohTDp0
「うぅ……まだ体いたぁい……」
「もぉ、杏璃ちゃんったら……無茶するんだから……」
杏璃ちゃんの部屋に戻り、擦りむいた杏璃ちゃんの膝の手当てをする私。
いくら何でも、空から無理矢理中等部の校舎に突撃するなんて……
校舎には強力な人よけ結界が張られてるんだから、無理に決まってるじゃない……ι
「あーあ……あたし的にはもうちょっとうまく行くと思ったんだけどなー……」
あの結界を前にそんなことが言えるなんて……やっぱり杏璃ちゃんってすごいのかも。
「こうなったら仕方ないわ。春姫、作戦その2で行くわよ!!」
「作戦……その2?」
きょとんと首を傾ける私に、杏璃ちゃんは意気揚々立ち上がり、クローゼットを開いた。


106:「世の中やっぱり甘くない」Parallel(5/24)
06/11/20 21:27:32 LIyohTDp0
「さぁて、これで準備完了っ☆」
「あ、杏璃ちゃん……やっぱり無理があるよ……これ……ι」
使い古した中等部の制服に身を包み、中等部の校門の前に立つ私たち。
それもすぐに私たちとバレないよう、微妙にヘアスタイルなど変えながら。
(ちなみに私がツインテールとメガネ、杏璃ちゃんがヘアーバレッタとリボンをつけたロングスタイル)
「だぁいじょうぶだって! これだけきっちり変装してたら、誰もあたしたちだってバレないって。
 ……まぁ唯一バレる危険があるとすれば、あんたのその中学生離れした胸だけど」
「ちょ、ちょっと……無理言わないでよ杏璃ちゃん……ι」
私だって、好きでおっきくなったわけじゃないもん……ι
「とにかく! 事は一刻を争うんだから、さっそく侵入開始よ!!」
「うん……行こ、杏璃ちゃん……」
杏璃ちゃんの言葉に、私も返事を返した。
手段はどうあれ……雄真くんに会いたいのは、私もいっしょだったから。
あくまで平静を装いつつ、私たちは徐々に校舎の玄関へと近づいてゆく。
「……何だね、キミ達は。下校時間はとうに過ぎとるだろうが」
……当然のことながら、私たちの存在に気づいた中等部の先生が声をかけてきた。
幸いなことに、こちらの素性はまだ割れていないみたいだ。
「え、えっと……あの……その……」
「中等部1年の小日向雄真は、今こちらにおりますか?」
突発的な事態に慌てふためく杏璃ちゃんをかばうように、私は冷静かつはっきりと問いかける。
「あぁ、今月頭からうちに来た、御薙教授のご子息のことか……
 して……その小日向くんとキミと、一体何の関係があるのかね?」
「申し遅れてすみません。私……普通科1年の小日向すももと言います。
 今日は兄の雄真に……ちょっと、忘れ物を届けに来まして……」
勝手に名前を使っちゃったすももちゃんに、少しだけ心の中で謝る私。

107:「世の中やっぱり甘くない」Parallel(6/24)
06/11/20 21:29:08 LIyohTDp0
「何と……キミがあの小日向くんの妹さんかね。
 噂は聞いておるぞ。御薙教授がご子息を預けた先の娘さんだとか」
「はい……兄がいつもお世話になっております」
「そういうことなら話が早い。さ、こちらに来たまえ。もうすぐ補習も終わるところだろう」
どうやら先生は、私の話をうまく信じてくれたようだ。
こちらに手招きなどしつつ、私たちを校舎の奥へと案内してゆく先生。
(……うまく行ったじゃない、春姫……よくそこまで口が回るものね……)
後ろから杏璃ちゃんが、そっと私に耳打ちする。
(えっと……実はちょっとだけ……ホントにそうだったらいいのにって思ってたんだ)
(なぁるほどねぇ……んふふ……何かもうすっかり恋しちゃってるって感じ?)
(ちょ、ちょっと杏璃ちゃん……こんなトコロでからかうのはやめてよぉ……///)
何やらこぼしつつ、先生の後をついて行こうとしたその時。
「あら、雄真くんにこんな大きな妹さんがいたなんて……初耳だわね」
「!!!!」
後ろから聞こえた嫌に聞き覚えのある声に、私たちは思わず振り返った。
「み……御薙……先生……」
「そもそも雄真くんの妹さんは、今高等部1年だったと記憶してるんだけど……
 私の記憶違いだったかしら?」
「……」
御薙先生の言葉に何も返せず、ただ冷や水を浴びせかけられたかの如く凍りつく私たち。

108:「世の中やっぱり甘くない」Parallel(7/24)
06/11/20 21:29:58 LIyohTDp0
「み、御薙教授? まさかこやつらは……ご子息の妹さんではないと……」
「二宮教授……あなたはまず自身の術師としての観察眼を養うべきね。
 これだけの魔力を秘めた人間が普通科を名乗り侵入している地点で、何かおかしいと考えないと」
「はっ……し、失礼致しました……」
御薙先生の凛とした忠告に、二宮教授と呼ばれたその人もまた私たちと同じように凍りつく。
「で? 自覚はしているはずよね……
 私との約束を無断で断った挙句、本来立ち入りを制限されているはずの中等部への侵入を図る。
 それがどれほど重い罪なのかを」
「……」
言葉こそ穏やかだが、体は明らかに殺気を放っていた。
抗えば、例え教え子とて容赦はしない……
先生の火をも凍てつかさんばかりの威圧に、胸の奥底が徐々に凍りついてゆくのがわかる。
「そもそも私は約束したはずだけど? 転校初日から10日間は会ったらだめだって……
 これでも私は精一杯、貴方達の心情を汲んであげたつもりなんだけど……」
「ふぅっ……っ……」
杏璃ちゃんががたがたと震えながら、必死に私の肩にすがりつくのがわかる。
人の奥底に眠る原初の恐怖をおびき出す、先生の冷たい殺気。
並の人間ならその場にいるだけで、我を失い狂ってしまわんばかりの気力……
(これが……御薙先生……)
……今まで私は、先生の実力を侮っていたのかも知れない……
彼女は……初めから……私たちが抗うべき存在ではなかったのだ……!!
こんなこと……もっと早くに知れていたら……どんなにかよかったか……

109:「世の中やっぱり甘くない」Parallel(8/24)
06/11/20 21:31:34 LIyohTDp0
「仕方ないわね……私もこればっかりは、あまり使いたくなかったんだけど……」
御薙先生は目を閉じ、私の前に陣を展開する。
「エル・アムダルト・リ・エルス……」
涼風が、私たちの全身を吹きぬけた。
よく晴れた冬の朝にも似た、すがすがしくも冷たい風……
「ディジーノ・ラ・アグノシス」
「!!!」
世界が、ぴんと光を放つのを感じた。
一瞬の魔力の奔流の後、あたりは水を打ったように静かになった。
「先生……今一体、何を……」
「簡単な認識阻害魔法よ。たった今から雄真くんは、貴方達のことを一切認識できなくなったわ」
「!!??」
私は頭の中が、さっと白くなるのを感じた。
「これから雄真くんは貴方と会っても、貴方のことを同級生の神坂春姫とは認識できない。
 そう……たった今会ったばかりの、どこかの赤の他人としか認識しないでしょうね」
「そんな……先生……嘘……」
「貴方達が悪いのよ? 貴方達が私の言うことをちゃんと聞いてくれないから……
 我慢してちょうだい。これも雄真くんと、貴方達のためなのだから」
「嘘……だよね……先生……雄真くん……」
口角が、引きつって動かない。
頭がふらふらして、まともに前に進むことすらままならない……
それでも……それでも。
私は一縷の望みをかけて……雄真くんを求め校舎内を徘徊する。
……やがて私は廊下の向こうに、今しがた教室から出たばかりの雄真くんを発見した。
「雄真……くん……っ!!!」
数日ぶりに会えた、愛しいその姿……
顔も、体も、服装も……全てが大好きな雄真くんの姿……

110:「世の中やっぱり甘くない」Parallel(9/24)
06/11/20 21:32:15 LIyohTDp0
「久しぶり……だね……雄真くん……」
引きつった笑顔のまま、私は何とか平静を保って雄真くんに挨拶する。
「……?」
「覚えて……る? 私だよ……同じクラスの、神坂春姫だよ……?」
精一杯、雄真くんの声が聞きたくて。
時折遠のきそうになる意識を必死につなぎとめつつ、私は雄真くんに問いかける。
……だけど。

「……キミ、誰……?」

「!!!!!」

……世界が崩れるって、きっとこんな感じなんだろう。
あまりに非情な雄真くんの一言に、私はがくっと力なく膝を落とす。
「悪いけど、俺……急いでるから……じゃ」
廊下を駆け抜けてゆく雄真くんの音すらも、どこか遠く聞こえて……
そこからもう、何も見えなかった。
何も……考えたくなかった。
ただ今は……拭いようのない喪失感に……ひたすら、涙を流すほかなかった。
「……ひどすぎる」
隣に立った杏璃ちゃんが、唇を噛みしめながら言葉をこぼす。
「春姫が一体先生に何をしたって言うのよ!!!
 春姫は……春姫はただ……大好きな友達に会いに来ただけじゃない!!!
 それなのに……こんな仕打ちって……ひどすぎるよ……あんまりだよっ!!!!」
「……『友達』と思ってるのは、果たしてどっちの方かしら」
「!!!!」
先生の冷徹な一言に、思わず言葉を詰まらせる杏璃ちゃん。

111:「世の中やっぱり甘くない」Parallel(10/24)
06/11/20 21:33:04 LIyohTDp0
「今はそれでもいいかも知れない……
 だけど時が経てば……彼女はきっと、雄真くんなしでは生きていけなくなる……
 それはきっと……互いのために、悪影響しか及ぼさなくなる」
「だけど……だけど……だからって!!!」
「勘違いしないで……私だって本当は、こんな魔法なんて使いたくない……
 だけど……仕方ないのよ。これも全部……雄真くんの……みんなのためだから……」
「っ……!!!!」
杏璃ちゃんは一瞬だけ、御薙先生をぎらりと睨みつけ。
未だ自我の戻らない私を肩に抱え、その場を駆け出して行った。
「あたしたちは……絶対……諦めないから!!!
 雄真はいつまでも……あたしたちの……友達なんだから!!!!」
「……」
先生は、止めなかった。
ただ……先程までの冷たい空気とは違う……寂しさと憂いを秘めた空気。

先生のその表情が、何を意味しているのか……私たちには、わからなかった。



112:「世の中やっぱり甘くない」Parallel(11/24)
06/11/20 21:35:59 LIyohTDp0
「……ふぅ」
本日分の文献調査を終え、コーヒーで一服入れる私。
……正直、私は迷っていた。
本来ならば私は親として、息子たちの作るコミュニティを尊重してやるのが理想なのだろう。
そういう意味では、彼女達の意見もあながち間違ってはいないのかも知れない。
第一彼らの年代にとって、4年という月日がどれほど重いものであるかは……
私が一番、よく理解している。
だけど……
(それじゃきっと……雄真は……迫り来る荒波には決して勝てない)
自身、よく知っていた。
魔法学は、ここ数十年の間でにわかに進化を遂げた全く新しい学問体系である。
魔法についてはまだまだ解明されていない部分も多く、教育体系もまだまだ整っていないのが現状だ。
当然……世間の理解も昔よりはよくなっているとはいえ……まだまだその存在を疎んじる声も多い。
中には魔法使いと言うだけで忌み嫌う人間も少なくはないだろう。
そんな中……今のなあなあな人間関係をだらだらと繰り返せば、
いざという時誰も身を護ってはくれなくなる。
そしていずれは……社会から孤立し、切り離され……今よりもっと辛い人生を歩むことになる。
「……」
私は、そうやって何人もの同僚が社会の軋轢に潰されていく様を、ずっと身近で見守ってきた。
いつまでも、ずっと一緒にいたい……
そんな淡い恋心で切り抜けられるほど、ここは甘い世界じゃないのだ……
(そう……全ては雄真のため……雄真をこの世界で立派に生き延びさせるため……)
半ば自分に言い聞かせつつ、私は明日の分の教育カリキュラムに手を伸ばした。
そこへ。

113:「世の中やっぱり甘くない」Parallel(12/24)
06/11/20 21:36:45 LIyohTDp0
「あらぁすーちゃん……こんな遅くまでお仕事なのぉ?」
凛と静まった空気とは明らかにちぐはぐな声が、扉から聞こえてきた。
「理事長……って、そう呼ぶのも野暮な話ね。どうしたのかしら? ゆずは」
顔を出したのは、学園の理事長にして世界最高の予言術の使い手……高峰ゆずはだった。
「どーもこーもないわよぉ! すーちゃんここんところずーっと難しい顔してるもん」
「ゆずはは相変わらずよね。今日はもう何杯飲んだのかしら?」
「えっと、ひとーつ……ふたーつ……うふっ、たーくさん♪」
「その分だと、さしずめスコッチ1本まるごとってとこかしら?
 あなたその調子だと、いつか本当に破産するわよ」
「だーいじょうぶよぉ! その時はまたすーちゃんにおごってもらうから♪」
ほろ酔い気分で底抜けに明るい、ゆずはの表情。
そんな彼女の笑顔を見るにつけ、少しずつ心の中がほぐれてゆくのがわかる。
「……ところでさぁ、すーちゃん……」
「何かしら? ゆずは」
やがてゆずはが私の隣に座り、話題をふり始めた。
「すーちゃんの息子……ほら、ゆーまくん……だっけ?」
「あぁ、雄真のことね……それがどうかしたのかしら?」
「ひどいよねーすーちゃんも。あんなかわいい子を、千尋の谷に突き落とすようなことして」
「あら、人聞きが悪いわねゆずは。あれはちゃんと雄真のことを思って」
「本当に、そうなのかしら?」
「……」
ゆずはの核心に触れるような一言に、私は一瞬黙りこんでしまう。

114:「世の中やっぱり甘くない」Parallel(13/24)
06/11/20 21:37:23 LIyohTDp0
「すーちゃんたらいっつもそーなんだから。
 いっつも二言目には雄真くんのため、雄真くんのためーって……
 まるで何だかそう言ってないと、自分のやってることに自信が持てないみたい」
……見透かされてる。
私が雄真に密かに寄せている、様々な野望の数々……
「そもそも中等部に移ったからって、何もかもうまく行くとは限らないんじゃないかなー?
 早くも不穏な影が3つも、雄真くんの周りに忍び寄ってるし」
「……多少の障壁は覚悟の上よ。このくらいの試練、彼にもちゃんと超えてもらわなきゃ」
「すーちゃん、また雄真くんって言ってるー」
「……」
私は肩をすくめ、大げさに溜め息をついてみせた。
「……確かにあなたの言うとおりだわ。
 私はあの子を、世界に名を残す偉大な魔術師に育て上げたい……
 その為になら、あの子たちに一時的に疎まれようがさしたる問題じゃないわ」
「……ふーん」
未だ納得いかないといった目つきで、私のことを見つめるゆずは。
……相変わらず、妙に引っかかるものの言い方するのね……
彼女が半ば私の考えを的確に見透かしてるだけに、私もあまり大きな声が出せない。

115:「世の中やっぱり甘くない」Parallel(14/24)
06/11/20 21:38:31 LIyohTDp0
「……そーんな顔しないでったらぁ!! ほら、せっかくの美人が台無し!!」
「生憎と私もいろいろと問題抱えていてね。あなたほど気楽には生きられないの」
「こーんな時間までお仕事してるからよぉ! たまにはぱーっと遊ばなきゃ」
そう言いつつ、彼女が袖の下から取り出したのは。
「……雀卓?」
出てきたのは、ごくありふれた携行用麻雀セットだった。
随分使い古されているのか、牌の角などあちこちすり減っている。
「呆れたわね……学校の研究室で雀卓広げる教師なんて、初めて見たわ」
「別に生徒を巻き込んでるわけじゃないんだからいーでしょ?
 ほら、私とすーちゃんの仲じゃない」
こんな歳になっても相変わらず天真爛漫な彼女の態度に、ふと私は心の奥がほぐれてゆくのを感じた。
思えば、昔からそうだったわね。
肩肘張って生きようとする私の横を、いつも音羽とゆずはの2人がうまくかき乱してくれて……
「……わかったわ。しかしお互い立場もあるから、掛け金はなしよ」
「わーい☆ じゃあさっそく……」
私はしばし教諭としての立場を捨て置き、ゆずはとの真剣勝負に臨むのだった。

「……それで、ええん? ロンやな~♪」
「……時々あなたが本気で何者なのか、わかんなくなるわ……ι」



116:「世の中やっぱり甘くない」Parallel(15/24)
06/11/20 21:39:34 LIyohTDp0
トゥルルルルル……トゥルルルルル……
あたしの耳の中で規則的な音を響かせる、あたしの携帯。
彼女の携帯に電話をかけてから、もう20回は響く電子音……
(今日は……)
だがあたしはそれでも、辛抱強く待ち続ける。
(今日こそは……出てくれるわよね……春姫……)
祈るような、すがるような気持ちで……ただひたすら、彼女の応答を待つあたし……
30回……40回……50回……
だがそれでも、彼女からの応答はなく……
「……」
ピッ
あたしは力なしに、その携帯を切る他なかった。
(大丈夫なの……? 春姫……)
嫌な予感が、あたしの胸を支配していた。
あれからもう3日だ。
あれからずっと、あたしは彼女……春姫の声を聞いていない……
……そりゃそうだ。
自分の人生を賭すまでに愛した男の子に、きっぱりと自分の存在を否定されたのだ。
それこそ……今までの普通科での生活など一切なかったかのように。
あたしは初恋もまだまだだから、その気持ちを察するには経験が足りないけど……
それでも……それが彼女にとってどれだけ大きな意味を持つのか……
今の春姫を見れば、嫌というくらいわかる。
(……言わないわよね……)
彼女にとって、あたしにとって……一番最悪なケース……
(魔法、やめるなんて……言わないわよね……)
嫌な胸騒ぎを覚えつつ、あたしは学校へ行く準備を整えるのだった。


117:「世の中やっぱり甘くない」Parallel(16/24)
06/11/20 21:40:31 LIyohTDp0
(……あれ……)
目を開ける。
早朝にしては妙に明るい光が、カーテン越しに降り注いでくる。
(今、何時……)
私はふと、傍らに置いていた目覚まし時計に目を向けた。
―10時15分。
普通ならば、とっくに2時限目が始まっている時間である。
(……また……寝過ごしちゃったんだ……私……)
別段、後悔もない。
ただ……こんな時間まで無為に寝過ごしてしまった自分に……少しだけ、嫌悪感を覚える。
「……」
私はふと、その携帯を開いて中を検めてみる。
『不在着信 10件』
その内訳は、学校からの連絡が数件と……あとは全部、杏璃ちゃんからのだ。
(杏璃ちゃん……)
杏璃ちゃんが私を気遣って、いっぱい連絡をくれていることは明白だった。
だけど……
それに答える気力は、私には残ってなかった。

118:「世の中やっぱり甘くない」Parallel(17/24)
06/11/20 21:41:18 LIyohTDp0
「……」
体中、いやにだるい。
胃がめくれて……むかむかと焼けつくような痛みをくれる。
肩も……手足も……まるで自分のものじゃないみたいに、言うことを聞いてくれない……
(何だったんだろう……私って……)
いつもいつも、私は頑張ってきた。
思い出のあの男の子に、少しでも近づきたくて……
私の胸に眠るいっぱいの宝物を、いつまでも大切に輝かせておきたくて……
来る日も来る日も休むことなく、あの呪文を唱え続けた……
「……」
こうなるために、私は頑張ってきたのかな……?
私の追いかけてきた夢って……こんなにも簡単に崩れ去っちゃうものだったのかな……?
「……雄真くん……」
取り出したのは、いつか行ったお花見の時の写真。
ちょっと戸惑いながらもカメラに笑顔を向ける雄真くんと、その隣で微笑む自分自身の絵。
それは本当に穏やかで、胸を締めつけるくらいいっぱいの幸せに満ちていて……
「……ゅぅま……くん……っ」
遠ざかってゆく幸せと、失ったもののあまりの大きさに……
私はまた、ぐっと体を縮こませるのだった。


119:「世の中やっぱり甘くない」Parallel(18/24)
06/11/20 21:43:43 LIyohTDp0
「……で、神坂は今日も欠席……か」
心底心配そうに溜め息をつく先生。
春姫の欠席騒ぎは、思いの外回りに衝撃を与えたみたいだ。
……無理もない。
瑞穂坂始まって以来の才媛と呼ばれた彼女の、突然の無断欠勤だ。
それも……既に3日も連続で。
これまで風邪だろうが体調不良だろうが1日たりとも遅刻せず出席を続けてた春姫が
これだけ長い間無断で休むのは、さすがに学園側にとっても憂慮すべき事態なのだ。
既に職員室では、連日連夜春姫とその両親にしきりに連絡をとり、
現状把握に勤しむ先生たちの姿が見受けられる。
そして、春姫の一番の親友だったあたしも……何度か先生に事情を尋ねられていた。
……無論、答えられるわけなんてない。
彼女が……春姫が……たったひとりの男の子のせいで再起不能なまでに落ち込んでるって……
言いたくなんてないし、認めたくなんてない。
……そう。彼女はこんなことで負けるような弱い女じゃない。
いつかきっと実習の席に現れて、ムカツクくらい立派な魔法を披露してくれる……
そうでしょ? 春姫?
今のあんたを実力で打ち負かしたって、何の得にもならないじゃない……!!
(……早く帰って来てよ……春姫……!!)
春姫の無事を祈るがあまり、その日の授業は全然耳に入らなかった。


120:「世の中やっぱり甘くない」Parallel(19/24)
06/11/20 21:44:42 LIyohTDp0
春姫の無断欠席の報は、生徒達の間にも波紋を広げていた。
常に自分たちの先をリードしてきた春姫の突然の欠席に、ある者は失望し、ある者は心配に胸を痛め……
またある者は、この隙に瑞穂坂一の座を我がものにせんと胸を躍らせていた。
(……)
あたしも端から見れば、その胸を躍らす一員に映るのだろう。
そりゃそうだ。
実質実力No.1だった彼女がいなくなれば、
それまで2番手に甘んじてたあたしがトップに躍り出るのは至極自明の理だ。
今まで何度も春姫を打ち破ってトップに躍り出んと公言してたあたしにとって、これ以上のチャンスはない。
……だけど……
あたしはそんなことを望んだんじゃない!!!
いつかちゃんと正々堂々勝負して……そして春姫の実力を認めた上で、あたしがトップに立つの。
それまで……あたしがちゃんと春姫を打ち負かすまで……
春姫は絶対、誰にも負けちゃいけないんだから……!!!!
「……しかし意外だよねー……あの神坂さんでも無断欠席とかするんだ」
「まぁ神坂さんも、所詮ひとりの学生だしね……
 何だか神坂さんもあたしたちとあんまり変わんないんだって、ちょっと安心したかも」
折りしもあたしの後ろから、同級生の子たちが春姫のことを噂する声が聞こえてくる。
聞き飽きるくらい聞いてきた、自分勝手に捏造された春姫の噂。
今回の話も、どうせろくな話じゃないだろう……
あたしはその話を回避すべく、その場を立ち去ろうとした。
が。
「でもここだけの話……神坂さんの無断欠席って、とある大失恋がきっかけなんだって!」
ピクッ
その言葉に、思わず耳を傾けるあたし。

121:「世の中やっぱり甘くない」Parallel(20/24)
06/11/20 21:46:25 LIyohTDp0
「えーウソー! あの神坂さんが失恋!? その話すっごく聞きたい!!」
「何でも神坂さんには、子供の時から心に決めてた男の子がいて……
 その男の子に巡り会えたのも束の間、その運命の彼には既に好きな人がいたんだって!!」
「それってさー……ひょっとして、こないだひーちゃん達が噂してたあの人のことじゃない?」
「すごいよねー!! あの神坂さんを振れる男の子って、きっとすごいお坊ちゃんだよ」
まるでワイドショーの芸能人でも語るかの如く、好き勝手に噂話にふける彼女たち。
……何も知らないくせに……
春姫の気持ちなんて……これっぽっちもわかってないくせに……
「それにしても、今回ので一番得したのって……やっぱ柊さんじゃない?」
(っ……!!!)
一番聞きたくない言葉が、彼女たちの口から発せられた。
「そーだよねー……ひーちゃんずっと、神坂さんに勝ちたい勝ちたいって言ってたもんねー。
 神坂さんが無断欠席になって、今頃飛び跳ねて喜んでたりして!」
違う……
「そーだよねー……柊さん、こんなことでもなきゃなかなかトップに立つなんてできないし」
そんなこと……あたしは……望んでなんか……!!!
「……馬鹿にしないでくれる?」
「!!?」
あたしは思わず、彼女たちにパエリアを突きつけていた。
意外な珍客の登場に、彼女たちも思わず泡を食ったような表情になる。
「ひ、柊さん……聞いてたの? 今の……」
「や、やだぁひーちゃん……今のは冗談に決まってるじゃん……」

122:「世の中やっぱり甘くない」Parallel(21/24)
06/11/20 21:47:28 LIyohTDp0
……最初は、抑えるつもりだった。
春姫が学校に戻るまで、精一杯大人でいるつもりだった。
だけど……やっぱりダメだった。
春姫のことを……自分自身のことを……ここまで馬鹿にされて黙っていられるほど、私は大人じゃなかった。
「悪いけど……春姫はそこまでプライドのない女じゃないわ。
 春姫の永遠のライバルであるあたしが言ってるんだから、間違いないわよ」
「ひ、ひーちゃん……今のはただの噂話じゃん……
 神坂さんの本当の欠席の理由なんて、あたしたちじゃわかんないよ」
「だったら憶測でとやかく言わないでくれる?
 どうせ春姫の気持ちなんて……あんたたちにはわかんないんだから」
「……柊さん……」「ひーちゃん……」
あたしのあまりに必死な態度に、2人がさっと引いてゆくのがわかる。
……当たり前だ。
彼女の言うとおり、これはただの噂話じゃん……
なのにあたし……何でこんなに必死になってんのよ……
何でこんなに……腹が立って仕方ないのよ……!!
「とにかく……春姫は戻ってくるわ。絶対。
 そして帰ってきたら改めて……あたしの実力を証明してやるんだから!!!」
「あ、柊さん……」「ひーちゃん……!!」
2人の制止する声も聞かず、あたしはその場を駆け出して行った。
嘘だよね……春姫……
この程度で魔法諦めちゃうような、弱い女じゃないわよね……!!!


123:「世の中やっぱり甘くない」Parallel(22/24)
06/11/20 21:48:38 LIyohTDp0
「……オーフェンダムっ!!!!」
高く、あたしの詠唱が響く。
同時に生み出された魔力の弾が、森の地面をえぐって駆け抜ける。
「オーフェンダム……オーフェンダム……オーフェンダムっっ!!!!」
やり切れない気持ちを、何かにぶつけずにはいられずに。
低下する魔力も気にせず、あたしは無我夢中で魔法弾をぶっ放してゆく。
「あぁっ……ぁぁ……はぁ……っ」
やがて一度に出せる魔力の限界を超え、息つくあたし。
森の一部が……見る影もないくらい、無残に破壊しつくされている。
(……春姫……)
あたしはふと、春姫の唱える再生魔法をその光景に重ねていた。
攻撃魔法や戦術の組み立てなど、基礎戦闘能力についても彼女は相応のものを持ってるけど……
一番凄いのは……やっぱり再生魔法だった。
どんなに無残に崩されたものでも、春姫がソプラノを一振りすれば……たちまち元の姿を取り戻しちゃうのだ。
春姫のライバルであるあたしでも……その実力だけは、素直に凄いと思える。
(春姫だったら、きっとこのくらい……簡単に直しちゃうよね)
あたしはその光景に向かって、パエリアを構え……
「オン・エルメサス・ルク・アルサス……」
淡く、青白色に輝く眼前の光景。
「アスターシア・アウク・エル・アムンマルサス……!!」
その光は薄く辺りを覆い、無残にぶち折れた木の幹をふわっと浮き上がらせ……
「!!!」
そのまま、力なくかき消えた。
残ったのは、魔法をかける前と何ら変わらない瓦礫の山……

124:「世の中やっぱり甘くない」Parallel(23/24)
06/11/20 21:49:24 LIyohTDp0
「……っ……!!!!」
あたしはやるせなくなり、思わず両手で地面を殴りつけていた。
「何で……何でできないのよ……あたし……!!!!」
……自分の無力感が、ひどく悔しかった。
春姫の窮地に何もしてやれない自分が……ひどく腹立たしかった。
このまま……あたしは春姫を失うの……?
そしてあたしは目標を失ったまま、のうのうと瑞穂坂No.1の座に居座ることになるの……!?
(……そして瑞穂坂学園魔法科は、史上屈指の魔力の持ち主だけでなく、才媛二人までも失う訳ね)
脳内に響き渡る先生の言葉。
何が学園側の損失よ……
もう既に嫌って程、損失は被ってるじゃない……!!!!
「……どうすんのよ……これ……」
完膚なきまでに打ち崩された、森の一角……
それがまるで、あたし自身の心をも表してるようで……
切なかった。苦しかった。
自分の力をどこにぶつければいいのか、全然……わからなかった。
と、そこへ。
「……ここにいたか、柊杏璃……!!!」
妙に聞き覚えのある声に、あたしはふと振り返った。

125:名無しさん@初回限定
06/11/20 21:50:12 3BM9wjB50
今更だが支援

126:「世の中やっぱり甘くない」Parallel(24/24)
06/11/20 21:50:50 LIyohTDp0
「式守……伊吹……!?」
「見つけたぞ……柊杏璃……では、さっそく行くぞ!!!」
「え? ちょ、ちょっと待ちなさいよ伊吹!!!」
あの小生意気な伊吹がここまで狼狽してるなんて……一体何があったって言うの?
「てゆーか、いきなりついて来いって言われてもわけわかんないわよ!!!
 連れてくならせめて理由くらい言いなさいっての!!!!」
「話は後だ……とにかく、中等部……あそこは危険だ!!!」
「中……等部……?」
伊吹の言葉に、あたしは一瞬戸惑いを隠せなかった。
中等部って……雄真が編入された、あの中等部……?
「まさか……あんたの用事って、雄真のこと?」
「まぁそんなところだ……とにかく行くぞ柊!!!
 あの女……明日香の奴を、このまま野放しにしておくわけにはいかぬ!!!」
未だに話は見えてこないけど……
とりあえずわかったことは……今まさに雄真に危機が迫ってるってこと……
「……それなら話は早いわ。どこへ行けばいいの、伊吹!!!」
「中等部の教室だ!!! とにかく、ついて来い柊!!!!」
あたしたちは高まる緊張感を胸に、中等部へと向かうのだった。


127:温泉の人
06/11/20 21:51:34 LIyohTDp0
まず最初に。ごめんなさい皆さんorz
本編がせっかくコメディ路線でやってるのに、何でこんな鬱展開にしてんだ自分;

最近こちらにもすごくレベルの高いはぴねすSS書きが増えて嬉しい限り。
皆さんからのバラエティ溢れるSSの数々、すごく刺激になります!!
私もまだまだ負けてはいられませんねw

てなわけで今回ちょっと鬱ネタに走っちゃったんで、次回はあまあまな話で。
今のところ春姫とUMAとの魔法稽古で、勝った方が負けた方を好きに・・・って話考えてます。
もちろんむふふな展開もあるかも?なので、今しばらくお待ちくださいねノシ

128:名無しさん@初回限定
06/11/20 22:08:34 AaV+EiiG0
乙ですー

うーむ、これはまた鬱シリアスに方向展開しましたな。読む方は結構戸惑ったり。
春姫がえらい目に。
つか、事情はあるにしろ、鈴莉って外から見たら「子供を捨てた親」と言う立場なので
なんかUMAと周辺の対応がちとやりすぎと言うか、がんじがらめと言うか……下手したら
メチャクチャ身勝手な措置では?
人物認識阻害なんて、音羽さんが聞いたらぷんぷん怒りそうな感じ。

129:名無しさん@初回限定
06/11/20 22:26:50 bsSKhXeV0
>温泉の人
>>本編がせっかくコメディ路線でやってるのに、何でこんな鬱展開にしてんだ自分;

てか、麻雀のシーンで何気にネタしてるやんwwww

130:名無しさん@初回限定
06/11/20 23:57:14 Pajlidb+0
GJ。
・・・暗っ!(w そして、御薙先生酷っ!(ww 伊吹相手だったらどうなっていた事やら。
でも、UMAの今回の動機って人を傷付けない為の制御が第一目的で、
追加で人助けが出来たらいいなあぐらいじゃなかったっけ。
進路まで決めているおかーさま空回りしているような。

131:世の中甘くないno
06/11/21 22:02:53 XnjYFwu50
 投稿乙です。
 上手いです。上手すぎますよ温泉の方。
 特に不幸展開がいいですねえ。春姫と杏璃の不幸っぷりに背筋がゾクゾクしますよ。
 ……でもこれ、やけに気になるところで切れてますね。
 続きが気になる。

>>100
 100様、有難う御座います。

>校舎と周囲の学生は無事か!?
 学生は兎も角、校舎は無事ではありません。秘宝事件冒頭以上の大破壊です。



次ページ
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch