朝起きたら、妹に その13at EROG
朝起きたら、妹に その13 - 暇つぶし2ch2:名無しさん@初回限定
06/08/25 23:18:34 W0JJibKw0
>>1新スレ乙

朝起きたら妹が潜入捜査官になっていた


3:目からビーム ◆A/myMazZ7Y
06/08/26 00:12:19 q2nJhWbl0
>>桐莉兄氏
 乙です。&がんばってください。

4:名無しさん@初回限定
06/08/26 09:16:31 n1WPlMjz0
>>1
乙でありますぅ!
我々住人一同、応援してるでありますっ!

5:名無しさん@初回限定
06/08/26 16:36:44 0Q9xIUFK0
朝起きたら、妹が1乙していた。

6:名無しさん@初回限定
06/08/26 20:57:46 BetCDLDQ0
>>1
超乙
このスレも良SSで彩られますように

7:突発屋 ◆63./UvvAX.
06/08/27 02:56:08 rtZt7OBZ0
 『おはよ、CJ♪』
 電線越しに届く声は相変わらず脳天気だった。
 「…………俺様の貴重な休日を朝っぱらから台無しにしやがるお
前は何処の誰だ……?」
 『ちょっとー、可愛い妹の声を忘れちゃったの? まさか脳味噌
までビールと一緒に飲み込んで全部消化しちゃったんじゃないでし
ょうねー?』
しかも相変わらず失礼な奴だった。
 「………いいか小娘、一度でも俺と擦れ違った事がある奴は……
一度でもだ! こんな…………あっと………」
 『午前8時31分50秒よ。』
 「そう! 午前は8時30分に豚の断末魔みたいなベルを何十回
も鳴らして俺の安息を邪魔したりはしないんだよ! もしもそんな
野郎が俺の家族を名乗ってもケツにダイナマイトを突っ込んで月ま
で………」
 『私、女。』
 「………アマが兄妹だとぬかしやがってもケ……」
 『女の子に向かって「ケツ」なんて二回も言ったってママが聞い
たら土星まで蹴飛ばされるんじゃないかな?』
 「…………………ママは元気なのか?」
 『最後にあったのは先週の結婚記念日だけど、プレゼントを買っ
て帰るのを完璧に忘れたパパをチェーンソー片手に家中追いかけ回
してた。ケイティがそれ見て指さして笑ってたわ。』
 「……………………………………………」
 『でね? 私、いま仕事で近くまで来てるんだけど…………』

8:突発屋 ◆63./UvvAX.
06/08/27 02:59:53 rtZt7OBZ0
 という訳で、俺は妹に『お願い』され早朝の町並みを愛車でカッ
飛ばしている。やたらと坂道の多いサン・フィエッロの街は大きく
分けて(俺も住んでる)標高の高い北部の住宅街と、標高が低く港
に面した南部のショッピングエリアに分けることが出来る。妹が指
定したのは南部の、しかも移民達がやたらとスパイシーな香りを宇
宙人語と一緒に撒き散らしている寂れた一帯だ。あの辺りは舗装も
満足に出来てないからピッカピカに磨いた車が、一瞬でミイラと一
緒にピラミッドから掘り出した壺のように…………
 「CJ! CJーっ!!」
 と考えている間に妹の姿が見えてきた。アイツの姿を拝むのは実
に五年ぶりだが、無駄に元気が余っている様子は学生時代と全く変
わっていないようだ。
 (そういや、仕事で来てるとか何とか言っていた割には何の仕事
をしているのか言わなかった気も………)

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 「……って、安い車乗ってるんだねー兄さんは。トランクの後ろ
にゼンマイ穴でも付いてるんじゃないと思っちゃったわよ?」
 「馬鹿言え。こう見えても最新型の反水素エンジンを積んでるん
だぜ?」そして相変わらずの減らず口「それより、お前の方こそ筏
でたどり着いたみたいな面してるぞ。新婚旅行の途中で離婚届と一
緒にジャンボ機の窓から放り出されたんじゃないだろうな?」
 「何よぉ!?」
 「何だぁ!?
 と睨み合うこと数秒。
 「………………ぷっ!」
 「くくくくっ!」
 「「あはははははっ♪」」


9:突発屋 ◆63./UvvAX.
06/08/27 03:00:55 rtZt7OBZ0
 「それにしてもお前、いま何やってるんだ?」
 「何って………何よ?」
 ひとしきり笑い合った後、妹の唯一の荷物である(妙に重い)スポ
ーツバッグを運んでやりながら先刻から気になっていた話題を振って
みる。こんな移民街のド真ん中で立ち往生している、と言うことは少
なくても空港から此処までは何らかの交通手段を用いて移動している
筈だろう。
 「仕事の事だよ、シ・ゴ・ト。まさか本当にパラシュートで来た訳
じゃないだろ? それにこの辺りはサン・フェッロでも一番臭い肥溜
めだ。まっとうな商売人なら間違いなく避けて通る場所だぜ?」
 それどころか真っ当な警官さえ寄りつかない地区である。
 「あー………それがねぇ……」と微妙に口籠もる妹「……ちょっと
事情が複雑なんだけど、実は……」

 「よぉ、スー! デカい鞄下げて新婚旅行か?」
 
 「あ……!」
 「ん?」
 顔を上げると、余り頭が良さそうには見えない三人組が宇宙語訛り
とオツムが足りなさそうな笑みを浮かべて近づいていた。何処から見
ても、この辺りを縄張りにしているチンピラ共だ。
 「荷物が届くまでのゆ、有給休暇よ。嘘だと思うんならタイムカー
ドを調べて来たら?」
 「ああ、有給休暇ね……」へへへ、と他の仲間を目配せをしながら
先頭のアラブ人が大げさに首をすくめてみせる「……それなら、たっ
た今キャンセルになったぜ、スー? 俺達のビッグ・ボスがお呼びな
んだよ。緊急事態って奴だ。」

10:突発屋 ◆63./UvvAX.
06/08/27 03:03:13 rtZt7OBZ0
 「兄さん」と最小限の口の動きで呟く妹「合図をしたら、バッグと
一緒に車に飛び込んでエンジン掛けて。連中は私が引きつけておく
から。」
 「ってゆーか、何やったんだお前?」
 「私もよくわかんないけど………歓迎はされてないみたいね。」
 これまたいつの間にか通からは人影が消えており、店という店がシ
ャッターを降ろして施錠済み。砂混じりの風だけが吹き抜けてゆく大
通りはまるでイストラカン村だ。
 「緊急事態だか何だか知らないけど、私の仕事は荷物の手配だけな
の。そっちのゴタゴタはそっちで片付けて頂戴。」
 視線で相手の動きを牽制しつつ、ゆっくりと移動を始める妹。双方
共に背中に隠したモノを抜くチャンスを窺ってるのは誰の目にも明ら
かだ。俺も連中に気取られないよう車に近づく。
 「ところが、事はそんなに単純じゃねぇんだ、スー。ボスの”信頼
できる筋”って奴によると、どうやらワシントン辺りから来たドブネ
ズミがチーズの固まりを探してコソコソ嗅ぎ回ってるらしくてな。余
所者は一人残らずケツの穴まで掘り返して調べてんだよ。お前さん、
確か何処でケツの穴から生まれたんだったっけか?」
 「………ワシントン?」
 「コップ(警官)だよ。それも連邦警察様様って奴だ。バッチさえ
付けてりゃモーゼの奇跡も片手で出来ると信じてやがるファッキン・
クライストの団体さんだ。あんただって、そんな連中と一緒くたにさ
れるのは癪に障るだろ、スー?」
 「……確かにそうね、ムカつく話だわ。」
 妹の右手がゆっくりと、本当にゆっくりと動いてジャケットの懐に
ある何かを取り出そうとする。
 「動くんじゃねぇ!」と、その動きに慌てて拳銃を抜く三人「その
ままこっちに投げて寄越せ、ゆっくりとな!!」

11:突発屋 ◆63./UvvAX.
06/08/27 03:04:29 rtZt7OBZ0
 「ゆっくりと………ね?」 ピンッ、とコインを指で弾いた様な音
と共に見せつけるように取り出したのは、スプレー缶を一回り小さく
した緑色の……「ほら、坊や達に特製イースターエッグのプレゼント
よっ!!」
 「な……!」
 「え?」
 「ヤバ……」
 「CJ!」

 (ズズンッ!!)

 背後でスタングレネードが盛大な音で破裂したが、その衝撃と閃光
をまともに浴びたのはチンピラ共だけ。俺と妹は文字通り車に飛び込
んでイグニッションを回しアクセルを踏み込んだ。
 「このまま真っ直ぐ! 思いっきり飛ばして!」
 「言われなくったってそのつもりだっ!!」
 キュキュキュ、と数回タイヤを鳴らした次の瞬間に俺の愛車はロケ
ット顔負けのスピードで疾走していた。煙と閃光と砂埃でのたうち回
っているチンピラ共の姿がバックミラーの中でみるみる小さくなって
ゆく。
 「スージー! 一体全体お前は何の仕事……」
 「そんな事より前見なさいよ、前っ!!」
 「前って…………うわわっ?」
 前方には車線を塞ぐように横付けされた二台のワゴン車とSMGら
しき鉄の固まりを構えた男達が待ちかまえている。

12:突発屋 ◆63./UvvAX.
06/08/27 03:05:15 rtZt7OBZ0
 「…………CJ?」
 「あん?」
 俺の不機嫌そうな声にはビクともせず、スポーツバッグの中から取
りだした拳銃(たしかグロッグとかいう筈)に銃身よりも長い弾倉を
差し込んだ妹は悪魔の笑みを浮かべていた。
 「労災は無理だと思うけど、車の修理だけなら必要経費で落とせな
いこともないと思うのよね、私? だから………」
 「だから?」
 「頑張ってね、兄さんっ♪」
 「し……死んだらFBI本部に化けて出てやる~~~~~っ!!」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆



  
 「あぁ………悪いけど私はFBIじゃなくってATFだから♪」

13:突発屋 ◆63./UvvAX.
06/08/27 03:07:48 rtZt7OBZ0
保守代わりに書いてみた。
後悔はしてない。

ああ、石を投げないでください………(汗

>桐莉兄

乙です。
ちなみに私ゃ暫定HPの管理人ですがねw

14:名無しさん@初回限定
06/08/27 03:15:54 NGFcRIne0
>>13
そろそろ佐々原里佳子に会いたいな(ボソッ

15:名無しさん@初回限定
06/08/28 22:11:10 4HtYJUEU0
即死回避保守

16:突発屋 ◆63./UvvAX.
06/08/29 05:10:57 Q33WqXoa0
前スレ参照。
まぁネタだと思って許してくださいw

17:突発屋 ◆63./UvvAX.
06/08/29 05:11:23 Q33WqXoa0
 「秀ちゃん、私が黙っててあげたら何でも言うこと聞いてくれる
って言いましたよね?」
 「え、えっと……それは……そう言う意味じゃなくって……」
 ほぼ垂直に窓から差し込む日差しが今日も暑い昼下がり。下宿先
である柊邸のリビングにて柊家の長女であり勝ち誇ったような笑顔
を浮かべた睦月に一方的に問い詰められながら、柊秀樹は己が軽率
さと意志の弱さを激しく後悔していた。
 「じゃあ、どういう意味だったんですか? ちゃぁんと説明して
くれないと私、お父さんとお母さんに何もかも正直に話したくなっ
ちゃいますよぉ?」
 現在、柊邸に居るのは秀樹と睦月の二人だけ。睦月の両親と妹の
蒼はそれぞれの用で外出中なのだ。逃げるに逃げられない秀樹の背
中は既に冷や汗でぐっしょりと濡れている。
 「……だから、どういう意味って言われても……」
 咄嗟に出た謝罪の常套句であり、何も考えてなかったとは言えな
い秀樹。それはそれで自分の首が絞まる一方ではあるが。
 「説明できないのですか? じゃあ私が決めちゃっても良いので
すよね? なんと言っても私は被害者なのです♪」
 被害者、と名乗る声まで楽しそうな睦月は秀樹よりも頭二つ分ほ
ど背が低いショートカットの美少女。いまにも歌い出しそうな笑顔
で延々と秀樹を責め続ける彼女からは、少なくとも被害者らしい悲
壮感は微塵も感じられない。
 「うぅ………」
 それでも被害者には違いないのだから反論できない秀樹。
 「それでは、秀ちゃんにも異論は無いようなので秀ちゃんから深
ぁーい精神的苦痛を受けた私が決めちゃうても良いのです。さぁ秀
ちゃん…………

 『オナニーしてるところ、見せてください』♪」

18:突発屋 ◆63./UvvAX.
06/08/29 05:12:50 Q33WqXoa0
 「………睦月……さん?」
 「なんですか、秀ちゃん♪」
 「そんなに間近で見られると、ちょっと……」
 「近くても離れても見られることに変わりはないのです。ささ、パ
パっと景気よく脱いで欲しいのです♪」
 ささやかな箱庭に面した明るいリビング。立ったまま渋々ベルトに
手を掛けた秀樹と、大きな瞳を好奇心で爛々と輝かせながら膝立ちで
股間に顔を寄せる睦月との距離は十センチ少々。文字通りの「息がか
かる距離」というか、勃起すると顔に当たる距離である。
 「で、でも………」
 「これは四千年も前から続く由緒正しい刑罰理論なのです。秀ちゃ
んが先に私のオナニーを見たのですから、私には秀ちゃんのオナニー
を見る権利があるのです。」
 「それは、お前がドアをちゃんと閉めないで……してたから……」
 「それなら何も見なかったことにして部屋に戻るか、オナニーには
気付かなかった振りをして私に注意すれば良いだけなのです。こそこ
そ隠れて覗いた秀ちゃんは、犯罪者そのものなのです。」
 「う、うぅ………」
 「散々美味しい思いをした秀ちゃんが、今更同情を誘った所で無意
味なのです手遅れなのです。私の要求が不当で気に入らないなら、お
父さんかお母さんに………」
 「わかった、わかったからっ!」
 「っ!?」
 「…………見せたら、ほんとうにチャラなんだな?」
 「とと、当然です。同じ穴の狢になりますから二人ともナイショで
手打ちなのです。」

19:突発屋 ◆63./UvvAX.
06/08/29 05:13:37 Q33WqXoa0
 そうして「一回だけだからな」と繰り返しながら渋々ズボンとパン
ツを降ろし取り出された秀樹のイチモツは………
 「………………ちっちゃいです。」
 「まだ勃ってねぇっんだよっ。」
 ………まるで象さんの鼻の様に垂れ下がっていた。
 「勃たないと、出来ないんですか?」
 「少なくても勃ってない状態でシたことはない……というか勃つか
らシたくなるって言うか……」
 「ふぅん………」と理科の実験を傍観するように男性器に見つめな
がら呟く睦月「……それじゃあ、おっきくしてください。」
 「…………………………………………」
 先ほどからのやりとりで凹まされる事はあっても興奮させられる要
素が皆無だったし、こんな開けっ広げで明るい場所て昼間から、しか
も年下の女の子にお披露目するために勃起させておけと言うのは無理
な注文である。仕方なくフニャフニャの分身を左手で包んで擦り始め
た秀樹だが……
 「なるほどぉ。そういう風にするんですか……」
 「…………………(しこしこしこしこ)」
 「……………………………………」
 「…………………(しこしこしこしこ)」
 「………………………………………」
 「………………………………………」
 「…………………(しこしこしこしこしこしこしこしこ)」
 「……………………秀ちゃん?」
 「ンだよっ。」
 「全然、おっきくなりませんよ?」
 「わかってるよっ!」

20:突発屋 ◆63./UvvAX.
06/08/29 05:14:35 Q33WqXoa0
 異性に見られてる、という非常にマイノリティな要素だけでは満足し
てくれないムスコに苛立ちながら行為を続行する秀樹だが、焦れば焦る
ほどに愚息は言うことを聞いてくれなくなる。早い話、オカズが全然足
りないのだ。
 「………………秀ちゃん……」
 そんな秀樹を不思議そうに見上げてくる睦月の愛らしい顔と昨夜の艶
めかしい声を重ねてみても効果無し。それどころかギャップが激しすぎ
て逆効果になってしまう。
 「もしかして秀ちゃん、最近よく言われてる勃起不……」
 「ンなんじゃねーよっ!!」
 一昨日の夜は睦月の声をオカズに抜いたのだ。同じ睦月を使っている
んだしと思っても全然興奮できないのは雰囲気なのか罪悪感か。どちら
にしても倦怠期の夫婦か種が枯れた更年期の病気と一緒にされるのは不
本意この上ない。目を閉じ記憶の底を浚い、ありったけのオカズを持ち
出して続行するも、拭いきれない背徳感の所為で没頭できず体も反応し
てくれない。やがて……
 「……………………あ……あのさ?」
 「はい?」
 一回分ほどのエネルギーを使い切った秀樹は、それでも臨戦態勢にな
ってくれない愚息にこれ以上の労力を割いても無駄ではないのかと悟り
始めていた。というか疲れてきた。
 「悪いけど、ここじゃ駄目っぽいんだよ……な?」
 「『だめっぽい』?」
 「雰囲気っつーか意欲っつーか、お前に命れ……頼まれただけで『ハ
イそうですか』という具合にはいかないんだよ。」

21:突発屋 ◆63./UvvAX.
06/08/29 05:15:00 Q33WqXoa0
 「それって、要約すると『オナニーするにはオカズが足りない』って
事なのですよね。」う~ん、と目の前のナヨナヨを睨みながら口の中で
唸る睦月「男の子って、年がら年中発情したワンちゃんみたいなモノか
と思っていたんだけど、意外とデリケートなのです。」
 「おいおいおい………」
 いくら何でも犬と一緒にするなよ、と肩を落とす秀樹。
 「うぅ~~~~~~ん……」
 「だからな? こういうのは止めて別の………」
 「わかったのですっ!!」
 「………って、人の話を………うわっ!?」
 「秀ちゃんの為に、私も一肌脱ぐのです!」
 言うが早いか立ち上がり、着ている服を片っ端から脱ぎ捨ててゆく睦
月。クリーム色のサマーセーターを首から抜き取って部屋の隅に投げ捨
て紺色のロングスカートも外すと、中から現れるのは上下お揃いらしい
ライトグリーンのストライプ模様のスポーツブラとショーツと純白の靴
下だけを身に纏い、小さな二つの拳で顎を支えるようにして胸元を庇う
美少女の艶姿………………なのだが。
 「さぁ、さぁさぁさぁさぁ! いますぐおっきくするのですっ!!」
 まるで親の敵のように睨まれては、勃つものも勃たない秀樹だった。 

22:突発屋 ◆63./UvvAX.
06/08/29 05:19:33 Q33WqXoa0
>>15

>そろそろ佐々原里佳子に会いたいな(ボソッ

だよねっ、だよねっ!?>オマエガイウナ

23:突発屋 ◆63./UvvAX.
06/08/31 05:07:58 Oi0UXSzJ0
>>21の続き、これで完結(?)です。

24:突発屋 ◆63./UvvAX.
06/08/31 05:09:14 Oi0UXSzJ0
 非常に気まずい空気が、二人きりのリビングを満たしていた。窓
の外では暑さに負けまいと頑張る蝉たちが、我先にと木陰を奪い合
いつつ全く息の合っていない大合唱を続けている。
 「秀ちゃん?」
 「………………………………」
 「どうして、おっきくならないんですか♪」
 涼しげな表情こそ装っていても、下着姿(+靴下)になった睦月
の目は明らかに笑っていない。というか砂時計のように秒単位でス
トレスが蓄積されていく様子が手に取るようにわかる。
 「………あの、睦月さん?」
 「なんでしょう?」
 「肩とか、ちょこっと触らせて……」
 「却下なのです♪」
 「…………はい。」
 四歳も年下と言うだけあって凹凸の乏しいボディが、色気の欠片
もない清純な色とデザインの下着に包まれている段階で少女のセミ
ヌードというよりはジュニアアイドルのグラビア。いくら素材が厳
選品でも食傷気味の調理方法では物足りないのだ。
 「……はぁ……」と、困り果ててしまった秀樹の様子を見かねた
のか、睦月が気の抜けた溜息を漏らす「……仕方ないですね。秀ち
ゃんが可哀相なので、ちょっとだけサービスしてあげるのです。」
 「さ、サービス!?」
 「あれ………いま、ピクって動いたのです。」
 「あ………」
 「うふふ、秀ちゃんてば『サービス』って言葉だけで興奮するん
ですかぁ? お兄ちゃんの割には、案外単純なのです♪」
 「………………………………」

25:突発屋 ◆63./UvvAX.
06/08/31 05:10:18 Oi0UXSzJ0
 「ほら、秀ちゃん?」つるぺた体型にフィットし過ぎなスポーツ
ブラは下着と言うよりチューブトップか肌着。その真っ平らな襟元
に上から細い指を差し込み「女の子の秘密を、少しだけ見せちゃう
のです♪」

 (びくびくっ!)

 「あ…………!」
 「す、少しだけ大きくなりましたっ。」
 肩紐はおろかホックすら外していないブラを数センチ引っ張った
程度で中身が見えたりはしないのだが、睦月が自分の為だけに胸元
を広げてくれるというシュチエーションの所為か、はたまたチラリ
ズムという行為自体の破壊力なのか、熱い血液を流し込まれた海綿
体は僅かながら膨張を始めている。
 「うふふふっ♪」睦月、ご満悦「体だけ大きくなっても、中身は
赤ちゃんのままなのです。そんなにママのおっぱいが恋しいのです
かぁ?」
 「あ、アホか! そういう問題じゃ……!」
 「ほらほら秀ちゃん。もっと奥まで、タップリと覗き込んでも良
いんですよぉ?」
 「うぐぐ……!」
 精神的な優位を確信したのか、羞恥に頬を染めながらも年に似合
わぬ妖艶な笑みを向け前屈みになる睦月。当然、指で広げたブラの
内側の更に奥までが見えるようになるわけで。

(ぐぐぐぐっ!)

 「ぅわぁ、どんどん大きくなるのですぅ♪」

26:突発屋 ◆63./UvvAX.
06/08/31 05:11:27 Oi0UXSzJ0
 視線が釘付けとなってしまった秀樹の分身は更に膨張を続けつつ
目の前の少女に牙を向けんばかりに鎌首をもたげてゆく。もう八割
方は戦闘態勢になったと言っても良い程だ。
 「それに、エッチな匂いがするのです。」
 体温の上昇と共に発散される性臭が二人を包み込む。秀樹本人に
は不快極まりないだけの匂いを、睦月は鼻をクンクンと鳴らしなが
ら吸い取ってゆく。
 「お、おい睦月! 止せって!!」
 「男の子のって、こんな香りがするんですね。」発情臭に含まれ
るフェロモンに酔ってしまったのか、うっとりとした顔で勃起に顔
を近づける睦月「少ししょっぱいけど、なんだか癖になりそうな匂
いのれすぅ♪」
 「も、もう良いだろ?」目の前の美少女の痴態に秀樹のボルテー
ジも上昇してゆく「もう覗いたりしないから、いい加減……」
 「駄目ですよぉ?」ごくり、と小さな喉が動く「この子もおっき
くなったことですし、秀ちゃんのオナニー見せてくださいね?」
 「しかしだな………」
 秀樹の衝動は既に『抜きたい』ゲージを超えて『押し倒したい』
ゾーンに達しようとしていたりする。しかも、すっかり興奮してい
るらしい睦月の様子を見ていると『もしかしたら拒まれないかも』
という恐ろしく自分勝手な妄想すら浮かんでしまう。
 「却下なのです。おっきくなったおちんちんを、さっきみたいに
擦ってくださいなのです。」
 「……一回かだけだからな? これっきりだぞ?」
 「約束は忘れてないのです。だから早くお願いしますぅ!」

27:突発屋 ◆63./UvvAX.
06/08/31 05:12:44 Oi0UXSzJ0
 亀頭に視線を、陰嚢に吐息を感じながら秀樹は幹の根元あたりを
握って普段より少し速く手を動かし始めた。一刻でも早く終わらせ
たいという羞恥心と、今すぐにでも精を放ってしまいたい欲求とが
彼の単調な往復運動を自然と加速させる。
 「ぅわ、うわぁ………!」
 それを顔が触れんばかりの至近距離で近で凝視している睦月の顔
に浮かんでいるのは羨望の色。その小さな唇の奥ではヌルヌルとし
た唾液が大量に分泌されている。
 (……秀ちゃん、気持ちよさそう……)
 「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……」
 「秀ちゃん、秀ちゃん?」
 「ンだよっ! う………!」
 「先っぽから出てるヌルヌルは、精液なのですか?」
 尿道口から滲み出てきた粘度の高い液体が、大きな字滴となりト
ロリと垂れる。鼻を近づけてみても、他の匂いが邪魔している所為
か何の臭気も感じ取れない。
 「それは我慢汁って………いいから黙ってろよっ!!」
 「なるほどなのです。これがカウパー氏腺液なのですね。秀ちゃ
んが感じてる証拠なのです♪」
 「オナ………やってるんだから当然だろ! 知ってるんなら一々
解説すんなっ!」
 「ひょっとして、照れてるんですか? 感じてる秀ちゃんの顔、
ちょっと可愛いかもです。」
 「うひゃっ!?」
 ぺろり、と小さな舌先が裏筋を舐めあげる感触。
 「(れろれろっ、くちゅくちゅくちゅ…………ごくん)……うぅ
~ん、匂いがないから味もしないかと思いましたけど、舐めてみる
と意外と汗に似てるのです。」

28:突発屋 ◆63./UvvAX.
06/08/31 05:13:54 Oi0UXSzJ0
 「………って、飲んだのかよっ!?」
 「精液でないなら、飲んでも平気なのです。これで秀ちゃんの味
を覚えちゃったのです。それより秀ちゃんは、頑張ってシコシコし
ないと駄目なのですっ!」
 「だからって…………おいっ!?」
 「えぇ~い、しこしこしこしこっ♪」
 業を煮やしたのか、肉棒を握る秀樹の左手を睦月の両手が包み込
み、そのまま先ほどからの動きを真似して秀樹のイチモツをハイス
ピードで扱き始める。程よい握り具合(自分の手)と予想外の動き
(睦月の手)が合わさって、たちまちの内に下腹部から射精感がこ
み上げてくる。
 「ちょ、待てって……!!」
 「もんどーむよーなのですっ。えいえいえいえいえいっ♪」
 「ぬぬぬぬぬっ!」
 加減さえ出来れば尿管の中で押しとどめることも可能だが、他人
事というか無邪気故の乱暴で強引な動きの中で制御など出来るはず
もない。ささやかな抵抗をモノともせず、熱い奔流が内側を押し広
げながら出口へと殺到する。
 「出る………出ちまうって!!」
 「聞っこえません聞っこえません♪ 秀ちゃんは……えぇっ!?」
 「ぬあっ!!」
 
 (どぴゅ、どぴゅどぴゅどぴゅどぴゅっ)

 「あ………が………ぐぐ………」
 「きゃ! なに、これ? ああっ、やぁ~~~~んっ!!」
 腰が抜けるような快感と共に、秀樹の放った白濁液が睦月の可愛い
顔はおろか、剥き出しの肩や小さな口元や朝着替えたばかりのブラま
でもを白く染め上げていった。

29:突発屋 ◆63./UvvAX.
06/08/31 05:14:41 Oi0UXSzJ0
「…………秀ちゃん、酷いのですぅ……!」
 結局、髪までドロドロになった睦月はシャワーを浴び、その間に秀
樹が後始末をする羽目になってしまった。上から下まで全部着替えて
バスルームから出てきた睦月は石鹸とトリートメントの香り漂う清々
しい美少女に戻っていたが、顔射のショックからは未だ立ち直れない
らしく目尻に涙を溜めたままだ。
 「だから俺が悪かったって、な?」
 一方の秀樹はティッシュで先を拭いズボンを履き床を拭き、精液が
付着したスポーツブラをぬるま湯で揉み洗いした後で洗濯篭の真ん中
に隠し、部屋の空気を入れ換え終わったばかりである。少なくてもこ
れで事が露見する可能性は低くなった筈だが。
 「秀ちゃんのネバネバ、髪に絡みついて洗い落とすの大変だったの
です! 何だか顔はパリパリするし、お口の中の変な匂いも消えてく
れないのですぅ~!」
 どうやら口の中にも幾らか入った様だ。
 「悪かった! ほんとーに悪かった、このとーりっ!」
 冷静に考えてみれば秀樹に非はないのだが、年下で可愛い大家の娘
に泣きそうな顔をされては何も言い返せない。
 「………本当に反省しているのですか、秀ちゃんは?」
 「してるしてる、海よりも深ぁーく反省してますって!」
 「むーっ!」
 「……………………」
 「むむむむ!?」
 「…………頼むよ、睦月ぃ。」
 「じゃあ……」という声に安心したのも束の間「……特別に、一つ貸
しということで手打ちにしてあげるのです♪」
 「……………………・はい?」
 「秀ちゃんに、どんなお願いをしようか今から楽しみなのですっ。あ、
蒼ちゃんお帰りなさいなのですー♪」
 どうやら、秀樹の不遇(?)はまだまだ続きそうであった。

30:突発屋 ◆63./UvvAX.
06/08/31 05:19:06 Oi0UXSzJ0
以上であります。
それと、一応ハル氏が運営してる正規保管庫へのリンクも張っておきます。

朝妹スレ私設まとめ(仮)
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31:名無しさん@初回限定
06/08/31 21:31:24 NdI3OmvH0
SS乙!
前スレの希望を取り入れてくれて嬉しすw
やっぱこういうのいいなぁ~(*´∀`)

32:目からビーム ◆A/myMazZ7Y
06/09/02 03:07:06 kJHmZ8xG0
『小悪魔な妹』


第四話 夏祭り


 夏祭りの前日も、気が遠くなるような快晴だった。
「では、来学期でお会いしましょう。さようなら」
 一学期最後の放課後のホームルームが終わった直後、割れるような歓声と拍手が教室に満ちた。
 大半の生徒は、期末テストという隘路を乗り越え、いよいよ夏休みに入るのだ。
 そんな中、当夜の席から斜め前に位置する孝之が机に突っ伏しているのは、追試三つという更なる試練を課された絶望に他ならない。
 しかし、部活や恋人、あるいは趣味や旅行などのイベントが予定されていれば楽しみだが、帰宅部彼女ナシの当夜にとって、夏休みはそうありがたいものではない。
 かといってクーラーの効いた予備校で過去問を解き続けるなんてのも真っ平ごめんだ。
 結局は暑いのでダラダラ過ごし、たまに気分転換に遠出する。体にカビが生えてきたら落としにいくくらいの生活を送る予定しかなかった。
 去年は本当に、その程度の生活しか送っていなかった。

33:目からビーム ◆A/myMazZ7Y
06/09/02 03:08:45 kJHmZ8xG0
 早夜は夏休みの合宿の打ち合わせがあると言っていたので、一人で帰ろうとすると昇降口の下駄箱付近で、たまたま居合わせた加奈子と目が合った。
「あ、当夜先輩。こんにちはー」
 微笑んで手を振るだけの仕種にもどこか気品が感じられた。
「加奈子ちゃんは、打ち合わせとかないの?」
「はい、もう修羅……山場は越えましたんで―あとは当日を待つだけです」
 屈託のない笑みだった。
 突っ込みたいが、この手の人たちに裏話を聞いてはいけないような気がする。
 昇降口を出ると、自然と並んで同じ通学路を歩き始めた。
 妹の友人と二人きりというのは、存外話題に困るものだ。
 早夜のことを話題にしようとすると、その前に加奈子が口火を切った。
「そういえば当夜先輩、今度家に遊びに来ませんか?」
 当夜が突然の申し出に首を傾げると、
「あ、そのですね。漫画のモデルをしてもらいたいんですよー。できれば孝之先輩とも一緒に」
 嫌な予感がした。孝之と一緒というところに腐臭が漂う。
「はは……モデル料は二千円くらいでるのかな」
 軽い冗談のつもりだった。しかし、加奈子は笑顔で指を二本立て。
「とんでもない。二人一緒なら二万円は出しますよ。ああ、これで期待していた体位……じゃなくて構図がうまく描けそうです」
 目をキラキラさせないでくれ。
口に出すことはないが、おそらく想像もしたくない薔薇色の妄想が彼女の脳内を駆け巡っているのだろう。
 これさえなければ、いい子なんだが。
「すいません。その法外に高い出演料が逆に怖いので断らせてください」
 当夜は誠意をもって頭を下げると、加奈子は心底悔しそうな表情で「残念ですね」と呟くのだった。
 どこまで本気だか分からんから怖い。むしろ全部本気なのか。
「ところで話は変わりますけど」
 一度目を逸らしてから、加奈子の目が当夜の目を見る。
「先輩は悪魔って信じますか?」

34:目からビーム ◆A/myMazZ7Y
06/09/02 03:11:05 kJHmZ8xG0
「……突然なんだい? ひょっとして新刊のネタかな?」
 動揺は、なんとか押し隠せたと思う。
 何故突然そんなことを聞くのか? とは言い返せなかった。それは肯定しているものの答えだからだ。
「いえ。深い意味はありませんけど、どうですか? いると思います?」
 口調こそ冗談交じりだが、目が笑ってない。
 僅かな逡巡の後、当夜は嘘をついた。
「証拠があるわけじゃないけど、普通いないと思う、かな」
「ですよね。私もそう思います。変なこと聞いてすみません」
 加奈子の表情が緩む。
 先に数歩進み、そしてくるりと振り返って微笑んだ。
「でも、もし見たら教えてくださいね。とても大切なことなんです」
「どういうこと?」
 そうなんだ。とでも言って話を打ち切ればよかったんだ。なのに、訊いてしまった。
 真顔に戻った顔を加奈子は前に向けた。
「とても気になっていることなんです。正直言うと、私も本当なのか、よく分かりません」
 溜息交じりの声だった。

 六月の終わりから鳴き続けている蝉が、いっそう激しく鳴く音が、通学路の並木道に響いていた。
 まるで、今が彼らの正念場だと、誰かに訴えるように。

35:目からビーム ◆A/myMazZ7Y
06/09/02 03:16:22 kJHmZ8xG0
 家に帰ってしばらくすると、早夜も戻ってきた。
 かいがいしく料理や洗濯をしていたのは、やはり隠遁生活が極度に暇だったからという、はしかのようなものであったらしい。
 今は家事のほとんどを母に任せ、父の見舞いで家を空けようものなら、ベッドの上でけだるそうに「出前ー出前ー」と口ずさむだけである。
 昨日の落雷についても気にしてる様子はないので、少しほっとしたが、いずれにしても、放課後の加奈子の話はできそうもなかった。

「私の祖母の話です。祖母には兄がいました。私が生まれる前の話ですから、そのときの経緯はよく知りませんけど、そのお兄さんは悪魔の少女に好かれたそうです。
 二人は相思相愛の中ではありませんでしたが、お兄さんは悪魔をもう一人の妹のように可愛がり、悪魔はお兄さんを慕っていたそうです。
 そのときのうちの家系は、かなりの貧乏だったそうです。それをお兄さんは嘆いていました。
 悪魔はその力を使って、いくつもの奇跡を起こし、お金持ちにしました。でも、そのとき周囲は何かしら不幸や被害を被ったので、確執が生まれ、人間関係は悪化したそうです。
 分かりやすく言えば、周囲の人たちの財産や資産、幸運やチャンスがお兄さんのところに流れた結果だそうでした。
 次第に、お兄さんは悪魔の少女がこれを起こしていることに気付き、もうお金はいらないからやめてくれといいました。
 悪魔の子も頷きました。でも、止まりませんでした。それからしばらくしないうちに、財産を持ち逃げしようとした両親が事故で死にました。
 お兄さんに辛く当たっていた友人や、取引の人も死んでいきました。
 そうしていくうちに、祖母はとそのお兄さんは怖くなってきました」
 出来の悪い物語を聞いている感覚だった。

36:目からビーム ◆A/myMazZ7Y
06/09/02 03:17:56 kJHmZ8xG0
「少女が悪魔だということは、そのお兄さんだけの話で、祖母は冗談だとばかり思っていましたが、そのときになってようやく信じ始めたそうです。
 兄が悪いものに乗っ取られているのではないかと思った祖母は、悪魔に向かって、出て行け、二度と姿を現さないでくれと、勇気をもって言い始めました。
 悪魔は自分に罪はないと否定しましたが、その翌日、祖母は交通事故にあい、危篤状態になりました。
 お兄さんは責任を感じて首を吊ってしまいました。ようやく悪魔は全て自分が元凶だったことを認めて、その後は力を制御できるようになったそうです。
 妹はじき退院しました。それは孤独な生活の始まりでしたが、莫大な財産が残っていたので、なんとでもなりました。
 そして、それ以来悪魔は、兄の忘れ形見である妹に贖罪の意味を込めて、二度と悪魔による災厄がないよう町を見守る守護者になったのです―終わり」

「あ、すいません。これ、ちょっとボケが入り始めたおばあちゃんの持ちネタですからあまり気にしないでください。当夜先輩は結構信じやすい人ですねあはは」
 そのときの当夜の顔は、よほどマジだったのだろう。慌てた加奈子にフォローを入れられるまで、そのことに気付けなかった。
 当夜が嘘をつけない自分の不器用さを時折憎々しげに思うのはこういうときだった。
「それじゃあ、失礼しますね。明日の夏祭りでお会いしましょう」
 そうして、三叉路で彼女と別れを告げたのだった。

37:目からビーム ◆A/myMazZ7Y
06/09/02 03:25:22 kJHmZ8xG0
 午後六時を過ぎた。
 入院先の父親の所に出かけた母親が帰ってこないという電話がかかってくると、早夜は仕方がないという顔つきで料理を始めた。
 作り始めたのはまたもやシチューであった。手間はかかるが、早夜の中で成功率が高いメニューなのだろう。
 エプロン姿で調理をする早夜の背中の違和感ももう慣れた。
 しかし、夕食の席についたとき、当夜は図らずも口走っていた。
「なぁ。今欲しいものとかあるのか?」
「んん? いきなりどしたの? あたしの誕生日にゃまだ遠いよ」
 スプーンを加えたまま、早夜が怪訝な顔をしたが、当夜は続ける。
「いや、金が欲しいとか男が欲しいとか名誉が」
「へーへー。昨日のは不甲斐ないお兄ちゃんを助ける為に使っただけですー。普段は使わないので安心してくださいー」
「…………」
 気付いてたのか。
「だから今日はめんどくさいけどあたしが作ったんだよ。また出前が間違えてきたら、困るでしょ」
 何も考えてないと思ったら、早夜なりに色々気にしていたらしい。
「そっか、余計なこと言って悪かった」
 早夜は笑いながら手を左右にぱたぱた振り、
「まー。兄思いの妹としては、心労で倒れられても後味悪いしねぇ」
 素直に頷いておけば可愛いのヤツなのに、しかしそれも早夜らしくないと思う辺りに、当夜もマゾの素質があるのかもしれなかった。

 心の中で、昼の加奈子に返事をしておく。
 早夜は大丈夫だと。
 表面上は適当で、いい加減で、自分勝手なふりをしているが、本当は色々気にして、色々考えているのだ。
 だからきっと大丈夫だ。
 そうだろ、と頭の中だけで早夜に聞いてみる。
 視線に気づいた早夜は、シチューをすくいながらウインクしてみせた。
 いくらなんでも偶然だろう。
 カーテンの閉め忘れたことに気付き、窓に近づくと、電柱の近くに飾り付けられた提灯が見えた。
 夏祭りが、始まる。

38:目からビーム ◆A/myMazZ7Y
06/09/02 03:29:36 kJHmZ8xG0
 翌朝の八時から、祭りの開催を告げる花火の音がした。
 母親は深夜には帰ってきたそうだが、早夜の浴衣の気付けを夕方に終わらせると、すぐにまた病院へ向かうようだった。
 当夜の町の夏祭りは、近くの山の麓で行われる。
 家から自転車十分、徒歩で二十五分程度の場所の位置だが、早夜が浴衣を着ていたので、歩いていくことにした。
 祭り会場につくと、待ち合わせをしておいた昼飯のグループと合流した。
 田舎で山の麓ならではの風流な祭りに、女性陣は皆浴衣姿と気合が入っていた。早夜の悪魔セットの違和感は、この際忘れることにする。
「昨日は変なこと言ってすみませんでした。今日は楽しみましょう」
 加奈子ちゃんが耳元で囁いた言葉も、今は気にならなかった。
 高校でそれなりの面子が集まろうとも、やはりやや田舎の祭りというのはたかが知れている。
 毎年変わらない太鼓のリズムと、音楽、そしてどこへ行っても似たような露店が立ち並ぶ人ごみをガキどもが所狭しと走り回っている。
 屋台で買い食いをし、盆踊りを眺め、大音量で響く素人の声を聞きながら、徐々に花火を見るための山に登りだす人たちが増えてきた。
「おう、そろそろ上らないと、いいポイントが取れないぜ」
 孝之が皆の気勢を煽ったが、
「別に後からでも十分だろ」
「山は足を挫くと危ないので、浴衣の人はやめた方がいいですね」
「あたしも今は遠慮しとくー」
「私もまだいいや」
「クソッ! なんて時代だ!」
 孝之は哀愁を身に纏い、最近の若者は軟弱だと憂い、一人山を登っていった。
 花火の時間まで、お化け屋敷に行かないかという話になったが、早夜を入れることだけは当夜は断固として止めた。
 山火事にされてはたまったものではない。
 早夜も不満そうに頬を膨らませはしたが、しぶしぶ頷いた。
 加奈子ちゃんがその落とした肩をぽんぽん叩いて、露店に賑わいに引っ張っていくところは、とても微笑ましいものだった。
 でも、たぶん。会話は濃いんだろうな……。

39:目からビーム ◆A/myMazZ7Y
06/09/02 03:32:29 kJHmZ8xG0
 由香利と二人で入ったお化け屋敷の中は、町会の低予算の限界を感じさせるささやかなものだったが、当夜限定で十分恐怖に足るものだった。
 カップルでお化け屋敷に入ってくる果報者に対する嫉妬と怨嗟の視線が、あらゆる方向から呪い殺さんばかりに向けられてくるのだ。
「くすくす。そんなに怖いかな? 当夜君」
「ええ、怖いです。一人身の周りの視線が」
 薄暗い森に作られた赤と青の照明で不気味に照らし出される道の中、当夜たちはそんなのんきな会話をしていた。
「大体俺だって一人身だっつーの」
「あら、いないんだったら、私はどうかな?」
 らしくない冗談言うんだな。そう言えなかったのは、ひとえに由香利が纏っていた空気故だろう。
 中学の頃、告白を一度だけ受けたことのある当夜だが、そのときの女子の表情や仕種は、未だによく覚えている。
 相手が目の前にいるのに、後ろの物陰に隠れている友人にちらちらと向く意識。
 昼休みの、誰もが目に付く渡り廊下。
 罰ゲームをやってるような試す視線。
 呆れ果てた。だから返事もせず立ち去った。

 でも、これは違う。本来由香利はこんな冗談を言う正確ではないのだから。
 考えてみれば何故気付かなかったのだろう。
 目の覚めるような美人というわけでもないが、控えめだが暗くなく、家庭的な素朴な可愛さを持つ由香利は、クラスでも友人が多い。
 それが何故、女一人で今まで当夜たちと一緒に行動していたのか。
 目の前に見えていたあからさまな蓋をいつまでも取らない当夜に、箱の中身は痺れを切らして自分から空けて身を曝したのだ。

 その中身に気付いたとき、当夜は何も考えられなくなった。いや、強いて言えば探していた。
 断る理由を。
 何故? 断る必要がどこにあるんだ? ああ、ひょっとして―。
「貴様ぁーーーあああ!」
 そのとき、上空に漂っていた人魂が、唸りを上げて襲い掛かった。

40:目からビーム ◆A/myMazZ7Y
06/09/02 03:34:28 kJHmZ8xG0
「あちっ!」
 当夜のうなじを焼いたのは―お化けもここまで文明が進んだが、赤いセロファンの貼られた裸電球であった。
 木の上から垂れ下がったそれが、当夜の顔をしつこく焼いて回ろうとしているのだ。
 同時に背後から、特殊部隊のように数体のゾンビが走ってきた。目標は当夜で、それぞれが獲物を持って狙ってきた。
 うわあと驚いて、当夜は由香利の手を引いて走りだす。
「こるぁーーー神聖なお化け屋敷で不順異性交遊とはなにやっとるか貴様らぁあああ!」
 恐るべきはその表情だ、あれは殺す気だ。わき目も振らず、ルートを疾走する。
 二、三度足が枝葉に取られるが、構わない。
 火の玉も同様、マリオの太陽かジュゲムのようにしつこく追ってくる。
 木の上を移動しながら、当夜の背中のマークを外さない神業に、忍者の末裔でもいたのかと我が目を疑う。
「あちちちやめろ! 客になにすんだこのアルバイト!」
「黙れ食らえ! 怒りに燃ゆる灼熱の人魂! E―39電球1kwの力を受けてみろぉぉ!」
「最早人魂じゃねえぇぇぇ!」
 突っ込みを入れながらも走り続ける。目の前の客とお化けは、背後から迫る百鬼夜行に裸足で逃げだす。次第にゴールが見える。
「店内でラブコメは禁止ですお客さん! さあさっさとホテルでも岩陰でも行けってんだこのド畜生がぁー! うわーーーん!」
 悲しい咆哮を上げて、酷く迷惑な人魂は去った。
 一人身でカップルの引き立てとなるその気持ち、分からんでもない。だが、今は成仏しろ。てか、仕事しろ。
 当夜は一度合掌して、額の汗を拭くのだった。

41:目からビーム ◆A/myMazZ7Y
06/09/02 03:37:48 kJHmZ8xG0
「なんだか、すごかったね」
 二人とも足を挫かなかったのは、軽い奇跡と言ってよかった。
 お化け屋敷のコースは、麓から山の中へ続いていた為、少し上ったところで休憩した。
 一度休んでしまうと、動くのが酷く億劫で、虫の野鳥の鳴き声にしばらく耳を傾けていた。
 岩の上に腰掛けると、ちょうど花火が見やすい位置にいた。
 もともと、それを意識して作られたルートだったのだろう。
 汗が引くと、気温が下がってきたのか、心地よい風が肌に触れた。
 由香利は静かに夜空を眺め、当夜の隣から動かなかった。
 このまま黙ってうやむやにしようとするのは、きっと卑怯で、やましくて、そして、過去に当夜に告白してきた少女のように、誠意のないことなんだろう。
 何かしらの答えを出さなくてはならないのだ。
 頷けばいいじゃないか。
 由香利は性格もルックスもいいし、何より数年の付き合いがあって仲も親しい。
 何を迷う必要があるんだ。
 早夜は、嫌いじゃない。ああ見えて可愛い妹だ。でも、
 所詮は妹なのだ。恋愛の対象にはなりえない。
 いいから何か言え、間が空きすぎる、何でもいいから口に出してしまえば、それが真実だ。
 由香利の方を向く、向こうも視線を合わせてくる。
 炎を吐かんばかりの気合を込めて空気を吸い込んだところで、二つの小さな声は聞こえた。
『ここが、お化け屋敷のゴールですね』
『遅いねぇ二人ともー。人を待たせといてさ』
 暗がりと人のざわめきで、早夜と加奈子ちゃんの気配は全く感じられなかった。
 思ったより時間がかかっていた、そういえばもうすぐ、花火の時間―。
 ひゅうーと空気を切る長い音。直後に弾ける鮮やかな光。
 早夜の前に照らし出されたのは、言葉を紡ごうと向き合っていた、二人の姿だった。

42:目からビーム ◆A/myMazZ7Y
06/09/02 03:40:58 kJHmZ8xG0
 山の外側の当夜と、山の内側の早夜。
 花火の照明は早夜にとって逆光となり、当夜の表情は見えなかった。
 でも、当夜からは、早夜の表情ははっきり見えた。
 一言で言うなら、アテが外れたような間抜け顔だった。
 倍率1・1倍の馬券が外れたような、卵いりのハンバーガーを頼んだのに卵だけ入ってなかったときのような、そんな虚無だけが映っていた。
 カメラのフラッシュほどの時間の後、ふっと早夜は悪戯な顔を見せた。
「あららー。これはいけない現場に遭遇しちゃったかな加奈子ちゃん? お邪魔すると悪いからよそ行ってようかしら」
「……そうですねー。ああでも残念ですこれで当夜さんと孝之さんがいたら……××○○……」
 加奈子ちゃんも同意して、余計な妄想モードに入った。
 それを引っ張って早夜は踵を返す。散歩歩いて、一度だけ振り返った。
「お兄ちゃーん。コンドームは忘れないようにね―んじゃがんばってー」
 ぶんぶんと爽やかな笑顔で手を振ると、そのまま山の奥に消えていった。
 なんともいえない空白を埋めるように、花火と閃光と音が、時間を繋ぎ止めていた。
 そうだよな。
 これでいいんだよな。
 契約した悪魔から、お墨付きをもらった気がした。早夜が目で言っていた。
『今まで面倒色々見てくれてありがとう。もうあたしは大丈夫です。だから、お兄ちゃんも頑張ってね』と。
 だから言える。
 由香利への答えは、気の利いたものはいらない。一言でいい。
『俺でよければ』
 そう、控えめに、けれどもまっすぐ相手の目を見て言えばいいのだ。
 なのに。
 目を開けて由香利を見据えても、さっきの光景が網膜に焼き付いて離れなかった。
 時間はどれだけ過ぎているのだろうか、何秒経ってしまったのか、花火は何発今の間に打ち上げられているのか。
 ぐるぐると目玉の奥が空転していると、由香利がやがて温かく微笑み、言った。
「ありがと。当夜君」

43:目からビーム ◆A/myMazZ7Y
06/09/02 03:43:32 kJHmZ8xG0
 早夜は、加奈子と別れて一人山を走っていた。
 『あたし、ちょっと用事思い出したから、先に山下りてていいよ』
 『はい、分かりました。気をつけてね早夜ちゃん』
 自分がこんなに支離滅裂な嘘をついてしまうとは思わなかった。
 用事があるのに何故山に残るのだ。先に下りていいってなんなんだろうか。
 動揺丸出しの嘘。素直に騙されたふりをしてくれた加奈子の演技と比較にならなかった。
 走りたいとき、浴衣というのはとても不便だと思った。
 帯が緩んではだけるし、足元は絡まる。
 それでも、誰の気配のないところに辿り着きたくて、兄と由香利の声を聞きたくなくて、山を登り続ける。
 体がと頭と、そして顔が途轍もなく熱い。それは羞恥でも怒りでもなく、まるで酒を一気飲みしたような熱さだった。
 何かが自分の殻を突き破って、いつもの自分から遠ざかる、そんな感覚。
 一度目は、夜の自宅。
 二度目は、兄の背中
 いや、覚えがある。初めのこの感覚は、いつだったのか。
 そうだ、あれは確か。
「きゃっ」
 足元の枝に躓いて倒れた。思い切り挫いたせいで、捻挫とはいかないまでもかなり痛んだ。
「あはは……」
 乾いた笑みが漏れてきた。
 何やってるんだろ。ばっかみたい。
 こんなの、あたしらしくないよ。
 顔についた泥と汗を拭おうとして、いつからか涙を流していたことに気付いた。
 いつからどころじゃない。
 子供の頃からずっと好きだった。

 不器用で、一見、頼りなさげで。でも、善悪の区別はしっかりついていて、いざとなると頼れる兄が好きだった。
 自分の嘘やからかいに、うまく引っかかってくれる兄が好きだった。
 度が過ぎると必ず強く叱り、泣き出した自分をそれでも探しに来てくれる兄が好きだった。

44:目からビーム ◆A/myMazZ7Y
06/09/02 03:49:47 kJHmZ8xG0
 あの頃は、自分の限界も、倫理も世界の仕組みも知らなかった。
 兄妹は結婚できないと聞いてもそんな倫理知るか、いとこだって出来るんだしどうとでもなるという、神をも恐れぬ信念が早夜にはあった。
 あの頃の早夜は、自分の想いの力一つで何とかできる気がしていた。根拠はないが、自信はあった。
 それが、退化した悪魔の力の影響なのか、それは今はなんとも言えなかったが。
 歳を経る毎にその感覚は薄れ、中学三年で当夜と疎遠になったとき、全てが消えたような気がした。
 自分もやたらと兄を頼ろうとすることをやめ、同級生の男子を目で誘っては、いつもしてるようにからかって見せた。
 そうしているうちに、いつかそれが本当の恋になるのだと思った。
 だけど、違った。
 相手が本気になればなるほど、早夜の方は冷めていったし、向こうも早夜をただのエサではなく精巧なルアーであると気付くと、即座に離れて行った。
 ここからが本番ではないのかと思うときに、いつも相手は去っていった。
 考えてみれば、早夜の態度にも問題があった。同級生の男子に、恋愛に積極的な姿勢と軽い性格を見せていれば、腹の減った思春期の魚は即座に食いついてくる。
 しかし、そのエサには無数のカギ針がついていて、一筋縄ではいかないとなれば、大概はからかわれたと諦める。
 それでも、早夜に染み付いた生き方は今更変えられなかった。
 それでもいいじゃないか、本気でもなく、気合も足りないならさっさと離れればいい。
 兄離れの不安と虚無感を拭い去る為に、ひたすらうまく『恋愛』しようとした。
 その結果、二学期に早夜を待っていたのは、弄ばれた男子と、早夜の態度が気に食わない女子による総スカンだった。
 男を弄んでいい気になっているつもりはなかった。ただ、周りはそう受け取ってくれなかった。
 当夜に助けを求めたかったが、やめた。
 幸い、学校はちょうど違う時期だったのだ。
 『自分の利益の為なら平気で股を開いて媚を売るアバズレ女』
 当時の自分の名声など、当夜に聞かせたくなかった。
 自分がもっとうまくやれれば、力があれば。そして。
 当夜と血が繋がっていなければ。
 それが、最初に酔った感覚を覚えたときだった。

45:目からビーム ◆A/myMazZ7Y
06/09/02 03:58:17 kJHmZ8xG0
「祭りは、楽しめたかしら?」
 頭上から降ってきた声に、早夜は我に返った、花火が激しく瞬いている。宴もたけなわといったところなのだろう。
 早夜が顔を上げると、目の前の大岩の上に、黒い両翼を生やしたワンピースの少女が、薄い笑みを称えて座っていた。
「メンヘル沙紅さん……?」
「勝手に変なオプションつけなさんな! ……まぁいいわ。とりあえず同族として言っておくわおめでとう」
 早夜が疑問符を浮かべた瞬間、背中と頭、そして尾骨の辺りが熱くなったと思うと、悪魔の各部は急激に伸び、花が開くように巨大化した。
 羽根は両腕を開いたときより広く、角はツインテールより長く、尾は足元でとぐろを巻いた。
 鏡がなくとも、目の前の沙紅と体を除けば何も変わらない姿になっているのだと、容易に想像がついた。
 早夜は意味を悟って苦笑する。ついに、親知らずは生えきったのだと。
「お赤飯でも炊いてくれるの?」
「冗談を言える余裕くらいは取り戻したみたいね。でも、これから始まることに比べたら、まだまだ足りないわ」
 冷たい目で、そっと見下ろしてきた。
「その親知らずはね、少々やっかいなの。だから酷く痛み出さないうちに聞いておくわ。あなた死にたい? 頷けばすぐにでも殺してあげる」
「んー。それはなんのオリジナル設定です? 正直言うと死にたくはないです」
「なんで私の周りはみんなこんなヤツらばっかりなの……」
 沙紅は頭を軽く抱えて唸ると、もう一度呆れた視線を向けてきた。
「まぁいいわ。じゃああなたの為と、依頼主の心境を思って。今すぐ殺してあげる」
「……え?」
 なんの冗談かと早夜は思った。沙紅は岩の上に仁王立ちになると、ポケットから果物ナイフをとりだし、その胸に狙いをつけた。
「ちょっと、一体何を……」
 投げるのではなく、落とすようにそっとナイフを沙紅は離した。
 白刃の切っ先は、真っ直ぐに落下し、呆然と突っ立ったままの早夜のはだけた胸元に吸い込まれようとした。
 大きな音が、急にやんだ。花火が終わったんだと、早夜は思った。
 そのとき、強い風が吹いた。

46:目からビーム ◆A/myMazZ7Y
06/09/02 04:00:33 kJHmZ8xG0
「ありがと。当夜君」
 いつ返事をしたのかは分からなかったが、由香利はそう言うと岩場から立ち上がった。
「でも、もういいよ。君が私のこと好きじゃないって分かったから」
「そんなこと……」
 絶対にない。そう言おうとした当夜の口を、人差し指で塞いだ。
「語弊があったね。当夜君は私よりもっと好きな人がいる。だから、今はまだ諦めておくよ」
「いねえよ。そんなの……」
 振り切ったつもりだった。
 でも。
「嘘ばっかり」
 由香利が離した指で、軽く当夜の顔を指した。
「だって、早夜ちゃんのことが心配でたまらないって顔してるもの」
 当夜はその指摘にあっけにとられ、それでもすぐに首を振った。
「バカ言うなよ、あいつは俺の―」
「妹。だけど、当夜君は大切にしてる。それは、他の誰より早夜ちゃんが好きだから」
「…………」
「たぶん、私もバカだね。早夜ちゃんも当夜君もみんなバカだね」
 本当におかしそうに、そして寂しそうに由香利は笑う。
「余計なこと言わずにちゅーしちゃえばよかったのに。私も大バカだ。まだまだ青いね、私も」
「……そうだな」
 当夜も岩から降りた、花火はもう終わろうとしている。
 早夜と一緒に行こうと言っていたのに、まだ二人では、歩いてないな。
 花火が終わるまで、もうすぐだ。
「ありがとな。そして、ごめん」
 返事だけははっきり言わなければいけない。だから言った。断りの返事を。
「うん。がんばってね。えっちするならばれないようにね」
 苦笑しながら、当夜は駆け出す。
 風が強さを増し始めていた。今日が予報どおりなら、いよいよ嵐が来る。
 花火が終わる前に早夜を見つけてもうひとつの祭りを未然に防がねばならない。
 終わりかけの花火が、急ぐ当夜の足元を明るく照らしていた。
 早夜との約束へ導く、道しるべのように。

47:目からビーム ◆A/myMazZ7Y
06/09/02 04:01:07 kJHmZ8xG0
第四話 END

48:名無しさん@初回限定
06/09/02 05:35:16 vlN8oS3p0
投下乙。
そろそろ佳境にはいったあたりかな。
次を楽しみにしておりまする。

49:名無しさん@初回限定
06/09/02 12:26:16 P1oDB4GH0
相変わらずいいセンスだ。

50:目からビーム ◆A/myMazZ7Y
06/09/02 23:38:17 kJHmZ8xG0
 もはや長さについては諦めが入りつつあります目からビームです。
 書き終わったのは3時なんですが投稿規制に何度も引っかかって結局4時に。
 ネムイ(ノД`)・゜・。
 どれだけの人がついてきてくれてるかは知りませんが、
 出来る限り内容が分かる程度書けてればいいなーと思います。

 コメント下さる方、ログ保存の突発氏に毎度感謝します。
 では、第五話にて。

51:名無しさん@初回限定
06/09/02 23:45:52 k3qU5EmE0
>>50
毎週ありがとうございます。
週末の楽しみになっております。

52:名無しさん@初回限定
06/09/07 15:20:18 ZaU7ysfNO
朝起きたら、妹が衣替えしてた

53:名無しさん@初回限定
06/09/07 16:20:11 Y0zrGQAk0
>>52
 朝起きたら、妹が衣替えしてた。
 何故か俺の部屋を。

「もーお兄ちゃん、部屋汚すぎっ! いっそのこと全部、捨てちゃうよ」

 妹はゴミ袋にエロ本だけを狙って捨てていく。
 なんでお前、それがエロ本だって分かるんだって思うほど偽装したものも
 ピンポイントで捨てていく。

「や、やめろっプライバシーの侵害だっ!」
「お兄ちゃんにエッチな本は必要ありません」

 ポイポイポイ。

「なんてヒドイ妹だ……俺は明日からどうやって性欲を処理すればいいんだ……」
「そんなの、目の前にいるじゃない」
「ごめん、俺には霊は見えないんだ……」
「そうじゃなくて、私よ。ダメ?」
「またまたそういう禁断なネタに走る。お兄ちゃん本気にするよ」
「……ぃぃょ」

 ……えーと、どうしましょう。

「じゃあ、あとで」
「うん、あとでね」

54:突発屋 ◆63./UvvAX.
06/09/08 23:42:19 l+/XVBFb0
ちょほいと投下

55:突発屋 ◆63./UvvAX.
06/09/08 23:43:03 l+/XVBFb0
 『おはようございます♪』と爽やかな朝に相応しく明るく澄んだ声が階
下の玄関辺りからから聞こえてくる。毎朝のようにチャイムも鳴らさず我
が家のように上がり込み、親父やお袋と笑顔で挨拶を交わしながら廊下を
駆け抜け、足取りも軽やかに階段を一気に駆け上がって俺の部屋の扉をこ
れまたノックも無しに開け放ち………
 「おはよう伸くん…………伸くん?」
 ………ちなみに中学に入るまで『伸ちゃん』だったのを土下座までして
訂正させたという逸話は墓まで持って行く予定だ。
 「ねぇ伸くん? 朝だよ? 伸くん?」
 「この番号は、現在使われておりません。もう諦めて……」
 「もぉ、起きてるじゃない。早く着替えて、朝ご飯食べに行こうよ?」
 (ゆさゆさゆさ)
 「伸くん?」
 「………ぐぅ……」
 「もぉ! 伸くん伸くん?」
 (ゆさゆさゆさ)
 「………明穂。」
 「うん? なぁに?」
 「そのまま続けてくれ。何とも言えない揺れ加減が気持ちよくて……」
 「もぉ! 伸くんってばぁ!」
 「あんまりモォモォ言ってると牛になるぞ牛に。」
 「………伸くん………」スッと柔らかい(布団越しの推測)手が離れ気配
が移動し、そして「……起きて、『お兄ちゃん』っ♪」
 「うわっ!?」
 気味が悪いほど甘い声で耳元で囁かれ、その余りの気持ち悪さに思わず飛
び起きてしまった。

56:突発屋 ◆63./UvvAX.
06/09/08 23:43:24 l+/XVBFb0
 「その気色悪い呼び方は却下だっつーただろうがっ!」
 「それは私の所為じゃないもん。一回で起きてくれない伸くんが悪いんだ
よ? それに一応は兄妹になったんだから別に良いと思うけど?」
 「だからって、唐突に兄貴呼ばわりされたら鳥肌が立つっつーの! だい
たいお前は昔からなぁ………」
 「毎日毎日、起こしに来てくれる健気で可愛い女の子を牛さん呼ばわりす
る様な人の話を聞く耳は持ちませーん! それに前に伸くん、何か言うこと
があると思うんだけどな?」
 「………衣替えに合わせてシャンプー変えたくらいで、俺が惑わされると
でも思ってるのか? それに………って衣替え?」
 「そうだよ、はい!」と箪笥の奥から迷うことなく引っ張り出した冬服を
渡してくれる明穂「ちゃんと自分で用意しておかないと駄目でしょ? 恥
ずかしい思いをするのは伸くんだからね?」
 「お前………いや……」
 今更この程度のことで驚いても仕方がない。いつもと通の柔らかい笑みを
浮かべている明穂から綺麗に折りたたまれた制服を渋々受け取る。
 「ほぉら、早くしないと遅刻しちゃうよ? 伸くんが遅れたら私まで一緒
に遅れちゃうんだから、ね?」
 「だったら先に出て自前の足で走れよ。良いダイエットになるぞ?」
 「もぉ、運動不足は伸くんの方でしょ? それに女の子の体重のこと、馬
鹿にするのは失礼だよ?」
 「お前は例外………って、もうこんな時間かよ!」
 「私はちゃんと起こしたよ? 伸くんがグズグズしてるから………」
 「ンなこと言ってる場合じゃないっつーの! 速攻で着替えるから下で待
ってろ!」
 「ちょ、やだ、押さないでよぉ!」
 「いいからいいから、ほら撤収っ!」
 窓の外も、緑から赤への衣替えが終わりつつあった。

57:突発屋 ◆63./UvvAX.
06/09/08 23:52:43 l+/XVBFb0
本日、「もしらば」ドラマCDが届きました>挨拶?

皆さん、お勧めのラノベとかってあります?
勉強のために拝読したいと思っているのですが、ピンと来るような作品が見つからなくって(汗
ちなみに過去に面白いと思ったのは「ドラゴンランス」「クレギオン」「スレイヤーズ」「ポストガール」
「コクーンワールド」あたりです。思い出せる範囲で、ですがw

58:目からビーム ◆A/myMazZ7Y
06/09/09 01:41:53 kmwcoHwV0
 リクエストの投下乙ですー。
 ラノベは最近あまり読んでませんが、ちょっと前のもので好きなのは。
「ブギーポップの最初の5,6作品くらいまで」「キノの旅の4,5巻くらいまで」
「ダブルブリッドの3,4巻くらいまで」「終わりのクロニクル」「イリヤの空、UFOの夏」
 全部電撃だなぁ……。他のラノベも読んではいるんですが。
 第五話、寝る前に投下します。

59:目からビーム ◆A/myMazZ7Y
06/09/09 01:46:46 kmwcoHwV0
『小悪魔な妹』


第五話 fake combat


 静かな歓声と拍手の音が、山の麓の方から聞こえてくる。
 花火は終わりは、祭りの終わりをも意味する。町会長がしめの挨拶をしているのだろうと、早夜は思った。
 山の表面を照らし続けていた照明弾がなくなれば、月明かりもほとんど届かぬ草木と岩の群れが、暗闇に埋もれているだけだった。
 それでも、いつもと雰囲気が違うのは、祭りが持つ熱気の余韻のせいだろうか。
 大岩の上から沙紅が落としたナイフは、強風で逸れ―正確に言えば逸れたのは的の方だったが、胸には刺さらず、早夜の右太ももの内側を浅くかすめて地面に突き刺さった。
「痛っ!」
 白い皮膚に赤い線が走り、思わず屈みこんでしまう。それを無表情に沙紅が見下ろしていた。
「やっぱり遅すぎたみたいね。その姿にまでなられちゃ、私でもそう簡単には、殺せない……か」
 冗談で投げたにしては、あまりにもその声に動揺がなく、その切れ味は本物だった。
 嫌な汗を掻きつつも、早夜は立ち上がって沙紅を強く睨んだ。
「何の真似……!? いくらメンヘルでもやっていいことと悪いことがありますよ……!?」
「名前省かないでよ! いくら被害者でも言っていいことと悪いことがあるわ!」
 沙紅は複雑な顔立をしながら立ち上がると、背後においてあった長い木の棒を取り出した。
 だが、それは間違いだった。
 沙紅の手が割り箸の紙を引き抜くように、棒を二つに分けたかと思うと、その中から月明かりを照らし返す銀色の刀身があわられた。
 時代劇で見た早夜の記憶と同じであれば、それは紛れもない日本刀だった。
「おもちゃなんか出して、どうするつもり……?」
 口では虚勢を張っていたが、足は知らず知らずのうちに後ずさりしていた。
 翼を広げた悪魔が日本刀を構えている。何かの冗談のような光景だが、足の痛みは紛れもない事実だ。
 まさか、とは思うけど。
 沙紅が本当に自分を殺そうとしているならば、ナイフの傷は些細なものだが、挫いているこの足で逃げ切れるだろうか。
「じゃあ、そろそろ行くわね。遺言があるなら、今のうちにどうぞ」
 沙紅の黒い両翼が、大きく羽ばたいた。

60:目からビーム ◆A/myMazZ7Y
06/09/09 01:51:11 kmwcoHwV0
 花火は終わってしまった。事実上祭りは解散のはずだが、露店をしまうにはもう少し後になる。
 一時間もあれば余裕で回れるはずだが、山道を少し走っただけで息切れを起こしてしまっていた。
 帰宅部を一年も続けていたのは、思った以上に当夜の体を退化させていた。
 あいつ、どこまで上りやがったんだ。
 一本道のルートを進むうちに、岩にもたれている人影を発見した。
 いつの間にか浴衣から動きやすそうな私服に着替えていたらしく、数メートルの距離に近づくまで、それが加奈子だと気付かなかった。
「あ、当夜先輩。どうかしましたか?」
 なんで登山ルートの途中でひとり黄昏てるのか、その方が疑問だったが、今は世間話に興じているときではない。
「早夜と一緒じゃなかったのか? まあいいや、アイツどこ行った?」
「んー。早夜ちゃんはこの奥にいますが、今は沙紅さんと大事な話をしているのでしばらくお待ちいただけませんでしょうか?」
 首を傾げるほかなかった。
 大事な話のことも分からなければ、何故あの悪魔がここにきているのかも分からない。
「いや、ちょっと今急いでるから」
 加奈子の脇をすり抜けようとしたとき、彼女の手がそっとそれを阻んだ。
「もう一度言いましょうか先輩。ここは通しません」
 いつものように屈託のない笑顔で加奈子は笑った。
 その瞬間、彼女のもう片方の手に握られていた髭剃りのような物体の先端が眩く光った。
「うああっ!」
 痺れると同時に嫌な感じの痛みが、腕を中心に走った。
 たまらず後退ると、加奈子が髭剃りを当夜に向かって真っ直ぐ突き出していた。
 だが、それは髭剃りではなかった。先端に触れたものに電流を流すそれは、どうみても。
「スタンガン……!?」
「目盛りを上げましたから、次当たると気絶すると思いますよ。心臓が悪かったら先に言ってくださいね、さもないと……」
 殺しちゃうかもしれませんから。
 当夜の背筋を、今までとは別物の汗が伝った。
 
 実はこれは夢の中のことではないのだろうか。
 自分の本体は、実はとうの昔に山を登る途中でコケていて、そこらの草むらの上で寝息を立てているのではないかと、当夜は疑い始めた。
「冗談だろ……加奈子ちゃん?」

61:目からビーム ◆A/myMazZ7Y
06/09/09 01:56:36 kmwcoHwV0
 『あはは、当夜先輩って相変わらず騙されやすいですね』そんな返答を期待していた。
 だが、加奈子はいつもと変わらぬ静かな微笑で、突き放した。
「通さなければ何もしません。早夜ちゃんが死ねば、どうせ何も出来ませんから」
「な……」
 頭が話についていけない。いつ、どこでそんな急展開な話になった。
「昨日の放課後の話、覚えてます?」
 記憶の糸を辿る。
「君の家には絶対に行かないぞ!」
「その話じゃないです。それも重要ですけど」
 本当は分かっていた。昨日の加奈子ちゃんの昔話、そして、悪魔の捜索願いだ。
 だけど、なんで早夜が殺されるまでされなきゃいけないんだ。
「彼女が悪魔だからです」
 心を読み取ったように、その理由を口にした。
「人を幸せにする悪魔はいません。それが悪魔の悪魔たる所以だそうです」
 じりじりと、当夜から距離をとりつつ、しかし奥へのルートを塞ぐように加奈子は動いた。
「退化した悪魔に残されたのは、もっとも根源的な力。災厄を招き、悪運で守られる。たったその二つだけ、それについては」
 微笑が解かれ、問うような真っ直ぐな視線が来る。口に出さずとも言っていた。 
 先輩が一番よく知っているはずですよね。と。
 加奈子のスタンガンを持っていないほうの手が、岩陰に伸びた。取り出されたのは、アメリカ映画とゲームでしか見たことのないマシンガンだった。
 距離と暗さで細部まで見えないが、絶対におもちゃだと思う。でなければ。
 いくらなんでも、それで早夜が殺されるなんて話は、ない。
「早夜ちゃんの『悪運』を突破して殺せるのは、同じ悪魔の沙紅さんしかいません。だから私が、先輩を足止めします」
 加奈子は躊躇いなく当夜に銃口を向けた。
「もう一度言っていいか? 冗談だろ……」
 微笑が返ってきた。
「私は冗談なんて言いません。冗談はいつだってこの現実の方なんですよ」
 直後、風船が破裂するような小気味のいい音が数回、夜の森に響いた。

62:目からビーム ◆A/myMazZ7Y
06/09/09 02:03:03 kmwcoHwV0
 山を急いで下ろうとするも、脱げかけた浴衣と挫いた足、そして夜の悪路のせいで全く速度が出ない。
 浴衣に靴は似合わないから、サンダルを履いてきたのも厄介だった。
 沙紅は走らず追ってきてはいるが、それが逆に怖い。
 向こうは歩いてるだけなのに、徐々に距離が迫ってきていた。
「悪ふざけもほどほどにしないと、怒りますよ」
 足がもつれて動きを止めてしまった早夜は、威嚇するように叫ぶ。
 だが、悪魔の足取りは変わらない。
 急ぎもしなければ、立ち止まる気配もない。着実に距離を詰めてきていた。
 風が強くなる。そういえば今夜は台風がかすめるのだ。
 そんなことを思い出しているうちに、いつの間にか沙紅が目の前にいた。
「っ!」
 咄嗟に早夜の右手が横に凪ぐと、上段に刀を構えていた沙紅の二の腕に浅い傷をつけた。
 痛みというよりは、驚いた顔をして、沙紅は数歩後退し、腕の傷を軽く舐めた。
「私が投げたのを拾ってたのね、なかなかやるわ」
 ぽつり、ぽつりと雨が降り始めている。早夜はまっすぐにナイフを突きつけた。
「逃げるのめんどくさいから、その剣を捨てないと正当防衛しますよ」
「そんなちゃちなナイフじゃなくて、雷でも隕石でも落としてみればいいじゃない」
 挑発するように笑う沙紅を見ても、早夜は首を左右に振るだけだった。
「約束、したから」
「……そう。じゃあ改めて聞くわ。あなた、死にたくない?」
 じりじりと後退しながら、それでも目を離さずに答えた。
「当たり前のこと聞かないでくれる? だから頭おかしいって言われるのよ」
「言ってるのはあんただけよ! しょうがない、話してあげるわ。この町に棲みついた、私たち退化した悪魔の非業の歴史を」
 長くなりそうだからいいです。そう言おうとしたが、やめた。
 話を聞くふりをして、早夜は浴衣の乱れとずれたサンダルを直すことにした。

63:目からビーム ◆A/myMazZ7Y
06/09/09 02:18:59 kmwcoHwV0
 硝煙が出てないということは、マシンガンは偽者であるということだ。
 とりあえず胸を撫で下ろしたが、当夜が岩陰に避難しても、加奈子はルートから一歩も動こうとはしない。
 一方、マシンガンを警戒して、当夜も十メートルほど離れた場所から動けずにいた。
 エアガンかガスガンの類だろうが、改造していなくとも皮膚に直接当たれば内出血、目に当たれば失明の危険すらある。
 だが、顔を隠して突撃したところで、マシンガンで体勢をボロボロに崩され、スタンガンでとどめが待っているだろう。
 迂闊には動けない。
「ひとつ聞いていいかい?」
「……どうぞ」
「沙紅っていったけな。あの悪魔は何故殺さないんだ? そして、何故君が早夜を殺そうとするんだ?」
「ひとつずつ答えます」
 加奈子の声のトーンが一つ下がったのを契機に、当夜は岩陰から徐々に、体を山の斜面へと動かし始める。
 登山用に用意されたルートと違って、険しく遠回りだが、少なくとも加奈子の防壁を突破することはできる。
「沙紅さんは、昨日のお話ででてきた悪魔です。彼女の思い人は既に死んでいるので、力は制御できるのです」
 幸い、強くなり始めた風の音で、動きは誤魔化されていた。
「思い人とは、退化した契約だそうなのです。つまり、好きな人と自然に契約する。そして、悪魔は契約者に意識せず力を貸します。それは、制御できません」
 遠回りに加奈子の隣を抜け始める。動きながら、まさかと思った。
 あの契約は、ただのまじないだったはずなのに。

64:目からビーム ◆A/myMazZ7Y
06/09/09 02:23:32 kmwcoHwV0
「あなたが早夜ちゃんを目覚めさせたんです。いずれ早夜ちゃんはより強い災厄を呼んで、自分と当夜先輩を苦しめるでしょう、そうなる前に」
 ぽつぽつと、小ぶりな雨粒が降り始めた。もう少しで、完全に後ろを抜ける。
 そう思ったとき、当夜の靴が小枝を踏み折り、乾いた音を立てた。
 ぱぱぱ、と闇雲に軽快な音が鳴る。だが、もう当夜は加奈子の後ろに回っていた。
 ショルダーバッグを投げつけると、加奈子はあっけなく銃を落として、体勢を崩した。
「例え今の話が本当でも、何で俺たちまでそうなると決め付けるんだ!」
 すぐに背中を向けて走りだす。と、その瞬間何かに引っかかり、当夜は無様に転倒した。丁寧にも、ロープが張られていたらしい。
 その隙がまずかった。背中でパチリと弾ける音がする。立ち上がるまでもなく、スタンガンが迫っていた。
 だが、再び火花が散るような音がしたかとおもうと、それは沈黙した。
 先ほどまで僅かだった雨が、今は当夜の背中を勢いよく濡らし始めていた。それだけで、十分理解できた。
 膝に力を込め跳ね起きる。そして、全力で駆け出した。

65:目からビーム ◆A/myMazZ7Y
06/09/09 02:29:17 kmwcoHwV0
「それで、自分が昔エライことにしちゃったから、私はそうなる前に殺そうっての?」
「虫が良すぎる? でも、これは私の主の望み。彼女しか、私を動かせないもの」
「重大な疑問があるんだけど、あなたの言葉が正しい証拠は?」
「ないわ。数人を看取ってきた私の記憶だけ。だから説明を省いたのよ」
 徐々に強さを増し始めた雨風の中、体勢を立て直した早夜が後退りし、沙紅が距離を詰める。
「安心しなさいな。あなたが死んでも、悪魔の存在は無に帰して、その記憶は残らない。皆が嘆き悲しむことはないわ」
「イヤよ。天国であたしが悲しむわ」
 上段から沙紅が切りかかる。それをかわして、早夜は更に山を下った。
 沙紅の動きは、素人目に見ても剣術とは程遠い位置にあった。このまま山の麓まで行けば、お縄になるのは向こうの方だ。
 そう確信したとき、沙紅がやれやれと頭を掻いた。
「あんまり逃げないでくれる? 私は力を使うことも、人に危害を加えることも禁じられてる。でも、あなたを殺すためなら力を使ってもいいのよ」
「やってみれば? あたしにも悪運があるんでしょ」
 虚勢のつもりだった。だが、沙紅はただ笑ってみせた。
「じゃあ、遠慮なく……」
 沙紅が両腕を上げると、雷鳴が轟き、風と雨がいっそうの強さを増した。
「うっ!」
 暴風で前が見えない、巻き上げられた枝と小石が雹のように降り注ぎ、たまらず早夜は岩陰に逃げ込んだ。
 息を整えようとするが、更に激しさを増す嵐の勢いに苦しさだけが増していく。
 寒いなぁ……。
 冷えた体と挫いた足、真剣に追われ続ける緊張感、もう疲れ果てていた。
 台風の予報があったのだから、この光景は至極当然のはずだが、もし悪魔の力であるとするならば。
 あたしって、結構酷いことしてたのかなぁ。
 お兄ちゃんたちとカナっち。無事に帰ったかな……。
 少し前の光景を思い出して、思い切りかぶりを振る。

66:目からビーム ◆A/myMazZ7Y
06/09/09 02:29:51 kmwcoHwV0
 あれでよかったんだよ。
 悪魔でも、妹だから、最初から無理だったんだよ。
 雷鳴が断続してなり続ける、濡れた木の葉が体に張り付き、小石が肌を切る。
 そして、ツインテールを作っていた黒のリボンが、どこかに飛ばされていた。
 これでよかった。
 自分が死ねば、その記憶には残らないと沙紅は言う。ならば、自分がここで死ぬのが正しいのではないかと思う。
 それでも、両目からは知らず知らずに涙が溢れ、雨と一緒に頬を伝い落ちた。
 いやだ。
 本当は死にたくない。
 助けて欲しい。
 でも、もうお兄ちゃんはあたしのじゃないんだ。
 ずっと前から、もう違ってたんだ。
 それが、あきらめきれなかっただけ。
 だから、悪魔の力なんて生えてこなくていい親知らずが生えてきてしまったのだ。
 目を閉じて、早夜はナイフを離した。
 もう、いいかな。
 そう思ったとき、不意に雨が弱まった気がした。

67:目からビーム ◆A/myMazZ7Y
06/09/09 02:34:37 kmwcoHwV0
 加奈子ちゃんのマシンガンから逃れるため、岩伝いに進んだ先に、座り込んで目を閉じた早夜を見つけた。
「大丈夫か?」
 肩を軽くゆすると、目がうっすらと開いて俺を見た。
「どしたの?」
 寝ぼけているのか、ややずれた返答だった。
「お前な、人がスタンガンと銃弾食らいそうになりながらやっと来たってのによ」
「あはは、この田舎町のどこにそんなミリタリーな人がいるんだろ」
 お前のご親友だ。
 奇遇だね、と早夜が起き上がって。苦笑した。
「こっちはポン刀持ったコスプレ女に追い回されてるよ……」
「コスプレはお前も同じだ。ってかいつの間にか頭と羽根がフィーバーしてるなおい」
 失言をしたかと思ったが、早夜は気に留めていないようだった。
「二人で帰っちゃえばよかったのに。ひょっとしてお兄ちゃん、フラれたの?」
「ああ、まったく残念だ。だからあきらめてお前と帰ることにした」
「そっか」
 全然信じた素振りを見せずに、それでも安堵の笑みを早夜は見せた。
 雨風の強い中、二人は一分以内に経緯を話すと、追っての動向を窺った。
「で、あいつらをどうにかすることはできるか?」 
「たぶん、あたしが力を使っても、沙紅さんには効かないと思う。だからあのメルヘンはお兄ちゃんに任せる」
「おう。って大丈夫か俺の命?」
 岩陰から身を乗り出すと、十メートルくらい先に木陰で嵐をしのいでいる沙紅が見えた。
 自分で被害受けてるし……。
 退化した悪魔というのも哀れなものかもしれない。
「で、あたしは悪運があるらしいから、加奈子ちゃんの方をなんとかしたいと思う」
「それがいいな。もうマシンガンもとっくにショートしているだろうから」
 岩の反対側からは、同じく嵐のせいで痛い目に遭ったらしい加奈子が向かってきていた。
 激しすぎた風が徐々に収まりつつある今、ようやく二人が挟み撃ちの形でこちらの岩場を目指していた。

68:目からビーム ◆A/myMazZ7Y
06/09/09 02:40:06 kmwcoHwV0
 四人の位置関係はこうだ。『く』の字を三点と二本の直線とするならば、真ん中の岩陰の反対側に二人はいる。
 上の点は沙紅、下は加奈子だが、お互いは遮蔽物のせいで確認できていない位置にある。そして、両方が直線に沿って中心を目指していた。
 どう攻略するか、二人が逆に向かって飛びつけばいいのだが、そのタイミングが難しい。
 お互いを抑えても距離が近すぎれば一手で飛びつかれ、意味がなくなるからだ。
「どうする?」
 もうあまり時間がない。そのとき、ふと当夜は似た状況を思い出した。
「早夜」
 幼い頃、近所で遊んでいた頃の記憶だ。
「丸踏み、覚えてるか?」
 ほんの三秒思考して、早夜はにやりと悪魔的な笑みを浮かべた。
「OK。丸はカナっちで、鬼はメンヘルね」
 頷いて、そして一秒後。二人は同時に動き出した。
 まず、『く』の折り目から、当夜は加奈子に、早夜は沙紅に姿を見せ、存在を確認させる。
 慌てて姿を隠すように見せ、今度は当夜が岩場を中心に回って、加奈子からは見えないように、沙紅を遠回りから追う。
 沙紅が当夜の姿を注視したが最後だ。
「私とやりあうつもり、いい度胸だわ。邪魔をするなら」
 日本刀を掲げた悪魔の姿は、それなりに迫力があったが、もうこちらは弱みを知っている。
 飛び込むだけだった。
 が、予想に反して、刀は真っ直ぐに振り下ろされた。
 ちょっと待て、人は傷つけないってのは、どうした?
 その刹那、岩場で早夜を見つけた加奈子は戸惑い、その隙に果物ナイフを使って人質に取った。
「そこまでよメンヘル。主の命が惜しければ武器を捨てなさい!」
 沙紅が呆気にとられたように、動きを止め早夜の言う通りにした」
 風の音が、やんだ。
 即席の作戦は、完璧だった。既に当夜がぶった切られているという事実を除けば。

69:目からビーム ◆A/myMazZ7Y
06/09/09 02:45:09 kmwcoHwV0
 台風はもうかすめていったのだろう。あまりにも静かな夜空が見えていた。
 当夜が九死に一生を得たのは、刀自体は鉄だが、刃は全く研がれていなかったためだ。
「死ぬところだった」
「生憎今の世の中、軽々ポン刀も持ってられないご時世なのよ。彼女のお父さんがまっとうな会社に勤めててよかったわね」
 加奈子のスタンガンは低出力、フルオートのエアガンは出力弱めの上に、一発も当夜に当てていない。
 タネを明かしてしまえば、小学生のようなごっこ遊びを台風の夜にやっている、ズブ濡れの四人のバカがいるだけだった。
 ただひとつの救いがあるとすれば、それは話していた内容が全て本当であることだけだった。

70:目からビーム ◆A/myMazZ7Y
06/09/09 02:45:44 kmwcoHwV0
「カナっちは、いつから気付いてたの?」
「正直言うと、おばあちゃんと沙紅さんがなんかボケてるだけで、あんまり信じてはいませんでした」
 沙紅がお前そりゃないだろという顔で加奈子を見たが、見事にスルーされた。
「でも、沙紅さんは私が子供の頃から外見が全く変わらないので、半信半疑ってとこでしたね。おばあちゃんが寝たきりになって、町を守る権利は私に託されたんですけど」
「そんな権限渡されても、困るよね?」
 早夜のフォローに、加奈子は頷いた。
「最近、不思議なことが起こり始めたときに、まさかって思いました。それを確認するのが怖かったんです。でも、あの火災の時も含めて、不安になって……」
 意外と早く、彼女は自分たちを疑っていたのかもしれないと当夜は思った。
「ひょっとして、例のプールの帰りも?」
 加奈子は無言で頷いた。彼女だけ行かなかったのは、そういう理由だったのか。
 それでも、当夜と早夜は加奈子を責める気にはならなかった。自分たちが当事者でなく、町を救える権利を持っていたら、同様に悩んだはずだからだ。
「ご存知の通り。悪魔とは直接関係ない私は、存在を知っても認識することはできませんから。どうしても本人の口から聞きたかったし、見たかったんです」
「まったく、殺すならまだしも、こんな芝居に付き合わされていい迷惑だわ」
 沙紅がむくれると、すいませんねと加奈子がなだめた。
 早夜と沙紅のやり取りは、録音されていたらしいが、もう聞く必要もなさそうだった。
「私も、不本意ながら当夜先輩に確認を取らせていただきました。騙してしまって、すいませんでした」
 不本意な割には二人ともノリノリだったじゃないか。
 そのような突っ込みを当夜と早夜は喉奥に押し込んだ。

71:目からビーム ◆A/myMazZ7Y
06/09/09 02:50:40 kmwcoHwV0
「早夜ちゃん、改めて聞きます。これから、どうします?」
 緩んだ顔を引き締めて、加奈子が言った。
 沙紅の話が本当なら、過去何度も、例の昔話が繰り広げられてきたことになる。
「治す方法は、ないのかな……?」
「ないわ」
 沙紅が即答した。
「力を制御する方法は、どちらかが死ぬしかないわね。少なくとも、私を含めて今までの四人はそうだった」
「そっか」
「悪魔の力を思い人以外の為に使っても死んでしまうけど、どちみち制御できないあなたには無理だわ。そして、私が使っても、あなたには無効化される」
 二人は、これからが本番だというのだ。
 見れば分かるが、沙紅も決してむやみやたらと力を使うような悪魔じゃない。それでも、悲劇は防げず、同じことを三回も見てきた。
 その上での忠告なのだ。
 その元凶である早夜が、簡単に返事できるわけもなかった。
「大丈夫だ」
 だから、代わりに言った。
「そうだろ、早夜」
「いいの?」
 虚を突かれたように聞き返す、それを問答無用で遮った。
「俺たちは契約してる。あんたらの言う悪魔の思い人とかの契約以前に、ずっと前からしてる」
「あ……」
 お前が本当に悪くないなら、俺はお前の味方だ。
 早夜は悪くない。そう、自信を持って言えた。
「そうだね……」
 頷いて、今度は沙紅と加奈子に向かって、もう一度言った。
「きっと大丈夫だよ。だってあたしには、知らずに手に入れた悪魔の力とか、契約より大切な、約束があるから」

72:目からビーム ◆A/myMazZ7Y
06/09/09 02:55:19 kmwcoHwV0
「でしょ、お兄ちゃん」
 本当に屈託のない、子供のような笑顔だった。
 俺が無言で頷くと、沙紅はごちそうさまと溜息を吐き、加奈子はぱちぱちと拍手した。
「わかりました」
 加奈子が立ち上がり、沙紅の手を引いた。 
「私たちは、もう早夜ちゃんに干渉しません。早夜ちゃんの正しさと、当夜先輩の信頼を、信じたいと思います」
「見逃してくれるの?」
「はい、例え隕石が降って地球が滅んでも、私はもう何もしない。記憶がなくなっても、私の大切な人は、消えてしまうのだから」
「ありがと。カナっち」
「いいえ、このお詫びは今度必ずしますから、是非遊びに来てください。当夜先輩も、孝之先輩と一緒に」
 何故綺麗にまとまろうとしているときに余計な想像をさせるのか。
 ああ、絶対に行くぜ。って言えなくなってしまったじゃないか。
「わかったよ。じゃあね」
 手を振って、当夜と早夜は帰路へ向かった。

73:目からビーム ◆A/myMazZ7Y
06/09/09 03:01:07 kmwcoHwV0
「ねえ、何で断っちゃったの?」
 もうじき家というところで、ヤブヘビをつつかなくてもいいのに、と当夜が思うことを早夜が聞いてきた。
 由香利が当夜に気を寄せていたのは、早夜の目からはバレバレだったのだろう。
「うるさいな。大人の事情があるんだよ」
 早夜の顔がちらついてしまったからなどと言えるはずがない。
 言えば、調子に乗ってきた早夜を止められないから。
「ふうん。魅力的な妹がいると男の人は大変だねぇ」
 にやにやと、早夜の両手が後ろから当夜の首にかかる。
 ええい、お前など十年早いわ調子に乗るなと、振りほどこうとしたとき、耳たぶに暖かな吐息がかかった。
「あたしのパンツ脱がしてあとに、柱に頭突きしといてよく言うね」
 起きてたのかこいつ。
「ま、襲わなかったのは甲斐性なしじゃなくて、紳士だってことにしといてあげるよ」
 そうして、何でもなかったかのように、背中にぴたりと張り付いて、赤くなっている当夜に囁くのだ。
「で、どうだった。あたしの裸?」
 今夜も、早々とは眠れそうになかった。
 濡れた服と汚れが、風に当たって冷たい。
 きっと一緒に入ろうとか言い出すのだろう。
 家に母親がいて欲しくもあり、いないで欲しくもある不思議な気分だった。


 第5話 END

74:名無しさん@初回限定
06/09/09 11:07:52 +3kqcvXe0
20スレの進んでると思えば作品が2つも……。


 2人ともGJ!!

75:名無しさん@初回限定
06/09/09 22:02:38 R/cpeyY80
とりあえず俺が今月発売の電撃文庫で買ったのは
シャナととらドラ!とれでぃ×ばと!
の3冊、とどうでもいいことを言ってみるw

つか投下GJ!!

76:突発屋 ◆63./UvvAX.
06/09/12 02:28:06 pUpaIIUT0
前スレ>>390(苦笑)の続き、里佳子編です。

77:突発屋 ◆63./UvvAX.
06/09/12 02:28:50 pUpaIIUT0
 浩介達を窓際の席へ案内したメイド服のウエイトレスは、異様にテンシ
ョンの高い真里亜と準の様子にも眉一つ動かすことなく、優雅な丁寧な物
腰を崩さぬままに去っていった。きっと高校生あたりのバイトだと思われ
る若い子だったが、なるほどキッチリと教育されているもんなんだなぁと
感心してしまう浩介。
 「シック、って言うのかな? 上品そうな内装のお店だよね?」
 「ホントですね、私も実際に入ったのは初めてなんですけど、想像以上
に凝ってますよねぇ……」
 「………その代わり、値段も張るけどな……」
 「大丈夫ですよ先輩、必要経費で落とせますから♪」
 「………頼むよ。」
 正直、浩介は妹の職場に乗り込むような真似は避けたかったのだが、慣
れない土地だから安心出来る店が良いと言い張る従姉妹に押し切られる形
で来店する羽目になってしまった。前々から里佳子が(改めて考えると女
性店員が多い所為か?)渋っていたし、ちと高級志向の店なので気が進ま
なかったのだが。
 「失礼します。ご注文は、お決まりでしょうか?」
 と、そこに別のメイドさんがお冷やとおしぼりを持ってご登場。花が咲
くような若手の微笑み方とはひと味違う、使用人然たる穏やかな笑みで賑
やかなご一行との接客。
 「って、君は確か…………瑞樹さん、だったっけ?」
 「はい。」と里佳子の親友であり同級であり同僚であるショートカット
の乙女が優雅に首を傾げる「井口瑞樹です。ご無沙汰してます。」

78:突発屋 ◆63./UvvAX.
06/09/12 02:29:41 pUpaIIUT0
 「ああ、こちらこそ。」と浩介も軽く会釈「忙しい所に押しかけたりし
て申し訳ない。迷惑じゃないと良いけど。」
 「とんでもないです。当店はご主人様達の『お家』ですから、いつでも
ご帰宅して頂いて構いませんよ。美味しいお茶とお料理で、お帰りをお待
ちしております。ところで………」
 「あー………連れの方がちょっとね。こういう店に来るのが久しぶりな
んで舞い上がっちゃってるんだと。注文はもうちょっと待って……」
 準と一緒にメニューを覗きながら勝手に盛り上がってる従姉妹が少々恥
ずかしい浩介。
 「いえ、それは良いんですけど……」と悪戯っぽい意味深な笑みを浮か
べる瑞樹「……リカりん、すっごいご機嫌斜めですよぉ? 今もキッチン
の方からお兄さんの背中を噛み付きそうなの目で睨んでますし。」
 「……だろうね……」
 半泣きになりながら唸ってる妹の顔がリアルに想像出来る。というか射
抜くような視線がグサグサと背中に突き刺さってる。
 「まぁ、あの子にも監督職って言う自覚はありますし、お店でキれたり
はしないって思うんで心配はしてないんですけど、後でフォローしとかな
いと大変ですよぉ~?」
 と無邪気に微笑む瑞樹。状況……というか親友の狼狽ぶりを心底楽しん
でいるのは間違いなさそうなである。もっとも、これ位に余裕があるキャ
ラでもなければ、超が付くほどの堅物である里佳子の親友など務まらない
ことも事実だろうが。
 「そうだね、肝に銘じておくよ。」
 「うふふ♪ じゃあご注文がお決まりになりましたら、お手元のベルを
鳴らしてくださいませ。ここは旦那様達のお家ですから、気兼ねなくごゆ
っくりしていって下さいね?」
 長いスカートの裾をフワリと膨らませながら踵を返した瑞樹は、鍛え上
げられた完璧な足取りでフロア巡回に戻ってゆく。あれを着た里佳子の姿
も拝見してみたいものだと思いつつも、目を合わせるのが怖くて後ろを振
り向けない浩介は小さく溜息をついた。

79:突発屋 ◆63./UvvAX.
06/09/12 02:31:04 pUpaIIUT0
 「ど、どうだった!?」
 そして一階二階のテーブル状況を一通りチェックして、ついでに他のウ
エイトレス達にも指示を出し戻ってきた瑞樹を待ち受けていたチーフは浩
介の想像していた半泣きどころか八部泣き。捨てられた子犬のように目を
ウルウルさせる親友の姿に、瑞樹の方が面食らいそうになってしまった。
 「や、どうもこうも普通に接客してきただけなんだけど?」
 「そ、そんな事はわかってるわよぉ!」と極力声を抑えても胸の不安は
抑えきれないご様子「兄貴と真里亜ちゃん達、どんな様子だった? 仲良
さそうだったのイチャイチャしてたの? あぁもぅ、反撃しようと思った
矢先に乗り込んでくるなんて……やられたぁ……」
 「ちょ………ちょっと落ち着きなってリカりん。」
 というか真里亜ちゃんって誰? という言葉は飲み込んだ瑞樹。余計な
ことを口走って収拾がつかなくなるのは御免である。
 特に、自分が当事者として巻き込まれてしまう場合には。
 「こ、こうなったら……」
 真里亜にどの程度の目論見や算段があるのかは不明だが、此処に乗り込
んできた意図は宣戦布告か先制攻撃以外に考えられない。なら堂々と受け
て立つのが筋という物だ。
 「って、ちょっと待ったぁ!」涙を拭って出陣しようとした里佳子の腕
を慌てて掴む瑞樹「どこ処行くのよ、リカりん!?」
 「どこって、兄貴の所に決まってるでしょ! こうなったら徹底抗戦あ
るのみ。出来る女の違いって物を思い知らせてやるっ!」
 「で…でも今は仕事中……」
 「誰もサボろうなだんて言ってないでしょ。私、いまからフロアに出るか
ら後のこと宜しく。」
 「でで、でも店長が今日は若いコに……」
 「ちょっと早いけど、二人ほど休憩に入れちゃうから大丈夫。もう少し
したらランチ(タイム)の準備もお願いね?」
 「だから駄目だって………ってリカりぃ~~~ん!!」

80:突発屋 ◆63./UvvAX.
06/09/12 02:32:17 pUpaIIUT0
 「お冷やのお代わりは、いかがでしょうか?」
 着こなしを習熟していて当然の勤務先の制服であるとは言え、メイド服
に身を包んだ里佳子の姿には想像以上の破壊力があった。『失礼いたしま
す、ご主人様』と目の前に現れた里佳子を見た瞬間、三人の思考回路は電
磁パルス攻撃を受けた様に焼き付いてしまった。
 「り………リカ、ちゃん?」
 それが営業スマイルだと頭で理解していても自然と癒されてしまいそう
な笑顔に完璧なナチュラルメイク、メイドと言うよりはモデルに近い身の
こなしに一分の隙もない直立姿勢。自分が椅子に座ったままという目線の
高度差から生じる錯覚の分を差し引いたとしても、真里亜の目に映る恋敵
は昨日よりも一回りか二回りは背が高くなったように思えてしまう。
 「うわ、かっこぃ~……」
 準の瞳に浮かぶのも憧れの輝きばかり。
 「旦那様?」
 そんな二人の様子など何処吹く風。胸中の複雑な思考など微塵も感じさ
せない穏やかな微笑みを絶やさぬまま、自信と余裕に満ちた声で浩介のみ
と向き合う里佳子。そして、その裏に潜む『あんた達なんか眼中にもない
んだからねっ!!』という無言の主張だけ
 「あ、ああ……うん、頼む………よ。」
 「それでは、失礼いたします。」
 大きなステンレス製のポットを片手で軽々と扱いながら、淀みのない洗
練された動きで三人のコップに次々と冷水を注いでゆく里佳子。その様子
を呆然と見守るだけの一行。
 「それでは、ご注文がお決まりになりましたらお手元のベルでお呼び下
さいませ。」
 これまたフワリ、と長いスカートを揺らし颯爽とした足取りで(だが何
故か足音もなく)去ってゆく後ろ姿は浩介達がイメージとして持っていた
メイドそのもの。殆ど体を揺らさず、まるで静かな湖面の上を滑るかのよ
うに動きに見とれてしまうばかりである。

81:突発屋 ◆63./UvvAX.
06/09/12 02:33:58 pUpaIIUT0
 「うわうわ、かっこいい……」
 「だからジロジロ見るなって! あいつだってプロなんだから、歩き方
くらい研究してるに決まってるだろ?」
 「だから、それだけじゃないんですってば先輩!」準にいたっては釘付
け状態である「立ち振る舞いだけじゃなくって、動線を見てくださいよ動
線を!」
 「………動線?」
 「そうですよ。パッと見だと適当に歩き回ってるだけに見えるかも知れ
ませんけど、実は目障りにならないように注意しながら店内全部を色々な
角度から観察できるポジションを選んで移動してるんですよ。」
 「そ、そういうもんなのか?」
 「そういうもんなんです! それからホラ、目立たないように他の店員
と擦れ違うときがあるでしょ? その後の二人の動きを良ぉ~く見ててく
ださいね?」
 「あ、ああ……」
 ポットをからトレイに持ち替えた里佳子、伏せ目がちに穏やかな表情を
浮かべながら背中に羽が生えたかのようなステップのでフロアを歩き続
ける。どうやら客が帰ったあとの食器を片付けに向かうようだが、何故か
その途中で進路を変えて近くを歩く別のウエイトレスと偶然を装いながら
擦れ違い、そして………
 「………いま、何か指示を出したのが判りましたか?」
 擦れ違う直前に小さく唇を動かし、自分はそのまま最初の目的地への進
路へと戻る里佳子。その一方で、何か言われた方の若い店員は数メートル
進んだ先で向きを変え歩くスピードを上げながら真っ直ぐに店の入り口の
方へと向い、そのままごく自然にドアを開けて新たな来店客をカウベルの
音と共に出迎える。里佳子は手早くテーブルの上を片付け綺麗に拭き、今
度は客の視線に入り難いコースを選びながら素早く撤収。
 「………な、なるほど……」

82:突発屋 ◆63./UvvAX.
06/09/12 02:34:58 pUpaIIUT0
  その後も、自分は一瞬たりとも止まらずに動きながら指示を出し、注
文を取ったりレジに回ったりとマルチプレイヤーぶりを遺憾なく発揮しつ
つフロアを管理している里佳子。しかも笑顔を全く崩すことなく自ら先頭
に立って接客もこなす。浩介達の注文を取りに来た時も(実は他の店員を
さりげなく浩介達の席から遠ざけていた)明らかなポーカーフェイスを完
璧に維持したまま丁寧に商品説明を行い、真里亜の(さりげない?)挑発
も華麗に受け流してパーフェクトぶりを存分にアピールした。
 「……かっこいいです……」
 「他の言葉を知らんのか、お前は?」
 とは言え確かに的を射た表現ではあるわな、とも思う浩介。所謂「キャ
リアウーマン」とは多少ベクトルが異なっているが、里佳子の年で部下と
職場を任されるというのは尊敬に値すると思うし、ハツラツと仕事をこな
してゆく姿は「カッコイイ」の一言に尽きるだろう。
 「………まぁ、あいつも一人前になったって事か。」
 引き取られてきたばかりの頃の少女ならぬ幼女。戸惑いと人見知りとプ
レッシャーで泣きそうになりながら自分の背中を付いて回っていた昔のイ
メージはそろそろ改めるべきかも知れないなと親心チックな感動を覚える
浩介であった。




 「あ~あぁ……」そして、すっかり蚊帳の外の真里亜が(これも里佳子
が自分で煎れた)紅茶の香りと味で喉を潤しながら口の中で呟く「……流
石に今回は、ちょっと失敗したかも。」

83:突発屋 ◆63./UvvAX.
06/09/12 02:44:38 pUpaIIUT0
「UDON(映画)」面白かったです>挨拶

一カ所だけ構成的に(?)と思いましたが、あとは文句なしでしたね。
楽しかったです。

>>75
電撃は………「乃木坂春香の秘密」も読んでます。
お読みになった三冊は、如何でしたか?

>>目からビーム氏
教えていただいた作品なら、一応タイトルだけは存じ上げております。
やはりメジャーな作品は強い、という事でしょうか?

………で、何故にどれも途中までなんでしょうか?w

84:目からビーム ◆A/myMazZ7Y
06/09/13 01:32:14 PLBv3mmc0
>>突発屋氏
 投下乙でございます。
 ぶっちゃけ目からビームの好みというだけで他意はありません。
 見直すと確かにメジャーなのが残ってますね。
 基本的に、暗い話にちょこっと救いがあるようなお話が好きなんですな。
 途中までなのは……割愛します(なら意味深に書くな)。
 最近ラノベあんま読んでないので、ぶっとんだ妹キャラが出てくる話は知りませんか?
 
 あと三話で終わりますので、長くて読むのとログまわすの大変な方、お許し下さい。
 では、第六話にて。

85:桐莉兄
06/09/13 15:44:18 okGdXV5C0
天高く妹肥える秋です。
妹スレの皆様、如何お過ごしでしょうか。

「はぐっ、んぐんぐはぐはぐもぎゅもぎゅ、はぐっ、はぐっ、あぐあぐふぐふぐ」

……うちの妹、四六時中芋食ってるよ。orz

「兄ちゃんも焼き芋食え~」
「何個目だ?何個目なんだ、その芋はっ!?」
「……ひぃ、ふぅ、ざっと五十七個目と四分の三を消化して、記録を更新中ってとこスかね?」
「もうやめとけアホ。限度って物を知らんのかお前は」
「だーいじょーぶだーいじょーぶ。乙女には焼き芋を格納する為の別腹って器官があるのス」
「大丈夫じゃねぇーっ!バターまでこってりぎとぎと塗りたくりやがって、太るぞ!いや、お前は既に太っている!」
「んぁっ!?ち、違うのス!桐莉は太ってなんか居ないのス!」
「なら体重計乗ってみろゴルァ!!」
「……ぅぅっ、兄ちゃんがいぢめる~……」

いぢめるじゃねーよ。お前の為に言ってんだよ。
何それ?何その腹?
ねぇ、何でちょっと見ない間に三段腹になってるの?
ガツガツガツガツ兄の目を盗んで焼き芋食ってたからだろ?
朝食も、弁当も、おやつも、晩飯も、夜食までも焼き芋ですか、おめでてーな。
腹の肉を押すとぶよぶよするんだよ。
中身何?何が詰まってるの?うんこ?
夢ですか?希望ですか?兄への愛で膨らんでいるの?ねぇ?
栄養溜め込んで冬眠でもするのか?ぁぁ?

86:桐莉兄
06/09/13 15:46:09 okGdXV5C0
「桐莉、お前痩せるまで芋禁止」
「ぬぁぁっ!?兄ちゃんっ、それだけは勘弁だぁぁーーーっ!!?(泣)」
「うるせぇ!いいから痩せろ、さっさと痩せろ、今すぐ痩せろ」

縄跳びを鞭みたいにビシバシ振り回しながら、後ろから桐莉を追い掛ける。
どったんばったん、床が抜けそうな騒音発てて泣きながら家中を走り回るが、明らかに妹の動きは鈍っている。

「うぁぁぁぁんっ、兄ちゃんの鬼ぃ~っ!!」
「うるさい!泣き言は痩せてから言え!」

ぶすぅっ。

人差し指の第二間接の辺りまで、桐莉の腹に深々と指を突き立てる。
……と、妹が青白い顔をしてぷるぷると震え出した。

「ぐ、ぐげげげぎぎぎぎぎぎゃぎゃぎゃ」
「ど、どうした、桐莉?大丈夫かっ!?」
「に、にげ……にげろ、兄ちゃん……ぐぎぎぎ」
「兄ちゃんが悪かったっ!今すぐ救急車を呼んでやるからなっ」

87:桐莉兄
06/09/13 15:47:21 okGdXV5C0
ぶんぶんぶんっ。
激しく首を振ると、涙目で微笑む桐莉。

「さよなら、兄ちゃん」
「え?ちょ、おま、何――」

ぶすっ、ぶびぶりゅびびびぶぶぶばばっばばばばばばばぶぶびぶべぼばーーーーーーーーーーーーーーーんっっっ!!!!

突如、天地を揺るがす轟音と共に、
桐莉が臀部から香ばしい臭いのするガスを大量に噴出、
反動で屋根を突き破って大空の彼方へと飛んで行く。

「妹は何で飛ぶんーーーー!?」
「ぶっとんだ妹キャラっスからーーーーー!!!!」

―キラーン☆

88:桐莉兄@キリ
06/09/13 15:50:57 okGdXV5C0
何も出来ずに見送る俺。
桐莉は星になって何処かへ消えた。

……あいつ、今ごろ何処でどうしているんだろう。













『ぬぁぁぁぁあぁああぁぁぁぁと、止まらんのスーーあぎゃあぁあぁぁぁーーーー……』

ちゅどっごーーーーーーーーーんごんがらがしゃごきごしかーん。




『………お、親方!空から女の子が!!!』
『目ぇ合わせるんじゃねぇ、パズー』


89:名無しさん@初回限定
06/09/13 22:06:03 E1eXFyvVO
そんなオチかよw
GJ!

90:名無しさん@初回限定
06/09/13 23:12:28 svQGO5zh0
確かにニヤニヤするオチではあるが、それよりも桐莉兄氏の行く末のほうが正直気になるw
こうして投下するってことは大丈夫だったんだろうけど…

ん、待て、8月の後半を見ると…ッ!

91:突発屋 ◆63./UvvAX.
06/09/17 03:42:07 bXi49OSS0
前スレ>>587の続きです。
一応、これで終わり。

92:突発屋 ◆63./UvvAX.
06/09/17 03:42:34 bXi49OSS0
 「お兄ちゃん………起こしちゃった?」
 不完全な射精では満足出来ないと言いたげに固さを保ったままの
兄の肉棒を小さな手で撫でながら、絶頂の名残である仄かな火照り
を感じさせる声で舞が囁く。水色のショーツにたっぷりと染み込ん
だ愛液が冷めて張り付く感触が少し不快だが、処女の欲望の残り火
は新たな矛先を前にチロチロと燃え続けていた。
 「お兄ちゃん……」きゅ、と少し力を加えて握ると勃起した男性
器の大きさと固さをダイレクトに感じる事が出来る「……オナニー
もしないで寝ちゃうなんて、体に良くないよ? もう一週間くらい
は精子出してないよね?」
 それもこれも舞がベッタリと付いて回っている所為である。
 「舞、知ってるよ? 男の子って、オナニーしないと病気になっ
ちゃうんだよね? お兄ちゃんだらしないなぁ。」
 えへへへっ、と悪戯っぽい笑顔を浮かべた妹の手の動きに合わせ
て徹の勃起は小さな震えを繰り返す。それほどまでに彼の欲求は溜
まっているのだ。
 「だからぁ……お兄ちゃんが病気にならないように舞が気持ち良
くしてあげるね? だって舞はお兄ちゃんの彼女だもん♪」
 徹が寝ている(?)のをいいことに、なにやら勝手な持論を展開
しつつ掛け布団の中で移動を開始する舞。兄の足下辺りから一旦抜
け出すと、そのままベッドの周りを半周し、今度は正面側から腰の
辺りを目指して頭を突っ込む。
 「………って、ひゃっ!?」
 ベッドの中は兄妹の汗と体臭と愛液と精液の匂いが閉じこめられ
充満しており、先ほどの自慰で溜まった熱と相まって異様なほどに
蒸せかえっている。それに加えてフェロモン臭でも混じっているの
か軽く息を吸い込んだだけで頭がクラクラしそうになる。

93:突発屋 ◆63./UvvAX.
06/09/17 03:43:13 bXi49OSS0
 『うわ………匂いだけで妊娠しちゃいそうだよ……』
 処女には少々強すぎる刺激で挫けそうになってしまうが、気合い
を入れ直して更に前進する。小さなお尻をフリフリしながら手探り
で兄の股間を目指す。そして………
 「あ、あった!」
 というか。暗闇の中で偶然にも鼻先がパジャマのテントを突いて
しまった。鼻の頭で感じた微かな湿り気は汗か我慢汁か精液なのか
(おしっこ、という可能性は意図的に除外)、ともかく当初の作戦
通りに進めるしかないのだ。
 『お兄ちゃん、これ以上溜まったら舞がしてあげる前に夢精しち
ゃうかも知れないもん。そんな勿体なのは駄目なんだんもん!』
 相手が妹だろうが下手っぴだろうが奉仕をすれば速効で射精して
しまう程の欲求不満に追い込むまでの一週間余り。毎日毎日、家で
も学校でも可能な限り一緒に行動して夜は母親が眠りこむ時間まで
待ってから兄の布団に潜り込んでオナニー。その翌朝は他の家族よ
りも早起きして弁当を作って兄を起こす。徹も確かに追い詰めるら
れ限界に達そうとしていたが、実は舞の疲労も限界を超えてフラフ
ラになっていた。
 『お…おお……お兄ちゃんは舞以外の子をエッチな目で見ちゃい
けないんだもん! ずぅっと舞の方だけを向いててくれなきゃ嫌な
んだもんっ!!』
 舞は(どうせ何も見えないが)目を閉じ、口を大きく開けて。
 「あむっ!!」
 パジャマの上から、限界まで膨張した亀頭に吸い付き小さな唇で
頬張った。

94:突発屋 ◆63./UvvAX.
06/09/17 03:43:46 bXi49OSS0
「……って、うわっ!?」
 この妹の行動は狸寝入りを続けながら密かに様子を窺っていた徹
の予想の斜め上を行っていた。なにかをしでかすにせよ、その前に
服を脱がしにかかるだろうと構えていたのだが、完全に意表を突か
れてしまったのだ。
 「ちゅ………ちゅ……じゅるるっ……」
 「こ、こら! 舞!!」
 布地二枚越しとは言え、先端部分に柔らかく熱い吐息を吹きかけ
られた肉棒が快感で跳ね上がる。更に奥まで飲み込もうと動く唇の
圧迫感さえ気持ちいい。
 「おいいーちゃん、いもちいい?」
 「なに考えてんだお前はっ!?」
 「えへへ……」思わず捲った掛け布団の中から現れたのは、はに
かんだ笑顔「……まい、おいいひゃんのこと、たべひゃうね?」
 「だから、ちょっと待……うがっ!?」
 「あむ………あむあむあむあむ……」
 何処で覚えてきたのか、これまたズボンの上から陰嚢を撫で回さ
れて情けない声が出てしまう。微量とはいえ一度は射精を済ませた
というのに徹の体は過剰なほどに敏感に貪欲になっていた。
 「お兄ちゃん?」兄を手中に収めた舞はフェラから手コキに素早
く切り替え刺激を送り続けながら王手積み「ここで、お兄ちゃんに
質問です♪」 
 「……………………………」
 「このままパンツの中に出しちゃうのと、舞の中に出すのとだっ
たら、どっちが良いと思う?」
 「そ、それは………」

95:突発屋 ◆63./UvvAX.
06/09/17 03:44:19 bXi49OSS0
 「パンツ汚したら後始末がタイヘンだし、格好悪いよね? 舞の
中だったら何処でも良いよ? お腹の中でも、お尻でも………この
ままお口に出したらゴックンしてあげるよ?」
 「ご、後日っていうのは……?」
 「だぁ~め!」と余裕の笑み「お兄ちゃん、いっぱい溜まってる
んでしょ? このまま出したらお布団も汚れちゃうかも? それと
舞のお手々もドロドロになっちゃうよね?」
 「じゃあティッシュ………うわわっ!?」
 (しこしこしこしこ!)
 「おーじょーぎわが悪いぞ、お兄ちゃんっ。」
 (しこしこしこしこしこっ!)
 ズボンの上からの加減もテクもない手コキだが、それでも今の徹
には十分すぎる刺激である………というか今にも出そうになる。
 「わわ、わかった! わかったからっ!」
 「ん♪」と再び緩やかになる手の動き「で、お兄ちゃんはどうし
たい? 舞の処女が欲しい? お尻の穴を広げたい? それともお
口の感触が忘れられない?」
 「……………………………………………口で……」
 「ん?」
 「だから………口が………いいかと……」
 三択の中では一番、背徳感が薄い行為だからという苦渋の選択で
ある。それに一度でもセックスをしてしまうと、完全に歯止めがき
かなくなるような恐怖感もある。
 「……それって……舞に精液飲んで欲しいってこと?」
 「いや、別に飲んで欲し……」しこしこしこっ「………ま、舞が
大丈夫なんだったら……」
 「えへへ、じゃあ脱ぎ脱ぎしましょうねっ?」

96:突発屋 ◆63./UvvAX.
06/09/17 03:45:36 bXi49OSS0
 (びよんっ!)
 「わわっ!?」
 ようやく目が慣れてきた暗がりの中、ズボンとパンツをまとめて
一気に引き下ろした中から飛び出した兄の分身は妹の顔面を叩かん
ばかりの勢いだった。その上、下着の中に閉じこめられていた性臭
も開放され熱気と共に匂いが一気に強くなる。
 「大丈夫大丈夫、前と同じ前と同じ……」
 舌の上に蘇る粘っこい苦み。以前に舐めたときと同じモノだから
出来るに違いないとと何度も口の中で繰り返しつつ、再び目を瞑り
思い切って口の中に頬張る。
 「はむっ!」
 「ぐ………!!」
 柔らかくて熱くて、ヌルヌルした口内粘膜が腫れ上がって敏感に
なった亀頭部分を丸ごと包み込む快感に思わず腰を動かしてしまう
徹。粘液のような妹の唾液がジワジワと彼を覆ってゆく感触だけで
危うく欲望の固まりを放ってしまいそうになる。
 『あれ……』一方、兄の性器を頬張った舞は『………そんなに苦
く………ない?』
 自身の唾液に溶け出して口の中いっぱいに広がった味は、以前ほ
ど不快ではなかった。どちらかというと汗に近い塩っぽい味は、臭
気から想像していたほどには強くなかった。
 「んん~…………んむっ、んむっ……」
 お陰で少しながら余裕が持てるようになった舞は、表面を舐め清
めるように舌を動かし吸ってみる。前回は鈴口辺りを舌先で刺激す
る程度のことしか出来なかったし、ネットで調べた知識を試してみ
たくなってきたのだ。
 「う………ぐ……!!」
 「おにいひゃん、きもちいい?」咥えたまま喋ると、口の中でピ
クピクと暴れる兄の分身「がまんひないで、いいあらね?」
 「ンなこと言ったって………うあっ!?」
 「んふふふふ~♪」

97:突発屋 ◆63./UvvAX.
06/09/17 03:46:08 bXi49OSS0
 なんだか奉仕というより犯しているような気分。自分の拙い性技に
翻弄される兄の様子に舞の悪戯心(加虐心?)がムクムクと鎌首を
持ち上げ始める。勃起の大きさにも馴染んできた舞は、頭を前後に
揺すって更なる刺激を送り込んでみることにする。まだまだストロ
ークという程の動きではないが、これで『お兄ちゃん』をもっと感
じさせて困らせることは出来るはず。
 「ほにいちゃん、だして? まいのお口のらか、セーエキでいっ
ぱいにしていいろ?」
 口の中に入りきらない幹を手でしごき、精液混じりの先走りを唾
液と絡めて嚥下する。徹も全身を硬直させ必死に耐えてはいるが、
彼の砲口は妹の口の中で発砲寸前にまで膨張している。我慢に我慢
を重ねた反動とも言える大爆発を引き起こすも時間の問題だ。
 「……舞っ、ほんとうに出ちまう……ぞっ!」
 「ん♪」
 舞の手の動きが速くなり、亀頭に絡みついていた舌先が固い尿道
口を押し広げるように先端の割れ目を攻めてくる。そして柔らかい
頬肉がジュルジュルと剛直全体に吸い付いてきた瞬間に、堤防が決
壊した。
 (どくん、どくどくどくんっ!)
 「あぐっ!!」
 「んんっ!?」
 放出と言うより噴火。肉棒そのものが脈打ち、その中から熱い粘
液が弾丸のように次々と撃ち出される。その力強さと量は舞の想像
を完全に上回っていた。
 「んん! んん! んん~~~~~~~っ!?」
 「あ……あ……あ……」
 横向きになって咥えたのは失敗だった。どんどん口の中に放出さ
れるドロドロの精液が喉の高さまで溜まるのが、とんでもなく早い
のだ。


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