07/10/21 04:52:22 YPpB5h9U
わっちがこの門をくぐったのは いくつの時でありんしたか…
禿と呼ぶには些か年がいっていたようにも思いんすが もう記憶の奥底に沈んでしまいんした。
覚えとおすのは 朱塗りの大門をくぐった途端に一陣の風が吹き抜けて 盛りの桜を巻き上げた花吹雪くらい。
後にも先にも あんなに美しい景色はみたことありんせん。
なぜでしょう 涙が流れんした。
この世の苦界と呼ばれる女の里に来た悲しみなのか もう親に会えない寂しさなのか 幼いわっちには分かりんせんした。