13/10/16 22:36:47.70 KszUtIW9
>>749の続きです。
相澤は、テーブルに両肘を突き、指を組んだ両手で額を支え盛大に溜め息を突いた。そして、今しがた信じ難い答えを投げ返して来た相手に、再び質問をぶつけた。
「もう一度訊く。お前は、どこのどいつだ?」
「ヨーロッパ以外に……ドイツってあった?」
「俺だって聞いた事ねえよ。あったら、お目に掛かりてえわ。ってか、質問に質問で返すな、揚げ足を取るな。お前は本当はどこの誰だと訊いたんだ。それ以前に
人間じゃねえってどういう事だ」
マイルドセブン改めメビウスの燃えるべき所を余す所無く燃やし尽くした死骸がほぼ円錐形に積もった灰皿を中心に急遽2人分の夕食が並べられたちゃぶ台を挟んで
座る少女に、相澤は立て続けに質問を浴びせた。
「え? 人間じゃないっていうのは、そのままの意味だけど……」
「人間じゃねえなら何だ、妖怪か? いくら不法侵入で突き出されたかねえからって……」
ちゃぶ台越しに詰め寄る相澤から逃げるように涙目の少女は身を引く。
「ウソじゃないよ……。それに妖怪って何? 確かに私は木に宿る存在だけど……」
そこまで少女が言った時、相澤の頭に疑問符が浮かぶ。
「木に宿る存在? 外に生えてるイチョウがお前か?」
「その……私の場合は、木材に宿ってるんだ。このアパートの柱の一本が私なんだよ」