13/01/08 07:35:55.21 dw0XPCSB
エントランスを出るとわたしたちは西出口の駐車場の方へと進んだ。
恐らくそこにパトカーか護送車が停めてあってそれに乗せられるのだろう。
講義棟の外に出ても相変わらず人が多く、わたしは沢山の人に見られている。
「え？あれ○○じゃない？」
「○○！？なんで？」
知り合いの声がする。
わたしはその声に応じることもなく。応じれるわけもなく。
こんな恰好を知人に見られたくなかった。
今度会ったときにどう説明すればいいのやら・・・
早くこの場を去りたかったが、わたしは逮捕され連行されている身。
逃げることも隠れることも出来ず、ただ連れられるがまま人目の多い道を歩かされた。
駐車場に着くとごく普通のワゴン車が待機していた。
「さぁ乗って」と促されるも、車高が高い割に屈まないと乗り込めないため手錠と腰縄が邪魔で乗りにくい。
ヨチヨチ歩きでどうにか乗り込むと女性警察官がドア側を塞ぐように座ると車が発進した。
大学の敷地を出て流れる景色に目をやりながら「これからどうなるんだろう・・・」と漠然と考えた。
取り調べを受けたり―夜は牢屋に入れられるのか。
考えても思い浮かぶのはドラマのワンシーンのような具体性のないものばかり。
それでいて漠然としながらもほとんどがネガティブなものでわたしをただ不安へと誘った。
そして腕にかけられた手錠はそういった宙に浮いた不安を確かなものだと裏付けている。
揺れる車の中わたしは不安でいっぱいだった。