12/02/19 01:11:33.71
今度は、担任の先生から声がかかる。
「まだ何か?」
「い、一時限目には出席させてくださいよ」
輝美の勢いは、担任の職権をもってしても懇願が精一杯だった。
朝倉照美は、真也くんの袖口を掴んでグイグイと職員室の外へ彼を引っ張っていく。
踊り場までくると真也くんが不平を言った。
「おいおい、痛いよ輝美」
照美先生は、腰に手を当て、小さい身体で精一杯「怒り」を表現している、
「あ・さ・く・ら先生でしょ!」
「な、なに怒ってんだよ?」
真也くん若干、腰がひけがちな応答。
「だって留年よ? どうするのよ」
「留年するくらいなら学校辞めて働くよ」
「学校を辞めて働くですって……?」
真也くん、学校に未練が無いようだ。
「うん。 俺、働いて照美と……」
トスッ! 勢いは感じられないが輝美の突きが真也くんのみぞおちに決まる。
「うッ! な、何を……」
身体を折り曲げる真也くん。さがってきた顔に照美は、手を大きく振りかぶった。
「真也くんの馬……」
グッ! 誰かが輝美の手を掴む。
「朝倉先生! 体罰なんてダメですッ!」
照美と真也くんの前に現れたのは、照美よりもずっと大人っぽい四方田真由美という生徒だった……。
<つづく>