11/06/24 19:30:04.05 qf8/Px/1
「ほむらちゃん、さやかちゃん」
思った瞬間、耳に届く声。今度こそ、今度こそ再会できる。
「まどか……っ!」
リボンを付けていない制服姿。記録に残らなくても、記憶にはずっと残っていたその顔。
一瞬たりとも忘れることのなかった彼女がそこにいた。
しかし、溢れそうになる涙を、抑えるのに精一杯で、うまく直視できない。
「どうしたまどかぁー」
えぐえぐと嗚咽を漏らして、美樹さやかは私にぎゅうと抱き着く。
「楽し、そうだね」
それに答える何かを抑えたようなまどかの声を聞いた瞬間、なぜかぞくりとした。
これは、もしかして、本気で怒っているのでは?
「うぉっ、ごご、ごめんまどか! 感動の再会邪魔しました!」
流石に何かを感じとったのか、美樹さやかは私から離れ、なぜか敬礼のポーズを取る。
私の胸は、彼女の垂らした涙やら鼻水やらで既にぐしゃぐしゃになっていた。
(よだれもあったが、せめてもの情けとしてそれだけはカウントしないでおく。)
「ごめんね、ほむらちゃん。さやかちゃんのせいで」
……些細な一言からでも、底知れない怒りを感じてしまうのはなぜだろう。
「気にしてないわ」
本当はものすごく気にしているけれど。
ここまで怒るくらいにまどかが気にしてくれているのなら、それはそれで悪くはない。
「それならいいけど」
「ええ。あと、まどか。返すものがあるわ」
そう。私達が制服姿というのなら、やるべきことがあるだろう。
これは、まどかの手にあるべきものなのだから。
「ありがとう。このリボンがあったから、私は」
あなたのいない世界でも耐えられた。
今までずっと奇跡を信じていられた。
「うん。ずっと、そのリボンを持っててくれて、ありがとう」
預かっていた物を手渡そうと、自らの髪に手を伸ばす。
ぬちゃりという、音がした。
「…………」
ああ。そういえば。美樹さやかにくっつかれた時に。
「あの、ほむらさん、まどかさん? お顔がすごく、こわいです」
「あなたは、どこまで……ッ!」
「悪気はなかったんだ! ごめん! あたし愚かでした!」
両手を挙げて、降伏のポーズを取る美樹さやか。
「ほむらごめん! 本当に何もかもごめん!」
あの迷路の中で、彼女を友人だと思ったことはないけれど。
さっき、本音をぶつけてくれた彼女のように、私も思っていることを吐き出せた時はきっと。
私達三人は、今からでも最高の友達になれるのだろう。