11/03/20 20:57:57.89 vxvls7aC
誘ったのは、彼女だった。
夕食時もとっくにすぎて、そろそろ子供は寝る時間。ちらりと見た窓の外は真っ暗闇になってた。
私の出身地も星はあんまり見えないけど、都内のここはもっと星が見えない気がする。
いつだったかぽろりとそんな事を言ったら、彼女はいつもの柔らかい笑顔で受け止めてくれた。
否定せずに、ほんわりと。それはまるで彼女の雰囲気そのままで、不覚にもどきりとしてしまったっけ。
そんな大人の時間に、彼女の性格そのまま現したような柔らかい雰囲気のお部屋で、私達は大人らしく、缶ビールやワイン、焼酎なんかを持ち寄って、ささやかな飲み会を開いてた。
毛足の長いマットが敷かれたお部屋の中の優しい色のソファの上。
手にしたビールをぐいっと一口。しゅわしゅわとした感触が喉の奥を通り抜ける。
次いでやってきた胃の中が火照るような感覚に、私は少しだけ目を細めようとして、ぺしり、と肩を打つ感触に眉を潜めた。
「さっとみん」
もぐもぐと背中あたりから聞こえるご機嫌な声に更に眉を潜める。
ちらりと視線をやれば、隣に足を投げ出したまま、私の背中とソファの間に顔を埋めたりなっちの姿。
元々白いほっぺたを桜色に染めたご機嫌な酔っ払いさんは、私の視線を見つけると、ふにゃりと可愛らしく口元を緩めた。
無防備な笑顔に、アルコールで刺激された胃の中以上に熱くなった胸の奥に気付かないふりをして、私は視線を戻す。