10/03/22 23:18:37 rCTYE5jt
「あのさあ…」
「はい?」
「ねね姉のことどう思ってるの?」
しばらくしてやっと落ち着いたのか、アニタは読子に質問する。
これはどうしてもアニタが聞きたかったことだった。
「………好きなの?」
「はい、とても」
読子は当たり前のようにそう答える。アニタは不思議なものを見るような目で
「ねね姉は…答えられなかったよ」
「はあ…」
読子はまったく気にもしてない様子で相槌を打つ。ここが読子の美点であり、
実はアニタのイライラの原因でもあるわけだが。
「気にならないの?ねね姉があんたをどう思ってるとか」
「…先生がどう思っていても、私が先生を好きだからいいんですよ」
そう言って、ふわっと読子は笑った。いつものへらへらした笑いじゃない優しい笑みで。
「…そう」
不思議な感覚がアニタを包む、なぜかとても優しい気持ちになった。
と、向かい側から中年の男性がじろじろとこちらを見て歩いてきた、
通り過ぎる瞬間など、読子の顔を不審げに見つめて。
アニタは男性の背中を目で追ったあと、読子を見上げ
「あんた…不審者に思われてるよたぶん」
「はあ、そうですか」
仕方がないといえば仕方ない、片やよれよれのスーツにぼさぼさの髪の妙齢の女性と、
もう片方は12歳の元気少女。ただの年の離れた姉妹にも見えず、
また年齢的にはぎりぎり親子にもなりかねないが、雰囲気のせいかそうも見えない。
「…ヒトさらいと思われてるかも」
「フフフ、まあいいじゃないですか、ヒトにどう思われても私たちが想いあってれば」
「はあ?な、なんでそんなことになんの!アタシはあんたなんか嫌いだ!」
「私はアニタさんのこと好きですよ」