大正野球娘。で百合at LESBIAN
大正野球娘。で百合 - 暇つぶし2ch327:小梅×胡蝶
09/11/12 21:14:39 KgIcLDiw
小梅ははっとした。
胡蝶はあまり家族との接点がなく、家庭の温もりというものを殆ど知らずに育っているということ。特に具体的な話を聞いたわけではないが、胡蝶は時々、そんな事を匂わせる言葉を、小梅に対して口にする。
そういえば先程神社に来たばかりの時も、そういった内容の話をされたばかりだ。ごく普通に両親の居る家庭に生まれ、ごく普通に両親に育てて貰っている小梅にとって、胡蝶の境遇は想像し難かった。
そのことと許婚が居るということとは直接関係はないが、家族が居たからこそ三郎という存在もあったのだし、父親が居なければ許婚にもなり得なかった。
三郎がそのような存在でいられるということもまた、小梅の人となりを物語っているのだ。
そう考えると、目の前で儚そうに微笑んでいる少女が、たまらなく愛おしい存在に思えてきた。なにか、胸が締め付けられるような感覚を覚えた。
小梅「ごめん、私、よく分からないから何を言ったらいいか分からないけど・・・」
胡蝶「いいえ、小梅先輩は、そのままの、私の大好きな小梅先輩でいて下さい。」
首を振りながらそう答える。揺れた髪から数滴飛び散ったが、もう二人にはあまり気にならなかった。
小梅「あはは、やだなあ。なんか告白してるみたいな言い方。」
胡蝶「(小梅先輩って、本当に鈍いんだなぁ。)」
小梅「ああっ、そうだ!」袖の下辺りをごそごそと。
胡蝶「(三郎さんって人も、大変だろうなぁ。)」
小梅「はい。とりあえずこれで顔とお髪を拭いて。」桃色に梅の花をあしらったハンカチーフを胡蝶に渡す。
胡蝶「折角ですが、結構です。それでは拭き取れないほどの量を出して下さいましたから。」
小梅「あ、あぁ~。」また、ぱっと顔が赤くなる。
胡蝶「それに、私このままで居たいんです。」
小梅「冷えない?」
胡蝶「大丈夫です。小梅先輩に、暖めて頂きますからっ。」そう言って、再び小梅の胸に飛び込む胡蝶。
小梅「ぁ、ぁはは・・・」
苦笑いしながらも、受け止める。可愛い後輩に、少しでも自分の温もりを分け与えてあげたいと、今は思った。
胡蝶「それで、三郎さんとは、どこまでいったんですか?」
小梅「どこまで、って・・・別にどこに出かけたって程でもないけど。」
胡蝶「(小梅先輩って、本っ当に鈍いんだなぁ。)」
小梅「この辺りをちょっと散歩したり、それくらい、かなあ。」
胡蝶「違いますよ先輩。接吻とか、したんですか?」
小梅「せ、せ、せっ・・・!」
ぽん、と音がして頭から蒸気が吹き出そうなほどに小梅の体温が一気に上昇したのが、胡蝶にも分かった。
そしてその反応で、確信した。どうやら小梅は、先程胡蝶に“初めて”を奪われた事に気が付いていないようだ。
胡蝶「まだなんですね。ふふっ、先輩って本当に可愛いですね。」
小梅「せ、先輩をからかうものじゃないわ。さっきも言ったでしょ?」
胡蝶「でも、ここは本当に敏感なんですよね。」
くすっ、と笑って、また細い指を着物の裾から潜り込ませようとする。
小梅「あぁ、もう胡蝶ちゃん、それは勘弁してよ~」
引きつった笑顔で、両手でそれを止めようとする小梅。
胡蝶「本当、鏡子より敏感かも知れないですね。」

小梅「・・・は?」
引きつっていた笑顔が、今度は一気に凍りついた。


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