10/03/05 19:33:01 GdrVET15
シンクロテストの後、シャワーでLCLを洗い流した式波と綾波は更衣室で着替えをしていた。
最近、アスカはレイのことが何かと気にかかる。なぜなら、アスカのアプローチに、つたないながらも
彼女がしっかりと反応を返してコミュニケーションが成り立つようになっていたからだ。
今レイは禊から上がったかのように清らかで、水に濡れた彼女の肌は抜けるように白く、髪は瑞々しかった。
「あんた・・・、髪が綺麗ね」
アスカがエコヒイキという呼び方を止めてからどれくらい経つだろう? レイもパイロットとして命を賭して戦っており
ひいきの対極にいるような女の子であるのをすでにアスカは知っていた。
「髪?」
「そうよ。ちょっと気になってたんだけど、いい美容室でも知ってるの? すごいあんたに似合ってるわ、あんたの髪」
「赤木博士に。あの人に切って貰ってるわ」
「ふーん。でもお肌は・・・」アスカはレイの頬にそっと手を伸ばし、静かに指先を滑らせる。
「お肌は、自分で手入れしてるんでしょ?」
「肌・・・」
優しさに満ちた愛撫を受けて、レイの頬はほんのりと桜色に染まる。
アスカが自分に触れることを、レイは許した。撫でさするアスカの手にレイも手を重ね、柔らかく包み込む。
かつて二人はエレベーターで喧嘩になりかけた。傷つけるために振り上げられ、ぶつかり合ったあの手が、
今は気持ちを伝え合う架け橋になっている。
赤面した綾波をじっと見つめる。まずアスカは「この子もこんな顔をするのね・・・」と思い、次に、
「赤くなったレイって、すごくかわいい」と感じた。
アスカは自らの気持ちに忠実な子だった。愛しいという気持ちが抑えられず、即行動に出る。
もう一方の手でレイの前髪をかき分けると、ちょっと背伸びをして、なめらかな額にキスをした。