07/04/07 04:13:09 leJhOIKa
夜中に目が覚める。
隣で私に背を向けて眠る彼女の肩がゆっくりと上下していた。
首にかかる細い髪の毛をそっと指先で払って
暗闇に浮かぶような白さのうなじに、私は唇を寄せる。
強引に自分から求めた日から、私は“彼女”の記憶を彼女で埋めていく。
「ん…」
小さく彼女の肩が震えた。
「あ…ごめん 起こしちゃった…?」
「うん… 起きた…」
眠そうなふにゃふにゃした声が可愛くて、私は華奢な背中を抱き寄せる。
首筋に顔を埋めて深呼吸すると、自分と同じシャンプーの香り。
今はこれが一番落ち着く。
再びじゃれるようにキスをすると、くすぐったいのか彼女はクスクス笑った。
「ねぇ…」
「ん?」
「前につきあってたヒトと…なんで別れちゃったんだっけ?」
「…えっ?」
唐突な質問に私は思わず固まってしまう。
51:I'm a liar―BoA'sSIDE2―
07/04/07 04:13:58 leJhOIKa
「前に…話さなかったっけ?」
「喧嘩別れってとこまでは聞いたよ 私が知りたいのはその理由」
でも、今となっては過去のこと。気兼ねなく話せる。
「うーん… 色んなものが積み重なっちゃったからかな」
「色んなもの?」
「うん 我慢したり、相手を信じられなくなったり…素直に…なれなかったり…」
「…素直になれなかったんだ?」
「…うん」
「…なんで?」
幼い子供のように質問を繰り返す彼女を強く抱きしめる。
「…素直になるのが怖いくらい好きだった…のかもしれない」
「なにが怖かったの?」
「…素直になりすぎて嫌われるのが…怖かったの…かな…?」
「そんなに好きだったんだね…そのヒトのこと…」
「…多分ね」
「私の前だと驚くくらい素直なのにね…」
少しだけ棘のある言い方にギクリとなる。
52:I'm a liar―Jun'sSIDE2―
07/04/07 04:16:26 leJhOIKa
「はは… まぁ、もう…昔のことだし…」
誤魔化そうとしているのか、彼女は小さくアクビをした。
「昔のことなんかじゃない…」
「えっ?」
もう耐えられなかった
「今でも…そのヒトのこと好きなんじゃないの?」
心の底から好きになってもらえないことも
「素直になるのが怖いくらい…好きなんじゃないの?」
自分が彼女に無理を強いていることも
今、私を抱きしめている温もりでさえ
辛くて耐えられなかった。
彼女は答えない。でも、その無言が答えになる。
「気付いてないかもしれないけどさ、ボアちゃんたまに私の顔見てガッカリしてるんだよ」
朝目覚めたとき、隣にいるのが私だと気付いた瞬間の顔。
キスをして、唇が離れた後の顔。
抱きしめる瞬間の顔。
「そんなにガッカリするんだったらさ、私なんかといなけりゃいいじゃん」
ここまで言っても、彼女は黙ったままで否定すらしなかった。
涙腺のあたりがじわじわ熱くなってくる。
「明日から少しあっちに戻るんだよね?疲れたらかわいそうだから今日は泊めてあげる
でも…帰ってきたらもう…二度と来ないでね…」
ベッドが軋んで、私を包んでいた温度が引いた。
しばらくの間、背後で衣擦れの音がする。
衣擦れの音が止んで、再びベッドが軋む。
彼女の手のひらが私の肩に置かれた。
「…ごめんね」
正直、一番聞きたくない言葉だった。
ドアの閉まる音と同時に涙が溢れてきた。
53:conflict―Van'sSIDE2―
07/04/07 04:19:15 leJhOIKa
あのこの挙式当日は、お日柄もよくなんとやらだった。
約束どおり花を贈る手配をするため、愛車にまたがって都心を走る。
走りながら考えていた。私はどうするべきなのかを。
結婚するという報告を素直に喜べないでいる自分。
祝福してあげたいという気持ちのある自分。
本当に幸せになって欲しいという願いをもってる自分。
『伴ちゃんには関係ないじゃん』
彼女の言葉が再び胸をつく。
赤信号で車を止める。
「そうだよ…関係ないことだもん…」
自分に言い聞かせるように呟いた。
彼女が幸せだと言うなら、それで問題ないじゃないか。
だけど…
寂しそうな顔をして笑う彼女の顔を見るのは辛い。
彼女の笑顔の扉を開くための“鍵”を私は知っている。
とは言っても、あくまでも自分の推測なんだけれど…。
でもそれはほぼ間違っていない…と、思う。
信号が青になった。
自分がいる反対の車線を行けば、その“鍵”にたどり着ける。
思い切り車体を倒して旋回した。
アクセルターン。
突然の行為に対して鳴らされた騒がしいクラクションは無視する。
「ちぇっ…バイク買ってもらおうと思ったのに…」
誰に言ったわけでもない文句は風にかき消された。
54:conflict―BoA'sSIDE―
07/04/07 04:21:23 leJhOIKa
空港の駐車場からターミナルへ向かう道を歩く。
あと2時間程度で私はまた日本から離れる。
もう日本には「行ってきます」も「ただいま」も言う相手がいなくなってしまった。
それを少しだけ寂しく思う。
でも全部自業自得。自らが招いた結果、自分が導いた結果・・・。
とぼとぼと歩く私の横に、一台のバイクが並走した。
「ボアちゃん」
聞き覚えのある声。私と彼女の共通の友人で先輩で・・・昔、二人を繋いでくれたひと。
「久しぶり!」
「・・・とみこさん!」
「おいっす!」
彼女はにっこり笑って片手を挙げた。相変わらず笑顔がかっこいい。
「どうしたんですか?」
「うん、お見送りでもしようかと思って」
「ふふふ、ありがとうございます」
「おみやげのリクエストもしておかなきゃ」
「それが本当の目的?」
「ははは、正解!」
冗談混じりの会話に、ほんの少しだけ気分が明るくなる。
「あと、報告しとかなきゃいけないことがあるんだ」
うって変わって急に彼女が真顔になった。
「なんですか?」
「くう、あのコ結婚するってね」
「ええ・・・そうみたいですね・・・」
忘れようとしていた出来事をむしかえされて、心がぐらりと揺れる。
私は必死にポーカーフェイスを気取る。
「ちゃんと、彼女から報告は受けてます 私も心から祝福しています」
最後の言葉が少し震えた。
続く
55:名無しさん@秘密の花園
07/04/07 13:00:20 PeNCVEWV
面白かったです!続き楽しみにしてます♪
56:名無しさん@秘密の花園
07/04/07 14:35:34 ffUM4YPU
あたいは切なかった..
今回BoAタン目線が多くて嬉しかった
純と切れてホッとしたし伴ちゃんカッコえ~し♪なんか回りだしたー!てかんじ━(゚∀゚)━!!
中身さんはgenius!
57:名無しさん@秘密の花園
07/04/07 18:24:48 OpVZW2N6
くうぼあが好きなんだけど…
好きなんだけど…
純ちゃん切ない(´Д`)
中身サンさいこーだよ
58:名無しさん@秘密の花園
07/04/07 22:16:24 4ltQSNO6
やばい…
自分もぼあ純に萌えてしまった…
夏川さんが個人的にすきだからかなw
しかしくぅぼあ以外でこんなに萌えさせる中身さんはやっぱりすごい!
59:名無しさん@秘密の花園
07/04/08 12:58:34 YwS9R+Nf
スレ通り私はやっぱくーぼあ好きだ
腹黒い夏川あっちいけだ!せいせいした
中身さんありがとう
60:名無しさん@秘密の花園
07/04/09 03:41:55 HRixN7P0
子供か
61:名無しさん@秘密の花園
07/04/09 05:13:35 MtNsI5z7
毎日続きが恐ろしく気になる。。
62:名無しさん@秘密の花園
07/04/10 22:57:29 bEgcPNzU
まだか‥orz
63:KEY OF HEART―BoA'sSIDE―
07/04/11 01:40:28 clZnZkZc
「式、今日だって」
「へぇ・・・」
「教会で、本当に極秘にやるんだって」
「ふぅん・・・」
無関心を装うけれど、彼女の言葉が心の波紋をどんどんかき乱す。
「変なこと聞くけどさ、ボアちゃんはそれでいいの?」
「何言ってるんですか・・・ もう彼女とはなんでもないんですよ?
別れたのだって、ちゃんと話し合って二人で決めた結果なんですから」
「じゃあ一緒にお祝いしに行こうよ」
ぐっと彼女が私の手を引いた。
「いやです!」
思わずその手を払いのけてしまう。
我ながら『心から祝福してます』なんて、よく言えたものだ。
“彼女”の幸せを願っているのは確かだけれど、そんなこと…できるはずない。
そんな私を見て彼女が笑った。
「本当に…あんたら素直じゃないよね」
「…そんなことないです」
「変なところばっかそっくりでさ、見てるこっちは楽しくてしょうがないんだよ」
「そんなこと…」
「ある! たくさんある ポーカーフェイスがヘタクソなところとかさ、
弱いところ隠そうとして必死に強がっちゃうところとかさ…
面白いくらい、あんたら似てるんだよ」
「だとしても…とみこさんには全く関係ないじゃないですか…」
「それ…あのこにも同じこと言われたよ」
やれやれといった顔で、彼女は肩をすくめてみせる。
「第三者に痛いところ突かれるの、苦手でしょ?」
その一言で、私は何も言えなくなる。
図星だ。
64:KEY OF HEART―BoA'sSIDE2―
07/04/11 01:41:24 clZnZkZc
「だからつい『関係ない』って言っちゃうんだよね…
確かに私は関係ないよ 二人があーなろうが、こーなろうが知ったこっちゃないよ
でもさぁ、赤の他人の全く関係ない私から見てさ、二人ともめちゃめちゃ無理してんだもん
お互いのこと大好きで心配でどうしようもないのに、必死にそれを押し隠してさ…
お互いのウソを一生懸命信じ込んでその気もないのに祝福してさ、
なんっつーか…ボクシングとか格闘技みたいな攻防戦じゃなくて
まんま幼稚園児同士の喧嘩みたいになってきてるんだもん
何の駆け引きもない、ただの殴り合いだよ、それ 後には何も残らないよ…
どれくらいの期間、二人が距離を置いたのかは知らないけれど、
もし今素直になれなかったら、そのつらい時期が単なる暗い記憶で終わっちゃうよ
きっと彼女を好きになったことさえ後悔しちゃうと思う
誰かを好きになるって素晴らしいことなのに、それを悔やむのなんて悲しすぎると思わない?
悪いけど…私はそれを見て見ぬふりはできないよ…」
彼女が大きなため息を一つついた。
「悪いね、好き放題言っちゃって」
「いえ…別に…」
恐ろしいくらい、彼女は私達を見ている。
自分が認めたくない…いや、認めようとしなかった部分まで。
彼女の存在の大きさを知ったとき、なんであんなに泣いたのか。
どうして彼女の代わりに誰かを愛せなかったのか。
結婚の話を聞かされたとき、なんであんなに胸が詰まったのか。
自分が女であることを、なんであんなに後悔したのか。
思い出の場所が消えて、なんであんなに寂しかったのか。
週刊誌の下品な見出しに、なんであんなに苛立ったのか。
なんで必死に彼女を忘れようとしたのか。
私 彼女のこと 好きなんだ
65:KEY OF HEART―BoA'sSIDE3―
07/04/11 01:42:24 clZnZkZc
認めるしかない、揺ぎ無いたったひとつの答え。
「じゃ、私伝えることは全部伝えたから…帰るね」
彼女がスロットルを回した。軽快な音がコンクリートに響く。
「…とみこさん!」
走り出そうとした彼女の背中に叫ぶ。
「ん?」
「これから…どうするんですか?」
「花屋行って、あのこに贈る花注文しに行く予定」
「あの…」
「…だからなに?」
じれったそうに答える。
きっともう、彼女は私がどういう行動に出たがってるか分かってる。
「そのお花の代わりに…私の素直な気持ちを届けてもらえませんか?」
「…そうこなくっちゃ!」
かっこいい笑顔のまま、彼女がヘルメットを投げてよこした。
66:an accident―Van'sSIDE―
07/04/11 01:44:25 clZnZkZc
「とみこさん!」
「んー?」
背後から私を呼ぶ彼女の声。
エンジン音が少し邪魔で、ちょっとだけ大声で喋る。
「なんで、私達のコト、応援してくれるんですか?」
「なんだっていいでしょ!」
「なんだっていいことなのに、空港まで来てバイク飛ばしてるんですか?」
「・・・あんた達が大好きだからだよ」
照れくさくて大声では言えなかった。
「なんですか?」
「なんでもない ほら、もう少しで到着するよ!」
いつか二人に恩着せがましく言ってやるんだ!なんて。
信号が青になる。
車の間を擦り抜けるように走る。
立ち並ぶ住宅の隙間から目的地がちらちら見え始めた。
もう少し、もう少しだ!
一気に土地が開けて、目的地の敷地にさしかかる。
焦燥感からか、猫が通りに飛び出してきたことに私は気付かなかった。
黒猫だった。金色の目がギラリと光る。
不吉の象徴・・・
67:an accident―BoA'sSIDE―
07/04/11 01:45:20 clZnZkZc
「危ないっ!!!!!」
「・・・っ!!」
耳を劈くブレーキ音と、体が宙に投げ出される感覚。
世界がスローモーションで回転する。
雪崩のように、自分がこの世に生まれてから今日までの記憶が脳裏に浮かぶ。
これが走馬灯ってやつか・・・
ああ、とんでもないコトにとみこさん巻き込んじゃったなぁ・・・
パパ、ママ、先立つ不幸をお許しください・・・
もう一度、彼女と会いたかったなぁ・・・
この世に飛び出して、初めて立って、歩いて、喋って・・・
歌うお仕事するようになって、彼女と出会って、笑って、抱き合って、キスして・・・
最後に頭に浮かんだのは彼女の泣き顔だった。
ごめんね・・・泣かせちゃってごめんね・・・
ごめん・・・
遂に私の体が地面と接触した。
68:consciousness―Who'sSIDE?―
07/04/11 01:47:02 clZnZkZc
リノリウムの床を、耳障りな音を立てて通るストレッチャー
慌しく頭上を行き来する難しい言葉
金属製の器具が立てる鋭い音
不規則なリズムの電子音
息苦しさの中で
意識が朦朧と
私もう
駄
続く
69:名無しさん@秘密の花園
07/04/11 03:48:22 2ElgwgC5
んー、とりあえず続き早急に希望
話がつ●んなくなってきて・・ないよね
応援してます
70:名無しさん@秘密の花園
07/04/11 10:19:39 J3DnLC4b
やべー続き超気になる!
71:名無しさん@秘密の花園
07/04/11 19:42:28 5Hy9L64h
早くぅ~(;´Д`)
気になってしょうがない…BoAタソの想いはくうちゃんに届くの…?
72:名無しさん@秘密の花園
07/04/11 23:25:20 XqhTk5dj
中身さんGJです♪ほんまにヨカター!
BoAタンが自分の気持ちに気付けてやれやれ
伴ちゃんサマサマって奴ですな(´∀`)
死ぬなよぉ2人とも~
ほんで中身さんムリせんよ~にね(ー人ー)
73:名無しさん@秘密の花園
07/04/12 00:08:05 mX7O3HTx
むうぅ…息が詰まるくらい真剣に読んでしまう!
中身タン、GJ!!
74:名無しさん@秘密の花園
07/04/13 23:14:20 GFExDmpb
中身さんGJです!
続きが気になるわー
75:名無しさん@秘密の花園
07/04/16 08:30:54 KJg31oPk
ペースどんどん遅くなってきた?
中身さん大丈夫?
今の状況じゃ新しい職人いても投下しづらいだろうし
まー新しい職人いないだろうけど(T_T)
更新無くても顔出してほしいな
ファンとしては心配だよ!
76:名無しさん@秘密の花園
07/04/16 20:15:43 W7qJNlRL
中身さ~ん(゚∀゚)
そろそろ…。。。
77:Bad luck?―BoA'sSIDE1―
07/04/16 22:29:12 qfYR2tq4
・・・アちゃん、ボアちゃん・・・
誰かが私の名前を呼ぶ。
きっと天国と地獄の門の番人だ。なんかの本で読んだことがある。
そこで私は裁判にかけられて、天国行きか地獄行きか裁かれるんだ。
はたして私は善人であっただろうか。
重大な犯罪は犯してないけれど、たくさん彼女を泣かせてきた。
「地獄・・・かな?」
そう思った瞬間、むなぐらを掴まれて強引に上半身を起こされた。
ぺちぺちと頬を叩かれる。
ボアちゃんってば!
乱暴な扱い。地獄へ行く人間の扱いなんてこんなものか。
「おい!こら!起きろ!」
ぱしん!刺すような頬の痛みと、怒鳴り声でやっと目が覚めた。
「あ・・・れ・・・?」
「叩いてごめん、生きてる?」
「・・・とみこ・・・さん?」
脳震盪でもおこしてたら、彼女どうするつもりだったんだろう?目の前がものすごく眩しい。
「これ何本?」
現状をあまり把握できてない私の目の前に、彼女が指を突き出す。
「んっと・・・3本?」
「これは?」
「・・・5本」
「よしっ!」
ぐいとそのまま引かれて立ち上がる。
幸か不幸か、着陸(?)したのは柔らかい芝生の上で、
奇跡的に手のひらを擦りむいただけで私は生きていた。
とみこさんは植え込みに突っ込んだらしく、体のあちこちに葉っぱをくっつけていたけれど
私と同じように擦り傷だけで済んだみたい。
78:Bad luck?―BoA'sSIDE2―
07/04/16 22:29:56 qfYR2tq4
「・・・神の御加護ってやつかもね」
私越しに後ろを見る。
振り返ると、決して大きくはないけれど威厳たっぷりの教会が聳え立っていた。
「そこだよ くうが居るの」
彼女が顎でしゃくる。
「今しがた神様に助けられたとこなんだけどさ、その恩を仇で返す勇気はあるよね?」
そう言ってニヤリと笑った。
「花嫁奪還、しにきたんでしょ?」
「・・・はい!」
「ほら、早く行かないと 彼女神様に誓っちゃうよ!」
「はい!あの・・・ありがとうございます!行ってきます!」
「うん!」
ぱんと彼女が背中を押した。
私は教会に向けて一直線に歩き出す。
「そうだ!ボアちゃん!コレ、帰りの足!!」
その声に振り向くと彼女が私に向けて何かを投げた。
「ここに用意しとくから!」
それは放物線を描いて見事に私の掌に収まる。
何かの鍵?
「しっかりやんなよ!!」
私がそれを受け取ったことを確認するように彼女が叫んだ。
バイクを起こして跨り、スターターを思い切り踏み込む。
ついさきほどのアクシデントもなんのその、エンジンが轟音を立てた。
79:Bad luck?―BoA'sSIDE3―
07/04/16 22:30:35 qfYR2tq4
「えっ・・・とみこさん・・・帰っちゃうんですか?!」
「当たり前じゃん もう私いらないでしょ?私の出番はおしまい」
「でも・・・」
急に心細くなる。ここまで来る決心がついたのは彼女がいてくれたからだ。
「もし・・・断られたら・・・」
かけたエンジンを一旦切って、彼女がこちらへ戻ってくる。
「ボアちゃん ちょっと後ろ向いてて」
「はぁ… !!! いっ…たぁっ!!!!!」
後ろを向いた途端、お尻を思い切り蹴飛ばされた。
「いいからとっとと行ってきな!」
初めて聞く彼女の怒鳴り声。
「あんたがものすごいバカタレだってのは知ってるけれど、こっからは自分で歩くの!!!
ここまで来て何やってんの!素直な気持ち伝えにきたんでしょ!
今まで何度それ躊躇って失敗してきた?もういいかげんにしなよ!」
でも、叱咤の中に深い愛情が込められてるのが分かる。
「『後悔先に立たず』って言葉くらい、いいかげん覚えな!あんた頭いいんだから!バカ!!!」
乱暴な言葉の嵐が嬉しかった。思わず泣きそうになった。
「ありがとうございます!」
「いいから!早く行っておいで!」
「・・・はい!」
彼女にお辞儀をして入り口へ続く階段を駆け上った。
80:Bad luck?―BoA'sSIDE4―
07/04/16 22:31:18 qfYR2tq4
入り口の木造扉を開くと白系統の色で統一されたエントランスホールが広がる。
奥に見える扉がどうやら礼拝堂らしい。
さして長くもない距離を、私はゆっくり歩く。
これから自分がしようとしていることを考えると、緊張で足がなかなか進まなかった。
喉もカラカラで、心臓が口から飛び出しそうだ。
ゆっくり歩きながら、私はある映画のワンシーンを思い出していた。
入り口のドアを恋人の名前を呼びながら叩く主人公。
それに気付き振り向く恋人と、彼を阻止しようとする恋人の親族。
それを振り切って、手に手を取って二人は教会を飛び出す・・・。
果たしてその主人公みたいに自分は彼女を連れ出せるのだろうか。
入り口から見えた小さな扉は、目の前にしたら意外と大きく見えた。
扉の手摺を握って深呼吸。
きれいな木目越しに、賛美歌が聞こえてくる。
手摺を握る手に力を込める。
扉は想像してたよりも重く、めいっぱい押してもほんのわずか隙間が開くくらいだった。
その隙間をじりじりと広げるように体重をかける。
扉に全体重をかけた瞬間だった。
入り口の扉を開けたときに内圧の差でも生じたのか、扉がバタリと大きな音を立てて開いた。
それに体を預けていた私は、引っ張られるようにして中に入る。
足がもつれて、敷居のわずかな段差に躓いた。
「わぁっ!!!!!」
咄嗟に手を突くことができなくて、私は思いっきりバージンロードとキスをする。
ものすごく格好悪い登場の仕方。
・・・最悪。
81:Bad luck?―BoA'sSIDE5―
07/04/16 22:31:57 qfYR2tq4
「うっ・・・ いたたたた・・・」
鼻っ柱をしたたかに床に打ち付けたせいで、鼻の奥がジンジン痺れてる。
痛いときは反射的に涙が出るもので、目じりから雫が何滴か搾り出された。
鼻血は出なかったけれど、口の中に薄く鉄の味が広がる。唇が少し切れたみたい。
痛みに顔を顰めながらなんとか立ち上がる。
「あ・・・!」
目をまんまるに見開いて、驚いた顔をした彼女と目が合った。
全身の血液がサーッと一気に足元に流れ落ちる。
それと同時に顔が熱くなるのがわかる。
そんな私を神父さんが笑顔で手招く。
気付けば参列席には誰もいなくて、礼拝堂の中には神父さん、聖歌隊、
そして夫婦になろうとしてる二人だけしかいなかった。
神父さんは私を参列者だと思っているらしい。
「どうぞこちらへ・・・」
その誘いに私は首を横に振ってみせた。
「ごめんなさい!彼女にどうしても伝えたいことがあるんです」
少し戸惑ったような表情を見せて、神父さんが咳払いを一つした。
「・・・あの・・・その・・・」
あまりにも喉が渇いたせいか、声が少しかれていた。
私も咳払いを一つ。
「くうちゃんの淹れるコーヒー…あまり美味しくないんだよね・・・」
自分の口から出た言葉に自分で驚いた。
82:obedient or warped―BoA'sSIDE1―
07/04/16 22:35:58 qfYR2tq4
あれだけ頭の中で何度もシミュレーションしたのに
「悪いけどさ、私アメリカンの方が好きなんだ」
私の口から出る言葉は
「あと、くうちゃんの作る肉じゃが、少し甘すぎない?」
愛の言葉でもなんでもなくて
「それに私が作った料理、首傾げながら食べないで 正直ムカつく」
今まで鬱積していた『文句』だった。
「使ってる香水も、正直私の好みじゃない あ、カーコロンもそう 好きじゃない
運転の仕方荒すぎ あれじゃぁ酔っちゃう っていうか何度か酔ってるし」
素直になるってこういうことじゃなかったのに・・・
「お風呂の入浴剤だって・・・たまには私に選ばせて それに歯磨き粉、あの味はもう飽きました」
言いたいことはもっと違うことなのに・・・
「くうちゃんが好きなあの俳優、ずっと黙ってたけど、私大ッ嫌いなのね」
こんな状況に置かれても、素直になれない私。
「たまには私の見たい映画…見せてよ・・・」
そんな自分が情けなくて、自然と涙が零れ始める。
83:obedient or warped―BoA'sSIDE2―
07/04/16 22:36:47 qfYR2tq4
「嫌いなところも・・・《いっぱい》あるけど・・・」
どんどん零れる涙が、私の言葉のあちこちに歯止めをかける。
思考に日本語の語学力が追いつかなくなってくる。
「《本当》に時々《頭》に・・・《くる》んだけど・・・」
言いたいことが日本語にうまく変換できなくて、私はちゃんぽんで喋り続ける。
「《私》・・・のこと・・・全然《頼って》くれないけど・・・」
普段使ってる単語ですら出てきにくくなってきていた。
「本当は・・・もっと頼って《欲しいん》だ・・・」
滲んだ瞳の向こう側に移る彼女は、私に背中を向けていた。
純白のヴェールが邪魔して、横顔すらうかがえない。
もう、きっと・・・多分・・・、こっちを向いてくれることはないんだろうな。
そう思ったら、もっと涙がぼろぼろ零れた。
抑えようとしていた泣き声が喉から漏れる。
今まで伝えられなかった愛しい思いが心の器をどんどん満たしては
容量に収まらない分がどんどん溢れて滴る。
こんなに好きなのに・・・
なんで私・・・
どうして私・・・
とめどなく涙を流しながら、私は『後悔先に立たず』という言葉を身をもって学んだ。
84:obedient or warped―BoA'sSIDE3―
07/04/16 22:38:07 qfYR2tq4
「《き・・・嫌いなところばかり・・・だけど・・・》」
もっと前から素直でいたら
「《それでも・・・私は・・・ くうちゃんのことを・・・》」
彼女は今も隣にいてくれたのかな・・・
「《心の底から・・・愛してます・・・》」
最後のほうは日本語すら出てこなかった。
横隔膜に変な癖がついて、私はリズムの狂った呼吸を繰り返す。
彼女はこちらを見向きもせずに、俯いたままだった。
もう・・・私の顔を見るのも嫌なのかな・・・
そうだよね・・・ 結婚式、横槍いれちゃったんだもんね・・・。
謝罪と、とりあえず気持ちを吐露させてくれた感謝の気持ちを込めて
彼女の背中に向けて深くお辞儀をした。
回れ右をして、入り口に向かう。
「・・・ごめんね」
私の背後で彼女の謝る声が聞こえた。
こっちこそ・・・ごめんね。
すっと横を通り過ぎた風が、私の腕を掴んで引っ張った。
最終話へ続く
85:名無しさん@秘密の花園
07/04/17 01:01:36 dtUzLsoj
あれ、おかしいな…
目から液体が出てくるよ。・゚・(ノД`)・゚・。
中身さんGJです!
ついに最終話。楽しみに待っています!
86:名無しさん@秘密の花園
07/04/17 02:11:00 OAC5eEtQ
いやーBoA子!よく頑張った(´∀`)ノ
中身さんもGJですた♪とみこバンバンもご苦労さん
続きwktkで待ってます
やっぱ中身さんはネ申~
87:名無しさん@秘密の花園
07/04/17 22:54:29 Wr4NjqXu
GJ!
だけど前レスでは病院に運ばれたっぽかったけどいきなり式場?あたしの解読力が足りないのな…
兎に角、続き気になる!
88:名無しさん@秘密の花園
07/04/18 19:58:25 Lr3b0zH1
>>68は
たぶんBoA子の妄想。
病院?病院?と見せ掛けて
草の上
みたいな。
ダトオモウ、よ?
89:Long time no see―BoA'sSIDE1―
07/04/20 01:19:57 i7zNIVIl
「・・・・・!」
肌触りの良いシルクの手袋 背中が大きく開いたウエディングドレス
純白のヴェールが風になびいて私の頬をかすめる。
彼女だった。
「く・・・くうちゃん?!」
呆気にとられている私をよそに、彼女は手を引いたままどんどん走る。
「ちょっと・・・あの・・・結婚式は?!」
私の質問を完全に無視して、そのまま教会の入り口を飛び出る。
さっき登ってきた階段を転がるように駆け下りたところで、ようやく彼女は止まった。
「あの・・・」
「・・・いんだよ・・・もう」
ぜえぜえと肩で息を切らしながら、彼女が何か呟いた。
「・・・なに?」
「・・・そいの・・・んとに・・・」
荒い息にかき消されて、よく聞き取れなかった。
「ごめん・・・もう一度・・・」
「遅いの!遅すぎるの!ホントにもう!!!」
彼女がキッと私のほうを向いた。
「あたし・・・結婚しちゃうところだったじゃんか!!あほっ!!!」
「・・・はぁ?!」
とんちんかんなことを言われて、私は思わず変な声を出してしまった。
「しちゃうとこって・・・えぇっ?!する気なかったの?!」
「バリバリする気だったけどさぁ、ボアちゃんの言葉でなんか・・・あー・・・もう!!!
久しぶりに顔見ちゃったしさぁ、ていうかなんか遅くない?ていうか何しに来たの?!」
興奮してるんだか逆上してるんだか、まくしたてるように喋る。
90:Long time no see―BoA'sSIDE2―
07/04/20 01:20:31 i7zNIVIl
「あの・・・」
「もー、ほんとにもう・・・!!!」
どん!
「痛っ!ちょっと・・・」
彼女が俯いたまま、私の肩を手のひらで押す。さっきのさっきで少し痛む。
「アホっ!!!」
どん!
今度は両手で胸元を押された。たまらず後ろへひっくり返りそうになる。
「くうちゃん?!」
「言いたい放題言い過ぎ!!!」
怒りを露にした顔で彼女が怒鳴る。
どん!!
体当たりをするように胸に飛び込んでくる。
私はよろめきながら彼女を受け止めた。
「・・・なんで…もっと早く言ってくれなかったの?」
「・・・ごめん」
か細い声に胸が詰まる。また私は謝ってしまう。
「なによ!いつもごめん、ごめんって…」
私を睨む、しっかりとアイメイクの施された瞳から大粒の涙がぽろりと落ちた。
地面に落ちた音が聞こえそうなくらい大きな雫。
「謝る…くらいなら…」
その雫がどんどん数を増す。
「あほぉっ!!!!」
彼女が手を大きく振りかぶった。
91:Long time no see―BoA'sSIDE3―
07/04/20 01:21:05 i7zNIVIl
バチンと大きな音がして、私の頭に星が散る。
頬に走るのは痛みというか、熱さというか…
こんな風に私の頬を叩いたのは今までで彼女だけ。
両親にだってここまで叩かれたこと・・・ない。
「い…ったいな!!!!何よ!!何で叩かれなきゃいけないの?!」
突然叩かれて怒らない人間なんていないと思う。
もちろん私もそんなことされたら当然怒る。
っていうか、今日は何回痛い目を見たんだろう。
ヒリヒリする頬を押さえながら思わず怒鳴った。
怒り心頭の私とは裏腹に、彼女はものすごい顔でぼろぼろ涙を零す。
正直、コレはファン減っちゃうなぁ…って顔。
懸命に涙をこらえているのか目をぎゅっとつぶって
唇をきっと噛みしめて、への字に曲げて
恐らくウォータープルーフであろうマスカラは
無残にも彼女をパンダ目にして…
押し殺したような声が唇から漏れ始める。
一つ深呼吸をして、彼女は子供のように大声をあげて泣き始めた。
うえーん!!!冗談ではなく、本当に彼女はそう泣いていた。
「本当に…本当に…会いたかった…」
うわーん!!しゃくりあげながら途切れ途切れに喋ると、再び大声をあげて泣く。
その泣き顔があまりにも、ありえないくらいブサイクすぎて…
可愛くて、なによりも愛しいと思った。
92:Long time no see―Kumi'sSIDE1―
07/04/20 01:21:49 i7zNIVIl
もう、嬉しいんだか悲しいんだか楽しいんだか・・・
あたしはワケが分からなくなるまで泣いて泣いて泣きまくった。
涙って枯れないんだなぁと思いながら泣いた。
どんどん溢れる雫を拭う手を、温もりが包む。
ずっとずっと、一番感じたかった彼女の温度。
「あーあ びしょびしょじゃん」
笑いながら涙に濡れた手袋をあたしの手から抜く。
顔をあげると、滲んで見える彼女の笑顔。
それを見たらもっと余計に涙が出てきた。
「あらららら・・・」
彼女は少しだけ困った笑顔で頬を伝う雫を拭ってくれる。
「こんなに泣いておかしいんだ 子供みたい」
「うっさい!!」
さっきボアちゃんだって泣いてたの、知ってるんだから。
「言っとくけど、今すっごくブサイクな顔してるよ」
「・・・ほっといて!」
「でもさ・・・」
ぎゅうっと抱きしめられた。
痛いくらいの抱擁が、すごく嬉しい。
「私にとっては可愛いし、綺麗だし・・・とても愛しい」
その言葉にまた涙が零れる。
「・・・すっごいブサイクだけどね」
「もう!」
付け加えられた余計な一言に、あたしは彼女の胸を叩いた。
「いって~!」
舌を出していたずらっ子のように笑う。
大好きなその笑顔に、あたしはまたまた涙を流した。
「クミ!」
大声で名前を呼ばれて振り向く。
白いタキシードを着た彼が、ゆっくり階段をおりてきた。
93:Long time no see―Kumi'sSIDE2―
07/04/20 01:22:25 i7zNIVIl
ポケットに手を突っ込んで、ゆっくりゆっくり・・・
靴底を鳴らすようにして、ゆっくりゆっくり・・・
下唇を突き出すのは、怒ってるときのサイン。
「『ごめんね』って・・・何だよ・・・」
あたしが彼に酷いことをしてるっていうのは充分分かってる。
彼が怒るのも仕方なかった。
「っつーかさ、何その顔?俺の前でそんな顔したこと一度もねーじゃん・・・」
悔しそうに呟いて、彼は地面を蹴る。
「俺さ、今モーレツに頭きてるし、めちゃめちゃ妬いてるんだけどさ・・・」
深いため息をつく。
「そんな顔してるの見せつけられたら・・・何も言えねえよ・・・」
自嘲的に笑う姿に、ちょっぴり胸が痛んだ。
「なんかしんねーけどさ、クミの隣にそのコがいるの、俺、違和感感じてないんだわ
そんなにいい笑顔で・・・しかも思いっきりわんわん泣いてるし・・・
ホントはスゲー悔しいよ、マジで でもやっぱ・・・いい顔してんな・・・」
彼は再び深いため息をつく。
「なんか・・・わかんねーけど・・・
他の男がきても負ける気はしねーんだけど・・・そのコには俺、勝てない気がする」
「えっ・・・?」
「クミにそんな顔させるヤツだぜ?」
あたしの横で彼女が恥ずかしそうに俯いた。
長い沈黙の後、彼が彼女に声をかける。
「なぁ!」
「あ・・・はい・・・」
突然呼ばれて驚いたのか、彼女は『きをつけ』の体勢をとる。
「クミのこと・・・好き?」
94:Long time no see―Kumi'sSIDE3―
07/04/20 01:23:10 i7zNIVIl
「はい!」
即答だった。またちょっと泣きそうになった。
「んーと・・・今日のは仕方ないとして・・・二度とそんなふうに泣かさないって誓える?」
「誓うことはできないけれど・・・精一杯努力します」
「そっか・・・んじゃ、俺神父さんに挨拶してくるわ・・・」
くるりと回れ右をして彼が歩き出す。
「ちょ・・・ちょっとぉ!」
こんなときまで彼は彼らしくて、決してドラマチックじゃなかった。
めんどくさそうに彼が振り向く。
「最後くらいかっこつけさせろ!」
そう言ってニヤリと笑った。
「クミのこと、よろしくな!」
「はい!!」
彼女の手が、あたしの手をしっかり繋ぐ。
それを確認するように見届けてから、再び彼は歩き出す。
「ありがとう!」
その背中に大きな声でお礼を言う。
あたしたちに背中を向けたまま、彼はひらひらと手を振った。
「・・・くうちゃん」
「ん?」
照れたように頬を赤く染めた彼女。
「『花嫁奪還』の続き・・・してもいい?」
手を繋いだまま、あたしたちは走り出した。
95:DARLIN'―BoA'sSIDE1―
07/04/20 01:25:05 i7zNIVIl
「えっ・・・『足』って・・・コレ?」
目の前には前にかごの付いた自転車。
俗に言う“ママチャリ”が一台、植え込みの脇に停められていた。
ずっと握り締めたままだった鍵に目を落とす。
受け取ったときは確認すらしなかったけれど、これはどうみても自転車の鍵だ。
格好よくスポーツカーで花嫁を奪取!の絵がガラガラと音を立てて崩れていった。
「・・・・・・どうしよっか」
唖然として肩を落とす私を見て、彼女が笑った。
「いいんじゃない?」
そう言って彼女がリアに座る。
「ほら、あたしを奪いに来たんじゃなかったの?」
「・・・自転車で?」
「仕方ないじゃん!これしかないんでしょ?早く!」
即されるがままに自転車に跨ると、彼女の腕が私の腰にまわった。
「じゃあ・・・行きます」
「うん!」
思い切りペダルを踏み込む。
途端、耳障りな音が背後から響いた。
「えっ!何?!」
ぎょっとして二人で振り向くと、なんと空き缶を括りつけた紐が幾本も自転車に結ばれていた。
上手い具合に植え込みの影に隠されていたらしい。
コレって・・・ハリウッド映画でよく見る“アレ”だよねぇ?
してやったりの顔で笑っている“仕掛け人”の顔が頭に浮かんで、私は苦笑した。
「・・・どうしよっか」
「いいんじゃないの?」
ものすごい迷惑な悪戯に、彼女は満足そうに微笑んでいた。
「ま・・・いっか!」
「うん!」
彼女の笑顔に、私もつられて笑った。
96:DARLIN'―BoA'sSIDE2―
07/04/20 01:25:42 i7zNIVIl
再度ペダルを踏み込む。
頬に当たる風が心地よい。
「ねぇ 香水変えた?」
「別れた直後あたりにね・・・ あれ、ボアちゃん、この香り嫌い?」
「ちょっと嫌いかな・・・」
「前に使ってた大不評のやつと比べたら、まだ好みに近いと思うんだけど・・・」
「前の方が全然いい!」
「・・・なんで?」
「好みじゃないけど好きな香りだから」
「あのね、私、このあとまた韓国に戻っちゃうんだけどさ、1週間後には帰ってくるのね」
「うん」
「帰ってきたらさぁ・・・ またドレス着てくれる?」
「・・・なんで?そんなに似合ってる?」
「それもそうなんだけどね・・・」
「ん?」
「あのね・・・ 写真・・・撮りたいんだ くうちゃんと・・・」
「あたしと?」
「うん あのヒトみたいに上手くは撮れないだろうけど・・・」
「んじゃぁ・・・ ボアちゃんタキシード着るの?」
「何で?! やだ! 私もドレス着る!」
「それじゃどっちが花嫁かわかんないじゃん」
「でもタキシードはやだ!」
「いいじゃん きっと似合うよ」
「やーだー!」
97:DARLIN'―BoA'sSIDE3―
07/04/20 01:26:28 i7zNIVIl
少し重いペダルも、騒々しい空き缶の音も、腰に回された彼女の腕も
全てに幸せが満ちているような気がして嬉しくて、私は立ちこぎをする。
後ろで彼女が小さな悲鳴を上げてしがみつく。
思わずバランスを崩しそうになって、フラフラ走る。
二人で笑いながら悲鳴を上げた。
「くうちゃん!」
「んー?」
「後でちゃんと、誓いのキスしようね」
「うん!」
二人分の幸せを乗っけて、私はぐんぐんペダルをこいだ。
fin
98:おまけ―Van'sSIDE1―
07/04/20 01:27:29 i7zNIVIl
「うわ・・・タンクべっこべこ・・・」
バイクをパーキングに停めた時点で、私はダメージの大きさを始めて知った。
ビシッとかっこよく去り際をきめたくて全然見向きもしなかったけれど、
私の愛車はなんだかかわいそうなことになっていた。
ウインカーとミラーは変な方向向いちゃってるし、タンクもへこんでる。
カウルもなんか・・・あれ、ヒビが・・・。
それに折れてはいないと思うけれど、思い切り打った腰がかなり痛い。
「かっこつけすぎたかなぁ・・・」
別にそのときはそんなこと考えもしなかったけれど、
自分がとった行動を思い返すとなんだか恥ずかしい。
えーと、花嫁奪還をそそのかして、2ケツしてバイク飛ばして(横転したけど)、
歯の浮くような台詞で説教して・・・なにやってるんだ、私は。
ため息をついてわしわし頭をかくと、私をからかうように木の葉がちらちら舞い落ちた。
そんな私を誰かが背後から抱きしめる。
「・・・おかえり」
「うん・・・ただいま」
彼女だった。私の肩に顎を乗せる。
「・・・助けてあげたんだね?」
私は無言で頷いてみせた。
「やっぱり!とみちゃんいいこ~」
わしわしと私の頭を子供にするみたいに撫でる。
「なんか惚れ直しちゃった・・・」
「・・・なんです?」
「・・・聞こえてるでしょ?」
「聞こえてません」
照れの二乗でそっけなく返事してみせた。
途端、ぐいっと耳朶を引っ張られる感覚。彼女の顔が更に近づく。
うっ、まさか大声で叫んだりしないよね・・・?
耳元で彼女が深呼吸をした。思わずぎゅうと目を閉じる。
99:おまけ―Van'sSIDE2―
07/04/20 02:06:36 i7zNIVIl
次の瞬間、私の頬に暖かいものが押し当てられた。
押し当てるというか、押し付けるというか・・・彼女の唇だった。
「ご褒美っ!」
満足そうな笑顔が、ひしゃげたミラー越しに見える。
漫画で見るような立派なキスマークが頬に残っていた。
私も思わず笑う。
「ありがとうございます」
「あれ・・・これでいいの?」
ぺこりと頭を下げたら彼女が拍子抜けした声を上げた。
「・・・こんなんじゃなくて、バイクよこせー!とか言われると思ってた」
「そう言ってほしかったんですか?」
「そうじゃないけど・・・」
「じゃあ・・・一つお願いがあります」
「バイクは買わないよ?」
・・・即答ですか。結局買う気はなかったんですね・・・買ってもらう気もないけど。
「あと、このコの修理代も出さないよ?」
愛車を指差す。だからそんなことさせませんってば・・・。
彼女の方に向き直る。
「今さっきのコレを・・・」
頬に残されたキスマークを指で突付く。
「・・・こっちにも」
その指で自分の唇を指差した。
「・・・どういう風の吹き回し?」
彼女が怪訝そうな顔をする。
「いや・・・他人にばかり『素直になれ!』って言うのもどうかと思って」
あんな大見得切った本人がへそ曲りじゃあカッコつかないし。
ちょっと飛び出せたのは彼女達のおかげかな?なんて。
100:おまけ―Van'sSIDE3―
07/04/20 02:07:36 i7zNIVIl
少し考えるように彼女が目を伏せた。
「じゃぁさ・・・」
「はい」
「目・・・閉じて・・・」
「・・・はい」
言われたとおりに目を閉じる。
ゆっくりと彼女の体温が近づくのがわかる。
あと少し・・・あと・・・少・・・
ん・・・?
もう触れてもいいはずの唇がなかなか触れなくて、私は焦れて片目を開ける。
当然ながらすぐ目の前に彼女の顔があった。目が合う。
「愛してる」
そうはっきり囁いて、彼女は腕を私の首に回す。
「・・・どういう風の吹き回し?」
「誰かさんに感化されたの」
彼女の真似をしてみせたら、照れたように小さく笑う。
「とみちゃんは?」
私の真似なのか、片目をつぶってみせた。
「そうだなぁ・・・」
少しだけ考えるフリをしてから、私は答える代わりに唇を重ねる。
遠くの方で騒々しい空き缶の音と、明るい笑い声が聞こえたような気がした。
ほんとうに、おしまい。
101:中身@大反省会
07/04/20 02:16:30 i7zNIVIl
どもー、本当にお久しぶりです。中身です。
ほんとにもう・・・ここまで長くなるとは・・・orz
長々とお付き合いいただき、本当にありがとうございますた。
もうホント、遅筆だし展開グダグダだし、反省しまくりです。
しかも最後の最後で規制に引っかかってるし。
なんっつーか・・・肩の荷がドサァッと・・・(笑)
素直な感想を色々いただけて幸せでした。
もうちょっと精進してからまた来ますノシ
102:名無しさん@秘密の花園
07/04/20 02:37:08 52ClXBGJ
寝る前に来てみたら、素晴らしいものが!!
相変わらずGJです
長編お疲れさまでした(´∀`)
103:名無しさん@秘密の花園
07/04/20 19:19:58 3RabEVsW
中身さんGJ!!
長い間お疲れ様でした
最後はやっぱりHAPPY ENDで言うこと無しです!!(*^_^*)
本当にお疲れ様でした
104:名無しさん@秘密の花園
07/04/20 21:01:31 cTSUhAoL
いやー、、圧巻ですね。
ここまで書ける人いないよなかなか。ほんとに。
お疲れさまでした。
105:名無しさん@秘密の花園
07/04/20 23:06:25 8xFuxi6w
GJ!!
ちゃんと二人が素直になれてよかったよ
くぅぼあに戻ってよかった(´∀`)
中身さん、おつかれ!!
106:名無しさん@秘密の花園
07/04/21 00:09:21 SxNv3jiF
中身さんお疲れさんでした!いや~何回読み返した事か..
そんでその度ドキドキハラハラしてたり
2人が離れてる期間は精神的にかなり落ちてました
あんな風に作品を組み立てれる頭脳..
もしや中身さんは世に出るべき人なのでは!?
と感じたのは私だけじゃないはず(*-∀-)
さっそく次回作wktk♪
107:名無しさん@秘密の花園
07/04/21 05:52:18 +mmiqRPn
始めの方はドラマチックで過去最高傑作か?!って感じだったけど
後半ネタギレか誰でも予測できるパターンで、残念でした
前半ドキドキハラハラだっただけに期待し過ぎたからかな‥
でも中身さんの作品にしては後半は中途半端で内容の薄い、無駄にダラダラ
だったような気がしました。伴チャンの方には最近やたら力いれてるようだけど
中身さん的にもうくーぼあは下火というか堕ちた存在なんでしょうか‥
本当に今回はがっかりでした
※あくまでも個人的な感想です
108:中身@諸事情により携帯から
07/04/21 09:39:19 /XfDFHHo
>>107サソ
ありがとうございます!
こういった感想、大歓迎です。
いやぁ~耳が痛い(笑)
ダラダラ気味なのは、推敲する度に加筆したのが原因です。
もう、本当にこればかりは…
筆ノリがいいと、調子にのって書いてしまうんです。
もちろん、何度もチェックしてから投下しています。
今回においては、削る箇所と加筆する箇所を間違えていたかもしれないですね…。
大反省です。
言い訳はしたらキリないのでしません。
次回は107サソにも納得していただけるような作品を書けるように努力します!
109:名無しさん@秘密の花園
07/04/21 18:36:37 wEeJWyz1
中身さんおつかれさま!
そしてありがとう
>>107
中身さんくーぼあに飽きたんじゃなくて、住人のリクエストに答えて伴もやってくれてるのでは?
個人的には伴好きなので大歓迎
110:名無しさん@秘密の花園
07/04/21 21:26:25 e8Zd9ucs
GJでした中身さん!
凄く引き込まれました!
その後の二人の番外編とか最後に頂きたいなぁ…。。。とか我が侭ですが、ちと期待!
111:名無しさん@秘密の花園
07/04/22 16:25:43 axUU0tWy
GJでした!
でも番外編としてでもいいから
BoAちゃん夏川、くー元彼が付き合うまではいいけど
その後、結婚って形じゃなくて恋愛模様的ならどうなるのか
って形でもう1つのストーリーを希望です
112:名無しさん@秘密の花園
07/04/22 20:26:46 Tpy5bCAV
中身さん、長編お疲れ様でしたm(_ _)m
確かにありきたりなラストだったかもしれないけど
読んでてドキドキしたし、凄く切なくなったし、泣いたりもしちゃいました!
中身さんやっぱすげぇって改めて思えた作品です。
本当にお疲れ様でした&良い話をありがとう!
113:名無しさん@秘密の花園
07/04/22 23:20:12 lTXulboR
でもありきたりであればあるほどその人の腕が分かるよね。
中身さん、すごく良かったです。
114:名無しさん@秘密の花園
07/04/26 02:20:15 iixwCWJ0
wktk
115:名無しさん@秘密の花園
07/04/27 15:40:16 kY58XQnp
花嫁を奪ったのはいいけど‥あれから1ヵ月
お互い忙しくてまともに会う時間がない
週に1回ご飯食べに行く程度。
勿論、電話とメールはしてるけど
でも問題は、そんな事じゃなくて。
彼女を想えば想う程に募る不安っていうか‥
電話して声聞いてハグして欲しいなって思うと湧出る
ご飯行った時、キスしたいなって思うと湧出る
あの彼ともしてたんだ‥って。私で大丈夫かなってさ‥
私も夏川サンとしてたわけだけど。すごく勝手だけど
わかってるけど妬いちゃう自分が消せない―
116:名無しさん@秘密の花園
07/04/27 16:19:42 kY58XQnp
やっとの偶然で明日は2人とも午後からだから
一緒に食事した後、コンビニ寄ってお菓子と飲み物調達
そのまま一緒にくーチャン家に向かう
変なモヤモヤが消えないけど、やっぱり会えるのはすごく嬉しい
久しぶりのくーチャン家
ちょっぴり懐かしい“くーチャン家の匂い”
久しぶりの2人っきり‥密室
考えてドキドキしてくる
その後ですぐうかんでくるモヤモヤな感じ
(彼も来たんだよね‥)
部屋にとおされる
ソファーを見ると(彼と座ってキスしたのかな)
ベッドルームの方を見て(彼と‥してたんだよね)
モヤモヤモヤモヤ邪魔なくらい湧出てくる思い
「どした?座らないの?」
くーチャンが立ったままの私の顔を不思議そうに覗く
「ん?!何でもない^^」
私は頭の中に湧出て浮かんでる色んな思いを
頭の中に消すスイッチを思い浮かべて押して消した
117:名無しさん@秘密の花園
07/04/27 19:08:09 LS15lx01
うわキタコレ何?
チョー嬉し~♪
続きカモン(屮°□°)屮
118:名無しさん@秘密の花園
07/04/27 22:00:56 tPRYrvqJ
wktk
119:名無しさん@秘密の花園
07/04/29 00:38:16 Zv6qAQJK
wktkしてもイイデスか?(;´Д`)
120:名無しさん@秘密の花園
07/04/30 10:15:26 +fzysYz2
私はソファ‥じゃなくてカーペットに座った
『そっちなんだ?w』
「うん、こっちの方が落ち着くから」
とっさに言い訳。本当はくーチャン家のソファ最高なんだけど。
『じゃあたしもっ』
そう言ってニコって笑って、くーチャンが隣に座った
その笑顔にドキっとする
コンビニの袋から買った物を出してテーブルに並べる
くーチャンは烏龍茶、私はお酒、18時以降禁止のお菓子、くーチャン用さきイカも
テレビをつけて、まったりタイム
お互いの出来事とか日常の何でもないような話
話してる時の横顔、仕草、烏龍茶を飲む時の唇、目に入る度にドキドキしちゃって
とにかく今日は何だか意識してしまう。
そのドキドキが気付かれないように自分の中で変に焦ってお酒が進んでしまう
『ちょっとBoAチャン、ペース早すぎじゃない?』
「そんなことないよ平気平気!」
‥じゃないみたい。頭の中が少しポーっとしてきた。「くーチャンもたまにはこっち飲む?」
『フフッ飲まな~い。っていうかどしたの今日?何かあった?』
「ん?何もないよ。どして?」
『ん~なんとなく。何かさっきから』
「ねぇくーチャン」
彼女の話を遮るように呼んでみる。
このドキドキにもモヤモヤにも焦りにも何も気付かれないように‥
って、すでに変に見えてるみたいだけど
121:名無しさん@秘密の花園
07/04/30 10:46:08 MPCF4Hxb
wktk(゚∀゚)!
122:名無しさん@秘密の花園
07/04/30 10:47:15 +fzysYz2
たぶん嫉妬。っていうか絶対。
見れば見る程、話せば話す程に愛しくて
好きで好きで、でもそう感じる程に“彼とも‥”って考えちゃってイライラ‥
自分の事は棚にあげて。
誰にイライラ?自分に?くーチャンに?
嫉妬のせいかお酒のせいか、自分の頭の中ぐるぐる意味不明。
彼女の話を遮った私の呼びかけに
当然のごとく彼女は話を止めて私を見てる
優しい目で すごく優しい目で‥
『な~によ?』
「え?!」
『えってBoAチャンいま呼んだじゃん』
「うん。えっと忘れた。何言うか忘れちゃったw」
『うっわ何ソレwっていうかBoAチャン酔ってる』
「酔ってないよ」
『酔ってる人ほど酔ってないって言うんだよ』
そう言って笑う彼女。
優しい笑顔。私のモノだよね?
今のその笑顔は、私だけのものだよね?
急に不安と独り占めしたい気持ちに襲われた
123:名無しさん@秘密の花園
07/04/30 16:31:34 +fzysYz2
隣に座る彼女の肩に片方の手をかけて、私は彼女にキスをした
ほんの少し触れるだけのキス―
気持ちを確かめるように唇を離して彼女の顔を見ると
彼女の視線がゆっくりと上がって目が合った
どうしようもなく溢れるスキの気持ち‥今すぐ押し倒して彼女を感じたい
それと共に湧出るモヤモヤの嫉妬心が私に変にブレーキをかける
「彼とも?」
『えっ?!』
驚いた表情の彼女に私はまたキスをする
知りたい、知ってるけど、知りたくない
彼女が何も言えないように‥
そのまま唇だけじゃなくて舌で彼女の言葉に蓋をする
『っん!!』
彼女の腕が私を押し離した
「イヤ?」
『違うよ。BoAチャン酔ってるし』
「酔ってたら何?」
『お水持ってくんね』
「いらないよ!」
そう言ってお酒の缶を口にする私から彼女が缶を取り上げる
そしてそれをイッキ飲み‥
『はいっ。お酒おしまい^^』
そしてまた優しい笑顔を私に向ける
124:名無しさん@秘密の花園
07/04/30 17:47:42 +fzysYz2
私は何だか無性にイライラしてきてた
自分への嫌悪感‥ケンカなんかしたくないのに
どうしても自分の中の嫉妬心が邪魔して素直に接しれない
くーチャンが好き、大好き。ただそれだけなのに‥
その優しい目も唇も手も体全部あの人に触らたんだって思うと何かさ‥
一生懸命自分を落ち着かせて、またモヤモヤ消しスイッチを押した
お酒が口に合わなかったのか烏龍茶を飲んでる彼女に話しかける
「くーチャン?」
『ん?』
「大スキ」
『うん』
「私、酔ってないよ?」
『ん、わかった』
「だからチューしたい」
彼女は何か考えているのか無言のまま‥
彼女の返事を聞かずに私はまた触れるだけのキスをする
1回‥
2回‥
3回目のキスをしようと態勢を変えようとするとトポントポン―
彼女の持ってた烏龍茶にぶつかってカーペットと私の服はビチョビチョ。
「ゴメン」
『ううん、それより服、大丈夫?』
彼女がすぐにタオルを持って来てくれて拭いてくれたけど
どうやら着替えなきゃダメな感じ。
125:今度はPCから。
07/04/30 18:41:54 c/YnLogl
『あ、BoAチャンお風呂入っておいでよ。
風邪ひいたら大変だし。着替え出しとくから』
「ん~。じゃぁくーチャン一緒に入ろ?」
『えぇ~w私はいいよ後で入る。ここ片付けちゃうから』
「やーだ!一緒に入ろ?私とじゃもうイヤ?」
あぁ・・また余計な事いっちゃった。抑えて抑えてスイッチPUSH・・
彼女はうつむいてる。ヤバイかも・・このモヤモヤ嫉妬バレちゃったかな?・・
『わかった。じゃぁここだけ片付けてから行くから先入ってて?』
「うん!」
私はシャワールームに向かった。脱衣所の洗面台をフと見ると男物のヘアWAX
あの人の忘れ物。当たり前の事なんだけど胸がギュっと痛んだ。
言いたい事はいっぱいある。でも言わない。言えない。
だって全部私の勝手なワガママな思いだから。
《私の事想ってくれてたなら何で彼としたの?あのソファでも?
あのベッドでも?一緒にお風呂も入った?
やっぱり男の人との方がよかったから結婚しようとしたの?
私にしてくれてたこと全部、彼にもしてあげてたの?》
モヤモヤはキリがない。本当に自分の幼稚な嫉妬心に情けなくなるほど。
色々考えながらももう髪も身体も洗顔も歯磨きまで洗い終えた
くーチャン遅いな・・ そう思いながら湯船につかった
カチャ 彼女が入ってきた
126:名無しさん@秘密の花園
07/04/30 19:21:20 c/YnLogl
「くーチャンおそーい!!」
『ゴメンゴメン、マネージャーから電話でさ。
BoAチャン全部洗い終わったんだ?背中流そうと思ったのに^^』
「え~?洗っちゃったよ。くーチャン遅いんだもん
あ、くーチャンは私が全部洗ってあげるよ!!」
お風呂だから当然のごとく裸なわけで
自分から一緒に!って誘ったわりには
久しぶりの彼女とのお風呂は何だかすっごく照れくさくて
恥ずかしさからテンションがやけに高くなる。
目線を何処のしたらいいのかわかんないし。
とりあえず、彼女の髪を洗う。
照れ隠しに泡だらけの髪を色んな髪型にして遊んだりして2人で笑った
トリートメントも忘れずに。その間にくーチャンは自分で歯磨き。
トリートメントを流して今度は身体を洗う。スポンジを泡立てて背中から・・
鏡越しに彼女を見る。胸またちょっと大っきくなったかも
あの人にいっぱいしてもらったからかな?そうまたモヤモヤ浮かんできて
私の中の嫉妬心が、私をイジワルな嫌な奴にしていく。
一通り身体を洗ってシャワーで流す。
『ありがとっ^^』
「まだだよ」
お礼を言って湯船に入ろうと立ち上がる彼女を引き止めた
「座って?」『?うん・・』
127:名無しさん@秘密の花園
07/04/30 19:38:06 odbCbgBe
どなたか存じませぬが..wktkであります(@ω@*)
128:名無しさん@秘密の花園
07/05/01 02:05:56 7ZvYXGl9
つ…続き…!wktk(゚∀゚)
129:名無しさん@秘密の花園
07/05/01 21:09:42 Y3A3zvTU
彼女を座らせて引き止めた腕を離す
「さっきの続き!」 『え?・・』
驚いてるのか嫌なのか何も言わないまま少し俯く彼女。さっきからこの表情何回目かな?
彼女のこの顔は何か考えている時・・だけど今の私には察して気遣う余裕もない
気付かないふりする意地悪モードな私・・
彼女の足を開いてその間に私が座る
彼女は恥ずかしさからか、さっき飲んだお酒のせいか
もしくはシャワールームの暑さのせいか 頬が少し赤い
まだ何も言わないままの彼女の濡れた唇がすごくセクシーで
指先でなぞってみる 少し俯いてた顔を上げて彼女が私を見る
どこか寂しげなその表情になぜか胸がギュっと痛んだ
私はそのまま彼女の唇にキスをする 深く深く彼女の口内を犯す
片方の手で彼女の柔らかい胸を揉みながら人差し指で
胸の先端の硬くなった部分を転がすと彼女の体がビクっと反応した
足りない もっと欲しいもっと、もっと・・ 彼女の唇が欲しくて堪らない
だけど彼女は私の舌を受け入れてくれても彼女の舌を私に感じさせてくれない
興奮して真っ白な頭の中に、また色んな思いがフラッシュバックする
さっきのWAXが頭を過った時、私の中のどうしようもない黒い思いが爆発した
唇を離すとまた目を伏せたまま少し息を切らせている彼女。
「くーチャン?」『・・』まだ苦しいのか返事してくれない彼女にイラっとする
「彼ともこうやってしてたの?」『BoAチャン・・』
私はシャワーを出して彼女の下の蕾にあてて刺激する
私の体で閉じられないのにどうにか閉じようと抵抗する彼女の
片方の足を押さえて、シャワーを離したり近づけたり揺らしたりする
彼女の息がハァハァとどんどん荒くなる
『っん・・っあっ・・ヤ・・ダ・・』
「あのソファでもした?」
『・・んっ・・ャ・・ハァハァ・・』
「あのベッドでもそんなふうに感じてたの?」
130:名無しさん@秘密の花園
07/05/01 22:13:57 tSvNOLXd
(・∀・)イイ! wktk♪
131:名無しさん@秘密の花園
07/05/01 22:20:28 7ZvYXGl9
切ない…(ノω・、)
くうちゃんの想いは…?
132:名無しさん@秘密の花園
07/05/02 01:53:53 QkEvJaRO
神発見!
133:名無しさん@秘密の花園
07/05/02 22:41:30 RpuLGpQp
今日は更新ないのかなぁ…('A`)
wktkなんです(;´Д`)ハァハァ
134:名無しさん@秘密の花園
07/05/03 00:59:35 tQeQ/4iy
『んっ‥‥ぁ‥ボァチャ‥んっ‥』
感じながらも私の腕を止めようと彼女の手が私の腕を握るけど
力の入らないその腕が私が握るシャワーの動きを制止できるはずもない‥
抵抗しながらも時おり体をビクっ反応させて感じてる
『んぁッ‥ヤ‥‥』
フと視線を横にやるといいものが目に入った
彼女がCMしてるレディースシェーバー。ボタンがついていて、押すと振動する仕組
私は彼女の足を抑えていた方の手をさっとのばしてそれを手にした
替刃が外してあったから危なくないしボタンを押して振動させてみる
―ブ-ン―
振動音がシャワールームに響く
一端シャワーを止めて、ブルブル細かく動くその物体の柄の部分を彼女の中に入れてみる
『‥っんぁ‥ボァ‥チャ‥ヤメ‥テ‥っン‥ハァン‥』
いまだ嫌がる彼女の声も今の私には興奮の糧でしかない
気持ちは拒否していても今の彼女の身体は全身が性感帯のよう
すんなりと入ったソレで一度奥まで突く
『ぁんっ‥‥ハァハァ‥』
今度はゆっくりと出したり入れたりしてみる
『ハァハァアッ‥ン‥ン‥ハァハァ‥』
こらえながらも漏れる彼女の喘ぎ声と
クチュクチュと彼女の中の濡れたイヤらしい音が
振動音と共にシャワールームに響く
彼女の中をかきまぜるように動かすと彼女の息使いが一層荒くなった
135:名無しさん@秘密の花園
07/05/03 02:16:01 tQeQ/4iy
そのままもう片方の手で再度シャワーを出して彼女のビンと充血した蕾にあてた
『ンァッ‥アァァッ‥ンァ‥ハァッ‥ハァッ‥ンンッ』
堪えきれず喘ぎながらシャワーの動きに合わせて腰を動かしている彼女
その動きがすごくいやらしくて私の興奮に拍車をかける
振動物はゆっくり出し入れしながら蕾へのシャワーでの刺激を激しくする
『ンァァァ‥ン―ッ‥‥!!』
彼女の体がビクンッビクンッと動いて快楽の頂点に達した‥
ハァハァと肩で息をしながらシャワールームの壁にもたれかかる彼女
水しぶきが涙か、彼女の目から透明のものがポツンと流れるのが見えた
私は急に罪悪感に襲われて彼女の顔をまともに見ることも
何か声をかけることもできなくて、ただ彼女の熱った体をぬるめのシャワーで流した
暫くの沈黙の後、最初に声を発したのは彼女だった
『BoAチャン‥』
「ん?」
『‥ホントの事言って。‥私の事‥好き?』
そう言って真っ直ぐに私の目を見る
その問いかけに、また胸がギュッと痛んだ。なぜか涙が頬を伝う
『‥BoA‥チャン??!』
言いようのない自分への嫌悪感‥情けなさから彼女の真っ直ぐな目を見る事ができない
「ゴメン‥上がろっか」
うつ向いたままそう言うのが精一杯で、私は彼女の手をひいてシャワールームを出た
136:名無しさん@秘密の花園
07/05/05 14:32:48 Oyep+kTd
シャワーから出て着替える
脱衣所の洗面台に置かれたあのWAXにフと目が行く
その視線に気付いたのか、彼女がソレのある方を振り返る
気付いたかな? 気付いてないかな?
今の私の気持ちもそう
知って欲しい。でも知られたくない。
次の瞬間、何も言わずにソレをゴミ箱に捨てる彼女を、私は見て見ぬフリをした
髪の毛をタオルで拭く私の背後に温風があたる
「いいよ」
『いいから‥』
ふりきってリビングに戻ろうとする私の腕をひいて
無言のまま私の髪をドライヤーで乾かしてくれてる
優しい‥私、酷い事言っちゃったし無理矢理あんな事までしちゃったのに‥
彼女の優しさに、自分への嫌悪感がどんどん‥どんどん募る
『はい、乾いた』
「ん‥ありがと‥」
アルコールが醒めたせいかな、さっきまでの自分より自分自身が小さくなった感じ
自分の髪を乾かし始めた彼女をおいて私は1人リビングへ戻った
テーブルの上も、濡れたカーペットもキレイに片付けられてる
今日どうしよう‥
なんか居づらいし‥自分が悪いんだけど‥
くーチャン戻って来たら帰ろう
そんな事を考えていると彼女が戻ってきた
137:名無しさん@秘密の花園
07/05/05 16:31:24 tb3QVWIx
『何か飲む?』「ん、いい。くーチャン、この服借りてってもいい?」
『うん』その時、私のケータイが鳴った。サブ画面には《夏川純》の表示・・
「はい」
《もしもしBoAちゃん?久しぶり!今平気?》「う・・ん」
《どうしたの?元気なくない?あ、彼女とまだ上手くいってないの?》
「ううん。そんなことないよ大丈夫」
《私の方はいつでも戻って来ていいからね~^^》
「アハハ・・ありがと。でも大丈夫」
《冗談はおいといて、家にね、忘れてたのBoAチャンの服とか色々。
だからとりあえず宅急便で送っておいたから》
「あ、うん。助かる。ありがと」
《うん。・・ねぇ、BoAチャン、彼女の事、そんなに好き?・・》
「うん。スキ・・」
《そっか^^。ならよかった。ゴメンね急に。とりあえず宅急便の報告でした!》
「うん、わかった。ありがと」
《うん。じゃぁねっ!! 頑張ってねBoAチャン。オヤスミ!!》プツッ・・・
サブ画面見られてたかな?何も悪いことはしてないのに何かドキドキした。
彼女はソファに座ってTVを観てる・・
「くーチャン、私、帰るね」『え?!・・・・う・・ん』
ケータイやら着てきた上着やら身支度を整えて玄関に向かう
靴を履いてドアノブに手を伸ばそうとすると
『BoAチャン!!』
リビングから彼女が駆け寄ってきた
138:名無しさん@秘密の花園
07/05/05 20:35:04 yeUwsTF0
GJ!超GJなんだけど……「チャン」→「ちゃん」にしてほすぃ
139:名無しさん@秘密の花園
07/05/05 21:26:12 pjXr/w1F
これ中身さんの続き?
書いてるの中身さんじゃないよね?
140:名無しさん@秘密の花園
07/05/06 00:04:07 a9ORAvz5
wktk×100(゚ω゚三*゚∀゚)
141:名無しさん@秘密の花園
07/05/06 21:28:52 K+cAB/my
wktk(゚∀゚)!
BoAタソ早く素直な気持ちを…!
142:名無しさん@秘密の花園
07/05/06 21:38:34 ZuyK8gV2
GJGJGJ
143:名無しさん@秘密の花園
07/05/07 20:07:15 ltAcuQTi
続き~!wktk('A`)
144:名無しさん@秘密の花園
07/05/09 06:02:20 OhlYgi8J
『やっぱり、ダメ』
「え?」
『帰らないで』
真っ直ぐに私に向けられた彼女の視線
そんな目で見られたら断れないじゃん‥
「‥うん」靴を脱いだ途端少し強引に私の手を引いてリビングに向う彼女
私をソファに座らせて、その隣に自分も座った
沈黙の中、つまらないテレビの音だけがリビングに響く
『許せない?私の事』
「え?」
『したよ彼と。このソファでも、あのベッドでも』
胸が痛い。2人でいるのに1人ぼっちみたいに寂しい
「‥うん。わかってる」
突然、彼女の顔が近づく。私はとっさに彼女の肩を押し離れた。
『もう私とはイヤ?‥彼女が恋しい?』「違うよ‥」
『BoAちゃんだって‥あの子としてたんでしょ‥
あの部屋で‥何回くらいしたの?』
「くーちゃん‥」
『さっきだって!‥さっきだって‥彼女と比べてたんでしょ?
彼女の方がよかった?』
「違うよ」
『電話で(スキ)なんて‥だから帰るんでしょ?
帰って会いに行くんでしょ?!』
次第に声を荒げて話す彼女
145:名無しさん@秘密の花園
07/05/09 06:50:43 /xAIHwPl
GJ!GJ!
wktk…(゚∀゚)!
146:名無しさん@秘密の花園
07/05/09 19:48:17 OhlYgi8J
もう無理なのかな‥
1度離れた事で出来た溝はもう埋められないのかな‥
過去は消せない。でもいま(好き)だけじゃダメなのかな‥
どうしてだろう‥言いたい事は沢山あるのに言葉が出て来ない
『いいよ』
少しの沈黙の後、彼女がボソッと呟いた
『ごめん‥行っていいよ』
言葉の意味が理解できなくて彼女の顔を見る
彼女はうつ向きながら、胸に手をあてて1つ大きく深呼吸して
それから今度はゆっくりと優しい口調で話し始めた
『私、BoAちゃんのこと大好き
だからBoAちゃんが幸せならいいと思ってる
‥ごめんね引き止めて‥早く行って^^』
そう言って私に笑顔を向けた彼女の表情はどこまでも深く優しく
まるで聖母のようで、その目にはうっすらと涙が滲んでいた
私は胸が痛くて張り裂けそうだった。
違う‥違うのに‥素直になれない言葉に出来ない自分。涙で目が滲む。
また同じ事を繰り返すのかな‥ 嫌だ‥そんなの絶対にイヤだよ
「違うよ。‥違うの」
147:名無しさん@秘密の花園
07/05/09 20:02:04 CchRG9Am
oh!来てたー(〃∀〃)ノ
いいですよ~♪ドンドンいっちゃってくらさい!!
148:名無しさん@秘密の花園
07/05/09 20:59:49 vd6gMSk/
萌える
149:名無しさん@秘密の花園
07/05/09 21:30:57 /xAIHwPl
続きは…?Σ(゜д゜;)
毎回wktkです…('A`)
150:名無しさん@秘密の花園
07/05/10 00:34:50 sZmMduP4
しっかりsageて待ちますンで
何卒よろしくお願いいたします(ー人ー)
151:名無しさん@秘密の花園
07/05/10 01:45:59 ecN0vzSV
こりゃ~いいねぇ(〃∀〃)
wktk♪
152:名無しさん@秘密の花園
07/05/10 17:57:44 SzcFx32t
『?』
「さっきの電話は夏川さんに“彼女の事好きか”って聞かれて、だから好きって‥」
『え?‥じゃぁどうして』「違うの‥私、くーちゃんに悪くて あたし‥
くーちゃんとあの彼の事‥やきもち‥妬いて
くーちゃんの事好きで、大好きで
私だけのものにしたくてだから‥だから無理矢理あんなこと‥
もう嫌われちゃったかなって‥こわくて‥だからいられなくて」
うまく日本語になってたかもわからないけど
私は自分の中にある思いを夢中で言葉にのせた
『‥私もだよ』
「へ?」
『BoAちゃんが‥彼女とキスしたり‥セックスしてたなんて‥
勝手だけど今でもすっごく嫌だ
さっきも比較されてるのかなって‥それで彼女を選ぶのかなって怖くて
BoAちゃんを誰にも触れさせたくない‥私以外の誰にも』
「うん‥」
自然と涙が頬を伝った。
そして胸の中の色んなモヤモヤが消えていく感じがした
『だけどそんなのただの私の我儘。BoAちゃんはBoAちゃんで私のモノじゃない』
近くに感じ始めた彼女がまた遠のいていく気がして彼女の話に割って入る
「私は‥
私は我儘でもくーちゃんを私だけのものにしたい!
誰にも触れさせたくないし、私だけのくーちゃんでいて欲しい」
153:名無しさん@秘密の花園
07/05/10 19:05:49 SzcFx32t
2人の視線がぶつかる‥
どちらからともなくキスをした
優しい、少ししょっぱいキス
『いいの?』
唇を離して彼女が問いかけた
「なにが?」
『許せないんじゃないの?』
「もういいの。くーちゃんは?嫌じゃない?」
『うん、嫌だ。許せない』そう言ってチュッっとキスをする
『だからやっぱり私のものにする』
そう言ってキスしたあと抱きしめられた
『もう誰にも触れさせない』
「うん‥」
あったかい‥何とも言えない彼女の温もり
『さ~てとっ!』彼女が体を離して言う
「ん?」
『教えてもらうかなBoAちゃん。キスは?』
「え?」
『何回くらいした?』「そんなの」
『じゃぁエッチは?』
「じゃぁくーちゃんは?」『ん~と‥』
「あ~!くーちゃん今あの彼とのエッチ思い出してる!!!
‥ムカつく。やっぱりヤダ!私も許せない。だから‥」
彼女の肩を押し倒す
「もう絶対離さないから」
―チュッ―チュッ―チュッ―
照れ臭く笑いながらキスを繰り返す
そのうちクルっと巧く体勢を変えられ彼女に組敷かれた
『彼女より感じさせてあげる‥』
イタズラっぽくそう言った後で私にキスをする
優しく、深く、時に荒く、激しく。その夜、私達は再び繋がった。それまでで1番熱く強く。 end
154:名無しさん@秘密の花園
07/05/10 19:17:30 SzcFx32t
期待させて(してない?!)最後ありきたり。
中身さんの真似してみました。
ごめんなさい、ちょっとだけ
中身さんに意地悪したくなったので書いてみました
だけど中身さんの大変さもわかりました
失礼いたしました。
155:名無しさん@秘密の花園
07/05/10 19:52:42 fLvOdzIQ
154 GJ!お疲れさまでした!最後もうひと押し欲しかった~(゚∀゚)でも良かったです!今後、短編でも書いてみては?!
156:名無しさん@秘密の花園
07/05/10 21:27:26 sZmMduP4
GJ!!ごっつ満足やっちゅーの♪
ありがとう! そしてお疲れさん(*^∀^)ノ
157:名無しさん@秘密の花園
07/05/11 02:08:04 ze4tOEyw
ごちそーさま!
158:名無しさん@秘密の花園
07/05/11 15:14:49 vswWlixf
>>154
そういうつもりで投下してたんなら正直萎える
とりあえず乙
159:名無しさん@秘密の花園
07/05/11 19:43:29 fpKsMflO
どんなつもりでもよくない?
投下してくれるだけでありがたいと思う
職人さんがこないなか投下してくれた謎の人に感謝!
乙でした!
160:名無しさん@秘密の花園
07/05/13 01:19:28 Wxl2QjTE
中身タンはそろそろきっとくるよねっ(´∀`)♪
161:名無しさん@秘密の花園
07/05/13 01:37:47 ACwvhWA2
そう信じたい(・_ゝ・)
162:名無しさん@秘密の花園
07/05/14 01:54:22 OPHv9pAK
う~
163:名無しさん@秘密の花園
07/05/14 02:27:39 ze4Mvm1d
嫌がらせってのがね
なんか。当て付けって意味だったのかね。
作品がなかなかよかっただけに、締めがこれで
かなり残念。
164:名無しさん@秘密の花園
07/05/14 07:00:57 xny2u+dv
上の人ながせよ~
そんな話を長引かせるな
その言舌糸冬 了 o
気分良く投下を待ちましょう
165:名無しさん@秘密の花園
07/05/16 00:47:24 XrPOoOww
みんなずっと待ってるょ
166:名無しさん@秘密の花園
07/05/18 18:48:34 X4oZCMgQ
くだらないSS書いてみたんで、投下します。
中身さんが来るまでの暇潰しにでも読んでください(^^)
167:名無しさん@秘密の花園
07/05/18 19:14:36 X4oZCMgQ
今日は久々に彼女とデート。彼女の家でまったりいちゃつく予定……だったんだけど、さっきから私の前には明らかに不機嫌な彼女。
普段は絶対読まないような本なんか読んだりしちゃって、完全に自分の世界。
への字に曲げてちょっと突き出した唇がかわいいなぁ、なんて思いながら彼女の膨れた頬をつついてみる。
「ぼーあーちゃん♪」
彼女は目だけでこっちを見る。
『……何?』
冷たく聞かれたって気にしない!私は笑顔で返した。
「くうちん暇やねんけど。構って!」
はぁ、なんて、大袈裟なため息をついて彼女は視線を本に戻す。
『私、本読んでる。』
私の方を見ないまま彼女は言う。
「そんなこと言わんで遊ぼーやー。」
『本読んでる。』
即答。でも負けじと反論。
「本なんか後で読んだらええやん!」
彼女は何も言わない。いい加減私もいらついてくる。
168:名無しさん@秘密の花園
07/05/18 19:16:35 X4oZCMgQ
「なぁ、ボアちゃんが何にいらついてるんだか知らんけど、ふたりで会ったん久々なんやから機嫌直しーや。」
『‥‥‥。』
「なぁボアちゃ『夢のうた』
沈黙をきめていた彼女が急に呟きだした。
『Cherry Girl』『BUT』『それからライヴDVD。』
「?」
淡々としたボアちゃんの言葉を私は理解できず、頭の中は?でいっぱいだった。
『何で私が機嫌悪いかって?』
「‥‥‥。」
沈黙をきめるのは、今度は私の番。
『何でなのか知りたいなら、今言ったDVD見てみれば?』
今言ったDVDって‥‥‥夢のうたとCherry GirlとBUT、ライヴDVD?
自分のDVDなんて飽きるほどに見たから今更見なくても、内容くらい覚えてる。
私はそのDVDの内容を思い返してみる。
169:名無しさん@秘密の花園
07/05/18 20:08:48 kikN40A2
wktk(゚∀゚)!
続き楽しみにしてます!
170:名無しさん@秘密の花園
07/05/19 00:13:30 BwAs6Jqb
ヤタ━(゚∀゚)━ッ!
wktkなんで続々と投下よろしく♪
最近2人ともメディアに登場しないから
寂しぃんだょね(ノω・、)
171:名無しさん@秘密の花園
07/05/19 07:39:13 J4l9l3zh
>>168つづき
ん?
まさか‥‥‥いや、違うよね?
でもやっぱり‥‥‥
私は恐る恐る口を開いてみる。
「あ、あのー、」
『なんか用?』
彼女の視線はまた本にいってて。でもさっきと違って、私の次の言葉を待っている。
「えっと‥‥その‥‥」
『何?』
早く言えとばかりに鋭い視線が私に突き刺さる。
でも、私の口からはうまく言葉がでてこない。沈黙が続く。
『‥‥くうちゃんさぁ、』
見兼ねた彼女が沈黙を破る。
『そんなにキスが好きなの?』
う‥‥。やっぱり彼女が怒ってるのってそれが原因だったんだ。
『いっつもいっつもキスしてるよね!それ見たときの私の気持ちわかる!?
くうちゃんが仕事頑張ってることはわかってる、わかってるけどっ‥‥!』
何も言い返せない。きっとボアちゃんはずっと思ってたんだ。だけど、私のために言わないでいてくれたんだ。
PVやライヴだからって、もしもボアちゃんが他の人にキスしてるのなんて見たら、私は耐えられないだろう。
それを、ボアちゃんはずっと我慢してきてくれたんだ。
私はいつもボアちゃんを傷付けてばかりだ。
もう‥‥‥自分、最悪や。
172:名無しさん@秘密の花園
07/05/19 07:41:48 J4l9l3zh
「ボアちゃん‥‥ごめん。ごめんね。」
他の人とキスしたことよりも、ボアちゃんの気持ちを考えてあげられなかったことが情けなくて、自分が不甲斐なくて、言葉と一緒に涙が零れた。
そんな私の髪を、いつの間にか隣に座っていた彼女が撫でてくれた。
『くうちゃん。』
なだめるような優しい声。
『くうちゃん、』
私の大好きな大好きな声で、もう一度私を呼んだ。
『ごめんね、違うの。私、くうちゃんのこと責めたいんじゃないの。
ただ、私寂しくて。他の人がくうちゃんに触れるのが悔しくて。』
彼女の淋しげな横顔に、また涙が溢れてくる。
173:名無しさん@秘密の花園
07/05/19 07:48:51 J4l9l3zh
『でもね、私くうちゃんのこと応援したいの。くうちゃんのこと大好きだけど、同じくらい“倖田來未”が好きだから。
だから、応援するって決めたのに‥、、くうちゃんがいろんな人とキスするから、、、つい怒っちゃった。』
ごめんね?決まりが悪そうに苦笑する彼女がおかしくて、鼻水垂らして泣いてる自分がおかしくて、吹き出したのはほぼ同時。
やっぱりボアちゃんは淋しそうな顔より笑ってる方がいい。
この笑顔を曇らせたくないって、そう思った。
でも、
「仕事に対して妥協はしたくないし、良い作品を作りたいから‥‥」
また他の人とキスしちゃうかも。
なんて言ったらデコピンがとんできたけど、ギュッとつぶった瞼にキスも降ってたから痛いのに頬は緩んでしまって。
誰とキスしてたって、いつだってもボアちゃんのこと考えてるから安心してな?
~END~
174:名無しさん@秘密の花園
07/05/19 07:57:52 J4l9l3zh
くだらなくてスマソ(´Д`)
最近こーださんがPVだとかライヴだとかでキスしまくりなので、ボアちゃんは泣いてるんじゃないかと思って書いてみたんたけど……
んー……微妙(・_・。)
175:名無しさん@秘密の花園
07/05/19 08:05:23 J4l9l3zh
訂正
>>173 最後の一文
×いつだっても
〇いつだって
176:名無しさん@秘密の花園
07/05/19 13:16:07 BwAs6Jqb
GJです♪(-∀-)ノ
実は私も気になってたんだょね..
くぅちゃんのDVDとかPV
『BUT』のキスは、まだ許せても
LIVE DVDにはヽ(`Д´)ノウガッてなった!!
また投下して欲しいな♪
177:名無しさん@秘密の花園
07/05/20 19:32:02 gXg+7if0
GJ
中身サンも待ってますよ
LIVEDVD、お客さんのほっぺにちゅー
ダンサーさんとちゅー
……くぅちゃんw
178:名無しさん@秘密の花園
07/05/23 02:53:33 oYg6/8Uw
中身さん…ひと月以上放置て
どんだけ~!!
179:名無しさん@秘密の花園
07/05/23 18:48:47 uv3Y/AKd
もう無理なんじゃないの?
ネタ切れか書く気なしか、なんにしろ
スレたてたけど器じゃなかったってこと
待ってるの知ってるはずでも放置ぷれいだし
だから皆あぼ●あろに流れてく
そのうち伴スレでもだすんじゃない?
180:名無しさん@秘密の花園
07/05/23 18:56:32 IUXt5IRr
前回の話で最終回とか言ってたよね?
もう終わりだと思ってたよ。
181:名無しさん@秘密の花園
07/05/23 22:46:43 oYg6/8Uw
。。。そぉなん???
知らんかったわ
てか私気付いてへんくて
ずっと。。。待っててんケド
私アホみたいや(ノω・、)
中身サン!!
くう×BoA大好きでした
あー今も好きやのにー!!
182:名無しさん@秘密の花園
07/05/24 00:10:26 rszpfdcl
「ちょっと!んっ・・」
『ん?』
「んっ・・やめ・・たらイヤっ・・」
『知ってる・・・わー!すごい!』
「あっ・・んっ・・もぅっ・・はぁんっ!!」
『ココ?へ~ここがいいんだ?で、こんなすごいんだ~』
「あっ・ううん・・そっ・・そんなっ・・こと・・なっ・・」
『へ~くうちんはここがいいんだぁ』
「んっ・・んっ・・はぁっ やぁっ・・あっ・・んーっ・・」
『いきそ?まだやだっ!まだまだくうちんのエッチなとこ見たいのに・・』
「もっ・・無理っ!あっ・あっ・・・えっ?
・・やめ・るの?」
『うん!いやなの?してほしい?』
183:中身@携帯から失礼
07/05/24 02:53:13 vDbeSk7A
おひさしです。中身です。
もう叩かれようが何言われようが仕方ないと思っています。
どんな仕打ちでも受ける覚悟で書き込んでおります。
言い訳にしかならないのですが、ここのところかなり多忙であります。
時間があまりないんです。
まぁ、自分の力量不足が原因ですね…
合間々々に少しづつ書いてはいるのですが、他スレで似通ったネタのSSを発見した場合、
書いていたものを即ボツにしてしまっているのも遅筆の大きな原因です。
もう見捨てられても仕方ないとは思っていますが、
まだまだ書き続けるつもりでいます。
長々申し訳ありませんでした。
184:名無しさん@秘密の花園
07/05/24 03:27:11 zmaOcY+Q
中身さんこんばんは。
書けなくなる苦悩つらいですよね
書いてる最中にサキヨミレスされて興ざめしちゃったり
展開が読めてしまったり。
アップのタイミングも難しいですよね。
性描写なんて似通ってしまうのに、真似とかいわれてしまったりするし。
納得の行く作品じゃないとあげられない気持ちよくわかります。
くれくればかりであげたら文句っていうのも悲しいですよね。
のんびりでいいんですよ。
中身さんのくうぼあ素敵だと思います。
二人が生きてて。
読んでて暖かい気持ちになれる。
私は大好きです。
ここで待ってますね。
某書き手より
185:名無しさん@秘密の花園
07/05/24 15:11:16 rEp4+/oS
雑音は気にせずいこうよ、中身さん。
ここまで盛り上がったのは中身さんのおかげだけど
決してここは中身さんの専スレじゃないしさ。
他の職人さんも書いてくれてるみたいだし。
中身さんが叩かれるのは筋違いってもんだ。
中身さんのペースで投下してくださいな。
長くてごめん。
186:名無しさん@秘密の花園
07/05/24 16:52:58 mXLS+bVA
1ヵ月レスなしの中身さんに対して不満に思う人もいるかもしれないし、仕方ないかもしれないけど
中身さんにだって事情はあるんだし、他の職人さんもちらほら来てくれてるんだからまったり待とうよ
187:名無しさん@秘密の花園
07/05/24 18:49:32 lAiNinaD
同意。
ダラダラ駄文垂れ流されるよりは、クオリティーの高い1本のSSが読みたい。
そんな中身さんの姿勢も含めてファンですので。
ゆっくり待ってます!
188:名無しさん@秘密の花園
07/05/24 22:05:37 EqQMa319
>>182
続きは…?Σ(゜д゜;)
189:名無しさん@秘密の花園
07/05/25 00:31:09 VSBWe+/i
やったやった~^∇^)ノ゛終わってないんやん♪
もーね中身サンのレス見た途端叫んだっちゅーの
あ~もぉサイコー!
たった今からwktk mode
多忙な中身サンにつきましてはお体大事になさってくらさぃ(´∀`)ノ
気合い入れて待ちます!!
190:名無しさん@秘密の花園
07/05/25 01:13:11 UMhPeKsF
職人さんって大変だね。
投下しないと今回みたいに文句言われるし、かといって急いで投下しても「質が落ちた」とか「手抜き」とか言われちゃうんだから。
中身さんまったり待ってますから、中身さんのペースでどうぞ。
でもたまにレスだけでもしていただけると、私たちは安心して待っていられると思います。
191:名無しさん@秘密の花園
07/06/02 17:46:32 AsCYMio6
(´・ω・`)
192:名無しさん@秘密の花園
07/06/02 18:05:50 yjzMX6Mn
(*-∀-)ニヒ♪
193:中身@外出中
07/06/02 18:43:53 /+ePfhuQ
今夜あたりに投下させていただく所存でございます。
宣言して自分のケツ叩いておきます(笑)
194:名無しさん@秘密の花園
07/06/02 19:35:49 JKmXF/So
待ってた……。
やったー!!!!!!!!!
195:名無しさん@秘密の花園
07/06/02 22:19:44 yjzMX6Mn
ヤターヾ(≧∇≦)〃
予告投下なんて~♪
起きてよ~っと(^▽^人)
196:中身@(=゚ω゚)ノ ぃょぅ
07/06/03 00:37:43 d6Chq78M
*Star*
コーヒーを飲み干すと、彼女は無言でベランダへと出て行った。
家主のいなくなったリビング。私は一人でゆっくりカップの中身をすする。
一週間前に生放送の音楽番組で共演して以来、お互いにかなり忙しくて
メールも電話もろくにできなくて・・・
だから会えて嬉しいはずなのに、彼女は玄関で私を迎えてからずっと不機嫌。
話しかけても時折「うん」とか「せやな」とか短く相槌を打つだけ。
当然話題は広がらないし、沈黙ばかりが続く。
いつもなら堪りかねてガツンと一言言っちゃって、ガツンと彼女も言ってきて
わーって一喧嘩して、なんだかんだ仲直りして、はいおしまい。
なんだけどなぁ・・・
彼女が不機嫌な理由を私はちゃんと知っている。
その原因が自分だということも・・・
あの余計な一言と、未だに言えずにいる一言。
空っぽになったカップは、私から“リビングに居る理由”を消す。
振り返るとガラス戸越しに見える彼女の後姿。
もう背中から不機嫌のオーラがもわもわ出まくってるのがわかる。
触らぬ神になんとやらだけど、このままでいるのもやだ。
気合を入れるように深呼吸してから私は立ち上がった。
197:中身@(=゚ω゚)ノ ぃょぅ
07/06/03 00:38:27 d6Chq78M
カラカラとわざと戸音を立てて来たことをアピール。
「おっじゃましまーっす!」
おどけたように言ってみせても彼女はこっちをちらりとも見てくれない。
手すりにもたれかかるように頬杖をついて、じっと前を向いたまま。
私も彼女と同じような体勢で手すりにもたれた。
目下に走る道路を眺めるふりをしながら、横目で彼女をのぞく。
不意に通り過ぎた夜風が彼女の短い髪をなびかせる。
ちらりと見えた耳元にピアスが揺れていた。
遠くを見つめるちょっと垂れぎみの目。
先が丸いけど、好きな形の鼻。
ふくれてるせいで突き出た唇。
その頬杖をついている見慣れた横顔に胸が高鳴る。
髪を切った彼女の新しい魅力が私を虜にする。
横顔が少しだけ私のほうを向いた。
「かぶって悪かったね・・・」
ドスの聞いた声で彼女が言った。
198:中身@(=゚ω゚)ノ ぃょぅ
07/06/03 00:39:09 d6Chq78M
彼女がショートにしたがってたのは前から知っていた。
雑誌やテレビにショートヘアの似合う女優さんが出るたびに
「あたし、こういうカンジにしたいんだけど似合うかな?」
そう言いながら、長い髪の毛を後ろで一つにまとめて私に見せていた。
ウィッグで髪の短くなった彼女は何度か見たことがあるけれど、
実際に髪の短い彼女がどんなものか、なかなか想像はつかなかった。
そしてつい先日のことだ。
『髪切りました!』
彼女からのたった一行のメール。
当然私はどうなったのか知りたいし見たいのだけれども
『ナマで会える日までのお楽しみ』だそうで・・・
私はしばらくおあずけをくらう。
で、やっと会えたのがその“生放送の音楽番組”。
「やっと会える!(見られる?)」とは思っていたものの、
新曲が久しぶりのダンスチューンということもあって
リハもランスルーも私は自分のことでいっぱいいぱい。
正直、彼女のことは頭の片隅に追いやってしまっていた。
そして本番直前。
今回はプロモーションにおいて全てがボーイッシュ。
メンズライクなジャケット、ウィッグですっかりショートヘアに変身。
出番を待つ私の肩を誰かが叩く。
「ん・・・?!」
ショートヘアの彼女がそこにいた。
199:中身@(=゚ω゚)ノ ぃょぅ
07/06/03 00:40:37 d6Chq78M
自分が想像していたのよりも遥かに短くなった髪。
いつもどおりのはにかんだ笑顔。
「おそろいだ・・・」
嬉しそうに呟いた言葉。
私のウィッグの毛先をいじる細い指。
ふんわり漂う甘い香り。
明らかに私の感想を待ってる子犬みたいな瞳。
そんな彼女を「かわいいな」と思った瞬間、急に胸がギュッと苦しくなって、顔が熱くなった。
“惚れ直した”とでも言うのかなぁ・・・?
完全に彼女にときめいて胸キュン状態。
ふつふつ湧く、恥ずかしいような照れくさいような妙な気持ち。
ドキドキしながらも、それを素直に口に出すのを躊躇う素直じゃない自分。
「・・・私とかぶるじゃん」
なんでこうも素直に気持ちを伝えられないんだろう。
つい天邪鬼な部分がポロリと出てしまった。
その一言で彼女の表情が一転。
それまでの笑顔は消えて、むっとした顔で私を見る。
しまった!と思ったけれど、もう後の祭り。
「アホっ!!」
一言私に投げつけて、彼女はそれ以上口を聞いてくれなかった。
それが今に至るわけで・・・。
まぁ、それでも会う約束はしてくれたし、現に今彼女の隣にいられるわけだから
そんなに怒ってはいない・・・?のかな?
でも、『おじゃまします』の後に『かわいいよ』って言うのも変だし、
コーヒー飲んで『ごちそうさま』の後に『かわいいよ』って言うのも変だ。
・・・なんてタイミングが掴めないのを言い訳にして
言いそびれた言葉をずっと引っ張ってる自分もバカなんだけど。
200:中身@(=゚ω゚)ノ ぃょぅ
07/06/03 00:41:33 d6Chq78M
彼女の顔が再び正面に向き直る。
その怒った横顔もかわいいと思うし、愛しい。
なんで素直に言えないのかなぁ・・・私。
「なんで・・・一番褒めてもらいたいヒトにあんなこと言われなあかんの・・・」
彼女がぽつりと呟く。
「えっ?」
やっと彼女が私の方を向いてくれた。
怒り顔ではなくて寂しそうな顔。
「気に入ってくれるかなぁ?ってずっと考えててさ、
でも写メじゃなくてちゃんと見てほしかったから見せたいの我慢してさ・・・」
今にも泣き出しそうな顔に胸が痛んだ。
すん、と彼女が鼻をすする。
「やっと会えた!って思った矢先に『かぶる!』だもん・・・やんなっちゃう・・・」
「・・・ごめん」
素直じゃない上に、言葉を選ぶのがだいぶヘタクソな自分。
日本語がまだなんとなく不得手っていうのは言い訳にすらならない。
「一番好きなヒトに・・・ヒドイこと言われてるんだから・・・」
「ごめん・・・」
「『ごめん』じゃない!マネージャーとか友達とかスタッフに『かわいいね』って言われても
そんなのどうでもいいの!関係ないの!ボアちゃんが言ってくれなきゃしょうがないの!!」
「ごめん・・・ね ほんと・・・ごめん・・・」
「もう『ごめん』は聞き飽きた」
彼女がしょんぼり肩を落とす。
「似合ってないならそう言ってよ・・・ 変ならちゃんと言って」
201:中身@(=゚ω゚)ノ ぃょぅ
07/06/03 00:42:40 d6Chq78M
~素直に『かわいい』って言ってあげなよ~
もう一人の自分が私の説得にかかる。
「・・・変ではないよ?」
~だからそうじゃなくって、『かわいい』でしょ?~
「似合ってない・・・わけじゃない・・・ っていうか似合ってるよ・・・うん」
「ん・・・そっか・・・ そんな無理して言わなくてもいいよ」
一つため息をついて、彼女は伸びをする。
「これから一生懸命髪伸ばさないとね・・・」
向けられた寂しそうな笑顔。
~ほら!今だ!今しかない!~
もう一人の自分に背中を押され、私はつんのめるように彼女を抱きしめた。
「ど・・・どしたん?」
両手を上に上げた伸びの体勢で彼女は固まる。
「ごめん 本当にごめん・・・」
抱きしめた腕に力を込めた。
「いいよ そんな気にしてないから」
慰めるように私の頭をそっと撫でる。
「そうじゃなくってさ・・・」
「ん?」
「初めてショートにしたくうちゃん見たとき、頭真っ白になったのね」
「うん・・・」
彼女の首筋に顔を埋めた。
短くなった髪の毛が、私の頬をくすぐる。
「もうホントに思ってた以上にかわいくてさ、すごく似合ってるし・・・
惚れ直したというかなんというか・・・ もう『好き!』って思っちゃったら
急に照れくさくなってきて・・・ なんていうか・・・ ごめん・・・
ひどいこと言って・・・ごめん」
今更言い訳したって彼女を傷つけた過去が変わるわけじゃないけど。
202:中身@(=゚ω゚)ノ ぃょぅ
07/06/03 00:43:37 d6Chq78M
「ふーん・・・ そんな理由であんなこと言ったんだ・・・」
ふてくされた口調でそう言って、彼女が私を突き放す。
やっぱり怒らせちゃったな・・・。
「ごめんなさい・・・」
「だから『ごめん』は聞き飽きたって言ったでしょ?」
「はい・・・」
今度は私がしょんぼりする番だ。
「『ごめん』以外で言うことない?」
「えっ?」
「『かわいい』とかさ、『かわいい』とかさ、『かわいい』とか」
ニヤリと微笑む彼女。
「あ、『かわいい』でもいいよ!」
「全部一緒じゃん・・・」
「言ってくんないならもう知らない!」
彼女はぷいと私に背を向ける。
あー・・・・もう!!!!
「かわいい・・・んじゃない?」
「聞こえなーい」
顔に血が上るのがよくわかる。
「かわいい・・・ですよねー」
照れくさくて冗談っぽく言ってみる。
「・・・誰が?」
「・・・くうちゃんが」
「本気でそう思ってる?」
「本気でそう思ってます」
再び彼女が回れ右。腕を組んで、少し斜に構えて、ふくれっつらで。
「だったら態度で示して」
ふくれながらも微笑んでるのは、もう怒ってない証拠。
安心すると同時に、やっぱり彼女をかわいいと思う。
203:中身@(=゚ω゚)ノ ぃょぅ
07/06/03 00:44:28 d6Chq78M
「どうすればいい?」
「そうだなぁ・・・ あたしの目を見て、『かわいいよ』って言った後にちゅーは?」
うっ・・・なんか想像しただけで照れるんですけど。
「・・・できなかったら?」
「一生口きかない」
「それは困る!」
大げさに頭を抱えてみせたら彼女が笑った。
「くうちゃん・・・」
「ん?」
笑顔の彼女を抱き寄せて、片手で短くなった髪を梳く。
「ショートヘアも似合ってる・・・ かわいいよ・・・」
うぅ・・・やっぱり恥ずかしい・・・けど、約束どおりに唇を寄せる。
途端、パッと彼女が両手で顔を覆った。
「・・・ちょっと!」
キスの空振りは、『かわいい』よりも恥ずかしかった。
「ごめん・・・ なんか・・・照れる・・・」
「はぁ?!」
指示したのはくうちゃんでしょ?!彼女が私の腕からスルリと逃げた。
「顔赤いから見ないで~・・・」
「ちょっと・・・! キスできないじゃんか!」
「う~・・・ やっぱり照れくさいからいい!」
「よくない!ちゃんとキスさせなさい!」
「やだ!」
「あー!逃げるな!」
したかしなかったかは、皆様のご想像にお任せします。
204:中身@秘密の前園
07/06/03 00:52:37 d6Chq78M
こばわー、中身です。
長らくお待たせした挙句、エロ無し&へタレBoAタソで申し訳ないですorz
しかもネタが古すぎる・・・
前作で多くの方を失望させてしまったので、
それを返上するべく、少しずつですが色々書いてます。
今までとは多少毛色の違うものにも挑戦していこうと考えてます。
あと・・・やっぱり他の住人さんが書いたくう×ぼあも読みたいです!
自分には絶対に書けないような二人が登場するので楽しみなんですよ。
これからもよろしくお願いします!
205:名無しさん@秘密の花園
07/06/03 02:41:31 YRlWGB3u
いつもROMってるけれども。
今日は黙っちゃいられない!!!
中身さん、ありがとう!!!
本当に本当に、おかえりなさ~い(=^▽^=)
もうエロいとかエロくないとか関係ないから!!そりゃあれば嬉(ry
206:名無しさん@秘密の花園
07/06/03 11:17:13 mTNw4PWr
キタ――(゜∀゜)――!!
中身さんJGです!!
207:名無しさん@秘密の花園
07/06/05 16:21:00 nIaGctCC
GJでした
208:中身@秘密のサッポ○ビール園
07/06/14 02:47:05 EBUdSPzP
「下駄ってちょっと歩きづらいんだね・・・」
「うーん、じきに慣れるよ」
カラコロと軽快な音を立てながら二人並んで歩く。
今年も夏祭りの季節がやってきた。
去年と同じ場所、同じ道のり、ほぼ同じ日程。
違うのは二人の装いだけ。
彼女は紺地に白抜きの紫陽花の模様、えんじ色の帯。
あたしは淡い青地に金魚が泳いで、濃い桃色の帯。
どうしても着てみたい!という彼女のリクエストにお答えして、今年の夏祭りは浴衣デート。
初めて着る浴衣が相当嬉しいらしく、彼女は何度も立ち止まっては自分を見る。
あまり違和感を感じないのは同じアジア人だからかな。
本当に嬉しそうな笑顔に、こっちまで嬉しくなる。
ゆるく編んだおさげを弾ませながら、彼女が数歩あたしの前に出た。
下駄を鳴らしてくるっと一回転。
「どう?似合う?」
袖を持ち上げてポーズ。その質問、何回目だろう。
そんじょそこらの女の子よりはるかに可愛いと思うのは、恋人故だからかな?
あたしは頷いてOKサインを出す。
「ありがとっ!」
えへへと照れたように微笑んで、彼女はあたしに手を差し出す。
「手ぇ!」
あたしは指を絡めるように手を繋ぐ。
「なんか恋人同士っぽいですねぇ」
冗談めかして彼女が言う。超ゴキゲン。
カラコロ カラコロ・・・
ざわざわとした喧騒が聞こえてくる。お祭りらしい香りも漂ってきた。
途端、彼女がぱっとあたしの手を離す。
「焼きそば買ってくるぅ~!」
かなりハイテンションな彼女の後姿を、あたしは笑顔で見送った。
209:中身@秘密のサッポ○ビール園
07/06/14 02:47:46 EBUdSPzP
あまり大きなお祭りではないにもかかわらず、老若男女、けっこうな人だかり。
屋台めぐりを済ませて、境内の石段に並んで腰掛けた。
「いっただきまーす!」
彼女は満面の笑みで焼きそばを口に運ぶ。
本当に美味しそうに食べるなぁ・・・。
あたしも焼きイカに齧りついた。
「ふーふゃんほやひいはもひょーらい!」
「もう!飲み込んでから喋りなさい!」
笑いながらイカを差し出すと、彼女はがぶぅとほおばる。
「ろっほーはん!」
「あ・・・こら! あたしが食べる分ほとんどなくなっちゃったじゃん!!」
イカの大部分が、綺麗に半円状になくなっていた。
「いはふはいいーひゃんは!」
「だから喋るのは飲み込んでから!」
両頬のエクボが可愛らしいけど、滅多にないちょっとお行儀の悪い彼女の姿。
おいおい、せっかくの浴衣姿が台無しですよ。
少し遠くの方で太鼓の音が聞こえ始める。
「間もなく盆踊り大会を始めます ぜひ奮ってご参加ください」
仮設の柱に括り付けられたスピーカーからアナウンスが流れる。
それに合わせて、まわりのヒトたちがぞろぞろと動き始めた。
そういえば、お知らせの張り紙に盆踊りのことも書いてあったかも。
久しぶりにあの輪に入ってみようかな?もちろん、彼女も一緒に。
いつものダンスと勝手が違うから、きっとボアちゃんあたふたするぞ・・・
焦る彼女を想像して、思わず微笑む。
「ねぇ、ボアちゃんも一緒に行かない?」
「むー!!」
彼女は口をもぐもぐさせながら、焼きそばのお皿を指差す。
ああ、まだ残ってるのね。
とりあえず、彼女が完食するまで待つあたし。
彼女が最後の一口を口に入れる頃には、あたしたちの周りには誰もいなくなっていた。
210:中身@秘密のサッポ○ビール園
07/06/14 02:48:31 EBUdSPzP
「ごちそーさまでした!」
満足そうに微笑んで、ぱちんと両掌を合わせた。
「じゃぁ・・・行こっか」
立ち上がろうとするあたしの手を彼女が掴む。
「ん?どした?・・・わっ!!」
顔を覗き込んだら、ちょっと強引に抱き寄せられた。
「くうちゃん・・・」
「ん?」
彼女が耳元で囁く。
「今・・・二人っきりなんだよ・・・」
その艶めいた声と、清楚な浴衣姿のギャップにあたしは息をのむ。
「なんか・・・今日のくうちゃん、いつもに増してすごく色っぽい・・・」
「・・・そう?」
誘うような視線があたしの唇に注がれる。
「ダメって言われてもキスするからね・・・」
なかば強制的に、あたしの答えを微塵も待たずに彼女の唇が触れた。
その後は、もう欲望の赴くがままに・・・といきそうなんだけれど、あるものが邪魔をする。
「ボアちゃん・・・」
「・・・ん?」
「めっちゃソースの匂いするんだけど・・・」
「えぇっ?!」
さっき彼女が食べてた焼きそばのソースだと思う。
青海苔が付いてなかっただけマシというか、なんというか・・・。
彼女は慌てたように掌に息を吐いて、匂いを確認する。
「あ・・・ホントだ・・・」
目をぱちぱちさせながら、彼女は何度も確認する。
「もう・・・ 色気もなんもないやんかぁ~!」
なんかおかしくて思わず笑ってしまった。
そんなあたしを彼女は真顔で再び抱き寄せる。
「じゃぁ・・・ もっと色気のあることしよっか」
211:中身@秘密のサッポ○ビール園
07/06/14 02:49:12 EBUdSPzP
「ん?・・・!」
流れるようなキス。
食むような唇の動きが胸の鼓動を早める。
肩から腕、胸元・・・ゆっくりと彼女の掌が浴衣越しにあたしの体を撫でる。
「ん・・・っ・・・」
柔らかい舌が唇を割る。
ほんのりソースの味がしたけれど、それはすぐに彼女の味に変わっていった。
その舌先があたしを弄ぶ。
彼女の掌は、衿元を少しだけ彷徨ったあと、スッと腰へと下りていく。
腰、太腿 少しだけ冷たい指先が、裾の中へと侵入してきた。
ゆるゆると内腿を撫でる指先は、誘導するようにあたしを開く。
「ちょっ・・・・と・・・」
他に誰もいないとはいえ、公の場でこんなフラチなこと・・・
でも、すでにキスで火のついた体は拒むことを拒否する。
「イヤだったらそーいえばいーじゃん」
ちょっぴり意地悪な彼女の甘い囁き。
あたしが拒めない状態になってるの、絶対分かってるクセに・・・。
「素直じゃないトコもだーい好き」
彼女の唇が首筋を辿る。
「ねぇ・・・」
「・・・ん?」
「もっと・・・ヤラシイことするね・・・」
疑問系でも許可を求めるわけじゃない。
すでに彼女の中では決定事項。
「あほ・・・ぉ」
そう言いつつも、抱きしめ返して許可をする。
途端、彼女の体ががっくりとあたしにもたれた。
212:中身@秘密のサッポ○ビール園
07/06/14 02:49:54 EBUdSPzP
「ど・・・どしたの?」
「う~・・・雰囲気ブチ壊しだぁ・・・」
ものすごく悔しそうに彼女が呟く。
「えっ・・・ えっ?!何?!」
肩すかしをくらって急ブレーキをかけた欲望に変な汗が出る。
「このBGM・・・やだ・・・」
彼女が親指をくいと上に持ち上げた。
はぁ~ おどりお~どるなぁ~ら~
少し遠いスピーカーから流れる東京音頭。
あたしは割と耳なじみだから大して気にはならなかったのだけど
そうではない彼女からしたら、確かに雑音の域に入ってしまうかもしれない。
「ヨイヨイ!じゃない~!!よくない!!」
やり場のない怒りをどうにか抑えようとしているのか、ぎゅっとあたしを抱きしめる。
音頭にツッコむ彼女が面白くてあたしも彼女を抱きしめ返した。
「んじゃさ・・・」
「ん?」
上げた顔が本当に悔しそうで、また笑った。
213:中身@秘密のサッポ○ビール園
07/06/14 02:51:59 EBUdSPzP
「あたしんち、帰ろっか・・・」
膨れた頬にキスを落とす。
「帰って・・・ヤラシイこと、しよっか・・・」
急に無言で彼女が立ち上がった。
あたしも強引に手を引かれて立ち上がる。
手を引いたまま彼女が走り出した。
裾がめくれ上がるのも気にせずに彼女は走る。
「ちょっと!!危ないってば!!」
石畳のちょっとした段差に足をとられて転びそうになるあたし。
彼女自身も転びそうになってるけれど、それでも止まろうとはしない。
「もー!とっとと帰って、ヤラシイことするのー!」
たまにリズムの狂う下駄の音が境内に響いた。
欲情まっしぐらな下駄の音。
ちょっぴりやらしい下駄の音。
愛してるって証拠の下駄の音。
214:中身@秘密のサッポ○ビール園
07/06/14 02:57:02 EBUdSPzP
こばわー。中身です。
うーん、やっぱり季節モノは書いてて楽しいなぁ(デキはさておき)
>>205サソ
ありがとうございます!
「おかえり」って言葉、嬉しいです!
>>206サソ
キタヨ――(゜∀゜)――!!
>>207サソ
ありがとうございます!
本当にのんびり投下で申し訳ないです。
もっとパキパキと質のいいもの書けたらなぁ・・・
精進します。
ではまた~ノシ
215:名無しさん@秘密の花園
07/06/14 06:32:42 DpTRWQRF
GJです~
216:名無しさん@秘密の花園
07/06/16 12:19:14 ZXW6k2ah
おお~来てたのか
GJです
217:名無しさん@秘密の花園
07/06/16 17:07:51 XywNjoer
恐喝されてたらしいなぼあ
218:名無しさん@秘密の花園
07/06/22 16:56:31 j4RltxFX
みんな元気~?
219:名無しさん@秘密の花園
07/06/23 14:34:16 5Be9qAwJ
>>214
遅くなりましたがGJです!
夏らしくていいですね☆
エロぼあktkr
>>218
元気で~す!
暑い日が続きますが、頑張っていきましょー。
220:名無しさん@秘密の花園
07/06/26 06:02:37 zQ6bKPex
(´・ω・`)
221:中身@秘密の代々木○園
07/06/29 15:28:47 gfD8qJbC
ちわ、中身です。
ご無沙汰してます。
来週中には一本仕上げます。
本当に遅筆という名のマイペースorz
宣言してケツ叩くこと再び…(笑)
レスは投下時にさせていただきます。
無愛想で申し訳ないス(´・ω・`)
222:名無しさん@秘密の花園
07/06/29 22:35:51 kARQyuBx
中身さん待ってました!
223:名無しさん@秘密の花園
07/06/30 03:42:15 IxX9bLdq
いいのです(*´∀`)
我々はマターリ中身さんを待っておるのです
出来上がり楽しみにしております
224:中身@秘密のアッコ○ゃん
07/07/05 00:20:57 4AqDGIHE
こばわ、中身です。
週も半ばを過ぎまして、まだ6割がたしか書けておりません・・・
情けないですorz
が、ぶつ切りでうpしちゃうぞー!もう!
こうでもしなきゃ自分書けませんから・・・
225:中身@秘密のアッコ○ゃん
07/07/05 00:23:54 4AqDGIHE
―YOUR LOVE IS QUEEN―
「あ・・・れっ・・・?」
隣に彼女の温もりがないことに気付いて目が覚めた。
あたしの隣で眠っていたはずの彼女の姿がない。
慌てて時計を見る。
「あ・・・!」
時計の針は午前8時5分前を指していた。
彼女の言ってた時間は午前7時。
もうすでに一時間近く過ぎている。
「寝過ごしちゃったんだ・・・」
なんとも言えない悔しさがこみ上げてくる。
ふとサイドボードの上にメモを見つけた。
~くうちゃんへ~
おはようございます!BoAちゃんです!
ぐっすり■ねむっているようなので、■起こさないことにしました。
■ね顔、ちょーかわいい♪
ずっと見ていたいけれど、飛■行■きの時間におくれると困るので
■がまんすることにします。
すぐ帰ってくるからね!
■はなれててもあいしてる!!!
BoAでした!
書き間違えたのか、所々黒く塗りつぶされた手紙。
「漢字覚えるの、もうやめた!難しすぎるよこんなの・・・」
ぶつくさ言ってた割には漢字覚えてるじゃん。
ふくれっつらで電子辞書とにらめっこをしている彼女を思い出して少し笑った。
226:中身@秘密のアッコ○ゃん
07/07/05 00:24:32 4AqDGIHE
今朝から彼女はしばらく韓国へ帰る。
「・・・どれくらいで帰ってくる?」
『帰る』とはいうものの彼女の国籍はあっちにあるし、
むしろ『来る』の方が正解なのかもしれないけれど。
「うーん、3週間後にこっちのお仕事あるから・・・ 3週間弱かな」
「・・・そっか」
長いときには数ヶ月帰ってこないこともあるから、今回はまだ短いほうだ。
もう何度も経験はしているから、彼女が日本にいない寂しさにも慣れてきた。
まぁ、慣れても寂しいことには変わりないんだけど・・・。
思わずため息が出る。
「そんな寂しそうな顔しないでよ・・・」
「そんなんじゃないよ・・・大丈夫」
ちょっとだけ困ったような優しい笑顔に、あたしはなんでもないよと笑ってみせた。
「じゃぁさ・・・向こう戻る前日に、くうちゃんち泊まりに行くよ」
「えっ?」
突然の言葉に驚くあたしの頭を、子供にするみたいに撫でる。
「そうすれば、出発するギリギリまで一緒にいられるでしょ?」
227:中身@秘密のアッコ○ゃん
07/07/05 00:25:19 4AqDGIHE
「でも・・・朝早いんじゃないの?」
自宅のほうがリラックスできるだろうし、たぶん空港へも近い。
それに・・・なにをするってわけでもないけれど、なにかをしちゃうかもしれないし・・・
嬉しいけれど、あたしの我侭で彼女に負担をかけるわけにはいかない。
「ううん 飛行機の中で眠れば充分!」
心配するあたしをよそに、彼女は笑顔でvサインをむける。
「・・・本当に?」
本気で心配してるんですよ、あたし。
「平気だよ」
おどけてマッスルポーズをする彼女。
「本当の本当に?」
「うん」
「本当の本当の・・・」
「しつこい!」
子供みたいな掛け合いに終止符を打ったのは、彼女の不機嫌そうな声だった。
明らかに苛立っている顔。
会えなくなる前の喧嘩は避けたかったのに・・・。
「・・・なんちゃって・・・」
しばらくの沈黙の後、ぽつりと彼女が呟いた。
「ここにもう一人、離れるの寂しく思ってるヒトがいるんですけど・・・」
ちょっぴり不服そうな笑顔で、自分を指差した。
228:中身@秘密のアッコ○ゃん
07/07/05 00:25:53 4AqDGIHE
「ねぇ、車進みそうもない?」
「うーん・・・ 時間かかるなー・・・こりゃ」
「なんとか・・・できない?」
「・・・イチ芸能人のマネージャーに何かできると思う?」
「・・・ごめん」
仕事は予定時刻をかなり押して終わった。
「おつかれさまです!」
スタジオを後にして、すかさず携帯チェック。
『くうちゃんちに着きました!まだお仕事中?いいこにして待ってるね』
今から2時間くらい前に届いてたメール。
もう日付はとっくに変わっていて、あと2時間もしないうちに朝日が昇る。
急いで帰りの車に乗り込んだ。順調な走り出し。
「あと30分くらいで到着するかな・・・」
渋滞のメッカでもあるこの太い道路も、この時間帯ならヒトも車もまばら・・・なはずだった。
「えぇっ?!何コレ!!!!」
延々と、何処までも続いていそうな真っ赤なテールランプの列。
どうやら大規模な事故があったらしい。
カーラジオから緊急ニュースが流れてるようだけど、あたしはそれどころじゃなかった。
刻一刻と、彼女と過ごせる時間が減っていくのだ。
しかもあたしは甘えた上に待たせてる立場なわけで・・・
229:中身@秘密のアッコ○ゃん
07/07/05 00:26:34 4AqDGIHE
「うわ~、飲酒運転と玉突き事故だってさ」
ラジオに耳をかたむけていたマネージャーが逐一事故の情報をあたしに教えてくれる。
「事故処理と見物渋滞だねぇ、こりゃぁ」
「へぇ・・・」
適当に相槌を打つ。
「おっ!『奇跡的に重軽傷者ナシ』だって!」
「・・・そう」
誰も傷ついてないなら一安心。
でも車は進みそうにもない。
「あのさ、こっから一番近い駅ってドコ?」
「はっ?!どーすんの?」
「電車で帰る・・・」
「よく考えてみなよ 終電はとっくのとうに出ちゃったよ」
「・・・ごめん」
自宅に辿りついたのは、それから一時間後だった。
230:中身@秘密のアッコ○ゃん
07/07/05 00:27:09 4AqDGIHE
「ただいま・・・」
玄関の明かりは点けてあったけれど、リビングは真っ暗。
・・・寝ちゃったのかな?
でも責める気は全くないし、むしろ悪いのは自分だし
抜き足、差し足でベッドルームに入る。彼女はちゃんとそこにいた。
ベッドに横になってこっちに背を向けて、規則正しい寝息をたてていた。
そうだよね・・・ ボアちゃんだっていっぱい働いて疲れてるんだもんね・・・
「・・・ごめんね」
ベッドサイドに寄り添ってそっと彼女の髪を撫でる。
一緒にいるって約束してくれたのにね・・・ ごめんね・・・
どうしようもないことなんだけれど、本当に申し訳なくて・・・
「ん・・・ くうちゃん・・・?」
眠そうな声があたしを呼んだ。
「あ・・・ごめん・・・ 起こしちゃった?」
「んーん・・・ へーき・・・」
ころんと彼女があたしの方に寝返りをうった。
「おかえり・・・」
「ん、ただいま・・・」
半分以上眠ってる笑顔に心が痛む。
「ごめんね・・・ ねちゃって・・・」
「ううん こっちこそ遅くなっちゃってごめん」
おでこに唇を寄せると、彼女がくすぐったそうに小さく笑った。
「いっしょにねよーよ・・・」
眠りに落ちるのを懸命に堪えているような声。
「ん、先に顔洗って着替えてくるから」
「・・・うん」
洗面所へ向かうあたしに彼女は小さく手を振った。
大急ぎでメイク落として、パジャマ代わりのキャミソールとボクサーショーツを身につける。
脱ぎ捨てた服は明日なんとかしよう。
ベッドルームに戻ると、彼女はもう夢の中にいた。
231:中身@秘密のアッコ○ゃん
07/07/05 00:27:53 4AqDGIHE
あたしも彼女の隣にもぐりこむ。
「ん・・・ おやしゅみ・・・」
ちょっとだけ夢の中から顔を出した彼女は、子供のようにあたしに腕をまわす。
「おやすみ あ、明日何時に出る?」
せめて一緒に起きて、一緒に朝ごはん食べて、いってらっしゃいのキスくらいしたい。
「んー・・・ しちじくらい?」
限界が近いのか、呂律が回らなくなってきてる彼女。
「ん、わかった おやすみ」
もう彼女の返事はなかった。
枕もとの時計を見ると、彼女が家を出る時間まであと3時間もない。
今晩は彼女を送るまで起きてよう。
今から眠って起きられる自信は正直あまりない。
彼女が起きるまで、ずっと寝顔を見ていよう。
でも皮肉なことに、彼女の温もりがあたしを眠りに誘う。
彼女が起きるまで・・・
仕事と渋滞に巻き込まれた疲労が一気にあたしに襲い掛かる。
彼女が・・・起きる・・・まで・・・
彼女の寝顔が段々とぼやけてくる。
彼女・・・が・・・
慌てて目を覚ましたときには、隣に彼女の姿はなかった。
232:中身@秘密のアッコ○ゃん
07/07/05 00:32:34 4AqDGIHE
とりあえず前編ってところでしょうか・・・。
タイトルはSADEの「YOUR LOVE IS KING」をもじったものです。
イントロのサックスがなんとなくエロい曲です。←馬鹿
トリアーエズ、今週中にはまたふらっと来ます。
ってか来るようにします!ノシ
233:中身@秘密のDVD2枚組み
07/07/07 00:44:48 n5E677TV
残された手紙を読んで、あたしはものすごい自己嫌悪に陥っていた。
疲れてたとはいえ、彼女の優しさを無碍にした自分に腹がたつ。
昨晩あたしが脱ぎ捨てた服は、きっちりと畳んで置いてあった。
手紙の内容が、あたしに対する不満だったらどんなに楽だっただろう。
大好きな寝顔。
まわされた腕と、消えてしまったその温もり。
不甲斐ないあたしに対する彼女の優しさ。
急に襲ってきた寂しさの波。
「はぁ・・・ 最低、あたし・・・」
深いため息が沈黙の中に消えていく。
沈んだ気持ちのまま、ベッドから抜け出した。
リビングのドアを開ける。
静まり返ったそこは自分の家なのにそうじゃないみたい。
もういないはずなのに、まだ彼女がいそうで・・・
『寝坊? しょうがないなー・・・』なんて
笑顔でコーヒーカップ差し出してくれそうで・・・
ソファーの前のローテーブル。
ホントだったら今朝彼女とそこで朝ごはん食べるはずで・・・
『ふーひゃん! ばはーほっへ!』
口をもごもごさせながら、あたしに怒られるのを待ってそうで・・・
ボアちゃん、ちゃんと朝ごはん食べたのかな?
見た感じキッチンを使った形跡はない。