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「もうだめだ。家が崩れる」。死者・不明者が5人になった和歌山県田辺市伏菟野(ふどの)の土砂崩れ。現場近くに住む女性会社員(42)は寝ようとしていたとき、ミシミシという音を聞いて外に出た。
目の前の家は「すでに土砂で傾きそうになっていた」。慌てて避難しようとすると、「山がゴーゴーと音を立てて、ゆっくりとすべり落ちていった」と恐怖の瞬間を振り返った。
高校生の息子2人が不明になっている男性(48)は避難先の小学校で、泥の付いたTシャツ姿で目を赤くして唇をかんだ。
「いつも通り家族と一緒に食事をした後、めいめい部屋で過ごしていた。同じ部屋にいた妻を助けるのが精いっぱいだった。気づいたときには家が傾き、扉が開かなくなっていた…」
同県那智勝浦町では那智川の氾濫で寺本真一町長(58)の自宅も流された。
寺本町長は台風への対応で無事だったが、妻の昌子さん(51)と4日に結納の予定だった長女の早希さん(24)の行方が分からなくなり、早希さんが遺体で発見された。
行方が分からなくなる直前、昌子さんから「娘が流された」と電話があったが、その後は連絡してもつながらなかった。
「恐らく高さ10メートル以上の水が押し寄せ、あっという間に流されたのだろう」。寺本町長は一瞬気落ちした様子を見せたが、「被害に遭ったのはうちだけでない。
災害状況を把握し、早急に対策、対応を考える」と気丈に語り、陣頭指揮を執り続けた。
那智川の濁流はJR紀勢線の紀伊天満-那智間の鉄橋も破壊。全体の3分の2が崩落したという。
一方、鉄砲水で住宅2棟が流され、1人が死亡、7人が不明になった奈良県十津川村野尻。住宅の基礎部分だけが残り、一段低くなっている土地には住宅1棟の木片と屋根が散乱、もう1棟は完全に流された。
同村を管轄する奈良県警五條署に駐在所から入る被害報告は大半が断片的な伝聞情報。
署員ら約25人は4日早朝から現地に向かったが、山崩れで足止めされ、現場に近づけないまま。署幹部は「どれだけの被害か、全容が分からない」と焦りを隠せなかった。