14/10/05 12:26:47.32 RnQuYRC0
僕は「この世界」で、たくさんの仲間に囲まれて、本当に楽しい毎日を過ごしていた。
みんなで試合をして、ホームランコンテストをして、マスターハンドに挑戦して。
最近では新しいファイターさんたちもたくさん迎え入れて。この世界は賑やかになって……
そんな楽しい日々がいつまでも続くと思っていた。
でも違った。
僕達の住む世界の平和は、希望は、いとも簡単にばらばらにされてしまった。
数年前、亜空の使者の脅威が僕らの世界を襲ったことは記憶に新しい。その時は顔も知らないメンバーたちが自然と集まり、いつしか大きな力になって、悪の親玉のタブーを倒したんだった。
でも、この話はそれで終わったわけじゃなかった。
タブーがいなくなった後にも、世界中には亜空軍や影虫たちが残っていた。僕らファイターは残ったそれらを駆除するために何度かこの世界を回ったりもしたけど、一方で、亜空軍の残党は僕達が知らない時空の狭間に集まり、密かに戦力を増やしていた。
そしてある時、それらが堰を切ったように、僕達のところに一斉に襲い掛かってきた。
この世界の二度目の危機。僕達は新しく量産される亜空軍を相手に一生懸命戦った。でも、ダメだ。倒しても倒しても、後から後から出てくる。
ゼルダ姫はこの雰囲気を敏感に察しとり、こう言っていた。
「何者かが、裏で糸を引いているようです……」
でも、僕達が一致団結して、その何者かの正体を暴くには至らなかった。
タブーがいなくなった今、亜空軍たちの中心核がどこにいるのかも分からない。なすすべもないまま、僕達はひたすらに防戦を続けていた。
相手の圧倒的な数の前に、次第に僕らは劣勢になっていった。多くのファイターは彼らに捕獲され、捕まらずにすんだ残りのファイターのほとんども、広大なこの世界に散り散りになってしまったのだ。
僕はみんなとはぐれて、たったひとりでこの世界をさまよっていた。
みんなの安否は分からないし、無事だとしても、どこにいるのか見当もつかない。そして、僕はこれからどうすればいいのか分からない。
そうしている間にも、各地に散らばったファイターを捕獲しようと迫り来る亜空軍たち。当然、僕の前にもそれは現れた。
僕だって亜空軍と対峙すれば戦闘は頑張るけど……実を言うと、僕はファイターの中でも特に弱かった。
みんなと一緒に大乱闘をしていた頃、マスターハンドからもガッツがないと評価されていたし、戦績もいつもビリから数えたほうが早いくらい。
そんな僕が、こんな状況に置かれて何が出来る? 僕に出来ることは、世界中にのさばる亜空軍たちから身を隠しながら、他のファイターたちと合流できるのを願うことだけだった。
僕はひたすらに亜空軍から逃げ続けて、怯えながら各地を彷徨い続けていた。
けれど、深い樹海の中で、僕はとうとう一人のファイターと合流することが出来た。