14/09/25 01:55:09.95 myspOmKU
賑やかしに拙作ながら投下。
氷ノ皇子×一族娘(R版)
近親相姦ですので苦手な方はご注意下さい。
天界第一位の男神、という肩書きを持つ氷ノ皇子と相対し座しているのは年若の少女であった。
名を皇夜(こうや)という。年若、に見えるが娘は短命と種絶の呪を受けた一族の者であり、一
族の年齢からすれば晩年、とはいわずとも、壮年といって差し支えない。
氏神でもない皇夜が天界とも地上ともいえぬこの場所、しかも褥の敷かれた部屋に居る理由は
ひとつしかない。交神のため、つまり身も蓋もなくいえば、交わりを行って子を成すため。
皇夜が氷ノ皇子との交神に臨むのはこれが三度目になる。同じ神とそれほどの数交わるのは少々
珍しいことではあったが、それでも奇異というほどではない。それなのに、皇子の表情はどこか
冴えない。愁いを帯びている、といってもよかった。向かって皇夜は笑顔である。気負ったところも、
気まずいふうも全くない、自然な笑顔―ではあるのだが、皇夜の「笑顔」は見るものに少々の
恐怖を感じさせる。本人は普通に笑っているつもりであるのだが、生まれつき、そういったものを
滲ませた表情になってしまうのだ。
その笑顔が皇子の表情を冴えないものにしているわけではない。目の前の少女を嫌っているわけでもない。
むしろ、好いている。愛している―娘として。そう、まごうことなく血を分けた己の娘である皇夜が、
父である自分と繰り返し交神を望むことに対して、皇子は戸惑いを覚えていた。
娘の、腰まで伸ばされた軽く波打つ髪は氷にも似た藍白で、肌は病でも得ているのかと紛うほどに白い。
笑みを湛えてすらまとう冷たい雰囲気は、氷室の奥に篭っていたときの氷ノ皇子に酷似していた。そんな、
色に乏しいつくりの体の中で、眼だけが瑠璃とも紺ともいえるような強い色をたたえている。まるで、
身に宿る意志の強さをすべて集めて凝固させたかのように、深く濃い輝きをもつ一対の玉(ぎょく)
めいた眼が何を映しているのか、父神は知らない。
知らない。知らなかった。
今日まで知らなかった。純粋に、強さがほしくて自分を求めるのだと思っていた。
そう思っていたから訊いたことはなかったが、やはり娘を抱くことに後ろめたさを感じないわけでは
なくて、訊いてしまった。
「嫌がらせ、ですよ、父上。父上の大事な養い子、黄川人さんへの。黄川人さんは父上の血を飲んで
育ったのでしょう? つまり、血を継いだも同然。同じく父上の血を継いだ私と娘達とは兄妹と言っても
いいでしょう? 黄川人さんは実のお姉さまと戦ったことがあるそうではないですか。苦い思い出だと
仰っていました。その、苦い思いをもう一度して頂こうと、そういう趣向なのです。黄川人さんが
しているのは私達を巻き込んだお遊び……一方的に遊ばれるのは、私の趣味ではありませんので」
答えられて、初めて知った。娘が、自分を、自分の息子と言っても過言ではない黄川人を、恨んで
いるのだということを。
娘―皇夜に言わせれば、それは恨みなどではない。妬み、なのだ。自分達一族より宿敵である
黄川人を可愛がるような素振りを見せる父親への。暇潰しのように短命の一族を玩具の如く扱う、
長い生を持つ黄川人への。自分達の持ち得ないものをもつ、神とその子への。妬み。
皇夜は抱いた感情は語らず、ただ嫌がらせとだけ、父に伝えた。父上の大事な黄川人への嫌がらせの
ため、自分と父との交神は必要なのだと。氷ノ皇子が、父親である己と黄川人を恨んでいると思い込んだ
のを否定はしなかった。恨みが微塵もないわけでも、ないのだ。
210:氷ノ皇子×一族娘2
14/09/25 01:58:24.85 myspOmKU
「父上」
口を開いたのは皇夜だ。
「いつまで、こうして黙って向かい合っていればよいのでしょう。これでは、夜が明けてしまいますよ」
今日の夜が明けても明日も明後日もありますけれど 、と唇が弧を描く。どうあってもこの娘は自分との
交神を行うつもりらしい、と皇子は苦々しくすら思ったが、ここまで来てしまった以上、交神の儀を取り
止める術などないことは重々承知していた。
「……それで、いいのか」
「何がです」
「復讐のために子を成すことを、そなたは是とするのか」
言われて、皇夜は細い頤にたおやかな指をそえて少しだけ思案する素振りをした。我が子ながら
美しい娘だ、と皇子は思う。その身の内には、儚げな外見からは予想もつかない苛烈な気性が渦巻いて
いるとしても、笑わずに黙っていれば美しい。皇夜に限らずこの一族の娘達は揃いも揃って、燃え盛る
炎を抱いているかのように気性が激しい。何代か前に交神したどこぞの火神の心の火が、途切れること
なく受け継がれ続けているせいだろう。
「是、です。仮に復讐のためだとして、それでも私は生まれた子を愛します。あくまで、私の子として
愛します。嫌がらせのために生んだなど伝えませんし、生まれてしまえば道具として扱うなど考えられない
くらいに可愛いものですよ」
すでに皇子との間にふたりの子を成した皇夜の言葉に嘘はない。自分のために成した子だった。
それでも、自分のために生きてほしいとは思えなかった。どうか、それぞれに幸せな道を見付けてほしいと
願う程度には、愛おしく思う。
「……そうか」
「逆にお伺いしますけれど、父上は無為に、ただ神々に言われたからという理由だけで、己の意思もなく
子を成すことを是とするのですか?」
「それは、」
咄嗟には、答えられなかった。皇子の、天界の者の立場であれば朱点童子を倒すために行われる交神は
全て是である。しかし、人の、人間の幸せを願って止まなかったからこそ氷に変じた皇子はそれを肯定
しきれない。人は、望まれて生まれてくるべきだ、幸せになるために生きるべきだと思う。
皇子の答えを待たずに、皇夜は身を乗り出しその唇を自分の唇で塞いだ。
「……訊いておいて何なのですけれど。私、答えは求めていないのです。この状況で私が求めるものは、
言わずとも、おわかりになりますよね?」
すぐに離れた唇が、皇子の耳元で言葉を紡ぐ。皇子の肩に乗せられていた手が降りて、躊躇いもなく
襟の合わせを開いた。
「つめたい」
ふふ、と吐息を零しながら皇夜のやわい掌が皇子の胸を撫で摩る。氷ノ皇子という名の通り、一度は
髪の一筋に至るまで凍り付いた身体だが、氷室の奥で朱の首輪から解放され天界に戻ると、その身は氷から
生身へと戻った。だが、長いこと熱を失っていた身体は生身になった今でも随分と冷たい。人であれば
死んでもおかしくないような体温の低さ。神であればこそ、生きている。
皇夜の手も温かいとはいえなかったが、皇子の肌の上では十分にぬくみを感じさせた。遊ぶように
首筋から鎖骨を通り、臍の上まで手が滑る。開かれたとはいえまだ肩すら抜いていない着物の隙間から
両手を差し入れ、繰り返し撫でる。そうしながら、皇夜の眼は皇子の顔をじつと見据えていた。まるで、
皇子が、父が覚悟を決めるのを待つような眼だった。
痛ましいものでも見るかのように一瞬歪んだ目許を皇夜は見逃さない。
「父上は、お優しい」
抱きつくようにして皇子の帯を解き、そのまま圧し掛かる恰好で押し倒す。
「いっそ話さなければよかったのでしょうね、私の考えていることなど。そうすれば父上は前と同じに
私を抱けたのでしょう」
言いながら皇夜は皇子の着物を肌蹴、肌の大部分を露わにさせていく。皇夜の薄い唇が胸に触れ、
べろりと舐めた。女のものとは違い直截的な快感をもたらすことはない胸の尖りに時折軽く歯を立てながら、
皇夜は飴でも舐めしゃぶる幼子のように舌を動かし続ける。むず痒さが皇子の背の中心でぞわぞわと蠢いた。
口で胸を弄りつつ、皇夜の右手は脇腹を撫で下ろし皇子の下帯に辿り着く。布越しに、まだ硬さのない
性器をやわやわと揉んでやる。
211:氷ノ皇子×一族娘3
14/09/25 02:01:40.39 myspOmKU
「く、」
小さな呻きを漏らして皇子が小さく首を振った。止めろ、と言いたいのだろうか。しかし生憎と皇夜に
止める気は更々ない。確かに交神の儀の期間はまだ十分にあるのだが、早く終わらせてしまったほうが
お互いのためになるだろう。
布越しの刺激に素直に反応した陰茎が徐々に芯を持ち交わりの準備を整え始めるのを、皇子はどこか
他人事のような気持ちで受け止めている。だが、感じる刺激は間違いなく自分が受けているものだと、
小さく震える腰が教えていた。
弱く、強く、女の掌が陰茎を揉みしだく。皇夜の顔にも動きにも恥じらいなど微塵もない。ただ、
交わるための準備を整えているだけなのだから。ここに恋情などありはしないはずなのだから。
陰茎が下帯を押し上げるまでになったのを認めると、皇夜は焦らしもせずに性器を隠す布を取り払った。
解放された陰茎はぶるりと勢いよく天を向く。
「……父上も、男の方、なんですねえ」
それを見るのは初めてではないのに何故かしみじみと呟いて、立ち上がった陰茎を白い手で包み
上下に擦り始める。舌は胸を弄るのを止め、仰向けの皇子の身体に凭れるようにして皇夜の両手は
陰茎とその周辺を愛撫し始めた。立ち上がったものを根元から先端まで何度も擦り上げ、反対の掌で
陰嚢を転がす。蟻の門渡りに指を滑らし、掌で亀頭を揉む。時折陰部のあちらこちらに音を立てて口付け、
舐める。皇子の股に顔を埋め奉仕する様は、本当のところはどうあれ、女の甲斐甲斐しさを感じさせた。
とろりと溢れた先走りを吸い上げて、皇夜は満足げに皇子の顔を見た。皇子の陰茎はすっかり硬くなって
反り返り、赤黒く血管を浮かせた幹が交わりための準備を終えたことを示している。
「これで、挿れられますね」
荒い息を吐く皇子の性器に頬を寄せるようにして、皇夜が呟いた。皇子の準備は整ったが、皇夜の女陰は
まだ触れられてすらおらずぴったりと閉じたまま。この娘ならばそこに無理矢理男根を捩じ込んでも
おかしくない。
が、さすがにそれでは辛かろうと皇子は上半身を起こし、娘を抱き上げ向かい合う恰好で股を割り腰を
下ろさせる。少し驚いた表情をした皇夜に構わず着物の裾をからげ、両手で引き締まった臀部を揉みしだく。
年頃の娘としては柔らかさに乏しいが、瑞々しい弾力は若さを感じさせて魅力的だった。……呪いのせいで、
この娘が「老いる」ことはないのだけれど。
「んん……今日は私が全部やろうかと思っていましたのに」
「……女子(おなご)にばかり、させるというのもな」
冷たい指が秘められた割れ目をそっと開き、外側の襞も一緒くたに前後に擦る。もう片方の指先で陰核を
転がしてやれば、皇夜は甘く息を吐いた。
「は、あ、ああ」
外側ばかりを執拗に弄られていると、くちくちと音が立ち始めて、次第に物足りなくなる。それを伝える
ように皇夜が目の前の冷えた胸に縋りつく。着物を身に付けたままでなお、縋った皇子の肌の冷たさが
伝わって来た。割れ目からぬめる液体が溢れて指の滑りをよくしていく。くちゅり、と音を立てて陰核が
優しく押し潰され、陰唇が物欲しげに綻びる。それを見計らったかのように皇子の指が二本、皇夜の中に
入り込んだ。
「あっ……」
浅い場所で指を曲げ伸ばし、熱い粘膜をこねる。滑らかな襞の一部にざらりとした場所を見付け、そこを
しつこいほどに擦ってやると皇夜の腰が揺らめいた。
212:氷ノ皇子×一族娘4
14/09/25 02:03:32.91 myspOmKU
「そこ、はっ、ああっ、父上のいじわる……っ」
艶かしく揺れる腰が無意識のうちに皇子の掌に押し付けられる様は、もっととねだっているようだ。指が
動くたびに腰をくねらせ、すっかり女の顔をして喘ぐ皇夜が身体を震わせる。その震えが快楽から来るもの
なのか、冷たい皇子の肌に身を擦り付けているせいなのかは判然としない。ただ、身体は冷えているはずなのに
皇子の手が蠢く場所だけがやたらと熱く、うなじにじわりと汗が浮かぶ。
自分だけが乱されているという現状に、皇夜の生来の負けず嫌いが頭をもたげた。拗ねた子供が癇癪を
おこすように目の前の皇子の首筋に軽く噛み付くと、屹立した皇子の陰茎に手を伸ばし、強く擦り立てる。
「く、う」
皇子の唇から悦を含んだ呻きが漏れたのに、皇夜の眼が細められる。痛みは与えないよう、それでも
容赦なく肉の棒を扱き続けていると、耳元に溜息にも似た吐息がかかった。ほぼ同時に、浅い場所で
遊んでいた指が深く皇夜の中へ差し込まれる。
「え、あ……っ」
お返しとばかりにこちらも苦痛を与えぬようにしながらも激しく指を抜き差しし、狭く熱い奥の襞を
掻き回し始める。
「ふあっ、あ、あっ」
「ん、う」
お互い意地を張り合うように相手を嬲り、快楽を与えようとする。ふたりの手はそれぞれの性器から
分泌された液体に塗れ、ぬらぬらと妖しく濡れそぼっていた。しばらくそうやって相手を乱すことに
躍起になっていたが、ついに皇夜が音を上げた。空いた手が皇子の胸を叩く。
「もう……もう、いいです。はやく、下さい」
帯も解かず襟元はしっかりと合わさったまま、上半身はいささかも露出していない。裾を割られた腰から
下も、女陰は着物の陰に隠れて皇子の眼には晒されない。けれど、蕩けて潤んだ眼とわななく唇は、目の前の
相手が娘であるとわかっていてなお皇子の内の男の本能とでもいうべきものを刺激した。
「ここ……ここ、に、はやく……」
皇夜の手が着物の上から自分の下腹部、子袋のある場所を撫で摩る。実際、そこに子が宿るわけではない。
呪い憑きの一族は自らの胎で子を生み落とすことは叶わない。それでも、皇夜は言った。
「皇夜を、孕ませて下さい」
「……ああ」
細い腰を引き寄せ入り口を探るように男根を女陰に擦り付ける。刺激に対してかその先を期待してか、
皇夜が熱い吐息を漏らした。ぬちゃぬちゃと水音を立てて互いの陰部が互いを求める。しばらくそうしてから
皇子の先端が皇夜の入り口に宛がわれた。皇夜の腰を抱いた腕に力が篭り、亀頭が女を割り裂いていく。
「あっ、あぁ、ぁ……」
入り込んでしまえば膣内は熱く熟れて男を受け入れるが、皇夜の入り口は狭く容易く男を受け入れようと
しない。まるでこの娘の気質そのものだと思う。親しい相手には簡単に心を許すくせに、親しくなるまでに
酷く労力がかかる。最初から拒んでかかるのだ、この娘は。自分以外を信じることに恐怖を抱いているかの
ように。それはとても悲しいことのように皇子は思う。
「くぅ、んっ!」
一番太い所が皇夜の膣に進入を果たす。そうなってしまえばあとは皇夜自身の重みと皇子の腕に込められた
僅かな力で男根が呑み込まれてゆく。ゆっくりとではあるが確実に胎の中を広げる質量に、皇夜が荒い息を
吐き、合間に小さな嬌声が混ざる。ぐ、と一番奥、子袋の入り口を亀頭が強く押し上げたのを感じて皇夜が
くたりと力を抜いた。
213:氷ノ皇子×一族娘5
14/09/25 02:04:58.22 myspOmKU
「奥、父上の、が、」
「痛むか」
汗で頬に張り付いた髪を払ってやりながら問う。皇夜の膣は身の丈から想像されるより狭く浅い。身体も
精神も十分に成熟しながら、そこだけが不安定に幼さを残しているように。
「いい、え。痛くは、ありません……でも、やっぱり、少し苦しい、です、ね」
努めて平静を装った声は途切れがちに震えていた。何度受け入れても変わらずに窮屈なまま、無理矢理に
広げられる感覚。硬く太い肉がもたらす生々しい異物感。不快といってもいいそれらが、何故か悦楽をも
もたらすことを、皇夜の身体は知っている。知っているから、早く楽になりたくて、動いた。
前に後ろに腰を揺らめかせ、時折角度と深さを変えながら好いところ、を探って行き止まりの肉を捏ねる。
艶かしくくねる身体に伴ってゆらゆらと揺れる髪を梳いてやりながら、皇子は黙って娘の痴態を眺めていた。
荒い息が次第にひそかな嬌声に変わり、寄せられていた眉根が開いていく。好いところを見付けたらしく、
皇夜の動きが大きくなり同じ場所を狙って腰を浮かせ、落とす。嬌声が次第に大きくなり、自分で動いて
おきながら快楽に抗い嫌々をするように首を振る。
「んっ、あ、あ、ちち、うえ……ごめん、なさい、私、っ、」
歯を食いしばったせいでその後は口にされなかったが、何を言いたかったのかはすぐにわかった。皇夜の
身体が強張るのと同時に皇子の陰茎を包んだ膣がきつく締まる。達した、のだ。身体の強張りが解けても
膣はひくひくと引き攣り続けている。
「は、あ、……ごめんなさい、私、だけ」
普段は血管が透けそうなほどに白い肌だからこそ余計に上気した頬が徒めかしい。口端から溢れかけた
唾液を拭ってやり、赤い頬に口付ける。
「よいか」
「……はい、存分に」
娘だとわかっていても、限界だった。皇夜に埋められた陰茎は生殺しにも似た状態でなお、早く、と
言わんばかりに硬さを保っている。早く。早く子種を。目の前の女の胎に。早く。早く、孕ませてやりたい。
臀部を抱え直し持ち上げる。ずるずると陰唇から抜け落ちる寸前まで引き抜き、またゆっくりと押し込む。
幾度か繰り返し、皇夜が痛みを訴えないのを確認する。
「少し、我慢してくれ」
わざわざ断りをいれずともいいのに、と少し笑って皇夜が頷く。皇子の腕に力が篭り、勢いよく皇夜の腰を
引き上げる。
「……っ!」
間を置かず今度は力いっぱい突き込めば、子袋の入り口を突き破らんばかりに亀頭がぶつかる。皇夜の
嬌声に苦しげな響きが混じるのを聞き取ってはいたが、娘の膣は父親の男根を喰い締めるように纏わりつき
ながらぐにぐにと蠢き、ぬかるみのような音を立てて皇子の欲を煽った。
肉と肉がぶつかる音が聞こえるほどに激しく抽挿を繰り返され、皇夜の身体ががくがくと揺れる。嬌声を
抑えようとして、最奥を激しく叩かれる衝撃に耐えられず失敗し、悲鳴じみた声が上がり続けた。耳の近くで
高く喘がれ、皇子の首筋にぞわりと快楽がはしる。
「あっ、あっ、ああ、ちち、うえ、ちちうえっ……!」
振り落とされまいとするかのように皇夜が目の前の首筋に抱き付く。雁が膣肉を掻き出すように抉り、
かと思えば窮屈な隘路を引っ掻くように抉じ開ける。幾度も、幾度も。飽きることなどないように。
しかし、強く締め上げる膣に男根を擦り付け続けていれば限界は来る。
「っ、皇夜っ」
目の前の身体を抱き締め名前を呼ぶのと殆ど同時に、皇夜の中で皇子の陰茎がぶるりと一度大きく震え、
びくりびくりと脈打った。白い粘液―子種が爆ぜ、皇夜の胎に注がれていく。その感覚に身震いしながら
皇夜は深く長い息を吐いた。子種を全て吐き出しても皇子の陰茎は幾分硬さを保っていたが、それ以上動く
様子はない。
「ちちうえの、……たくさん、なかに……」
蕩けた口調で皇夜が呟いた。そうして、繋がる前にしたように自分の腹部を愛おしげに撫でる。ここに、
ほんとうに、はらめばいいのに。言葉にはせずに思った。命を繋いでいく実感が欲しい、自分が繋いでいく
のだという証がこの胎に宿って欲しい。望んでも、得られるはずなどないことは痛いほどに知っていて、
だから言わない。
214:氷ノ皇子×一族娘6
14/09/25 02:10:07.02 myspOmKU
「……ねえ、父上」
「……何だ」
「まだ、なさるのでしょう?」
言われて皇子は渋い顔をしたが否定はしなかった。
「だってまだ……こんなに硬い」
繋がったままの場所を揺らめかせて、皇夜がようやっと自分の帯を解いた。白い乳房が皇子の眼前に晒される。
「交神の、儀なのです。子を成すための行為です。父上は何も、……罪悪感も後ろめたさも感じる必要は、
ありません。私が、望んでいるのです。父上との子を。だから、」
これが禁忌と呼ばれる所業だとして、責められるべきは私なのです。
父として愛おしくは思う、けれども。父だからこそ許せないこともある。どうしてあなたの一番が私で
ないのか、私の娘達でないのか。黄川人。あの人の方が一緒に居た時間が長かったから? 己の血肉を
分け与えたから? 訊いても詮無い。皇子はきっと、黄川人も自分達娘のことも同じに愛していると答えるに
違いないのだ。
だから、これは。この、行為は。
黄川人への嫌がらせであると同時に氷ノ皇子への嫌がらせでもあるのだと。
それは絶対に口にはしないけれど、と心中で囁いて、皇夜は再び子種を注ぎこんでもらうために父の冷たい
唇に舌を這わせた。
(終)
投下終了です。
あまりえろくもなく…お目汚し失礼しました。
215:名無しさん@ピンキー
14/09/25 08:56:31.58 myspOmKU
上げておく
216:名無しさん@ピンキー
14/09/25 13:05:14.58 uA18AcjO
>>199
今まで七夕夫婦を敬遠してたけどこのSSすごく良かった
あれほど願った永遠の愛が単なる暇つぶしになってしまった、というくだりとか
2ではこういう話をこそ聞かせて欲しかったよ
>>209
相手が氷ノ皇子という人選?がこれまた背徳的な…
皇夜ちゃんが床で「父上」呼びしているのが余計にエロい、皇子も男なんですね…
217:名無しさん@ピンキー
14/09/28 20:21:20.04 6n2LopsJ
次のレスからNGワード(名前欄)
「一族男×愛宕屋モミジ」
・行間込みで340行26kb程度
・一族男に苗字、名前をつけてあります
・職業で避ける方は少ないかもしれませんが弓使い
・フトモモ
それではよろしくお願いします
218:一族男×愛宕屋モミジ
14/09/28 20:23:51.51 6n2LopsJ
※一族男、名前は「萩次郎」(しゅうじろう)、苗字は「奈丹樫」(なにがし)、職業弓使いです
萩次郎はその武神の槍捌きに見惚れた。
門を潜り、ふと左手にある垣根から稽古場に目をやった瞬間だった。
繰り出す槍の一撃一撃は燃え上がる炎のように激しく、山から吹き下ろす風のように鋭い。
腕だけでなく、全身を使った槍捌き。美しく、それでいて隙はない。
一本でも自分の体の一部のように扱うのは難しいだろう。
だが、彼女は二本の槍でこなす。並のもののふでは到底太刀打ちできない巧みな技。
軽々と捌いているように見えるが、相当な才能と、それ以上の修練を必要とするはずだ。
彼女の二本の鎌槍が、次々に屈強な鬼たちを突き刺し、薙ぎ払い、屠っていく。
そういう情景が自然と浮かんでくる。
彼女―愛宕屋モミジはいまだ萩次郎の存在に気づいていない。
まるでひとり戦場にあるかのような稽古を続けている。
そんな彼女の姿を見ているのもまた萩次郎ひとりだけ。
なんと贅沢なひと時であることだろう。
しばらくして、なぜか萩次郎は愛宕屋モミジとやけにゆとりのある寝台の上で対峙していた。
モミジは正座をしたまま動かない。萩次郎もまた正座をしたまま動かない。
モミジは槍こそ持っていないが武装を解いていない。
一方の萩次郎は中途半端な下着姿になってしまっている。
モミジがようやく萩次郎の存在に気づいたのは、あれから四半刻も経った頃だっただろうか。
挨拶もそこそこに屋敷に案内され、寝室に入るや否や「用意しろ」と言い放たれてぽかんとして、
交神の儀の準備として服を脱げと言われているのだと気づくのに多少の時間を要した。
実はこの日のため、一族の男が集まって、連日交神の儀について話し合っている。
ちなみに奈丹樫家は男ばかりになりやすい傾向にあるのだが、現在女子は最年長でもある当主のみ。
つまり、「一族の男」と言うのは「一族ほぼ全員」と同義となる。
219:一族男×愛宕屋モミジ
14/09/28 20:25:26.72 6n2LopsJ
話し合いは当主やイツ花に気を遣って、毎夜遅く居間に集まって行われた。
最初のうちは一族としての心得であるとか、男としての心得であるとか、それなりに真面目な話題になるのだが、
そのうち自由闊達な意見交換という名の雑談に流れるのが常だった。
何しろ当主というまとめ役がいないのだ。
他人に厳しく己にはさらに厳しい女傑である当主がいないと、場は往々にしてだらけがちになる。
しかも時間が時間のため、いつの間にかちゃぶ台に酒やつまみが並んでいることもあった。
未経験の者はどこかから聞きかじったらしい猥談ばかりで、なぜかやたらと饒舌なのが特徴だ。
あまり色事に興味のなかった萩次郎でも、さすがに未経験者の話があてにならないのはわかる。
一方の経験者は、当たり障りのない話に関しては普段どおりなのだが、経験談の核心に迫るほど口が重い。
数日間にわたる話し合いの中で、理由は何となく察することができた。相手の女神が大切だからだ、と。
交神の儀とは俗っぽい言い方をすれば閨事だ。
違いは一族が神と人との子であり、相手が神ということくらいか。
閨事とは秘め事であり、大切な相手との一夜を軽々しく語る気になれないのだろう。
当事者でありながらいつものとおり聞き役に回っていた萩次郎は、おぼろげにそう理解した。
そして同時に、自分もそんなふうに相手を大切にできるようになりたい、と思ったのだ。
残念なことに「服はいつ脱ぐのが適切か」といった具体的な議題は持ち上がらなかった。
先に服を脱ぐのが礼儀らしいと気づき、萩次郎は慌てて服を脱ぎ始めたのだが、まず飾りのついた帽子を脱ぎ、
ゆったりとした上着を脱ぎ、中の唐風の着物も脱ぎ、上半身が露わになったところで腕づくで止められた。
後は寝台の上に引っ張り上げられ、股引一丁でモミジと対座する格好となり今に至る。
顔色を窺うも、モミジは俯いていて表情は見えない。
寒くはないが、この姿では心許ない。重い沈黙が続けば、居心地も悪くなってくる。
もしや何か粗相をしでかしただろうか―そう不安になってきた頃、モミジがきっと顔を上げた。
強い意志を宿す、澄んだ赤紫色の双眸。
だが、萩次郎と目が合うと、モミジは急に焦り始める。
「その、なんだ。あの、挨拶がまだだと思ってな。
その、本日はお日柄もよく、ええと、おめでとうございます…?」
「え? あ、ありがとうございます」
萩次郎は反射的に深々と頭を下げたが、ふと疑問符が浮かぶ。
先ほど挨拶はして、互いに名乗ったはずだ。
確かに一族の未来を思えばめでたい日ではあるのだが。
220:一族男×愛宕屋モミジ
14/09/28 20:27:05.62 6n2LopsJ
顔を上げると、モミジは腕組みをしてうんうんと唸っていた。
足はすでに崩して、胡坐を掻いている。
思わず、だった。
ふと落とした視界に入った腿に釘づけになってしまい、萩次郎は慌てて顔を背ける。
モミジの爪先から膝下までは脚絆で覆われている。だが、膝頭から上は露わになっているのだ。
脚衣はもはや脚衣と呼べるのかも怪しいほどの短さ。
胡坐を掻いているものだから、内腿からさらに深い部分まで見えてしまいそうだ。
無駄のない肉づき。あくまで健康的なのに、どこか扇情的な肌の艶―
萩次郎は視界から外したはずの腿にまた目が行っている自分を恥じた。
「よし、考えるのやめ!」
モミジが床を拳で打った。どうやら何かが終わったようだ。
萩次郎もほっと息をつく。腿からようやく意識を外せそうだ。
モミジは大きく息を吸い、吐いた。また吸って、また吐く。
その仕草を前にして、別の意味で鼓動が早くなる。
モミジが神妙な顔を寄せてくる。思わず血の気が引いた。
「…つまりだな、察してくれるか? 察してくれるだろう?」
萩次郎は膝を正し、何度も大きく頷いた。
モミジの腿を盗み見ていたことに気づかれたわけではなさそうだ。
だが、モミジの目が据わっている。断ったら斬られそうな勢いだ。
斬られそうになったら、斬られるがままになるしかない。
萩次郎は正装として神々より贈られた一族の戦場の服を着て来たものの、さすがに弓は持ってきていない。
当然だ。交神の相手と戦う想定などしていないのだから。
「では任せるぞ? 任せるからな?」
「は、はい…」
221:一族男×愛宕屋モミジ
14/09/28 20:30:08.67 6n2LopsJ
「あー、良かった! では、頼む」
モミジは安堵しきった顔で、広い寝台に仰向けで大の字に寝転がった。
いつの間にか恐ろしい重要事項が決定してしまったらしい。
「え? え!? 今何を頼まれたんですか!?」
狼狽えながら顔を覗きこむと、モミジは口を尖らせた。
円い瞳は一瞬だけ非難の色を浮かべたが、すぐに萩次郎から視線を外す。
「何って―言わせるな。私はその…自慢できることではないのだが、そういった経験がほとんどないのだ。
とてもではないが私が先導するのは無理だ。だから萩次郎、これよりおまえに儀式の一切を任せる。
おまえは今、私の申し出を承諾したじゃないか」
「モミジ様、先に断っておきますが、俺は初めてですよ」
「だから何だ?」
「とんでもなく不慣れだってことですよ。きっとモミジ様のほうが―」
「あー、無理無理! 私は俎の上の猪になるから、おまえが何とかしてくれ!」
モミジがくるりと背中を向けた。
俎の上の猪が大人しくしている姿は想像できないが、モミジの言わんとするところは理解できる。
萩次郎は途方に暮れた。
戦場に出るのに、一族の者は二ヶ月の修練を要する。
元服、すなわち大人として認められるには八ヶ月が必要だ。
長く生きられたとしてもわずか二年の奈丹樫の人間にとって、決して短い時間ではない。
どちらも一朝一夕でことは成しえないという真実を端的に表している。
―初心者がにわか知識だけで何とかなるものなのだろうか。
視線を感じる。モミジが肩越しに振り返ってこちらを窺っていた。
すまなさそうにしているように見えるのは、耳が少々垂れ下がっているせいだろうか。
「…まっ、あれだ。おまえは優しい男だから、初めてだろうが任せても何とかなると思う」
「え」
モミジが跳ね起き、萩次郎の右肩を指さした。
「傷ひとつでもわかるものさ。これは誰かを庇った傷だろう?」
「すごいですね」
萩次郎は目を丸くする。
222:一族男×愛宕屋モミジ
14/09/28 20:31:35.25 6n2LopsJ
萩次郎の右肩には鬼の爪に引き裂かれた大きな傷跡が残っている。
だいぶ色味は薄くなったが、周囲の皮膚に比べて赤黒く、多少凹凸もある。
昔の傷だ。痛みどころか、弓を引くときに違和感があるわけでもない。
普段は萩次郎も忘れている。そもそも傷のない一族などいない。
だが戦いのときに「後ろに下がれ」といまだにきつく当主に仰せつかるのは、この傷が原因だった。
萩次郎が無意識に前に飛び出して庇ったのは、すぐ下の弟分である剣士だった。
「弓使いはまず前衛に出ない。なのにこいつは近距離から食らった傷だ。
誰かを庇いでもしなければ、こんなふうに傷はつかない。おまえが優しい証拠だ。
ただ今後は無茶をするなよ? その…私の子の父親になるのだから」
「モミジ様…」
ぽっと胸が熱くなる。
目の前の女性だけが世の中のすべてになってしまったような錯覚。
引き寄せられるように萩次郎はモミジに顔を寄せた。
形の良い、小さな唇―
「う、わあぁ!!」
肩を強く押し返される。
あまりの叫び声に萩次郎も我に返る。
「え、なんですか!?」
「い、今、せ、接吻を…!!」
「まずかったですか?」
モミジは顔を真っ赤にして、両手を振って答える。
「あ、いや、そうじゃなくて! 急で驚いたんだ。その、許可を取ってからにしてくれ」
今のは唇と唇がくっついたのか、よくわからなかった。
掠めたような気もするが、突き放されるまで視界の隅にモミジの赤い唇があった気もする。
とにかく、萩次郎の唇にはモミジの唇の感触は欠片も残っていない。
「あの、モミジ様。接吻しても宜しいでしょうか?」
萩次郎は躊躇いなくそう口にしていた。
モミジは本当に許可を求められてたじろいたようだったが、腹を決めたのか顔を突き出した。
「お、おう。どんと来い」
「…あの、できれば目を閉じていただけると…」
「う、うん」
モミジがぎゅっと目を瞑る。
223:一族男×愛宕屋モミジ
14/09/28 20:34:29.05 6n2LopsJ
目を閉じてはいるが、初めて正面からモミジの顔を見つめた。
あの稽古場で鬼の幻影を屠っていた戦女神と同じ神であるとは思えない。
きりりとした眉も、よく動く釣り気味の大きな目も、小さめな鼻も、愛らしい。
合図として伝わるかはわからなかったが、肩に手を載せてから顔を寄せる。
唇を重ねる。唇で唇の感触を確かめているからかもしれないが、本当に柔らかい。
速まる鼓動が伝わってしまっていないだろうか。
唇を離すの惜しい。だが、いつまでもくっつけているわけにもいかない。
ひとつ、ふたつ、みっつ。頭の中で数える。
ほんの少し唇を尖らせて未練がましくモミジの唇の感触を確かめ、そして、離した。
「…どうですか?」
モミジは大きく溜息をついて、胸元を両手で押さえる。
「いや、このあたりがバクバク鳴ってよくわからなかった。だが、おまえの唇は柔らかかった気がする。
なるほど、目を閉じるのは感覚を研ぎ澄ませるためか」
「多分雰囲気の問題じゃないかと…それでその、服を脱がせたいんですが」
「―えっ?」
「あ、モミジ様の服を、です」
「う、うん、そうか。やはり行為に及ぶ以上、服は脱がねばならんな」
和やかな雰囲気になりかけたが、やはりそろそろモミジにも脱いでもらわねばならない。
いつまでも自分だけ下着姿でいるのも情けない。
何より、すでに萩次郎の分身とも呼べる存在は首をもたげ始めている。
224:一族男×愛宕屋モミジ
14/09/28 20:39:26.54 6n2LopsJ
「そう何でもかんでも任せるのはやはり気が引ける。服は私が自分で脱ぐ」
そう宣言した後、モミジは「後ろを向いていてくれ」とつけ加えた。
これは額当てを外した音だろうか。これは陣羽織を脱いだ音だろうか。
金属のぶつかり合う小さな音。衣擦れの静かな音。
耳から入って来る情報だけで、勝手に妄想が膨らんでいく。
萩次郎は勝手に頭の中でモミジの服を剥ぎ取っていた。
これからことをなそうという男女がよりによって共に寝台にいるのだ。
考えるなというほうが無理だろう。
「いいぞ」
ちょうど妄想の中のモミジが生まれたままの姿になったところで、声がかかる。
にわか知識ではどうにもならないところまで来てしまったようだ。
意を決して振り返ると―今度はモミジが後ろを向いている。
「…モミジ様、あの、振り向いていただかないと、ちょっと困るというか」
「わかっている! だがな、殿方に肌を晒すというのは、相当な勇気がいるのだ!」
乱暴なのは承知で、背後から抱き寄せた。
まるで引き寄せられたかのようだ。
モミジの腰のあたりに下半身の膨らみが当たったかもしれない、と気づいたが、生理現象である以上仕方ない。
この指先に当たっているものは、恐らくモミジの乳房だろう。
武神であろうと女性である以上、柔らかい部分は本当に柔らかいのだと改めて認識させられる。
そう、彼女は女性なのだ。神であると同時に。
モミジがこちらにちらりと目を向ける。抵抗はない。
「先に許可を取らなくてすみません。でもモミジ様が可愛くて」
「可愛い? 私が?」
「はい」
「…萩次郎、おまえ、趣味が悪いな」
モミジがもごもごと毒づく。照れ隠しのようだ。
「そんなことないですよ。多分俺は、最初にあなたを見たときから、あなたが好きです」
225:一族男×愛宕屋モミジ
14/09/28 20:42:17.70 6n2LopsJ
腿の内側を接吻で埋めていく。
接吻だけではすぐに足りなくなり、舌を這わせ、むしゃぶりつく。
こうやって、モミジの内腿に触れているだけで陶然となってしまう。
やはり少々自分はおかしいのかもしれない、と萩次郎は思う。
萩次郎の唇は、やがて彼女の奥に辿り着く。
茂みも髪の色と同じ明るい赤だ。軽く撫でるとモミジが身を捩る。
「―失礼します」
なぜか断りを入れている自分には気づかず、萩次郎は腿を少し持ち上げた。
モミジの秘所が外気に晒される。
艶本の類いも多少は読んだが、想像していたより入口が狭い。
頭の中で結合した状態を思い描いてみたものの、ごく、と萩次郎の喉が鳴った。
目の前にある花唇の誘惑に冷静さなどすぐに消し飛ぶ。
「! んっ―」
そっと襞を舌先で割ると、びくん、とモミジの体が跳ねる。
「すみません、痛かったですか?」
「い、いや。た、多分、気持ちいい…続けてくれ」
なるべく痛くないようにと舌に唾液を絡めるよう心掛けて舐めていたが、すぐに杞憂とわかった。
秘孔の奥から蜜が溢れてくる。舐め取っても舐め取っても留まることを知らず、萩次郎は一心に舐め続ける。
拙い愛撫でも感じてくれているのは汗ばんだ肌でわかる。
「あんっ…!」
両手で口を塞いでいたモミジが、唐突に甘い声を上げる。
確かに今、舌に固いものが当たった。
「ふ、あ、あ…!」
もう一度舌で押すように擦ると、モミジがのけ反って喘ぐ。
もっと甘い声を聴かせてほしいと、蜜壷の上部に見つかった尖りを舌で転がす。
226:一族男×愛宕屋モミジ
14/09/28 20:44:48.88 6n2LopsJ
ふと、頭に軽く手を載せられて萩次郎は顔を上げた。
涙目になって顔を赤くしているモミジが言う。
「それ、駄目だ…変になる…」
モミジの乱れる姿が見たいが、本人が嫌がるなら諦めるしかない。と、
「いや、やっぱり…や、でも…」
少々の逡巡の後、モミジは顔を余計に赤くした。目元まで赤くしている。
自身でも顔が赤いのがわかるのか、モミジは両手で顔を覆った。
「やっぱり…頼む」
「…はい」
「…ん、あ、あっ、あ…」
舐め上げるだけで艶のある声が漏れ続ける。
こんなにわずかな刺激であるにも関わらず嬌声が止まらないということは、この小さな尖りは余程敏感に違いない。
できればもう少し強い刺激を与えてみたい、と考えて、萩次郎は決して歯を当てないように細心の注意を払い、
口に含んで優しく吸った。
「!! あ、うあっ、ああん…っ!」
がくがくっ、とモミジの体が痙攣する。
そして、ぐったりと寝台に両手が投げ出され、萩次郎が抱え込んでいる足の力が抜けた。
花唇から蜜が零れ出て、寝台の白い布に染みを作る。
227:一族男×愛宕屋モミジ
14/09/28 20:47:10.08 6n2LopsJ
萩次郎は蜜をたっぷりと絡めてから、蜜壷に人差し指を差し入れた。できるかぎりゆっくりと。
指は第二関節あたりまでさほど抵抗なく入った。
モミジの力が抜けたのが功を奏したのかもしれない。
内は驚くほどに熱い。秘孔の入口は柔らかくなっていて、中指も受け入れた。
二本の指を使って中を掻き回してみる。とろとろだ。
これなら、負担をかけずにいけるかもしれない。
「…萩次郎、そろそろ、挿れて…欲しい」
喘ぎ声の下で、モミジが言う。
体が男を受け入れられるようになったかどうかは、女にもわかるものなのだろうか。
萩次郎は股引に手をかけた。張っているのが布越しでもはっきりわかって気恥ずかしい部分もあるが、欲望が勝る。
脱ぐ時間ももどかしい。屹立したものを取り出して、花唇にあてがう。
「力を抜いててください。なるべく、優しくしたい…」
「ん、頼む…」
モミジが萩次郎の首元に縋りつく。
押しつけられる、何とも柔らかなふたつの膨らみ。
「…は…ぁ…」
モミジが溜息とも喘ぎともつかぬ声を漏らす。
雁首を埋め、そこからゆっくりと奥へ腰を進めていく。
指先で感じた以上に中が蕩けているのがわかる。
内襞の絡みついてくる感覚にくらくらとしながらも、萩次郎はようやく根元まで埋めこんだ。
「ど、どうですか、モミジ様…」
自然と大きく息をつく。
前髪同士が触れ合うほどモミジの顔が近くにある。
赤紫の双眸が潤んでいる。異物を受け入れるのは、やはり負担があるのだろう。
だが負担以上の歓喜があるのもまた確かなようだ。
モミジは腕だけでなく足も萩次郎の体に絡めていた。
228:一族男×愛宕屋モミジ
14/09/28 20:48:27.40 6n2LopsJ
「嬉しいよ」
「え…」
「嬉しいに決まってるじゃないか。こんな、大切にされて…好きにならないほうがどうかしているよ」
唇を先に求めたのは萩次郎だったのか、それともモミジだったのか。貪るように口づけを交わす。
互いの唾液が混ざり、口の端から溢れるほど、ふたりは口づけに夢中になった。
ようやく唇を離しても、まだモミジは萩次郎にしがみついている。
「好きだ」
確かにモミジは耳元でそう言った。
たまらず萩次郎はモミジの乳房が潰れてしまいそうなほどきつく、しなやかな体を抱きしめる。
「萩次郎、私のすべてをおまえに捧げる。私のことは気を遣わなくていい。
もはや私はおまえの一部。おまえの好きにしてくれ。…それが私の望むことだ」
「―痛てっ」
冷たい木の床に転がって目が覚める。
初めに廊下、次に台所を連想したが、どちらも違う。
太い梁の通った、見上げるほどに高い天井。知らない場所だ。
「あ、すまん…蹴ったか」
振り返ると寝台があり、もぞもぞと白い掛け布が動いた。
ひとりで眠るにはずいぶん大きな寝台だと思ってはいたが、ようやく理由がわかった気がする。
「いえ、大丈夫です」
萩次郎が寝台の縁に腰を下ろしたとほぼ同時に、掛け布からモミジが顔を出した。
掛け布をそのまま肩にかけて膝立ちで近寄って来ると、萩次郎の右隣に腰を下ろす。
肩を抱き寄せる。モミジは頬を染めて微笑した。
229:一族男×愛宕屋モミジ
14/09/28 20:51:10.89 6n2LopsJ
「…これが後朝というものか。何だかこそばゆいな」
萩次郎は余っている手でモミジの髪を指で軽く梳いた。
「もう肩の傷は痛まないのか?」
「はい」
「そうか…ならいい」
モミジが萩次郎の肩口にそっと体の重みを預けて、目を閉じる。
方々に散っている赤い髪を梳き、髪と同じ色の毛に覆われた耳に口づける。
モミジの耳がぴこりと動く。くすぐったかっただろうか。
「モミジ様のほうこそ、その、体は大丈夫ですか?」
「ああ。体力には自信があるからな」
静かな朝だ。正直手水から朝食まで戦争の奈丹樫家ではまず考えられない。
昨日までその戦争のただ中にあったというのに、懐かしささえ覚える。
奈丹樫の恒例行事を思い出して、やはり自分は奈丹樫家の人間なのだな、と萩次郎はぼんやりと思う。
「あの、モミジ様。俺は…いつ頃帰ったらいいんでしょうか?」
「なんだ、もう帰りたいのか?」
「いえ、そうじゃないです。けど、交神の儀における礼儀として、いつ頃が適当なのかと思って。
昨日だって結局なし崩しに泊まってしまいましたし…」
「すまん、私も知らない。いや、交神の儀についてのお達しはあったかもしれないが、忘れた」
モミジが頬を掻く。が、目が合うと頬を膨らませて見せた。
「し、仕方ないじゃないか。私と交神したいなんて物好きが出てくるなんて思わなかったんだから」
「物好きなんて…そんなことないですよ」
230:一族男×愛宕屋モミジ
14/09/28 20:58:05.74 6n2LopsJ
せめて失礼のないようにお暇をするときの実例くらいは経験者にお伺いを立てておくべきだった、と後悔していると、
モミジが身を乗り出してきた。
「なあ萩次郎、今から朝飯を作るから、一緒に食べながらいつ帰るのが適当か考えようじゃないか。
言っておくが、私の料理の腕はちょっとしたものだぞ? まっ、昼子様には遠く及ばないがな」
なぜか天界の最高神である太照天昼子の腕を語るときのほうが自慢げだ。
萩次郎は思わず目を細める。
「モミジ様の手料理をいただけるなんて光栄です」
「ふふ、腕が鳴るな。それでいつ帰るか決まらなかったら、昼にも一緒に飯を食べながら考えよう。
それでも決まらなかったら、一緒におやつを食べながら考えればいい。
それにだな、父と母になる以上は生まれてくる子供の名前だって一緒に考えたい、し―…」
不意に言葉が途切れる。
見れば、モミジの目から大粒の涙が溢れていた。
萩次郎はモミジの顔を両手で包み、親指で涙を拭う。
モミジは目を伏せ、唇を噛みしめている。噛みしめられた唇は色を失い、震えている。
胸がちりちりと痛む。相手を大切に思うということの代償。
濡れた睫毛に唇を寄せて、帰りたくない、という言葉の代わりに萩次郎はそっと囁く。
「モミジ様、やっぱりあなたは可愛い方です」
(終)
231:名無しさん@ピンキー
14/09/28 21:00:38.50 6n2LopsJ
以上です
連投規制に引っ掛かって焦りました当主様…
232:名無しさん@ピンキー
14/09/29 00:22:23.48 NIZg6daW
保管庫更新しました
ああ^~モミジ様かわいすぎるんじゃ^~
233:我が恋を嬬は知れる
14/10/09 13:59:24.53 8ebInpvv
投下しまっす
・鷲ノ宮星彦×一族女
・不倫、凌辱描写があるのでご注意ください
空を覆う雲は遠のき、カラリとした暑さと共に夏の星々が輝き始める。
そこは天界の最西端。夜の帳に満点の星々が描かれる中、外界との接触を阻むような離れ小島の中心に鷲ノ宮星彦の社がある。
その社は常に閉ざされている。夫婦の契りを交わした女神―琴ノ宮織姫にかまけ、職務を放棄した罰としての監獄であるからだ。
年に一度だけ、恩赦として許される逢瀬以外は従者である鳥たちだけと過ごす日々。それが星彦のすべてだった。
だが、その日は社に訪れる者がいた。
朱点童子討伐の為に遣わされた一族。そして、その娘を既に星彦は知っている。
「ふふ、お久しゅうございます、星彦さま」
記憶にある姿よりも美しくなった娘―美緒はあの時と同じように無邪気に笑った。
美緒に初めて会ったのは半年ほど前の事だった。
当時、まだ彼女は元服を迎えたばかりであり、その身体つきは女性として生まれ変わりつつあったものの、未だに少女の殻に覆われていた。
美しいと思った。といっても、顔立ちは殊更美人という訳ではない。星彦がそう感じたのは、美緒の身に纏う雰囲気だ。
あどけなさを残す面影の中に、底無し沼のように相手を引きずり込むような何かがあった。
姿を見た時、思わず妻の―織姫の名前を口に出してしまった。美緒に見惚れてしまった事を隠す為に、わざと比べるような事を言ってまで。
そう言えば、きっと怒るだろうと思った。義務とはいえ一夜を共にする相手にそのような事を言われて不快にならない訳がない。
美緒を見たくなかった。一目見て感じた戦慄にも似た感情を消し去りたかったのだ。だが―。
―あら、嬉しい。
美緒は僅かに顔を赤らめ、無邪気に笑った。怒り、嫉妬、虚勢。そのどの感情でもなく、純粋にその言葉を口にしたのだ。
「お変わりないようで、何よりですわ。それと、到着が遅れて申し訳ありません。本来ならもう少し早く着く予定だったのですが……」
「……いや、別にいいさ。……また、お前が交神か」
「ええ、家の総意で。わたくしだけでなく、もっと他の方々の血を残した方が良いと思うのですけど」
美緒は一族の中でも特に優れていた。
時折相手をからかうような素振りはすれど、性根は心優しく忍耐強い。そんな性格を表すように、彼女は『水』の気質を中心に高い素質と力を秘めていた。
優秀な遺伝子は可能な限り残すべきだ。その一族の悲願に従い、またも天界へ赴く運びとなったとどこか物憂げに答えた。
234:我が恋を嬬は知れる
14/10/09 14:00:07.57 8ebInpvv
「星彦さま」
美緒が星彦の手を取る。戦いに赴いているとは思えない程に細く白い指が絡む。互いを縛る鎖のように、一つ一つがぴたりと合わさる。
「……ずっと、お会いしとうございました。あれが今生の別れと覚悟を決めていたのに、来る日も来る日も、思うのは貴方の事ばかりで」
身体が動かない。されるがままに、星彦は相手に身を委ねていた。
―落ちる。縋りついている一本の綱がほつれ、底なし沼の上でゆらりと揺れている。
「才能があって良かったとこれほど思った事はありません。だからこそ、家の者に無理を通せたのですから。―ねえ、星彦さま」
美緒を見る。それは全てを呑み込む聖女のように優しく―悪鬼のように残酷な顔で、星彦を誘っていて。
「―美緒をまた、女にしてくださいまし」
その言葉は、命綱を千切るのには十分だった。
一族に掛けられた二つの呪い。その血を絶やさぬために考え出された交神の儀。
だが、神も一族もその義務をすぐに終える者は限りなく少ない。一月という僅かな間だけでも、彼らは身体だけでなく言葉や心でも交わっていた。
だが、それはあくまで一般的な話。かつて一月を共にした二人に言葉は不要だった。
布団に倒れ込む。抱いた肩はその手ですっぽりと包んでしまえるほどに柔らかい。組み敷いた鬼切りの娘は、驚くほどに華奢であった。
視線が交錯した瞬間、互いの唇が吸い寄せられる。触れ合うだけで柔く、溺れてしまいそうだった。
「ん、ふっ……!」
開いた隙間から舌をねじ込む。最初は驚いていた美緒も、すぐに応えるように絡ませ合う。
その口元から銀色に光る糸が引く。それはどんな美酒よりもかぐわしく、酩酊させる妖気を帯びていて。
紅を引いたような唇から溢れる蜜は毒の味がした。
「は、んっ……本当に、星彦さまはお変わりになりませんね」
「……な、何がだ?」
「初めてわたくしとこうした時にも、同じようなお顔をしていましたのを思い出して」
最初、美緒は星彦の事を知らずに来たのだと思った。でなければ、夫婦の片割れと事を為そうとは到底考えられなかったからだ。
美緒は織姫の存在を分かっていた。そのうえで星彦との交神を望んでいた。
理由を聞いてみたのだが、曖昧な笑みと共にかわされ続け、今日まで核心を突く答えは引き出せていない。
だが、どんな理由があるにせよ、選ばれた以上は交神の儀に及ばなければならなかった。
しかし、義務とはいえ実際にするのは男女の睦言と何ら変わりはない。織姫への想いに悩む星彦に美緒はこう言ったのだ。
235:我が恋を嬬は知れる
14/10/09 14:00:47.41 8ebInpvv
『気にしないでくださいな。所詮は一月の夢幻。星彦さまにとっては一瞬の事なのですから』
あの一月は不思議だった。美緒は閨以外では必要以上に星彦の邪魔をする事もなく、だが、ふと人恋しさを感じた時にはいつのまにか傍にいる。
ある日、炊事場を借りていいかと聞かれ承諾すると、その日から素朴だがどこか温かみのある食事が用意されるようになった。
そして、その家事一切も美緒は行うようになった。最初は断ったものの悲しそうにため息をつく姿に良心が耐えられなくなり、いつしか任せるようになって。
そんな夫婦のような生活をも交えながら一月は終わった。たった一月だけ。ただの義務であり、光陰のように一瞬の出来事なのだと、美緒の言葉を反芻しながら。
「う、うるさいな。神とは不変の存在なんだ。そう簡単にお前たちみたいには変われないんだよ」
「ふふ、そうですね。貴方さまも、ここも、本当に変わらない。……まあ、三度来訪しただけの身で、星彦さまと同列に語るのはおこがましいですわね」
「―は?」
三度。美緒は確かにそう言った。
美緒との交神はこれが二回目。そして美緒と交わり彼女を女にしたのも星彦。
―だったら、だったら、もう一回は何だ。
「っ……!」
気が付くと美緒の手首を掴んでいた。
美緒が苦痛の呻きを挙げる。だが、細く滑らかな素肌に指先が食い込んでいくのを止められなかった。
「……誰だ。誰とした?」
一族が天界に昇るのは交神の儀のみ。なら、必然的に美緒は星彦以外の男神とも執り行っている事になる。
だが、美緒は言っていたではないか。会いたかった、いつも星彦を想っていたと。そして、あの一月では確かに通じ合っていたじゃないか。
そう問うように美緒を見つめる。だが―。
「―星彦さまには関係ありません」
その顔には何も宿っていなかった。灰のように乾いた双眸が星彦を映しているだけで。
吐き出された言葉は真の意味を閉ざすように冷たく、無機質なものだった。
「交神は双方によって行われるもの。それ以外の神には無関係なものです。……奥さまの事も、先月までご存じなかったのでは?」
「……っ」
三月ほど前、織姫もまた交神の儀が行い、その子が先月下界へ送られた。それが先月に―年に一度の逢瀬で織姫本人から伝えられた事実。
夫婦でありながら互いに違う者と交わり、子を為した事。織姫はそれを咎める事はなかったが、悪びれる事もなかった。
「これはただの遊戯だから」と織姫は言う。だが、それは詭弁だ。ただの遊びと言うには呪われた一族を気にかけ、自身の子を慈しんでいたのだから。
星彦も知らない「母」の顔つき。それは、永遠の崩壊だった。
236:我が恋を嬬は知れる
14/10/09 14:01:26.42 8ebInpvv
「交神の儀は双方の利があるからこそ。わたくしがこうして身体を重ねるのは、ひとえに一族の悲願。ただそれだけの為に過ぎません」
これはただの義務だ。男女の営みとはいえ、朱点童子討伐という目的の為に天界が考え出した天界の策でしかない。
だが、星彦は変わった。変わってしまった。織姫も同じだ。盤石の永遠だった夫婦にはヒビが入り、もう不変の存在ではなくなった。
そして、美緒は不変の理を崩壊させ、星彦の心身へ踏み込んだ。そして、その心を乱し、決して消える事のない感情を植え付けた。
あの時の事を考えるだけで狂ってしまいそうになる。それなのに、美緒は素知らぬ顔で他の男神と交神し、あまつさえそれを義務だと切り捨てる。
―そんな勝手が許せるものか。
胸の奥から湧き出す溶岩のように沸騰し黒々と燃え上がる劣情を、星彦は止める事は出来なかった。
鳥の鳴き声が聞こえる。おそらくはいつも従えている猛禽な従者だろう。それはまるで、主の行動を糾弾するようにも扇動しているようにも思えた。
薄暗い社の中からは獣のような息遣いが聞こえる。だが、それを発しているのは男女の交わりにはあまりにも不釣り合いな姿になった娘だ。
純白の布の上に転がされた身体。その両の手は後ろに縛られ、下肢を開くように固定された美緒の姿があった。
呪術を施した縄が白い四肢に食い込む。それは、さながら装飾が施された贈与品のようだ。
美緒は時折苦しげに身体を身悶えさせる。捕えたはずなのに、その姿は何故か自由に見えて。その様子が尚の事、星彦を苛立たせた。
「……随分と成長したな。前はいくら交わっても女に成り切れてなかったというのに」
結ばれた帯を乱暴に紐解き、着物をはだけさせる。
布一枚隔てられた障壁の間から形の良い乳房が表れる。半年前はまだ少女の面影を残していたそこも、今は成熟し、欲望を促す存在へ変化していた。
「んんっ!」
柔らかな双丘を掴む。膨らみこそあれど、堅く張っていた乳房はもう見る影もない。
握り返す度に指が埋没し、掌からこぼれた肉が形を変える。指の腹で引っ掻くように弄れば、美緒は小刻みに肩を震わせる。
弾力に反発し、力任せに揉む。指の跡が透き通った肌に赤々と浮かび上がった。
「……ふふっ。女は、年月と共に変わっていくのですよ」
美緒が笑う。先程の言葉も、今の状況もまるで無かったかのように普段通りの調子だ。
美緒は移り変わる。星彦と「誰か」によって、あどけなさを残す少女から、女の色香を漂わせる女性へと変貌を遂げた。
なのに、星彦は変わらない。美緒と子を為そうが、美緒が「誰か」に抱かれようが、星彦はいつまでも贖罪を受ける神であり、織姫の夫でしかない。
それは、星彦が自ら望んだ願いだったはずなのに。
237:我が恋を嬬は知れる
14/10/09 14:02:11.15 8ebInpvv
「あ、くぅ……!」
一際大きな嬌声と共に、表情が崩れる。星彦がその薄紅色の頂に吸い付いたのだ。
美緒は痛みには慣れていても、快楽への耐性は無い。それは、星彦が最初の閨で気付いた事だった。
生娘だった美緒が、たった数度の交わりで絶頂に導いた。
歯で挟み、唾液を塗布し、堅くなったそれを舌の先で執拗に責める。ちゅうちゅうと吸えば、ビクビクと身悶える。
「ふあ、あっ、やぁ……そこ、ばっかりっ……!」
月下にゆらめく水面のような面持ちが波立つ。素肌は火照り、赤く染まっていく。
それは紛れもなく女の顔だ。清楚な様相が、欲望を誘う底なし沼へ変貌する。あの時よりも、強烈な妖気を放っていて。
その姿はまるで織姫のようだ。琴の音のような麗らかさを装いながら、実際はかなりの短慮。だが、それでも合わせ絵のように求めずにはいられない相手。
妻の姿が浮かんだ瞬間、何故か心の奥底から苦味が広がる。それがどちらに対する後ろめたさだったのかは、もう分からなくなっていた。
「……んぁっ!」
手持無沙汰になった右手を下腹部へと滑らせる。
手荒く指を押し入れた筈のそこは、十分すぎる程に粘り気を帯びていた。
「―乱暴にされても感じるのか」
「もちろんですわ。星彦さまに触られているのですから」
他の男にもそう言ったのか。いや、非道に扱っても快楽を覚えるまでに仕込まれたのか。
考えれば考える程、沼へと沈んでいく。それは抗いがたい程に優しく、溺れてしまうには残酷なものでしかないのに。
心に抱いた思いをそのままぶつけるように奥底へと推し進める。二本の指はあっさりと侵入を許した。
「ひゃ、あっ、んぅ……!」
すんなりと星彦を受け入れた筈だったそこは、受け入れた瞬間に拒むように収縮する。
腹いせに、動きに真っ向から逆らうように押し広げていく。動かす度にぐちゃりと粘ついた水音が響き、溢れ出した粘液が星彦の指に鎖のように張り付く。
それはまるで、星彦を歓迎しているかのようで。忌々しい。このままでは、美緒が満足するだけ―だとしたら。
238:我が恋を嬬は知れる
14/10/09 14:03:01.13 8ebInpvv
「あっ……」
乱雑に指を引き抜き、荒い呼吸を繰り返す美緒の上に覆い被さる。
取り出した充血した己を、紅い唇に押し当てる。
「……舐めろ」
もう一度強く押し付けながら、眼前に転がる少女を見下ろす。
一瞬、美緒は何かを言いたそうな視線を投げかけたが、すぐに視線は眼前のものへと移り、躊躇いもなく舌を伸ばした。
「ん、ふっ……う、んんっ……」
舌先が先端を中心になぞる。包皮の間や脈打つ血管を舐め取り、刺激していく。
その様子はとてももどかしく、羽虫が這いずるような不快とも言える快楽でしかなくて。
こういった事も初めてではない。かつての交神でも、頼みもしないのにいきなり口取りを申し出て来たくらいだった。
あの時の美緒は初心だった。生娘だった彼女の動きは未成熟で、星彦の欲望を吐き出させるには物足りないものだった。
だが、今は違う。星彦自らが手ほどきし、結果として想像以上に上達してしまった。それこそ、教えた事を後悔したくなる程度にまで。
だからこそ、今の美緒の動きは可笑しさを禁じ得なかった。―この娘はわざとじらしているのだ。舌だけという、かつての失敗談を真似てまで。
「ぐ、うぅっ!」
縹色の髪を掴み、無理矢理押し込む。喉元を突いた所為か、苦しげな呻きが漏れる。
どうやら、まだ自分が置かれた状況を理解していないらしい。苦痛に歪む姿も、今はただ欲望を焚き付けるものでしかない。
だが、それが美緒の目的だったと気付いた時には、もうどうしようもなくて。
「んぐっ、ん、んううっ!」
動かす。美緒の様子など全く配慮せず、ただ己の思うがままに打ち付けていく。
柔らかくすべすべとした粘膜の感触が直に伝わる。ぞくりと背筋を駆け抜け、悪寒のように全身へと広がっていく。
「うごっ、あ、ん、んうむぅ!」
互いの体液が混ざったものが、唇の合間から零れ落ちる。美しい顔が唾液に塗れ、琥珀色の瞳からは涙が伝う。
非道な行為だ。織姫にさえした事はない。そうしている最中にも、星彦の心に針で刺すような罪悪感が積もっていくのが分かる。
だが、間違いなくこの姿は、この面持ちは、他の誰でもない星彦が引き出し、星彦にだけ向けられたもの。
そう思った瞬間、どす黒い笑みが零れるのを止める事は出来なかった。
239:我が恋を嬬は知れる
14/10/09 14:04:00.33 8ebInpvv
「ん、んんっ―!」
瞬間、増幅した感情はもう制御出来なかった。
自覚した時には、あっけなく己から吐き出されていた。瞬く間にそれは広がり、紅い唇が白く濁る。
口腔にすべて収まったのを確認したその時、美緒が逃れるように視線を逸らしたのを星彦は見逃さなかった。
「飲め」
咳き込もうとする頭を固定し、否が応にも受け入れざるを得ない体勢を作る。
美緒は一瞬怯えたような視線を向けたものの、星彦の望むがままに欲を飲み込んでいく。
ごくごくと喉元が上下する。この体勢では飲みにくいのだろう。美緒が嚥下する量はあまりにも少なく、飲む傍らからぽろぽろと涙が零れていく。
そして、えずきながらも長い時間をかけ、ようやくすべてを飲み干す。口元から引き抜くと、飲み干せなかった乳発色の糸を引き、橋を創った。
「う、あ……んんっ……」
美緒の口から引き抜く途中、一度冷めた筈の熱が再び集中していくのが分かった。
未だに心身に溜まった淀みは消えない。もしかしたら、このまま星彦を侵し尽くしてしまうのかもしれない。
もう考えたくない。ただ内にあるものから解放されたい。星彦に残された思いは、ただそれだけだった。
美緒の肩を押さえ付けながら、水気の絶えない蜜壺へ宛がい、そのまま腰を落とした。
「あっ……!」
半年ぶりであるにも関わらず、しとどに濡れそぼった砦はあっけなく異物の侵入を許した。
幾度となく己を受け入れた場所。だが、そこに星彦以外の誰かもまた侵入し、美緒との子を為した場所。
―もしかすれば、美緒が遅くなったのはかの男神に会っていたからではないか。
先程は気にならなかった美緒の言葉が頭によぎる。
問いたい。紅い唇を貪り、柔らかな乳房を吸い、蠢く性器を汚し、胎内に子種を植え付けた男神を憎たらしい程に。
だが、美緒は決して口にはしないだろう。美緒か一族かどちらの意思にせよ、これが義務である以上星彦に告げる事はない。
そして、星彦もまたそれを知る事はない。それを知れば、もう二度と「天界に住まう神」として存在出来なくなってしまうだろうから。
「あ、ううんっ……! 嬉しい、ですわ……わたくしの為に、ここまで……」
美緒は焦点の定まらない恍惚とした表情でぽつりと呟く。その言葉は、星彦に向けられたものではなかった。
この娘は本気で悦んでいる。今までの様子は己に酔った訳でも、痩せ我慢でもない。心の底から星彦との行為を愛しんでいるのだ。
ああ、そうだとしたら。何の為にこの行為をしているのだろう。
だが、今更そう思った所で己の雄から発せられる熱を止める事は出来なかった。
240:我が恋を嬬は知れる
14/10/09 14:08:29.92 8ebInpvv
「い、ぁああっ……ん、あっ、んんうっ……」
細い腰を掴み動かしていく。
だが、それでも美緒は星彦に応えるように身体を密着させる。その度に、挟み込んだ膣壁が痛みを伴う程に締め上げる。
粘膜は星彦に合わせるかのように蠢き、その度に快楽が濁流となって押し寄せる。
「ひあっあ、あ、ほ、星彦さま……! どうか、わたくしの中に―!」
縛られた身体が反り返り、己の先端が膣内の最奥へ誘われる。
瞬間、美緒の求めに呼応するかのように全体が緊縮し、星彦の楔を目一杯絞り上げた。
「っ、……くっ!」
一瞬の静寂。刹那の途切れと同時に、洪水のように流れ出した美緒の胎内へ叩き付けられる。
「……あぁ、ふあ……」
断続的に膣内が収縮する。一滴も逃さないと言わんばかりに、美緒は流れ込む様子を目蓋に焼き付けていた。
これでまた、星彦の子供が生まれる。鮮やかな生命の塊がもう一度この手に抱かれる。他の誰でもない美緒と星彦との「結果」によって。
そう思うと同時に、張り詰めていた気持ちが嘘のように抜けていくのを、吐き出される濁流と共に感じていた。
夜が更ける。あれ程輝いていた星々は、白み始めた空へと姿を消し始めていた。
あの交わりから数刻後。軽い行水を終えた星彦は、身体に纏わり付く水滴を乱雑にふき取っていく。
湯船に張った水はまさしく凍るような温度だったが、昂った熱を引かせるには丁度良いものだった。
湯あみを終え戻って来た星彦が見たのは、何事も無かったかのように露に濡れた髪の毛を梳いている美緒の姿だった。
着物から見える肌には未だに痛々しい紅い痕が残っている。普段と変わらない姿に、今はただ罪悪の念が込み上げてくるばかりだった。
241:我が恋を嬬は知れる
14/10/09 14:17:51.38 8ebInpvv
「……すまん」
先程から喉元につかえた言葉をようやく絞り出す。美緒に向き直り、必死に頭を下げる。
いくら普段邪険に扱って来たとはいえ、あのような事をして平然としていられるのは人として、いや神としてどうかしている。
今はただ、後から後から湧き出てくる懺悔の念を美緒に伝える事しか星彦には考えられなかった。
「ふふ、そんなに落ち込まないでくださいな。元々は、星彦さまを怒らせてしまったわたくしの所為ですのに」
「違う! 俺が悪かったんだ! その、誤解しないでくれ。せっかくまたお前に会えたのに、いきなりあんな仕打ちをするつもりじゃ……」
その言葉に、美緒はきょとんとした様子で星彦を見つめる。
しばしの間、何かを確認するかのように視線を動かす。やがて納得したように笑みを浮かべる。
それは、いつものにこやかなものとは違うどこか悲しげな微笑みだった。
「―大丈夫ですわ。奥さまには、内緒にしておきますから」
そう言いながら、美緒は含むような視線を送る。その言い回しに、ふと星彦の記憶が蘇ってくる。
『あいつには、内緒にしてくれ』
それは、初夜を終えた時に星彦が懇願した言葉。その時は義務とはいえ、織姫以外の女を抱いたという罪悪感から出てしまったものだった。
またもや妻の名前を口にした事に慌てたものの、美緒は咎めもせずただ先の言葉を言っただけだった。
何故あの時と同じ事を言ったのか。そう問いかけようとして―星彦もまた、口に出す事は出来なかった。
「さあ、もう夜も遅いですし、後日ゆっくり語り合いましょう。……出来れば、もう少し優しくお願いしますね」
身体が動けば浮気だが、心が動けば何になるのだろう。
美緒と交わった事。美緒が去ってから、今まで以上に空虚な生活に感じた。またも交神の儀で訪れるのを知り、平静を保てなかった事。
そして、美緒が他の男神と身体を重ねるだけで、狂人のような行動をしてしまった事。
ただの戯れだった。戯れだと思いたかった。だが、それに誰よりも溺れてしまったのをもう誤魔化す事は出来ない。
この感情が愛なのか、それとも執念なのか星彦には分からない。
それでも、ただひとつだけ断言出来る。
―もう、浮気じゃすまねえな……。
(完)
242:我が恋を嬬は知れる
14/10/09 14:27:36.47 8ebInpvv
以上です。
七夕夫婦って最初から割り切ってる奥さんと、だんだん遊びから本気になっていく旦那さんという対極っぷりが良いと思います。