【艦これ】艦隊これくしょんでエロパロ9at EROPARO
【艦これ】艦隊これくしょんでエロパロ9 - 暇つぶし2ch2:名無しさん@ピンキー
14/04/14 22:29:04.96 Xu2ghsgc
前スレが容量埋まっちゃったので次スレ立てました。

そして先ほどの続き

・・・
・・

中年のオヤジ「くっははは、まさかあのクソガキがオレの上官だとはな。」

曙「・・・?」
曙は怪訝そうな顔をした。
この男にあんな小さな男の子の知り合いがいるとは思えなかったからだ。

中年のオヤジ「本家様もやることがえげつねぇな」

曙「本家・・・?」
思わず口から声が漏れた。
男にも聞こえたようで、愉快そうに顔をあくどく歪めて笑う。

中年のオヤジ「クハハッ、・・・・あいつはな、オレの予備だ」
男の瞳に宿る底知れぬ闇に曙はゴクリと唾を飲む。

中年のオヤジ「フン、・・・大方、オレが行方不明なのをいいことに分家のあのガキを当主に据えたんだろうぜ」
もう本家を継げる血筋は残ってねぇからな、と以前の彼を思わせる声音で続いた。

曙「(行方不明?何を言っているの?)」
本家?行方不明?今ここにいるのに何処が行方不明なの?血筋ってどういうこと?
曙には男の言っていることが理解できなかった。

何やら考え出した曙に男が耳元で愉しそうにつぶやく。
中年のオヤジ「ククッ、アイツの両親はな。俺共々、『おまえらに殺された』んだぜ?」


曙「ッー!?」
ガバッと飛び起きるとそこは布団の上だった。
はぁはぁと荒い息を整え必死に今見た夢----昨日のことを思い出す。

曙「私たちが・・・殺した?いつ?・・・・誰を?・・・痛っ・・」
何かが思い出せそうだが、思い出そうとすると激しい頭痛に苛まれる。

曙「(大切な何かを忘れている・・・?)」

その手には思い出せない”誰か”からもらったハズのハンカチが握られていた。

3:名無しさん@ピンキー
14/04/15 08:22:27.03 pgNRJ9mF
>>1
…と言いたいところだけど
次スレ誘導せずに前スレを自分のSSでいきなり埋めるのはどうかと思います

4:名無しさん@ピンキー
14/04/15 19:29:10.66 P/LAxgku
容量制限に気づかず投下しちゃったんでしょ、許したれ

5:名無しさん@ピンキー
14/04/15 19:35:11.20 xnoglcMR
>>3
申し訳ない
まさか容量制限ギリギリだったとは気づかなかったよ

6:名無しさん@ピンキー
14/04/15 20:38:37.43 PVBN/feA
おつおつ
知る人ぞ知る駆逐艦トップの潮ちゃんが浜風と熾烈なトップ争いをしていると聞いて

7:名無しさん@ピンキー
14/04/15 20:41:30.83 Bm1et5Ck
……RJにはどうでもいい話であった

8:名無しさん@ピンキー
14/04/15 21:16:54.75 PVBN/feA
潮(U)カップエントリー
潮・浜風・白露・村雨・夕立・涼風・長波・時雨・夕雲・特別枠 愛宕
若葉杯エントリー
若葉・睦月・初霜・満潮・霰・霞・うーちゃん・特別枠 RJ(改)・まるゆ

エントリーを受付中です・・・

9:名無しさん@ピンキー
14/04/15 21:56:27.62 3NlwEI2j
>>8
潮(U)カップ出場にはにはちんこついてることが条件なのか(困惑)

10:名無しさん@ピンキー
14/04/15 23:13:09.36 7kovHcTa
鎮守府における皐月賞とは

11:名無しさん@ピンキー
14/04/16 00:01:51.10 1/q3PW+m
睦月賞、きさらぎ賞(なぜひらがな?)、弥生賞、卯月賞、青葉賞、文月賞、長月賞……
多分大体の人が知っているのはきさらぎ賞と弥生賞と青葉賞くらいだな

12:名無しさん@ピンキー
14/04/16 00:58:21.53 2kJsNTpr
競うというか潮ちゃんはむしろ最近悩みを分かち合える巨乳仲間が増えてすごい喜んでそうだ

13:名無しさん@ピンキー
14/04/16 04:45:52.59 3moo+nTi
ロリ巨乳勢力が拡大している
よーそろーである

14:名無しさん@ピンキー
14/04/17 01:33:55.94 Di4v7A7c
お風呂騒動

伊58「てーとくー、何でてーとくは少佐なのに提督って呼ばれてるんでち?」

それはゴーヤのそんな些細な一言から始まった。

提督「ゴーヤか、どうしたんだ?突然」
いつの間にか背後に回り、抱きつかれる。
潜水艦だけあってか気配を消すのがうまいようで
何処からか突然現れ、よくこうして抱きつかれている。
始めのころは、柔らかい二つのふくらみを押し付けられて
あたふたとしたものだった。
最初はイクだけだったのだが、いつの間にかゴーヤたちも真似するようになっていた。

伊58「他の提督さんはみんな少将以上なのに不思議ねって
他の艦娘が話してるのを聞いたでち。なんででちか?」

提督「ふむ」
ゴーヤの言う通り、提督と呼ばれる者は少将以上が通常だった。
深海棲艦が現れるまでは。

伊19「イクも気になるの!」
ひょこっと何処にいたのかイクも抱きついてくる。
潜水艦は気配を消すと心も読めないので時折びっくりさせられ、心臓に悪い。
むにゅっとボリュームのあるふくらみにゴーヤが少し押され気味になった。

伊58「わわ、イクちゃんに押し出されちゃうでち」

伊19「いひひ、それそれ~なの!」
むにむにと頭の上で乳相撲を始めるのは色々と困りものだ。
何処の提督がこの水着を指定したのだろうか。
まったくけしから・・いい趣味をしている。

伊401「なになに?ないしょのお話?しおいも気になっちゃうな~」

伊8「あ、それなら・・・はちが知っていますよ」
にゅっと提督の足の間から二人が顔を出す。

提督「しおい、はち、何処から顔を出しているんだ・・・」

伊168「すみません司令官。目を離したすきにいなくなっちゃって・・・」
そういって遠征帰りのイムヤはしおいとはちを摘み上げる。

伊401「やだやだやだ!提督のおひざがいいよ~」
ジタバタと提督の足にしがみついて離れなかった。

伊8「あ、それでははちは提督の右腕にしますね。」
大人しくイムヤにつかまったはずのはちが、いつの間にか右腕にしがみついていた。
イクに負けず劣らずの胸に腕を挟まれ、どうしたものかと思案する。

伊168「あっ、こら!もう・・・それじゃあ司令官の左腕はイムヤにお任せ!」

提督「う、動けん・・・」
心地よい刺激は魅力的だが、このままでは任務が遂行できそうにない。
どうしたものかと思案すること数瞬、先ほどはちは知っていると言っていたな。

15:名無しさん@ピンキー
14/04/17 01:34:27.61 Di4v7A7c
提督「はち、代わりに説明してくれるか?」

伊8「んぁはっ、きゅ、急に動かれると、びっくりしちゃうんだよねぇ・・・」
そういえば大きな音などが苦手というのを話していたのを思い出した。
しかし今回のは少し違う。

伊8「(提督の腕が胸に擦れて・・・先っぽが///)」
・・・と心の声が聞こえてきた。

提督「はち、すまない」
ゆっくりはちの頭に手を持っていくとビクッと身構えたはちだったが、
「大丈夫だ」というこちらの目線に気付いたのか、ふっと力を抜いた。

伊8「ダンケ、提督の手は落ち着きます。」

伊19・伊58・伊401「あー!はっちゃんだけご褒美ずるい(の/でち)!」
一斉に他の艦娘から抗議の声が上がる。

提督「いや、これはご褒美では・・」
そう言いかけて目を輝かせる艦娘たちに、負けた。

伊19「んふー、提督の手はおっきくて気持ちいいなのねー」
伊401「んー、きもちいー。提督撫でるの上手ですね!」

伊58「あっ、二人も先にずるいでち!」
何処となくゴーヤが寂しそうだったのでわしゃわしゃと撫でてあげる。

伊58「や、やめるでち!なんでゴーヤだけ乱暴なのぉ?」
伊58「(てーとくはゴーヤのことが嫌いなのかなぁ・・・)」

ものすごく切ない感情が流れ込み、慌てて優しくなで掬う。
この力をもってしても、未だに乙女心というものはよくわからない・・・。

伊58「あ、ほんとに心地いいでち・・・///」
ほわぁ~と夢見心地に、くてっとしな垂れかかってきた。
他の艦娘も皆恍惚としてしまっていることから、何か手のひらに
術でも施されているのではないかと本気で調べてみたが、
特に変わったところはなかった。
非常に謎だ。

伊168「あ、その・・・えっと」
ふと見上げると一人残ったイムヤがもじもじとしていた。

伊168「あ、あんまり痛くはしないでね?」
ギュッと目を瞑って祈りのポーズのようなイムヤに思わず噴き出した。

提督「ははっ、何か別のことに聞こえるな」

伊168「え?どういう・・・あっ・・・///」
撫ではじめると普段割とサバサバした性格のイムヤは
急にしおらしくなった。

伊168「これ・・・いいかも♥」
ふにゃふにゃとイムヤも床にぺたんと座り込んでしまい、
全ての潜水艦の撃沈(?)に成功した。

16:名無しさん@ピンキー
14/04/17 01:35:21.59 Di4v7A7c
伊168「・・・そ、そういえばまるゆは?」

伊58「さっき木曾とカレー作ってるのを見かけたでち」
偶然か心を透かされたか、まるゆの話をしているのが聞こえた。
まるゆ・・・。
存在をすっかり忘れていたのを心の奥で詫びる。

そういえばこの鎮守府に左遷・・・いや、着任してから最初に懐かれたのも潜水艦だった。
潜水艦が着任するたびに次々に懐かれ、今では無音で気配もなく飛びつかれて、
気づくと潜水艦まみれになることもしばしばである。

伊8「・・・というわけで、提督は少佐にもかかわらず「提督」とか「司令官」って
呼ばれているわけです」
えっへんと胸を張るはちは普段は本に隠れて目立たないその大きなふくらみを
より一層目立たせて潜水艦たちの視線を集めていた。

潜水艦ズ「ゴクリ・・・」

伊168「と、とっても大きくて(?)わかりやすかったわ!」

伊401「なぁんだ~、提督は術者だし何か特別なのかなって思ったのになぁ、ざーんねん」

伊19「艦娘を指揮する任務に着任した人はみんな司令官で提督なのね?」

伊58「みんなに教えてくるでち!」

・・・そう、例え階級が下がろうとも一度艦娘と結んだ信頼はそう簡単に断ち切れない。
提督が死亡しようとも、任務放棄して行方知れずとなろうとも、だ。
提督が一定期間着任しないとその鎮守府の艦娘は凍結され、
一定期間が過ぎると解体される。それは提督の死亡認定と同義だった。

17:名無しさん@ピンキー
14/04/17 01:36:06.72 Di4v7A7c
・・・
・・

提督「ふぅ、いい湯だな・・・」

鎮守府には艦娘用と提督用の風呂がある。
本来は艦娘の入渠のための風呂しかないのだが、
提督執務室に特別に拵えさせたのだ。
普段は気づかれない布団の下の床に・・・。

伊19「ほんとに、いい湯なのね~」
いつの間にかイクが横にいた。

提督「イク、いつの間・・に・・・・?、ぐっ」
なんだ・・・?
体が痺れて思うように動かない。

伊19「いっひひ!今日こそは追い詰めたのね!お礼は倍返しって言ってたのね!」
目をハート型にしながらイクが嬉しそうにこちらを見ていた。

迂闊だった。
先ほど飲んだ紅茶に一服盛られていたらしい。

今まで幾度となくモーションをかけられては迫られていたが
よもやここまでの強行にでるとは・・。

伊19「さぁ~て、たっぷり可愛がってあげるの!」
ボディソープをたっぷりと水着の上からたっぷりと塗りたくり、
妖艶な笑みを浮かべながら迫ってくる。

提督「く・・・」

ぬりゅにゅり
伊19「んっふふ♪どう・・・なの?んっ♥きもち・・いい・・んんっ♥・・の?」
対面座位のような格好になってイクはしがみついて離さない。
ヌメヌメとした水着の感触と、二つの柔らかい弾力のある小山、
その先端の固くなった突起の感触にムクムクと劣情が鎌首をもたげる。

提督「イク・・・何を飲ませた・・ッ・・!」

伊19「いひひっ、ちょ~っと、ゾウさんも一撃必殺なお薬を飲ませたのぉ!」
一撃必殺・・・殺す気か・・・。
本来毒の類の効かない血筋だが、この薬はやばい。
解毒用の呼吸法でも薬の分解に追いつかない。

伊19「あー!また逃げるつもりなの?今度は逃がさないの!」
そういうと水着を少しずらし、狙いを定めていた。
何をしようとしているのか察したが、時すでに遅し。

伊19「えいっ♥」
ずぶぅっ
あまりに勢いがありすぎて一気に一番奥まで突き刺さってしまった。

伊19「痛っ・・うぅぅぅぅぅ・・・痛い・・・のね・・・」
前戯もせずの挿入だったが、すでに膣中はとろとろになっていた。
それでも破瓜のあまりの痛みにイクはしがみついて涙を浮かべている。

18:名無しさん@ピンキー
14/04/17 01:36:38.50 Di4v7A7c
提督「イク・・」
精一杯の気力を振り絞ってイクを撫でる。

破瓜の痛みと先ほどの快楽でイクも動けないようだった。

伊19「あ・・♥てーとく♥、提督はやさしいから好き・・なのね」
痛みに涙をため、快楽に蕩けきった顔で指を這わしてくる。
イクの瑞々しいぷっくりとした唇がゆっくりと近づいて、
・・・そのやさしい口づけを無言で受け入れた。

伊19「んっ・・・ん・・・♥」
痛みによるものではない涙がぽろぽろと湯船に落ちる。

伊19「やっと・・・受け入れてくれた・・・のね」
にひひ、と笑うと抽挿を始めた。

提督「イク、無理はするな」

伊19「無理じゃ・・んっ♥ない・・・のね!ふぁっ♥」
ズンズンと激しく動くイクの声音には艶がのっていて
言っていることは嘘でないことがわかる。

先ほどからきゅうきゅうと締め付けられていたためこちらはすでに限界は近い。
一気に反撃に出る。

---我、反撃ニ突入ス

提督「イク、いくぞ」
ズンズンズン
麻痺のとれた腰を激しくイクに打ち付ける。

伊19「あーっ♥んやぁ~っ♥はげしっ♥すぎるのね~♥」


伊19「こんなんで・・あっ♥・・イクを追い込んだつもりなの…?逆に燃えるのね!」

お互いに獣のように激しく求め合ううちに、限界が来るのはそう長くはなかった。

伊19「あっ♥あっ♥あっ♥もうっ・・イク、イクの~♥」

提督「イク、俺も愛している。」
気恥ずかしさから返事を許さずイクの唇を奪う。

伊19「!?ンンッ~~~~♥♥♥」
イクはビクビクと大きく痙攣してギュッとしがみついて果てた。

19:名無しさん@ピンキー
14/04/17 01:39:05.70 Di4v7A7c
・・・
・・

伊19「のぼせたのね~」

イクがのぼせている間に、破瓜の血の混じった湯を捨て
もう一度湯を張りなおした。

提督「無茶をするからだぞ・・あまり心配させるな」
あの後ぐったりしてしまったイクを慌てて介抱して今に至る。
唸り続けるイクを団扇で仰ぎ続けたが、もうだいぶいいようだった。

伊19「んふー、提督は何をしても怒らないから好きなのね」
イクを仰ぐのをやめ頭を撫でていると気持ちよさそうにそんなことを言ってきた。

提督「いつも驚かされてばかりだな」

伊58「それー!でち!」

提督「うお、ご、ゴーヤ!?何処から・・・」

伊58「提督の湯船からこんにちは!ゴーヤだよ!って、イクちゃんだけずるいでち!
ゴーヤも提督と愛し合うでち!」

伊401「あー!次はしおいの番ってさっき決めたでしょ!?
ね、ね、提督!しおいとしよ?ね?いいよね?・・・ね?」

伊8「あんっ♥はっちゃんヤっちゃった?・・・んくっ♥」
いきなり挿入してきた初めてと思われるはちが、痛みに耐えて口づけをしてきた。

提督「く・・・いつの間にはちまで・・」

伊168「ず、ずるい!私も司令官に愛されたいのに!」

伊19「くぅっ、提督は渡さないのね!」

伊401「あーん、しおいも!ね!いいでしょ?ね?」

伊58「ゴーヤも忘れないでくだちい!」


こうしていつものごとく、鎮守府の夜は更けてゆく。

20:名無しさん@ピンキー
14/04/17 01:40:28.09 Di4v7A7c
・・・
・・

まるゆ「隊長に美味しいって言ってもらえるかなぁ?」

木曾「何を言ってるんだ。木曾カレーにかかれば提督なんていちころだ。」
前に褒めてもらったしな。と木曾は照れ笑いをしつつ付け加えた。

まるゆ「まっててね!隊長!」

その日、カレーを持って行ったまるゆはお風呂騒動に巻き込まれ
カレーと一緒に美味しくいただかれたのだった。


以上です。
いつもながら連投規制気にして書いてると地の文がなくなっちゃってすみません。
ゲームのテキストっぽい感じにしようかと試行錯誤中です。

21:名無しさん@ピンキー
14/04/17 14:29:59.02 3Oj7bgrG
前スレが更新されなくて鯖落ちした?のかと思ったら容量限界だったんだなw
続きをずっと待ってたから全然気付いてなかったw投下とスレ立て乙です!

22:名無しさん@ピンキー
14/04/17 16:04:59.17 ow1fcvul
自分もJaneの次スレ検索機能でこのスレ見つけた

23:6-632
14/04/18 00:19:54.00 QtNW1+0J
今回も結構胸糞悪いかもしれません
また、ゲーム中では絶対に起こり得ない描写があるのです。
いつも通り、書き溜めはしていないので、話がトンちゃうかもしれないのです。
***********************************************************************

あぁ、のぞみを捨てなければ奇跡は起こるんだ。
俺はそう思った。
そして、永遠の愛をこの病室で誓い合ったのだった。

これからきっとつらい事もあるだろう。俺が彼女を支えなくては・・・・。

*******************************************************************
俺はこの横須賀鎮守府に第六駆逐隊の指揮官として配属された。
駆逐艦たちの指揮はいつもハラハラの連続だ、
以前いた呉では戦艦や重巡洋艦の指揮を執っており安定した戦いができたが
彼女たち駆逐艦は攻撃力の高くなく、装甲も弱い。作戦立案に相当時間がかかってしまう
俺は次の作戦の為に毎回「夜更かし」をしてしまうのだ。
今日は日ごろの夜更かしが祟り、「寝坊」をしてしまった。
慌てて執務室に飛び込む。セーフか?遅刻か?

「もう、司令官!遅刻じゃないの!!」
秘書艦である雷が“めっ”と言わんばかりに大声を上げてきた
定刻より15分遅刻である。

本日の作戦は遠征と演習
彼女たちはもくもくとこなしている。
俺は次の大作戦に向けての作戦立案だ。

次の作戦、大本営から俺に押し付けられた作戦ではあるが
第六駆逐隊だけで敵の懐に忍び込み、敵戦艦を撃破するというかなり無茶な作戦だ

彼女たちは遠征や演習が終わり各自の部屋へ戻って行った
俺は当然残業。
誰一人失わない。そして敵を仕留めるための作戦を考えるために

24:6-632
14/04/18 00:57:26.70 QtNW1+0J
作戦を考えては見たものの、何度シミュレートをしても誰かが大破、もしくは轟沈という結果が出る
俺は頭を抱えていた。
何時間たったのだろう、いや何百回シミュレートしたのだろう
はぁ~と大きなため息をついてしまった

突然執務室の扉が開き、雷が入ってきた
「司令官。やっぱり悩んでるの?」
雷が心配した口調で問いかけてくる
「うん・・・・まぁ・・・」
俺はため息を吐きながら答えてしまった
「元気ないわねーそんなんじゃダメよ!」
雷はいつも通りの口調で俺を叱咤激励しつつ、シミュレート結果を俺から奪い
ふむふむと言いながら見つめていた
「司令官。もっと私を頼っていいのよ?」
大破した艦のところを指でさしながら雷は俺に言う
「だが、しかし下手をすればお前がごうち・・・」
轟沈と言いかけたとの時、俺の唇に雷は自分の唇を押しつけてきた
「私は司令官のの事が大好きだから、少しでも頼ってほしいの!」
雷がすかさず言ってきた

俺はと言うと情けないことに雷の突然のキスで不覚にも勃起してしまった。
「ありがとう、雷。もう一回キスしても良いか?」
俺はそれだけ言うと雷を抱きしめた
「うん」
雷がそう答えると遠慮なく、唇を重ね、自らの舌を雷の口内へ侵入させていく

雷は拒むことなく俺の舌に、舌を絡ませてきて俺の勃起したペニスを触り
刺激を与えてくる
俺もそれに応えるようふくらみ始めたばかりの胸を優しく揉む

お互いに服の上から刺激し合っていたが徐々にお互いの手を服の中に忍ばせていく
雷は俺のペニスを直接しごき、俺は雷の乳首をこねくり回す
舌を絡ませあってはいるものの互いに甘い声が混じる。

長いキスを終えいお互いに生まれたままの姿になる
幼く、そして申し訳程度に膨らんだ彼女の胸。その乳首にむしゃぶりつく
雷の口から甘い声が漏れる
俺の手は徐々に下半身へ伸びてゆき、まだ毛の生えていない雷の性器を弄る
かなり興奮しているのかすでに愛液でぐしょぐしょになっていた
指でクリトリスを弄る。
それにあわせ、雷も俺の亀頭を刺激する
「司令官も・・・。濡れてるわ」
甘い声を出しながらも、雷が一言言ってきた
俺のカウパー液を指先に付け、ぬちゃぬちゃいやらしい音を出している

俺は我慢できず、雷の性器にしゃぶりつく
膣を舌で刺激するとものすごく甘い声をあげる
「司令官、司令官!だめ、そこ、あああっ」
雷が奇声を上げると、性器から大量の蜜が勢いよく噴射された。
「司令官、もっとして。司令官のおちんちんで私の事もっと気持ち良くして」
雷が訴えてくる
俺はそれに応えるように、ペニスを雷の膣口にあてがいキスをしながら
ペニスを雷に埋めていった

25:6-632
14/04/18 01:13:41.71 QtNW1+0J
俺は腰を動かし、ペニスに与えられる快感を貪っていた
「あっ、司令官、奥、そこ、コツコツされるのすきぃ」
雷の一番奥、子宮口にペニスが当たると彼女は大きな声を出して何度も何度も叫ぶ
「司令官、でももっと奥、赤ちゃんの部屋も気持ちよくして、赤ちゃんの部屋が疼いちゃうの」
ペニスが届かない子宮までも突いてほしい懇願してくる雷
俺は子宮口にペニスを勢い良くぶつける
「そこ、そこのもっと奥、司令官!願い!」
「子宮にはちんちん届かないよ。雷」
俺はピストン速度を落とし丹念にペニスと子宮口をキスさせながら雷を諭す
「でも、司令官奥が、奥に司令官が欲しいよ。」
少し涙を浮かべながら懇願する雷
「うん。でもちんちんは届かないんだ。精子でも良い?」
俺は激しいピストンを再開すると雷に問いかける
「うん。赤ちゃんの素でも良いから奥に、私の奥にちょうらい」
安心したように、腰をくねらせる雷
正直俺ももう限界だった
「イクよ、このまま奥で」
それだけ言うとペニスを一番奥まで挿れて、欲望をぶちまけた
「司令官の、赤ちゃんの素私の中に入ってくる。うれしい」
雷は恍惚とした表情で精液が体内に注がれるのを喜んでいた

26:6-632
14/04/18 01:24:47.60 QtNW1+0J
翌日
雷を旗艦としあの殴り込み作戦が展開された
何とか敵旗艦を撃破したものの、帰還途中で敵の増援部隊に遭遇
雷が大破状態に陥った
俺は慌てて救難信号を発信し、救助隊に陸戦用の対人銃を携行させカッターで
艦隊に近づく
もう少しだけ持ってくれ
そう何度も祈った

だが、祈りは届かなかった
雷が沈んだ

俺は咄嗟にカッターに積んでおいた酸素ボンベを背負い、海へもぐった
雷の身体はかなりの速度で下へ下へと沈んでいく
俺は必死に沈みゆく雷を追った。

俺は何とか雷の足を引っ張ると雷の身体を引き寄せ、抱きしめながら上へ上へと昇ってゆく
無論息ができるか不明な状態ではあったが、酸素を雷にも分け与え、カッターへ這い上がる
急いで陸地へ向かうカッター
俺は必死で雷に水を吐かせ、人工呼吸施し、心臓マッサージを繰り返す

頼む、雷、目を開けてくれよ
何度祈ったか、何度願ったか
陸地へ付き衛生兵が雷を収容。近くの病院へ急行した

27:6-632
14/04/18 01:44:30.34 QtNW1+0J
俺は医師に呼び出された
雷は一命を取り留めた、しかし脳へのダメージが大きく
仮に意識が戻ったとしても何等かの障害がでるであろうと告げられた。

鈍器で頭を殴られた気分だった。
俺は、雷を海軍航空部隊の基地の傍の病院へ転院させ、大本営の艦隊勤務から
航空基地勤務への転属を志願した。
艦隊勤務から離れ、新たな地である航空隊藤枝基地副司令として着任した俺は
暇さえあれば雷の見舞へ行った。

「雷、最近桜が綺麗なんだよ。今度見に行こうな」
雷の病室で俺は雷に話しかける
しかし、彼女はぼーっと外を眺めているだけ。
命の代償として雷の耳はほとんど聞こえなくなり、またしゃべることもほとんどできなくなった

トントンと雷の肩を叩く
俺の方を見るとちょっと悲しそうな笑顔を向ける
俺はスムーズな会話の為に幼児用の音の出るあいうえおパネルを雷にプレゼントした
これはひらがなが書いてあるボードでひらがなに触れると、書いてある文字を発音する
機能を有している
雷がボードを操作していく
「し、れ、い、か、ん、ご、め、ん、ね」
「こ、ん、な、わ、た、し、の、た、め、に」
無機質なパネルの朗読機能が雷の言葉を紡いでいく
俺は雷を抱きしめ大きな声で言った
「雷が悪い訳じゃない!俺があんな作戦却下しておけば、雷だってこんな身体にはならなかったのに」
雷は俺の頭を撫でた後、パネルを操作する
「し、れ、い、か、ん、は、わ、る、く、な、い」
「わ、た、し、が、ゆ、だ、ん、し、た、か、ら」
俺は自分を責めた。なんで雷がこんな目に合わなければならないんだろうと
「わ、た、し、が、ん、ば、つ、て、り、は、び、り、す、る、か、ら」
そう打ち込むと俺の耳元で
「だから、自分を責めないで司令官」
弱弱しくはあったが、消えそうな声ではあったが
雷の声で確かにそう言ってくれた。


数か月後
「司令官、おはよう。今日はリンゴが食べたいわ」
聴力はまだあまり回復はしていないものの、なんと話せるレベルまでに回復していた

のぞみを捨てなければ奇跡もおこせる。
どんなに辛くても二人で生きて行こうな。絶対に俺が支えていくから

愛してる、雷。

俺は雷の耳元でこうはっきり伝えた

「今度は、私が司令官を頼っちゃうからね。愛してる。司令官」
病室でお互い幸せなキスを交わした

28:6-632
14/04/18 01:57:41.88 QtNW1+0J
何か中途半端感が否めませんが・・・・。

ちなみに提督が赴任した藤枝基地とは艦これの現段階での最新サーバ群である
岩川基地を管轄していた芙蓉部隊の司令部・練習場が置かれた基地であります
芙蓉部隊は岩川⇔藤枝で航空機・パイロットの補充、回収をし特別攻撃をせずとも
安定した勝率を誇っていたそうで
ちなみにその後、藤枝基地は静浜基地と名前を変更し現在でも航空自衛隊の基地
として機能しておりまする

次は皐月の続きをいい加減書くか
曙か
エロ抜きで今年50周年を迎える「アレ」と加賀さん。提督のウンチク混じり
のどれかを書こうと思います

29:名無しさん@ピンキー
14/04/18 03:54:07.08 5Rya/A0N
投下&スレたて乙です

30:名無しさん@ピンキー
14/04/18 07:07:41.42 8rwGhitl
>>28
乙です
システム(ルール)をぶち破ってでも取り戻す系はいいですね
以前とは逆にあーんされて看病されてる雷とか想像しました
雷を甘やかすシーンが読みたい(願望


それと、前スレでSS投稿中にスレ容量MAXという事態になって
新スレ誘導できずに迷われた方も結構いるようで色々と申し訳ない。

次はやっとこ我が艦隊の秘書官如月さんの登場予定です。遅い・・
何かダラダラと長くなっちゃってるけどいいのだろうか・・・(不安

31:名無しさん@ピンキー
14/04/18 11:34:35.17 3f4GQquA
秘書官如月さんって字面だけでエロい

32:名無しさん@ピンキー
14/04/18 23:55:27.98 ltbD+gwU
>>28
アレとは一体

33:名無しさん@ピンキー
14/04/19 10:00:44.54 Vc56QZM9
俺の曙ちゃんがレベル98になったんだけど99までに必要な経験値多すぎやしないか?

34:名無しさん@ピンキー
14/04/19 10:19:47.40 iohTI0s6
1964年頃…?

35:名無しさん@ピンキー
14/04/19 16:39:32.10 77Dwata5
>>33
経験値ってセクロスの回数のことだろ?
そのぶん頑張ってちゃんとしっかりパコれよって意味だ、言わせんなクソ提督

36:名無しさん@ピンキー
14/04/19 17:58:18.95 o3lNwK7k
俺は本妻以外とヤる気はありません(半ギレ)

37:名無しさん@ピンキー
14/04/19 19:45:34.63 lFZLvmS/
>>28
乙乙
こういう話は書くのに勇気要りそうだ

38:6-632
14/04/19 22:15:19.48 1AcVbCPh
では予告の「アレ」を書きます
1.今回は非エロとなります
2.舞台は現在の日本となります。色々と原作クラッシャーです
3.史実部分に関しては細心の注意を払い研究しましたが、異なっていたらごめんなさい
*******************************************************************************

俺は、突如出現した「深海棲艦」に対応するため再編された海軍の横須賀鎮守府に勤務している指揮官だ
この謎の敵は海上自衛隊の力をもってしても排除できなかった恐ろしい敵だ

俺は現在秘書を務める加賀と新たな赴任地へ移動しているところだ
先日の人事異動で呉鎮守府へ移動となってしまった。

「加賀、どうだ快適か?」
「ええ、とても。でも提督、何で海路ではなく陸路を?」
加賀が首をかしげた。
俺はゆっくりとなぜ「コレ」を移動手段に選択したのかを加賀に語り始めた

「加賀は、“弾丸列車計画”というのを知っているか?」
ふと加賀に尋ねる
「確か、東京から下関を経由して満州に伸びる時速160キロを超える交通手段だった
と記憶してるわ。でも顛末は知らない。沈んでしまったから」
昔の記憶を辿るように遠い眼をして答える加賀

「そう、これはその弾丸列車の延長なんだよ。」
「ところで、加賀、桜花は・・・。知らないか」
「ええ」
加賀か間髪入れずに答える。まぁ無理もない桜花が開発されたころ
加賀は冷たい海の中に居たのだから
「桜花は旧海軍が開発した“特別攻撃”用の兵器なんだ。北上やゴーヤが嫌がる“アレ”と同系列だな」
加賀が震えて講義をする
「それが、今何の関係があるのですか!“アレ”が意味する事。提督も割ってるはずで」
俺は加賀の抗議にかぶせるように言う

「この乗り物はな、その桜花を設計してしまい、苦しんだ開発者が開発に絡んでる」
「それに、加賀に搭載してるゼロ戦の開発者や陸軍の通信技師もだ」
加賀は完全におかんむりだった
「では、何故提督はこんな危険な兵器でくつろいでいるのですか!!」

39:6-632
14/04/19 22:38:40.30 1AcVbCPh
「だからだ、彼らはこの乗り物を設計する時に『もう二度と人殺しはしない
この乗り物に乗った人は何があっても死んではならない。絶対に安全なもの作る』
と心に固く誓ってこの乗り物を作ったそうだ。
そして、それらの指揮を執った人物は弾丸列車を夢を持ちつつ、志半ばで散った
者の息子だったという」
加賀は黙って聞いている
「彼らの思いが強かったからは知らないが、大きな地震が直撃し、ボディーマウントしつつも
この乗り物は誰も犠牲者を出さなかったと言いう逸話もある」
加賀も頷きながら
「私も、昔は皆を守りたかったから必死に戦った。この子(ゼロ戦)を作った人も
私が居なくなってから、守りたいものを必死に守れる子を作っていたのね」
とつぶやいた

乗り物か軽快な音楽を鳴らす
そののち女性の声が流れ始める
『まもなく、広島です。山陽線、呉線、可部線、芸備線はお乗換えです。
今日も、新幹線をご利用くださいまして、ありがとうございました。』

もうそろそろ、降りる支度をしなくては
「なぁ、加賀。50年の長い間、地震の直撃を受けてもなお、乗客が一人も死んでないんだ
それは、誇れることだろう?桜花をゼロ戦を開発して多くの人を殺したとひどく後悔した彼ら
への供養とならないか?」
加賀は冷静さを取り戻し
「そうね、きっと」
それだけ言ってドアを出る。

かつて、戦火の中多くの人の悲しみをこだまさせた技術は
時を経て日本を照らすひかりとなった
1964年からこの国を照らしているひかりは、やがて大きなのぞみとなり
この、みずほの国とも呼ばれる日本を照らし続けている。

「なぁ、加賀その・・・。ありがとう。この国を守ってくれて。
そして、これからは深海棲艦の駆逐の為にまた力を貸してほしい」
ぼそっと俺がつぶやく
あの戦いを知らない俺が言うのはルール違反かもしれないが・・・。
「抵当。その言葉で十分です」
いつもは表情が硬い加賀もこの時ばかりは満開のさくらのような笑顔を返してきた

40:6-632
14/04/19 22:49:35.22 1AcVbCPh
と、いうことで完全自己満足な「アレ」を書きました。
はい、「しまかぜ」の時と同じように「鉄ヲタ提督シリーズ」ですが

多少史実を湾曲させてます
桜花の設計者→0系新幹線の車体をデザインした

ゼロ戦の設計者→正確にはゼロ戦の試験飛行中に発生した空中分解事故の原因を特定した人
→脱線事故に対してゼロ戦と同じ原理で発生する可能性を見出し台車につけるバネの改良

陸軍の人→ATC(列車の車間距離などを計算してコントロールする装置)の生みの親(2014年現在ご存命)

特にゼロ戦の人は目の前で海軍航空隊員を事故で亡くし桜花の人は桜花の「アレ」的運用に反対だったので
「新幹線は絶対に安全でなければいけない。もう誰も死なしてはならない」と口を酸っぱくして言っていたそうです。

加賀さんをいチョイスしたのは、わが艦隊一の空母だから・・・。
では乱文失礼しました

41:名無しさん@ピンキー
14/04/19 23:08:33.61 77Dwata5
「じょうえつしんかんせん とき(・○・)」を思い出して涙目になっちまったじゃねーか!!

GJ

42:名無しさん@ピンキー
14/04/20 05:17:34.56 N6z8mQoz
>>40
ここはエロパロ板だ。エロの欠片もないSSなど・・・!!

いい話をありがとう

43:43
14/04/20 20:28:26.56 GxRafqlR
以前クズ提督とか加賀と翔鶴の修羅場とかを投下した者です。
浜風ものを書いたので投下します。

例によって
・長い
・エロが薄い
ので嫌いな方はスルーしてください。
ただ今回は修羅場とかバッドエンド成分はだいぶ薄いと思います。

44:43
14/04/20 20:29:33.63 GxRafqlR
 1

六畳半の、畳敷きの、何もかも必要以上という事の無いように設計された部屋の中で、唯一大仰な佇まいである壁掛け時計が静かに
時を刻んでいた。ごつ、ごつ、ごつと柔らかい地面に石を落とし続けているような音を発しながら、秒針は重たそうにその身をずっと
振り続ける。鼓膜を圧迫する沈黙へのただ一つの抵抗に、だが救援が現れたのは突然の事であった。
「起きてくださいな」
靄だった、掴み所の無い女の声。部屋の中央、蒲団の北側に寝そべる彼女は、身を捩りながらゆるゆると手を持ち上げた。華奢な手
首が隣に寝そべる男の肩に乗せられると、それをきっかけとしたように彼の寝息はぴたりと止んだ。代わりに犬の呻いたような声や荒
い深呼吸の擦過音が、覚醒した意識を示すように口から漏れ出してゆく。
「あたし、色々なお客さん知っているけれど、し終わった後にぐぅすか寝ちゃうのなんてあなたが初めてだわ」
拗ねた声音に酷く人工的な媚を感じながら、男はゆったりと瞼を持ち上げた。朱色の照明が瞳孔をぎゅっと圧縮し、水浴びしたみたい
にすっきりとした脳みそは、返答の言葉をすかさず口腔へと運ぶ。
「お金のほかにも、貴重な睡眠時間を削って逢いに来ているんだよ、僕は。激務なんだから、ほんとは君を抱くより寝ていたいんだ」
「まぁ! あたし強制した覚えはないわよ」
「精神的には求めていないはずなんだけど、体がね、言うことを聞かないんだな」
口元にふわりと握った拳を当てながら、彼女はくすくすと肩を震わせた。どうして娼婦というものは皆笑い方が上品なんだろうと、
彼は首を傾けた。それから枕もとの腕時計を手に取りながら、壁掛け時計の針をちらりと覗き見る。
この部屋への礼儀として、時刻確認は腕時計でしては駄目だと思っていた。娼館の小部屋に不釣合いな時計は、だからこそ特有の尊
厳を醸し出し、もしかしたら女を抱くためではなくこの時計を見るためにこそ時間を割いたのではないかと思えるほど、それは強大な
ものであった。
「でも、あなたの仕事場には女の子しかいないんでしょう? 欲求不満とは無縁そうだけれど」
蒲団からのそのそ這い出して、女も小首を傾げる。仕事だから仕方ないとは言え、余りに均整のとれた媚を何度も見せ付けられると
胃もたれしてくるのだった。男は頬にそっと手を這わせ、顔を自然な位置に戻してから口を開く。
「言うだろう? 一盗二婢三妾四妓五妻……」
「あら、私は四番目?」
「残念ながら、うちには人妻もいなければ女中もいない。独身だし、ましてや恋人もいやしない」
「やった。一番だ!」
苦笑しながら散らばった服を着込む。どうせ鎮守府に戻れば制服へ着替え直さなければならないから、億劫な事この上ない。しかし
素っ裸なまま外に出るほど、まだ人間を捨てたつもりもなかった。
「また来てくださる?」
部屋を出る直前、再三の女の媚が背中へ降り注ぎ、彼は一つ溜め息をついた。
「休みがとれればね」
そして敷居を跨ぎ戸の軋む音を聞きながら、とうとう気配を感じなくなると、そこでようやく安心が心中にじんわりと広がった。外套
を羽織り、ポケットに手を突っ込んでからゆったりと歩き出す。階段を降りロビーを抜けて、娼館の出入り口を開け放った。
建物が夕日を妨害して、路地は宵の様相を呈している。だが空高くを仰ぎ見れば、抜けるような橙の雲が未だ明るく光っていた。既
に帰還予定時の一刻過ぎ、だが彼は慌てる事も無く、てくてくと歩を進める。
そもそも海軍に休暇などという話ではあるが、それでも羽の休める時間は欲しかった。彼には提督としての自分が、完全に一個人で
ある自分と合体してしまうことへ、かなりの抵抗があったのだった。潜在的に仕事人間になる事のできない性質で、だからこそ月に一
度、半日だけの休暇が必要不可欠であったのだ。
上層部への、この特殊な有給の懇願は、思いのほか容易く汲み取られた。それは彼が提督職を厭に思いながら、反面成績は優秀であ
るという矛盾の証明でもあった。まさしく今、その休暇を使いきり、彼の心内は暗澹たるものである。

45:43
14/04/20 20:30:32.87 GxRafqlR
道のり十五分、もうすぐ鎮守府の正門へ辿り付く頃合に、目の前遠くに人影が見えた。歩調は荒々しく、頬には朱が差されている。
馴染みのセーラー服の上にコートが羽織られ、裾が寒風を受けはためいていた。
長い前髪を揺らす彼女、浜風は、怒気を隠そうともせずみるみる提督に近づいてゆく。
「遅刻です! 今までどこをほっつき歩いていたんですか!」
開口一番の怒号は、提督の鼓膜をびりびりと震わせた。醸し出される覇気を全身に受け、思わず背筋が鳥肌立つ。
まさか娼婦を抱いてたとも言えず、彼は黙してはにかんだ。事実そのままを伝えれば、生真面目な彼女の事である。最悪失神しても
おかしくは無いだろう。
矢継ぎ早に繰り出される小言を聞き流しながら、唯何となくといった心緒が眼を動かした。服の生地越しの彼女の体躯。豊かな胸や
肉つきのいい大腿、相反する背丈。トランジスタグラマーとは死語に近いが、しかしこの体躯に名をつけるならまさしくそれが相応し
い。
男ならば誰しも情欲に駆られるべき肉の造形に、だが提督は唯の一片もそそられはしなかった。別段、既に欲望を吐き出しつくして
あった為ではない。彼女の生真面目さが一種の神聖を現出させ、そこに厭わしさを覚えずにはいられなかったからだ。
仕事の関係に終始するならば、提督は浜風を好んでいた。歴代の秘書の中、最も肌に合っているとさえ思ったほどだ。元々無駄が嫌
いな性分である。彼女の簡潔で的確な仕事は、悉く妙々、能率も格段に上がっていた。
だが、私生活においてまで何か一緒をするとなると、それはぞっとしない空想なのである。恐らくは俗の極みである自身が、対極に
位置する彼女に気後れしているのであろう。魚が清水を忌避するように、提督は穢れ無き純真を苦手に思っていたのだった。

46:43
14/04/20 20:32:03.84 GxRafqlR


まただ、と浜風は思った。斜め前を行く提督からの、ほんの僅かな香の残滓。甘ったるいオリエンタル系の、間違えなく女性しか付
けようのない匂いが微かに鼻腔を刺していた。
休暇の度に毎回遅刻する彼は、何時もこの香りを漂わせながら帰還していた。その事に気が付いたのは実は極最近のことであったの
だが、一度ふいに嗅ぎ取ってしまって以来、やたらに鼻につくようになった。
何処に行っていたのかを聞いても、適当にはぐらかされるだけだ。彼はそれで充分誤魔化せたと思っているらしいが、その曖昧な態
度は寧ろ怪しみを増大させていた。はっきりしないということが厭で厭で仕方ない性分である。腹の底から苛々が際限なく湧き出して、
どうにも気分が悪かった。
執務室まで戻り、机の上に山積された書類を指し示す。提督は眉を顰めた後、露骨に気だるそうな風を装いながら着席した。
「夕食まで二時間です。それまでに終わらせてください」
浜風は彼の横に立つと、大げさにそう口にした。小さい子供が駄々をこねる様な口ぶりに思えて、提督の頬は独りでに釣り上がった。
勿論彼女に見られれば余計面倒臭いことになるのは分かっていたから、下唇を噛み締めて肩が震えるのを押さえ込む。
指示が無謀なものであることくらい、彼女自身も理解していた。だが遅刻さえしなければ容易に終わらす事のできる仕事量であった
はずなのだ。
恋人との睦みあいに勤しみ過ぎてこんな事態になったのだから、同情の余地は欠片もない。浜風はそう考え至ると、溜飲下げる思い
で提督を見下ろしていたのだった。
これは、彼女が生娘であるが故の誤解であった。欲望は等しくモラルの上にひれ伏すと、ましてや尊敬の念を抱いている直属の上司に
疚しい所はないはずだと信じて疑わない、生粋の処女が至った勘違いであった。海軍の将兵は自分より偉くて優秀であるという、謙遜
からの聖人視が提督の姿を酷く歪めていた。性欲の為だけに金を払いそれを解消するビジネスがこの世にあること事態、嫌悪をしてい
る彼女であった。まさか提督が、それに加味しているなどと思うわけもないのである。
結局、食堂集合のベルが鳴る頃には八割の書類が消え去っていた。伊達ではない成績であったが彼女の顔に笑みは無く、そして未だ
赦す気もありはしなかった。残った仕事を足したとて、この提督ならば夜の仕事を長引かせる事は無いだろう。実務の面での滞りは一
切無いであろう事を理解しながら、苛々は腹底に溜まり続ける一方である。
もうあの匂いは消えていた。いや、もしかしたら鼻が慣れただけなのかもしれないが、どちらにせよ香りを感じる事はできなくなっ
た。だのに、女の残滓が未だ彼の周りに漂っている気がして、不愉快な事この上ない。嫉妬という感情を知るに、未だ彼女は高潔過ぎ
たのだ。


雷に手を引かれ、提督は第六駆逐隊のいる長机へ向かった。それを横目に見、浜風はより一層奥歯を噛み締める。好意を惜しげもな
くぶつける艦娘を見ると、忌々しさが心内をのた打ち回るのだった。仮にも海軍の一員であるのだからふしだらな真似は控えるべきだ
し、ましてや手を取るなぞ言語道断の不品行である。そう思えど、注意をしたならあらぬ誤解が生じるであろうことに疑いは無かった
から、この煮えない感情は消化のしようがないのだった。
「独りなの?」
つと、背後から声をかける者があった。朗らかでありながら、どこか凛とした風格を備える声音。仰々しい艤装を解いた姿は宛ら年
頃のお嬢様であって、どう見繕ってもこの鎮守府の最終兵器だとは思えない。
戦艦大和は浜風の隣に立つと、愛想の良い笑顔を爛漫と向けた。浜風の心中には、未だ彼女が懇意に接してくれる事への感謝と後ろ
めたさがあって、その交錯はさも複雑な様相を呈していたのだが、勿論当の本人にはそんな事知る由も無かったのだった。坊ノ岬、護
りきれず先に逝った事。過去の事だと一蹴するには、記憶の中の無念と悔悟が厭に生々しく再現される。
大和は提督が手を引かれ離れていくのを目に取ると、得心いった表情で言葉を続けた。
「なるほど、ふられちゃったのね」
「ちがっ……別に提督なんか、何処に行ったって構いません!」
反応を見、くすくすと笑い声を漏らす大和に、浜風は恨めしい視線を送った。

47:43
14/04/20 20:33:04.61 GxRafqlR
結局浜風は、大和と武蔵の定位置に参入する形で食を取る事になった。駆逐艦の中ではそれなりの体躯である彼女ではあるが、眼前
に戦艦二隻もあれば流石に小柄さが際立ちもする。どうにも居た堪れない気持ちを抱きもするが、流石に食い終わってすぐ席を立つの
も無礼ではあるし、暫くは話に参加していた。
話の内容そのものは、大変有意義ではあった。もうこの鎮守府に慣れたと言える位に歴も長い彼女だが、それでも二人に比べればま
だまだ新参もいいとこだった。未だ秘書として、半ば提督の庇護下にあるようなものであったから、存外知らない事も多かったのだ。
「提督って、今恋人はいるのでしょうか?」
会話の流れでそう疑問を口にした浜風は、次の瞬間には開いた間によって、発言の危うさを自覚する羽目になった。ふと視線を上げ
てみれば、武蔵はぽかんと口を開け大和は笑顔のまま硬直している。慌てて、
「いえ、私が提督をどうこうというわけではありません! 純粋に疑問に思って!」
そう弁解し、途端二人は顔を見合わせ口元に笑みを張り付かせた。
「聞いたこと無いし、いないと思うけれど……」と大和。
「“どうこうというわけではない”ということは、何かそういう噂でもあるのか?」と武蔵。
浜風は促されるままに、そのあらましを答えたのだった。即ち、休暇の度に提督に纏わり付く乳香について、また余りに怪しい彼自
身の態度について。全てを聞き終えると、武蔵は鼻を鳴らしてから口を開いた。
「なんだ貴様、そんな事も知らんかったのか。いいか、甲斐性の欠片もなさそうなあの提督だがな、実はそれなりに色は知ってい……」
得意げな顔で滔々と語りだしたその口は、突如大和の手によって塞がれた。抗議の視線が送られるのも厭わず、彼女はすかさずに耳
打ちし、途端武蔵ははっとしたように抵抗をやめた。露骨極まる行為であったが、確かに浜風の耳に大和の囁き声は入らなかった。咳
払い一つ、体勢を立て直した武蔵はさも先ほどの発言が無かったかのように仕切りなおしたのだった。
「まぁ、なんだ。貴様も何れかは知るときも来るだろうぜ。そんな、大した話ではない」
これ以降、どれだけ追求をしても二人が口を割る事は無かった。

48:43
14/04/20 20:34:05.75 GxRafqlR


数日後の事である。提督への怒り、実態は嫉妬のそれであるが浜風は得体の知れないものだと認知しているその感情が一応の終息を
見せていたその日、太陽が精一杯下界を照らせども一向に気温の上がらない昼下がりの、ふとした時分にそれは起こった。
執務室、提督の傍らに立つ浜風は書類に傾注している彼の手元から、物々しい音がしたのを聞いた。木材がバキリとへし折られたよ
うな、背筋が鳥肌立つ不快音と同時、提督の口からは
「あっ」
と情けない悲鳴が漏れていた。見ると彼の手にされていた万年筆、その先端は見事なまでにひしゃげられており、断面からは血が噴
出すかのようにインクが零れて出していた。
提督は空いている方の手を黒染めにしながら何とか書類を守ろうとしていた。浜風は事態が掴めるや、当然黙って見ているのみなら
ず手近にあった布巾を投げつけた。以降、部屋の中には悲鳴と、書類の舞う紙の刷れる音だけが響き、しばらく静寂が戻る事はなかっ
たのだった。
対応が早かった事もあって重要書類への被害は何とか未然に防がれた。すっかり取り替えられた執務机の青クロスを見、浜風は今ま
で呼吸を忘れていたかのように長い長いため息をつく。結局、時間にして四十分は掛かっただろうか。床掃除をしていた提督もゆっく
りと立ち上がり、ようやく仕事を再開できると思った矢先、しかし彼の行動はその予想が楽観であったと、そう突きつけるものであっ
た。
「何を、しているんですか?」
呆然と言った言葉に、提督は短く
「直しに行かなきゃ」
と答えた。彼はラックに掛かっていた外套に袖を通すと、さもそれが当然といった様子で執務室の扉を開けた。
「待ってください!」
慌てて追いすがる浜風は、彼の腕を猛然と取るとそのまま前方に回りこんだ。しばらく頭の処理の追いついていなかった彼女は、彼
の手に先ほど壊れた万年筆が握られているのを見ると、怒りを露に彼を眇めた眼で睨みつけた。
「そういうのはまた今度にしてください! 別にボールペンでもサインはできるでしょう?」
「一度万年筆を知ってしまった身からすればね、ボールペンでサインを書くなんて書類に対する冒涜もいい所なんだよ。どうせ一時
間もあれば行って帰って来れるんだ」
「駄目です! 既にもうかなり時間が経っています! 今度にしてください!」
論争が進むにつれ寧ろ論争そのものが時間を浪費する魔物である事に気が付きはすれど、果たしてどちらも譲る事はなく、結局妥協の
案が挙がったのはそこからもう十分は経った後だった。
外出する役目は浜風が請け負った。提督は油性ボールペンで仕事を続行、本人がいなくなるよりかはロスも少ないだろうと思われた。
両者それぞれに不満が残り、だがそれ以外方法も見つからない。かくして、万年筆と提督直筆のメモを託された彼女は、慣れぬ鎮守府
外周の街を巡る事になったのだった。
準備を終えた後、鎮守府の正面玄関に辿り着いてから、浜風は託されたメモを開いた。そこには、贔屓にしているらしい文具屋まで
の行き方と、万年筆のメーカーやら型番、カタカナと記号の羅列が所狭しと書かれてあった。更にこれは失念していた事でもあったの
だが、メモに折り込まれるような形で幾枚かの紙幣が顔を覗かせ、良く一枚一枚弾いて見てみれば、全てに諭吉の胸像が描かれてあっ
た。
総額で八万円である。ぎょっとし、背筋を言い知れぬ不安感が這い上がった。大金を持つ事に罪悪を感じるのは潔癖の共通する性質
なのだろうが、果たして彼女もその例に漏れてはいなかったのだ。一度戻ろうかとも考えたが、買い替えとなった時にはもしかしたら
これぐらいの金額が必要なのかもしれないし、何より早く済ませたかったこともあって結局はそのまま戸をくぐった。

49:43
14/04/20 20:35:14.94 GxRafqlR
財布を持っていなかった彼女は、紙幣を外套のポケットに入れ、尚不安であったから手も一緒に突っ込んでおいた。思えば着任以来、
街を訪れた事は一度も無い。唯でさえ心落ち着かないのに、掌に触れる紙の感触は恐慌への誘いを止めなかった。辺りを必死に見渡し、
人と擦れ違う度左手を強張らせるその様子は、まるで強迫観念に囚われた精神病患者のようでもある。
目的の文具屋に辿り着いたのは、そんな状態のまま十五分も歩き続けた後であった。一時以上歩いたに等しいような疲労を顔に滲ま
せながら、しかし兎に角ポケットの中の重りを無くしたかったから、彼女は息を整えることもせずにその店の戸を開けた。夕刻には陽
の光も入らなさそうな、狭い路地の寂れた店である。
最奥のガラスケースのカウンター越し、恐らく店主と思われる気の弱そうな老人が薄く開いた目を浜風へ向けた。短く切り揃えられ
た白髪や皺だらけの顔が、重ねられた齢をやたらに主張していた。ただその佇まい、猫背にもならずしゃんと地に立つその姿だけは、
かつての清勝を僅かに香らせている。
「な、直してもらいたいものがあるのですけれど」
厭な緊張が喉を震わせ、突っかかった言葉は静かに空気を震わせた。浜風はそれだけを何とか言うと、もう続く言葉も考えられなく
なり、ハンカチに包まれた万年筆とメモとをカウンターの上にそっと置いた。
老人が濁った瞳を、つぅと下へ滑らした。盛大にひしゃげた金のペン先を萎れた指が労わるように撫でる。ため息の後、かぶりを振
りながら彼は口を開いた。
「随分昔のメーカーのだ。もう倒産しちまって、部品も何もあったもんじゃないだろう……。断言はしねぇが、まぁ元通りにするの
はまず無理だろうな」
筆記具の造詣に深くない浜風は、それを聞くとあの提督の頑なさに納得のいく思いをした。愛用の長年使った筆ならば、確かに仕事
を放り出してまで修理を急ごうともするだろう。
無理をしてまで直したくは無いと、出掛けの浜風に提督はそう言っていた。筆記具には安楽死こそが尊ばれるべきだと言う彼の言葉
を思い出し、彼女は何やら湧き出し始めた愛着を切り捨てて、言葉を紡ぎだしたのだった。
「それと似たようなのはありますか?」
老人は一つ唸ると、
「割かし高いぞ」
と呟いた。
「構いません。一応、お金はあります」
「そうか」
ペン先を撫でた指先が、今度はガラスケースの上を滑る。ダイヤの指輪が保管されるようにケースの中で展示されているペン達の、
真ん中あたりが指し示された。
「そこの三つから選ぶといいだろう。デザインで気に入ったのを言ってくれ」
値札に書かれた金額は、端から六万五千、七万、五万九千。彼女にとっては生まれて始めての、超高額の買い物だった。
悩むわけにはいかなかった。あれだけ時間が無いと吼えていたのだからと、生真面目からの後ろめたさが焦燥を現出させていた。
こういうのは高ければ高いだけいいのだろう。彼女はそう結論付けると、七万円の筆を遠慮がちに指差した。
「まいど。……彼氏のかい? このペンは」
老人の吊りあがった口角から、突然のからかいが零れだす。浜風は素っ頓狂な悲鳴を上げると、裏返った声で反発した。
「ちが、います! わ、私のです!」
「いやぁ、それは嘘だねぇ。あんた、文具に対する執着が無さそうだもんよ」
「本当です! 彼氏とか、そういうのじゃありません!」
けらけらとした笑い声は、くぐもりながら広がった。

50:43
14/04/20 20:37:03.51 GxRafqlR
最後まで彼は頑なに、恋人の存在を疑わなかった。店を出る際に掛けられた言葉は、
「彼氏によろしくな!」
であって、最早面倒くさくなっていた浜風はもう反論する事も無かったのだった。
右手に引っさげられた高級品。その重量が厭に重く感じられた。ビルの隙間から覗く晴天の元、こった腰をぐるりと回し大きく深呼
吸をする。体の節々、筋肉という筋肉が全て収縮しているようだった。
つと、鼻につく匂いがあった。薬品の甘い外殻をそのまま燻したような蠱惑の芳香。浜風は最初、一体何故自分がこの程度の仄かな
香りに意識を持っていかれるのか不思議でならなかった。別段、街を歩けば色々な匂いが、煙草であったりすれ違う人の香水であったり
が、厭でも肺に吸い込まれてしまうはずであった。何故この匂いだけがと、そう思いを巡らせた数瞬の後、彼女の記憶の底からは溢れ
迸る場面があった。
休暇の度に、提督の服に纏わり付く乳香。脳裏にまざまざと蘇る、不愉快な彼の誤魔化し。
ほぼ反射の域で、彼女は視線を巡らせた。匂いの元、その根源を目で見て確かめようとしたのだった。何の望みも無く、後の事さえ
何も考えず、ただただ知りたいという欲求が眼を忙しなく動かし続けた。
一点、路地の果てに城を見つけた。暖色の外壁が狭い路地をぴったりと埋め、場違いなほど絢爛な屋根が静かに街を見下ろしている。
間違えようも無く、香りはその城から発せられている。
幾ら生粋の処女たる浜風とて、それが何を生業とする所なのか察せ無いほど初心でもなかった。絶望的な心境の中、何故これ程まで
にショックを受けているのか、冷静に分析する自分もいた。
肺を埋める乳香の、そのおぞましさに身を震わせ、彼女は小走りに路地を行く。


執務室の戸を開け机に向かう提督の旋毛を見たとき、茫然自失であった心内に途端怒りの色が混じりだした。何も事情は知られてい
ないと、本気でそう思っているらしい佇まいを見、嫌悪と侮蔑とが湧き出して眩暈を感じるほどにまで増長する。
震える声で、何時も通りの仕草と口調を演じながら、彼女は買ってきた品物を机上に置いた。二、三言葉を交わし、じっと彼を観察
しながらそれを口に出す機会を待った。
未だ、確信はあれど証拠は無い。極僅かな確立でも自身の勘違いという可能性がある以上、怒りを感じる必要はないはずなのだ。焦
燥に駆られながらも、浜風は都合のいい妄想を止めることはしなかった。提督にはきちんとした恋人がおり、その恋人の使っている香
がたまたまあの娼館と同じであるのだと。ましてや同じ街であるのだから、買う場所も限られてくるわけであって、別段珍しい事では
ないはずだと。激情が顔を覗かせようとする度、そういった言い訳じみた文言が頭の中を駆け巡り、瀬戸際で波が引くのを何回も何回
も繰り返す。
コンバーターがインクを吸い上げ、銀のペン先が墨色に染まった。最後、外殻に覆われた万年筆が裏紙の上を滑り出し、吐き出され
るインクの量が徐々に落ち着きを見せ始める。
仕事を再開しようと彼が書類の束に指を掛けた瞬間、浜風は口を開いた。鼓動が一段と早まり、胸の奥に燈った熱がじんと腹へ下っ
たようだった。
「文具屋の路地の先に娼館がありますよね」
無機質な声音であった。ただ事実を確認する為だけの、情緒を暗に匂わせることもしない平坦な声に、提督は胃が縮み上がるのを感
じた。同時にこれから彼女が口にするであろう言葉、その話題が一体何なのかも容易に察することができて、自分勝手な悔悟が背肌を
一気に鳥肌立たせた。
どうして彼女がこの事を知っているのかだとか、そういった疑問は全て無為である。今の関係は確実に終端を迎え、そして今更引き
返す事もできない事を確信する。視線を逸らしながら、彼は震え声で答えた。
「ああ」
「行きましたね?」
彼女はすかさずに言葉を重ねた。先ほどと打って変わり、憤慨と蔑みが端々に迸っていた。

51:43
14/04/20 20:44:07.89 GxRafqlR
誤魔化す気は更々無かった提督であったが、しかし肯定の言葉は喉につっかえ、すぐには出てこなかった。それは決して恐れからくる
ものではなく、今までの関係への名残惜しさが姑息な手段として口を開かせなかったのだ。
「……行った」
息を吐き、自分で生爪を剥がす心境でとうとうそう言い切ると、長い沈黙が重く空間に垂れかかった。語尾の残響も完全に消え失せ、
窓が風に揺られる物音だけが虚しく響き続けていた。
静寂が破られたのは、そこから一分は経った後だろうか。浜風の口から、
「最低」
ただその一単語が小さく零れ出た。本人さえ意識せぬまま、喉が独りでに震えたように吐き出された言葉だった。それを皮切りに不
気味に平坦だった心緒がようやく遅れて揺れ動き始め、疑問や怒りや、裏切られたような寂寥が頭をさぁっと侵蝕してゆく。
感情のままに口が開いた。自身に汚い語彙がこれ程まで備わっていたのかと、そう吃驚するほどの様々な罵声が提督へ無秩序に吐き
出された。
彼は手を止め唖の様に黙している。反発は許されず全てを聞く事が義務であると、そう思った故の態度であったのだが、当然彼女に
解されることは無かった。寧ろ、今彼の行動全てを厭悪に捕らえる浜風にとって、それは不貞腐れているから何も反応を返さないのだ
と解釈されるものであったのだ。
湧き出す憎悪に際限は無かった。一見堅実で篤実と思われた提督が実はそれなりに遊ぶ人間であったと、本来ならそう一言で片付け
られるはずであった。これ程までに烈しい憎しみの、その所以さえ分からない事が酷く不快で仕様がない。
感情の増長が留まることなく、とうとう足を動かした。浜風は提督の頬を叩こうと前へ一歩踏み出して、その段になりようやく自身
の怒りが大仰過ぎる事を自覚した。燃え上がる感情の片隅を、異様に冷えた客観が水を差すように過ぎ去った。今もし艤装が装備され
ていたなら、迷わずに彼を撃ち殺しているであろう事。半ば、殺意とも呼べるほどのその烈しい感情は、誰が見ても行き過ぎと思うも
のであった。そして、今までその感情に何も疑問を感じなかった事への恐怖が、突如として足元から湧き出したのだ。
木戸を荒々しく開けて、彼女は廊下へと飛び出してゆく。過ぎ去る空気が熱い頬を撫で、眩暈の揺らぎが体幹を崩した。ふら付きなが
らも、彼女はひたすらに走り続ける。握った拳が彼の頬へ向かわなかった事へ、ひたすらの安堵を覚えていた。

52:43
14/04/20 20:47:39.46 GxRafqlR


自室の蒲団に顔を埋め、既に何刻過ぎ去ったのか。最初、ただ得体の知れない憎しみだけに支配された頭は、じわじわとその侵蝕が
退くと途端に寂寞を発し始めた。自身の口にした罵倒を思い返すとそれが到底許されざる罪に思われて、悔悟が胸の辺りをじくじくと
痛めつけていた。躁の後の鬱というに余りにその落差が激しく、彼女には情緒の安定しない自身の感情が何か不気味な代物に思えて仕
方が無かったのだ。
夕食の時間にも、彼女はここを動かなかった。ドアをノックされた回数は計三回。当然そのどれにも反応は返さなかった。今更外に
出る事への罪悪感による抵抗が、希薄になった時間感覚の中、心内を漠然と漂っている。
ようやく蒲団から這い出したのは二十三時過ぎ、更に立ち上がる事ができるようになるまでもう一時間掛かった。執務室へ赴こうと
思わせたその最大の要因は、ふと思い出された外套の右ポケットであった。
そこには万年筆を買うのに渡された紙幣の、余りの一枚が未だにあった。言い訳がないと動く事もままならない惰弱ぶりが厭に思え、
しかし動かないよりはましであったから、彼女は倦怠の極地の中でとうとう部屋を出たのであった。
寒々しい廊下の明かりが、じっと浜風を見つめていた。眠りに沈んだ鎮守府は寂寞感をより一層掻き立たせ、唯でさえ憂鬱な心中を
どんどんと沈み込ませていく。
執務室の戸から漏れ出す光が、未だ彼が仕事中であることを示した。秘書不在の中での執務であるから、とても今日の分を完遂でき
てはいないのだろう。そこに安堵を覚えながら、彼女は戸を開いたのだった。
執務机に座っていた提督は、木戸の軋む音がするなり顔をがばっと持ち上げた。既に風呂を終えた後なのか、何時もの軍服は壁に掛
かり、身に纏われているのは紺の甚平と半纏である。
無表情な彼女との視線の交錯、だが両者ともに口は開かずただ沈黙だけが鎮座した。片方でも初期に声を発せていたなら、どれだけ
楽であったのだろうか。沈黙が長引けば長引くほどに、心理の探り合いが膠着を強固にしていった。
状況打開の開口は、浜風が先であった。明確な目的を有していた故に、彼より幾らかは口が軽かったのだ。
「これを、返しにきました」
目を逸らし執務机に近づくと、彼女は握っていた紙幣を差し出した。体感として丸一分ほどの沈黙が、ようやく破られた事に吐息を
漏らしつつ彼は礼を言ってそれを受け取る。
唯一の話題が、この短いやり取りによって完全に終了した。提督は、彼女はすぐにでも反転してこの部屋を去るものだと思っていた
のだが、実際には、その場に突っ立ったまま目を逸らし黙って突っ立ているだけである。わざわざこの一万円札を返しに来たというこ
とは、つまり金輪際の関わりを絶つという意思表示だと思われた。嫌悪し二度と口を聞きたくも無いのに、なまじ真面目で律儀だから
無理してここに訪れたのだと、本気でそう考えていたからこそ今の彼女の姿は不可解な事この上なかったのだ。
それは気まずさからの逃避であるのか、彼は机の上の書類を一通り片付け始めた。どうせもう寝る予定でもあったのである。何時も
の習慣を凝視される事に慣れぬむず痒さを覚えながらひたすらに机上を綺麗にしてゆくと、ものの二分が過ぎる頃には紙類は完全に消え
ていた。
浜風の心中を、焦燥と不安が駆け巡っていた。これで終わりになっていいはずか無いという確信があり、しかしかと言ってこれ以上
何を話せばいいのか皆目検討もつかなかった。提督は許してくれるだろうかと顔を伺い、だが本来許すかどうか決める立場は自身である
はずで、状況と感情とがあべこべにひたすら混乱をもたらしている。
「すまなかった」
顔を上げると、席を立った提督が近くに寄っていた。彼女は、それが何に対する謝罪であるかを判別しかねていたし、彼自身もよく
分かってはいなかった。何と反応すべきか悩むうちに時間が余りに過ぎ去って、結局は無視をしたような形になった。そしてそれは、
提督の致命的誤解を完璧に補強する根拠になってしまったのだった。

53:43
14/04/20 20:49:54.17 GxRafqlR
「君はまだ、第一艦隊で闘いたいか?」
唐突な疑問に、浜風は反射的に、
「は、はい」
と答えた。素っ頓狂な、裏返った声音の返事を聞き思わず苦笑をしてしまう。その瞳に写ったのは悲哀なのか、彼は続けて口を開く。
「便宜上として、一応は今のままでいさせてくれ。第一艦隊の旗艦として従来どおりに戦闘に参加してもらう。ただ、秘書仕事の方
には、もう参加してくれなくても構わない。明日からは別の艦娘を宛がおうと思っている」
言葉の趣旨を理解するには、彼女は彼の考えや誤解を認識できていなかった。だから、後半の文言を正しい意図で受け取る事もでき
ず、絶望的な心境はその暗がりを一気に広めていた。
「……どういう、ことですか」
「すまないとは本当に思っているんだ。君がその、なんていうか。私に対して失意とかそういうのを感じたなら申し訳ないし、だか
ら別段君が嫌だと思うことはしたくないというか。尊重したい、と思った」
「だからって、何で私に秘書を辞めろって言うんですか!? 私がそんなこと何時言ったんですか!」
怒りと形容するには、焦りと寂寥が余りに大きすぎた。提督の表情を覗き見れば、そこに浮かぶのは疑問である。だからこれがあて
つけではなくて、本心からの気遣いである事は察する事ができて、故に自身の望みとは離れたところへ行こうとする現実を引き止める
術が分からなかったのだ。
「君は、生真面目だから」
切り出された言葉が、生真面目という一単語が胸へ刃を突き立てる。
「生真面目だから、多分、本心で嫌だと思っていても秘書をしようとするだろう。義務に忠実に公私を分けようとするだろうから…
…でも、私の仕事は艦娘が幸せにあるようにすることだ。無理はしないでいいんだって、そう言いたい」
幾ら言葉を重ねてもこの誤解を解く事はできないと、彼女は荒ぶ感情の中で思った。彼へ言ってしまった罵倒の数々を前に、本当は
嫌いじゃないと口にするには余りに都合がいいように思われたのだ。もし、本気で説得をしたならば充分彼の持っている認識を改めさ
せる事ができたのに、それを口にする権利が無いという思い込みが、機会を永遠に奪ったのである。
どうしたらいいのか、考えを早急に纏めなくてはならないのに、荒立つ心情が集中を阻害していた。早く早くと焦る気持ちだけが前
に出て一向に具体的な文言が浮かばなかった。
「万年筆、ありがとう。書き易かったよ」
そう言うと、とうとう提督は踵を返し、浜風の横を通り過ぎた。
振り返り、すかさず彼の手を掴む。ただまだ行かせたくない、このまま行かせてはならないという思いが反射的に腕を伸ばした。肌
と肌が触れあい、少し冷えた体温を感じ、彼女の頭に閃いたことは正気の発想ではなかった。
自身がどれだけ頭のおかしい事をしようとしているのか、きちんとした憶えはあった。だがそういった事よりも、もっと重視される
べきことなのだという決め付けが、理性や正常な思考を悉く破壊していたのだった。
浜風はふと膝を床につけたかと思うと、寝巻き甚平の下に手を掛けて、半ば引きちぎるようにしてそれを下ろした。尋常な心理状態
では無い事を自覚しながら、しかし彼女は汚れこそがこの提督の側にいる事の一条件に思えてならなかったのだ。
突然の彼女の狂態に提督は狼狽した。理解が追いつかず、ただ後ろめたさと状況の背徳が口を開く事さえままならない硬直を引き起
こさせた。
下着から陰茎が引きずり出されたのを見て、ようやく彼は我に帰ることができた。
「おい! 何をする!」
反射的に腕を取り怒鳴りつけると、彼女の背は一瞬震えた。脅え怯んだその瞳には、だがすぐに意思の光が照り戻り、凄みは幾倍に
も増大しながら尚言葉は発されない。

54:43
14/04/20 20:52:28.98 GxRafqlR
ぐいと頭を伸ばしたかと思うと、浜風は獣が肉を喰らうように萎えた彼のを口に含んだのだった。生々しい唇の圧や歯のぬめった鋭
利さを感じ、反射的に腕を引っ張っても一向彼女は動じなかった。必死に頭を振りながら舌を遮二無二動かし続け、吐息の最中には唾
液がぼとぼとと零れ落ちる。そのほとんどは彼女の豊満な胸元を汚していた。身体が前後する度に、服と下着に圧迫された乳房は小さ
く僅かに揺れていて、濡れた跡は歪に光を反射する。
のぼせたかのような頭の熱が、抵抗や理性というものを悉く霧散させた。彼女は夢のような半ば現実感の無い状態の中にあったから、
嫌悪して止まなかったはずの行為を今しているという事に疑問も何も感じなかったのである。
躊躇われた方法ではあったが、提督は彼女の頭を掴むと力を込めて押し退けようとした。だが、今度は自由になった両腕が腰にきつく
巻きつけられ、寧ろ体勢的にそこまで力は入らなかったからより引き離すのが困難になってしまった。舌が竿の裏をなぞり、尾てい骨
からむず痒さが競り上がる。口腔の感触、その冷たさや滑りが体のあちこちの筋肉を緩めさせ、最早意識は自身のそれに向かわざるを
得なくなった。
口の中、次第に大きくなってゆく彼を感じ、浜風はより一層烈しく頭を振る。だが稚拙の極みにある彼女の口淫が快楽だけを生むのか
といえば、当然そんなことは無かったのであった。
時折前歯が、亀頭の出っ張りを引っかいた。鋭い痛みが体の奥を突き抜け、しかしすぐに舌が慰撫するから悲鳴を上げるほどでは無い。
提督がマゾの気質を持っていたならむしろこれは射精を促す強力なペッティングでもあったのだろうが、現実には快楽を後退させる錯
謬の愛撫に他ならなかった。どれだけ唇が扱こうとも、一向に睾丸が熱を持つ事は無い。
なんとなしにそれを察したのだろう。浜風はふと動きを止めたかと思うと、じわじわと喉の奥にまで陰茎を挿し込み始めたのだった。
「よせ!」
ぎょっとした提督は本気で彼女を離そうとしたが、狭い喉口へ陰茎の先が沈み込むと、その生々しい柔らかさにまったく力が入らな
くなる。抵抗に素直に従う事ができたなら浜風とて楽ではあったのだろうが、意固地に凝り固まった汚れなくてはならないという義務
感が、決して自身を赦しはしなかったのだ。えずきそうになるのを堪えながら喉奥に何度も何度も迎え入れ、ひくつく動きを感じると
それが愉悦なのである。拷問じみた苦しみに涙が勝手に競り上がりだし、気管の入り口が痛むほど咽び返っても、決して口から彼を離
すことはしなかった。
懸命な奉仕に、だが直ぐに限界は来た。もう何度目かも分からない咳き込みが、しかしこれまでと違っていた事に当人も気が付いて
はいたのだった。ただ矜持が体の苦痛を無視しようとした。意思の力で封じ込める事ができると思われたそれは、膨大な力でもってと
うとう浜風を跪かせた。
逆流した胃液が、盛大に床を穢していった。吐瀉物は彼の靴にまで飛び散り、それが視界に入るや罪悪感が腹底から音を立てて湧き出
した。この程度の事もできないのかと自嘲の思いが一度巡ると、情けなさや不安感、寂寞が嗚咽や涙となって零れ出る。胸の熱さや胃
の痛みより、よっぽどそれが辛かった。
ひゅるひゅると喘ぎ出される吐息の痛ましさに、提督の心内にも自責の念が広がった。自身の行動が悉く彼女を傷つけた事を、今更
悔悟して何になるのか。朴念仁の、愚鈍で無力の愚図がこれを引き起こしたと、ただその事実が残るのみである。
「すまない」
背を摩り、そう口にした。言葉が耳に入ると、彼女の嗚咽はより一層烈しくなった。混沌とした感情の波が両者の間を埋め尽くし、
深夜の執務室は静かにそれを見つめている。
「秘書でいたいんだったら、何時まででもいていいから」
しばらくの間、浜風は立ち上がる事もままならなかった。この彼の台詞をきちんと理解できたのも、もうずっと後のことである。喜
も哀もミキサーによって混ぜこぜにされたように、混乱が感情を支配した。


結局はその日、浜風は提督の部屋に寝た。蒲団の匂い、あの香ではない彼自身の匂いに包まれながら、混濁した意識は途端に霧散し
た。
提督とて抵抗が無かったわけでもないが、しかしあそこまで疲弊した彼女を抱え艦娘の宿舎まで辿り着ける保証も無かったのだった。
浜風にはもう意思を伝えるような力も無く、しかしすぐに寝付いたということは拒絶されているのでもないのだろう。
安堵の寝顔に負い目を感じ、提督は部屋をあとにする。長い夜にずっと悔いを抱き続け、明けない空を眺め続けた。

55:43
14/04/20 20:54:43.79 GxRafqlR


「やっぱり、ここに来ては駄目だったかな」
事のあらましの説明を、彼はそう締めくくった。下半身の気だるさがそのまま口に顕れたような、覇気の無い声音だった。
娼婦の反応たるや、予想のそれと寸分違わない。
「あなた、なんでここに来たのよ!」
自身の立場をかなぐり捨てた、一人の女としての反応だった。
彼とて、この反応を待ち望んでいたのかもしれない。彼女からきちんとここには来るなと、そう宣言されてようやく浜風と向き合え
る気がしたのだった。ただ、金を払い事を致した後にそう格好つけても、何も偉くない事は自覚はしていた。
「ほら、言うじゃない? 一盗二婢三妾四妓五妻……」
当人としては冗談で言った台詞であった。だが娼婦の目には途端怒りが燈り、
「ほんとに最低!」
その言と同時に平手が飛んできた。
彼女は部屋を出て行った。あくまで商いとしての関係に終始するのではなく、個人として罵倒してくれた事に心からの歓喜があった。
提督は服を手早く着ると、もう二度とは来ないであろうその部屋を後にした。

56:43
14/04/20 20:58:22.83 GxRafqlR
以上になります。お目汚し失礼しました。

57:名無しさん@ピンキー
14/04/20 22:25:43.07 +euggQsG
>>43
おお、加賀翔鶴の人か。この空気感好きです
いしあたま風ちゃん良いなあ

58:名無しさん@ピンキー
14/04/20 23:45:42.03 A2bo54ML
>>56
雰囲気を楽しめる文章、イイですね…
同じ巨乳駆逐でも
潮→男性に注がれる好奇の目線に恐怖してそう
夕雲→むしろ巨乳を武器に提督を籠絡してきそう
浜風→気にしてる風情がない
感じだしなぁ…浜風ちゃんの純真さよ

59:名無しさん@ピンキー
14/04/21 00:18:20.63 UhNf7jMD
>>54
>>必死に頭を振りながら舌を遮二無二動かし続け、吐息の最中には唾
>>液がぼとぼとと零れ落ちる。そのほとんどは彼女の豊満な胸元を汚していた。身体が前後する度に、服と下着に圧迫された乳房は小さ
>>く僅かに揺れていて、濡れた跡は歪に光を反射する。




抜いた

60:名無しさん@ピンキー
14/04/21 01:36:41.08 vL80D3vp
>>43
いや……あんたほんと凄いわ……

くそうなんでうちの鎮守府にはいないんだよ!
俺の浜風でてくれえええええ!(血涙

61:名無しさん@ピンキー
14/04/22 00:23:34.88 jvklEm7v
良作age

62:3-91
14/04/22 01:14:13.68 wHbOr9s/
おおイベントを前になんか素晴らしい投下の流れが…! 僭越ながら自分も一本

提督×球磨
お姉ちゃん肌なクマーに甘えっぱなしのイチャラブ純愛
人類敗北後の話だけど鬱要素はあまり無いつもり
連投規制で間隔空きますご勘弁を (ついでにハートマーク出るかテスト ♥)

63:提督×球磨
14/04/22 01:15:50.12 wHbOr9s/
数週間ほど前から、球磨と二人、山の中の穴蔵で生活している。
いや、まあ何故かと言えば、横須賀は深海棲艦に占領されてしまったからだ。
それで球磨と二人、呉へと逃げるつもりで脱出したら、呉も敵の手に落ちてるらしい。
こりゃどうすんべと思ってたら、球磨が船を出してくれて、かろうじて敵船が跳梁してない日本海を二人逃げる逃げる。
それでどこをどう逃げたものか俺は覚えてないが、球磨に聞けば、現在地は北海道某所の山中だという。
球磨は「の・ぼ・り・べ・つ! 登別行きたいクマー」などと無邪気に言っている。何のことやら。

……あ、書き忘れたかもしれないが、人類は深海棲艦に敗北した。
もちろん完全な敗北までには、各鎮守府の重雷装巡洋艦への「アレ」の配備通告、「日乃レポート事件」に始まる大規模な政変、
挺身特攻隊「暁の戦力外部隊」による深海棲艦の巣への神風突撃、飛行/潜水能力を有した「合体変形種」深海棲艦の出現と戦況の悪化、
太平洋を中心に投入された巨人兵器「イェーガー」の活躍、米国が主導で唱えた核兵器による徹底殲滅論と、
それを察知した深海棲艦側の「巨大深海氷山空母姫」のワシントンD.C.への先制攻撃と陥落、などなど……
今後100年は映画の脚本のネタに困らないようなドラマと涙の数々があったワケだが。
とにかく結果的に。
人類は敗北した。
…………
……
しかし今の球磨との二人の生活の中では、なぜかそんな敗戦の事実さえ、遠い星の出来事のように思えるのだった。


***


「おっ、提督、起きたクマー?」

まぶたを開けると、球磨のぱちくりした目と目が合った。
俺の目は、涙と目やにでかすんでる。おまけに頭は熱でフツフツ煮えるようだ。球磨の輪郭線もぼやけて見える。

「クマー、あいかわらず熱があるみたいだクマー」
「……ああ、治すように努めてるが……すまないな」

球磨が、湿った布で俺の顔を拭いてくれながら言う。
その手つきがすごく優しくて気持ちいいので、つい口の周りを汚した子供みたいに、球磨にお世話されるままになってしまう。
ここ一週間ほど、ガラにもなく熱なんて出して臥せっているのだった。
その間の看病をずっとこいつが、球磨が、一人っきりでしてくれている。

「ご飯は食べられるクマー? 出来れば少し栄養付けとくといいクマ」

顔を拭われて少しはしゃきっとした俺に球磨が言う。
言われてみれば、穴蔵の中にふわりと漂ういい匂い。
川魚の塩焼き、ふかして潰したジャガイモ、山菜にキノコ。そんな食事が、テーブル代わりにしてる木箱の上に並べられていた。
球磨が俺のために一品一品、苦労して山の中を集めてきてくれたのだろう。
熱のせいで、食欲はさほど湧かない。
けれどそんな球磨のいじらしさを思うと、何としても食べてやらねばという気になった。
寝床の上から身を起こす。

「提督、ムリに起きなくていいクマ-、球磨が食べさせてやるクマ」

64:提督×球磨
14/04/22 01:18:05.20 wHbOr9s/
……球磨の手で寝床に戻されてしまった。
仕方なくその言葉に甘えることにする。

「……すまん」
「気にするなクマー、提督だってきっと、球磨が風邪ひいたらおんなじことするクマ」

艦娘に風邪やらなんやらがあるのかはわからないが、球磨はそんなことを言う。
もしかしたら冗談なのかもしれない。
いずれにせよ俺も熱でふわふわする頭では適当な返しが思いつかないから、曖昧に笑って返す。

「ほれ、『あーん』だクマー」
「……」
「提督、『あーん』だって言ってるクマー」
「……あ、あーん」

逡巡したが結局、球磨に「あーん」で食べさせてもらう(所詮人間、その気になった艦娘の力には逆らえないから、従っておくのが賢いのだ)。
食べやすいように潰したジャガイモが、スプーンで口に運ばれる。
ほくほくして、塩気があって、噛むとジャガイモの甘みが出てきて、旨い。甘い。北海道だからか。

「うまいなー、球磨。うまいよ……にしてもコレ、どこで採ってきた?」
「ふふーん、球磨が山を下りてったら村があって、そこの地面一面にジャガイモが『生えてた』んだクマー」
「……すまんな、俺のために畑ドロボウまで」
自分のせいで軽巡・球磨に野生の熊さながらのマネをさせてると思うと、申し訳ない。球磨と、あと農家の人に対して。
「いーや違うクマ! すぐ近くに人の家もビニールハウスもあったけど、たぶんアレは野生のジャガイモだクマー、
 球磨に採って採ってーって言ってたクマ」
「うーむ……野生かー、球磨が野生って言うんじゃしょうがないなー」

なんだか、球磨は俺に徹底的に気を遣わせないつもりらしい。
俺も特にそれを追求することはなく、今は旨いからいいか別に、などと思いつつ、モグモグと球磨の手からジャガイモを食べさせてもらう。
ジャガイモもふわふわなら、球磨と俺の会話もふわふわしてて、熱に当てられた俺の頭もふわふわで。
ついでに人類が深海の敵に負けてしまった事実さえ、何だか現実味がなくてふわふわしてて。
ぜんぶがぜんぶ、ぬいぐるみの中身のようにふわふわしてる。
それがこの、球磨と二人きりの空間だった。

「ほい、『あーん』だクマ」
「あーん……んむ、むぐ、うむ」

球磨の獲ってきた魚も、また格別旨かった。
しかも俺には自分で骨をとる苦労すらない。
ほぐされた状態の切り身を口に運ばれるたび、なんだか赤ん坊の頃に戻るような、イケナイ快楽が芽生えそうになる。
……このままでは俺は、球磨をお母さんだと思いこんでしまうんじゃなかろうか。

「提督、気に入ったクマ?」
「ああ、うん……この魚もうまい」
「そっちもだけど、その……球磨に『あーん』されるの、気に入ってしまったクマー?」
「…………!!!?? い、いや、そんなことはないぞ!? 断じてない!!」

いけないいけない。普段はゆるキャラみたいな言動してるくせに、こいつは妙に察しがいいのだ。

「ふっふっふ~そりゃ残念クマ、なんなら提督が元気になった後も、食べさせてあげてもいいと思ったのにクマー」
「……~~~~~!!!!!」

やばい、ちょっとしてもらいたいと思ってしまった。

「あ、あぁ~~~それより、よく温かい料理が作れたな、大変だったろう?」
あわてて俺は話題を変える。
「大変?」
「ほら、山の中とはいえ、火を焚いて煙が出たら、たぶん山狩りに見つかるだろうし」
「あぁ……そのことかクマ」

65:提督×球磨
14/04/22 01:19:57.59 wHbOr9s/
事実、俺たちは追われる身だった。だから戦争が終結した今も、こうして隠れ潜んでいる。
追われると言っても、かつての敵、深海棲艦ではなく、人間の手によって。
そう。今回の敗戦の責を一方的に負わされたのが我々―提督や艦娘たちなのだ。
俺たちは各地に落ち延びたあとも、懸賞金をかけられ、鵜の目鷹の目で捜索され、追い立てられる運命だった。

「まあ、燃料用アルコールがあるから、しばらくは煙の出るたき木を燃やさないで済むクマ」
「なるほどな……まあ、何にせよお前たち艦娘には、本当に苦労をかけるな」
「……こっ、こんなの、昔の戦に比べたら苦労のうちに入らんクマ!」

しばらく穴蔵の中に沈黙が落ちた。さっきのふわふわした雰囲気なんてどこにもない、澱のような沈黙。
けど俺はやっぱりその重苦しさを引き受けねばならない気がした。だからこんな風に話題を変えてみせたのだ。
俺にはその責任があった。
実のところ、深海棲艦は重要な拠点や泊地を除いては、いっさい陸への侵攻をしてこなかったのだ。
ただ人類をすべての海域、すべての空域から追い出して、深海棲艦は満足してしまったらしい。
だから人類は滅ぼされることなく生き残った。俺と球磨もおかげで生き残った。
しかし生き残った人類が、当然そのやり場のない怒りの矛先を向けたのが、人類の海と空を守る戦に敗北してしまった軍人たちだ。
海と空という希望を失った世界で、俺や球磨たち艦娘は、地を這いずって生きていかねばならない。
人類すべての怨みを受けながら。

「すまん…………ぜんぶ、俺のせいだ」

ぽつりと呟いた瞬間、球磨にガッ!と胸ぐらをつかまれた。
これがベアクローか、と冗談を言う間もない。息がつまる。

「~~~ばっ!! ばか言うんじゃねぇークマ!!! そんな、一人でそんな風に思っていたのかクマ!?
 ひとりで、世界ぜんぶの運命をしょいこんだみたいな顔して、どうすんだクマー!!!?」

球磨に、そんな風に本気で叱られた。
ほとんど球磨の顔も涙まじりなのに、不思議とすごい気迫があって押されてしまう。さすがは球磨型5人の長女だ。

「こ、こら、な、なんとか言えクマー!!!」
「球磨、あの……く、くるしい……」
「!? ……あ! す、すまないクマ~!!」
「い、いや大丈夫だ……」

球磨の手をぺしぺしとタップすると、あわてた球磨が離してくれた。

「……提督、やっぱり、そのことを気に病んで、それでこんな熱を出してしまったんだクマー。気づいてやれなくて、本当にすまんクマ……」
「何言ってる……机仕事だった俺なんかより、きっと本当に辛いのを我慢してるのは、矢面で戦っていたお前たちだろ……」

そうだ、結局俺の苦労なんて、ものの数ですらないのだ。
本当に最前線で敵艦と砲火を交え、仲間が沈んでいく横で、痛いのも泣きたいのも押し殺して、戦ってきた彼女らに比べれば。
なのに結局戦争を取り仕切るのは、俺のような安穏として無能な指揮官たちで、
彼女らがどれだけ戦争を終わらせたくても戦略に口を出す権限などなく。
帰ってきたら言われもない敗戦の責を負わされて、一方的に追い立てられる。

「……なあ、球磨。俺を自警団かどこかへ突き出して、その懸賞金でお前だけ逃げるといい。俺みたいな顔が売れてる士官と違って、うまく隠れ潜めるはずだ」

俺は球磨にも、きっと今までたくさん苦労をかけ、我慢させてきたはずだった。
だから球磨を、せめてこれ以上束縛したくはない。そういう思いがあった。

「なっ……何を言ってるクマー!!?」
「女だから尼寺に隠れたっていい。何にせよ、俺をかくまって逃げたり俺のために苦労するより、よっぽど自由で気ままな……」
「……て、提督……」
球磨の震える声に気づいて、顔を向ける。
「提督は、それが本当に球磨にとって幸せだと思っているクマ?」

球磨が、今度は本当にぽろぽろと涙をこぼしている。
俺はあわててその手を取る。

66:提督×球磨
14/04/22 01:21:58.04 wHbOr9s/
「い、いや俺は可能性の一つを述べてるだけであってだな」
「球磨の幸せは……苦労しないことでも、自由になることでもないクマ……」

そう言うと球磨が、寝床に横たわったままの俺の体に覆いかぶさってくる。
やわらかくて、温かくて、細っこい球磨の体が、ぎゅーっと押しつけられる。
人なつこい動物に抱きつかれてるみたいだ。

「球磨のしあわせは、好きなもの、守りたいもののために生きることだクマ。もしも、好きなものを守るために戦えるなら、
 どこだってそこが戦場クマ。守りたいものが側にいてくれるなら、どこだってそこが球磨の家なんだクマ」

潤んだ瞳で俺の瞳を覗きこみながら、球磨が一言一言、はっきりと俺に語る。

「だから提督は、球磨の生きがいだクマー。ずっと……ずーっと、離さないクマー」

球磨にしつらえてもらった寝床の上で、球磨の腕と体に抱かれながら。
そんな風に宣言されてしまった。
なんでだろう。球磨の涙ぐんだ目に見つめられて、俺も涙が出てきてしまう。
俺を非難し、糾弾し、ひっぱたき、ののしる権利だってあるはずのこの球磨は。
俺が生きてるだけでいい、そう言ってくれている。
そんな風に言われると、何だか自分でも、それでもいいのかもなあという気分にさえなる。
このままずっと、球磨の腕に抱かれてても、いいのかもしれない。

「んっ……そうだ提督、食後のデザート、忘れてたクマー」
「デザー、ト……?」

言いながら球磨は、ほこほこ湯気を立ててるティーカップをテーブルから取り上げると。
その中身の液体を、自分でくいっとあおる。
そうしてから、球磨は俺に口づけた。

「……っ、んッ……ぅむっ」

球磨の口に含まれた液体が、俺の口に流し込まれる。
球磨の舌を伝って、喉の奥へ。口移しだった。
液体はあったかくて甘い。何よりとろりとなめらかだ。
そんな甘くて深い液体を、こくこくと、球磨の唇から分け与えてもらうのは、
まるで球磨から、あふれるような生命を分けてもらってるみたいだった。

「蜜湯だ、クマー。ハチミツと生姜を湯に溶いたクマ」
ぷは、と離した唇をちょっと舐めてから球磨が言う。
「元気の源だクマ」

たしかに甘さの中から活力を湧かせるみたいな、やさしい味だった。
けどそれがハチミツの味なのか、球磨とのキスの味なのかは、よくわからない。
そして、何よりも眠かった。
温かいものをたっぷり胃に入れたせいだろうか。
熱に悩む体が休息と回復を求めてるかのように、急に猛烈な眠気に襲われてしまう。

「球磨……すまん、少し、眠る……」
「ん、それはいいことだクマ。きっと起きたら今までどおり元気だクマ。球磨が、保証するクマ」
「……うん、球磨がそう言うなら、そうなんだろうな……」
「ふふふ~、提督、目がとろんとしてきたクマ。おねむだクマー」

球磨がそう言いながら、俺の上に覆いかぶさってた体を少し動かす。
そして今度は、球磨が隣に寝ながら、俺をひしっと抱きしめる姿勢になる。
布団代わりのハグだ。
球磨が胸に俺の頭を抱いて、脚でしっかり、俺の腰につかまっている。
上質な毛皮につつまれてるみたいな、心地よい窮屈さと暖かさ。
球磨の胸もとから、汗と、女の子の香りと、ハチミツみたいないい匂いがした。

「球磨が抱きしめてやるクマー。こうして、あったかくして、眠るクマー」

67:提督×球磨
14/04/22 01:23:15.01 wHbOr9s/
こうして。
人類が敗北した世界で俺は。
暖かい巣穴の中、球磨に包まれながら、とろとろ、とろとろと眠ったのだった。


***


起きると、なんだか妙に寝覚めがスッキリとしていた。
昼寝から起きると怖いくらい頭が冴えわたってる時がたまにあるが、正にそんな感じだ。
と、そこで気づいたことだが、今まで患ってた熱がすっかり引いている。
ダルさも辛さも、体から抜けている。どうやらこの爽快さの原因はそれだった。
その代わり、何だか体全体がぽかぽかと暖かい。
狭くて、匂いがこもってて、ぬくい、獣のすみかにいるみたいだ。

「……球磨?」

思い出した。俺は球磨の体そのものに包まれて、寝ていたのだ。
球磨は起きてたらしく、俺が呼ぶとすぐに返事が返ってくる。

「クマ~、提督、お目覚めクマー?」
「うん……おかげで、すごくよく眠れた」
「……そうかクマー」
「ああ、もう熱もすっかり引いたみたいだ」
「ん。なら、よかったクマー」

俺を胸に抱きながら喋るという奇妙な格好のせいか、何だかぎこちない球磨の返事。

「なあ……球磨?」
「なんだクマー?」

球磨の胸もとからもぞもぞ顔を出して、球磨の顔を見すえて言う。
その顔はちょっと蕩けていて、夢見るようだ。もしかすると眠いのかもしれない。

「その……ありがとう、な。さっきも、今までも、ずっと……」
「ふふふ~~、大したことじゃないクマー」
「いや、ほんとうに感謝してるんだ…………なあ、ところで、球磨」
「クマ~?」
「お前、顔が赤くないか?」

いま気づいたのだが、球磨の顔はとろんと蕩けているだけでなく、なんとなく赤かった。
もし俺の看病のせいで伝染ったりしたのなら、申し訳ないどころの話ではないので、俺はちょっと本気で心配する。

「ん? あー……別に、気にするような理由じゃないクマ」
「そ、そうなのか? 何か出来ることがあったら、言ってほしいんだが……」
「……じゃあ、提督にひとつ頼み事してもいいクマー?」
「あ、ああ! もちろん、球磨のためなら何でも!」
「クマー。それじゃあ……」

球磨がちょっといたずらっぽい、不敵な笑みをうかべて言う。

「なら、ちょっと腰を引いてほしいクマー」
「……え?」
「その……提督の……が、当たってて……」
「……~~~~~!!!!!? すっ、すまん!! 球磨っ、すぐ、離れるからっっ!!!」

68:提督×球磨
14/04/22 01:24:08.83 wHbOr9s/
寝床の中、隣り合って並ぶ球磨と俺の下半身。
その片方、俺の腰から、朝の元気にまかせて突き出たモノが。
球磨の腰に、無意識のうちにくいくいと自身を押しつけているのだ。
球磨が頬を染めてたのはそれでか!
しかし俺があわてて腰を引こうとした途端、球磨の両脚がガッチリと俺の腰を押さえてホールドしてきた。

「あーはっはっは!! あはは、はーっ、て、提督、冗談だクマ~! 球磨はぜんぜんイヤじゃないクマ、本気に受け取らないでほしいクマー」

なるほど体がぽかぽか暖かいのは、まんざら球磨に包まれてるせいだけでもないらしかった。
まるで頭の熱がすべてそっちへ移ったように。
あるいは抵抗力が弱まっている間、体に入った微菌や悪いものを、ぜんぶそこから排出したいとでも言うように。
とにかく俺のモノは、極限まで熱く硬くなっていた。
……有り体に言えば、『溜まってる』状態なのだろう。熱のせいで寝込んで処理も出来なかった、この一週間分が、丸々。
そして俺の分身は、まるでその切ない熱のはけ口を球磨に求めているかのように、キュロット越しの球磨のそこへと、
厚かましくぐいぐい、ぐいぐいと自身を押しつけている。
そんな体の動作に気づいてしまうと、俺の中でも、腰の奥から登ってくるそわそわした欲望が、むらっと鎌首をもたげる。

「ふっふっふ~……提督が寝てる間ずーっと、この子は可愛かったクマー」
「か、可愛いって……っ!」
「提督がくーくー眠り出すと、球磨の腰とくっついてるところで、この子がむくむく大きくなってきたクマ。
 さすがに恥ずかしくて球磨がちょっと腰を引いたら、今度は寝てる提督が、自分から腰をくっつけてきたクマ~」
「…………~~~~~!!!」
「この子は球磨のお腹でも太ももでも、とにかく先っぽでつんつんしたり、すりすりしたり、くっついてきたがったクマー。
 必死で球磨の中に入りたい入りたいって言ってるみたいで……ふふ、すごく可愛くって、球磨まで照れちゃったクマっ」

顔から火が出るような恥ずかしさで、しばらく絶句してしまう。
……そう言われるとまるで、俺が自分の体と性欲の操り人形のようではないか。いや、事実そうなのかもしれないけど。
しかしさすがに、寝起きの勃起と溜まった性欲に任せて、ずっと付きっきりで看病してきてくれた相手を抱く、
なんてのは、さすがに恩知らずとかいうレベルではないだろう。
球磨がどんなに無邪気に触れてきたり、どんなにこっちの無遠慮を許してくれても、そこまで甘えてはいけない。
こんな山の中の生活ではあるが、まだ俺は動物じゃなく、人間のつもりなのだ。

「な、なぁ球磨……離れてくれないか」
今度は俺が頼む番だった。
「クマー? 提督は、球磨としたくはないクマー?」
「そうとは言ってないが、そうじゃなくてだな……」

男の精神、というか男心は、必ずしも不随意な勃起と連動するものではないのだ。
しかしそれを女の子の球磨にどう説明すればわかってもらえるだろう。
と、そんなことを思っている合間にも、きゅーっと球磨の腰に密着させられている部分から、とても無視しがたい感触が伝わってくる。
キュロット越しの球磨のやわらかい丘の丸みが、屹立をやさしく包みこんでくれる感触。
いかん。このままでは本能に理性が負けて、ほんとうに獣になりかねない。

「クマー……うーん、提督は、ハチミツが媚薬の一種だって話、知ってるかクマー?」
「は、えぇ?」

突然そんな話を持ち出す球磨。

「もちろん球磨も詳しくは知らないクマー。けど、人間の食べ物が貧しかった昔は、栄養満点のハチミツはきっと、
 それだけで身体を興奮させたはずだクマ。だから、最近精力のつくモノを食べてない提督にも、
 ちょ、ちょっとはそーいう効果が出るかもとは、き、期待してたクマ……」
「球磨、お前……まるで『一服盛った』みたいな言い方を……」
「そうクマー! だーかーらっ」
そう言って球磨が背中を抱いてくる。
「球磨の、『計画通り』なんだクマっ」
「く、球磨……だって、何のために?」
「むぅー……好きだから、くっつきたい、つながりたいって、それだけじゃ、いけないクマー?」

69:提督×球磨
14/04/22 01:25:55.44 wHbOr9s/
そう言って球磨がもっとひしっと抱きついてくる。
いまや腰と同じように、お互いの腹と腹、胸と胸もくっつき合っていた。
球磨の鼓動が、こっちの体の中にも伝わってくる感じがする。

「提督の方は、どうなんだクマー?」
「俺の、方……」
「球磨のこと……その、好きクマー? 球磨と、くっついたり、つながったりしたいクマ?」
「俺は……」

そんなことを聞きながら、球磨の手が不安なようにこっちの背中をさ迷う。
その仕草に気づいて、思わずこっちも球磨の背中をぎゅーっと抱いてやる。
球磨の体はあたたかくて、やわらかいのに、しっかりと質量があった。
すごく、『生き物』だと実感する手触りだ。
何だか、こんなにあったかくてやさしい生き物に、自分が想われてることを、何かに感謝したい気持ちだった。

「球磨が好きだ……くっつきたいし、つながりたいと思ってる」

そう言って、球磨をもっと固く抱きしめる。
抱きしめると、球磨の言ってる「好き」と「くっつく」と「つながる」という言葉がもっとよく理解できる気がした。
三つはひとつづきの同じ意味の言葉のように思えた。
洞穴で二匹暮らすつがいや、母を求める哺乳動物の子供。あるいは群れで暮らしお互い依り添い暖め合う生き物みたいに。
相手を求めてくっつき合うのは自然なのだ。
好きな気持ちだけでも、下半身で球磨とつながりたいだけでもなくて。全身で球磨と『くっつきたい』のだ。

「……わかったクマー、それじゃあ……」
頭をこちらの肩に乗せたまま、球磨がささやく。
「いっぱい、くっついて、つながり合うクマ」


***


布団もない草の寝床の上で、球磨が下になり、俺が上になって、重なり合う。
ゆっくり、くすぐり合うような手つきでお互いの服を外していく。
まずは球磨のセーラーの上を脱がす。
すると、下着も何もなく、そのままの乳房が転がり出てきた。しかも結構、ある。

「ふっふっふ~……意外におっきい球磨ちゃんって、よく言われるクマー」
白くてふわふわした胸を自慢するみたいに揺らしてみせる球磨。
「……感触、確かめてみたいクマー?」

その言葉に誘われるまでもなく、すでに両手が、丸くてやわらかいモチみたいなのに伸びていた。
初めは吸いつくようで、そしてふよふよふよふよと、どこまでもやわらかい感触。
あんなにしっかり締まった球磨の肢体に、こんなふわふわしたモノがくっついてるのが不思議でならない。
不思議でならないので顔をうずめてみる。

「ク、クマーっ?」

森の熊さんが驚く声がするが、気にしない。
球磨の胸の間は、ぎゅーっと挟みこまれる圧迫感があって。
そして心臓の鼓動がとくとく、とくとく、と聞こえてくる。思ったとおり、とても落ち着ける場所だった。
いい発見である。

「……ふふ、提督は甘えん坊さんだクマー」
「……うん」

球磨にそんな風に甘やかされながら、球磨の体を下へ、下へと降っていく。
球磨のお腹は、胸よりは数段しっかりした肉付きをしていて、うっすら筋肉が感じられる。これも、心地いい手触りだ。
その下、球磨のキュロットパンツの部分に至ると、さすがに球磨がちょっと身を震わせた。

70:提督×球磨
14/04/22 01:29:08.15 wHbOr9s/
「あ、て、提督……」

まだ何だか脱がせるのが勿体なくて、やっぱりその部分に顔をうずめてみた。
キュロットの股間の丸みの中に、球磨の大事な部分の形が隠れているのが感じられる。
圧迫されると気持ちがいいのか恥ずかしいのか、球磨の腰がふるふる、切なそうに震えて面白い。
ふくらみの部分に鼻先を押しつけて少し息を吸いこんでみる。
やっぱり汗の匂いと、それから山道の草みたいな匂いがする気がした。

「は、恥ずかしいクマ~! そんなところ嗅がないでほしいクマーっ!」
「う、うわっ、球磨っ!」

ぐわしっ、と。
跳ね上がってきた球磨に押し返されて、逆に寝床にのされる。
そうして今度は球磨が上になって、俺の動きを封じ押さえつけてしまった。
形勢逆転、というワケらしい。

「ふしゅーっ……提督、おまえ、うまそうだクマー……」

そんなことを言いながら球磨が俺の体の上を、獲物の弱い部分を探し当てるみたいに、ふんふん、ふんふん、と嗅ぎ回る。
正直ちょっと冗談に聞こえない。
そのうち球磨の鼻がぴたりと、俺の首筋の上で止まった。
次の瞬間、狙い定めたようにその箇所が、ぴしゃ、ちゅるる、と水音を立てるようにして吸われる。

「うあ、あぁっ……球磨っ……!!」

首という生命につながる器官の周りを吸われると、くすぐったくって仕方がなかった。
きっと生命の危険を知らせる信号の一番弱いようなのがほとばしって、体を疼かせるからだろう。
その信号は下半身にも届くのか、俺の腰の奥にも小さな快楽の電流が、連動したように流れる。

「ぷはぁっ……提督の体、まだ熱いクマ。熱が残ってる感じがするクマー」

首筋に口づけたまま、球磨の手が俺の肩、胸骨、腹、脇の下と、遠慮なくするすると這い回る。
こんな硬いだけの身体のどこが面白いのだろう。いい匂いもしないし。
けれどどうやら球磨は、その雄臭さとでも言うべきものに興奮を覚えているらしい。
撫でまわすうちに淫靡さを増す球磨の手つきに、こちらまでつられて、昂ぶらされる。

「はぁーっ……すごく、熱いクマー……」

腰骨に頬ずりするようにしながら、球磨の手も熱を求めてそろそろと下へ降っていく。
まだ脱がされていない下半身の中心で屹立しているモノも、期待に身を震わせてしまう。

「クマ~……いちばん熱いのは、ここかクマー?」

しゅるっと。履いたままだったズボンと下着を一気に下ろされる。熱の中心が外気にさらされた。
そしてソレが下着から顔を出したかと思う間もなく、球磨が顔を近づけ、鼻をよせてくる。
そのまま球磨が、ふんふん、ふんふん、と鼻をひくつかせた。

「あ、あぁっ……!! 球磨ぁっ……」

球磨の発情したような熱い吐息と、ときどき当たる鼻の感触。
溜まっていたばかりでなく、外の空気に触れるのすら久方ぶりのソレには、もどかしいぐらいの、繊細すぎる刺激だった。

「ふふ~……はちきれそうで、雄の匂いがいっぱいしてるクマー」

そう言って一度舌なめずりをしたかと思うと。
ちろちろ、ちろちろと踊る球磨の舌先が竿全体を舐め回し始めた。

「ああぁぁぁ……っっ!!! く、球磨っ……! は、あぁっ……!!」

71:提督×球磨
14/04/22 01:30:27.50 wHbOr9s/
根本の茂みの生えてる辺りから、裏筋、敏感なカリの周り、そして先端の割れ目まで。
汚れを気にもせず、それどころか、より興奮しているかのように。
一週間分の垢をこそげ取ってくれるかのように、球磨の舌が俺のモノの上を這い回る。
獣が毛繕いをするみたいな、そんなさりげない動きなのに、俺は幾度となく腰を浮かせてしまう。
「仕上げだクマ」と球磨が、ついばむようにちゅう、ちゅっ、とそこかしこにキスを残していった後は、
ソレはもうてらてらと濡れて、先端から先走りすら溢れさせていた。

「ん……もっと、提督と全身で、くっつきたいクマー」

そう言いながら球磨が、俺の上に乗ったまま器用にキュロットパンツと下着を脱ぐ。
球磨に腰から下を押さえられている俺は、その動作にただ見とれるだけだ。
今までキュロットの奥に隠されていた場所には、わずかに茂みに覆われた、控えめな割れ目が現れていた。
そうして球磨が俺と球磨の付けていた最後の布を取り払ってしまうと、二人とも本当のむき出しの姿になる。
間に何も挟まるものはなかった。

「このカッコで、くっついてみるクマ?」
「え? ……あ、ああ、そうしよう」

そう言うが早いか球磨が両手を広げてぎゅーっと抱きついてくる。俺も両手を広げて受け止めてやる。
球磨のすべすべした頬と俺のヒゲでちりちりした頬。
ふっくらした胸と硬い胸。ふっくらした腰と硬い腰。
両者はぜんぜん違うもののはずなのに、何故だかぴとっ、と、一つにくっつくようだった。
こっちが呼吸するたびに球磨もそれに合わせて呼吸し、だんだん同じリズムで呼吸するようになる。
そうすると、本当にまるで二人が一つの生き物みたいだ。
境目のない世界で、球磨をぎゅーっと抱いてぎゅーっと抱かれて、ハチミツのようにとろり溶けて一つの体になる。そんな錯覚すら覚えた。

「……提督の、さっきよりすごい勢いで、球磨を突っついてるクマー」
「……うん」

そんな心地よさの中でも、やっぱりこの熱をもったモノの疼きだけは、どうも無視しようがない。
いまや球磨のぴったりとした割れ目に、直に押しつけられている屹立。
たしかに快感ではあるけれど、何だか同じ場所で足踏みしているだけのような焦燥感がある。
もっとやさしく自分を包んでくれる、ふさわしい入り口があるはずのソコの前で、
おあずけを食らっているのがもどかしくてしょうがないのだ。

「クマァ♥……提督、球磨にもっと、きゅーって、抱いてもらいたいクマ?」
そんな焦れた欲求を抱えているのを見透かすように、球磨が聞いてくる。
「あったかくて、とろとろして、ふわふわした球磨のナカで、きゅぅーっ、て、抱きしめられたいクマ?
 提督のも、すっごく球磨の中に入りたがってるクマー」
「ああ……球磨の中に、入りたい」
「ふっふっふ~、よく言えたクマー」
そう言うと俺の体の上で、球磨が少し身を引いて、腰を浮かせて膝立ちになる。

「それじゃ、球磨の方から迎え入れてやるクマー」

くち、と熱に喘いでひくひく震えている先端に、湿りのあるモノが触れた。

「は、あぁっ……!」

そして息をつく暇もないまま。
にゅる、ぬぷ、と、球磨が腰を深く沈めるにつれて、にゅくにゅくと球磨の暖かい蜜壷に入りこんでしまう。
気づいたときにはもう、肉茎全体がとっぷりと湯に浸かったみたいに、心地いい感触で満たされていた。
球磨の言ったとおりにあたたかくて、とろとろしてて、ふわふわしている。

「は、んぅっ……」
「く、球磨、その……大丈夫か?」
「……んっ……心配ご無用クマー、提督のがあったかくて、気持ちいいぐらいクマー」

さっき球磨にうながされるまま、わずかな抵抗をする膜に当たったときも、それをぷつりと破って進んでしまったが、
球磨は少しの痛みの他は、何も苦にしていないらしかった。

72:提督×球磨
14/04/22 01:32:54.15 wHbOr9s/
「ふふ~、こんな体勢でつながる生き物は、きっとそうそういないクマー」
「まあ、そうだな……」

俺は球磨に上にのしかかられたまま、いわゆる⊥字不利……もとい、騎乗位の体勢で球磨とつながっていた。
こんな風に、雌が上位になって雄を搾りとるなんて交わり方をする動物が他にいたものか、寡聞にして知らない。

「でも、この方が球磨には動きやすいクマー。だから、提督……ふふ、動いて気持ちよくしてやるクマー」

そう宣言すると、球磨は俺の上で動き出す。
暖かい洞の中ぬくぬくしていたモノが、ちゅぷちゅぷ、ぬるぬると上下に激しく擦り上げられる。
ハチミツみたいな時間がとつぜん動き出したかのようだ。
球磨の荒い呼吸と共に、収縮しては痙攣する球磨の内側の秘肉。
それに圧迫され、揉み上げられ、ただ横たわったまま、敏感な部位へ与えられる快感を享受するのは、至上の快楽だった。
球磨が腰を沈め、苦しそうなくらいに俺の剛直をくわえ込み、そしてぬるぬると腰を動かして、
色んな液体に濡れた竿を見せつけるように引き抜き、またくわえ込む。
純粋で、白くてふかふかしてて、女らしさや淫らな部分なんてのが想像もつかない球磨が行う仕草だけに、それがとても淫靡で鮮烈な姿に写る。

「あっっ……く、球磨っ、ちょ、ちょっとタンマ!」
「クマ~? どうしたクマー?」

制止の声をこちらが上げる間にも、にゅくにゅくと腰を振り立てる動きをやめない球磨。
そのたびに生まれる途方もない快感に、下半身からそろそろ危険信号が告げられる。

「そっ……そのっ、このままだと出っ……ヤバいから、一旦、抜いてくれるとっ……!!」
「んー? 提督は、気持ちよくないクマー?」
「いっ、いや、そうじゃなくて……」
しいて言うなら死ぬほど気持ちがいい。
「気持ちいいなら、何もガマンすることなんてないクマー。このまま、んっ、球磨のナカに、出してほしいクマ~」

そう言うが早いか、球磨の腰の動きが、ただの上下運動から、こちらのモノを絞り上げるような動きに変わる。

「…………~~~~!!!!」

きゅう、きゅう、と。脚を閉じるようにして、蜜穴の中もいっしょに締めつけ、くわえ込んだ肉茎を圧迫するような動き。
そして脚を開いたかと思うと、今度はふりふりと、媚びるように腰を横に振ってみせ、中へと振動の快楽を送り込む。
さっきまでの、ただ性急なだけの動きが可愛く思えるほどだ。
同時に、その雄の快楽を誘うような動きの中に、これまでにないくらいに、『女』としての球磨を見出してしまう。

「く、球磨っ……!! もうヤバいっ、出、出るっ……!!!」
「大丈夫クマ、提督……来てほしい、クマー……」

腰を振り立てる球磨に追い詰められ、すべての部位を余すところなく刺激されるような、めくるめく快楽に浸されて。
こらえるために腰を引くことも出来ず、そろそろと登ってくる、じくじくした快感に押したてられるまま。

「~~~~ぁ、ああぁぁ……っっ!!」

やがて止めることの出来ない奔流が先端に登ってくるのを感じると、抵抗する間もなく。
びゅく、びゅく、と、溜まりにたまっていた熱い精を、球磨に捧げるように、内側へと漏らしてしまっていた。
もちろん一週間分の射精は一度の放出では途切れずに、二度、三度と、脈動しながら吐き出される。
そのたびに暴れる肉茎を、球磨の蜜穴がやさしくあやすみたいに抱きとめてくれるようで、
その心地よさにまた新たな快感を呼び起こされてしまう。
結局俺の分身は、長く尾を引く快楽の証を、ぴゅーっ、ぴゅっ、と球磨の中に噴き出させた後、
ようやく降参したようにくったりとなったのである。

「んっ……提督、気持ちよかったクマー? 球磨の中に、たくさん出てるクマー」

内側に射精されたばかりの自分の下腹部を撫でながら、球磨がそんなことを言う。
こうして尽くすのが何より嬉しいとでも言うような、慈しむようなその表情。
けれどその顔を見るたび、やっぱりそんな球磨の優しさにすがってばかりではいけないという気持ちが、心の奥で湧き起こる。
欲求を解放してひとここちついたせいか。また、球磨に対してすまないと思った。

73:提督×球磨
14/04/22 01:34:27.24 wHbOr9s/
「球磨……その……ごめん」
「なっ、なんで謝るクマー?」
「その、ホントは出す前に引き抜くなり何なり、しようと思ってたんだが……」
「……て、提督は、球磨との間に子供、作りたくないクマァ!??」
「……な、ええぇっ!!?」

絶句する。
いや、こんな風になる前は、そもそも球磨が子供の作り方を知っているとすら想像しなかった俺も悪いが……。
球磨が、俺との間に子供を、欲しがっている!?

「く、球磨は欲しいのか、子供……?」
「と、当然だクマっ!! 好きな相手といっしょに、子供作って、産みたいって思うのは、あ、当たり前の気持ちだクマー!!」

俺の上に覆いかぶさったまま抗弁する球磨の目は、真剣そのものだった。

「そっ、それに……」
球磨が俺の胸に顔をうずめながら、続ける。
「……たしかに球磨たちはこうして、深海の敵に負けてしまったクマー……けど、子供を作って、
 その子供たちが戦いの記憶を受け継いで、新しい世界や、新しい戦いのための礎にするんなら、負け戦も、ちっともムダではないクマー」
「球磨…………」

ふたたび俺は言葉も紡げなくなる。
理解できないのではない。むしろ、ああそうか、平静感じていた球磨の強さは、ここにあったのかと実感したからだ。
俺が再戦のために奮起するでもなく、敗北を受け入れて生き方を考えるでもなく、ただのろのろと。
漫然とした自罰感に引きずられ、何かを生み出すことも出来ず、ただ球磨との安楽な生活を引き延ばしていた間に。
球磨はこんなにも希望にあふれた未来を思い描いていたのだ。
それでいて俺を無理に付き合わせようとせずに、ハチミツを媚薬代わりに盛ったり、
添い寝をしてくれたりして、事が自然に進むようお膳立てしてくれたのだろう。
体を重ねながら、俺との子供を産む未来に思いを馳せていただろう球磨に対して、俺は快楽を求めていただけだったなんて。

「……そうだよな、球磨。気持ちいいだけじゃ、ないもんな」
「く、クマっ?」
俺が身を起こすと、球磨がびっくりしたように身をすくめる。
「ずっと、考えてた。こんなに俺に尽くしてくれるお前自身は、何か望むものはないのかって。俺は何かしてやれないのかって」
球磨が驚いている隙に、そっとその顎に手を添えた。
「子供、作るぞ球磨。何人でも」
「あ、提督……」

ゆるやかに開いている球磨の唇に口づける。
やっぱりさっきの口移しの甘さは、ハチミツのせいだけではないらしい。
球磨が、んっ、と鼻にかかったような切ない声を漏らし、体がちょっと弛緩する。
その瞬間を見逃さず、腰をバネに力をこめて、体を倒す。
そうして俺は、球磨をふたたび押し倒す格好になった。

「て、提督……やっぱり、この体勢が好きクマー?」
「なに、お前にしてもらってばっかりじゃ、男としてアレだからな」

押し倒されると弱いのか、ちょっと身を縮こまらせる球磨。
その胸の上で、同じくふるふる揺れてるモノを掴み、やさしくマッサージするように揉みしだいてやる。

「あ、く……クマァっ!」

さっきの騎乗位の間中もずうっと、ぶるんぶるんと自己主張していた胸に、
ふかふかと指を沈め、こねるように揉む。コリをほぐすような感じだ。
やがて中心で、ピンク色の乳首がぷっくりと立ちふくらむ。何となく白米にちょんと乗った鮭の切り身みたいで、可愛らしい。
球磨の反応を楽しみつつ、ソレを口にふくみ、吸い上げてやる。

「ふぁ、はあぁぁっ……!! だ、だめクマァっっ!!」

ピンと勃ち上がったのを口の中でねぶり、転がすたびに、球磨がそんな嬌声と呼ぶにはあまりに可愛らしい声を上げる。


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