14/01/15 23:40:20.45 Ydp1OUJM
―うわ。
胸が、なんか、ズドンとブチ抜かれた気がした。私は頷く。
「わ、私こそ、よろしくお願いします。わ、私も、彼氏とか初めて。初カレ。え、遠慮と
か、その、しません」
抱き付いて、ほっぺたに口付けた。
同じように水尾はキスしてくれて―そうして。
「睦月、抱かせて下さい」
と、イマイチ決まらない求め方をして下さった。
……心底精一杯、最大限気を使ってくれた結果なので、凄く嬉しかった。私は頷いて、
もう全部水尾に任せた。
ブラとか外すの、ちょっと手間取ってたけど、その理由は、まだ消えて無かった青痣の
事もあったと思う。
でも、その事には触れないで貰って、お互い裸になった。
「……おっぱ……胸、触っていいか?」
別におっぱいでもいいのにと思ったけど、私は黙って頷く。
ゆっくり、恐る恐るといった感じで触って来る。
夢とかで随分な事したと言った割に、おっかなびっくりな水尾が、なんだかとても可愛
く思えてしまう。
同時に、水尾になら触られるのが、凄く凄く嬉しいと思える事が、嬉しかった。
「ねえ……私、大丈夫だよ。水尾とその、こういうのする事自体が、凄く幸せだから、水
尾がしたい風にしてくれる方が、嬉しいな」
本当にお姫様どころか高級なお皿みたいに扱われてるっぽいので、それじゃお互いアレ
だと思う。進まないというか。
「お互い初めてだから、とりあえずやってみようよ。痛くたって、先週水尾にされたドラ
ゴンスープレックスより痛い訳じゃないもん」
因みに、された経緯は私がわざとじゃないけど水尾を皆の前でパンツ一丁にしてしまっ
たからである。
「……言うな。思い出させるな。頼むから」
「ごめん。でも、なんであんな綺麗な緑色のパンツ履いてたの? 趣味?」
「お前、黙れ」
「……うん」
水尾の顔は、それでも一々優しいから、どうにもこうにも、ドキドキしてしまう。裸だ
からってだけじゃないんだろうなあ……と思ってた。
私の胸を両手で寄せて、物凄い勢いでブルブル揉んでるのを見るまでは。
ああ、この、おっぱいへの執着、余裕の無さは逆に緊張が解れる。ムードゼロだけど。
手、大きい。私は普通より背が低い方だけど、水尾はクラスで二番目に背が高い。
一番目は料理部在籍の二階堂くんの196センチ。その差20センチ。私とだと、45
センチも差がある。よくつまみ上げられたりする。
「やっ……」
さっきから、ぎゅっと眼を瞑っていたから、いきなりおっぱい吸われて、びっくりして
しまう。ま、まあ、ちょっとボーっとしてた私も悪いんだけど……
「ん―あ、う……」
おっぱい吸いながら、私の左手に、指を絡めて来る。う、うわ、なんか、嬉しい。ドキ
ドキして、どうしようもなくて、右手で……とりあえず、水尾の頭を撫でた。
ふっ、と、息が漏れて、笑われたような気がしたけど、不意に水尾は顔を上げて、キス
してくれた。
そこで、ようやく眼を開ける。そこには、至近距離で水尾が笑ってたんだけど。
「お前、かわいいよな」
35:それはきっと勘違いではなく 9/13
14/01/15 23:41:27.00 Ydp1OUJM
と、なんだか、不思議そうに言った。
何度もキスしながら、その合間に、色々言ってくれる。
「……普通に、顔、かわいいし」
「まな板だと思ったら、普通に胸あるし」
「普通、お前くらいなら……男いる筈だよな……?」
なんか、普通普通と連呼しながら、不思議そうに褒めているんだかどうなんだか、みた
いな感じで……なんか酷い気もするんだけど……でも。
疑問に思うって事は、水尾はそう思ってくれるって事で……一応、嬉しい。嬉しいけど。
「み、水尾……? ほめても、なにも、でないよ……?」
なんだか、声が弱々しい。身体も火照って、熱い。いつの間にか、身体がぐにゃぐにゃ。
水尾はそれには答えないで、またキスする。今度は、長い。
「ふ、む……っ?」
下半身に、手が、触れた。一直線に、そこに。
足を閉じようとしたけど、その前に指が触れて、それが。
「あぁっ……!」
―あの時、みたいな、声がでた。
有り難い事に、なんか変な道具を口に付けられて、お陰さまでファーストキスは水尾だ
ったんだけど……喋れない状態でも、自分でもわかるような、あからさまに、なんだか、
いやらしい声。
……石動の言葉で言うなら、『感じてる、甘い声』。
感じるのが、悪い事じゃないのはわかってる。当たり前の事。寧ろ、そうしてくれるの
が水尾で、嬉しい筈なのに。
「あ、そっか。お前、声がかわいいんだよな」
―と。
不意に、全く予想外の所から、ジャブが入った。
「へ……?」
「さっきから、なんでお前がモテねえのか考えてて。確かに馬鹿で頭ブッ飛んでても、こ
んだけ普通にかわいいなら、引っ掛かる気の毒な野郎が2~3人はいそうなもんだけど」
納得したように、笑う。
「声だけなら、よっぽど津田よりお嬢様系だろ。残念な事に大人しい系の。そんな声で『朝、
餅六個喰ったけどお腹すいた』とか二限で言ってたら、そりゃモテねえよなあって」
……そんな分析、いらないよ……
なんだか、頭の中の不穏な影が、全部吹っ飛んだ気もするけど。
「その、さっきの声も、かわいい?」
水尾の手を取る。もしかして、声の中に、なんか感じたのかな……普段の水尾なら、絶
対に言わないような。
「―かわいい。他の男が聞いたら、絶対お前を見る眼が変わる。でも、ぜってぇ聞かせ
ねえ。俺だけのもんだ」
そんな事を言って、おでこと―眼の縁にキス……してくれた。
で、今までの暴言という名の褒め言葉が無かった事のように、もう一度触れる。勝手に
身体がびくっ、として、震えてしまう。
「……いや」
怖いのとは別に、あの、本当に恥ずかしい。水尾は私の足を広げさせて、食い入るよう
に見る。
まあ、見るだけじゃ収まらないよね。指が入って来て、すぐに出る。
そして、何故か間が空いて―若干気まずい感じに。
どうしたんだろう、と思っていたら。
「……あのさ、どんだけ濡れたら入れられるもんなんだ?」
と。
まさかの、根本的な質問が飛んで来た。
36:それはきっと勘違いではなく 10/13
14/01/15 23:42:00.19 Ydp1OUJM
「わ、わかんない……今、どんな感じ?」
「あー……凄い事に。文字にすると……『ぬとぬと』?」
「え、何その新種の妖怪。ぬとぬとさん?」
「やめろよ。またこの学校七不思議増えるぞ」
「いいんじゃない? 他の七不思議、楽器が一斉に浮くとかでショボイじゃん」
話しながら、流石に私も気付く。
いつもより、絶対的に口数が多いんだよね……水尾。だから。
「私、欲しいな。もう、我慢出来ないや」
と、誘ってみる。ぱぁっ、と、水尾の表情が明るくなった気がした……んだけど、すぐ
に眼を逸らす。き、気付いた事、気付かれちゃった?
水尾は私の事抱き締めて。
「……悪い……ずっと喋ってねえと、ヤバくて」
「いいの。水尾、私の事一杯気遣って、お姫様みたいにしてくれてたもん。好きにしてほ
しいな」
その言葉を皮切りに、なんとなく、空気が変わる。本番なのだと。
……残念な事に、コンドーム着ける所は見せてくれなかった。
一回、私の中に少し入って、すぐさま暴発したのは、割愛します。
「あ……っく……」
仕切り直して余裕も出たのか、ゆっくり、ゆっくり入って来る。時間を沢山掛けて、水
尾とひとつになって行く。
痛いというか、ヒリヒリして、奥の方がズキズキする。鈍痛というのは、こういう事な
のかな……
思ったよりは痛くなくて、思ったよりは苦しい。そんな感じ。
手を伸ばして、その、自分の入り口に、くっついてる水尾の下半身というか、そこらへ
んに触れる。
本当に全部、私の中に入ってるんだぁ……と、感心してしまった。
ホントに、水尾とセックスしてるんだー。出来れば、この人が、最初で最後だといいん
だけどな。
「大丈夫か?」
涙で霞んでるけど、きっと心配そうな顔をしているんだろうなというのは、声でわかる。
「……うん。大丈夫。私、しあわせ」
だって、水尾が来てくれなかったら、私、初めてがこんな穏やかで安心した気持ちで迎
えられていなかっただろうから。
あのまま、無理矢理犯されて、撮影されて、おっかない道具でも犯されて―
「水尾が初めてで、よかった」
「……俺も、だ」
少し乾いていた私の唇を舐めて、また、いっぱいキスした。お互いの舌を絡めて、夢中
で―息が少し苦しいくらい、沢山吸ったり舐めたりした。
それ自体が気持ちいいんだけど、時たま、水尾から口の奥の方を舌でなぞられると、背
中がゾクゾクする。
まだズキズキしてるあそこが、勝手に動く感じがした。
……口の中と、繋がってるのかな。どうなんだろう。
「ん―っ……あ」
一旦唇が離れると口から唾液が漏れて、胸に落ちる。それが冷たくて、変な感触だった。
水尾の顔が、なんだか蕩けたみたいで、真っ赤だ。きっと、私も大差ないだろうけど。
ああ、可愛いなあって思った。
……また、あそこが疼く。
37:それはきっと勘違いではなく 11/13
14/01/15 23:42:55.08 Ydp1OUJM
入ってるだけで、動いてないのに、多分、水尾のを締め付けて、それがなんだか、いい。
なんか、ダイレクトに『感じる』ってよりは……さっきの鈍痛の逆というか……鈍感?
アレ? これ、意味違って来る?
「少し、動いて、いいか?」
アホな事を考えている時に言われて、咄嗟に頷いてしまう。
「……ゆっくり、だから」
ほんの少しだけ心配そうに、私の腰を掴む。そうして、奥を探るように、動く。
「ひぁ……ぁ……っ」
その動きが、なんだか、凄く良くて、なんだか声と……恥ずかしいけど、別のものまで
漏れちゃった気がした。その……おしっこ的な……大丈夫かな……
「……痛い……んじゃ、ないよな?」
声で予測は付いたのか、それでも心配そうに聞いてくれる。
「うん……痛くないけど……ジンジンして……でも、いいの……」
途切れ途切れに、感想を述べる。水尾がしてくれる事、今は全部気持ち良くて、うまく
頭が働かない。
気持ちいい事しか考えられない。
だから、もっと欲しくて、私が自分で腰を揺らす。そうすると、もっと気持ち良くて、
また声が出てしまう。
「もっと、して……いっぱい」
息を吐く度に、快感が増して行って、もっともっと、欲しくなる。水尾が腰を引いて、
入れた時と同じくらいゆっくり、抜かれて行く。その度に。
「あ……あぁ……っ、み、水―いいっ……いい、よう……」
あそこと同じくらい、私の身体に触れる手が、気持ちいい。さっきまでの恥ずかしさな
んて、覚えてない。足を開いて、水尾のをせがむみたいに、締め付ける。私が吸い寄せる
みたいに、さっきよりは強めに、私の奥を突いてくる。
「ひぃ―あ、あ―ああっ……ふぁ……あ……」
「っ―月、睦月っ」
水尾の息も、荒い。余裕があんまり無くなって来たのか、噛み付くように唇を貪って、
少し乱暴に胸を掴む。
……その方が、気持ちいいなんて、凄くびっくりした。
耳に響いて来るのは、荒い息使い。自分の心臓の音。肌がぶつかり合う音。あそこ同士
が擦れ合ってる、水音。
音も、匂いも、ぜんぶ、私を良くする。
「水尾―水尾、水尾っ」
手も足も、全部使ってしがみ付き、引き寄せる。同時に、私はイッてしまう。
……自分でした時よりも、ずっと、凄く気持ち良くて。殆ど鳴き声みたいな声を上げて、
びくびく、水尾のをいっぱい締め付けた。
はぁ、はぁ、と、妙に自分の呼吸がうるさい。水尾も小さく私の名前を呼んで、震える。
それで、また小さく私も感じてしまった。暫く、そのままでいて―それが落ち着くと、
余韻に浸るように、お互い、深く息を吐いた。
全部終わった後、身体を拭いて、制服を着た。
換気をして、シートを片付けて、最早清潔でもなんでもない布は、持って帰って捨てる
事にした。
……明日、代わりにお母さんがバザーで一円で買った、使われないままの新古品のタオ
ルでも持って来ようと思った。
そうして、身支度を終えた頃には、ほんの少しの夕焼けの色を残したくらいの夜になっ
ていた。
そんな薄暗い部室の中で、私達は無言で抱き合った。ただ、お互いの身体を全力で。
どちらから、というのは、わからなかった。ただ、私も水尾も眼が合った瞬間に、こう
なった。幸せすぎて、涙が出そうだった。
……まあ、いつまでもこのままではいられないから、切りのいい所で離れたけど。
38:それはきっと勘違いではなく 12/13
14/01/15 23:43:31.87 Ydp1OUJM
「……帰ろうか」
耳を、水尾の声がくすぐった。
私の声がかわいいって言ってくれたけど……水尾の声も、私はかっこいいと思う。
「……うん」
なんだか気恥かしくて、ちょっとだけ距離を開けてしまう。
身体はまだ火照っていて、逆にちょうど良かった気もする。部室をちゃんと施錠して、
靴を履き替えて、校舎を出て、校門に向かおうとして―
「何の見立て殺人だ!?」
水尾の絶叫ツッコミが木霊する。私は驚き過ぎて、逆に声が出なかった。
……桜の木に、宙釣りで様々なオプションが付いている浅田さんが、そこにいた。
「……最初は、ただオラがフルボッコで宙釣りなだけだったんだべ。下校する生徒の皆様
方が、面白おかしく、こーでねーとした結果、単独の実行犯と複数の偽装犯が渦巻く、迷
宮入り寸前の継続行き難事件になったべよ」
股間に白鳥を取り付けた人物を、是非とも知りたいんだけど……まあ、それより。
「浅田さん、ダラちゃんに何したの? ここまでされるって、そう無いでしょうに」
ちょっと非難する私の声に、少し困った顔をしつつ。
「んー……オラも結構焦ってるだぁよ? んだもんで、巷で流行りの壁ドンして、標準語
で一人称も変えて、迫ったんだべ」
あれれ、真面目コースで行ったんだ。でも、それならなあ……結局、くっついてないけ
ど傍から見たらラブラブ主従にしか見えないし、ダラちゃんもまんざらでは無さそうなん
だけども……
「因みに、どう迫った」
呆れながら、水尾が聞いてみる。
「普通だべ? さっき言った通り、壁ドンからの『なあ、お嬢、俺とスケベしようや……』
ってぉぐうっ!?」
水尾が、ヤクザキックで浅田さんを回転させた。すっごい苦しそう。
「津田が流石にかわいそうだろ!?」
「そうだよ! それに結局標準語じゃないしぁいたっ!?」
「そういう問題でもねえよ!」
と、こちらにもツッコミが。
「痛いよ! ……もう、どうして浅田さんは、みすみすチャンス棒に振るのさー……セリ
フさえマトモだったら、絶対ダラちゃん落ちてたって」
―あ。今気付いたけど、叩かれても全然怖くない。痛いけど。
なんだか、テンションが上がって来る。浅田さんも同様で。
「マジだか!? オラ、なんて言えばお嬢と、うっふんあっはん出来るだか!?」
「そうだね! ああ見えてっていうか、見たまんま乙女だからね! 壁ドンまではOKな
んだから、そうだね……壁ドンならぬベッドン(注:ベッドに押し倒すだけの簡単な作業)
で『今夜は、オラの美技に酔うだ』とか」
「パクリはよそうか睦月!」
「パクリじゃない! 影響を受けたんだ!」
「パクる奴は、皆そう言うんだよ! というか、それで津田が落ちると本気で思っている
なら、俺はお前の全てを疑うわ!」
なんだか、いつも通りに戻ったみたい。
楽しくて、バカみたいな事、いっぱいして。
そんな風にじゃれ合う私達に、浅田さんはピーンと閃いた、みたいな顔をして、唯一無
事な右人差し指で私の顎を掬い上げて。
39:それはきっと勘違いではなく 13/13
14/01/15 23:44:22.70 Ydp1OUJM
「―なぁ、あんな奴より、オレにしろよ」
と、物凄い男前ボイスで短くキメてみた。
さ、逆さ釣りで白鳥を股間に装着し、周りには何故か仙台銘菓が散らばっている上にミ
ニチュアサイズの釣鐘が置いてあって、菊の花で全身コーティングされつつ楽器の弦が絡
まって、斧と鉈とチェーンソーが立て掛けてあって、背中に『こんや 12じ だれかが
いぬ』とか張り紙付いてるのに、かっこいい……! あんな奴って誰か知らないけど!
「あ、あまぁ―」
「ハァ!? ふざけんな! 睦月は俺の彼、じょ―」
最高やんか! と、最大級の賛辞を送ろうとしたけれど、水尾は何故かキレてしまう。
けど、すぐに押し黙って、真っ赤になった。
……それっぽいセリフだったから、勘違いしちゃったという事か。
浅田さんのキメ顔は速攻で崩れ、ゲス顔でひゅーひゅーだべよー! とか言ってる。あ、
今のわざとだったんだ、という事にも気付いて、なんだか凄く恥ずかしくなって来る。
なので。
「……かえろっか…………さ、サトル、くん」
私も、正直どうしていいかわからなくなって、どさくさ紛れに、名前を呼んで、手を繋
いでみる。
「あ? え、あ……あ……う、うん。その……送る、わ」
「……あ、ありがと……」
ぎこちなく会話をして、一連の流れを無かった事にして、二人で下校する事にした。
「え? オラ、ほったらかし? え? なあ、なあ」
……手が、あったかい。
「ちょ、ちょ、待つだよ! オラ、このまま!? ていうか、なんで誰も助けてくれねえ
んだ!?」
「……明日、お弁当一緒に食べようね」
「そ、そうだな……」
いちゃいちゃしながら、校門を出た。
―明日からのラブライフかつ愛ある活動に胸を躍らせて。
「……あれ、一年七組の浅田くん? どうしたの? この学校、ちょっと前まで男子校だ
ったから、そんなあられもない格好でいたら、掘られるよ?」
一瞬、男かと見間違える程背の高い教師が通り掛かり、物騒な事を言い出す。
「品川様……オラ、別に好きで見立て殺人やってる訳でねえだ……」
「あら、そうなの。後、先生の事は、ちゃんと先生って呼びなさいね」
そう言って、脚立を持って来て救助を始めた。
―無事、愛しの主人が待つ屋敷に帰れたのは、すっかり夜も更けた頃だったという。
終
40:377
14/01/15 23:46:43.02 Ydp1OUJM
以上です。
以前投下していた時に書いたものを発掘して手直ししましたが、ネタが酷いと思いました。
41:名無しさん@ピンキー
14/01/16 01:12:45.81 qZ51uxBf
いや、377色全開でおもしろかったよw
ありがとう!
42:名無しさん@ピンキー
14/01/18 13:26:38.68 SGR3jfB/
>>40
ちょーGJ!!元ネタ知らないけど充分楽しめました!
気が向いたらまたなんか書いてください・・・ヨロシク(゚0゚)(。_。)ペコッね
43:名無しさん@ピンキー
14/02/10 16:23:01.86 X5QTvELq
このスレの保管庫管理人はクズ男だなぁ
作者に対する敬意はねえのかよ
44:名無しさん@ピンキー
14/03/22 19:35:45.41 09qR87bI
SS
45:名無しさん@ピンキー
14/03/24 15:59:05.94 lvfpcFW9
無茶苦茶面白かった!GJ!!
台詞回しやキャラがいいなあ。
エロいし萌えた。
46:名無しさん@ピンキー
14/03/28 15:54:17.04 X17TXzHh
すみません、投下します。
現代もの。年下高校生男子×枯れたOL。
寸止めですみません。
47:ワンコイン男子 1/7
14/03/28 15:55:15.12 X17TXzHh
「おねえさん、ボクを買ってくれませんか?」
一瞬、何を言われているのかわからずに、反応が遅れた。
頭の中で大喜利ばりのボケが複数浮かび、それをことごとくツッコミまくっていたもんで、傍目にはフリーズ
しているように見えていたと思う。
ようやく口が開くと、気づいた時にはこう反論していた。
「ザケンな。一昨日来やがれ」
いつの時代の罵倒なんだか。
こんな女だから、こんな(見るからに)年下柔らか美少年→美青年に進化中の、ワンコ系男子に揶揄われるんだ。
残業上がり、ボロボロに草臥れた帰り道。
化粧もハゲたover30に、夜目にもすらりとした姿が魅力的だって分かるぐらいのカッコ可愛い美少年って。
これって何の罰ゲーム?
「お買い得です。ワンコイン。今ならたったの500円」
なおも、揶揄いが続く。
んもう。いい加減にしろっつーのよ。
「500円、何故に500円?」
「って、突っ込むとこ、そこ?」
ケラケラと少年が笑う。
その笑った口元にある小さなホクロに気づいた瞬間、ずくんとした衝動が胸の奥と直結した下半身に向かって
ダイレクトに響いた。
ヤバい。
「おねえさん、やっぱサイコー。もう、500円と言わず、おれを持ち帰ってよ」
「えーと。要するに、あんた行くとこないの?」
「あ、バレた?」
悪怯れもなくにやりと笑みを浮かべる悪い顔すら、色気満載。
年下なんて対象外だと、生まれてこの方34年。最近はひたすら仕事のできる中年男性(バツイチだってバッチコイ)に
ターゲットを絞ってきたというのに。
なんてこったい。私のえらく狭いストライクゾーンってば、まさかの年下ワンコ系男子だったというのかい?
喪女歴かれこれ17年。
そりゃもう処女じゃないし、一応彼氏だっていたことあるし、それなりに恋愛経験だって積んできた。
でも、17で別れた彼氏以外、本気の恋愛なんてしたことない。
寄ってくるのはロクデナシ。
しかも自分のソチンを棚に上げ、人のこと不感性だの。マグロだの。
テメーのテクナシを人のせいにすんな!
あー、話がそれたよ。
まー、そんな訳で、私が男にその気になるなんてこと、滅多にないのだ。
48:ワンコイン男子 2/7
14/03/28 15:56:15.99 X17TXzHh
だが、その、現象が今起こっている訳で。
信じられん。アンビリーバボー。
何が起こった、私の身体よ?
「おねーさん、おれのこと、興味ない?」
ねっとりとした、濃い空気が場に満ちる。
おお。この感覚には覚えがあるよ。
遠い昔─そう、17年前のこと。
「なんで、私なの?」
声が、かすかに震えた。
「ん。忘れられなかったって言って、信じてもらえる?」
「あんたとは、初対面だと思うけど」
「んー、初対面だけど、初対面じゃないんだな」
にししっと笑う顔は、無邪気だけど揶揄いを含んではいなくて。
その瞳だけは、ごく真剣で。
なのに、どこか熱を帯びて濡れていて、私を欲情させる。
口元のホクロひとつで枯れ果てた女を陥落させる威力を持った少年は、まるで悪魔のように私を誘う。
「おねえさん、おれのこと興味あるでしょ」
もう、既に断言してる。
その口元からもう、目が離れない。
柔らかそうな唇に触れたら、私はどうなってしまうんだろう?
身体から、もう一人の私が抜け出し彼の腕の中に収まってしまう。
彼の首に縋りついて、唇を重ねる。
飲み込まれそうな奔流が沸き上がって、互いに咥内をまさぐり合う。
力強くでも繊細な指先が、背を腰を尻を撫で上げる。
身体中の歓喜に幻惑され─その瞬間、目を覚ます。
うっわ、これ、夢? 妄想?
何が起っているんだ?
「おいで」
少年の誘いに抗うことは、もう─
不可能。
暖かい腕の中は穏やかで。
もう、とうに忘れてしまったと思っていた安息を覚えて、私はそっと目を瞑る。
「みゆ、おれのものになってくれる?」
49:ワンコイン男子 3/7
14/03/28 15:56:58.51 X17TXzHh
─なんで、私の名前を知ってるんだろう?
「おれを持ち帰ってくれるよね?」
あれ? 私がこの子を捕まえたの? それとも私が捕まったの?
「みゆ、もう離さないから」
強引に引き寄せられたのに、その口づけは酷く繊細で。
私はその嵐に飲み込まれながらも、懐かしさを感じていた。
そうだ─アイツも、口元に同じようなホクロがあったんだっけ。
唇の感触も、歯列をなぞるその舌先も、アイツとは違うのに、どこか懐かしい。
「みゆ……未有……」
繰り返し、繰り返し、名前を呼ばれる。
その縋り付くような必死さに、私は何故か涙が湧いてきた。
──昴。
私の、たった一人の本気の相手。
もう、永遠に会うことのできない生涯の恋人。
忘れたいのに忘れられなくて。私を置いていってしまったというのに、もう責めることすらできやしない。
34にもなって、17の時の恋を引きずってるなんて、我ながらどうかしてると思うけど。
どうしても、忘れることなんてできやしかなかった。
姿形も全く違うのに。私を抱き締める腕も胸の厚さも体臭も、別人だって痛いぐらいに感じているのに。
この少年は昴のことを思い出させた。
「抱きたい─部屋につれてって」
やっと互いに唇を離して、耳に囁く柔らかな声が届いた瞬間、ここが公道のど真ん中だってことにようやく
気がついた。
不覚──
ご近所の方に見られたら、どうすりゃいいんだ。
でも、もう、この年下ワンコ少年の言葉に否を唱えるなんてこと、私には不可能。
50:ワンコイン男子 4/7
14/03/28 15:57:35.79 X17TXzHh
「んっ……っやあっ……」
ぬちゅ、って粘ついた音が恥ずかしい。
思わず身をよじると、成長し切っていない少年のくせに思いの外力強い腕に引き戻されて、また口づけられる。
唇を吸われ、舌先がねろりと咥内をなぶり、欲情を煽る。
「……もう、こんなにひくつかせて……やらしいよ。サイコー」
「意地悪言わないで……」
「クリがパンパンに腫れてる……ここ、舐めたらどうなるの?」
「や……っん」
「かっわいいー。敏感すぎて、煽られちゃうんだけど」
10代のコドモのくせに、そんなこと言いながらもどこか余裕で。
悔しいけど、翻弄されてしまう。そんな自分がやっぱり悔しい。
─でも、感じてしまう。
「あっ……そこっ!」
爪先でカリッとひっかくように芽を刺激され、私は悲鳴を上げる。
瞬間、じゅわっとまた奥から溢れるものを感じる。
まだほとんどそこを触られていないのに、じゅくじゅくと疼いて、彼を欲している。
早く指を入れて、掻き回して。
ううん、指よりももっと太くて、圧倒的な熱─彼のモノが欲しい。
でも、そんなこと初対面の少年に言うことなんてできなくて。
私はまた、嬌声を上げながら彼の首筋に口づける。
汗の塩辛さに彼の身体を感じて、なお昂ってしまう。
シーツまで垂れている愛液を掬い、ペロと舐める顔はワンコ系。
目元がキュートで愛嬌があって、でも滲み出るものは、まるで色悪。
「みゆ、気持ちいい?」
もう、会話することもできなくて、私はただ頷きながら「ああっ!」と応える。
指、が挿入ってきた。
切ないほどに疼く中は、彼の優美な指先を締め上げてしまう。
「きっつ。指、一本なのにこんなに締め上げて……イきそうなの?」
もう、数えきれないほど軽くイってる。
そんなこと言うのも恥ずかしくて、私は嫌々をするように首を振る。
「そう? やらしーみゆちゃんは、一本だけじゃ足りないんだ」
にやっと笑って指を抜いた─と思うと、今度はもっと強い圧迫感。
「ああんっ!!」
51:ワンコイン男子 5/7
14/03/28 15:58:08.58 X17TXzHh
そのまま、ぬちゅっぐちゅっにちゅっずちゃって、イヤらしい音を立てながら指で抉っていく。
思わず目を瞑ると、昴が浮かぶ。
昴は、私の反応を見ながら指を揃えて三本突き立てながら、私の弱いところ─そう、そこ、とか。
「……そ、こ……!」
中を蠢く指先のどれかがそこを翳めたとき、全身が跳ねた。
びく、びくと震えが走ってもう、頭が真っ白になる。
ひたすら身体は快楽に震えて、もっともっとと貪欲になる。
「変わらないな……」
少年の柔らかな声が伝わるが、意味を捉えることができない。
「イって……みゆ」
「あ、あ、あ、だめ……っん、はぁ……んっ!」
「未有、愛してる」
「……だめっ、イっちゃう!!」
その瞬間、彼は腫れ上がった芽を吸い上げる。奥に突き立てる指を感じながら、びくんびくんと私は達した。
ぼうっと痺れた頭を向けると、彼はもどかしそうに避妊具を着けていた。
ちゃんと持っているんだ、と何となく思うと、今まで何も考えられなくなっていた自分に気がついた。
彼が一体何者で、何の意図があって私に近づいたのか。
─避妊具を持ち歩くってことは、それなりに経験があるというか、そういう相手に事欠く環境にないと
言うことなんだろうし。
ワンコ系美少年だったなら、そりゃ女子にモテモテでしょうよ。
何だか、ムカムカしてきた。
52:ワンコイン男子 6/7
14/03/28 15:58:39.54 X17TXzHh
「ねえ─」
私の言葉を遮るように、バードキス。
「おれの童貞、貰って」
「─はあ?」
「好き……好きすぎて辛い。愛してる。ずっとこの日を待ってたんだ。もう17年越しだし」
「ちょっ……」
「あー、ホントだからね? この身体ではシたことないから」
「っちょっと待った!」
「待たねーよ。もう待ち過ぎだし。明日には淫行条例適応外だから許して」
「あんた、何者?」
にやり。
少年はまるで悪魔のように、口を歪めて笑みを作った。
「桜井昴の生まれ変わりって言ったら─信じてもらえる?」
その瞬間、圧倒的な熱が私を貫いた。
FIN
53:ワンコイン男子 7/7
14/03/28 15:59:14.35 X17TXzHh
ex.事後の一コマ
「昴って呼んでいいの?」
「今は新山暉って言うから、アキラって呼んで」
「今何才?」
「17。明日で18。あの事故の直後に生まれ変わったんだ」
「学校行く前に車に轢かれたんだっけ」
「あの時はごめん」
「ホントだよ。どれだけ泣いたと思ってんの?」
「ごめんったら、ごめん。でももう絶対一人にはさせないから」
「17って今、高校生?」
「うん。でもエスカレーターだし、もう学部も決まってるし。おれの志望大学覚えてる? あそこ」
「うっわ、おぼっちゃん!」
「いや高入だし」
「高校からって……偏差値どれくらいよ? もしかして医学部?」
「そう。ちゃんと今生は夢を叶えました」
「でも医学部って……一人前になるまで何年かかるのさ。私、今いくつだと思ってんの?」
「あー、親にはもう、結婚したい人がいるって話してあるし。早く許可もらってさっさと連れて来いって
言われてる」
「ちょ、待った! あんた、再会する前から何外堀埋めてんの?」
「おれ、株とかFXで貯金あるし、みゆも子供も余裕で養えるぐらいの収入あるし。それにみゆにここ何年も
彼氏いないの知ってるし」
「いやいやいや。あたしがあんたに靡かないって言うのは考えなかったの?」
「そこは力技で」
「ぎゃああああああーーー!」
「相変わらず煩いな。でもそこが可愛いんだけど。んっ」
「キスでごまかされた」
「もっとキスしたい」
「バカ。あ、なんで500円?」
「みゆに貸した500円、翌日に返してもらう約束したまま死んだから」
「─それか!」
ようやく、タイトルに戻ったところで、ここでおしまい。
どっとはらい。
54:名無しさん@ピンキー
14/04/02 14:01:13.84 Ze2+CoSe
ちょwwwみんな規制中!?
こんなにかわいくてエロいSSが投下されてんのに
5日間放置とかwww
とても楽しめました!
気が向いたらまた書いて下さい!!