13/05/30 20:29:13.43 LUEVqEgv
『歌山グループっていったら…ノブヲくんの実家よね…』
舞衣は歌山グループと聞いて、すぐに「歌山ノブヲ」の姿を頭に浮かべた。
約1年前…場末の歓楽街から抜け出す時、自らを犠牲にして銃弾から守ってくれたノブヲ…
あの日以来、連絡を取っていない「命の恩人」の事が気になり始めた。
『歌山くん…今どうしてるんだろ…会ってみたいな…あたし…あの日のお礼が言いたい…』
舞衣は歌山ノブヲの携帯番号を知っていた。
ポケットの中の携帯をキュッと握り締めながら、舞衣は近々連絡してみようと決意した。
老人ホームで働く手続きを終えた舞衣は、外で待たせていた碧と共に部屋を後にした…
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95:名無しさん@ピンキー
13/05/30 20:29:51.26 LUEVqEgv
ちょうど同じ頃…
午後4時
風華町 市街地
「バッカやろぉ~~~~~~~ぃ!!!」
市街地のパチンコ店前で、女は叫ぶ…
感情を露にしたロングヘアの美女は、周囲の視線も気にせず怒りに任せて叫んだ…
「ふざけるな!!今日の稼ぎが全額飲み込まれるなんてありえるのか!!?」
その日受け取った成功報酬を全額パチンコに使い、全てを失った女は愚痴をこぼす…
そして長い時間路上駐車していたバイクに跨ると、颯爽とその場を後にした。
・・・・・・・・・・・・・・
バイクに跨る黒いスーツ姿の女はアクセルを吹かす…
猛烈なスピードで、市街地を駆け抜け…あっという間に海岸線に辿り着く…
「…無一文だ…グスッ…明日から…私はどうすればいいんだ…」
女は涙ぐみながら、夕日に照らされる海岸線を爆走した…
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96:名無しさん@ピンキー
13/05/30 20:35:53.67 LUEVqEgv
午後8時
市街地 ビジネスホテル
「もしもし、祐一?」
宿泊先のホテルで、舞衣は携帯片手に祐一と会話中…
「ちゃんと食べてる~~?うん、こっちは大丈夫…うん…一段落着いたから…うん…」
舞衣は巧海の停学の理由や、ここ数日で起こった出来事を祐一に説明した。
同時に、巧海の為に1ヶ月だけ風華町へ滞在することも伝えた。
「…うん…ごめんね…ワガママ言っちゃって…うん…ありがとう…」
祐一も巧海の事がとても心配だったらしく…舞衣が巧海の為に風華町へ残ることには賛成という事だった。
「そうね…分かった…うん、巧海の事は任せて…うん…祐一も、勉強頑張ってね…うん…」
また落ち着いたら連絡すると伝え、会話を終える…
「よ~~し!!明後日から新しいお仕事…頑張らないと!!」
舞衣は2日後から始まる新しい生活に備えて、ゆっくり休む事にした。
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97:名無しさん@ピンキー
13/06/02 04:59:05.86 WIO6vZ9p
7月31日 午前9時
ここは、風華町の最西端に位置する場所…
市街地から遠く離れた場所にあるアパート…
築数十年と言わんばかりの古い2階建ての建物…
近代化が進んだ風華町に、未だにこんな物件があるのかと疑ってしまうような古いアパート…
その一室のドアには、小さな表札が掲げられていた。
『久我探偵事務所』
既に日は高く昇り、夏の日差しがさすように照り付ける中…
その表札の掲げられているドアの前で、このアパートの大家らしき中年女性が、朝から呼び鈴を鳴らす…
「久我さ~~~ん!!いるんでしょ~~?久我さ~~~ん!!」
呼び鈴を鳴らしながら、この部屋の住人を呼ぶ大家…
「久我さ~~ん!!今日こそ3か月分の家賃滞納分、払ってもらいますからね~~~っ!!」
ドンドンとドアを叩きながら呼ぶが…一向にこの部屋の住人は現れない…
聞こえてくるのは…セミの鳴き声だけ…
「…ふぅ…本当に居ないのかしら…バイクはあるのに…また来ますからね~~っ!!」
諦めた大家は、渋々その場を去った…
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98:名無しさん@ピンキー
13/06/02 04:59:53.37 WIO6vZ9p
「…去ったか…」
私は布団に包まり大家が去るのを待った…
居留守…
今の私はこの手を使わざるを得なかった…
ショーツ一枚姿の私は、起き上がるとタオルで体の汗を拭く…
そして、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し、喉の渇きを潤した。
「ふぅ…折角成功報酬を得たというのに…ほんの数時間で水の泡…か…」
何気にちゃぶ台の上に置かれた自分の名刺に視線を向ける…
『久我探偵事務所 代表 久我なつき』
「探偵業なんて…止めておけばよかったな…」
住居権事務所として使っているアパートの一室で、私は自分の人生に若干後悔しながら、日々を過ごしていた。
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99:名無しさん@ピンキー
13/06/02 05:04:28.66 WIO6vZ9p
玖我なつき…
職業…私立探偵…
風華学園在学中、静留が関西方面の大学に進学した事で、私達の関係は自然消滅した…
そして、オーファン事件解決後…私は母親と同じ科学者の道を歩む事を決意する。
2年間…私は馴れない勉強を頑張ったが…結果は散々だった…
大学は全て不合格…
所詮私には無理だった…
大学受験失敗を境に、私は母親と同じ科学者の道をキッパリと諦めた。
一応風華学園は卒業したが…卒業後の事など何も考えてなかった私は、どうすればいいのか分からず…
ただ暇つぶしの日々を過ごした。
部屋で少女漫画を読み漁り…
それに飽きたら街に出てウインドウショッピング…
金に困れば…パチンコ三昧…
そんな日々を過ごしていたが…ある日を境に生活は辛くなった。
愛人を作り…家を出て行った父親からの仕送りが途絶えてしまったんだ…
確かに、仕送りは学生の期間のみと約束していたが…正直辛かった…
そして、暇つぶしの日々を過ごしていくうちに…貯金も少なくなり…
そんな時、久しぶりに迫水に出会った。
私の現状を見かねた迫水は、何故か私に探偵職を勧めてきた…
100:名無しさん@ピンキー
13/06/02 05:05:34.50 WIO6vZ9p
私が探偵?
と、当時は思ったが…迫水の説明を聞き、何となく出来そうな気がして…
私は私立探偵事務所を開設することになった。
迫水は、他の探偵事務所や興信所に弟子入りする事を進めてきたが、私は拒んだ。
自分ひとりで…自由で気ままな生活を続けたかったからな…
で、まぁ…私は私立探偵を始めたんだが…
現実は甘くなかった。
探偵業と言えば聞こえはいいが…
入ってくる仕事といえば…浮気調査が殆どで…
ストーカーや、変質者、覗きや痴漢など…性犯罪者の証拠確保など…「汚れ系」の仕事が多い。
最近ではそんな仕事すら少なくなり…安い仕事を多く請け負っている。
最近請け負っている仕事といえば…
行方不明になった飼い犬や飼い猫の捜索…
小中学生がちゃんと学校に通っているか見届け、親に連絡する監視役…
徘徊老人の捜索と確保…
近所同士のケンカの仲裁…など等…
中には溝掃除の仕事を依頼してくる輩もいる。
それは便利屋の仕事だろう…
昨日、成功報酬を受け取った仕事も、行方不明になった愛犬の捜索依頼だった。
仕事も少なく…収入も少ない…だから当然…生活も苦しい訳だが…
私は何とか食いつないでいる…
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101:名無しさん@ピンキー
13/06/02 05:06:47.81 WIO6vZ9p
「しょうがない…家賃分くらい…稼いで来るか…」
私は立ち上がると、洗濯機の中を漁る…
そして、汚れ物の下着を数枚取り出した。
汗で蒸れ蒸れのブラジャーに、汗とオリモノがべったりこびりついたショーツ…
自分の下着の匂いに咽ながらも、綺麗に畳みビニール袋に入れる…
「ふぅ…これで…3万円は固いな…」
可愛い下着集めが趣味の私にとって、下着を売る事には抵抗があったが…
生きていく為には仕方が無い…
ここ数ヶ月で、私の下着コレクションは殆ど無くなり…
残るは数枚の地味な安っぽい下着のみ…
「いつか大金が入ってきたら…可愛いのいっぱい買ってやるっ!!それまでの我慢だ…」
そして、私はクローゼットから衣装を取り出す…
大切に保存してあった…風華学園高等部の制服…
「もう馴れたつもりだが…流石に恥ずかしいな…」
もう何度目だろう…
21歳にもなって、高等部の制服を着る羽目になるなんて…
誰も居ない部屋で恥ずかしがりながらも、私は制服を着る。
「よしっ!まだまだ大丈夫だな…多分…まだまだイケる…」
鏡の前で自分の制服姿を映しながら、自分で納得すると、私は下着の入った袋を持ち部屋を出る…
「ふぅ…今日も暑くなりそうだな…」
照りつける太陽の光を手で遮りながら空を見上げる…
そして…風華学園高等部の生徒に変装した私はバイクに跨ると、周囲の目を気にしながら
繁華街に向かって走り始めた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
102:名無しさん@ピンキー
13/06/03 21:17:25.03 pDsYLg7D
なつきって出席日数は足りないけど頭脳明晰のはずだぞ
そもそも二年浪人してどこも引っかからないってこの大学定員割れの時代に
しようとしてもできないような快挙だ
103:名無しさん@ピンキー
13/06/04 10:31:47.42 XH3aFtHh
はわわわ…頭脳明晰でしたね、そういえば
なつきちゃんって、ちょっとクールな登校拒否の子っていうイメージがあったので(笑)
設定無視しちゃいました~~すみません。
というか、指摘してくれてありがとうございます♪
読んでもらえてるみたいで嬉しいです♪
104:名無しさん@ピンキー
13/06/04 10:38:16.00 XH3aFtHh
あっ、あと~~「2年間、馴れない勉強を…」というのは~
一応なつきちゃんが高等部2,3年生時という感じで書きました。
改めて読むと「2浪」に見えちゃいますね…これ…
私の説明不足でした、すみません…
文章書くのって難しいです…
105:名無しさん@ピンキー
13/06/06 10:26:59.25 SpjCelwa
午前11時
ここは繁華街の奥…風俗店が立ち並ぶ怪しい通り…
その一角にひっそりと立つ…大人のおもちゃ屋…
その店内に…なつきの姿はあった。
「あのぉ~~♪私の下着を買い取って貰いたいんですけど~~~♪」
卑猥な玩具が所狭しと並べられ…
非合法の無修正DVDが棚にぎっしりと並び…
そして…ビニール袋に梱包された下着や制服が、目線を入れた少女の顔写真入りで陳列されている…
その異様な雰囲気の中、中年男性の店員に若干引きつった笑顔で可愛い女子高生を演じるなつき…
「あ~~~買取ね…本当に高校生?生徒手帳見せてくれる?」
中年男性は鼻に落ちたメガネを直しながら、制服姿のなつきを頭の先からつま先までジックリと眺める…
「せ、生徒手帳ですか~~?はいっ、これでいいですか~~?」
普段の…若干低めの声とは打って変わって…無理やり高い可愛い声を意識しながら話す…
そして、自身の在学時の生徒手帳を若干偽造した物を手渡した。
「え~~っと…玖我…なつきさん…ねぇ…風華学園高等部3年生…はい、いいよ~~」
生徒手帳を返すと、なつきから受け取ったビニール袋を開ける…
そして、なつきが実際身に着けていたブラやショーツを取り出し、ジックリと品定めし始めた。
106:名無しさん@ピンキー
13/06/06 10:27:47.19 SpjCelwa
「う~~ん…結構時間経ってるね~~う~~ん…」
『うっ…そんなにジックリ見るな!!触るな!!気持ち悪い!!』
自分が身に着けていた下着をジックリ見られ…なつきの表情は引きつる…
自分の汗の匂いがタップリ染み込んだブラのカップ…
汗やオリモノ…その他の汚れもタップリ染み込んだショーツのクロッチ部分をジックリ見られ…
なつきは思わず顔を手で覆ってしまう…
「あっ、あのぉ~~お幾になりますか~~?」
最後の一絞りの可愛い声で、なつきは男性に買値を尋ねた。
「うぅ~~~ん、全部で5千円って所かなぁ~~」
「ふっ、ふざけるなぁ~~!!」
想像していたよりも、かなり安い値段に…なつきは思わず本音を口にした。
「わぁああ!!ビックリするじゃないか!!あのねぇ~~これ、いきなり渡されても…君本人の物って
保障はないからね~~~!!まぁ、今この場で…君がブラジャーとパンツを脱いで手渡してくれるのなら、
高値で買い取らせてもらうけどねぇ~~」
「よしっ!!わかった…」
なつきは納得したのか…目を閉じ、うんっと頷く…
そして、制服の前のボタンを外すと…ブラの肩紐を取り…袖からブラをするりと抜いた…
そして、ショーツに手をかけ…ゆっくりと下ろし…足首から抜く…
なつきは、身に着けていたブラとショーツを赤面しながら手渡した。
107:名無しさん@ピンキー
13/06/06 10:28:22.26 SpjCelwa
「ふんっ!これならどうだ!!」
照れ隠しなのか…腕組みをして胸を張り、これでどうだと強気に迫った。
結局、なつきは自分の下着と引き換えに、2万円を得る事に成功した。
「は~~い、写真撮るよ~~笑って~~~」
「え…えへへ…」
店長はデジカメでなつきの顔写真を撮ると、その写真にマジックで目線を入れ…
ピンク色のマジックで、慣れた手つきで「私の下着買ってください♪」と書き…店に陳列する…
「…邪魔したな…」
なつきは、少々病んだ気分になりながらも、店を後にした。
何も履いていない…ノーパンの馴れない感触にモジモジしながら、なつきの姿は路地裏に消えていった…
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
108:名無しさん@ピンキー
13/06/06 10:29:13.12 SpjCelwa
同じ頃…
午前11時30分
「ふぅ~~~結構いっぱい買っちゃったわね~~♪」
市街地にあるデパート前…
人通りの多いデパート前には、大きい買い物袋を抱える舞衣の姿があった。
舞衣は、明日から始まる新しい生活の為の買出しを済ませた…
歯ブラシやタオル、ボディソープなどの生活用品や化粧品…
そして、Tシャツなどの衣類…
特に夏場という事もあり、風華町に来てから下着類に不自由してた舞衣は、ブラとショーツを多めに
購入して、明日からのバイト生活に備えた。
「それにしても…2年間で本当にこの辺、変わっちゃったよね~~」
舞衣は改めて人で賑わう市街地を見回す…
デパートは2年前に比べ店舗自体が大きくなり様変わりしていて…
友人達とよく遊んだカラオケ店は無くなり…
見たことも無いような店が多く立ち並んでいた。
「ここで…よく買い物して…お弁当の材料買って…ここで機種変更して…アイツとお揃いの携帯にして…」
高等部時代の懐かしい出来事を思い出しながら、舞衣は市街地の大通りを進む…
109:名無しさん@ピンキー
13/06/06 10:29:59.56 SpjCelwa
そんな時…
「ね~~彼女!平日の昼間から一人でどうしたの~~?」
スーツ姿の軽薄な男が、舞衣に話しかけてきた。
「はいっ?」
呼び止められた舞衣は、すぐに一枚の広告を手渡される…
「あのさ~~ウチの店で働いてくれる女の子を募集してるんだよね~~」
馴れ馴れしい男の口調にうんざりしながら、舞衣は広告の内容に目を通した…
『お酒を飲んで、お話するだけでOK 誰でも簡単にできる接客業です』
安っぽい広告の謳い文句を読み、ため息をつくと…馴れ馴れしい男に広告をつき返した。
「ごめんなさ~~い、間に合ってま~~す」
スカウトの男を無視すると、舞衣はそのまま通りを進む…
暫く歩き…
「あれっ…ここって…」
いつの間にか、舞衣は風華町唯一の歓楽街に辿り着いていた事に気付いた…
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
110:名無しさん@ピンキー
13/06/06 10:31:32.41 SpjCelwa
正午
風華町 歓楽街
風華町の歓楽街には、2つの大きい通りがある…
一つは、飲み屋が立ち並ぶ「飲み屋街」
そして、もうひとつは…
性風俗の店が立ち並ぶ…怪しい「風俗街」
「一昨日も思ったけど…本当に風華町に…こんな場所があったなんて…」
舞衣は、その怪しい雰囲気に引き込まれるように「風俗街」の通りに入っていく…
通りを進み…路地を曲がり…
様々な看板を眺め…更に路地を曲がり…
個室マッサージ… ファッションヘルス… ピンサロ… ソープランド…
性風俗の店が、所狭しと立ち並んでいた。
昼間から、派手な看板やネオンが毒々しく目立つ街並み…
舞衣はその怪しい雰囲気に、何故か懐かしさに似たものを感じていた。
111:名無しさん@ピンキー
13/06/06 10:32:11.02 SpjCelwa
「何処にでもあるんだ…こういう所…」
欲望ひしめく通りを歩く男達を遠くから眺めながら、舞衣はある事を思い出した…
「この通りに…巧海が行ったお店が…あるのよね?」
自分のせいで巧海が自棄を起こし、風俗通いして現実逃避していた事を思い出してしまった…
「この通りにある…何処かのお店に…巧海が…」
巧海が起こした「無期限停学処分」に心を痛めていた舞衣は、余計な事を思い出してしまったのか…突然の
目眩に襲われた。
「…ダメダメ…深く考えちゃダメ…はぁ、はぁ…帰ろう…もう帰らないと…」
その場に座り込みそうになりながらも、舞衣は何とか正気を保ち…この通りから出ようと試みた。
しかし…
「あれっ?あたし…どこ通ったのかな…確か…この路地を曲がって…」
意外に入り組んだ風俗街の道筋に、舞衣は既に迷子になっていた。
来た道を帰ろうと、舞衣は曖昧な記憶を元に、路地をさまよう…
「え~~っと、ここを真っすぐでいいのよね~~?んっ?こっちかな~~~」
昼間にもかかわらず薄暗い通りを、ネオンの明かりを目印に進む…
112:名無しさん@ピンキー
13/06/06 10:33:55.90 SpjCelwa
そんな時…
「あれっ…今の…女の子?」
路地を進む舞衣の視線の先に、一瞬少女の姿が映った。
「…今の子…風華学園の制服着てたわよね…って事は…高校生!?」
舞衣の視線の先に一瞬映った少女は、風華学園の夏の制服に身を包んだ少女だった。
恐らくは、巧海と年齢が近い少女…
巧海の顔が再び舞衣の脳裏に浮かんでくる…
「高校生が…しかも女の子が何考えてるのよ!!援助交際?売春?ダメダメ!!そんなの絶対ダメ!!」
舞衣は、一瞬姿を見かけた風華学園の制服姿の少女を呼びとめようと小走りで道を進んだ…
「見過ごすなんて出来ない!ここは年上の女性としてビシッと注意しないと!!」
ビルの谷間を小走りで進み…舞衣は何とか制服姿の少女に追いつく事ができた。
「はぁ、はぁ…ちょっと、そこのアナタ!!待ちなさいっ!!」
舞衣は制服姿の少女を呼び止めた。
風華学園の夏の制服姿の少女…
紫色がかった…黒髪のストレートロングヘアの少女…
スラリとしたスレンダーな体型…しかし、女性特有の箇所は豊かに成長したスタイル抜群の体型…
後姿からでも美人と分かる少女は、呼び止められると舞衣の方を振り向く…
「んっ?何だ?」
少女は振り向いた…
その瞬間、お互いはお互いの姿に驚き固まってしまう…
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
113:名無しさん@ピンキー
13/06/06 10:45:49.37 SpjCelwa
「なっ!!?なっ…お前…ま…まさか…舞衣!!?舞衣…なのか!!?」
「へっ?えぇ…?はっ…はいぃぃ~~~~~っ!!?なっ…なつき!!?…アンタ…なつきなの!!?」
「舞衣…やっぱりお前…鴇羽舞衣なのか!!?そうだな!?間違いない…お前…どうしてここに…」
「やっぱり…あっ…アンタこそ…今更、風華学園の制服なんか着て…一体何やってんのよ~~~~!!」
そう…お互いは顔見知りだった。
舞衣の目の前に現れた制服姿の女…
その正体は…風華学園時代、オーファンと共に戦った「元HiME」…
「玖我なつき」 だった…
舞衣に制服姿を問われると、バツが悪そうな表情で思わず顔を背けるなつき…
「こ…これには!!ちょっと深い事情が…」
「昔の制服着ないといけない事情って何なのよ!!?訳分からないし!!」
その時…ビルの谷間を、強い風が勢いよく吹き抜けた…
その瞬間…制服姿のなつきのミニスカートは強風で捲り上がり…
何も身に着けていない…ノーパンの股間部分を見事に晒してしまった。
処理を怠った陰毛や、ワレメ…あられもない秘部を舞衣に晒してしまったなつき…
114:名無しさん@ピンキー
13/06/06 10:47:05.59 SpjCelwa
「ひっ!!?あっ…あぁ…こ、これは…その…ううっ…っ!!」
ヒクヒクと表情を強張らせながら、なつきは目に涙を浮かべる…
「なっ…なつき…アンタ…パンツは…?」
舞衣は唖然とした表情で、なつきの下半身に視線を釘付けにしてしまった。
そして…
「きゃあああああああ~~~~~っ!!イヤぁああああああああああぁ~~~~~~~~~っ!!!」
ビルの谷間に、乙女の甲高い悲鳴が響き渡った…
「はいぃぃ~~~~~~~~~~~っ!!?一体何なのよ~~~~~~~~~っ!!?」
同時に…両手で頭を抑え、訳が分からず混乱して叫ぶ女の声が響き渡る…
舞衣…なつき…数年ぶりの、衝撃の再会だった…
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~