NG騎士ラムネ&40エロパロ 守護騎士4体目at EROPARO
NG騎士ラムネ&40エロパロ 守護騎士4体目 - 暇つぶし2ch140:名無しさん@ピンキー
13/03/06 00:04:30.64 fcpyqHmd
こんな妄想も
シリアスなんだかギャグなんだか…


「お前たち、また言いつけを破りおって!一晩このお仕置き部屋で反省しておれ!」
「「…はーい…」」

「もう、ダ・サイダーのせいだからね!」
「なにおう、オレ様は悪くなあい!そういうレスカこそなぁ……」
ドン・ハルマゲにこっぴどく叱られて、ダ・サイダーとレスカは互いに罪をなすりつけあいつつも、
ひんやりとしたお仕置き部屋で二人、身を寄せ合って心細さと戦った。
「…ちょっと寒いわね。」
「うむ…あ!いい方法考えた。レスカもっとこっち来い、」
「え?あ……っ」

二人を閉じ込めてから小一時間、ドン・ハルマゲは監視モニタを点けた瞬間、
盛大に飲んでいたコーヒーを噴き出す羽目になった。

「あっ、ああ、あん…!」
「はあはあ…う、レスカ…やばい、」
「え、なに、が…あああっ!」
「…っは、もいっかい…」

『ごるああぁぁぁ!!!貴様ら何をやっとるくぅあああああ!!』
「「うわあああっ!?」」

突如スピーカーを隔てて怒鳴りこまれ、ダ・サイダーとレスカは驚いて身を起こした。
その場で裸のまま正座させられ、事の経緯を2人はモニター越しにドン・ハルマゲへと説明する。
「…んで、寒いから温めあおうってダ・サイダーが言って…。」
「そうそう、それで昔なんかの本に雪山では裸で温めあうもんだと…。」
「そしたら変な気持になってきて…」
「気付いたら……なあ?」
ダ・サイダーが同意を求めるようにレスカの方を向き、レスカもそれに合わせて微かに頷いた。
『……。』
黙って聞いていたドン・ハルマゲだったが、内心呆れつつも焦燥感にかられていた。
恋愛関係では辛うじてないものの、このまま二人を一緒にしているといつかは結ばれるだろう。
そうなれば自分の計画に弊害を生む可能性はある。
なんせ、ふたりは強力な光なのだから。
『……お前たちのしていることは生殖行為だ。』
「「……はい。」」
しょぼくれた二人が頭を垂れる。
『年頃の男女がそういうことに興味があるのも分からんでもないが……このような問題を起こしたことは見過ごせぬ。』
「……お仕置きですか?」
呟くダ・サイダーをレスカが不安げに見つめている。
『処分は保留だ。ひとまずは……レスカだけ違う部屋に入れる。一人で一晩頭を冷やせ、よいな!』
ぷつっと通信が途絶えると、壁からロボットアームが2本伸びてきて、一方がレスカを掴んだ。
「きゃあっ!」
「レスカっっ!!」
ダ・サイダーが手を伸ばすが、アームはレスカを捕らえたまま壁面出現した穴の奥へと消えていく。
もう一方はレスカの衣服を集め、壁穴に消えていった。

ドン・ハルマゲは急いで洗脳装置に改良を加えるよう配下に指示を出した。
互いと共に過ごした記憶、および情すら喪失するような仕様にと。

141:名無しさん@ピンキー
13/03/06 01:29:20.42 njPc4+MQ
>>140
いいねーえろいねー!GJ
初体験から激しいw

つかやっぱりこういう展開あるよな!
初めて会った時の様子とか考えると、定期的に恋愛感情消されてたか
一回大きな洗脳か記憶消去があったと考えるのが自然だよね
(小説が後付けとかは置いといてw)

142:名無しさん@ピンキー
13/03/06 08:23:32.27 hYgyQIb8
ナチュラルに妄想出来るナイス展開
これがあっての洗脳は非常に納得ですねぇ
しかし、ドンちゃん完全に父親役だなwww


話はいきなり変わるけど、突拍子もないエロ妄想が浮かんだのでつぶやき
ココアが開発した淫具のテストをカカオがする、というもの
画像でイメージが降ってきて、大変妄想が捗ったわwww
天然攻めココアに天然総受けカカオという何とも締まらない感じだが、とてもエロい
これがホントにやおいだなぁ、とか呟いてみたり

143:名無しさん@ピンキー
13/03/08 00:32:12.57 rnovBtgC
前スレ落ちたな

144:140
13/03/09 01:35:52.27 hxGR4T8x
>>140の>二人を閉じ込めてから小一時間のあたりを投下
ちびダーレスかわゆくて妄想が捗って困る


「……全部脱ぐの?」
服に手をかけながら、躊躇うレスカがダ・サイダーに問いかける。
「おう、多分。」
何も気にせずに上半身裸になったダ・サイダーはベルトを外しながらあっさりと答えた。
「……。」
釈然としないものの、レスカは意を決したように胸元のファスナーを下げた。
成長著しいバストが寒々しい空気に触れ、肌が粟立つ。
「ダ・サイダー、こっち見ないでよ?」
スカートを掴みながら言うと、ダ・サイダーはすっかり服を脱ぎ捨てたようで、
そんなレスカの様子を焦れたように見つめている。
「無理に決まってんだろ!ほら、早く……。」
ダ・サイダーは小刻みに震えながら、恥ずかしがるレスカのスカートを下着ごとずり下ろした。
「きゃあっ!」
「う~、さむさむ!」
反射的に身を縮めようとしたが、ぎゅうとダ・サイダーに抱きしめられ、それは叶わなかった。
背があまり変わらない二人は、抱き合うと色んなパーツがほぼ重なった。
が、思春期の二人は昔とは何もかもが違っていた。
レスカは幾分がっしりとしてきたダ・サイダーの肩幅に驚きと感心を隠せず、
ダ・サイダーはレスカの柔らかく膨らんだ胸部の感触に戸惑いとときめきを覚えた。
さすがに10を越えた年の頃から共に風呂に入ることはしなくなった為、今は裸の付き合いなどはない。
互いの裸をまじまじと観察はしてないものの、触れたところから成長を読み取ることができ、二人は何となく安心した。
それに加えて、ちょっとだけの罪悪感を互いに持つ。

145:名無しさん@ピンキー
13/03/09 01:37:18.85 hxGR4T8x
「うーん……あったかい…?」
「うん…背中は寒ィな……。」
仕方なく、ダ・サイダーはレスカの背に回した手を上下に動かし摩擦してやる。
「やっ!くすぐった…!きゃん!」
レスカはこそばゆさから逃れようと腕の中でもがく。
「こら、暴れるな!少しは温かくなるだろ?!」
「ぷぷぷ…う、ん…きゃは、あはは!」
「ったく、くすぐったがりめ。お前は昔からくすぐりに弱かったよなぁ~。」
なんせ小さい頃から一緒だったのだ。レスカの弱点や苦手なものは良く知っていた。
「ほれっ、相変わらず脇も弱いんだろ?!」
ついでに昔の遊びを思い出して脇の下に手を差し入れる。レスカは背を反り、殊更高い声を上げた。
「やぁ!ダ・サイダー、ちょっと、やめ……あん!」
「あっ?!ご、ごめん!」
暴れたレスカは少年の腕から抜け出そうとし、そうはさせじとレスカを捕らえようとしたダ・サイダーの手が柔らかなものを掴んだ。
無意識に指に力を込めると、鼻にかかる甘い声が耳を突き抜けたのだった。
「バカ……!」
顔を真っ赤にしたレスカがダ・サイダーを睨む。
「だから、ごめんっつっただろ?」
即座に手は離したものの、二人の身体はまだ密着したままだった。
思いがけず触れた乳房の感触はダ・サイダーの手の平に生々しく残っており、なかなか振り切ることはできなかった。
もじもじとレスカが身体を揺らすのを見て、ダ・サイダーはきまりの悪さを感じた。
小さな小さな性的興奮が、下半身へとすぐに伝わり主張を始めてしまっていた。

146:名無しさん@ピンキー
13/03/09 01:37:56.17 hxGR4T8x
「ダ・サイダー…あの、おちん、ちん…。」
「う。しょーがねーだろー……」
下腹部につんつん当たるそれを、レスカは興味深そうに、恐る恐る見下ろす。
はあ、と情けなさで泣きそうになりながらもダ・サイダーはレスカの視線を追うように下を見、
胸元に押し付けられる彼女の乳房をまじまじと見つめた。
ぷるぷる揺れる精神的な殺傷能力の高いマシュマロ―咄嗟に暴走を回避するために、
コレは女のアレじゃないと思い込もうとするが、失敗した。
未熟な性的衝動をコントロールできず、ダ・サイダーはレスカの胸を今度は意識的に触った。
「あ……!?」
「……ごめん。」
手のひらで包むように揉み、レスカの表情をちらりと窺う。
赤く色づいた頬が時折、ぴくんと震えた。
更に大胆に指を動かすと、可愛らしい息遣いが顔にかかった。
「ああっ…ダ・サイダー、あたし、なんか変……!」
「どんな、風に?」
両胸を指で刺激しながら問い返すが、レスカは上手く表現できないようで、泣きそうな顔になる。
「わかんな……頭がぼうっとする…し、むずむずするぅ…!」
「むずむず…ってどこがだよ?」
核心に触れないレスカの訴えに少し苛々しながらダ・サイダーが尋ねる。
「お腹…ん、足のとこ……?ダ・サイダー、助けて。わかんない……。」
レスカはパニックに陥りながら必死に伝えようとするが、ダ・サイダーは無視して胸への愛撫を続ける。
先端の薄紅いところをつまみ、指の腹で潰してみると、レスカは声にならない叫びをあげた。
「…シーッ、誰か来るかもしれんだろ?」
「あうう…っ、やだやだ、我慢できないぃ…!」
レスカがいやいやと首を振り暴れるのをダ・サイダーが窘める。

147:名無しさん@ピンキー
13/03/09 01:39:03.57 hxGR4T8x
「わ、わかった、わかった!……ここ、か?」
レスカの足の付け根の間にするりと右手を滑り込ませると、レスカはびくりと身体を硬直させた。
ダ・サイダーはぎょっと手を引っ込めた。見ると、どろりとした液体が指先を濡らしている。
「わ……、」
レスカは顔を更に赤くし、眉を寄せてそれを見つめている。
ダ・サイダーは逆に感心したようににちゃにちゃと指同士をくっつけたり離したり、粘液で遊びながら、
「こんな濡れてる、てーことは、入りそうじゃねぇ?」
きらきらした目をレスカに向ける。
「何が?」
きょとんとダ・サイダーを見つめかえすレスカをころんと床に寝かせ、ダ・サイダーはにやっと笑った。
「ちんちん!」
「ええ!?だ、ダメよ、そんなの!」
焦って拒否しようとするレスカの足を無理矢理開かせ、ダ・サイダーは自分の下半身を割り込ませた。
「いいじゃん、試してみようぜ。レスカ、お前も興味ありそうにしてたじゃねーか!」
「うっ…で、でもでも。エッチは大人のすることだって…」
「オレ様たちはもう大人だ!お前は胸あるし、オレ様はちんこが大きくなった!」
「そうかなぁ?」
訝しげにダ・サイダーの腹部下をちらりと見るレスカの態度に傷つきながらも、
ダ・サイダーはめげずにレスカの入口に手を伸ばす。
「ひゃん!」
やや渇いたそこを無遠慮に指で触ると、レスカは嫌そうに手でダ・サイダーの肩を押した。

148:名無しさん@ピンキー
13/03/09 01:39:34.87 hxGR4T8x
「そこ、触んないで…。」
「でもココに入れるんだぞ?慣らさなきゃダメじゃ、」
「入れちゃダメー!」
「こら!我が儘いうなレスカ!」
理不尽に叱られ、レスカは涙目でダ・サイダーを睨む。
ダ・サイダーはさらりとその視線を交わし、入口に指を差し入れた。
案外スムーズに指を飲み込むのに、ダ・サイダーもレスカもやや驚いた。
「ん……なんか気持ちわるい。」
「まて、これからだろ……」
くちゅ、と中を掻き回すがレスカは苦い顔を解かない。
「いいから、オレ様に任せておけ…!」
金色の頭を優しく撫でてやると、紅い瞳は少し不安が和らいだように微笑んだ。
指を増やし様子を見たが、レスカは若干違和感を訴えたのみで、ダ・サイダーは行為を続行した。
しばらくして指で内部を探るのも飽き、ダ・サイダーは軽く己自身を扱く。
硬さを得た竿はレスカを貫くべく、ダ・サイダーの手によって入口に導かれた。
レスカが不安そうにダ・サイダーの肩をぎゅっと掴む。
「大丈夫だ、レスカ……、」
その手を優しく握り返し、腰をグッと前へ進めた。
「ああー!」
「うあ、きつっ…!」
痛みに襲われるレスカをあやしながらも、未知の快感に胸を躍らせた。
好奇心と幼い性欲が腰を動かす源で、ダ・サイダーは新しい玩具に没頭するかのように行為に熱中した。
「やああ!ダ・サイダ…ッ!」
ダ・サイダーは己の欲望を満たすことで精いっぱいで、しがみ付いてくるレスカの必死さに応えることはできなかった。
自分だけが気持ちよいように動き、自分だけが満足していく。
それが今、少年のできることだった。

149:姉彼1
13/03/09 01:44:16.84 hxGR4T8x
続きましては
>>114-128のオムニバスの続き
ダ・サイダー編投下です
レスカもダ・サイダーもキャラ崩壊著しいので注意

4、ダ・サイダー

ボトル酒を煽り、注文した腸詰め盛り合わせをじっと睨む。
ガヤガヤと賑やかな店の中で、自分だけが深く深く沈んでいた。
ふー、と息を吐き、またボトルに口をつける。
―失敗した、とダ・サイダーは音に出さずにぼやいた。
そう、先程のは誰が見ても彼起因の失敗であった。
目論見通りに二人きりになり、食前酒をすいすい飲んで早々とほろ酔い状態になったレスカを見て、気が急いた。
頼んだ料理が運ばれるや否や、口に運ぼうとフォークを掴む手をダ・サイダーに握られ、
レスカは照れるより不審気に自分を見つめてきた。
そこでまたギアを入れ間違う。
「ヤろうぜ」と手を引き立ち上がりかけたダ・サイダーに強烈な一打。
怒りに支配された顔のレスカは弁解も聞き入れず、店をでていってしまった。
グサ、とフォークをつやつや脂で光る腸詰めに突き刺す。
全く失敗であった、とダ・サイダーは行き場のない憤りごと腸詰めを噛みちぎった。

―腸詰めを食ってるオレ様も、超、ツメが甘かったぜ……。

一人、笑いも突っ込みも入らないダジャレは何とも虚しい。
レスカは何やら決心したような風でついて来た。
それは汲み取っていたダ・サイダーだったが、レスカが切り出すよりも早く己の封じていたものが噴き出してしまったのだ。
「はあ~……。」
ゆっくり息を吐きだし、酒を喉に流し込む。
通路を歩く店の女を呼び止め、瓶を振って同じものを頼む。
栗色の髪と瞳の女は頬を赤らめ、いやに時間をかけて伝票を書き付けていた。
ダ・サイダーの傍らに立ったまま、ちらちらと上目遣いの視線を寄越す。
「……チーズもくれ。」
熱っぽい視線の意味に気付き、習性か女の容姿をチェックするように視点を滑らせる。
なかなかのスタイルに、愛らしい童顔だ。

150:姉彼2
13/03/09 01:46:22.63 hxGR4T8x
悪い気はせず、しかし食指は動かずに、興味のないふりでダ・サイダーはグラスの水を飲んだ。
口説く素振りのないダ・サイダーの様子に女は諦めたのか、
頬を膨らませて明らかに気分を害した風体でカウンターへ向かって行った。
落胆の色を隠さない女に、ダ・サイダーはやや白けた。
あの女は自分に自信があったのだろう、控えめなアプローチなどではない、
誇示するような身体のくねらせ方もわざとらしい瞬きも、全て計算ずく。
ダ・サイダーの良く知っている、自分に自信がある女は、先程目の前に座っていた。
レスカはあんな媚びるような仕種はしない―猫被り姫モードは別として、
―溢れんばかりの自信を身に纏い、男が好むというよりは自分を良く魅せる方法を確立している。
わかりやすく自分の力を自己をアピールできる女の方が好きだ。
ダ・サイダーは思い、結局はレスカに行き着くのだと苦笑いする。

交際の始まりは、唐突なダ・サイダーの恋心の自覚からだった。
気付いてしまえば話は早く、それはもう坂道を転げ落ちるかのようにハイスピードで自分を取り巻く景色は変化していった。
ほかの女がぼやけ、一人の女だけがビビットに浮かび上がるので、迷う必要はなかった。
ダ・サイダー自身も異常だと思わないこともなかったが、レスカを腕に抱くことの方が優先された。

―カフェオレお姉様と、エッチしてるの?
午前のミルクの言葉が思い出される。

ずけずけ聞きやがって、と苛立ちを繰り返しながら腸詰めをかじる。
問いに対する答えはイエスとノー両方だ。
そう答えればきっとミルクは食いついてきただろう。
馬鹿正直に全てを告白するつもりは、勿論、ダ・サイダーにはない。

151:姉彼3
13/03/09 01:48:05.70 hxGR4T8x
栗色の髪と瞳の女がどん、とボトルと皿をテーブルに置く。
「これ、伝票です。」
「……。」
怒気を漂わせる女から伝票を受け取るが、思い立ち、その手をそっと握ってみた。
「…!あのぉ……、」
満更でもなさそうに 女は頬を染め、はにかんだ。
フッと微笑みを返し、たいていの女が落ちる低めに抑えた声で、
「ありがとう。キミのような可愛らしい女性にサーブしてもらえてオレは幸せだ。
今度はテニスでもしたいもんだ…サーブ、レシーブってな。」
などとうそぶいてやる。
きゃああ、と声にならない声で小さく感激した女は嬉しそうに、耳元に上がりの時刻を囁いて駆けていった。
ふん、と鼻をならし、ダ・サイダーはさっさとボトルを空け、残った腸詰めを平らげ、チーズを隣の席にやり会計を済ませて店を出た。

辺りは賑やかな歓楽街な為、これから盛り上がりを見せる頃だった。
中途半端な酔いの頭を揺らしながら、ダ・サイダーはぶらぶらと街を歩く。
半裸の娘が客引きするのににやけながらも、怪しげな薄布の入口を潜る気は湧かなかった。

女を買ったことはなく、それどころか経験回数ですら片手で足りるダ・サイダーは、
城下街の噂の中では数多の姫君を恋心に堕とし、女を奏でることはお手の物なプレイボーイのイメージも語られている。
わざわざ訂正する必要もなく放っておいたが、一人歩きした噂を耳に入れたレスカにじとっとした目で問い質されたことを思い出した。
あれは付き合う前だったが、嫉妬剥き出しで根掘り葉掘り聞いてくるレスカを心底不思議に思ったのだった。

あてもなく街をぶらつくのも飽きて、ダ・サイダーは戻るかと足を城の方角へ向ける。
相変わらず客引きがダ・サイダーの関心を引くような口上を投げかけてくるが、彼は全く聞いていなかった。
一旦意識が一方へ向かうと周りの音は遮断される。―レスカがそれについて苦言を呈したこともあった。

レスカに謝ろう、とただ心に決めて、道を急いだ。

152:名無しさん@ピンキー
13/03/09 01:49:17.40 hxGR4T8x
たった5回。それで全部だった。

初めてはアルミホエール号の中で、次はアララ城のレスカの部屋で。
ダ・サイダーの部屋、またレスカの部屋、最後が財務大臣の執務室だ。
いつも柔らかな身体を抱きしめるだけで精一杯で、最後まで至ったのはそれだけだった。

情けない話、ダ・サイダーがその気になっても下半身が言うことを聞かなかったこともある。
ずっと触れていたくて、もっと深く奥へと願うのに、思い描いた通りには進められずにもどかしい気持ちでいっぱいで。
胸の中に想いは溢れて蓋が閉まらなくなっているのに関わらず、常に腹は減っているし喉は渇いていた。

ついにダ・サイダーはつきまとう息苦しさから一時的に逃げた。
徐々に熱は下がり、通常の視界を取り戻す。
が、その代償に。

『ダ、ダ・サイダー、あのさ。今日、あた……、』
『あ、おっおう?!王様に呼ばれてっからまたなぁ!』

レスカに対するぎこちなさが残った。
じゃあどうすれば良かったのか、と空に問うが答えは返ってはこない。
自分で絞り出すしかないのだ、結局は。


「……どわっ!?」
暗がりにしゃがみ込む影に、ダ・サイダーは叫び声を上げた。

「なによその態度。失礼しちゃうわね……!」
ダ・サイダーの自室前に膝を抱えたレスカがいた。
じろりと目だけ動かし、ダ・サイダーを睨みつける。
がりがりと頭を掻きながら、仕方のない反応だろうとダ・サイダーは思った。

153:姉彼5
13/03/09 01:51:41.60 hxGR4T8x
「…んな暗い所にしゃがんでっと、オバケかと思うだろーが!……はぁ、いつからいたんだよお前……。」
「あのまま城に帰って……ずっとよ。」
「アホか!部屋入ればいいだろ、肩が冷えてんじゃねえか……。
女は体冷やすのはよくないとバアちゃんがプールに飛び込みながら言ってたぞ?バッチャーン!てな…
あ、や、すまん。オレ様が悪かった!」
レスカが拳を固く握りしめるのを見て、ダ・サイダーは慌てて言った。
「まあ、その……部屋入れよ。」
困惑しながらも扉を開けてレスカに中にはいるように促すが、彼女はしゃがんだまま動こうとしなかった。

仕方なく、名前を呼んで動くように促した。
「レスカ」
「…なんか、言うことないの?」
じっと下から睨みつけてくる瞳を逸らせず、ダ・サイダーは唾を飲み込むのが精一杯だった。
話は部屋に入ってからだ、と言うとレスカは渋々といった風に立ち上がり、室内に入った。


ランプのぼんやりとした明るさの中で、ダ・サイダーは外出着をばさばさと脱ぎ捨てていく。
入口で立ち止まったままのレスカはそれをチラチラと見ては頬を赤らめていた。
「スケベめ……オレ様のヌードがそんなにみたいのか?」
「ばっ、違うわよぉ!!」
からかうように言うと、勢いよく否定の言葉と共にハイヒールが飛んできた。
すこーんと頭に直撃し、ダ・サイダーはうごっと呻いて頭をさすった。
「いってえな!スケベ狂暴女!!」
「だーかーら!見たくてみたんじゃないわよっ!あたしのほうが精神的苦痛で慰謝料もらいたいくらいだわっ!」
「んだと!?」
「なによ!?店でのセクハラ発言も併せて倍額とってもいいのよ!?」
レスカに対する恋心から生まれた性欲がセクハラ、と若干ショックを感じながらも、ダ・サイダーはブチ切れたように叫び返した。

「ヤりてえからヤろうって言っただけだろうが!!あの場でひんむいて犯されなかっただけマシと思え!!」
「はあああ!?お、おか…!?ケダモノじゃないの、ケダモノ!さらに慰謝料追加するわよ!?」
「あー金、カネ、金ってなぁ!お前はなんでそんなに意地汚ねぇんだか!
おう、昼間のナントカいう王子様に気に入られて良かったじゃねえか?!金あるし、地位はあるしなっ!」
「はあ…!?」
驚愕の表情を浮かべたレスカは、次の瞬間には目を吊り上げて般若となった。

154:姉彼6
13/03/09 01:52:51.76 hxGR4T8x
ダ・サイダーは思わず身構えたが、すぐにその表情は解かれ、呆れたようなレスカの顔が表れた。
「あっそう……そうね。王子なら服もアクセサリーもバッグも靴も、何でも買ってくれるわよね。
イケメンだし、優しいしどっかの駄洒落バカよりユーモアがあって話も面白いし。」
「ぐっ……!レス、」
何か言い返そうとダ・サイダーが口を開くより先にレスカが言葉を重ねていく。

「あんたなんか中身は幼稚園児だし、浮気性だし、いまいち格好つかないし、
すぐ調子乗るし、馬鹿だしスケベだし救いようのないアホだけど……。」
一息でそこまで言うレスカにダ・サイダーは怒りより先に感心してしまう。
が、内容はまるっきり悪口な為に反撃しようと口火を切る寸前、

「どうしようもなく、……好きよ。」

好き、の部分はごくごく弱く小さい声だったが、ダ・サイダーの胸には染み渡った。
これは夢か?と一瞬頭を過ぎるが、思いつめた顔のレスカが目に入るとそんな思いは失せた。
気付くと、微妙に保っていた距離をずんずんと詰めていた。
手を伸ばせばその髪に、唇に触れられる。
そこまで近づいて、やっぱり躊躇した。

「えー……っと、な……うん。」
口ごもりながら言葉を探す。何を言うべきか、何から言うべきか。
寧ろ、言葉ではっきりくっきり説明がつくことなのか―…
ダ・サイダーはこの時何となく分かった。
先ほどレスカの言った言葉がそのまま、答えだったのだ。
オウム返しの如く伝えるのは自尊心が許さず、しかし浮かんだ言葉を口に出すのは憚られる。
この期に及んで情けない、と己を叱咤し奮い立たせるのを、レスカの次の行動がぽきりと挫いた。

「……もういいわ。」
溜息に紛れた苛立ち含みの呟きを一つし、
少しつま先を上げて、ダ・サイダーの唇に自分のそれを重ねたのだった。
「……!れ、」
「身体にきいてあげる。」
勢いで押し切られたダ・サイダーをベッドに押し倒し、レスカは馬乗りになった。

155:姉彼7
13/03/09 01:53:35.76 hxGR4T8x
***

「……最初の威勢だけな。」
心底がっかりという風にダ・サイダーが口の中で呟く。
汗で額に張り付いた髪をうっとうしげに指ではらい、レスカはダ・サイダーの視線から逃れようとあらぬ方向へ目線をやる。
「……うっさいわね……あんたこそ何よ、すっかり調子でてきちゃってさ!」
はて、そうだったか?などととぼけながら、ダ・サイダーは頭がすっきりとしていることに気付く。
「うだうだ悩むより行動ってか……、してレスカよ。」
「んーん?」
自身の裸の胸を人差指でなぞり下り、終着点を指さしてみせ、
「オレ様の身体にはちゃんと聞けたのかっ?」
にやっと思い切り底意地の悪い笑みを浮かべた。
レスカが顔を真っ赤にして枕を投げつけ、それをダ・サイダーが顔面で受け止めることとなった。
「ふぐっ!」
「死ねバカ!」
枕がぼとりと落ちると、第二撃の燭台が飛んできて、これまたダ・サイダーの顔面に直撃する。
「ぐあ!!」
「…これからじっくり説明してもらうわよ、色々と!」
凄むレスカに対して、ダ・サイダーは表情を僅かに曇らせた。
「……む、善処するがお前が納得するかは知らんぞ?」
「?」
全く自分らしくないことだった、とダ・サイダーは振り返る。
直球ストレート、気の赴くままが自分の信条だったはずだ。
―がめつくて、気が強くて、高飛車で、意外と脆くて、ケバくて、がさつで、でも。
「……惚れてんだろうなぁ……、」
「何ぼそぼそ言ってんのよ?」
「んー?あ~、べっつにィ~?」
せせら笑うダ・サイダーの様子にレスカはカチンと来たらしく、
「!何かムカつく…!」
「あ、ダメ、レスカさん!ギブギブ!うぐぇ…っ!」

一見ベッドの上でじゃれついているようだが、本気の絞め技にダ・サイダーは目の前にお星さまが輝いているのが見えたのだった。

156: 忍法帖【Lv=2,xxxP】(8+0:8)
13/03/09 01:56:36.87 hxGR4T8x
>>152は姉彼4です 抜けてたすみません
残りはラムミルメインのラムネス編で終わり+α投下予定です
もう少しお付き合いください

157:名無しさん@ピンキー
13/03/09 01:59:18.17 hxGR4T8x
何でレベル2……orz

158:名無しさん@ピンキー
13/03/09 23:28:34.71 7VLJCu+t
うおおお投下おつ!!
あとで感想書きに来る!!

159:名無しさん@ピンキー
13/03/10 02:06:55.15 4ldkkQSO
>>144
続き嬉しいぜ
エロガキダ・サイダーwわろす
レスカのことを気遣えないのがこいつらしいよな…初めてだからしょうがないけど…
二人っきりで寄り添って暮らしてきたんだから
こうなるのは超自然な成り行きだな!
くすぐったがりなレスカかわいい
くすぐったい場所は性感帯になるってどっかで聞いた 将来有望だな

>>149
そんなに崩壊してなかったよ
やや全体的にシリアスってだけで…あかほりテンションよりも

ダ・サイダーかっこよすと思ったらとんだヘタレだよw
でもレスカはそれでもいいんだろうな
ちょっと距離を置かれたことで腹をくくるレスカの潔さがかっこいいね

一周回って納得するというじれったさがダーレスらしいわ
他の女をくどいてみてレスカに辿り着くとか!裏三姉妹でこれが欲しかった!
>いつも柔らかな身体を抱きしめるだけで精一杯で
ってのが恋心が先走り過ぎて…ってかんじなのかな
ダ・サイダーもたいがい素直になれないよな
妄想でさえなかなかくっつかない二人w

しかし相変わらずいろんな引き出しがあってすごいな
ラムネス編も楽しみにしてる!
そしてまたダーレスもw

160:名無しさん@ピンキー
13/03/10 13:22:22.06 6JLWd9PA
>>159
感想あざす!

ガキで初めてなら遊びの延長みたいな自分勝手なエッチかなあと思うんだ

あと、小さい頃から一緒だったわりに、ダ・サイダーがレスカをそういう対象として見てるってのがミソだ

つかハルマゲ時代に性交渉があった場合だと、
TV本編前に洗脳(らしきもの)によって恋愛感情リセット&レスカを性の対象とは認識できないことになってる位じゃないと
性格の鈍さ・素直になれないを差し引いてもくっつかないのはおかしいだろ…て思うわ


>くすぐったい場所は性感帯になる
マジか…いい事をきいた

>>149
キャラ崩壊ひどくないなら良かった
ダ・サイダー悩みすぎ&レスカ積極的に行動しすぎかと思ったが、恋でネジが吹っ飛ぶこともあるよな
ほんと妄想でさえ自由にならなくて困るwだがそんなダーレスが好きだ!
いつまでも夫婦漫才やって喧嘩して意地張りあって、でもラブな二人を愛でたいわ

ラムネス編はこれから着手するけど、ラムミルは逆にイチャラブが過ぎる……
ダーレスとはまた違う難しさがあるからなかなか書きはじめが決まらんのよ
うぶなのかプレイボーイなのかいまいちラムネスが固まらない

それとは別に、今夜突発的なダーレス散髪ネタ投下するぜ
エロよりシチュエーションが書きたいことが多いからエロはおまけ扱いになっちゃうよ

161:名無しさん@ピンキー
13/03/10 23:43:48.01 4ldkkQSO
>>160
幼少期は、性的対象はともかく、恋愛感情はあったと思うんだよなー
レスカは「あたしの初恋」で暴露済みだしw

>うぶなのかプレイボーイなのかいまいちラムネスが固まらない
同意同意
天然尻軽ってのとも違うしなあ
どちらかというと策士?
でもぶっちゃけ「最後には結局ミルクとくっつきますよ」的なオチが無きゃ
ほんとにミルク好きなのかも疑問に思う尻軽っぷり

散髪!
その言葉だけで萌えられる!
絶対ダ・サイダーの髪はレスカが切ってるよね的なネタかな?
ネタのみなら(こればっかりでスマン)洗髪ネタもあるのよ
ダ→レスもレス→ダも
レスカは絶対病院で洗ってやってたと思うんだよ
>エロよりシチュ
これまた同意
エロは正直何パターンも書けるほど引き出し持ってないw

162:散髪
13/03/11 02:14:40.72 OrRABjve
>>161
ダ・サイダーはいつも自分で切ってるイメージだった…

てことでダーレス散髪ネタ投下

*****

じょきん。
耳のすぐ横で刃が噛みあう音がし、ダ・サイダーは胸の中で十字を切る。
ばらばらと散らばり落ちる大量の青い毛を見て、「どこが梳く、だ」と泣けてきた。
どうか、レスカが早く飽きますように―悲鳴のような祈りを天に捧げて、ダ・サイダーは思考を止めた。




只今、ダ・サイダー一行はアルミホエール号で宇宙の旅へと繰り出していた。
何というわけでもなく、自分の腰に届く青髪を摘みながら、
「伸びてきたなぁ」とダ・サイダーがぽつりと零した時だ。
ホントねえ、とレスカがまじまじとダ・サイダーの長髪を眺め、ふと目を輝かせて言った。

163:散髪
13/03/11 02:15:33.00 OrRABjve
「あたしが切ってあげる」

ぎらりと銀色に輝くハサミを手に、そんな恐ろしいことを。
ひきつるダ・サイダーが一瞬固まると、肩パットからヘビメタコが飛び出してきて、レスカに喰ってかかった。
「ブスねえちゃん、アンタはセンスも腕もないんだから、ダーリンの綺麗な髪を切るなんて馬鹿なことは考えないで、
自分の鼻毛でも耳毛でも好きなだけ切ってろジャン!」
「んだと!?あったしにそんなモン生えてるわけないだろが、クソ爬虫類!
あんたこそ、その伸びないピンクの人口毛なんざ抜いちまえ!」
「乙女のツヤ髪になんてこと言うジャン!!」
「悔しかったら毛根作ってから言いなさいよ!」
「ま、まあまあ、二人とも…!」
二人を宥めながらダ・サイダーはレスカに向き直る。

「…えーと、レスカ。あのな、オレ様は髪の毛だけは耳の遠いじいちゃんに切ってもらうと決めておるのだ。
すなわち、『髪を切ってくれ』『へ、あ~?』…!」どうだぁ!?」
「ダーリン!!超絶面白いじゃん!!」
「ぬわっははは~!そうだろう、そうだろう!」
「……くっだらな……いいから、お風呂場来なさいよホラ!」
こめかみを抑えて二人のやりとりを見ていたレスカだが、業を煮やしたようにダ・サイダーの耳を引っ張って引き摺って行った。
「ぎゃー!!テストでチラッと解答見せてやるから堪忍してくれ、レスカ~!!」
「そりゃカンニングだろっ!!」
「ドゥワァ~リン~!!ブス姉ちゃんダーリンを放すジャン、ダーリーン!!」
「アンタはここで大人しくしてなっ!!」
ヘビメタコを押し込んだ肩パットをグルグルとガムテープで封じられ、レスカは部屋に置き去りにしていった。

「ダァーリ~~ン!!」
ヘビメタコのくぐもった悲痛な叫びだけが室内に響き渡っていた。

164:散髪
13/03/11 02:17:35.58 OrRABjve


「……さ、服脱いでこのイスに座ってね」

ウキウキワクワクといった感じでレスカはダ・サイダーに散髪の準備を促す。
ケープとタオルを脱衣所から持ってきて、どこから調達したのか腰のシザーバッグにハサミと櫛を入れる。

「ううっ…丸刈りにされちまう…!れ、レスカさん考え直すなら今の内に…」
「ごちゃごちゃ抜かしてないで早くしてよ、もう!」
「はあ……」
覚悟を決め、ダ・サイダーはベルトを外しズボンを下ろそうとしたが、焦ったレスカが止めに入った。

「ちょ、ちょっと!変態!バカ!何脱いでんのよー!?」
「へん…お前が脱げっつったんだろうが!?」
「上に決まってんでしょお!何で素っ裸で散髪すんのよ!?」
「だったらそう言えっちゅうの!そういうプレイかと思ったじゃねえか!」
「なんのプレイじゃ!!」

夫婦漫才のような掛け合いをしながら、ブツクサ言うダ・サイダーは上半身の衣服を脱ぎ捨てた。
引き締まった筋肉が綺麗についた半裸が姿を現し、レスカはどぎまぎと思わず目を逸らす。
「ん……何だ、自分で脱げとか言っときながらよー。このオレ様の美しい肢体に見惚れてしまうとは…!
しかし安心しろレスカよ、お前が未熟なのではない…ああ、美しさとは罪である!」
「グダグダ訳わかんないことを、言ってんじゃねぇ!」
半分は図星なので、ダ・サイダーに当たり散らしながらレスカはケープをばさりと広げた。

165:散髪
13/03/11 02:18:49.23 OrRABjve
半透明のつるんとした素材を首に巻きつけられ、ダ・サイダーは一気に緊張感に包まれる。
「レスカぁ…もう一度考え直してくれー…」
半泣きで訴えるが、レスカは無視してダ・サイダーの頭に巻いたバンダナも取り去った。

「ったく、大げさねぇ!バサバサうっとうしいから梳くだけよ、梳・く・だ・け!
アンタもヘビメタコも、この世の終わりみたいな声出しちゃってさ!あたしの腕を信用しろっつーの……」
「……だって、オレ様は昔お前の部屋でトラ刈りの人形を見たぞ」
「小さい頃と今をいっしょにするんじゃないわよ!いい加減、観念しなさいよね。
時間が勿体ないわ、時はカンネンなり、っていうでしょ」
「ぐ……面白いこと言ってくれるじゃねえか!」
何が琴線に触れたのか、それでダ・サイダーは大人しく椅子に座った。
レスカは満足気にダ・サイダーの背後に回り、適当に髪をすくって見定めるように目を細める。
目の前の大きな鏡で一部始終が見れるので、
ダ・サイダーは彼女の一挙一動にビクつきながら料理されるのを待った。

―長さはあんま変わらないでパッツン、とかだったら修正きくんだけどなぁ……
最悪ボウズ頭か、と溜息をつきながら、ダ・サイダーは鏡の中のレスカを見つめる。
しばらく毛先を矯めつ眇めつしていたレスカだったが、「
よし」と気合いを入れてシザーバックからハサミを取り出した。
いよいよか、とぎゅっと目を瞑ると、細い指がサイドの髪の毛をすっと掬った。

166:散髪
13/03/11 02:21:49.47 OrRABjve
じょきん。

やたら響く音が脳みそを揺らす。

じょきん、じょきん、じょきん。

迷いの全くない動きでサイドの毛を掬っては、切る。

ひやりとした金属の感触が耳を掠める。

じょきん、じょき、じゃきん。

ダ・サイダーは久しぶりに肝が冷えた。

早く終わるのを神に祈る。

この時ばかりは、この世に神様というものが存在することを願った。




「……ん。ね、前髪はどうする?」
そんなレスカの言葉で我に返った。

167:散髪
13/03/11 02:23:02.20 OrRABjve
「……お、おお?!」
恐る恐る堅く瞑っていた目を開けると、そこにトラはいなかった。
サイドのスタイルに変化はさほど見られないように感じ、
訝しがるダ・サイダーの様子に、レスカは機嫌を損ねたようだ。
「何よもう!そんなに警戒する程じゃないでしょ…梳いただけよ、ほんとに。ボリュームがあるのよ、アンタの頭」
やたら大量に刈られたように浴室の床に落ちた髪の毛をちらりと見、再び鏡に向き直る。
疑いの眼差しで鏡ごしに目が合い、レスカは更に怒りのレベルを上げる。
「まだ信じられない訳!?人の厚意を無下にすんじゃないわよ、もう!」
「……あ、いや。うん、思ったより悪くないぜ。でももういいかな~って、」
神経もすり減るし、と軽く言って腰を浮かせてみたが、レスカから立ち上る重たいオーラに大人しく座り直す。

「ま、前髪ねえ……自分でやるからい……あ、いやお願いします」
「オッケー。ったく、前髪のうっとうしいくらい長くなってんじゃない」
勢いに呑まれ、弱い拒絶を引っ込めたダ・サイダーの正面に回り込む。
目にかからないところまで毛先を引き上げては調節し、レスカはしばし悩んだ。

ダ・サイダーはというと、レスカの気迫に押されてはいるが、
意外と悪くはないレスカの腕前に最初の身構えるような心は消え失せていた。
彼女を怒らせるとトラ刈りになるという恐怖はあるが、幾分リラックスして余裕も生まれている。
真剣に毛の長さを見定めようとしているレスカが眼前にあり、悪戯心もむくむくと湧き上がってきた。

168:散髪
13/03/11 02:24:10.65 OrRABjve
「レスカ」
「え?なに」
集中していたレスカがダ・サイダーの問いかけに、ぱっと引き戻される。
「髪の毛が目に入ったようで痛え。ちょっと見てくれ」
「ほんと?どっちの目?」
「……こっち」
左目を軽く瞑って示すダ・サイダーにレスカが顔を寄せた瞬間、唇に噛みつくようなキスが与えられた。
「んん!」
咄嗟に閉じる唇の隙間から舌を捻じ込まれ、こじ開けられる。
口の中を蹂躙した身勝手な舌先に唇の輪郭をなぞられて、歯列をくすぐられて。

やっとの思いでレスカはよろけながら口を離し、それを見てダ・サイダーは楽しげに笑った。
「やーい、引っかかった!」
何か仕掛けてくることはいつもならば予想がついたかもしれなかったのに、
レスカは不覚に思いつつ体勢を整えようと深呼吸する。
「ばか、……あ?」
高鳴る胸を抑えていた手を下ろすと、シザーバッグに指先が触れて異変に気付く。
レスカが顔を上げると、にやにやと笑う男の手にそれは輝いていた。

銀色のハサミ。

169:散髪
13/03/11 02:25:25.86 OrRABjve
「スキあり、レスカ!これは梳きバサミではないがな…うわっははは~!」
シャキシャキとハサミを操りながら、ダ・サイダーは立ち上がり、眉根を寄せるレスカにじり、と近づく。
「さあて、ドキドキハラハラさせてもらいながら切ってくれたお礼でもしてくれようか……」
「ちょ、ちょっと待ってダ・サイダー…!あんたが勝手にハラハラしただけで、
あたしは悪いようにはしてないでしょ?!だから、」
「ええい、問答無用!」
「きゃああっ!」
ハサミが煌めき、一閃、二閃。
何が起きたか分からずぽかんとするレスカに対し、もう二閃、ハサミが襲いかかる。

「な、何…!?」
したの、とレスカが続けるより早く、ハサミの仕事の結果は明らかになった。
ぱら、と服の胸のあたりに切り込みが走ったかと思うと、
次の瞬間には床にばさりと胸部を覆っていた布が落ちた。
支えも覆いも無くなった見事なバストがぷるんとその全貌を露わにした。
へ、と見下ろすと、スカートもその下のショーツごと切り裂かれ、
レスカはあっという間に首元の布と腰回りを残して生まれたままの姿になっていた。
「き、き、きゃああああ!?」
「フッフッフッ……見たか、これぞダ・サイダー流ハサミ術!」
腕で胸を覆いかがみこむレスカを尻目に、ダ・サイダーは得意げに言い放った。

170:散髪
13/03/11 02:35:45.19 OrRABjve
人差指にハサミをひっかけ、くるくると回して再び手に持ち直す。
「さあて、これはもう服とは言えねえよなぁ?要らないものは切りましょう、ってな……」
身体を隠して縮こまるレスカの襟にハサミを入れ、じょきりと切る。
「やっ?!あ、あんたね~!!あ、っ……!」
腰回りに残る服もハサミを入れる。ひやりと肌に当たる金属の感触に、レスカはぞくりとした。

「よし、完~了、っと。どうだ、レスカ?オレ様のハサミ捌きはなかなかのものだろう!?」
「……っく……!ド変態、スケベ、ばかぁ!」
一糸纏わぬ姿になったレスカをダ・サイダーが仁王立ちで満足気に見下ろす。
「う~ん、良い眺めだ。さ、レスカ続きしろよ」
「は、はあ?」
ダ・サイダーの言った言葉の意味が分からず、レスカは呆然と聞き返すが、
ダ・サイダーはさも当たり前のように告げた。
「は?じゃねーだろ、さ・ん・ぱ・つ!ちなみに、弾が3つ残った銃はあと何発撃てるでしょうか?
答え・さんぱつ!これまた最高だろうっ!!」
「だ、だってこの恰好で……、」
渾身のダジャレにリアクションする余裕のないレスカに多少不満を持ちつつも、
とびっきり優しい微笑みで返してやる。

「時間が勿体ないじゃねーか。…時はカンネンなり、ってな?」

171:散髪
13/03/11 02:37:02.32 OrRABjve


「はあ…!ダ・サイダー、あぶ、ないってばぁ」
「手元狂ったらお仕置きするぞ。集中しろよ?」
この状況でどうやって切れというのだと、レスカは身悶えながら思う。
強く乳房を吸われ、腰をしっかりと抱かれて固定されたこの状況で。

ハサミを片手に持ったものの、ダ・サイダーにその脅しはもう効かなかった。
ほら早く切れよ、と囃してくる男の髪を掴むと、それと同時に胸を掴まれた。
剥き出しの身体を晒しているレスカは、どこもかしこもが弱点となっている。
「ほらほら、手がお留守だぜ?」
両胸を下から掬われたぷたぷと上下に揺らされる。
身体を弄ばれながらのレスカの動きは鈍く、ハサミはぶんと宙を切り裂く。
「あっぶね……こりゃあ一生終わらねーぞ」
首をすくめながらも、どこか楽しげに言うダ・サイダーを恨めしく思いながら甘い吐息を漏らす。
痛いくらい過敏になっている胸の頂を弄るのに専念している指を振りほどく気力はなかった。

「……レスカ、お前やる気ねーだろ?!ったく、お前がやりたいつーから快く切らせてやったというに……」
呆れて言うダ・サイダーに、どこが快くだ!と憤慨するも、胸を強めに揉みしだかれて反論は叶わなかった。
「もう、ダメ……は、」
快楽に翻弄されるのにも疲れ、レスカはうわ言のように繰り返す。

―もう許して、と。

172:散髪
13/03/11 02:38:09.33 OrRABjve
「しょうがねーなぁ」
息を一つ吐き、ダ・サイダーがそう言いながら頷いたので、レスカは解放されるものと期待した。
が、
「……ちょっと休憩にするか」
悪魔のような微笑みが自分をとらえていて、戦慄した。

『休憩』だから座れ、と命じられたが、言われなくても膝から崩れ落ちた。
ぺたんとひやりとした床に座り込み、レスカは肩で息をしていた。
乱れた呼吸を整えようとするが、椅子の上から降ってくる嬲るような視線を避けたくて、落ち着かない。

もう髪なんかどうでもよく、この場から逃れたいと思う一心だけがレスカの中にあった。

そんな時に、
「寒くねーか?」
などと呑気に聞いてくる男に対してどうしようもなく怒りが沸き上がった。
「そりゃ寒いわよ…!は、裸だもん」
もっと上手い嫌味を投げつけてやりたいが、思うように頭が働かなくて困った。
その考えを巡らす気の抜けた時を狙ってダ・サイダーが動いた。

173:散髪
13/03/11 02:38:56.53 OrRABjve
「じゃあ、あったまろーぜ」
頭から振りかかる熱い水に、思考は停止した。
シャワーヘッドを向けられているのだ、と気付いたときにはとっくに全身びしょ濡れで。
「ぶ…な、何してくれてんのよ~!?」
「ココは風呂場だからな。あったまる方法っちゃコレしかねーだろ?」
濡れた髪をかきあげ、レスカはダ・サイダーからシャワーを奪おうとする。
が、ひらりと交わされて背後から腕に拘束される。

「ついでに短い毛やらひっついてるから流してやろう」
などと言いながら、レスカの身体に手のひらを這わせていく。
シャワーから流れる温水で切った毛など流れているのだが、いやにじっくりと撫でまわされて爪先で弾かれて。
たまらず呻くが、気にせずに手のひらは身体のラインを滑って行く。

脚の間まで辿り着いた指先は探るように奥へもぐりこんでいく。
何度も繰り返し辿ったであろう軌跡、入口を優しくなぞる。
ひくつく其処へ中指を這わせ、ごくんと唾を飲み込むレスカを焦らすようにひっかくだけ。
「そ、んなとこ…っ」
「綺麗にしないとな」
それでも容易く落ちまいと踏み止まるレスカの背を押すように、貫いた。

174:散髪
13/03/11 02:39:47.34 OrRABjve


もう一本欲しいか、と問い、微かに頷くのを見て指を増やす。
挿入するだけで内部を乱すことのない指にレスカが不満げにダ・サイダーを窺う。
「言えよ」
「……動…して」
征服欲が満たされていくことにより、熱が高まっていく。
抗うより、素直に要求した方がダ・サイダーを悦ばせるとわかっていた―抵抗しても、それはそれで愉しげなのだが。
床に転がったハサミを視界の隅に捉えて、レスカはある願望が産まれたのを振り払おうと頭を振る。
それを見て勘違いしたのか、ダ・サイダーが耳元に囁きかけてきた。

「んだよ、モノ足りねえのか?」
「うあ、っ……ひ、ああ!」
ぐちょぐちょと掻きまわされ、ざらざらとした部分を引っ掻かれる。
「レスカ」
「きもち、いい……」
正直に浮かんだ感想をこぼすと、ダ・サイダーは首筋に口付けを落とした。
レスカを昂らせていく二本の指は奔放で、たまらず悲鳴をあげる。
夢中で腰をくねらせ快感から逃れようとしているのか、耐えようとしているのか分からなくなってしまう。
掴みところを探して無意識に彷徨った手が床に倒れていたシャワーに触れ、上向きに水が噴射された。

「ぶわっ!」
それはダ・サイダーにまともにかかり、履いていたズボンをぐっしょりと濡らしてしまった。
「あ~あ…」
「あ、ごめん…」
濡れた衣服の肌にまとわりつく不快感からか、ダ・サイダーはやや渋い顔をする。
というか、まだ服を身に着けていたことがレスカには意外だったのだが、余計なことは言わないでおいた。
「仕方ねえな……濡れたから脱がなきゃいけないよなぁ?」
わざとらしく理由をつけながら、ダ・サイダーはファスナーを下げた。

175:散髪
13/03/11 02:41:19.51 OrRABjve
―どうせ、ぜんぶ脱ぐつもりだったくせに。
そう思いながら、レスカは自分の中に突き立てられるであろう熱い楔に淡い期待を抱く。
もちろん、ダ・サイダーには気取られぬようにひっそりと。

水分を含んで重たくなったズボンを脱ぎ捨て、ダ・サイダーはレスカを立たせた。
すっかり欲しがっている身体はやけに重たくて、自分のものでないようで。
白いつるんとした壁に手をつくと、乱暴に足を割り開かれた。
「レスカ……」
腰を抱かれ、胸を優しく揉まれる。
ダ・サイダーの唇は熱く湿っていて、それが首筋や背中に何度も落とされる間にも、
硬く猛ったものが内に入りたいとねだるように擦り上げてくる。
脚を伝う透明な蜜が何を意味しているのか知らないわけでもあるまいに。
ごく先端が具合を確かめるように沈みかけては、また付近を刺激する。
非難をこめて後ろを振り返ると、意地悪気な笑み。

「……はやく、入れて」
懇願すると、ようやく遊びに興じていたものが目的の場所へ照準を定めた。
「良い子だ」
たっぷりの色気を含んだ低音がまず耳を犯し、


それからあとは、期待どおりになった。

176:散髪
13/03/11 02:42:40.55 OrRABjve


「どうする?」
「……もういい」
二人で湯船に浸かりながら、ほっと一息。
散髪の続行は断念、とレスカは首を振る。
すっかり心は折れた、というか心底疲れてしまった。
最初の髪を切るのにも集中力と精神力をかなり使ったのだ。
変にならないようにと細心の注意を払ったというのに、この男には全く感謝の心もない。
元はと言えば嫌がるダ・サイダーをレスカが無理に、ということはずだったのだが、そこは似たものカップルである。

「っていうか、あたしの肌にちょっとでも傷がついてたら絞め殺してたわよ?」
「あん?オレ様がそんなヘマすると思ってんのか?」
「信用できないもん」
「んだとぉ?」

そんなやりとりをしながら、レスカはぼんやりあの時の高揚感を反芻するが、すぐに打ち消そうと努力した。
ハサミで服を切られた時、ほんのちょっと興奮してしまったという事実は心の奥底に封印しておく。
ちゃんと気持ちよくしてくれたし、お気に入りの服を切り刻まれたことはチャラだ。
ダ・サイダーが後で疑問に思わないといいが。

結局サイドの髪を梳いただけで、ダ・サイダーの髪は前髪・後ろと長いまま。
後日改めて、とレスカが打診するが、ダ・サイダーは自分でやると突っぱねた。
レスカの複雑な心中を知らずに、ダ・サイダーはあ、と名案が浮かんだようで、

「なんつったっけ、このハサミと櫛いれてるバッグ?素っ裸にこれ巻いてきたら、いつでも切らせてやるぜ、レスカ!」
などと言ってのけた。

怒りでプルプル震えるレスカに気付かず、
ダ・サイダーは「髪切らせるどころか吸ったり揉んだりイカせてもやるぜ!?なはは~!」と上機嫌に笑っている。

「もう絶対絶ッッ対切ってあげないわよ、大馬鹿野郎ーーッ!!」
レスカの魂からの絶叫が狭い浴室内にこだましたのだった。

ちゃんちゃん。

177:名無しさん@ピンキー
13/03/11 14:40:37.27 0y2AnnYv
>>110
遅レスだけど凄く萌えました

178:名無しさん@ピンキー
13/03/11 21:45:31.21 gijtpdsC
>>162
乙鰈
うはwww裸散髪って新しいwww
でもめっちゃアリだな!
二人(プラスメタコ)のじゃれ合いが超かわいかった!
かけあい上手いなー
よくあんなにダジャレをはさめるよ!w
ダジャレで納得するダ・サイダーに超うけたwすごいありそうwww

服切られて興奮するレスカエロいな メンタルエロス!
焦らしプレイももりっそGJ
レスカは焦らすとよりいっそうえろくなるなあ
ハダカシザーバッグハァハァ(*´Д`)
しかしこのダ・サイダーはじつにうまくレスカの手綱を握ってるな
実際レスカはエロでは勝ち目ないよね…

事後のお風呂かわいい
この二人なら、くっつく前に温泉行ってもぶーぶー言いつつ入ってくれそうだな
自分的にはレスカは一緒に風呂とか、エチーより嫌がりそうだと思ってたけど
とにかく乙!今日の仕事中の眠気がふっとんだ!

179:名無しさん@ピンキー
13/03/12 19:00:12.29 w6/d3whs
感想あざーっす
レスカは服破られたりビリビリになったりするのが似合う…

メタコ含めた漫才好きなんだよ!ただ、やりすぎるとダーレスエロからドンドン掛け離れてく罠w
もうエロはスレに投下する目的なのか手段なのか解らなくなってるぜ!

ラムミル書いてたら全然違うネタが降ってきた
旬なネタって一気に書き上げちゃうよね
後ほど投下する
5人の妄想ギャグネタです

180:179
13/03/12 22:23:37.11 2jcUy0JY
では投下
ラムミル・ダーレス要素あり妄想ギャグネタ


「ミルクが」「レスカが」
「「はあ~……」」
ジャンクフードをつまみながら、ラムネスとダ・サイダーはしみじみと溜息をつきあう。
互いの恋人たちは真ん中の姫を連れてカラオケに出掛けていったため、
格好の愚痴りあいタイムである。
一通り日常の不満を吐露した後、だらだらと己の理想を語り合うことになっていた。
「じゃ~さぁ、…こんなんどう?」
ラムネスがやや小鼻を膨らませて妄想を展開させた。

181:179
13/03/12 22:27:20.81 2jcUy0JY
 ***


「ラムネス、はぁい、あ~ん」
下着姿のレスカが豊かなバストを寄せて持ち上げる。
その柔らかそうな谷間にはフルーツが数種盛られており、
ラムネスは舌を出してオレンジをひとつ舐めとった。
魅力的な膨らみはあえて触れずに。
「あん、い・じ・わ・る……」
「ははは……あ、ココア。いつものやつお願いできるかな?」
「はぁい~、ラムネス、どうぞ~」
ココアは短いスカートをめくり、ラムネスを膝枕に誘う。

スカートの中は何も身につけておらず、ラムネスは女の香の強いそこに顔を埋めた。
「うーん…ココアの匂いがするね。もう濡れてるみたいだし」
「ああん!ラムネスぅ~、おとなしくして下さらないと耳かきできませんわぁ」
まんざらでもなさそうに、目を潤ませたココアが色っぽく言った。

「ははは…あれ、ミルクは?ミルクはどこにいるんだい?」
「あたしはここよ、ラムネス……」
浴衣をはだけ、ミルクはにっこりと布団の上で微笑む。

裾をもじもじと指でいじりながら、上目遣いでラムネスを呼ぶ。
「ね、ラムネス…抱いて?お風呂に入ってぜぇんぶピカピカにしたの。…きて」
ミルクに近づいていくと、甘い桃のソープの香りがラムネスに絡みつく。
緩い帯を解いて、ミルクのすべらかな肌を手の平で堪能する。
「ミルク、可愛い。…もっと可愛くしてあげるよ」
「あっ……」
露わになった小ぶりの胸を丁寧に唇で愛し、ラムネスはミルクを布団に押し倒す。
「ラムネス、後であたしの身体も食べてねぇん」
「私も~、ラムネス忘れないでくださいまし~!」
ベッドの上でレスカが、ソファの上でココアがねだるようにラムネスを呼ぶ。
ミルクを布団の上で乱れさせながら、ラムネスはその黄色い声にも応え─

182:妄想
13/03/12 22:28:39.37 2jcUy0JY
***

「あははは…もう身体がもたないなあ…なんて!えっへっへ…うへへへへ!」
「はあ~…まだまだ青いなラムネス、お前という奴は」
鼻で笑いながらダ・サイダーが言う。
「王道ハーレムはロマンなの!!美女に全身全霊で愛され尽くされ、が男冥利につきるじゃん!?」
「ふん、乳くせえガキの性欲まんまで欠伸が出るわい!いいか、男の理想とは……」
ダ・サイダーは得意げに自分の欲望の世界を展開していく。


 ***


ダ・サイダーが自宅である大きな屋敷に戻ると、いつもの通り、美しい微笑みが出迎えた。
「お帰りなさいませ~、あなた~」
清楚なワンピースを纏った、眼鏡なしのココアだ。
「ああ、ココア。今帰った」
引き寄せて口づけると、ココアはぽっと頬を染めた。
「愛い奴め、今日はたっぷり可愛がってやろう…」
「はぁい」

細い腰から尻のあたりを撫でながら廊下を歩くと、女中姿のレスカがお辞儀で迎えた。
「旦那様、お帰りなさいませ!」
「ああ」
「あの、腕によりをかけて作りましたので、たくさん召し上がって下さいね…」
食卓にはレスカの用意したディナーがずらりと並んでおり、ダ・サイダーはココアと談笑しながらそれを平らげた。

「さて、風呂にいくか」
「はい、ではお背中を…」
風呂椅子に腰掛けたダ・サイダーの股間にしゃがみ込んだレスカが夢中で奉仕をする。
「はあ、旦那様ぁ…ん、んん…」
「ほうら、零さず飲め」

レスカで軽く遊び、風呂をでるとココアがベッドルームにナイトキャップの準備をしながら待っていた。
シャワーを使ったらしく、しっとりと肌から立ち上るボディミルクの香がココアの色気をほのかに引き立てている。
「いい子にしてたか?」
後ろから抱きしめ、ローブの合わせから乳房を揉んでやるとココアは小さく喘いだ。
「あなたぁ、もう私……」
「フ……いやらしい子だな」
はらりと落ちたローブの下のしなやかだが豊満なボディを
ダ・サイダーの熱い指がじっくり検分するように滑っていく─

183:妄想
13/03/12 22:29:53.18 2jcUy0JY
***

「…って、正妻ココアかよ!!つうかレスカ召し使いって…」
「ん?!何か問題あんのか?」
「いやあ~~…は、あれ?ミルクは?!」
「あん?ああ…ミルクはな」


 ***


次の日─
「旦那さまー!靴をぴっかぴかに磨いておきましたぁ~!ね、ホラ綺麗でしょ!?」
ミルクが綺麗に磨かれた革靴をダ・サイダーに差し出す。
「本当だな。よしご褒美だ、ほうれ!」
「きゃー!いっぱいケーキ!ドーナツ!クッキイィー!旦那さま、だぁ~い好きっ!」
「はっはっは!」

***

「えええええ!?」
「んだよ、一番相応しい役割を与えてやっただろ?」
「あー、や、まあ…お前の性欲の対象にされるよりはマシかなぁ?!」
ラムネスは悩みながらもどうにか自分を納得させる。
「ったく、人の夢にケチつけやがって」
「ダ・サイダーこそ!」
「てゆーか、どっちもどっちよねえ?」
「ほーんと、馬鹿みたいな夢語ってくれちゃってさ」
「……続きはありますの~?」
「「ん」」
ダ・サイダーとラムネスは顔を見合わせ、その後でゆっくり後ろを振り向いた。
悪鬼のような形相の恋人たちがそこに佇んでおり、
男どもはこの世の終わりのような悲鳴をあげることとなった。

184:妄想
13/03/12 22:30:39.35 2jcUy0JY
***


ばりばりとせんべいを齧りながら、レスカは眉を顰めてボロ雑巾のように転がっている男達をちらりと見る。
「ほんっと男ってバカね」
自分の顔ぐらいの大きさのせんべいを一息に飲み込んで、ミルクは頷く。
「そうそう、自分勝手なエッチ妄想だけは立派なんだから!んぐんぐ…」
緑茶を啜りながら、ほうとココアは一息つく。
「あの続きはどうなるんでしょうかね~…」
「「気になるんだ……」」
姉と妹のジト目に晒され、ココアは不思議そうに首を傾げた。

気を取り直して、レスカは遠い目で宙を見つめる。
「でもさ、確かに理想ってあるわよね。現実とはかなりかけ離れてて悲しい限りだけど……」
自嘲気味に言うと、ミルクがぶんぶんと首を振って同意する。
「そーよね、そーよね!?あたしはね~…」


 ***


「ミルク、ほら。キミの為の満漢全席だよ」
ラムネスが優しく微笑んでミルクをエスコートする。
長いテーブルにずらりと並んだ料理の数々に、ミルクは目を輝かせた。
「嬉しい、ラムネス!大好きっ!」
「さあ、冷めないうちにお食べ、ミルク!」
「うんっ!!」
皿が空になると出来たての次の料理がやってきて、ミルクは心と胃袋がドンドン満たされていくのを感じた。
山と積み重なった皿を見て、ラムネスは感嘆の声をあげる。
「すごいよミルク…!こんなに美味しそうに、たくさんご飯を食べるキミのことを側で見ていられるオレは何て幸せ者なんだ…!」
「まだまだこんなもんじゃないわよ、ラムネス…!」
「ミルク!」
「ああ、ラムネス!」
ひしと抱き合う二人は徐々にボルテージが上がっていき、ラムネスは遂にミルクをテーブルに押し倒した。
「だめ……ラムネスぅ」
「食欲を満たした後は、性欲…だろ?」
ラムネスの手がミルクの胸元へと伸ばされ、5指が悪戯に少女のつつましい膨らみを癒していく。
次第に興奮してきた少年は少女の衣服を脱がし、下着に手を掛け―しかし少女も拒まずにそれを受け入れる。
「……ミルク、愛してるよ」
優しくも情熱的な手や唇がミルクの熱を高めていく。たまらず、ミルクは脚をラムネスの腰に絡め……
「ラムネス!あああ来てえ烈しく!!もっと、もっとおおぉ!」

185:妄想
13/03/12 22:31:27.66 2jcUy0JY
***

「ちょ、ちょっと、落ち着きなミルク!」
「へ?……ああ、入り過ぎちゃったみたい。えへ」
口調が熱を帯びてきたミルクを何とか制し、レスカは呆れ顔で溜息をついた。
「結局は~、ミルクもそこに行き着くんですのねぇ~?」
「あたしはあいつらとは違うわよぅ!愛する人と大好きな食べ物、両方を満たせるのが理想ってだけじゃない!」
「あー…充分酷い妄想だったわよ、悪いけど……」
レスカの物言いにカチンときたミルクが逆に問う。
「じゃあカフェオレお姉さまの、あのアホとの理想のラブシチュエーションを教えて貰おうじゃないのっ!?」
「こっ、こら!なんであいつとの理想を語んなきゃいけないのよ!?冗談じゃないっつの!」
顔を赤くして拒否するレスカにココアがずいと迫る。
「まあ~、お姉さまはダ・サイダー以外の男性とお付き合いなさりたい願望があるんですの~?」
「あって何が悪いっつうんじゃ!…ったく、あたしの理想ってのはねえ……」


 ***


「レスカ様はビューティフル!」
「レスカ様は宇宙一の美女!」
「レスカ様の許においてもらえて幸せです!」
足元には美形がずらりと彼女の寵愛を受けるべく跪いている。
レスカの背後には金銀財宝が山を為しており、彼女の身につける宝石・貴金属は全て最高級品ばかり。
「オーッホホホホ!この世の金といい男と権力はぜんぶあたしのものっ!!跪き、靴をお舐めっ!!」
「レスカ様ー!!」
ワアアッと歓声が上がり、レスカの高笑いがその中心より響き渡っていた―

186:妄想
13/03/12 22:32:34.84 2jcUy0JY
***

「……ワンパターン」
「とってつけたような妄想ですわねえ……」
「やかましいっ!!なんか文句あんのかい!?」
ココアとミルクが疑いの眼差しを向ける中、レスカはブチ切れて二人に掴みかかろうとする。
「きゃー!」
「あらあら、お姉さま~、危ないですわよ~!」
「えっ」
逃げる二人を捕まえようと夢中なレスカは足元の大きな機械に躓く。
「きゃっ!」
「お姉さま~!」
どさっと転んだ姉に素早く駆け寄ったココアは、その両腕にかちゃりと拘束具を嵌めた。
「ちょ、何してん、」
「ポチっとな~」
レスカが顔色を変えたのとほぼ同時に、ココアは鮮やかな手つきでレスカの躓いた機械のスイッチを押す。
瞬間、レスカの身体に電流が流れた。
「ぎゃああ!!」
「お、おねーさま!?」
ミルクが驚愕の表情で見守る中、機械の上部に立体映像が出現した。
レスカがぐったりとうつ伏せているのも構わずに、ミルクとココアはその映像に目が釘付けとなった。

そこに映っていたのは、ダ・サイダーとレスカである。
『レスカ、もっとこっち来いよ』
『うん、ダ・サイダー』
身を寄せ合い、何やらソファの上でいちゃいちゃと喋りながら手を握り合っている。
『レスカ、愛してる』
『……あたしも』
見つめ合い、互いの唇を重ねる。バードキス、といった口付けであった。
それから二人は膝枕で耳掃除をしたり、ぎゅうと抱き合ったり。

187:妄想
13/03/12 22:33:55.53 2jcUy0JY
数分映像を見つめ、ミルクは少し憐みの表情を倒れたままのレスカに向け、それからココアの方を向いた。
「お姉さま、これ……」
「たまたま置いてあった『理想抽出マシン』ですわ~。カフェオレお姉さまの理想はダ・サイダーとのいちゃいちゃでしたのね~」
「ってゆうか、ピュアすぎるでしょ……やることやってる関係のくせに、ナニコレ……」
「…うっさい!!黙んなさいよ、ペチャパイ!!」
涙目のレスカが気力を振り絞って起き上がる。
「何よお!気にしてることを~!!」
「やるってぇの!?」
コンプレックスを刺激され、ミルクがレスカに飛びかかる。

「あらあら~、喧嘩はよくありませんわあ~。……あら、ふたりとも~、大丈夫ですの?」
キャットファイトする二人を諌めようとしたココアの両側に、ラムネスとダ・サイダーがいつのまにやら立っていた。
「なんとかね……」
「酷い目にあった……」
自業自得ですわね、と微笑んだココアはがちゃん、と腕に感じた違和感に一瞬固まる。
「……あら~これは~?」
「ココアだけ披露しないわけにはいかないよね~?」
ラムネスがにっこり笑う。
「ココア、死なば諸共だぜ」
ダ・サイダーがにやっと笑う。
ラムネスの手がスイッチを叩く。
「あれ~~!!」
電流に貫かれたココアが悲鳴を上げ、その場に倒れた。
「さあて、ココアの理想は、どんな……っ」
「こ、これは……」
ラムネスとダ・サイダーが映像を凝視したままフリーズするのを見て、
争いの最中にいたミルクとレスカも吸い寄せられるように上部に浮かぶ立体映像を見つめた。
「……へ」
「えぇ……」
誰しもが困惑と畏怖を覚え、それでも上映中の映像から目を逸らすことはできなかった。
4人の胸中が混沌に飲み込まれていた時、当の本人はすやすやと眠りについていたのであった。

おわり

********

ココア最強だよね!っていう

188:名無しさん@ピンキー
13/03/13 01:03:54.64 GG3og19O
>>180
仕事はえええ!乙!GJ!!
すばらしいエロギャグだったぜ
つかレスカ…不憫なwでもレスカってこういう役回りだよね~w
ラムネスは想像通りだったけど、ダ・サイダーのミルクの扱いにブハッてなったwww
エロくない意味でのペット扱いw

でもミルクは案の定欲望全開だし。エロはなくてもダ・サイダーの妄想でも十分幸せそうだ…
レスカの理想に全俺が泣いた…ある意味ハードル高すぎてw


うん、ココア最強

189:名無しさん@ピンキー
13/03/13 23:58:36.37 bmxoRq0P
>>180
萌えつつ笑った

190:名無しさん@ピンキー
13/03/14 00:23:21.99 NJcPRPQs
>>180
めちゃくちゃ笑ったwGJ!
レスカそれが理想だなんて…そんなんでいいなんて、実現不可能すぎて泣けてくるなwww

やっぱココアは最強だ

191:逆レ
13/03/21 01:48:49.00 kKclTqTU
ダーレス投下します

前提として
・カップル成立前
・レスカキャラ崩壊

なので、苦手な人は名前欄「逆レ」を避けて下さいね
では投下開始

アルミホエール号のいつもの光景。
元仕置きロボが操縦席に座り、その後ろにダ・サイダー・レスカが陣取り、
ヘビメタコを交えたどつき漫才をおこなう―今日もそんな一日、のはずだったのだが。

「うふ……ダ・サイダぁ」
「……は、は、離れろッ……!」
ぐぐぐ、と膝に跨がって腰を擦り付けてくるレスカを引きはがそうとダ・サイダーが頑張っている。
しかし、押し戻す力は通常の半分も発揮されておらず、レスカのやりたい放題になっていた。

ダ・サイダーの腕力を削ぐ元凶は、そのたわわな胸である。
「ああん。ダ・サイダーったら、我慢しないで触ってよ……ホラ、好きなくせに」
ダ・サイダーの胸元に柔らかなそれを押し付け、感触を存分に伝えるように身体を揺らす。
うぐ、と唾を飲み込み耐えるダ・サイダーの頬は赤く、視線を谷間から必死に逸らしている。

「あ、アホ~!早くどけっちゅうに!」
「じゃあベッドでする?あたしはここでも構わないのよ?」
「お前、オレ様の話を聞いとんのか?!」
「ダ・サイダーこそどっちがいいのかハッキリしてよ」
「しない、しない!ずぅえ~ったいしないぞッ!!」
「ふふっ可愛い……いつまでガマンできるかしらねぇ」
「くそ~~っ!!話にならんッッ!!」
ダ・サイダーは顎を上げて鬱憤を宙に投げた。

192:逆レ
13/03/21 01:49:21.21 kKclTqTU
そんな彼の様子に援護射撃をすべくヘビメタコが肩パットから飛び出してきた。
「ヘイ、大ブス姉ちゃん!いい加減ダーリンが迷惑してるのに気づいて、
しつこい誘惑はやめるジャン!みっともないジャン!」
「あ~ら、メタコちゃん。ダ・サイダーが迷惑してるって本気で言ってるのお?ホラ、その証拠に…」
レスカの指がダ・サイダーの股間の膨らみを撫でる。
「ぐっ……!」
「だ、ダーリン……っそんなの生理現象ジャンジャン!
あんたのショボ胸でもなんとかそれぐらいは可能ってだけじゃん!」
「勃たせることができるんなら、満足させてあげられるわ。
人間の女の武器は胸だけじゃないのよん、ヘビメカちゃん!」
「うちはヘビメタコじゃんっ!!」
際どいラインまで裾を捲り、脚の付け根にある『武器』を匂わせると、レスカは妖艶に微笑んだ。
更にヘビメタコが食ってかかるが、レスカはもう空気のように受け流す。

「……ねえ。こんなに硬くなってるわよ?そうとう辛いんじゃない……?」
「何度も同じこと言わせんじゃねー…抱かんったら抱かん!」
「強情、」
ぷうと頬を膨らませてレスカは、それでもダ・サイダーの首筋にかじりついた。
唇と舌、歯を使っての愛撫にダ・サイダーは唇を噛み締めて耐える。
虚になりかける視界は、外部モニターに映る景色によって度々救われた。
もうすぐ、ハラハラワールドに着く。

193:逆レ
13/03/21 01:49:53.21 kKclTqTU
***

2日前、ダ・サイダー達は名も知らない惑星に降り立った。

「ジャングルだな……」
ギャアギャアと鳴く猿か鳥の鳴き声をバックミュージックに、鬱蒼とした森へと足を踏み入れる。
探検、と称して二時間は歩き、その何もなさに辟易していた。

「う…ここから一段と暗くなってるわよ?生い茂りすぎじゃない……ていうか同じ景色で飽きちゃったわ。
食料になりそうなもんもないし、つまんない星ねぇ」
レスカが気味悪そうに言いながら、ダ・サイダーとの距離を縮める。
「だっから、船にいろっつったろ!お前が来たから良いことがあるわけでもなし…」
求めるハプニングとスリルに足らず、こちらも疲労と飽きでイライラしていたダ・サイダーが振り返りざまに怒鳴った。
「何よ、その言い方!」
「お前がブツブツ文句いうからだろうが!」
「ブス姉ちゃんがブツブツなのは厚化粧の肌だけで十分じゃん!」
「あんだと!?誰がブツブツ厚化粧じゃ!」
「シーッ!」
ピタッと足を止めたダ・サイダーはレスカとヘビメタコの言い合いを制止した。
レスカが辺りを窺うと、何やら無数の眼がこちらを見つめていることに気づいた。

囲まれてる、と身構えた瞬間。奴らは姿を現した。

「ち……レスカ、下が―……あ!?」
レスカを庇うように体勢を整えたダ・サイダーが目の前の光景にあんぐりと口を開けた。
「……な、なによコイツら…っ!」
レスカもそれに続いて呆然と目を見開く。

無数の眼の正体は大きな猿たちであったが、その様子が異様だったのだ。
ガサガサと乗っている木の枝葉を揺らし、ダ・サイダー達を観察しながら……腰を振っていた。
一匹がもう一匹の腰を器用に押さえ、覆いかぶさりながら尻に腰を打ち付ける。
そのカップルがざっと十数組は確認できた。

194:逆レ
13/03/21 01:50:25.80 kKclTqTU
交尾、としか言いようがないその姿に、ダ・サイダーもレスカもヘビメタコも時を忘れたようにただ立ち尽くしていた。
我に返ったのはダ・サイダーだ。

「……って、サルの交尾見てる場合じゃねえな。つか、異常な数だ……繁殖期なんかねえ?レスカ?ん、どうした!?」
ぼーっとしているレスカの顔を覗きこむと、レスカははっと正気を取り戻した。
「あ…!ああ、びっくりした……にしても、見せ付けてくるなんて変態猿よねえ……
ダ・サイダー、もう戻りましょ。何もないの分かったでしょ」
「そうだなー」
なんて言いながら、帰りの方向に向かってだらだらと歩く。

と、一行の前に一匹の先程の醜態を晒していた猿と同じ種族の猿が現れた。
すいすいと木に登り、成っていた葡萄のような実をもぎって食べる。
つやつやと光る暗紫の皮ごと口に入れるその姿を見ていると、ダ・サイダーは急激に空腹を感じた。
「あれ、食えんのかな?」
「バカ、やめときなさいよ……猿は食べられるかもしれないけど、お腹壊しちゃうかも」
「ん~まあそん時はそん時で!」
レスカが止めるのも聞かず、ダ・サイダーはよいしょよいしょと木に登って一房取ってきた。
「……本当に食べるの?」
レスカの訝しげな視線も気にせず、ダ・サイダーはぱくりと一つ実を頬張った。
ジューシーな酸味と甘さが口の中に広がり、疲れが少し癒される。
「んまい。レスカも食えよ」
ほれ、と差し出された果実をレスカは引き攣りながら辞退した。
「んだよ、腹も平気だし、美味いぞ?」
「いいわよ、食べちゃって……」

195:逆レ
13/03/21 01:51:03.25 kKclTqTU
とはいうものの、レスカも空腹は感じていたのだ。
ダ・サイダーがすっかり一房食べてしまい、満足げにしている様子をじっと観察していた。
「……本当に大丈夫みたいね?」
食べ終わって10分程経ち、ダ・サイダーに変化が見られないのを確認してから、レスカは先程の実を探した。
「お前な……オレ様は毒味役か」
呆れつつ、レスカが果実を探し当てるのを歩みを止めて待ってやる。

レスカは木に登らずとも腕を伸ばせば取れる位置に果実を見つけて嬉しそうにはしゃぐ。
「な~んだ、木登りしなくて良かったわよ、ダ・サイダー!よ…っと!」
おいしそう、と一粒摘んで躊躇なく口に入れる。
甘味と酸味が心と身体を癒してくれるようだった。
「はいはい、良かったな…って、お前ソレ、さっきのと色微妙に違うぞ?」
「えっ」
よくよく見ると、ダ・サイダーの食べたものは青っぽい紫で、レスカがいましがた口に入れたのは赤紫色だった。
「うーん?熟し加減とか、土壌によるとかじゃないの?ホラ、紫陽花みたいな感じで」
「何だかんだアバウトな奴だな…」
あんなに不審がってた癖に、と心の中で毒づくが、
ダ・サイダーは幸せそうに残りの実も食べるレスカを大人しく見つめていた。

***

異変は、その日の内に起こった。

「ふあ……おやすみぃ」
「大将、オ休ミナサイデゲス!」
「ダーリン、お休みじゃん」
「おう、お休み!」
口々に就寝の挨拶をし、各々の部屋で眠りにつく。
当たり前のごく日常が破られたのは、その一時間。ダ・サイダーの部屋であった。

196:逆レ
13/03/21 01:51:36.31 kKclTqTU
生来の寝付きの良さでベッドに入るなりダ・サイダーは眠りに落ちたはずだった。
ふわふわと夢の中を漂う心地良さに次第に息苦しさが混じり、ついに睡眠を妨害する決定打が振りかざされた。
ダ・サイダーは寝苦しさから逃れようと寝返りを打とうとした―が、うてなかった。
身を襲う圧迫感がいよいよ現実味を増した頃、唇に何かが触れた。
しっとりとして熱い、そしてぷるぷるの感触。

「う……」
小さく呻いて眼をこじ開けると、信じられない光景が広がっていた。
消し忘れたわけでないのにルームライトが仄かに点いているお陰で、目の前の裸体が生々しく迫ってくるようだった。

「ダ・サイダー……抱いて」

裸の胸元を片腕で隠したレスカが自分を膝立ちて、跨いでいた。

レスカのしなやかだが、有無を言わさない動きがダ・サイダーの抵抗を封じる。
脱がしやすく、重ね着などしていない寝巻きの下はもちろん裸の肌だ。
レスカが両手を使っているため、
抵抗の最中にチラチラと視界に入る豊満なバストに理性を持っていかれそうになるが、何とか踏み止まる。
先端の良く熟れた果実が誘うように震えるのをギュッと眼をつぶってやり過ごした。

―いかんいかん!ダ・サイダーよ、お前はこの程度の誘惑に屈する奴だったか!?
まずは、レスカのたくらみ事を暴き……ううう!乳が思考のジャマをお!!

己を叱咤しながらヌードというご馳走に平伏すまいとするダ・サイダーを尻目に、
被るタイプの寝巻きを脱がされると、ダ・サイダーの身につけているものはもはや下着のみ。
ウエストのゴム部分に指をかけたレスカを慌てて止める。

197:逆レ
13/03/21 01:52:28.62 kKclTqTU
「ちょ、ちょい待て!何を企んでおる、何を!?」
「何って……言わせる気?ふふ、イイ事よ、イ・イ・こ・と……」
とろけそうに熱を帯びた眼差しを向け、レスカはダ・サイダーの下着をずり下ろそうとするが、
危機感の増したダ・サイダーはグッと力を込めて許さなかった。

「バカ!レスカのエッチ!スケッチ、ワンタッチ!」
「あは、ダジャレも素敵……」
「えっ。そ、そお?」
レスカが楽しげに笑うのにダ・サイダーはつい気を緩めた。

その隙を見逃すわけはなくて、
「あ……」
するんと脱がされ、遠くに放られた下着を目で追った後、自分の状態に気づく。
全裸のレスカにのしかかられた全裸の自分―どう見ても、いただきますのコース。

「れれれレスカ!待てっ!話し合おう!何でこんなことをするのか、まずは!」
動揺を一切隠せず、ダ・サイダーは少しでもレスカと距離を取るべく身体を捻る。
しかし、その弾みで、レスカはバランスを崩して上体を揺らしてしまった。
「きゃ……っ」
「……っと!」
思わず腕を伸ばし、レスカの腰を支えるが、彼女は妖しく笑ってそのまま上体を倒してきた。
「うおっ!?」
裸の胸に、柔らかな膨らみが二つ。形が変化するほどに押し付けられ、
しっとりと汗ばんだ肌の熱をまざまざと伝えてくる。

「……何で、って?ホント鈍いヤツね……あたしは、」
眼前には潤んだルビーの瞳。
こんな色の、こんな様子の瞳は初めてみた。
覗きこめば覗きこむほど、レスカの闇に取りこまれる、絡め取られる。
サイレンがずっと頭の中で鳴っていたはずだったのに、徐々に遠退いていく。
ごくりと唾を飲み込むが、ひどい喉の乾きには逆効果のようだった。

198:逆レ
13/03/21 01:53:11.62 kKclTqTU
「あたしは、あんたが欲しいの。ダ・サイダー……」
ふっと見せた切なげな表情はいつも通りのレスカのように妖艶さは成りをひそめていた―気がした。
不思議と何か言わなくては、と思い、けれど舌がもつれて上手く行かずに焦りは募る。
降ってくる唇を交わせない位には、頭が麻痺していた。

「ん、んっ……はぅ……」
レスカの唇が付いたり離れたりする度に情けない声が出る。
「ん……んふふ。ダ・サイダーの唇、おいしい……」
嬉しそうに微笑み、何度も唇を重ねてくるレスカを何故か振りほどけず、ダ・サイダーはされるがままになっていた。
キスぐらいならまだ、と考える自分がいたのにも驚きだが、このままではマズイことになるのは必至だ。
やんわりとこの場を回避できる方法……なんて策のがあるのならばとっくにやっている。
ただでさえ、身体へ与えられる刺激によって思考は遮られるというのに。

「ねえ、あんたも限界じゃないの?楽になりましょ……何してもいいのよ、ダ・サイダー」
鼓膜に染み込む甘言に惑わされまいと、ダ・サイダーは自分の腿に爪を立てた。
じわじわ響く痛みが理性を辛うじて繋ぎとめる。
「愉しもう、ダ・サイダー?」
レスカの細い指が股間の痛みを盛り上げるかのようになぞる。
目を閉じ、瞼の裏に過去のお仕置きやら敗北の屈辱などを思い浮かべて必死に耐え―……救世主は現れた。

「…ダぁ~~リン!!」
覚えているのはレスカに噛みつかんばかりのヘビメタコの鬼の形相であった。
その後、ヘビメタコと元仕置きロボの介入によってダ・サイダーの貞操は何とか守られた……らしい。
ごたごたの記憶が曖昧なのも、ダ・サイダーの理性がギリギリでショートした脳みそのせいである。
それはともかく、そのまま気絶したように眠ったダ・サイダーを翌朝から試練が襲うことになった。

***

199:逆レ
13/03/21 01:54:31.03 kKclTqTU
翌朝。
寝たような、寝てないような。
昨夜のことは夢だったのかとぼんやりしたダ・サイダーが作戦室へ行くと、

「おはよ、ダ・サイダー!」
ぱっと花が咲いたように笑ったレスカが駆け寄ってきた。

「おう、レスカ……いぃ!?」
ああやっぱり夢か、とほっと胸を撫で下ろした途端、
ダ・サイダーは突然のレスカの行動に目玉が飛び出んばかりに驚いた。
ダ・サイダーの目の前で、いきなり衣服を脱ぎ始めたのだ。
しかも、下半身の下着……薄ピンクのショーツから。

「昨日は邪魔されちゃったけど、あたしは朝からでもオッケーよ!さ、来てダ・サイダー!」
「なな何しとるんじゃ、お前はぁ~っ!!バカ、早く穿けっ!!」
「あん、いつでも準備オッケーだから入れて。ロボットなんかの目は気にしなくていいわ!」
「そんなん気にする気にしないの問題じゃねー!!」
レスカは昨夜の様子と全く変わりなく、ダ・サイダーに迫ってきたのであった。

「ア、姐サン朝カラ情熱的デヤンスネ……」
「こらっ、ブス姉ちゃんっ!!男に飢えてるからって、無理矢理ダーリンに迫るのはやめるじゃん!」
二人の攻防を傍観者のように見ている仕置きロボに、ダ・サイダーの怒りが向けられた。
「こら、仕置きロボ!!見てないでレスカを何とかしろーっ!!」

「ヘ、ヘイ!デハ、チョットオ縄デ……」
ひとまずレスカを拘束しようと縄をかけようとした仕置きロボだったが、

200:逆レ
13/03/21 01:55:09.28 kKclTqTU
「あにすんだ!!あんた、このあたしに今、何しようとしやがった!?」
「ヒィッ!?」
ギンと睨みつけてくるレスカの怒気に飲まれ、仕置きロボは委縮してしまう。

レスカはその勢いのまま、自分を押さえつけようとしているダ・サイダーをも睨みつける。
「ダ・サイダーもよ!!あたしに何しようってぇの!?スケベな事しようとしたら、タダじゃすまないかんね!!」
「ひっ!?い、いやオレ様は~……」
咄嗟に怯みながら、あれっ、とダ・サイダーはレスカを見つめる。
ぎらぎらと怒りの炎が燃える瞳はいつものレスカだ。

「何かわからんが、正気に戻ったようだな、レス、」
安堵してレスカの上から退いた瞬間。

「だああっ!!」
「ふっふっふ~!ひっかかったわね、ダ・サイダー!それと仕置きロボ!」
がばりと抱きついてきたレスカ諸共倒れこみ、彼女からのキスの嵐を受ける羽目になってしまった。
「くそお!!演技かぁっ!?」
という風に、普通じゃないレスカと通常時のレスカを巧みに使い分ける為、
ダ・サイダー達はレスカを拘束することも叶わず、遂にある人物に泣きついた。

ある人物とはもちろん、アララ王国にいる最強の頭脳をもつ、ココア姫である。

***

201:逆レ
13/03/21 01:55:49.04 kKclTqTU
「はぁ~、状況は分かりましたわ~。それで~、その星で食べた果実とやらはありますの~?」
ダ・サイダー達の切羽詰まった様子とは裏腹に、ココアはおっとりと言う。
「いや、ない……が、葡萄みたいなヤツだったぞ。何かわかんねえか!?」
「そうですわねぇ~、多分こっちの文献に……あらら~、これなんか近いかと」
すぐわかんのかよ…と今更ながらココアの脳の情報量に恐怖を感じつつ。
ちなみに、このココアとの通信中も、レスカはべたべたとダ・サイダーにひっついては性的な悪戯を繰り返している。
ダ・サイダーは通信に精神集中しつつも、レスカとの攻防にも手を休めることはできず、
ヘビメタコや仕置きロボなども微力ながら助太刀している。

「ええと~。恐らくお姉さまは発情期に入っております~。
その星での生殖行為が盛んなのは空気にも性フェロモンに似た物質が含まれているのと~、
先ほどの果実がいわゆる催淫剤の働きをするのですね~。ダ・サイダーさん、頑張ってくださいまし~。」
「はい~……ってオレ様が何を頑張るのだ!!薬か何かねえのか、ココア!?」
勿論人ごとなのだが、あまりに自分の姉が置かれている状況に焦りも感じていない様子のココアに、
ダ・サイダーは血液が沸騰しそうになる。

「はあ~?作れないことはないですが~、アララ王国に戻ってくるよりも~、
お姉さまの気が済むようにされた方が早いかと思いまして~」
ぴく、とダ・サイダーの額に青筋が浮かび上がる。
「……つまり早い話が、オレ様にレスカとやれ、と?」
「んまあ、何て言い方を!お姉さまの気が済むまでダ・サイダーさんがお相手を、と言っているだけですわぁ」
「オブラートに包みながらハッキリ言いやがって!!いいからコイツ正気に戻す準備しておけ、いいなっ!?」
ばん、と外部通信のボタンを叩いて強引に通信を切ると、ダ・サイダーは仕置きロボの方を向いた。

「おい!全速前進でアララ王国に戻るぞ!!」
「ワカッタデゲス!」
それから、と脇にぴったりとくっついて身体を擦りつけてくるレスカをチラッと見る。
「どうしたの?通信は終わったのね、ダ・サイダー?」
レスカは自分の事で妹に相談していたことすら関心がないようで、にっこりと微笑んだ。
邪気のない笑顔に揺さぶられるものがないわけでもないが、
この笑顔も積極的な性行動も、全てあの星でもらった発情期とやらのせいとは。
胸の内にくすぶる思いは残しつつ、ダ・サイダーはまとわりつくレスカを引っぺがした。

202:逆レ
13/03/21 01:57:09.53 kKclTqTU
***

まわれ右の加速、でハラハラワールドへ向かって一日が経っていた。
少なくともあと一日から一日半はかかる距離である。
ダ・サイダーは疲弊した頭と体で前のモニタに映る宇宙空間を見つめていた。
レスカは風呂やトイレに入っている時のみ大人しく、それ以外の時は隙あらば性行為を持ちかけてきた。
お陰で、ヘビメタコも仕置きロボもぐったりとお疲れだ。

「元気ないのね」
ひょいと覗きこんできたのは、その疲れの元凶であった。
「……おう。誰かさんのせいでな、オレ様は片時も気が休まらんのだ」
苛立ち交じりに返すと、レスカは悲しげに声のトーンを落とした。
「そんなに、あたしとエッチしたくないの?」
欲しいとか、抱いてとかは言ってきたレスカだが、
はっきりと行為の俗称を口にしたのは初めてだったので、ダ・サイダーは面喰ってしまう。
わざと合わせずにいた視線を絡ませると、しょげた様に眉を下げたレスカの顔が目に入った。

「し、したくないとか!したい、とか……そういう問題じゃねえって言ってんだろ?!」
泣きそうな彼女の表情に慌ててフォローになりえない事をいってしまう。
「あたしは、ダ・サイダーとしたい。いっぱいいっぱい。ダ・サイダーは、嫌……なの?」
覗きこんでくる憂いを帯びたルビーの瞳に、とくん、と心臓が跳ねた。

「い、嫌じゃな……あ、いや。そうじゃなくて、そうじゃないんだ、レスカ……」
相手が正気じゃないとわかってはいるが、どう伝えたら納得するのだろうかと言葉を探る。
レスカの事は嫌いじゃなくて、でもセックスをしたいかと問われると否定したくなる。

嫌いじゃないなら、抱いてやる余裕くらいあってもいいじゃないかと頭の中で囁く自分もいる。
でも、それは嫌だ。

レスカだから、と。

203:逆レ
13/03/21 01:58:08.16 kKclTqTU
こんなレスカと関係をもって、多分レスカは正気に戻ったら……戻ったらどうなる?
忘れるのか、記憶は持ったままなのか。

そもそも、自分はどっちの方が都合がいいのか?
きっぱりすっぱり忘れられた方がいいのか、
覚えているままギクシャクと二人の関係の形を変えてしまう方がいいのか。
レスカと寝ることの何が嫌かと言われたら、多分、その後の二人がどうなるか想像できない為だ。
想像できない原因は、ダ・サイダー自身もわからない。

「……嫌なもんは嫌だ」
ダ・サイダーは駄々をこねる子供のように一辺倒の答えを告げた。
ごちゃごちゃと浮かぶ思考を纏めるような気力は最早ない。
「それじゃ納得できない……」
拗ねたように紅の瞳がダ・サイダーから焦点をずらす。
しかし、ダ・サイダーの胸を締め付けるようなしおらしさはその時ばかりで、
再びレスカの顔は明るさを取り戻した。

「あ!じゃあ…口でするのは!?ダメッ??」
「ぐ……おっまえな~~~!!」
発情期なんていう厄介な症状のせい、ということを差し引いても、
ダ・サイダーは怒りがふつふつと沸き上がるのを抑えられなかった。
けろっと代替案を提唱するレスカの両肩を掴み、真剣な顔で諭すように言う。

「あのな、レスカ。お前のことは…その~、嫌いじゃあない、うん。けどな、エロいことはダメだ!
そんな簡単にやっていいことじゃねえ。それに……」
ここで一番引っかかっていた事が喉元にせり上がってきた。

204:逆レ
13/03/21 01:59:17.49 kKclTqTU
「お前、は…お、おれ、オレのこと……」
きょとんとした顔でレスカが首を傾げる。
ええい、鈍いヤツめ!と目の前の女を憎たらしく思いながらも、これ以上声を絞り出せずにいた。
何度も何度も発しようと試みるが、てんで駄目で。
終いには察しろ、とレスカの目をじっと見つめる事しかできなかった。

ダ・サイダーの熱い視線を浴びたレスカの頬に朱が差し、彼女は照れたように口を開いた。
「うん……あたしね、あたしねずっと……」
「お、おう……」
言葉が紡がれる度にダ・サイダーは胸中がむず痒くなるのを感じた。
レスカの口からどんな台詞を聞きたかったのか、言わせたかったのか、もうすぐわかるだろう。
知りたいと思った、期待と興奮で高鳴る胸の鼓動の意味を。

「ダ・サイダー の が欲しいの……」
だから、切なげな声色で呟かれたその台詞を、咀嚼して全身に行き渡らせ理解できる言語に再構築した後、
怒りは頂点へと達した。

「……てェんめえぇ~~ッッ……!!」
「え、え、えっ?ダ・サイダー、何で怒ってるのっ?」
さすがのレスカもその怒りのオーラに怯み、縮こまる。

感情の針が振り切れたダ・サイダーはサディスティックな笑みでレスカを見据えた。
「そーおか、そおか!このバカ女が…!だったら望みどおりヤッてやろうではないか……!」
泣いても喚いても、文句言うんじゃねえぞ!と凄むと、レスカは怯えた顔つきで頷いたが、ある種悦びの色を讃えてもいた。
その様子も気に入らず、優しさなど微塵も感じられない所作でダ・サイダーはレスカの腕を掴んで自室へと向かった。

205:逆レ
13/03/21 02:00:15.94 kKclTqTU
***

「脱げ」
部屋にレスカを放り込んでロックをかけ、命令口調で告げる。
「うん」
レスカは従順に頷き、迷いのない動きで腰ベルトを外そうとする。
「全部脱げなんて言ってねえだろ?……パンツだけ脱げよ」
当然だが拒否の意など含まれない素振りに、苛々としながら自分はどっかりとベッドに横たわった。
それ以上は説明もしてやらず、ブーツを脱いで形だけ寛いでみせた。

初めて躊躇の色が表れた彼女は、それでもしばしの逡巡の後、総レースの黒いショーツのみ脱いだ。

「ダ・サイダー……」

振りかえり、ベッドの方へ静かに近寄ってくる。
期待に満ち溢れた、けれどどこか切羽詰まったような表情を直視できなくて、ダ・サイダーは目を逸らす。
ゆっくりとした動作でベッドの脇に跪き、レスカはダ・サイダーの足に頬を寄せた。
ぴちゃ、と肌に伝う濡れた生温かいもの。
熱く湿った吐息がかかり、背筋をびりびりと電気が走る。
欲情の色を讃えたルビーが、冷静さを被った碧を捉えた。

「…ちっ、……来い」
負けたわけじゃない、と誰かに言い訳しながら、ダ・サイダーは熱い身体を受けとめた。

206:逆レ
13/03/21 02:01:32.71 kKclTqTU
***

―ああもう、何でこうなる。
幾度目かの舌打ちをし、ダ・サイダーは指を引き抜いた。
どろっと粘り気のある液体が指の間を伝う。

「んん…ふっ、ああ、ダ・サイダー……!」
脚を大きく広げ、誘うようにこちらを見つめながら頬をシーツに擦りつける女は、
最早自分の知っている幼馴染ではない。
いちいち癇に障る高めの鼻にかかった声が、先へ先へと促してくる。
指を一本から二本へと増やし、手のひらを恥骨に叩きつけるように動かすと、
入口どころか太股にまで蜜が溢れ出てきた。

「あんんっ!はあん、もっと……!」
貪欲に快楽を求める雌の姿に、悲しいかな己の雄の本能が首をもたげてくる。
時間稼ぎのようでしかない指の攻めに、レスカは絶えず悲鳴のような喘ぎで悦びを訴えた。
「ダ・サイダぁ!も、もう…いれて、ねっ…いれてぇ!」
レスカは、すっかり彼を迎え入れる用意の整っている其処を自ら開き、腰を揺らす。
その痴態を眼球に留めるのが耐えられず、
ダ・サイダーは目をきつく閉じ、レスカの衣服に包まれた胸元に齧りついた。
まだ、そうして行為に没頭しているほうがマシであったのだ。

「うあんっ!!だ、ダ・サイダーぁ、あん!」
胸の先端に噛みつき、被服越しに歯でこりこりとした果実を扱いてやる。
片手をもう一つの膨らみの愛撫に充てて、優しさの欠片もない力で揉みしだいた。
「ああっ!」
苦しげに、けれど嬉しそうにレスカが啼く。

207:逆レ
13/03/21 02:02:11.85 kKclTqTU
「……痛ぇのが気持ちいいのかよ?」
面白そうにダ・サイダーが嗤う。
そう口では言いながらも今度は一転、やんわりと胸を撫でてやった。
「う…んん、やだ……」
快感に一歩届かぬこそばゆさに、レスカは眉間にしわを寄せて抗議の意を唱える。
だが、嗜虐心を煽られたダ・サイダーはレスカの望みを叶えてやらず、見当違いの慈しみを与える。
物言いたげなレスカの頬を撫で、脇腹に口づけた。

「あう……」
意図しない飴と鞭に、レスカはもじもじと落ち着かない様子でダ・サイダーをちらりと見た。
―言えよ。
てめえの口で、と瞳で伝える。

これがダ・サイダーにとって、最後の―……最後の確認だった。
が、願いはあっけなく崩れ去ることとなる。

「ダ・サイダー…の、が欲しい……」

「……」

オレの、ね。

なるほど、オレ自身ではなく、オレ の な。

……むかつく、

208:逆レ
13/03/21 02:02:58.70 kKclTqTU
「やあ……っ!ダ・サイダー…!」
腰を掴み、強い力で自分の方へと引き寄せた。
ずっと望んでいた昂りに、レスカが喜びに打ち震える。
すり、と入口付近に竿を擦りつけると、ねっとりとした愛液が僅かに絡みついた。
このままいけるな、などと他人事のように思い、腰を沈める。
「ああ……ダ・サイダー……」
うっとりと自分を呼ぶ声が聞こえ、こめかみがピクピクと痙攣するのがわかった。

「……レスカ」
腰の動きを止め、控えめに背中に手を回しているレスカに問いかける。
「なぁに、」
「ずっと欲しかったんだろ、コレ……」
ぐ、と割れ目に押し付けた亀頭がびくびくと躍動している。
「オレ様の、これ、が」
こく、と浅く頷いて息を乱すレスカに確かめるように。

「うん…ずっと、ダ・サイダーのいれて欲しかった……お願い、はやく……」
懇願するレスカの言葉に、ダ・サイダーはようやく吹っ切れたように目に光が戻る。
「分かった……」
レスカの腰を抱え直して、自身を秘所にあてがう。
昏い欲望を振り払おうと、ちっ、と舌打ちを一つ。
そのまだ見ぬ奥深くへ、腰を進めた瞬間である。

バンっとドアが開き、
「ダーリン!!ここにいたじゃん!?変態ブス姉ちゃんは!?」
「大将~!!ここあサマカラ鎮静剤ガ届イタデゲス!到着マデコレデ凌ギヤショウ!!」
やってきたのはヘビメタコと元仕置きロボであった。
元仕置きロボの手には何やら薬剤入りの注射器。
二人が部屋の状況を理解するのと、ダ・サイダーが動きを停止したのはほぼ同時だったとか……

209:逆レ
13/03/21 02:04:06.24 kKclTqTU
***

ぶすっと不貞腐れた表情のダ・サイダーはココアとの通信モニタに向かい合っていた。
モニタの向こうで、ココアはダ・サイダーに労いの言葉をかける。
「まあまあ、お疲れのご様子で~。もしかして、必要ありませんでしたか~?」
「うぐっ、余計な詮索はせんでいい……ったく、そういう便利なもんが積んであるなら、早く言えっつーんだ!」
ダ・サイダーがバン、と卓を叩くが、ココアは怯みもせずにあっけらかんと言い放った。

「ええ~、申し訳ありませんでしたわ~。かなり前に積んだので忘れていましたの~。物質転送装置の存在を~」
「なんてうっかり女ジャン……ブス姉ちゃんの妹はやっぱりブスで抜けてるジャン!!」
ダ・サイダーの貞操の危機を何とか止めることのできたヘビメタコが、ココアを睨みつけて言った。
ココアは気にも留めずに、「ふと思い出して良かったですわ~」などと呑気な事を言っている。

ココアが鎮静剤をアルミホエール号に送ることができたというカプセル状の装置を、ダ・サイダーは恨めしげに見る。
「つうか、根本的に治す薬のが良かったんだがな……」
「それは~、お姉さまの体液を採取してワクチンを作りますので~…あ、ダ・サイダーさん~」
ココアがふと思いついたように言う。
「何だ?」
「都合よくお姉さまの体液なんか持っていませんこと~?」
「~~っ!!も、も、持ってるわきゃねえだろうぐあああ~~!!」
「だ、ダーリン!?落ち着くジャン、どうしたジャンっ!?」
顔を真っ赤にして突如発狂したダ・サイダーに、ココアは不思議そうに首を傾げたのだった。


おしまい

210:逆レ
13/03/21 02:06:09.61 kKclTqTU
あ、連投引っかからんで良かった

レスカから情熱的に求めるっていいよな…
ダ・サイダーはこの後、レスカの裸が目に焼き付いて一人でモヤモヤムラムラしてりゃあいい

211:名無しさん@ピンキー
13/03/21 22:06:25.11 oF4+CXRz
>>210
いい!!レスカ超絶萌え
TVシリーズみたいに全方向色ボケでもなく
あかほり編みたいに恋する乙女でもない一方向色ボケ、こいつは新たな発見だわw

もうエッチスケッチワンタッチで腹筋崩壊w
ヘタレダ・サイダーわろすwww
しかも存外切なくて、そこが特によかった
好きって言って欲しいダ・サイダーにきゅんきゅんした!
こういう危機に直面しないと浮かび上がらないダ・サイダーの恋心(のようなもの)がいいね~
原作ではダ・サイダーがどんな恋をしてるのか、追求がなかったからなあ
創作し放題の反面、飢えるよな~
こいつはこの先無事にくっついたあと、ここでやっちまわなかったことを後悔するだろうなw
両想いになってもツンツン度がなかなか下がらないレスカに、あの時はもったいないことした…みたいな

寸止めにも切な萌え。でもあそこで止めなきゃラブラブな未来は遠ざかりそうな感じだ

しかしココアwww
とぼけたココアのメガネの裏にダーレスをあやつる黒い糸が見えるぜw

もりっそGJ&乙ですた!

212:名無しさん@ピンキー
13/03/22 20:18:04.11 sR2wpebg
>>188-190
遅ればせながらGJとかサンクス!

>>211
>一方向色ボケにものすごく納得した!211の語彙に嫉妬
エッチスケッチワンタッチ、お風呂に入ってアッチッチ、て若い子は知らんだろね
元ネタ知らんけど

何だかんだダ・サイダーは純情だよ!レスカ萌えなんだぜ!ってのが伝わると嬉しいw

次は>>114-128と>>149-155の続きのラムネス編か、オークションネタ投下かな
ラムネス編はいい加減ぐだぐだと青少年の悩みの展開で、ここに投下?って内容になってきた
30KB過ぎると投下するの大変だから躊躇しちまうぜ

213:名無しさん@ピンキー
13/03/24 01:31:42.05 +XRcgVuS
>>212
長編も読みたいから大歓迎だよ
(もちろんダーレスも!)
ここはラムネのエロってよりラムネの二次を求めてくる人が多いような気がするし…
勝手なイメージだが

無理しないでがんがってくれ!
テカテカして待ってる

214:オク
13/03/24 02:12:37.31 V+6p/fBN
212です
んでは、お言葉に甘えてオークションネタ投下しようか
下記がダメなら名前欄オクで避けてくれ

前提として
・ダーレスカップル成立前
・エロ描写はモブ→レスカくらい
・ツッコミ所満載なのでお手柔らかに

*******

一行が辿り着いたのは、ここ数年で飛躍的に財政が豊かになったという王国だ。
びかびかと目に痛い金色の建物や、外壁に宝石を埋め込んだ屋敷などが連なっている。
「ずいぶん栄えてる国ねえ……歩いてる人の身なりもいいし。」
「うむ……金持ちが多いのかねえ。およ?」
ダ・サイダーがちらっと若い女性二人組に視線をやると、女性たちは黄色い声をあげた。
「ううん、美女も多いし良い街だ……。」
でれでれと相好を崩すダ・サイダーを、レスカは面白くなさそうに膨れっ面で睨んでいた。

「おおお!勇者ダ・サイダー様では!?」
「ああ、本当!?なんと麗しい御姿っ!!」
通行人の一人がダ・サイダーに気付き、突如たくさんの人数がわらわらと一行を取り囲んだ。
「お、おお!?なんと、オレ様の知名度と人気がこの国にも轟いておったとは!
当たり前とは当たり前だが、参ってしまうなこりゃあ!ぬわっははは~!」
「イエーイ、ダーリン!さっすが宇宙一の勇者じゃん!ワンダフルじゃん!!」
「ダ・サイダー様!!酒宴を設けますので、ぜひぜひいらしてください!!」
「きゃああ、こっち向いてー!!」
「一緒に写真をー!!」
もみくちゃにされるダ・サイダーとは裏腹に、レスカは群衆よりつま弾きにされた。
「ぐっ……!!何よ、もう!あたしが誰か分かってないってぇの!?腹立つわねえ~…!」
人々が分からないのも無理はなく、実際に世界を救おうと旅していた『レスカ』の風貌よりも、
『カフェオレ姫』としての姿の方が圧倒的知名度を得ているのだった。
「うわははは~!気持ちいいなぁ~!この国は最高じゃー!!」
「これも全てダァーリンの功績じゃん!エクセレントじゃーん!!」
「そうだろう、そうだろう!!」

この国の王室直々にもてなされ、美味しい料理と美酒、
そして美しい女官達に至れり尽くせりの接待を受けたダ・サイダー達はご満悦であった。
レスカも伝説の勇者ダ・サイダー様のパーティメンバーとして恭しく傅かれ、悪い気はしなかった。
国王、その側近共にダ・サイダーを神の如く丁重に扱い、ダ・サイダーが饒舌に語る数々の冒険談に耳を傾けた。
宴もたけなわ、となったころ、側近の男が王に何やら耳打ちをした。
「さあさあ、どうか我が城にお泊まり下さい。明日、また勇猛なるあなた様の冒険譚をお聞かせ願えますかな?」
初老の王に勧められ、酔いもかなり回った一行は部屋に通された。
もちろんダ・サイダー達は宿など取っていなかったので、この申し出は喜んで受けたのだった。
それぞれ、調度品の美しい豪華な客間に感激し、はしゃいでベッドに倒れ込み。
そのまま心地良い眠りに落ちた―そして翌日。

215:オク
13/03/24 02:13:51.91 V+6p/fBN
ダ・サイダーはずきずき痛む頭より、身体の異常な痺れに驚愕した。
二日酔いや疲労ではこうはならない、と結論を叩きだす。
すなわち、何か盛られたのであろう、と。
ベッドに横になっているのがやっとの身体に力を込めてみるが、反応は鈍い。
そもそも、昨夜眠りに着いた豪奢な部屋ではなく、殺風景な灰色の部屋の中、寝かされているのはやたら豪華なベッドである。
部屋のなかでベッドの豪奢さだけが異質に浮いていた。
窓は天井近くにあり、辛うじて明かり取り程度の面積。
何時間寝ていたかは定かでないが、窓に見える空の色から夕焼け時であることは分かった。
自由の効く首を動かし、近くにレスカとヘビメタコがいないことを確認する。
別々に捕らわれているのだろう。
―目的は何だ?と必死に脳を回転させる。
熱烈歓迎した勇者を薬物か何かで自由を奪い、捕らえる理由……
ざっと思いつくだけで、何かの陰謀に加担させる為か、殺害する為か。
亡きゴブーリキの力が及ぶ国であったという記憶はない。
だとすれば、単独で勇者やアララ王国に恨みを抱いているのだろうか。

思考を巡らせていると、ドアががちゃりと開き、若い男が室内に入ってきた。
ダークグレーのスーツに身を包み、細身で涼やかな目元の襟足がやや長い若い男だ。
華やかな雰囲気ではなく、だがどこか地味とは言えない風貌に、ダ・サイダーは違和感を覚える。
男は、幾分高めのハスキーボイスで告げた。
「勇者様、起きましたか。さ、準備をしてください」
「……何の目的でオレ様達を?」
男はにっこり微笑み、手に持っていた桶から濡れたタオルを取り出し、絞った。
「おい、答え……んむっ!?」
眉間にしわを寄せて男を問い詰めるダ・サイダーの顔を、タオルで拭う。
何しやがる、と口だけは威勢の良いままだが、男は投げつけられる罵詈雑言を気にもせず着々とダ・サイダーの身だしなみを整えていく。
ざっと見た限りだが、男の唯一の装飾具、ブルーサファイアの指輪が細い指が動く度に煌めく。
顔を拭き終えると、衣服に手を掛けてきたので、ダ・サイダーはぎょっと抵抗をする。
とはいっても、重たい手足を僅かに動かしたぐらいで、男の行動に支障はきたさない。
「その薬はしばらく抜けませんので、無駄ですよ。」
「ほお……聞いたことには答えんが、勝手に聞きたかったことを喋ってくれるのな」
これでなんかしらの薬を盛られたことは確定、か。それも、恐らくはこの国の王に。
「まずは身支度をさせてください。全て終わったら、お答はその時に」
さっさと上半身の合わせを開き、脇やら胸やらをタオルで拭われた。
「っち……男に懇切丁寧に奉仕される趣味なんざねえっちゅうに……」
苦虫を噛みつぶしたように呟くダ・サイダーに、男は少し眉を上げ、意味深に微笑んだ。
なるほど、間近でよくよく見ると整った造形……女顔の美形だ、とダ・サイダーは違和感の正体に気付く。
装いと仕草に騙されるが、顔立ちは美しい男だった。

「良いご婦人に買われるのを願っての御支度です、少し我慢なさってください」
ぴく、と片眉が跳ね上がる。
―今、この男は何て言った?
「買われる……だと?」
ダ・サイダーの心に反応した腕がゆっくりと持ちあがる。
男はそれを見て、懐から何やらケースを取り出した。
「おっと、驚異的な回復力です…御見それ致しました。ですが、まだ暫しお眠り頂けないと困りますね……」
唇を歪めてダ・サイダーはちくしょう、と呻く。
慣れた手つきで腕に針をさされ、ゆっくりと薬品を注入された。
ぐらっと視界が傾き、耳に届く音が遠くなっていくのを感じた。
「あと数時間は静かにしていただかないと……」
瞼が閉じる瞬間、男の顔に見覚えがあるのに気付いた。
その顔は確かに、昨夜王の近くで同じように微笑んでいたのだった。

216:オク
13/03/24 02:15:25.21 V+6p/fBN
***


「ん……、」
レスカが身じろぎすると、硬い質感に剥き出しの肩が触れた。
ぼんやりとした頭のまま目を開けると、ごつごつした石畳の上に敷き布が敷かれた場所に横たわっているのが分かった。
「……は?何ここ……。」
昨日はふかふかのベッドで気分良く眠りに落ちたと記憶していたのだが。
良く思いだしてみようと頭の中にある昨夜の行動を探るが、そういえばシャワーはおろか、寝巻に着替えた記憶もない。
「酔っ払いすぎてたのかな……それにしてもここどこなんだろ?」
きょろきょろ見回すが、寝ぼけて他の部屋に……という可能性はありえなかった。
自分が泊った客間の並びに、こんな寒々とした石造りの部屋があるとは思えない。
なにより、目の前には鉄格子がはまっているのだ。
「捕まった、ってこと……。」
はああ、と息を吐き出し、ダ・サイダーとヘビメタコはどうしたのかしらと考えた。
ダ・サイダーの弱みにされた人質の経験はあるが、今回はその線は薄いように思う。
一晩経ってからこんな回りくどい捕らえ方は頭が良いように思えない。
それにチェンの時とは違い、レスカがダ・サイダーの人質として機能すると、この国では理解してないようだったのだ。
昨日の酒宴で、どうも自分はダ・サイダーの情婦と認識されていたようだった。
ダ・サイダーの態度とレスカの容貌を総合して、ごくごく関係の深くない一時の情程度と。
それは心底不快であったが、ちやほやされて気を良くした自分がいたのも事実である。
「ってことは、だ。……あたしの美貌が王様に気に入られた、とか?」
口に出してみたものの、これが正解ならこの扱いは何だ。
首を捻ってみるが、結論は出なかった。

ガシャン、と音がしたのでレスカが振り向くと、鉄製の重たい扉が開いて、一人の男が顔を覗かせた。
「お、起きてたか。お姉ちゃん、よく眠れたか?」
軽薄そうだが悪くない顔だ。
レスカは瞬時に品定めをし、それからどう扱うべきかとじっくり観察する。
短く立たせた薄い茶色の髪をいじり、男は鉄格子の前にしゃがみこむ。
「っつっても、こんな石の床の上じゃなぁ?身体、痛かったろ?」
にやにやとレスカの身体を舐めまわすように見る。
使えるかも、とレスカは内心ほくそ笑む。扱いやすそうなバカに見えた。
「そうねえ……昨日寝たのは柔らかいベッドの上だと思ってたんだけど?」
「ああ……勇者様は特別だからベッドで寝れたけどなぁ?」
ふっと笑って男は言う。
ダ・サイダーは特別?あくまで、あたしはオマケ扱いか…!
―目的は恐らくダ・サイダー。どうするのかはわかんないけど…んであたしもついでにってことか。
復讐、生け贄、人身売買、見世物……あとは何だ、と考えた。
「でもあんたみたいな美人、良い値がつくぜ?どうせスケベなオッサンが入札するんだけどな。
大金積んで、イイ女買って、好きにできるって本当羨ましいぜ。」
「あたし、売られちゃうの?」
「そ、大金持ち会員制オークションってやつ。」
人身売買でビンゴか、とレスカは眉を顰めた。
―王様も一枚どころか二枚、三枚噛んでるってことよねぇ。

男は鉄格子に手を差し入れ、レスカの前に包み紙を置いた。
「食え。少しだけど食事だ。」
「……ありがと。ねえ……、」
引っ込んでいく手をそっと握ると、男は目を僅かに見開いた。
「あなた良く見ると、あたしのタイプなのよね……。」
重ねた手の指で男の手甲を擽る。
心もち上目づかいで潤んだ瞳を男に向けて熱っぽく囁いた。
「どうせ売られちゃうんなら……少し遊びましょ?」
片方の手で、胸の谷間がよく見えるように服の胸元を引っ張る。
ぐ、と寄せて強調したバストに男の視線が釘付けになるのを感じた。

217:オク
13/03/24 02:16:36.02 V+6p/fBN
「い、いやあ……商品に手ぇつけたら怒られる、つーか殺されちゃうんだよな……。」
「あん、女に恥かかせる気ィ?……バレなきゃいいじゃない。」
生唾を飲み込みながら男は必死に理性を保とうと身を引きかけるが、ええいとレスカの手が男の手を自慢の胸へと導いた。
「……っ!ば、ばれなきゃいいよな……へへ、」
「あっ!?ああん……っ!」
あっさり陥落した男の手が無遠慮にレスカの乳房を揉む。
形が変わるくらいの強い力で、容赦なく揉み上げられては先端を引っ掻かれ、レスカは思わず喘いだ。
鼻にかかったような喘ぎが男の興奮を煽ったのか、息も荒く、男は空いた手でレスカの腕を力任せに引いた。
「きゃっ!あ、ああっ……!」
がしゃ、と鉄格子に吸い寄せられたレスカを更なる快感が襲った。
鉄の棒と棒の間からこぼれ出た柔らかな乳房を、男は欲情心丸出しの目つきで見る。
「へへ……いい乳しやがって!」
「くぅ……ん!」
誘う為に大きく開いた胸元からこぼれた胸に、男が吸いつく。
ちゅう、ちゅぱ、と音を立てて舐められ、頂を吸われて。
鉄格子にぐいぐいと押し付けられる痛みと、胸の先端に絶えず与えられる辱めに、レスカは我慢ならなくなる。
この野郎、と拳を振り上げるが、何とか思いとどまってレスカは男の頭をぐいと引きはがした。

「んん……そう急がないでよ。ねえ、ちゃんと抱きしめてくれないと嫌だわ。」
「でもなあ……、」
男は迷ってるようでレスカの胸を未練たらしく眺めている。
仕方なしに、レスカは深呼吸をして男の手を取った。そのまま下腹部に導き、下着越しに女の花園への入り口をそっと撫でさせた。
「……はやく、ここに……ちょうだい?」
上目づかいでおねだりの台詞を吐いた。
「……っ……うおお……!」
男の目の色がさっと変わったのが分かり、レスカは身構えた。
ごそごそと慌てて鍵束を取り出すと、鉄格子にかかる錠前に選んだ鍵を差し込み、開く。
勢いよく牢の中に入り込んだ男がレスカの腕を掴んで床に押し倒した。
「……っあ!?」
「……っくそ、たまんねえなぁ……!」
レスカは男を出し抜くタイミングを上手く掴めずに為すがままになってしまった。
首筋に這う舌を心底嫌悪しながら、レスカは足の間に伸びてくる手をなんとかガードする。
それでも蠢く片手を制御できずに、乳房は揉まれ、まるで男の玩具のように扱われた。
取り繕う余裕はあまりなく、レスカの本気の抵抗を受けながらも男は己の欲望に素直に動く。
がちゃがちゃとベルトを外しながら、興奮気味に男が熱い息をレスカに吐きかけてくる。

「はあ……な、俺、勇者ダ・サイダーと穴兄弟になんの?へへ……酒の肴には充分なネタだ。」
下衆な言い方をされ、レスカは何の事を問われているのか分からなくなる。
「お前、何回勇者様のアレ咥えこんだんだ?」
やっぱ歴戦の英雄はアッチも強ぇのか、などと笑う。
この言葉を聞き、レスカは頭が真っ白になった。

―あたしはあいつの女じゃねえっつってんだろ!!

男が舌舐めずりをし、レスカのショーツをずり下ろそうとサイドの紐を掴む。
次の瞬間、レスカの身体には怒りによるエネルギーが満ち、爆発した。


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