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年末特番の時期である。
無論外は寒風が吹き荒んでいるがこの室内に限ればそんなことはない。エアコンと、最終兵器KOTATSUによる
完全防寒が実現している。
この最終兵器、少々難はあるが毎年我が部屋最強の防寒器具として稼動し続けている優等生だ。これで『外に
出たくなくなる』という中毒性さえなければ、全世界に広めることがノーベル平和賞の受賞理由になってもおか
しくないのだが。
そんな愚にもつかないことを考えながら、もう何度観たか分からない若手芸人渾身のネタをぼんやり眺めてい
ると、コタツの向かいに潜り込んでいた彼女があくびをした。
「ふぁーあ、飽きちゃったなぁ」
そうは言いつつも、チャンネルを変える気配はない。卓上にあるリモコンに手を伸ばすのが億劫なのだ。ちな
みにこれは俺も同じである。
ああ、つくづくこの中毒性さえなければ。
「ねえ、何か面白いことしてよ」
「無茶振りにもほどがあるなお前」
年末とは娯楽の少ない期間である。会社や学校といった既存のコミュニティは停止、クリスマスという巨大イ
ベントは過ぎ去り、雑誌やTV番組も通常刊行、通常放送は停止してしまう。こんなに刺激が足りない時期だとい
うのに、番組制作のプロが情熱と理念と理想と、あと大量の予算をブチ込んだ特別番組をつまらないと一蹴する
彼女を満足させられる話題なんてあるわけがない。
嫌がらせに近い彼女の提言を却下してコタツの天板へべったり頬を押し付ける。火照った身体に冷えた天板が
心地良い。ぬるくなったマホービンのお湯を替えに行かないとな、なんてぼんやり考えながらも、コタツから出
るつもりにはならなかった。
「あー、気持ちいい」
「もう。……あ、そうだ」
彼女が何かいいことを考えついたという顔をする。嫌な予感しかしない。
02 「ひとつ、お願いを聞いてくれない?」
03 「ひとつ、ゲームをしない?」
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