甘えんぼうな女の子のエロパロ 糖度14at EROPARO
甘えんぼうな女の子のエロパロ 糖度14 - 暇つぶし2ch332:その01 ◆6x17cueegc
13/12/07 17:34:51.55 p2OfXVug
 年末特番の時期である。
 無論外は寒風が吹き荒んでいるがこの室内に限ればそんなことはない。エアコンと、最終兵器KOTATSUによる
完全防寒が実現している。
 この最終兵器、少々難はあるが毎年我が部屋最強の防寒器具として稼動し続けている優等生だ。これで『外に
出たくなくなる』という中毒性さえなければ、全世界に広めることがノーベル平和賞の受賞理由になってもおか
しくないのだが。
 そんな愚にもつかないことを考えながら、もう何度観たか分からない若手芸人渾身のネタをぼんやり眺めてい
ると、コタツの向かいに潜り込んでいた彼女があくびをした。
「ふぁーあ、飽きちゃったなぁ」
 そうは言いつつも、チャンネルを変える気配はない。卓上にあるリモコンに手を伸ばすのが億劫なのだ。ちな
みにこれは俺も同じである。
 ああ、つくづくこの中毒性さえなければ。
「ねえ、何か面白いことしてよ」
「無茶振りにもほどがあるなお前」
 年末とは娯楽の少ない期間である。会社や学校といった既存のコミュニティは停止、クリスマスという巨大イ
ベントは過ぎ去り、雑誌やTV番組も通常刊行、通常放送は停止してしまう。こんなに刺激が足りない時期だとい
うのに、番組制作のプロが情熱と理念と理想と、あと大量の予算をブチ込んだ特別番組をつまらないと一蹴する
彼女を満足させられる話題なんてあるわけがない。
 嫌がらせに近い彼女の提言を却下してコタツの天板へべったり頬を押し付ける。火照った身体に冷えた天板が
心地良い。ぬるくなったマホービンのお湯を替えに行かないとな、なんてぼんやり考えながらも、コタツから出
るつもりにはならなかった。
「あー、気持ちいい」
「もう。……あ、そうだ」
 彼女が何かいいことを考えついたという顔をする。嫌な予感しかしない。

02 「ひとつ、お願いを聞いてくれない?」
03 「ひとつ、ゲームをしない?」

02を選んだ方 → >>333
03を選んだ方 → >>334

333:その02 ◆6x17cueegc
13/12/07 17:35:18.61 p2OfXVug
「ひとつ、お願いを聞いてくれない?」
 彼女が満面の笑みでそんなことを言ってくる。
「イヤです」
 きっぱりと否定。残念ながら俺は今まさにこの瞬間、最終兵器KOTATSUの強力な依存症に囚われており、自分
のためならまだしも誰かのためにこのポジションを手放すつもりなんてこれっぽっちもないのだ。
 その旨を懇切丁寧に彼女に教えるが全く効果がなかった。
「だって私も一緒だもん。コタツから出たくないの」
「それなら俺の気持ちも分かってくれよ」
「分かるけど、他人事だもの。それにこの部屋の大掃除をしたのは一体誰だと思っているの?」
 この部屋の大掃除をしたのは彼女である。一応普段から掃除をしていたので俺個人としては大掃除なんて必要
ないと考えていたのだが、朝からやって来てレンジフード周りや窓枠なんかの大掛かりな掃除へ積極的に取り組
んでくれたのだ。
 あくまで自主的に
「別にしなくてもよかったのに」
「そう言って日中パチンコに出掛けてたのは誰?」
「……勝ってきたじゃん」
「言い訳しない。それに、あなたと一緒に作業するのがいいからって来たんだよ?」
 こうまで言われては反論の材料も尽きてしまう。観念した俺は肩を竦めて(本当は両手を挙げたかったが依存
症が強まるので断念した)彼女の求めに応じることにした。
「それじゃあ―」

04 「―台所に行って、お茶とみかんを用意してきて?」
05 「―おつかい、して?」

04の方 → >>335
05の方 → >>336

334:その03 ◆6x17cueegc
13/12/07 17:36:32.19 p2OfXVug
「ひとつ、ゲームをしない?」
 思いつきなのか、視線を宙に泳がせながら彼女がそう提案する。俺に不利なゲームを提案するつもりなのだろ
うか。
 それならそれでもいい。暇なのは俺も変わらないし、適当に相手をして時間を潰すのは非常に無意義で有意義
な行為のように思える。
「あ、罰ゲーム付きでね?」
「えー、頑張らないといけないの?」
「だって手を抜いたら面白くないじゃない」
 何事も本気だから楽しい、という考えは一理ある。最近発売されたばかりの大人気アクションゲームなんか
は、オンラインでプレイすると「このゲームのために仕事辞めました!」なんて楽しそうな人がゴロゴロしてい
る。こっちとしても見ているだけならすごく楽しい。真似をしたいとは思わないけど。
「で、何するのさ?」
「ちょっと考えがまとまらないな」
「……思いつきなんだろ?」
「そうだけど、何か問題ある?」
 ジロっと睨むと、キョトンとした表情が返ってきた。いつものことながら計画性という言葉が抜け落ちてい
る。
「いいえありませんとも」
「なんだよかった。……罰ゲームなら簡単に思いつくんだけどなぁ」
 あれとーこれとー、と指を折っていくのを、グーに握り込む前に止める。なんでそんなにすぐに色々思いつく
んだ。
「ねえ、貴方は何やりたい?」
「……やりたくないから罰ゲームなんじゃないか?」
 溜息を吐きつつそう返す。やりたくないような罰ゲームを決めて一生懸命遊ぼうという趣旨にいきなり反して
いる。先のことを考えろとは言わないが、せめてほんの数十秒前の自分の発言くらいは覚えておいてほしい。
「つーかそもそも、俺がやるの前提なのかよ」
「どうせ私が勝つのは目に見えてるし!」
「確かに、俺に勝負運がないのはよく知ってるけど」
 昔から、コイツ相手にジャンケンで勝ち越した記憶がない。それを分かっていて三本先取を仕掛けてくるのだ
からいやらしい。
「せっかくだから罰ゲーム、何するか選ばせてあげるよ」
 彼女の中では俺が罰ゲームをする光景しか見えていないのだろう。何をさせたいのか、と続きを促す。
「えっとね、『辛いの』と『痛いの』、どっちがいい?」
「具体的には?」
「教えたら面白くないから、負けたら教えてあげる」
「……傍若無人って言葉、知ってるか?」
「傍若無人って八方美人と何か関係あるの?」
「お前はそれ以上に自信過剰だよ。……あー、―」

06 「―『辛いの』で」
07 「―『痛いの』で」

06の方 → >>337
07の方 → >>338

335:その04 ◆6x17cueegc
13/12/07 17:36:59.08 p2OfXVug
「―台所に行って、お茶とみかんを用意してきて?」
「……お前、さっき俺が説明したKOTATSU依存症について理解出来てる?」
「もちろん。私も依存症だもの」
 まあいい、俺もちょうど行かないといけないと思っていたところだ。
 この鬼、という捨て台詞と共に未練を断ち切るように立ち上がる。ついでにコタツの中へ新鮮な空気を送り込
むと、彼女が不服そうな顔をした。
「八つ当たり禁止」
「べ、別に八つ当たりなんてしてないし」
「こっちを見て言いなさい」
 俺は敢えて彼女のほうを見ずに、台所までの遥かに近く限りなく遠い道程を進むことにした。

 板張りで足の裏が冷たい中、ヤカンにお湯を沸かして、急須にお茶っ葉を用意して、田舎から送りつけてきた
段ボール箱から適当に5、6個ほどのみかんを用意する。くしゃみも一度や二度ではなかったが、ガタガタ震えて
お祈りの準備を始める頃には準備もすっかり仕上がり、お湯を詰めたマホービンと急須とみかんを纏めて居間に
戻った。
「お疲れ様」
「おかしい、ここはミラーワールドか?」
 居間に入って向かって左側の、俺の定位置に彼女が収まっている。さっきまでは向かい側、向かって右側に
座っていたはずなのだが。
「ミラーワールド? 何の話?」
 彼女は聞き覚えの薄い単語に違和感を覚えながらも何が言いたいかは理解しているようだ。その証拠にニヤニ
ヤ笑っている。
 なんだかちょっと腹が立ったので、天板へマホービンを筆頭とした荷物を降ろすと、さっきまで彼女が座って
いたサイドへ移動すると、ちょっと、と声が掛かった。
「こっちでしょ?」
 彼女は自分の隣をバシバシ叩きながら笑っている。俺は渋々、という表情を顔面に貼り付けてそこへ座った。
「嬉しいくせに」
 こちらへもたれかかってきた。思わず言葉が漏れた。

08 「襲っちゃうぞ?」
09 「……狭い」

08の方 → >>339
09の方 → >>340

336:その05 ◆6x17cueegc
13/12/07 17:37:41.12 p2OfXVug
「―おつかい、して?」
「……また?」
「いいじゃん、別に疲れるわけじゃないし」
「流石にもう頭がぼんやりしてきてるんだけど」
「じゃあコタツから出ればすっきりするんじゃないかな」
 そんなことを言いながら、彼女は手元に置いたままだった二つ折りの携帯ゲーム機のトバドライブスーパー
(略称T-DS)を取り上げると、スリープを解除した。俺もそれに渋々付き合う。ああ、腕が寒い。
 立ち上げたのは最近発売されたばかりのハンスターモンター最新作。『トライギガドス』というロゴと、バカ
デカい短刀が3本組み合わさったエンブレムが浮かび上がると、彼女は早くも行きたいシナリオを選択してい
た。
「待て待て、俺まだログインしてない」
「もう、早くしてよ」
「俺は電源落としてたんだよ」
 ぽちぽちボタンを押しながら進むと、彼女は俺を置き去りにすることもなく待っていた。まあ当たり前だが。
 というのもこのゲーム、プレイヤーに求められるスキルの比重が高いことで有名で、ハングリー・モンス
ター、『ハンスター』と呼ばれる巨大生物の攻撃をまともに受ければプレイヤーが瀕死になってしまうようなバ
ランスで制作されているのだ。装備品を購入して強化すれば多少は補えるものの、上位装備を手に入れるために
は資金や素材を稼ぐために何度も何度も何度も―
「何度も何度も……!」
「えっ?」
「いやゴメン、独り言」
 ―とにかく、何度も同じシナリオをクリアする必要がある。
 普通ならばそうしてプレイヤースキルも自然と磨かれて先へ進めるのだが、彼女は絶望的にゲーム音痴だっ
た。やってもやってもほとんど上達が見られない。プレイ当初、最初のシナリオをクリアするのに3時間かかる
と聞いたときには思わず聞き返したほどだった。普通なら十分もかからないのに。
「じゃあ、『おつかい』ね」
 『おつかい』とは資金や素材を多く獲得しやすいとされているシナリオの一つだ。彼女はこの二週間、このシ
ナリオで手に入る最上級防具の素材集めに勤しんでいるのだった。

 さて、『おつかい』という優しい文言に騙されている諸兄のために、概要を説明しよう。
 まずスタート地点は平原に突如現れた渓谷の底である。『大多数のハンスターは去った』『残りは掃討戦』
『子供のおつかいみたいなものだ』などという司令部と友軍の楽観的な発言を聞き流していると、突如『騙して
悪いが仕事なんでな』と人語を解する上級ハンスターが四方八方からワラワラ湧いてくる。殲滅か、渓谷の底で
ハンスターの海に沈められるかという初心者お断りのシナリオだった。
 慣れてしまえば高威力の時限爆弾と最低限の護身拳銃で簡単に捌ける上に、大量のハンスターが落とすドロッ
プアイテムが実においしいシナリオなのだが、前述の通り彼女のプレイヤースキルは致命的である。画面端で必
死に迎撃するも物量に押し潰されるのが常だった。
 そこで俺が敵を引きつけるアイテムを装備して迎撃、彼女はこちらから攻撃しない限り敵から無視されるアイ
テムを装備して逃げ回る作戦で、素材集めを進めているのだった。

 静まり返った部屋に響くボタン音。俺も彼女も集中していた。

 ……が、静寂は―

10 ―俺の漏らした、あっ、という声で破られた。
11 ―彼女の漏らした、あっ、という声で破られた。

10の方 → >>341
11の方 → >>342

337:その06 ◆6x17cueegc
13/12/07 17:38:29.17 p2OfXVug
「―『辛いの』で」
 痛いのは嫌だ。彼女の辞書に『力加減』という単語は存在しない。シッペでもデコピンでも振りかぶって叩き
つけるのをよく見せられてきた。ついでに言うと、見る以上に体験させられてきた。
「じゃあ正座ね、ほら」
「なんでだよ」
「いいから正座」
 胡座をかいた俺の足をガンガン蹴り始めた。スネが折られる前に折れた。少し尻を持ち上げて正座に座り直
す。
「足の裏が寒い」
「文句言わないの。膝はあったかいんじゃないの?」
 言いながら彼女はコタツの中を覗き込む。そのまま姿を消した……と思ったらすぐにこちら側に頭が突き出て
きた。そのまま俺の膝の上に頭を乗せようとしてきた。素早く後退すると、床に頭をぶつける。うんうん呻いて
いる。
「ザマーミロ」
「なんだって!?」
「ごめんごめん、ついつい心の声が口から出ちゃった」
 後退した拍子に最後の砦たる膝まで外に出てしまったので再度侵入を試みるが、侵入路には彼女の頭が鎮座し
ていた。
「ちょっと、邪魔なんですけど」
「膝枕したらいいんじゃないかな?」
「そんなことしたら足痺れるじゃん」
「罰ゲームだし?」
 流石に傍若無人が過ぎる。ちょっとイラついてきた。
「なあ、お前さ」
「いいじゃん別に。……そんなに辛いの?」
 俺が機嫌を悪くしたのを察したのか、少し不安そうな顔を見せる。それに対して俺は―

12 ―そもそも『ゲーム』はどこに行ったんだよ、と訊いた。
13 ―辛いです、コタツが好きだから、とボケた。

12の方 → >>343
13の方 → >>344

338:その07 ◆6x17cueegc
13/12/07 17:39:38.98 p2OfXVug
「―『痛いの』で」
「へえ?」
 そっちを選ばれるとは思ってなかったな、といった様子。
「一応言っておくけど」
「いいよ。貴方、ドSだもんね」
「……まあそういうこと」
 真顔で人のことをドSだなんて言わないでほしい。俺にだって色々あるのだ、面子とか世間体とかプライドと
か。
 マホービンから急須へお湯を注いで新たなお茶の用意をすると、彼女は自分の湯呑みを突き出した。
「……どっちがドSなんだろうね」
「何か言った?」
「いいええ、なんでもございませんよハイ」
 彼女の湯呑みへ先にお茶を注いで、自分のにも入れて、としていると、彼女は本題を思い出したようだった。
何のゲームをするつもりなんだろう。
「あ、忘れてた。で、なんで『痛いの』を選んだの?」
「そっちかよ!」
 お茶を口に含む前で良かった。吹き出すところだ。
「ゲームはどうした、ゲームは」
「いや、そんなことはどうでもいいよ。気になるじゃない、ドSが『痛いの』を選ぶ理由って何?」
 自分から言い出しておいて、結局ゲームをする気はないらしい。
「怒らないか?」
「聞いてみないと分からない」
 素直な奴だ。
「いやな、罰ゲームってことは、勝った側が負けた側に何かするってことだよな?」
「まあ、『痛いの』ならそうなるよね」
 ということは『辛いの』はもう少し違った内容だったのか。今になってみれば、そっちを選んでおいたほう
が、もう少しいい思いが出来ていた気がする。
「そういうわけで、俺はお前の怪力に、ひとたまりもなくぶっ飛ばされるだろうから『痛いの』を選んだわけ」
 彼女は細身で軽量、そして見た目通りに馬力もない。つまりはそういうことだ。
 彼女の表情が変わった。あからさまに不機嫌な顔をすると―

14 ―彼女はコタツに潜った。
15 ―彼女は立ち上がり、こちら側に回り込んでから飛びかかってきた。

14の方 → >>345
15の方 → >>346

339:その08 ◆6x17cueegc
13/12/07 17:40:10.18 p2OfXVug
「襲っちゃうぞ?」

 そう言うと彼女は笑いながら渋い顔をする。

「それは困るんだよねぇ」
「そういうつもりじゃなかったのかよ」
「んー、2/8くらいはそんなつもりだったけど」
「2/8? 約分の手間を怠るなよ」
「仕方がないじゃない。選択肢は2^3=8通りあるんだから」
「選択肢?」
「そ。私と貴方がイチャイチャする可能性」
「……お前は何を言っているんだ?」

 彼女は渋い顔をしながら、今度は目がすっと細められる。

「可能性の話ではあるんだけどね。……貴方は選択肢が沢山あるゲーム、例えば恋愛ゲームなんかと行き合った
 ら、どうやってクリアする?」
「そりゃあ、まずは最初に一目惚れしたヒロインルート目指して、それから脇のルートを埋めていくけど」
「でもね、世の中には、とりあえず片っ端からルートを通らないと満足しない人もいるんだよね」
「ああ、選択肢の一番目をずーっと選んでいって、次は二番目をずーっと選んでいく、みたいな機械的なプレイ
 スタイルね」
「そうそう、今回もとりあえず最初は一番目の分岐を選んで行き着いて来た人もいると思うんだよね」

 今度は細めた目のまま笑う。器用な奴だ。

「純粋に選択肢を選んできた人には申し訳ないんだけど、このお話はループします」
「ループ?」
「そう。それに注意書きに『エロあり』なんてあったら短絡的に『襲っちゃうぞwktk』なんてロクでもない人も
 いたと思うし」

 今度は満面の笑みだ。

「そういう人を罠に嵌めるのって、とっても素晴らしいことだと思わない?」

 よく分からないけど、コイツは性格悪いと思いました。


・メタEND! あなたのぼうけんはここでおわってしまった! → >>332

340:その09 ◆6x17cueegc
13/12/07 17:40:37.03 p2OfXVug
「……狭い」
「ならいいじゃない」
 もたれかかった頭が向きを変えた。横から抱きつかれる格好になる。
「こうやって、ぎゅって出来るし」
 冷えた身体に、彼女の密着はありがたかった。俺も身体の向きを変えて彼女と向き合う。腰を抱き寄せると彼
女の口元が肩に埋まった。

 そのまま、一分ばかり。沈黙に耐えられなくなったのは俺が先だった。
「……ぎゅっと、出来るし?」
「……何?」
 急ぐ必要はない。掃除も、食糧も、当面の問題はクリアしている。会話のやりとりに性急さがないのが心地良
かった。
「出来るし、の後。なんて続けるつもりだった?」
「何だと思う?」
「……ナニかな」
 ニュアンスが変わったのは彼女も気付いている。そのくせ黙ったままなのだ。自分から切り出すつもりはない
らしい。
「ズルい、かな?」
「いや。すっごくシたいのが俺だけ、ってことじゃない?」
「……そんなこと、ないよ?」
 彼女がようやく顔を上げた。ドテラは息苦しかったのか、少し涙目になっていた。
「もっと、シた―」
 我慢しきれなくて押し倒し、耳元で囁いた。

16 「―なら、身体、動かさないと」

16の方 → >>347

341:その10 ◆6x17cueegc
13/12/07 17:41:08.72 p2OfXVug
 ―俺の漏らした、あっ、という声で破られた。
「えっ? ちょ、ちょっと、なんでロストしてるのよ!?」
「そんなこと言われても、ミスっちゃったんだから」
「って、うわーーーっ!」
 先程説明し忘れていたが、彼女の装備している敵に気づかれないアイテムはゲーム内部での処理的に「敵に狙
われる優先順位を著しく下げる」というもの。つまり―
「きゃー、きゃー! きたー! きたぁあっ!」
 ―他にハンスターの狙うべき標的が倒されてしまえば、必然的に彼女が優先順位第一位となるわけで。
「もう! やった!? なんで!?」
 ハンスターに倒されてロストしてしまった俺の画面からは仲間プレイヤーの様子を俯瞰で眺めることが出来
る。彼女は襲いかかってきたハンスターをなんとか倒すが、更に三体のハンスターが襲いかかっていた。
「おお、すごいすごい。上手くなったねー。最初は止まってる的相手でも外してたのに」
「そんなこと言ってないで助けてよ! きゃ、いやー!」
 そろそろ近所迷惑か、もしくはご近所の皆様に俺がレイプ魔と間違えられそうだったが、本気でパニックを起
こしている彼女に声を抑えるように言ったところで効果はなさそうだった。
 ……仕方ない、助けてやるか。
「ちょっとどこ行く……ふぇえっ?」
 強力だった依存症を断ち切って立ち上がり、彼女の側に回り込むとその後ろに座り込んだ。腕を伸ばして彼女
のT-DSを奪い取る。
「ちょ、ちょっとぉ……」
「黙ってて」
 身体を強張らせている彼女を無視してハンスターを迎撃する。残念ながら纏めて迎撃するには向かない装備で
来ている。単発砲をきっちり当てていかないといけないな。
 もぞもぞ腕の中で抵抗のようなことをしていた彼女がやっと諦め、こちらへ少しだけ体重を傾けてきた。
「観念したか」
「……うん。ありがと」
「画面観ててくれると分かるけど、まだきっつい状況なのは変わらないんだよなぁ」
 敵の位置を示すレーダーはまだ敵が七分に陸が三分といったところ。如何せん、出現数が多過ぎる。
「まったく、せめて爆弾系持っててくれればどうにでもなるのに」
「だ、だって、全部貴方がしてくれるから……」
「酷い買い被りだ、なっと!」
 自分でクリアしないと実力はつかないのを分かっていてこのザマなんだから、と愚痴を言うと、T-DSを握って
いる俺の手を、上から彼女の掌が包み込んだ。
「……いいじゃん、一緒に作業するのがいいんだから」
 彼女にしては珍しい甘えた台詞に、俺は聞こえない振りをする。その作業をするのが趣旨のゲームなんだから
ゲームを一人でもちゃんと楽しんでくれ、これで今日七十回目のシナリオだぞ、と説教してしまいそうだった。


・ゲーマーEND! シナリオを終了し、一分後にあとがきに移動します。 → >>350

342:その11 ◆6x17cueegc
13/12/07 17:41:57.35 p2OfXVug
 ―彼女の漏らした、あっ、という声で破られた。
「え? なんで? なんで!?」
 どうやら誤操作で武器が暴発してしまったらしい。そして砲弾が向こうのハンスターの群れに直撃した。
 こうなっては俺もカバーのしようがない。次々と飛び掛かるハンスターの群れに、彼女のキャラクターはあっ
という間に飲み込まれてしまう。
「あー……」
「まだだ、まだ終わらんよ!」
 彼女を中心としたモンスターの群れに爆弾を放り込み、一撃でハンスターを吹き飛ばした。ダウン無敵中だっ
た彼女にはダメージは入っていない。
「なんてタイミングで……」
 ダウン無敵でなかったら間違いなく爆風に巻き込まれて死んでいた、という彼女の抗議。
「一日二十回もカバーさせられてりゃ、大体のタイミングくらい掴めるって」
 抗議に対する嫌味混じりの反論に、彼女も口を噤む。
 とはいえ一か八かの攻撃だったことに変わりはない。俺が手を下すまでもなく彼女は瀕死状態で、無視してい
てもゲームオーバーはまず間違いなかっただろう。
「さて」
「どうしようか」
 瀕死の足手まといとボンバーマンほど組み難いタッグはないだろう。味方を巻き込んだらその時点でアウト
だ。無論、ハンスターに捕まってもアウト。
「とりあえず頑張るしかないよね」
 彼女も半分諦めている。二人して溜息を吐いて顔を見合わせる。お互い笑ってしまった。

「……飽きた」
 彼女の呟きが漏れたのは『おつかい』を三周し終わった頃だった。手元のT-DSをコタツの上に放り出してその
まま後ろに倒れる。
「はいはい」
 俺も同じようにして倒れる。
「飽きたー」
 コタツの中で足を蹴られた。そんなことをされてもどうしようもないんだけど。
「ならとりあえずTVでも観てようよ。年末だし豪華な番組やってるよ」
「分かったー」
 二人同時に起き上がる。コタツに深々と入り込んで、ぬるくなったお茶を啜る。そろそろ熱々のお茶が飲みた
い。
「冬だね」
「暇だね」
 そんな会話をしながら、夜は更けていった。

・夜は長いEND! もう一周遊べるドン! → >>332

343:その12 ◆6x17cueegc
13/12/07 17:42:20.77 p2OfXVug
 ―そもそも『ゲーム』はどこに行ったんだよ、と訊いた。
「え、えっと……えっとね、お空に飛んでいったと思うよ?」
 途端に視線が泳ぎ始めた。
「……まさかと思うが、今一瞬ゲームってなんだろうとか考えなかったか?」
「そ、そんなことないよ?」
 あからさまに視線を逸らされた。
「そんなことないけど、とにかく貴方は罰を受ける必要があるの!」
「どんな罰だよ」
 自分で言うのもなんだが、別に人様に後ろ指を指されるようなことをした覚えはない。まして相手が彼女なら
尚更で、逆に罰ゲームをしてほしいくらいだった。
「で、どんな罰だよ?」
 正座のまま、コタツから頭を出している彼女に圧し掛かるようにして顔を寄せる。
「いいの! 罰を受けるの! いい!?」
 逆ギレされて面食らっていると、彼女はガシッと俺の膝を掴んで無理矢理自分の頭を乗せてきた。引き剥がそ
うにも、うつ伏せになって腰を抱き寄せて、絶対にここから動かないぞ、なんて言い出す。
 こうなったらお手上げだ、テコでも動くまい。
「……もう好きにしろ、諦めた」
 本心から吐き出すと、彼女はこちらを見上げ、しっかり視線を合わせて口を開いた。
「うん、好きにする。大好き」
 大好き、の後に俺の名前まで呼びつけてくる。心臓を鷲掴みにされたようになる。言葉を失った俺の負けだっ
た。
「……こうしたかったなら、最初から言えよ」
「うん、これからはそうするね」
 コタツに全身埋めてしまって暑いのか、彼女の頬がほんのりと赤くなっていた。


・膝枕END! このまま眠ってしまって二人して体調を崩して寝正月すればいいよ! → >>350

344:その13 ◆6x17cueegc
13/12/07 17:43:07.78 p2OfXVug
 ―辛いです、コタツが好きだから、とボケた。
「でも運動しないと身体に悪いんだよ?」
 彼女は特に好きなスポーツはない。その代わりに身体を動かすこと自体が好きである。毎朝三十分程、近所を
ジョギングしているくらいだ。幸いなことに今まで誘われたことはなかったのだが、これはお誘いフラグなのだ
ろうか。
「……悪くていいよ。日がな一日コタツの中でぼんやりしてるのが人生の幸せなんだから」
「貴方みたいな人のこと、『コタツムリ』って言うらしいよ?」
 今現在、コタツにすっぽり収まって足と首だけ出している自分の様子を鏡で見てからそういうことは言ってい
ただきたい。そう言う暇もなく、自分の状態に気付いたのだろう彼女がコタツから急いで這い出てきた。
「と、とにかく、私は貴方の身体が心配なんだよ?」
「それはありがとうございます」
「じゃあ―」
「―でも今はとりあえずあったまります」
 彼女が這い出てきたことに因って生まれた空間へ自分の身体を捩じ込んだ。
「はぁ~、しあわせ」
「ちょっとぉ」
 俺の隣へ彼女も身体を捩じ込んできた。仕方がないので少し身体を寄せて入れるようにしてやる。
「ねー、運動しようよー。ランニングー」
 横から抱きつかれ、ぐわんぐわん揺すられて頭が回る。
「しーなーいー。……し、頭揺れて気持ち悪いっつーのー」
「えー、しようよー、きっと汗かいて気持ちいいよー?」
「そーれー……」
 それはない、と言いかけて、不意に彼女の言葉を勘繰ってしまった。

 身体を動かして、気持ちいい、なんて。
 あ、これ、アカンやつや。

「ねーえー? ……ねぇ?」
 俺の様子がおかしいことに彼女も気付いたらしい。そして自分の発言を思い出して顔を真っ赤にする。
「ね、ねぇ」
「……何?」
「その……興奮、しちゃった?」
 俺は、彼女を押し倒すことでそれに応えた。
「そこまで言うなら、―」
 ひとつ、深呼吸をする。

16 「―なら、身体、動かさないと」

16の方 → >>347

345:その14 ◆6x17cueegc
13/12/07 17:44:07.15 p2OfXVug
 ―彼女はコタツに潜った。
 足の裏でもぞもぞしている塊が、真っ直ぐ俺に向かって進んできた。胡座の真ん中、股座の前に顔を出す。
「怒ったのか、可愛いねー」
「あのねぇ!」
 火に油を注いだ俺に対して、片眉だけ吊り上げる器用さを見せながら彼女が迫ってきた。
「ちっちゃいからちっちゃいって言ってるだけだけど?」
「そういうのがムカつくの!」
 ちっちゃい身体を活かしてコタツと俺の両足の間から飛び出しこちらの上半身へ体当たりしてきた。堪え切れ
ずに倒れると、そのまま脇腹をグーでガシガシ殴りつけてくる。
「ちょっ、それは!?」
「痛いか! 痛いかあ!」
「痛痒い!」
「なっ……! この、痛がれぇ!」
 ちっちゃなグーで、中途半端な力で殴りつけても、痛さとくすぐったさが半々で反応のしようがない。小動物
をあやすようにして抱き締めて動きを制限しようとするが、彼女としてはそれが益々癪に障るようだった。
「うがー!」
「ははは、痛い痛い、痛いなー」
「もー!」
 抱き締められない代わりによしよしと撫でてやるが、こちらも気に入らないらしい。前髪の生え際辺りに置い
た手を取られる。
「……何?」
 じぃっと俺の指を見つめると、彼女は―
「ってえーーーー!」
 ―思いっきり噛みついたのだった。

 噛み痕はくっきりと、3日も残った。

・「14に行け」END! ゲームブックのお約束。貴方のイチャイチャはここまでだ…… → >>350

346:その15 ◆6x17cueegc
13/12/07 17:44:40.40 p2OfXVug
 ―彼女は立ち上がり、こちら側に回り込んでから飛びかかってきた。
「うりゃー! どうだ! 重いだろ!」
「うわー重いなー、すっごく重いなー」
 女性相手に軽い重いということを軽々しく言うのもどうかと思うが、彼女は見た目通りの精神年齢なので―
「―小学生の相手をしていると思えば問題ないのでした、どっとはらい」
「誰が小学生だー! ちゃんとハタチ超えてるわ!」
「合法ロリ……だと……?」
「ロリって言うな!」
 怒った彼女は俺の着ていたドテラを引っぺがした。この寒いのに、上半身を半袖Tシャツ一枚で過ごせ、とは
なんという拷問だ。もしかしたらこれが『辛いの』なのかもしれない。
「背中が寒い」
「我慢しなさい、これは罰です」
「このままでは風邪を引いてこじらせて肺炎を発症、そこから多重感染症を引き起こしてICUに担ぎ込まれるも
 手当ての甲斐なく死んでしまう」
「何言ってるのよ、バカ」
 とはいえ彼女も流石に少しは悪いと思っているのか、一度は引っぺがしたドテラをもう一度着せてくれる。
 ……着せてくれるのはいいのだが、なんだか背中の感触が気持ち悪い。Tシャツとドテラの間に異物が混入し
ている。
「こ、これは必殺『弐忍刃折』!? 門外不出の秘技と聞いていたが……」
「……なによ、それ」
 仕方がないことではあるが、彼女には日本男児の魂が足りない。
「説明しよう! 『弐忍刃折』とは対象の衣服の中に入り込み、背後から好き勝手にするという拷問である! 
 しかしコタツから飛び出ている背中はあったかくなるのだ!」
「な、なんだってー」
 虚ろな目をしているのが手に取るように分かるような声音だった。醒めてしまったらしい。
「ううむ、拷問を我慢するか寒いのを我慢するのか迷うところだな。どっちにする?」
「じゃあ拷問を我慢しなさい」
 背中から彼女の首が伸びてきた、というか背中に覆いかぶさるようにして圧しかかってきた。
「……これ、拷問だからね?」
 後ろから囁かれ、舐められ、軽く噛み付かれた。


・甘噛みEND! 『アマガミ』はエンターブレインの登録商標です → >>350

347:その16 ◆6x17cueegc
13/12/07 17:46:00.78 p2OfXVug
「―なら、身体、動かさないと」
「ん」
 彼女の身体をまさぐろうと臍の辺りへ手を置いて、上着を捲り上げる。抵抗は全くなかった。最初からそのつ
もりだったのかのようだ。露わになった腹へ口を寄せて胸に向かって舐め上げる。ずっとコタツに入っていたか
らだろうか、随分火照っているように思える。
「あったかい、な」
「私は寒いよ……?」
 抗議ではなく、苦笑いしつつの言葉。頭を抱き寄せられた。
「でも、ね」
 おっぱいに顔が埋まる。引き締まった身体をしているのは日々の節制が効いているのだろう。その辺は、あち
こちゆるくなり始めているインドア派の俺と違うところだ。
「すぐに貴方があったかくしてくれるって、思ってるから」
「なら服は」
「脱ぎたくない、寒いから」
 いつもなら、少しでも密着できるように、なんて言って、お互い素っ裸になることを強要する彼女の発言とは
思えなかった。
「あ、それと、ね?」
 空いている右手で彼女の脇腹をさすろうか、なんて考えていると、彼女が言葉を継いだ。
「もうちょっと、指先あっためてから触って?」
 右手を彼女の左手が絡め取っていった。それを口元に持っていって吐息を吹きかける。
「ホント、冷たいんだから。……あっ」
「だったら中でシたらいいよ」
「……がっつくね」
「そりゃ、相手がお前なら、ね―」

17 ―待っていられない。

17の方 → >>348

348:その17 ◆6x17cueegc
13/12/07 17:46:39.37 p2OfXVug
 ―待っていられない。
 その言葉を告げず、身体ごとコタツに引き込んだ彼女の身体を満喫することにした。

 彼女も俺も、身体はすぐに出来上がった。待ち切れないという風に彼女は自分で下半身を脱ぎ捨てた。俺も下
を脱いでしまう。
 俺が上、彼女が下。いつものように凸凹の入り口を触れ合わせる。潤滑油は十分なようだった。
「ほとんど触ってないと思うけど」
「言われなくても知ってるよぉ……っあ、うぅ……」
 じわじわと侵入して奥まで到達すると、下から抱き締められる。ふぅふぅと息を荒くして余裕が無いのかとも
思ったが、そうではなかった。下からではあるが、腰をぐいぐいと押し付けてくる。刺激が足りないからと自分
から動こうとしているのだった。
 膣内は蕩けている。欲しがる彼女とは対照的に、そんなに強く締め付けているわけではない。それなのに、と
ろとろの襞が絡みつくだけでイきそうだった。
 ゆるゆると引き出して、ぬるりと突き入れる。ピストンと呼べるような激しい動きじゃないのに、それだけで
快感が振り切っていた。
「ん、ふぅ……ん、んぁう……」
「だらし、ない、な。涎、垂らしてさ……」
「別に、いい、じゃん」
「……悪くないけど」
 彼女の頬の涎を舌で拭い、唇を奪う。彼女が待ち切れないという姿勢そのままの勢いで舌を突き出してきた。
吸われて、吸い返して、唾液を捏ねる。
 下半身の結合も忘れてはいない。奥へぶつける度、彼女の喉の奥がくぐもった声で震える。絡みつくでなく、
ぬめつくでなく、ぬるま湯に身を委ねているような心地良い倦怠感が性感に変換されて、暴発寸前にまで高まっ
ていく。
 彼女の足が腰へ巻き付く。もうすぐ達する合図だった。一旦口を離して、早いな、とからかうと、相手が貴方
なんだから当然だろう、と返された。
「ホントに、あっ……好き……だい、すきっ……!」
 全身でしがみつかれて押し付けられた。変に温かい彼女の身体が密着したせいで、腹の底から湧き上がってき
た衝動が堰を切ったように溢れ出し、彼女の奥を白く汚していく。
「ひ、あ、ああぁあっ……!」
 彼女自身もほとんど同時に達していた。うわごとのように好きだ好きだと繰り返していた。

18 「うぅ、暑い……」

18の方 → >>349

349:その18 ◆6x17cueegc
13/12/07 17:47:17.44 p2OfXVug
「うぅ、暑い……」
 散々お互いの身体を弄り合って、体温は上がっていた。彼女に文句を言われた指先の先まで血が巡っているの
を感じるくらいだった。
「身体中、どくどく言ってる」
 肩で息をしながら彼女は前髪を掻き上げる。房になった髪が汗でおでこに貼り付いていた。
「一旦出よう、もう倒れそうだ」
「……うん、私もダメ」
 中から抜け出ると、少し低めの室温が爽快だった。荒い息を吐きながら彼女を引っ張りだしてやると、その勢
いで抱きついてきた。
「……貴方の身体、ぽかぽかしてる」
「お前もな」
「えへへへ……これなら、コタツはいらないね」
 それはつまり、二人で身体を寄せ合うのが一番の暖房だということだろうか。
「じゃあ夏はこういうのナシだな」
「えー!?」
「だって、暖房代わりってことだろ?」
「暖房以上よ! ……だって、身体も、心もあったかくなるんだから」
 恥ずかしいことを真顔で言い出す彼女に、こっちが恥ずかしくなる。
「……お前だけな」
「あー、顔赤いよ? コタツで湯中りしちゃったのかなー?」
「うるせえ、このやろ」
 両手でワシワシと髪をシェイクすると、彼女は心底楽しそうな声で怒り始めた。

・真(?)END! 半脱ぎは性義……もとい正義です! → >>350

350:その19 ◆6x17cueegc
13/12/07 17:48:57.72 p2OfXVug
と以上です
昔懐かしのゲームブック風でお送りいたしました

すんなりここまで来た皆さん、お疲れ様でした。またよろしくお願いします
真(?)ルートまで進んだ皆さん、他のルートもよろしくお願いします
何度もループした皆さん、人生とはそんなものです。納得いかないなら【14】にでも行けばいいと思います(棒


ちょっと脱字があったので、気が向いたら整理したものをロダに上げるかもしれません

・GAME OVER ! コンティニューはこちら! → >>332

351:名無しさん@ピンキー
13/12/07 18:06:19.49 Z8x/rvyL
うーん、これはちょっと……
オマケに1レス目で批判が全部「黙れ」って潰されちゃうから、
「モヤモヤしてもお前が悪い」って言われてる気がしてなおさらモヤモヤする……

352:名無しさん@ピンキー
13/12/07 19:37:24.68 M31HSSQV
なかなか微笑ましくていい感じ。
コタツで大人二人が重なるのは高さ的にちょっと無理があるなーと思っていたら、なるほどそういうことかw
20レスを一本としてとらえ、なおかつ特定の読み進め方になると実は合法LOでしたというオチがつくので、そこはいいと思う
逆に、それに気付かない間は読んでて浮かんでくる情景がしっくりこないので、もどかしさがある
今の選択肢構成だと和気あいあいな感じで、上下逆にすると合法LO萌え(*´Д`)ハァハァになるのはやっぱ意図的かな

膝枕のとき女の子がクンカクンカして顔をすり寄せたりすると、犬属性甘えんぼうっぽくてもっと萌えたかも

353:名無しさん@ピンキー
13/12/07 19:56:57.99 3Ds+50u8
ちゃんとエロいし楽しくていいでないの
ぶつけられないモヤモヤは誤爆とかで解消

354:名無しさん@ピンキー
13/12/08 17:45:54.32 SxiR/p0A
面白いしなかなかいいと思うけどちょっと読みくさがあるな・・・
これまとめwikiにまとめるとかなり読みにくそう

355:名無しさん@ピンキー
13/12/08 21:25:55.80 C8RaNMzc
一レスずつ別のページにすれば読みやすい

356:続報 (1/5)
13/12/09 20:39:40.34 iwSkew7Y
>>328-329


外が明るんできて、鳥の声も聞こえるような時刻。
「んー…………っはぁっ!」
特大の伸び。
脱稿、である。
予想外に大きな書き直しを迫られて、禁欲期間は二週間ほど延びていた。
そこそこ根を詰めていたこいつが「充電」を始めたら何日か使い物にならないだろうから、
改稿へのモチベーションを維持させるのも大変だったのだ。
ともかく、たぶんこれでこいつの仕事は一段落したし、秘書兼料理人兼家政夫兼……の俺の仕事も一段落である。
お疲れ様、と声を掛けに行こうとしたら。
椅子はこっちに向いていて、「ん」と両腕を広げてきた。
「ぎゅってして」の合図。
ああ、そういえば。
ずいぶん久しぶりだ。
余裕を見せてゆっくりと歩くけど、胸は高鳴っている。
顔を寄せて、首に腕を回すと、体が微かに震えたように見えた。
肌が触れたところが熱く感じる。
柔らかい感触を抱き寄せた。
耳許で、すん、と鼻が鳴る。
息を吸い込むと、頭が痺れたようになって。
重みを掛ける。
ぎい、と椅子が軋んで、
「ん……ふぅぅぅ…………」
と肺の中身を全部外に出すような息を吐いて、こいつの体の力が抜けていく。
「お疲れさま。偉い」と小さな声で言うと、「あり、がと」と力弱く呟いた。
くふん、と息を吐いて頭を俺の肩に擦り付けてくる。
これは「あたま、撫でて」の合図。
リクエストに応えて、髪をす、と撫でる。
髪の感触って、こんなに心地良かったか。
撫で下ろす度にん、と吐息が漏れて、ますます体がくた、となっていくのが面白くて撫で続ける。
回された手が、俺の背中を優しく引っかく。
俺が力を強くしても、おとなしく抱き寄せられるままになっている。
と、
いつの間にか息がすうすうと規則正しいものになっていた。
「おーい。起きなさーい」
頬をべちぺちと叩く。
「……んぅ?」
「すぐ寝ていいから、とりあえずお前風呂入れ。臭いぞ」

357:(2/5)
13/12/09 20:40:28.23 iwSkew7Y
「おっふろー、おっふろー」
今のこいつを一人で入らせたら溺死は確実なので、もちろん一緒に俺も入ることになる。
まさか顔を洗うのも俺がやるとは思わなかったが。
「ちょっと、狭いね」
風呂の広いところを選んだはずだったが、二人が入るにはやっぱり無理がある。
そんなことも忘れていた。
俺の足の上で気持ちよさそうに脱力しているこいつを見て、悪戯心が頭をもたげる。
お湯の中で軽くなった体をぷかぷか、と動かしながら、
「やっぱり痩せたよな。ちゃんとご飯食べろよ」
尻に手をやる。
「ばか」
今度ははたかれなかった。

――

風呂に入ったら元気を取り戻してしまったらしく、臨時の朝食。
「んぐ。下手になったでしょー?」
「しょうがないだろ。久しぶりなんだし」
最初に慣れるまでもけっこう掛かった気がする。
二人羽織は難しいのだ。
今日はやけにもぞもぞするから狙いが定まらないし。
「ご飯はおいしいけどー、食べさせ方は修行が必要だねー」
「……はいはい」
注意しながらもう一口、食べさせようとする。
どんな角度だったかなーと考えていたら、腕ごと掴まれて俺の口まで持っていかれた。
「っぐ」
ぐいぐいと押し込まれる。
スプーンが歯に当たって痛い。
「おい、なにふぁっへ……」
流し目で振り返って。
「あー」
可愛く開かれた口を見せ付けてくる。
「これだったら失敗しないよぅ?」
……そういうことだよな。
顔を引き寄せる。
ふにふにの唇の感触は、意識しないように。
口の中のものを、舌を使って少しずつ、ゆっくりと押し込んでいく。
一回ごとにん、と声が漏れるのがなんだか艶かしい。
……いつもこんなこと、してたかな。
記憶が確かでない。
初めてではないはずだけど。
最後の分を渡し終わると、それを飲み込んで、「よくできましたぁ」と照れたように笑ってきた。

こんなことをしていたので、食べ終わったときにはすっかりご飯は冷めていた。

358:(3/5)
13/12/09 20:41:02.26 iwSkew7Y
食べるのに体力を使った一歩も歩けないなどと騒ぐので、こいつは俺がベッドまで運んでいくことになった。
寝かしつけておいて今日は洗濯と買い出しかな、と考えながら頭を撫でていると。
手が伸びてきたと思ったら、思いがけなく強い力で胸許を掴まれた。
さっきまで「ふみゅぅ……」と可愛らしい声を出していたのに。
「ねえ、どっか行っちゃう?」
柔らかく微笑んではいるが、表情はどこか余裕がないようにも見える。
「どこも行かないよ。安心して」
「でも、私が寝ちゃったら色々しにいくでしょ?」
「まあ。お前と違って朝型だし……」
もう片方の手が、俺の太ももに伸ばされる。
すりすり。すりすり。
「ん、何して……」
「○○くんはさ、このまま寝てほしい?」
そこを突かれると、正直痛いのだ。
こいつの体力を考えて、気を遣っていただけで。
「さっきもさ、ノリノリでやらしいちゅーしてたじゃん」
「それはお前が……」
「お風呂のときもご飯のときもずっと硬いの当たってたしー」
バレてたか。
「私だってさ、くっついたりちゅーしたら、ただ安心するだけじゃないんだよ?」
そうだろう。
望むところである。
俺は軽く口付けると、唇を合わせたまま抱き起こした。
こいつも目を輝かせて、抱きついてくる。

俺の膝にこいつが乗って、抱き合った姿勢。
必死にしがみ付いて、舌を差し入れてくる。
「……寂しかった?」
「○○くんは…寂しく……なかった…の?」
上目遣いで質問を返してくる。
「寂しかったよ、うん。……お前も浮気するし」
「へ、え?」
「△△さんの結婚式のときお前、二次会で酔っ払って担当さんにべたべたしながら帰ってきただろ?
俺じゃなくてもあんなに甘えてるのか?」
「え、あ、あ、……えと、ごめ」
まあいいけど、と表情を緩めて。
「ずっと俺の名前呼びながらくっついてたらしくてさ、"仲、良いんですね"って呆れられたよ。ありがとう。
でも気を付けろよ。知り合い多いとこだから良かったけどさ、担当さん連れてきてくれなかったらお前、
知らない人に付いてって、どこで何されてるか分からないぞ」

359:(4/5)
13/12/09 20:41:42.62 iwSkew7Y
「うん、ごめん……でも甘えたいの、○○くん、だけだもん……」
またキス攻撃が始まる。
もっと何かを求めているように、情熱的になって。
「書き終わってぎゅーしてもらったときも、じわぁって安心した後に体が熱くなってきたし。
お風呂入ったときも、久しぶりにかっこいい裸見て奥のほうがじゅん、てしたし。
もし他の人でも、絶対にちゅーしてるだけでこんなにしあわせにならないし……」
パジャマを自分でずり下ろすと、抱き着いたまま股間を擦り付けてくる。
俺のものも、粘液ですぐにどろどろになっていく。
「ねえ……、っ、もう、いいよね、はいって、…………っあ!」
俺の答えを待たないで腰を落とした瞬間。
ずりゅ、と、ほとんど抵抗もなく滑り入っていった。
「……っは、ああぁぁぁ…………ふ……ぅ、ん………」
それでも、久しぶりだからか締め付けは強い。
中が、きゅ、と甘く疼くのを伝えてくる。
唇を結んで、ふーっ、ふーっ、と荒い息を吐いているのを、もっと強く抱き寄せる。
「そうだ」
わざと耳許で囁く。
「また他の人に迷惑かけるといけないから、甘えなくても大丈夫なように頑張るか?」
回された腕の力が強くなった。
「やらぁ……なんで、っ、こんなにうれしいときに、そんな、ぁ、こというの……
さびしいのは、もう、ん、は、いらないから……○○くんの、せいで、うぅ、甘えて、ないと、おかしくなるの……
いい、もん、○○くんも、甘えないと、っう、いきてけなく、してやるうぅっ……」
声を震わせて、泣きそうな顔で。
歯がぶつかるぐらいの勢いで唇を合わせてきて、激しく動き始めた。
必死に腰を動かしているけれど、感じすぎているのか動きは小さくて、不規則だ。
このまま続けさせてもいじらしくて可愛いけれど。
抱きとめて止めさせる。
今日は、甘えさせてやらないと。
優しく口の中を嬲って、ゆっくりと腰を動かしてやる。
「………、き、…………、い、して、……だい、…、き……………」
繋がった口から、うっとりした声で呟くのが伝わってくる。
俺も耳を弄ったり、唇を噛んだりして応える。
でも、下で繋がったところは奥のほうがふるふると震えて、もう限界が近いらしい。
お互いの唾液でてかてかになった唇を離す。
寂しそうな顔をされたが、構わない。
腕の中にもっと深く抱き寄せる。
耳たぶをかり、と噛んで。
息のかかる距離で―言われたことを返してやった。
「…………っふ! っうぅっ!………んぅ!……あっ、ぁ!…………ぁ……」
感極まってしまったらしい。
がくがく、と体を震わせる。
痙攣が収まるまで、背中に回した手で撫でさすってやった。
顔を覗き込むと、焦点の合わなくなった眼が俺を見つめてくる。
完全に力の抜けてしまった体が、俺の胸に倒れ込んできた。
頭だけを動かして、緩慢に、俺の体のあちこちにキスを降らせてくる。
「こんな、……わらひ………、けど……ありが、と…………」

おう。
こんな俺で良かったら、いくらでも甘えさせてやるよ。

360:(5/5)
13/12/09 20:43:27.45 iwSkew7Y
――

「今日のご飯なにー?」
「見りゃ分かるだろ。それより、離れてくれない?」
「なんで? ○○くんにもぎゅってしてほしいの我慢してるんだよ?」
「それは我慢じゃない。危ないんだよ、刃物も熱いのもあるから」
「ひゅー。気遣いだー」
「当たり前じゃないか?」
「かわいい大事なご主人にケガはさせられませんってか」
「でも現に動きにくいし」
「まあ小説の取材だから。ぐへへ奥さん、台所で抱きつかれて息を荒くしてるじゃねえか」
「荒くないし。お前書いてるのそんなオヤジ臭くないだろ」
「奥さんがちゅーしてくれるまで離れないから」
「……ずっとそうしてろ。振り飛ばされても知らないからな」
「そうかー。そうだよねー。食べるときにいっぱいちゅーするもんねー?」
「うぐ」

―了―

甘えが何なのか分からなくなってきた

361:名無しさん@ピンキー
13/12/10 18:08:17.41 HQoVIHru
>>360
GJ!
俺の考えだと女の子の甘えは3種類に分けれる気がするんだ
①意識して大胆に甘えてくる
②無意識にいつの間にか甘えてしまう
③甘えたいのを隠そうとするが洩らしてしまう
 バレバレに~後になってやっと気付く巧妙さ の範囲

今回は①とその無言Verだった風に読めたぉ

362:お詫び
13/12/11 15:32:17.63 mjqavxhN
皆さん、ご機嫌いかがでしょうか。
>>325>>356の保護者です。
この度は私の同居人が、 創作に見せかけてプライベートな事柄を長々と書き連ね、掲示板を汚してしまい誠に申し訳ありません。
本人は「さすがに名前を出しては書けない」「私たちほど幸せなカップルが現実にいるとは誰も思わない」「ぎゅーの時間が思ったより短い腹いせ」
などと言っていますが、何の弁解にもなっていないので3日間スキンシップを禁じようかと思っています。
今後、このようなことがないように強く言い聞かせます。
それでは、皆さん良いエロパロ板ライフをお過ごしください。

363:名無しさん@ピンキー
13/12/11 18:30:00.09 BwhUWDEF
よくある母コピペかと思ったらww
そういうオチは大好きだ。GJ!

364:名無しさん@ピンキー
13/12/12 22:27:58.26 HTH20+H0
無意識の甘えってどんなんだろうな

「はっ、わたしとしたことが、また男君に甘えてしまったっ!
 いかんいかんっ、あまりにも男君が好きすぎて、無意識の内に甘えてしまうとは……」

ちゃうね、これミサワか

365:名無しさん@ピンキー
13/12/13 01:11:59.27 pF+nwtTe
>>364
何もせずただボーっとしてるだけのつもりなのに隣にいる男に指摘されてはじめて自分が抱きついていることに気づくとか?

366: ◆6x17cueegc
13/12/15 18:17:44.02 NvWHdTgq
こなさんみんばんわ

こないだの奴の修正版です
URLリンク(www1.axfc.net)
パスは「aroparo」

メモ帳で編集したので他のエディタでは表示に問題があるかもしれませんが、ご容赦のほどをお願いします

367:名無しさん@ピンキー
13/12/15 18:27:28.96 cV9eqk96
>>366
乙です
これから見るけど16ページも有るんやね

368:名無しさん@ピンキー
13/12/18 00:13:02.95 X2ZCdKzc
>>366
GJ

369:名無しさん@ピンキー
13/12/21 11:24:44.00 LifpckYM
何と無く浮かんだ会話
-----------------------

男「あのさぁ」
女「なぁに?」
男「左腕暑いんだけど」
女「そぉ?あたし寒いけど」
男「いや、部屋で暖房付けてそんなひっつかれたら・・・」
女「だって寒いもん(むぎゅ)」


終わりw

370:名無しさん@ピンキー
13/12/21 17:13:54.58 yHiUDrbo
m

371:名無しさん@ピンキー
13/12/25 00:33:23.15 BIJVfeV4
 恋とか愛とか、好きとか大好きとか。間断なく繰り広げられた甘い世界にまさか二時間弱も浸り続ける羽目になろうとは。
 映画に行こうと誘った奴もまさか思いもよらなかったです、ええ。
「……はぁ、すごかったぁ」
 12月の寒空の下、映画館を出る人波の中でも一際あったまったんじゃなかろうかと思う程の赤い顔は、大満足とばかりに目尻を下げ、ぽかぽかの湯気を上げていた。ヘアピンで留めた前髪から覗く、愛らしいおでこまで温かそうで。
 たぶん今なら町中でおっぱいのひともみくらいしても「もー、えっちなのはだめだよー」と笑いながら許してくれるんじゃなかろーか。
 そんな具合にしあわせおーら全開のおじょうさんの『これが見たい!』という熱い推しの時点で覚悟はしていたけれど。
「歯が溶けるかと思ったわ! なんかもう、こっちまで見てて恥ずかしくなるんですけど……」
「いやいやいや、だからいいんじゃないかなと! これこそぴゅあならぶっ! って感じがねー」
 好きな作家の作品の映画化だから―そうやって、語る言葉に熱もこもる。
 彼女に勧められて読んだことはあった。『実写でこんな事は出来ないよなあ』とたかを括っていたけれど。
 ……甘かった。二重の意味で。
 読み手の想像を超えて展開されたすいーとらぶすとーりーに何度身悶えしたことか。14回から先は数えてないけど。
「んなこと言ってー、そっちだってけっこー満足したんじゃないのー? 顔真っ赤になってるしぃ」
「俺の顔が赤いのは、佳穂さんと別の理由だと思いますけど……」
 主に『爆発しろ』的な方面で。
「でも、一緒に見てくれて、嬉しかったなっ。何度勧めてもキミ、なかなか見てくれなかったでしょー?」
「一人じゃ見られませんって、大体、お客さん女性多かったですし」
「そう? カップルで来る人も結構いるんだよー。やっぱ、みんな愛し愛され生きていきたいんですよ、うんうんっ」
 そんな歌昔ありましたね。そういえばあれもリア充の歌でしたっけ。
 ―まだ、他人事みたいにそうやって線を引くクセは抜けないけれど。
「……あんな風に、してくれてもいいんだけどなー」
 ちらっ、と横目でからかうように笑うひとは、すぐに目を逸らしたかと思うと、誘うように俺の手を握ってきた。
 指と指、五本を絡ませぎゅっと結んだ恋人つなぎ。
 態度は余裕ありげなくせして、小さな手のひらは、とても、熱い。
 『わたし知らないし』、なんて素っ気ない表情を気取ってるけど、隠しきれない感情が、口元をひくひく揺らしている。
 ぎゅっ、ぎゅっと、握られた手が、『なにか』を求めている―ような気がした。
「……そんなこと言って。そしたら、誰にも渡さないぞって、みんなに見せつけるように抱きつきますよ、映画みたいに」
「うわうわうわっ! そ、それは流石に恥ずかしすぎるしっ! そ、そんなのっ、映画だから出来るんであってさっ―うわっ!?」
 慌てて振り返って必死に否定。手をばたつかせてジェスチャーするのはいいですが、俺の手握ったまんまなんですけど。
「あーもー興奮し過ぎ! ちょっと落ち着いてっ!」
 案の定、バランス崩して転びそうになる彼女をぐっと引き寄せて―あれ?
「わわっ! あ、ありがと――っ!」
 胸に抱き留めた小さな背丈が、俺を見上げて、瞬間。
「はうっ、あ、あわわわ……っ!?」
 ぼっと顔から湯気を立てて、硬直してしまった。

372:名無しさん@ピンキー
13/12/25 00:34:16.64 BIJVfeV4
 一拍遅れて、脳裏に過ぎった違和感が、真新しい既視感に符合する。
 人波の中立ち止まり、抱き合って見つめ合う二人。
 これってそう、さっき見た映画のシーンであったはずで―
「……あ、あは、あはははっ。ご、ごめんねっ、そ、そのっ、わたし、なんか暴走しちゃったみたいでっ」
 意識の根元から揺らすように、どくん、と何かが揺れた気がした。
 勢いのせいで、抱きしめられてしまった彼女といえば、必死に取り繕おうとしている。
 目線はあちこちを泳いでるし、口から出る言葉もしどろもどろ。
 それに、何より一番丸わかりだったのは。
「……して欲しかったって、こういうこと、なんでしょう?」
 押しつけられた柔らかな胸越しに、強い鼓動が響いてきた。
 また、揺れて―胸の奥で響く音が、彼女のそれと反響するのを感じる。
 逃げ場を失った視線同士、真っ直ぐに向き合う形になる。
「あ……っ」
 だから。
 理性も、一気に吹っ飛んでしまった。
 こっちまで、頭の芯まで熱に浮かされてしまったから。
「あっ―んん……っ」
 目を閉じる暇も無いほどの突然のキスに、周りの声が一瞬ざわめき立った……ように聞こえた。
 まるで遠くの世界のことの様で、届いた言葉もあやふやになった。
 驚きと羞恥に射貫かれたのも束の間、彼女もまた、蕩けた顔で見つめ返してくる。
 求め合うままに近づいて―瞬く間の永遠の後、ふっと、離れた。
 そうして、ようやく、『つながった』ことに気付いた……と同時に。
「あ……あ、わ、わたしっ、そ、そのっ……」
「い、いやっ、お、おれっ、え、えぇとっ……」
 いつの間にか、どっかに放り投げていたらしい自意識が、お互いむくむくと蘇り。
「か、帰りますかっ! 風邪ひくといけませんしっ!?」
「そ、そうだねっ!? 早くお家に帰らないとねっ!?」
 ……好奇の視線を一身に浴びながら、逃げ帰る羽目になりました。

 いや、ほんと、どうかしてたとしか言えないんですけど……。

373:名無しさん@ピンキー
13/12/25 00:34:55.02 BIJVfeV4
 修羅場……とは違うんだと思います、ええ。でもすっげえ居心地悪い。
 『人前で映画のシーン再現』事件からしばらくして、お詫びに訪れた彼女の家は、言いようもない空気に溢れていた。
「……あ、そ、そのっ、お構いなくっ」
「は、はいっ……あ、ありがとうございますっ」
 顔を合わせば、視線は合わず。会話もどうにも他人行儀。
 ……気まずい雰囲気に、少しは後悔している訳で。
 話の合う女友達……から、彼氏彼女の関係になったはいいものの。
 元々そんなに、彼女の好きな小説に出てくるような『すき』を屈託無く言える関係では無かったから。
「……っ」
 ちらり、と横目で覗かれたと思えばすぐに目を逸らされるような状況は、どう応えていいものやら困るわけで。
 それは、一時の暴走に身を任せた俺が悪く―「……決めた」
 は?
「な、何をですかっ、佳穂さんっ!?」
 思考に割り込む彼女の強い発言に、思わず背筋がびくんと跳ねる。
 気付けば目と鼻の先に彼女がいた。嗚呼、今日も頬ずりしたくなるようならぶりーなおでこ―じゃなくて!
 決めたって何をですか!? 分かれるとかそんなもうマジで勝てない展開になるとかそういう話で―!?
「……求めたのは、わたしだもん。応えてくれたの、驚いてる場合じゃないし!」
 昏迷を極めまくった思考を再び断ち切ったのは、彼女の行動だった。
 まるで小さな子が自分より大きなぬいぐるみを抱くように、彼女なりの精一杯に両手を広げて。
 ぎゅっと、俺の身体を抱きしめてきた。あの日つないだ、恋人つなぎと同じように、強く。
「わ、わたしっ! 物語みたいに、素直に、でっ……出来ないけど……で、でもねっ!」
 抱きしめたまま見上げた瞳に、この前のような不安の色はない。ただ、子犬のように溢れ出した慕情の念が浮かんでいる。
「……すきな、ひとに。ずっと……して、欲しかった、から。だから、その、うれしくて―!」
 まるで、初恋の人に告白されているみたいで。
「ひゃうっ!? こ、告白っ!?」
 ……口に出してしまっていたらしい。
「や、そ、そのっ、そ、そんな風に言われたら、俺もうれしいと言いますかっ」
「……い、いいの? キミは、そ、その、『甘え』、られるの……って……その、いや、だって……」
 恐る恐る尋ねた顔は、不安そうに俺を伺っている。
 彼女の好きな作品を『甘ったるい』と散々評していたせいで、いつの間にか彼女にそんな遠慮を与えていた―のか?
 ―だとしたら、昔の俺は今ここで否定してやらなきゃいけないらしい。
「……恥ずかしかったけど、でも。今はちがう。だって、俺だって映画みたいなこと、佳穂さんにしちゃったんだし」
 昔の自分ををバカだったと。笑って告げたその言葉が。
「……うう」
「か、佳穂さんっ!? ど、どうしたんですかっ!?」
 彼女の瞳をぶわっと潤ませる羽目になろうとは。
 溢れんばかりの涙を湛えたまま、見上げた顔は胸元へと埋もれていく。
「……いっぱい、甘えるからねっ。大好きって、いうもんっ。毎日言うもんっ」
 嬉し泣きの声に釣られて、こみ上げてきたのは愛おしさで。
「俺だって言いますよ。毎日、ずっとね」
 抱き返した身体は、うれしそうに震えていた。涙を拭って見せてくれた笑顔も、なんだか少し誇らしい。
 
 ……結局はまあ、とんだ杞憂だった、ということで。

374:名無しさん@ピンキー
13/12/25 00:36:54.42 BIJVfeV4
 ……甘かった。俺の了見は非常に甘かったと言わざるを得ませんでした。
 なぜならば。
「ねー、おふろはいろーよー。ねーってばぁー」
「あ、あうう」
 『これはわたしのもの』と、全身を擦り付けてマーキングする猫のように。
 今日も今日とて彼女さんは、ふにゃふにゃとした気の抜けた笑顔で背中越しに柔らかい胸を重ねてすりすりと甘えてきやがります。
 ……下着姿で。
 アンダーバストに小さなリボンの揺れた可愛いブラとなんか表面面積ギリッギリなショーツ姿で!
 あなたの読んでた小説はそんなにせくすぃーな格好で甘えてこなかったと思うんですけど!
「おーふーろーっ、いっしょに入るってやくそくしたもんねー。えへへぇ」
「……おとこのこにそういう誘いは甘えとは別の感情を呼ぶと思いませんか」
「んー? キミももしかして甘えたくなっちゃった? いーよ、甘えても……互いにすきすきしあおうぜー」
 ……ええと。このおじょうさん。あなたこんなにおつむあったかい子だったでしたっけ。
 いや、外ではそんな事はないはずだけれど。
 彼女が密かに科していた自戒を俺が断ち切った日から、進行した症状はこんな具合に発展しています、ええ。
「……いい加減に襲いますよ、そんな格好で」
「みんなの前で、抱きしめたみたいに?」
「そ、そういうんじゃなくてですね!」
「……いいよ、キミがしたいなら。わ、わたしも……今度は、逃げないからっ」
 ちょっとカマをかけてみても、あの日の出来事にはどうにも敵わないらしい。
 ため息一つ吐いて、背中に乗った彼女をそのまま負ぶって風呂場へと向かうことにした。
「んー、背中おっきいー。やっぱいいなあ、おとこのこって感じ……」
 御満悦のようでなにより。『うれしい』気持ちに素直な声を聞くのは、悪い気持ちはしないものだから。

375:名無しさん@ピンキー
13/12/25 00:38:49.58 BIJVfeV4
イブに間に合わなくて茶を濁すとか申し訳ない
せめて明日のクリスマスには甘えっ子も幸せになれますように

376:名無しさん@ピンキー
13/12/25 17:47:01.90 29Puu3vB
雪じゃなくて砂糖が降っているだと…
GJすぎる

377:名無しさん@ピンキー
13/12/27 00:59:48.61 9XemHxRL
2828したwwwww


GJだ爆発しろww

378:名無しさん@ピンキー
13/12/28 23:15:12.43 K8faGzdV
いいねー、GJ

そういえば保管庫の更新が止まっている...

379:名無しさん@ピンキー
14/01/02 15:58:18.51 sKMUQROw
あけおめ

今夜は姫初め

380:名無しさん@ピンキー
14/01/02 17:17:14.53 tI5SmSEY
姫初めという言葉はあるのに姫納めがないのはなんでなんだぜ?

381:名無しさん@ピンキー
14/01/02 21:54:50.92 RLxFlKXl
別に繋がりっぱなしで新年迎えてもいいんだぜ?

382:名無しさん@ピンキー
14/01/04 21:40:55.78 rAnYUILE
旦那と甘えっ子が旦那の実家に帰省→
義両親の前では甘えられないなーと不安に→
義母も甘えっ子で甘甘天国

みたいな電波が来たので誰か書いてください

383:名無しさん@ピンキー
14/01/05 00:59:47.09 gmN+SS7v
使う椅子は二つだけですね分かります

384:名無しさん@ピンキー
14/01/11 21:08:54.63 ixvdUd26
 放課後の生徒会室。机に山積みの書類と格闘すること30分。一向に減らず終いな状況は、正直無理ゲーが過ぎると思う。
 その上、思うほど仕事が捗らないのにも理由があって。
「えーと、どこにあったかなー。えーとえーとっ」
 わざとらしい棒読みが、なけなしの集中力をガッツリと削いでゆく。
 背後でそわそわしてたかと思えば、袖余りの制服とちょこんと跳ねたサイドテール、そして漫画によくある飛び級で進学した天才幼女みたいな背格好がたまーに視界に見切れたり。
「あ、そうそう。これはここ、で。あとは、えーとっ」
 ちんまい気配から浴びる視線は、ちぎれんばかりにしっぽを振りまくる、わんこみたいな期待の眼差し。
 ごしゅじんだいすきかまってかまって!!な全力オーラには正直堪えかねるので、振り向いて一言。
「……やひろ」
「は、はいっ! なにかなサトくんっ!」
 突然の反応に驚いたのは一瞬、あどけなさ全開でまってました!とばかりにかがやく瞳に見つめられて圧倒されかけるも。
「仕事しろ」
「ひゃうっ!?」
 手にした紙の束でツッコミ一閃。軽いスイングの割に乾いた音の衝撃に驚いて、気配の主は頓狂な声を上げてその場にしゃがみ込んだ。
「うぅ、たんこぶ出来たかもー……あたまいたいよぉー」
 頬をぷくーっと膨らませて、ちょっと拗ねた顔で見上げるちんまい娘。
 紅葉のような手で頭をさすって心配を誘う演技が健気だが、気の抜けた間延び声で仰られても台無しだ。
 ちらちらと様子を伺う小動物な挙動もクルミを割るリスのようで大変に愛らしいが、TPO的にはギルティです。
「べたべたして暑っくるしいので席に着け、席に」
「あうーっ……サトくんのいじわるぅ……」
 素っ気なくあしらい仕事に戻ると、うらめしそうな表情を浮かべながら、やひろもちょこちょこと自分の席へと戻っていった―と思いきや。
 席に着くなりまたそわそわし出すやひろ嬢。機会さえあれば狙わずにはいられない、その目はねずみを追う子猫の如く。
(……まーた、やひろの『あまえた』が始まってるし)
 おはよう(登校)からおやすみ(下校)まで『サトくんサトくんっ!』とじゃれつく甘えたがりの世話役として、生徒会入りしたのが運の尽き。
 放課後ほぼ二人きりという状況も相まって、隙あらば人のひざに乗ったり、背中からぎゅーっと抱きついてきたりとやりたい放題である。
 ……この際、生徒会の仕事はほぼ『サトくん』任せという実態は置いておこう。それでもマズい。色々とマズいと言わざるを得ないのは。
「密室でらぶらぶとかすっごい濃い空間だよね! いいなー、やひろー」
「み、密室でらぶらぶっ……サトくんと、らぶ……はぅぅ……」
 ……ひっきりなしにやってくる外野が、この甘えたgirlを煽りやがるからです。
 学業やクラス内ではしっかりした才媛も愛しのサトくんの前では制御不能な甘えたがりの本性を現すとの謎の評判で、生徒会室がバカップル観察場と化している。
 安全圏からのウォッチを決め込む女子生徒の嬉し恥ずかしな黄色い歓声のせいで、やひろが妄想の世界から帰還不能に。
 らぶだの密室だのイタい話持ち出されるのは、小っ恥ずかしくて堪らないんですが。
「そういうのないから! ここ生徒会! てか部外者覗きにくんな!」
「またまたー、サトくんもそんなまんざらでもないくせにー。あ、ふたりっきりだからって襲っちゃだめだよっ!」
 おいばかやめろ。生まれ持った乙女の性か、好いた惚れたの噂話に飢えたハイエナたちから唐突に爆弾が投下される。
 自分で言って自分たちできゃあきゃあ騒ぐ観衆に、思わず遠慮ナシで叫ばずにはいられない。
「誰が襲うかっ!? そもそも学校でヤるバカがいてたまるかっ!?」
 お陰で、予想外の地雷を踏む羽目に。
「……わー、ふれんどりーふぁいあだー」
 にやにやとジト目で指さした女子の示した先に顔を向けると。
「あ、あうあうあうぅ……」
 そこには頭からぷしゅーと湯気を立てて、真っ赤な顔で小さく縮こまっていた甘えんぼう将軍の姿が。
「おれが襲われる方かよ!?」
 抑えきれなかったツッコミで、やひろがおとなしくなってくれたことは言うまでも無い。
 ……こっちまで恥ずかしい思いしたせいで、仕事は余計に進まなかったけれど。

385:名無しさん@ピンキー
14/01/11 21:11:46.32 ixvdUd26
 横暴と罵られつつ、生徒会特権などを利用してギャラリーを排除した、が。知恵熱はなかなか覚めないらしい。
 今度は意識し過ぎてか、こっちが近づいただけでやひろの顔が赤く染まる羽目に。なんの病気だこれ。
「今にほんとに襲われそうだよな……」
「し、しないもんっ! そんな、え、えろいこととか……サトくんとえっちとか……」
 謎の自己申告と共にまたもや頭から湯気がぷしゅーするやひろ嬢。妄想力激しすぎて正直ついていける気しない。
「作業中だろ、『会長』さん? 今期イベント多いんだじゃら、早めに仕上げないと間に合わないだろ」
「……イベント、いいよねっ。今年はクリスマスも新年も楽しかったし! 文化祭の後夜祭、すっごい素敵だったし……ふへへぇ」
 忙しいから仕事しようYOと言ったお話が何故思い出語りになったのか。曰く不可解。まあ今に始まった話じゃないけど。
 やひろさん的には素敵だった文化祭、思い出すだけでもツラい話だ。
 後夜祭を締めくくる、爽やかな青春スイッチがONしまくるハズの「若者の主張」イベント。そこでこの妄想少女が何をやらかしたと言えば。
「サトくんと、ずーっといっしょにいたいですっ!」
 一匹の獣が愛を叫んだ結果。
 訪れたのは……地獄でした。
 一日中遊び疲れて気だるい満足感に浸っていたハズの会場は、やひろさんの謎のヤる気スイッチ発動により黄色い声援は飛び交うわ野太い怨嗟は轟くわの大騒ぎに大発展。
 女子からはネタにされ男子からは爆発を呪われる現状は。
「パブリックエネミー(公共の敵)すぎる……」
 スクールカーストに於ける謎のアンタッチャブル(不可触民)。それがいまのぼくです。
 などと脳内でジョン・デリンジャー気取っていると。
「え、えねみー? サトくんねむいの?」
 小首をちょこんと傾けたやひろが謎解釈。自分が十二分にちみっこいせいなのか、人を気遣う仕草がちっちゃい子への世話焼きのよう。お姉ちゃん気取りの幼女とも言う。
「もー、サトくんったらしょーがないなー。今は生徒会のお仕事ちゅーなのに……ね、眠たいなら……うんしょっ」
 照れ照れと表情筋を緩ませた推定幼女が、嬉し恥ずかしなムード全壊で席を立ち、こちらへと接近してきた。
 同時に響きわたる脳内アラーム。予想される事態はただ一つ。
「襲われる!?」
「お、おおっ、おそわないよおっ! こんなとこでっ!?」
 ……それは場所を変えたらどうなるんですか。コワイ。
 脳裏に過ぎる想像から必死に眼を背けている間に。
「……ど、どうぞ」
 制服半脱ぎようじょが爛々と眼を光らせた興奮状態で突進! そのままがばーっ!と対面座―なんて予想に大いに反して。
 やひろは恥ずかしそうにうつむいたまま、隣の席にちょこんと座った。

386:名無しさん@ピンキー
14/01/11 21:13:56.96 ixvdUd26
 椅子の上なのに、何故か正座で。
 予想外すぎて余りに凡庸な疑問しか浮かばない。
「……なに?」
 余りにも具体性のない脊髄反射なwhat?に思わず言った方もうわこいつ頭わりぃと思ってたら。
「えとねっ、ひざまくらだよっ! サトくん専用!」
 答えてくれた方も輪をかけてあたま悪かった。お姉さん気取り継続中らしく、両手を広げてドヤ顔でかむかむと臨戦態勢。
 なんかもう、すっごく、残念です。
「……もうちょっと頑張ろうな」
「ひゃうっ!?」
 主にやひろの人生的な意味で。これからの彼女の艱難辛苦を案じて慰めにハグしてやったら、やひろからまたもや可愛らしい絶叫が。
 きっとこいつは殺意さえも愛らしさの呪縛から逃れられないに違いない。
 例えばヤンデレと化しても、おもちゃの包丁を振りかざして涙目で
『いじわるさとくんなんかころしてやるー、うわーん!』
 なんてグズってる涙目園児スモックようじょしか浮かばない。
 ……学生服より園児服の馴染む同級生って。
 なんてじゃれ合っていれば、仕事なんて一向に進む訳もないので。
「ほら、仕事仕事ー。さっさと帰るぞー」
「いっ、いきなりはズルいよおぉっ!? しんぞー止まるかと思ったし!? ああもお……サトくんがいじわるだー……」
 再び書類の山に手をつけるも、肝心のやひろはまたほっぺふくらませてぶーたれてる有様である。
 使いたくはなかったが、伝家の宝刀を抜かざるを得ないらしい。
 こほん、とわざとらしく咳をして。丸聞こえの独り言をひとつ。
「あーあー、仕事が終わったら、今度の休日ずーっとやひろと一緒に―早っ!? ナニそのスピード!?」
「なにを言ってるのかな川瀬君っ!? わたしはいつも通りにですからっ! ほらっ、ほらっっ」
 言い終わるよりも速く、やひろが電光石火の速度で働きだす。一掴みした書類に即行で眼を通し、署名や赤線を入れては次の書類へ。
 処理済みを確認してもミス一つないのは良いが、この勢いで迫られると思うと―正直身が持ちそうもないので。
「……やっぱ急がなくてもいいや」
 もう一度ハグ。ちっこい身体をぎゅーっと抱いてみる。子供の体温は高いらしいが、例にも漏れずやひろもまたあったかい。
「やっ、だ、だめです、川せ―うひゃあっ!? さ、サトくんっ、が、学校でえっちなこととか、や、ひゃうっ!?」
 すると、やひろがまた興奮し始めます。なんのループだこれ。
「襲わないから!? てか今のどこにエロ要素が!?」
「サトくんの、おさわり……え、えろいもんっ……」
 不幸は更に畳みかける。一騒ぎを聞きつけて、またもや観衆が集まり出す。密室で隣り合う男女二人。
 しかも片方は高感度なちみっこが湯気を立てて恥じらっているという『意味深』な環境という……。
「おさわり言うな! ああもう違う! 野次馬帰れ! 帰れよう!」
 むなしく響く声は、誰の耳にも届かない。
 ……どうしてこうなった。

387:名無しさん@ピンキー
14/01/11 21:15:23.22 ixvdUd26
 結果的に言えば、予定よりも速く下校できました。
 ええ、まあ、社会的評価を犠牲にしての結果ですけど!?
 暗く冷え込んだ空の下。いつもと同じ二人並んでの下校である。 
「え、えとっ……え、えへへ……くっ、くふふっ、にへへぇっ」
 訂正。いくらやひろが妄想少女とはいえ、こんなによろこぶ(意味深)ことなんて稀である。
 ……これが稀じゃなかったら正直マジ困ります。
「……もう俺、やひろと一緒に帰るのやめたい」
「ふぇっ!? なんでっ!? サトくんなんでっ!?」
 抑えきれない変な笑顔の最中も、やひろはしょっく!とばかりに分かりやすく驚いてくれる。話を聞いていない訳じゃないのはありがたいけど。
「……恥ずかしいから」
 ただ、『友達に噂されると』の類の恥ずかしさを訴えても。
「あー……そっか。照れちゃうとか、サトくんもかわいいとこあるんだー。もー、もー♪」
 結構な頻度でやひろのらぶいアプローチに対するお話になってしまう。
 はしゃぎながら人のわき腹を肘でつついてドヤるのやひろは結構ウザ可愛いが、なんか腑に落ちないので、おしおき。
「……今日は寝かせないからな」
 もちろん、一緒に遊んでいるゲームのやりこみ的意味で。自分でも言っててちょっとキザすぎる、あり得ない科白だと思うけど。
「…………っ!!!?」
 やひろは口を金魚みたいにぱくぱくさせて、ふるふると顔を振ったかと思うと、人の胸元にぽふんとちっこい身体ごと埋めてきた。
 密着した身体は見事に火照っている。やひろさん、エロい少女漫画の読み過ぎだと思います。
「は、恥ずかしいよっ、サトくんっ……」
 そんなのお互いさまだけど―口に出すのは、やめておいた。
 そんなこんなで、今日も恥ずかしく一日が暮れていく。

388:名無しさん@ピンキー
14/01/11 21:21:05.60 ixvdUd26
しまった!あんまり甘えてない!おれがハードル下げているうちに甘えっ子を書くんだ!早く!早く!おれに構わず甘えっ子を!

389:名無しさん@ピンキー
14/01/11 21:28:17.31 ixvdUd26
あ、すみません。間違えました。
「作業中だろ、『会長』さん? 今期イベント多いんだから、早めに仕上げないと間に合わないだろ」
でした。台無しだコレ

390:名無しさん@ピンキー
14/01/11 21:39:07.48 3fYZbmgD
おっつん
かわええ

391:名無しさん@ピンキー
14/01/11 22:19:25.95 Pd4R2kSR
>>389
乙wwwww
誤記は他にも有るけど、目瞑っても大丈夫なくらい2424デケタw

392:名無しさん@ピンキー
14/01/13 21:21:58.78 Z/RwyX5u
>>389
ミスに気づかなかったぐらいにニヤニヤできたから問題ないぜ!
GJ!!

393:名無しさん@ピンキー
14/01/19 20:39:11.65 WF2AL+Gq
これはいい2828w
生徒会長がこれじゃ当てられちゃう生徒もいそうだなw

394:名無しさん@ピンキー
14/01/23 23:46:08.92 Vo0TJ9dg
甘えっ子にいいように振り回されたい
街中歩いてるのに仕草や目線で甘え要求されて
我慢してるところ見られてニヤニヤされたい

395:わんこ ◆TC02kfS2Q2
14/01/25 18:43:48.14 odC3WBG5
はじめまして。
こんな甘えん坊、書いてみました。

396:『つぐちゃんと柚妃』 ◆TC02kfS2Q2
14/01/25 18:45:47.95 odC3WBG5
 朝っぱらから部活動に時間を割かれることは、正直な気持ちならば、ちょっとばかり辛い。
 別に大会に青春を費やしたり、栄光を目指すような部ではないのだから、その分気楽だなと部屋で植(つぐ)は身支度をしていた。
 毎朝制服のズボンを履く度、一日の始まりにあくびする。

 植は高校生。三年生だ。青臭い一年生とはずっと違うんだよ……と、だが、まだまだ長いこの先、アイドリング真っ只中だ。
人生のスタートラインすら踏んでいない若輩者。甘えられるものには甘えていろ。そうだ。この素晴らしき猶予期間を
楽しもうじゃないか。そう考えると、辛い朝も清々しい。この扉を開ければ、すぐ目の前に爽やかな空が待っている。

 「つぐちゃん!柚妃を置いて抜け駆けなんかずるい!ってか、ずるい!」

 間髪入れずに前言撤回。炭酸の効いた清涼飲料を飲もうとしたら、果汁200パーセントのぶどうジュースでした。
 制服姿で妹の柚妃(ゆずき)が廊下の奥から飛びついてきたのだから、新しい朝の気分はウサギのようにすっ飛んで逃げた。

 「はぁ……柚妃が部長なんだから、……平部員は勝手に行動しちゃダメ!ってかダメ!」
 「部員って二人だけだろ」

 灰色だった玄関は柚妃のテンションで黄色く染まった。
 息絶え絶えながら柚妃はローファーを履きつつも、植のブレザーをしっかりと薄い手で掴んでいた。
 ちょこんとワンポイントで結んだ髪はアホ毛のよう、肉球デザインのヘア留めが柚妃の幼さを表す。
まだまだ高校一年生はそんなものか。但し、部長だと柚妃は言い張った。

 「それじゃ、行くよ!」

 植のブレザーの裾を摘んだまま朝ぼらけ残る澄み切った街へと飛び出した。
 冷たい空気が兄妹の家に入り込む。

 植と柚妃は同じ高校に通っている。言うまでもなく、通学ルートは同じだ。
 人通りの少ない駅までの道を歩く。さっさと姿勢正しくひたすら歩く植を追いかけて柚妃はちょこまかと駆け足。
言うならば、散歩に出かけた仔犬のように植の後を追う。

 「行きは一緒に行きたがるのに、帰りは違うんだな」
 「女の子同士の事情ってのがあってねー、平たく言えばお付き合い。つぐちゃん!もう電車来てる!」
 「電車は逃げない」

 柚妃が学校までの時間を大切にしている理由に相槌打ちつつも、車窓を楽しむ時間を迎えたことに少々の安堵感で一息。
 早朝ゆえ、車中は空席が目立つ。早出のサラリーマンがめくる雑誌の音が聞こえるぐらいだ。お行儀悪く脚を伸ばしても
邪魔にはならない。そんな状況下でも、柚妃から香るシャンプーのにおいが深呼吸しなくても植の鼻孔に届く距離が時間を縮めていた。
単調な線路のリズムに乗じて柚妃は兄のひざ小僧を指でくすぐっていた。

397:『つぐちゃんと柚妃』 ◆TC02kfS2Q2
14/01/25 18:46:20.57 odC3WBG5
 「授業終わって、びゅっとつぐちゃんの所に駆け付けたいんだよ!でも、やっぱ『柚ちゃん、付き合い悪いしー』とか
  言われるから!委員長から陰口叩かれなくないし、おしゃべりだし、腹黒弾幕撒き散らしだし」
 「柚妃よりおしゃべりなヤツっているのか?」
 「だから、なおはこの部活を作ったんだから!あー、着いちゃった!ってか着いた!じゃないや!もう一駅!」

 そろそろ街が人が動き出す。いくら出無精な街でも、ぱらぱらと乗客が出入りする。
 扉も開くから冷たい空気が車中に入り込むが、柚妃は植にしがみつく口実が出来たのでむしろ好都合に捉えた。
 が、柚妃の眉がアクセルを踏み込んだタコメーター以上の勢いで、瞬く間に釣り上がった。ついでにアホ毛も釣り上がる。

 「やばっ。委員長だ!」

 南無三。
 天敵、現る。
 おしゃべり委員長だ。

 おしゃべりだし、陰口叩くけど、早起きして登校するぐらい屁と思わないぐらい学校ラヴな委員長が途中の駅から乗車してきた。
柚妃はいつもは早い時間に見かけない委員長を警戒しつつ、植の腕を強く引っ張っり……恨むなら委員長だ、と納得させる。
 植の体ですっぽりと隠れた柚妃と共に隣の車両に移った。

 「委員長が早く来るなんて聞いてない!ってか聞いてない!」
 「見られたらヤバイのか?」
 「だって、委員長。柚妃がつぐちゃんと一緒なのを見たら……ぜったいバカにするし。ってかするし」
 「大人しそうな子じゃねえか」
 「あれが委員長の腹黒なの」

 本に夢中になっている委員長を直が横から目にしていると、車窓がゆっくりと流れを緩めてゆく短い旅愁で胸を痛めていた。
最寄駅に到着だが、着けども、いくらか太陽が高く昇れども、閑散とした風景には変わりなかった。熱くなった柚妃の頬にひんやりと
風が駆け抜ける。

 「ずっと駅に着かなきゃいいのに」

 委員長がそそくさと下車したことを柚妃が確認すると小さくガッツポーズを決め、ホームへと兄の太股を踏み切り板にして、
率先して電車から飛び出した。肉球デザインの髪留めからは、噴水に負けないぐらいの勢いでアホ毛も精気が満ちたように揺れ動く。

 「委員長の後ろを行くよ!ってか、行きます!」

 先を急ぐ委員長に感謝しつつ、植と柚妃は最寄駅の改札を潜った。
 最寄駅から学校までの距離は遠くない。言うならば、歩きながら肉まん半分も食べられないぐらいの近さだった。

 「今日の部活動も、もうすぐおしまいだね」
 「やっぱり、部活動なんだ。これ」
 「つぐちゃんは3年生、柚妃は1年生。一緒の部にいられるのも後わずかだし」
 「柚妃が勝手に始めた部だろ。おれと二人きりの」

398:『つぐちゃんと柚妃』 ◆TC02kfS2Q2
14/01/25 18:46:51.73 odC3WBG5
 校門が近づいてくるに連れて、直の表情が小雨模様に移ってゆく。皮肉にもすっかりと地面に落ちる影が濃くなるほど快晴だ。
柚妃の絡み付く腕が暑いぐらい、さんさんと日差しは暖かい。

 3メートル、2メートル……そして1メートル。
 校門が大きく見えてくるにつれて、柚妃は植の腕を強く握っいた。柚妃の心臓の音、息、そして甘ったるい香り全てを
植に覚えさせるように。そして、しばしの別れに泣くように。あと何回、植と一緒に登校できるだろうか。日にちを数えれば
すぐに分かるような問題だけども、結末を先に読む小説ほどつまらないものはないんだと、柚妃は一日を大切にした。
 思いに引きずらたままふと気が付くと、校門が柚妃と植の側を通り過ぎていた。

 「……今日の『登校部』の活動は……終わりです!」

 学校に着くまでが部活です。学校一番の早起き部活動は部長の宣言で終わった。

 「お疲れさま」
 「……うん。お疲れさま。ってか、疲れてないし」
 「大体分かった。柚妃の考えていることなんか、お見通しだし。てか……お見通しだし」
 「真似するなぁ!」

 柚妃はこの後、教室での立ち位置を考えると、植の温もりにもう少し寄り添いたかった。なんせ……。
 今、柚妃の教室に直行すればおしゃべり委員長がいるだろう。朝から少し憂鬱だ。ってか、憂鬱だし。

 「おしゃべりに付き合わされるぐらいなら」
 「委員長のことか?」
 「もうちょっと、登校部の活動……延長していいかな?ってか、延長です」

 ひんやりした廊下で顔を赤くしている柚妃のアホ毛をこつんと指で弾くと、今までのお返しとばかりに植は柚妃の腕を引いて、
階段を上って3年の教室へ急いだ。


   おしまい。

399:わんこ ◆TC02kfS2Q2
14/01/25 18:47:26.23 odC3WBG5
こんな感じで。
投下おしまいです。

400:名無しさん@ピンキー
14/01/26 13:03:18.98 ZZIUdCVH

甘えん坊な妹(*゚∀゚)=3ムハーッ

401:名無しさん@ピンキー
14/02/09 21:41:53.33 qyNz2ziT
婚期を逃した女性にきた奇跡のラストチャンスに甘えんぼう(必死)に
なったりするのかな

402:名無しさん@ピンキー
14/02/17 23:41:14.90 arv5GUhT
この寒さでは甘えっ子にとっては天国みたいなものだろうなあ

403:名無しさん@ピンキー
14/03/07 00:01:13.17 KH8FPDDv
寒さに弱過ぎて甘えるどころじゃない甘えっ子

404:名無しさん@ピンキー
14/03/10 22:40:46.47 /10If3jI
だが待ってほしい、そういう時こそ男が抱きしめてあげて甘え調教をするチャンスなのではなかろうか?

405:名無しさん@ピンキー
14/03/11 08:26:34.56 lmhRvg+p
甘え調教って何だw

406:名無しさん@ピンキー
14/03/11 17:11:21.03 GLtATF72
むしろ調教されたい
顔見たら条件反射で抱っこして頭撫でてしまう身体にさせられたい

407:名無しさん@ピンキー
14/03/11 20:14:46.07 VqWlFIcC
体の冷たい男に抱き着くのは夏は快適だが冬はきつい。
そこで、葛湯を飲ませたりカイロを仕込んだり、軽いマッサージで丹念に体を温めて、
それから密着して堪能することにした甘えっ子。

「えへへ、これであったかー。私ってば頭良いね」
「俺を温かくして暖をとるより、まず自分の体を温めたら良かったんじゃないのか?」
「……」
「……」
「あ、それもそうか」
「ほら。お前の方が、今は体が冷たいよ」
「……えへへ、じゃあちょっと体温いただきます」

あぐらの膝上に跨って、男の体に遠慮なくしがみつく甘えっ子。
少しちくちくとするセーターに、何度となく顔を擦りつけて、はぁ、と幸せそうに息を吐いた。

「余は満足であるぞ。でも、これでもっと毛布くらいに温かくなったら良いのにね」
「ごめんな。俺が暖房苦手なせいで」
「ううん。あ、そうだ! このまま運動すれば良いんじゃないかな!」
「えっ」


このあと滅茶苦茶セックスした

408:名無しさん@ピンキー
14/03/12 21:25:42.37 7/rJGA5i
このあとが読みたいぞw
たが乙

409:名無しさん@ピンキー
14/03/23 19:13:39.30 g2n9nrlY
何と無く即興で会話のみ
---------------------------
「なぁモエ…」
「うん?なぁに?テツ君?」
「ちょっと…離れてくんないか?」
「えっ?どうして?」
「いや、左腕が暑い…」
「そぉ?わたし寒いけど…」
「(Eカップの胸で挟まれたら暑苦しいんだが)」
「えへへへへへへへへh(ry」
「あのさぁ…」
「なぁに?」
「せめて学校では離れt」
「(じわっ)わたしの事嫌いになったの!?」
「いやそんな事は無いけど(汗)」
「じゃあいいじゃん(むぎゅぅ)」
「(ぐっ、暑い!そして皆の視線が痛い…!)」

終わり

そして左腕に汗疹が出来て皆に冷やかされるとかw

410:名無しさん@ピンキー
14/03/30 06:26:35.01 ncYkTQpR
お花見ではっちゃける甘えっ娘まだー

411:名無しさん@ピンキー
14/04/05 12:19:29.73 V28IbuVy
『桜は散っても私はまだまだ見頃なのよ?』な妖艶先輩なのか、
『花じゃなくてもっと私を見てよ!』な同級生幼馴染みなのか、
『先輩に膝枕されながらのお花見は最高ですぅ…ふへへ』な後輩なのか、それが問題だ

412:名無しさん@ピンキー
14/04/05 15:59:56.61 ZYT2sRnN
>>411
台詞と年齢をシャッフルしてもいいんじゃねw

あ、先輩が後ろから男に抱き付くとかw

413:名無しさん@ピンキー
14/04/07 18:38:15.22 Af/eG3g7
>>411
同級生幼馴染みの台詞だけでストーリーが目に浮かぶわw
きっかけがなくてもやもやしてたところを周りに乗せられる→
何故かお花見でいい雰囲気を狙うことになるも自爆して涙目→
何だかんだで両想いでハッピーエンドの黄金パターンと見た

414:名無しさん@ピンキー
14/04/13 10:41:43.39 e7H1BzdE
甘えっ子とデートって実は大変そうだよな

415:名無しさん@ピンキー
14/04/19 17:30:05.30 wnxr7Aiy
いつもべったりだから?

416:名無しさん@ピンキー
14/04/20 00:27:53.00 sUVruQN6
少しでも側を離れると泣いちゃうからじゃね?
その後ベッドでせいe(ryがべっとりと…

417:名無しさん@ピンキー
14/04/20 21:12:01.25 MGuDQMJy
周りの目とかあるしな
イチャイチャしてるところを見られても耐えられる鋼の心が必要なのかもしれん

418:名無しさん@ピンキー
14/04/23 21:46:31.29 f4shx0KX
キューピットになって幼馴染の妹分を意中の相手とくっつけたら
イチャイチャ甘えてる様子を見せつけてくる、

うん、見る側にも精神力が必要だな

419:名無しさん@ピンキー
14/04/26 01:54:50.23 BYlKfPFE
>>418
お前見る側じゃないだろ?その幼馴染の子お前のことが好きらしいぞ?

420:↑
14/04/26 09:43:59.78 kjT/uU6t
やべsage忘れてた

421:名無しさん@ピンキー
14/04/26 20:16:49.20 i2/lGEMR
それは奪い取るしかない
そんで二人とも相手の男に責任を感じて、彼を密かに思っていた娘とくっつける作戦を練るとか

「……そんなに好きなら、早く気持ちを伝えなさいよ。―くんには悪いことしたし、幸せになってもらいたいから」
「そうなんですけど……どうやって伝えたらいいか分からなくて……」
「簡単よ。どういう関係になりたいか、口に出して相手に言うの」
「そんなの、恥ずかしいです……」
「恥ずかしがってたら気付いてもらえないって。男なんてどいつもこいつも鈍感で、口で言わなきゃ分からないんだから」
「……そう、なんですか?」
「そう! 女は度胸なのよ!」
「度胸って言われても……」
「知ってる? 彼氏がいることの最大の喜びはね、恥ずかしいことができるとき! ボディーランゲージ! 接触!」
「せっしょく?」
「こうやって、ずーっと手つないでたいでしょ?」
「……」
「こうやって、好きなときにほっぺうりうりしたいでしょ?」
「……」
「こうやって、彼の膝に乗ってたいでしょ?」
「……いです」
「ええ?」
「……したいです! あーんとか、ハグとか、その……キスとかも、したいです!」
「そう! その調子! さあ心が決まったら具体的な計画ね。まずは距離を縮めるためになでなでを誘うところから……」

「それよりお前らはこの姿勢が気にならんのか」

422: ◆fEzkEcuNwqHK
14/04/27 02:27:16.35 c4JyH0qq
GW(ぎゅっとして、わっふるわっふる)


「ゴールデンウィーク……どこか行きたい所はありますか?」
「そうすけさんと一緒ならどこだって……」
「嬉しいですけども、今はそういうのナシで考えましょう」
「いけず。じゃあ、少しだけ遠くにお出かけしましょう」
「少しだけ、ですか?」
「はい、少しだけ、です。
 少しだけ遠くに、少しだけいつもよりお洒落して行きましょう」
「まぁ、ゆかりさんがそれでいいなら……」
「決まりですね♪ふふ、今から楽しみです」


「そっうすっけさん!ほらほら、この洋服!素敵です!」
「ええ、明るい感じで、ゆかりさんによく似合ってますよ」
「えへ、本当ですか?じゃあ、買っちゃおうかな」

「次は和服の帯を見に行きましょう!」
「あー。そういえば暫く買ってないですね」
「それで”お代官様ごっこ”しましょう!」
「しません」

「このご当地グルメ、なかなかないレベルで美味しいですね!」
「ほんと、美味い。でも、”なかなかない”は嘘ですよ」
「そうですか?」
「ええ。現に俺は、毎日ゆかりさんのご飯食べてますし」
「……もう、何言ってるんですか♪」」

「さあ、午後はそうすけさんのアレコレを買いましょう!」
「え、俺もですか?」
「もちろんです。さあ、まずは新しいお財布を買いましょう」

「んー、このシャツ似合いますねぇ。しかしこのジャケットも……」
「ゆかりさん、真剣ですね」
「もう!そうすけさんが何着ても格好いいから大変なんですよ!」
「え、あ、すみません……?」


「ふぅ。すみません、今日ははしゃぎ過ぎてしまいました」
「いえいえ。ああいうゆかりさんも、可愛かったですよ?」
「ま、まったく。隙あらば私を褒めるんですから……」
「俺の特権です。さて、残りの休日は何をしようかな」
「あの、残りは……二人でゆっくりしませんか?」
「はは、疲れちゃいましたか?」
「いえ、お出かけも楽しいですけど、その……」
「?」
「外では、抱きしめてもらったり、キスとかも、出来ませんし……」
「……ああ、もう!ゆかりさんは可愛いなぁ!」
「ひゃっ……駄目です。家に着いてから、ですよ?」
「はいはい、わかってますって」
「はい、いい子。…………そうすけさん」
「なんですか?」

「だーいすき、です!」

423:名無しさん@ピンキー
14/04/27 03:15:20.51 6F/HZw4E
>>422
……ふう、なんとか致命傷で済んだぜ!
GJ!!

424:名無しさん@ピンキー
14/04/27 16:36:33.27 DtTepTwY
ふっ甘いな、俺は虫歯と糖尿病で済んだぜ
これって不治の病じゃないよね…

425:名無しさん@ピンキー
14/04/27 17:15:00.96 Lrunpweo
ダイジョーブダイジョーブ

俺なんて全身砂糖になっちゃったけどまだ生きてるし

426:名無しさん@ピンキー
14/04/27 19:30:00.65 MsVwIYPQ
溢れ出る糖気が抑えられない…!

427:名無しさん@ピンキー
14/04/28 23:51:45.31 AlImYXwE
今日の昼ごろ、何気なくニュース見てたらフィギュアスケートの羽生選手特集見たいなのやってたんだが、羽生選手と小学校低学年くらいの女の子のやり取りに萌えた
震災後にスケートリンクが建て直された場面だったからもう1~2年くらい前の映像なんだろうけど、

羽生選手がリンクに入って来たら、結構遠くの方に居た女の子が凄い勢いで滑って来て、そのままの勢いで羽生選手に抱きついたんだよな
羽生選手もしっかり抱きとめて、「久しぶりー、大きくなったねー」って笑いながら女の子のほっぺたムニュムニュしたりしてさ
で、女の子すっごい無表情なの。無表情でほっぺたムニュムニュされてるんだけど、それでも羽生選手に抱きついたまま離れないの。無表情だけど凄い嬉しそうなの

もう仕事中にほっこりですよ。リアルで無表情甘えんぼうロリを見られるとは思わなかった

428:名無しさん@ピンキー
14/04/29 01:28:58.28 dlkG0AzI
>で、女の子すっごい無表情なの。無表情でほっぺたムニュムニュされてるんだけど、それでも羽生選手に抱きついたまま離れないの。無表情だけど凄い嬉しそうなの

なにそれすごい可愛いw

429:名無しさん@ピンキー
14/04/29 01:35:29.39 PkIbdqM+
それでは控室に仕掛けた隠しカメラの様子を見てみましょう

430:名無しさん@ピンキー
14/04/30 00:42:44.12 ub2Egqfm
シチュの流用ならともかく、三次の娘で妄想はやめとこうぜ
シチュの流用ならともかく(チラッ

431:名無しさん@ピンキー
14/05/08 22:34:53.31 kuinvhPJ
甘えっこと付き合ってる男ってどういう気分なのがジャスティスなのか

432:名無しさん@ピンキー
14/05/17 19:40:23.49 v7UolLW7
・甘えられてしょうがねぇなみたいな素振りを見せながら満更でもない

・常時クールに対処するものの泣かれたり拗ねられたりすると甘くなる

・徹底的にデレデレで甘やかす。他人はおろか時に本人にさえドン引きされる


好きなのを選べ

433:名無しさん@ピンキー
14/06/01 11:02:42.32 R2kZqXko
最初の頃は抵抗するけど、段々籠絡されてく展開がオイシイと思うな
甘えっ子ってMに見せかけて実はS…?

434:名無しさん@ピンキー
14/06/06 04:32:33.30 ZAmI/9d9
そうだな、よく考えると男が自分が甘えても抵抗したりしないよう長期間調教しているとも取れるな
そして男のほうも定期的に甘えられないと禁断症状が起きるようになって・・・

435:名無しさん@ピンキー
14/06/08 20:14:11.36 2A7Z1Uhk
何年経っても軽くあしらう猛者っているかなw

436:名無しさん@ピンキー
14/06/09 19:59:04.76 k6lA3d+l
普段の言葉はへいへいとかそっけないくせに、彼女がいなくてもつい手がなでなでの相手を探してしまう男君
ありだと思います

437:名無しさん@ピンキー
14/06/09 20:53:36.58 7XnOcJ1x
素直ヒート好きなんだが最近甘えヒートという電波が頭から離れないんです。

438:名無しさん@ピンキー
14/06/11 01:18:34.69 2Mv9m4r3
>>437
甘えヒート……熱くなるようにベタベタしてくる甘えん坊なのか、燃えるように甘えてくるのか、どっちだ?

439:名無しさん@ピンキー
14/06/11 01:42:38.53 4h2ajD85
素直ヒートが渾身の愛で持って甘えてくる感じです。

440:名無しさん@ピンキー
14/06/11 01:49:24.47 Cuhx8vwg
>>438
語感からすると後者のような気がする
どんなと言われても正直困るが
強いて表現するなら、ラスボスか何かのような相手に啖呵切ってる風のイメージがぼんやりと浮かぶ

女「男君はあなたになんか絶対渡さない! 例え地獄の業火に灼かれても、永久凍土の奥深くに閉じ込められても!
  何度生まれ変わることになっても、私は絶対男君の両腕の中に戻って見せるんだから!!」
っていうくらい、ものっそい暑苦しい啖呵切りながらムギューって抱きついてる感じの何か

441:名無しさん@ピンキー
14/06/11 10:34:35.19 q2p8e/m7
甘えヒート


女「男ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!手ぇ出せぇぇぇぇぇぇ!!」ドドドドドド
男「……なんだ?」パッ
女「イェーイ!!ハイタッチー!!」パァンッ
男「おっ……おい、なんだそのアメリカナイズされたノリは?」
女「かーらーのー!!」パシッ
男「!?」
女「へへーん!!こうしたら男も恥ずかしがらずに手を繋いでくれるよなっ!!」ニギニギ
男「お、おい、止めんか」
女「止めないよーだ!!」ギュギューッ
男「止めなさいっつの」
女「やだーーーーー!!!」スリスリ
男「……とうっ」グリッ
女「あいだぁぁぁぁぁぁ!?か、関節極ってるぞぉぉぉぉぉ!?」バタバタ
男「あ、悪い。さすがに少しやり過ぎたか」パッ
女「ふーっ……男は油断も隙もないな!!」
男「いやそれこっちの台詞だから」
女「次からはもっとナチュラルに男と手をつなぐ方法を考えとくからな!!」
男(……アホ可愛いなぁ、こいつは)
.

442:名無しさん@ピンキー
14/06/11 10:50:58.71 4h2ajD85
甘えヒート2


女「おーとーこっ!!」
男「またお前か。なんだ?」
女「背中に文字書くから、なんて書いたか当ててみなっ!!!」
男「ああ、たまにやるなそういうゲーム」
女「じゃあまず一文字めな!!」クニクニ
男(……一文字目は『す』、か?)
女「次に二文字め!!」クニクニ
男(……『き』、か)
女「……」ドキドキ
男「……おい、三文字目は?」
女「えっ」
男「えっ」
女「な、なんでそんな意地悪言うんだああああああああ!!!!!」
男「……あぁ、そういうことか。すまん、素で気づいてなかった」
女「鈍感にも程があるぞ!!私の気持ち伝わってないかと思って焦ったじゃないか!!」グスッ
男「悪かったよ、だから泣くなって」ギュ
女「……もっと強くギューしてくれたら許す!!」
男「はいはい」ギュッ

,

443:名無しさん@ピンキー
14/06/11 17:59:35.75 najbI04t
面白いな

素直な甘えヒートって聞き慣れないけど、スポ根体力馬鹿キャラがイメージされる
松岡修造みたいな感じの

444:小ネタ
14/06/11 23:02:12.34 4h2ajD85
.
男「あーヒマだなー……」
女「……」パラ
男「なーなー、超ヒマなんだけどなんかすることねーの?」
女「……」
男「なんか言ってくれよー」
女「……」パラ
男「……なぁ女、ちょっとこっち向いてみ?」クィクィ
女「……?」チラッ
男「食ーべちゃーうーぞー」ガォーッ
女「……」
男「……シカトっすか。少しはリアクションが欲しいなぁ」
女「……」ジトーッ
男「……いや、すまん。やっぱりなんでもない」
.

445:小ネタ
14/06/11 23:09:06.36 4h2ajD85
.
女「……」
男「……」
女「……」チラッ
男「……ん?」
女「……た、食べられちゃうぞー 」ボソッ
男「!?」
女「……///」ポッ
男「……食べられちゃうのか」
女「……」コク
男「そ、そうか……」
女「……///」
男「……///」
女(……言うんじゃなかった///)

おわり

446:小ネタ
14/06/11 23:09:49.97 4h2ajD85
書いてみたらさほど甘えてもいなかった。まぁいいや

447:名無しさん@ピンキー
14/06/12 00:02:19.09 gBKHNO2a
男のほうが構われたがりの甘えん坊に見えてどうしようかと思った

448:名無しさん@ピンキー
14/06/14 21:32:27.51 4jxQJ1S3
何年か前に某所で書いてたのが甘ったるくてここ向きかもしれないと思ったので転載してみる

1レスで終わる掌編です

449:名無しさん@ピンキー
14/06/14 21:38:09.37 4jxQJ1S3
その1


うちの母が喧しくて困る。��

毎朝ご近所に響き渡る声で俺を叩き起こし、そのまま父のいる部屋へ向かっていく。��

母は父に朝っぱらから甘えたいようだが、そうは問屋が卸さない。��

父はいつも母が起こしにいくより先に起きて、抱きつこうとする母を冷たくあしらう。��

それでも母は満足そうに、俺と父の朝食を作るために台所へと向かう。��

今日の目玉焼きも、いつもの通りに半分焦げている。��父はそれに文句も言わず、焦げた部分を器用によけて食べている。��

母はいつまで経っても料理が上手くならないと愚痴をこぼす。��父はそれを聞いてか、焦げた部分までも残さずたいらげる。��

母はそれを見て、ニッコリ笑っている。��父は無表情のまま口の回りをタオルで拭う。

俺にはとうてい真似出来そうもない。

.

450:名無しさん@ピンキー
14/06/14 21:43:04.56 S/8lk0it
その2
��

うちの母が喧しくて困る。

体重が2キロ増えたと言っては大騒ぎ。ダイエット、ダイエットとお題目のように唱えている。

高校生の息子がいるにしてはプロポーションも崩れていないと思うのだが、母はそんな俺の言葉にも耳を貸さない。

父が仕事から帰宅すると、母は父にも太ったかもしれないと嘆いた。

父はいつも通りの調子で、そういえば確かに太ったかもなと言って母をしげしげと見つめる。

とたん母は、悲劇のヒロインでも乗り移ったかのように、こんな私でもあなたは愛してくれますか、などとのたまい始めた。

父はやや白けた表情で、はいはい愛してる愛してると母の頭をくしゃくしゃかき混ぜる。

母は父のその言葉が欲しかったらしく、以降その口からダイエットという言葉は聞かれなくなった。

.

451:名無しさん@ピンキー
14/06/14 21:49:45.07 S/8lk0it
その3


うちの母が喧しくて困る。

休日に、遅く起きた俺がリビングへ向かうと、両親がすでにソファを占領していた。

珍しく母が父の肩にもたれ、日曜の朝に特有の、あまり内容のない旅番組なんかを見ている。

父が母を甘えさせる姿はあまり見ないので、パンダでも見るような心持ちでドアの影から覗いていると、母が
机の上にあったホットケーキ(これも珍しく焦げていないので、父が焼いたと推測)をフォークで切り取り、
父の口へ向かってあーんしていた。

驚いたのは、父がそれを受け入れたことである。

ビックリした俺がその場から離れようとしたのと、父が振り返って新聞を取ろうとしたのが同時だった。

父がホットケーキを咀嚼しながら気まずそうにしている。俺も気まずくて顎をポリポリ掻いている。��

その中で母だけが、余裕綽々で元気よくおはよう!と挨拶している。その間も、母は父の腕に自分の腕を絡めて離そうとしない。��

朝からごちそうさまでした。

.

452:名無しさん@ピンキー
14/06/14 21:55:12.60 S/8lk0it
その4


うちの母が喧しくて困る。

母にリビングの掃除を命じられ、仕方なくちんたら片付けていると、両親の若いころのアルバムを見つけてしまった。

恐らくは今の俺くらいの年齢だろう父と母が、あまり仲良くとは言えない風に写っている。

一緒に写っている女の人は母の友人だろう。となると写真を撮っているのは、父の友人の男友さんだろうか。

しばらくそのアルバムをめくっていると、俺は一つの事実に気がついた。

初めは母に対して素っ気なく、渋々写真に写っているようだった父が、写真の枚数を重ねる毎ににこやかな表情になっているのだ。

そのアルバムの最後のページには、教室の中で泣きじゃくる母と、母と手を繋ぐ父の姿が写されており、繋いでいない方の手には卒業証書らしき筒が握られている。

父と母の青春を、俺は知らない。けれどそれはきっと、そんなに悪いものではなかったのだろう。

俺もこんな青春送りてぇなぁ、とか思いながら床でゴロゴロしていたら、早く掃除しろと母に怒られた。

.

453:名無しさん@ピンキー
14/06/14 22:02:26.71 S/8lk0it
その5


うちの母が喧しくて困る。

家族三人が家にいる時のことだ。母が俺に、腰を揉んでくれとうつぶせになって頼んできた。

唐突だったのでどうしたのかと思ったが、母だって腰が痛むこともあるのだろう。

快く了承して腰を揉んでみたが、母は五分も経たずにもういいよと断りを入れてきた。

力を入れたせいで痛かったのかと思いきや、母は今度は仰向けになり、父へ向かって好きなところを揉めなどと言いだした。

実の息子の前で何を言っているのか。そして、どこを揉ませるつもりなのか。

動揺する俺を尻目に父は、母のお腹をうどんのように揉みしだき、また太ったのかと呆れていた。

母はというと、そんな父の手つきに激しく悶えている。

これが我が家の、日曜の午後の風景だった。

.

454:名無しさん@ピンキー
14/06/14 22:03:08.20 S/8lk0it
以上、某所に投下した甘え母のSSでした
読みづらい等の指摘があれば改善します

455:名無しさん@ピンキー
14/06/15 15:49:27.63 uiGrjzxr
良きかな良きかな
甘えっ子はお母さんになっても可愛い

456:名無しさん@ピンキー
14/06/15 16:33:01.71 TEjBcKOI
末永く爆発しろ

457:甘え母
14/06/16 23:29:23.10 +9dR/EuQ
その6


うちの母が喧しくて困る。

ある日のこと、俺がリビングでテレビを見ていると、母がお風呂に入るねと言ってきた。

夕飯の支度も終わっていたので、一度はうんと返事をし聞き流してしまったが、よくよく考えるといつもは父と一緒に入るか、父が入浴を終えた後に入るかのどちらかのはずだ。

それに疑問を抱き、なぜこんな中途半端な時間に風呂を使うのか尋ねると、寒くなってきたから風呂上がりの温かい身体で、父の冷えた身体を温めてあげたいのだと言う。

確かに、外から帰ってくると冷え込みが厳しくなって、温かいものが恋しくなる季節ではある。

母の願い違わず、父はちょうど母が風呂から上がるタイミングで帰宅してきた。

ほこほこと湯気の上がる母が、ネクタイを緩める間も惜しいとばかりに、父へと突進し頬擦りする。

父は慣れた様子で母の頭をぽんぽんと叩き、離れるよう促すのだが、母は父の手の冷たさにショックを受けたらしく、いつも以上に父から離れようとしない。

そのせいで、我が家の夕飯が30分ほど遅れたのは、是とすべきか非とすべきかいまだに判断が着きかねている。

.

458:甘え母
14/06/16 23:38:10.35 +9dR/EuQ
その7


うちの母が喧しくて困る。

日曜の昼下がり、父が珍しく本を片手に、居間で居眠りしていた。

ソファーにどかりと腰掛けたままの姿勢で、すやすやと気持ち良さげに眠っている。

何の気なしにそれを見つめていると、母がやってきて、俺と同じに父の寝姿を見定めた。

母は疲れてるのかなと俺に問うと、くすりと笑って父の傍らに座る。そして、父の鼻を自身の長い髪の毛で、こしょこしょとくすぐり始めた。

父はすぐにうなされ始め、空を掻くように手を上下させてもがき、やがて大きなくしゃみと共に目を覚ました。

困惑する父を尻目に、母はおはようとだけ言って、父の胸へ飛び込む。

髪の毛は汚くないのか、そして父にイタズラなどして後で怒られないのか、それだけが目下の心配事である。

.

459:甘え母
14/06/17 00:38:42.04 /EdhkErH
その8


うちの母が喧しくて困る。

季節がいよいよ冬へと移行してゆく中、母が星を見ようと言い出した。

ちゃんちゃんこを身に纏い、父と俺の袖を引っ張って瞳をキラキラさせている。

母の行動が突拍子ないのは今さらなので驚きもしないが、何もこんな時期にと思わないでもない。

とはいえ母一人で外へ行かせるのも可哀想なので、父と俺は母に付き合って、庭に出ることにした。

表はしんとした空気が張りつめており、狙い違わず星がきらきらと輝いている。

母はその星をひとつひとつ指差してゆき、あれが白鳥座だよねと、父に向かって確認していた。

父は母のその指を、腕ごと30度ほど横にずらし、白鳥座はあっちだと冷静に返した。

その後も母は、いくつか星座の名前を挙げて指差していったのだが、そのことごとくを間違えては父に訂正されていた。

母は少し残念そうな顔をして、全然覚えてないやと苦笑いする。昔は父とよく星を見に行ったそうだが、その頃の記憶が曖昧になっているのが寂しいようだ。

そんな母を見て父は、忘れたら俺が何度でも教えてやると、珍しく母を慰めた。母はそれを聞いて嬉しそうに笑い、父の傍らに立って二人で星を眺めはじめた。

もしかしたら母は、父の姿ばかり追っていたせいで、星座の位置をきちんと見てはいなかったのではないか。

なんとなくそんなことを思わせる、二人の後ろ姿だった。

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