12/12/06 22:38:05.16 bvS/2ztC
>>780の続き思い付いたので即興で投下
--------------------------
放課後、教室から一緒に帰る事になった。並んで歩くと緊張する。
「じゃ、じゃあ…うち来るか?」
「あ、う、うん…そ、そう、だ、ね」
下駄箱で話す二人は動作が硬い。靴を履くのに、普段の3倍は掛かってしまった。
(お、小野寺と…二人っきり…)
(いいいい一条君と…並んで…)
ろくに会話も無く、二人で黙りこくったまま校門を出て行った。
「う~ん、相変わらずだなぁ」
「そうね」
校門辺りから二人を尾行する人影が二つ。
眼鏡を掛けた少年と少女が、電柱や壁に隠れながら後をつける。
「もしかして緊張し過ぎじゃね?」
「かもね」
少年の方はニヤニヤしながら、少女の方は無表情で会話を交わす。
「さっきあんな事言っちまったからなぁ」
「私も同じような事言っちゃったからね」
お互い、責任を感じているらしい。ひそひそと声を潜めながら付いて行った。
(くそっ、集のヤツ、あんな事言いやがって…)
楽の脳裏を、集の言葉がぐるぐる回る。
―告って押し倒してキスしちまえ♪―
いつものように、ニヤニヤしながら肩を叩いて言ってきた言葉だ。
あまり会話が弾まない状態では、他に考える事が無い。折角のチャンスなのに。
(ううっ…る、るりちゃん、あんな事言わなくても…)
小咲の心を、るりの言葉が引っ掻き回す。
―この際だから告白して唇奪って押し倒しちゃいな―
いつものように眼鏡をキラリと光らせ、親指を立てて言った。
しかもその後に続いた言葉が、
―何ならその先まで行っても構わないから―
だった。意識しない訳には行かない。
沈黙した気まずい状態では、他に思考が働かない。
折角二人きりになったのに。
二人とも、もんもんとしながら道を歩いた。