■ 巨乳小学生をテーマにしたエロパロ その八 ■at EROPARO
■ 巨乳小学生をテーマにしたエロパロ その八 ■ - 暇つぶし2ch150:久美ニズム no.2 ◆LG2vskbOjGMm
12/11/11 17:12:42.41 PiBeFGjM
菊野さんはまだ局部とか見せたりした事を怒っているらしく
「お願いですからそういう漫画からいい加減廃業なさったらどうですか骸さんは
仕事だったら御堂様や巫女様のサポートとか沢山あるでしょう!」
との言葉を今現在もいう位だ。

だが菊野さんの言葉を右から左に受け流す~てな感じでパピーは
「読者がいる限り私は今の仕事をやめられませんのよ菊野君」はっきり断筆しないよと言い切るのだった。

司馬もまた「おじさんがそういう漫画描くのは仕事なんだから仕方ね~じゃん
それにおじさんがおばさんやお袋の下で働くっていうのも傍から見てなんかみっともね~し」
パピーの仕事に対しては理解を示し、マミーもまた

「菊代さんは真面目じゃけん。だけんど私の好きになった人の職業だから好きにさせて上げなさいな」とのマミーも援護するのだった。

その様子に菊野さんも矛を収めるも「せめて子供を巻き込むのだけは止めてもらいますからね!」と
釘をさす事は忘れなかった。

あ…それはそうと小倉監督から聞かれてたな。

「そうだパピー。リリアム納涼百夜怪談の下ごしらえどう??」
パピーはエログロだけではなくオカルトにも詳しく、作品中にも怪異を出す事も珍しくない

だから夏は西小・東小問わず怪談話のスペシャリストとしてあちこちから引っ張りだこなのだ。

パピーも小倉監督からの正式な依頼で怪談話を受けており、進行状況をこの間聞いて欲しいと頼まれていたのだ。

パピーはようやくまともに話ができる話題になったと一息つきながら
「ああ。小倉君に伝えてくれたまえ久美君。これもまた詰めの段階に来ていると」
ともうそろそろ仕上がるようだ。

私はそれを聞いて楽しみになってきた。去年は失神者大多数という凄い有様だったが
今年は全員ショック死位までの衝撃的な展開さえ期待してしまう。
合宿が楽しみだな~と私は考えながら私達は食事を続けるのだった。 

そして食事を終えて、菊野さんら司馬一家も帰宅しマミーも「疲れたからねる~」とさっさと眠った。

151:久美ニズム no.2 ◆LG2vskbOjGMm
12/11/11 17:16:38.43 PiBeFGjM
そして残された私とパピーはというとパピーのアトリエで二人っきりで…
「つめだから今日もしっかり頼むよ久美君」

パピーは私に期待する視線を向け、私もパピーに対して
「OK!じゃあ大急ぎで終わらそうか夏場だからモデルは苦になんないけど」
そういいながら犠牲者…いや被害者??とりあえず作中でヤラレル漫画キャラのデッサンを
私は全裸になって取りながらそういった。

パピーの前でおまんこを指で開けるぎりぎりまで広げたり、ピンクローターを乳首とおまんこから肛門に当てて調教される役回りをやったり
ただでさえおまんこぐちゃぐちゃ。クリトリスや乳首もプックリ限界一杯まで膨らむほど感じちゃってんのに
駄目出しに妖しい媚薬を全身に掛けられて、空気だけで何回も絶頂するほど敏感にされちゃったり。
手枷・足枷。ボンテージで体を拘束されたりと私は倒錯した性的モデルを演じるのだ。

これでかな~勿論沙織お姉さまや小倉監督とかに仕込まれたっていうのが第一だけど
パピーにもしっかりしこまれちゃってるから、私って凄い淫乱なのかな…
無論私はパピーと一線なんておっそろしい事なんて考えた事も無いけどさ。

パピーだって純粋に漫画のモデルとして、私を縛ったり辱めたりしてるだけで私に淫らな感情なんて持ってないっていい切れる。
普段はとっても優しい父親だしね。

ただこの“モデル”はとてもじゃないがお姉さまにはさせる事は出来ない
というよりそんな事やろうとしたらパピーともども私がぼこぼこにぶんなぐられるのが目に見えてる。
お姉さまは完全にビアンだからとてもじゃないけど男の視線が入るのなんか耐えられない。

でも…今日子ならどうかな?あの子は攻めも受けもこなせるだろうし…優子ならもっと凄い責めをしても
豚みたいにすっごく喜んじゃいそうだしな…
勿論パピーなら二人に対しても絶対手を出したりする事はしないと断言できるし
逆に二人ともモデルの事を他人に話したりしないだろう。
特に優子はあの野村理奈のつてで土生に私の秘密とか握られちゃう恐れもあるしね。

そんな事を考えていた私だがパピーから言葉をかけられる
「そうだ久美君。久美君の知っている娘で絵のうまい娘はいないかね
最近アシスタントが独立しちゃって人手が足りんのよ。最低でも絵のお手伝いを
出来るならモデルも出来る女の子ならなおの事ありがたいんだが」
って最近仕事が忙しく猫の手を狩りたい様子だ…確かにモデルだけなら私は出来るけど
時間を取られる絵となると私は厳しい。やりたい事は沢山私だってあるからだ

絵となると思い当たる奴は……あ!!ひとりだけいるか~駄目もとで頼んでミッカ!!
「一年上で心当たりがある人知ってるから近いうちに声かけてみる!!」
と私はパピーに言うのだった。

パピーもうれしそうに「うまくいけばその子にもちゃんと見合った報酬ははずませて貰うよ」
と私に言葉を返すのだった。

そして私は更に凄いポーズをとったり、何回も何回も絶頂してテクノドライブを起こすのではと若干の恐怖を覚えながらも
女としての悦びをひたすら味わいながら夜は過ぎていくのであった。 終わり

152:久美ニズム 設定集 ◆LG2vskbOjGMm
12/11/11 17:18:53.40 PiBeFGjM
久美裏設定
母勝代がTV出演で忙しい時は自身がお店の占いを代行する事もある
久美が得意な占いはタロットで母を超える99%の的中アベレージを誇る
ただし占いは絶対にただでやらない。
そのスタンスは相手が沙織や優子ら親密な人間や身内であっても変わらない
またリリアム関係者のほとんどが大泉親子に占ってもらった事がある。

大泉勝代
久美の母親。通称大泉の母。超高名の占い師にて95%の驚異的な的中率で相手の運命を予測する
手相占いが専門
元ネタはまんま大泉の母から

大泉骸(がい)
久美の父親。名は体を表すを字で行く様な痩躯。しかし背丈は高い。
アダルト漫画家をしておりペンネームはパーシモン
救いのないエログロ作風を得意とする。最近アシスタントが足りず困っている模様

見かけや仕事からかなり誤解を受けやすいが達振る舞いなど極めて紳士。
因みにオカルトにも精通している為。東小などの要請で怪談話をする事も多く
大泉家の“稲川順次”と変な事を言われる事もたまにある模様。

元ネタはオイスター先生より

司馬仙次郎
司馬洋の父親。オカルト雑誌のライター兼写真家
久美は仙次郎の話を結構楽しみにしていたが、最近とある少女を追いかけて全国を回っている模様

司馬菊野
司馬洋の母親。
勝代のマネージャーを務め。占い以外は駄目人間の勝代の生活を代わりに取り仕切る

もっとも勝代の占いでかなり金銭面などほくほく
その為。久美をつい巫女様と呼ぶなど、大泉母娘に対し過剰な崇拝をしている所も。
がその反面骸や仙次郎の仕事に対しては、洋や久美の教育上好ましくないと思っている。

司馬夫妻の名前は鋼鉄ジーグの司馬夫妻から。

山本シェフ
ジ・ファイアのオーナーシェフ。100歳と言う高齢ながら全然余裕で現役続行中のシェフ。
オーソドックスな…だが完成され尽くしたインドカレーを得意とし、今現在でも行列が絶えない人気店の大黒柱である。
性格としては大変厳格でマナー・ルールにはとっても厳しいが、プライベートでは気風の良い所を見せる好々爺である

モデルはBLEACHの護廷十三隊一番隊隊長。
山本 元柳斎 重國(やまもと げんりゅうさい しげくに)より
辛さのモデルは彼の卍解 残火の太刀 (炎の能力)のイメージより

雀部シェフ
ジ・ライトニングのオーナーシェフ。65歳
山本シェフの一番弟子で長らく彼の助手を務めていたが、路線の違いを感じており
5年前山本シェフから独立し、ジ・ライトニングを開店。こちらも大盛況。
山本シェフと異なり洋風カレーを得意とし、隠し技的な調味料の調合を得意とする。
特に山椒の使いこなしは半端では無く、舌に雷でも落ちたかのような衝撃をもたらすほど。
ただし山本シェフよりも辛さ自体は比較的抑えてある。
性格は紳士である。しかしながら結構地味なお人である。

モデルはBLEACHの護廷十三隊一番隊副隊長。
雀部 長次郎 忠息(ささきべ ちょうじろう ただおき)より
辛さのモデルは彼の卍解 黄煌厳霊離宮(こうこうごんりょうりきゅう)(雷の能力)より

因みに本編では仲良く天国へ旅立ってしまいましたが、二人とも最低五十年は余裕で現役です。

153:名無しさんX ◆LG2vskbOjGMm
12/11/11 17:28:11.70 PiBeFGjM
之にて投稿終了です。何時書きあがるかわかりませんが自分が書きやすいようにいろいろ伏線を詰め込んでみました。
後は依然◆gRbg2o77yE様にお願いした“とある美少女戦士たち”の顛末を“私なりの顛末”を書く予定なので宜しくお願いします
たとえて言えば◆gRbg2o77yE様が書かれたお話と私の書く話はドラゴンボールの本編と劇場版ぐらい差異が出来ると思います。
ではまたお会い致しましょう。
さらに言うと取り合えず。とあるキャラクター二名を味方サイド?として暫く隠しますが登場させる予定です。

154:名無しさんX ◆LG2vskbOjGMm
12/11/11 17:30:08.36 PiBeFGjM
最後に…暴走ボート様
理奈嬢の愛はとても重いですけど、土生君も理奈嬢も幸せになれればいいなと思います

155:名無しさんX ◆LG2vskbOjGMm
12/11/11 17:35:48.13 PiBeFGjM
本当に最後ですが、何か感想とかいただければ本当にうれしいので宜しくお願いしますね
投了

156:名無しさん@ピンキー
12/11/11 21:58:06.02 iLHuTJrg
いやいやいやwwwwww
なんつーか作画崩壊感がwwwwww

157:暴走ボート ◆m.wfq0Dq3E
12/11/11 23:22:32.96 Dulu+UDU
>>154
俺は勢いで書いているだけですから。
たまたま思いついたものを書き並べたらあんな感じに。

ていうか、司馬の存在なんて完全に忘れてた。
あんな奴いたっけなそういえば。なつかしい。

ユキを不意打ちでつぶせるほどに久美は強いのか…
これは初めて知りました。
そんな彼女にめげずにピッチングを教わるユキもすごいが…

ユキはコントロールは抜群だがそれを生かす武器がない。
変化球もそこそこ、球速は結構早い程度。
理奈に勝つには、エースの気概ってもんも身に付けてもらわないと。
何を言ってるんだ俺はw

恵なんかはあなたには非常に使い勝手いいと思うんでよかったらどうぞ。
逆に、さやかは絶対にエロを(軽いものも含め)絡ませないでください。
元ネタが小学生なので、そういうことをさせるわけにはいかないんです。


明日から忙しくなりそうだから今のうちに投下しておきます。
ペンが進むうちに。なんか今日はペンが進むので。

158:おまけのストレート
12/11/11 23:23:09.82 Dulu+UDU
「さぁ、張り切っていこー!」

1日休息をとり、土生やユキの看病の甲斐あってすっかり元気を取り戻した理奈。
元気が有り余っているのか、ランニングでも先頭を走る。

「土生さん、何かあったんですかね?」
「ん?」
「明らかに姉御、一昨日より元気でしょ。あんなことがあったのに。」
「さ、さぁな。」

橡浦には事情を話してもいいものだが、やはり秘密にしておきたいのはキャプテンだからだろうか。

「いっち、にー、さん、しっ!…あれ?」

ベンチの前に4人の人影が見える。
近づくに連れて、その正体に確信をもっていく。

「あなたたちは…」
「よぉ。」
「練習試合の申し込みですか?生憎、うちはもうこの合宿では試合は受けません。」

ベンチ前にいた西村たちの呼び掛けを軽くあしらう。
だが、逆に西村が理奈をあしらった。

「そんなんじゃねぇよ。お前に用はない。
 橡浦、山下、赤松、こっちに来いよ!」
「お、俺たち?」

理奈に追いついた光陵ナインが西村のもとに駆け寄る。

「俺たちはよ、本当の光陵を復活させてぇんだ。
 外様のいない、昔っからの仲間と、一緒に全国を目指したいんだよ、な!?」
「…。」
「あ、土生、お前はダメだからな。俺たちを突っぱねたんだから、当然だろ。」
「3人とも、俺たちと一緒に戦おうぜ、な?」

4人がそれぞれ橡浦達の目の前に立ち、握手をしようと手を伸ばす。
ユキもさやかも、不安そうに見守る。

「「俺は…」」

決断の声を、言おうとしたその瞬間だった。

159:おまけのストレート
12/11/11 23:23:58.36 Dulu+UDU
「3人とも、行けばいいじゃない。」
「ラリナ姉さん!?」
「姉御!?」
「あたしは止めないよ。誰がどこに行こうと、そんなの勝手だもん。」

土生も内心は驚いたが、何も言わずに黙ってその様子を見ている。
理奈が出ていくわけではないし、何より理奈を信じているから。

「けど、これだけははっきり言っとくね。
 あたし、もし全員が出ていっても、翔と一緒に光陵に残るよ。」
「え…しょ、翔?」
「うん、あたしはキャプテンをそう呼んでるの。もう隠す必要ないと思ってさ。」
(お、お前は、恥ずかしいことを…)

事実上の交際宣言。
そして、さらに言い放った。

「あたしは翔さえ居れば、どんな相手だってねじ伏せちゃうから。
 自分の全国制覇の夢を砕きたい人は、お好きにどーぞ?」
「理奈…」
「あたしが18個三振とって、翔がホームランを打つ。それでおしまい。
 それで文句ないでしょ、翔?」

かつては内気だった理奈が、いつの間にかたくましく成長していた。
決して弱気な姿は見せない。移籍のショックなんて、意に介さないとばかりの、堂々たる姿だった。

…それは間違い無く、土生の、そしてナインの心をとらえていた。

「…ったく、いい性格になったな、理奈。」
「そうだよ?もし点を取れなくて負けたら、一生許さないから。」
「やれやれ。そんな面倒ごとに付き合えってのか?」
「うん!
 …嫌だと言っても、ずーっと一緒だからね。」

ユキとさやかは顔を真っ赤にしている。女の子にはあまりに恥ずかしい会話だった。
そんな二人の彼氏も、どうやら決心した様子。

160:おまけのストレート
12/11/11 23:24:40.97 Dulu+UDU
「…やれやれ、こわいこわい。
 こんなおっかねぇピッチャーと戦いたくないね。なぁ赤松?」
「同感です。ラリナと土生さんが一緒の方が安心できますよ。」
「赤松、言うようになったじゃねぇか。
 俺達、頼りになるエースと一緒に、戦いたいっス。」

「お、おいおい、こんなやつの言うことなんか、ハッタリだぜ?」
「それに、お前らもじきに、黒田や青野たちと同じ目に合うんだぜ?」
「そうだよ、そうならないうちに、全国行きのスタメンを…」

新井の言葉を遮るように、はぁ、とため息をついた。

「第一、姉御がいない地点で、全国行きなんてできるわけないじゃないですか。」
「あの5人は、ろくに練習もしなかったし、そんな奴はスタメンは無理ですよ。
 あんな5人、俺たちは必要ないですし、見習おうとも思いません。ね、土生さん?」

山下に呼応するように、土生も持ち前のふてぶてしさをいかんなく発揮。

「あぁ、俺がお前たちを全国に連れていくぜ。
 つーわけだ。ご足労をかけましたね。」
「…まぁいい。俺たちの好意に甘えなかったことを、後悔するんだな。」
「こいつらに後悔はさせませんよ。
 俺と理奈で、アンタラを必ず、ぶっ倒す。」

これでいい。
自分を信じてついてくる奴らに出来る事は、自信をもって引っ張ることなんだから。
そして、全国制覇という、最高の恩返しで報いればいい。

「じゃぁな。地区大会、待ってるぜ。」
「…。」

光陵は再び1つになった。
そう信じて、合宿最終日を終えた。


夕食を終えて、宿泊棟に戻る光陵ナイン。
ただし、女子も含め、全員が橡浦と山下のいる男子3人部屋に向かっている。

「いよいよ明日帰れるんだね!」
「そういや、色んなことがあったな。大変だったぜ。」
「うんうん、だからこういう日くらいは…」
「却下な。」
「えーっ!!!」

リトルの選手である前に、彼らは夏休み中の小学生。
土生は、言ってみれば彼らの監視役だ。

合宿中の彼らの動向を、ここで振り返ってみることにしよう。

161:おまけのストレート~各々ののストレート~
12/11/11 23:25:42.65 Dulu+UDU
~1日目~

「よし、全員ドリルは持ってるな?」
「はーい!」

まだ、あの5人がいた頃に遡る。
夏休みと言えば、分厚いドリルを想像する人もいるかもしれない。

8月31日が毎年のように地獄だった理奈にとっては、7月中に取り掛かるなど初めてのことだった。
なお、土生はほぼ全て終わらせている。

大きな机をナインが囲む。
土生は監視役、その他は机に必死になって向かっている。

「えーっと…全然分かんないよぉ!」
「黙ってやれ。」
「えーっ!?ええっと、三角形の面積は、縦がえーっと…3本の線を足すのかな?」

仕方なく理奈の隣に足を運ぶ。
…隣には、緒方が勉強していた。

「(俺じゃなくてこいつに頼むか。)なぁ、緒方。」
「…ん?なぁに…」
「理奈の世話を、…ん?」

不意に、緒方のドリルが目に入る。
文章題の途中経過の掛け算が、こんな感じだ。

『8×3=83』
『6×7=67』

「…いや、何でもない。」

162:おまけのストレート~各々のストレート~
12/11/11 23:26:16.36 Dulu+UDU
~2日目~

「はい、あーん!」
「ユキ…こんなとこで恥ずかしくないのか?」

午後四時。
練習を終えた彼らが向かう先は、食堂に隣接するカフェテリア。

ショートケーキを一口大にフォークに乗せ、向かう先は橡浦の口の中。

「疲労回復には糖分補給、でしょ?」
「そういうことを言いたいんじゃねぇ。」
「あとで、塩分補給もさせてあげるからね。」
「…むしろお前のせいで欠乏しそうだ。」

二人の好きな行為はシックスナイン。
互いの塩分が入れ替わるわけだが、差し引き0にならないのは明らかだ。

「そういや、なんで土生さんは練習に参加しないんだろうな。
 今日の試合でも、ショートを狙え、なんて…」
「う、うーん。まぁ、なんかあるんじゃないかな?」

大洋との練習試合で、さやかを狙い撃ちにしたのはこのコンビ。
ユキはスカウティングの事情を知っているが、口外無用を義務付けられているので何もしゃべらない。

「ほ、ほら、それよりさ。
 昨日行った場所、…今日も行こう?」
「お、おう。行こうか。」

結局彼らは、合宿終了まで一日たりとも情事を欠かすことはなかった。

163:おまけのストレート~各々のストレート~
12/11/11 23:28:09.74 Dulu+UDU
~3日目~

「あの、あのね。…その。  
 す、好きです!」  
「…えっ?」  
「つ、付き合ってください、チカちゃん!」  

エースにのぞき見されているとも知らず、愛の告白タイム。
新加入が決定したさやかが何よりも嬉しかったことは、自分のグローブを救ってくれた山下と一緒になれることだった。

山下より丈は低くとも、想いの丈は富士の山よりも高い。
めでたく誕生したカップルは、キャッチボールのため薄暗いグラウンドに向かっていった。


「行くよ、チカちゃん!」
「おう…うぉ。」

あの小柄な体からは想像もつかないほどのキレのある送球。
兄のDNAを受け継いでいるだけはある。

「…なぁ、君のお兄さんって、どんな人なんだ?」
「よくぞ聞いてくれました!かっこいいんですよ!」
「へぇ、どんなところが?」
「とってもかっこいいんです!」
「…。」

野球選手なのに、会話のキャッチボールは成り立っていない。
おとなしい彼女も、我を忘れるほどハイテンションになることもある。
もちろんそれは、大好きな兄と彼氏の前でのみ。

「でも、うーん…」
「今度は何?」
「あのね、あのね。チカちゃんとお兄ちゃん、どっちがかっこいいんだろう。」
「…さぁ。」

それを決めるのは俺ではなくてお前だろ。
そんな思いは封印し、軽く受け流してボールを投げる。

「それより、サードでいいのか?確かにショートには赤松がいるけど…」
「いいんですよ、サードも大好きなポジションです!
 セカンドの進藤さんがサードにコンバートする前は、お兄ちゃんがサードだったんです。」
「へぇ…」
「それに、それに…」

それに、を4,5回連呼して、ボールを投げる。

「一緒にホットコーナー守れるの、すごく嬉しいの!」

バッテリーのカップル、鉄壁の外野守備を誇るカップル。
それ以外に、ライン際を固めるカップルも、相性は悪くないようだ。

164:おまけのストレート~各々のストレート~
12/11/11 23:28:46.49 Dulu+UDU
~6日目~

「あ、あの、やっぱり、ですか?」
「ほらほらぁ、脱いで脱いで!」

理奈がいなければ、恵はユキが独り占めできる。
夕方は橡浦と、そして日が完全にくれてからは恵と。
小学生にしてこれほどお盛んなのは問題視していいだろう。

「やっぱり大きいなぁ、チュウとは大違い!」
「あ、あんまり、言わないd…ふあっ!」
「パイズリ、好きなんでしょ?」

本人に浮気のつもりはない。あくまで彼女の心は橡浦一筋だ。
けれど、恵に対してだけは、どうしても抑えが効かない。


二人きりの時は、ユキは完全に暴走する。
理奈が居る時はまだマシだが、いない日は決まって、

「あっちゃー…まーたやっちゃったかぁ。」

失神したあとで気付いて、後の祭りである。
揺らしてみても、ピクピクと動きながら、か細い声で呻くだけ。

橡浦の時は、互いのことを思いやり、心を通わせながらスローペースで情事にふけ、
ピロートークなどにもかなりの時間を割くのでこんなことにはならないのだが。

「…うーん、ま、いっか♪」

性奴隷相手には、遠慮など、容赦など、一切入る余地はない。


~9日目~

バッティングゲージで、寂しく響く打球音。

「えいっ…それっ!」

赤松は友達が少ない。
それは、今の光陵では避けようのない事実である。

165:おまけのストレート~各々のストレート~
12/11/11 23:29:16.43 Dulu+UDU
~13日目~

「…。」

誰とも群れない、孤高の戦士。
さらりとした彼女の長髪が、河川敷の爽やかな風になびく。

「…。」

明日でこの合宿ともお別れ。
様々なピッチャーの球を見て、実践感覚は完全に取り戻した。

足の調子もいい。外野守備には付けずかつての走力はないが、盗塁はまだまだ出来る。
キャプテンに、代走起用を提案してみるのも手かもしれない。

彼女には、確かな自信が芽生え始めていた。

「…。」

明日からは再び孤独な練習が始まる。
全体練習というのは、どうも彼女の肌には合わないらしい。

時計を見ると、集合時間10分前。そろそろ行くか、と立ち上がる。


「…?」

ケータイが鳴る。
画面を確認すると、懐かしの表示がそこにはあった。

(もしもーし!)
「…あぁ、ミク?どうしたの?」
(サエサエから聞いたよー!ほんとに野球やってるんだってねー!
 ほんっと、あんたって、じっとしてない性格だよねー!)

旧知の知り合いなのは間違いないだろう。
サエサエとは、恐らくは東小の白瀬紗英と推測できる。

「紅白出場の売れっ子歌手が、落ちぶれモデルに何の用?」
(そーゆー事いうー?
 ちょっとそれ、酷いってばー!)
「まぁそれは冗談だけど。で、何の用?」
(今度チャリティーコンサート開くんだけどさ。
 会場にさ、カナっちの小学校はどうかなーって。)

随分と壮大な提案である。
緒方は、一応担任に提案してみる、と言おうとして、止めておいた。

166:おまけのストレート~各々のストレート~
12/11/11 23:29:52.62 Dulu+UDU
「うん…いや、紗英の小学校はどうかな。」
(へぇ、どうして?)
「なんとなく、ね。あたし、そっちとの方が関わり深いし。」
(うん、じゃぁサエサエに持ちかけてみるー。
 ところでさ、野球はどんな感じ?テニスとどっちが楽しい?)

緒方が野球を始めたのは、まだTesraで白瀬と双璧を張っていた頃の話。
その頃は、モデルとしての快活さを磨くための手段として、熱中していただけだった。

そんなTesra時代、二人の影に隠れていた、二人の親友のモデルがいた事は、誰も知らない。

「野球に決まってるでしょ。」
(そーなんだぁ、あーぁ、なんかつまんないなぁ。
 なんでテニスを教えたのに、野球なのかなぁ?)
「テニス一筋のミクには、野球の楽しさはわかんないでしょうね。」
(まぁねぇ。テニス楽しいもん。今もやってるよ。ていうか、腕上がったかも。冗談抜きで。)
「ふぅん?」
(なんたって、県大会優勝!今度全国大会出るんだぁ!
 カナっちも、最後の全国のチャンス、逃すんじゃないよ!)

テニスを教えてくれた親友の想いに反し、緒方が得たものは野球の楽しさだった。
そして、3人はそれぞれの道を歩むことになる。


白瀬紗英は、絶妙な肢体を生かした、ローティーンモデルの道を。

緒方かな子は、抜群の運動神経を生かした、野球少女の道を。

そんな二人の親友だという、知られざる秘密を持つ『ミク』は、日本を代表するアーティストの道を。

167:おまけのストレート~知られざるストレート~
12/11/11 23:30:41.53 Dulu+UDU
~~知られざるストレート~~


絶頂を極めた『虹のすきっぷ!』から離れて、半年が経とうとしていた。
わたしの前にそびえ立つ壁は、とても近く、そしてとても高い。

「今月もサエちゃんが1位かぁ。」
「やっぱすごいなー!」

同僚―と言っても、それほど仲が良いわけでもない―が、Tesraの7月号を見て騒いでいる。
いつも、わたしは2位止まり。誰にも抜かれることはない。だが、あと一人を抜くことができない。

やっぱり、すごいと思う。
これだけの色気と、人形のような移ろな表情が、流行に見事にマッチしている。

けれど、こんな真似は自分には出来ない。
なぜなら、虹のすきっぷで培った活発さが、同時に紗英の2番煎じを不可能にする事は明白だったからだ。


…しかし、それよりも心配なことがある。
わたしの望まない形で、1位にランクアップしてしまうことだ。

「あ、サエちゃん!」
「さっすがだよねー!」

売れない双子モデルの祝福の言葉を尻目に、近くの椅子にちょこんと座る…いや、乗っかる。
そんなクールさが、暗さが、ファンを魅了している。それは誰もが分かっている。

けれど、流行が求める廃頽を、『演じている』わけでは無い事を分かっているのは、恐らくそう多くはいないだろう。
紗英もまた自分と同様、ありのままの姿を大衆に見せているだけなのだ。


責任感の強い彼女のことだ。仕事を休むなんてことはしないだろう。
僅かな休息の時は、ソファに倒れ込んでいる…そんな様子も目に浮かぶ。

168:おまけのストレート~知られざるストレート~
12/11/11 23:31:23.13 Dulu+UDU
「テニス?」
「うん、ミクってテニスが趣味だったよね?」
「テニスなんて、趣味じゃないよ。」

仕事帰りに立ち寄るファストフード店。
親友の倖田未來とともに通う、行きつけの店だ。

「テニスは、あたしの命!だね!」

モデルとテニス、どちらが大事なのか。
言っちゃ悪いが、これでは万年ランク外モデルから卒業は出来ないだろう。
顔も普通、スタイルも普通。モデルへの想いも並程度。

「それで、どうしたの?
 テニスならいっくらでも教えてあげるよー!」
「そうじゃなくてね…」

虐待同然の生活を送り続ける白瀬紗英。
いつだったか、事務所長の彼女の父親が何度も手を挙げる姿も目撃した。

「紗英、最近ずっとあんな調子でさ。身体も心もボロボロだと思うんだ。
 だから、体を動かして、少しでも健康で、ストレスがなくなるようにって思って。」
「いいよ!
 カナっちの頼みだからね、聞かないわけにはいかないでしょ!」

元々ミクとは、苗字のあいうえお順が隣同士だっただけの中だが、なぜか向こうから懐いてきた。
他のモデルが『虹のカナたん』として尊敬の眼差しで見る中、ミクだけはそんなの関係なしに懐いてきた。
『カナたん』と呼んだことは一度もない。『カナっち』でずっと通している。

最初は迷惑だったが、何時しか呆れて諦めるようになり、今に至る。
思えば、輝かしい過去を捨てるに当たって、過去を引っ張り出さないランク外モデルの親友の存在はありがたかったのかもしれない。

169:おまけのストレート~知られざるストレート~
12/11/11 23:31:54.26 Dulu+UDU
数日後の土日、彼女にとっては久しぶりの休みが来た。それも連休だった。

最初はテニスに行くことを紗英は渋っていた。当然だろう。
貴重な休みで、体力は限界。一日中ベッドに突っ伏していたいはずだろう。
そんな状態でテニスに引っ張り出しても、健康になるどころか逆効果だ。


が、それくらいでは諦めない。
紗英の母親に合い、父親に連休を取らせる用頼む事にした。

「かな子ちゃん、気持ちはすごく嬉しいし、頼んでみるけど、私が言っても連休は取れないと思うわ。」
「大丈夫です。こちらには切り札がありますから。」
「切り札?」

翌日、わたしの伝言の紙を携えた紗英の母親は、父親に連休願いを出し、了承された。


待ちに待った『Tesra』からのオファーがあったとき、わたしはすぐに了承した。
けれど、足元は見せない。決して安売りをするつもりも、言いなりになるつもりもない。
その時、1つだけ条件をつけたのだ。

それは、虹のカナたんの過去を、一切取り扱わない事。
でなければ、なんのために転向するのかわかったものではない。

向こうにとっては誤算だっただろう。人気を挙げるための、言わば切り札として目を付けたのだから。
だが、人気番組からの人気タレントの引き抜きが容易ではないことも、また事実。
直近に何度も引き抜きを失敗している焦りもあったのか、向こうは承諾した。

狙いは当たり、あたしの過去を触れずとも、虹のカナたん目当てでTesra購入者は大幅に増えた。
それでも、1度として紗英を追い越したことはなかったわけだが。

170:おまけのストレート~知られざるストレート~
12/11/11 23:32:54.19 Dulu+UDU
「はい紗英ちゃん、バック転よろしく!」

カメラの前で、妖精の衣装を身にまとい、バック転を華麗に決めるわたし。
その瞬間を見逃すまいと、カメラが連続でシャッターを切り続けている。

正直、久しぶりのバック転だったが、綺麗に決まったので一安心。
ふぅ、流石に虹のカナたんは、そう簡単には錆びつかないね。

今頃、紗英は母親に連れられてレディースのマッサージ店で疲れを癒している頃だろう。
そんなことを思いながら、久しぶりの虹のカナたんを楽しんでいた。
たまには、過去を引きずるのも悪くはない。甘えだってのはわかっているけど。


喉から手が出るほど欲しかったであろう虹のカナたんを、わたしは引き受けたのだ。
紗英の1日分の埋め合わせをするには、十分な取引材料だった。

「緒方くん、今日はありがとう。
 正直なところ、紗英のことに口出しをするのは気に入らなかったが、まぁいい。」
「ご理解ご協力、感謝致します。」

次月号には、『虹のカナたん、今月限りの大復活!』なんて見出しが踊っていることだろう。
もし数年前の8月号を見た人がいたら、こんな過去もあったのかと思いを馳せて見てもいいだろう。

結局その月も紗英が当然のように1位にランクインしていたわけだが。



「…!」

その日の仕事を終え、事務所から出ると、紗英が待っていた。

「ありがとうね、緒方さん。紗英の疲れはすっかり取れたわよ。」
「いえいえ。」
「…ありがと、カナたん。」
「自分の健康管理くらい、自分でしなさい。おかげで、こっちはバック転三昧。」
「…ごめん。」

憎まれ口を叩いてやる。それくらいの報酬はもらってもいいだろう。
案の定紗英はブーたれている。虐めるのはこれくらいでいいか。

「そんじゃぁね。明日は午前10時、遅れないこと!」
「…うん!」

久しぶりに、紗英の笑顔を見られた。
やっぱり、こっちの報酬の方が何倍も嬉しい。

171:おまけのストレート~知られざるストレート~
12/11/11 23:33:38.09 Dulu+UDU
翌日。
付いたのは、スポーツアミューズメントパーク、バビッチャ。
(土生たちも利用する場所と言えば、お分かりだろう。)

「ここかぁ…」
「うん!テニス!テニス!テニスを愛する者の聖地!」

とてもそうは見えない。
確かにテニスコートもあるが、バスケットコートや卓球もある。

「さ、やろやろ!」
「紗英、先にやってきて。わたしは見ておくよ。」
「うん!」

これだけ生き生きとしている紗英を見るのは久しぶりだ。
この状態で雑誌に乗せても、1位は盤石だと考えるのはわたしだけだろうか。


のどかだ。
緑のボールが、ゆっくりと双方のコートを往復している。
あれだけ楽しそうな紗英を見ていると、それだけでお腹いっぱいだ。

「変わろうか?カナたん。」
「いいよ、紗英。楽しんでおいで。わたしはいつでも行けるからさ。」

非常にゆっくりとした動き。楽しむスポーツとしてはちょうどいいだろう。
プロだと200kmを超えるサーブを打つ人もいるらしいが、そんなの信じられない。

どうせ、運動神経抜群の虹のカナたんがスポーツをやるんなら、もうちょっとスリルが欲しいかな。


カキーン!


活きのいい音が聞こえてきた。
なんだろう、この、胸のすくような音。ワクワク感。

思わず、音のした方を振り向いた。

172:おまけのストレート~知られざるストレート~
12/11/11 23:34:22.73 Dulu+UDU
「あれは…」

野球だった。
テレビでも何度か見ているから、野球がどういうものかくらいはわかる。

バットを持った人間めがけて、マシンがボールを放っている。
それを高校生くらいの男子がいとも簡単に打ち返していた。

(すごい…!)

あれだけの速い球を、打つことが出来るのか。
これだ、わたしが求めていた、虹のカナたんが求めていたスリルは。スピードは。

そう思うと、居ても経ってもいられなかった。



「えへへへ、あたしの勝ちー!」
「ふぅっ、容赦ないね。んじゃぁ一旦休憩…あれ?」
「カナっちは?」
「あ、あそこに!」

楽しい。
野球が、こんなに楽しかったなんて。

「す、すごい!こんなに速い球、打ち返してる…」
「えーと、なになに…120km…」

最初は空振りばかりだった。
けど、だんだん当たるようになってきて…今じゃボールが完璧に見える!

「わっ!ホームランボードに…!」
「カナたん、すごい…!
 …きゃっ?」
「やぁ、君たち、今暇かい?」

173:おまけのストレート~知られざるストレート~
12/11/11 23:35:26.02 Dulu+UDU
ふぅ、おしまいっと。
さて、テニスコートに戻って…ん?

「は、離してください!」
「いいじゃねぇか。そんなにいいおっぱい持ってるなんて、もったいないぜ。
 俺が使い方を教えてやるからさぁ?」

紗英とミクが、高校生くらいの男に絡まれている。

右肩をゴツイ手で持たれ、左胸を指でつんつんつつかれている。
周りの人間に気付かれないよう、もう一人が壁を作りつつ、ミクの口を塞いでいる。

「や、やあっ!」
「だ、誰か…むぐうっ!」

…迷いはなかった。
落ちていた3つのボールを持って、ゲージを飛び出した。

「ははっ、さぁ、行こうぜ!」
「そんじゃまzごほおっ!」
「がっ!?」

頭部直撃。
全力投球をここまでコントロール出来るなんて、自分でもびっくりだ。

とはいえ、伸びているのは一人だけ。どうやらもう一人の急所は外したらしい。

「その子達を離して。あたしの友達だから。」
「か、カナたん…!」
「あぁ?てめぇ、俺とやるってのか、あ?」

残っているボールは、あと1つ。
だが、先程のような不意打ちは出来ない。どうする。

ふと、すぐそばにバットが立てかけてあるのが見えた。だが、バットで殴るのでは接近戦になるから不利。
となると、残された手段は多くない。
…一歩ずつ近づいてくる不良と対峙して、覚悟を決めた。

「…地獄のノック、食らわせてやるよ…」
「あぁん?てめぇみてぇなチビ、ロクな球を…」

ボールを宙に放り、…フルスイング。
打球がどこに行ったかは、さっぱり見えなかった。失敗したのか。

次の瞬間、股を両手で持って飛び上がる男の姿が見えた。どうやら当たり処は最悪の様子。
性的犯罪者には、相応しいオシオキかもしれない。余りにも辛辣だが。

174:おまけのストレート~知られざるストレート~
12/11/11 23:36:31.67 Dulu+UDU
「助かったよ、ありがと!」
「カナっち、そんなに野球うまかったの?」
「ううん、もう夢中で…
 …ふふ、けどいいね、野球。最高。」
「えー!テニスは?テニスは?」

それからだった、野球に夢中になったのは。

親にねだってバットとグローブを買ってもらい、学校の休憩時間には壁あてキャッチと素振り。
野球雑誌はチェックし、球場でプロの選手を見るようにもなった。
放課後はモデルの仕事を終えると、家に帰る途中でバッセンで打ち込み。


何時しか、モデルより魅力的なものにも思えた。
そうなったのはきっと、高い壁に挑み続け、それが越えられないものだと悟ったからだろう。

けれど、悔しいとも、もっと頑張ろうとも、いつしか思えなくなった。
やることはやったけど、紗英はすごい、そう思うようになって、潮時かな、と思った。

ちょうど少し前、ミクがモデルを辞めたのも、いい転機だったのかもしれない。
3年の冬に辞表を提出。たった半年間のモデル生活だったが、幸せだった。


「そんな…辞めるの?」
「うん、もう決めたんだ。」
「けど…あたし、あたし、一人ぼっちなんて…」

彼女は泣かなかった。けれど、だからこそその表情はわたしにも悲痛だった。
今思えば、『私の分まで頑張って』という心の中のメッセージが、重荷になったのかもしれない。

わたしが去って、雑誌の彼女は急に生気を失っていったのがよくわかった。
自分自身が、どれだけ心の支えになっていたのか、今になってよくわかる。

175:おまけのストレート~知られざるストレート~
12/11/11 23:37:48.80 Dulu+UDU
『さぁ、みんな行くよー!』

…一方で、ミクが再び表舞台で活躍する日々を迎えるのに、それほど時間は掛からなかった。
顔もスタイルも普通とはいえ、それはモデルでの話。
アイドルとしては十二分の素質を持っていた彼女は、もう1つの素質を持っていた。

それが、カラオケで聞きなれた、歌声だった。

『にっじっいーろのっ!テニッスッコーォトッ!』

客寄せパンダの子供アイドルとしてではなく、実力派アーティストとして大ブレイク。
1年と立たずに紅白の舞台に登場し、老若男女を席巻した。

『歌手は体が資本!』との事で、テニスも続けているらしい。
とはいえ、全国出場するまで実力を伸ばしていたとは、正直驚きだ。

176:おまけのストレート~知られざるストレート~
12/11/11 23:39:21.78 Dulu+UDU
~~~~


(けど、これで久しぶりに会えるね!)
「それはいいけど、なんてここなの?首都圏からずいぶん遠いし、震災の被災地とも真逆の場所よ、ここは。」

北東方面の被災地のチャリティーコンサートなのに、開催地は日本の西側に位置するここ。
一体どういう趣なのだろうか。

(実は、拠点をそっちに移すんだ。
 というのも、この前身体を壊してぶっ倒れちゃってねー!)
「…笑い事じゃないでしょ、それ。」
(過労だって。で、事務所の人が心配りをしてくれてね。
 静養の意味合いも込めて、身体が出来上がってくる中学入学までは、拠点を故郷のそっちに移してもらうことにしたの!)

どうやら、Tesra脱退者は、何らかの形で身体が壊れるらしい。呪いかこれは。

とはいえ、客寄せパンダの一時の人気にあやかるタイプではない。活動を抑えても人気が落ちることはないだろう。
多少静養しても、その歌声があれば復活も容易いはずだ。

(見に行くよ、リトルの練習!)
「…そう。それじゃ、ますます頑張らないとね。」
(んじゃ、紗英にもよろしく伝えとくねー!)


…合宿の後も、忙しくなりそうだ。

177:暴走ボート ◆m.wfq0Dq3E
12/11/11 23:40:54.53 Dulu+UDU
投下終了です。
SDSさんの設定の大部分をお借りしました。
お礼を申し上げます。

>>134-152
の作品も一緒にお読みください。

178:名無しさん@ピンキー
12/11/12 00:28:57.85 SvMdJIwT
まさかラッシュが来ていたとは、どちらさまもGJでした。

179:暴走ボート ◆m.wfq0Dq3E
12/11/24 23:39:04.43 gpXT+xHO
書けるうちに書けるだけ書きますか。

ただ、何も考えずに書くとエロが入らないのが困る…
誰かアイデアをくれないかな…

180:想いはストレート?
12/11/24 23:39:39.88 gpXT+xHO
合宿終了後、3日間は練習は休み。

土生は理奈と野球観戦、橡浦とユキは遊園地、山下とさやか(隣町在住)はボーリングデート。
緒方は膝強化のリハビリ、恵はリリアムの練習生として野球漬けの毎日。

さて、光陵で一番地味とされる、この選手は何をしているのか。


「やっと来れたー!」
「お、赤松じゃねーか、久しぶりだな。」

クラスメートの佐藤と、双子の森崎兄弟が声をかけてきた。
西小4年1組のスーパーカートリオと呼ばれる俊足3人組である。

そして、ここは西小のプール。
夏休みには水泳をこよなく愛する児童を対象に開放している。

「へぇー、野球合宿だって?」
「あぁ。お前たちも参加しねーか?今9人ギリギリなんだよ。」
「悪いな。俺たちにはサッカーがあるから、助っ人どころじゃねぇ。」

サッカーの国内リーグの下部組織をユースという。
佐藤と森崎兄弟は、そのユースの小学生部門に所属している。

「それより、合宿の成果を見せてもらおうじゃねーの。」
「俺たちと25m、勝負しようぜ。」
「よっしゃ、やるか!」

陸地でただボールを追いかけている彼らにとって、水上の戦いは待ち焦がれた戦いだった。


(ふぅ、なかなかお腹の肉、削れないなぁ…)

一人の少女がシャワーを浴びてプールサイドに到着する。
ぽっちゃり一歩手前の寸胴体型にくりっとした目が印象的な女の子。

クビレも贅肉も無いお腹を気にしているようだが、半数の男子はストライクゾーンだろう。

「おーっしゃあ、俺の勝ち!」
「赤松、はぇえな、お前!」
(あ、あれ…赤松君?)

日焼けした肌、どことなくがっちりとした体つき。
1学期終業式に見たあの日とは、少し印象が変わっていた。

(…また、かっこよくなったかも…)

彼女の中では、既に何かが芽生えていたようである。

181:想いはストレート?
12/11/24 23:40:40.29 gpXT+xHO
「いやー、さっぱりしたぜ!」
「ホントだな、いっつもいっつもグラウンドでボール追っかけ回してるからよ。
 たまにはこーゆーのねーと、やってらんねー!」

着替えを済ませ、雫がまだ滴る頭髪をポリポリ書きながら、佐藤と入口を出る。

「けど、お前はまだいいじゃねーか。フォワードって言えば、点取り屋、サッカーの花形だぜ?
 俺なんか、下位打線を打ってるから、地味だよ、地味。」
「まぁーな。自慢じゃねーが、こないだチームのシーズン得点、塗り替えたんだぜ!」
「へぇー。」

佐藤はFWとしてチームを牽引しているらしい。
赤松は守備と走塁ではチームに貢献しているが、いかんせん地味なイメージが付きまとう。


「赤松君!」
「ん?あぁ、片岡さん?」
「…その、久しぶり、今出たとこなんだ。」

女子更衣室から出てきた、寸胴体型の少女。
赤松と違い、頭髪はさらさらに乾いているが、そんな細かい部分で彼女の嘘を見破れるほど、赤松は賢くはない。

「で、どうした?」
「え、いや…そういえば最近見かけなかったけど?」
「あぁ、野球の合宿だったんだよ。昨日帰ってきて…あれ、佐藤?」

佐藤は既に20m先を走っていた。
そのまま振り向くと、冷やかしの言葉を手向け始めた。

「仲良くな、お二人さん!」
「…あ!?」
「ヒューヒュー!」
「るせっ、そんなんじゃねぇよ!」

赤松が叫ぶ裏で、片岡は顔を真っ赤にしていた。
第一性徴期には、こういった場面はよく起こる。

結局取り残された二人は、家に向かって歩を進め始めた。

182:想いはストレート?
12/11/24 23:41:34.99 gpXT+xHO
あれほどの冷かしがあっても、赤松は片岡から離れようとはしなかった。
理奈のおかげで、女子に対していい意味で免疫が付いたのだろう。

「片岡さんもプール好きなの?」
「え?うーん…そうでも、ないかな。」
「じゃぁ、なんで?」
「え、いや…」

ダイエットのため、というのはあまり言いたくはない。
それも相手は男子である、当然だろう。

「あ、赤松君はプール好きなの?」
「もち!後は、やっぱ野球ばっかりはよ…」
「そっか、さっき合宿から帰ったばかりって言ってたもんね。
 確かベスト4だっけ?凄いよねー!」
「まぁ、みんなはすごいけど、今じゃ俺はチームで一番の下っ端さ。
 それに、今チームは9人ギリギリ。怪我持ちの選手もいるってのに…」

あまり赤松は自分に自信を持っていない。
5人が抜けて、ますます自分の存在の小ささが浮き彫りになっているからだ。

「そ、そんなことないよ?
 赤松君だって、十分すごいってば!」
「…見たこともないのに、よくそんなこと言えるよな。」
「え?あ、いや、その…」

彼女の赤松を想う健気な心は、逆に墓穴を掘る結果となった。

「俺、用事思い出したわ、んじゃぁな!」
「あ…!」

進路をバッティングセンターの方に変えて、走り去っていった。
想いが届かなかった、気になる人に嫌われた、そう思うと、自然と瞳には涙があふれ始めていた。

183:想いはストレート?
12/11/24 23:42:41.81 gpXT+xHO
光陵御用達のバッティングセンター。
緒方にとってはすべての始まりと言えるスポーツアミューズメントパーク。

だが、未だに赤松は110kmのストレートを打ち返すことができない。

「くそ…くそっ!」

ボールに力負けし、ファールチップを量産中。
ストレートへの対応がこれでは、変化球で簡単にいなされる。

(だめだ…このままじゃ、俺は…)

もしショートに誰かが加入してくれば、まず間違いなくお払い箱だ。
走塁や守備に定評があると言っても、赤松クラスのショートならゴロゴロいる。

だが、西村たちの光陵に逃げたくはない。
あの5人と、自分は違う。何が何でも自分の力でスタメンを守らなければならない。


結局、まともに打ち返せたのは100球中2球。
満足な成果を得られないまま900円を消費し、ケージをでる。

「あーぁ…ったく、小遣いが減っちまった…」

軽くなった財布のことを考え、ため息をつく。
たまに土生からホームラン商品の25球タダ券を貰えることがあるが、いつもいつも貰えるわけでもない。

そう思いながら喉の乾きを潤すために自販機の前に立つ。
厳しい財政事情を考えれば、150円のペットボトルではなく100円の缶ジュースにせざるを得ない。
他のリトルならバッティングマシンでもあるだろうが、残念ながら貧乏球団の光陵にそんなものはない。

「…ふぅ…帰るか。」
「あれ、赤松君?」
「!」

寸胴少女と補欠選手。
本日2度目の邂逅。

「…な、なんだよ!笑いに来たのか?」
「え、いや…」
「俺はダメな奴だから、練習しなきゃいけないんだ、…じゃぁな!」

すれ違いはそう簡単には修正できない。
それでも、立ち去ろうとする赤松を逃がすまいと、強引に手首をつかんだ。

184:想いはストレート?
12/11/24 23:43:35.26 gpXT+xHO
振りほどこうとするが、相当に握力が強く離れない。

「わっ、な、なんだよ、離せよ!」
「…さっきは、ごめん…」
「!」
「あたし、何も分かってなかったのに、軽はずみなこと…」

瞳には涙がたまっている。
女の子を泣かせてしまっては、これ以上怒ることはできまい。

「…まぁ、いいけどよ。
 ていうか、わざわざ謝りに来てくれたのか?」
「え?
 …そ、そうなの、だ、だって、気になるじゃない。」
「そうなのか。わざわざ悪かったな…」

妙な間が気になったものの、わざわざ追いかけてきてくれたのだから悪い気はしない。
…だが、片岡にとっては思わぬ邪魔が入った。

店の制服を着ている、中年男性。バッジには店長と書かれている。

「おお、歩、おかえり。その子は?」
「え、ちょ、ちょっ…」
「…片岡さん、その人誰?」
「君は誰だい?娘の友達かい?」

…嘘は、儚くバレてしまった。

185:想いはストレート?
12/11/24 23:44:14.49 gpXT+xHO
「…なんだよ、嘘なんて付きやがって…」
「ご、ごめん、その…」

もうお分かりだろうと思うが、赤松を追いかけてきたのではなかった。
このバッティングセンター店長兼家主が片岡康之、その一人娘が片岡歩。

端的に言うと、片岡は自分の家に帰ってきただけだったのだ。
せっかく友達が来たのだからと、家に上がることになったのだが…

「まぁいいや。ていうか全然知らなかったよ。
 結構毎日来てるのに、片岡さんを見かけなかったもんな。」
「…うん。」
「?」
「あ、ちょっとトイレ行ってくるね。」

用を足しに部屋を出ていく。
ドアを開けたところで、ジュースを持ってきた店長とばったり。

「わっ!」
「お、歩か。父さん今から仕事に戻るから、これでも飲んでてくれ。」
「あ、うん。」

代わりに部屋には店長が入ってくる。
ジュースの乗ったお盆を置くと、その場にどっかりと座った。

「君は歩の友達かい?」
「あ…いや、クラスメートです。今日はたまたま片岡さんとプール上がりに…」
「そうか…まぁ、歩が友達を連れてくるなんてなかったからなぁ…」
「?」

ジュースの蓋を開けると、コップになみなみと注いでくれる。

「…昔から引っ込み思案でね。友達もあんまり出来なくて。
 家に帰ったら絵を書いたりして、ほとんど家から出ることもないのさ。」
(そうか、それでバッセンで姿を見ることもなかったのか…)
「そんな生活をしてたら当然太るわな。
 好きな子が出来たとかで、痩せなきゃっていって、プール通いを始めたときは驚いたもんだ。
 プールを通じて友達ができれば言うことはないと思ったんだがね…と、君にこんなことを言ってもしょうがないか。」
「はぁ。」
「まぁなんだ。仲良くしてやってくれんかね。じゃぁな。」

好きな子というのが赤松だと言うのは、この時の二人には知る由もなかった。

186:想いはストレート?
12/11/24 23:45:38.85 gpXT+xHO
「へぇ、みんな使ってるんだ。」
「あぁ、河川敷からここまではそんなに遠くないしな。ま、俺はあんまり来ないけど。」

片岡が戻ってからはリトルの話。
県予選ベスト4やノーヒッター理奈の存在もあり、片岡もそれなりにいろいろ知っているようだ。

「河川敷?」
「あぁ、ボロボロの設備、人数もギリギリの貧乏球団で、少数精鋭主義。
 だから、ベスト4の実力を持ちながら俺がスタメンを張ってられるのさ。」
「もっと違うもの想像してたよ…」

ピカピカの設備、競争の激しい選手層。
ベスト4となれば、リリアムや巨神のようなリトルを想像するのが普通である。

「まぁなんにせよ、人数不足だ。
 土生さんの言うとおり、即戦力がとにかく必要だからな。」
「…そっか。」
「ん?」
「ううん、なんでもない。」

自分がリトルで力になる、なんてとてもではないが無理だと悟った。
選手として、赤松に近づけるなんて、思っちゃいけない。

…選手としては。それに気付くのに、そう時間は掛からなかった。

「そういえば、マネージャーとかは?
 もしかして、赤松君が一緒に話しているあの女の子?」
「理奈のことか?…あいつがノーヒッターなんだが。」
「え!?女の子が!?」
「第一、入団してマネージャーをやらせる余裕なんてねぇ。
 誰であろうが、マネージャー志望だろうととりあえず選手兼任だよ。」

そこまで戦力が枯渇しているとは思わなかった。
…もしかしたら、自分でも選手として入れてもらえるかも。

赤松と同じグラウンドに立てるかも、そう思った。

「…ねぇ、あたしでも、マネージャー兼任で選手になれるかな?」
「え?」

187:想いはストレート?
12/11/24 23:46:33.29 gpXT+xHO
翌日。

「…ここ?」
「あぁ。」

外野は雑草で荒れ放題。
何十年と使われていなさそうな元更衣室。
ベンチの屋根と椅子は錆び付きまくっている。

「…ほんとに、ここ?」
「あぁ、いつもここで練習さ。」

内野の整備だけはそれなりに行き届いている。
使われた形跡はあるので、全く理解できない、というレベルまでではない。

「…本当に、ここ?」
「あぁ。お、きたきた。」

前日は観戦デートを楽しんだ、エースとキャプテンが姿を現す。
もちろん、片岡も例外なく、エースの胸部が大きく張り出すその様には驚きを隠せない。

「こんにちは。あなたが片岡さん?」
「あ、はい。はじめまして。」
「あたしは野村理奈。よろしくね?」
「俺は土生だ。話は聞いている。」

赤松が二人に連絡を取り、取り敢えずはあってみようということになった。
片岡は既に体操服に着替えており、準備は万端である。

「とりあえずこれをやろう。俺が昔使ってたグローブだ。
 使い込まれているもののほうがいいだろう。」
「あ、はい。」
「グローブははめられるか?理奈、手伝ってやれ。」
「うん。」

片岡の左側に寄り添い、グローブを嵌めてやる。
左腕に感じる両胸の柔らかい感触に、女の子と言えども片岡の頬は赤く染まる。

「マネージャー志望なのはいいが、とりあえずは選手登録もしてもらう。
 最低限、キャッチボールと外野フライの処理くらいは出来るようになって欲しい。」
「は、はい。」
「とりあえず赤松、キャッチボールをやってやれ。」

いきなり硬球は危ないので、軟球を渡す。
赤松が10mほど離れ、万歳をする。

188:想いはストレート?
12/11/24 23:48:02.39 gpXT+xHO
「とりあえず思いっきり投げてみてよ!」
「う、うん!」

想いを秘める相手が、目の前にいる。
そして、自らの投げるボールを待ち構えてくれている。

胸の鼓動を感じながら、記念すべき第1球を投げた。


「…。」
「…。」

1mも飛ばずに、沈没。
肘から押し出すという、明らかにボールの投げ方を知らない投げ方だ。

「…女子って、これが普通なのか、理奈?」
「あたしでも、こんなに酷いのは見たことがないね…」
「…ご、ごめんなさい、あたしやっぱり無理です!」

昨日と同様、また瞳に涙が貯まる。どうやら涙脆い性格らしい。

「…おかしいな、ドッジボールでもそこまでひどくはなかったような…」
「やっぱり、無理ですよ…
 野球は右利きの人しかできないんだから、左利きのあたしじゃ…」
「…。
 早く言えぇぇぇぇぇっ!」

赤松の咆哮がこだました。


「準備はいい?」
「うん、こっちの方が力が入るよ。」

同じく左投げの、理奈のグローブで再挑戦。
今度こそ、第1球。

「それっ!」
「…おっと。」

体幹を回転させて、同時に腕を出す。ボールを投げる動作はそれなりに様になっている。
2mほど手前でワンバウンドて赤松のグローブに収まったが、先程よりはだいぶマシだろう。

それでも、これでは戦力とするには余りにも心もとない。
片岡はワンバウンド送球を、赤松はゴロを転がす、和やかなキャッチボールを眺めながら、翔は理奈に本心を話す。

189:想いはストレート?
12/11/24 23:48:35.24 gpXT+xHO
「やっぱマネージャーだな…これはちょっと野球は無理だろう。」
「…ねぇ、翔?
 黒田くんたち5人が去っていったでしょ。」
「ん、あぁ…」

理奈はあの事件から、少し思うところがあったらしい。
それを言うのは今だろうと思い立ち、話を続ける。

「西村さんたちを倒して、全国制覇を目指すために、即戦力が必要なのはわかる。
 けど、それだと、第2の黒田くんたちが現れないとも限らない。」
「…何が言いたいんだ?」
「初心者が入ってきても、頭数と考えずに、少し辛抱して育ててみない?
 黒田くんたちもきっと、戦力になるように育てて欲しいっていう思いも、あったんじゃないかな。
 光陵って、そういうリトルでしょ?」

育てる。
そう言えば、かつて監督が自分にしてくれたことが、それだった。
けれど、心に余裕がなくなり、全くそんなことを考えないようになってしまっていた。



赤松がワンバウンド捕球を繰り返し続けると、少し提案を振る。

「もうちょっと強く投げられない?コントロールは気にしなくていいから。」
「その…だって、危ないし、怖いです。」
「へっ?」
「赤松君に怪我でもさせたら、あたし…」
「大丈夫だよ、ちゃんと取れるから。」

軟球とはいえ、それなりに硬さはある。
全力投入とはいかずとも、強く投げることに抵抗感があってもおかしくはないだろう。

「ラリナ、ちょっとマウンドから投げてくれない?
 野球って、こんな感じだってのを見せたいんだ。」
「え?」
(8割位の力なら捕れるって。な?)

片岡には聞かれないように、手加減するように言う。
理奈の8割の力となると、だいたい100km。それでも素人から見れば十分に速いだろう。

「うん、わかった。片岡さん、ちょっと見てて。」

理奈がマウンドに、そして赤松がホームベースの上に立つ。
理奈が軽く振りかぶり、軽く腕をしならせると、キレのあるボールがずしりと収まった。

「は…速い…」
「な、捕れてるだろ?」

その後も何球か理奈とキャッチボール。
赤松の野球能力に。剛球を何でもないように捕り、何でもないように投げ返すその様に。

片岡の心は、ますますがっちりと捉えられていく。

190:想いはストレート?
12/11/24 23:49:09.80 gpXT+xHO
「さ、やろーぜ。もっと強く投げてみなよ。」
「よ、よーし…」

再チャレンジ。目指すはノーバン送球。

理奈を見よう見まねしたのか、大きく振りかぶる。
足を上げ、右足を下ろすと同時に。


振り抜かれた左腕から放たれた軟球は、赤松の頭上を襲った。

「うおっ!?」

あまりの速さに、差し出したグローブのわずか上をボールは通過。
低い弾道で突き進み、センター定位置でようやくボールがバウンドした。

推定60mの大遠投。
しかも、外野返球の理想とされる低弾道でこの飛距離。距離だけを測れば80m近く行くだろう。

同じく強肩のユキ、理奈にも匹敵するかもしれない。
少なくとも、土生の肩よりは明らかに上回っているだろう。


「ご、ごめん、外れちゃっt」
「すげぇかねーか、片岡さん!」
「え?え?」

赤松が駆け寄り、両肩を持って喜びを露わにしている。

「これだけの肩があれば、それだけでレギュラーさ!ね、土生さん!?」
「翔、頑張って、片岡さんを育ててみない?」
「…そうだな。」

育てがいのある素材に、出会えた。
やってみるか。そう心に決めて、選手として迎え入れる決心をつけた。
2日連続の球場デートは無くなったが、それでいい。


「ただいまー…」
「おぉ歩、…一体、どうしたんだ。」

全身泥だらけ、擦り傷も散見される。
けれどそれよりも店長が驚いたのは、片岡の顔だった。

これだけ晴れやかな顔を見たのは久しぶりかもしれない。

「お邪魔します。
「おお、赤松君に…君たちもよく見る顔だが、もしかして?」
「はい、あたしたちは赤松君と一緒のリトルに居るんです!」

豪快に打球をかっ飛ばす土生。
何よりも大きな胸をぶら下げている理奈。
流石にこの二人には店長も見覚えがあった。

191:想いはストレート?
12/11/24 23:49:44.77 gpXT+xHO
歩の部屋に通されると、早速ジュースを注いでくれた。

「そうか、それじゃぁ、娘が世話になるよ。会費は?」
「会費は、えーと…あれ?」

まだ理奈が入る前は、保護者の信頼が厚い中井監督がきっちりと徴収をしていた。
しかし理奈の親が出張中故に理奈の回避を滞納し始めてから、
その後に入ってくる選手からの徴収もあやふやになり、現在に至る。

一体光陵リトルの財政がどうなっているのか。
それは後日語ることにしよう。

「…まぁいいや。金はいいです。
 ユニフォームは退団した選手のがあるからそれでよけりゃ。」
「会費タダとは驚いたな。
 そうだ、代わりといってはなんだが、ウチのバッセン、好きに使ってくれ。」
「え?いいんですか?」
「客があまりいない時は声をかけてくれ。あと、休日や閉店後でいいならその時でもいいぞ。
 なら、今日やっていくといい。」

今日は火曜日。バビッチャの定休日である。
善は急げと、4人が我先にとバッティングマシンの方へ走っていった。


「うわっ!」
(うーん…ボールへの対応力は全くだな…)

同じ左打ちである土生を参考に、何度か素振りをしてフォームを一応整えたところで、ひとまず打たせてみる。
ろくに素振りの練習もしていないので当たり前だが、全くボールについていけない。

(100kmでこれだと、そう簡単には…お。)
「当たった!」

5球目にしてようやくボールをカット。
低めの難しい球だったが、うまく膝を曲げて対応していた。

結局25球の打ちあたったのは5球。全て低めギリギリの球だった。
逆に、1球ワンバウンドしたがそれも当てている辺りは徹底して低めが好きらしい。

「低めは打てるのか?」
「うーん…なんか、高いボールってすぐ来るイメージがあって…
 浮き上がってるような…」

高めの速いボールには体が反応できず仰け反ってしまう。
典型的なローボールヒッターだ。

192:想いはストレート?
12/11/24 23:50:54.56 gpXT+xHO
「でもさ、翔。高めを練習すれば、そのうち打てるようになるんじゃない?」
「片岡、ちょっと座ってくれ。」
「?…はい。」

何を想ったのか、その場に片岡を座らせた。
その後足を広げるように指示し、さらに上半身を倒れさせる。つまりは柔軟体操だ。

土生の予想通り、股関節は180度開き、しかも上半身はぺったりと地面に吸い付いている。

「わ、すごい!」
「低めへの対応力はここから来ているんだろう。当分は低め打ちの練習だ。
 膝の使い方が結構柔らかいし、足も太いから力が強いんだろう。踏ん張りも効いている。」
「…。」
「ん?片岡、何しょげてnあでっ!」
「翔!なんてこと言うの!」

片岡は、自分の寸胴体型とふくよかな下半身を気にしている。
女子なら、自分の太った姿にコンプレックスを感じるのは当然だろう。

「片岡さん、いいじゃないか。」
「…え、赤松、君?」
「大きなお尻は、野球選手として大成出来るっていうしさ。俺、羨ましいよ。」
「ほ、ほんとに、本当にそう思うの?」
「もっちろん!」

好きな人に、自分が気にしていた体型を逆に褒められた。
その顔には、冗談やからかいといったものは一切含まれていない。

「…うん、あたし、頑張るよ!」
「おっしゃ、勝負しよーぜ!」

光陵リトル10人目の戦士は、小さく、大きな一歩を踏み出し始めた。

193:暴走ボート ◆m.wfq0Dq3E
12/11/24 23:52:01.32 gpXT+xHO
一旦ここまでで。
新キャラを持ってくるのって結構な負担になるなぁ…

というより、組ませる男子がもう赤松しか残ってないのが問題かもしれない…

194:名無しさん@ピンキー
12/11/25 12:06:12.23 kmJCKXCF
GJ!
歩ちゃん可愛いな

195:名無しさん@ピンキー
12/11/27 22:46:02.88 TxaAHj7l
軟体巨乳プレイってのもいいな

196:暴走ボート ◆m.wfq0Dq3E
12/12/09 23:22:32.05 zTVRdT32
誰も来ませんね…

誰かが書いてくれたらインスピが湧くけど、ひとりはきつい・・・

197:名無しさん@ピンキー
12/12/10 23:58:02.09 ovQ7A6pd
>>196
正月休みには頑張る予定

198:暴走ボート ◆m.wfq0Dq3E
12/12/11 23:42:31.72 zrsgt2gO
いつまでも挙げないのもアレだから再び投下。

…SDSさんは生きているのかな・・・

199:想いはストレート?
12/12/11 23:43:16.16 zrsgt2gO
「はい、…はい…、わかりました、今回の件については…」

合宿から帰ったあとの中井監督は、苦情電話の対応に奔走していた。
その原因は紛れも無く、あの5人の退団騒動にある。

(一体どういうことです!?
 息子は、チームにハネにされて、仕方なく出ていったそうじゃないですか!)
「黒田君には申し訳ないことをしました。
 ただ、グラウンドには9人しか立てないわけで…」
(息子を締め出すために、新しい選手をどんどん呼んだそうですが。
 それって、西村君を連れ去った人達と、何も変わらないじゃないですか!)

光陵リトルは元々、中井監督が大学時代に作ったボランティアサークルが前身である。
野球を高校で辞めて教師の道を進む為に教育学部に進学したが、
自分がやっていた野球で子どもたちになにか出来ないかと考え、野球教室を設立。
週に何日か子どもを集めて野球を教えていた。

その活動が口コミで広がり、子どもの健全な育成を願う保護者たちから子どもを預かるようになった。
いつの間にか子どもの数は10人を超え、子どもも懸命に練習に取り組んでいた。

だが、リトルのチームではないので、大会には出られない。
もっと野球に取り組みたいと思う子どもは県下の別のリトルに送り出していた。
しかし、中井監督と一緒に、仲間と一緒に野球をしたかった、という子どもや親の声も上がるようになっていた。

(あなたに託したのが馬鹿みたいですよ!
 とにかく、今後は西村くんたちのチームのサポートに回りますから、そのつもりで。)
「はい、…分かりました。申し訳ございませんでした。」

そんな子どもたちを、一緒にいさせてやりたい、その上で目標を作ってあげたい。
そう思うようになった保護者達は、中井監督にリトルチーム設立を提案する。

教師の夢や、大学の実習、アルバイトなどから来る忙しさから一度は断った。
だが、保護者が金銭や送迎のサポートを約束し、保護者会が交渉して大学が特例として単位認定してくれる事になった。

結果、光陵リトルはめでたく発足。
保護者や大学のサポートを受けながら中井監督はチームの運営、指導に集中できるようになった。
毎年1回戦負けだが保護者からの評判は非常に良く、結局大学卒業後は隣町の中学に常勤ではなく非常勤を勤めながら、
光陵リトルが本職のような形となっている。


だが、保護者からの信頼がなくなれば、当然チームの存続は危うくなっている。
それでも、中井監督は負い目から土生の意向を受け入れないわけにはいかない。これが現状である。

200:想いはストレート?
12/12/11 23:44:14.51 zrsgt2gO
「はぁ…どうしようか…」

非常勤の給料などたかが知れている。
本来なら生計は苦しいはずだが、リトルの月謝の収入で困ることはなく、貯金もある。

当面は、リトルの運営はこの貯金を切り崩すことになるが、いつまで持つかは分からない。
今年は大丈夫にしても、来年、土生が卒業するまで持ちこたえられるかも分からない。
信頼を裏切ったことでそれがクチコミで広がれば、新しく子どもたちが入ってくる可能性も無くなるだろう。

土生を勝たせることで、光陵の幕を下ろす。
現状、これが一番起こりうる現象である。

「…それも悪くないか…」

けれど、今まで過ごしてきた子どもたちとの時間、空間。
それらが失われてしまうのは、心が痛む。
土生のために、様々なものを犠牲にすることになるのだ。

「…。」

再び着信音が聞こえてくる。
はぁ、と一つ溜息をつき、ボタンを押した。

「はい、もしもし中井です。
 …あ、青野さんですか、ご無沙汰しております。」
(中井監督、今お時間よろしいですか?)
「はい、この度は誠に、申し訳ありませんでした。」
(何をおっしゃるんですか。監督は悪くないですよ?)
「え?」

どうやら、青野は事情説明をきちんとこなしていたらしい。
事情が複雑なだけに小学生がそれを行うのは至難の技、そして中井監督は土生をかばっている。
先程の黒田のように、苦情電話ばかりが掛かって来るのが普通だ。


(土生君に押されて、仕方なくレギュラーから追い出したんですよね。)
「いや、その、全ては僕の…」
(いいんですよ、監督さんが捨て子だった土生君を思う気持ちはよくわかります。
 それに、西村君がいなくなっても、土生君がいるから息子は野球をやめずに済んだんですから、土生君を恨む気にもなりません。)
「それは、その、ありがとうございます。」
(けれど、やっぱり、監督さんにうちの息子を見てもらいたいんです。
 内気で家にこもりがちだった息子を変えてくれたのは、ほかでもない監督さんなので…)

長い間培ってきた信頼は、そう簡単に崩れることはないようである。

201:想いはストレート?
12/12/11 23:44:51.68 zrsgt2gO
(黒田くんたちもきっと、監督さんと一緒に野球をしたいはずですよ。)
「…それなら嬉しいですが、でも…」
(西村くんたちも、きっと監督さんが好きだから、戻ってこようとしたんです。
 私たちも最初は西村君たちやお母さんたちを裏切り者だと思ってましたけど、今では反省してます。
 近々、お詫びを入れに行く予定ですが、できれば同席していただけますか?)
「分かりました。僕もしっかりと事情説明させていただきます。」
(助かります。
 …ずいぶん辛い思いをさせてしまいましたけど、監督さんが間に入ってくれたら、許していただけると思うので…)

どうやらこのために電話をかけたらしい。
この分なら、黒田たちの保護者への誤解もすぐに解けるだろう。

(…それと、もう1つお願いがあるのですが…)
「はい、なんでしょうか?」
(…土生君のではなく、息子たちの光陵の面倒を、見ていただけないでしょうか?)
「…!?」



翌日。
公民館の一室を借りて、西村たち9人とその保護者が同席して、会合が開かれた。
あらかじめ青野の母親が黒田たちの母親たちに話をつけていたようである。

「本当に申し訳ありませんでした。」
「いえ、とんでもないです、こちらこそご迷惑をおかけしまして…」

あの電話のあと、黒田自身が誤解を招いていることに気づいたらしい。
土生は悪くても、監督は悪くないと断言し、誤解は解消された。

西村たちとの間でのわだかまりも解消。
これで、新生光陵リトルは1つにまとまって再スタートを切ることはできそうだ。

そして、もう1つの大きな本題。

「中井さん、お願いです。どうかこっちのリトルに移籍してもらえませんか?」
「監督!俺たち、監督とやりたいんだよ!」
「俺たちが、必ず監督を日本一にしてやるからさ!」
「私たちも、全面的なバックアップを約束します。
 来年以降も、引き続き光陵リトルが続くよう、広く子どもたちが入ってくるように宣伝もしますよ。」
「子どもたちが、安心して野球を楽しめるように、お願いします!」

大きな決断を迫られているなど、土生は知る由もなかった。

202:想いはストレート?
12/12/11 23:45:34.28 zrsgt2gO
連休が終わり、今日から再び光陵の練習が始まる。
いつも置物の中井監督は、今日は風邪を拗らせて休んでいる、とのこと。

もっとも、最近は土生が全てを取り仕切っているので何も問題はないわけだが。

「よーし…そうだ!もういっちょ!」
「はいっ!」

集合時間の3時間前から土生が片岡を呼び出し、トスバッティングを続けている。
低め打ちをマスターすれば、育成スピード次第では秋大会での戦力になる、との判断である。

理奈は長い目で見るように言ったが、あくまで土生の目は秋大会に向いていた。

「これはなんです?」
「ティーバッティングって言うんだ。ちょっと見てろ。」

細い棒の上に、ボールが置かれている。
インローにセッティングされたボールを、フルスイング。

「わ!…フェンス超えちゃった。」
「やってみな。」
「はい!…そーれっ!」

フルスイング。
バットは見事にボールを捉え、ぐんぐん伸びる。

「わっ、飛んだ!」
「おお、なかなかやるな。フェンス超えたぞ。」
「えへへ、これで赤松君に認めてもらえるかな…」
(…なるほど。)

理奈と愛の誓いをした効果があったのか、土生も恋愛に関して少しは物わかりが良くなった模様。
片岡が野球を始めた理由にガテンがいった。

そして、柵超えが出来るほどのパワーは、あの5人にはない長所。
もちろんまだミートする力はなく守備もボロボロだが、赤松もいい素材を見つけてきたものだと感心した。

「よし、ティーバッティングを続けろ。
 空振りしてもいいから、全部ホームランをねらえ。」
「はいっ!」

山下は最近、結果を求めて振りが鈍くなっている気がしていた。
せっかくのパワーがあるんだから、何も気にせずフルスイングをすればいい。

初心者ゆえの、恐れを知らない強みを知った。

203:想いはストレート?
12/12/11 23:46:20.70 zrsgt2gO
「そうだ、もっと飛ばせ!…ん?」

グラウンドの向こうから誰かがやってくる。
女子のようだが、理奈でもユキでもない。

「緒方?…もう一人は誰だ?」
「どうしました?」
「練習を続けとけ。ちょっと行ってくる。」

他人と群れることを嫌う孤高の鷹。
それが、全体練習に、ましてやギャラリーを連れてくるなど、滅多にあることではない。

「珍しいな。」
「悪い?今日からわたし、全体練習に参加するから。」
「一体どういう風の吹き回しだ?お前に走塁や守備練習は必要ないはずだが。」
「舐めてもらっちゃ困るわね。守備も走塁も、まだまだあなた達に負けちゃいないわ。
 ケガの再発が怖いだけで、能力自体は落ちちゃいないわよ。」

嘘つけ、と心の中で悪態を付く土生。
とはいえ、平均レベルの守備走塁と、さやかに勝る盗塁能力を湛えているのもまた事実。

「まぁいい。そちらさんは?」
「わたしのモデル時代の友人。こっちに引っ越してきたのよ。」
「初めまして、あたしの名前は」
「ああああああああっ!?」

突如として、後頭部を劈くった叫び声。
何事かと振り向こと、慌てた様子で片岡が駆け寄ってくる。

「こ、こ、倖田未來ちゃんだぁ!」
「片岡、知り合いか?」
「あなたねぇ…知り合いも何も、ミクを知らないのは日本であんたぐらいよ、土生。」
「…へ?」

去年紅白にも出場したニューホープアーティスト。
今年の出場の内定も勝ち取っており、その実力は本物。

204:想いはストレート?
12/12/11 23:47:05.32 zrsgt2gO
「…お前の過去に、そんなことが…」
「そう。で、今のあたしを見たくって来たんだって。見学したって別にいいでしょ?」
「そりゃ構わんが…テニスやってる奴が野球やって楽しいのか?」
「うん!
 ね、ね、野球やって見せてよ!ね!」
「やってみせろって言われても、人数揃わねーと話になんねー。
 つーか、テニスの全国大会はどうなったんだ?練習しなくていいのか?」
「昨日終わったんだ。1回戦負けー。
 けど、テニスの啓発目的もあって、特別枠で来年も出場できる事になったんだ!」

つまり、練習せずとも来年の全国大会には出場できるということだ。
有名人冥利に尽きる、とでも言えばいいか。

「まぁ、あたしは楽しめればなんでもいいんだけどね!
 ところで、その子が野村理奈ちゃん?」
「違うわよ、ミク。土生、その子は誰?」
「こいつは新入り。赤松の紹介できたのさ。
 ズブの素人だが、送球がすげぇ。下半身の使い方もうまそうだから、ティーで鍛えてるのさ。」
「ふぅん。
 てっきり育成なんかより即戦力を集め続けるものだと思ったけど。」
「そういい選手がゴロゴロ転がってるわけねーだろ。」


その内に、メンバーが続々と集まってくる。
隣町に住むさやかは、タクローと一緒に自転車で足を運んだ。

「タクローさん!」
「よぉ。久しぶりだな。」
「監督さんは?」
「今日は体調不良でお休みです。どうです、ちょっくら汗を流していきませんか?
 …おーい、お前ら?」

他の9人は未來に夢中。
全国制覇の戦士より、今をときめくアーティストの方が何倍もいいらしい。


タクローがノッカーとなり、橡浦、山下、さやか、赤松、恵にノックを浴びせる。
かねてより温めていた橡浦コンバートを早速実行し、久しぶりのセカンドで汗を流している。

あとの4人は、ボロボロのネットに囲まれたブルペンに入った。

「で、何するの?」
「ユキ、悪いが、マスクをかぶってくれ。理奈、多少力抜いていいから、まず真ん中に投げてくれ。」
「あ、うん。」

要求通りど真ん中。
だが、片岡のバットは当たらない上、タイミングも遅れている。

「うー…」
「素人なんだから当たらなくても当たり前だ。」
「土生さん、打撃練習より、この子は守備だけでもやらせたほうがいいんじゃないです?
 秋に間に合いませんよ?」
「バッティングに光るものがあるから、打たせてるんだよ。秋までにこいつを主力にする。
 理奈。今度はアウトロー、ギリギリを突いてくれ。」

110kmのアウトロー。
土生でもそう簡単には打ち返せないコース。

だが、見事にミートし、理奈の横を抜けるヒット性の当たりを放つ。

205:想いはストレート?
12/12/11 23:48:30.00 zrsgt2gO
「え!?」
「ユキ、こいつが片岡の可能性だ。こいつは低めに非常に強い。
 野球初心者だからボールのスピードについていけないから、高めには成すすべがない。
 だが、下半身が強く、膝が柔らかいから低めには対応可能なんだ。」

高めより低めの方が目とボールの距離が遠いので、なれない速球への恐怖感は薄まる。
それにより目線を固定し、肩を開くことなくボールを仕留めることが可能。

「けれど、低めだったら力負けするのが普通だよね?」
「さっきティーバッティングを見て分かったが、こいつのパワーは山下並みだ。
 低めだろうと関係なく飛ばしやがる、だから今の打球もやたらと鋭いわけだ。」
「じゃ、じゃあ、活躍できますかね?」

とはいえ、ベルトから上の対応力はまだまだ。
その上、まだフォームも安定していないので、得意の低めでも確実にミートする力はないだろう。

さらに、理奈はまだ全力を出していない。

「…ま、それはこの球を打てるようになってからだな。理奈、低めに全力で投げろ。」
「うん!」
「え?今のが全力じゃ…」

3秒後、片岡のスタメンへの希望が、粉々に砕かれることになる。



「カナっちは、みんなと練習しないの?」
「わたしは素振りだけしてればいいから。」

タクローの鬼ノックが飛び交う中、緒方は相変わらず素振りを続ける。
最初の10分ほどは外野のノックを受けていたが、それは身体のキレを維持するためのものに過ぎない。

「…そういうミクも、見てるだけで飽きないの?」
「うーん、でも、真面目に練習している中に入って、ミス連発ってのもどーかと思うけど…
 そーだ、一緒に守備やってくれない?服装はテニスウェアだから運動しても問題ないし。」
「それじゃ、土生に許可をもらってくるわ。一緒に来て。
 …と、こっちから行く前に戻ってきたみたい。」

片岡の特訓も終わり、ノックを受けるために戻ってきたようだ。
部外者の練習は正直乗り気ではなかったが、人気アーティストと練習したいという他の連中の強い希望に押し切られた。

206:想いはストレート?
12/12/11 23:49:33.57 zrsgt2gO
センターには、緒方、片岡、そして未來が集まっている。

「まずは打球方向、スピードから落下点を推測し、そこへ走る。
 落下点に近づくまではボールを見ちゃダメ。」
「見ないんですか?」
「そう、とにかく全力でそこまで走る。落下点付近に来たらボールを確認し、立ち位置を調整して捕る。
 ちょっと見てなさい。」

緒方が手を振り合図をすると、タクローがセンター方向にフライを上げる。

「まずは落下点までダッシュ!近づいたらボールを確認!
 取る直前でグローブを構える!」
「はい!」
「そしてとったら、バックホーム!」

さすがは巨神の元スタメンセンター。
ボールをとってからの送球も非常にスムーズ。

「す、すごーい…」
「カナっち、やるぅ。」
「片岡さん、まずはあなたから。取ったら、土生を目掛けて送球して。」

ボールが上がる。なんでもないセンターフライだ。
だが、初心者である以上そう簡単に順応するわけもなく。

「え?どこどこ?」
「右!もっと右!後ろ!」
「右?で、後ろ?」

ボールが迫ってくる。
慌ててグローブを差し出す…というより、顔を腕で覆う。明らかに怖がっている。

高いところから猛スピードでボールが落ちてくるので、当然だろう。
結局、3m手前でボールはワンバウンド。

「きゃあっ!」
「もたもたするな、返球しろ!」
「は、はい!」

タクローの横から聞こえる、土生の怒号。
慌ててボールをつかみ、緒方を真似てステップを踏み、腕を振り抜く。

その瞬間、片岡の肩を知らない選手たちは、全員あっけにとられた。

「!?」
「うお!」

低弾道の強烈な返球。
40mはゆうに離れているだろう場所から、あっというまに土生の頭上をボールが通過した。
正確性には欠けるが、低めを意識させるように練習すればすぐに解消できるだろう。

207:想いはストレート?
12/12/11 23:50:23.82 zrsgt2gO
「よーし、それでいい!捕れなくてもとにかく返球はしろ!
 もういっちょ!」
「はい!…今度こそ…!」

2度目のフライ処理。だが、目算を誤り、ボールは片岡のはるか後ろを通過。
目算云々より、まずボールを正視することすら難しいのだろう。

「わああっ!」
「いいから取りにいけ、返球しろ!」

慌ててフェンスまで駆け寄り、ボールを掴む。
そこからステップを踏み、再び送球。

「うわ!」
「まただ!」

だが、先程の送球がまぐれじゃないと言わんばかりのレーザービーム。
フェンス際にもかかわらず、今度は土生のすぐ手前でワンバウンドするという理想的な返球。

「す、すげぇ…」
「フライさえ取れれば、凄い守備力じゃねーか…」
(これほどとは…巨神でもこんな子は居なかったような…)

緒方ですら内心驚いている。
だが、たった一人だけ例外がいた。

「でも、取れなきゃ意味ないよねー。」
「ちょっと、ミク。そういうこと言わない。」
「土生くーん、あたしにも、強烈なのをおねがーい。」
「…あぁ、んじゃ行くぜー。」

ご要望にお答えして、鋭いライナー性の打球を放つ。
だが、臆することなく突っ込んでくる。

「よーするに、これを直接とればいいんでしょ?
 よっと!」
(お。)

一目散に守備位置まで駆け抜け、叩くようにグラブでボールをつかむ。
様になっていた。

「これくらいなんてことないね。
 右手でラケットを持ってたのを、左手でグローブを持つのが変わっただけ。」
「テニスと同じ感覚で、行けるものかしら?」
「遊びで50m離れた相手とテニスしたことがあってね。そのおかげかな。
 もういっちょどーぞ。」

今度は後ろの方に打球を打つ。
橡浦でも守備範囲ギリギリだが、迷うことなく落下点まで駆け出し、グラブを差し出して取った。
ミーハー共が騒ぎ立てる。

208:想いはストレート?
12/12/11 23:50:53.87 zrsgt2gO
「…か、かっこいい…」
「すげぇ、未來ちゃーん!」
(ミクって、結構足速かったんだね…)

だが、捕った本人は平然としている。
これくらい当然、むしろ物足りないといった様子だ。

「なーんか、全然練習した気にならないね。
 もっと速い球を捕れる場所はないの?テニスみたいにさ。ねえ、カナっち?」
「…だったら、内野でもやってみれば?
 セカンドは人材なんだし、試してみていいんじゃない?」
「セカンド?どこ?」

緒方がセカンドキャンバス付近へ案内し、ゴロを取ったらボールをファーストに投げるよう説明。
すると、こんな事を言い出した。

「さっきここで誰かがノック受けてたけど…誰だっけ?」
「ん、あぁ、橡浦のことか。どうした?」
「そうそう、橡浦君。あの子のような生温いノックはいらないから。」

片岡に対しても、橡浦に対しても、かなり口が悪いようだ。
本人には悪気はないが、当の橡浦もあんまりいい気はしないようだ。

「…そこまで言わなくても…」
「まぁまぁ。チュウ、すぐに野球の厳しさはわかるわよ。」
「あ、始まった。」

少々お灸をすえねばなるまいと、強烈なゴロを放つ。
だが、何食わぬ顔で右に移動し、バウンドを合わせて捕球。

「!」
「わー、テニスより速いんだ、野球のボールって!ねぇ、もっともっと!」
「…まぁ、こんなんじゃ満足しないよな。」

さっきよりも未來のいる位置から遠くに打球を飛ばす。
未來も瞬時に反応するが、文句なしにヒット性の当たりゆえに流石に取れない。
それでも、到達まであと1mを切っていた。

「まぁ、流石に取れないか。」
「…なんですって?もう1度打ってみなさいよ!」
「たく、ああ、打ってやらぁ。」

未來が定位置についたことを確認すると、今度は逆方向に強烈なゴロ。
これも文句なしにヒット性の当たり。

だが、未來のなかで、行ける、と確信をもった。
次の瞬間、打球に向かって飛びつき、思い切りグローブを差し出す。

「!」
「すげ、捕ったぜ!?」
「未來ちゃーん、かっこいー!」

超人的な反応速度と瞬発力、俊足。バウンドに合わせてグローブを出す動体視力。
内野手を担う上で必要な能力全てを持っている。

209:想いはストレート?
12/12/11 23:51:33.86 zrsgt2gO
「いやー、いいねこれ。
 こんなに速い球、テニスじゃ味わえないよ!」
「…もういい。俺の負けだ。」
「えー!?もっと捕らせてよー!
 …そだ!ねぇねぇ、暇なときは参加していい?」
「はぁ!?」

どうやら野球にのめり込んでしまったらしい。
てっきりテニス一筋だと思っていたので、全く予想だにしていなかった。

「ミク…あなたってどうしてそういつもいつも無茶なの…」
「いいじゃんカナっち、あたしね、こーゆーのやりたかったんだ!
 ね、ね、いいでしょ?いいでしょ?」
「…やるんなら、本気でやれ。つーか大会前なんだ、大会に出る気がない奴の面倒を見る気はねぇ。」
「大会!?出る!出る出る!
 ねぇカナたん、一緒に全国大会に出よ、ね、ね?」

喉から手が出るほど欲しかったセカンド候補は、とんでもない形でチームに入ってくることになった。
こうなったからには仕方がない、そう割り切って鍛え上げることにした。
幸い、もうすでに即戦力レベルのポテンシャルは秘めているわけだから。



その後、本格的な内野守備練習が始まった。
さやか、赤松、未来、山下の内野陣が土生のノックを受ける。

「セカン!」
「よっ、それっ!…あ。」

テニスで必要なのはラケットと足。ボールを投げる動作は必要としない。
セカンドにも拘らず、殆ど悪送球をしてしまう。

上背のある山下がなんとかカバーしているが、それが通じるのはランナーがいないときだけだ。

「次、ランナー一塁!ボールとったら赤松に投げろ!セカン!」

上背のない赤松が、未來の悪送球をフォローする余裕はない。
しかも、捕る専門のファーストと比べ、ショートは捕って投げるという一連の動作をこなすため尚更だ。

「ご、ごめーん!」
「いや、いいよ。初心者だし、仕方ないよね。」

だが、赤松は気にする素振りは見せない。
…どうやら彼もまた、アーティスト・未來の虜のようだ。

210:想いはストレート?
12/12/11 23:53:39.25 zrsgt2gO
「もう1度、セカン!」

二塁付近に打球が走る。
未来が取る寸前で、赤松が一声かける。

「トス!」

その声に即座に反応。
捕球すると走りながらセカンドベース上目掛けて右手でボールをふわりと上げる。

赤松がそれを走りながら素手で掴んで、セカンドベースを踏みながらステップをかけてファーストに送球。
両者とも1度として足が止まることなく、きれいにゲッツーが決まる。

「すげぇ!」
「やべぇ、今の綺麗に決まってなかったか、おい!?」

橡浦や山下も度肝を抜かれた。
当の本人たちに至ってはこの上なく喜んでいる。

「ナイス、未來ちゃん!」
「まっつん、やるぅ!」

すっかり赤松に馴染んだらしい。
このプレーを境に、二人の連携は深まっていった。


練習後。
片岡のバッティングセンターに光陵全員で向かっている。

「まっつん、あれ何!?なんか、グローブで投げてたけど。」
「あぁ、グラブトスの事?」
「そうそれ!あれ、今度教えてよ!」
「も、もちろん!」
(本当に、この子とコンビ組んでたんだよな…あの未來ちゃんに必要とされてるんだ、頑張らないと!)

今目の前で自分と楽しそうに話しているのが、あの倖田未來なんて、夢のよう。
そう思うだけで心がドキドキしている。

「赤松君、楽しそうだね。」
「ああ。
 自分の能力にコンプレックスを抱いていたようだけど、これで解決したろ。」
「そうだね。
 …あたし達より、いいコンビかも、ね、翔?」

未來の為に自分がいる、必要とされている。
そんな赤松には、以前のようなコンプレックスはもう残ってはいなかった。

211:想いはストレート?
12/12/11 23:54:58.56 zrsgt2gO
「ねぇねぇ、テニスやろ、テニス!」
「え、俺、バッティングを…」
「やりたいことがあるんだ、早く早く!」

片岡宅、兼バッティングセンターに到着したが、赤松はテニスコートに拉致されてしまった。
結局、ラケットを持たせられたが、未來の破天荒はここで終わらない。

「…なにやってんの?」
「え?バッティング練習だよ。バットの感覚つかむには、慣れているテニスでやるのが一番いいと思ってね!」

なんとバットでテニス。
とはいえ、確かに不慣れな打撃克服のために、テニスを通してバットを扱いなれるその狙いは悪くはない。

「それっ!」
「うお!?」

…だが、未來にはラケットがバットになろうが変わらなかったようである。
全国大会1回戦で、大会優勝者を土壇場まで追い詰めた末に敗退した彼女には。

(…。)

楽しそうにテニスに興じる二人を、片岡はただ眺めることしかできなかった。
寸胴少女の想い人の心は、国民的スターにメロメロだった。

212:暴走ボート ◆m.wfq0Dq3E
12/12/11 23:55:53.96 zrsgt2gO
ここまでで。

テニスプレーヤーに野球を実際にやらせたらどーなるんだろ。

213:名無しさん@ピンキー
12/12/31 23:37:07.65 0N3T1nV5
行く年保守する

214:名無しさん@ピンキー
13/01/02 21:50:48.51 0MU2nJU2
あけおめ?初見が見学に来たよ(´∀`)
っていうか誰もおらん…?(´・ω・`)

215:名無しさん@ピンキー
13/01/02 22:00:20.73 0MU2nJU2
1人妄想でもしてるかね…
風呂入ってこよう…

216:名無しさん@ピンキー
13/01/04 18:01:00.04 LPXzvYwq
小説オイシイです(*´∀`*)

217:名無しさん@ピンキー
13/01/23 23:45:12.33 cph8n3KL
保管庫更新ご苦労様です!!

218:名無しさん@ピンキー
13/02/04 21:49:01.65 y63xNoZ1
保守

219:名無しさん@ピンキー
13/02/14 14:48:45.03 1AMTcm6e
なんでこのスレタイで野球SSが投稿されてるの?

220:名無しさん@ピンキー
13/02/14 23:10:16.84 ty8V/zbS
それは俺も思ってたけど投下してくれる人に悪いので今まで言わなかった

221:名無しさん@ピンキー
13/02/15 09:10:00.18 6oYfUF05
初見で乗っ取られてるようにしか見えないんだが
スレの初めにちゃんとしたSSがなかったらそっと閉じて二度と来ないだろうなぁ

222:名無しさん@ピンキー
13/02/16 13:29:11.90 NvVb2ErZ
>>220
それな

223:名無しさん@ピンキー
13/02/16 21:22:43.15 tqhAsMY6
まあ野球を盛り込んでも、次回からもっと構成や技法に凝って巨乳小学生要素を強くして欲しいよね

224:名無しさん@ピンキー
13/02/16 22:47:26.19 sIK8QZap
巨乳小学生を引き立てるための設定じゃなくて明らかに野球がメインだもんな
エロ漫画雑誌で連載してるのに本番がないどころか露出すら殆どないようなもんか

225:名無しさん@ピンキー
13/02/16 23:42:12.35 DVtmOD2M
エロパロかそれ以外に野球創作スレとか、スポーツ少女スレとかないのかな

226:名無しさん@ピンキー
13/02/17 06:58:14.47 EnsNUp5S
部活動スレがあるけどクラブチームだから微妙に趣旨が違うという……
そもそも文章が稚拙とか態度が悪いとかそういうわけではないからせっかく作品を投下してくれる人を追い出すような真似はしたくないしするべきでないと思う

227:名無しさん@ピンキー
13/02/17 07:45:15.13 tHlWBECa
>>226に賛成

228:名無しさん@ピンキー
13/02/18 21:32:29.42 tvOktLsi
というか、なぜ追い出そうという流れになるのだろうか?

229:名無しさん@ピンキー
13/02/18 22:10:02.16 9qW5abGe
なんか疑問を挙げる奴が出て何人か同調しただけで誰も追い出そうとはしてない気が
強いて言えば>>225-226がそう見えるかなぁ程度

230:名無しさん@ピンキー
13/02/19 01:20:33.61 SvKSqAC8
巨人ファンな上に佐賀在住経験のある俺は作者さんの憎しみを一身に受けているような気が
してならない
あのクソ監督、負けた腹いせにしょーもないことぬかしやがって……だったらホームランなんか
打たれてるんじゃねーよ!

【ぶり返してきた】

231:名無しさん@ピンキー
13/02/20 19:34:07.53 QKiWDNMp
保守絡みにまたティナちゃんの超乳やユーリィちゃん・プリシアちゃんみたいな
明るいバカエロかつ激しいエロが見たい今日この頃
特にティナちゃんのバストサイズは今見てもぶっ飛んでる

232:名無しさん@ピンキー
13/02/20 20:38:43.22 3xWd1VTO
巨乳小学生を飼育したいよ

233:名無しさん@ピンキー
13/02/22 14:13:59.93 MzRqhE/Z
スカトロとかはありですかな?

234:名無しさん@ピンキー
13/02/22 14:38:24.07 E3GY+nN1
注意書き付ければいいんじゃないかね?

235:名無しさん@ピンキー
13/02/22 14:51:53.45 MzRqhE/Z
わかりました、大スカありなので注意してください

236:名無しさん@ピンキー
13/02/22 15:03:53.71 MzRqhE/Z
沙羅「あ~ん、うう~ん、もれちゃうわ~ん」
小学5年生の沙羅は便秘ウンコを抱えながらトイレを探していた
ブッ、ブゥ、プスゥ~、ブピピッ!!
あまりに臭すぎる屁、肉や卵ばかり食ってやがるな
男「うおおおおお、くっせーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
沙羅「うん~ぅ、漏れちゃったわ~ん」
ブリュブリュリュリュ、ブボボッ、ニチニチニチニチ
ついに漏らしやがった、しかしなんて臭いだ、近くの雑草が枯れてやがるぜ!
男「我慢できねーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
沙羅「いやぁ~ん、やめて~ん」
ズッポズップズッポズップ、ブリュブリュブリュ、ブボボーーン!!
凶悪な屁に興奮5倍増、ウンコの中をチンポがかきわける!!
男「イクーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
俺は巨乳小学生である沙羅の中に射精した
引き抜いたチンポにはひじきやらえのきやら、未消化の食い物がたっぷりだぜ!
男「チンポくせーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」

OWARI

237:名無しさん@ピンキー
13/02/22 15:04:19.37 MzRqhE/Z
今後もこういったハードな作品を投下していこうと思っています

238:名無しさん@ピンキー
13/02/22 15:08:14.46 MzRqhE/Z
普段はパワポケの絵などを書いています
留年確定しているので投下ペースも早くなることでしょう
URLリンク(www.pixiv.net)

239:名無しさん@ピンキー
13/02/22 20:37:28.85 Z7/fm7Yu
敢えて言おう、二度と来るな

240:名無しさん@ピンキー
13/02/22 22:44:56.02 MzRqhE/Z
第二話も投下しまっす

前回のあらすじ
小学5年生でありながら巨乳の沙羅は臭いうんこを漏らしてしまい男にアナルレイプされた沙羅はそれからもしょっちゅうウンコを漏らしていた

沙羅「あ~ん、早くトイレを探さないと」
俺はあまりに臭すぎるウンコを忘れられず野糞スポットを探す沙羅を付け回していた
ブス~ゥ、ブボボッ、ビチビチビチビチ!!
沙羅「あう~ん、菊穴緩んだからもれちゃったわ~ん」
俺は見た、沙羅の近くを飛んでいたハエが地面に落ちたのを
男「我慢できねーーーーーーーーー!!!!!!!!!?」
ズッニュズッニュ、ヌポポポン
沙羅「あ~ん、また菊穴犯されちゃったわ~ん、快楽」

続く

241:名無しさん@ピンキー
13/02/23 01:15:02.74 jpTcwaf+
ノクターンやpixivだと巨乳小学生のSSってほとんどないな

242:名無しさん@ピンキー
13/02/25 01:23:23.14 x2ODni/S
>>240ですけど続き書いてもいいですか?

243:名無しさん@ピンキー
13/02/25 08:12:21.64 Wck0+8sm
誰にも感想貰えず腫物を扱うようにスルーされ続けてもいいならいいんじゃない?

244:名無しさん@ピンキー
13/02/27 08:55:02.25 PcLwnmZf
>>242
スカトロ関係無しに、もうちょっと練習した方が良いと思う

245:名無しさん@ピンキー
13/02/27 10:42:35.54 pedn10f2
とりあえず房総ボートとかいう作者はよそでやって欲しい、なろうでもpixivでもいいからさ
巨乳小学生関係ないじゃん

246:名無しさん@ピンキー
13/02/27 17:39:54.54 skq5rs7h
そう?理奈ちゃんは立派な巨乳小学生じゃん。バスト三桁超えの…

247:名無しさん@ピンキー
13/02/28 01:24:26.29 QkR9qvjR
URLリンク(www.jade-net-home.com)

これに興奮できない奴はクズ

248:名無しさん@ピンキー
13/02/28 01:29:39.19 PvMbBOrm
ドン引きされたスカトロマニアが逆恨みして荒らしかw

249:名無しさん@ピンキー
13/02/28 08:18:32.54 QkR9qvjR
だまってろよ◆konno2E0cA
こっちはjade.netのスカトロ動画に授業料までつぎ込んじまって今から親に頭下げに行くんだよカスが

あと暴走ボートとかいうクズは二度とここで作品を書くな
乳が出てこない小説はこのスレでは無価値だ

250:名無しさん@ピンキー
13/02/28 08:56:23.33 1oLRmt9Z
一連の流れで不覚にもワロタ

251:名無しさん@ピンキー
13/02/28 10:22:37.36 Tw+DcMJ9
確かに暴走ボートは巨乳小学生要素が薄い
しかしスカトロSSに一ヵ所だけ巨乳小学生の文字を紛れ込ませただけの奴が出てきたせいで全部持ってかれたしw

252:名無しさん@ピンキー
13/02/28 10:34:45.27 QkR9qvjR
国公立大学の4年生が語るゴミSSの基準

・長い
・無駄に描写がくどい
・「」の前に名前がなく誰が話しているかわからん
・女がアンアンよがってるだけのクソビッチ
・どこまでも男に都合のいい女

URLリンク(www.pixiv.net)
こんなゴミを真似しないように!!

神批評
スレリンク(eroparo板:217番)

253:名無しさん@ピンキー
13/02/28 10:48:22.33 QkR9qvjR
親に言ったら何とかなったわ
その代わり来年(留年してる)の授業料は親が直々に払いにいくことになってしまった

254:名無しさん@ピンキー
13/02/28 10:57:32.15 QkR9qvjR
URLリンク(www.jade-net-home.com)

早速ダウンロード
やっぱうんこはたまんねーな

255:名無しさん@ピンキー
13/02/28 11:03:59.01 Tw+DcMJ9
お前に必要なのは授業料じゃなくて病院代だろw

256:名無しさん@ピンキー
13/02/28 11:04:51.22 QkR9qvjR
なんだ◆konno2E0cAのお出ましか

257:名無しさん@ピンキー
13/02/28 11:11:27.69 Tw+DcMJ9
誰だよそれwwwそいつにSS()を酷評されたことでもあるのか?wwwww

258:名無しさん@ピンキー
13/02/28 11:18:41.14 QkR9qvjR
盗撮、痴漢、下着泥棒、覗きといった犯罪行為をこよなく愛する人間のクズのことだ
ちなみに世間から酷評されてるのは◆konno2E0cAだからな

259:名無しさん@ピンキー
13/02/28 11:22:37.70 Tw+DcMJ9
精神病者に言われて信じられるかwwww
つーかそれもし嘘ならそいつに訴えられたら負けるぞw

260:名無しさん@ピンキー
13/02/28 11:41:58.51 QkR9qvjR
SSでそういう傾向があるだけだからな
現実にやってるかどうかは知らん

もっとも、あんなクソ小説なら正直暴走ボートのほうがまだマシってものだ
あっちは少なくとも気持ち悪くない

261:名無しさん@ピンキー
13/02/28 12:26:17.26 Tw+DcMJ9
まぁスカトロより気持ち悪いって言うなら確かに救いようはないかもなw

262:名無しさん@ピンキー
13/02/28 12:27:09.72 QkR9qvjR
>>240の続き

男「くっせーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!」
ズッポズッポズップズップ、ブブッ、ビチビチ、ブリュリュリュリュー
たっぷり詰まったうんこがチンポを押し返すぜ
沙羅「ああ~ん、うう~ん、悦楽の背徳たまらないわ~ん」
ブボーーーーーッ!!! ブボボボッ!
ここで屁爆発が、辺りに茶色い空気が漂うぜ
男「デルーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!」
俺は巨乳小学生沙羅のウンコまみれのアナルに射精した
沙羅「ああ~ん、カフェオレ出ちゃうわ~ん」

endo

263:名無しさん@ピンキー
13/02/28 12:28:41.80 QkR9qvjR
>>261
そうなんだよ、女性を玩具としか考えていないどうしようもない作品だ
そもそもビッチ小学生と3Pという時点でリアルじゃないし

264:名無しさん@ピンキー
13/02/28 12:29:18.75 QkR9qvjR
今日はまだオナニーしてないから第三話も投下
ところで俺の作品はいつになったら保管庫に掲載される?

265:名無しさん@ピンキー
13/02/28 12:37:30.13 QkR9qvjR
第三話

あらすじ
巨乳小学生の沙羅はだんだんとケツ穴が緩くなってきて、毎日のように激臭極太ウンコを漏らしていた

ブボボボボーーーーーーーッ
男「なんだこの音はそもそも臭すぎるし」
音のした茂みを覗くとそこには巨乳小学生の沙羅が!!!!!!!
沙羅「うう~ん、硬くて出ないわ~ん、でも菊門気持ちいいわ~ん」
尻の穴から続く極太一本糞!! しかも臭すぎて野良猫が死んでやがる
男「たまんねーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!??」

続く

266:名無しさん@ピンキー
13/02/28 13:33:49.10 QkR9qvjR
感想は?

267:名無しさん@ピンキー
13/02/28 13:53:25.28 QkR9qvjR
URLリンク(www.jade-net-home.com)

こういうのもいいよね

268:名無しさん@ピンキー
13/02/28 18:07:10.75 f9Bl0SAW
雑草が枯れたり蠅が落ちたり野良猫が死んだり
拝啓描写で微妙にツボを押さえてくるセンスは侮れないものがあると思う
問題なのは致命的にスレチなことだ

269:名無しさん@ピンキー
13/03/01 00:01:00.70 QkR9qvjR
>>252
すげーいい作品だった
まさに神

270:名無しさん@ピンキー
13/03/01 00:01:49.32 F4Ptr+yx
やべ、ID変わってなかった
作者の自演ステマだって白状したほうがいいかな……orz

271:名無しさん@ピンキー
13/03/01 13:52:47.73 8rqxBJ2M
お前馬鹿にされて嫌われるために2ちゃんやって楽しいの?

272:名無しさん@ピンキー
13/03/01 14:38:55.21 HBXvP4kW
狂人の真似とて大路を走らば、即ち狂人なり

本人は何かの意図があってやっているつもりのことでも、
やらかした時点ですでに本人が狂人そのものに成り果てている
それに気づかないのももう完全に狂人そのものだから

273:プラゴミ
13/03/05 13:58:21.12 bPceuiER
暴走ボートくたばれ
二度とこのスレで作品書くな

274:名無しさん@ピンキー
13/03/05 21:35:22.15 AoHIosWi
名前変えても>>249のスカトロ野郎だってことはバレバレですからwwwwww

275:名無しさん@ピンキー
13/03/05 22:35:27.96 bPceuiER
暴走ボート消えろ
お前の作品はつまらん

276:名無しさん@ピンキー
13/03/05 23:28:03.35 iYpQlys2
過疎スレから作者を追い出そうとするのが最近の流行ですか

277:名無しさん@ピンキー
13/03/05 23:56:35.54 lxMaKJ1y
そういう事をエロパロ板でやってるキチが何人かいるというのが正解
目をつけられたらしいな

278:名無しさん@ピンキー
13/03/06 00:37:48.93 8ksgtPT7
まあ例の作品はどうかと思うけどね
もう少しエロが濃くてもいいと思うよ

279:名無しさん@ピンキー
13/03/06 02:55:32.13 EDh5+FSg
手口がワンパだから直ぐわかるんだよな

280:名無しさん@ピンキー
13/03/06 09:55:02.21 ya8Z+Qnv
しかし実際スレチだから擁護もし辛い
保管庫にさも代表的な作者の一人みたいに並んでるの見るとお前は違うだろと思うし

281:名無しさん@ピンキー
13/03/06 15:41:48.58 4/6SCKVi
絡みでてるし読み物としても面白いじゃん、ストレートシリーズ

282:名無しさん@ピンキー
13/03/06 15:48:56.76 8ksgtPT7
面白いからという理由でスレの趣旨に反した作品を許容するのはおかしい

283:名無しさん@ピンキー
13/03/06 16:10:02.39 Ume+4YPC
「面白いからいいよ」がダメなら「つまらないから出てけ」もダメじゃね?

284:名無しさん@ピンキー
13/03/06 16:14:23.51 g1YOsHYI
落ち着け落ち着け

シェアワールド何だからあからさまな荒らしでないなら
暴走ボートさんの理奈ちゃんも十分存在意義があるよ
彼女がいなかったら優子ちゃんもいなかった

285:名無しさん@ピンキー
13/03/06 18:40:45.04 8ksgtPT7
どう考えても荒らしだろうに
ここで書きたいがためにほんの少しだけエロを入れているようにしか思えない

286:名無しさん@ピンキー
13/03/06 21:45:31.02 sbSmNebw
枯れ木も山の賑わいと言いましてな・・・

わざわざ追い出してもスレがゴーストタウンにしかならないならいっそのこと容認してしまえという皮肉な現状

287:名無しさん@ピンキー
13/03/06 23:33:48.73 8EilOx8d
今日の荒らし
URLリンク(hissi.org)

288:名無しさん@ピンキー
13/03/07 09:07:26.84 xvdjCDJp
>>287
必死チェッカーってこういう使い方もあるのか
なかなか便利なもんなんだな

289:名無しさん@ピンキー
13/03/07 10:34:46.42 fzlLT13o
少年野球の話がカス過ぎる件について
別の場所でやってくれないかな?

290:名無しさん@ピンキー
13/03/07 11:09:24.04 HKJ+OIJH
>>288
え?逆にどういう使い方してるの?

291:名無しさん@ピンキー
13/03/07 11:15:47.62 fzlLT13o
◆konno2E0cAの巨乳小学生ものが最低すぎる

292:名無しさん@ピンキー
13/03/07 17:17:37.78 vjEZOFAT
>>290
正直、今まで必死チェッカーの存在意義がよく分からんかったのよ。
常駐スレが荒らされることってそんなに無かったし。

他スレでの発言も一目瞭然になるから、荒らしを見分けるのにこんなに便利だったんだなって今回で分かった。

293:名無しさん@ピンキー
13/03/17 16:05:14.71 1oZPY4Ts
普通にありえるcからff
それをそれを越えるサイズはは需要ある?

294:名無しさん@ピンキー
13/03/17 16:25:36.83 cpOUKcow
小小学生ならおおk

295:◇konno2E0cA
13/03/17 16:41:46.40 noHIG6tA
暴走ボート死ね

296:名無しさん@ピンキー
13/03/18 08:10:21.54 m30fMyq6
>>293
それ以上になると目に見えて需要減るけど、ないわけじゃないから内容次第かな

297:名無しさんX ◆q5tFVKFOs2
13/03/20 16:24:57.51 ktGlg3Py
皆様こんにちは。色々すいません
さて今回も久美主役の話を一本 久美イズム no.3 掘り出し物
属性としては久美・沙織特別ゲストとして◆duS/DPq8/s様の西小シリーズから
佐倉歩美嬢をお借りしてのレズ絡み(本番込み)が主体です。
後はこの作品でも大丈夫ですが、◆duS/DPq8/s様の国境地帯
SDS◆cStOEcFYHc様の『秋風のなかで』 第一話を読んだ方が話としては分かりやすいです。
では次スレより投稿します

298:久美イズム ◆q5tFVKFOs2
13/03/20 16:26:12.89 ktGlg3Py
久美ニズム no.3 掘り出し物

あれから少し経って休日の控えた日。私は学校で真っ先に沙織お姉さまに会いに行った。
「久美?どうしたのです?」お姉さまは私がなんで六年生の教室に来たのだろうかという表情をしていたが
私の方から話を切り出してみる。

「お姉さま。パピーの件で色々と佐倉さんに手伝って欲しい事があるんで
彼女にアポを取ってもらえませんか?勿論事後報告とかしますんで」

そう…東小六年女子で有名な女子は二人いる
まずは今話しているリリアムのキャプテンで副生徒会長の神楽坂沙織お姉さま
そしてもう一人が図工や作画などでトップレベルの評価を残している佐倉歩美さん

これだけだと全然接点ない
(寧ろリーダーシップを誇るお姉さまと周囲から浮いちゃってる佐倉さんじゃあ逆なぐらい)訳なんだけど
もう一つだけ接点があり…とお姉さまの方が私に話しかけてくださった❤

「成程…ならば私も久美と佐倉さんのお手伝いをしたいのですが…特に邪魔では無いですわよね。
秋の相撲大会に使う横断幕や私達の大会に使う横断幕とかの準備もありますから」
え…なんか何時も以上に乗り気だ……佐倉さんに何か思う所でもあるのだろうか…

まあいいや。お姉さまも来てくださるんだったら話は速いし
佐倉さんじゃ…いや佐倉さんじゃなくてもお姉さまの誘いを断る事は誰だろうが出来ない
というより同年代でお姉さまの誘いを断る人間なんている訳がない。

お姉さまに異を唱える事が出来るシバケンさん・或いは鷲沢副キャプテンでさえ
お姉さまに押し切られるのを私は何回も見た事がある。

「勿論です!パピーも喜びますよ絶対!!」
私は当然の事ながら沙織お姉さまの申し出を全面的に飲むのだった。


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