12/08/04 08:40:10.95 hkssI+LB
「んんっ! ……やぁっ!」
我慢ならない生臭さが鼻を突き、わたしは思わず顔を背けてしまいました。が、すぐに彼のもう片方の手で顎を抑えつけられてしまい、逃げるに逃げられません。
出来ることと言えば、眼前に迫った文化局長の顔を見ずに済むように、目を固く閉ざすことくらい。
そうこうしているうちに、ぎゅっと結んだ唇をこじ開け、ヌメヌメとした得体の知れないモノが、わたしの口内に侵入してきました。それは口内のそこかしこを這い回り、ついには奥に引っ込めたわたしの舌へと絡みついてきます。
そういえば、これがわたしのファーストキス。そんな考えたくもない真実に思いを致し、わたしは愕然としてしまいます。
なぜか、脳裏に助手さんの顔が浮かんできました。するとなぜか、目頭が熱を帯びてきました。
瞑った目尻から雫が一つ、溢れてこぼれ落ちました。
どうしてこうなったんだっけ。助手さん、助けて……。