【朝ドラ】ゲゲゲの女房でエロパロ6【再放送】at EROPARO
【朝ドラ】ゲゲゲの女房でエロパロ6【再放送】 - 暇つぶし2ch2:名無しさん@ピンキー
12/02/11 21:49:49.57 UyXPqpGV
前スレ落ちてしまって寂しかったので
勝手ながら立てさせてもらいました
スレタイも微妙に変えてます(スイマセン)

ゲゲゲの再放送予定はコチラ
URLリンク(www.nhk.or.jp)
(表紙を除いて数えて10~11ページ目)
BSプレミアムにて
毎週月曜~土曜 7:15~7:30


3:1
12/02/11 21:54:53.53 UyXPqpGV
すんません
前スレ落ちてなかったです
盛大にやらかしたようですスイマセンッ

4:名無しさん@ピンキー
12/02/12 20:30:59.48 oDw1vaTY
>>1
ドンマイ

5:名無しさん@ピンキー
12/02/15 18:40:34.57 WpYZqbaZ
再放送wktk保守

6:名無しさん@ピンキー
12/02/20 17:42:25.66 vyf4I5hI
エアひな祭り保守

7:名無しさん@ピンキー
12/02/21 21:06:31.04 csDHIUl9
>>6
あれよかったね。ほろっときたわ保守。・゚・(ノ∀`)・゚・。

8:名無しさん@ピンキー
12/02/23 21:45:04.14 CjbsA9i7
>>7
本スレで話題になってたからついw
かわいいし切ないし、ほんと名シーンだったよね保守

9:名無しさん@ピンキー
12/02/27 16:06:48.31 8XyLUXI6


再放送待ち新作期待保守


10:名無しさん@ピンキー
12/03/02 12:52:32.58 F09f+pq8
再放送まであと1ヶ月!保守!

11:小さい男 18
12/03/02 22:13:40.80 FcsHhtSe
「おつかれー!」
ビールで乾杯、といきたいところだが、この後祐一が車で送ってくれることに
なっているので、ふたりは熱いあがりの入った湯飲みををちょっと持ち上げた。
 祭りが終わって店を撤収し、いったん店に帰った後、祐一は綾子をなじみのすし屋に
誘った。のれんをくぐると、清潔な店内にはすし飯のいい香りがぷんとただよい、
おにぎり以外何も食べていないふたりの空腹をあおった。
「・・・おいしい。こんなの初めて。」
玉虫色に光る漬けのマグロや、ツメを塗った見慣れないネタの数々・・・いつも食べ
つけているのとはちょっと違った顔ぶれの寿司を、おそるおそる口に入れた綾子は、
そのおいしさに思わず破顔した。
「俺は小さい頃から寿司って言うとここだったから、やっぱりこれでなくっちゃなんだ。」
「ゆうちゃん、いらっしゃい。」
お吸い物を運んできてくれたのは、白髪をきれいにまとめ、いかにも着慣れた着物が
小粋な老女将だった。
「あ、こんばんは・・・。綾子、この人はね、この辺の生き字引のばあちゃんなんだ。」
「いやだねえ。長老呼ばわりはよしとくれ。だいたいあたしはここの生まれじゃない。
 亭主がすし屋やりたいってんでついて来て、もう60年になるねえ。」
歯切れのいい言葉やたたずまいから、生まれも育ちも下町っ子のように見える
女将がよそから来たと聞いて、綾子は驚いた。
「来たばっかりの頃は西も東もわかんなかったもんだけど・・・下町ってのは案外ふところが
 深いもんだよ。もっとも、あたしは亭主のいる所ならどこでもよかったんだけどね。」
「またばあちゃんのノロケが始まったな。」
ここもまた、祐一を子供の時から知っている人々の場所なのだけれど、綾子は
この老女将にはちっともアウェー感を覚えなかった。

「・・・すてきなお店ね。」
「綾子が気に入ってくれてよかったよ。」
二人は店を出て、祐一の家に向かって歩いた。別れが近づくにつれ、離れがたい
想いがつのってくる。                                
「あ、綾子。今日・・・さ、泊まっていけない?」
「え・・・。」
車のドアを開け、綾子が乗り込もうとした時、祐一が意を決したように切り出した。
「帰らないで・・・ほしいんだ。」
振り向いた綾子の目が、祐一の真剣なまなざしとぶつかった。
「・・・うん。」
綾子が静かにうなずいた。

12:小さい男 19
12/03/02 22:14:32.63 FcsHhtSe
「どうぞ・・・先、あがって。」
「うん・・・あっ・・・痛っ!」
勝手口から入り、階段を上ろうとした時、ズキッとした足首の痛みに襲われ、
綾子は思わずしゃがみこんだ。
「どうした・・・大丈夫?!」
「う・・・うん。おとといちょっと、ねんざしちゃって・・・。」
「ねんざ?ダメじゃないか、大事にしてなきゃ。」
「でも・・・今日、来たかったの。」
「ほら・・・乗れよ。」
祐一がしゃがんで背中を差し出した。この間の佐古と同じシチュエーションに、
綾子は一瞬とまどったが、思い切って身体をあずけた。
「しっかりつかまってろよ。」
脚を抱えた腕はたのもしいけれど、高さに怖じて、綾子は祐一の肩にしがみついた。
『・・・ゴツッ!』
「いっ・・・たぁ~い!もぉ、気をつけてよ、ゆうちゃん。」
「ごめんごめん。」
長身の祐一におぶわれた、やはり長身の綾子は、階段のあがり口の梁に頭をぶつけ、
思わず文句を言った。祐一は笑いながらもう一度綾子をゆすりあげると、
かるがると二階へ運んだ。                              

「ビール、飲む?」
二階のリビングで、祐一が冷蔵庫から取り出した缶ビールを綾子に手渡した。
「んじゃ、もう一回。おつかれー!・・・・・・ぷはぁ、うまい!どうせなら、さっき
 飲みたかったね。」
ビールの清涼感と、ちょっぴりの酔い心地が、二人きりになってまたよみがえって
しまったぎこちない空気をほぐしてくれる。

13:小さい男 20
12/03/02 22:16:16.08 FcsHhtSe
「あの・・・さ。今日は、本当に来てくれてありがとう。ギリギリまで迷ってたんだろ?
 ・・・そのカッコ。」
「あ・・・ううん。今日来ることは前から決めてたの。でも、昨日急に部長から、
 他の人の代わりに出て資料作ってくれって言われちゃって・・・。」
「えっ・・・大丈夫なの?仕事・・・。」
「うん。今日いっぱいかかりそうなとこ、ゆうべ徹夜でしあげちゃったんだ。
 だから、この服は昨日のままなの。」
「徹夜してまで・・・来てくれたんだ・・・。」
祐一は言葉を失った。綾子は今日の約束を守るために、ねんざをおして来てくれた
だけでなく、徹夜までしてくれたのだ。
「うん・・・でもね・・・間に合ったのは、佐古さんのおかげなの。私ひとりじゃ、
 今日いっぱいやっても出来なくて、残業になっちゃったかも・・・。」
綾子は、少し意を決したように言った。祐一には、全てを話しておきたい。だが、
急に出てきた佐古の名前に、祐一は表情を曇らせた。
「この間・・・ね。ねんざした日・・・佐古さんに会社の車で送ってもらって・・・。
 あの時、私・・・告白されちゃったんだ。」
今にも触れ合わんばかりに接近していた佐古と綾子・・・。どうしても謝りたくて、
綾子のマンションの前で待ち続けたあげく、見せられた情景が脳裡によみがえり、
祐一の表情を険しくさせる。
「ゆうちゃん、あそこに来てくれてたんでしょ・・・。誤解されたかもって思ったら、
 死にたくなっちゃった・・・ふふ。」
哀しげに微笑む綾子の瞳に涙が浮かんだ。
「ばっ・・・死にたかったのは、俺の方だよ!俺がバカなことしたせいで、綾子に
 見放されちゃったかもって思ったら・・・。」
「ゆうちゃん・・・。」
どちらからともなく近づいて抱き合い、ふたりは唇を重ね合わせた。綾子の細い身体が
淡雪のように消えてしまいそうで、祐一は思わず両腕に力を込めた。力強い腕に
抱きしめられ、綾子は身も心も溶けていく自分を感じていた。

14:名無しさん@ピンキー
12/03/02 22:18:19.94 FcsHhtSe
すみません>>11です。
『小さい男』中編 おわり
書き忘れです。

15:名無しさん@ピンキー
12/03/03 06:29:18.86 64C7g4rJ
GJです!
仲直りできてよかった~!
ゆうちゃん、綾子さんを嫁にする気まんまんですねw
佐古さん面白いキャラだなー。
さて、次回は濃厚な濡れ場が…。ゴクリ…。

16:名無しさん@ピンキー
12/03/03 13:37:31.32 TAEa3xTl
職人様GJであります!
正座で待ってましたが 立てなくなる前に投下していただけて、
嬉しいです!
さらに続きを楽しみにしております(ニヤリ)

17:名無しさん@ピンキー
12/03/03 17:39:20.85 1Ke8qNRt
ありがとうございます
それにしても綾子も佐古さんの名前を出すなんて罪作りだなあw
後編も楽しみです

18:名無しさん@ピンキー
12/03/04 16:57:40.26 YdPMCRdI
>>11
仲直りできて良かったー!
後編wktkです

19:名無しさん@ピンキー
12/03/05 16:07:19.70 sZn6RcJF
『小さい男』完結編です。
書きたいだけ書かせていただいて、ありがとうございました。
ここまでおつきあいくださった方々、おつかれさまでした。
さて二人の仲直り・・・いろいろ盛って行ったら、自分的に衝撃作に・・・あわわw

20:小さい男 21
12/03/05 16:10:18.01 sZn6RcJF
「でも、あいつ・・・意外と器のデカい奴だな。俺んとこ行くってわかってて、
 手伝ってくれたわけか。」
「うん・・・。」
唇が離れた後も、ふたりは身体を寄せ合い、お互いの体温を感じあっていた。
「不本意だけど、あいつには感謝しなくちゃな。・・・綾子より背がちっちゃい奴でも、
 綾子をさらって行く危険性はあるって、気づかせてくれたんだからな。」
「・・・また背のこと言う・・・。私は自分より背が低いひとだって全然いいよ・・・
 内面が大きい人なら。」
祐一が照れ隠しにひねくれた言い方をしているとわかっていても、綾子は背のことを
言われたのが少し気にさわった。
「全然よくない!・・・他の奴のことなんか考えるなよ!」
「た、たとえばの話だよ・・・。」
祐一の意外な気色ばみ方に圧倒されながら、綾子はまんざらでもない気分だった。
「あ・・・でかい声出してごめん。」
祐一は、ちょっと肩を落として声を荒げたことを謝った。
(なんか、今日のゆうちゃん、可愛いな・・・。)
いつも冷静で綾子より大人だと思っていた祐一の揺らぎ方が新鮮で、綾子は
胸の中に新しい感情が芽生えるのを感じた。
「綾子・・・さ。結婚しようって約束・・・イヤになってない?」
「え・・・イ、イヤになんかなってないよ。」
「俺、ヘタレだからさ・・・綾子がそばにいてくれなきゃ、ここで店やってなんか
 いけそうにないよ。アウェー感とか言ってたけど、俺、精一杯綾子のこと
 守るからさ・・・だから、いつか・・・嫁に来てくれる?」
綾子が、目に涙をいっぱいためてうなずいた。ふたりはもう一度、ゆっくりと
口づけあった。

「あ・・・つ、疲れただろ?風呂、入れよ。俺、コンビニで歯ブラシとか買って
 来るからさ。」
そう言って、綾子が風呂に入っている間に、祐一は近所のコンビニで一泊用の
化粧品セットなどを買ってきた。帰ってきてキッチンで待っていると、祐一の
ダンガリーシャツを羽織った綾子が戸口から羞ずかしそうに顔をのぞかせた。

21:小さい男 22
12/03/05 16:13:00.20 sZn6RcJF
「ゆうちゃん・・・これ、借りちゃった。」
「あ、ごめ・・・何も用意してやらなか・・・った・・・な。」
立ち上がりかけて祐一は、シャツのすそからスラリと伸びた脚に目を奪われた。
「さ・・・寒いから、ベッド入ってろよ。」
 綾子がここに泊まることを承諾してくれた時から、ずっと意識してきた瞬間が
着実に近づいてきていた。もう数え切れないくらい身体を重ねてきている二人なのに、
まるで初めての時のように心臓が高鳴る。動揺しているのを知られたくなくて、
すごい勢いで綾子を自分の部屋に押し込むと、祐一も浴室に向った。
 大急ぎでシャワーを浴びて戻ってくると、綾子はベッドに入って待っていた。
自分で言ったことなのに、祐一はドギマギして視線をそらし、さっき買ってきた
化粧品のセットが使ってあるのをみつけた。
「あ・・・こ、これでよかった?」
「あ、うん。ありがと・・・。」
いつもの自分の部屋、自分のベッドなのに、そこに綾子がいるだけで身体中の
血管がざわめくほど刺激的だった。近づいてゆっくりとキスを交わす・・・もう一度。
石けんの香りのする温かい身体を遠慮がちに抱きしめる。
「・・・いいの?綾子・・・。」
「いいの?・・・って。なんで、そんなこと聞くの?」
「だっ・・・て。この間俺、綾子がいやがることしちゃったし・・・。」
「・・・・・・もうちょっと優しくしてくれてたら、いやじゃなかった・・・かな?」
「ごめん・・・俺、焦ってたんだ。綾子がなんだか気乗りしてない気がして。
 ・・・あいつに会ったせいかなって思ったら・・・。」
「そんなこと、なかったのに・・・。」
佐古とバッタリ会ったことで生じた気恥ずかしさも、密室での甘い時間の始まりに
霧消しつつあった。今夜だって「泊まってほしい。」という申し出を受けた時から、
綾子はとうに溶けはじめていた。
「今度のことで、綾子より大切なものなんてないって、改めて思い知らされたんだ。
 あんなことして・・・本当に・・・ごめん。」
祐一は、あらたまって頭を下げた。
「・・・そんなに何度も謝らなくても・・・もういいって。」
祐一が本当にすまないと思ってくれていることが伝わってきて、胸が熱くなる。
けれど、祐一がさっきからなんとなく遠慮がちで、綾子に触れるのさえおっかな
びっくりなのが気になった。
(ゆうちゃん、ただ「もういいよ。」って言われても、自分を許せないのかな・・・。

22:小さい男 23
12/03/05 16:14:20.23 sZn6RcJF
「それじゃあ・・・と。」
うなだれている祐一を見る綾子の目が、いたずらっぽい光をたたえた。
「今夜は、なんでも私の言うこと聞いてくれる?」
「え・・・?う、うん・・・聞くよ。何でもする!」
綾子が祐一の手を自分の方に引っぱった。されるがままに近づいた祐一の肩に
手を置いて、ゆっくりと押し倒す。
「そのまま、じっとしててね。」
綾子はベッドから降りると、椅子の上に畳んで置いてあった自分のパンツから、
共布のサッシュベルトをするりと引き抜いて戻ってきた。
「・・・?」
怪訝そうな表情の祐一の両手をとって、頭の上に掲げさせる。すぐに両手首に
冷たく滑らかな布の感触を覚えた。
「ちょ・・・綾子?」
「じっとして。『何されてもいい。』って言ったでしょ?」
「な・・・『何でもする。』って言ったんだよ!」
「じゃあ言う通りにして。・・・今夜は、私がいじめてあ・げ・る。」
綾子のしなやかな指が、巧みに手首のまわりにベルトを回して祐一の腕を縛りあげ、
ベッドの支柱にくくりつけた。手と手の間も回してある戒めは意外と強固で、
祐一の上半身は自由を奪われていた。
 予想外の成り行きに固まっている祐一に、綾子がこのうえなく優しく口づけた。

「ふ・・・わっ!」
 綾子に耳たぶをカリッと齧られ、ぞくっとした感覚が背筋を走りぬける。
本能的に身体をかばおうとして、両腕の自由を奪われていることを思い知らされた。
「ふふ・・・ゆうちゃんの匂いがする。」
二の腕の裏側の肌を舌でなぞり下ろしながら、綾子の指はTシャツの上から
祐一の乳首のまわりを円を描くようにさすった。

23:小さい男 23
12/03/05 16:15:22.59 sZn6RcJF
「や・・・めろ・・・。」
くすぐったさにうごめく身体に馬乗りになり、綾子がTシャツをまくりあげた。
「ふうん・・・男の人でも、ここ、快いんだ・・・。」
綾子は新しいオモチャを手に入れた子供のように目を輝かせ、ぴんと勃った
男の胸の尖りをくりくりといじり、唇で吸いながら舐めた。
「ふぁっ・・・や、めろって・・・っ!」
小さな突起から発信されるむずがゆいような感覚は、やがて甘だるく全身に拡がり、
一点に集約していった。出口を与えられない麻薬のような快楽は溜まる一方で、
祐一は白くなるほど強くこぶしを握りしめた。腕をいましめられていても、男の
脚の力は強い。悶絶の内に綾子を蹴ってしまわないようにこらえるのに必死だった。

「ねぇ・・・ゆうちゃん。私のこと・・・好き?」
綾子がふと愛撫をやめ、真剣な顔でそう問いかけた。
「な・・・なんでそんなこと、聞くんだよ?」
「だって・・・ちゃんと言ってくれたこと、ないんだもん・・・。」
『好き』・・・愛し合っているさ中にそれに類した言葉を囁いてくれることはあっても、
平常時、祐一に真顔でそう言ってもらったことはない気がする。
「ばっ・・こ、こんな格好で言えるか!」
「もぉ・・・答えてくれないんなら、知らないからね!」
綾子が焦れて、両の尖りをきゅっとつねった。祐一が陸に上がった魚のように跳ねる。
「っひゃっ・・・めろっ!!ご・・・拷問して無理やり言わせたって、嬉しくないだろっ?」
「うーーーん。そっか・・・じゃあ、ゴーモンはやめて、イジメるだけにするね。」
「何それ?・・・いいよもぉ・・・綾子の好きなようにしてくれ。」
まな板の上の鯉のような心境で、祐一は天井を見上げてため息をついた。
(綾子って・・・Sッ気もあったのか・・・。)
反応を先回りしては巧みにはぐらかしたり、羞じらいや戸惑いを無視して激しく
責めたり・・・やさしく容赦なく綾子をさいなみ奪いつくすのは、いつも祐一の役回り
だった。だが、今夜の祐一は綾子の意外な一面に驚き、翻弄されるばかりだった。

24:小さい男 23
12/03/05 16:16:23.82 sZn6RcJF
「あー、濡れちゃったね・・・。」
綾子が、明らかに前の部分が突っ張っているスウェットパンツを脱がせた。下着の
前の先ばしりが染みをつくっている部分を、嬉しそうにぴん、と指ではじき、下の方の
やわらかい嚢を手で包んで撫でさすりながら、またしても執拗に乳首をなぶった。
 今日は責める側にまわった綾子は、素肌に祐一のシャツを着ただけで、下着は
つけていない。大腿にひたりと押しつけられた秘部の滴りは、祐一の肌を濡らすほどに
潤沢だった。
 綾子だって、欲している・・・そう思うと、情欲はますますつのり、屹立は痛いほど
漲りきった。だが、綾子は意地悪をやめようとしない。一刻も早く熱い肉の中へ
埋没したくて気が狂いそうだ。
「ずっとここ・・・くりくりしてたら、達っちゃうかな?」
「よ、せ・・・っ!」
こみあげる射精感に、祐一は歯をくいしばって耐えた。このまま洩らしたりしたら、
立ち直れそうにない・・・ぎゅっと閉じた目尻に涙がにじみ始めた頃、ようやく綾子が
胸への愛撫をやめ、下へ下がる気配があった。
 綾子が下着のウェストを拡げて一気に下げる。自らの熱気に蒸されて湯気が
立ちそうな剛直がふるん、と頭をもたげた。
「うふふ・・・あったかい。」
雄芯を両手で持ってほおをこすりつける。さらさらの髪が触れるだけで爆発
しそうなくらい過敏になっているそれの裏側の筋を、爪の背でつぅっとなぞられる。
「くぅ・・・っ!!」
食いしばった歯の間からこらえきれない呻きが洩れ、祐一は全身の筋肉を引きつらせて
この責め苦に耐えた。
(ゆうちゃん、かわいそう・・・でも、可愛い!!)
祐一に甘い苦しみを与えているのは自分なのだけれど、それに耐えている祐一が
かわいそうで愛しくて、綾子はきゅんきゅんしてしまう。
(ゆうちゃんも、いつもこんな気持ちなのかな・・・?)
自身も痛いほど疼いているけれど、それを堪えながら祐一を責めることで、さらに
欲望は高まっていく・・・。

25:小さい男 26
12/03/05 16:17:36.48 sZn6RcJF
 もっと感じさせてあげたくて、綾子はなすすべもなく天を仰いでいる男根を、
はくっ、と温かい口腔で包み込んだ。
 びくっっと慄くそれを、唇をすぼめてしごきあげ、ぬるぬると上下させる。
「ぃや・・・だっ!・・・射精(だ)したくないっ!!」
口ではいやだと言いながら、祐一は無意識に腰を突き出していた。
「ゃめてくれっ・・・あやこにっ・・・挿入れたぃ・・・んだっ!」
祐一の直截な訴えが、綾子の心臓を直撃する。本当は綾子だって、一刻もはやく
祐一とひとつになりたい・・・強い欲求が身の内で燃えさかっていた。
(でも、もうちょっとお仕置きしてあげないと・・・どうしようかな?)           

「あ・・・そうだ。」
綾子は祐一の身体から下りると、レジ袋をがさがさ言わせて何かを取り出した。
祐一がさっき買ってきた化粧品セットの中の乳液のパック・・・封を切ると、綾子は
祐一の片脚を持ち上げて折り曲げた。
「・・・?・・・ひゃっ・・・!」
脚を持ち上げられてさらされた嚢の後ろあたりに、冷たい液体が垂らされるのを
感じて、祐一は身をすくませた。
(ま、さか・・・?)
周縁をくるりとなぞって乳液をなじませた指が、つぷりと後孔にすべり込んだ。
「ぅわっ・・・なにす・・・!」
綾子はネイルを伸ばしていないので痛みはないが、何かを挿入れられたことなど
ないその場所は、驚いて綾子の指をキュッと締めつけた。
「うふ。これで、お・あ・い・こ、だね♪」
綾子の長くてしなやかな指がゆっくりと深められ、祐一は身体の力が抜けていく
のをどうしようもなかった。
 屈辱感と、それとは裏腹な、どうにでもしてくれと言いたくなるような
気だるい快感を否応なくきざみ込まれながら、祐一はあることに思いいたった。

26:小さい男 27
12/03/05 16:18:46.58 sZn6RcJF
(俺が、本当にゆるしてもらえたって実感できるように・・・ってことか?)
もちろん、今日来てくれたこと、ここに泊まることを承諾してくれたことから、
綾子が自分を許してくれていることはわかっていた。それでも、なかなか
いつものように綾子を抱くことができない祐一に、より深い恥辱を与えることで
後ろめたさを払拭してくれようとしている・・・。
 綾子の思いやりに気づき、祐一は力のかぎり綾子を抱きしめたくなった。
「これ、解いて・・・くれっ。あや・・・ぅあっ!?」
綾子がふと角度を変えた指がある箇所に当たり、祐一は思わず腰を浮かせた。
「え・・・ここ?・・・ゆうちゃん、ここが快いの?」
「ちっ・・・ちがっ・・・!」
綾子が知る由もない男の急所が其処にあった。綾子は嬉しそうにそこを擦った。
意思とは正反対に腰が揺れて綾子の指を求める。瞬間、頭の中を白い閃光が貫いた。
「ゃっ・・・だっ・・・!!」
ビュクッ・・・勢いよく飛び出した白い凝りは、祐一の喉元まで届いた。解き放たれた
欲望が、断続的に飛び散るさまを、綾子は珍しげに眺めた。                

「・・・ごめんね。そんなに快いなんて、知らなかったの。」
綾子は指を抜き取り、申し訳なさそうにティッシュで祐一の射精(だ)したものを
ぬぐった。
 祐一はまだ時おり小さく痙攣しながら、言葉もなく目を閉じてそっぽを向いている。
綾子はなだめるように口づけると、耳元でささやいた。
「ゆうちゃん・・・怒っちゃ、やだ・・・。」
「ぁやこに・・・挿入れたいって・・・言っただろ・・・。」
「・・・じゃ・・・ぁ・・・ぃ・・・れて・・・?」
綾子がシャツを脱ぎ捨てて素肌をぴったりと合わせてくる。綾子の欲に染まった
双眸が、まつげが触れ合うほどの近さで祐一の瞳を見つめた。思わず目を閉じた祐一の
唇を舌でなぶり、男をかきたてるようなキス。乾ききった唇に一杯の水を恵まれた
囚われびとのように、祐一は綾子の唇をむさぼった。

27:小さい男 28
12/03/05 16:19:40.00 sZn6RcJF
 あてがわれた乳首を吸ってやると、綾子が夢中でぎゅっと頭を抱きしめてくる。
「ん・・・んんーーっ・・・!」
思い切り押しつけられ、息が出来なくて祐一は脚をバタバタさせた。綾子があわてて
頭を離す。ふたりは少し笑みをかわしてから、また深いキス・・・。
 吐息を独占しあい、身をからませあう。綾子の胸の尖りが祐一の胸肌をこすり、
からんだ足のつま先がお互いの足をくすぐりあった。太腿に硬度を取り戻しつつある
雄芯が当たり、下を見やった綾子はためらわず唇を寄せた。
「っ・・・!」
さっきの露をまだ残す鈴口や、先端のくびれに舌を這わされ、一度熱を吐き出した
雄根は、みるみる再び隆々とし始めた。
「・・・っあやっ・・・はやくっ・・・アレ・・・。」
「え・・・あ、どこ?」
祐一に教えられ、綾子はスウェットのポケットからそれを取り出した。
「ゆうちゃん・・・やっぱり今日、するつもりだったんだ・・・。」
封を切りかけて止まり、綾子が意地悪く聞いた。
「あ・・・たりまえだっ・・・!」
あまりにも正直な返答に、綾子はおかしくなって笑いながら、それでも注意深く
屹立に薄い膜をかぶせた。                             

「は・・・ずかしいから、見ない・・・で・・・。」
綾子が、片手で祐一の眼を覆いながら、もう片方の手で隆起したものを秘所に
みちびいた。
「んっ・・・はぁ・・・。ぁあ・・・ん・・・。」
自らの蜜に屹立をなじませ、綾子はあえぎながらそれを少しずつ呑みこみ始めた。
目を覆っている綾子の手肌の色と灯に透ける血の色が、今の祐一に見える全てだった。
羞じらい、身悶えながら祐一を導き挿入れる綾子の、官能に染まった顔を想像しながら、
綾子の生命の色に覆われてつながっていく瞬間を、祐一は深く味わっていた。       
 目の覆いが取り払われ、まぶしさに顔をしかめる。綾子のせつなげな微笑みが
近づいてきた。

28:小さい男 29
12/03/05 16:24:04.88 sZn6RcJF
「ゆうちゃ・・・ぁっ・・・んんっ・・・。」
口づけようと上体を前に倒しかけて、綾子はこみあげる快感に身悶えた。
 祐一の身体の横に手をついて必死で身体を支え、啼きながら腰を上下させる。
祐一も、両足を立てて腰を浮かせ、綾子の動きに合わせて下から力づよく突き上げた。
「ぁ・・・だ、めっ・・・達っ・・・ちゃ・・・。」
綾子が祐一の胸にすがりついてふるふると身体を震わせた。
「解いて・・・くれぇっ!抱きしめたいっ・・・んだよっ!」
胸の上できれぎれな声を洩らしながら震えている綾子を抱きしめてやりたくて、
祐一は縛られた腕を揺すって大声で懇願した。綾子が震える手を伸ばし、もどかしく
緊縛を解いた。
 ガシッッと音がしたかと思うほど強く、祐一は綾子を抱きしめた。縛られた腕を
強く動かしたせいで紐が手首にくいこみ、しびれた両腕で、それでも祐一は綾子を
抱きしめたまま体を入れ替えた。
「ぁあんっ・・・ぁっ・・・ゃぁあっ・・・。」
綾子の上になり、手首から先がしびれたまま肘で上体を起こしながら、祐一は激しく
腰を上下させた。綾子も祐一の背にしがみつき、夢中で彼の動きに合わせて揺れる。
「・・・あや・・・っ・・・!」
「ゃ・・・ぁあ・・・ぁああ―――!」
もはやどちらが責めるかなどどうでもよい、ただひとつに溶け合って脈打ち続ける
だけの瞬間が訪れた。つよく抱きしめあい、深く口づけあうこの真っ白なとき、
ふたりはそれぞれに違う個体であることを忘れた。                    

「ごめんね・・・痛い?」
忘我のときが過ぎ、抱きあったまま胸に顔をうずめていた綾子が、ふと祐一の手を
持ち上げて、赤く残るいましめの痕を痛々しそうに見つめた。               
「ん・・・大丈夫。・・・案外、快かったかも・・・な。」
「ホント?・・・じゃあ、また縛ってあげようか?」
「勘弁・・・してくれ・・・。」
「ふふ。ウ・ソ。・・・本当はね、なんだか疲れちゃった。」
「SはサービスのSって言うくらいだからな。相手を悦ばすサービスを考えなくちゃ
 なんないから大変なんだ。」
「でも、ゆうちゃんって本当はMなんじゃない?・・・すっごく、イイ顔してたもん。」
「はっ・・・恥ずかしいこと、言うなっ!!」

29:小さい男 30
12/03/05 16:25:10.15 sZn6RcJF
口を押さえた手を、綾子がペロリと舐め、指を取ってからみあわせた。少し内出血さえ
している縛り痕を、癒すように何度も口づけする。
「・・・よ、せっ・・・。それ、なんか・・・クルだろっ!」
「キちゃっても・・・いいよ・・・。」
「バッ・・・これ以上、キたりしたら・・・死ぬ!」
祐一は、あわててむすんだ手をグッと枕上に押しつけると、のしかかるようにして
綾子の唇を封じた。
 
「俺もさ・・・器の大きい人間でありたいと、日夜努力してるつもりだけど・・・。
綾子のこととなると・・・ちっちゃい奴になっちゃうんだな。」
唇がほんの少し離れただけの距離で目をのぞきこみ、祐一が真剣な表情で言った。
「・・・そんだけ、好きっ・・・てこと。」
ギュッと抱きしめながら、そう耳にささやいた。
目を見ながら言ってほしいなあ・・・と思いながらも、綾子は何も言わず、つないだ
手をギュッと握った。

(明日・・・服、どうしようかなあ?)
安心したように眠ってしまった祐一の隣りで、綾子は明日会社に着て行く服のことを
考えていた。今日いちにち間が開いているのだから、昨日の服でもいいのだけれど・・・
綾子の視線が、壁のハンガーにかかったモカブラウンのニットに気づいた。
(ゆうちゃん、とっといてくれたんだ・・・。)
このカーディガンを忘れていった日のことを思い出し、綾子の心に感慨があふれた。
(明日、これ着ていこ。下のパンツは同じで・・・ビジューがちょっとデコラ過ぎるから
 ・・・そうだ、ゆうちゃんの黒いジレ借りちゃお!)
明日のコーディネートを考えながら、
(彼氏の服が借りられるって、けっこう便利じゃない?)
綾子はなんだか楽しくなってきた。時計はとっくに明日になっている。一昨日徹夜
したうえに昨日は一日立ちっぱなしで・・・夜は女王様?に変身・・・。この二日間は
ものすごくハードだった。同じように疲れきって、深い眠りに落ちた祐一に寄り添い、
綾子もしあわせそうに目を閉じた。

『小さい男』後編 おわり  

30:名無しさん@ピンキー
12/03/05 16:28:05.61 sZn6RcJF
>>19です。
どうでもいいことですが、タイトルNo.うまく変わらなくて23が3つあります。
あとの二つは24・25ですのでよろしくお願いします。

31:名無しさん@ピンキー
12/03/05 19:56:25.88 i9ldR3XU
>>19
ぐ、ぐ、ぐ、GJ‼
攻めっこな綾ちゃん、素晴らしい
…!
服の貸し借りができる2人に萌えましたw
待ったかいがありましたよ~。ありがとうございます!



32:名無しさん@ピンキー
12/03/06 18:01:42.61 2cn3YRRL
>>20
ゆうちゃんの嫉妬暴走に始まりまさかの綾子さん攻め…!
男性が攻められるっていうのはゲゲふみだと時代的にも性格的にも想像しづらいから祐綾ならではだなぁ
彼シャツと『私の事、好き?』キター!
長編乙アンドGJでした!


33:名無しさん@ピンキー
12/03/07 23:53:02.96 akFvTjE0
>>20
GJ!
イロイロ正直なw祐ちゃんかわいいし、攻める綾さんが新鮮だったー
次は是非、幸せな玩具プレイを…!w

34:名無しさん@ピンキー
12/03/08 23:00:47.12 GDDWtK+R
>>19
GJ!
わたしの事好き?はほんと萌えまくったのでネタになってうれしいw


あと、ゲゲさん誕生日おめでとう!
今年も新婚時代にふみちゃんにささやかに祝われたり山小屋時代に家族できゃっきゃ祝ってる妄想

35:名無しさん@ピンキー
12/03/09 21:07:05.33 L4h3NzTN
本スレの
>ケーキを指でペロッとしておかあちゃんに突っ込まれたようです
ってレスをおかあちゃんの口に指をつっこんだのかと思ってしまって
ドラマ夫婦で想像してうひゃあwwと思ってようやくんなわけねぇ!と我にかえったw

36:名無しさん@ピンキー
12/03/10 23:38:18.29 y0GqHae5
>>35
ちょw

来週、去年ふみちゃんの中の人が出たドラマで弟役だった人がやってる
有名人の好きなスイーツを作る番組の題材がリアルおかあちゃんの作るぼたもちなんだけど
あんこでイチャイチャとかもアリかなと思ったw

37:名無しさん@ピンキー
12/03/12 18:28:38.19 MLDGBma6
ふみちゃんの中の人のドラマ見て思ったんだけど、ほんっとに白いよなぁ…
顔だけならまだメイクかなと思うけど、首とか胸元も白い
マジ一反木綿

38:名無しさん@ピンキー
12/03/13 20:57:09.62 RBLhkWD5
明日はホワイトデーですよ

39:名無しさん@ピンキー
12/03/14 18:35:40.63 qZTvSh2W
珍しくふみちゃんの買い物についてってふみちゃんの好物を勝手に買い物かごに入れて
一緒に食べるそんな熟年期ゲゲふみホワイトデーを妄想

40:名無しさん@ピンキー
12/03/15 13:46:32.30 0Pnn22Sk
>>36
グレーテルはおとうちゃんの中の人の弟や同僚もしてたなあ


41:名無しさん@ピンキー
12/03/16 19:57:07.06 ap+dpr53
グレーテルのかまどって見たことないんだが、予約した!
ゲゲゲの一場面とかダイジェスト的に出たりするかなwktk
ぼたもちってあれだよな?緑色の…あれ?ずんだ餅だったか?

42:名無しさん@ピンキー
12/03/17 20:44:14.34 QsgHZ2JI
>>41
普段も見てるけどなかなか面白いよ
ドラマの映像は…どうかなぁ…
ずんだ作ってるシーンが使われるかどうかくらいじゃないかな
予告ではあんこのぼたもちだった気がする

43:名無しさん@ピンキー
12/03/18 17:16:19.82 nZQ8echX
かまど、ドラマの映像は無かったけどリアルおとうちゃんのツンデレっぷりが素晴らしかったw
あとぼたもちに酔った発言で妄想しまくってしまったw

44:名無しさん@ピンキー
12/03/19 23:24:02.06 YFQtQoe2
>>43
リアルおかあちゃんのデレも良かったw

45:名無しさん@ピンキー
12/03/20 18:43:46.88 JBDT2o+X
早海さんのふみちゃんの中の人はもうずっと可愛かったなぁ
特に最初のぬいぐるみ劇場と最後の教会でのほのぼのっぷりったらもう
ゲゲさんの中の人の方は結婚しない?がちょっとゆうちゃん変換に使える!と思ったくらいで
あまり収穫が無かった…

46:名無しさん@ピンキー
12/03/22 17:44:49.80 sRqgD8cv
いちせんのささきのロケ地行ってきた!
ほぼそのままだし写真とか綾のラベルとかあるしでほんと萌えた

47:名無しさん@ピンキー
12/03/23 23:04:38.01 uD9Xmrlq
>>43
再放送見たー
リアル実家が毎年小豆ともち米送ってくれてたって事で
ゲゲさんが口にあんこつけてふみちゃんにとってもらう新婚期や
ゲゲさんと藍子が口に(ry な貧乏期の妄想が捗ったw

48:名無しさん@ピンキー
12/03/24 23:40:53.06 c8jmHPR/
ふみちゃんの中の人の可愛さは大型犬系というのを見てなんか納得

49:名無しさん@ピンキー
12/03/26 01:44:05.92 qC/v9OjZ
ゲゲゲ再放送まであと一週間!

50:名無しさん@ピンキー
12/03/26 02:03:58.41 SChiaRAn
花よりエロパロのまとめサイトなくなった?

51:名無しさん@ピンキー
12/03/26 19:11:54.97 VxEEcYDz
>>50
自分は普通に見れるぞ?一度移転したんじゃなかったっけか
これで行けないか?
URLリンク(uzo.in)


52:名無しさん@ピンキー
12/03/27 23:32:36.80 e3SiupW2
ゲゲさんの中の人のドラマの最終回とその前の回のゲストのキャラの名前、『あやこ』だったんだな
途中までしか見てないけどずっとあんたって呼んでて、せめてさん付けて呼んでくれてたらなぁと思ったw

53:名無しさん@ピンキー
12/03/28 00:55:26.29 BPfIGDSG
>>51
行けた!だんだん!

54:名無しさん@ピンキー
12/03/29 22:38:26.77 WYt/uM88
二年前の今日から放送だったんだねー
自分はこのスレを読んでから見はじめたから二年前はまだ全然見てなかったけど感慨深いなぁ

55:名無しさん@ピンキー
12/03/30 19:21:16.48 TqN/cCIB
自分は当時引越しのバタバタで1ヶ月ぐらい見てなかったんだよね。
ゲゲふみの可愛さにやられて、すぐにスレを探しにきましたw
職人さん、本当にいつもありがとう。
再放送始まったらまたよろしく~。

56:名無しさん@ピンキー
12/03/31 23:22:05.13 CiKU/Vqa
明日エイプリルフールなので
ふみちゃんが冗談で嫌いって言って平静を装ってるのにお茶倒したりしてものすごい動揺するゲゲさんを妄想

57:名無しさん@ピンキー
12/04/01 07:14:13.63 yk/0FBPD
>>56
かわゆすぎて萌えたw

58:名無しさん@ピンキー
12/04/02 11:20:15.86 55Sq8kTz
祝!再放送カキコ!改めて初代布美ちゃんの睫毛の長さに感動
>>56のあと実は四月バカだったと知ったゲゲの倍返しにwktk

59:名無しさん@ピンキー
12/04/03 09:32:01.71 NdLcxY1O
ハイビジョンで見るの初めてなんだけど、今日の蒸し芋二人で食べるときに
ふみちゃんの口にほんのちょっこし芋がついてるんだな…
あれがもっと盛大についててしげさんが口で取ってたらお互いの初キスになったんじゃないだろうか!
と妄想してしまったw

60:名無しさん@ピンキー
12/04/04 23:06:14.54 COVvFCKO
>>58
布団の中からだるい動けないと嘘をついてふみちゃんに心配させて布団にひきこんで…
という仕返しを妄想w
でもゲゲさんならもっといろんな嘘つけそうだよなぁ

61:名無しさん@ピンキー
12/04/06 23:03:31.52 xhq9zQeh
桜の頃になると
自然に近寄ってしげさんの襟を直して鞄に原稿を入れたふみちゃんを思い出してニヤニヤする

62:名無しさん@ピンキー
12/04/07 22:59:53.24 IrmlHhJH
ゆうあやの花見ってどんなだろうな
定休日にお弁当とおせんべもって近所の神社とかかなw

63:名無しさん@ピンキー
12/04/08 23:18:03.97 YihpPfI0
二週の妄想女将が楽しみすぎる!

64:名無しさん@ピンキー
12/04/09 22:05:10.16 RvK7nQ7f
>>63
同意w

65:名無しさん@ピンキー
12/04/10 08:24:40.52 ASfMh1Dr
妄想女将もお見合いにわくわくしてるのもふみちゃん超かわいい!
ゲゲゲは見てると幸せな気分になれるよー

66:名無しさん@ピンキー
12/04/11 23:25:18.25 w4+5jq5+
>>65
貴司にお見合いせんことに~って言ってる時もかわいい

67:名無しさん@ピンキー
12/04/13 09:36:28.81 ZxAPI4JZ
お見合いクル━━(゚∀゚)━━ !

68:名無しさん@ピンキー
12/04/14 23:52:24.37 2w2Wl7yy
妄想女将はやっぱりかわいいねぇ
来週お見合いで物語的にもこのスレ的にもw本格始動だね

69:名無しさん@ピンキー
12/04/16 21:26:19.34 RQE4AiwM
お見合い週ktkr!
自転車乗れますか?が楽しみだ

今更録画したお菓子料理番組見たけどリアルゲゲさんのデレがハンパないな
リアル喜子の解説とそれに照れてるリアルふみちゃんに不覚にも萌えた
ドラマキャストで見たい!

70:名無しさん@ピンキー
12/04/16 22:56:17.83 PYIVdnnu
「俺みたいな男でええんかな」とつぶやいたシーン、
「あんたしかおらんけん!」と画面に向かって突っ込んだw
漫画の知識を少しでも頭に入れておこうと努力するふみちゃんもかわええ。

71:名無しさん@ピンキー
12/04/17 22:47:51.01 PV0fV/Gi
>>70
予備知識を少しでもってあたり同意!
ゲゲゲの物語自体の良さでもありふみちゃんの良さ・かわいさなんだよね

72:名無しさん@ピンキー
12/04/18 23:07:32.68 erpeGzwq
DVDで何回も見てるのになんでゲゲふみはこんなに毎回かわいいんだろう
自転車とかさっきの目玉とかほんとたまらん

73:名無しさん@ピンキー
12/04/20 08:11:38.33 u96rsTZs
娘時代のふみちゃんの声の高さがたまりませんなぁ
吸い物飲むときのしげーさんの手の大きさもたまらん

74:名無しさん@ピンキー
12/04/20 10:33:55.35 U3fPg+zK
あのお椀を上から持つ手ね
ぎちぎちじゃなくある程度余裕があるからさまになる

75:名無しさん@ピンキー
12/04/20 13:03:46.56 lvLMLCVe
本スレ見てたら今回の再放送でゲゲゲ初見って人もまあまあいるようなので、ここの住人が増えることも期待w
個人的には式のあとに村井家に行って、初夜を意識してる布美ちゃんが
どっきどきで階段あがってくとことかもうたまらんw



76:名無しさん@ピンキー
12/04/20 16:31:23.34 OF2sl6Hn
どこまで見せるんだろうと妙に緊張したのを思い出すw
結局なんのスキンシップもなかったが逆にドキドキだったなあ

77:名無しさん@ピンキー
12/04/20 21:18:32.76 IbhByEq+
ずいぶん前に投下した『むすびの神』の続編(と言っても時間的には前)になります。
例によって脇キャラに興味のない方はスルーでお願いします。

再放送に合わせて、横山さん×ユキ姉ちゃんのお話を投下するつもりが、PCの不調と
多忙がかさなり、遅くなってしまいました。
この二人の見合いは、さぞかし源兵衛さんが張り切ったんじゃないか・・・というのが
書きたくなった理由ですw。

ぐぐってみたら、キンモクセイの花言葉は「誠実、初恋、真実の愛」なのだそうで、
この二人にぴったりな感じで、偶然ながらちょっと嬉しかったです。

いよいよゲゲふみのお見合い・・・!で盛り上がってるところ、空気読まずにスミマセン。
今後はタイムリーな投下が出来るとよいのですが・・・。

78:初恋 1
12/04/20 21:19:55.48 IbhByEq+
 月の明るい夜。澄んだ大気の中にキンモクセイの香りがただよっている。
今日嫁いだばかりの家の、中庭をめぐる廊下を、その甘やかな香りに運ばれるような
思いでユキエは歩いていた。

 夫となったひとのことは、初めて出会ってからまだふた月とたたず、実はそれほど
よく知っているわけではない。それがこの時代のお見合い結婚のふつうのありようでは
あるけれど、以前のユキエならそんな結婚は真っ平御免だったはずだ。
 だが、信夫の待つ部屋へ向かうユキエの心はときめき、湯上りの肌や髪をなでる
風にまじる甘い香りは、今夜のユキエの気持ちに似つかわしいものだった。

「あの・・・失礼します。」
フスマを開けると、窓を開けて外を見ていた信夫がこちらを向いた。
とたんに、心臓がのどまで飛び上がり、足元は霞を踏むように覚束なくなった。
「あ・・・あの、つ、つきが・・・きれいですよ。」
信夫も、緊張しているのか、ぎこちなくユキエを窓辺へさそった。
「ほんと、きれい・・・。」
窓辺に並んで、澄んだ月を見上げる。婚約期間があったとは言え、こんなに接近した
のは初めてのふたりだった。
「さ、寒いけん、閉めましょう。」
信夫が障子を閉めて畳の上に座ると、ユキエは両手をついて頭を下げた。
「・・・ふつつかものですが、末永く、よろしくお願いします。」
「あ・・・は、はい。いや・・・こちらこそ。」
信夫はどぎまぎして、ユキエの手をとって頭を上げさせた。
「よう・・・来てごしなさった。」
ぎこちない手つきで抱きしめる。二人とも自分の心臓の音が聞こえるほど緊張していた。
 少し顔を離すと目が合った。信夫が思い切って口づけする。初めての口づけは、
柔らかくてちょっと湿っていて、初めてお互いの内部に触れた気がした。その感覚が
ふたりの間の壁を取り払ったかのように、口づけは深くなり、止まらなくなった。

79:初恋 2
12/04/20 21:20:58.78 IbhByEq+
「は・・・ぁ・・・はぁ・・・ふぅっ・・・。」
繰り返し唇をむすびあわせるうち、慣れないふたりは息をつくことも忘れていて、
部屋に響く荒い息遣いがさらに頭を混乱させる。
 信夫があせるあまり眼鏡をはずすのも忘れているものだから、ユキエの顔に冷たい
感触があたる。けれど、それが何か意識することもできず、ただ受けとめるだけで
精いっぱいのユキエだった。                             
「よ・・・横になってもええかね?」
なんだかとんちんかんな誘いだが、ユキエにはそれをおかしいと思う余裕もない。
「え・・・は、はい・・・。」
信夫はユキエを抱きしめたまま押し倒した。ユキエの小さな悲鳴にふと我にかえり、
バツが悪そうに少し身体を離して大きく吐息をついた。
「ごめんな・・・。こわかっただろ?」
「だ、だいじょうぶ・・・です。」
「あんたがいやだったら、今日でなくてもええんだよ・・・。」
繰り返し口づけされて押し倒された時は、惑乱が最高潮に達していたが、信夫の
やさしい気づかいに、ユキエはすこし平静さを取り戻した。
「あ、あの・・・めがね、が・・・こわれますけん。」
そっと両手を上げて信夫の眼鏡をはずしてやった。
「あ・・・これはいけん。・・・だんだん。」
至近距離にある信夫の顔が、照れくさそうな笑顔になる。その目元は意外に涼しくて
目の奥にある光はやさしく、ユキエの心臓を再び落ち着かなくさせる。
 その目がゆっくりと近づくと、今度は落ち着いてユキエに口づけた。唇が離れ、
うっとりと目を開けたユキエに、信夫が意を決したように確かめた。
「ほんなら・・・ええかね?」
「・・・はい・・・。」
この時代としては大胆にも男友達と逢引したこともあるユキエだったが、せいぜい
隣町に映画を見に行ったくらいのもので、何かがあったというわけではなかった。
祝言の晩に花嫁の身に起こることに関する知識は、他の娘とたいして変わりはない。
つい声が震えてしまうのをどうしようもなかった。

80:初恋 3
12/04/20 21:22:22.64 IbhByEq+
 信夫が、おずおずと帯をとき、浴衣を広げてユキエの肌身をさらした。まっ白な
肌に目を奪われながら、自分もすべてを脱いでユキエの上になった。
 男にしては細すぎることが少し気になっていた信夫の身体は、鍛えぬかれ、鋼のような
筋肉がのって美しかった。すべてにおいて控えめなこの男の、分厚い眼鏡をはずして
裸になった姿は意外に男性的魅力にあふれ、ユキエはさらに心を奪われるのだった。
「ン・・・ふぁ・・・ぅ・・・。」
さくら色の乳首を口に含んで吸うと、ユキエが思わず鼻にかかったあえぎをもらし、
自分の甘い声に驚いて口をおさえた。その可愛さにあおられ、信夫はもう一方の乳首を
指でいじりながらさらに味わい、ユキエのあえかな乱れをたのしんだ。
 ユキエが無意識に秘められた場所を守っている手をとると、自分の肩にまわさせ、
無防備になったそこにそっと指をひそませた。                     
「ぁ・・・。」
とろり、とした感触が、自分を受け入れる準備がすでに出来ていることを教え、信夫は
ぞくぞくするような喜びを覚えた。
 ひざでわずかなすき間を広げながら、少しずつ脚を広げさせる。口づけや、乳房への
愛撫でなだめながら、羞じらいの強い両腿を充分に広げ、つらぬく準備をととのえる。
 身体を硬くしてその瞬間への恐怖と戦っているらしいユキエがいじらしく、攻める手が
鈍りそうな信夫だったが、反面、ひと息につらぬいてしまいたい雄の猛りをも感じていた。
 充分にうるおったそこへ、たかぶったものを押し当て、ぐっと進む。
「・・・・・・ぁあ・・・!」
ユキエが小さく叫んで信夫の肩を手でつかみ、本能的に押し戻そうとした。
「や、やっぱり、痛いかね?・・・今日はもう、やめとくか・・・?」
「・・・い・・・ぃえ・・・やめんで・・・ごしない。」
痛みをこらえ、必死でユキエが口にした受容の言葉は、信夫の心に痺れるような
喜びを与えた。
「ほんなら、こらえてごせ・・・ユキエ・・・さん。」
「・・・ユキエで・・・ええですけん・・・。」
「ユキエ・・・ゆき、え・・・。」
耳元で名前を呼ばれながら、力の入りすぎた両手をやさしく解かれる。指と指を
からませて握り合った手に口づけされると、いとしさに痛みも少しうすれる気がした。

81:初恋 4
12/04/20 21:23:41.25 IbhByEq+
「大丈夫、か・・・?」
「・・・は・・・い。」
 恋した人が今、自分のなかにいる。身体をこじ開けられる痛みすら、このひとと
結ばれたあかしと思えば心地よかった。ユキエの閉じたまぶたから幸せの涙があふれた。
けれどその涙を見て、何も知らない信夫の胸は痛んだ。
(好きでもない男にみさおを奪われるのは、やっぱり悲しいのかもしれんな・・・。)
「痛いか?・・・ごめんな・・・。」
うっすらと汗をかいた額にかかる髪をよけてやり、生え際に小さく口づけながら
信夫はユキエの頭をなでた。
「・・・痛くて泣いとるんじゃないの・・・。あなたが、やさしいけん・・・。」
信夫はその涙を、乙女の時代と訣別し、信夫の妻として生きていく覚悟の涙だと思った。
(少しずつでええ・・・これからわしのことを好きになってくれればええけん。)
涙を唇で吸ってやりながら、信夫はさらに深くユキエの中に入っていった。        

(私は、この人のもの・・・。)
痛みとともに、信夫の存在を全身に刻みつけられる思いで、ユキエは信夫を
受け入れていた。
(ほんのふた月前まで、私はほんとうの恋を知らなかった・・・。)
・・・ユキエの脳裏に、信夫との出会いがうつし出された・・・。

 風に秋の匂いがまじり始めたあの日、ユキエは初めて信夫に会った。それも
最悪の形で。
 父の源兵衛は、見合い話に首を縦に振らないユキエに業を煮やし、無断で勤めを
辞めさせてまで強引に縁談を進めようとした。ユキエは大胆にも妹のフミエを
身代わりに仕立て、夜道を安来の輝子叔母の家まで走った。信夫の写真も釣書も
突っぱねて、見てはいなかった。自分をここまで追い込んだ見合い相手が憎らしくて、
いつしか罪もないその男を、父と同じ敵と見なす幼さだった。
「ユキエ、ユキエ・・・!相手の人、断り入れて来たげな!」
安来で所在無い日々を送っていたユキエは、飯田の家の向いの魚屋がことづかって
来た手紙を読んだ叔母の言葉に、晴れやかな笑顔を見せた。若い娘の現金さで、
翌日さっそく軽い足取りで輝子とともに大塚の家に帰って来た。

82:初恋 5
12/04/20 21:24:57.96 IbhByEq+
 家の店先に入ると、祖母の登志と妹のフミエがみすぼらしい野良着を着た見知らぬ
若い男と話していた。その男が当人とも知らず、ユキエと叔母は見合い相手の悪口を
声高にしゃべった。
 そもそもこんな縁談が持ち込まれなければ自分が騒動を起こすこともなかった
という思いと、自分がいやがっておきながら、相手が断って来ると、それはそれで
プライドを傷つけられたという、身勝手な気持ちがユキエにはあった。
 だが、フミエから聞いた事実は、そんな思い上がった心を一気に引きおろした。
横山はフミエに頼まれ、何も言わず縁談を断ってくれた。そのうえ、そんないきさつにも
かかわらず、ユキエが家を出ている間に倒れた母を助けてくれたのだった。
 泣きながら謝ったフミエの言葉に、横山が少しつらそうな、でも優しい笑顔を見せた
その時、追いついたユキエが妹の肩を抱いて、横山をまっすぐ見つめ、頭を下げた・・・。   

 その夜。ひさしぶりの自分の布団に入ったものの、ユキエはなかなか寝つけなかった。
自分は今、この家で一番年長の娘なのに、母が危険な時に何の役にもたてなかったこと。
いつも恐くて強権的な父が、今日はなんだか縮んで見えたこと・・・。それにもまして、
ユキエの心をかきむしるのは、今日初めて知った横山のことだった。
(私はあのひとを傷つけてしまった。それなのにお母さんを助けてくれたんだ・・・。)
横山がフミエに向けた、優しいけれどつらそうな笑顔が目にやきついて消えない。
(私、ほんとに子供だった・・・。)
消え入りたいような恥ずかしさと、申し訳なさ、それから名状しがたい胸のとどろきを
かかえ、ユキエはすがるようにあるひとつの考えに到達した。

 翌朝。源兵衛はようやくミヤコの病床のそばを離れ、蜂の世話をしていた。
「・・・お父さん。あの・・・お願いがあるんです。」
「なんだ。」
ユキエの問いかけに、源兵衛はふり返りもせず作業を続けた。
「私・・・あのひとに・・・横山さんにもう一度、会わせてほしいんです。」
源兵衛は、少し驚いたようだったが、相変わらず蜂の巣箱を見つめながら言った。
「それは、見合いをする、言うことになるぞ。」
「それで、かまいません。私・・・どうしても、このままじゃすまされん気がして。」
「今度結婚を申し込まれたら、もう断れんのだぞ。」
「もちろん、そのつもりです。」
源兵衛は、ユキエの真剣な顔を見てうなずくと、また作業に戻った。

83:初恋 6
12/04/20 21:26:04.32 IbhByEq+
 その日の午後、仲人の家におわびかたがた改めて縁談をすすめてほしい旨を
伝えに言った源兵衛は、上機嫌で帰ってきた。なんと横山家からも再度の
見合いが申し込まれているという。事情を聞いた仲人は、何事も無かったかの様に
いちから世話をするとうけ合ってくれた。                      

 それから数日後。国民服を着た信夫と仲人の橋本は、飯田家の座敷にあった。
「せんだってはほんにお世話になりまして、お礼の申し上げようもございません。」
まだ床をはらえぬミヤコが挨拶に出てきて、丁重に礼を言って奥へ引っ込んだ。
座敷に残ったのは源兵衛と、一度会ったことのある祖母の登志である。ふたりとも、
心配になるほど相好をくずし、信夫の顔を穴が開くほどみつめるものだから、内気な
信夫は伏目がちになり、身体が硬直するのをどうしようもなかった。
「いらっしゃいませ・・・。」
 そこへユキエが茶菓を運んできて、信夫の前に置いた。編みこんで結い上げた髪に
娘らしい銘仙の着物、モンペや国民服を見慣れた目にはことさら華やかに映った。
 食糧難のなか、心づくしのごちそうと、飯田酒店の酒が出される。運んできたのは
手伝いに来た長女の暁子で、こちらにも礼を言われる。当たり前のことをしだけなのに
・・・こう命の恩人扱いをされては居心地が悪かった。
「えー、本日はお日柄も良く・・・まことにめでたい日であります。こちらの横山君と
 飯田家とは浅からぬえにしのある様にうけたまわっております・・・。」
仲人の紹介は、まるで結婚披露宴のようだ。登志はよほど横山が気に入ったと見え、
ほれぼれと顔を見ているし、源兵衛は終始ニコニコしっ放しで饒舌だった。
 一方、二人にはさまれたユキエはうつむいて黙ったままだ。母親、姉・・・会う人ごとに
礼を言われ、父親と祖母はまるで婿扱い・・・それにひきかえ肝心のユキエは静かなまま。
・・・信夫はいたたまれない気持ちになってきた。
 そこへ、おはぎと食後のお茶を大事そうにささげ、フミエが入ってきた。信夫の前に
茶菓を置くと、恥ずかしそうに目くばせした。信夫は今日はじめてホッとした。
「・・・!こげな甘いもん食べたのは、ひさしぶりです。」
おはぎをひと口食べると、ずっと緊張していた信夫が破顔した。
「うちで作っとる蜂蜜でしてな。砂糖不足のおり、重宝しちょります。これの世話を
 しとって、女房がエライ目に合いましたがな。・・・もっとも、おかげでこちらさんと
 ご縁が出来たんですから、人間万事塞翁が馬と言うことですなあ。わっはっはっは。」 

84:初恋 7
12/04/20 21:27:03.73 IbhByEq+
 上機嫌の源兵衛に、祖母の登志がそちらを見てはしきりに咳ばらいをする。
源兵衛は(わかっとる!)と言うように急に真面目な顔になった。
「あー、おほん。本日は橋本様には仲介のご苦労をいただき、まことに感謝の念に
 たえません。ついては、あちらであらためて一献差しあげたいと思います。えー、
 ・・・若いふたりは、まんざら知らない間柄でもないけん、少し打ち解けて話されたら
 どげですかな?」
何やら段取りが出来ている様子で、仲人をうながして皆いなくなってしまった。      
 ユキエとふたりきりで座敷に残され、どういうことなのか、ますますいたたまれない。
「・・・あのっ!」
ユキエが初めて顔を上げて信夫の顔を正面から見、両手をついて深々と頭を下げた。
「今日は、本当に来てくださるのか、心配しちょーました。あげな失礼なことしといて、
 あのままあなたにお詫びもお礼も言えんだったら、どげしようかと・・・。
 あげなことになるなんて、思ってもみんだった・・・。姉は嫁いで家を出とるし、今、
 私がこの家で一番年長の娘やのに・・・ほんに無責任なことして。妹に恥ずかしいです。
 あなたがおられんだったら、母はどげなっとったか・・・本当にあーがとございました。」
お詫びと、お礼・・・ユキエが自分に会いたかったのは、そのためか・・・。
(わしは、何を期待しちょったんだろう・・・。)
張り詰めていた気持ちがゆるみ、信夫は心の中で苦笑した。

 だが、こうして見合いの場で会ったからには、結論を出さなければならない。
見合いと言うものは、会うまでにほとんど決まってしまっているようなもので、
よほどのことがなければ、見合いのあと男の家が仲人を介して申し込み、女の家が
受けることで結婚まで行ってしまう。当人同士が直接意思を確認しあうことは、
見合いでは許されない。何かあった場合に双方に傷がつくことを避けるためだ。
(このひとは、自分に恩義を感じてその身を差し出そうとしとるのじゃないか?)
外堀を埋められようとしている今、ここで聞かなければ、聞く時がない。
『・・・あんたは、本当にそれでええんですか?このままだと、わしと祝言することに
 なってしまうが・・・?』
全て仲人を通さなければならない作法を破って、ユキエの本当の気持ちを確かめようと
口を開いたその時。

85:初恋 8
12/04/20 21:27:56.01 IbhByEq+
「おほん!・・・話もはずんどるところ、失礼します。」
先ほどよりさらに少しきこしめしたらしい源兵衛と仲人が座敷に入ってきた。
 これでお開きである。ユキエもまさか見合いの席で想いを告白するわけにもいかず、
信夫はそんなユキエのつのる恋心にはまったく気づかず・・・ふたりはともに心を残したまま、
見合いは終わった。                                  

 翌々日。居間に呼ばれたユキエが行ってみると、父母、祖母に叔母までがそろっていた。
「横山家から、ぜひにと申し込みがあったそうだ。」
見合いのあと、当日の信夫の硬い表情を思い出してはあれやこれやと気をもんでいた
ユキエは、朗報に浮き立つような嬉しさを感じた。
「あげなことがあったけん、会っといて断られたらどげしようと、もう心配で心配で。」
いてもたってもいられず駆けつけてきた叔母の輝子が、大げさに胸をなでおろすと、
「あの人はそげな人じゃなーぞ。器の大けな男だ。」
信夫にすっかり惚れこんでいる源兵衛がこわい顔をしてにらんだ。
「ほんとにええの?ユキエ。あんた、私のことで恩に着とるんじゃ・・・。」
「江戸時代じゃあるまいし、そげなことで人身御供になったりせんよ。あのひと、
 本当にええ人だよ。だけん、心配せんで・・・お母さん。」
心配する母に、ほほ笑んで見せ、ユキエは居ずまいを正して父に頭を下げた。
「お受けします、と仲人さんにお返事してください。よろしくお願いします。」

 またたく間に婚約がととのい、結納がかわされ、婚礼の日が近づいてきた。
夜、ユキエが部屋で縫い物をしていると、フミエがおずおずと顔を出した。
「・・・ユキ姉ちゃん。ほんとにお嫁に行っちゃうの?」
「なあに、フミちゃん。あんた、横山さんのこと気に入らんの?」
「ううん、大好き。でも・・・ユキ姉ちゃん、あげにお嫁になんか行かんって言うとったのに。」
「ふふ・・・それは、好きでもない人のところには、だわ。」
「え・・・?」
「フミちゃんにはいろいろ迷惑かけたけん、あんたにだけは教えてあげる。」
ユキエは、フミエのそばに寄ると、耳に口を近づけてささやいた。

86:初恋 9
12/04/20 21:29:08.53 IbhByEq+
「あのな・・・私、あの人のことが好きになってしもうたの。だけん、お嫁に行けるのが
 うれしいんだが。」
「えっ?すき・・・?」
あっけにとられているフミエに、ユキエはちょっと照れくさそうに笑った。
「あげにフミちゃんに迷惑かけたのに、困った姉ちゃんだと思っとるだろうね。
 でもな、恋というのはこげな風に、突然おそって来るもんなんだわ。・・・まあ、
 フミちゃんはまだ小さいからわからんだろうけど。」
ユキエはフミエの小指に自分の小指をからめると、
「・・・このことはお父さんとお母さんには内緒だよ。・・・恥ずかしいけんね。」
指切りをして約束させた。母が用意してくれた反物で嬉々として男物の半纏を縫っている
ユキエは、幸せで輝いて見えた。
(恋・・・って、ようわからん!)
大人になったらわかるようになるのだろうか・・・フミエは混乱しながらも、とりあえず
姉が幸せそうなことに安心して、ユキエの部屋を後にした。               

 秋晴れの日。黒引きの花嫁衣裳に身をつつみ、純白のつの隠しをつけた輝くように
美しいユキエは、生まれ育った家をあとにし、横山信夫のもとに嫁いでいった。
 
(思ったとおり優しい人だわ・・・私、ほんに幸せ・・・。)
信夫の存在感を全身で受け止めながら、ユキエは温かい涙を流しつづけた。
(だけど・・・だけど・・・どげしよう・・・!)
新床の花嫁が、あまりまじまじと男の顔を見つめるのははしたないと思い、ユキエは
自分を散らしている男の姿を時おり遠慮がちに盗み見た。
(このひと、こげにええ男だったっけか・・・?)
 あのようないきさつで出会い、急速に話が進んで、戦時中のこととて二人きりで
逢うこともなく今日を迎えた。時おり野菜などを背負って飯田家を訪ねてくれる
信夫は相変わらず野良着姿に分厚い眼鏡という素朴さ…ユキエはユキエでそんな信夫に
好意を覚えながらも家族の手前恥ずかしくて、それほどまじまじとこの男をみつめた
こともなかった。

87:初恋 10
12/04/20 21:31:06.08 IbhByEq+
『ゲーリー・クーパーみたいにええ男じゃないけどな。』
花嫁姿のユキエは、以前憧れていた映画のパンフレットを妹のフミエに渡し、信夫の
ことをそう言い放った。自分は信夫の人柄を好きになったのだ・・・そう思っていた。
(どげしよう・・・毎日こげにドキドキしとったら、一緒に暮らせんが・・・。)
頬が熱くなり、羞ずかしくてたまらない。祝言もあげ、まさに今自分を貫いている
男の容貌に今さらときめいている自分がおかしくもあり、ユキエはますます
どうしてよいかわからずにいた。                             

 腕の中のユキエが、このように煩悶しているとはまったくあずかり知らぬ信夫は、
初めての痛みにさいなまれるユキエとは逆に、得も言われぬここちよさに我を忘れ
そうだった。
(いけん・・・まだ慣れんもんを・・・。)
欲望のままにユキエをむさぼりたくなる衝動をおさえ、新妻を気づかいながら
快感を追い、終わりに近づいていく。
「ぅ・・・くぅっ・・・ぅ・・・。」
好きな女との情交とはこれほどまでに魂を奪われるものか、と全身が痺れる思いで
咲きそめた花びらのなかにすべてを放った。
 ・・・まっ白な閃光に脳裏を射られる様な絶頂感が次第に去ると、信夫はユキエをいたわる
ようにそっと身体を離した。想いをとげた、という気持ちに満たされ、信夫は荒い息を
ととのえながらユキエの隣りに横たわった。裸身をさらしたままぐったりと動けないでいる
ユキエを見やると、今まで信夫が占めていた部分に、自分の痕跡が残っている。
信夫は枕紙をとって、それをふいてやった。                          
「い、いけん・・・そげなこと・・・自分でやりますけん。」
「いや・・・わしが出したもんだけん、わしがきれいにする。」
できるかぎり優しく指を動かしても、今初めて貫かれたばかりの敏感なそこに触れられ、
恥ずかしさと初めての感覚に、ユキエは耐えかねるように身をよじった。
そんなユキエの様子が、男の本能をあおりたてる。無垢だったユキエに男のしるしを
刻み付けたのは自分だと思うと、やさしい信夫にはそぐわない征服欲がわき起こった。

88:初恋 11
12/04/20 21:32:19.35 IbhByEq+
 ふと見ると、ユキエを清め終わった紙は夜目にも赤く染まっていた。その純潔のあかしを
目にした瞬間、信夫の身の内がカッと熱くなった。
(わしは・・・あんたを、生涯まもり抜くけん・・・!)
めちゃくちゃに抱いてしまいたい衝動をおさえ、再び横になってそっと肩を抱き寄せた。
至近距離にあるユキエの顔が、恥ずかしそうに微笑みかけてくる。
 生気に溢れた双眸、つんと上を向いた鼻、勝気そうな唇・・・結ばれるまで、朴訥な信夫は
ユキエの溌剌とした美貌に、惹かれながらも少し気後れを感じていたのだが・・・。
(なんだか、少しだけこのひとに近づけたような気がする・・・。)
全てを与え合った今、ユキエのぴんと水を弾くような固く張った肌はしっとりと潤いを
帯び、きゅっと結ばれていた唇は、ただ一人身をゆるした男に向って柔らかくほぐれて
いた。誘い込まれるように紅い唇を奪い、夢中でむさぼった。
「・・・んっ・・・んんっ・・・!」
しゃにむに唇をふさがれ、身体の下でユキエが呼吸を求めて身をよじった。
「あ・・・す、すまん。わし・・・いろいろ下手クソで、いけんな・・・。」
唇をはなすと、照れくさそうに告白した。
「嫁をもらう前に、どっかで練習しとけと言われたんだが・・・あんたに悪いような気が
 して、よう行かんだった。」
「ほんなら、私が・・・初めて?」
ユキエは思わず信夫の顔を見た。
「こげな亭主じゃ、頼りないかな。」
信夫は照れかくしに、ユキエの背に手をまわしてきつく抱きしめた。
(このひとは、私のもの・・・。私だけの、もの・・・。)
信夫も初めてだったことを知り、ユキエの心に言いようのないいとおしさがわき起こった。
 結ばれる前よりも、ぎこちなさが少しほぐれ、ふたりは身体を交わした男女だけが知る
口づけを繰り返しながら、夜にのまれていった・・・。

 キンモクセイの香りが、部屋の中にもただよってくる。愛する人と肌をかさねる歓びを
知りそめたふたりを、甘いけれど清楚な香りがつつみこんだ。
 信夫は、ユキエを深く愛しながら、自分はユキエに愛されていないと思い込んでいた。
身体も心も奪われる恋におちたユキエは、そんな信夫の心の内を知るよしもなかった。
 本当はお互いにつよく愛し合っているふたりが、その想いを確かめ合うまでには、
もう少し時間が必要だった。

89:名無しさん@ピンキー
12/04/21 07:34:53.66 bfuLVZao
>>77
GJ!です!!匂い立つような金木犀の(脳内)香りと共に読ませていただきました

自分は少女時代の2代目布美ちゃんのエピソードがどれも大好きです
この週があったから、ゲゲゲの女房をより深く愛したと云っても過言ではないくらいに

中でもユキ姉ちゃんと横山さんの瑞々しい物語は、何度見てもキュンとしてしまいます
その二人のキャラクターが上手に再現されていて、お見合いのシーンまで見事ですね
きっとこんな風に花嫁になったのでしょうね>ユキ姉ちゃん

90:名無しさん@ピンキー
12/04/22 02:52:02.43 V+nkQ7Mz
新作キテターーー!
みんな役者さんでスムーズに再生できる…

第一週から心を掴まれていたことを
あらためて思い出しました
89さんのおっしゃる通り、子供時代がなかったら
こんなにひきこまれなかった
特に横山さんエピは、
2人の麗しさもあいまって本当によかった

さらにこんな素敵に肉付けされて…
情景がリアルに浮かびました
GJです!

91:名無しさん@ピンキー
12/04/23 19:11:04.34 bX92MB5a
>>77
GJ!当然だが美しいほうの横山さんで脳内再生w
あと源兵衛さんの台詞、まんま大杉さんの声で再生された!まさにこんなこと言いそう!
すごすぎです!

本放送のとき、あれは誰だ?と言われてた時間経過著しい横山さんは明日本格的に登場だなw

92:名無しさん@ピンキー
12/04/24 22:45:18.80 PpZBnGCS
>>78
GJ!
横山さんの緊張っぷりがwかわいいww

>>91
自分は源兵衛さんのお葬式まで老け横山さんが横山さんだと認識できてなかったw

93:名無しさん@ピンキー
12/04/25 21:58:18.48 eK4G5kQr
今日の初夜は何度見ても良いなぁ
初々しさとか義手とふみちゃんの絶妙な距離感とか

94:名無しさん@ピンキー
12/04/25 23:23:28.64 CHPzrN5I
>>91
本放送のときは最初のほうは見てなかったが、
91見て「美しい横山さんて何?」と思っていたけど、
昨日の放送でわかった、横山さん。・゚・(ノ∀`)・゚・。
でもユキエが幸せそうだからいいやw

>>78さんもグッジョブ、自分も美しい横山さんでいきましたw

95:名無しさん@ピンキー
12/04/27 22:13:17.93 Chb6rIVj
列車内でみかんを食べるときのハンカチとか車の中でのwktkっぷりとか
ふみちゃんが可愛すぎて毎朝幸せ

96:名無しさん@ピンキー
12/04/27 23:05:38.58 ArJoiCbI
今さらですが、『いちせん』のお花見ネタです。>>62さんネタ提供だんだん。
興味ない方は、例によってスルーでお願いします。

来週はいよいよ『花と自転車』ですね。その後も怒涛のごとく神週が・・・。
遅くなったけどその前に間に合ってよかった。まだ桜の咲いてるところもあるし。

97:花とせんべい 1
12/04/27 23:06:38.43 ArJoiCbI
「『うすずみ』・・・?うーん。聞いたことあるような・・・。」
「・・・小さい蔵元さんなんです・・・。」

 春とは思えない冷え込みが続いたせいか、遅れに遅れた桜もようやく
開き始めたある日。綾子はある銘柄の酒を探して近所の酒店を訪れていた。

 予定よりずいぶん遅くはなったが、今度の定休日にはちょうど見ごろに
なりそうだし、祐一と花見に行く約束を、綾子は心まちにしていた。
(お弁当つくって・・・それから・・・ちょっぴり、お酒・・・。)
綾子は、以前祐一が話していた酒のことを思い出していた。契約している新潟の
米農家の人にもらったもので、とてもおいしかったのだとか。
「なんか・・・近くにある桜の名木にちなんだ名前だったんだよね。本当に、
 満開の桜の下で飲んだら似合いそうな味だったよ。」
名前も定かではないその酒を、桜にちなんだ名の酒と新潟というキーワード
だけで、綾子はネットでつきとめた。
『うすずみ』というその酒は、だが製造元のHPすら無く、取り寄せることは
出来そうになかった。ネットには、酒の好きな人がこの酒を絶賛するブログが
いくつか散見されるだけだった。
「ゆうちゃんに、飲ませてあげたいなあ・・・桜の下で。」
祐一とつきあい始めてからめぐって来たいく度かの春、二人で花見に行ったことは
もちろん何度もあるけれど、去年の花の時期は新婚旅行に行っていて、花見は
できなかった。祐一と結婚してから初めてのお花見・・・夫婦として見る桜は、
果たして今までとひと味違うものかどうか、楽しみだった。

 ダメ元で、綾子は普段前を通るだけのこの店に、思い切って入ってみた。
いろいろな銘柄を書いた紙がガラス戸じゅうに貼られたこの店なら、あの酒の
ことがわかるかもしれないと思ったのだ。
 だが、酒にくわしそうな店主の返事は、芳しいものではなかった。

98:花とせんべい 2
12/04/27 23:07:38.91 ArJoiCbI
「・・・新潟のお酒なんだよね?うちは関西方面のが多くてねえ。よっぽど有名
 じゃないと、わかんないねえ。」
やっぱり、ダメだったか・・・綾子が礼を言って店を出ようとした時、入れ替わる
ようにひとりの初老の男性が狭い店に入って来た。
「あ・・・かがやさん。ちょうどいいとこへ。あんた『うすずみ』ってお酒、
 知ってる?・・・新潟の。」
「・・・ああ、知ってるよ。なに、もしかして入荷したの?それなら是非ウチにも
 まわしてくださいよ。」
「いやいや、そうじゃなくて。こちらのお客さんが探してるって言うんだけど、
 あんたなら知ってるんじゃないかと思ってさ。」
「へえ・・・あなた、渋いのをごぞんじだね。」
「え・・・い、いえ・・・主人が・・・以前にもらっておいしかったと言うもんですから。」
お酒にくわしそうなその人に見つめられ、どぎまぎして答える綾子に、店主が
男性を紹介した。

「奥さん。この人はね、最近この近所に日本じゅうの珍しい酒を集めたバーを
 開店してね。日本酒オタクだから、きっと知ってると思ったんだ。」
「・・・ご近所のひと?お酒が好きなら、ぜひ寄ってやってください。」
男は『銘酒 かがや』と書かれたカードを綾子に手渡した。
「かがやって言っても、別に石川県に関係ないの。加賀谷って苗字なんです。
 ここで生まれ育って、定年後に趣味と実家の建物を生かして、一杯飲み屋を
 始めたってわけ。どうぞ、ごひいきに。」
下町の男性特有の、少し女性的な話し方に嫌味がなく、好感がもてる。綾子は
思い切って聞いてみた。
「・・・今、お店にこのお酒があるんでしょうか?」
「え・・・ああ、ありますよ。」
「あ、あの・・・!お店で飲むのと同じお代を払いますから、少し分けていただけ
 ませんか?・・・どうしても、桜の下で飲んでみたいんです。」
男性はちょっとびっくりしたように綾子の顔を見た。
「あ・・・す、すみません。やっぱり・・・ダメですよね・・・。」
初対面の関係ない人に、図々しいことを言ってしまった・・・綾子は顔から火が出る
ような思いで謝った。

99:花とせんべい 3
12/04/27 23:08:32.41 ArJoiCbI
「ふうん・・・桜の下で・・・ねえ。わかりました。じゃあ、ちょっと着いてきて。」
「え・・・?」
加賀谷は綾子にかまわず、さっさと店を出て行った。綾子は店主に礼を言って
あわててその後を追った。何軒か先の町屋風の小さな家に吸い込まれていった
加賀谷の背をかろうじて目に留め、頭を下げて低いくぐり戸を潜った。

「4合でいいかい?・・・めったに手に入らないから、ちょっと惜しいけど、ウチで
 飲んでくれたと思うことにするよ。」
古い家を上手にリフォームした店内には、綾子が見たこともないほどたくさんの
銘柄の日本酒のびんが立ち並び、やわらかい照明の中で輝いている。
「はい、どうぞ。・・・おまけしとくから、今度はぜひ、ウチで飲んでくださいよ。」
林立する酒びんに圧倒されている綾子に、加賀谷が『うすずみ』を満たした
4合びんを差し出した。
「は・・・はい。ありがとうございます!・・・きっと近いうちに寄らせて頂きます。」
酒びんを入れたエコバッグを大切に胸に抱いて、綾子は帰路に着いた。

「んじゃ、かんぱ~い!」
数日後の夕暮れ時、祐一と綾子は、川沿いの公園のコンクリートの長堤にもたれ、
花見酒としゃれこんでいた。
「予定外の夜桜になっちゃったけど、これはこれで風情あるね・・・。」
本当は、明日の日中に花見をする予定だったのだけれど、明日はほぼ確実に雨と言う
天気予報に、急きょ夜桜見物に変更したのだ。
「昼酒はきついけど、川風に吹かれて飲むとグイグイいけちゃうなあ・・・。あれ?
 この酒・・・。」
竹製のコップに注がれた酒を味わっていた祐一が、ふと考え込んだ。
「これ、飲んだことあるような・・・。どこで買ったの?・・・びんにラベルもないし。」
「おいしいでしょ?・・・手に入れるの苦労したんだから~。」
綾子はちょっと得意げに、この酒を手に入れた経緯を語った。

100:花とせんべい 4
12/04/27 23:09:26.82 ArJoiCbI
「へえ・・・そんな店ができたんだ。」
「うん。すごく素敵なお店なの。ご主人も・・・『粋』って、ああいう人のこと
 言うんじゃないかなあ。今度飲みに行こうよ。加賀谷さんにもそう約束しちゃったし。」
一気に話して、綾子はふと祐一の無表情に気づいた。

(ゆうちゃんの前で、他の男の人ほめたのは失敗だったかな・・・。)
結婚する前は、綾子の周囲の男性にかなり神経をとがらせていた祐一だったが、
最近はそんな様子もないので綾子はついつい注意を怠っていた。
「あのね・・・加賀谷さんって、私のお父さんより年上だよ?」
あわててフォローにかかる綾子に、祐一がプッと吹き出した。
「・・・俺が妬いてると思った?・・・自惚れてるなあ。」
からかわれたのだと知って、ホッとしながらも、綾子はちょっとくやしくなった。
「もぉ・・・せっかくゆうちゃんのために苦労してみつけて来たのに・・・真面目に話聞いて
 くれないんなら、私が全部飲んじゃうんだから!」
綾子がふくれて抱え込んだ4合びんを、祐一が笑いながら押さえた。
「こら!綾子は弱いんだから、そんなに飲んじゃダメだよ。ほら、卵焼きア~ン。」
祐一も少し酔っているのか、普段は家でもやらないことをする。
「・・・ん。おいひい・・・ゆうちゃんのだし巻き。」
綾子がだし巻き卵をほおばりながらぐい呑みの酒をくいっとあおる。
「あ・・・そうだ。これ持ってきたんだった。」
祐一がバッグからわれせんの袋を出した。
「あ・・・おせんべい?」
「うん・・・意外と酒に合うんだよ、これが。」
「わあ。何味にしようかな?」
さすがはせんべい屋の女房、綾子は薄暗い中でも自分の好きなゆず醤油味のわれせんを
一発でみつけ出し、ぽりんとかじって、また酒を飲んだ。
「ほんと、お酒に合うね~。あ~、お花もきれいだし、しあわせ・・・。」

101:花とせんべい 5
12/04/27 23:10:13.18 ArJoiCbI
 まだ茜色をとどめている西の空と、紫色から次第に濃い群青色へと移り変わりつつ
ある東の空の真ん中に、見事に並んだ満開の桜・・・。
「ちょっと酔っちゃったみたい・・・。」
綾子は長堤の上にひらりと腰かけると、川風に顔をさらして涼んだ。地上の灯りを
映して揺れる水面からの光が、綾子の横顔を照らし出す。
(きれいだ・・・な・・・。)
「やだ、なに・・・?」
放心したようにみつめる祐一の視線に、綾子が艶なまなざしを返した。
「や・・・酔っ払ってそんなとこに飛び乗ると、川に落っこちるぞ。」
「だ・・・大丈夫だもん!」
綾子はそれでも少しこわくなったのか、足を伸ばして地面につけた。

「ほら、綾子。帰るぞ・・・歩ける?」
「らいじょぶ・・・。」
せんべいと酒の組み合わせが気に入って、普段より多くきこしめしてしまった綾子は、
長堤からゆらりと降りると、壁にもたれかかった。
「調子にのって飲むからだよ。しょうがないなあ・・・。」
祐一は弁当の容器や酒びんなどをまとめると、綾子に手を貸して歩き始めた。
「ん~ん・・・ゆうひゃん・・・なんかふわふわするよ・・・。」
綾子は雲を踏むような足取りで、祐一が修正してやらなければ、あらぬ方向へ
行ってしまいそうだった。
(まさしく千鳥足ってやつだな。まったく・・・勤め帰りのサラリーマンかよ。)
花見どきとて、そんな人も珍しくはないのだけれど、ゆらゆらと歩く女性とそれを
必死で支える男性の組み合わせで、しかも長身のふたりはかなり目立った。

「綾子、がんばれ!・・・あと少しで我が家だ・・・・・・。」
人通りの少ない夜の商店街まで来たところから、祐一は綾子をほとんど肩にかつぐ
ようにして家までたどり着いた。

102:花とせんべい 6
12/04/27 23:11:06.64 ArJoiCbI
「は~、着いた。着いたぞ~!」
家に入ってからがまたひと苦労で、正体のない綾子をおぶって三階の寝室まで
運ぶのはかなり骨が折れた。
「しょうがないなあ・・・まったく。」
綾子を畳の上に寝かせ、押入れから布団を出して敷きながら、祐一はぼやいた。
「ほら・・・綾子!ちゃんと布団で寝ろよ。」
抱き起こしてパーカを脱がせてやると、下に着ているブラウスは肩紐だけの
ノースリーブで、むき出しの二の腕とデコルテにちょっと目を奪われる。
(ま、またエロい服着て・・・どういうつもりなんだ。)
祐一の中の雄が、ぴくりと反応する。
(酔っ払って寝てるとこ襲うわけにもいかないし・・・あーもーっ・・・フロはいろ!)
祐一はきざしかけた欲望を振り払うように綾子を寝かせると、掛け布団を着せて、
部屋を後にした。

(綾子・・・まだ寝てるかな?)
風呂からあがり、祐一は夫婦の寝室の引き戸をそっと開けた。
 温かな春の宵、ひと一人が眠る部屋にはすこし温気がこもり、綾子の匂いが
たちこめている。
「あーあ、はだけちゃって・・・風邪ひくぞ。」
「ん~・・・っ!」
暑いのか布団をはだけて眠っている綾子に、肌掛けだけを掛けてやったが、綾子は
うっとうしそうな声を出してまたそれをはねのけてしまった。
「あつい~・・・。」
「暑いんなら脱げ!」
目を閉じたまま、綾子がジーンズのボタンに手を掛けるのを見て、祐一はちょっと
驚いた。普段、よほどセクシュアルなシチュエーションでなければ祐一の目の前で
服を脱いだりしない綾子なのだが、今夜はそれだけ酔っているのだろう。
 うす闇の中で、真っ黒に見えるジーンズからむき出された真っ白い脚・・・綾子は
寝たまま臀をあげて足を抜き取った。

103:花とせんべい 7
12/04/27 23:11:58.15 ArJoiCbI
「ほんと・・・暑いな・・・。」
祐一はその脚に口づけしたい衝動をこらえて窓際まで歩き、窓を開けて新鮮な空気を
取り込んでやった。
「のど・・・カラカラ・・・おみず・・・。」
綾子の子供のような訴えに、祐一はやれやれと思いながら階下のキッチンに水を
取りに行った。                                    

「・・・綾子、水・・・。なんだ、また寝ちゃったのか。」
綾子はまた肌掛けをはだけ、チュニックブラウス一枚で長い脚をさらして横たわって
いた。白地に黒い水玉模様で、バストの周りと肩紐と裾に黒いレースをあしらい、
胸の真ん中に黒いリボンのついたチュニックは、パーカを着ている時は別にどうという
こともなかったのに、こうして一枚だけで着ていると、まるで男を誘う娼婦の装いの
ように扇情的だった。
(なんつーエロい服・・・綾子ってなんかちょっとセンスずれてるんだよな。)
デキる女風の外見なのに、中身は乙女で可愛いものが好きな綾子は、祐一とのデート
など、ここぞと言う時にリボンやレースのついた服や下着を身に着けることが多い。
それは時に似合っていないこともあるのだけれど、そのアンバランスな組み合わせが
妙にそそるのだった。
(ま・・・そこがエロくていいんだけどさ。)
「綾子・・・ホラ、みず・・・。」
なんとしても綾子に起きてほしくなった祐一は、冷たいペットボトルを綾子のほおに
押し当てたが、綾子は顔をしかめるだけでいっこうに目を覚まさない。
「しょうがないな・・・。」
祐一はペットボトルの水を口にふくむと、綾子の頭の後ろに手を入れて少し起こし、
口うつしに水を飲ませた。
 こくん、と音がして綾子が水を飲みくだした。・・・けれど、綾子は満足そうな
顔をしただけで、また寝入ってしまった。
「寝るなよ~・・・!」
ここまで来て、祐一はもう引き返せないほど綾子が欲しくなっていた。幻想的な
夜桜の下で、川面にうつる灯に照らされていた綾子のうつくしい横顔がよみがえり、
祐一の胸を妖しくざわめかせる。

104:花とせんべい 8
12/04/27 23:12:59.48 ArJoiCbI
 祐一は立って行ってさっき開け放った窓を閉めた。綾子の上にそっとかがみこみ、
少し透け感のある水玉模様のチュニックの裾をまくりあげる。ブラのホックを外して
やると、綾子が気持ちよさそうに大きな吐息をついた。                 
「ふうぅ・・・ん・・・んん・・・。」
あらわになった胸乳を大きな手で包み込み、円を描くように揉みはじめると、綾子は
目を閉じたまま、甘えるような鼻声を出した。
「んん・・・んぅ・・・ふぁ・・・ん。」
とがり始めた先端を口に含んで舐めころがすと、両腕を顔の高さに上げて枕をつかみ、
腰をくねらせる。明らかに感じている様子なのに、綾子はまだ目を覚まさない。
 淫らによじれた腰からショーツを抜きとる。シャンパンイエローに黒い小花模様の
小さなそれは、汗で少し湿って、綾子の太腿でくるくると丸くなってしまい、祐一は
脱がせるのに苦労した。
(可愛いんだか、エロいんだか、わかんねえよ・・・!)
酔っ払って正体のない女の下着を一枚一枚脱がしている自分が、相手は妻とはいえ、
なんだか犯罪者のようで、祐一は自嘲的な気分になりつつも、後戻りはできない。
 
(目を覚まさせてやる・・・!)
両足首をつかみ上へと持ち上げる。Mの字型に開かされた脚の中心部は、とろりと
潤んで光っていた。
「ふぁ・・・?」
熱くとろけるそこに口づけると、綾子がぴくりと震えた。両腿を肩にかつぎあげる
ようにして秘部の全容をあらわにし、襞の谷間を舌がさまよい始める。
「ふっ・・・ぅうん・・・ぁ・・・ふ・・・。」
手で押さえている太腿に力が入り、空中に突き出された足がびくびくと震えた。
「・・・ゃっ・・・ぁ・・・あっ・・・んっ・・・。」
腕の中で暴れる綾子の両脚にかまわず、祐一は舌で花芽を吸いたてた。
「・・・ゃあ・・・んっ・・・んやぁあっ―――!」
ぴんと突っ張った四肢から力が抜け、ぐったりとなった両脚を、祐一はゆっくりと
下ろしてやった。                                  
「え・・・。やっ・・・あっ・・・やだ、ゆうちゃん・・・!」
夢うつつの中で絶頂をきざみ込まれ、朦朧とした綾子の瞳に、自分の下腹部から
顔を上げた祐一が映った。

105:花とせんべい 9
12/04/27 23:13:55.74 ArJoiCbI
「・・・ごめん。ガマンできなくてさ・・・。」
祐一に組み敷かれている身体をよじり、丸くなって祐一を避けようとしている綾子の
顔を唇で追い、頬に口づけながらささやいた。
「・・・ひどい・・・わたし・・・わからなくなってたのに・・・。」
意識のないまま、素裸に剥かれ、達かされてしまった・・・綾子は羞ずかしさで
混乱し、祐一を責めた。
「だって・・・あやが、あんまり可愛いから・・・。」
「そっ・・・!」
綾子が何か言いたげに開いた唇を奪う。綾子自身の蜜を残す舌に舌をとらわれ、
強く吸われると、先ほどの絶頂感がよみがえって綾子の身体をつらぬいた。
「――っ!」
声も出せず身体を震わせる綾子の手に、祐一が張りつめた剛直を握らせた。
「今日の綾子・・・きれいだし・・・エロいし・・・。」
「あ・・・。」
「綾子のせいなんだからな・・・責任とってよ・・・。」
痺れるような絶頂感で無理やり目覚めさせられて混濁した頭がようやく覚めると、
綾子は、今手の中にあるこの充実に満たされたいと強く求めている自分に気づいた。
「キス・・・して・・・・・・ゆう、ちゃ・・・――っ!」
大きな瞳に吸い込まれるように口づけながら、祐一は綾子のなかに押し入った。
あまりにも性急な挿入に、綾子が小さな悲鳴をあげる。
「・・・んぁっ・・・ぁっ・・・ゃ・・・ま・・・って・・・!」
綾子を隙間なくいっぱいに埋めつくした祐一の分身が、激しく主張し始める。
 さっき、うつつないまま口淫をほどこされた羞ずかしい姿勢のまま、曲げられ、
大きく広げられた両脚の間に迎え入れられた祐一の腰が、うねるように上下した。      
「・・・ぁっ・・・ゃっ・・・まっ・・・ゆ・・・ちゃ・・・。」
完全にペースについて行けず、きれぎれにあえぎながら祐一の激しい動きに
揺さぶられるばかりの綾子は、それでも足を立て、祐一に合わせようと腰を上げた。
「ぁあっ・・・っや・・・だっ・・・ぁああっ・・・!」
膝の裏を祐一の両手につかまれ、身体を折り畳まれるようにしてさらに深く抉られる。
「だめっ・・・だっ・・・ゅ・・・う、ちゃ・・・ぁああ――っ!」
脚を拘束されたまま絶頂を刻み込まれ、綾子の宙に浮いた両足がびくびくと痙攣した。

106:花とせんべい 10
12/04/27 23:15:12.50 ArJoiCbI
・・・強くつかまれていた両脚がそっと下ろされる。綾子は次の瞬間、祐一の少し汗ばんだ
逞しい胸がゆっくりと覆いかぶさってくるのを待った。だが・・・。
「・・・ぁ・・・んっ!」
祐一のかたちにぴったりと密着していた肉の襞から、羞ずかしい音とともに剛直が
引き抜かれ、綾子は思わず声を上げて腰をふるわせた。
「・・・ゃ・・・んゃぁあっ・・・。」
身体をひっくり返され、腰を持ち上げられて背後からまたつらぬかれる。酔いと
快感が腕の力を奪い、上体を起こしていられなくなって、綾子は枕に突っ伏した。
「あや・・・このカッコ・・・無理?」
顔を枕に押しつけたままの綾子を心配し、祐一は背後からしっかりと綾子を抱き
かかえると、そのままゆっくりと後ろへ倒れた。
「・・・ゃ・・・ぁ・・・。」
後ろから貫かれながらも自分が上になるという変則的な体勢に、綾子があえいだ。
祐一は上体を起こして半開きの唇を舐め、舌を吸いながら、今度はゆっくりとした
テンポで責めはじめる。
「・・・ぁ・・・ゆ・・・ちゃ・・・ぁっ・・・あ・・・。」
綾子が伸ばした手に指をからめ、祐一がしっかりと握ってやる。
「・・・ぃ・・・くっ・・・ぃき・・・そ・・・ぁあ!」
快を訴えながら必死で祐一を振り返る綾子の可愛い舌を甘噛みしてやりながら、
上になった大腿をつかんで挿入をめ、下から激しく揺すぶりたてる。
「・・・達け・・・達けよ・・・!」
祐一に命じられるまでもなく、綾子は啼きながら激しく身体を痙攣させた。
その収縮のなかに、祐一も全てをそそぎ込んだ。                     

 まだ時おりひくついている身体からゆっくりと引き抜くと、綾子がひときわ大きく
息をついた。大切に横たえてやってから、そっと抱きしめる。小さく開いた唇に唇を
重ねる。同じ恍惚を共にした後の口づけはことさらに甘く、やわらかだった。
「・・・綾子・・・大丈夫か?」
唇が離れたあとも、まぶたを開けない綾子のほおを祐一は小さくたたいた。
「・・・快すぎ、た・・・?」
だが、快感のあまり気を失ったのでもなく、綾子は早くもすうすうと寝息を立てて
眠っているのだった。

107:花とせんべい 11
12/04/27 23:16:02.66 ArJoiCbI
「なんだ・・・。」
事後、女は相手と触れ合いたがり、男はさっさと離れたがる・・・とはよく言われる
ことである。もちろん甘えたがりな綾子は、愛し合った後何度もキスしたり、
抱きしめられることをのぞむのが常だが、祐一もそんな綾子を甘やかしてやることが
嫌ではなかった。触れ合ううちに、エロティックな記憶を反芻し、相手を心底
満足させてやれたという達成感に浸るのも悪い気分ではないと思う。

「・・・明日、何にも覚えてなかったりしてな・・・。」
ちょっと拍子抜けして、祐一はつぶやいた。自分を拭くついでに、綾子もきれいに
してやって、ふとその紙を見たりしてみる。
「俺は何をやってんだ・・・。」
すやすやと眠る綾子をしっかりとタオルケットでくるんでやり、上掛け布団を
かけてから、眠る子供にするように額にキスした。
 祐一にすべてを奪いつくされ、眠りにおちた綾子の無邪気な寝顔を見ていると、
この女を誰にも会わせず閉じ込めておきたいような、危ない独占欲にかられる。
「惚れてるから・・・さ。」
自分で自分の台詞に照れて、祐一も綾子の隣にもぐり込むと、目を閉じて眠りについた。  

 数日後。店番をしていた綾子がふと通りを見ると、見たことのある男性と
目があった。
「あ・・・。」
「おや・・・これは。」
それは『うすずみ』を分けてくれた加賀谷だった。綾子はカウンターの後ろから
走り出てきて、先日のお礼を言った。
「どうでした・・・もう飲まれましたか?」
「はい!・・・ちゃんと桜の下で・・・。すごく、おいしかったです。」
美味ゆえに飲み過ぎてしまって、その後のことは・・・とても他人には言えない。        
「・・・おせんべい屋さん、なんですか。」
「はい・・・あ、これをおつまみにして飲んだんです。・・・すごく合うんですよ。」
綾子は自分のお気に入りのゆず醤油味のせんべいを手にとって加賀谷に示した。
「へえ、おいしそうだな。・・・いろんな味があるんですね。」
加賀谷は、綾子お手製の商品の説明書きに目を走らせた。
「あ・・・これなら、いろいろ味見できますよ。・・・どうぞお持ちください。
 この間のお礼です。」
綾子はいろいろな味のわれせんの入った袋を手早く包み、遠慮する加賀谷に渡した。

108:花とせんべい 12
12/04/27 23:17:00.20 ArJoiCbI
 次の定休日の前日。
「ねえ・・・今夜は外で食べない?」
「ん・・・いいよ。どこ行く?明日なら遠くへ行けるけど、今日は近場だぞ。」
「うん。近場も近場。この近所だよ。」
綾子に引っ張られて向かった先は、近所ではあるがあまり馴染みのない一角にある、
よく手入れされた古い町屋ふうの店だった。
「『銘酒 かがや』・・・これって、もしかして・・・。」
「へへ・・・私が開拓したお店だよ。」
普段ふたりが行く店は、ほとんど地元っ子の祐一が知っている店なので、今日は
自分が先に知っている店に案内できて、綾子はちょっと得意げだった。          

「いらっしゃい・・・おや、これはようこそ。」
「こんばんは。今日は主人を連れてきました。」
「どうぞどうぞ・・・あのおいしいおせんべいを焼いてる方ですね。」
白木が清潔なカウンターに案内され、冷酒とつきだしが置かれる。
「あ・・・。」
竹で編んだ小さな箕に乗っているのは、『ささき』で売っているわれせん・・・。
「おっしゃるとおり酒によく合うんで、かわきものに使ってみたら、評判が
 良くってね。・・・今度から卸してもらえませんかね?」
「・・・ほんとですか?」
綾子は思わず祐一と顔を見合わせた。思わぬところで商談成立である。         

 加賀谷の妻という穏やかそうな女性がおいしそうな酒肴を運んでくれる。
自分が商売の役に立ったという嬉しさもあり、綾子は性懲りもなく杯をかさねた。
「おい・・・そのくらいにしとけよ。また歩けなくなるぞ。」
「だって・・・おいしいんだもん・・・お酒もお肴も。」
「・・・ふうん・・・でも、俺はもう嫌だからな・・・。」
「え・・・何が?」  

109:花とせんべい 13
12/04/27 23:21:29.52 ArJoiCbI
「・・・前の晩のこと覚えてない奴とスるのは・・・。」
「え・・・ちょ・・・ゆうちゃん!」
綾子があわてて声をひそめて祐一をたしなめた。
「こ・・・こんな所でそんな話・・・。」
「じゃあ、酒はそのくらいにして、腹減ったからラーメン食いに行こ。」
「もお~。せっかくいい雰囲気なのに・・・。」
カウンターの上の大きな花瓶に無造作に投げ入れられた桜の下で、ほろ酔い加減の
綾子が恨めしそうに祐一をにらんだ。

「おや・・・もうお帰りですか?」
「楽しかったです・・・また寄らせていただきますね。」
「・・・せんべいの件は、またお店にうかがった時に・・・。」
「はい。ありがとうございます。お待ちしてます。」
涼しい顔で加賀谷と挨拶を交わしている祐一の横で、綾子は顔が火照るのを
どうしようもなかった。

「もぉ・・・ゆうちゃんて意外と根に持つんだから。ちゃんと・・・覚えてるもん。」
店を出て歩き出してから、綾子が小声で言った。
「へえ・・・じゃあ、どんな順番だったか言ってみ?」
「じゅ・・・そんなこと、言えないよ!」
「ほら、やっぱり覚えてない。・・・やっぱり俺ってそれくらいのもん?」
「ち・・・違うって!」
「じゃあ、明日ちゃんと順番覚えてて報告しろよ?」
「え・・・。」
綾子が真っ赤になってうつむいた。祐一はラーメン屋の灯りを目指してさっさと
歩いていく。
「ま、待ってよ・・・ゆうちゃん。」
綾子があわてて後を追う。もうすっかり散ってしまった花びらが道路に散り敷き、
温かい風に舞っている、しあわせな夜だった。

110:名無しさん@ピンキー
12/04/28 06:34:44.58 rTFb+5Uw
>>97
GJ!
綾ちゃんの寝姿にモンモンするゆうちゃんがいいw!
綾ちゃんも旦那様の為に奔走して健気で可愛い。
今回もいい味のオリキャラが花を添えて楽しかったです(*´∀`*)


111:名無しさん@ピンキー
12/04/29 20:25:42.95 KKsj05Vt
>>97
あーんしてもらったり酔ったりして甘える綾子さんの可愛らしさとか
一回思い止まったのに結局襲わずにいられなかったゆうちゃんとかw
萌えましたわーGJ!

112:名無しさん@ピンキー
12/04/30 09:30:55.65 jLb+pI2f
グッジョブグッジョブ!!
綾ちゃんの寝姿にムラムラして襲う祐ちゃん最高w「可愛いんだか、エロいんだかわかんねーよ!」って本当に言いそうだあ
貴方の作品では、綾ちゃん23歳誕生日のお話も大好き!(もし違っていたら、ごめんなさい)


ふと思ったんだけど、
ゲゲも幾度となくフミちゃんの無邪気に眠る顔みて襲っていたんじゃないかなー

113:名無しさん@ピンキー
12/05/01 23:53:23.15 d043QW5q
>>96
62ですがネタ拾ってくれてだんだん!
おせんべいとお酒の組み合わせとは思いつかなかった…
お酒によってもたらされるエロス最高でした!

114:名無しさん@ピンキー
12/05/02 22:48:41.44 wXsctqKq
>>112
寝込みを襲っても仕方ないですねぇって受け入れてくれそうでそんなふみちゃんに萌えるし
そのへんに甘えまくるだろうゲゲさんにも萌えるw

115:名無しさん@ピンキー
12/05/04 08:41:16.33 EJptB3Xe
掃除して怒られて初めて意見してからの仲直りの自転車…やっぱたまらん!

116:名無しさん@ピンキー
12/05/05 11:43:25.06 UnUCn9bo
今日も朝からごろごろしまくったぜ…
自分この時期はリアルタイムで見てなかったし、見はじめた後もずっと昼ので見てたから
朝からこんな萌えを補給できる偉大さを初めて知ったよ!

117:名無しさん@ピンキー
12/05/06 20:41:29.83 F7b49vrd
「ハートですなあ」とかナニどこの学生カップルですかとw
墓場でまったりデートとか意表ついててたまらんわ。

118:名無しさん@ピンキー
12/05/07 13:05:40.90 m9/3dJQ/
すいません、綾子さんと祐一さんて誰ですか?

119:名無しさん@ピンキー
12/05/07 14:49:51.88 mvR4XfAP
「いちごとせんべい」でググれ

120:名無しさん@ピンキー
12/05/09 09:09:29.63 1SOPIVso
割れたせんべいも見るといいよ!

衿直しとか今日の「ないーっ!」とかのイチャイチャがもうほんとたまらん!

121:名無しさん@ピンキー
12/05/09 09:28:25.86 GdWHLjEv
奥さんに原稿料とりに行かせたというのは実話なんだけど、
「払い渋る出版社に、新妻を行かせればガードがゆるむかも。」
と言う作戦だったらしい。お嫁さんもらって嬉しかったんだね。
昔の自伝では奥さんに関しては実にそっけないんだけど、わりと最近の本には
空き瓶に野の花や百面相など、「これも実話?!」なエピが多くてほのぼの。
そしてそれをうま~く組み合わせる脚本の妙技に脱帽です。

122:名無しさん@ピンキー
12/05/10 09:56:45.67 RfdoJevu
>>121
「これも実話!?」ってほんと多いよね
本当に丁寧に聞き取って脚本作ったんだろうなぁと思う
ゲゲゲの丁寧さが本当に好きだ

そして今日の手先が器用なんだなぁイチャイチャはやはり至宝w

123:名無しさん@ピンキー
12/05/10 21:29:05.00 7Al0mO4M
>>122
ゲゲに手を取られただけで恥ずかしそうなふみちゃんはかわいいよねぇ。
やっちまってから「あ」と手を離すゲゲもどんだけ照れ屋なのかw

124:名無しさん@ピンキー
12/05/11 19:59:26.73 vZs0bol2
>>123
他意はなかったんだから堂々としてそうなもんなのに、照れちゃうあたり
いくらゲゲさんでもやっぱり普通に新婚さんなんだなぁと思ってニヤニヤしてしまうw

125:名無しさん@ピンキー
12/05/12 19:03:44.89 lz+cHhIP
あのものすごい喜びようのふみちゃんの頭を撫でてるしげーさんが素晴らしすぎて

126:名無しさん@ピンキー
12/05/12 22:05:49.77 fWBLChlM
ヤッターダンスのあと「あなた、すごいです!」ってゲゲもちょっと回らされてるなw
あの涙のあと、ぎゅっと抱きしめないのが本編の素晴らしさ
抱きしめたり、そのあともあんなことやこんなこと…と妄想して楽しむのがこのスレの素晴らしさ



127:名無しさん@ピンキー
12/05/12 22:30:19.50 av0oOMud
あんな奥さんいたら可愛くて可愛くてしかたないだろうな。

128:名無しさん@ピンキー
12/05/13 21:51:46.35 r4kL2FKG
生姜すりおろす姿とか褒めてるのが聞こえないくらいの集中っぷりとか
アシスタントしてるときもキレイかわいい

129:名無しさん@ピンキー
12/05/14 23:02:15.69 mv2JtJSA
今日イタチが風呂の後着てたのってきっとしげーさんの服だよね
あれ着てた時ってあったっけ?境港の時だっけ?
どれにしろあれもっと着てほしかったなー

130:名無しさん@ピンキー
12/05/16 17:37:56.79 DQzE8XIx
どんどん夫婦になってくなー
あー、ほんと良いなぁゲゲゲは
見てて心地好いし、そして何より萌えるw

131:名無しさん@ピンキー
12/05/17 11:05:43.25 9wWRTxCZ
いちせんパロです。
興味のない方はスルーでお願いします。

本編はいよいよ萌えがふかまるばかりなのですが、この辺りはちょっと
書き尽くしてしまっていて・・・。ゲゲふみはもう少しあとになります。
あ、もちろん新しい視点で新婚時代を書いてくださる方があれば大歓迎です。

自分は正直、いちせんは最初なんだか恥ずかしくて書けない!と思っていた
のですが、書いてみたら意外と書けるんですなこれがww
最初に書いたのが綾ちゃん23才の誕生日のお話なんです。
お褒めのレスをくださった方、どうもありがとうございます。

われせんでゆうちゃんが企画していた南国リゾートを実現させてみました。
この二人には、ゲゲふみが出来ないこと(デート、旅行、おしゃれ等)を
存分にしてもらえるので書いてて楽しいです。一方、ゲゲふみには
ゲゲふみにしか醸し出せないせつなさや萌えがあるわけですが・・・。

132:セント・オブ・ラヴ 1
12/05/17 11:06:46.74 9wWRTxCZ
「綾子、ちょっと盛り過ぎじゃない?」
「え・・・こ、これは元々こうなってる水着なんだよ!」
ちょっとシーズンオフのビーチリゾート。パラソルの下でサンドレスを脱いだ
綾子の水着姿は、小さなフリルがいっぱいついたフランボワーズ色のトップスと、
白い胸元の対比がまるでおいしそうなお菓子を思わせる。思わず釘付けになった
目をそらし、祐一は照れ隠しに綾子の胸をいつもよりちょっと豊かに見せる
水着に文句を言ってみた。
「・・・俺は内実を知ってるんだから、盛る必要なんかないのにな。」
「な・・・内実ってなによ!」
たしかに、ちょっと寄せて上げる効果のあるものを選んだのは事実だけれど、
お世辞でも少しはほめてくれたっていいのに・・・綾子は少しふくれっ面になる。
「怒るなよ・・・美味そうだなって思っただけだよ。」
「・・・うん。へへ・・・いい色でしょ?マカロンみたいで・・・。」
綾子がすぐ機嫌をなおして微笑んだ。
(そういう意味じゃ、ないんだけどな・・・。)
半年前にハネムーンに行ったきり、せんべい屋を切り盛りする生活に追われ、
結婚してから旅行らしい旅行に行くは今回が初めて・・・。リゾートで着る
新しい水着に心弾ませている綾子を、祐一はほほえましく見つめた。

 祐一と綾子が結婚して二ヶ月ほど経った頃、結婚後初めての夫婦げんかをした。
綾子の父の機転もあって仲直りしたのだけれど、その時、祐一が提案したのが、
この南の島への旅だった。ずっと前から考えてくれていたらしいこの旅行を実現
できたのは、それからまた三ヶ月以上経った今なのだ。
「はあ・・・やっぱり海はいいなあ・・・。」
祐一がデッキチェアに寝転がって気持ちよさそうにのびをした。
「うん・・・新婚旅行は雪国だったもんね・・・。」
「ま~だ恨んでんの・・・?新婚旅行は海外のスキーリゾート行こうねって言って
 猛練習してたの綾子じゃん。」
「う・・・だって、まさか4月にスキー出来るとこあるなんて思わないし・・・。」
「ところがどっこい、あるんだな~、これが。」 

133:セント・オブ・ラヴ 2
12/05/17 11:16:34.64 9wWRTxCZ
日本とは比べ物にならないくらい広大なゲレンデに『自己責任で』と看板が
立っているカナダのスキーリゾートは、猛練習したとは言えまだまだ初心者の
綾子には厳しいものがあった。
「で・・・でも、カナダも楽しかったよ。景色もきれいだったし・・・。」
スキーはハードだったけれど、大自然の中で思い切りあそぶ昼、雪をかぶった
お城のようなホテルで過ごす温かい夜・・・ハネムーンはやはり甘くしあわせな
思い出だった。
「あ~・・・でも、こうやって何にもしないでいるのが本当のバカンスだよね~。」
綾子も祐一の真似をして隣に寝そべる。
「あ・・・そうだ、サンオイル塗ってあげようか?」
「ん~。サンオイルってか・・・日焼け止めにして。」
「え~?せっかく南の島なのに、灼かないの?」
「だって、帰ってから真っ黒な顔して店に出らんないだろ?やっぱあんまり
 感じよくないよ。」
「そっか・・・。」
地域社会で商売をしていくというのは、なかなか気を遣うことなのだった。
(大人だなあ・・・ゆうちゃん。)
ちょっとしょぼんとした綾子に、祐一が笑ってサンオイルのびんを手にした。
「綾子はちょっと灼けばいいじゃん。小麦色の綾子ってのも見てみたいよ。」
「い・・・いい!私も日焼け止めにする。・・・もうじきお肌の曲がり角だもん。」
「いいから、塗らせろよ。」
「・・・きゃ・・・やめて、くすぐったいっ!」
大量のサンオイルを垂らされ、祐一の大きな手が背中と言わず二の腕と言わず
這い回る。
「もぉ・・・わざとくすぐったくさせてるでしょ?」
綾子もお返しとばかり日焼け止めを手に逆襲にかかる。・・・いい年をした社会人の
ふたりが、こんなくだらない行為に没頭できると言うのも、南の島の解放感の
なせるわざかもしれなかった。

134:セント・オブ・ラヴ 3
12/05/17 11:17:33.70 9wWRTxCZ
「うわー。やっぱり降ってきたね。」
「うん・・・すごい水けむり。スコールってやっぱ迫力が違うね。」
あれから数時間後。ビーチで楽しく過ごすうちに、雲行きが怪しくなってきて、
ふたりは早々にホテル内に引き上げ、早めのランチをとっていた。
「あ・・・いたいた!佐々木サン、さがしましたヨ~。」
声をかけてきたのは、現地のツアーコンダクターのチャンさんだった。中国系
マレー人の彼女は、小柄だがエネルギーに満ち、常にセカセカしている。
「アナタたち、ハネムーナーなんですネ?なぜ早く言わないカ?」
祐一と綾子は唐突な質問と彼女の迫力に押され、エスニック料理を食べていた
フォークを宙に浮かせたままぽかんと聞いていた。

「ツアーの小林さんから聞いたヨ。そういうことは早く言わなきゃだめヨ!」
綾子たちのツアーの他の参加者は中高年の夫婦や女性のグループが多かったが、
みんな旅慣れているらしく、お互いにプライバシーに踏み込んでくることはなかった。
ツアーとは言ってもフリータイムだけのこの旅行で、他の参加者と接触したのは
空港からホテルまでと、今朝の朝食の時あいさつをしたくらいだった。
「あ・・・そう言えば。あの女の人に『新婚さんですか?』って聞かれたんで
 『いえいえ、もう半年も経ってますから~。』って答えたんだけど、それかな?」
「一年以内なら、新婚ですヨ!ホテルに言って、ハネムーナー用のお部屋に
 替えてもらいましたからネ!・・・あ、それから、花嫁にはスパのサービスが
 ありますから、後でドウゾ!」
「はあ・・・花嫁・・・。」
チャン嬢は言うだけのことを言って、嵐のように去っていった。後に残された二人は、
半信半疑ながらフロントで聞いてみた。ハネムーナー用の部屋と言っても、静かな
環境にあるだけで別料金ではないと言う。鍵をもらって祐一は新しい部屋へ、
綾子はサービスを受けにスパのある棟へと向かった。

「と・・・遠いな・・・。」
綾子はスパを受けたヴィラを出て、教えてもらった新しい部屋を目指して歩いて
いた。スコールは勢いは弱まったもののまだ止まず、コテージとコテージの間の
回廊に屋根はあっても、水しぶきの飛んでくる道を歩き続けるのはけっこう
大変だった。

135:セント・オブ・ラヴ 4
12/05/17 11:18:41.68 9wWRTxCZ
「え・・・ここ?」
替えてもらった部屋は、宿泊エリアの最果てにあるのではないかと思わせるほど
中心部から離れた、入り組んだ入り江の突端に一室だけ設けられたコテージで、
鬱蒼とした木々に囲まれ、ベランダの下はもう海だった。
 鋳鉄の門扉を開け、さらに重厚なマホガニーの扉を開けると、ほんのりイスラム
調のインテリアの室内は白い壁とこげ茶色の木材で統一された落ち着いた色調で、
ベランダへと続く窓からは青い海が望まれた。
 
「わあ・・・素敵。」
ベランダに出て行くと、デッキにしつらえられたソファに祐一が寝ている。
「あ・・・おかえり。スパどうだった?」
「何これ?・・・うわー、動く・・・これ、ブランコになってるの?」
長さは少し足りないが、小さめのシングルベッドほどあるソファと思ったものは、
頑丈な鎖に支えられ、押すと静かにゆらゆら揺れた。厚いマットレスに大小様々の
クッションが置かれ、小さなジャグジープールから涼しい風が吹いてくる、こんな
ブランコでお昼寝したら、最高の夢が見られそうだった。
「ここ、いいねー。ちょっと遠いけど、部屋も広いし、こんなのまであって。」
「まあね・・・ちょっと隔離されてる感じもするけど。」
確かに、孤立した立地、鬱蒼と繁る熱帯の木々に囲まれ中が窺えない建物、扉が
二重になって一戸建てのような玄関・・・ここだけが別世界の趣きだった。

「あ・・・これ、アロマランプなんだ・・・いいにおい。」
テーブルに置かれた素焼きのランプには複雑な透かし彫りが刻まれ、芳香とともに
幻想的な模様を映し出している。部屋の真ん中には天蓋のついた巨大なベッドが
あり、紗のカーテンに覆われている。
「天蓋つきのベッドって、あこがれてたんだよねー。」
部屋中を撮影していた綾子が、紗のカーテンを開けてベッドの端に腰かけた。

136:セント・オブ・ラヴ 5
12/05/17 11:22:05.85 9wWRTxCZ
「でも・・・これはこっ恥ずかしいかも・・・。」
キングサイズのダブルベッドには、白やピンクの熱帯の花々でつくった巨大な
ハートマークが描かれている。
「うん・・・俺もちょっと正視できなくて、あそこに避難してた。」
祐一も部屋に入ってきて、シックな部屋でひときわ異彩を放つ花飾りを見下ろした。
「綺麗は綺麗だけど・・・寝たら、こわれちゃうよね?」
綾子がハートマークを写真におさめながら言った。
「きゃ・・・なにす・・・!」
祐一がいきなり綾子を花で出来たハートの上に押し倒してくすぐった。
「ゃめ・・・やめて・・・きゃ・・・ゃめっ・・・!!」
くすぐっていた指が止まり、綾子の腕を押さえつけて唇をかさねる。このまま
行為に雪崩れ込みそうな激しい口づけ・・・綾子はあせった。
「ん・・・ゅう、ちゃん・・・ったら。ま、まだ早いよ・・・。」
じたばたする綾子から祐一が手を離すと、あわてて起き直ってベッドから下りた。

「ウ・・・ウェルカムドリンクあるよ。せっかくだから飲も?」
汗をかいたシャンパンバケットの中のハーフボトルを綾子が取り出すと、ベッドを
出た祐一がそれを受け取って手際よく開けてくれる。酒を満たした細長いグラスを
手に、ふたりは籐のデイベッドに腰かけた。
「乾杯!・・・ハネムーンに。」
泡立つ黄金色の液体は、飲む者を特別な気分にさせてくれる。
「昼間からシャンパンなんか飲んで・・・バカンスっていいよね。」
綾子はすっかりくつろいで、サンダルを脱いで幅広いデイベッドの上に上がり、
クッションにもたれた。バティック柄のマキシドレスの深く切れ込んだスリットから
のぞく長い脚に、祐一の目が吸い寄せられる。

「・・・昼間から、他のこともしよっか?」
祐一はグラスからひと口ぐいと口に含むと、また綾子に口づけた。シュワシュワと
した口あたりと少しの酔い心地が、綾子の官能を呼び覚ます。             
「ど・・・したの?・・・ゆうちゃん。」
「外は雨だし・・・午後はここに籠ろ?」
バカンスのせいなのか、この環境のせいなのか・・・なんだかどんどんエロチックな
方向へ流されていってしまう。綾子も観念して羞ずかしそうにうなずいた。         
目を伏せた綾子の剥き出しの肩に口づけると、エキゾチックな花の香りがした。

137:セント・オブ・ラヴ 6
12/05/17 11:23:19.59 9wWRTxCZ
「いい匂いだ・・・。」
「ぁ・・・スパで・・・アロママッサージしてもらったから・・・。」
首筋に顔を埋めて香りを楽しみながら、脚に手を滑らせる。綾子があわててグラスを
テーブルに置いた。  」
「・・・まーたこんなケシカラン服着て・・・。」
身体に布を巻きつけただけのような構造のドレスを剥ぎ取って素裸にする。スパを
受けてきたばかりの肌はいつもにも増してなめらかで艶やかだった。
「・・・ゃ・・・私だけ・・・。」
祐一は笑いながら綾子を抱き上げ、花のしとねの上に下ろすと、自分も服を脱いだ。
「これ・・・一度やってみたかった・・・ような気がしてきた・・・。」
ハートマークを形作っていた花をすくいあげると、綾子の上に降らせる。
「ゃだ・・・はずかし・・・ん・・・。」
照れる綾子を花ごと抱き込んで、深いキス・・・。綾子も甘く応え、ふたりは官能的な
キスを繰り返しながら裸の身体をからみあわせた。
 滝のようなスコールはおさまったが、雨はしとしととした降りに変わっている。
雨に降り込められた二人だけの静かな部屋に、次第にたかまる綾子のあえぎが溶けて
いった。

「あや・・・もうこんなにして・・・。」
「ぁ・・・ゃぁあっ・・・!」
細い足首をつかんで広げ、蜜をこぼす花の中心に口づける。いつもなら焦らすところ
なのに、今日の祐一はなんだか性急だった。
「だめ・・・も・・・きちゃ・・・来ちゃぅうっ・・・。」
花芯を吸いたてると、綾子があっけなく達した。つかんでいた脚を離してやると、
綾子は無意識に背中を丸め、自分の腕で震える身体を抱きしめていた。まだ余韻の
覚めやらぬ身体を抱き起こして這わせ、いきなり後ろから侵入する。
「ぁ・・・あ――!」
綾子が悲鳴をあげてシーツをつかみ、、かろうじてハート形を保っていた花々を
撒き散らした。祐一は凶暴な衝動にかられ、綾子の腰をつかんで振りまわした。
「・・・ひぁっ・・・ぁあっ!」
啼き声をあげる綾子の汗ばんだ背中におおいかぶさり、花芽に指をあてがう。
「ぃやっ・・・いや・・・あ―。」
わざと指は動かさずに、腰をつよく振りたてる。綾子のなかが祐一を烈しく絞り
あげた。


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