12/05/17 11:06:46.74 9wWRTxCZ
「綾子、ちょっと盛り過ぎじゃない?」
「え・・・こ、これは元々こうなってる水着なんだよ!」
ちょっとシーズンオフのビーチリゾート。パラソルの下でサンドレスを脱いだ
綾子の水着姿は、小さなフリルがいっぱいついたフランボワーズ色のトップスと、
白い胸元の対比がまるでおいしそうなお菓子を思わせる。思わず釘付けになった
目をそらし、祐一は照れ隠しに綾子の胸をいつもよりちょっと豊かに見せる
水着に文句を言ってみた。
「・・・俺は内実を知ってるんだから、盛る必要なんかないのにな。」
「な・・・内実ってなによ!」
たしかに、ちょっと寄せて上げる効果のあるものを選んだのは事実だけれど、
お世辞でも少しはほめてくれたっていいのに・・・綾子は少しふくれっ面になる。
「怒るなよ・・・美味そうだなって思っただけだよ。」
「・・・うん。へへ・・・いい色でしょ?マカロンみたいで・・・。」
綾子がすぐ機嫌をなおして微笑んだ。
(そういう意味じゃ、ないんだけどな・・・。)
半年前にハネムーンに行ったきり、せんべい屋を切り盛りする生活に追われ、
結婚してから旅行らしい旅行に行くは今回が初めて・・・。リゾートで着る
新しい水着に心弾ませている綾子を、祐一はほほえましく見つめた。
祐一と綾子が結婚して二ヶ月ほど経った頃、結婚後初めての夫婦げんかをした。
綾子の父の機転もあって仲直りしたのだけれど、その時、祐一が提案したのが、
この南の島への旅だった。ずっと前から考えてくれていたらしいこの旅行を実現
できたのは、それからまた三ヶ月以上経った今なのだ。
「はあ・・・やっぱり海はいいなあ・・・。」
祐一がデッキチェアに寝転がって気持ちよさそうにのびをした。
「うん・・・新婚旅行は雪国だったもんね・・・。」
「ま~だ恨んでんの・・・?新婚旅行は海外のスキーリゾート行こうねって言って
猛練習してたの綾子じゃん。」
「う・・・だって、まさか4月にスキー出来るとこあるなんて思わないし・・・。」
「ところがどっこい、あるんだな~、これが。」