【主と】ハーレムな小説を書くスレ【共に】30Pat EROPARO
【主と】ハーレムな小説を書くスレ【共に】30P - 暇つぶし2ch393:御都合主義的に最強な男
12/08/05 20:33:08.23 C/HOa3O7
とりあえずこの話は終了です
力量不足を痛感するばかり

394:名無しさん@ピンキー
12/08/05 22:47:08.49 /aMIrVye
馬鹿め、十分エロいわ!

395:名無しさん@ピンキー
12/08/06 01:06:27.11 hSs+PtRi
>>393
GJ!

キャラの名前が某クイズゲームっぽくて、その意味でも興奮した。

396:名無しさん@ピンキー
12/08/06 09:58:49.65 aXivk2jv
>>393
GJ!
エロ調教ハーレムは大好物です!

397:名無しさん@ピンキー
12/08/06 21:33:28.09 KxRQvt5F
GJ!
最初は嫌悪から悪態ついてたのが、
最後には犯って貰う為に、生意気な事言ってるってとこがよかった。

398:名無しさん@ピンキー
12/08/06 23:10:45.34 dFUZfYNS
>>393
GJ!

最近投下が増えてきてるな、いい傾向だ
>>353はこのままずっと隔離スレにこもっちゃう気なのかね?
精進すればまともな作品書けるかもしれんのだから頑張れ

399:名無しさん@ピンキー
12/08/06 23:43:45.34 KpONrkNY
時代劇というか歴史物だけど考証をしてないのはいい?

400:名無しさん@ピンキー
12/08/06 23:55:05.40 KxRQvt5F
いんじゃね?
所詮はファンタジーな世界。
目くじら立てるやつもほとんどいないだろ。

401:名無しさん@ピンキー
12/08/07 02:51:43.72 X0EifbDi
>>393
こんなねずみ算式に広まるとはwGJ

>>398
精進とかまともとか何なの

402:名無しさん@ピンキー
12/08/08 01:20:18.05 OVd91RQ7
>>399
ちゃんとハーレム物になってるのなら、チョンマゲからビーム出してもOK

403:名無しさん@ピンキー
12/08/08 01:44:38.21 B7ua3Wk3
だよな。
みんな舞台女優の演技を見たいのであって、書き割りの精巧さを求めてる訳じゃないからな。
アニメにしろ、漫画にしろ、ラノベにしろ、考証の出来で評価が決まる訳じゃないと思う。

シチュと描写のエロさが最重要。
あとは舞台装置。

404: ◆DYW6d/nzvM
12/08/09 12:51:57.52 0DtedcTy
こんにちは。
「上津美千鶴の平穏な一日」の作者です。
ご報告が遅れましたが、百合許容スレの方に続きを投下させていただきました。
スレリンク(eroparo板)-190
一応、ご連絡まで。

>>399
将軍様が仮面ライダーと共闘しようが
仕事人の必殺技がプロレス技や有名野球選手のフルスイングだろうが
ヘルメットかぶった魔神ハンターが忍者だと言い張ろうが
面白ければそれで良いと思います。

405:名無しさん@ピンキー
12/08/11 14:56:36.61 kMoZWtc4
>>393様をみて、私も中世ファンタジーものを思いつきましたので投下します。
とりあえずテーマとして「男側はハーレムな現状に気づいていない」「ある一日の中で女性たちと男の関係を見る」
というのを掲げてみたつもりです。
注意点
・エロのない女性もいます
・若干(かなり?)倒錯した性癖もちの女性もいます(グロとかスカはないですが)
・作者はこの前「ダメ社員のはーれむ」を書いたやつです。もし前のが合わなかった方は気を付けてください

406:とある若者の休日ー1
12/08/11 14:59:25.21 kMoZWtc4
『朝ダゾゴ主人!ホラ、今日ハ朝カラ予定ガアルカラ起コセッツッタノハアンタダロ!』
「う~…そこは気を利かせろよ使い魔だろこの…」
『シラネエヨ!オラ、コノ俺様ガ早起キシテマデオコシテヤッテンダ、サッサト布団カラデナ!』
「あ~…わかった分かったおきますよ…ふぁあ」

僕の名はウルリッヒ・カモミール。親しい人にはウルと呼ばれている。
家はそこそこ名の知れた貴族の家柄だったが、父の代であれやこれやあって没落。
今では両親もおらず領地もなく、わずかに残った遺産を食いつぶしながら日々を生きている。
まあ僕自身何とか食いつながなければいけないので、去年16になるとともに王都の学院に入学、卒業したらなにかしら王国に奉仕する職業に就くつもりである。

昨日課題を片づけるのに徹夜したせいで眠い瞼をこすりつつ、ベッドから起き上がる。
…今僕が生活しているこの部屋は学院の男子寮だ。基本的に貴族の子弟が入るから設備はそこそこに豪華だが、家賃は学費に込みになっているのでそこまで高くはない。
学費のほうは昔の親戚の伝手で大幅に安くしてもらえたし。

『ケッケッケ、隈ト寝癖ガヒデェナァ?ナカナカ笑エルカラソノママ今日一日過ゴシテミタラドウヨ?』
「うっさい…起き抜けに耳元で怒鳴るなバカ使い魔…」

そしてこのさっきからやたらうるさいのが、僕の使い魔のエル。
種族はインプといって、大体僕の膝くらいまでの背丈で、小さな角のついたトカゲの体に羽を付けたような姿をした、悪魔族の中では最底辺にあたる雑魚モンスターだ。
大して素質があるわけでもない僕が魔術学科の講義の時どうにか呼び出せたので、せっかくだからと使い魔の契約を交わしてみたものだ。
まあ、僕に呼び出されただけあって力はほとんどなく、減らず口をたたいて飛び回るくらいしかできないが。
後はまあ、五感がすぐれているくらいか。犬よりも鼻が利き、フクロウよりも夜目が利くのは僕も非常に助かっている。
…最近は簡単な掃除とか洗濯も覚えたし、こうして考えると結構役に立っているなあ。

でも、やっぱり働きの割に魔力食い過ぎだと思う。こいつを使役するようになってから、僕の魔力は毎日7割くらいこいつに貢いでいる状態が続いているのだ。
…「やっぱこきつかうわけだし給与(?)は色を付けてやろう」とか考えてた当時の僕の大馬鹿野郎。契約の変更は死ぬまでできないんだからよく考えろよ。

「―っと、お前の減らず口の相手をしてる場合じゃなかったな。着替えたらすぐに出るから、留守番頼む」
『…アァ、昨日聞イタヨ、ソレ。健気ナ使イ魔トコミュニケーショントル時間モネエトハ、忙シイコッテ、ケケ!』

おや、何やら微妙に元気がないようだ。呼び出してから一年もすればなんとなくこの悪魔の考えることもわかってくる。
こいつ、割としゃべりたがりかつさみしがり屋なんだよなあ。悪魔ってみんなこうなんだろうか…いや、ないか。

「はいはい拗ねるな拗ねるな。今日の夜は課題がないから、お前の馬鹿話にも存分に付き合ってやれるよ」
そういって軽く頭をなでてやる。
『…ァ―ケケケケケ!分カッテンジャン!サッスガゴ・主・人・サ・マ♪』

現金だなあ。というかお前にそんなご主人様とか言われてもうれしくないって何度も言ってるのに。
どうせなら女の子に―って、本当に時間ないな。今日は学院は三連休の一日目だけど、その分普段出来ないことがたまってるんだ。

「そんじゃ行ってきます、いい子にして待ってろよー」
『ケケ、悪魔二イイ子トカ!―イッテラッシャイ』
うん、たとえ人間じゃなくても誰かが送り出してくれるってのはいいもんだね。
さって、まず最初に行くところはっと。

407:とある若者の休日ー2
12/08/11 15:01:53.95 kMoZWtc4
『ケケ。………行ッタ、カナ?』
あいつが部屋を出て行った後、足音が聞こえなくなったことを確認して、俺は変身を解く。
―しゅんっ

光が収まった後にあったのは、醜い小悪魔の姿ではなく…12歳くらいに見える、黒髪黒目、釣り目の美少女の褐色の裸体だった。
ただ、その背に生えた小さな一対の翼と、頭に生えた日本のかわいらしい角が、彼女が悪魔族であると主張している。

「―っはー!やっと羽伸ばせるー!あいついるとずっとあのきったねえ姿でいなきゃなんねえんだもんなぁー!」
その悪魔の少女―エルは、先ほどまで主人がくるまっていた布団に勢いをつけて飛び込むと、そのままゴロゴロとベッドの上で転がり始めた。

「あー、今日はあいついないしこの姿隠さなくていいから楽だわー!けけけ、何してあそぼっかな~?」
彼女はしばらくベッドの上で転がりながらいろいろと考えていたが―やがて、つまらなそうな顔をしてぴたりと回転を止めた。
ちなみに、今の状態を第三者の視点から見ると、『男の一人部屋で少女が男のベッドに全裸で寝転がっている』という社会的にアレな状況である。

「……あー、駄目だ。あいつがいねえと遊び相手もいないし…んっ」
そのまましばらく静止していた彼女だったが、やがて…その顔が徐々に赤く染まりだした。

「…んぁ、あいつのにおいがする…。すんすん…。―ふぁあ…♪」
一度その変化が始まると、もう止まらなかった。すぐに彼女は顔を布団や枕に押し付け、しきりに鼻をクンクンとひくつかせてはびくびくとふるえはじめた。
その手は片方が枕を抱き寄せ、片方が―すでに濡れそぼった己の股間を、ぐちゅぐちゅとかき回している。
やがて、快楽のうめき声に混じって独白が始まった。

「んっ…なんだよぅ、あいつぅ…。ふぁ、俺のご主人様なら、『女に化けてエロいことしろ』とか、ゃん、命令してみろってんだよぅ…きゃぅ!」

目を情欲に蕩けさせながら自慰を続けるこの少女は、当初からこの姿をとれたわけではない。
今の主人であるウルリッヒに召喚される前は、本当にどこにでもいるインプだった。
召喚されてから、毎日のように過剰ともいえるほど供給される魔力によって、魔物としての位階が上がった結果、レッサーデーモンとしての今の姿があるのだ。

「ったくぅ…ヒトの姿変えておいてさぁ…くひ、責任、っ、取れってのっ…」

なぜ彼女がこのような行為をしているかというと、単純に欲求不満である以上に、主であるウルリッヒに強烈な情動を抱いているためである。
―そもそも、彼女らのような低級の魔物は、生まれた時から家族の情など全く得られぬまま、死と隣り合わせで裏切りと不安に満ち満ちた生を送るか、他種族に使役され、ぼろ雑巾のように使い捨てられるものがほとんどである。
それが、今の彼女の主ときたら、魔力だけは毎日過剰なまでに供給するくせに、頼む仕事といえば今日のように戦闘など起こるはずもない部屋の留守番といった、人間の子供でもできるようなことばかり。
さらに使い魔とのコミュニケーションも、さながら家族にするような温かみに満ち溢れたものばかりで、それがまた少女の心を融かす。
極めつけに、―これは彼女自身、今の体になって気づいたことだが―本来、使い魔を使役するにあたって施されるべき『制御』の術式が、自身に全く施されていなかったのである。
この術式がなければ、もし使い魔が主に反抗した時に押さえつける(もしくは使い魔を消滅させる)手だてがない、ということになる。


「ったくさぁ、制御式つけわすれとか、ひぁ♪…普通落第だっての、ばーか…♪」

彼女の今の姿であるレッサーデーモンは、訓練を受けた兵士でも一人では太刀打ちできないそこそこ強い魔物である。
彼女はこの姿を得たその日、心にしこりを感じつつも、自分の力が十分すぎるほどに高まったことからその身に刻まれているだろう制御術式を打ち破って、主人に反旗を翻そうとし―そもそもそれが存在していなかったことに愕然とした。
泳がされているのか、はたまた純粋なミスか。
講義を終えて帰ってきた主人の答えは、「つけてほしいならつけるけど…、『身内』にそんなことするのは…どうも気が進まんねえ…」というものであった。
―その日の夜、彼女は部屋の片隅に主人から与えられた手作りの小さなベッドで、声を殺して泣いた。

408:とある若者の休日ー3
12/08/11 15:02:38.53 kMoZWtc4
…今も、彼女の体に制御の術式は施されていない。しかし彼女は、こうしてウルリッヒに仕えている。

「ばーか、ぁ、ばかぁ、あひぃ♪ひぃ、きぃい、―すきぃい」

彼女は、今の自分が比較的人間の女に近い姿なのは、主人に恋心を抱いたからだと確信している。

「すきぃ、すきだよぉ、ごしゅじんさまぁ、ごしゅじんさまあぁ♪」

また、彼女は今の自分が主に異性としては全く見られていないことも理解している。(というか、性別を知っているかも怪しい)
無論、主の前では醜い前の姿でいるからなのだが…。これにも一応理由がある。

「―なんでだよぅ、なんでおれ、こんなおとこみたいなことばづかいなんだよぅう、なんでこんなちんちくりんなんだよぅぅう…♪」
―ということである。つまり、自分の身体や言葉遣いなどに自信が持てていないのだ。
そもそも前の姿が人間とは程遠いものであった分、今の自分がかなりの美少女であるということに気づけないのである。
ちなみに彼女の美しい人間の女性の基準といえば、胸や尻が第一。…外見年齢的に、彼女には無理な話である。


「――――あ、」
と、そこで彼女の動きと喘ぎ声が急に止まる。


「――――」
見開いた彼女の視線は、ある一点、―彼女の主が、朝に急いで脱ぎ捨てて行った服の山―に、釘付けとなっている。


「―――――ぁあ」
特に、その中の、下着に。



「―ふゃあああああぁぁ♪ひゅごいひゅごいこれひゅごいいいいぃ♪ごひゅじんひゃまごめんなひゃいぃい、わるいこでごめんなひゃぃいいいひいいぃ――♪」
数瞬後、彼女の頭には男物のトランクスがかぶせられ、先ほどまで全裸だった上半身はだぼだぼのシャツをまとっていた。

「いひっ、いひひひひぃ♪のーみしょおばかになりゅぅ、あひ♪もーごしゅじんさまくんくんってしないといきてけないばかになっちゃうぅううぃいい♪」
魔物の嗅覚は軒並み人間の比ではなく、性欲もまた底なしである。
そんな彼女にとって、愛する人が一晩身に着けて体液のしみこんだ肌着などは、もはやそこらの麻薬すら凌ぐ劇薬となるのである。

「だいしゅき~…♪あ~…♪らいしゅきぃ~…♪あは、ひゅみゅううううう――♪」
理性などかけらも残っていない蕩けきった表情を浮かべながら、ベッドの上で淫靡にのた打ち回る悪魔の少女。
彼女はおそらく、主がこの扉をノックし、急いで自らを醜い姿に偽装するその時までこうして狂い続けていることだろう。

「うみゅうううぅ、ぴぃぃいいいいっ♪」
すごいのはこれを今まで隠し通してきた彼女か、それとも、―気づいていない主人のほうか。


409:とある若者の休日ー4
12/08/11 15:03:28.38 kMoZWtc4
ウルリッヒの部屋がいい感じに淫臭で満たされ始めたころ。
部屋の主は、校門を抜けて学院の敷地を出ようとしていた。

「ええと、まず昼前まではリッカさんの―」
「―ああ、いいところにいたわね貴方」
僕は頭の中で予定を整理していると、唐突に声がかけられる。―って、この声は…。

「…うわあ」
「―え、ちょ、ちょっと!人がせっかく声をかけてあげたのに『うわあ』って何よ!?」
「いや、だって…」
…案の定、振り返った先にいたのはこういう時は会いたくない女性だった。
学生によって構成される学院運営団体のトップ、レイリア・ハルベルト。

分厚い眼鏡にきっつい眼光、やわらかそうなはちみつ色のロングヘアとは裏腹の常にイライラしたような刺々しいオーラ。
顔はすごく美人なのに、入学してから一度として浮いた話を聞かない、『鉄の処女』とまであだ名される女がこちらを睨みつけていた。
ちなみにこの団体には僕も加入しているから、彼女とは比較的会う機会もあるのだが…毎度毎度、会うたびに何かしら仕事を押し付けられるのでどうも避けてしまう。
…なぜか、今は若干慌てているようだが…?

「―ふ、ふん。まあいいでしょう。それより今日も仕事よ。貴方のことだからどうせ連休で行くあてもないのでしょう?」
どこか取り繕うように言う(これまたなぜか目線をそらしながら。せめて人の目を見て話せと)彼女。…いや、普通に予定あるんだけど。というか貴女の中で僕はどれだけ寂しいやつなのかと。
…まあ、確かに学院の友達と遊ぶ予定はないけどさあ…。
とにかく、ここはきっぱりと断っておく。

「ああ、すいませんハルベルトさん。この後すぐ人を待たせてまして…」
「え…?―そ、そう、なら、いつなら空いているのかしら?」
あれ、今の返事そんなに目に見えてがっかりするところなんだろうか。

「あー、今日は一日予定が詰まってるんですよねえ…いやあざんねんだなあ」

後半は若干棒読みになってしまったが仕方ないと思う。なにせ、彼女の頼みを受けてしまうと、たいていなぜか彼女と二人きりで半日くらい拘束されたままさまざまな雑用に駆り出されてしまうのだ。
仕事中はちょっとでも無駄口を叩けば凄まじい剣幕で怒鳴られるし、かといって黙っていようにも彼女のピリピリした雰囲気のせいで非常に落ち着かない。
この辺は彼女の友達(僕の友達でもあるが)が最近は一緒に入ってくれるからよくなってきたんだけど、それでも隙あらばマンツーマンでやらせようとしてくるから油断できない。
…人間的に嫌いというわけではないんだがなあ…せめてもう少し雰囲気を柔らかくしてもらえたらと思う。

(…あ、残念だとは思ってくれるんだ…。―えへへ)
「…?どうかしましたか?」
「―な、何でもないわよ!」
ちょっと彼女が微笑んだように見えたのでどうかしたのか聞いたら怒鳴られた。理不尽だと思う。

「―あ、その、ええっと…あー、じゃあ、連休中は全部予定が入っているのかしら?」
なぜかあさっての方向を向きながら彼女がまだ勧誘を続けてくる…いやだから人と話すときは目を見て話しましょうよ。
―まあ嘘いうのもなんだし、正直に白状してしまおう。
「いえ、別にそういうわけじゃないんですけどね。明日なら一日空いてますよ」
「――そっ!…あぁ、そう」
そう答えると彼女の顔がぱぁ、と明るくなり、―一瞬でまたもとのイライラした仏頂面に戻ってしまう。
今のを維持してもらえればとっても可愛らしいのに…って、今もしかして僕墓穴掘った?
「一日空いてる」とか。―やばい、確実に丸一日仕事に付き合わされる!

「明日、明日ね…じゃあ明日は―」
「あああすいませんそろそろ約束の時間なのでこれで失礼しますね――!」
「え、ちょっと―!?」
僕にできることといえば、その場を全力で逃走することくらいのものだった…。―寮に帰るまでにせめて半日で済ませてもらえるような言い訳考えないとなあ…。


410:とある若者の休日ー5
12/08/11 15:05:06.00 kMoZWtc4
「……ああ…」
彼がいなくなった後、レイリアは目に見えて落ち込んだ表情を見せた。

「……はぁああぁぁ…」
「―や、今日もまた失敗だったねぇ」
「―気にしたら負け」
この世の終わりとでもいうような溜息をつき始めた彼女に声をかけたのは、校門から現れた彼女の数少ない友人二人。

「…なにがいけなかったのかしらね………貴方たちの応援がありながら……こんな………はぁぁあああ~~…」
「いやいや、レイリアにしては上出来だよ。一応明日空いてるってことだけでもわかったんだしさ」
「収穫は、十分」
口数の多いほうが、ミレーヌ・パルチザン。特徴は緑色の髪とそのメロンでも詰まっているかのようなバスト。
少ないほうが、ララ・キュイラス。特徴は赤髪とそのまな板でも仕込んでいるかのようなバスト(ウルリッヒ曰く「バストと言っていいのかこの平面は」)
この二人はレイリアのため、先ほどからずっと校門の陰に隠れ、念話の術式を通じて友人に助言を行っていたのである。

「でもさあ、レイリアってなんで彼にあんなきっつい態度取るの?惚れてんだよね、一応?」
「なぁああ!?だだだだっだれがだれにほほほっほほほほ―!?」
「落ち着くべき」
その真っ赤になった顔を見る限り、間違いなくそうであるようだ。
というか、友人二人にすれば今更である。なにせ、最近はことあるごとに話題に上るのがあの彼のことなのだから。

「……し、仕方ないでしょう!か、彼を前にしたら声が震えちゃってあんな風に変な大声になっちゃうし、は、恥ずかしくて、目なんか合わせられないから―!」
「そういうとこアピールすればいいのにさあ…。ちなみに目つきのほうは?」
「これは生まれつきだからしょうがないでしょうがぁ!」
「まあまあ」
ちなみに、レイリアがウルリッヒを仕事に連れて行くのも、彼女としてはデートに誘う感覚である。
まあ、いざその時になってみるとがちがちに緊張してしまってまともに会話することもできず、結果過剰なまでに真面目に厳しく仕事をするだけで終わってしまうのだが。

「だ、大体私は彼にただ恩を返したいだけであって、れ、れれ恋愛感情を抱いているわけでは―!」
この恩というのは、入学当初そのピリピリした雰囲気からなかなか友人のできなかったレイリアに、ウルリッヒが積極的に話しかけたりイベントのお誘いを持ってきていたことである。
彼の紹介のおかげでレイリアは少ないながら友人も持てたし、最近ではある程度その雰囲気もやわらかくなってきた節がある。
…ウルリッヒとしては、「何となく見た目的に勉強ができそうだからわからないところを教えてもらおうとして話しかけてみた」というのが始まりなのであまり恩をもたれても、といったところだが。

「―私は彼がいなかったらとうの昔に折れるか、人の温かさを知ることなく一生を終えるかしていたでしょうね。だから、せめて何か私に彼の為にできることがないかと思って…」
胸に手を当てて瞳を閉じ、普段の苛烈さを感じさせない柔らかな声で語るレイリア。
その姿はまさに―

「―どこからどうみても、恋する乙女だよねえ」
「激しく同意する」
「ちょ、だから何度も違うといってるでしょう!?」

飽きもせずに再び真っ赤になって否定するレイリア。
その否定の言葉を聞き、―ミレーヌの唇が、にぃ、と吊り上がる。


「―へぇ、……じゃあ、あたしがもらっちゃってもいいよね?彼、結構いいやつだしさ」

「……はい?」

「私も彼に興味はある。恋愛感情ではないが。―恋愛感情ではないが」
ぽかん、と口をあけたレイリアに、ララが追い打ちをかける。
言ってしまえば当然の話で、彼に紹介されてそこから仲良くなった友人であるこの二人は、レイリアよりも彼との付き合い自体は長いのだ。
まあ、その関係もたまーに話す異性の知り合いという程度のものだった―つい先日までは。


411:とある若者の休日ー6
12/08/11 15:06:37.62 kMoZWtc4

「やー、だって最近暇さえあればレイリアが彼のこと話すじゃん?で、あたしたちも彼と一緒に仕事する時間が増えたじゃん?そりゃ興味も持つってのさ」
「至極道理。よって私のこれはあくまで友情であって恋愛感情とは無関係」
からからと笑うミレーヌにあくまで無表情なララ。
―しかし、よく見ると二人とも微妙にほほが赤くなっているのはなぜだろうか。

「…ええええ?ちょ、ちょっと…?」
「―あ、そーいえばさぁ」
完全に事態についていけず固まっているレイリアを置いてけぼりにして、ミレーヌは話を続ける。

「こないだ、四人で魔法書整理の仕事したことあったでしょ?あんときさ、二人は気づいてなかったみたいだけど…彼さ、あたしの胸、ガン見してたんだよね―…」
びくん、とミレーヌ以外の二人の体が震える。
そうとは知らずにミレーヌは話を続ける。

「あははは!や、あれはさすがに恥ずかしかったなー!―あ、でも微妙に…ほんと微妙にだけど、ちょっとうれしかったかもね…、なーんて…えへ」
ちょっとどころではなく嬉しそうにふにゃりと顔を崩すミレーヌ。顔はもはやはっきりと分かるほどに赤い。

そんな幸せな回想に浸る彼女は、自分の身に迫る危機に気づくことができなかった。

「「―乳が」」
「―ひっ!?な、なに、どうしたの二人とも?」
地獄の底から聞こえてくるような声に、さすがに回想を中断して反応するミレーヌ。しかしすべては遅すぎた。

「ええええ男はそりゃあ大きいほうがいいんでしょうよ
その胸についているただの脂肪の塊に夢でも詰まってると思ってるのかしらね
ところでミレーヌわたしたち友達よね友達って大切なものは分け合うことが大事だと思うの
というわけでさあ今すぐその胸を分けなさいハリーハリーハリ―!」
「乳が、この乳がっ、この脂肪の塊が――!」
ちなみにこの三人でのバストサイズ比較は、トップを独走するのがミレーヌ(爆)、それに大きく離されてレイリア(やや貧)、さらにそこから大分離れてララ(虚)となっている。


「っひ、ふ、ふたりとも?な、なんでそんなに手をわきわきさせて―きゃあああああおかされるぅうううたすけてぇええウル君―――!!」
…数週間後、この日お嫁にいけないくらい揉まれまくったミレーヌの乳はさらにサイズを増し、ほか二人はかえって絶望する羽目になるのだが、まあそれは別の話である。




412:とある若者の休日ー7
12/08/11 15:08:49.02 kMoZWtc4
その頃ウルリッヒは、先ほどまで自分が話していた女性たちが揉んだり揉まれたりしていることなど夢にも思わず、
王都のはずれのとある空地へと来ていた。

―まずいな、校門で時間取られたから約束の時間にちょっと遅れた。
ああ、もういらっしゃってるよ…

「―うん、少し遅かったね?」
「す、すいませんリッカさん!」

そこに待っていたのは一人の妙齢の女性。

「ああ、リッカさんと呼ばれるのも確かにいいけど、稽古の時は何と呼べといったかな…」
「あ、す、すいません師匠」
この辺で見ない黒髪がきれいなこの女性はリッカさん。いつも涼しげな微笑を浮かべていて、何を考えているのかいまいち分からない人だ。美人だけど。
なんでも、異国の秘術や『気』とかいう変わった力を持つ武術を修めた方で、今は武者修行としてこの国に滞在しているのだそうだ。
彼女がこの街に来たばかりのころ、治安の悪いスラム街で野宿しようとしていたのを僕が見かねて止めたのが縁で、
今は僕が所有している使っていない小屋を仮住まいとして貸し出している代わりに、時間のある時に異国の秘術や武術の稽古をつけてもらっている。


「うん、まあよろしい。それでは今日も始めるとしようか?」
「あ、はい。よろしくお願いします!」
「うん、いい気合いだね。じゃあまずは型の稽古から行こうか」
「げ…」
「おや、何か問題があるのかな?」
「ああ何でもないんですよええ、なんでも!」
この人の型の稽古は、なんというか、苦手というか、なんだよなあ…。

「それならいいけど?…うん、じゃあまずはだね―」


「―うん、そこをもうちょっとこう、左にだね」
ふよん。
「あ、あああはいこうですか師匠!」
「んー?…もう少し、こう、かな?」
ぷにゅ。
「うぐぅ…!こ、こうですね…!?」

…今、僕は師匠に異国の拳法の型を教えてもらっているのだが。

「そうそう。…そのままもう少し、腰を落としてだね…」
「ちょっ!?」
むぎゅっ。

―なんでこの人毎回これやるとき、僕に密着するのだろうか。
今の僕の状態は、後ろから師匠に抱え込まれるような形で、時折師匠が指示を飛ばすとともに僕の手足を操り人形か何かのようにくいくいと動かしている。
達人だからなのか手足を引っ張られる痛みとかはないんだけれども…動かすたびに師匠の胸やらふとももやらおしりやらの柔らかい感触が押し付けられて…!
最近レイリアさんたちと仕事してる時にうっかりボディタッチしたりされたりすることがあるけど、正直これの経験があるとあの程度ではそこまでうろたえなくなってしまった。
(なぜかその後の彼女たちは怒るでもなくすごく悲しそうな顔をするのだが。―リアクションが薄くてつまらないと思われているんだろうか)


「うーん?…君はなんかいつまでたっても体の緊張が取れないねえ?筋はいいからこれさえ何とかなれば伸びるのになあ…?」
「さ、さいですか」
師匠は後ろからいつもの涼しげな笑みで僕の顔を見て―その視線が、ちらりと僕の既に勃起した股間のほうを向く。

「―うーん、本当に何でなんだろうねえ、この体の妙な緊張は…♪」
―こころなしか、後ろから押しつけられるやわらかい感触がより強くなった気がする。
ぎゃあああ絶対気づいててからかってるよこの人畜生。
あれですか、そんなに童貞いじめて楽しいですか。
くっそう、これでも昨日寝る前に、こうならないように何回か抜いておいたんだけどなあ。
…なぜかエルが使用済みティッシュを無性に欲しがっていたのはちょっと困ったけど。(ちなみにあげなかった。だってなんか目が血走っててなんに使われるか怖かったし)

413:とある若者の休日ー7
12/08/11 15:10:16.15 kMoZWtc4
「―うん、まあ、型はこんなものかな?」
「…は、はい…」
「おや、なんでそんなに疲れた顔をしてるのかな?そこまで激しい運動はしていないよ?」
貴女が押し付けてくるあれやそれやの感触に耐えるのに心が疲れました、とは言えない。
しかし、これはまだ序の口。この後に待っているであろう、アレに比べれば―

「よし、次は組手だな。私と一本、君は全力でかかってきなさい?いつも通り、私の身体に触れたら君の勝ちだ」
―うわあ…来ちゃったよ、アレ。
師匠との組手は実戦形式で行われるのだけど、僕が師匠の体に指一本でも触れば勝ちなのに対して、師匠には特に勝利条件とかは設定されていない。
あえて言うなら僕が戦闘不能になれば師匠の勝ちなのだが。
…しかし、こんな大きなハンデをもらっておきながら、僕は一度も師匠に勝ったことがない。
初めて組手をした時、開始時に「―ああそうだ、もし私から一本とれたら、私の躰を好きにしていいよ?」とか全く表情を変えずに師匠が言った時、身の程知らずにも期待したりしていた昔の自分をぶんなぐりたいくらいだ。
まあ、「痛いことすら覚えてない」っていうのはありがたいんだけどさあ…。―それでも、まったく手も足も出ないというのは、ちょっと悲しいものがある。


「うん、じゃあ構えようか。いつもどおり、始めの合図は君がやっていいよ?」
「はい…!」


師匠のほうは全く構えも取らず、いつもの笑顔のまま棒立ちになっている。
今日は初撃くらいは防げるかな、と、微妙に情けない考えを持って師匠を見据える。
―よし、行くぞ!


「―はじめっ―(どずん)―ぅぇ?」


…みぞおちに、衝撃。なぜか痛くはないのが逆に怖い。でも息ができないしめのまえがどんどんしろくなって――
「………け、ひゅ……ぁ…」
―ぱたり。
「―はい、終わり」
結局、いつものように僕がおぼえていたのはそこまでであった。
…毎回一撃で意識刈られて終わるんだよなあ…。踏み込みとか全く見えないしどうしろっていうんだろう。




私は、たった今私の拳が意識を刈った男の子を見下ろす。
「―――」
目に光はなし…うん、完全に意識はないようだね。
さて、今日も勝者のお楽しみタイムと行こうかな。

「よいしょ」
彼のズボンをパンツまで一気にずり降ろすと、すでにビンビンに勃起したペニスが現れる。
うんまあ、型の稽古の時から勃起してたのは知ってるしね。というか私がそうさせたんだけど。
まだ女性経験などないであろうこの子には、女の体を押し付けられたうえに、微弱な『気』を絶えず流し込まれたのでは欲望をこらえきれないのも仕方ないだろう。


414:とある若者の休日ー9(前のやつ8です)
12/08/11 15:11:48.96 kMoZWtc4
「ふふふ、今日は…そうだなあ、おまんこは前回やったからなあ…よし、君には初めてだけど―尻穴に挑戦してみようか?」
言いながら、自身の身体に『気』を濃密に循環させる。
この『気』を性交を通じて相手にもめぐらせることにより、まぐわいの最中は精力絶倫になり、そしてまぐわいの後は疲労やストレスがすっきり解消する効果が出るのである。
私はこの行為を稽古のたびに彼の意識を奪ってから目覚めるまでの間行っている。

彼のペニスの上にがに股で座り込み、ペニスに尻を擦り付けながら彼に言葉をかける。―先走りがねとねとと尻肉に染み付く感触が、私の脳を蕩けさせていく。

「ほーら…君のおちんちんが私のおしりにはいっちゃうぞ~?うんちする所だからきたないけど逃げないとはいっちゃうぞぉ~…?」
「―――」
「じゃあはいるぞ~?はいっちゃうぞ~?―ほぉら、はいっちゃったぁ…♪」
ぬぷ、と音を立てて私の尻穴が彼のペニスを亀頭まで飲み込む。

「あれあれぇ?まだ逃げないのかなぁ?…なるほどなあ、君はうんちのあなにおちんちんいれるのが好きな変態さんかぁ…♪」
「―――」
「ちがうっていわないんなら…ほぉーら♪」
私は返事が返ってこないことを確かめ(まあ、返ってくるはずもないが)そのまま一気に腰を落とし、ペニスを一気に根元まで銜え込んだ。
―ずぶぶぶっ!

「―んひゃぁっ♪…はは、いれただけでイっちゃった…♪君のおちんちん、最近少し大きくなったんじゃないか…?」
「――――ぅ」
―どく、どくどくどぶん…

「―ひぃ♪君もぉ、いれただけでイっちゃったかぁ…♪じゃあまず一回戦は引き分けだなあ♪―続いて二回戦、イってみようかぁ、っ♪」
「―――」
そして私は彼の精を絞りつくすべく、尻の筋肉に力を込めた―


「…ふぅ…♪いやぁ、さすが若いねえ?」
…とりあえず五回戦が終わったところで、私は一息ついていた。
ちなみに現在の戦績は私の三勝一敗一分。
……組手はともかく、こちらの『勝負』では最近黒星もちらほらと見え始めた。―まあ、彼の意識がないのと私が本気で奉仕しているわけでないというのもあるが、それにしてもすごいことだ。

「やれやれ、一回とはいえ師匠を負かしてしまうとは生意気な弟子だなあ…♪―しかし、今日は何となくいつもより元気がないかな…?」


415:とある若者の休日ー10
12/08/11 15:12:50.37 kMoZWtc4
もし体調が悪いのであればまた別の方法をとる必要も出てくる。
気になった私は、彼の身体に触れている場所―というか、まだつながったままの尻―から、彼のペニスの『気』の流れを読んでみることにした。
…ふむふむ、『気』の流れからして、昨晩か今朝のうちに何回か射精してるかな?だから出が悪かったのか…
―って!?

「…じ、自慰だよね…。まさかこの子に限って私以外の女がね、はは…。―いや、もし相手がいるとしたら…?」
少し、彼と私以外の女がまぐわっているところを想像する。―私ですら、まだ意識のある彼とまぐわったこともないのに?
冗談ではない、この子の将来は私がもらうと決めたのだ。もし、私に黙ってこの子を奪うやつがいたなら―

「―消すか」
彼の前では決して見せない殺気を込めた冷たい声が口から漏れ出す。おそらく、顔のほうもこの子が見たらそれだけで泣き出してしまうようなひどいものになっているだろう。
―っ!駄目だ、もうこの子の前では昔の私にはならないと決めたじゃないか!


―故郷で武術を極め秘術を修め、その果てに不老不死の体を手に入れた私を待っていたのは、それまで親しかった人たちからの迫害だった。
化け物、人外、鬼、お前なんて私の娘じゃない、誰かやつを討伐せよ、金に糸目はつけない、お前はこの国に災いをもたらす―
それはもう、好き放題言われた。毎日のように討伐隊が私の所にやってきた。―私は仕方なく、そのすべてを返り討ちにした。
そうしてしばらくすると、武器も持たない男どもが泣きながら攻めてきた。―私ハ何の感傷モなク、ソのすべてを返り討ちにシた。
その後もうしばらくすると、夫を返せ、親を返せと叫ぶ女子供もやってくるようになった。―ワタシハ哂イナガラ、ソノスベテヲカエリウチニシタ。
…私が過ちに気が付いたのは、かつての故郷に人が一人もいなくなってからだった。

どうしたらいいのかわからなくなり、肉欲におぼれ、酒におぼれ、殺戮におぼれながら各地を当てもなくさまよい、…そしてこの国にたどり着いた。
どうせ必要になったら殺して奪えばいいと思っていたので一文無しであった私は、その辺で野宿しようと考えていた。
まあ、寝ているところを襲われても襲いかえすなりすればいい、いや、そのまま好きなように犯させてやるのも一興か、などとも。
…そんな時、彼と出会った。
彼は私が向かおうとする場所は治安が悪く危険であること、もし宿がないなら自分の持っている小屋を貸すこと、ついでに女性だからもっと気を付けるべきということを真剣に説いた。
―誰かに心の底から心配してもらったのは数十年ぶりのことだったとはいえ、たったそれだけで自分からすれば実際は孫以上に歳の離れた子供に一目ぼれとは、我ながら思ったより安い女だと思ったものだ。


「―なあ、君はいなくならないよな…?私を追い出したりしないよな…?」
急に不安になって、返事が帰ってこないとわかっているのに問いかける。



その時、突然彼のまぶたが開き始めた。
「―ぅうん…?」
「―っ、なぁっ!?」



416:とある若者の休日ー11
12/08/11 15:14:19.02 kMoZWtc4
ば、馬鹿な!少なくとも昼までは目覚めないよう、念入りに『気』を込めた一撃だったというのに!?
…でもそれだけ成長したってことだし、何より私の呼びかけに答えてくれたようでうれし―って違う!
ま、まだ顔が!顔が怖いままだから、こんな顔見せたら怖がられてしまう!き、嫌われて―

「―駄目だあああぁっ!」
「―ひぎっ!?」
今の私の全速力で彼の後ろに回り込み、(彼のペニスを尻から引き抜く際に一度絶頂してしまったが気合いで踏ん張った)そのまま胸に抱きこむように頸動脈をきゅっと極める。
彼は起き上がろうとした矢先の息苦しさに開きかけた目を白黒させてぱたぱたともがくが、その程度の力では私の拘束はとても解けはしない!
さあ堕ちろ早く堕ちろそれ以上目は開くなそのまま堕ちてゆけ―!

「かはっ…!?なにぁ、―っあ…!………………んきゅぅ」
持ち上がりかけていた瞼の奥の瞳が焦点を失ってどろりと濁り、両腕からも力が抜けてぱたりと地面に落ちる。
よし、堕ちたな。これで今度こそ、昼まで目は覚まさないだろう。
…しかし。



「―あぁ、今の、可愛かったなぁ…♪」
暴れる両手が私の身体に当たるぺちぺちと弱弱しい打撃の感触。
締め上げるときに腕と胸に感じる抵抗、その抵抗が徐々に弱くなり、最後にはすっと消えていく感触。
堕ちる瞬間に吐いた、かすかな吐息の音。
上がりかけていた腕が必死に重力に逆らおうと震えつつも、徐々に落ちていく光景。
閉じることも開ききることも果たせず、焦点を結ばず蕩けきり、中途半端に瞼を開いた瞳。
恍惚とも苦悶ともとれる、脱力し切った表情。

ああ、何と可愛らしいことか…。できることなら失神寸前のところで寸止めしてずっと堪能していたかったなぁ…♪


「―……おっとと、鼻血が」
ああ、これはいけない、彼の服にかかってしまった。この後も予定があるといっていたし着替えを用意してやらなくては。
…いや待て、これで私の血が彼の体にかかったと考えれば、これも二人の契りの一つということにならないか?
………うん、なかなかいい案だ。目が覚めたら彼にこの服は大事にするよう師匠命令を下さなければならないな。
さて、昼までは時間があることだし、あと3~4回くらいはできるかな…?

417:名無しさん@ピンキー
12/08/11 15:17:47.89 kMoZWtc4
今回は以上です。…まだ昼ごはんすら食ってないですが、これで一日書ききれるのだろうか。
とりあえず今後の予定としては夕飯までは考えてあるので、もし見たいという方がいれば気長に待ってくださるとありがたいです。


418:名無しさん@ピンキー
12/08/11 21:29:23.03 DAjLUxI0
GJを贈ろう

419:名無しさん@ピンキー
12/08/12 00:17:08.42 H4qlK2Wf
Gッッ!! Jッ!!

420:名無しさん@ピンキー
12/08/18 22:37:39.23 XBJoatBp
続き待ってるぜ!

421:名無しさん@ピンキー
12/08/18 22:41:30.30 gcRv3aL8
気長に期待して待ってるよ!

422:名無しさん@ピンキー
12/08/18 22:58:32.71 KbvuBX9R
416の続きができましたので投下します。
例によってエロが少ないですがご容赦を。

423:とある若者の休日ー12
12/08/18 23:01:26.71 KbvuBX9R
師匠に一撃でのされた僕は、結局そろそろ昼食という時間まで昏倒していた。
…起きた時師匠の顔が目の前にあったのは驚いた。師匠、ひざまくらは非常にありがたいんですが感触がその…つらいです。あとなんで血で汚れた服をそんなに勧めてくるんですか。
というかこれ、師匠が流血するわけないだろうし僕の血だよな?…うわぁ、嫌だ。ご利益もなさそうだしただただ不快だ。
それはさておき体に異常がないことを確認し、昼食の予定は決めてあったのでそこへ向かうことにする。
師匠は「うん、おなかもすいただろうし今日はここまでだ。―え、私かい?……私は…。―もう、『おなかいっぱい』だよ♪」
と、やたらつやつやした顔で言っていた。…僕が気絶してる間に昼食を済ませてしまったんだろうか?もしよければご一緒しようかと思ったのになあ。ちょっとさみしい。

師匠に別れを告げ、ぐうぐうなるおなかを抱えて約束の場所へ向かう。
…師匠との稽古の後は、師匠の秘術のおかげで怪我もないどころか体中がすっきりして気分がいいのだが、なぜかものすごくお腹が空く。
あと、なんというか、こう―ナニかがものすごく減ったような、そんな気分になるのだ。師匠曰く術の副作用だそうだが。
これを解消するにはとにかくたくさん食べるのがいいとこれまでの経験で学んでいる。


「―というわけで、今日も特盛フルコースでお願いします!」
「何がというわけかはわかりませんがかしこまりましたっ!――ウルリッヒさん特盛はいりまーす!」
「あいよ特盛ひとつ!」

ここは師匠と稽古したところから少し離れた町の一角にある、一軒の小さな食堂。
夫婦とその一人娘の三人だけで経営しているが、夜は酒も出したりして規模の割に結構繁盛しているらしい。
僕は以前たまたまここに立ち寄ってから、値段の割に量も多く味も一級というここの料理をよく食べに来るようになった。
…まあ、料理以外にも目的はあるのだが。

「はいはいおまちどうさまですっ!パパ特製特盛フルコースウルリッヒさんスペシャルですよ!」
「おお…。―?…僕スペシャル、ですか?」
そういえばなんか前見た時より付け合せとか若干豪華な気がする。

「はい!ウルリッヒさんはもうお得意様の一人ですから!」
さっきからとても元気のいいこの子は、ここの夫婦の一人娘のアイーダちゃん。
いつもにこにこ元気印の看板娘として、料理と並ぶここの名物である(と、少なくとも僕は思っている)
僕より二つ下らしいその愛らしい笑顔は確かに目を見張るような美人というわけではないかもしれないが、見ているだけでこっちも元気になる心地よいものだ。
こういう娘だったら結婚しても毎日楽しいんだろうなあと思ったりもする。――まあ夢のまた夢だけどね!


とりあえずおなかが限界なので、料理を運ばれてきたそばから平らげていく。
「(がつがつ…)――いやあ、相変わらずこのお値段でこんなにいいもの食べていいのかっていうぐらいですね…(もぐもぐ)」
「ほえー!いつもながらごりっぱなたべっぷりです!足りなかったらおかわりもありますよー!」
「はいー…(もぐもぐ)」


昼間はそんなに人が来ないそうで、アイーダちゃんと席についてしゃべりながら料理を味わっていると。

「――(じーっ!)」
「…?」

なんか、アイーダちゃんがある料理を凝視していることに気が付いた。
なんでその料理だけをそんなに見てるんだろう………ああ、なるほど。

「――じゃあ次は、こっちの煮物を…」
「っ!(き、来ました、ついにこの時が!――ああ神様どうかまずいとだけは言われませんように―!)」

ぱくん。もぐもぐ―

「…うん、これもおいしいですね」
「あ、そ、そうで―」
「――ありがとうございます、アイーダさん」
「――はひぇえええ!?」


424:とある若者の休日ー13
12/08/18 23:02:35.32 KbvuBX9R
おおう、椅子に座ったまま飛び上がるとは器用な。
「にゃ、な、ななな、なんで私にお礼をいうんですか!?つ、作ったのはパパなんですけど?」
「いや、この煮物はアイーダさんが作ったものかなあと。…もしかして外れてました?」
この前来た時自分も料理の修業を始めたって言ってたのと、これだけ微妙に技術が拙かったのでなんとなくそう思ったんだけど。
突っ伏したアイーダちゃんの栗色の髪の毛をやさしくなでてあげる。
アイーダちゃんはこれが大好きで、こうしてあげるとまるで猫か何かみたいにフニャフニャとおとなしくなってしまうのだ。
「……ふぇ…?」
「そうすると、パパとママ以外でアイーダさんの手料理を初めて食べたのは僕ということになるんですか?」
「……ぁ……そう、です……」
頭をなでられる感触にとろんと夢見心地になっているアイーダちゃんに言葉を続ける。

「そうかぁ。…うれしいなあ。ありがとう、アイーダちゃん。僕なんかの為に料理を作ってくれて。すごくおいしいよ」
にこり、と笑いかけるのも忘れない。……キモい顔になってないだろうか、ちょっと不安だ。
というか敬語じゃなくなってるな僕…なれなれしいと思われてないだろうか。

「………………(ぽへー)」
あれ、真っ赤になったまま反応がなくなっちゃったよ。――いや、いくらなんでもこの顔色は赤すぎないか?
なんか瞳もうるんでるし、熱があるのかもしれん。

「えーと、顔がすごく赤いけど熱とかないの?無理しちゃだめだよ?」
「……………(ぽへー)」
「おーい?」
「…………(ぽへー)」
だ、駄目だ反応がない。
厨房のほうに助けを求める視線を送るも、返ってきた返事は、
「くく、あんたに任せたぜウルリッヒさんよ」と、パパさん。
「あらあらうふふ」と、ママさん。
僕にどうしろというんだ。えーととりあえず熱はからないとだめだよな。

頭をなでていた手をおでこにやってみる…うーん?よくわからんな。…あれ、また顔の赤みが強くなったような。
ほっぺたとか触ってみる…熱いとはおもうけどどれくらい熱いのか基準がわからん。……なんかまた赤みが増した気がする。いかん、早く何とかしないと。
――こうなったら最後の手段しかないか。だいぶ恥ずかしいけどこれもまあ役得と思えば。

おでこにあてていた手を、いったん離す。
「………っ?あ、はなしちゃ、や―」
なんかすがるような目で見られた。…そんなに撫でられるのが好きなのだろうか。
まあしかし、ちょっと我慢してもらうしかない。さっさと終わらせよう。

―僕のおでこを、彼女のおでこにこつんと合わせる。
「――――ひぇ?」
「うーん…」
か、顔近いな。さすがに恥ずかしい。で、熱のほうはいかに――
――って、あっつ!?こ、これはやばいんじゃないか?本格的に風邪なんじゃ…!?

「―あ?――あ―――ぁ―はぅっ☆」
ぽさっ。
「うぉわ、っと!?」
突然、アイーダちゃんが昏倒した。とっさに受け止めたが――まさかこれほどまでに体調が悪かったとは。
思い返せば僕が来店した時からほほがほんのり赤かった気がする。
くそ、恥ずかしがっているだけだと思っておしゃべりに付き合わせてしまった自分の馬鹿さ加減には本当にうんざりだ。ごめんな、アイーダちゃん。

「……ぇへ、えへへへ………♪…………うるりっひさぁん………♪(にへら~)」
………うん、表情とか見た感じうなされてはいないようでよかった。なぜ僕の名前を呼ぶかはわからないけど。
取りあえず食事のほうはもう終わってるし、この娘はベッドまで運んであげて、後はパパさんママさんに預けるとしよう。


425:とある若者の休日ー14
12/08/18 23:03:23.32 KbvuBX9R

アイーダちゃんをベッドに運んでいるとき、
「おいおい大将、そこはもうちょっと甲斐性みせてくれや。据え膳くわぬは何とやらだぜ?」
とか、
「ヤっちゃってもいいのよ?むしろ歓迎するわ、うちの息子になりましょう?」

とかいわれたけど、……あんたら娘をもっと大切にしてやりなさいよ。いや、冗談だとわかってはいるんだけどさあ。




――私ことアイーダは、夢見る女の子ですっ!
そんな私の大事な人は、パパとママと――それから、愛しの旦那様です!


「―アイーダ、今日の料理もおいしかったよ」
「はいっ!そ、それはもう、あの、…あ、あなたのため、ですからっ…」
「はは、アイーダは今日も可愛いなあ」
「あ、あううっ…!」
私は今日も愛しのウルリッヒさんの―愛しの旦那様の為に――ただ一人のためだけの心を込めた料理を作りますっ。

あの日―私の料理を彼がおいしいと言ってくれた日の夜、私は彼に告白し、そしてめでたく結ばれました…!
今はパパとママを含めた四人でお店を経営しているのですっ。
彼は学校に通っていただけあって、経理や仕入れなんかの知識がすごくあります。パパも毎日助かるってよくほめています。
お嫁さんである私としても鼻高々です!自慢の旦那様ですっ!
今日はパパとママがおでかけしているので、久しぶりに夫婦水入らず二人っきり、思う存分甘えたいと思いますっ!

「え、えっとですね!……その、今日はパパもママも帰ってこないですよねっ!」
「うん、そうだね?」
「で、ですから、そのですね、…え、、えっ、…えっと…」
う、うわああ!いつまでたってもこれを言い出すのは恥ずかしいです!
で、でも、いつもこういうときは―

「…ふふ、アイーダは可愛いなあ」
わしゃわしゃ。
「ううぅ」
駄目です、頭なでなでされると幸せすぎて全部どうでもよくなっちゃいます!そ、そうじゃなくって―
「うん、わかってるよ。…ベッド、いこうか?」
「…ふぁい」
えへ、やっぱりです。私の旦那様は頭がいいから、お馬鹿な私の考えていることなんてなんでもお見通しなんですよ。


ウルリッヒさんは私をベッドに連れてくると、やさしくやさしく服を脱がせてくれます。
その途中で頭をなでられたり、最近ちょっと大きくなってきたおっぱいの先っちょをつんつんされたり、背筋をつつーって指でなぞられたりします。
服を全部脱ぐまでは暴れたりしてはいけません。そんなことをしたらおあずけをされてしまうからです。
だから、私はちゃんと我慢します。
「はい、全部脱げたね」
「ぁ、あああ…はいぃ…、はひっ、はひっ…♪」
裸になるころには、私の身体はもう十分えっちになってます。いつでもウルリッヒさんを受け入れられますって全身が叫んでます。
でも、私の旦那様はちょっとエッチでいじわるなので、すぐには入れてくれません。ちゃんと、いれてほしいよ、っておねだりしないといけないのです。

「よし、じゃあ次はどうすればいいかわかるよね?」
「は、はぃい♪……わ、私の、お、お、おまん、―おまんこにっ!…ぁ、あなたの、ぉ、おち、おちん……ぁうう!」
あ、きょ、今日もまた言えませんでした…うう、私ってばだめなこです…。
で、でもウルリッヒさんは怒ったりはしません!…で、でも、ただその、ちょっと―

426:とある若者の休日ー15
12/08/18 23:04:33.63 KbvuBX9R
「…うーん、まだたりないかなあ?じゃあ―」
そういってウルリッヒさんは私のおまたに顔を近づけ―あ、そのお豆すったら――!



「――ちゅぷ…。…そろそろいいかな?…おーい、アイーダ?」
「…あ!……ぁひ!……あぅ!…ぁえ?」
どれくらい時間が経ったかわかりませんが、お豆を散々おいしくいただかれてしまったところでようやく許してもらえたようです。
私はもう、じっとしているだけでおまんこがえっちなよだれをだらだらとこぼしてしまって止まらなくなってしまいました。

「アイーダ?聞こえてたらまたおねだりしてみて。うまくできたらアイーダの大好きなものあげるから」
大好きなもの、ですか?わかりました、やってみます。
私はぐしょぐしょのおまんこがよく見えるよう、おまたをぱっかりと開いておねだりします。

「ぁい♪…あいーだのおまんこは、うるりっひさんのおちんちんがほしいよー、おちんちんがほしいよー、ってこんなにおしるをだしちゃってます♪
だからはやくおちんちんをここにいれて、おいしいせーえきをたくさんのませてあげてくら(ずぶり)ぁあひゃああああ――!?」
おねだりまだ途中なのに、おちんちんが入ってきちゃいました。
旦那様はたまにせっかちです。

「はい、よくできましたっ…くぅ、締まるっ…」
「ひぃぃい――♪いっぃいっ、ぃ――――♪」
散々したごしらえされていた私の身体は、最初の一撃ですでにとどめをさされてしまいました。
もう私にできることは、ウルリッヒさんが体を動かすのに合わせて壊れた楽器みたいに声を上げることくらいです。

ぐちゅぐちゅぐぼぐぼとおまたが音を立てるたび、頭の中が真っ白になります。
「あー――♪ぁ―――♪あぁあ―――♪」
私の体と心が、どろどろととかされていくのがわかります。
自分が自分でなくなって、旦那様だけのものにされていってしまうのです。

ぽふっ。
「――ぁあ!は、はふぁあ」


427:とある若者の休日ー16
12/08/18 23:05:42.32 KbvuBX9R
とどめとばかりに、旦那様は私の頭に手を置きます。――だからそれされたらぜんぶどうでもよくなっちゃうからだめぇえ!
そして、みみもとでこうつぶやくのです。

「――アイーダ、愛してる」
「――うきゃ」

そのしゅんかん、わたしのすべてがだんなさまのものになってしまいました。
おなかのなかでびゅーびゅーせいえきがはねまわるのをかんじながら、わたしはだんなさまにあたまをなでなでされてびくんびくんってふるえていました。
なんかわたしのくちからすっごいはずかしいこえがでてるきがしますけど、もうなにもきこえません。めのまえも、だんなさまのかおいがいまっしろです。
ああ、ここがてんごくなのかなあ?それともゆめ?あー、しあわせぇ…♪

……え、ちょっとまって、…『夢』?


「――ゆめなはずないですよぉ…。むぐぐ…、だんなさまぁ……えへへへぇ…」
「残念ながら夢だ。――おら寝ぼけてねえでさっさと起きろ!そろそろ夜の仕込みだろうが!」
「――ひょええええええ!?……んぅう?あれ?………旦那様は!?二人の愛の儀式はどこですかぁ!?」
「アホか!さっさと支度しろ!」

……パパにたたき起こされると、目の前には普段と変わらない光景。
旦那様…いえ、ウルリッヒさんは…ああ、そうでした、思い出しました。
私が恥ずかしさのあまり倒れてしまったんでしたね……だいぶ寝てたみたいですからもう帰っちゃいますよねそりゃ。
あは、あはは、あははははは…。

「――おやすみなさい」
再度布団をかぶって寝る態勢に入る。待っててくださいね旦那様、今行きますから。

「―うぉおおおおい!?仕込みだって言ってんだろうがぁ!?」
パパが布団をはぎ取ろうとしてきます!そ、そうはいきませんよ!私は寝るんですからっ!

「寝かせてやってくださいぃ!あの夢の続きを見るんですぅう!というか私いきなり真っ赤になって倒れるなんて絶対変な子だって思われたぁあ!!うええええん現実なんてくそくらえですぅうううう!!」
「お、落ち着けぇええ現実から逃げんなあぁああ!?」
「お願いですぅううう!私は夢に生きるんですぅうううう!!ねーかーせーてぇえええええ――!」

私ことアイーダは、夢見る女の子です…ぅぅう。
たまに、ちょっと夢の中に逃げ込みたくなることもある、そんなお年頃なのです…ぐすん。


「ふう、満腹…。しかしアイーダちゃん大丈夫かなあ?」
アイーダちゃんをベッドに運んだ僕は、次の予定があったので若干無責任とは思ったが彼女のことをご両親に任せて店を出ていた。
お二人は残ってほしそうだったけど、予定があることを話したら仕方ないと折れてくれた。
…ところで、帰るときにママさんに言われた「次は最後までちゃんと面倒見てあげてね」って、どういう意味だろう。
彼女、そんなによく卒倒するんだろうか。もしかしたら病気なんじゃないだろうか。僕は医学の知識は大してないのでわからないが。




「――で、どう思います?フィアナさん」
「……ええと、その。さすがにそれだけだとちょっと…」

むう、フィアナさんでもわからないか。ここらでは結構名の知れたお医者さんで、その上強力な回復魔法の使い手なんだけどな、この人。

「…というより、聞いた限りではそれは精神的な問題なのではないでしょうか?人間は何か強い精神的な負荷がかかると卒倒することもありますので」
「え、でも精神的なっていっても………ああ、もしかして僕がそんなにいやだったんだろうか……」
「…それはないかと」

ちなみにここは彼女の診療所。ぼろっちい教会跡だったところを国の教会から派遣されてきた彼女が修復したものである。
また、彼女の意向で身寄りのない子供たちを世話する孤児院も兼ねている。今も二、三人の子供たちがその辺を走り回ったりと騒々しい。
貧しい人から代金はとらず、少ない収入も孤児たちの世話に充てているという。…彼女の持つどこか厳かな雰囲気といい、絵にかいたような聖人っぷりである。


428:とある若者の休日ー17
12/08/18 23:07:26.02 KbvuBX9R
なんでこの方はそこで自分が嫌われているという認識に至るのでしょうか。……はぁ)
「ん?どうかしたんですか、ため息なんかついて」
「え?―ああいえ、何でもありませんよ?」

彼女の表情は初めて見る人なら愛想のない無表情に見えるかもしれないが、実のところは、泣く子も彼女が微笑みかければ一瞬で笑顔になると評判のとてもきれいな笑顔を浮かべるのだ。
(普段は本当に無表情なうえに子供以外にはかなりのポーカーフェイスなので、あんまり見る機会はないが)
さらに眼鏡の奥の瞳は知性の光をたたえ、様々な医学薬学、そして神聖魔法に通じている才女でもあるのだ。
…たまに頭が良すぎて僕みたいな凡人には何言ってるかわからないけど。

――ただ、ちょっと視点を下げたところ…胸部に存在している二つの超巨大な『兵器』―つまり、おっぱい―だけは、「母性の象徴ですから」といういいわけでは隠し切れない女性をこちらに伝えてくる。
かくいう僕もさっきから話をしながらそっちにどうしても目が行ってしまう。

「……ウルリッヒ様?先ほどから、妙に視線が――」
「―あああそうそう!もしお金が足りないようならまた援助しますよ!?遠慮なく言ってやってくださいね!」
「はあ…?しかし、実際に貴方も蓄えはそれほど」
「いいですからいいですから!世のため人のためですよあはははは!」

―あー、ウルにいちゃんごまかしたー!
―フィアナせんせーのおっぱいみてたんだー!えっちー!
「だまらっしゃいがきんちょども!そのような事実は一切ありはしない!ええい、散れっちれっ」
きゃー、とか楽しそうに叫びながら逃げていく子供たち。まったく、ばれ…げふん、誤解されてしまったらどうするというのか。

そんな彼女と僕が知り合ったのは、割と最近のこと。
孤児院のほうが経営難(というか完全に慈善事業だったので経営難もあったものではない)で危うく建物ごと差押え、という状況にあった彼女に
僕が援助を申し出たのが始まりである。それから資金の提供のほかにも労働力として子供の世話なんかもしているというわけだ。
…うん、後悔はしていないけど反省はしている。いくらなんでもその場のノリで残っている全資産のうち半分を提供したのはまずかった。
おかげで、このままの調子だと学院を卒業するころには僕はほぼ文無しだ。(もちろん、彼女にそこらへんは話してはいない)

「やれやれ…。まったく、それであなたまで路頭に迷うことになったらどうするのですか」
「あは、ははは…。その時はここで面倒見ていただこうかなあ、なんて…」
「そういう冗談、は――」

?…なんだろう、いきなりフィアナさんかたまっちゃったよ。
「おーい、フィアナさん?ふぃーあーなーさーん?」



その頃のフィアナの脳内。
(――ここで面倒を見るということはつまり孤児の子供たちの中にウルリッヒ様が入るということになるのですよね。
ということは、ということはですよ?…いけませんね、私としたことが少し熱くなっているようです。
ええ、落ち着いてシミュレーションしてみましょう。

…まず朝に起床しますね。ここの朝は早いですから、きっとウルリッヒ様も子供たちと同じで私が起こすまで起きてこないのでしょうね。
私はその寝顔を堪能し放題なわけです。いえ、それどころか「おはようのちゅう」というやつも夢ではないかもしれませんね。いえ、むしろ大変現実的な選択肢といえるでしょう。ええ。
そして朝食ではきっとまだ寝ぼけているウルリッヒ様は子供たちと同じで舟をこいでいるのでしょう。そこへ私が「まったく仕方ありませんねえ」とか言いながらこぼしたものをぬぐってあげたりさらには「あーん」とかもしてあげるわけですか。

昼間は私は仕事がありますが、今までの診療と子供たちの世話を両立させる生活とは決別できますね。彼には子供たちの世話をお願いしましょう。今でもかなり子供たちの受けはいいようですし適任でしょうね。
ふむ、私の負担も軽減されるわけですか。これは検討すればするほど大変利益がある選択肢ですね。
もちろん出かける際には「いってきますのちゅう」が必要ですね。ええ、様式美というやつです。
そんなことをされてしまうわけですから、私のほうの仕事の能率も上がらざるを得ないでしょう。当然、収入も増えます。増えるに違いありません。増やします。


429:とある若者の休日ー18
12/08/18 23:08:30.03 KbvuBX9R
ですが疲れはたまるでしょうね。まあ仕事量も増えますからやむを得ないことです。
ゆえに、帰宅したあと―ああ、「おかえりのちゅう」というのを欠かすわけにはいきませんね。
それはともかく、夕食は私の代わりに彼が作ってくれるのでしょう。正直なところ彼の料理の腕は大したものではないですが、労働を終えて我が家に帰ると温かい食事が用意されているというのは大変な幸福ですね。
無論、彼が作ったものということも重要ですが。…ふむ、これは考えれば考えるほど理想的な…。
そして食事が終わり、寝る前のお祈りなどが終わった後には、…………………ええ、神もこういっておられます。『汝、その伴侶を愛せよ』そして『産めよ殖やせよ地に満ちよ』と。
…ええ、愛しますよ。ええ、殖やしますよ。…ええ、こ、これはあくまで教義にのっとった行動ですので、私個人の欲望などとはとはその、あまり深くは関係していませんので。
…わ、私とて医者の端くれですので。ど、どこをどうすれば赤子を授かれるかくらいは存じていますとも。
え、ええ。男性の裸体なども見慣れていますとも。で、ですから、おそらくそういった行為を経験したことのない彼を私が指導する立場になるわけですね。
…わ、わたしもはじめてなのですが…――く、雑念が入りましたね、私としたことが。

それはまあさておき。行為の際にはやはり男性が上位となるのでしょうか。…さすがに私も実際に行為をしているところを目撃したことはないので、少々知識が足りませんね。
そういえば確かここで世話をしている男の子がいかがわしい書物を拾ってきたのを以前没収していましたね…。
あれによると行為には極度の快感が伴うということですが…書物の中では女性のほうが快感でろれつが回っていないような描写がありましたね。
………そ、そんなにきもちいいのでしょうか…ええい、邪念退散!

ま、まあ、仮に、仮にですが、私がそうなったと仮定しましょう、ええ、仮にですが。
彼はどのような感情を抱くでしょうか。驚く?それとも失望?
……いえ、先ほども私の胸を凝視していた彼のことです、こういったことにはかなり興味があると推測できますね。―というか、ばれてないとでも思っているのでしょうか。毎度お会いするたびに視線が釘付けなのですから嫌でもわかりますが。
こんなもののどこがいいのでしょう…しかし、彼はこれを気に入っているようですし…。
と、なれば………………触らせてあげたら、喜んでくれるのでしょうか………………。
―かはっ…!?な、なんですかこの衝動は…!む、胸がどきどきしてとまらない…!?こ、これは普段よりずっと…!おちつけ、おちつくのですわたし、彼が見ているのですよ…!

……ふぅ。何とか抑え込めました。
少々脱線しそうになりましたが…ええと、そして私と彼は子供を授かるわけですが。――ふふ、しあわせでしょうねえ…ここのみんなと、私と彼の子供と、わたしと、彼と―


…おや?私としたことが大変なミスを犯していましたね。その前に重要な過程を通るのを失念する所でした。
いけませんね、これは速やかに実行しておかなければ)


「――ウルリッヒ様、式はいつにいたしましょう」
「………はい?」
何やら10秒ほど固まったと思ったらこの人はいきなり何を言い出すんだろう。


「ええ、ですから式の日程ですが。ウルリッヒ様は学生ですのでご予定もあるでしょうから、私のほうが合わせます。…あまり待たされるのは、できれば避けていただきたいですが」
「いやだから、式って何の式なんですか」
「当然、結婚式ですが?」

430:とある若者の休日ー19
12/08/18 23:10:03.91 KbvuBX9R
何を当たり前のことを、という雰囲気で返されてしまった。
……というかフィアナさん、目が怖いんですが。なんというか逝っちゃってるというかどこか遠くを見ているというか、それ聖職者がしていい目じゃないような気がします。
それなのに表情がさっきから全く変わっていないのも余計怖いです。


「結婚式って、どなたのです?」
「それはもちろん、わた――ぁ…!?」
…そこまで言って、またフィアナさんが固まってしまった。
たまに奇行に走るよなあこの人。普段がすごくまじめそうな分新鮮でいいけど。

(ああああああああ私は脳内の出来事を現実と区別できないなんてそれでも精神修行を積んだ聖職者ですか教育者ですか医者ですかああああ
いえまだフォローはできます挽回できますというかこんなタイミングでけけけけっこんしきなんていえるわけがないでしょうがふざけてるんですか私
さあ考えなさい私の頭脳大丈夫私ならきっとできますなんといっても彼が「フィアナさんは博識ですよねえ」って褒めてくれたんですから当然ですけど嬉しかったですねふふふってだからああああ
冷静に冷静に考えろ考えろおおおおおおおぉぉぉぉ―――)

「……わ、わた」
「わた?」
「私と――」
「え、フィアナさんと!?」
「私、と――」



「――私と孤児院の子供たちです」
「はあ?」


「先日とある結婚式の祝福を務めさせていただいた時、子供たちが口々に自分もやってみたいといっていまして。
それで今度『結婚式ごっこ』をしようと思っていたのですが、どうせならできるだけ本物らしくしたいと思いまして」
「はあ」

―え、オレらそんなこといったっけ?
―しーっ!フィアナせんせーのいっせいいちだいのしょうぶどころなのよ!ここはしずかにしてましょ!

「そこでウルリッヒ様にも準備を手伝っていただけたらと」
「はあ。…あー、そういうことでしたら構いませんよ」
あー、びっくりした。一瞬本当に彼女が結婚とかしてしまうのかと思った。
(しょ、少々焦りましたがこれでいいでしょう。とっさの言い訳としてはなかなか――)


「あ、じゃあ僕もそれ混ぜてください。新婦役がフィアナさんとして、新郎役も必要でしょうし」
「―はひぇっ」
これでも貴族の教育とか受けてるわけだから、そのような作法も少しは知っている。
結婚式っていうと多分女の子のほうもやりたがるだろうし、こんなのでも男もいたほうがいいだろう。―後、もしかしたら彼女とそれっぽいことできるかも、なんて。
…そう思っての発言だったのだが。


431:とある若者の休日ー20
12/08/18 23:10:56.32 KbvuBX9R
「―――――」
(…新郎?……新婦?……え、誰が?……彼と、私が…?――かはぁっ…!か、顔が熱い、脳が、煮えてしまう…っ!?)
「…あれ?」
またかたまってしまった…。今日だけで三回か、やけに多いな。

「―――――――」
(こ、これはまさか暗に「貴方が結婚するならば相手は自分しかいない、むしろ結婚してくれ」というアピールなのでしょうか!?つ、つまりぷ、ぷろ、ぷろぽーず…!?―うわあああぁぁぁあああ――!?)
…しかし今度はやけに長いなあ…って、もう日が落ちてきてる。そろそろあそこいかないと…

「おーい、フィアナさーん」
「―――――――――はい」
(あああああああうれしすぎて世界がバラ色に見えます何か聞こえた気がしましたけど大して重要なことではないでしょう相槌でもうっておけばいいでしょう)
あ、よかった返事があった。

「僕ちょっとこれから予定があるので、すいませんが御暇させていただきますねー」

「―――――――――はい」
(そそそれよりぷぷぷっぷろぽーずですねええ嬉しいですよ嬉しいですとも正直今にも死にそうなくらいうれしいですともかっかかか顔に出てませんよね
しししかしここであわあわわ慌ててはいいいけませんよよよよ余裕をもって最高の返答をしなければっばばば)
なんかタイムラグがあって不安だが、まあ子供たちもいるし本人も医者だし大丈夫か。

「じゃあすいませんがこれで。さようならまた今度ー」
「――――――――――――はい」
(よよよしささささ最高の詩的かつ感情に訴える台詞を思いつきましたここここれでふふふたりははは晴れてごごごごごっごゴール☆インををををおををを)
よし、時間は有限だし急がないとな。
それでは失礼します。そしてさらばだがきんちょども、次はお菓子とか持ってきてやるからなー。




「――あああああああのわわわわわ私としてはそそそのお返事としましてはですね――!」


―せんせー、ウルにいちゃんもうかえっちゃったよー?
―そーだよー、だれもいないほうになにおはなししてるのー?


「……………………は?――はっ!?い、いつの間に!?別れの挨拶もなしとはどういうことですウルリッヒ様!くっ、どこに消えたのですか――!」

―せんせーがいつもの5わりましくらいゆかいだ…。「こいはもーもく」ってこういうことなのか…。
―こいするおとめだからしかたない…のよ、きっと…?

彼女の考えた最高に詩的かつ感情に訴える台詞とやらは、まだしばらく使う機会はなさそうである。

432:名無しさん@ピンキー
12/08/18 23:14:03.01 KbvuBX9R
今回は以上になります。あともう少しだけ続きます。
続きはまたいずれ。

433:名無しさん@ピンキー
12/08/19 01:18:25.84 +VpI95Tq
GJ ダメせんせいw

434:名無しさん@ピンキー
12/08/19 01:19:28.49 bX1+FBsn
乙!絡みが待ち遠しいな

435:名無しさん@ピンキー
12/08/20 00:04:34.73 bUdHb/Jh
よくある既にハーレムを築き上げた人の日常系が好きなんだよね、一日を追って行く的な
朝フェラで目覚めて複数の女性に囲まれながら一日を終える的な


436:名無しさん@ピンキー
12/08/20 02:44:37.02 YwJxwMgj
ハーレム結成済とか、ハーレム結成後とかやってほしいよね。

エンディングでハーレムエッチ1回だけじゃなくてさあ。

437:名無しさん@ピンキー
12/08/20 10:28:49.65 onvMZgrJ
ハーレム主の日常風景か…確かに無いよな。盲点?
職人はそれ系をもっと書くべき下さい

438:名無しさん@ピンキー
12/08/20 19:23:42.62 LPm+1VyZ
「か、葛城さま、ここはわたくしが
 命ぜられた御奉仕ですので」
「いいじゃない、元乳母には坊ちゃまの
 朝立ちを騎乗位で味わう権利があるのよ」
「え、葛城さん、どいてくれ。今日は
 惣流さんの大事な朝当番ソロデビューなんだから」
「まあ、そうなの。坊ちゃまの童貞ち○ぽを
 やさしく腟(なか)導いてあげたのは誰だったかしらね」
「わかってます。御恩は忘れませんが、
 誰にも大事な初めてがあるのです。」
「そぉお?じゃ、御当主様の舌技のおこぼれでもいただこうかしらね」
「葛城さん、ボクの鼻に栗当てて全体重かけちゃ苦しいじゃないか。」
「ピンピンしたのが空いてるわよ。ほら、惣流明日香、
 なにぼーっと見てるのよ。さっさと跨りなさい。」



439:名無しさん@ピンキー
12/08/20 20:01:14.35 q2ETQSfw
>>435
エロゲでも二次元ドリーム文庫でもそういうの意外に少ない気がする。
ここの住人はそういう日常系の小説結構書いてくれるからわかってるなぁとつくづく思う

440:名無しさん@ピンキー
12/08/20 20:06:49.95 2Du5aASd
>>435-437
最近の投下だと>>263のシリーズがそうなんじゃないか?

>>438
主の名前はシンジかw

441:名無しさん@ピンキー
12/08/20 23:50:22.65 bUdHb/Jh
こんな感じですかね
URLリンク(novel18.syosetu.com)

442:名無しさん@ピンキー
12/08/21 00:55:22.78 O+RKguxd
>>441
それ、更新されてないのがもどかしい。

443:399
12/08/22 03:30:03.14 3IntplM4
<御注意>
・考証なし江戸時代物
・実在の人物の性別が違う
・エロなし


444:399
12/08/22 03:33:20.13 3IntplM4
時は慶長の頃。
江戸のお城の廊下を歩く1人の男がいた。
男の名は本多正信。
徳川幕府初代将軍家康の参謀として重用されており
二代秀忠の代になっても変わらず中枢にて振るっている。
今回のお役目も終り帰る為に同行者を廻っていた。
正信は廊下の突き当たりまで来ると立ち止まり、
障子を開けると眉間に皺を寄せた。
「何をしている?」
正信に見下ろされてる形で問われたのは白衣を纏った者と黒衣を纏った者。
双方が相手の口の端に指をつっこんで引っ張っている状態で正信を見ている。
「にいひゃん!ころひょか!」
「あひふへ!しろひょか!」
同時に指もそのままで訴える。
「ええい、指を抜け!正座しろ!」
言われるや否や2人は衣服の乱れを直し正座した。そして
「兄ちゃん!黒子が!」
「兄上!白子が!」
また同時に訴える。双方が相手がいかに悪いかだけを言う。
いつもの事なので正信は2人がひとしきり言い終えるまで聴いていた。
そして2人が黙って正信の沙汰を待ったら口を開いた。
「天海、崇伝。毎度毎度、よくもまぁ争うと感心する。
 が、ここは相模じゃない江戸だ。時と場所は考えろと言ってるだろ?」
白衣の者、髪は艶のある白髪。天台宗の僧、名は南光坊天海。
黒衣の者、髪は烏の濡れ羽色。臨済宗の僧、名は金地院崇伝。
齢は十にいくかいかないかの童女のような体躯ではあるが
これでも正信の諮問相手として有能な2人である。
ただし2人の仲はあまり良くない。
双子の姉妹のように似た者なので同属嫌悪と正信は考えている。
「でも、黒子が!」
「でも、白子が!」
「これ以上酷いと京に送る」
正信の一言に2人は固まり、顔から血の気が失せ双眸からは涙が落ち始めている。
黙って正信は2人を見、2人も震えながら正信を見ている。
少しの間の後、正信は屈み2人を双肩に当て背をぽんぽんと叩く。
「これ以上酷ければ、だ。まだ仕事もあるしな」
「ごめんなさぁ~い」
「悪かったですぅ」
2人は正信の肩を涙やそれ以外のもので濡らした。


445:399
12/08/22 03:35:54.99 3IntplM4
2人の僧の一応の仲直りをさせて正信は次の場所に来た。
襖の前で立ち止まり、正信は少し声を大きくして言う。
「羅山。羅山、居るか?」
少し待ってみるが返答はない。
「羅山!寝てるのか?」
襖を見ているが開けられる様子も反応もない。
「羅山、開けるぞ?!」
正信はゆっくりと襖を開けてみた。
部屋の中は薄暗く天井まである物がそこかしこに置いてあり歩くのにも困るほど。
「なんで狭い部屋にこんなに物を置く…ん?」
正信は物に気を付けながら奥に歩いていくとつま先に何かが当たった。
ゆっくりと屈み、手で触れてみる。
むにゅ。
「あん…」
感触と声で正信はそれが何か理解した。
「おい!」
正信は先程とは違う所を軽く叩く。
「ん…そんな、激し過ぎます、正信さんたらぁ…」
「おい!!」
さっきより強めに叩く。
「あ、あぁ、刺激の中に快楽が!」
「…燃やすぞ?」
「起きました!目覚めました!」
薄暗がりの中、跳ね起きて正信と正対した娘は儒学者の林羅山。
「なんで衣をかけてるだけで裸なんだ?」
「精確に答えましょうか?
 それはですね、正信さんがあんな女ばかり構って私を蔑ろにしていたから
 ここ数日でとうとうもてあました性欲をはけさ…」
「わかった、わかった。やっと帰れるから準備をしろ」
「そうですか。じゃあ準備を…おっとその前に…」
羅山は正信の首に腕をやる。
「なんだ、この腕は?」
「ふふふ。せっかくいい状況ではないですか。このままお相手を~」
艶かしい笑みを浮かべて羅山は言うが正信は周囲に目をやり言う。
「こんな狭っ苦しくて、紙魚臭い場所でか?」
「こんなにいい場所はないですよ、わかってませんねぇ。
 沢山の本に囲まれ、正信さんに包まれ、もう堪りませんわ~」
「…本、蹴飛ばすぞ?」
「すみません、準備します」
林羅山は本偏愛者でもあった。


446:399
12/08/22 03:38:03.14 3IntplM4
正信が本の巣窟から出て伸びをしてると庭に2人現れた。
「正。準備が出来た」
「信。いつでも行ける」
1人は金髪の美女で胸が大きい。南蛮人のウィリアム=アダムス。
1人は銀髪の美女で胸が大きい。南蛮人のヤン=ヨーステン。
2人は生気に欠ける顔をしていて言葉も抑揚がない。
「アンジー、ヤスエ、ご苦労さん。」
「正。褒美」
「信。報酬」
2人の要求に正信は微笑を浮かべて少々荒く2人の頭をなでた。
少し2人の頬に赤みが浮んだ。
「これぐらいが妥当だ」
「正。了解。では戻る」
「信。納得。では戻る」
2人は少し行ったかと思えば止まってくるっと振り向き
「「正信。帰ったら、いつもの宜しく」」
そしてまた歩いていった。
「…帰りたくないな」
2人が見えなくなってからぽつりと正信は言った。
そんな正信の背後に冷たい微笑を浮かべる者が寄っていた。


447:399
12/08/22 03:40:09.75 3IntplM4
「帰りたくないなら、居ればいいではないか、弥八郎」
正信は声が聞こえるまでまったくもって背後の気配を感じれなかった己を恥じた。
そんな正信とは逆に声の主は背後から微笑みながら抱きしめていた。
「竹千代様、何故ここに?」
弥八郎は正信の幼名。
そして竹千代は正信の背後にいる涼やかな美貌をもつ
腰までの髪に姫君のような出で立ちに似合わぬ帯刀の徳川家康の幼名である。
「駿府にお前が来ないから迎えに来てやったのに酷い言われようだなぁ?」
「歳も歳ですから駿府までは遠くて」
家康はそっと正信の股間に手をやり布の上から弄り始めた。
「何人も囲って、まだまだここは現役のようだのぅ」
「いえいえ、そのよう…ぐっ!!」
反論は許さないように正信のモノを握る。
「童女や学者や南蛮人…商人もいたな…何故だ?」
「何故と言われましても…」
「何故、私のものにならぬ?!」
感情の高ぶりと共にモノをより強く握る。
「…」
「答えよ、弥八郎!!」
「わかりもうした!」
正信は返答し、家康と向かい合った。
じっと無言で正信は家康を見る。
家康も正信の瞳を見る。
「弥八郎…」
無言に耐えきれないのか少し潤んだ瞳を向けつつ桜色の唇を開く家康。
家康のなだらかな肩に手を正信は置く。
「竹千代様…」
正信の返しに家康はそっと瞳を閉じ待った。
そして家康は唇に感触を得て涙を流し、次を待った。
しかし、来ない。
もう一度の接吻も抱きしめられる事もそれ以上の事も。
「弥八郎?」
目を開けてみると愛しい者の姿は無く足下に紙があるのみ。
恐る恐る家康はそれを取って見る。
紙には ”相模に帰ります 御免 本多佐渡守正信” とだけあった。
「弥八郎ーーーーーーーーーーっ!!」



珍妙な集団が街道を歩いている。
「駿府の人、今頃どうしてるでしょうね?」
「兄上にちょっかい出す奴なんぞどうでもいい」
「父さ…兄ちゃんはあんな婆は興味ないよな?」
「正。次こそは消すか?」
「信。次こそは殺ろう!」
「殿…」
正信は遠くなった江戸の方角を見てつぶやき、そしてまた相模に向って歩き始めた。

448:399
12/08/22 03:47:56.20 3IntplM4
とりあえずこれにて。

僧侶がょぅι゙ょな理由とか
外人がああなのとか一応設定はありますが
いっそのこと幕府転覆を狙う蠍軍団まで出して
ハーレム軍団とかではじけた方がよかったかもしれません。


449:名無しさん@ピンキー
12/08/23 23:40:18.74 MoldkJrF
乙!

450:名無しさん@ピンキー
12/08/25 01:33:23.73 XKFxPTzb
おしとね天膳を思い出した

451:名無しさん@ピンキー
12/08/25 15:57:36.54 oPstIpm9
>>432
>>399
GJ!

女の子が悶々と悶える描写が好きなんで
とある若者の休日がどストライクだわ
あーやばい

452:名無しさん@ピンキー
12/08/27 12:19:51.73 hV8nivEh
とある若者の休日、続きができました。
今回で一応の完結になります。
注意点
・エロ薄い
・オチがひどい
・ラブコメを目指した何か
以上のことに注意してご覧ください。

453:とある若者の休日ー21
12/08/27 12:21:13.00 hV8nivEh
…ん?何か今誰かに呼ばれたような…?
……周りを見渡しても誰もそんな感じのそぶりは見せていないし、気のせいかな?
まあ気にしても仕方ない、今すべきは今晩の準備だ。
…よし、買いだめのほうはこれくらいでいいかな。ではあそこに出発だ!


…王都から、少し離れた郊外の森。
町のすぐ近くなのになぜか定期的に強力なモンスターが住み着くことで問題となっている危険な区域。
そんなところに僕はいた。

「えーと、確かこの辺に…おお、あった」
僕の目的地は、そこにある小さな遺跡。…といっても外から見たところでは、小さな建物の跡、といった感じの壁が少し残っているだけだが。
ただ、そこには――地下へと続く階段があった。
僕は迷うことなくそれを降りてゆく。

そして、その階段を降り切ったところには。



「――よくぞ来た。大儀であるぞ、ウルリッヒ・カモミールよ」

――白い、しろい、白い女性がいた。

背の高さは僕より少し低いくらいだが、それは本当は見上げるほどの巨体なのではと思わせるような威圧感を放ち。
地面につくほど伸びた髪は闇の中でもなぜか輝き、銀や白金がただの屑石に見えるほどのきれいな銀色。
肌は穢れを知らぬ新雪のごとき純白さで、羽織っている黒いローブにもかかわらず「白」という印象が全く薄れない。
そして、瞳はルビーのごとく真紅の光をたたえ、吸い込まれそうな怪しい輝きを放っている。

そんな女性が。

「ここより動けぬ妾に、こまめに供物をささげに来るその勤め…ククク。まこと、人の子とは思えぬほどよくできた男じゃのう…」
「……」

両手両足を、壁に鎖でつなぎとめられていた。
しかも壁には一面にびっしりと見たこともない魔方陣が描かれ、常に不気味に明滅している。
…初見だと確実にびびるよなあ。実際僕も、森で迷って初めてここに来たときはそうだったし。


「うむ。妾がこの忌々しき封印を破りし暁には、お主を我が不死の軍勢の将としてやろうぞ…」
「……えーっと」
「なんじゃ?不満なのか…?なんなら、世界の半分でもくれてやってもよいのじゃぞ?」
「いや、その…」

常人なら一瞬で発狂するか魅了されるような凄まじいオーラを放つ彼女。――明らかに人間ではない。
ちなみに僕は全く影響がないわけではないが…。

「よい、望みがあるなら申してみよ。この妾―『闇の妃・ニグラース』の名において、お主の望みをかなえてやろう」
「いや…」
「何が望みじゃ、ん?地位か…金か?そんなもの、いくらでもくれてやるぞ?」
「だから…」
「ふむ、遠慮はいらんぞ?なんでも申してみるのじゃ」
「そうでなく――」
なぜ、僕は比較的平気そうなのかというと…



「―――せっかく買ってきた夕飯が冷めるよ?今日はハンバーグなんだけども」
「―それを早く言わんか!わーい♪はんばあぐ~♪」
…この状態を知っているからである。


454:とある若者の休日ー22
12/08/27 12:22:30.16 hV8nivEh
「はい、あーん」
「あ~ん…はむっ♪もぐもぐ…うまいのじゃー!」
「まだまだあるからねー」
「おおー♪ウルはよくできておるのう、――あむぅ♪」

……さっきまで不要なまでにまき散らしていた威圧感がかけらも残っていないこの女の子は、ニグラース、というらしい。(ちなみに僕はニグと呼んでいる)
今は僕がハンバーグを切り分けて、一つ一つ「あーん」で口に運んでやっているところだ。(彼女は鎖の為に両手が使えないから、僕が食べさせるしかないのだ)
彼女と初めて会ったのは、僕が学院に入ってからすぐのこと。
課題で使う薬草を買うお金をケチって森まで採取に来たらモンスターに襲われてしまい、
何とか逃げ切ったものの妙な遺跡を見つけ、(そういえばあの時、遺跡を目にした瞬間モンスターが異様にビビッて逃げ出したような気もする)
地下を見つけて降りてみたら彼女がいたのだ。
最初こそ、彼女の威圧感と人並み外れた美しさ、そしてこの場の雰囲気に完全に気圧されていた僕だったが、彼女が僕の昼ごはんであるサンドイッチに気づくや否や
「ひ、人の子よ!そそそその手に持ったのは食べ物か!?た、食べ物なんじゃなそうじゃろう!たのむ、ゆずってくれ!せ、世界の半分とか普通にあげるから!たーのーむー!」
とかよだれ垂らしながらほざきだした時点で「あ、そんなにビビる必要もなさそうだ」と思ったのである。


「はい、これでおしまいっと」
「えー、まだ食い足りんのじゃ~…」
「肉ばかりじゃなくこっちのサラダも食べなさい!栄養が偏るでしょうが!」
「ぅえ~…。わ、妾は果物を食べてるからいいのじゃ…」
「わがまま言うな!」
「は~ぃ…うえええ、まずいぃ…なんでこの妾がこんなの食わなきゃならぬのじゃぁ…」
「『こんなの』じゃない!農家の皆さんに謝れ!」
「ふぇ~…」

…今目の前でニンジン食わされて涙目になっているこの子が自称している『闇の妃』というのは、僕でも知っている古代の強大な魔王だ。
700年ほど前、この地において魔の軍勢を率いたという、一人の存在があった。
彼女はこの世のなによりも白くありながら、黒き闇の力を極め、最盛期には神々ですら傷をつけられぬほどの魔力を持っていた。
そんな彼女も、神々とその眷属、この地に生きる人間や亜人たち、更には世界中から集結した幾百もの英雄たちの手によって多数の犠牲を出しつつもついに打ち破られる。
しかし彼女の強大すぎる力を完全に滅ぼすことはできず、地の底に封印されたのである……以上、学院で使っている教科書より。


「……ぅう、どうにか食したのじゃ…」
「はいはい次はピーマンですよ~」
「ぎゃあああああ!?や、やめよ、その悪魔めを近づけるでない―ゃ、ほんとむりゆるして―むぐぅううう!?」
「いや悪魔はあんただろうに。そらそら噛め、そして呑み込め」
「むぐ、むぅう!?(もっしゃもっしゃ)…に、にが…びぇええええええ!にがいよぉおおおお!」
「いや泣くなよさすがにさ」

…まあ、嘘なんだろうけどさ。だって本当だとしたら目の前の光景からして、力関係的に「神様<ピーマン」になってしまう。
大方、昔の偉人(?)の名をかたるそこそこの悪魔ってところだろう…それでも十分脅威には違いないか?でも怖くないしなあ…。
というか僕、魔力の感知とかの才能が一切ないらしいんだよなあ…。魔術学科の実技成績がひどいのもこのせいだ。そして、だからこそ彼女があまり怖くないというのもある。


「くっ、封印さえされていなければこのような無様は…ひっぐ」
「ああもう泣かない!ほら、オレンジジュース」
「ほ、ほんとなんじゃぞ?わらわはつよいんじゃぞ?…ごくごく…んまいのじゃー♪」
切り替え早いな。


―持ってきた食料も、大方食べ終わったころ。
「ふむ…。そろそろ『デザート』が欲しいのう…」
「――っ」
彼女がそんなことを言った。…うわ、今日もかよ…。


「ウル…妾は『デザート』が食べたいのじゃ…こっちに来やれ…」
「――っぐ」
彼女の赤い瞳が、心なし輝きを増す。
その瞳に引き込まれるように――気づけば僕は、彼女の目と鼻の先にいた。

455:とある若者の休日ー23
12/08/27 12:24:08.33 hV8nivEh
「ん…♪もう少し、頭を下げてくれんか…?」
「――っく、ぅ」
身体が勝手に動いて、彼女の肩に頭を預けるような恰好を取らされる。

「よしよし、いい子じゃ…。――では、いただきまぁす♪」
ぞぶり。
「―――ぎっ、ぁあああああああ………!?」

僕の首筋に、彼女の牙が突き立てられた。
同時に、凄まじい快感が僕を襲う。…これだけは、まだ慣れていない。そもそも慣れることはできないのかもしれないが。

「こくっ…こくっ…」
「ぁああ、ああぁ…ぁあああ、あぁ…」
彼女が喉を鳴らすたび、僕の中からとても大事なものが失われてゆき…代わりに思考を蕩けさせる暴力的なまでの快感が流れ込んでくる。
彼女に顔を見られない姿勢なのが幸いだ。今の僕は、とてもじゃないが他人に見せられるような顔をしていないだろうから。

「こく…ん…。この辺にしておくかのう…?」
「ぁ……ひ……もっと、すってぇ……」
もはや自分が何を言っているかすら定かでない。僕の理性はとうに微睡の彼方へと沈んでいる。

「ふふ、愛いやつめ…♪じゃが、これ以上血を吸うと完全に不死者になってしまうからの…それは本意ではないし」
「ゃあ…もっとぉ…おねがい、します…」
…よくわからないが、自分はなにかとんでもないことを言っているのではないか。そう思っても、体は言うことを聞かないのだが。

「じゃからの……いつもどおり、少し『分けて』やるわ♪」
そんな声が聞こえた瞬間、
つぷっ
「―あ」
また首筋に牙が突き立てられた……僕が認識できたのは、そこまでだった。

――どくんどくんどくんどくんどくん…!
「―っひ!?ぃいっ、ぎ!ァ、がガガ、がア、ぁア亜あ唖ぁあ亞―――!!!??」
牙から流れ込んできた『ナニカ』は、僕の意識をたやすく吹き飛ばした。





「―――――♪」
(ふふ、こんなに震えて…まっこと、愛いやつよ♪)
妾は牙から魔力を送り込みながら、もはやうめき声も発せずにびくりびくりと痙攣する愛しき人の子の頭を撫でつける。
…鎖?あんなものはただの妾が作った幻影にすぎぬ。そもそも、こんな封印解こうと思えばいつでも解けるわ。
ここに妾がとどまってやっているのも、すべてこの人間のためであるからな。

「――――――♪」
(ああ、感じるぞ…お主の体を妾の魔力が駆け巡り、作り変えているのを…)
…あれは、どれほど前じゃったか。
かつての妾は、自分はこの世のすべてを知り尽くし、そして凌駕しているなどと考えていた。…今思えばばかばかしいことこの上ないが。
そして、勝手にこの世のすべてに飽きてしまっていた。
…魔界のすべてを従えてみても、神やその軍勢、世界中の命と戦ってもその退屈は満たされず、全てに飽きた妾は普段ならたやすく敗れる封印の術式に自分から取り込まれてやったのじゃ。
そのまま、永久に眠るつもりだったのじゃが……。

「―――――」
(む、いかんな。これ以上は精神が持たんか?…名残惜しいが、今日はここいらが潮時じゃな)
―目の前の男に目覚めさせられたのが、しばらく前。
こやつときたら、かつて天地のすべてにおそれられた妾を前にして、第一声が「……えーと、こんにちは」なのだから、笑わせてくれる。
…もっとも、その直後に封印されていた間なにも食っていなかったことからくる空腹に負け、なんというかその…醜態をさらした妾もあまり人を笑えぬが。

456:とある若者の休日ー24
12/08/27 12:25:31.61 hV8nivEh
「―――ぷはぁ…。ふ、酷い顔じゃぞ…?」
「―――ぁう、あ…」
牙を離すと、完全に力を失ったウルの体は、そのまま床に倒れこむ―ところを、今度は両の腕でしっかりと抱きとめる。
そのまま、今は白目をむいて無様な逝き顔となった想い人を見つめ続ける。

―こやつに出会って、妾は自分がどれほどものを知らなかったのかを教えられた。
誰かとともに摂る食事のうまさ。
食事の合間にかわすどうでもよいような会話の心地よさ。
神すら退けた身がはじめて出会った、勝てる気のしないほどの強敵(…ピーマンめ…!あの味、神などよりずっと恐ろしいわ…!)
そして―――恋。

「ふふ…。お主の体を妾の魔力が作り変え、妾と同じ不死の体を与えるまで、あとわずか…。そうなった暁には、妾もここを出て、お主と共に生きようぞ…」
そうつぶやき、妾はその日を夢想しつつ愛しき人の体を抱きしめ――


―ぶぴゅ、べちゃっ。


「………ほぇあ…?」
なんかいきなり顔にかかってきた白い粘液に我に返った。
…なんじゃこれは?血、ではないようじゃが…。

「ぺろっ…むぅ、味は微妙じゃのう…、じゃ、じゃがなにか癖になるような…」
というか、これはどこからでてきたのじゃ?膿…でもないじゃろうし。
そう考えつつ、ウルの体を上から順に調べてゆき――

「………………」
股間から生えた立派な陰茎(ズボンはいつの間にかずり落ちていた)の先端にそれがにじんでいることを確認し、思考を停止させた。
……えーと。つまり、今の白いなにかは…こやつの……こだ、ね……?

目の前で、残っていた分がびゅびゅっと飛び出し、更に顔にかかった。

「―――っきぃやあああああああああああぁぁ!?」
こ、こここここここやつはなんあななんあなななんあなあなんああ――!?
こっこおここのわらわにぶっぶぶぶっかけじゃとぉおおお!?ふふふふふふざっけおってええええ!
だだだ大体そういったことはそのあの妾もまだやったことないしまずはまうすとうまうすのちぅから段階を踏んでじゃな――!
…なに、にま(ピーーーーーーーー)歳にもなって経験ないのか、じゃと!?――わわ、悪いかこの俗物が!
ち、知識はあるわ!低俗な魔物どもがやってたの見たこともたくさんあるからの!
ただその、相手がいなかったというか昔は興味なかったというかでも今は興味津々というか―


「―はっ!?」
い、今とても重大なことに気づいてしまったのじゃ…。
―こやつはたまに妾以外の女の匂いをさせてくることがある、というか今日もそうであった。
まあ別に心の広い妾としては愛人の一人や二人くらい大目に見てやらなくもないのじゃが…。

「て、てくにっくで劣ってたら、寝取られてしまったりはせんじゃろうか…やっぱり昔練習しておけばよかったかのう…?
い、いや、人間は初物をありがたがる習性があると聞くし、そこを推していけば妾にも――」

むむむ、と悩みに悩むかつての魔王(顔に精液ついたまま)の横で、ウルリッヒはしばらく気絶したままであった。
彼が目覚めるのは、魔王の顔にへばりついた精液が完全に乾燥しきって「うぎゃあああなんかかぴかぴするのじゃきもいのじゃああああ」とかいう絶叫にたたき起こされるまで待たなければならない。


457:とある若者の休日ー25
12/08/27 12:26:06.37 hV8nivEh


「…噛まれてからの記憶がない…」
正確には気持ちよかったことと、何か恥ずかしい真似をしていたようなことをおぼろげに覚えているだけである。
「ふ、ふははははは!ま、まあよいではないか!細かいことを気にするとはげるというぞ!?」
ニグはなんか不自然に焦ってるし…。というか、

「―封印から出られるんじゃん」
ここはすでに学院の門の前。僕はこれから寮に帰宅する所なのだが…なぜか封印されているはずのニグがついてきている。

「あー、これはあれじゃ、分身じゃ。本体は地下におる」
「へー」
便利だなあ。見た目では全く分からないけど。

(まあ実は本体なんじゃがな。一応魔力の隠ぺいはしてあるから気づかれはせんじゃろ)
「ん?何か言った?」
「ななななんでもないわ!それより、一度お主の寝泊まりする寮とやらを見たいと思っておったんじゃよ」
「ふむ、まあそういうことなら」
中に入るのは無理でも、建物を見せるくらいならできるだろう。

(ククク、番兵など妾の術で魅了してしまえばいくらでもいうことを聞くわ!後はこやつの部屋までついて行って…そして…。
……そして…まず何すればいいんじゃろう?―ま、まずい!こんなことなら子作りのやり方をもっと詳しく調べておくんじゃった!)
…またニグが一人で「ぬおおおおお…」とか悶え始めた。ここに来るまでにこれで5度目か。本当にこの子何がしたいんだろう。
なんて呆れていると。


「――ぜぇ、ぜっは、ぜはぁ、…み、みづげまじだぁ…!―ぐえっほ、うえっほ!」
「……アイーダさん?」
なぜか門の前にアイーダちゃんがいた。しかも全力疾走の後のように息を切らしている。ただ事ではなさそうだ。
ニグの方向から微妙に不機嫌そうなオーラが漂い始めた気がするが、まあそれは後回しである。
「えっと、こんな時間にどうしたの?もうそろそろ帰らないと危ないよ?」
「いえ゛っ!――――すー、はー…ふぅ。…いえっ、その、ちょっとお伝えしたいことがありましてっ!!」
「お、おおう…何かな?」
なんかいつもよりさらに勢いがいい。走ってきた直後だからか顔も真っ赤だし、ちょっと気圧された。
「じ、実はあのですねそのですね、私はですね――――」


その時、門の中から声がかけられた。
「あら、貴方帰ってたの!?………そちらの女性は、どなたかしら、ねえ…?」
何やら後半にものすごく怒気が込められた声。…ハルベルトさんか、また厄介な…。
「おかえり~…ってぇ!?お、女連れぇ!?しかも超美人だ!?」
何やら後半にものすごく事実への誤解が込められた声。……ミレーヌ?女連れってその言い方はよくないと思うんだけど。
「おか…え…―――あんな小さい子でも、私より大きい…ふ、ふふふ…」
何やら後半にものすごく現実への絶望が込められた声。ララちゃん……強く生きろ!
「「「……で、その子たちはだれ?」」」
…うわあ、怖い。特になんでかわからないけどいつもの七割り増しくらい眼光の鋭いハルベルトさんが怖い。でも返事しないとなあ。
「どうもこんばんわ皆さんそれでは私はちょっと用事があるので失礼をば」
「ま、待ちなさい!私たちが一体誰の為に今まで待っていたと――」
へ?もしかして僕を待っててくれたのか?
……そんな僕の疑問は、


『ソーダヨ、コノ女ドモ、ズット御主人様ヲマッテヤガッタゼ?』
我が使い魔の金切り声で氷解した。というかお前なぜここにいる。
「いやああああ!?ちょっと何言ってるのよこのインプ!?」
「ひ、人のプライバシーを漏らすのはよくないと思うな!」
「撃墜する…っ」
『ケケ、事実ダロガ』
三人組がなぜだか真っ赤になってエルを追い回すが、エルのほうは空中にさっさと逃げ、僕の肩に止まってきた。

458:とある若者の休日ー26
12/08/27 12:27:04.51 hV8nivEh
…なぜだろう、ニグから余計に不機嫌オーラが…?
「…エルよ、留守番はどうした」
『アー、…サボリ♪』
「おい待てこのダメ悪魔」
『♪』じゃねえよ、ハ虫類みたいな顔でウィンクとかされても不気味なだけだっての。
(…い、言えるわけねえだろうがぁ!ちょっとオナりすぎて部屋がメス臭くなっちまったから換気ついでに出てきたなんて!)
おろ?今何か聞いたことない女の子の声が…気のせいか。
まあ待っててくれたのはありがたいし、礼は言わなければならんでしょう。

「――僕なんぞのためにわざわざありがとうございます、ハルベルトさん、ミレーヌ、ララちゃん。…あと、エルも出迎えありがとな。次はちゃんと仕事してくれよ?」
「「「『っ!?』」」」
……あの、人がお礼を言ってるんだから、あからさまに目をそらさないでほしいんだけども。
そんなに僕の笑顔は直視に耐えなかったんだろうか…?

『…ケケ、オ安イ御用(やべえ今の笑顔だけで10回はイケる)』
「え、ええ、どうせ仕事のついでですし(い、今のは効いたわ…っ)」
「や、あは、あはは~…(ふ、不意打ちとか卑怯だよぉ…!)」
「…それほどでもない(…眼福♪)」

…なんだろう、返礼されているだけなのにこの…何とも言えない妙な感情は。
すぐ横ではニグに続いてなぜかアイーダちゃんまで「う、ぅううう…がるるるー!」とか威嚇?を始めてるし。
まあいいや、さっさとアイーダちゃんの要件とやらを聞いて――

「―目標捕捉、確保ォッ!!」
「ぐふぅ!?」
――いきなり飛び込んできたなにかに押し倒された。…なぜか痛みはないが。
今の衝撃で肩からエルが吹っ飛んだが気にしている場合ではない。
…し、しかしこの乗っかってるのはなんだろう(ぷにゅ)…なんかやけにやわらかいが…(ぷにゅぷにゅ)
「――はぁんっ」
……え、この声って。
慌てて起き上がる。

…目の前には、普段の鉄面皮からは想像もつかないほど顔を真っ赤にして、口元をひくつかせるフィアナさんの顔があった。
……ということは、今僕が揉んだのって…おっぱい?…やっべえ僕殺される。
「………ええ、い、今のは仕方がないですね、ふ、っふふ、不可抗力ですので…っ」
(―――ぁ、あふぅ♪いま、ちょっと楽園(ヘブン)が見えてしまいましたぁ…♪…へ、平常心、へいじょう、しんを…ぁ、まだ疼きが残って…ひぅう♪)

「…ゆ、許してくださいますか…?」
「すー、はー、すー、はー…はふぅ。…ええ、先ほど申しましたようにこれは不可抗力ですので。
それよりちょっと貴方に話したいことがありまして、ずっと探していたのですよ?ここに来れば会えるやもと思ったのですが」
フィアナさんまで僕を?…今日は変な日だなあ。何の用だろう。
「(――よし、神よ、私は逝きます!)――あの、私は!」
「はい?」



「――まあ待つのじゃ、そこの女」
「!?…なんです、貴女は!」
いきなりニグが会話に割り込んできた。その顔はさっきまでに輪をかけて不機嫌そうな感じだ。
…フィアナさんも負けじといつにもまして冷たい表情になっているが。そういえばフィアナさん、教会の人間だから悪魔とか嫌いなんだっけ。

「見たところかなり高位の存在のようですが…私とて国教会最高の対化物戦力『清浄騎士団』の端くれ、邪魔立てするなら――」
え、なにその設定。
「ちがうわ、阿呆が。……そこで見ている貴様、出てこい」

「――いやはや、まさかばれていたとは、ね」


459:とある若者の休日ー27
12/08/27 12:28:50.22 hV8nivEh
…突然、門の近くに生えている木の上から何かが降ってきた。
それは僕のほうに向かって直進し、素早くそちらを振り返ったフィアナさんをすり抜け――

「―ちゅー♪」
「―んむぅううう!?」
「なっ、なな、ななななななぁあああ!?」
――僕に濃厚なディープキスをかましてきた。
…って、リッカ師匠!?いきなり何やってんですか!?

「あな、あなな、貴女…!話に聞いていた異国の女ですね、何のつもりです…!」
「んー?…愛の告白?ライバルも思ったより多そうだし、文字通り唾をつけに?」
「はぁっ!?異端の分際で寝言をほざかないでくださいますか!?」
わーお、フィアナさんがこんなに表情を出すのは珍しいなあ。あと、『分際で』とか『ほざく』とか、聖職者が使っちゃいけないんじゃないですかね?
…ちなみに僕は、後ろにフィアナさん、前にリッカ師匠という形でぎゅうぎゅうサンドイッチされている。…胸の感触がもはや人を殺せるレベルだと思います、はい。

「な、なんなんですかあこれはぁ!?」「どういう状況よ!というか何人いるのよ!?」「え、えー?あは、あははは?」「……」『ゴ、ゴ主人…?』「ウルリッヒ様から離れなさい、この異端者!」「うん?嫌だよ?」

……何このカオス。
「―――静まれェっ!!」
…そんな状況を鎮静化させたのは、ニグの一喝だった。
おお…今だけなら自称魔王も信じる気にもなる、それだけの威厳があった。
動きの止まった女たちを見渡し、彼女は話を続ける。

「…貴様ら、どうやら見たところここに集まった理由は全員同じと見えるが?」
全員がうなずく…え、そうなの?初めて知った。

「ならば話は早い。全員まとめてその本懐を達せばよかろう」

「――っ!で、でも――」
一部から、声が上がる。
…しかし魔王は、それを鼻で笑う。

「っは、この期に及んで独り占めを狙うか?できるものならしてみるがよかろう。…この場にいる妾を含めた全員を敵に回す覚悟が、本当にあるならばな…!」
―ごくり、と、誰かが息をのむ音が聞こえた。

「まあ、よい。最後に選ぶのは妾でもなければ、勿論貴様らでもないのじゃからな。……のう、ウルリッヒよ」
「はい?」
僕?僕が何をどうすると?

「妾を含め、こ奴らの要件はすべてお主に行きつく…さあ、どうするのじゃ?…今更恨みもせん」
…そこにいる全員が、僕のほうを見ている。


…ああ、なるほど、そういうことか。
ついに、年貢の納め時。そういうことなのか。




「――わかりました。では――」
全員が身を固くする…思えば、本当にすまないことをした。
こんなこと、人には聞かれたくないだろうに。





「まずは――ニグ、君から」
「ぁ―――!?」
ニグの白いしろい顔に、ぱああっ、と笑顔があふれる…

460:とある若者の休日ー28
12/08/27 12:29:29.36 hV8nivEh
…あれ、なんでそんなに嬉しそうなんだろう?
まあいいか、腹くくって続けよ。






「―こないだ言った『肉食べ過ぎると死ぬ』っていうのね、アレ嘘」
「わ、妾もっ!……………………はぁ?」
「人間だけなんだってさあれ。だから肉食の魔物なんかは食べなくても大丈夫なんだってピーマンとか」
「…………………はぁ??」
だってそうとでも言わないと食べてくんなかっただろうし、いろいろなもの食べるに越したことはないしね。
それにしてもなんだその顔、さっきまでの威厳が消し飛んでものすごい間抜けな感じだなあ。
「ハルベルトさん、ミレーヌ、ララちゃん…先月の集会欠席したの、実は仮病でした」
「「「……え?」」」
「いや、課題が終わらなくて…」
「「「…いや、あの……え?」」」
仕方ないじゃない!あの教授がこっちが魔法実技下手なの知っておきながらあんなに出すんだもの!
「「「ええ~…」」」
珍しいな、この三人が完全にハモってる。


「し、師匠…」
「……は、はは…なにかな…ははは…」
?…なんでそんなに虚ろな笑顔なんだろう。
「今日もらった血の付いた服、あの後捨てちゃいました。さすがにアレは無理です」
だって自分の血だろうし。汚いし。
「あ、ははは、そうだよね、うん、わかってた…うん…ははは、は…はぁぁあ…」
そこまでへこむことだったのか…。


「フィアナさん…」
「――聞こえません聞こえませんこれは悪魔による私の人生設計を狂わせようとする巧妙な幻術の類です私は惑わされませんよ」
「すいません、孤児院の子供達が持ってた大人の本、アレ元の持ち主僕です」
捨てる場所に困ってたらあの子たちが欲しいっていうから、つい。
「あ――――!!ああ――――!!!きーこーえーまーせ――ん!!!あ゛―――――!!!!!」
うわあ…。本当に悪霊とかにつかれてるんじゃなかろうかこの人。


「う、うるりっひさぁん…」
「あ、アイーダちゃん。――ごめん!今日は体調悪かったのに無理させちゃって!お詫びにお医者さん紹介するから!…このフィアナさんは今はこんなだけど、
普段はとっても頭のいいお医者さんだから!今度見てもらうんだよ!」
「わたしはけんこーそのものですよぅ…」
「嘘つかない!今日だっていきなり倒れたでしょうが!」
まったく、元気印はいいことだがそれを売りにしすぎるのも困ったものだ。カラ元気では限界があるだろうに。
「ぁぅあぁぁ~~~…」
ほら、今だってこんなにしおれちゃってるじゃないか。


『ゴ主人…』
「お?なんだ、エル」
『…俺ハ?』
「お前に?……何か詫びなきゃいけないことあったっけ?」
『……アア、ウン…ソウ…』
なんかあったっけ本当に。お前のいたずらで困ったことなら山ほどあるが。

461:とある若者の休日ー29
12/08/27 12:36:14.90 hV8nivEh
「――さて!これにて僕の謝罪大会は終了ですね!」
気力を絞って声を上げる。…無論、この後無事で済むとも思っていない。
積み重ねていた自分の悪行が、この期に及んでついにばれたのだ。きっと彼女たちはその罪の追及に来て、こうして鉢合わせる羽目になったのだろう。
…というか、これ以外に僕をわざわざ彼女たちが尋ねる理由なんて思いつかないし。
幻滅されるだろうし、びんたとかももらうだろう。
でも、いい機会だった…本当は自分から謝りに行くべきなのにみんなに集まってもらったのは、心から謝りたい。
しかし、今日僕は謝ることができた!これで心のしこりもなくなったし、また明日から信頼をつちかっていけば――





「なぁあ、ウルリッヒくぅん…?」
――そんな僕の希望は、リッカ師匠の地獄の底から聞こえるような昏い暗い声によって粉砕された。
「まさか君ぃ…、それで終わるつもりかぁい…?」
…僕の肩にがっしりと食い込んだ師匠の手が、どんどん力を強めていく。…あの、すっごくいたいんですけど、なんかみしみしっていってるんですけど。
「は、は、はい、そう、ですが…」
「ああ、うん、分かった――――じゃあ、死ね」
ひぃい!?師匠の顔が鬼のように!?
同時に僕の両肩から「ごきゃり」という鈍い音が…やっべ超いてえ。

「ハルベルトさん、ミレーヌ、ララちゃん!た、たすけ」
「――ぷぎぃぷぎぃと豚のごとく鳴いて死になさい」「あはははははは♪…コロス」「排除排除排除―」
ちぃ、学友はダメか!ならば―

「ふ、フィアナさん、どうか救いを」
「――恋する乙女の怨敵すなわち神の子の怨敵すなわち神の怨敵すなわち我が怨敵
我はただ神の怨敵を魂の一片まで惨殺瞬殺滅殺必殺即殺絶滅し根絶する者成れば――」
やだこの人怖い…そ、そうだ、あの純真な子なら――

「あ、アイーダちゃん!」
「はーいっ♪なんですかぁ♪(庖丁を研ぎながらフライパンをぶん回しつつ満面の笑み)」
――言葉を交わさずとも心で伝わった、あれはヤバい。……な、なら――

「え、エル、エルはどこに―っていない!?あの野郎こんな時に限って逃げやがったのか―」
「―いや、逃げちゃいねえよ…?」
…え、だれだこの幼女。
「ただ、ちょぉ~っと今回、てめえに味方する気はねえようだがなぁ…!」
敵増えた!?なぜ、っていうか本当に誰!?



462:とある若者の休日ー30
12/08/27 12:37:20.26 hV8nivEh
…そして。

「…どうした?妾に助けは求めぬのか…?」
「あ、あは、たぶんむりかなあっておもいまして、あははははは…」
…魔力とかよくわからない僕でもはっきりと分かる、濃密な死と破壊の気配。
それが、僕の斜め後ろ――ニグのいたほうから。
…ちなみにそっちをむく気にはならない。きっと振り向いた瞬間僕死ぬから。

「いやいや…なんでも言う前からあきらめてはならんぞ?…ダメもとで言ってみたらどうじゃ…?」
「じゃ、じゃあ…………たすけ…て…?」
「ふふ、そうじゃのう――」



「――断る。さあ踊れ、塵芥―――!」

――やっぱりね☆



ちゅどーん!ごしゃーん!ざくっざくっ、どががーん!
―ぬわ―――っ!やっぱり悪いことするもんじゃないね――!


「「「「「「「「まだいうかぁああああああああああ!!」」」」」」」」

ぎゃあああああ…


――こんな感じに終わった、僕の一日。
いやはや久々にいろんなことがあったものだ…久々、かなあ?そうでもないかも。
だが、問題は…

(――明日と明後日も休みなんだよなあ…)
薄れゆく意識の中で、僕は生まれて初めて休日というものを呪った。

463:名無しさん@ピンキー
12/08/27 12:39:16.92 hV8nivEh
これで一応終わりになります。
…エロ薄いなあ。
それでは長駄文失礼いたしました。

464:名無しさん@ピンキー
12/08/27 16:12:56.64 +TJtVpP9
イイヨイイヨ

465:名無しさん@ピンキー
12/08/28 23:52:31.03 Tbgg5Rgw
主人公は女の子達を愛してる方がみんなの好みかな?
性格は悪いのにどうしてかモテモテで、貢いでもらったり愛の無い乱暴なSEXしまくりの主人公は嫌いかな?

466:名無しさん@ピンキー
12/08/29 00:01:26.15 hJps7iEz
愛の無いセックスもエロくて良いと思うが、性格が悪いのはキツイかも
要は娯楽として成り立つかどうかだと思う

467:名無しさん@ピンキー
12/08/29 01:01:38.54 UbOXedGS
主人公は、ヒロイン達をみんな愛してる、ってのが理想かな。
まぁ、その愛情に濃淡があるのは、物理的に仕方ない、とも思うが。


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