お姫様でエロなスレ14at EROPARO
お姫様でエロなスレ14 - 暇つぶし2ch169:名無しさん@ピンキー
12/07/03 01:50:52.07 ddIdbOZw
ロリ姫がいい

170:名無しさん@ピンキー
12/07/03 08:57:35.60 9KcggBjl
>>169
お付きの騎士に抱っこされてるのとかいいですね

171:名無しさん@ピンキー
12/07/03 20:11:18.37 drYjBdNg
では、流れを読まず投下します。

ユゥとメイリン10
8レスの予定

172:ユゥとメイリン10 1/8
12/07/03 20:13:19.00 drYjBdNg

……。

……………………………。

………………………………………………………………えっ?

「任地の南山[ナンシャン]に連れて行けないって、どういうこと? メイリンは僕に、ずっと一緒に
居てもいいって、言ったよね? 僕との約束を、破ったりしないよね?」

メイリンは、一度言ったことを簡単に覆したりしない。でもメイリンが最大の敬意を払っていて、
絶対的に信頼し、服従している『父上様』が、任地に僕を同伴してはいけないと言ったのなら、
一体どうするのだろう。心の中に不安が広がる。押しつぶされそうになりながらメイリンを見た。
メイリンは僕の言葉に戸惑うように瞳を揺らし、それからそっと目を伏せる。
「それは……その……、父上様の仰ることにも、一理ある。父上様が仰っているのは、ユゥを
今のままで連れて行ってはいけないということなの。それはまあ、わたしも少しはそう思っていたし……」
メイリンは長い睫を揺らして頬を染めた。もじもじと指先を組んだり外したり、せわしなく動かしている。

ん?

なんだろうこの感じ?

僕は思っていたのと少し違うメイリンの反応に、違和感を覚える。
「……あとは、ユゥの選択に、委ねられている。わたしだってユゥと共に行きたい。
だから……ね? 分かるでしょう。お願い……。」
メイリンは潤みを帯びた大きな目を上げて、まっすぐに僕を見つめた。その目に見つめられるだけで、
彼女の望むことならなんだって叶えてあげたくて堪らなくなる。
でも、一体何をお願いされるようなことがあるんだろう? 僕に言うことを聞かすなら、ただ命令すればいい。
奴隷である僕に選択権があるなんて、ここに来てから聞いたことも考えたことも無い。
なんだか、難しい質問に答えろと言われて、その答えのための知識をまるきり持っていない場面のような
気分だ。相手の望む答えを見つけなきゃと思っているのに、頭の中は空回りするばかりで、手がかりの
一つすら見つけられない。

「なんのこと? 言って。僕はいつだって、メイリンの言う通りにする─。」
メイリンは悲しげにふるりとかぶりを振った。
「それじゃあ、駄目なの。ユゥ自身が決めて、ユゥの意思で選ばないとだめ。」
違和感が更に大きくなる。僕の意思で決める? メイリンが突然何を言い出したのかが全く分からない。

メイリンはほとんど泣きそうだった。切なげに切実に、僕が何かの選択を─メイリンの望む選択を
─するのを待っている。なぜそんな表情をするのだろう? メイリンのために出来ることがあるなら、
僕は何もかもその通りにするのに。
「どうして?ユゥ。いつもみたいに、焦らして意地悪しているの? ずっと一緒に居てくれるって言ったのに。
それともやっぱり、わたしのことが嫌いなの。」
メイリンの大きな瞳の端に、ぷわっと涙の粒が盛り上がった。
そんなわけない。メイリンが嫌いなんて、ありえない。
さっきから何かが噛みあっていなかった。なのにメイリンはひどく混乱して、傷ついてさえいる。
「あの…ね、メイリン。落ち着いて聞いて。君のために、なんでもしてあげたい。どんなことでも。
でも、今求められているものが、なんなのか分からないんだ。奴隷である僕に、なんの選択が
許されているのかも。」


173:ユゥとメイリン10 2/8
12/07/03 20:15:20.84 drYjBdNg

「……どれい?」
メイリンは一瞬、大きな目を更に大きく見開いた。
「ユゥはわたしの従僕でしょ? なんで奴隷なの?」
急に問い返されて僕は戸惑う。
「えーと、そのふたつの違いが分からない……」
「刺青も焼印も押されてないのに、何で奴隷なの? 逃げ出して良民に紛れたら、分からなくなるじゃない。」
彼女は、奴隷と言うのは固定された身分で、消えない印をつけて所有された人たちのことだと言う。
「ユゥは捕虜。身柄はこの家で預かり、わたしが使うことを許されている……いまは。」
僕は頭を抱えた。そう説明されても、何が違うのか分からなかった。
「だからぁ、奴隷じゃなくて捕虜なんだから、何年かすれば放免されるでしょ。」
放免─?
もちろん聞いたことも無かった。ずっと何かしら踏みつけられて生きてゆくのだと思っていた。
それが故郷の人々を助けてもらった代償なのだと。
「じゃあ……万が一、今回一緒に行けなかったとしても、何年かして放免されたら、メイリンの任地に行ける?」
僕は少しほっとする。二度と会えなくなるわけじゃないんだったら、何とか耐えられるかもしれない。
でもメイリンは、僕の言葉を聞いた途端にきゅっと眉を寄せて思いっきり拗ねた顔をした。
「そんなこと……! わたしの……を断ったユゥを、わたしの領地に受け入れるはず、無いじゃない…!!」

…………………………………………………………………………………えっ?
なんかすっごい空耳を聞いたような気がする。
きっとそれは僕の願望とか妄想とかで出来ているに違いない。だってあまりに都合が良すぎる。
「いま、なんて言ったの、メイリン?」
メイリンは顔を真っ赤にして拗ねている。
「ユイウ兄様から聞いたでしょ。確かに伝えたって、そう言ってたもん。」
「聞いてない、聞いてないよ。誓って言うけど、それを匂わせるようなことは、一言だって聞いてない。」
もし欠片ほどでもそれを思わせるようなことを言われたら、僕は天まで舞い上がっていたに違いない。
「だって兄様が、何度もよぉく言って聞かせたって。」
「僕がいつも言われていたのは、『妹は誰にでも優しい』、『お前はただの下僕』、『勘違いするな』、
『身分を弁えろ』。それだけだけど。」
「だって…、だって…、兄上様が、女の方からそんなことを直接言うのははしたないって言って……。
自分がちゃんと伝えたから、お前は黙ってろって……!!!」
メイリンは少しずつ僕の言ったことを聞いてくれているようだった。真っ赤なまま目を見開いてぷるぷる
震えている。

「一言も聞いてないよ。命を賭けてもいい。」
だからもう一度言って、と言おうとしたとき、メイリンはもう風のように駆け出していた。
「どういうこと?! どういうことなの?! 兄上様!! ユイウ兄様─!!!!」
ふわりと風に靡く裳裾を翻し、凄い速さで回廊を駆け抜けてゆく。


暫く茫然としていた僕は、ユイウ様が昼間は出仕していて邸の中にはいないことを思い出す。こんな
中途半端な空耳を聞いたまま放っておかれるのは御免だ。
なんか、メイリンの口から、求婚、という言葉が出ていたような。ただの願望かもしれないけど。

僕はメイリンが外出の用意をしたのかと思って、馬車の様子を見るため厩に先に行ってみた。それから
門番にも聞いてみた。どちらにもメイリンは来ていないようだった。メイリンが外出するようなら、
引き止めて、せめて僕に報せて欲しいと頼んでそこを離れた。
それからメイリンの房室にも行ってみたが、やはりメイリンの影は無かった。


174:ユゥとメイリン10 3/8
12/07/03 20:18:36.25 drYjBdNg

なんとなく、僕は邸の南側に足を向けた。いつかメイリンが言っていたのだ。一人になりたいときそこへ行くと。
北向きの庭園には、まだ僅かに残雪があった。けれど南向きの庭にはもう雪は無く、代わりに白い梅の花びらが
残雪のように地面を彩っていた。
清冽な香りの中、梅園の一角に、大き目の庭石が配置されている場所がある。そうっと足音を殺して近づくと、
庭石の向こうにメイリンの細い編み髪が見えた。膝を抱えて座り込んでいる。
「メイリン。」
僕が声を掛けると、彼女はびくっと肩を震わせた。
「何で泣いてるの。」
メイリンは目を真っ赤にして泣きはらしていた。ひっく、としゃくりあげる声が聞こえる。
「もう、いいもん。ユゥだって、いきなり言われても困るだろうし。」
はっきり聞く前からいきなりいいもんとか言われても困る。まだ返事をする暇さえ与えられていない。
メイリンの顔を覗き込むように、僕は腰を下ろす。泣きはらした顔も、やけに可愛い。
「まだ聞いてない。」
「ユゥはいつだってわたしに、つれないもん。一緒にいるのは良くても、結婚するのは嫌なんだ。
わたしが、我儘だから?」
妙な方向に考えが暴走してるみたいだ。どうしてそこで泣いてるのか、訳が分からない。メイリンと
結婚するのを嫌がる男なんて、いるはずないのに。

「メイリンに、我儘なところなんてないよ。」
メイリンは、いつだって優しくて、思い遣りがある女の子だ。邸の使用人たちだってそう言っている。
「じゃあ、じゃあ、わたしと、結婚する?」
「する。」
もちろん即答した。考える必要が、あるとは思えなかった。むしろメイリンが泣く必要が分からない。

メイリンはそこで、いきなり飴を貰った子供のように顔を上げる。
「本当? 嫌々じゃない? わたしが、自分の領地に受け入れないって言ったから。」
もう涙は止まっている。まったく女の子は変わり身が早い。
「嫌がる理由が無いよ。」
「だって、ずっと返事、くれなかったし。」
「聞いてないものには、返事のしようが無いよ。」
メイリンはだって、と口を尖らせる。そのさますら、食べてしまいたいほど可愛い。
「あのさ、そういう種類の伝言をユイウ様経由で伝えようとしても、永遠に伝わらないと思うよ。僕だって、
妹がそういう状況だったら、伝えたって言って死んでも伝えないと思うし。」
あのユイウ様が、可愛い妹のメイリンからの結婚の打診なんてことを、どんな理由があっても僕に
伝えるとは思えなかった。というか、突然の話で全く実感が湧かない。
メイリンは、だって兄上様が二人とも、ちゃんと伝えてあるって言ったもの! と何度も繰り返す。
どうやら、メイリンと兄君たちの間では、メイリンからの求婚の申し入れは伝えたものの、僕が迷って
返事を引き延ばしているという話になっていたようだ。
どうして僕がそんな勿体ないことをするものか。冗談もいい加減にして欲しい。
そしてメイリン自身は、女性がそういうことを言い出すのははしたない、というしきたりに渋々従って
直接問いただすのは控えさせられていたらしい。普段の積極性からは考えられないが、婦人学とか
持ち出され、「婦女子のはしたない行為は最も嫌われる」と言いくるめられてたとかなんとか。


175:ユゥとメイリン10 4/8
12/07/03 20:20:48.59 drYjBdNg

「すぐに返事が来ない時点で、変だって思わないの。」
「だって、ユゥの考えてることなんか何ひとつ、分からない。」
メイリンはぷっと柔らかそうな頬を膨らませる。
「はじめてなんだもの。家族以外の男の子と仲良くなるのも、仲良くなりたいと思ったのも、その……、
そういうこと、したのも、ぜんぶ。」
メイリンが可愛すぎて気が遠くなりそうだった。生まれておよそ十七年間、家族以外の女の子に
縁の無かった僕には、いつだってメイリンは刺激が強すぎる。
「だから、ユゥの考えてることなんか、ぜんぜん、わかんない。」
ぎゅっと膝を抱きかかえて丸くなっているメイリンのこめかみに、強引にくちづけた。もっとこっちを
向いて欲しい。僕の理性は今にも弾け飛びそうだった。
「メイリン、したい……ねえ、いい?」
「あっ……、だめ」
メイリンは僕の口にぺたりと手のひらをつけて押し戻そうとした。労働を知らない彼女の手のひらは、
白くてなめらかだ。その指には、うっすらと剣だこがあるけれど。それもまた可愛らしい。
僕はその手を逃がさないよう自分の手を重ね、やわらかな手のひらをちゅっと音を立てて吸いたて、
舌を出して舐めしゃぶった。こんなやり方で今の僕が押し留められるはずがない。
「どうして? 僕の妻になってくれるんでしょう? そしたら君は、僕の、僕だけのものでしょう?」
自分で言ってて、頭のどこかが焼き切れそうだった。これで否定されたら、急転直下で死ねそうだ。
メイリンはおずおずと次の言葉を唇に載せた。

「だって……喪中、だもの。」
「……っっ!!」

雷で打たれたような衝撃だった。なぜ拒まれてるのだろうとしか考えなかった自分を恥じる。死者を
弔うための禁欲期間。そういう習慣は、もちろん僕たちの習慣の中にも一応ある。
父の死は国に決められた死で、突然に知らされ見届けることすら許されなくて、実感の無い、遠くに
たなびく煙でしかなかった。父のためになにひとつ、葬式はおろか、異郷の中で服喪することすら
出来なかったけど、確かに僕は肉親を亡くしたのだ。
「……僕の、ため?」
そんな中で、メイリンだけは、一緒に祈ってくれたじゃないか。
メイリンはこくりと頷く。
「ユゥの父上の喪中にはしたないことして、嫌われたくないし。」
嫌う。嫌うって。一体どこからそんな発想が出てくるんだろう。
分からないのはメイリンの方だ。
そしてメイリンは、いつだって上手に僕の理性を壊す。
「一体いつまで、我慢すればいいの。」
「えっと……?」
メイリンは眉を寄せて考え込む。
「父に対する服喪期間は、二年……?」
「無い無い無いないないないっっっっ!!!!!」
思わず大声を出してしまった。出たメイリンの曖昧性知識。
「それは確かシン国の公職の規定であって、ものに応じてもっと色々な解禁期間が、あるでしょう。」
二年とか、生き物としての生理の限界を軽く凌駕している。
メイリンは小首を傾げる。
「じゃあ、四十九日?」
「それも、長すぎ。」
そんなに長く待たされてたまるか。


176:ユゥとメイリン10 5/8
12/07/03 20:23:05.90 drYjBdNg

「僕らのクニでは、七日経つと家の中から死者の魂が離れるって言って、そのとき一通りの喪が
あけるんだけど、それでどう?」
「ユゥがいいなら、それでいい。」
メイリンは素直に頷いた。
「七日、もう経ってるよね。」
僕は心の中で日数を数えた。正確に言うと、今日の正午で丸七日。こういう場合は当日から起算するから、
昨日の夜で喪が明けた計算になる。しまった半日損した。

メイリンの顎を軽く持ち上げると、今度は抵抗しなかった。桜桃のような美味しそうな唇に、僕のそれを重ねる。
貪って、全部食べてしまいたい。いつもより性急に深く口付け、メイリンの柔らかい舌を、甘い口中を味わう。
こうしてメイリンに触れるのは、一体どのくらいぶりだろう。衣から立ち昇るかぐわしい香りに、
その体の細さと柔らかさに、唇の甘さに陶然とする。こうして唇を合わせているだけで、うっかりすると
達してしまいそうだ。

「あ……こんなところで、それ以上は、だめ……。」
メイリンは僕の腕の中で体をくねらせた。その視線はとろんと蕩けて、濡れて艶めいている。僕を押し返そうと
する腕の力はとても弱くて、まるで誘っているかのようだ。
「ふた月も、君に触れてなかった。これ以上焦らされたら、死んでしまいそう……」
メイリンは大きな瞳をしばたかせて、不思議そうに聞く。

「ユゥも、そういうこと、したくなるの?」
「なっ……!!」
何言ってるの。あどけなくさえ見える表情で、何てこと言い出すの。
「だって、誘うのも命じるのも、いつも、わたしだけだった。」
メイリンは少し拗ねたようにそう言う。
「あ……、ぼっ……!!」
あるじはメイリンで、僕はその下僕だった。そういう決まりだったでしょう。僕はあまりのことに、
口をぱくぱくさせるばかりだ。
「別に、ユゥから誘ってはだめ、なんて言ったことないし。」
何言い出してるの。どうしてこの期に及んで、そんなこと言うの。健全な若い男の性欲嘗めてんの。
めちゃくちゃにされたいの。それとも僕をめちゃくちゃにしたいの。
メイリンはいつも上手に僕を壊す。

「君が好き、好き、すき。欲しい、欲しい、ちょうだい─!」
力の加減も何もかも忘れて、思いっきり彼女の身体を抱きしめた。華奢なメイリンの感触と香りが僕の全身を
満たす。彼女のほっそりとした両腕がゆっくりと僕の背中を撫でて、ぎゅっと抱き返してくれたときには、
なぜだか泣きそうになった。もしかすると本当は、泣いてしまっていたかもしれないけど、そんなことは
もう憶えていない。
メイリンの裙の合わせ目をより分けて足の付け根をまさぐると、そこはすでにしっとりと熱く濡れていて、
僕の指を迎え入れた。
少し湿り気の残る梅園の下草の上に彼女を押し倒す。ちょっと恥らうような表情を見せたけれど、それ以上の
抵抗はもう無かった。

爆発寸前の僕は余裕もなく、綺麗に着飾ったメイリンの襟元を緩めることもなしに、脚を開かせた。
慌しく自分のそれも取り出して、潤みの中心に押し当てる。充分に濡れていても、久しぶりのそこは、
記憶よりもずっと狭かった。
「ひっ……! いっ……! あ、あぁ……!!」
僕に貫かれてメイリンは、激しく身悶えた。桜色の衣に包まれたままの胸が、大きく上下している。
まるいその膨らみに誘われるように手を伸ばし、それから捏ね回すように揉みしだいた。
頬には、うっすらと涙の跡がある。ばかみたいだ。僕がつれなくて泣いちゃうなんて。僕はいつだって
君に夢中じゃないか。こんなにも。
僕は舌を出して、薄い塩の味がする涙の跡を舐め上げる。メイリンの悲しいことは全部、僕が食べてあげたい。


177:ユゥとメイリン10 6/8
12/07/03 20:25:07.65 drYjBdNg

「痛い? メイリン。」
僕の方は沸き上がる快感と多幸感に、気が遠くなりそうだ。僕の問いかけにメイリンは、ぎゅっと閉じていた
目をうっすらと開く。
「さいしょ……だけ。いまは……いたく、ない。」
動かずにいられたのは、その辺までが限界だった。僕の中で少しでも長く愉しみたい気持ちと、早く頂点を
極めたい気持ちがせめぎあっていたけど、どちらもメイリンの魅力には勝てるはずも無かった。
「メイリン、君の中……、すごく、キツい……。気持ちよくて、もう出ちゃいそう……。このまま、
中に出して、いい?」
「だめっ……、任地についたら、たくさん……することがある……。まだ、だめ。」
激しく突き上げられる中でも、メイリンはそこのところはきっぱりしていた。『まだ』ってことは、
『そのうち』があるってことだ。僕はそれだけで満足して頷き、最後までメイリンを責め立てる事に集中する。
限界は、すぐに来た。

「あぁっ、ユゥっ、ユゥっ!」
高く細い声に耳朶を擽られながら、彼女が纏ったままの下衣の中に精を吐き出した。


     *     *

柔らかな日差しが二人を包み、早春の風が汗ばんだ肌を柔らかく撫でていた。
「あ…あ…、こんなところでは、駄目だって言ったのに……。」
恥ずかしげにそう抗議するメイリンは、それでも僕の腕の中に抱かれたままでいる。
丸く小さな白梅の花弁がいくつも舞い降りる頃になっても、離れるのが勿体なくて身体を動かすことが出来ない。
「だめ、って言う割には、いつも結局は許してくれるよね、メイリンは。」
「もう。ユゥはいつもずるい。」
僕の言葉に、メイリンはぷっと頬を膨らます。
「ずるいのはメイリンだ、いつだって。」
きっと僕は、メイリンのためなら炎の中にさえ飛び込んでゆくのだろう。ともかくずるい。可愛いのは、
それだけでずるい。
「僕はメイリンが、好きなだけ。」
いつもなら恥ずかしいこんな台詞も、肌を合わせているうちはするっと口に出せてしまう。きっと、
メイリンの肌が暖かくて、気持ちがいい所為だ。

メイリンは僕の衣の襟の辺りをもじもじと弄びながら、頬を染める。
「あ、あのね、ユゥ。わたしと結婚するって言ったの、嘘じゃない、よね?」
「そっちこそ。」
取り消されたくないのは僕のほうだ。
「えっと……、わたしがユゥの家に嫁ぐのではなくて、ユゥがわたしのところに、婿入りしてもらうことに
なるの。いい?」
「ああ、そういえば、そういうことに、なるだろうね。」
細かいことは考えてなかったけど、実際にはメイリンはこの国の皇族のすっごいお姫様なんだから、僕の方が
メイリンに合わせることになるのだろう。
「それから、領主はあくまでわたしで、ユゥはその夫。……でも、ユゥのこと大切に、するから。」
「僕は君の傍にいて、君の手助けをしてあげる……そういうこと?」
メイリンが南山の領地を得たのも、メイリン自身が頑張ったからだ。そのことについて異論は無かった。
メイリンは嬉しそうな表情で、うんうんと頷く。
「うん、そういう、こと。」


178:ユゥとメイリン10 7/8
12/07/03 20:27:08.45 drYjBdNg

それから急に体を起こして、神妙な顔で言う。
「そして、これはとっても大切なことだけど、ユゥは、わたしの他に妾を置いてはだめ。」
「めかけ?」
「二番目以降の、妻のこと。」
僕はちょっと考えた。妻と言うのは大抵、一人なものではないのか。
「僕ら桂花の民の間では、一人なのが普通だと思うけど。」
「違うもん! ユゥの一族の男たちも、みんなこっそり妾を持ってるの! わたしちゃんと、調べたんだから!
でも駄目! ユゥはだめ!」
メイリンは顔を真っ赤にして叫んだ。メイリンはいつも、妙なことに詳しい。
「……ユゥが他の女の人ともするなんて、わたし、耐えられないもの……。」
急にしおらしくなって俯くメイリンを、僕は危うく押し倒すところだった。僕はメイリンのくるくると
良く変わる表情に弱いみたいだ。
「そんな風に言われたら、どんな約束をするより効きそうだ。ねえ、メイリンの方は?」
「わたし?」
メイリンは自分に話題が振られることなど、予想もしていないようだった。
「メイリンの方は、他の夫を持つつもりなの。」
「まさか。生涯たった一人の夫に仕えることこそ女のよろこび。母上がいつもそう仰ってる。貞節を
守ることは、当然のつとめ。」
メイリンは薄めの胸を張って言った。
「つまり、メイリンには僕だけで、僕にはメイリンだけ。そういうこと?」
「そう、そう、そういう、ことなの。」
僕の言葉にメイリンは、ぱあっと花がほころぶように笑う。

でも、なんだろう。何かがひっかかる。何かを、ずっと前に言ってたような……?
「そうだ、確かメイリンは『そういう普通は嫌いだ』って言ったんじゃ、なかったっけ?」
随分前のことだ。僕とメイリンが初めて会った夜に、メイリンがそう言った。僕はえらく酔狂なお姫様だと
思ったんだっけ。
「それはっ……! だって、ちゃんと選ぶためには、多少の試しは、許されるべきっ……!!」
メイリンはかっと顔中を朱に染める。
「『ものは試し』?」
たしかあのとき、メイリンはそう言った。
「そう、そうっ!! 試してみて、わたしが気に入り、ユゥが気に入れば、夫にしていいって、そういう約束、
だったもの!!」

はあ?!
そんなおいしい話、聞いてないし。断じて、聞いてない。
「わたしはすぐに、気に入ったと伝えた……。でも、ユゥからの返事は、ずっとなくて。」
メイリンはぷっと頬を膨らます。
「だって聞いてないんだから、仕方ないよ。僕が聞いてたのは、『勘違いするな』とか、『身分を弁えろ』
とか、あと『メイリンはいずれ、相応しい家格の男に嫁ぐ』とかもあったっけ。」
そのときの気持ちを思い出して僕は少し、溜息をつく。
─あれは全く、かなりの拷問だった。
「だからずっとメイリンのことは、好きになっちゃいけない女の子だと思ってた。」
それでも、好きで仕方がなかった。綺麗で可愛くて、すっごいお姫様なのに思い遣りがあって優しくて、
でも危なっかしくて、いつも目を離せない。
「メイリンは、僕のものにはならないんだって……。今の関係も、すぐに終わってしまうものなんだって、
思ってた。だから、あんなこと。」
「あんなこと?」
メイリンは澄んだ瞳で聞き返す。僕は少し恥ずかしくなった。
「その……メイリンが、邸を空けて遠くへ行く前、僕は君に乱暴した……!」
あれこそひどい暴走だ。ひとりで何もかも抱え込んで、自分だけで何かを終わらせようとした。
「何もかも、終わらせたかった。僕自身さえも。叶わないなら、これ以上好きになりたくなかった。君に
嫌われてしまいたかった。そして君だけに、罰されたかった。」


179:ユゥとメイリン10 8/8
12/07/03 20:29:29.36 drYjBdNg

メイリンは僕の話を聞くと、きゅっと形のよい眉を寄せた。
「あの、馬鹿兄……!」
メイリンが、敬愛してやまない兄上のことを悪し様に言うのをはじめて聞いた気がする。
「ユゥのことを、散々悪く言っておいて……!! 自分が、嘘を吐いて話を混ぜてたんじゃないか……!!」
予想外の怒りの矛先に、僕はちょっと戸惑う。
「蒲州でもしつこく、やめておけとか、あいつにその気はないんだとか!! 鬱陶しいったら!! わたしには、
ちゃんと伝えたから黙って待てとかきつく言ってきて……、ああ、騙されたー! だーまーされたー!」
いつか仕返ししてやるー!!とか、大層な剣幕である。
可愛いくて最強な妹を怒らせたユイウ様のことが、少しだけ心配になる。うん、勿論自業自得だけど。

「ねえユゥ、じゃあもしわたしの申し入れが正しく伝わっていたら、もっと早く返事をくれた?」
「間違いなく。」
メイリンはそれだけでは満足せず、もっと踏み込んだ答えを求めてくる。
「いつ頃には、くれた?」
「メイリンの方は、いつ頃返事したの。」
「うんとね、ユゥの手枷を、外した日には。」
僕はぶっ、と噴き出した。思ったより随分、早かった。それは僕の憶えている限り、この邸に来て
三日目のことだ。
「決断が、早いんだね。」
僕は憶えておこうと思った。メイリンは、いざという時には決断がとても早いお姫様だ。
「だって、なんだかいいと思ったんだもの。一緒にいて楽しいし、お喋りしても楽しいし。」
メイリンはそこできゅっと唇を噛む。
「でも、ユイウ兄様は、ユゥは桂花の民の男だから、自分のクニを滅ぼした軍師の娘に対して、
わだかまりがあるんだって言ったの。父上様も、ゆっくり待ってあげなさいって。だからわたし、
ずっと待ってたの。」

うわあ、なんというまことしやかな嘘。確かにそういう気持ちがあったことは否定しない。本当に
メイリンの兄上は、僕のことをよく観察してる。
「確かにそういう風にも思ってはいたけど、メイリンから夫にしてもいいって言われてたら……見境なく、
即答してたと思うよ。結局は誰も、メイリンの魅力には勝てないもの。」
「他の誰も、必要ない。わたしは、ユゥだけでいい。」
メイリンは、極上の笑みを浮かべて言った。そんなところに、やっぱり勝てないと思う。
考えてみると、初めから負け通しだ。そしてそれも、悪くないと思ってしまうあたりが、すっかり参って
いるっていうんだろう。
それも仕方がない。だって、メイリンは、メイリンなんだもの。





     ─続く─

180:名無しさん@ピンキー
12/07/03 20:32:01.06 drYjBdNg
以上です。

年度末からの生活激変により、自分的にはいいところで滞ってました。
落ち着いてきたので続き。今回は数日後に次まで投下します。

181:名無しさん@ピンキー
12/07/03 20:34:50.47 w+D+Y7/W
リアルタイムで乙
 ユウくんの方も可愛いから、本当このシリーズ好き

182:名無しさん@ピンキー
12/07/03 22:27:32.37 W9fIay8Z
お疲れ様です。続きお待ちしておりました。素晴らしい。

183:名無しさん@ピンキー
12/07/04 20:18:52.74 2ohD6Bz+
しばらく来なかったから心配してた乙!

184:ひつまぶし
12/07/04 22:43:34.14 RWjtnmLN
某国に、一人の姫がいた。
古の神話の女神のごとき美貌、天使のごとき慈愛、そして戦神のごとき勇猛。
全てを兼ね備えたその姫を、人々は称え、その物語に酔いしれていた。
『ラヴィリス姫』、その人に。
――たった一人を除いては。

ラヴィリスの率いる蛮賊討伐の軍が帰路に立ち寄った村は、酷く寂れていた。
村人の影はほぼなく、一人の青年が畑仕事に勤しむ姿があるだけ。
その青年に、ラヴィリス姫が声をかけた瞬間である。

「出ていってくれ!」

青年の怒声に、ラヴィリスは酷く困惑した。
その青年の無礼に、副官が首をはねるかと聞いてきたが、ラヴィリスは首を横に振って見せた。

「国のお偉いさんがたに蛮賊討伐の依頼をして、六年だ!六年無視して、つまらないパーティや何やらにうつつを抜かしてたやつらが、来るな!」
「六年だと?つい最近のことと聞いたが・・・」
「おまえらのことなんざ、知るか!蛮賊に畑を荒らされ、村の仲間や家族はみんな殺された!生き残ったのは俺一人だ!」

ラヴィリスが副官に目線を寄せると、副官は仰々しく頷いた。

「恐らく、貴族の一人―少し前に粛正として処刑された方が、握りつぶしていたかと」
「知らないと言ってるだろう!ともかく、出てけ!貴族様に、俺の苦労なんて分からないんだろうが!出ていけ!」
「一つ聞く。お前、一人で村を立て直すことが叶うと思っているのか?」

副官の挑発的な声に、青年は一層声を荒げた。

「叶うか叶わないかじゃねぇよ!俺はな、この村に生まれ、この村で育ち、この村で恋人も作った!役に立たないお偉いさんに依頼して馬鹿を見るなら、一人でやって死んだほうがマシだ!」
「恋人、とな?」

ラヴィリスの声に、青年の声が、今度は沈む。

「蛮賊に殺された。慰みものにされて、その後・・・・」

青年の声色が、闇に染まる。
ラヴィリスには分かる。
復讐心に満ちた、その声の色と重さを。

「そうか。すまなかったな。我々は城へ帰投する――行くぞ!」

ラヴィリスの号令の元、騎馬隊が整列したまま、村と呼ぶには余りに寂しい場所を駆け抜ける。
ラヴィリスは、知らなかった。
自身が戦で華々しく戦い、日頃は不自由なく満たされた日々を送る中でも、青年のような者もいるのだと。

(救いたいな―彼を)

ラヴィリスに宿った小さな想いが、後に彼女の未来を定めることになるのだが―今はまだ、誰もそれを知らなかった。

続かない。

185:名無しさん@ピンキー
12/07/05 01:06:18.12 GVMVvdrb
GJ!!続き読みたいです。

186:続・ひつまぶし
12/07/05 07:47:01.86 86sqaJg4
ラヴィリス姫が城下町に着くと、住人たちはこぞってラヴィリスの姿を見に、遠くに近くに集まる。
そして、その視線にも種類があることを、ラヴィリスは理解している。
純粋な憧憬、ラヴィリスへのやっかみ、恋慕や愛欲の類いなど、浴びることにもなれたような視線ばかりではあるが。

(―あの男の眼は、違ったな)

寂しさと切なさと敵意の混じった視線でラヴィリスを貫いた、あの寒村の青年を思い出すたび、ラヴィリスは何とも言えない感情が湧き出すのを知覚している。
そも、騎士団を率いるようになってからの、『国のため』『人々のため』『平和のため』という建前を覆しかねない感情に、困惑しているのはラヴィリス自身だ。

(一番救いたいもの――見つかった)

父たる国王に、かの寒村と、そこに住む青年の救済を申し出よう。
喝采で送る民衆に手を振ることも忘れて、ラヴィリスは小さく決意したのだった。

―そして二週間後。
ラヴィリスは、単身寒村へと向かった。
両親は納得していたものの、軍を公に動かすだけの大事とは認められず、結果ラヴィリスが一人で向かい、青年と正面から話し合うことにしたのだ。
最も、ラヴィリスとてその心積もりだったことに変わりはないため、嬉々として名馬に鞭を振るい、疾風のごとき速さで城を、城下町を出たのだった。

「・・・・なんだ?」
「なんだとは、挨拶だな。私は君と話をしたくて来たんだ」

ラヴィリスが村に到着した時、青年は一人で畑に何かの種を蒔いていた。
挨拶への返答がつれない言葉だったことに、ラヴィリスは全く戸惑いもせず、言葉を紡ぐ。

「率直に言おう。君を、私の執事として雇いたい」
「―は?」
「文字通りだ。この村を国の保護下で再度生き返らせたい、そしてその代償に、君には私の執事として働いて欲しい」

ラヴィリスの声色に嘘偽りはない。
となると、今度は青年が困惑する番だった。

「あんた、国の偉いさんか?」
「そう。王家継承の第一候補にして唯一の王女、ラヴィリスだよ」
「・・・・そうかい、からかいに来たのか?」

青年の表情に、失望の色が広がる。
村を立て直したいのは、青年の全霊をかける夢だったのだろう。
しかし、来たのは軍を率いるが能の娘ひとり。
確約されているわけでもない契約を結ぶほど、青年は愚かではない。のだが―

「からかいではないよ。私は君を必要としているんだ」


続くか分からない

187:名無しさん@ピンキー
12/07/05 20:32:37.96 GVMVvdrb
続きキター!!超うれしいです。更に期待してます。

188:名無しさん@ピンキー
12/07/06 20:21:11.96 ASIMD2xO
投下します。
ユゥとメイリン11
6レスの予定

189:ユゥとメイリン11 1/6
12/07/06 20:23:12.72 ASIMD2xO

僕はその後、メイリンの下肢を拭くために寝室まで運んであげた。もちろん綺麗に拭き清めるため、寝台に
座らせて上から順に脱がしてあげる。
「あの……ね、ユゥ。拭くだけなら、ちょっとめくって拭いて、汚れたとこだけ替えればいいような?」
「だめだめ、そんな適当なことしちゃ。メイリンはお姫様なんだから。それとも、男の精液を身体につけた
まま過ごす趣味でもあるの。」
僕は順調に帯をはずしながら言った。着替えはいつも見ているのだから、脱がすのは簡単だ。上着を脱がせて、
さっきは着付けた上からしか触れなかった胸の線をなぞる。
「そこ、は、……関係ない、と思う……。」
「黙って。大人しくしてないと、拭いてあげないよ?」
少し触ってあげただけで、柔らかな胸の先端は、下着の上からでも分かるくらいにぷっくりと尖ってくる。
その先端を摘まんでゆっくりと弄ると、メイリンはたまらず甘い声を上げた。
「あんっ……、だめ、さっきした、ばかりなのに……。」
「しっかり反応してるのに、またそんなこと言うんだ。いつだって、メイリンの『だめ』は、『悦い』って
意味なんだから。」
僕が笑みを含んだ声でそう告げると、メイリンは真っ赤になって口をぱくぱくさせる。

「そうだ、いつも初めには、こうしてあげる約束だった。」
僕はメイリンの顎を軽く持ち上げて、噛み付くように激しくくちづけた。少しも逃がさないように、きつく
抱きしめる。合わせた唇から、唾液をまとめて送り込むと、メイリンはびくりと身体を震わせて、大した
抵抗もせずにそれを飲み下した。甘い、甘い唇。綺麗に並んだ真珠のような歯も、その奥に隠れている
柔らかい舌も、もう全部僕のものだ。
くちづけが終わっても、しどけなく開いたままの唇を指でなぞり、唇の端から零れた唾液を拭い取ってあげる。
とろんと蕩けたような瞳で僕を見上げるメイリンは、この上もなく扇情的だ。
「メイリン、僕を気に入ってくれたってことは、夜伽の方も、気に入ってくれた?」
まあ何を試すかといって、そっちの相性を試すってことだったんだろうな。それだけでも充分過ぎるほど、
ぶっとんだ上流階級だと思うけれど。
「よ……夜は、少し、意地悪だと思った……。」
「ふうん? 意地悪くされるのが、好きなんだ?」
僕がからかうようにそう訊くと、メイリンは更に耳朶まで真っ赤になる。
「そういうこと、言ってるんじゃ、なくて……」
まあ、なんと答えてもたっぷり苛めてあげるけれど。メイリンはそもそも、可愛すぎるんだ。あれだけ煽って
おいて、一回で終わるわけがない。嘗めるな。若い男の健全な性欲、嘗めるな。

下帯も裙も順に脱がせて、下着に手をかける。一番下に着た単(ひとえ)の衣は、べっとりと白濁で濡れて
太ももに貼りついていた。ゆっくりとメイリンを裸に剥きながら、ひどい臭気を放つそれをむしろ白い肌に
塗りこめるように指でなぞる。
「これ……気持ち悪かった? すぐに、拭いてあげるからね?」
一糸纏わぬ姿になったメイリンは、じっとしてないと拭いてあげないと言うと、美しい肢体を明るく陽光に
照らされながら、神妙に待っていた。
初めて会った夜も完璧な美しさだと思ったけれど、男を知ったその身体は、よりいっそう艶めいて美しさを
増している。
ふっくらと量感と柔らかさが加わって、男の手を誘うように揺れる胸のふたつの膨らみ。その頂で薔薇色に
色づいて、肌の美しさに彩を加える赤い果実。少しずつくびれてきた腰、そのせいで一層強調されるように
なったまるいお尻。すっきりと伸びる細い脚は、感じてくるといつだってきゅっと僕に絡むのだ。
乾いた布と、湿らせた布を交互に使って、メイリンのきめの細かい柔肌をそっと拭いてあげる。メイリンは
この白濁の処理には割と神経質だから、丁寧に拭く。


190:ユゥとメイリン11 2/6
12/07/06 20:25:37.11 ASIMD2xO

メイリンの肌は、近くで見てもとても綺麗だ。いつもきっちりと衣で隠された素肌は、抜けるように白いのに
ほんのりと健やかに赤みがさして、触ると釉をかけた陶磁器のようにすべすべで、なのに温かくて柔らかくて、
こんなに触り心地のいいものは他にないとさえ思う。
「ここも拭いてあげなきゃね。」
当然のように、僕はメイリンの脚を開かせた。芳醇な雌の匂いが立ち昇る。
「そこはっ! 拭かなくて、いいと思う!!」
真っ赤になって抵抗するメイリンを、僕は優しく押さえ込む。
「どうして? ほら、濡れてる……。」
水滴をひとつずつ拭くときのように、清潔な布の端を尖らせて持ち、その先端でそっと触れる。ひくつく
花芯から溢れる蜜は糸を引くばかりで、布の先だけで何度触れてあげても一向に減ってゆかない。
ただその微かな刺激に、花弁が喘ぐように揺れるだけだ。
「ユゥ、だめ、だめ……っ!!」
「邪魔をしちゃ駄目だって、言ったよね? じっとしてて。」
メイリンがあんまり秘所を手で覆い隠そうと暴れるので、もうひとつ手拭いを持ってきて、後ろでくるくると
巻き付けて両の腕を優しく縛める。
「こんなに明るいところで、そんなとこ、みないで……! 恥ずかしい……!」
メイリンは両腕の自由を奪われ、身悶えて抗議する。でももちろん、脚は閉じさせてあげない。
僕は彼女の脚をいっぱいに開かせて、その秘密の部分を存分に鑑賞した。

「大丈夫、とっても綺麗だよ。」
それは偽らざる、素直な感想だ。メイリンの大切な部分が、僕に反応して揺れるのは、特にうっとり
するほど綺麗な光景だった。
確かに宵闇に揺れる蝋燭の炎の灯りと違って、陽の光の射す今は、複雑な肉の襞の陰まで余すところなく
見える。白い肌の中心でひくつく花芽は快感を求めて勃ち上がり、赤黒い血の色を思わせる花弁を開くと
中は鮮やかな桃色の肉で、蜜を滴らせながら僕を誘っている。
「いやらしい花みたいだ。」
僕はまた布の先でその花に触れた。今すぐその蜜をすすりたて、溢れる蜜壷の中に指を遊ばせたくて
堪らなかったが、もうそんなに急ぐ必要はない。
だってメイリンは、これからずっと僕の傍に居てくれるんだから。
布の先で触れるたびに、その花は恥ずかしげに震えた。花弁を指で広げ、もっとその蜜を吸い取ろうと
するほどに奥から溢れ出て、滴って夜具までを濡らす。

「そんなので……っ。つついてばかり、いないで……。わたし、おかしくなっちゃう……。もっと
ちゃんと、触って……。」
とうとうメイリンが先に音を上げた。もちろん僕にも異存はない。
「いつでも君の、望むままに。僕に、どうしてほしい?」
「あ……、ユゥのそれを、挿れて欲しい……。」
僕の一物は衣の中で、準備万端だった。というか先程精を放ったにもかかわらず、ほとんど萎えていない。
「今日は、性急なんだね、メイリン。」
そう言う僕のほうも限界だった。相手を焦らすときには、自分もまた焦らされている。早くメイリンと
ひとつになりたくて堪らない。
帯を解いて衣を脱ぎ捨て、天を向いた自分の一部を握る。ゆっくりと綺麗に濡れた花の中に埋め込むように
進めると、メイリンのそこは、熱く僕を包み込んで嬉しそうに歓迎してくれた。

「──っっ!!」
一気に奥まで捻じ込むと、メイリンは声にならない悲鳴を上げて身体をしならせた。仰け反った喉が
苦しげに呼吸を求めるのを、陶然として見つめる。軽く達してしまったみたいだ。
さっきもいったばかりなのに、なんて感じやすい、素敵な身体をしてるんだろう、メイリンは。
細い腰を抱き寄せて、反った身体を続けざまに何度も突き上げると、細い身体はがくがくと震えて、
繋がったところは僕を一層締め付ける。震えが治まってくったりするまで、何度でも何度でも、
そうしてあげた。



191:ユゥとメイリン11 3/6
12/07/06 20:28:06.02 ASIMD2xO
     *     *

「ね……、ユゥ。腕、ほどいて。ぎゅって、したい……。」
とろとろに蕩けた表情で、しばらくぐったりとしていたメイリンは、漸く甘えるようにそう言った。
「ぎゅっとして欲しい。」
メイリンの腕に巻いた布は、それほど強く結んだわけでもなく、抱き合ったままでも簡単に解けた。
自由になった細腕はたちまち僕の背を抱く。僕はまた嬉しくて泣きそうになった。
「メイリン……君が好き。」
僕もメイリンをきつく抱きしめた。言いようのない幸福感で満たされる。身体は溶け合ってひとつに
混じり合ってしまいそうで、僕の一部はまだメイリンの内で包まれている。これ以上の完璧が
あるだろうか。この完璧さの終わりをもたらす快感すら、今は憎かった。

どのくらい、そうしていたのだろう。それはほんの少しの間のようでもあり、永遠のようでもある。
この時間を途切れさせたくはないのに、何かに突き動かされるようにゆるゆると動き始めてしまう。
気の遠くなりそうな快感の中で、僕をこんなにも突き動かしてしまうものは何なんだろうとか、
うっすらと考える。
「んんっ……、好き、ユゥ……。」
メイリンがまたきゅっと抱きついてくる。その瞬間、なんだか分かった気がした。
僕を突き動かすもの。それはこの可愛い暴君、メイリンだ。
メイリンだけが、いつも僕をおかしくさせる。
メイリンが、いつも僕を支配する。
いつだって君に優しくして、微笑む顔が見たいのに、意地悪して泣きそうになるのも見たい。頑張って
びっくりさせたいし、驚かせたいし、死ぬほど笑わせたりもしたい。
でもこんな風に、快感でとろとろに蕩けた表情も、格別だ。

ああ、僕を支配するのが君なら、仕方がない。だって、メイリンなんだもの。
最高の時間はずっとは続かない。でも終わりを恐れる必要もない。
今日も明日も明後日も、君は僕のものなんだから。
僕はすっかり観念して、快感の命ずるままに身を委ねる。腰の動きは意識せずとも自然に速まっていった。
メイリンは僕にぴったりと抱きついて、揺らされるたびに可愛い嬌声を上げる。
「メイリン、気持ちいい?」
「気持ちいい……。」
「僕にこうされるの、好き?」
「ユゥにされるの、好き……。」
メイリンはうわごとのように繰り返しているだけなのに、その言葉はどうしてこんなにも僕の下半身を
直撃するように響くのだろう。いつだってメイリンは可愛い凶器だ。僕を上手に壊す。僕は熱が
せり上がってくるのを感じて、一層強く腰を振りたくる。
「あぁっ!! あっ、ユゥ、好き、好きっ!!」
メイリンは掠れかけた声で叫んだ。僕は残ったなけなしの理性でメイリンから僕の分身を引き抜くと、
白い腹の上に欲望の飛沫を浴びせた。


     *     *

192:ユゥとメイリン11 4/6
12/07/06 20:30:12.42 ASIMD2xO

「あの……ね。ユゥが意外と……その、男女の閨の営みが好きなことは分かったけど、その……
そういうことは、わたし以外としちゃ、駄目だからね。」
褥で単を羽織ながら僕に身体を拭かれて、メイリンはまたしてもそんなことを言い出す。僕は思わず
転びそうになった。
「それはさっき、約束したんじゃなかったっけ?」
「でもでもっ!! ユゥはそんなに、女の身体には興味がないと思ってたし……。以前読んだ本に、
男は欲望が大きいほど多くの女性を侍らせたがるって、書いてあった……!!」
「……ぷっ。」
僕は思わず吹き出した。メイリンの変に偏った知識はいつも怪しげな本からだ。しかもそんな
怪しげな知識で、泣きそうなくらい真面目に心配している。
「メイリンって、馬鹿なの。」
僕はこんなにメイリンを見ていて、こんなに夢中なのに。どうして他の女のこととか考える
余裕があると思うんだろう。
「ば、馬鹿っ……?!」
メイリンは大きな目を更に大きく剥いて、真っ赤になる。それもまた可愛い。
「だってあんまり馬鹿なこと、心配してるし。なんて言うんだっけ、こういうの。……鈍い?」
「ど、どうしてそんなっ……父上様と同じようなこと、言うの?」
「……言われてたんだ。」
少なくとも、僕の気持ちはメイリンの兄上達には筒抜けだった。多分、周りの使用人の皆にも
だだ漏れだったに違いない。気付いてないのは、メイリンだけだ。

「おまえは母親に似て、色恋に鈍いねって。でも、人の心なんて、目に見えないもの。」
メイリンは拗ねて口を尖らせた。メイリンは他のことならかなりの聡さを見せるのに、こと
色恋に関しては多分壊滅的に鈍感だ。

「メイリンはさ、侍女とかついてるのに、そういう話、しないの。」
「わたし付きの侍女は皆、母上様がお選びになっているので……、男女のこととか、はしたない
話は一切、厳禁なの。」
それで変な本から変な偏った知識つけてるのか。もっと自然にそういう話題に慣れさせておいた
方がいいのに。
「僕が君に夢中なことくらい、どっから見ても丸分かりだと思うけど。」
言ってて恥ずかしい。結局分かりやすい、単純な奴だよな、僕って。

「わたし、男の人から好かれたこと、ないもの。」
メイリンがとんでもないことを言い出すので僕は座ったまま転がりそうになった。無い無いないない。
それは無い。
「まさか。」
僕はメイリンの頭のてっぺんから脚の爪先までをまじまじと見た。情事のあと薄衣を纏っただけの
彼女は、しっとりとした色気を湛えて、息を飲むほどに妖艶だ。
「母上のお客の高官とかが、二番目の妻にならないかと言ってきたこととかならあったけど……、
三十ほど年上のおじさんだったし、ひどく酔ってるみたいだったから、頭から水をかけて差し上げた。
その後その人は出入り禁止になったみたいで、二度と会わなかったけど。」
出入り禁止とか生ぬるい。僕がそこにいたら、メイリンにそんなことを言う奴は、もっと酷い目に
あわせてやるのに。
「メイリンの行ってた、学問所とかは? あそこは同い年くらいの男が、わんさかいたじゃないか。」
「あそこにいるのは、ぜんぶ学友。第一いいとこの坊ちゃん達なんだから、皇族であるチェン家の
気位の高い娘とどうこうなろうなんて変わり者はいないの。皆自分と同じか、ちょっと家格の低い
くらいの、大人しくて従順な娘を許嫁に貰ってる。」
僕は理解できなかった。こんな可愛い女の子がそばに居て、心を奪われない奴が居るなんて。


193:ユゥとメイリン11 5/6
12/07/06 20:32:15.17 ASIMD2xO

「いつか、一緒に居た奴は?」
「いつか?」
「僕が君を、初めて迎えに行った日、一緒に居た奴。」
メイリンはうーん、と眉を寄せた。全く思い出せないらしい。いつも比較的仲の良い数人と、講義の
内容について喋りながら迎えを待つから、その中の誰かだろうと言った。
「第一ねえ、学院の皆は、兄上様が恐いの、卒院してからまで、無駄に目を光らせてるんだもの。
それから父上様も、上流階級の間ではちょっとした有名人でね、ほとんどの学院生は、恐がって
近寄ってこないの。」
比較的仲の良い数人は、皆それぞれに可愛い許婚の居る『安全な』学友なのだそうだ。
そういえばユイウ様達が、メイリンには悪い虫がつかないよう目を光らせていた、と言っていたっけ。
多分、摘まんで棄てられた悪い虫も、それなりに居たんだろうな。ご愁傷様。

「それに、わたしみたいに何にでも首を突っ込んで、解決したがる娘は、嫌われるの。女のくせに、
我儘だって。」
「それは、我儘じゃないよ。」
僕は自信を持って言った。
「メイリンの、優しさだ。それを我儘だなんて言う人達のことは、放っておけばいい。」

僕はメイリンの横に座り、細い肩を抱いた。
「つまりメイリンは、圧倒的に経験が足りないんだね。そして生身の男のこともよく分かってない。」
メイリンは大きな瞳をくるくるさせる。
「ん? んー? そう、かも?」
「じゃあ、初心(うぶ)なメイリンに、色々教えてあげなきゃね。」
僕はメイリンのうなじに、ちゅっとくちづけた。彼女は小さくひゃっと声を上げる。
「え、えっと……。」

「メイリンはさ、僕のここが硬くなる現象、今まで何だと思ってたの。」
僕はメイリンのほっそりした手を取って僕の股間を触らせた。そこはまた硬さを取り戻しつつある。
彼女は真っ赤になって急いで手を引っ込めた。
「それは……、男は女が誘えば、相手が誰でもそうなるって……。」
「僕は多分、一度くらいなら何とかなるかもしれないけど、次からは無理だな、試してみたことないけど。」
「でもユゥは、わたしがご主人様だから、命令だから夜伽に応じてるって、いつもそう言ってた。」
きょとんとした目をして、メイリンは僕を見上げる。
「それは……、そう言ったかもしれないけど。」
ああくそ、まだ言わなきゃいけないのか。鈍いって大変だ。
「要は、好きだからしたいとか言っても駄目だと思ってそう言ってただけ!! どうせしたかっただけだよ!!」
言わせんな恥ずかしい。
「メイリンを目の前にして、好きだなー可愛いなー、とか考えると、すぐこうなるの!!」
今だって飽きずにそんなことばっか考えてますよ! 悪い?! だって仕方ないだろ、健全な男なんだから!!
「……いつから?」
「いつから?! 最初っからに決まってるだろ!! メイリンは最初っから可愛いんだから!! 自覚ないの?!」
メイリンは変な形に唇を引き結んで、ぷるぷる震えていた。その目に涙の雫が盛り上がる。
うわ、なんでそこで泣く。
「……そんなこと、一回も言わなかった……!」
「言ったよ!! 可愛いって。」
確か可愛いとは言った。睦言の最中とかに。言ったはず。
「聞いてないよう……!!」
メイリンは真珠のような涙の粒を零す。ああはい負け負け。僕の負けです。泣かれると弱い。
僕は優しくメイリンの頭を撫でてあげる。


194:ユゥとメイリン11 6/6
12/07/06 20:34:16.00 ASIMD2xO

「じゃあ、これから憶えて。僕はメイリンが好きで、可愛くて、なんでもしてあげたいの。分かった?」
メイリンはしゃくりあげながら、僕を上目遣いで睨む。まだ納得してないらしい。
「こんなに可愛いのに不安になっちゃうなんて、メイリンはちょっと考えすぎだと思うんだ。
頭でばっかり考えてないで、体も動かした方がいいよ。」
「体を? 動かす?」
メイリンは軽く首を捻っている。本当に、分かってないなあ。
「僕がどのくらい君を好きか、疑いようもないくらい、分からせてあげる。」
僕は彼女への愛しさをたっぷり込めて言った。
メイリンが息を飲むより、僕が彼女を捕まえる方が早かった。愛情を込めてぎゅっと抱きしめる。
「離れていた時間の分も、たっぷり、僕を君の中に刻み込んであげるね。」
「あの……、あの……、あんまり酷く、しないで……。」
メイリンは可愛らしく震える。
「勿論。大好きな君を、うんと優しく、苛めてあげる。」
僕はメイリンをどんな風に啼かせてあげるか、幾通りも想像した。それは例えようもなく甘美な頭の
使い方だった。


そして僕達はそれから次の朝まで、二人きりで甘い甘い時間を過ごした。




     ─続く─


195:名無しさん@ピンキー
12/07/06 20:36:16.85 ASIMD2xO
以上です。
メイリンの逆光源氏計画なのは一部の人にはバレバレでしたね。
さっさと展開させてしまえばいいのに、予想外に時間かかってすみません。
今回は以上です。また書けたらまた来ます。

追伸:保管庫の管理人様、拙作を含む保管作業ありがとうございました。

196:名無しさん@ピンキー
12/07/06 21:25:48.18 g8GU84St
>>195
乙ですの!

というわけで、自分も続きをば。

197:続々・ひつまぶし
12/07/06 22:14:55.22 g8GU84St
ラヴィリスの声に、青年はため息をついた。
その溜め息一つさえ、ラヴィリスは気に入った。

「もう一度言う。私の執事として、共に居て欲しい。願わくば、執事を超えた、私の伴侶となって欲しいんだ」

ラヴィリスの猛る情熱は、隠しようが無かった。
青年はもう一つ溜め息を着くと、優しく笑んだ。

「理由は聞かない。だが、俺は君を知らない。知ろうとも思わない。権謀渦巻く場所に行くつもりもない」
「つれないな。だけど、私だって子供の使いで来ているんじゃないんだよ」

初めて見た青年の笑みを、ラヴィリスは胸に刻んだ。

「初めてなんだ。今まで、何不自由無く暮らしてきたのは事実さ。だけど、そんなものを全て捨ててでも、私は君が欲しいんだ」

初めての感情だった。
誰もに可愛がられ、敬われ、大事にされていた彼女に向けられた、生の感情そのままの怒声。
同時に、自分の無知を痛感もした。
そして、ラヴィリスは知った。
自分に真っ直ぐな感情をぶつけてくれる存在が、両親以外にいなかったことを。
真っ直ぐな感情をぶつけられることの、嬉しさを。
世間知らずを理解した姫がその喜びを思慕にすり替えるまで、時間はかからなかった。

「幸い私は未だ乙女の身だ。君の好みに開発してくれてもいい。縛られようと、如何な羞恥を与えられようと、君の奴隷にされようと構わない。望むなら、喜んで切り刻まれよう。だから、私を受け入れて欲しいんだよ」
「そういう問題じゃあないんだ」

青年の制止に、ラヴィリスは頷く。

「俺には、恋人がいたと言ったな。そして彼女が死んだことも」
「あぁ、確かに聞いている」
「つまり、君は永劫一番になることはないんだ。俺の中でね」
「だが、二番にはなれるのだろう?」
「一番ではないけどな」

青年が意地悪げに笑う。
ラヴィリスがそれに微笑み返す。

「恋人、伴侶とまではいかなくても。この村の再興を私にも手伝わせて欲しい」
「苦難の道だぜ。報われもしない努力の日々だからな」
「苦難結構じゃないか。城で本を読むよりも、戦場で采配を振るうよりも、学ぶことがありそうだ」

青年が、怒りだけの人でなくて良かったと、ラヴィリスは呟く。

「君の名前を聞きたいな。私はラヴィリス。ラヴィリス=エル=エリシアスだ」
「俺はセフィラスだよ」

二人が手を繋ぐ。
確固とした絆がひとつ、生まれた証だった。




続く?次があれば次辺りに濡れ場を入れたいなぁ

198:名無しさん@ピンキー
12/07/08 00:36:06.48 4XyQHFu2
>>195
GJ
心理描写が秀逸だね

199:名無しさん@ピンキー
12/07/08 01:18:41.46 Ps0fOCTp
>>195

純愛はいいのう

200:名無しさん@ピンキー
12/07/08 08:42:20.69 2ld6A3Qn
>>197
gj!
姫様の今後が気になる

201:さらばひつまぶし
12/07/09 07:36:16.90 wVe0vPRm
セフィラスは夜明けが好きだ。
なんとも言えぬ爽やかな気分になれる上に、涼やかだし。
大地を耕し、大地と共に生きてきたセフィラスだからこそ、夜明けの素晴らしさは人一倍理解していると自負している。

―が、今はそれどころではない。
全裸にエプロン、それも布地を限りなく減らした薄い品を身に着けたラヴィリスが、セフィラスの肉槍に奉仕している。

「んう、んん、んんん・・・♪」
「気持ちいいよ、ラヴィ・・」
「んふ・・ぅん・・・っ♪」

姫の豊満な、ともすれば巨乳を越え、爆乳と呼ばれそうな乳肉に挟まれ、更に先端を口内で愛撫される感触は、毎度のことながら極上の快楽である。
何よりも、人々が敬い憧れる戦女神の淫乱を知るのが自分一人と言うのは、ひどく誇らしいことだ。
セフィラスがグッとラヴィリスの頭を掴み、その暖かな口内を犯すと、ラヴィリスは自らの口に突き立てられた肉で快楽を求める。

「射精すぞ、ラヴィ!」
「ん、ん、んんぅっ♪」

紅潮したラヴィリスの頬が、縦に動こうとする。
それだけでセフィラスは理解し、ラヴィリスの喉に灼熱を射ち出した。
ビュク、ビュク、と勢い良く射たれる度に、ラヴィリスの細い喉が動き、飲み干そうとする。
10秒か、20秒かの射精の後、最後の一射分を口内でかき混ぜ、味わい、満足げに飲み干したラヴィリスは、姫と呼ばれていた頃には想像も出来ぬ淫靡な笑みを見せていた。

「おはようセラ。朝一はやはりセラのミルクに限るな」
「おはようラヴィ。・・全く、君が淫乱なのは恋人付き合いの頃から解っていたけど、こう毎朝毎晩とは思わなかったよ」
「仕方ないだろう?処女だった私の初めてを月夜の下で奪ったのは、セラ、君だよ?あんなに気持ち良くて幸せなこと、私は知らなかった」
「俺も、君が淫乱だとは思わなかったがね。野外で尻穴を犯されて、放尿しながら絶頂したり、それを嫌がるどころか大好きになるなんてさ」
「普通にセックスするのも気持ち良くて好きだし、私が上に乗るのも好きだよ。犬のように首輪を付けられて、四つん這いで犯されるのもいい。尻穴を犯されるのも、大好きだよ」
「とんだ変態姫だ」
「私をそうしたのは、セラ、君だよ?」

二人とも全裸のまま、時折キスなどをしながら語り合う。
二人が初めて交わってから、いつも性交の後はこうやって語り合っていた。

202:さらばひつまぶし
12/07/09 07:54:17.33 wVe0vPRm
セフィラスのいた大地は、今や寒村などと揶揄されることもない、立派な観光地になっている。
大地の精霊と遭遇したセフィラスが、たった一度だけの浮気として大地の精霊を愛し、彼女に気に入られた結果、かの村には花が咲き乱れ、巨大な温泉が沸き出たからだ。
最も、その村を管理するのはセフィラスとラヴィリスの二人なのだが。

ラヴィリスは、人の妻となることを両親に伝えた結果、多大なる反発を受け――はしなかった。
むしろ、寒村として見捨てられかけた大地を蘇らせ、更には総じて気難しいと呼ばれる精霊の加護を受けた男が相手と聞き、国を挙げた祝宴にされたぐらいだ。

ラヴィリスが戦女神として前線に立つことをやめたのは、自らの立場を重んじたからだった。
セフィラスの妻となる身が、戦場で命を落とすわけにはいかなかったし、何よりもセフィラスと離れたくなかった。
事実二人で村を興し、観光地とし、そして今も、ラヴィリスはセフィラスの隣に居続けた。

二人が子供を作らぬのは、ラヴィリスの強い要望があってのことだった。
なんでも、『子供を作っては育児と村の管理に追われ、セラと愛し合う暇がなくなるじゃないか!私はまだまだセラに愛されたいし、セラを愛したいのだ!』と豪語したとか。
それを聞いたラヴィリスの父である現国王は、自分が妻に毎日搾られ、変態の如き調教を与えさせられた日々を思い返し、セフィラスに同情したという。

―そして、セフィラスとラヴィリスのその後について、少しだけ触れよう。
セフィラスは『開拓王』として、前国王直々に王位を継承されることとなる。
本人は嫌ったが、村ひとつを立派に蘇らせた経歴に文句の付けようはなく、彼の存命中は争いのない平和な国となった。
ラヴィリスはセフィラスの隣を離れることがなく、二人は呪いで離れられぬと言われる程だったという。
妃となってからも、その美貌は兵士たちの士気を高揚させるに足りるものであり、国の象徴であったらしい――


続く?

203:名無しさん@ピンキー
12/07/09 10:04:28.42 VJcRCxsG
>>195
GJ!!

204:名無しさん@ピンキー
12/07/09 15:46:42.79 6Z7EZWJL
>>61
とある王城の地下牢に幼い王女が幽閉されていた。数日前の軍部によるクーデターにより彼女は両親である国王夫妻と引き離されていた。彼女は下着同然の白いキャミソールワンピースに素足という囚われの身ではあったが、食事は十分に与えられており手厚い保護を受けていた。

205:名無しさん@ピンキー
12/07/09 16:25:54.01 obBvIoBd
>>204
王女が眠りに就いているとふと鉄格子が開いて従者が入ってきた。
「姫様、ご両親の元へお連れします。まず、お履き物をお召しください。」と彼女の足元を丁寧に拭い、彼女は足裏に伝わる感触を確かめつつ、新たに誂えた革靴に素足を収めた。そして、城を後にした。

206:名無しさん@ピンキー
12/07/09 17:15:51.87 qvtg3sh7
>>205
王女と従者を乗せた馬車は小一時間程で城下町にある闘技場に到着した。従者は「いよいよご対面でございます。姫様とはここでお別れです。」と言い放ち、兵士に王女を引き渡してその場を後にした。

207:名無しさん@ピンキー
12/07/10 17:20:05.76 t4pU/nQT
>>204
幼女の素足履きフェチの変態さん乙です。
是非とも続きをお願いします。

208:名無しさん@ピンキー
12/07/11 00:13:05.99 ZgjkLslW
>>202
乙!
もっとねっとりエロが欲しかった
高貴な淫乱はツボでした
番外編あったらヨロです

209:名無しさん@ピンキー
12/07/14 01:12:28.00 GD76kQEU
一覧に更新が出てこないと思ってたら鯖移転していたとは・・・

ひつまぶし、続く?と言いつつネタ振りしまくりじゃないですかw
月下の破瓜とか野外調教あれこれとか精霊と浮気とか、
父王の調教の日々とか、どれとは言いませんので続きください!

210:ひつまぶす。
12/07/14 12:37:36.63 BJEf3yIj
>>209
父王の調教:苦手にしてたつよきっすな女の子に首輪やら鞭やらロウソクを渡され、女の子がデレデレのとろとろになるまで調教しつづける数ヶ月の話

月下のロストヴァージン:村を再興するために頑張るセフィの側に居続けたラヴィが、キスと共におねだりするような話。

精霊さんとの浮気:浮気やないよ?本妻が納得してのラブコメだよ?本妻が我慢できずに3Pになったりするけど


こんな構想

211:名無しさん@ピンキー
12/07/14 14:54:12.51 rTI5acej
>>210
何という素敵な構想…!
ぜひ見たいなーとちらりと言ってみます

212:妖ノ宮
12/07/15 04:03:11.93 RWuYSBzl
他のスレに途中まで投下して、3年ほど放置していたパロディの加筆修正、完成版。
特殊嗜好を含むため、こちらに投下する。

元ネタ:「妖ノ宮」っていう和風姫ゲー。
属性:女性向け男女恋愛、ハゲ、スカトロ、カニバリズム要素、SM要素。

苦手な人は注意して下さい。


■登場人物

妖ノ宮(あやしのみや)……あやかしと人間の混血児。趣味は放火。
法縁(ほうえん)……妖ノ宮の婿。僧形の超絶イケメンカリスマ指圧師。
五光夢路(ごこう・ゆめじ)……妖ノ宮の後見人。あやかし討伐組織の総長。
火炎車(かえんしゃ)……妖ノ宮のお友達。人を喰う凶悪な妖怪。

213:妖ノ宮
12/07/15 04:05:01.26 RWuYSBzl
『妖ノ宮』

あやかしと人間が共生する、極東の神秘の島国、八蔓(ハチマン)。
呼び名の由来は、「かつて八柱のオロチがツルのように絡まり合い、生まれた土地」とされる伝承。
多種多様な都市国家が群雄割拠し、成り立っている列島である。
人の子もあやかしも、激しく短い一生を送り、天寿を全うすることは少ない混沌の時代であった。


このハチマンにおいて、国内の医療市場を牛耳る存在が慈院(じいん)である。
慈院とは、老若男女を問わず、広くハチマン中に顧客を抱える、指圧治療師の組合。
まだ医療技術の未発達だったハチマンにとって、貴重な医の担い手と言えた。

彼らを統率するのは、余酪(よらく)地方の領主にして慈院総元締め、法縁(ほうえん)。
彼はしたたかな野心家の男で、医療の独占状況をよいことに、甘い汁を吸う稀代の悪党だった。

法縁は筋金入りの守銭奴。
自分が頭首に代替わりしてからは、慈院の運営をカネ儲け主義に走らせる。
治療費を法外に吊り上げ、暴利を貪ったのだ。
また横領、脱税、贈収賄、そしてセクハラ、パワハラ、しかもマザコンのうえにロリコン……
あらゆる不正行為と、神技の域とまで称される「癒しの指」の技術を悪用し、勢力拡大に成功してゆく。

その狡猾さから頭角を現した法縁は、さらに盤石の地位を得る。
国家連合の盟主、主君筋である神流河(かんながわ)国の姫宮をめとり、みごと逆玉の輿に乗ったのだ。

半人半妖であることから、妖ノ宮(あやしのみや)とあだ名される、弱冠十六歳の少女。
彼女は、志半ばにして非業の死を遂げたハチマンの英傑、覇乱王(はらんおう)、
神流河正義(かんながわ・まさよし)の遺児。
乱世に咲きし可憐な悪の華である。

この姫君が法縁をみそめ、弱みを握って彼を脅迫し、求婚した。
そして互いに利害の一致を見た結果、めおとの契りを結んだのだ。
妖ノ宮は人食い鬼の放火魔だったので、法縁とは悪党同士お似合いだった。

時期を同じく、覇乱王の四人の重臣、四天王による覇権争い
「四天相克(してんそうこく)」の動乱も収束。
妖ノ宮を奉戴していた五光夢路(ごこう・ゆめじ)派閥の勝利をもって、幕を閉じる。

妖ノ宮が神流河国の王になり、妖ノ宮と法縁はめでたく盛大な祝言を挙げた。
ふたりは今まで以上に一致団結し、弱き民からカネを巻き上げ、苦しめ続けた。


これは、そんな悪鬼のような夫婦の物語。

214:妖ノ宮
12/07/15 04:07:50.90 RWuYSBzl
<一>開幕

ここは首都、百錬京(ひゃくれんきょう)の西に位置する傘下都市―余酪(よらく)地方、慈院本部。
自然豊かな山々に囲まれた、堂々たる山門。
山門をくぐると、広大な敷地には白砂が撒かれ、閑静清浄なおもむきの木造建築が構えている。
時刻は宵の口。
等間隔に並ぶ吊り灯ろうが、入り組んだ回廊の夜闇を照らしていた。
大勢の門弟たちを養う大所帯である立派な屋敷。
景観からも裕福な暮らしがうかがえる。
それは、弱者たちの屍の上に築かれた栄華だった。

そんな悪徳領主の館にて、新妻の妖ノ宮(あやしのみや)は、ひとり文机に向かっていた。
普段は百錬京の風雲城で生活し、政務を処理しているのだが、今は用事があり慈院本部に滞在していた。

世間を欺くためのインチキ二重帳簿をつけている最中である。
こうした悪事にも平然と手を染める娘だが、彼女は見目麗しかった。
容姿だけを見れば、蝶よ花よと育てられた人畜無害な深窓の美姫。
まるで幼女の面影を残す和人形だった。
しかしちまたでは「大妖を母に持ち、妖術でもって人心を操る」と噂され、
畏怖の対象となっている妖女である。

「おなかすいた……ごはん、まだかなぁ」
記帳する筆を置いて一息つくと、空腹をつぶやく。
と言っても、先ほど夕餉を済ませたばかり。
ふっくらと炊きあげた、在田産の最高級白米をたらふく喰ったばかりである。
厨房におやつを貰いに行くか、または妖ノ宮の精神世界「真なる座所」に潜り、
お供のニンジンと戯れるか、それとも、どこかに放火して気分転換でもするか……。

悩んでいると、ふいに食べ物の気配を感知する。
「あっ、おいしそうな匂いが近づいてくる」
しばらく待っていると、荘厳な錦絵をあしらった襖を引き開き、薫香を連れて和室に入る者があった。

僧形の青年―伴侶の法縁(ほうえん)である。
「ヌフフ……妖ノ宮、今帰った。いい子に留守番しておったか?」
「あら。お帰りなさい、あなた」
中立組織、調停(ちょうてい)の都、松左京(まつさきょう)の往診から帰邸した彼に、
妖ノ宮は可愛らしく抱きついた。
よろめく法縁。
「おっと、危ない。ヌフッ、どうした。わしが居なくて淋しかったか? ヌフフフ」
ヌフフ、と不気味に笑いながら、幼妻の丸い頭をやわらかく撫でる。
「別に! ちっとも淋しくなんてなかった。調子に乗らないで、つるっぱげ」
「…………」

慈院は剃髪し法衣をまとうことを制服としており、彼も紫の衣と贅沢な金襴の袈裟を身につけている。
聖職者のなりをしているものの、法縁は汚れきった男である。

215:妖ノ宮
12/07/15 04:11:50.18 RWuYSBzl
まず人相から邪悪で、絵に描いたようなふてぶてしい面構え。
年の頃は「おっさん」と形容するにはまだ早いが、
かと言って「お兄さん」と呼ぶのもそろそろ厳しい、微妙なところ。
見るからに胡散臭い人物である。

妖ノ宮は、夫に座布団を勧めながら言った。
「座って。外は寒かったでしょう、すぐにお茶を淹れるわね。夕餉は食べてきたの?」
「ほれ、これは土産じゃ。腹をすかして居るのではないかと思ってな。
 包みを解いてみろ。おぬしの好きな饅頭が入っている」
「わあい! お菓子大好き。おまんじゅう、ちょうだい」
嬉しそうに土産を受け取り、茶器の用意を始める妖ノ宮。

新たな金ヅルの資産家を掴んできた法縁は、上機嫌だった。
「喜べ、妖ノ宮。調停の大貴族から、また“暖かいご支援”を頂戴したぞ。
 まったく笑いが止まらぬなぁ! ……ヌフ、ヌフハハハハ! 力こそ正義! カネこそが正義なのだ!」
この「暖かいご支援」という言葉は、脅迫による搾取を意味している。
脅迫は法縁の十八番である。
彼は医療従事者でありながら、甘美な権力の味に魅入られしカネの亡者だった。

「悪さばかりしていると、そのうち罰が当たるわよ。法縁殿」
「フン……どの口が言っている。罰なぞ当たりゃせんよ。
 なにせ我が慈院は、天下の妖ノ宮様の加護を受けているのだからな」
過日の跡目争い「四天相克(してんそうこく)」を勝ち抜いた妖ノ宮は、覇乱王の正式な後継者。
王婿の恩恵を享受した慈院も、今や揺るぎなき組織である。
自らも趨勢に乗ろうと、ハチマン各地の有力諸侯が、法縁への取り入りに躍起だった。

「ヌ、おぬし」
ふいに何事か気づき、目を眇める法縁。
妖ノ宮の小作りなかんばせを、しげしげと眺める。
「ははあ、ちと顔色が悪いな。疲れが溜まっていると見える」
「そう? 確かにおなかは、すいてるけど……」
妖ノ宮は夫を見上げ、小首をかしげた。
「……おぬしは常に腹をすかしておるな」

本人は頓着しなかったが、実際のところ、彼女は心身ともに疲弊していた。
神流河(かんながわ)国の新しい君主として、激務をこなす毎日……。
それなりに楽しく幸せではあったが……甘くも何ともない、法縁とのあわただしい新婚生活。
共に過ごす時間すら、ろくに確保できない日々が続く。
新天地の慣れない仕事に戸惑う場面も多く、無理が重なったのである。

「どれ、久しぶりに施術してやろう。湯で身体を温めて来い」
「でも。あなたも疲れているでしょう? 往診から戻ったばかりだもの。今日はもう休んで」
「なに、おぬしに体調を崩されでもしたら、わしが困るのでな。
 ゆっくりと……時間をかけて……揉みほぐして……癒してやろう……ヌフフ!」
どうやら法縁なりに、妖ノ宮を心配しているらしかった。

216:妖ノ宮
12/07/15 04:15:09.56 RWuYSBzl
<二>指圧

湯浴みを終えて妖ノ宮が戻る。
寝所の座敷はよく暖められ、畳にはすでに布団が敷かれていた。
軽く焚いた香のただよいが、彼女の身体をふわりと包んだ。
「ほれ、ここへ来い」
僧装を解き、法縁は白衣姿となって待っていた。

彼の手招きに応じ、布団の上にちょこんと正座する妖ノ宮。
湯あがりの着衣は薄い寝間着のみ。
カラスの濡れ羽色の髪を高く結いあげてまとめ、人外の証である尖耳を露わにしている。

袖をたくしあげ襷を結び、法縁は張りきって腕まくりをした。
膝立ちになって妖ノ宮の背後に陣取ると、肩の触診を始める。
「……ずいぶんと、身体を酷使しているようだな」
熟達した治療師は、患部に触れるだけで相手の体調を読み取ってしまう。
「んっ、そこ」
押し揉まれた部位が痛気持ちよく、妖ノ宮は思わず鼻を鳴らす。

眉上で切り整えられた前髪を掻き分け、法縁の手指がこめかみを押さえると、ゆっくり円を描く。
「わしの指は癒しの指。力を抜き、わしに全てを委ねるのだ。
雲オロチの腕に抱かれているが如き、極楽浄土へと連れて行ってやろう!」
幼妻の耳元でそう囁いてから、彼はほくそ笑んだ。


―生命維持の源とされる、生気と血液を気血という。
気血の循環系として、人体をすみずみまで巡る道すじが経絡。
おもに十二本の経脈があり、五臓六腑から出発し、全身を一巡りして再び戻ってくる。
これらの経路上にそって点在する要所が、いわゆるツボ、経穴である。
健康に変調をきたすと、それが経絡を通じて関連ある経穴に伝わり、凝りやへこみ、
皮膚のざらつきとなって現れる。

指圧とは、経穴を刺激することによって内臓諸器官に働きかけ、気血の流動を促進し、
自然治癒力を引き出す手技療法のひとつである。
また慈院の指圧術「癒しの指」は、人間の身体能力を一時的にだが、
劇的に増強するといったことも可能とし、軍事にも重宝されていた。

特に頭首である法縁の技量は群を抜いていた。

217:妖ノ宮
12/07/15 04:17:49.92 RWuYSBzl
―華奢な四肢が、敷布の上でうつぶせになっている。
力加減を誤って扱えば、たやすく折れてしまいそうな身体である。
法縁はその細身に馬乗りになって跨った。

爪を短く切り揃えた指先で、背の柔肉に位置を定める。
そっと親指を投じると、彼の商売道具が……じわり、と掛け布に沈み込んだ。
的確な取穴だった。

体重を乗せ、奥に深く圧を入れる。
「……ぁ、ぅ~っ……いぎぃぃ……」
えも言われぬ圧痛に、押し殺した呻きがあがる。
「ほら、まだ無駄に力んでおるぞ。遠慮するな、声を我慢することはない」
「ぁっ、は、ぅ~!」
「次はこちらの経穴だ!」
枕に顔を埋めた妖ノ宮は、押し寄せる快痛の波に呑まれていった。

秩序ある規則的な指さばき。
この妙技を、唯一いつでもどこでも無料で味わえるのが、妻である妖ノ宮の特権だった。

次第に、体内を回る気血の流れが調整されてゆく。
筋肉の緊張はやわらぎ血流も良好、可動域が増え、細胞が見る見ると活性化した。
「段々と身体が軽くなって来たであろう」
「……ふぁ……は、ぁ……」
切れ目のない加圧に合わせ、妖ノ宮は穏やかに呼吸する。
彼女はふわふわと夢見心地をたゆたっていた。
酒に酔ったような酩酊感に眠気をもよおす。
妖ノ宮はまどろみ―何かを尋ねる法縁の声も、意識の遠くに聞こえる。


全ての工程を消化する頃、彼女は健やかな寝息を立てていた。

218:妖ノ宮
12/07/15 04:20:47.03 RWuYSBzl
<三>B面

「……妖ノ宮、妖ノ宮。これ、妖ノ宮よ。わしの姫」
「ん……ほうえん、わたし、眠ってたの……?」
低い呼び声に覚醒した妖ノ宮は、のろのろと布団から起き出した。
寝惚けまなこを小さな両手で擦っている。

「む、目覚めたか。さあ、これをお上がり。わしの煎じた薬湯だ。気分が落ち着く。熱いから気を付けてな」
そう言って、湯気のたち昇る陶器を載せた盆を差し出す。
妖ノ宮が眠っている間に淹れたものだ。

「いい匂い……いただきます」
愛情たっぷりの施術に安らいだ妖ノ宮は、屈託なく微笑んだ。
渋くこうばしい風味を楽しみながら、法縁手製のお茶をすする。
すぐに身体の芯から温まり、発汗する。

「おいしい。法縁殿、ありがとう。疲れが抜けて、すっかり楽になりまし―」
「さあて、では最後の仕上げといこうかの。身に付けているもの全て脱いで、そこに横になれ」
述べようとした礼を法縁が遮った。

予想外の指示にきょとん、とした後、妖ノ宮は頬をプクッと膨らます。
「……すけべ。今夜はいや」
「はて、助平なのはどちらだか。わしはただ、ヌッフフ! 総仕上げに必要であるから、
 脱げと言っているまで。いったい何を期待しておるのかな」
「変なことしないで下さいね」
彼の怪しい笑みに疑いの眼差しを向けながら、釘を刺す。
「ああ。しない、しないぞ。だからとっとと脱ぐ! ヌフ、ヌフフフフフッ!」
「する癖に……」


布団から枕をどかし、替わりに折りたたんだ数枚の手拭いを重ねて置く。
生まれたままの姿になった妖ノ宮は、それを顎の下にし、腹ばいに寝そべった。
行燈の淡い照明によって、しなやかな裸身がぼうっと浮かびあがる。
白いうなじに、汗で湿ったおくれ毛が貼りついている。

「よいか、妖ノ宮。治療こそ我が命。そう、万人の幸せこそが……
 いや、おぬしの幸せこそ、わしの幸せ。ヌフ、ヌフフフ……」
わざとらしく殊勝な物言いをする法縁。
何か言い返そうと妖ノ宮が身じろぎしたとき、大きな手が静かに脊柱へ乗せられた。
労わるような、心地よい熱を帯びる厚い皮膚。
―言葉が出てこなくなってしまう。
ただそこに触れられているだけで、掌から放出される慈しみの「気」が、体内に浸透するようだった。

219:妖ノ宮
12/07/15 04:23:41.78 RWuYSBzl
法縁は薬箱から小瓶を取り出し開封した。
粘り気のある液体を適量手に垂らし、しばらく体温であたためる。
「ゆくぞ、妖ノ宮よ」
「ひゃ、何ですか? 冷たい。ぬるぬるする」
「これか? これはな、ただの潤滑液だ。指の滑りを良くする、な」
植物から抽出した精油を用い、法縁が調合した非常に高価な品だ。
ほのかに立ち込める陶酔的な香気には、催淫効果がある。

「ぷぷ……くすぐったい」
背のこそばゆさに耐えかね、妖ノ宮はくすくすと笑い出した。
「こら、笑うでない。いい子だから大人しくしておれ」
震える脇腹にとろみを広めながら注意する。
「なによ、子供あつかいしないで。私はもう子供じゃない」

柔らかな女体の背面をゆっくり按摩しながら、円滑液をなじませてゆく。
少女の透明感あふれる肌が、法縁の手によって一層ピカピカに磨かれる。
―やはり布越しに触れられるのと、素肌へ直に触れられるのとでは、違う。
男女の肌同士の摩擦が、妖ノ宮にもどかしい劣情を喚起させるのだった。

入念に下地を作ってから、法縁は頃合いを見計らって話しかける。
「それにしても、けしからん。実に、けしからんなあ」
言うと、粘液で濡れ光るプリプリの尻たぶを鷲掴みにした。
「全くけしからん尻じゃ。ようし、こうしてくれる!」
「ぁう! 嘘つき、いやらしいことはしないって約束したのに。法縁のはげ。つるっぱげ!」
「ヌフ!? 禿げ、禿げだと!? なんと。まさか女房から禿げ呼ばわりされるとは!
 わしはもう立ち直れぬ。……ヌフハハハッ、こやつ! この鬼嫁めぇ」
「誰が鬼嫁なの。もう一度言ってみなさい!」

焚きつけられた法縁は反撃に出た。
仙骨の辺りにある窪みに指を添えると、ぐっぐっと、手際良く押し広げる。
「あっあっ、やぁんっ」
妖ノ宮の身が跳ねた。
潤滑油のぬめりを使い、男の太い指が尻の割れ目を往復する。
尻えくぼの凹みや足のつけ根を圧し、菊蕾に指先を当てて振動させると、いじらしい嬌声があがる。

法縁は、実に楽しそうに弾力ある双臀をこねくり回した。
「ほうれ、ほうれ! どうした、そんなに尻を振って」
卑猥な手つきから逃れようと、妖ノ宮はむっちりした小ぶりの尻山を持ち上げ、左右に捩じる。
それが意図せず挑発的な動きになってしまう。
「ぃや、だめ、ほうえん、法縁ったら! 妖怪髪なし。すけべな人は嫌い!
 もうっ、……お、おしりやめてぇ……っ」
桃尻への執拗な責めは続いた。
何という尻への執念。
彼女の尻は法縁のお気に入りなのだ。

220:妖ノ宮
12/07/15 04:27:16.90 RWuYSBzl
内腿の際どい箇所に触れられたとき、妖ノ宮はとうとう本音を漏らした。
「嫌なの。顔が、見えないままなのはいや……あなたの顔、見たい……だから」
「よしよし、では前もしてやろうな」
涙目になって請われた法縁は、嬉々として応じた。

彼の言葉を聞き、妖ノ宮は気だるげに上体を起こす。
そっと顔を寄せ、首に細腕を回し、口づけをせがむ仕草を見せる。
「法縁殿……」
「それはまた後で、な」
「…………」
制止された妖ノ宮は、何とも複雑な表情を浮かべるのだった。


少女の火照った肉体があおむけに横たわる。
すかさず、晒された下半身の茂みに保温用の手拭いが被せられた。
妖ノ宮は胸の前で両腕を交差させ、乳白色のなだらかな丘陵を抱き隠している。

「……どうせ、小さいと思ってるんでしょ」
目をそらし、脈絡なくつぶやく妖ノ宮。
「は、何のことだ?」
「大きくて綺麗な患者さんだったら嬉しいんでしょ、浮気者」
あどけない彼女は、まだ幼児体型の域を出ていない。
慎ましく控えめな膨らみである。

「待て、わしはまだ何も言っとらんぞ。浮気もしておらぬし。何故ならば命が惜しいからな。
 それに患者のことは、骨と筋肉の集合体としか思っていない」
そして、患者は「カネを運んでくる物体」でしかない。
「言わなくても分かってるんだから……」
むくれる妖ノ宮。
法縁は、女性患者に平気でセクハラじみた施術をするため、浮気の心配がある。
黙ってさえいれば、彼は引目鉤鼻の純和風イケメン……
ハチマン一の男前である(と妖ノ宮は思っている)。
やきもちを妬くのも無理はない。

「ん。しかしまあ、おぬしが気に病んでいると申すのなら。
ヌフフフ、たっぷりと時間をかけて……わしが乳を大きくしてやろう」
ポキポキと得意げに指を鳴らす法縁。
「お願いします、法縁先生」
「よかろう、万事わしに任せておけ。おぬしの乳は責任を持って育てる。今夜は寝かさんぞ!」
彼は歯を出して力強く笑いかけた。

221:妖ノ宮
12/07/15 04:30:56.70 RWuYSBzl
<四>A面

法縁は姿勢を正し、仰臥する妖ノ宮のあたま側に座り直した。
蛇を彷彿とさせる、切れ長の鋭い双眸が、彼女を逆さまに覗き込む。
……妖ノ宮は、自分がまるで俎上の魚にでもなったかのような錯覚に陥った。
生殺与奪の権を握られ、今から好き勝手に料理されようとしている。
三枚におろされるのかも知れない。

手の平に円滑油をまぶして補充し、作業に取りかかる法縁。
指先で、体側に深く重くらせんを描いてゆく。
心臓を目指し炙るように熱を送ってゆく。

「しかし、おぬし。よく喰う割に全く太らんな。面妖な。これもあやかしの血か?
 育ち盛りだろうに、どこもかしこも、ちっこい」
按摩する手の流れを止めぬまま、そう述べる。
「……お黙り。ちっこいって言わないで。法縁なんてもう知らない。
 仕返しに、髪が一生はえてこない呪詛をかけてやる!」
「ハッ、やれるもんならやってみれ。散髪代の節約になって調度いいわい」
「イーッだ!」
彼の憎まれ口に、妖ノ宮は歯を剥き出しにして威嚇した。

「何がイーッだ、だ。めんこいのう。これでも喰らえ」
彼女の額にぱちん、とデコピンをお見舞いする。
「いたっ」
その攻撃に妖ノ宮はますます膨れた。
「これ、その奇怪な顔は止めろ。せっかくの別嬪が台無しじゃぞ」
「ぷしゅう」
法縁は膨張した頬を親指と人さし指で挟んで潰し、強制的に空気を抜いた。


肉を掬いあげて放し、握って絞り、波立たせる。
圧を変化させながら、表皮に円運動を加える。
大きく揉んだり、小さく揉んだり―抑揚をつけ、筋肉のこわばりを取りのぞき、経絡を流す。
施術に集中している彼の表情は、職人のものだった。
凛々しくすらあった。

一方妖ノ宮は、焦燥感にかられていた。
閉じられた薄いまぶたが震えている。
血行の良くなった雪肌には赤みが増し、細かい汗に濡れた胸が、切なげに上下している。

いつまで経っても、法縁が核心に触れようとしないのだ。

222:妖ノ宮
12/07/15 04:34:05.83 RWuYSBzl
幼い乳頭はすでに勃ちあがっていたが、時おり気紛れな指先が掠めていくのみで、もどかしい。
平らな腹の産毛を逆撫でる、遊ぶような指遣いに、焦れる。
催眠にかかったように朦朧とし、意識が落ちそうになると、たちまち性感によって掬い上げられ、
その度に入眠から引き戻される。

生かさず殺さずを保つ「蛇の生殺し状態」だった。
―もっと強い刺激が、決定的な刺激が欲しい。
妖ノ宮の眦から、恍惚の涙が一すじ伝った。
「……おねがい、意地悪しないで……はげてるくせに……」

「なんだ、泣くな。どうして欲しいのか言ってみろ」
落涙を爪の甲で拭いながら、なだめる法縁。
「口づけしてほしい……あと、その……す……」
「す?」
「……吸って」
「何を」
「胸、吸ってほしいの……」

「そうそう、そうやって素直に申せば良いのだ」
立場の優位を確かめて満足したのか、彼は恩着せがましく言った。
「よし、今おぬしの貧乳を―
 ヌ、ヌファーッ!! お母ちゃぁぁぁぁん! コラッ、わしの頭を齧るなァーーッ!!」
なんと、屈み込んだ坊主頭に、妖ノ宮がガブリと噛みついた。

法縁が血のにじむ頭皮をさすると、小さな歯形が残っている。
「ヒギィ、は、歯形が、歯形が付いた! まったく凶暴なおなごじゃな。
 もっと、優しくしてくれても良いのではないか!?」
「あなたが悪いのよ、貧乳って言うから。いい気味!」

煽り耐性の高い法縁も、頭を齧られてさすがに怒ったのか、妖ノ宮の希望に応えなかった。
代わりに下肢を覆う厚手の手拭いに腕を伸ばす。
「―さて! そろそろいくか。長らく待たせたな」
「えっ、そっちはしなくていい……」
最後の防具を引っぱられ、慌てて鼠径部を押さえる妖ノ宮。
しかし抵抗虚しく、あっけなく引き剥がされる。

「おや。この染みは何だ?」
「…………」
妖ノ宮は赤面し睫毛を伏せた。
彼女の尻の下には、淫水の染みが広がっていた。

223:妖ノ宮
12/07/15 04:37:34.45 RWuYSBzl
法縁は骨盤を手の平で揺さぶり、熱と振動を深部まで―子宮まで響かせる。
女陰は、とっくに溶けそうな程ふやけていた。

さやに収まった肉豆は腫れ、固く芯を持っている。
彼は肉豆の根元をとんとんと軽く叩き、点圧して潰した。
また、蜜汁でぬめる会陰を点圧する。
「んっ、ぁんぅ……」
そうすると、妖ノ宮の中心に、甘く痺れるような腹圧がかかった。

「! ほうえん、まって。やめて」
妖ノ宮が唐突に、働く手を払いのけようとする。
「途中では止められぬなぁ」
しかし抗議は一蹴される。

彼女は法縁の下で必死にもがいた。
内腿同士をいらいらと擦り合わせている。
「か、厠にいきたいの……さっき飲んだお茶が……」
治療によって代謝が活性化し、先ほど摂取した薬湯が排出されようとしているのだ。
「ヌフフ、ならば此処ですればよい。わしの目の前で」
悪趣味な要求に唖然とする妖ノ宮。
「なに言ってるの……あ……出ちゃう、お小水が……嫌、いやぁ」

生臭坊主の陰湿な笑み。
「わしとおぬしの仲ではないか、今更恥ずかしがることも無かろう? ん?」
「見ないで。み、見ちゃだめ! おしっこ、みないで……おしっこするところ、みちゃだめぇ……」
羞恥と混乱によって、呂律がうまく回らない。

法縁は、五指でわざと彼女の下腹部を圧迫した。
外部から促され膀胱が決壊する。
「ぁあ、あーっ! おさないで……ミヤ、いっちゃう、みゃいっちゃ―」
きれいな放物線を描いて噴き出す、黄色い液体。
男に鑑賞されながら、はしたなくも大股開きで放尿する。
脆く儚げな肢体がわななき、脱力した。
……辺りには湯気が立ち昇る。

恥辱を与えた張本人は彼女に覆い被さり、嫌味ったらしく顔を寄せ、さらに追い打ちをかけた。
「ヌフハハハッ! こやつ、小便を引っかけよった! そんなに気持ち良かったか、この淫乱が」
「……ぐすっ、でちゃった……もうやだ、この男……」
彼女は己のみじめさに泣き濡れた。
これでは、神流河の王の威厳も何もあったものではない。

しかし、ほっと解放感もあった。

224:妖ノ宮
12/07/15 04:41:20.59 RWuYSBzl
<五>(∪^ω^)わんわんお

―座敷中に、パシャパシャと水の爆ぜる音が響く。
たらいに張った湯で、法縁が両手を清めている音だ。
布団にくるまった妖ノ宮は、それを離れて聞いていた。
全身に塗り込められていた潤滑液は、蒸したおしぼりで丁寧に清拭され、
汚れた寝具は清潔な新品と交換されている。

商売道具の手入れが完了すると、法縁はニヤニヤしながら振り返った。
「何か言うことは?」
目が合った途端、妖ノ宮は慌てて顔を引っ込める。
頭から掛け布団を被り、彼の視線から隠れてしまう。

「ぅ~っ」
恥ずかしそうな、くぐもった呻き。
「……私が悪いんじゃないもん」
「わしが悪いんでもないもん」
法縁が意地悪く茶化すと、妖ノ宮は貝のように押し黙り、布団から出てこなくなった。

「ミヤ」

法縁にしては珍しく、妖ノ宮の本名を呼ぶ。
……自分の男から本名で呼び掛けられてしまっては、さすがに無碍に出来ない。
ミヤ姫―妖ノ宮は、おずおずと顔を現わした。
赤く染まった鼻頭や、泣き腫らした目元がいとけない。

「機嫌を直せ。いい加減、出ておいで」
法縁は、様子をうかがう彼女から布団を力づくで引っぺがし、抱きすくめた。

すると妖ノ宮が、彼の白衣の衿にいきなり腕を突っ込んだ。
「法縁、法縁、こちょこちょ~」
腋の下から腰にかけて、こちょこちょと肋骨をくすぐり始める。
「ヌファッ、ヌヒャヒャヒャヒャヒャ! こら、よせ! アヒャヒャヒャヒャ、やめんか! ヌフフフッ!」
「こちょこちょ~、法縁、こちょこちょ~」
キャッキャとじゃれつく妖ノ宮から逃れ、法縁が身を捩ると、ふたりは縺れて後ろに転倒した。

取っ組み合いになり、布団の上でごろごろと転がる。
はだけた着物の合わせから法縁の男体が覗く。
指圧師とは、足腰にひどく負担のかかる職業……強健な肉体でなければ続かない、重労働である。
加えて、彼はカネ儲けのためにハチマン中を東奔西走する、忙しい男。
チラつく胸筋や腹筋は健康的で逞しい。
―露出した男の外皮は、妖ノ宮に食欲を誘発した。
彼を経口摂取したい衝動にかられたが、今は抑える。
喰おうと思えば、いつでも喰えるのだ。

225:妖ノ宮
12/07/15 04:44:13.93 RWuYSBzl
「ちゅっ」
どさくさに紛れ、妖ノ宮は相手の口を啄ばんだ。
不意をつかれた法縁が驚いた顔をすると、彼女はエヘヘ、とはにかんだ。

「ふむ。どうしたものかな……おぬしの所為で、こんなことに成ってしまったぞ」
こともなげに言うと白衣の裾をぺろんとめくり、欲情の証を見せつける。
「あなたの、おっきくなってる」
前を張らした下帯は先走りでぐっしょりと濡れ、中身が透けて見えている。
ずっと妻の艶容を眺め、辛抱していたのだから当然だ。
「責任を取って頂けますかな、妖ノ宮先生」

褌の隆起を指でスーッと逆撫でながら、声色を作る妖ノ宮。
「いいでしょう、今度は私が癒してあげましょう。ぬふふ」
「ン? 何だそれは。わしの真似か?」
「うん。あなたのマネ。ぬふ、ぬふふふ」
「…………」
一瞬、剣呑な表情になって口を噤むが、法縁はすぐに相好を崩した。
「ヌフフ」「ぬふふ」
互いに顔を見合わせ、ふたり仲良くヌフフ、とほくそ笑む。

そんな和やかな空気の中、急に妖ノ宮の語調が変わった。
法縁を睥睨しながら鋭く言い放つ。
「ところで法縁、私は誰ですか? あなたはさっきから誰と口をきいているの。
 生意気よ。いつもみたいに、可愛くおねだりしなきゃダメ」
法縁は少しムッとするが、潔く観念した。
「……わん」

社会的地位も名誉もある男性が、何の迷いもなく犬の鳴き真似を始める。
「わん! わんわんっ! この法縁めは、貴女様のイヌでございます!
わんわんわん! (∪^ω^)わんわんお!」
「そんなに大きくして。ほんとにイヌみたい、あなたはイヌよ! イヌイヌ!」

「貴女様こそ、八蔓に降臨せし凄艶なる天女、妖ノ宮様。まさに火のオロチの化身!
 神流河に咲き乱れし不滅花! 我が慈院の守護女神! カネの生る木……金の卵、
 じゃなかった客寄せパンダ! いや、ええと列島の真の支配者、麗しき女帝!
 わたくしめと婚姻して頂きたい位でございます! あ、もうしてるか」
「そうじゃないでしょう、法縁。聞こえないわ、もっと大きな声でいって! このろりこん」
ずっと年若の、十六歳の少女から命令される彼の姿は、無様だった。

法縁は妖ノ宮に逆らえないのだ。
「はい、喜んでー! 妖ノ宮様を嫁に頂き、身に余る僥倖! 恐悦至極! 妖ノ宮様バンザイ!
 わしは八蔓一の果報者でございますーー!! どうぞ何なりと、お申し付け下さい」
とかなんとか胡散臭い慇懃無礼な台詞を吐きながら、彼は平身低頭する。

226:妖ノ宮
12/07/15 04:48:26.44 RWuYSBzl
問いが核心に迫ってゆく。
「では、私とおカネと、どっちが大事なの?」
「無論カネだ!」
即答。
その刹那―空中に青い鬼火が生まれる。

色素の薄い、妖ノ宮のとび色の瞳が変化した。
瞳孔が縦に細く開き、化け猫のような黄金の虹彩に輝く。
同時に室内が鳴動する。
妖ノ宮から赤黒い燐光が立ち昇り、周囲に渦巻き妖気が充満した。
「あ、熱い! あちち」
法縁にも火の粉が降りかかる。

「違いました今のは間違いました! 誤解です!! ―嘘だ、悪かった。わしが悪かったから
 妖術はよせ妖術は! 勿論、貴女様でございますよ。ひと目拝見したその時から、ずっと
 お慕い申し上げておりました! あなた様だけに忠誠を誓っております!! 失言をお許し下さい」
全身に脂汗をにじませながら、法縁はただちに言い改めた。
「かっこいいから許す」

薄い皮の下に潜めていた毒婦の気性が、表出する。
「謝って、最後にハチマンの皆さんにあやまって! 私も一緒に謝るから」
「畏まりました! 八蔓の皆様、この度は私ども夫婦が圧政を敷き、搾取に次ぐ搾取を重ね、
 誠に申し訳ございません!!!! しかしながら、このまま皆様方の尻の毛まで毟り取る
 予定でございますので、そのつもりで宜しくお願い申し上げます!!」
「ククク……法縁、クックック……ハチマンのみなさん、ごめんなさい」

「……ったく。これで満足か。やれやれ、仕様のない奴じゃ。気が済んだのなら、はよう奉仕せい」
ご機嫌取りに必要な儀式は果たした、とばかりに、法縁はさっと手の平を返す。
妖ノ宮は脱力した。

何ごとか、わずかに思案する素振りを見せる妖ノ宮。

次の瞬間―妖ノ宮は猛烈な勢いで法縁に襲いかかった。
「法縁ンーーーーッッ!!」
主の叫びに応え、忠実に呼び返す法縁。
「妖ノ宮様ァアーーーーッ!!!!」
イエ゛アアアアア。
妖ノ宮と法縁は絡まり合い、布団に倒れ込んだ……。

227:妖ノ宮
12/07/15 04:51:29.75 RWuYSBzl
<六>情交

時刻はすでに深更。

「変なにおい」
湯浴みを済ませていない男の股ぐらに顔を寄せ、妖ノ宮はくんくんと鼻を鳴らした。
紅葉のような愛くるしい手が褌を解けば、黒々とした陰毛と張りつめた肉茎が現れる。
彼女はさっそく魔羅に悪戯をし始めた。
「くすっ……へんなの」
いちいち弾む様子を面白がって、肉塊を人さし指でツンツンとつつく。
「……人の物で遊ぶでない。それはおぬしの玩具ではないのだぞ」
「なに言ってるのよ。これは私のよ」
「いや、まあ確かにおぬしの物でもあるが……」
気を遣って陰部を清拭しようとする男の手を、妖ノ宮は止めた。
「待って。そのままでいい」

妖ノ宮は糸を引く先端を頬張るために、「あーん」と口をいっぱいに開いた。
「入らない」
「あまり無理をするな。おぬしは口が小さい」
口に含むことを諦めた彼女は、茎に白魚の指を添え、外周を確かめながらゆっくり上下に擦り始めた。
同時に、体外に放り出された無防備な内臓―重たげにぶら下がるふぐりを優しく揉み転がした。

「ぬふぅ……」
浮いた血管を舌で巻き、鈴口をえぐると、妖ノ宮の頭上で吐息が聞こえる。
「……おぬしの口撫は指圧より気持ちいい……女人とは恐ろしいものよ」
吸茎に浸っているのか、あんなに饒舌だった法縁の口数が少なくなった。

今まで夫から指導されてきた通りの技巧を、しばらく続ける。
すると睾丸が根元に迫りあがり、それは吐精が近いことを知らせていた。
「まずい、離せ。おぬしの口が汚れる。ぬ、あぁっ……」
煮えたぎった子種が一気に男根を駆けあがる。
妖ノ宮は陰茎を吐き出すが、代わりに、噴出する白濁が顔にかかってしまった。
「すまん。大丈夫か、目に入らなかったか?」
「うん。だいじょうぶ」
焦り、乾いた手拭いで放たれた精液を優しく拭き取ってやる法縁。

それまで飄々としていた彼の表情が、女を渇望する男の表情になっていた。
「妖ノ宮、そろそろ我慢ならぬのだが……」
いまだ彼の硬度は保たれている。
「わかってる」
―妖ノ宮の内臓に入りたいのだと、理解する。
妖ノ宮が髪に挿していたかんざしを抜くと、黒絹がサラサラ肩に滑落した。
「法縁」
宙に舞い散る漆黒の光沢が、許しの合図だった。

228:妖ノ宮
12/07/15 04:54:00.73 RWuYSBzl
二つの息づかいが混じり合い、夜気に溶ける。
長く濃厚な前戯を終え、ふたりは櫓がけの体位で交わっていた。
すでに互いに汗まみれだった。

―肌を重ねて密着すると、どうしようもなく愛おしさが込みあげる。
妖ノ宮は相手の口を吸い、尖った鷲鼻と耳を愛咬した。
彼のこめかみに光る汗を舐め、顎の輪郭を舌先で辿り、突き出した咽喉ぼとけに赤い舌を這わせる。
「また大きく……」
妖ノ宮の腹の中で、法縁がさらに反り返った。
坊主頭を抱きかかえ、せわしなく腰を振る。

「んっ、ぁ……はぁ、あなたが、好き……っ! 愛してる」
剥き出しの乳頭に吸いついていた法縁は面をあげ、妖ノ宮と目線を合わせた。
「もちろん、わしも愛しているよ――カネの次にな!!」
拝金主義者に相応しい、いっそ清々しい程の返答。
「あっそ!」
妖ノ宮は彼を乱暴に押し倒し、時雨茶臼へと移行する。

「はぁ、はぁ……ヌフフ。そんなに締め付けて。妖ノ宮様は、本当に騎乗位がお好きですなあ!」
天に伸ばした両手で白い乳房を玩弄しながら、そう揶揄する。
「言っちゃだめぇ!」
照れ隠しに平手打ちを喰らわす妖ノ宮。
頬を張られた法縁は、仕返しに下から激しく突きあげた。
「……この、人を尻に敷きおって!」
「んっ、ん……あっ、あ、あぁん……っ」
若々しく丈夫な胸筋に手を置き、彼女は必死に縦揺れに耐える。

間もなく、情事の終息も見えてくるという頃。
「ぁあ! やぁ……また、またお小水が……」
「妖ノ宮よ、我が君」
尿意に身震いする彼女に向かって、法縁は神妙に願い出た。
「貴女様のご聖水、どうぞ、わたくしめの口にお出し下さい」
「……このオスイヌ」
高貴さすら帯びる声音で悪態をつくと、腰を浮かせて移動し、躊躇なく愛する男の顔面に座る。
顔面騎乗された法縁は、充血した陰唇をくわえ、音を立てながら愛液を味わった。

ふたりの間で、あたたかな聖水の授受が行われる。
「ごぼ、げほぉごぼっ」
下賜された黄金の水流が法縁の口から溢れ、呼吸を塞ぎ、次々と首筋にこぼれ落ちる。

「ありがとう、ございます。かはっ、た、大変おいしゅうございます……ぉごほっ」
彫りの深い精悍な面立ちをみっともないアヘ顔に歪め、彼は飲尿した。
そして射精した。

229:妖ノ宮
12/07/15 04:58:30.10 RWuYSBzl
<七>睦言

法縁は情事の後の一服をしていた。
その表情にはさすがに疲労の色が見える。
……若い奥方を貰うと、いろいろ大変なのだ。

脇息に体重を預け、横にいる妖ノ宮の寝姿を見おろす。
「人の縁とは不思議なものだな。よもや、あの妖ノ宮と夫婦になろうとは」
紫煙をくゆらせ、遠い目をしながら独りごちる。
「まあ、おぬしは男の趣味が抜群によいから、仕方ないな。さすがは覇乱王のご長女」
誰に聞かせるでもなく、遠回しな自画自賛をする。

風邪をひかぬよう、布団を首元まで引きあげ掛け直してやると、ちょうど彼女が目を醒ました。
「明日もまた早い。今しばらく休んでおれ、ミヤ」
「……あなたは寝ないの? 一緒に寝よう。腕枕してくれると嬉しいな」
誘いには応じず、ただ曖昧に笑いかけ、法縁は黒糸の束をくしゃりと梳いた。
それから小気味よい音を立てながら、片手で煙草盆に灰を落とし込む。

その様子を目に入れた妖ノ宮は、好奇心にかられて手を伸ばした。
「ねぇねぇ。それ、どんな味がするの? 吸ってみたい」
「駄ぁ目だ、身体に悪い。子供が喫むものではない」
煙管を高く掲げられ、届かぬようにされてしまう。
「けちはげ」
小さく毒づく。
「ムッ、あのな、何度言ったら分かる。これは禿げではなく、剃髪と言うてだな……まあよい、覚えておれ。
 そんなことより、今度二人きりで温泉にでも行って、ゆっくり子作りするか……」

楽しげな旅行計画を立てる彼に、そっとしな垂れかかる妖ノ宮。
「だったら、あなたを食べてみたい」
「……は?」
法縁は固まる。

「お友達の火炎車(かえんしゃ)さんがね、教えてくれたの。欲の皮がつっぱった人間は、
 特別においしいんですって。そう、例えばあなたみたいに強欲な人は、
 踊り食いしてもよいほどに絶品で、嚥下した後も身体によくなじむの」
物騒な固有名詞を耳にし、法縁は警戒するように目を細めた。

「ほう。一時期八蔓中を荒らし回っていた大妖が、確か火炎車とかいう名だったな?
 最近はふっつり姿を消したと聞いているが……」
彼は探るような視線をむける。
「なるほど……つまりおぬしは、あやかし討伐組織“赤月”に身を置きながら、
 天敵である大妖とも通じておったと言うわけか。ヌフフフ。本性を現わしよったな、女狐め。
 で、そのお友達の火炎車さんとやらは、今どこにおる?」

230:妖ノ宮
12/07/15 05:01:51.96 RWuYSBzl
妖ノ宮は腹をさすり禍々しく微笑んだ。
そして赤い舌をぺろりと出すと、舌舐めずりする。
「脂が乗っていておいしかった。てへぺろ」
予想通りの回答。
「それは妬けるな」

底冷えのする原始的な恐怖が、法縁にヒタヒタと忍び寄る。
「分かったぞ。ひょっとして、アレか。わしとの結婚は体目当てか。おっかない女が居たものじゃな」
―当たっている。
ある意味、肉体目的で正しい。
冗談めかして言うものの、彼は蒼白になっていた。

「全くおぬしには、騙されたわ。四天相克の折りは、てっきり
 座敷牢で飼い殺しにされている仔猫かと思うて近付いてみたが……
 ところがどっこい、腹をすかした猛虎が爪を研ぎながら待ち構えて居たのだからな。
 おぬしの毒牙にかけられ、可哀想なわし様ちゃん!」
強気に皮肉ってから、彼は恐ろしい事実を確認しようとする。
「わ、わしを喰う気か?」

尋ねた相手は何も答えない。
「……構わんよ」
先に法縁が言葉を続ける。
「この魂、喰わせてやっても。おぬしになら」
想定外の一言に驚き、双瞳を見開く妖ノ宮。
「わしはな、おぬしに惚れとる。骨の髄まで。おぬしもわしにゾッコンなのであろう?」
それは強烈な愛の告白だった。
が、法縁はすぐにハッとし、急いで訂正する。
「……と、言うのはほんの冗談じゃ。今のは口が滑った。―そんな目でわしを見るな」
妖ノ宮は獲物を狙う狩人の顔つき……捕食者の眼光で法縁を見つめていた。

「饅頭でも喰うか? ほれ」
「うん。食べる」
まんじゅうをやるから喰わないでくれ、と言わんばかりの体で話題をそらす。
法縁が帰路で買ってきてくれた、お土産のおまんじゅうである。
さっそく渡された包みを解き、妖ノ宮は悪戯っぽく笑う。
「あーげない。ぜんぶ私の」
栗鼠のように頬袋を膨らませ、むしゃむしゃと夢中でむさぼる。
「ヌフフ、食い意地が張っておるのう。慌てるな、良く噛んで喰え」

彼はおもむろに頑丈な腕を差し出し、面倒臭そうに添い寝をした。
「喰い終わったら、さっさと寝ろ。ご所望通り腕枕をしてやる」

妖ノ宮は口元についたアンコを拭うと、素直に寝床に潜ったのだった。

231:妖ノ宮
12/07/15 05:04:47.27 RWuYSBzl
<八>夢

法縁!法縁!法縁!法縁ンぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!!
あぁああああ…ああ…あっアッー!あぁああああああ!!!
法縁法縁法縁んンぅううぁわぁああああ!!!髪がない☆
あぁクンカクンカ!金襴の袈裟クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!
お線香のいい匂いだなぁ…くんくん
んはぁっ!法縁たんの禿げ頭をツルツル撫でたいお!ツルツル!あぁあ!!
間違えた!キュッキュと頭磨きしたいお!キュッキュ!キュッキュ!
禿げ禿げキュッキュ!ツルツルキュッキュ…きゅんきゅんきゅい!!
マジHAGE1000%☆ハチマン一禿げの似合う男!!

慈院焼却の法縁たんかわいかったよぅ!!お母ちゃぁぁぁぁん!
あぁぁああ…あああ…あっあぁああああ!!ふぁぁあああんんっ!!
異人追放令されて良かったね法縁たん!あぁあああああ!かわいい!法縁たん!
キモかわいい!あっああぁああ!(∪^ω^)わんわんお!!!

立ち絵もかっこい…いやぁああああああ!!!にゃああああああああん!!ぎゃああああああああ!!
ぐあああああああああああ!!!そう言えば立ち絵なかったぁぁぁぁあああ!!!!
しかも顔グラ一個しかない!!!!あ…イベントスチルもよく考えたら…
法 縁 ち ゃ ん は スチルが一枚 し か な い?
にゃあああああああああああああん!!うぁああああああああああ!!
鶴田画伯の美人画みたいな顔してるよねっ!!攻略所要時間たったの30分!!!!
そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!はぁああああああん!!
ハッチマーン!!フッジサーン/^o^\意問山ァ!!ヌフフぅぅうあああ!!

この!ちきしょー!やめてやる!!四天相克なんかやめ…て…え!?
見…てる?白無垢スチルの法縁ちゃんが私を見てる?
パッケージ裏の法縁ちゃんが私を見てる!法縁ちゃんが私に話しかけてる!
夢路派の法縁ちゃんがカネを無心してる!!
法縁ちゃんが私に暖かいご支援を要求してる!!!貴様にやるカネなどない!!
よかった…世の中まだまだ捨てたモンじゃないんだねっ!自害しない私!
いやっほぉおおおおおおお!!!私には法縁ちゃんがいる!!
やったよ伽藍!!ひとりでできるもん!!!

あ、コミック版の法縁ちゃああああああああああああああん!!
あ!コミック版には出番ないんだった!!!テヘッペロペロ!
いやぁあああああああああああああああ!!!!あっあんああっああんあ御影様ぁあ!!
エ、エクレール!!有為吟帝ぃいいいいいい!!!輝治ぅううう!!

ヌフフフううっうぅうう!!私の想いよ法縁へ届け!!余酪の法縁へ届け!

232:妖ノ宮
12/07/15 05:07:37.16 RWuYSBzl
<九>終幕

気持ち良さそうに大イビキをかく法縁。
腕枕をしていたはずが、いつの間にか、彼の方が妖ノ宮の胸に潜り込んでいる。
「……ヌフ、ヌフフフ……おカネ様……むにゃむにゃ……」
おカネの夢を見ているのだろう、幸せそうな寝言である。
妖ノ宮は吹き出した。
「ふふっ……愛い奴め」
おカネと固く契りを結んでいる、残念なイケメン。
彼の人生の真の伴侶は、おカネ様なのだ。

つるりと剃りあげた坊主頭の丸みを撫で回すと、先ほど妖ノ宮が作った歯形が、今も残っている。
「頭つるつる~はげはげ☆」
法縁の頭部は、妖ノ宮のお気に入り。
数ある男の髪型の中でも、一番かっこいい髪型はツルッパゲである。ね☆


―何の悩みごともなさそうな寝顔を眺めていると、深い愛情が湧くと同時に、猛烈な食欲も覚える。
妖ノ宮の眼前に出現した男達の中で、一番おいしそうだった男が法縁だ。
彼はあやかしにとって、とびっきりのご馳走……しかも毒入りのご馳走である。
邪悪な魂の中で燃え盛る欲望の炎が、あやしの血を騒がせる。

妖ノ宮は、まつりごとの世界に生きてきた娘。
邪魔な政敵を妖術で祟り殺す、焼き殺す、喰い殺し吸収するなどと言うことは、日常茶飯事だった。
ときに、親しい友人や血を分けた兄弟までも手にかけた。

法縁も同じようなものだ。
悪意にまみれた過酷な人間関係を処理し、仲間を利用しまた利用され、蹴落とし、
踏みにじってでものし上がる。
この激動の時代、彼ほど強く悪く明るい男でなければ、生きてはゆけない。
しかもこの男は、罪悪感と言うものを一切持たぬ根っからの悪党である。

彼のような白アリ系男子を王配に選んだ妖ノ宮は、きっと為政者として失格、不正解。
自分の民の慟哭が、今も痛いほど耳に聞こえているというのに。
悪妻は百年の不作、されど悪夫は千年の飢饉。
男の破壊力と、恋に狂った女人の破壊力は、それほど凄まじいのだ。

恐らく法縁などは、ハチマンの表舞台から消えるのが正史だったはず。
それが、偉大なる八龍のご意思だっただろう。
しかし妖ノ宮が延命し、歴史を歪めてしまった。
ならば彼の生命に、彼女が最後まで責任を持たなければならない。

233:妖ノ宮
12/07/15 05:10:33.63 RWuYSBzl
妖ノ宮と法縁は一蓮托生の共犯者。
ふたりの行く末には、間違いなく破滅が待っている。
こんな悪辣で危うい生き様をしていては、長生きなど出来ない。
土に還らず幽冥に落ちる。
あるいは―調停から人類の敵と見なされ、宇宙の理にのっとり、全ては人の子らの未来のために
粛清されるかも知れない。

それでも妖ノ宮は、法縁と共に生きたいと思っている。
そして、いつか彼を「真なる座所」に招きたい。
ただし、あくまで両者合意のうえに行われなければならない。
そう、彼が「妖ノ宮の血肉の一部に、養分になりたい」と意思表示したとき。
互いが一つに溶け合うときなのだ。


翌朝。
外で雀がチュンチュンと囀っている。

「ふぁぁ……」
起床した妖ノ宮の視界に、金と紫の色彩、金襴の袈裟と紫の僧衣が現れた。
それは、朝の身支度をしている夫の後ろ姿だった。
手拭いを使いキュッキュと頭磨きしている。

妖ノ宮は背後からそろそろとにじり寄り、首に飛びついて元気に挨拶する。
「おはよう。法縁殿」
「……おぉっと。ヌ、脅かすな。心の臓が止まるかと思ったぞ。おはよう、妖ノ宮」
背中にまろやかな胸を押しつけられ、法縁は満更でもないようだった。
まあ、ただのちっぱいだが。

一緒に朝餉の膳をつつくふたり。
ヌフフ、と微笑みながら、法縁は妖ノ宮に語りかけた。
「妖ノ宮。我々は今以上に、もっと儲けねばならん。おぬしにも贅沢させてやりたいし、
 これから生まれて来るであろう子供の為にもな」
妖ノ宮もいつものように笑い返す。
「そうね。じゃあ、私は法縁のことを全力で守る」


―八蔓という名の島に、神流河という国があり、妖ノ宮と呼ばれる姫がいた。
彼女の傍らには、いつも僧形の指圧師が寄り添っていたという。

ふたりという災いに内側からじわじわと破壊され、あらゆる不正義が横行し、国は荒廃した。
崩壊する世界の中で、妖ノ宮と法縁がどうなったのか。
それは後世に伝わってはいない。

――終 劇――
ヌフフ

234:妖ノ宮
12/07/15 05:13:16.91 RWuYSBzl
以上。
元ネタは、政治的な駆け引きを行いながら、自分の派閥を形成し
だいたい1年間をかけてヒロインの婿を探す姫ゲー。

婿候補は、あらゆる属性から厳選された20名近くのイケメン達。
下は16歳から、上は300歳まで幅ひろい年代の男が揃っている。
青い肌の半魚人、銀色の狼男、40代のベテラン忍者、狐耳の陰陽師……と、よりどりみどり。
最終的に選択した婿によって、ヒロインの人生と国の歴史が変化する。

多数いる婿候補の中でも、ひときわ異様な空気を放っているのが今回の法縁。
ゲーム中では、とっ捕まえて牢屋にぶち込むことも、妖術を使ってサクッと喰うことも出来る。
じっとりと暗い雰囲気のオカルトめいた作品ですが、良ゲーだと思います。

235:名無しさん@ピンキー
12/07/15 06:56:09.28 SDHYN0MK
なんだ、ただの宣伝か

236:ひつまブッセ
12/07/15 08:07:32.77 T0A0h8J4
『開拓王と戦姫』
そのラブストーリーは、国の民に留まらず他国の者さえもが憧れるものだった。
男たちはこぞって仕官したり畑仕事に精を出すようになり、女たちはそんな男への憧憬を胸に、男たちをサポートするようになっていた。
意図せぬ場所で世界が回るなか、開拓王セフィラスは、頭を抱えていた。
その理由とは――

「御父様♪」

甘えた声で抱きついてくる、美少女姫――シャルラーノ。通称シャル。
この娘、セフィラスが大地の精霊シャルティーノと性交した時にシャルティーノが孕んだ娘である。
正妻たるラヴィリスとの間には、未だに子はおらぬのに、シャルティーノは既に二人目の子を孕んでいる―それはどうでもいい。
シャルは精霊の血を受け継いでいるからか、齢10にして世界でも有数の美女となり、育っている。
それだけならまだしも、シャルティーノがセフィラスと性交している時に興味本意で乱入、セフィラスの制止も聞かずに処女を散らしたほどのファザコンである。
その件について、ラヴィリスは笑いながら許してくれたし、シャルティーノは母娘でセフィラスに孕まされることを期待し、喜んでいた。
まさに四面楚歌である。

「御父様?お悩みですの?」
「シャル、僕はね、シャルとは結婚出来ないんだよ」
「解っていますわ、御父様」
「そうか、解ってくれるか、シャル」
「ですが、結婚などするつもりはありませんわ。私はお母様と共に、御父様に愛されていれば幸せですもの」
「わかってない!何一つ解ってない!」
「妻でなくとも、妾でなくとも、御父様の精を身に受け、子を成し、未来を紡ぎたいのです」
「駄目だ、ラヴィリスとシャルティーノの二人以外を孕ませるなど、出来ん!」
「・・・・・・・」
「あ・・・・・」
「御父様は、シャルがお嫌いですか?」
「シャルの事は、嫌いではないよ。愛しているとも。娘として、だが」
「それならば、娘の幸福を考えて下さいまし・・・そこいらの在り来たりな男性などでは、ダメなのです。私は、御父様以外を愛するなど出来ません・・」
「シャル・・・」
「愛してくださいまし、このはしたなくも淫乱で変態の我が身を、御父様の色に染め上げ、性欲処理の道具にしてくださいまし・・・♪」

シャルがドレスを肌蹴させると、母親譲りの巨乳やら絞まった腰、ムチムチの太ももや尻が露になる。
据え膳を前にして食わぬわけにはいかぬ―葛藤と共に、セフィラスはシャルを抱いたのだった


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