キモ姉&キモウトの小説を書こう!part40at EROPARO
キモ姉&キモウトの小説を書こう!part40 - 暇つぶし2ch50:名無しさん@ピンキー
11/11/29 18:58:26.21 lFafof15
>>49
駄目です
弟がお姉ちゃん以外と一緒になる事はありえません

妹はどうでも良いです

51:名無しさん@ピンキー
11/11/29 19:08:53.65 1iCvElQ3
>>49
それはちょっと少数派じゃないかねえ。
あくまで兄弟姉妹間の恋愛関係が前提なわけだから。
そういう意味ではつがいになって仲睦まじくやってるエンディングを見るとほっとするなあ。

52:名無しさん@ピンキー
11/11/29 20:15:22.45 SOo6KisT
まぁ間違いなくすれ違いって騒ぐ連中は出てくるわな

53:名無しさん@ピンキー
11/11/29 21:36:17.08 lFafof15
普通に双子の姉弟に産まれ普通に一緒に育って普通に恋愛して
普通に結婚して普通に子供達が産まれる
近親婚が認められてる世界だったらキモ姉は存在しないのに…

54:名無しさん@ピンキー
11/11/29 22:08:43.41 4GggWof2
姉が幸せになる展開は弟君とらぶらぶちゅっちゅな展開しかあり得ないよ!
尻軽妹はまぁどんな男でもホイホイついて行くんでしょうけどね!

55:名無しさん@ピンキー
11/11/29 22:55:39.32 pcxqkjAT
キモ姉妹、ヤンデレ好きは超がつくほどの極度のMか
自分をそれほど求めてくれる人物を欲してる寂しがり屋

俺は…

56:名無しさん@ピンキー
11/11/29 23:01:47.38 D3l6Alhy
さささ寂しくなんか無いんだぜ
ギュッと抱きしめられてナデナデして欲しいなんて微塵も思ったことはないんだぜぜ

57:名無しさん@ピンキー
11/11/29 23:43:26.31 lFafof15
弟が親に強気な暴力姉と子供を作れと言われて姉をレイプしたら弟に甘えてくる用になった
実は親と姉はグルで弟が姉を恨んでレイプするように暴力姉をやってたキモ姉

58:名無しさん@ピンキー
11/11/30 04:27:37.72 +XjZ8+3m
昔々、お兄ちゃんがいました
とても頼もしいひとでした
困っていれば助けてくれました泣いていれば慰めてくれました
寂しがっていれば抱きしめてくれました
私はお兄ちゃんのことが大好きでした

昔々、お姉ちゃんがいました
とても頼もしいひとでした
困っていれば助けてくれました泣いていれば慰めてくれました
寂しがっていれば抱きしめてくれました
私はお姉ちゃんのことが大好きでした

昔々、お兄ちゃんにはお姉ちゃんがいました
とても頼もしいひとでした
困っていれば助けてくれました泣いていれば慰めてくれました
寂しがっていれば抱きしめてくれました
私はお姉ちゃんのことが大嫌いでした

昔々、お姉ちゃんにはお兄ちゃんがいました
とても頼もしいひとでした
困っていれば助けてくれました泣いていれば慰めてくれました
寂しがっていれば抱きしめてくれました
私はお兄ちゃんのことが大嫌いでした

昔々、私には誰もいませんでした
とても頼もしいひとでした
困っていれば助けてくれました泣いていれば慰めてくれました
寂しがっていれば抱きしめてくれました
私は私のことが大嫌いでした

昔々、私には誰もいませんでした

59:名無しさん@ピンキー
11/11/30 17:59:21.49 P/KW/8QN
えっと……さすがにもう続きはこないよね?
ぶっちゃけこういうポエムだけ投下されても感想レスのつけようが無くてさ

60:名無しさん@ピンキー
11/11/30 19:48:16.60 e5prL9uG
>>59
後々このポエムがあの事件を引き起こす引き金になることはまだ誰も知らない…

61:名無しさん@ピンキー
11/11/30 21:27:57.26 q/lKCR+3
弟を捕まえるんでは無くて自分が面倒見ないと駄目だと思わせる魔性のポンコツキモ姉
弟はお姉ちゃんを一生面倒みる

62:名無しさん@ピンキー
11/11/30 21:49:23.89 O4n9diuZ
>>61
130cm製のゲームでンなの居たな
但し天然だが

63:名無しさん@ピンキー
11/11/30 21:57:49.27 KOphv9Tk
あーこんなところにお兄ちゃんいたんだ。
やっとみつけた。

64:名無しさん@ピンキー
11/11/30 22:10:52.04 JY1m/PBv
すみません誰ですか僕にはお姉ちゃんしかいないのですが

65:名無しさん@ピンキー
11/12/01 08:24:14.15 SHzyJmvt
弟の(悪)夢キモ姉ハーレム

66: ◆wBXWEIFqSA
11/12/01 18:43:00.65 knyNFC3e
こんばんは。
前スレ、>>605の続きを投下します。


67:狂依存 288
11/12/01 18:43:30.82 knyNFC3e
「どうしたんだろう……?」
携帯電話を見つめ、ぼそっと呟く。
もう10日以上、沙耶さんと会ってないし、電話もメールもまったく来ない。
こちらからかけても、全く応答が無いし、麻由お姉ちゃんに聞いても知らないという。
前は嫌がらせかと思うくらい、メールも送ってきたし、僕を待ち伏せして強引にホテルや自宅に連れ込んだり、家に押しかけてきたりしてたのに……。
明らかに何かあったのだろう。
どうしよう?家に行って様子を来ようかな?
「ふふ……どうしたの、そんな難しい顔をして」
「うわ!あ……麻由お姉ちゃん……」
麻由お姉ちゃんが背後からそっと抱きつき、胸を押し当ててくる。
「あの、麻由お姉ちゃん。本当に沙耶さんどうしたのか知らない?もう10日以上電話もメールも来ないんだけど……」
「あの女のことが心配なの?私という奥さんがいながら、他の女の心配をするなんて罪な男ね」
「心配って、それはその……」
沙耶さんは一応、僕の……彼女、なのかな?
僕の女にするとか勝手な事を言っちゃったけど、付き合うとかそういう事は言ってなかった……いや、今はどうでもいい。
「言っておくけど、私は沙耶との事を認める気は一生無いわよ。ただ、しばらくはあなたの好きにしていいわよと言っただけ。あなたには私がいれば十分じゃない。ん……んふう……」
麻由お姉ちゃんは僕の顔を掴んで強引に口付けをしてきた。

「ん、んふう……ねえ、大輝……早く夜のお勤めしましょう……昨日はしてくれなかったじゃない……」
「あ、あのね、麻由お姉ちゃん。もう追い込みをかけなきゃいけない時期だし、あまり遊んでいる暇は……」
ただでさえ、勉強がかなり遅れがちなのに、これ以上セックスで時間と体力を奪われたら、本当に何処も受からなくなってしまう。
麻由お姉ちゃんと同じ大学……は、もう無理かもしれないけど、やるだけの事はしないと……。
「大丈夫よ。今の成績でもそれなりの大学には行けるわ。それより、気分転換にお姉ちゃんとセックスしましょう……ここ、昨日からご無沙汰してるんでしょう」
僕の股間を指でつんつんと突き、頬にキスしながら誘ってくる。
まさかとは思ってるが、麻由お姉ちゃんは僕の受験勉強を邪魔してる様にしか見えない。
僕に勉強よりも自分の事を優先させろとでも言いたいのだろうか?
「もう……じゃあ、こうするわ……」
「ふえ?ちょっと、何を……」
麻由お姉ちゃんはしゃがみこみ、僕のズボンのファスナーとトランクスを引きずり下ろして肉棒を露出させる。
「ん、はむ……ちゅっ、ちゅぷ……ちゅ……これで、我慢してあげるわ。ん……」
僕のち○ぽ手で軽く擦った後、口に咥え、フェラを開始する。
「あん……ん、ちゅぷ……じゅるっ、ちゅ……したくなったらいつでも言ってね。ちゅっ、んちゅ……」
したいのは山々だが、もう時間もあまり無いし、今は勉強を最優先させたい。
やったら、時間も体力も奪われてしまうし、仕方ないのでこのまま好きにやらせる事にした。
気持ち良すぎて集中できるか怪しいけど……。
「ん、ちゅっ……ん、んぐっ……!ん、んふう……」
腰を動かして肉棒を出し入れし、麻由お姉ちゃんの口にセックスしている時みたいに使う。
これで、早く出してさっさと部屋から出てもらおう。
「ん、んふう、ちゅぷっ、んちゅっ……ちゅるっ、ちゅるっ、じゅっ、じゅるっ、ん、んふうっ!!」
やっている内に麻由お姉ちゃんの口を犯している事に妙な興奮を覚え、次第に腰を動かすスピードを速める。
麻由お姉ちゃんもその動きに応じて、懸命に僕の一物を舌まで使って丁寧にしゃぶり、口の中に出し入れしていく。
「ん、んふう……ちゅっ、んふっ……じゅるっ、じゅるっ……じゅっ、んちゅ……ん、んううう……!」
結局、このまま麻由お姉ちゃんの口の中に出し、そのまま遅くまで勉強を続けた。
まあ……良い、気分転換にはなった……かも……。

翌朝―
朝起きて、早速携帯をチェックするが、やはり沙耶さんからのメールも電話も来ていない。
一応、こちらからも掛けてみたが、着信拒否でもされているのか、繋がらなかった。
「本当にどうしちゃったんだろう……?」
流石に心配になっていく。あれだけ、しつこく迫ってきた沙耶さんが今になって急に音沙汰がなくなるなんて……。
「沙耶さんの家に行って様子を見たほうが良いのかな……?」
ちょうど、今日は休みだし行って家に行って様子を見てくるべきなのかも。
とは言え、一人で沙耶さんの家に行くのは流石に抵抗がある。
沙耶さんのお母さんとは以前会ったとは言え、あまり良い印象を持たれなかったみたいだし、どういう関係か説明したら良いのかもわからない。

68:狂依存 289
11/12/01 18:44:10.62 knyNFC3e
一応、沙耶さんとの交際を認めてくれているのかな……?いや、でもやっぱり……そうだ。
「麻由お姉ちゃんに行かせて、様子を見てもらうのは……」
「そんなに沙耶の事が気になるのかしら?」
「うわっ!って、麻由お姉ちゃん?」
背後から、いきなり声を掛けられ、思わず声を上げる。
この人はどうして、僕の気づかない間に背後に立っていることが多いんだろう?
「また、沙耶と三人でセックスしたいのかしら?……私という奥さんがいながら、本当に罪な夫よねえ……」
麻由お姉ちゃんと沙耶さんと三人でセックス……この前、沙耶さんが家に来た時にしたのが最後だからもう10日以上やっていない。
以前は嫌であったが、やり始めると頭がおかしくなりそうなぐらい気持ち良くなるし、麻由お姉ちゃん一人相手のセックスもそろそろ飽きてきた頃だ。
だから、そろそろ……。
(って、何考えてるんだ……僕は……)
「あなたが望むなら、私があいつの家に来て無理矢理にでも引っ張って来てやっても良いわ。遠慮なんかしないで、私を頼ってえ……あなたの言うことなら何でもするって言ってるでしょう……」
麻由お姉ちゃんは僕に抱きつき、目と鼻の先まで唇が触れ合うんじゃないかというぐらいまで顔を近づけて、艶かしい声で迫ってくる。
う……確かに、麻由お姉ちゃんに行かせれば楽なんだろうけど、正直何をしでかすかわからないし、何より僕の方からちゃんと沙耶さんと話をしたい気持ちもある。
「ん、んふう……ちゅっ……優しいのね……でも、大丈夫よ。あいつに危害を加えないって約束はしてあげるから……ちゅっ……」
僕にキスをして、おねだりする様に体を擦り付けて来る麻由お姉ちゃん。
仕方ない……ここはお言葉に甘えるとしよう。
「ん……じゃ、じゃあお願いできるかな?別に連れ出さなくてもちょっと様子を見てくるだけでいいからさ……」
「ふふ……わかったわ。じゃあ、今支度して行って来るから。楽しみに待っててね」
「うん、ありがとう……」

「本当に大丈夫かな……」
電柱に隠れて、沙耶さんの家に向かう麻由お姉ちゃんの後を付ける。
車で行っても、沙耶さんの家は完全に塀に囲まれていて余分な車庫も無い為、置く場所に困るという事なので歩いていくことにした様だ。
これは好都合とばかりに、麻由お姉ちゃんの後を付けて沙耶さんの様子を見に行く事にした。
麻由お姉ちゃんに任せはしたものの、やはり不安感を拭う事は出来なかったからだ。
もしかしたら、麻由お姉ちゃんも僕が後をつけてくる事に気づいているのかもしれないが、それならそれで別に構わない。
(僕が付いてきてるとわかってれば、沙耶さんに変な事もしないだろうしね……)

ピンポーン
そう考えているうちに麻由お姉ちゃんは沙耶さんの家に着き、呼び鈴を鳴らした。
鳴らした後、インターホンに近づき、しばらく誰かと会話をすると、すぐにこちらに向かってきた。
やばっ……こっちに来る。
「そんなに怖がらないで。別に怒っていないから」
「え……ああ、ごめん……」
麻由お姉ちゃんは交差点の角に隠れていた苦笑しながら、僕に話しかけ、観念して僕も麻由お姉ちゃんの前に姿を現す。
やっぱり、後を付けているのに気づいていたのか……。
「あの……沙耶さんは何だって?家に居たの?」
「おばさんが出たけど、あいつは今、体調が悪くて寝込んでいるそうよ。お見舞いに行くのもしゃくだから、それだけ聞いてさっさと帰ったけど」
「そう……体調が悪いっていつから?この前家に来た時、様子がおかしかったと思うんだけど」
麻由お姉ちゃんと一緒に出かけて、帰ったあの日の夜―あの時、沙耶さんはまるで何かから逃げ出すように家から飛び出していった。
僕の部屋もやたらろ散らかっていたし、一体何があったんだろう……?
「悲しいわ……私という女がいながら、他の女の心配をするなんて……」
僕が考え込んでいると、麻由お姉ちゃんは僕の肩に手を掛けて体を擦り寄らせ、艶かしい声で呟いてきた。
「へ……いや、そりゃ体調が悪くって寝込んでるって聞かれれば、心配にもなるわけで……」
「そんなに沙耶とセックスしたいの……?私だけでは不満?ん……」
「ちょっと、駄目だってこんな所で」
僕に抱きついて、軽くキスをしてきたので慌てて麻由お姉ちゃんの体を引き離す。



69:狂依存 290
11/12/01 18:45:06.69 knyNFC3e
「沙耶はもうあなたの事は飽きたのよ。あいつはあんだけ、あなたが好きだの愛してるだの言ってたのも、ちょっと酔っていただけ。それが醒めたのよ。あなたへの愛も所詮、その程度だったんだわ」
「そ、そうなの……?うーん、でも……」
ちょっと、酔っていただけ……確かに沙耶さんは何かに憑りつかれたみたいな感じだったというか、変な薬でもやってたんじゃないかというぐらいの豹変ぶりだったしな。
それが、何かの拍子で突然正気に戻ったという事なのだろうか?
でも、それでも……。
「それでも、沙耶さんとはちゃんと話をしたいんだ。お互いの気持ちをはっきりさせておかないと、いけないと思うし」
「お互いの気持ち?あなたはあいつの事、体しか考えてなかったでしょ。好きな時に好きなだけやらせてくれる女。ただ、それだけの存在。その女があなたへの愛が冷めて、もう抱かせてくれないっていうなら、もう用済みじゃない」
「そんな事……!」

無い……とは、言えない……。
僕は沙耶さんを何度も抱いたけど、本当にそれだけの関係だった。
好きだったわけでも無いけど、好きなだけやらせてくれるみたいな態度を取ってたし、実際にやらせてくれたから、その好意に甘えて好き勝手やってたけど、向こうにその気がなくなったのなら、もうこちらから無理強いする事は出来ない。
元々、沙耶さんの事は何とも思ってなかったし、初めて抱いた以降はむしろ、迷惑に思ってたじゃないか。
「早く、帰りましょう。あなたの事を真に愛しているのは私だけってのがわかったでしょ?もうここに来る事も無いし、あいつも姿を現す事もないわ」
「うん……そうだね……」
腑に落ちない所もあったが、麻由お姉ちゃんがそこまで言うのなら、そうなのかもしれない。
「一つだけ、約束してくれるかな?」
「何?」
「沙耶さんには何もしないで欲しいんだ。こうなったのは僕の責任でもあるんだし、麻由お姉ちゃんの気持ちを踏み躙って、沙耶さんを何度も抱いたのは事実だから、責めるのなら僕を責めてくれ」
「あん……自分の愛する夫を奪うような女に何もしないなんて、無体な要求しちゃって。お姉ちゃん守れるかどうか自信ないわ」
再び、僕に抱きつき、ふざけた口調で僕のお願いにそう答える。
「お願いだから……ね?沙耶さんが僕に愛想をつかして、姿を現さなくなったっていうなら、それ以上何もする必要ないじゃないか」
もし、麻由お姉ちゃんが沙耶さんに何かしたら、またおかしな事になりかねない。
そっとしといた方が一番、良いんだ……。
「……わかったわ。その代わり、私の事をこれまで以上に愛してもらうわよ」
「これまで以上って?」
「もちろん、あの女を忘れさせるぐらい、お姉ちゃんを満足させてねって事よ……ん、んふう……」
麻由お姉ちゃんは僕に抱きついて、またキスをした後、僕の手を引いて二人で家へと帰った。
まだ、気がかりではあったけど、ほとぼりが冷めるまで待ったほうが良いかと思い、今はこの場を後にする事にした。

「ああんっ!!は……やっ、あああああぁぁぁっっ!!」
麻由お姉ちゃんを裸に引ん剥いた後、陰唇を吸い、秘所全体を口で貪る。
帰宅した後、麻由お姉ちゃんの部屋に行き、すぐにベッドに押し倒して交わり始めた。
何となく、ムラムラして麻由お姉ちゃんとセックスしたかった。
「ああんっっ……そこ、強くしちゃ……あ!あっ、はんっ!!」
ただ、何となく姉とセックスしたいからするなんて、普通じゃないのはわかってる。
だけど、今はそんな事はどうでも良かった。
「あっ、あああっっ!!ねえ……早く、入れてえ……お姉ちゃんのおまんこお……夕べから、ぐちょぐちょなの……はっ!ああああぁぁぁっっ!!」
麻由お姉ちゃんのリクエスト通り、股を思いっきり開いて、秘所に肉棒を当ててすかさず挿入して、ぐいぐちいと押し当てる様に腰を降り、子宮を突く。
「はああっっ!!良いわ!もっと、突いてえ!あっ、あっ!!んああっっ!!はあんっっ!!」
いつも以上に激しく犯すと、麻由お姉ちゃんも膣中で締め付けて、腰をいやらしく振る。
とにかく、今は麻由お姉ちゃんとしたい。犯したい。それ以外の事は考えられなかった。
「はあんっ!!あっ、はふ……ん、んふうっ……ん、んふう……」
体を倒して麻由お姉ちゃんにキスし、二人で抱き合いながら寝返りを打って激しく唇を押し付けあう。
沙耶さんは本当にもう抱かせてくれないのか?そう思うと、何故かもやもやした気分になって、その気分を晴らすかのように麻由お姉ちゃんを犯しまくった。
「ん……!やっ、そこは駄目……あっ、はああああぁぁぁっっ!!」


70:狂依存 291
11/12/01 18:46:20.88 knyNFC3e
口を離した後、麻由お姉ちゃんを四つん這いにして穴にぶち込む。
「はぐうんっ!!あっ、やん……きついい……あっ、ああああっっー!!」
苦しそうな声をしてるが、それでも構わず腰を振り、麻由お姉ちゃんをお尻を自ら突き出して喘ぎまくっている。
今更だけど、
その後も様々な体位で犯しまくり、中にザーメンを思いっきり注入していった。
とにかく、麻由お姉ちゃんを

「ふふ……寝ちゃったか……」
私の膣中で何度目かの射精をした後、犯り過ぎて疲れてしまったのか、そのまま倒れこみぐっすりと寝てしまった。
「こんなに私だけを愛してくれるなんて……もう、すっかり私とのセックスが生活の一部になったみたいね」
今日のこの子は沙耶の事を忘れたいがために、私を犯しまくった。
妻としてこんなに嬉しい事は無いわ。
だって、体で夫のご奉仕をするのが妻としての一番の役目だと思ってるし、そんな理由で抱いてくれるなんて本当に好きでなければ出来ない。
「でも、まだあの女の体が忘れられないみたいね」
私を抱く事に躊躇がなくなったのは良い事だが、困った事に沙耶の体の味も完全には忘れられずにいる。
まだまだ、私の体だけで満足させるには時間がかかりそうだ。
「そろそろ、行こうかな」
頬に軽くキスした後、立ち上がり、着替えて身支度を整える。
あのクズ女との話をつけなければならない。
大輝の幸せの為に私がやらなければならないんだ。

ピンポーン……
再び、沙耶の家に行き門の呼び鈴を鳴らす。
「はい……っ!?」
インターホンから聞き慣れた返事がすると、驚いた様な声が上がった。
「あら、起きてたの。体調が悪いからって聞いて、改めてお見舞いに来てやったわ。おじさんとおばさんはいるの?」
「今、出かけてる……でも、大丈夫だから早く帰って」
震えているのか明らかに覇気の無い声で、返事をする。
「ふーん……大輝が心配してお見舞いの品を渡す様に頼まれたんだけど、いらないのね。じゃあ、このまま帰るわ」
「待って!……良いよ。やっぱり上がって」
と、慌てて答えた後、門を開けて玄関へと向かう。
「入って……」
「お邪魔します。何よ、元気そうじゃない」
家に入ると、青い顔をして私を出迎え、がたがたと震えていた。
不死身とかほざいて、大輝にしつこく付きまとっていた時の面影は既に無く、今まで見たこと無いくらい弱々しい姿を私の前に曝け出していた。
「ここに来るのもしばらくぶりね。この前来たのは、大輝と一緒だったかしら?」
震えている沙耶を尻目に勝手に家に上がり、階段を昇って沙耶の部屋へと歩いていく。
「……私をどうする気?」
「ん?あんたの想像通りだけど……!」
「ぐっ!んがああっっ!!」
階段を昇り終わろうとした所で沙耶が声を掛けると、すぐに振り返り、首を掴む。
「がはっ!んあああ……!」
「あっ、ははははっっ!!どうしたのかしら、そんな苦しそうな顔をして?あんた不死身なんだから、これぐらい何とも無いはずよね。あははは!おら!」
沙耶の首を絞めながら、部屋に入り、ベッドに放り投げる。
「げほっ!!ごほっ!!」
「ふふ……すっかり、正気に戻ったみたいね。嬉しいわ……大好きな友達の病気が治ったみたいで」
愉快な気分でベッドで苦しそうにむせている沙耶の襟首を掴み、
「それにしても、あんたの愛も脆い物だったわね。たかが昔の主人の写真を見たぐらいであんなに取り乱して、そのまま醒めちゃうなんて。それで、大輝の婚約者面して、私の事を小馬鹿にしてたなんてね!!」
「がはっ!!止めてえ……」
沙耶のお腹にパンチを食らわせて黙らせた後、ベッドに跨り、更に首を絞める。
今までとは違って、明らかに苦しそうなで余裕の無い表情。
大輝への愛が崩壊して、妙な神通力もなくなってしまったようだ。
(ああ……何て、愉快な顔。この泥棒猫を始末出来る日がようやく来たわ)
このまま絞め殺してやりたいが、簡単に殺してはつまらないのでもう少し話を続ける事にした。


71:狂依存 292
11/12/01 18:47:11.35 knyNFC3e
「今日もついさっき、家で大輝とセックスしたばかりよ。あの子ったら、私のお尻まで犯しちゃって……ふふ……もう、私の体全ての虜になったみたいね……ああん……」
「ごほっ!何が言いたいのよ……」
「あん?折角、私たち夫婦がどれだけ愛し合っているかじっくり聞かせてあげようとしているのに、何よその態度は?ああ!?」
パンっ!!
沙耶の顔を思いっきり、平手打ちし、
「ふん。つまらない女ね。ほら、大輝からのお見舞いの品よ」
「……」
バッグから取り出した物をベッドで悶えている沙耶に強引に手渡し、見せ付ける。
「何……これ?」
「見てわからない?首吊り用の縄よ。あの子、もうあんたに飽きたから、死んで欲しいって。光栄に思いなさい。愛する人がプレゼントした縄で果てる事が出来るなんて女冥利に尽きるじゃない」
「嘘よ……私を殺したいなら、早くやれば良いじゃない……どうせ、謝っても許してくれないのはわかってる。だったら……」
「ふーん。わかってるみたいで何よりね。でも、私もあんたの元友達として正気に戻ったお祝いに、自ら命を絶つ権利をプレゼントしてやるわ。さっさとしなさい」
突き放した様に、言うと沙耶は起き上がって黙って手渡した縄を見つめる。
この前、同じことを要求してまんまとこいつの罠に嵌められたが、今のこいつは抵抗する気力を完全に失くしているので、警戒する必要も無い。
「うっ……うっ、う……」
俯いて、涙を流して泣き始める沙耶。
罪の意識からか、絶望感からか、その両方か?一つ確かなのは、今回は演技ではなく、本当に泣いていた事であった。
うーん……良い顔。こいつの絶望した泣き顔を見れただけでも来た甲斐があったわ。
「くくく……散々、私達をコケにしてきたのに、随分と余裕がなくなっちゃったじゃない」
「私は……本気で大輝の事を好きだったんだよ……全部好きだと思っていたし、幸せだった。でも、昔のアルバムの写真を見たら急に自分の気持ちに自身がなくなってきて、それで何やってたんだろうって気持ちになって……」
どんな表情をしているか窺い知る事が出来ないくらい、俯いてゆっくりと震えた口調で語りだす。
その様子は傍から見たら、哀れそのものであった。
「自分の心の中で、崩れ落ちちゃった様な気分になったんだ。そしたら、急に体が重くなって体のあちこちも痛くなってきて……もう、大輝とは会わない。これじゃ、会っても何も出来ない……」
「言いたい事はそれだけかしら?」
「え?」
「もう、思い残す事は無いわよね。感謝しなさいよ、、遺言を私に打ち明かす時間までくれてやったんだから。そら……!」
「がは!あっ……!」
沙耶を再び押し倒し、首を思いっきり締め付ける。
さあて、このままゆっくりと絞め殺した後、縄にくくりつけて自殺に見せかけておくか。
「あがっ!あっ、いぎい……」
沙耶は首を絞めてる私の手を掴んで、必死にあがいている。
だが、元々非力な女である沙耶に私の手を引き剥がす事など出来るはずもなかった。
じわりじわりと締め上げる力を強めると、どんどん青白い顔をになっていき、苦悶に満ちた表情をしながら涙が零れ落ちていた。
ああ……遂に大輝と二人きりの時間が来るのね……。待っててね、あなた。
もうすぐ、終わりにしてあげるから……
「がっ!あは……ん、んあ……」
沙耶の抵抗も弱まっていき、いよいよ、この女の命も風前の灯となってきた。
さあ!地獄行きの片道切符をプレゼントしてやるわよ。
これで大輝と二人で……

麻由お姉ちゃん―

「っ!?」
「んっ!げほっ!ごほっっ!!」
……
こいつをもうすぐ絞め殺そうとした瞬間―ふいに大輝の顔と声が頭に浮かんだ。

「がほっ!げほっ、ごほ……麻由ちゃん……?」
どれくらい、そうしていただろうか?
手を離し、咳き込む沙耶に跨りながら、しばらく動く事が出来なかった。
何をしていたんだろう?今のこいつを殺して、何が変わると思ったんだろう?
私はあの子の将来を血で染めようとしていたのか?
「何を……しようと……」
本当にあの子の事が好きなら、あの子の将来まで台無しにするような真似をするなんて、思わないはず。
それなのに、沙耶が憎いってだけで、無抵抗で弱ってるこいつを手に掛けようとして……。
自分の事しか考えていないじゃないか。
私は本当に大輝の事……

好きなの―?

72:狂依存 293
11/12/01 18:48:11.72 knyNFC3e
ドクン!
「あっ、あぐうううっっ!!」
あれ?頭が……何?
「あぐっ……!は……」
突然、頭がキーンとして重くなり、ベッドからずり落ちて、床で頭を抱えながら四つん這いになる。
何……?何なの?
誰か、助けて……。
「うっ、あああああぁぁぁぁっっっ!!!!」
「……ま、麻由ちゃん……?」
今までやっていた事が走馬灯のごとく次々と頭をよぎり、その度に胸が締め付けられていく。
そして、心の中で何か大事な物が外に溢れ出して、止まらなくなってくるような感覚に襲われた。
嫌だ……何だ、この気持ち……?嫌だ!駄目だ!!出て行かないで!!
大輝……助けて……!
「あっ、あああ……」
「え、えっと……どうしたの……?」
「くっ、嫌だ……こんなの、嫌だ……!嫌だっ!!!!」
頭を抱えながら、沙耶の部屋を出て、走って家を飛び出す。
どうして……どうして、いきなりこんな気持ちに……?
いや、私は何を……大輝に何をしてきたの?
今はどうでも良い。とにかくここにはいられない。

「ん……?あれ、麻由お姉ちゃんは?」
目が覚めると、麻由お姉ちゃんが家の何処にもいなかった。
買い物にでも出かけたのかな?何て、思いながら階段を昇り部屋に戻ろうとすると、
バタンっ!!
「っ!?何だ!?」
突然、玄関のドアが閉まる音がしたので、降りてみると麻由お姉ちゃんが靴を脱ぎ捨て、走って自分の部屋へと駆け込んでいった。
「ちょっと!どうしたの?」
部屋のドアをノックして、麻由お姉ちゃんに呼びかけるが全く返事が無い。
入ろうとしても鍵が掛けられていて、立ち入る事も出来なかった。
「麻由お姉ちゃん!何があったの?何処か、具合でも……」
話しかけても一向に返事が無い。
今まで、見たことも無いような取り乱した様子で、家に帰って部屋に閉じこもっていたので、一体何があったのかと不安になる。
「どうしよう……?返事も無いし……」
何があったか良くわからないが、とにかくしばらくそっとしておこう。
いずれ、落ち着けば事情も話してくれるだろうと信じて、その場を後にした。

「う……お腹空いた……」
机に向かいながら、時計の針を見ると既に夜の8時を過ぎていた。
麻由お姉ちゃんが帰ってから、受験勉強をして気分を落ち着かせていたが、一向に部屋から出てくる様子も無い。
今日の夕飯、どうしよう……?
お母さんたちがいなくなってから、ご飯の用意は全部麻由お姉ちゃんがやっていたし、それが当たり前になっていて今日もそのつもりだったが、もし麻由お姉ちゃんが具合が悪くて作れないのなら、僕が作らなければならない。
「麻由お姉ちゃん。夕飯はどうするの?麻由お姉ちゃん」
部屋を出て、麻由お姉ちゃんに呼びかけるが、尚も返事が無い。
流石に心配になってきたが、鍵が掛けられてるので入る事が出来ない。まさか、中で首でも……と、不吉な予感に襲われる。
「麻由お姉ちゃん!そこにいるんだよね?お願いだから、返事だけでもして」
強くドアを叩き、更に大声で話しかけるが、未だに返事が無い。
どうしよう?いざとなったら、ドアを蹴破って……何て、出来るのか……?
そうだ、携帯のメールで……
「ごめん……今日は良い……」
「え?麻由お姉ちゃん?」
と、ドアの向こう側からぽつりと麻由お姉ちゃんの声が聞こえ、再びドアをノックする。
何て言ってたかは良く聞き取れなかったが、ようやく声を聞く事に出来たので、とりあえず安堵した。
仕方ない、僕は今日はカップ麺でも良いか……と、思い台所に降りて納戸を調べて、いくつか取り出して見る。
思い起こせば、カップ麺なんて久しく食べていなかった。ずっと、麻由お姉ちゃんが作ってくれていたから、食べる機会もなかったのだ。
このカップ麺もお父さん達がいる時に買い溜めしたものだと思う。
カップ麺だけでは足りないので、炊飯器も開けてみたが、見事に空であった。
うーん……どうしよう?具合が悪いのなら、麻由お姉ちゃんにも何か作って食べさせてあげないといけないけど、カップ麺を食べさせるわけにもいかないしなあ……。
料理などほとんどした事無いが、一応米の炊き方と味噌汁の作り方はお母さんに念入りに教わったので、ご飯だけでも炊いておくか。

73:狂依存 294
11/12/01 18:49:32.24 knyNFC3e
「麻由お姉ちゃん。今日のご飯だけど、具合が悪くて食欲が悪いならお粥でも作るけど……」
米を研いで、炊飯器にセットした後、麻由お姉ちゃんの部屋に行って話しかけるが、やっぱり返事が無い。
「ねえ、本当に良いの……」
がちゃっ
「あ……」
突然ドアが開かれると、ようやく麻由お姉ちゃんが出てきて、僕を無視し廊下を歩いていく。
虚ろな目と青い顔をした完全に生気を失っている様子でふらつきながらトイレへと入っていった。
あんな、麻由お姉ちゃん初めて見たかも……。
どうする?具合が悪いのなら、医者に診てもらうとかしないと。
「あ……ね、ねえ、麻由お姉ちゃん……何処か具合悪いの……?」
しばらくすると、俯きながらトイレから出て、話しかけてみたが何も答えず、また部屋に入って閉じこもってしまった。

結局、この晩の食事はカップ麺でご飯で済ませ、麻由お姉ちゃんにはお粥を作ってドアの前に置いてあげたが、一切手を付ける事はなく、そのまま寝込んでしまった。
「ん……?まだ、こんな時間かよ……」
翌朝―いつもよりかなり早く目覚ましが鳴り、止めて二度寝するがすぐに思い出し、ハッと飛び起きた。
「そうだ!麻由お姉ちゃん……」
すぐに飛び起きて部屋を飛び出し、麻由お姉ちゃんの部屋に向かう。
「麻由お姉ちゃん。朝だよ。まだ体調悪いの?」
シーン……
ドアの向こう側からは、何も返事が無い。本当にどうしたっていうんだよ?
思い返してみるが、昨日の昼までは特に変わった様子はなかった。
いつも通り、麻由お姉ちゃんとセックスして……その後、疲れて寝ちゃって……起きたら、誰もいなくて……。
何かあったとしたら、僕が昨日寝てた間しか、考えられないけど……。
(ああ……どうしよう?これから、学校もあるし……)
「麻由お姉ちゃん。学校に行くけど、大丈夫?良かったら、今日は休もうか?」
シーン……
ドアノブを回してみても、鍵が掛かっていて入れないし、呼びかけても何も答えてくれない。
うう……まさか、嫌われちゃったのかな……?
「あの……大丈夫そうならやっぱり、学校に行くね。何かあったら、すぐに携帯に連絡してね。すぐに駆けつけるから」
嫌われたのかもしれないと思うと、その場に留まる事が出来ず、逃げ出すように階段を降りて台所へと走っていった。
麻由お姉ちゃんを何か、怒らせるような事をしただろうか?
「う……思い当たる節は結構あるけど……」
優柔不断な態度を取ったり、沙耶さんと好き放題やったり、酷い事をしてきたが、それでも今になって、あんな話もしない様な態度を取るのは正直、良くわからない。
モヤモヤした気分で朝食のパンを食べ、着替えて登校した。

麻由お姉ちゃん、大丈夫かな……。
授業が終わった後、急いで学校から帰り、家へと急ぐ。学校にいる間も何も連絡は無く、不安は増す一方であった。
何もなければ、良いのだけど……。
ピンポーン
「……出ないな」
呼び鈴を押して、しばらく待っても出てこないので、合鍵を使って中に入る。
「ただいま……」
恐る恐る家に上がると、中は不気味な程シーンとしており、人気が全く感じられなかった。
家にいるんだよな……?玄関を調べてみたが、一応麻由お姉ちゃんの靴はあったので、家にいる事は確かだろう。
「麻由お姉ちゃん……あ……」
二階に上がり、麻由お姉ちゃんの部屋のドアノブを回したら、鍵が掛かってなかったので、ようやく中に入れた。
「麻由お姉ちゃん、大丈夫?具合はどう?」
中に入ってみると、麻由お姉ちゃんは苦しそうな顔をしてベッドに寝込んでおり、不安が一層増してくる。
「ねえ……大丈夫?本当に医者に行った方が良いんじゃ……」
「……何しに来たのよ……」
「え……?」
「勝手に入ってこないで……!私は大丈夫だから、すぐに出てってよ!」
「ええ!?ど、どうしたの……急に?」
「良いから、出てって!」
僕に背を向けて布団にくるまり、低く怖い声で呟いた後大声で叫ぶ。
「わ、わかった。ごめんね」
麻由お姉ちゃんの怒号に負け、言われたとおり、すぐに部屋を出て自分の部屋に駆け込んだ。


74:狂依存 295
11/12/01 18:51:05.18 knyNFC3e
嘘だろ……一体、何があったんだよ……?
あんなに苦しそうな顔をして、しかもあんな怒声を僕に浴びせるなんて……。
まさか、本当に嫌われたのか?だとしたら、一体どうすれば……?
沙耶さんと言い、いきなりの事で訳が分からず、頭の中はぐちゃぐちゃになりそうであった。

それから、次の日も、そしてその次の日も麻由お姉ちゃんはほとんどずっと閉じこもったまま外出もせず、僕に話しかけもしなかった。
明らかに具合が悪そうだったが、医者に行く事を頑なに拒否しているので、無理に連れて行く事も出来ない。
食材が減っていたので、学校に行っている間に食事は多少取っているのはわかったし、シャワーも浴びているみたいだったので少しは安心したが、僕が家にいる間は部屋に閉じこもって寝たきりに近い状態であった。

翌日―
「どうしよう……もう、金が無い……」
学校から帰り、空の冷蔵庫を見て、今日の夕飯をどうするか悩む。
買ってくれば良いのだが、親から送られる生活費は全て麻由お姉ちゃんが管理してしまっているので僕は勝手に持ち出せないし、家にある食材や手元の小遣いで惣菜とかを買って凌いでいたが、先ほど来たガス屋の集金にうっかりそれを使ってしまい、小遣いも尽きてしまっていた。
銀行に行けば預金はあるけど、今はやってないし、僕のキャッシュカードは金庫の中にしまい込んであるので、暗証番号がわからないと開けることが出来ない。
うう……本当にどうしよう……?
洗濯物も溜まりに溜まっちゃってるから、これ以上は放置できないし、掃除も学校の課外補習に出ていて時間も無かったので、部屋と風呂場の掃除を軽くしているぐらい。
料理もほとんど出来ないし、今までどれだけ麻由お姉ちゃんに依存しきっていたのか、そして自分の生活力の無さを思い知らされた。
全部任せるって言うからそれに甘えていたけど、もう少し無理にでも手伝って家事を覚えれば良かったと後悔している。
麻由お姉ちゃんとも話が出来ないし、仲直りしようにも完全拒否されていて理由が分からないから、糸口が掴めない。
本当に嫌われてしまったのだろうか?
「だとしたら、悲しすぎる……こんな、いきなり……」
あの時、神社で『麻由お姉ちゃんと仲良くなれますように』って、お願いしたのは何だったのか?
あの日から、沙耶さんとも連絡がつかなくなったし、それから間もなく麻由お姉ちゃんともこんな状態になってしまった。
麻由お姉ちゃんと仲良くしたい……また、話をしたい。また麻由お姉ちゃんの笑顔が見たい。
嫌だ。今のままなんて嫌だ。このまま失うなんて嫌だ。
また、麻由お姉ちゃんに会いたい。麻由お姉ちゃんが作ったご飯が食べたい。甘えたい。
また……したい。

「麻由お姉ちゃん……!」
いてもたってもいられなくなり、麻由お姉ちゃんの部屋に駆け込む。
こんなのは耐えられない。耐える事など出来ない!
バタン!!
「麻由お姉ちゃん!!」
名前を叫びながら、ドアを思いっきり開ける。
幸いにも鍵が掛かっておらず、麻由お姉ちゃんの部屋に入り込む事が出来た。
麻由お姉ちゃんは相変わらず、布団に包まったまま僕に見向きもしなかった。
「……麻由お姉ちゃん!」
「きゃっ!!何よ……!」
布団を引き剥がして、驚いている麻由お姉ちゃんにそのまま抱きつく。
「ちょっと、止めて!入ってこないでって言ったでしょ!」
「嫌だ!ずっとこうしてる!何でも僕の言う事聞いてくれるって言ったんだから、良いじゃないか!」
「止めなさい……あっ……」
抵抗する麻由お姉ちゃんにしがみついて、ぎゅっと抱きしめる。
かなり、弱っていたのか本気で抵抗していなかったのか。
麻由お姉ちゃんは少し前に見せていた怪力も影を潜め、僕でも強引にねじ伏せて抱きつく事が出来た。
「いきなり、酷いよ……今まで嫌だって言っても、強引にエッチな事してきたのに話もしてくれないし、ご飯も作ってくれないし……何があったか、理由ぐらい聞かせてくれ!」
「大輝……」
「何か怒らせるような事をしたなら、謝るから……もう我侭言わないから……麻由お姉ちゃんの好きな様にさせてあげるから……だから……」
「……」
麻由お姉ちゃんの背中に必死にしがみついて泣きつくと、しばらく沈黙し、そして、
「わからないの……自分でもどうしちゃったのか……」
「え?」


75:狂依存 296
11/12/01 18:52:22.52 knyNFC3e
「あの日、あんたとした後、沙耶の家に行ってあいつを始末しようとした。でも、出来なかった……あなたの顔が浮かんで……出来なかった……そしたら、急に頭がおかしくなって、いてもたってもいられなくなって……」
震えながら、重い口調で語りだす麻由お姉ちゃんの言葉をじっと聞き入る。
そんなに辛い事があったの……?
「何かが、心の中から一気に出て行っちゃうような感じだった。大切な気持ちがどんどん洪水のように流れて出てって……あいつとは、沙耶とは違うって確信していたのに、同じだったのかって思うと益々流れ出ていって……」
「麻由お姉ちゃん……」
「自分でも何がなんだか、わからない。何故か自分が自分でいられなくなるような気がして、おかしくなりそうになって……」
ベッドに横たわり、背を向けながら、一言、一言搾り出すように語る。
正直、僕も何がなんだかわからないが、とにかく辛い思いをしているというのはわかった。
「麻由お姉ちゃん……ごめんね、みっともない所見せちゃって……でも、どうしても今の状況が続くのは耐えられなくて……」
ようやく、冷静さを取り戻し、麻由お姉ちゃんの頭を撫でながら、先ほど取り乱して部屋に押し入った事を謝る。
たかが、何日か相手にされなかったくらいで、あんな思いをするなんて
「その……もう、体の方は大丈夫なの?」
「うん。だいぶ楽になってきたわ。私の方こそごめんね。急に閉じこもるような事しちゃって。あと……心配しているのは良くわかったから、もう離れてくれない?」
「あ、ごめん……」
慌てて、抱きついていた手を放し、ベッドから起き上がる。
「本当にごめんなさい。いきなり、部屋に押しかけちゃって……お腹空いてないかな?何ならすぐに用意するけど……」
「良いわ。私が作る。もう、平気だから……うっ……」
麻由お姉ちゃんが体を起こそうとすると、立ちくらみでもしたのか、頭を手で抑え俯く。
「ほ、本当に大丈夫なの?今からでも病院に……」
「大丈夫よ。ちょっと、眩暈がしただけ。そんなにヤワな体していないから、心配しなくてもいいわよ」
「駄目だよ、無理しちゃ……熱は……」
「ちょっと、触らないで!」
ビシっ!

「え……」
苦しそうにしているのを見て、麻由お姉ちゃんの熱を測ろうと額に手を当てたら、すぐに手を払いのけられてしまった。
「な、何で……?」
「何で?じゃないわよ。勝手に私の肌に触れないで。非常識じゃない」
「なっ……!」
あからさまに嫌悪感に満ちた表情で信じられない事を口にし、凍りつく。
勝手に触れないでって……。
「べ、別に変な事しようとした訳じゃないよ。ただ、熱を測ろうと……」
「……大丈夫だから、
「……」

何で、そんな事言うんだ?
これまで数え切れない程、抱き合ってきたし、キスもした。僕が嫌がってもそっちから襲ってきてた。
いや、お母さん達がいる時から、麻由お姉ちゃんは家では僕に抱きついたりしてきてたし、GWの時に風邪で寝込んだ時も、額に手を当てて看病していたじゃないか。
それなのに、ちょっと熱を測ろうとしただけで、こんな露骨な拒否反応をするなんて……。
「やっぱり、もう少し寝るわ……あんたは洗濯とリビングの掃除だけはやっといて。ご飯は私が何とかやるから、あんたは自分で勝手に何でも食べて」
「麻由お姉ちゃん……」
頭の中が真っ白になり、掛け布団に包まってふて寝している麻由お姉ちゃんを見つめていた。
ふいにベッドに横になった麻由お姉ちゃんの肩に手をかけ、顔を近づける。
冗談じゃなかったら、このままやらせて……。

「……っ!?いやっ!!」
パンっ!!
麻由お姉ちゃんの悲鳴と共に、僕の頬を平手打ちした音が部屋に響き渡った。
「聞こえなかったの?もう少し、寝るから出て行けって言ってるでしょ!」
「……どうして……?」
「今はそんな気分じゃないの。二度とあんなふざけた真似しないで……体がだるくてやる気が起きないの……」
「二度と……?」
二度とするなって、どういう意味?
もう、今までみたいに抱かせてくれないってこと……?
「ねえ、麻由お姉ちゃん……」
「……」
話しかけても無視して布団を頭までかぶせて、僕に背を向けて黙っていた。


76:狂依存 297
11/12/01 18:53:32.84 knyNFC3e
「……何なんだよ……」
部屋に戻り、机で頭を抱え込んで、考え込む。
事態のあまりの急変に頭がついていけない。
沙耶さんも僕の前から姿を消して、麻由お姉ちゃんも僕への態度がガラリと変わって……。
一体、何があったのか?麻由お姉ちゃんもわからないと言ってたし、多分沙耶さんも同じなんじゃないか?
「このまま、二人に訳も分からないまま嫌われて……」
まるで現実感が無い。そうだ、これは夢なんじゃないか?
このまま寝て、目が覚めればまた麻由お姉ちゃんもいつもみたいに、僕に元気な姿を見せて、それで色々世話もしてくれて……。
そうだよ……夢なんだ。これは夢に違いない。目が覚めたら……目が覚めたら……。
ベッドに飛び込んで、布団をかぶりうわ言の様に夢だ、夢だと呟きながら寝込む。
もしかしたら、本当に体調が悪くて気が立っているだけかもしれない。
このまま、寝て目が覚めれば、きっと元に戻るはずだ。
「そうだ……そうだよ……目が覚めれば、きっと麻由お姉ちゃんも元気になるんだ……」
今起きてる事から、逃れるように布団をかぶり、目を瞑り、次第に意識を失っていった。

「う……」
今、何時だ……?て、12時?
「うわっ!!」
慌てて、飛び起き立ち上がって
が、外はまだ真っ暗であった。
「ああ、びっくりした……まだ、夜の12時か……」
う……寝すぎたせいで、頭が重い……。
何時間寝たのだろうか?中途半端にたくさん寝ると、体に良くないって本当なんだな……。
とはいえ、明日……いや、今日も学校がある。期末試験も近いから休むわけにもいかない。
「まだ、夕飯も食べてなかったな」
階段を降り、台所に向かって歩こうとした途端、
「ちょっと、大輝!」
「え?ああ、麻由お姉ちゃんか……どうしたの?」
「どうしたの?じゃないわよ!何で洗濯も風呂場掃除もやっとかないのよ!もう、何日も溜まってるんだから、やらなきゃ駄目でしょ!」
「は……?」
何、言ってるんだ?
「まさか、さっきからずっと寝てたの?信じられない……私が頼んでおいた事、どうしてやっとかないのよ!」
「ま、待ってよ……洗濯とか掃除って……」

麻由お姉ちゃんはまくし立てる様に怒鳴り、僕を責め立てて行く。
「ちょっと、落ち着いてよ……いきなり、何言ってるんだ?」
「あんた、頭がボケてるの?さっき、掃除と洗濯をやっておけって言ったじゃない。どうしてサボるのよ」
「だ、だって、今までずっと麻由お姉ちゃんが……」
「今までが何よ?お母さん達がいないんだから、家事は分担でしょ?それに私は今、体調が良くなくて思うように出来ないの。だから、あんたが全部やって」
全部やってくれって……今まで、手伝おうとしても、断って自分で全部こなしていたのに、どうして今になってそんな事言うの?
「それと、冷蔵庫も空じゃない。何で、私が寝込んでいる間、何も買ってないのよ」
「そ、それはお金が無かったから……」
「じゃあ、今すぐスーパーで買ってきて。ほら、ここに書いてあるもの全部。お金も渡すから」
僕の言う事など、聞く耳持たないと言った態度でまくし立て、メモと5千円札を押し付ける。
「い、今すぐって何時だと思ってるんだよ!?こんな時間に出歩いたら、補導されちゃうかもしれないじゃないか」
「三丁目にある丸さと屋は24時間営業だから行けるでしょ。自転車で15分もかからないし、これぐらいの時間に帰ってる子だって居たわ。だから、早くして」
「……自分で行ってよ。麻由お姉ちゃんが車で行けば良いじゃないか」
「今、頭が重くて駄目なの。こうやってあんたと話してるだけで、眩暈もするんだから早くして。お腹空いちゃったし、買いに行かなきゃ、明日食べるものも無いじゃない」
そう言い放った後、頭を手で抑えながら、きびすを返し、部屋に戻る麻由お姉ちゃん。
今、いるのは本当に麻由お姉ちゃんなのか?
いや、そうだった。昔の麻由お姉ちゃんは機嫌が悪い時は僕を大した用もないのに乱暴にパシリに使ったりして、当り散らすような態度を取っていた。


77:狂依存 298
11/12/01 18:54:21.37 knyNFC3e
「大輝。ちょっと、来て!」
「なあに、麻由お姉ちゃん」
テレビゲームをしている最中に麻由お姉ちゃんが突然、僕の名を叫んだで呼び出したので、直行する。
今日はやたらと機嫌が悪いな。へへ……イライラしている麻由お姉ちゃんも可愛い。
「なあに、麻由お姉ちゃん?」
「今すぐ、コンビニに行ってポテトチップとあと、コーラ買って来て。早く!」
「ええ!?もう、夜の10時だよ」
「まだコンビニならやってるでしょ。私はこれからレポート片付けないといけないから、忙しいの。つべこべ言ってないで早く行け」
「わっ……ちょっと……別に今じゃなくても……」

500円玉を床に放り投げ、すぐに拾い上げる。
「良いから、早く行け!喉が渇いてるんだから、今すぐ!」
今日は帰ってからずっと機嫌が悪いけど、何か嫌な事でもあったのかな?
もう……人使いが荒いハニーだなあ……そうやって、苛立っている所も堪らなくいとおしく感じちゃうから良いんだけどね。
「ねえ、ねえ、麻由お姉ちゃん。行っても良いけど、ご褒美頂戴」
「ああ?……何よ?」
「……何って、いつも通り、僕のほっぺにちゅーを……」
「さっさと行け!!」
「うおっ!!」
いたた……辞書を顔面に投げつけられた挙句、部屋を追い出されてしまった。
まあ、良いや。麻由お姉ちゃんの為なら、僕は補導員だって怖くないよ。
「じゃ、いってきまーす」
「ちょっと、大輝!こんな時間に何処へ……」
お母さんの制止も無視して玄関を飛び出し、自転車で近くのコンビニ言われたものを買いに行った。
自転車で行けば10分も掛からないから、まあ大丈夫だよな。

「へへ……麻由お姉ちゃん。はい、コーラとポテトチップス」
「そこに置いて」
僕が差し出すと、机に向かいながら礼も言わず、テーブルに置くよう指示したので言われたとおりにする。
幸いにも補導されることもなく、無事に買えて一安心といった所か。
「ねえ、麻由お姉ちゃん」
「何?用がないなら、早く行って」
「お休みのキス……うわっ!!何」
バタンっ!!
僕がキスをねだると、問答無用と言わんばかりの態度で僕の襟を掴み、部屋から追い出し、鍵を掛けて部屋に閉じこもってしまった。
相変わらず、恥ずかしがり屋だなあ……でも、良いや。
愛する奥さんの我侭を聞くのも夫の務めだし、これもツンデレ故の照れ隠しかもね。
麻由お姉ちゃんのツンツンした態度も見れて満足だし、早く、寝ようっと……。



78:狂依存 299
11/12/01 18:57:18.90 knyNFC3e
って、感じで、麻由お姉ちゃんの理不尽な頼みごとも喜んで引き受けちゃってたんだよな……。
今の麻由お姉ちゃんは昔の麻由お姉ちゃんそのままだ……。
僕に対する口調も態度も乱暴で、うざったいと言わんばかりの扱い。
「まさか……」
もう何年もあんな麻由お姉ちゃんは見ていなかったし、これからも見ることは無いと思ってた。
だとしたら、麻由お姉ちゃんは僕の事はもう……。

いても立ってもいられず、麻由お姉ちゃんの部屋に再び向かう。
「麻由お姉ちゃん、あのさ……」
「部屋に入る時はノックぐらいしなさいよ。常識も無いの?」
「ご、ごめん……ねえ、買い物だけどさ……今夜はもう我慢して、明日朝早くに行くから、それで……」
「今すぐって、言ったでしょ。お腹空いたし、疲れてるのよ。さっさと行け」
麻由お姉ちゃんはダルそうな声を出して布団に包まり、寝返りを打って、背を向ける。
見てるこっちまで不快になるぐらいの苛立ちを露にした横柄な態度を見て、何かが頭の中ではじけた。
「麻由お姉ちゃんが行ってよ……」
「え?」
「体調が悪いなんて、嘘なんだろ?買い物も、食事も洗濯も掃除も全部、麻由お姉ちゃんがやってたじゃないか。僕をからかってるんだろ?」
「な、何言ってるのよ?今、本当に体が……」
嘘だ……麻由お姉ちゃんは……今の麻由お姉ちゃんはこんなんじゃ、無いはずだ。
「な、何よ……?きゃっ!!」
麻由お姉ちゃんをベッドに押し倒し、胸を触る。
驚いた麻由お姉ちゃんの上着に手をかけて、服を脱がせようよとした瞬間、
「あっ……ちょっと、止め……止めてっっ!!!」
パンっ!!ドンっ!!

「……はあ……はあ……」
大きな悲鳴が部屋に響き渡った後、顔を殴られ、ベッドから突き飛ばされた。
「何で……?」
「今はしたくない……ううん……もう、そういう気分になれない……」
「……!!」
視線を逸らしながら、ぽつりと漏らしたその言葉に頭をハンマーか何かで思いっきり殴られた様な衝撃を感じ、思考が完全に停止した。
「出てって……早く……」
それから、しばらくの間―
殴られた頬を手で抑えながら、ベッドに寝込んで、僕に背を向けた麻由お姉ちゃんを呆然と見つめる事しか出来なかった。
それから、どれくらい経ってからか。
この沈黙に耐え切れず、部屋を出て自分の部屋のベッドへと倒れこんだ。


79: ◆wBXWEIFqSA
11/12/01 18:59:00.76 knyNFC3e
以上です。
ありがとうございました。

80:名無しさん@ピンキー
11/12/01 19:01:55.69 SHzyJmvt
GJ!
お姉ちゃんがオカシクなった!
いや普通に戻ったのか?

81:名無しさん@ピンキー
11/12/01 19:44:02.94 jgNSvYZ9
おいおいここへきて急展開じゃないすか!!
ちょっと次回が待ち遠しいですよこりゃあ!!

82:名無しさん@ピンキー
11/12/01 20:49:12.59 vOMQ83DM
>>79
GJです!
沙耶さんに続き麻由お姉ちゃんまで大輝熱が消えるとは…
これは予想外の展開

83:名無しさん@ピンキー
11/12/01 21:25:49.29 Ty6HegR/
流石に大輝に対してイライラしてきた

84:名無しさん@ピンキー
11/12/01 22:05:01.85 oaI+0xCa
大輝ぼっちエンドフラグキター

85:名無しさん@ピンキー
11/12/01 22:05:13.00 oaI+0xCa
おっと

86:名無しさん@ピンキー
11/12/01 23:05:27.42 r3MwppWt
被依存体質に死ぬまで悩まされるエンドを予想してたら、二人とも正気に戻っちゃったか……。

大輝も酷いけど、今まで何でも世話焼いてくれていつでもどこでもやらせてくれる(むしろ襲ってくる)女と四六時中一緒にいたことを考えると、
こうなってしまうのも仕方ない気がする
もうオナニーなんかじゃ満足できないだろうし。

このまま大輝も麻由お姉ちゃんも落ち着けば姉弟仲直りエンドもありうるけど、
反動で大輝の方も昔の大輝に戻ったりしたら嫌われエンドになるだろうなあ。
今回の展開見る限り後者の可能性が高そう。

87:名無しさん@ピンキー
11/12/01 23:13:19.25 /e3XtfYJ
予想とかはいいです

88:名無しさん@ピンキー
11/12/01 23:44:37.58 GHoFQuMk
GJ
魔法がとけたとはまさにこの事か…
今までが夢見心地すぎたんや!

89:名無しさん@ピンキー
11/12/02 00:11:54.63 94sFzszg
大輝餓死エンド期待上げ

90:名無しさん@ピンキー
11/12/02 00:15:15.06 aMO+LPh2
冷静になったら続きがすげえ気になるううううううううううううううう
うあああああああああああああああああああああああああああ

91:名無しさん@ピンキー
11/12/02 01:37:06.95 N+6zOK/v
これ無限ルーpゲフンゲフン

92:名無しさん@ピンキー
11/12/02 01:51:53.75 MAAgeLXE
振り回される大輝乙

93:名無しさん@ピンキー
11/12/02 02:08:42.58 IYf3YcBc
紗那

94:名無しさん@ピンキー
11/12/02 02:53:16.11 SvwVeTYY
狂依存は悲劇的な結末では無くてハッピーエンドで完結して欲しいな。

95:名無しさん@ピンキー
11/12/02 03:01:23.84 08TljLVB
えんだああああああああああああああああいやああああああああああああ

96:名無しさん@ピンキー
11/12/02 03:59:51.89 /ECmlBEn
>>95
タイタニック乙

97:名無しさん@ピンキー
11/12/02 04:45:52.88 fE6tfJdM
きたああああああああああああああああああ

98:名無しさん@ピンキー
11/12/02 06:06:26.48 UHYg/F2Z
誠氏ね

99:名無しさん@ピンキー
11/12/02 14:16:54.25 VKSdOz/6
HRは好きだけどNTRだけはマジやめて

狂依存好きだからハッピーエンドがいい

100:名無しさん@ピンキー
11/12/02 14:36:01.59 IYf3YcBc
NTRに向かったら駄作

101:名無しさん@ピンキー
11/12/02 15:00:54.56 9x0dTQLB
ここから突然NTRに行くかな
ちょっと難しい気がする

102:名無しさん@ピンキー
11/12/02 18:18:17.14 SYgAuUGF
狂依存は大輝がお姉ちゃんのことを嫌いになれば万事解決

103:名無しさん@ピンキー
11/12/02 18:45:45.45 PwzXE5px
>>102
またお姉ちゃんがキモくなって無限ループするぞ

104:名無しさん@ピンキー
11/12/02 19:34:07.04 SvwVeTYY
普通の姉弟になって沙耶と付き合うエンドが無難

105:名無しさん@ピンキー
11/12/02 21:40:49.44 IYf3YcBc
だよな

106:名無しさん@ピンキー
11/12/02 23:00:39.46 UtVkWMt+
あれじゃねぇか?そのまま真剣に姉と付き合うエンドじゃね?

107:名無しさん@ピンキー
11/12/02 23:15:39.17 PwzXE5px
昔お姉ちゃんの誕生日に花をあげた事を聞かれて
恥ずかくて覚えてないて答えたらキモ姉になってしまった

108:名無しさん@ピンキー
11/12/03 00:50:24.75 UQ+f+JUz
まー次は流れからして沙耶に行くだろうな。

109:名無しさん@ピンキー
11/12/03 01:02:21.29 mGes3pKD
展開予想して楽しそうで何より
潰すの好きだなお前らは

110:名無しさん@ピンキー
11/12/03 01:06:38.17 Pkdfh/ut
沙耶は昔の弟の写真みて姉しか見ていないのが嫌で姉は弟のためにやってきたつもりが全部
自分のためにやってたってだけじゃないのか
昔の姉もなんだかんだ言って弟に依存してたしな
狂ってるときも乱暴に弟使ってた時あったし

111:名無しさん@ピンキー
11/12/03 01:54:25.81 UQ+f+JUz
そりゃあ1年以上続いている長編だしなあ。気になるでしょ。



112:名無しさん@ピンキー
11/12/03 03:30:38.36 VhL8Ufr7
>>107
ビー・プレートでも探していろ

113:名無しさん@ピンキー
11/12/03 15:28:37.40 s/f+EIMf
異性を自分に依存させる代わりに怪力と不死身の肉体と神通力を授ける体質
尻に敷かれるの確定だがこのスレ的にはそれもご褒美か

114:名無しさん@ピンキー
11/12/03 16:01:17.76 0EK8vu79
         ,、,, ,、,, ,, ,,
       _,,;' '" '' ゛''" ゛' ';;,,
      (rヽ,;''"""''゛゛゛'';, ノr)
      ,;'゛ i _  、_ iヽ゛';,    お前それサバンナでも同じ事言えんの?
      ,;'" ''| ヽ・〉 〈・ノ |゙゛ `';,
      ,;'' "|   ▼   |゙゛ `';,
      ,;''  ヽ_人_ /  ,;'_
     /シ、  ヽ⌒⌒ /   リ \
    |   "r,, `"'''゙´  ,,ミ゛   |
    |      リ、    ,リ    |
    |   i   ゛r、ノ,,r" i   _|
    |   `ー―----┴ ⌒´ )
    (ヽ  ______ ,, _´)
     (_⌒ ______ ,, ィ
      丁           |
       |           |

115:名無しさん@ピンキー
11/12/03 16:57:01.44 9+fLOJHz
>>113
どっちがその能力を使えるかだな、どっちでもキモ姉妹になるけど

116: ◆D.t0LfF1Z.
11/12/03 17:46:12.94 1sSpV0un
結構ドSな同調義妹シリーズ
最終回「今と昔の同調義妹」を投下します。
今回エロ無しです。


117:今と昔の同調義妹1 ◆D.t0LfF1Z.
11/12/03 17:47:05.26 1sSpV0un
大草原、辺り一面に広がる緑、
その先にあるいくつもの丘といくつもの山を越えていく、
歩く、二人、簡素な旅装束に身を包む二人の男女。

朝は涼しげなそよ風を受けながら道無き草道を踏みならす、
昼は温かい太陽に照らされながら緑の丘を越えていく、
夜は二人毛布により添い山の寒さに耐えながら朝を待つ。

二人はどこまで歩くだろうか、
どんな困難が待ち受けているのだろうか、
そして、見果てぬ先にいったい何があるのだろうか…

わからない…その先がわからない…
私にはそれが、とても怖かった…


私の名前は、白河姫音(しらかわ ひめね)。
私はある『魔法』が使える、
それは人の心が読める魔法。

でもそんなもの欲しくなかった、
お父さんに知らない男の汚らわしい娘だと言われた、
お母さんに本当は欲しくなかった子だと言われた…

お父さんとお母さんは、いつもケンカばかりしている、
でも私の前では、決してケンカしているところを見せない、
二人とも、私には酷い事を言わない。

だから本当はそんな酷い事を言われていない、
でも私は聞こえてしまう、
私が持っている『同調』という魔法のせいで…

「…ええと、『同調』っていうのはね、本当はお互いの気持ちがわかる魔法なんだよ」

「自分の心の『声』を伝えて、相手の心の『声』を受け取る、
テレパシーみたいなものかな。その中でもキミは特別なケースだね。
相手の『声』を全部受け取る事が出来る。でも自分の『声』は相手に伝えられない…」

ある日、偶然会った女の人から聞いた話だ、
金髪の長い髪を持ち、容姿だけ見ると私と同じぐらいの年だと思う、
でも、私の両親よりも随分と大人びた雰囲気がした。

「でもね、本当にキミの事を好きで、キミもその人の事が好きだったら、
キミの『声』をちゃんと受け取ってくれるはずだよ、どうかそれを忘れないでね」


数日後、私の両親が交通事故に遭って死んだ話を、知らない人から聞かされた、
結局最後まで、あの人たちから私を愛してるという『声』は一度も聞けなかった…
気づいたら、両親がいない子供が預けられる施設に私はいた。

『姫音ちゃんって可愛いよな、一度でもいいからチュ~とかしてみてぇ』
『姫音のおっぱいでか過ぎだろ、いひひっ、今度無理やり揉んでやろうかな~』
『姫音ってさ、男にちやほやされて調子に乗ってんじゃね? 見ててイラつくんだけど』

施設の男の子たちから、私の顔や身体のイヤらしい話を聞かされた、
施設の女の子たちから、私をみんなで仲間外れにする話を聞かされた、
聞きたくないのに、私の『同調』が全部を受け取ってしまう…

118:今と昔の同調義妹2 ◆D.t0LfF1Z.
11/12/03 17:48:27.52 1sSpV0un
『…もう、嫌。何でみんなそんな目で私を見るの…嫌だ、嫌だよ…
誰か助けて! 私を苛めないで! 私を無視しないで! 私を仲間外れにしないで!
私をイヤらしい目で見ないで! ねえ、お願いだから、誰か私を助けてよぉおおっ!!』

私が『叫んで』も、誰も聞いてくれない、助けてくれない、こんなに『叫んで』るのに…!
誰も私を好きじゃない、側にいてくれない、愛してくれない、みんな私の事が嫌いなんだ、
私はどこに行けばいいの、私が居ていい場所は、私の居場所はどこなの…

私は自分が嫌いになっていった、私の顔も、身体も、そしてこの『声』も、全部嫌い、
でもそんな私が一番嫌いだった、
だから、後で引き取られた家でも、私は本当に嫌な子供だった。


私を引き取ってくれた「音羽」の家、父母と息子が一人、とても裕福な家庭だった。
その家の両親はよく海外の出張で長い間、家を開ける事が多く、
私は『兄』と二人で過ごす事が多かった。

「これから二人だけで暮らす事が多くなると思うけど、よろしくね、姫音」

兄は両親に大事に育てられたせいか、人がよく性格も大人しかった。
兄は私に気を使って優しくしてくれるが、私は全て無視した。
両親に愛されて育った優しい『兄』のことが嫌いだった。

ある日、私は兄と中学の女友達を連れて、この島にあるデパートに出かけた。

「でさ~、部活の先輩がさ、私の服、チョ~子供っぽいっていうの、酷くない?」
「あんたの髪型が子供っぽいんじゃない? 今度私が行きつけの美容院紹介してあげる」
「でも折角だから、服だって見ようよ~ 私も新しいの、そろそろ欲しいんだよね~」

「………」

兄はずっと黙っていた。
内気な上、会話の引き出しが少なすぎる兄は、私の友達と話せるはずがなく、
一人黙って私たちの後を付いてくるだけだった、当然、私の計算だ。

それに兄はもともと大人しい性格のせいかクラスの友達も少ない、
私と数人の友達で兄の「噂」を広げると、兄に味方する人はいないため
瞬く間に兄は女子から嫌われ、次第に同性の友人もいなくなった。

そう、兄はクラスで孤立している、今の友人の数はゼロだろう。

「ねえ、私たちだけでこの店に入りたいから、店の前で待っててもらえる?」

突然、私は兄に冷たい口調で言い放った、
そこは女性の下着が売られているランジェリーショップ、男性には近寄り難い店だ、
兄は気弱そうに返事をすると、私たちは店に入り、数分後に兄の死角をついて店を出た。

「ふんっ、バカな人。たっぷり恥でもかけばいいわ」

私たちは離れた喫茶店に入り、兄を騙した事を肴に数時間話し込んだ、
そして私たちは解散し、兄が気になった私はランジェリーショップに向かった。

兄はやっぱり、そこにいた。
他の女性客に変な目で見られたり、店員から話しかけられても「あはは…」と
困ったような愛想笑いを浮かべるだけだった。

そう、兄は人が良すぎる上に、非常にどんくさいのだ、
私がこんな幼稚な手で、兄を辱めれると踏んだのもこのためである。

119:今と昔の同調義妹3 ◆D.t0LfF1Z.
11/12/03 17:49:50.78 1sSpV0un
でも今回は、さすがの兄も私に怒ると思った、
どんなに言葉や表情で隠しても、私には心の『声』が聞こえる、
あのバカ正直で、お人よしの兄でも、文句の一つは出るだろう。

兄も男だ、
どうせ、義妹の私を、イヤらしい目で見るに決まってる、
いつか、私を無理やり襲ったりすることもあるかもね…

「何、ずっと女の下着売り場の前で突っ立てるのよ、バッカじゃないの!?」

「あはは…ごめんね、迷惑かけちゃったね…本当にごめん…」

「一応、私はあんたの義理の妹ってことになってるの。
あんまり変なことして、私にまで恥かかせないで欲しいんだけど」

私は兄に向って吐きだした、
すると兄は情けなく、みじめに、気弱そうに、私にまた謝った。

「何、謝まってんの?」「あんたの愛想笑い、ムカつくんだけど」とか
言ってやろうと思ったけど言えなかった。

だって本当に兄はそう思っていたから…
本当のバカは兄じゃなくて私だった、
でも、そこから私のバカな子はもう少し続くのだった。

両親がいない時、二人でするよう言われた家事を全部兄に押し付けた、
兄が作るご飯をまずいと言って食べなかった、
二人で使う生活費を勝手に買い食いや高い服に使って兄を困らせた。

それでも兄は、困った時は「あはは…」と苦しそうに愛想笑いするだけで、
私の事を決して悪く言わなかった、当然、両親にも告げ口した事はない、
私の無駄遣いがバレたときも、自分が使ったと私をかばってくれた事さえあった。

兄から嫌な『声』は聞こえてこない、それぐらい最初からわかってる、
だって私は『同調』があるから、ううん、そんなものなくたってわかってたんだ、
兄はどうしようもなくお人よしで、私の事を大事にしてくれてるって…

でも私は認めなかった、怖くて、みじめで、情けなくて、
あれだけ優しくしてくれた兄に、つらく当たった罪悪感に耐えられなかったから…
私はどうしようもなく、自分が嫌になった。


そしてある日、事件が起きた、
通帳に記載された3桁の僅かな預金。

「…嘘っ!? お金ってもうこんなに少なかったの!?」

両親の出張がすごく長期に渡り、振り込まれた生活費が尽きてしまったのである。
当然、私の心無い浪費せいだ。

裕福な家だが、生活費として渡されるお金はそう多くはない、
それは二人で家計をやりくりさせるため、そして、いつか日か来る独り立ちのためである、
でもそんな事、当時の私に知る由もなかった。

お金がなかったため、私は今日の夜からご飯が食べられなくなった、
生活費は共通の口座にあるため、兄の食費も多分無いだろう。

そして夜、私は空腹を抱えたまま、自分の部屋のベッドで大の字になっていた。

「お腹すいたな…あいつも今頃、お腹すいてるのかな…」

120:今と昔の同調義妹4 ◆D.t0LfF1Z.
11/12/03 17:51:15.58 1sSpV0un

トン、トン、トンっ…

「姫音、今ちょっといいかな」

兄のノックと声を聞いた、
あいつ、ご飯食べられなくなった事、私に文句言いに来たのかな、
そりゃそうか、お金無くなったの私のせいだし…

「開いてるから、入れば…」

「…うん、お邪魔するね。姫音さ、お腹空いてるよね。
こんなのしか作れなかったけど、食べる?」

どうやら兄は私にご飯を作ってくれたらしい、
見ると、ふりかけご飯と形が崩れたへたくそなオムレツだった。

兄の不器用さは料理についても例外ではなく、兄の作る食事はいつも、
生彩に欠け、レパートリーも少なく、味も単調、お世辞でも美味しいとは言えなかった。

「ふんっ、あんた、まだお金持ってたんじゃない! 一人だけで使う気だったの!?
それに、このご飯と下手くそなオムレツ、全然美味しくないじゃない!
だからあんたの作ったご飯は、食べたくないっていつも言ってるのよっ!」

すごく空腹だった私は兄の作った食事を乱暴に奪い、そして食べながら悪態をついた。

「あはは…ごめんね、美味しくなくて…」

と、兄は弱々しく微笑みながら、私の食事を見ていた。

「何、ニヤニヤ見てんのよ! 気持ち悪い! 出て行って!!」

…だって今の私、すごく情けなくて、恥ずかしいから…

その日から、兄は朝と晩は私にご飯を作って、部屋まで持ってきてくれた。
次の日もふりかけご飯とオムレツ、次の日はご飯と缶詰が出てきた、
しばらくしてアンパン、次は食パンだけ、美味しくないビスケットだけ…

「あはは…今日はこんなものしかなかったんだ、ごめんね、姫音」

「こんなの、いらない…。だって美味しくないよ…」

私は、せっかく兄が持ってきてくれた食事を断る、
ぱさぱさのまずいビスケットは、昼食を抜き、まともな食事を取っていない私にとって、
見ているだけで唾液が出てくるごちそうだった、でも…

「どうして私なんかにご飯持ってくるのよっ! あんたが食べれば良いじゃない!」

「あはは…僕ってあまり食べないほうだから」

「嘘っ!! 嘘つかないでよっ!! 嘘ついたって、私には全部わかるんだからっ!!」

「私、あんたに酷い事した! 怒らないの!? 仕返ししないの!?
何か言ってみなさいよっ!! ほら、どうしたの? あんた、私に同情でもしてるわけ!? 
お父さんやお母さんがいないから、私に優しくしてくれてるつもりなのっ!?」

私は、もう何もかもわからないぐらい感情を爆発させていた、
兄はじっと私を見ていたが、少しずつ口を開いた。

121:今と昔の同調義妹5 ◆D.t0LfF1Z.
11/12/03 17:52:34.10 1sSpV0un
「ううん…違う…ただ姫音がこの家に来て、僕がお兄ちゃんになるって言われた時、
僕が姫音の父さんや母さんの代わりになって、姫音をずっと守っていこうって思ったんだ。
いつでも姫音の味方になって、いつか姫音に頼ってもらえるようになれたらいいなって…」

兄は弱々しく微笑んだ、
その顔は青白く、頬もやせこけているようで、まるで病人みたい、
身体も細々としていて、最初に会った時よりもずっと痩せていた。

「……あんた、すごく痩せてる。顔色だって悪いし、やつれてる。すごく苦しそう!
どうしてこんなになるまで、私にご飯をくれるのっ!? 私を守ろうとするのっ!?
もっと自分を大事にしなさいよっ!! 私じゃなくてっ!!」

私は兄を怒鳴りつけると、また兄はしばらく私の顔を見つめていたが、
何か遠い物を見るような目で、穏やかに切り出した…

「僕さ…勉強できなくて、運動できないし、カッコも良くなくて、何の取り柄も無いんだ。
だからさ、きっと僕は…将来すごい人には多分なれないと思う」

「だけど姫音が来てくれた時、すごく嬉しかった。
僕、最初に姫音に会った時、姫音の事、すごく可愛いと思ったんだ。
こんな可愛い子とお話したり、デート何かできたら最高だろうなって」

「でも僕みたいなダサくて、要領も悪くて、女の子と話したりできない人が、
最初から姫音みたいな可愛い子と釣り合うはずないんだ。その代わりさ…
兄として、家族の一人として、姫音を一生守っていこうって思ったんだ」

「僕は、大勢の人を幸せにする事はできないけど、目の前の姫音を一生守り切って、
その幸せを見届けていくことぐらいは、してみたいと思ったんだ」

再び兄は弱々しく微笑む、
だが言葉だけではない兄の強い意志が、『同調』能力が無くてもはっきりと伝わってくる。

この人は今の私だけを見ていない、
これから先の私を見て、ずっと守ってくれようとしてたんだ…

ああ…この人はバカだ…どうしてこんな私を守ってくれるんだろう、
本当にどうしようもないぐらいのバカ…!
私…この人に…何て事をしたんだろう……!!

兄は微笑んでいたが、突然ぐぅと弱々しいお腹の音を鳴かせた。

「え、あっ、あはは…ごめんね。それ食べてもらっても構わないからさ」

兄は私の部屋を出る……ダメ! 絶対にダメっ!!
気づいた私は、とっさに兄の手を掴んだ…!

「待って…! 待ってよっ!! お願い! 行かないでっ!!」

「…ビスケット…食べてよっ!! あんた、ずっと何も食べてないでしょ!?
そんなの、死んじゃうじゃないっ! やだっ! そんなの、やだぁああああああっ!!」

私は初めて人前で、泣いてしまった…
みっともなく大声をあげて兄に泣きついた、
私と同じ年の兄は、男子なのに女の子にみたいに華奢で細くなっていた。

122:今と昔の同調義妹6 ◆D.t0LfF1Z.
11/12/03 17:54:07.40 1sSpV0un

………
ぱり…ぽり…パリ…ぽり…

二人で食べる乾いたビスケットの音が私の部屋に響く、
月明かりが差し込むだけの薄暗い部屋、
私は兄と背中合わせだった。

「今度、お金振り込まれたらさ、あんたにご飯作るね」
「うん…ありがとう、楽しみにしてるよ」
「嘘じゃないからね、本当に作るんだからね!」
「うん、わかってる」

「掃除とか洗濯とかも、ちゃんとするから」
「うん、ありがとう…すごく助かるな」
「お金も…考えて使う…こんなこと、もう二度としない」
「…うん、わかった」

「さっきから、うんうん、ばっかり…」
「ん?…あはは…ごめんね…」
「別に怒ってるわけじゃないから…」
「うん、わかってるよ」

「………」
「……姫音?」

不器用で、どん臭くて、お人良しの兄、
いつも私を大事にしてくれる、
支えてくれる、守ってくれる。

「あのさ…あんたに変な事聞いていい?」
「変な事? 何?」

誰にも愛されず、荒んだ私を、心の底から受け入れてくれる、
私の大切なお兄ちゃん。

「今さ、私の声が聞こえなかった?」
「え?…ごめん、何か言ってたの? 聞いてなかった…」

女の人が男の人を、顔やお金や名声で好きになるんじゃない、
この人とずっと一緒にやっていきたいという気持ち。

「いい。今は、まだいいから」
「うん…わかった」

だから私は今、あなたに言います。

『お兄ちゃん、今までこんな私を守ってきてくれて、ありがとう。
もしも許されるなら、あなたとずっと一緒に歩ける人でありたいと思います』

生活費の不足は両親に連絡すれば、追加で出してもらえる事になっていた、
でも私たちはそれをしなかった。

私はこの家の両親に意地を張るためだけに、
兄は自分ひとりだけで義妹の私を守るために、
同じ年の二人にはこれだけの大き過ぎる差があった。

その夜、私は兄と一緒の毛布に包まれて眠った、
兄は恥ずかしがっていたが、私が強引に引き込んだ、
別に兄にならもう何をされても良かった、でも何もしてこない、優しいお兄ちゃんだった。

123:今と昔の同調義妹7 ◆D.t0LfF1Z.
11/12/03 17:55:34.77 1sSpV0un
私は毛布の中で兄に抱きつく、温かい、何故かとても落ち着く、
月明かりだけが入ってくる私の部屋、私と兄は毛布の中で静かに抱き合って眠った。


――コト、コト、コト…

かすかに寒さが身にしみる朝、味噌汁のお湯が沸き上る音がキッチンに響く。

キッチンには一人の可憐な女性が朝食の支度をしていた。

そこへ階段から、一人の男性が少し眠そうな顔をして降りてくる。

「あっ、おはようございます。朝ごはん、もうすぐできますよ」

「うん、おはよう。いつもありがとう。ちょっと顔を洗ってくるね」

5分後、リビングのテーブル上に温かで彩り豊かな朝食が並ぶ、
二人が手を合わせ同時に「いただきます」を言う。

「そう言えば、今日から帰りが遅くなるんでしたよね」

「うん、会社で小さいけどあるプロジェクトのリーダーを任されることになったんだ。
だからいつ帰れるかわからない、多分すごく遅くなると思う。
晩御飯はいつも一緒に食べてるけど、今日から食べられないかも…」

「いえいえ、いくら遅くなっても、帰ってくるまでいつまでも待ってますよ。
だから一緒に御飯を食べましょう。きっと一人で食べるより、
二人で食べたほうが美味しいに決まってますからね」

家を出るまでのわずかな朝の時間、
だが二人の間には穏やかな時間が流れる、
いつも二人で食事を囲み、会話し、温かく微笑み合う、そんな穏やかな時間。


『こういうの…いいな』

どこからだろう…、リビングの空間の外から声が響く。

『うん、すごくいいと思う』

その少女の声に応えるように少年は頷く。

二人の男女が温かな朝食を囲う光景、
それは少年と少女が思い描く理想、
それは夢の中でしか存在できない幻想。

『いつか、いつの日か、こういう毎日を過ごせるように…なれたらいいよね…』

『うん、だったらさ。やってみようか…』

『え…いいの…? 私と何かで…』

『うん、姫音とやってみたいんだ。僕と姫音でやろうよ。約束だ』

『…うん約束。ありがとう、お兄ちゃん。…すごく嬉しい。明日、楽しみだね』

私とお兄ちゃんはゆっくり微笑み合う。

…明日が欲しい、明日から微笑み合っていけるように…
ここからもう一度、お兄ちゃんと歩き始める事ができるように。

124:今と昔の同調義妹8 ◆D.t0LfF1Z.
11/12/03 17:56:56.13 1sSpV0un
そこで私の意識は闇に沈んだ。

次に見たのは懐かしい緑の風景。

緑の絨毯、辺り一面に大草原が広がる、
見上げると緑の丘、その先にいくつもそびえる高い山々、
そして草原から二人の男女が並んで歩いていく。

穏やかな風が吹き、晴れた青空の下を歩く二人、
恋人か、それとも夫婦だろうか、
歩く二人の背中は草原の彼方へ向かって少しずつ小さくなる。

そして、緑の水平線に消えていく…
私は後ろから、その二人を見ていた。

二人はどんな顔をして歩いているんだろう、
二人が行きつく先はどこなんだろう、
二人はずっと一緒なのだろうか…

そんなことを考え、不安に襲われる、
だって怖いから、先が、何があるか、何が待っているか分からないから…

…だから、隣に…誰か…、お兄ちゃん…


朝、目が覚めると兄はすごい高熱を出していた、そして救急車で運ばれていった、
極度の栄養失調のため、免疫力が著しく低下したとのことだ。

私のせいだ、私のせいだ…私の人生で最大の汚点だった。

幸い兄の命に別状はなかった、
でも「幸い」なのはこれだけだ、

兄は、記憶喪失になっていた…

兄は始め、自分の名前さえわからなかった、
それでも時が経ち、治療が進むと、少しずつ記憶の回復が進んだ、
ただし、私に関する記憶を除いて…

いや、客観的に見れば「私」の記憶は戻ったと言えるかもしれない、
だがそれは事実とは異なるものであった。

兄がいる病室、
兄は体調や記憶も順調に回復していることから、退院の日は近かった、
兄が熱を出して倒れた日から、私は毎日のようにお見舞いに来ていた。

「ごめんね、姫音。また来てもらって」
「別に…私が来たいと思って来ているだけだから気にしないで…」

「でも姫音にはいつもお世話してもらってるからね。今度何かお返ししないと」
「本当に、そんなの、いいから…」

「うーん、でも姫音には、いつもご飯とか作ってもらってるし。今度、僕も何か作るよ」
「う、うん…」

私は、一度も兄にご飯作ってあげた事は無かった、
いつも兄に作ってもらって、文句ばっかりを言って食べない事もあった…

「掃除や洗濯も手伝わないと。姫音にばっかりやってもらったら悪いし」
「うん…」

125:今と昔の同調義妹9 ◆D.t0LfF1Z.
11/12/03 17:58:21.43 1sSpV0un
家事も全部、兄に押し付けてばかりだ、
それでも兄は、両親にはいつも私に手伝ってもらっていると嘘をついてくれた…

「お金の管理までやってもらってるね。あはは…姫音がいないと僕って何もできないな…」
「……」

私が両親から貰った生活費を、全部使っちゃったから、
兄はずっとご飯食べられなくて、それで…

それに比べて、今の私はこうやってのうのうと生きてる、
兄にずっと支えられて、守られてきた。でも私は、兄を無視して、苛めて、困らせて、
餓死寸前まで追い詰めて、高熱を出させて、記憶まで失わせて、私は生きている!

私は最低だ、何の価値も無いクズだ、ゴミだ、疫病神だ、
生かされてる価値もない、守られる価値もない、私は最低のクズだ…!

「姫音? どうしたの? もしかして疲れてる?」
「ううん…」

突然、私は兄が寝ているベッドに近づき、兄の手を取った、
そして服の上からでもわかる、自分の大きな乳房に押し付けた。

「えっ、何!? 姫音、どうしたの!?」
『■■■■■■■、■■■■! ■■■! ■■■■■■■■■■■■■■■■!』

慌てる兄、でも私は気にせず、目をつむり、
兄の唇に自分のものを合わせようと顔を近づけていった。

「ひ、姫音、ダメだって! 僕たち兄妹じゃないか!」
『■■■■、■■■■■■! ■■■■■? ■■■■■! ■■■■■■■■!』

兄が本当に困っているようだったので、これ以上は止めておいた。
私は持ってきた兄の着替えなどを渡して、病室から出ていくことにした。

「ごめんね。ちょっと私、気が動転しちゃって。また明日も来るからね、お兄ちゃん」


兄の記憶喪失の後遺症、
それは私、音羽姫音という人物に関する記憶改変だった。

兄の世話をする義妹、面倒見の良い義妹、
それが兄にとっての「音羽姫音」だ。

人は心的ストレスを受け続けると、心の負担を減らすために「逃避」行動を取る事がある。
兄が創った「音羽姫音」は、最もストレスを受けない人物、または理想の形かもしれない。
当然だが、兄にとって私は重い負担になっていた、しかも記憶を改変してしまうぐらいに。

その事実を知った時、私は自分を殺してやりたいほどの激しい自己嫌悪に襲われた、
兄に謝りたい、でも謝ったら優しい兄はきっと私を許してくれる、こんな最低な私でも…
だけど、そんなの私が許さない! 私は、私を、一生許してやらないっ!!

…だから、私は兄に一度も謝る事はなかった。

代わりに、これからの私の人生を、兄のためだけに使うと決めた。
兄の理想像である「音羽姫音」になるために、甲斐甲斐しく兄のお世話をする、
私の『同調』で兄の欲求を読み取り、何であっても叶えてあげる。

そして今日、先ほどの病室で大きな収穫があった、
それは私の胸を触らされ、キスをしかけられた時の、兄の黒い欲望の『声』。

126:今と昔の同調義妹10 ◆D.t0LfF1Z.
11/12/03 17:59:44.07 1sSpV0un
『姫音のおっぱい、柔らかい! 大きい! このおっぱいで顔を挟まれてみたい!』
『姫音の顔、すごく可愛い! キスするの? キスしたい! 可愛い顔の姫音と!』
…か、すごく嬉しかった! 兄もちゃんと私を、女の子として見てくれていたんだ!

これで…お兄ちゃんのどす黒い男の欲望も、満たしてあげられるんだ…
私はとても救われた気分になった。

これから何でも叶えてあげる、どんなものでも食べさせてあげる、
欲しいモノがあればバイトしてでも買ってあげる、して欲しい事をしてあげる、
どんなエッチな事でも、喜んでお兄ちゃんにしてあげる…全部、そう全部してあげる!

お兄ちゃんに彼女が出来て、私がすごく傷ついて、無様に泣いて、心がズタズタに壊れて、
最後には、ボロクズのように捨てられるその日まで、私が兄の心の隙間を埋めてあげる、
それまでのお兄ちゃんは、私の居るべき大切な『居場所』だから…!

私は、その日からアダルトビデオや、18禁のゲームなどでHな知識を蓄えていった、
また兄さんのPCを勝手に閲覧し、兄さんの嗜好を見定めていった。

この「兄さん」という呼び方は、
兄さんが高校になってハマった、エッチなゲームに出てくる女の子からの呼び名だ、
私の髪型、性格、しゃべり方、声色まで全部、その兄さんが好きなヒロインに合わせた。

これは『ダ・カーポ』の朝倉 音夢(あさくら ねむ)というヒロインだ。
義妹である私にとっては、本当に都合が良かった、
そのヒロインっぽく、兄さんの前では兄さん大好きだけど、ちょっとツンデレに振る舞う。

おそらく兄さんは、SかMかで言ったら、Mだろう、
私はヒロインとしての演技も兼ねて、女の子の嫉妬に関しては兄さんにきつく当たり、
ついでにエッチなオシオキを行い、兄さんを苛めて喜ばせてあげる事にした。

正直なところ、今まで酷い目に合わせてきた兄さんをエッチなことでも苛めるのはつらい、
でもやるんだ、それは兄さんが心の底で本当に望んでいる事だから、
それを叶えてあげるために、そう、兄さんが好きだから、愛しているから苛めるんだ。


そして家の中だけじゃない、
外の世界、学校でも兄さんが平和に過ごせるようにする必要があった。

兄さんが通学できるようになる一月前のこと、
私は仲良くしている友人たちの目の前に立っていた、
あのデパートで兄さんを下着物売り場に置き去りにした女子グループだ。

「オッス姫音、お前のアホ兄貴って、もうすぐしたら学校戻ってくるんだっけ?」
「え~っ!? マジであのキモオタ帰ってくんの? 最悪、マジいらねーんですけど」
「だったら今度はアタシらでまた苛めて記憶喪失にでもしてやる? もう一年ぐらい」

「兄さんを苛めるの、止めてもらえる」

「…はぁ? 姫音、オマエ何言ってんの? 最初はお前から言い出したんじゃねーか?」

「いいから兄さんを苛めるの、止めて」

「何言ってんだコイツ? 今日のお前、マジ頭おかしいんじゃね?」

「兄さんを苛めないでっ!!」

「おいおい、姫音落ち着けって。別にアタシらだけじゃないだろ、兄を苛めてんのは」


127:今と昔の同調義妹11 ◆D.t0LfF1Z.
11/12/03 18:01:05.28 1sSpV0un

――ドガっ!!

三人の誰だっただろう…?
私は全力でそいつを殴り飛ばした。

「兄さんを苛めるなーっ!!」

授業が始まる前の朝の教室、
一瞬にして喧騒が広がった。

殴って、殴られて、引っ張って、引っ張られて、蹴って、蹴られて…

私はまた叫ぶ。

「兄さんを無視するな! 悪口を言うな! 苛めるのを止めろーっ!!」

私は他の誰かに殴りかかっていく、
他のクラスから人が集まってくる、
騒ぎを聞きつけた先生たちが駆けつけてくる。

…この後の事はあまり思い出したくない。

ただ一つ、
一ヶ月後に兄さんを無視したり、悪口を言う人がいなくなった事はすごく嬉しかった。


そして時は、現在に至る、
兄さんは昨日、私に一晩中くすぐられて、ぐっすり眠っている。

眠りの間、多分兄さんは、昔の私を夢で見たはずだ、
もしかしたら、私との記憶が完全に戻っているかもしれない…
そしたらすごく気まずい…もしかしたら兄さんに、軽蔑されるかもしれない…

でも時刻は7時30分を過ぎた頃、
もう兄さんに起きってもらって、朝ご飯を食べて欲しい時間だ。

兄さんに遅刻をさせないようにするためにも、これ以上寝させるわけにはいかなかった、
私は兄さんの足の裏をくすぐって起こす事にした、多分兄さんがして欲しい事だろう。

「兄さんの足の裏…こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ~♪」

「…!? ひゃあああああっ!?」

「あっ、起きましたか、兄さん♪ おはようございます」

兄さんが情けない声を上げて起きる、
でも私は努めて、普段の『意地悪な姫音』を演じる、
だから、もうちょっとだけ兄さんをくすぐってあげる事にした

「ほらほら、兄さん♪
義妹に無理やり足の裏をくすぐられて起こされるって、どんな気分ですか?
ほ~ら、こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ~♪」

そして、私は最後の賭けのつもりで、兄さんに『声』を送ってみた。

『私、兄さんの事、ずっと前から好きでした』

「……兄さん、今、私の声が聞こえませんでしたか?」

128:今と昔の同調義妹12 ◆D.t0LfF1Z.
11/12/03 18:02:28.40 1sSpV0un
「…えっ、声? もしかして早く起きろって言った?」

ほらね、やっぱり聞こえてない、私ってば、ざまあみろ…
私は可愛く怒った顔を作って、兄さんの足の裏を思いっきりくすぐった!

「……ぶぶ~っ! 乙女心がわからない人には、オシオキです!
ほ~ら、こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ~♪」

あはは…まいったな…
兄さんは、どこまでいっても私を義妹としか見ないだろう、
それに私が兄さんを好きになる資格もきっとない。

「うふふっ♪ 可愛い義妹に足の裏くすぐられて気持ちよかったですね~♪」

薄暗い気持ちが渦巻いていたが、兄さんの前で暗い表情は決して見せない、
どんなに辛くても兄さんの前では、いつも可愛く笑みを浮かべるようにしてる、
そんな可愛くない私だった。

そして登校時、通学中の生徒が次第に多くなる頃、
私と兄さんは並木道を並んで歩く。

「姫音…!」

突然、兄さんに呼ばれる。

「はい。何でしょうか、兄さん?」

私は何とか兄さんに笑顔で返すことができた。

今の私は兄さんから何を言われてもおかしくない、
どんな酷い事を言われたり、命令されたとしても私は兄さんに従うだろう、
ただ、兄さんから捨てられる事だけがすごく怖い…

兄さんが真剣な顔で私を見て、口を開く。

「姫音。いつもご飯とか作ってもらってありがとう。今の僕は、
姫音のふさわしい人にはなれないかもしれないけど、勉強して、良い大学に入って、
就職して、いつかきっと姫音の側にいられるぐらいの立派な大人になるよ」

「……あ、あの…に、にぃ、兄さん…?」

私は一瞬で顔が真っ赤になる、プシューッと顔から蒸気が噴き出した、
バ、バカですかっ!? 朝から公衆の面前で、そんな恥ずかしいこと平然と言うなんて!?
ああ恥ずかしい…兄さんと腕を組んで登校するより100倍恥ずかしい!

そしてあろうことか、兄さんに真剣な顔で、プロポーズ並みの告白をされたせいか、
私の胸の鼓動は高まり、頭の中がグルグルと回りだし、正常な思考ができなくなっていた、
反射的に私は『声』を上げて、兄さんに叫んだ!

『朝からこんな公衆の面前で、いきなりそんな恥ずかしい事を…!
兄さんの…兄さんの、バカーーーっ!!』

…あっ、しまった、この『声』じゃあ、兄さんには聞こえないよね、
私はもう少しエレガントに非難しようと言葉を選んでいると…

『ごめんね、姫音。今日、今、ここで、姫音に言いたかったからさ』


129:今と昔の同調義妹13 ◆D.t0LfF1Z.
11/12/03 18:03:49.21 1sSpV0un
えっ? 嘘? 兄さんに私の『声』が聞こえたの?
だって、私の『声』って、私を好きになってくれないと聞こえないはずじゃ…
まさか、今ここで、兄さんが私の事を…

ここで私は、昔、金髪の魔法少女から聞いた話を思い出した。

「でもね、本当にキミの事を好きで、キミもその人の事が好きだったら、
キミの『声』をちゃんと受け取ってくれるはずだよ、どうかそれを忘れないでね」

本当に私の事を好きで、私もその人が好きだったら『声』を受け取ってくれる…
そして、私が兄さんに、プロポーズ的告白をされてから、
『声』を受け取ってくれたってことは…

私はその解答に対する答えが、既に分かってきていたが、
恥ずかしさのあまり、私はそれを頭の中で言えないでいた、
その代わりに私は兄に向って『呼び』かけた。

『…兄さん』
『何かな、姫音?』

『兄さんっ!』
『うん、姫音』

『兄さん! 兄さん! 兄さ~んっ!!』
『ちゃんと聞こえているよ、姫音』

私たちにしか聞こえない、バカみたいな呼応の応酬、
それが私には、たまらなく嬉しかった。

『私、これからもずっと兄さんにご飯作ります。何でもお世話します。
兄さんが望む事は、全部私がしてあげますっ!』

『ありがとう姫音。でも、ご飯だったら、たまには僕にも作らせてくれないかな?
オムレツも上手くなりたいし、それに他のモノも作れるようになりたいな。
良かったら姫音に教えて欲しいかな。あっ、掃除や洗濯は交代制で良い?』

『……兄さん…やっぱり記憶、戻ってたんですね。…私、すごく悪い子でしたよね。
兄さんにいっぱい迷惑かけて、困らせて、私、酷い…酷かった…』

『ううん、僕も姫音を支えてあげられなかったんだよ。僕が記憶を無くす前も、
そして記憶を無くして、姫音にあんな事をさせた。結局、僕は姫音を追いつめたんだ』

『ごめんなさい、兄さん。謝っても許される事じゃないと思う。
今でもこれから先もずっと私は、私を許せない。
だから、追いつめられるぐらいがちょうど良いんです』

『うん、だから僕は、姫音が自分を許せるぐらいの頼れる大人になりたいんだ。
姫音がどんな立場でも、いつでも姫音の味方になって、姫音が安心できる『居場所』に
なりたいんだ。多分、今は無理だけど…絶対にあきらめない、頑張る!』

うう…っ! すごく恥ずかしいっ!!
どうして兄さんはこんなに恥ずかしいセリフを、堂々と言えるんだろう…
いや、心から聞こえる本心だから、余計に恥ずかしいよ~っ!!

でもそのおかげで、私の薄暗い気持ちは完全に消えてしまった、
もう…兄さんにはやっぱり敵わないな…

本当は兄さんが大好きなはずのに、
いつの間にか、好きにならないといけないって思い込んでしまってたんだ、
相変わらずバカだな、私って…そうだ、頑張るのは兄さんじゃなくて私の方だ…!

130:今と昔の同調義妹14 ◆D.t0LfF1Z.
11/12/03 18:05:10.76 1sSpV0un
だから私は、覚悟を決めた…!!

『兄さん、私は本当にあなたの事を好きになりました。
もしも許されるなら…、ううん、私、兄さんと一緒に歩ける人になりたい』

『うん、僕も姫音が好きだ。ずっと姫音が僕の隣で居られるように、頑張るよ』

人通りが多くなる通学路の並木道、
私と兄さんは、ずっと「無言」のまま、お互い正面を向いて見つめ合っていた…

私の『同調』は好きな人同士が以心伝心になれる魔法、つまり恋人の「テレパシー」だ、
私は兄さんの『義妹』、「シスター」だから、
『同調義妹(テレパシスター)』って言うのかな?

何だがバカっぽいけど、うん、面白いかも。

私は、また兄さんに向って『呼び』かけた。

『兄さん、私、兄さんが好き』
『うん、僕も好きだよ。姫音』

『兄さんの事が大好き!』
『僕も大好きだ!』

『兄さんを、愛してる~っ!!』
『僕も姫音を、愛してる!!』

また二人だけのバカな応酬が始まる、
恥ずかしいのに、心がこんなにも軽く、弾む!
生まれて初めて、輝かしい太陽の光を浴びたみたいだった。

そして私は、一歩、二歩と軽くバックステップで下がり、
息を深く吸い込み、大声を出して言ってやった…!

「ふ~んだっ! 兄さんの事なんか、全然好きじゃないんだからね~っ!!」

並木道を通学する生徒たちが、いっせいに振り向いてくる。

それを見た私と兄さんは、思わず噴き出してしまう。

ああ…どうしてこんなにも、晴れやかな気持ちになれるんだろう、
私の心は、今日の晴天の青空のように、どこまでも澄んでいて、
どこまでも飛んで行けそうだった。

ふいに私はあの夢に見た風景を思い出す。

それは緑の草原を歩いていた二人の男女、
それは昔、まだ父と母の仲が良かった頃に
連れて行ってもらった美術館で見た一枚の絵。

二人の男女が大草原を抜けて、いくつもの丘を登り、山を越えていく、
けどその先は見えない、いったい何があるんだろう…

海? 森? 雪原? また山かな? 
もしかしたら、まだ誰も行ったことが無い秘密の洞窟を見つけたりして!
幼い私はそんなことを考えていた。

でも同時に、すごく怖いと思った、
二人はどこまで歩くのか、どんな事が起こるのか、つらくないだろうかと不安になる。

131:今と昔の同調義妹15 ◆D.t0LfF1Z.
11/12/03 18:06:29.52 1sSpV0un
…でも、もう大丈夫。

私は、すっと、兄さんの隣に寄り添った。

「兄さんと一緒に歩いて行ける、隣の『居場所』があるから大丈夫です」

「ああ、そうだね。ずっと一緒だ」

私と兄さんは、一緒に並んで同じ並木道を歩きだす、
そしてお互いの顔を見合い、穏やかに微笑み合う。

そう、隣には兄さんがいる。

晴れた陽気な日には歌を歌い草原の道を並んで歩く、
うれしい時には丘の上で和やかに二人微笑み合う、

つらくて苦しい山道では手をぎゅっと握り合って歩き、
山の寒い夜には二人で身を寄せ合って暖めあう。

こうやって一歩ずつ、一歩ずつ、歩いていく、
だから例え苦難の道のりでも、過酷な日々があるとしても、
きっと大丈夫、でしょ?

「うん、大丈夫。姫音と一緒だからできるんだ」

「ええ、余裕ですよね。兄さん♪」

これから一緒に歩いて、一緒に微笑んで、
ゆっくりと歩んでいく、
穏やかに齢を重ねていく。

そして、健やかなるときも、病めるときも、
また、喜びのときも、悲しみのときも…

「僕は姫音を愛し、姫音の隣にあり続けると誓うよ」

「はい。私も兄さんを愛し、兄さんの隣で歩き続けていくと誓います」


大草原、辺り一面に広がる緑、
その先にあるいくつもの丘といくつもの山を越えていく、
歩く、二人、簡素な旅装束に身を包む二人の男女。

それは大草原を往く旅人夫婦の一枚絵。

彼らのくたびれた服から、いくつもの苦労の跡が見てとれる、
しかし二人の表情はとても穏やかで、お互いに微笑み合い、
そして手を繋ぎながら、どこまでも歩いて行くのだった。


Fin


132: ◆D.t0LfF1Z.
11/12/03 18:07:02.43 1sSpV0un
以上です。ありがとうございました。
これで結構ドSな同調義妹シリーズは終わりになります。

4話というこのスレの中では短めの短編でしたが
まとめサイトに入れて頂いた方、誤字を指摘して頂いた方、
そしてこのスレの皆様方には大変お世話になりました。
ここに厚くお礼を申し上げさせて頂きます。

133:名無しさん@ピンキー
11/12/03 18:14:52.14 Bo57BFLl
完結お疲れ様でした
報われて何より

134:名無しさん@ピンキー
11/12/03 20:48:17.68 9+fLOJHz
GJ
綺麗にハッピーエンドで完結おめでと

135:名無しさん@ピンキー
11/12/03 22:37:59.05 fgeMIfPs
>>132
完結お疲れ様です
ハッピーエンドで終わって良かった

136: 忍法帖【Lv=15,xxxPT】
11/12/03 23:50:21.92 7aFT+E+/
GJいい話だったよ。
こういう昔と今でデレの差があるのが
たまらんわ

137:名無しさん@ピンキー
11/12/04 00:07:11.95 +f4OOOe+
桜氏はどこぞ?
補足を所望する!!

138:名無しさん@ピンキー
11/12/04 19:58:49.30 dI7GZjCw
お疲れ様でした。
結末にはほっとしました。
全4話だったんだと作者さんの後書きで気付いたくらい、ボリュームがある濃い話でした。
また筆をお執りになることを期待しています。本当にありがとうございました。

139: ◆ou.3Y1vhqc
11/12/04 20:01:30.97 a9m8wlMU
狂もうと投下させてもらいます。

140:狂もうと ◆ou.3Y1vhqc
11/12/04 20:02:02.73 a9m8wlMU
産まれた時から僕にはお母さんしか居なかった。
お父さんが居ない事に疑問を感じなかったのかと言われたら嘘になる…だけど僕はお母さんと二人で幸せだったし、家族はお母さんだけで問題なかった。
ある日、お母さんに僕にはお姉ちゃんが居る事を知らされた。
兄妹が居ない僕には姉と言う存在がどんなものか想像できず興味があったものの、言い知れぬ怖さもあり、お母さんに由奈と言う名の姉に会いに行こうと言われても会う事を拒否し続けた。

だけど気になる…どんな人か…優しい人なのか……お母さんに教えてもらった日からずっと頭でどんな姉か想像した。
悩みに悩んだ結果、お母さんと一緒にどんな人か姿だけ見に行く事にした。
橋の上に車を止めて学校から帰ってくる姉を待つ。
お母さんは何度かこの場所で姉を見に来ていたらしく、「もうすぐ向こうから来るわよ」と指をさして私に教えてくれた。
お母さんが言った通り、二十分ほど待っていると制服姿の一人の女の子歩いてきた。
見た目は本当に綺麗な人…笑顔を浮かべ花のような女の子だった。
そしてその笑顔を浮かべる先には一人の男性が居た。
別に目立たない男性…良くも悪くも優しそうな人だった。

141:狂もうと ◆ou.3Y1vhqc
11/12/04 20:02:46.51 a9m8wlMU
その人がお兄ちゃんだと聞かされた時は、姉ちゃんとはまったく似てないなぁ…と子供心に思っていた。
血の繋がりなんて複雑な事は当時の僕にはまったく分からなかったのだ……ただ、兄ちゃんに甘える由奈姉ちゃんを見て、純粋に羨ましいと思った。
背中に抱きつく由奈姉ちゃんを鬱陶しがる素振りすら見せず、笑顔を浮かべる兄ちゃんに僕は強く興味を引かれた。
だから時間がある度にあの橋に行き、兄ちゃんを見に行った。
それこそ雨が降る日もお母さんに内緒で…。
ただ、必ず兄ちゃんを見れた訳ではない。
三回に一回は見れなかったし、夜までまって道を通らない日もあった。
だけど私はやめなかった―いや、やめられなかった。
1ヶ月に一度のお小遣いで使い捨てカメラを買って兄ちゃんを橋の上から撮った事もあるけど、現像のしかたが分からない僕は使い捨てカメラがそのまま五つほどそのまま残ってしまっている。
多分殆どまともに撮れていないだろうけど、隠れて写真を撮る度、カメラを見て一人笑っていた。
それは今でも机の中に大切に保管している。

そんな日が数ヶ月続くと、小さな欲望が首をもたげてくる…。
もっと近くで見たい…触って見たい…声をかけてもらいたい…。

142:狂もうと ◆ou.3Y1vhqc
11/12/04 20:03:12.12 a9m8wlMU



―僕も甘えてみたい…。
感情が加速すると、もう止まらなかった…。
ある日いつものように橋に到着して兄ちゃんを待っていると、空から小雨が降ってきたのだ。
朝に見た天気予報で雨が降る事を知っていた僕は勿論、傘を持っている。
だから傘をさして兄ちゃんを待つ事にした。
小さな傘にパタパタッと小雨が当たる音を聞きながら長く続く道を眺め続ける。

「…………あっ、来た!」
自然と声が出る。
小さく二つの傘が遠目に見えた。
間違いなく、兄ちゃんと由奈姉ちゃん。

「なんだよッ…此処からじゃ全然見えないな」
傘で隠れて兄ちゃんの顔がまったく見えない…なんとか横に歩いて顔を見ようと右往左往してみるけど、どうにも橋の上からでは見辛い。

「あぁ…過ぎちゃう…」
一歩一歩、歩いてくる二人。
橋を潜ってしまうと、もう顔を見ることができなくなってしまう…。

「ぁ…あそこから降りれるかな」
ふと橋の横に降りられる階段とも言えない坂が視界に入ってきた。
橋の下で休んでたという最もらしい理由を作る為に持っていた傘を地面に叩きつけ壊すと、急いで坂を滑り落ち、橋の下へと移動した。
見えやすいように壊れた傘を両手で掴み石の上に腰かける。

143:狂もうと ◆ou.3Y1vhqc
11/12/04 20:03:42.41 a9m8wlMU
「ふぅ…あ、雨やまないかなぁ…(あぁあー!大丈夫かなぁ…不自然じゃないかなぁ…心臓痛いっ!)」
ドキドキする胸を傘で押さえつけ、フードを被り前を流れる川に目を向ける。
パニックになる頭が大根役者顔負けのわざとらしい言葉を勝手に口からひねり出す。

「傘壊れたし…どうしよ…(うわぁ…頭痛い!緊張で痛い痛い身体全体痛いッ!)」
まだ兄ちゃん達は遠く離れている…だけど私の口は焦りからくるパニックで勝手にポンポンと突いて出る。
目は川に向いているが、意識はすべて兄ちゃんが歩いてくる方角へと向けられた。
アスファルトを叩く雨音に混じって遠くから聞こえる足音…その足音が徐々に近づいてくる。
足音が近づいてくるにつれて、私の独り言も口から出なくなっていった…。

―お兄ちゃん、今日はちゃんと弁当に入れたトマト食べた?○×くんにあげたりしてないでしょうね
―なんでお前が○×の事知ってるんだ?もしかしておまえ…
―そんな訳ないでしょ!?殴られたいのお兄ちゃん!

二人の会話が耳に入り込んでくる……フードの隙間からちらっと横を見てみると、すぐそこに兄ちゃんと由奈姉ちゃんが並んで歩いてくるのが見えた。
慌てて視線を前に向ける。

144:狂もうと ◆ou.3Y1vhqc
11/12/04 20:04:16.00 a9m8wlMU
「びしょびしょだよ…ったく」

「傘さしてるのになんでお兄ちゃん濡れるの?お兄ちゃん傘揺らしてんじゃない?」
僕の視界の中を二人が横切っていく…顔を動かさずに目だけでそれを追いかける。
僕に気がつかないのか、二人は未だに会話したまま歩いていた。

「ぁ……お…おっほん!(ヤバッ…今のはわざとらしい…自分でも分かるぐらいわざとらしい!)」
頭の中でもう一人の自分が頭を抱えてのたうち回っている…。

「ん…?」
私の咳に二人が振り向いた。
フードを深く被り直し、身を縮める。

「どうしたの?大丈夫?」
真っ先に声をかけてきたのは由奈姉ちゃんだった。
深く被るフードの中を覗き込むようにしゃがみこみ、僕を見上げている。

「あ、だっ、だいっじょっ!」
まさか唐突に話しかけられるとは思っていなかったので、話す心の準備ができておらず、由奈姉ちゃんから勢いよく目を反らして背中を向けてしまった。

「ほら、由奈の顔が恐いから背中向けちゃっただろ?」

「お兄ちゃんつまらないこと言ってると、叩くよ?」

「はは、ねぇキミ」

「は、はひ!?」
突然後ろから肩をポンポンっと叩かれる。

145:狂もうと ◆ou.3Y1vhqc
11/12/04 20:04:41.62 a9m8wlMU
「キミよく橋の上にいる子でしょ?傘壊れちゃったんだよね?此処に傘置いとくからこれで家に帰りな」
まさか気づかれていたなんて…軽いショックを受けながらも気づいてくれていた嬉しさで自然と口がにやける。
まぁ、あれだけ顔をピョコピョコだしていたら気がつかれるかも知れないけど…。
私が座っていた石に兄ちゃんが使っていた傘を立て掛けると、そのまま二人の足音が遠ざかっていくのが分かった。

「あっ……ぉ、おい!」
慌てて振り向き、呼び止める。
由奈姉ちゃんは振り向かなかったけど、兄ちゃんは振り向き笑顔を向けてくれた。

「あ、ありがと…今度返す…よ」

「あぁ、俺が下通り過ぎる時にでも橋の上から放り投げてよ」
冗談混じりにそう笑うと、由奈姉ちゃんの傘に入って二人仲良く遠ざかって行った…。
それを見えなくなるまで見送った後、兄ちゃんに貸してもらった傘をさしながら橋の下から出てみた。
大きな黒い傘…僕の傘より2周りほど大きな傘は、僕に雨を一切寄り付けなかった。

「ははっ…おっきいなこの傘!」
大人用の傘なので重たかったけど、僕は二時間ほど傘をさして雨の中を歩き回った。

146:狂もうと ◆ou.3Y1vhqc
11/12/04 20:05:09.75 a9m8wlMU
おかげで38℃を超える熱をだしてしまったけど、その日は本当に幸せだったのを今でも覚えている。
しかし熱は3日間続き、その間家から一歩も出られなかった…だから兄ちゃんの顔も見れなかったし、傘を返す事もできなかった。
熱が引いた翌日、急いで橋まで行って傘を返す為に兄ちゃんを待ち伏せした…今度は堂々と橋の下で。
だけど、その日暗くなるまで待ってみたけど兄ちゃんが姿を見せる事はなかった。
今日は運が悪かった…その日は諦めて、次の日も…その次の日も……晴れでも曇りでも雨でも傘を持って橋に向かう。
結局あの日から兄ちゃんがあの道を通る事はなかった。
後日お母さんに聞いたら、高校卒業後に一人暮らしするために町を離れてしまったとのこと…。
その事に大きなショックを受け、僕は一週間家に引きこもり、お母さんにバレないように泣いた。
男子とケンカして殴られても絶対に泣く事なんてなかったのに、初めて悲しさから目が腫れるまで僕は泣いた。
それからその橋に行く事が無くなり、数年後、僕は中学生になった。
月日が経っても兄ちゃんを忘れる事は無く…いや、それ以上に兄ちゃんに会いたくなる一方で何度も兄ちゃんの実家に行こうかと思っていたほど…。

147:狂もうと ◆ou.3Y1vhqc
11/12/04 20:05:36.42 a9m8wlMU
お母さんにダメだと言われていたので仕方なく諦めていた…。



―僕が中学生に上がる頃からだろうか…お母さんがよくお酒を飲むようになったのは…。
酔うと決まって僕の知らない男性の名前を呟き涙を流すお母さん…何度かお母さんにお酒を控えるようたしなめるけど、私が口出すと怒るのだ。
だから口出さずに飲ませていたけど…。

ある日、夜遅くに酷く酔っ払って帰ってきたお母さんは、私の知っているお母さんの顔をしていなかった……真っ赤な目に真っ赤な顔…明らかに悪酔いしているなと一目で分かるほどお酒にのまれていた。
鞄を壁に叩きつけ、叫ぶお母さんを静かにしようと腕を掴む…それを振りほどき私に怒鳴る。

―本当なら私があの人と一緒になれるはずだったのに!死んだんだから私を―ッ―

「お母さん静かにしてよ!近所迷惑でしょ!」

―そうよっ!まだあいつらが残ってるからッ

「あいつら?何を言ってるの?」

―あいつらさえ居なくなればッ!

「やめて?ね?お母さん変なことやめてね?」

―空!喜びなさいよ!あいつら私が―してやる!

「なっ!?何言ってるんだよ!そんな事したらっ」

148:狂もうと ◆ou.3Y1vhqc
11/12/04 20:06:11.05 a9m8wlMU
―住所も知ってるのよ!―してやる!今すぐ―してやるッ!!!

「お母さん!やめてッお母さん!お母さッ―ッ―ぅッ――ああああああああああああああああ!!!!!!!」




※※※※※※※


「昌彦(まさひこ)はッ…昌彦は何処に居るんですか!?」
そう叫びながら私の胸ぐらを掴んで、揺さぶる女性…名前は留美子。名字は知らない。
留美子さんが涙を流しながら私にすがり付くには大きな理由がある……それは車の中に居る男の子の存在。
留美子さんの弟で、小学六年生の可愛らしい子供だ。
何故留美子さんの弟が私の車に居るのかと言うと、わかりやすく言うと私はその子を下校中に拐ったのだ。
留美子さんが事故にあったと伝えると、簡単についてきたから楽だった。
多分空ちゃんも居たから疑いもしなかったのだろう…私が言えた事では無いけど、もう少し人を疑う知識をつけないと今後も危ない事に巻き込まれそうだ。

「焦らないで、後部座席に居るわよ」
そう伝えると、私の胸ぐらから手を離して車へと駆け寄った。

「昌彦!昌彦大丈夫ぶ!?貴女昌彦に何をしたのよ!」

149:狂もうと ◆ou.3Y1vhqc
11/12/04 20:07:43.88 a9m8wlMU
後部座席のドアを開けて昌彦くんを抱き抱えると、目を覚まさない昌彦くんを見て私を睨み付けて怒鳴った。

「睡眠薬で眠っているだけだから安心しなさい」
助手席に居た空ちゃんも外に出て昌彦くんの顔を覗き込む。

「近寄らないで!」
空ちゃんを突き飛ばすと、昌彦くんを抱いて立ち上がり私達から距離を取った。
お兄ちゃんを取り戻すという私の目的は達成されたのだからもうどうでもいいのだけど、恨まれたらたまらないので留美子さんに一つの鍵を手渡した。
鍵を見つめ「なんですかこれ?」と警戒心を解く事なく私に聞いてくる留美子さん。

「ほら、離島に別荘あるでしょ?あそこ誰も使ってないから貴女が使っていいわよ。クルーザーがある場所は分かるでしょ。鍵は刺したままだから」
それだけ伝えると、車に乗り込む為に留美子さんから遠ざかった。

「な、なんで私がそんな所に行かなきゃいかないんですか?」
私の“厚意”が分からないのだろうか?
ため息を吐き捨て昌彦くんを指差す。
何を勘違いしたのか私から守るように昌彦くんの顔を隠して見えないようにした。


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