11/11/17 21:49:16.45 C1hbEQab
影山「失礼ながら、お嬢様はいまだ処女でごさいますか?」
3:名無しさん@ピンキー
11/11/17 22:24:35.47 FApn+TjE
影山「失礼ながら、お嬢様はマグロでごさいますか?」
4:名無しさん@ピンキー
11/11/18 17:53:49.19 X+xltDcz
保守
5:名無しさん@ピンキー
11/11/18 18:23:37.08 6WP/VQv6
どう考えても影山がドSにしか見えない
6:名無しさん@ピンキー
11/11/19 00:02:00.42 X+xltDcz
職人さん待ち
7:名無しさん@ピンキー
11/11/19 02:03:00.87 YpfOYVgu
影山「失礼ながら、お嬢様がセーラーマーズだった頃の写真があるのですが」
8:名無しさん@ピンキー
11/11/19 13:49:07.31 qcEWE1/6
>>7
気になるw
9:名無しさん@ピンキー
11/11/20 02:28:25.17 N55f4iEN
もうちょっと風祭警部もだな・・
10:名無しさん@ピンキー
11/11/22 00:20:13.81 4nkH7eae
ほしゅ
11:名無しさん@ピンキー
11/11/22 20:03:57.65 SHQ048M8
第2巻のネタバレになるが…
麗子が風祭に将来食われてしまうフラグが立ってるんだよな…。
12:名無しさん@ピンキー
11/11/23 00:05:17.20 4nkH7eae
麗子と影山って付き合ったり結婚したりできるのか?
13:名無しさん@ピンキー
11/11/23 21:18:28.10 JVWK4qp0
まあ麗子の父が
「変な男に取られるくらいならいっそ影山を婿に…」
って考えれば
14:名無しさん@ピンキー
11/11/24 01:29:41.20 dBMSStJe
期待してる
影山ドSは王道
風祭に無理強いされて(嫌がっても馬耳東風)傷心の麗子に優しくするどころか嫉妬からのおしおきプレイを希望。
15:名無しさん@ピンキー
11/11/25 19:21:17.33 jf+tsY4V
来週は麗子がギックリ腰か!
身動きが利かない麗子に影山のドSぶりが炸裂するな!
麗子「い、痛たた…影山、あなたマッサージとかできる?」
影山「フッ…お任せください、お嬢様。」(ニヤリ…)
16:名無しさん@ピンキー
11/11/27 14:19:11.83 3zWwnW9O
ほ
17:名無しさん@ピンキー
11/11/28 10:06:23.61 4dVuS4is
しゅ
職人さん現われないかなー
18:名無しさん@ピンキー
11/11/30 10:16:27.13 T3qnAHmf
昨日のドラマは動けない麗子に影山がやりたい放題で面白かったなー。
ヤバそうな薬とか整体とか
19:名無しさん@ピンキー
11/12/01 19:05:29.67 bDLKe/Dy
見逃した執事の猫耳
20:名無しさん@ピンキー
11/12/01 20:35:07.68 XSCw5Itk
ウサ耳じゃなかった?
影山って基本何でもできるし多趣味だしモテそうだよねw
よそのお嬢様にアプローチされてやきもきする麗子、みたいな展開を受信した
21:名無しさん@ピンキー
11/12/02 10:41:40.19 3StjZSi5
お嬢様以外興味ない影山に萌え
ドSっていうよりねっちっこそうなイメージあるんだがどうでしょう
22:名無しさん@ピンキー
11/12/04 02:04:20.52 rK3lxwqn
ねちねち攻められる麗子いいね
23:名無しさん@ピンキー
11/12/06 13:28:18.92 hd0rqI2s
今日は8話!
オスな影山が見たいーん
24:名無しさん@ピンキー
11/12/06 23:41:30.71 S4WqxqmD
支援
25:名無しさん@ピンキー
11/12/08 00:25:24.50 +iV+EkBz
しえん
26:名無しさん@ピンキー
11/12/10 01:52:04.68 HeoRDXLA
ラピュタすごいよかったわ
27:羊影山
11/12/11 08:48:40.29 1c5dzBvT
お嬢様、失礼ですが、アソコはもうビショビショですか?
28:名無しさん@ピンキー
11/12/11 20:20:15.03 WfHRKbCA
別スレ職人だけど、このドラマはまだ一度も見てない。
ついでに原作も読んでない。
だけどネタの為にドラマ見たら何か書けそう。
週末まで待て。
29:名無しさん@ピンキー
11/12/11 21:09:15.97 T/6ytgN9
待ってます!!
30:名無しさん@ピンキー
11/12/11 21:35:41.79 WfHRKbCA
よし、ドラマはあと二回だけど見よう。
ドS敬語慇懃無礼キャラは以前書いていたんで、それは何とかなりそう。
31:名無しさん@ピンキー
11/12/12 17:29:05.05 wGKDsHg2
ありがたや
32:名無しさん@ピンキー
11/12/13 22:18:28.76 mwu7O1e7
今日の最後の影山乱れてて色っぽくてよかったわ
33:名無しさん@ピンキー
11/12/13 22:20:54.25 l0TjJHQs
ああいう表情イイね、エロかった
34:謎解きはベッドのあとで
11/12/13 22:28:28.75 d/Rm84XC
注意: トリックは省略 <m(__)m> / TV版にそれなりに準拠 / 28さんお先に失礼
「影山!」
「はい、お嬢様」
相手がドアのところにいるとばかり思っていた麗子は、すぐそばで返事が聞こえたため、ビクッと体を震わせた。
「あ、あなた、いつのまに、そこに?」
「32秒前からですが」
秒単位か!? と、そう突っ込みたかった麗子ではあったが、この男のことだ、どうせ寸分の狂いもない数値なのだろうと思い直して、スルーする。それよりも、
「全然気づかなかったわ。だいたい、なんで二人しかいない部屋でさりげなく足音消したりするわけ? 変でしょ? あなた特殊な訓練でも受けてきてるの?」
「いえ特にそういうわけではないのですが…… 単にお嬢様がいつものようにボ~~~~~~~~~~~~ッとされてたために、お気づきにならなかっただけかと」
「……あなたね、なんでそこだけ嫌みったらしく長~~く伸ばすの? 言葉の内容だけじゃなく、言い方がさらに不愉快だわ」
「それは失礼しました。ではこれ以降、お嬢様に見習って記号は2個までということにさせていただきます。それでよろしいですか?」
「…………」
この男が麗子の執事として雇われてから1ヶ月になるが、この程度の暴言は日常茶飯事だ。
そのたびに麗子は怒りを覚えるのだが、発言の中身がほぼ真実に近く、また、いくらつっこんでもノラリクラリとかわされてしまう為、最近ではややあきらめ気味になっている。
「だいたい、私はさっき、単に、ボ~~ッとしてただけじゃなくて」
「わかっております。冗談でございます。お嬢様は、本日の殺人事件のことを、特に密室殺人の謎について深くお考えだったのでしょう?」
「そ、そうよ。決まってるじゃない。 ……でも、なんであなたそこまで詳しいの? まだマスコミには」
「それはもう。私、お嬢様の執事でございますから、それぐらい知っていて当然と申しますか」
いや、全く当然なんかじゃないでしょ……と麗子は心の中で呟く。
35:謎解きはベッドのあとで2
11/12/13 22:32:59.49 d/Rm84XC
「ただ、あのときは、殺人のあった隣の部屋で壁越しにお話しされてるのを伺いましただけですので、
もっと詳しく教えていただければ、お嬢さまのお役に立てる可能性があるやも知れません。
というのも、ちょうどティータイムと重なって、録音だけの部分があり、
その中に聞き取れない場所がいくつかありまして」
言うまでも無いことだが、この毒舌の執事にとって、
ティータイムの休憩は全てに優先する重要な事柄だ。
「あと、風祭警部の発言はすべてチェック済みです。
あの方は、なぜか真実に肉薄する能力がおありのようで、
最近は行動の全てをもらさず記録するようにしております」
真実に肉薄した挙句、あさっての方向にいってしまう、という問題点については、あえて触れない。
二人ともその程度には大人だった。
たとえ数時間前の現場で、被害者の胸に刺さったナイフのことなど忘れたように、
「これは事故です」という結論が出された、という事実があったとしても。
----- Film flash back -----
「という感じかしらね、だいたいのところは。まったく解決の糸口すら見つからないのよ」
「失礼ながら」
「なに?」
「誠に申し上げにくいのですが」
「だからなによ? ちゃんとおっしゃい!」
「では遠慮なく……お嬢様の目は『ふ・し・あ・な』でございますか?」
「あ、あ、あなた!」
記号を3こ使ってるじゃない!
と、一瞬麗子は思ったが、流石にそこに食らいついていい場面ではないと自制する。
36:謎解きはベッドのあとで3
11/12/13 22:34:14.15 d/Rm84XC
「つまり……ただいま、お嬢様から伺った話と私の持っている情報を総合しますと、
犯人は誰の目にも明らかかと……だたし、お嬢様を除いて」
「そんなわけはないわ。私だけじゃなく、捜査本部もお手上げの状態なんだから」
「いえ、今回の密室の謎は簡単なトリックに過ぎず、子供だまし
……とも言えるようなしろものでございます」
「じゃ、じゃあ、言って御覧なさいよ。くだらないあなたの推理、聞いてあげるから」
「それはちょっと」
「なんで? どうして出し惜しみするの?」
「それは…… お嬢様が刑事として…頭をしぼっているのに、
一執事に過ぎない私が簡単に答えを出してしまっては失礼にあたりますから」
全然そんな謙虚なこと考えて無い癖に……
それに『頭を』の前に『ない』を入れようとしてためらったのも麗子はうっすらと気づいていた。
「わかったわ。降参よ。あなたのくだら……なくない……その、とっても素敵な推理、聞かせて?」
麗子がこの言葉を発すると、彼女の葛藤に気づいたのか影山の唇の端がかすかに上がった。
「では早速……と言いたいところなのですが」
「なんなのいったい? どこまでもったいぶれば」
言葉が完結する前に、後ろから伸びた影山の両手が、麗子の胸の上に置かれた。
やわらかく包み込むように手のひらが麗子の乳房の上でうごめく。
さらにキスが首筋に落とされると、麗子は思わず体を震わせ、かすかなあえぎ声を漏らす。
「謎解きは……ベッドのあとでよろしいでしょうか?」
37:謎解きはベッドのあとで4
11/12/13 22:43:35.78 d/Rm84XC
「あ、……だ、だめ!」
「これは驚きました。ベッドでは嫌だと。なるほど…そうですか。
このテーブルの上ですぐに……がよろしいのですか?
やはりお嬢様も、時として我儘になられるのですね」
「ちが… あっ、ふぁ、はぁ……」
既に影山の片手は麗子の太ももの上を自由自在に動き回っていた。
ひざの辺りまで行ったかと思うと引き返し、
付け根の辺りで、うぶ毛に触れる程度の距離を保ったまま撫でまわす。
「恥ずかしがらなくとも大丈夫です。
お嬢様が淫乱だということは気づいておりましたから、 ……最初から」
影山がこの屋敷に来て一週間が経った頃、麗子は、彼氏に振られたはらいせに深酒をしてしまい、
寂しさもあって、自ら誘って影山と繋がってしまった。
そのこと自体に後悔があるわけではないが、その日以降、毎日のように影山に抱かれ、
その愛撫に全く抵抗できなくなっている自分が、我ながら不思議でならなかった。
そしてまた、このままでは再び官能の渦に巻き込まれてしまうのは確実に思われ、
麗子はかろうじて自分を立て直そうとした。
「か、かげやま!」
「なんでしょうか? お嬢様?」
「あ、あなた、こんなことをしていいと」
「こんな……こと?」
「だから、私に対してこんな」
「こんな? もう少し具体的におっしゃって頂かないと、わかりにくいのですが」
そう言いながら、影山の手は太ももの付け根、クロッチ部分へとたどりつき、
人差し指はゆっくりと上に向かい始めていた。当然、目標は……
「あっ、イヤッ!」
的確な指の動きが、敏感な突起を下着越しにスッと刺激したため、
おとがいをのけぞらせて麗子は声をあげた。
38:謎解きはベッドのあとで5
11/12/13 22:50:53.80 d/Rm84XC
「これも『イヤ』なのですか? ほんとに困ってしまいますね、お嬢様の我儘には」
そう言う間も、焦らすようにクリトリスの周囲をめぐる指。
一方で、セーターとブラ越しにピンポイントでの乳首への刺激が続いている。
もたらされるいくつもの刺激の連続に、
椅子から滑り落ちそうになった麗子は思わず影山の腕につかまる。
そのはずみで、影山の手のひらを股間に強く押し当てる結果となり、そして気づく。
今、自らのはざまからヌルリと粘液が滲みだしたのを。
今はまだショーツの内側だけが濡れているのだろうが、
外から見てもあからさまな状態になってしまうのは時間の問題だった。
「か、かげやま」
それは彼女にとって恥辱以外の何物でもなかった。使用人にそんな状態を気づかれたりすることは。
だから、なんとしても……
力をふりしぼり、股間にある、先ほど意識せずつかんでしまった影山の腕を遠ざけようとした。
しかし、彼女の試みは成功しなかった。いや、逆効果だった…と言えるのかもしれない。
押しやろうとした腕を逆につかまれ、横へと導かれる。
そう、影山はいつの間にか麗子の横に立っていた。
たどりついた先は上質の柔らかい布の手触り。
しかし手のひらの感触はその中に固いものがあるのを伝えてくる。
それは大きく脈打っていた。
39:謎解きはベッドのあとで6
11/12/13 22:51:57.32 d/Rm84XC
「あっ……」
「はい、正解でございます。お嬢様の大好きな……アレでございます」
影山のとどめの言葉と同時に大量に漏れ出した粘液が、ショーツをべったりと濡らしてしまう。
麗子の手を導いたあと、再び布越しの愛撫を繰り返していた影山の指が、驚いたように止まる。
「なるほど。そんなに好きなんですか、これが。お嬢様は正直な方ですね、ほんとに」
顔は見ることが出来なくとも、麗子には確信があった。
影山の唇の端がいやらしく2ミリあがっているであろうことを。
「では、参りましょうか?」
「……?」
たゆまない巧妙な刺激の中、既に麗子の意識は半分以上飛びかけていた。
そんな彼女の返事を聞くこともなく、影山は、
細くはあるがそれなりにボリュームのあるボディを軽やかに持ち上げ、
ベッドルームへと向かう。
(続く)
40:名無しさん@ピンキー
11/12/14 19:12:28.28 /aNrRYkT
>>34
乙です。
続きを楽しみにしてます。
ドラマ版もついに次回最終話…。明かされる麗子の秘密とは!?
…やっぱ処女なのか?
41:名無しさん@ピンキー
11/12/15 02:30:30.38 aaQTmszX
>>34
おおおお職人様乙です。
麗子かわいい。
続き楽しみに待ってます。
42:名無しさん@ピンキー
11/12/15 20:13:01.20 TLyoWzre
>>34
職人様お待ちいたしておりました~
タイトル、絶対誰かやるだろうなと思ってたwww
影山麗子萌えるぅ~
43:謎解きはベッドのあとで7
11/12/16 21:11:54.34 2Uv61Xqa
既に、ベッドの中の二人は何も服を着ていない。
あまつさえ、麗子の両膝が軽く立てられ開かれた間には影山が座り込む形となっていて、
固く上向きにそりかえったモノの先端が、はざまをゆっくり上下になぞるように動いていた。
ヌチャという淫靡な音が連続して部屋に響く。
あふれ出す液体は途切れることがなく、影山の欲望の証を覆うコンドームを伝って、
その一部は中ほどからベッドへと滴り落ちて、シーツに染みを作り始めていた。
性器同士が触れ合う刺激の強さと、されている行為の恥ずかしさ、
さらにそれらを証明するかのような卑猥な音、
その間にも唇、髪、耳、首筋、胸、腕、と、届く範囲の全て場所に、ついばむようなキスが落とされ、
麗子は既に限界点近くまで押し上げられていた。
自らを律するよりも、全てを解き放って官能の喜びに身を浸したい……
その思いが彼女の心のかなりの部分に広がっていた。
麗子は自らの思いに従うことを決断した。
たとえそれが結果として影山という男に対しての敗北であったとしても、構わない。
さらに彼女は、今、最も欲しいものを男に伝えようとする。
両手で影山の肩をつかみ、目を合わせる。
「なんでしょうか? お嬢様」
「お、お願い」
「はい?」
「…入れて……そんなんじゃなくて……もっと奥に。
あぁ……ん、もう…もう…あたし…… ダメ! 入れて! はやく!」
恥辱の言葉を口にしたことで、いっそう体の奥底から充足への渇望が湧き起こる。
しかし、一方の影山は先ほどまでの動作をくりかえすのみで、肝心の欲望の塊も、
懇願するかのようにひくついたままの入り口には気づかぬように通過するのみ。
背中を波打たせ、首を横に振り「いやいや」を繰り返していた麗子は、
ついに両足を影山の尻にあて、両腕を背中に回して、力ずくで引き寄せようとする。
満たされぬ思いは、とっくに彼女の身も心も埋め尽くしていた。
44:謎解きはベッドのあとで8
11/12/16 21:12:36.22 2Uv61Xqa
欲望に支配され自我の全てを投げ捨てた女を見て、影山は満足そうにつぶやいた。
「わかりました」
その言葉とともに、動きが止まり、先端はうごめく入り口にあてがわれ、侵入を開始した。
ふさがれた内部をかきわけるように雁首のところまで埋まったところで動きが止まる。
切望していたモノの形を、先端、そしてくびれた部分まで続く曲線の全てを、
自らの粘膜を通してあますことなく麗子は感じていた。
さらなる侵入が始まる。
ゆっくりと、麗子の奥を左右に押し広げながら、少しずつ影山のモノが埋没していく。
麗子は、押し込まれていくモノから得られる感触を寸分たりとも逃すまいと、息を止めたままだ。
そう、この快感こそが、待ち焦がれたものなのだから。
ついに麗子の中は影山により埋め尽くされた。
圧倒的なその存在感に、先ほどまでの飢えは嘘のように消え去る。
自分のこの感情の一部でも伝えたいと思いながら、麗子はじっと影山の目を見つめた。
影山は瞬きをすることもなくしばらく麗子を見つめ返したあと、
ついばむようなキスを唇に落とし、続けて耳元に顔を寄せる。
「まだ、わたくしは満たされていないのです」
アイコンタクトで麗子の先ほどの思いは届いていた。
そして今度は、私が彼の一番の希望をかなえる番だ。
そう思った麗子は同じように耳元でささやく。
「影山の……好きにして……いいから」
そう言ってから微笑んだ麗子を見て、目の前の男の顔に驚きの感情が加わる。
麗子の中をすきまなく塞いでいたはずの固いものが、グッとこわばりさらに体積を増す。
「では、遠慮なく」
壊れ物でも扱うように、ゆっくりと先端を残すだけの位置まで引き抜かれたかと思うと
こんどは、こすれあう互いの皮膚の感触を粘液越しに楽しむかのようにじわじわと押し込まれる。
自らの体内に侵入しているものの形の隅々までわかってしまうことに、麗子は驚かされた。
45:謎解きはベッドのあとで9
11/12/16 21:13:02.93 2Uv61Xqa
そうして幾度か往復が繰り返えされたあと、
全てが収まった状態のまま、じんわりとゆるい圧力で影山の腰が麗子に押し付けられる。
ゆっくりと回転を加えながら。
唇も重ねられ、二人の舌は迷うことなく境界を超えて、互いの口腔をまさぐりあう。
気づけば、一番奥にたどりついた男の先端に、麗子の内部のなにかが触れ始めていた。
麗子にはわかるのだ、なぜか。その感触が。
からみつくように、おもねるように、誘うように、ぐねぐねと、動き回るなにかが。
それは、麗子の意思とは無関係に。
「お嬢さま、お気づきですか?」
「なにが?」
流石に素直に、気づいてる、と答えることはできなかった。
「お嬢様の女としての本能が…私がその……射精するのを待ち焦がれていて、
奥にたっぷりと…そのように誘っていて」
「ば、馬鹿言いなさい!」
その途端にぐっと押し込まれ、麗子の反撃の芽はつみとられる。
「とはいえ、結婚もしていない男女が子作りをするのは、個人的にはどうかと思っておりますので、
せっかくのお嬢様のご希望ではありますが、今はご容赦を」
影山は必ず最初の段階で避妊具をつける。それはあの晩からずっと。
麗子もその点において安心していたために、こうして幾度となく抱かれているわけだが、
自らの本能がこの男の精子を欲しがっている……
という影山の指摘に、思わず反論はしたものの、否定しきれないのが正直なところだった。
そんな麗子の思考は中断させられる。再び影山の腰が前後に動き始めたからだ。
左右におしわけながら奥まで入り込んだあと、引かれる際には雁首が内壁を刺激しながら後退する。
徐々にそのスピードがあがるにつれ、
部屋の中は、粘液の立てる卑猥な音と、麗子の放つ喘ぎ声で満たされていく。
麗子は、突然、快感が増したのに気づく。
当たって……いる。そこ…… いいっ……!
奥の正面ではなくややずれたところに麗子のポイントがあることに、
初めて繋がった日、すぐに影山は気づいたようだった。
それ以来、終わり近くには的確にそこを突かれ、
麗子は結果として毎回、極限の絶頂を得ていたのだった。
46:謎解きはベッドのあとで10
11/12/16 21:13:35.96 2Uv61Xqa
今、麗子は両足を自ら胸元までひきつけ、
影山が自由自在に麗子を攻められるよう、協力していた。考えることもなく。
「そこっ! いいの! すごい! あっ」
間断なく攻められ続けた麗子は、背中を波打たせ、首を激しく左右に振る。
影山が下半身を動かせたまま唇を重ねると、強烈な吸引力で唇を吸い返す。
くぐもった喘ぎ声を漏らしながら、切なそうな表情とともに。
「お嬢様!」
「影山!」
それは終わりへの予感、二人の思いはそれぞれの言葉の中にあふれていた。同じ気持ちで。
今までに無い激しい抜き差しが始まり、麗子は極限まで背中をそらし、のど元を突き出す。
強烈な快感に襲われ、今の彼女は呼吸すら出来ない状態となっていた。
ほんの十秒ほど。そして、
「あっ! イクっ!」
「うっ!」
麗子の内部が激しく収縮を開始するのと、その中に埋め込まれた影山の剛直が、
激しく精液を噴出し始めるのは同時だった。
射精が終わった後も、麗子の両腕は影山の体を強く抱きしめ、
両足は腰の上で交差され、奥に入り込んだものを逃さぬような体勢を維持していた。
ピクッ、ピクッ、と、今もなお、麗子の体は断続的に小さく痙攣をしている。
先ほどまで息を詰めていたために、荒い呼吸を繰り返し、その乳房は大きく上下を繰り返す。
麗子が落ち着いた状態になってから、影山は体を離す。
その瞬間、「あっ」と思わず麗子は声を出してしまう。
しかし、そのなまめかしい声が、相手の男にどんな感情を呼び起こしているかについては、
彼女のあずかり知らぬことではあった。
避妊具の始末を終えた影山は、すぐにベッドに戻ってきて、麗子に口づける。
当然のように冷たい水が唇越しに注ぎ込まれ、ゴクゴクと音が立てられ、麗子はそれを飲み干す。
そして、用意された腕枕の中、麗子は小さな子猫のように丸まって、影山の胸の中に安住の地を見つける。
そう、いつもと同じように。
47:謎解きはベッドのあとで11
11/12/16 21:16:25.30 2Uv61Xqa
-- epilogue ---
「……というわけなんですよ。お分かりいただけましたか?」
つかの間のまどろみから目覚めた麗子に、噛んで含めるような影山の謎解きは行われた。
結局、密室トリックはほんとに子供だましのようなものだった。
それ以外の点でも影山の推理には一分の隙もなかった。
実際の事件もほぼその通りに行われたに違いなく、
重要参考人として拘留したあと、あとは証拠を集めるだけで十分と思われた。
そう、明日から国立署刑事宝生麗子としての仕事が始まる。
しかし今は……
「あともう少し、このままでもよろしいでしょうか」
彼女の思いを先取りするかのように、目の前の男が控えめな表現で聞いてきた。
麗子は無言のまま影山の胸に顔をうずめ、その体にしがみつくだけでよかった。
そのとき、麗子のスマートフォンのアラームが鳴り出した。
自分を抱きしめ髪を撫でていた影山の腕をどかし、
起き上がった麗子はアラームを止めることなく枕元のリモコンを操作し始めた。
「どうなさったのですか?」
「ごめん、こういう場面で非常識だとは思うんだけど、この番組だけは見ることにしているの。許して」
その番組、ワールドビジネスネットワークは経済関連ニュース専門の衛星放送番組だった。
子供の頃から見ていたために、麗子にとってはなんの抵抗もなく、
逆に民間のニュース番組などで残虐な事件を事細かに報道されたりするほうが嫌いだった。
手持ち無沙汰となった影山はベッドを出てバスルームに向かう。
何も着ずにこちらに背を向けた男の体は惚れ惚れするほど引き締まっていて、
麗子はそのギリシャ彫刻にも似た美しさに、瞬時見とれてしまう。
『次に、先週、シカゴセントラル銀行を手中に収めウォール街を驚かせた、あの会社の最新情報です』
ドア越しにシャワーの音がする中、女性キャスターによるニュースが始まっていた。
麗子はその会社の名前に記憶があった。確かこの3年で6社ほどの買収をしてきた会社だったはず。
CEOは若く、大学在学中にIT業界で巨万の富を得て、そのままビッグマネービジネスへ移り、
そこでも成功をおさめている。
年齢は35歳。そして驚くことに日本人だという噂だ。
マスコミに顔写真や詳細な経歴は一切公表されていない上に、
名前すら MR.K と呼ばれるに過ぎず、全てが謎に包まれている。
48:謎解きはベッドのあとで12
11/12/16 21:22:31.57 2Uv61Xqa
その会社の広報担当が公式会見をおこなった様子が画面に出る。同時通訳だ。
『CEOは1ヶ月前から3ヶ月間の休暇を取得中です。これは以前にもお知らせしました。
今回の記者会見は当社のCEOからビッグニュースが用意されたためのものです。
その内容は……休み明けには妻をお見せすることになるでしょう……というものです』
画面が切り替わる。老齢の黒人の顔が写る。どうやらお抱えの運転手のようだ。
『旦那は、昔好きだった女を口説きに行くんだって、えらい張り切ってたよ。
んでさ、昨日さ、電話貰って、なんかもう、すごく順調だって。そのコと。
旦那があんなはしゃいだ声を出すの、初めて聞いたね。
いやいや、秘密じゃないよ。聞かれたらしゃべってもいいって、旦那に言われてるし』
『これを見てると、なんか、とってもロマンチックな長期休暇のようですが、
今日はこれに関連してさらに刺激的なニュースが入ってきています』
ちょうどそこにバスタオルを巻きつけた影山が入ってくる。
『3時間前、このMR.Kの写真がトマソンドイター通信により配信されました。
さて、世界中が注目するその写真は……60秒後にこのチャンネルでご覧ください』
プチッ。TV画面が消える。
気づけばベッドの隣に立つ影山が、操作の終わったリモコンを枕元に置くところだった。
「なんで消しちゃうの? いいとこだったのに。どんな男か見たいでしょ? あなたも」
そう言いながらリモコンを手探りで探そうとした麗子だったが、
かがみこんだ影山が上掛けをはぐり、その乳首を唇に含んだために、
「あふっ」という吐息とともにその手の動きはリモコンを掴んだところで止まってしまう。
間髪をいれず、影山の片方の手はもう一つの乳房に、さらに余った手は太ももの奥へと。
「あ、だめ、もうだめだってば……」
首をのけぞらせ、甘いあえぎ声とともに吐き出される拒絶の言葉には、どれほどの効果もなかった。
この件に関しては、影山でなくとも答えはひとつだ。男がやるべきこと……という意味においては。
49:謎解きはベッドのあとで13 end
11/12/16 21:24:50.17 2Uv61Xqa
造作もなく麗子の体をうつ伏せにした影山はその手のリモコンを奪い取りながら、
背中への愛撫を始める。
それを枕元に戻そうとして影山は一瞬ためらった。
思い直したように、そっとスイッチを入れすぐさまミュートボタンを押す。
背中、尻、太ももに愛撫を繰り返しながらも、その目は画面へと向かっていた。
30秒後、再び画面が暗くなった。用の済んだリモコンはヘッドボードの上に置かれる。
絹のようにきめ細かな手触りの麗子の肌を撫でながら、影山は小さく呟いた。
「もうちょっと腕のいいカメラマンを使えばいいのに。
それもダウンタウンの一番混みいった場所で、絵柄的にもいまいちだし、
ま、いいか、二ヵ月後には」
「なんか……言った? …あ、うぅ」
再び押し寄せる快感に翻弄されている麗子の耳にも、影山の呟きがかすかに届いたようだった。
「いえ、なにも。お嬢様」
さらに全身に愛撫が続けられるうちに、麗子は質問をしたことすら忘れてしまう。
この時間、この部屋の中で。執事でもなくお嬢様でもなく。
二人は、夜の帳の先まで互いを貪り合おうとする、二匹の獣となっていた………
- The End -
50:謎解きはベッドのあとで あとがき
11/12/16 21:26:11.20 2Uv61Xqa
以上で終了です。
なお、このタイトルは私も「先に使ったもん勝ち」だと思っていました。
本も2冊目が出たようなので、いっぺんに買いますかね。
ではまた、どこかで。
51:名無しさん@ピンキー
11/12/17 14:58:17.03 rTvI81P3
>>34
GJGJGJ!
このスレに投下してくださる方が現れるなんて!
52:名無しさん@ピンキー
11/12/17 17:16:37.91 MRMqUFPn
GJ!
素晴らしい二人をありがとうございます
53:名無しさん@ピンキー
11/12/20 10:01:07.96 AcaNs+zz
GJGJGJGJ!
最終回の前に満足しちゃった気分w
54:名無しさん@ピンキー
11/12/21 12:28:36.16 A7A3qrtQ
最終回、ラブ展開なかったねー
ということでどなたかお願いいたします…w
55:恐るべき麗子の秘密
11/12/21 20:34:09.43 pZ/Yrh7u
最終回に明かされた恐るべき麗子の秘密が…!!!
影山「失礼ながらお嬢様、いくつになるまでサンタにプレゼントをもらってらっしゃるんですか」
麗子「あーら、麗子ちゃんは可愛いから特別よん♪
去年もシャネルの新色のバッグと化粧品一色もらっちゃったわ♪
今年は何かなー。」
影山「………。」
(…甘やかしすぎです、旦那様。)
そこまで考えて、影山はふと、ある疑問を麗子にぶつけた。
影山「失礼ながらお嬢様、その…
赤ちゃんはどこからくるのか、ご存知でいらっしゃいますか?」
麗子は、パチクリとした目で影山を見つめた。
麗子「ふっ、麗子ちゃんをバカにするんじゃないわよ…
月夜にコウノトリが運んでくるに決まってるでしょうが!!」
ズドシャッ!
影山は雪道で盛大に転んだ…。
(…旦那様……。)
56:名無しさん@ピンキー
11/12/22 16:56:56.58 7X0IRzWf
麗子可愛いww
57:名無しさん@ピンキー
11/12/23 00:13:52.27 ctLmNfCc
サンタはともかく子作りの真実は麗子に教えるんだ影山!
58:名無しさん@ピンキー
11/12/23 22:07:11.84 ctLmNfCc
影山「お嬢様、今夜はディナーのあとで大人の保健体育授業をいたしましょう。
旦那様の許可は頂いておりますので。」
59:名無しさん@ピンキー
11/12/24 03:31:32.08 GAyBiD0t
>>50
めっちゃ良かった!GJGJ!
初めてこのスレ来たけどいきなり良作に出会えて驚いた&嬉しいw
60:名無しさん@ピンキー
11/12/25 23:51:49.79 0E8E5Dnc
遅くなったけど皆に、メリー風祭☆彡
61:名無しさん@ピンキー
11/12/26 02:54:21.93 KMtn06oR
影山のディナーは?
62:名無しさん@ピンキー
11/12/26 22:09:13.94 u4QdFPhZ
麗子と影山で中華そば食べに行く話、ドラマでやってほしかった…
まあスレ的には、
影山のディナー…もとい夜食は麗子お嬢様ですが。
63:名無しさん@ピンキー
11/12/27 13:38:15.76 qk7EaDml
影山に喰われる麗子が見たい
64:名無しさん@ピンキー
11/12/27 23:49:27.65 4/Uzi70c
陰山がエロすぎて麗子が喰われる妄想しかできない…
もっとピュアになりたい
65:名無しさん@ピンキー
11/12/28 16:24:05.64 ACClh7r2
エロパロ板で何をおっしゃる
66:名無しさん@ピンキー
11/12/28 16:35:20.15 dZq8RXgj
失礼ながらお嬢様、こちらはエロパロ板で御座います
ピ、ピュア…などと…
ウーケールー
で、御座います
67:お嬢様ゲーム1
11/12/28 19:33:36.43 cFKL5Mwv
それはクリスマスも終わりの年の瀬の出来事。
宝生麗子は疲れ果てて帰宅のリムジンに迎えられていた。
「失礼ながらお嬢様、酔いつぶれていらっしゃるのですか?」
「そんなわけないでしょ…。刑事が忘年会で酔いつぶれて
誰が年の瀬の治安を守るのよ?」
「失礼いたしました、お嬢様。一応はプロの現職刑事でいらっしゃいましたね。」
「『一応』は余計だっつーの!『一応』は!」
そう、麗子は忘年会の帰りだった。
さすがに警察官の集まりで乱痴気騒ぎになるまで飲み明かすことはない。
しかし彼女の上司はハメを外すことにかけては右に出る者のいないあの風祭警部である。
カラオケで無理矢理麗子をデュエットに誘うわ、王様ゲームを始めるわ…
「…そんなこんなですっかり精神的に疲れたわ。帰ったらお風呂入ってすぐ寝るから。」
「かしこまりました、お嬢様。」
68:お嬢様ゲーム2
11/12/28 19:56:59.67 cFKL5Mwv
「は~、生き返る…」
麗子は猫脚付きの白い湯船でできる限り脚を伸ばした。
慌しい日々で一番くつろげる時間である。
特に今日は風祭警部主催の王様ゲームで寒空の下、コンビニにつまみの買出しに行かされたせいで
すっかり冷えてしまった。
「あんのパワハラ上司…」
『じゃあ次は…4番の人が王様のほっぺにチュ~だ!』
散々理不尽な命令が下されたが、こればかりは4番が当たらないよう麗子は真剣に神に祈った。
麗子の祈りが通じたのか、4番は風祭シスターズの片方の婦警に当たり、キャーキャー言いながら風祭警部にキスをした。
もう片方が割り箸を噛みながらギリギリ悔しがっていた。
「割り箸になんか細工してあったのかしら…?」
実は風祭警部は一切トリックを仕掛けておらず、すべてが彼のミラクルだったことは
麗子の知る由もないことである。
69:お嬢様ゲーム3
11/12/28 20:14:57.43 cFKL5Mwv
「部屋の暖房はこれくらいでよろしいでしょうか、お嬢様。」
「けっこうよ影山…、ありがと。」
暖かいベッドルームでくつろいで、後は髪をとかして寝るだけ…なのだが。
「ねえ影山…お嬢様ゲームって知ってる?」
「…お嬢様ゲーム?」
麗子はいたずらっぽく微笑んだ。
「王様の言うことを何でもきくのが王様ゲーム。お嬢様の言うことをなんでもきくのがお嬢様ゲームよ。」
「…なるほど。」
「そんなわけで命令その1、執事はお嬢様の髪をとかしてドライヤーを当てる。」
「…失礼ながらお嬢様、それではただのものぐさ…」
「いーから黙って命令をきく!それで私の気が晴れるんだからっ!」
やれやれ、という顔で、影山は櫛とドライヤーをとる。
「…かしこまりました、お嬢様。」
70:お嬢様ゲーム3
11/12/28 20:29:53.48 cFKL5Mwv
「影山、もっと右…」
「こちらでございますか、お嬢様。」
「あ、そこ、気持ちイイ…♪」
髪を乾かしたあと、お嬢様ゲームの次の命令は麗子の肩を揉むことだった。
「ふふふ、次は腰でも揉んでもらおうかしら。」
「いけませんお嬢様、アルコールを多量摂取した後に過度にマッサージを行うと、
血行が良くなりすぎて危険でございます。」
「ハイハイ、わかったわよ。もう寝るわ…
命令その三、執事はお嬢様のスリッパを脱がす。」
「…かしこまりました、お嬢様。」
(…続く。)
71:名無しさん@ピンキー
11/12/28 22:32:28.44 HF6oF780
ヤダこれ期待しちゃうw続きまってまーす
72:名無しさん@ピンキー
11/12/28 23:04:36.10 XE5y7MFU
おお、スレ立ってた!
でも意外に伸びてないんだな…
73:名無しさん@ピンキー
11/12/29 00:10:33.61 dczhCKg6
出来過ぎな組み合わせだから、逆に職人からすると難しい…のかな?
74:名無しさん@ピンキー
11/12/29 09:01:50.73 zQyuq4LR
>>70
わっふるわっふる
75:名無しさん@ピンキー
11/12/30 21:06:09.14 JQb2AGoH
麗子って、大金持ちの適齢期のお嬢様だよね。
気が進まないまま仕方なく見合いしたら、相手に気に入られてしまう。
今は仕事第一の麗子にその気がないのはわかっていても、
影山が嫉妬して強引に迫るとかいいかも。
76:お嬢様ゲーム4
12/01/02 17:09:42.94 JDHLht8B
本人も気づいていないことだが、麗子はけっこう酔っていた。
酒量がたいしたことないと思っても、安酒をちゃんぽんにして飲むと
悪酔いする…という知識をどうも持ち合わせていなかったようだ。
跪いて麗子のスリッパを脱がせた影山に、麗子は更なる命令を下す。
「ねぇ影山…キスして」
「は?」
「…足に」
影山はさすがにちょっと顔をしかめた。
が、逡巡の後、麗子の形のよい足の甲にキスをする。
甘い桃のようなボディソープの香りがした。
「んふふ、くすぐったぁい。」
まるでクレオパトラになったかのように麗子は上機嫌だ。
…やれやれ、と影山は心の中で思う。
「お嬢様、もうゲームは終わりにして、お休みくださいませ。」
麗子は「はぁい」とふわふわの羽毛布団に潜る。
「じゃあこれが最後の命令よ。影山…添い寝してくれる?」
77:お嬢様ゲーム5
12/01/02 17:25:57.25 JDHLht8B
たっぷり三十秒ほどの沈黙の後、麗子はブハッ、と吹きだした。
「なーんてね!出来もしないこと命令してもしょうがないわよね!」
「………。」
「添い寝しろなんて冗談よ~。もう寝るから出ていっていいわ。おやすみ~」
「お休みなさいませ、お嬢様。」
影山は踵を返し、カッカッカッ、と麗子の部屋を立ち去った。
麗子はクックック、と高級布団の中で笑いを噛み殺していた。
あの影山のハトが豆鉄砲を食らったような顔ったら!
いつも毒舌を食らっている仕返しは十分に出来た。
多少後が怖いような気もするが、明日になったらすべてお酒のせいにしてしまおう…。
そう…明日になったら…。
そんなことを思いながら、麗子はほどなく眠りについた。
…三十分ほど後、麗子は影山にうかつな命令をしたことを後悔することになる。
(…続く。)
78:名無しさん@ピンキー
12/01/02 20:55:32.41 /nXLLNIt
>>77wktk
79:お嬢様ゲーム6
12/01/02 21:13:24.71 JDHLht8B
のしり、とした感触に、麗子は違和感を覚える。
誰かがいる。自分と同じベッドに。
それも覚えのない若い男が。
その意味を眠い頭が理解した瞬間、麗子は悲鳴に近い金切り声を上げた。
「…誰よッ!!」
「…私でございます。お嬢様。」
「かっ…!!!」
影山。
よく見ると見知らぬ若い男は、見慣れない眼鏡を外した姿の影山であった。
だがいつもと違うのは眼鏡だけではない。
髪からは麗子の知らないトニック系のシャンプーの香りがし、いつものダークスーツではなく、
濃いグレーのパジャマを着ている。
一ッ風呂浴びてきて、まさに眠る前…といった感じの格好だ。
そんな見慣れない姿の影山が、まさに今自分のベッドで真横にいるではないか!
「…ご命令通り、添い寝をしに参りました。」
「…馬鹿じゃないの!?あれは冗談だって言ったでしょ!」
「…お嬢様こそ、アホでいらっしゃいますか?
王様ゲームというものは、たとえ王様であっても一度した命令は取り下げることはできないのがルール。
ならばお嬢様ゲームも、それに従うのが世の常ではないかと。」
唖然とする麗子に、ニヤリ、と影山は微笑んだ。
80:お嬢様ゲーム7
12/01/02 21:40:33.86 JDHLht8B
「しかしいくら大きいベッドでも二人で寝るとさすがに狭いですね。
お嬢様、失礼ですがもっと詰めて頂けますか。」
ち、近い近い近い!
麗子はベッドの端に寄る。
「贅沢なスプリングですね…。さすがはお嬢様のためにしつらえられた品でございます。」
影山はゆっさゆっさとペッドのスプリングを揺する。
「コラッ、あんまり揺らすなっつーの!」
「失礼いたしました。では…一晩寄り添って眠るとしましょうか。」
彼女の忠実なしもべであるはずの男は、ニッコリと笑みを浮かべる。
「うッ…。」
このドS執事が、さっき肩揉ませたり足にキスさせたこと怒ってんの?
そんな麗子の心の叫びも声になることは無かった。
今まで一度も触れ合ったことのない影山がこんなに近くにいる。
今はお互いを隔てるドレスもダークスーツも無く、くつろいだパジャマ姿で、
お互いの使うシャンプーの香りが交じり合うほど寄り添っている…
麗子は酒のせいでなく顔が熱るのを感じた。
(…続く。)
81:名無しさん@ピンキー
12/01/02 23:16:45.93 a7JK5uux
よしいけそこだいいぞ影山!
82:名無しさん@ピンキー
12/01/03 00:07:13.27 nJvq0NoK
おおおお続き超期待!!!
83:お嬢様ゲーム8
12/01/03 20:09:29.38 Bj6e1cON
心臓が苦しいくらいドキドキする。
それなのに体が震える。
麗子は影山に背を向けた。
(動揺しちゃ駄目よ、宝生麗子!影山のこと、ふざけて私のことおちょくってるだけなんだから!
男と同衾なんてわけないんだから全然!超ヨユーよ!)
「あの、お嬢様?」
影山は麗子に声をかけた。影山から見て気の毒なほど麗子は震えていたからだ。
(もうっ、寝たふりっ!むしろ寝る!)
麗子は根性で寝てしまおうと考えた。しかし先ほどと違い、眠気はいっこうに襲って来ない。
「…………。」
影山の脳裏にもしや、という考えが浮かぶ。
「お嬢様、こちらを向いてくださいませ。」
肩を掴まれ、麗子は無理やり影山のほうを向かされる。
麗子の瞳と、影山の瞳が、これまでに無いくらい近くなる。
麗子は心臓が止まりそうになった。
「お嬢様、ちょうどよい機会ですので確認させていただきたいのですがー」
「な、なにをよ?」
影山は逡巡して、その質問を柔らかに包むオブラートを探した。
…が、うまい言葉が見つからず、結局ストレートな言葉で伝えた。
「失礼ながらお嬢様…、お嬢様は処女でいらっしゃいますか」
84:お嬢様ゲーム9
12/01/03 20:32:18.10 Bj6e1cON
どすっ!
麗子は影山のみぞおちにパンチを叩き込んだ。
「うッ」
影山は低い呻き声を挙げる。
「…いいパンチでございます、お嬢様。」
麗子はワナワナと打ち震えていた。精神的ダメージは今までの影山のどんな暴言よりも大きかった。
「あ、あのーお嬢様…」
影山は当惑していた。いつもなら彼の暴言に麗子が激昂し、「~~だっつーの!」という怒りのリアクションが
返ってくる。しかし今は麗子は影山にパンチを叩き込んだ拳を握り締めるばかりで何の反応も返ってこない。
「も、申し訳ございません。いささか言葉がストレート過ぎました。
殿方と肌を合わせたことが無い、契りを交わしたことが無い、いまだ乙女のまま、
純潔、きれいな体のまま…いくらでも言いようがあったでしょうに」
「全部同じ意味でしょうが、それはっ!」
ようやく麗子は激昂した。
85:お嬢様ゲーム10
12/01/03 21:06:01.95 Bj6e1cON
麗子と影山は同じ枕を使い話し出した。
「こう見えても学生時代はモテてたのよ…ホントよ?」
「誰も嘘だとも見栄っ張りだとも言ってませんよ、お嬢様」
麗子は影山の言葉に潜むささやかな棘を無視した。
「チャラついた男を相手にしなくても、すぐに素敵なBFが出来たわ」
影山は黙って話を聞く。
「何度かデートして、食事して…この人とだったら特別な夜を過ごしてもいい、って思える人も何人かいたわ」
「つまり、綿密なロストバージンの計画を立てていたわけですね、お嬢様は。」
「そうよ、それなのに…」
影山は信じられないようなものを見た。
麗子の目から、ボロボロと涙が零れ落ちたのだ。
「失礼」
グスッ、と、麗子は涙を手の甲で拭う。
「いつも、パパには内緒の外泊の計画を立てている直前に…
彼の携帯が音信不通になったり、急に『別れてくれ』って涙ながらに頼まれたり、
理由不明の転校や留学になったりするのよ!」
「…………。お嬢様、そのタイミングの良さを何か不自然に思いませんでしたか?」
「特に何も。男運がないのかしら…」
影山の脳裏に、前任の執事の唐沢の顔が思い浮かんだ。
そういえば…あの老紳士はこんなことを言っておられた…。
『影山くん、もし、麗子お嬢様に害なす悪い男が現れたら…
宝生グループの如何なる力を用いてもいい、徹底的に排除してくれたまえ。』
影山は麗子の元カレ達に何が起こったかを察した。
むろん、麗子に真実を話せば前任の老執事の命が危ないだろう…。
(…続く。)
86:名無しさん@ピンキー
12/01/04 00:29:03.29 xISqGM3X
>>85
麗子…可哀相に…
よし影山いただいてしまえ!
87:名無しさん@ピンキー
12/01/04 09:18:02.34 Fmliqznb
泣き出すとか可愛すぎるなw
88:名無しさん@ピンキー
12/01/04 10:54:17.38 zHAy9Nle
hshs
89:お嬢様ゲーム11
12/01/04 21:41:10.10 7JwVSfrW
「現れないのかしら…、ありのままの私を好きになって愛してくれる人は…」
グスッ、と麗子は涙ぐむ。
「…………。」
影山は考える。
ありのままの、お嬢様の姿。
「…ムシのいい話よねぇ。自分で望んで刑事とお嬢様の姿を使い分けてるのに。」
刑事の姿。令嬢としての姿。
「強い女になりたくて、刑事になったのに…」
強がりで気丈な姿。
「私はこんなにも…弱いわ。」
弱く儚い姿。
「…お嬢様。大きな願いを叶えるためには…それなりの対価が必要となります。
…ありのままの自分を愛してもらうには、相手にありのままの自分を見せねばなりません。
…見せてください。わたくしに、全て。」
影山の低い声が、響いた。
90:お嬢様ゲーム12
12/01/04 22:14:23.12 7JwVSfrW
そして影山は麗子をギュッ、と抱きしめた。
今までの影山なら、けしてしなかったことだ。
びくっ、と麗子は震えた。
「や、やめて」
抵抗の声には、まったく力が無い。
「やめません。…いえ、お嬢様のほうから欲しいと言わせて見せます。」
麗子のネグリジェの下から、影山の手が滑り込む。
すべらかな影山の指が、麗子の肌に触れる。
イヤイヤ、と駄々をこねる子供のように麗子は抵抗する。
影山は、ネグリジェのボタンを口で外した。
(…続く。)
91:名無しさん@ピンキー
12/01/06 00:07:02.49 THB7nKcd
影山えろい…ゴクリ
92:お嬢様ゲーム13
12/01/06 13:53:42.27 1NnVm81A
「ん…あぁ…、」
影山の愛撫に、胸元へのキスに、麗子は甘く喘ぐ。
感じやすいお方だ、と影山は思う。
「あぁん…」
その紅潮する顔、汗ばむ肌を見れば、もう十分濡れている…
男を受け入れる体の準備ができているのがわかる。
影山のほうも体の準備(と、避妊具の準備)はとうにできているのだが…
お嬢様の心の準備が整わなくては、意味が無い。
麗子をその気にさせるため、影山は甘い言葉をつぶやく。
「お嬢様、どうか力を抜いて…。…優しくしますよ。」
麗子は潤んだ瞳で影山をじっと見つめる。
「さあ、お嬢様。どうして欲しいですか…?」
麗子はゆらりと体を起こす。影山は抱き寄せる。
そして麗子は口を開いた。
「今すぐ私から、離れなさい」
93:お嬢様ゲーム14
12/01/06 14:08:53.33 1NnVm81A
影山は目を見開いた。
今すぐ私から、離れなさい-
それは生まれながらに高貴な者の、絶対的な命令の言葉だった。
「出て行って。今すぐこのベッドから出て行って。」
麗子は俯いて、泣いていた。
まるで、愚かな行為を後悔するように。
影山はショックを受けた頭で、麗子の命令の理由を推理する。
…やがて、一つの可能性に思い当たった。
「相手が私では、お嫌なのですね。」
影山の体から、熱が引いていく。
「まあ当然のことでしょう。お嬢様は世界でも指折りの大企業、宝生グループの
総帥の一人娘。本来ならとうにそれなりの身分の男性との縁談が決まっていても
おかしくは無い。」
影山は言葉を続けた。
「一介の執事ごときと寝て、自らの格を下げることもないでしょう。」
94:お嬢様ゲーム15
12/01/06 14:25:51.34 1NnVm81A
影山は乱れた服を直す。
「ご心配なさらずとも、お嬢様にふさわしい男性はじき旦那様が見つけてくるでしょう。
いえ、お嬢様が望めばそれこそ英国のロイヤルファミリーの仲間入りすることも、
アラブの大富豪の妻になることも可能でしょう。」
影山は意地悪くそういうと、少しだけ優しい言葉で、付け加えた。
「それだけ、お嬢様は十分魅力的でいらっしゃいます。」
この言葉だけは、本心ですよ。
影山はベッドから降り、麗子に別れの言葉を告げた。
「では、ごきげんよう。お嬢様。二度と顔を合わせることもないでしょう。
事件で困ったらご連絡を。メールかFAXでよければ無償でお助けしますので。」
影山は麗子に一礼した。
「それでは、わたくしはこれで失礼をー」
「待ちなさいよっ!」
麗子の大声が、ベッドルームに響いた。
95:お嬢様ゲーム16
12/01/06 14:37:57.33 1NnVm81A
「さっきから聞いてりゃ勝手な事ばかり言ってくれちゃって…
いつもそうやって優しいふりして、期待させておいて、突き放すのよ!?」
麗子の涙ながらの激昂に、影山はキョトン、とする。
「あんたみたいな無礼者の暴言バカ執事…好きになってしまうのが…怖かった…。」
影山はようやく麗子の本心を理解する。
好きになってしまうのが、怖い。
「でも…もう、手遅れよ。」
いつのまにか、こんなにもわたしの中で、影山は大きな存在になっていて。
「好きよ、影山。大好き。」
96:お嬢様ゲーム17
12/01/06 14:53:00.59 1NnVm81A
「…お嬢様。」
「さあ、迷惑ならここを立ち去りなさい。いい加減な気持ちでも同じ。」
影山は、困ったような、照れくさそうな顔で、答えた。
「…お嬢様、わたくし感激のあまり…どうしたらいいのかわからなくなってしまいました。」
フフ、と嬉しそうに、影山は笑う。
こんな顔もするんだ、と麗子は思った。
「こまった執事ねぇ。麗子お嬢様が命令しないと何にもできないんだから。」
麗子もフフ、と笑う。
「じゃあ命令よ、影山」
麗子は影山の顔に唇を寄せる。
「『キスして?』でございますか?」影山が尋ねる。
「いいえ」と麗子が答える。
「キスさせて」
97:お嬢様ゲーム18
12/01/06 15:05:30.11 1NnVm81A
二人はたっぷり、長いキスを楽しむ。
やがて名残惜しそうに、唇と唇が離れる。
月明かりが、二人を照らす。
麗子はいたずらっぽく、微笑む。
「それと、これは影山からのリクエストだったわね。
…すべてを見せて、って。」
麗子は先に中の下着を外し、ネグリジェをするり、と脱ぐ。
美しい麗子の裸身が、窓からの月明かりに浮かぶ。
「どう…かな?」
影山はうっとりとした顔で、麗子に見惚れる。
「…お綺麗でいらっしゃいます。」
影山は裸の麗子を守るように抱きしめ、ベッドへ押し倒した。
そして…二人は繋がった。
まるで、生まれる前から決まっていた事のように…
98:お嬢様ゲーム(エンディング)
12/01/06 15:32:09.00 1NnVm81A
…え、それからどうなったのかって?
…実のところ、あのロマンチックな夜のあと、散々だったのよ。
朝起きたら、二日酔いで頭ガンガンするし、太腿は筋肉痛になるし、血は出てたし…
影山がいない!と探し回って、結局外でタバコ吸ってただけだったり…
結局そんなわけで、何事も無く年が開け…
「明けましておめでとうございます、お嬢様。」
「明けましておめでとう、影山。」
元日だけど、宝生家でおせちが出ることはない。
元々あれは庶民の奥様にお正月に休んでもらうためのものだし。
お正月っぽいBJMに、いつも通りの(でもちょっぴり豪華な)朝食。
そして…いつも通りの影山。
「今年もよろしくね、影山。」
麗子は照れくさそうに影山に言った。
影山も照れくさそうに答えた。
「はい。今年も事件解決のためにこの影山を頼ってくださいませ。
なにせお嬢様はアホでいらっしゃいますから。」
「ええ、頼りにしてるわよ…
ってさらっと暴言を吐いてるんじゃないっつーの!」
麗子の激昂を影山は無視した。
「時にお嬢様、本日のご予定は?」
「あいにく、刑事に盆も正月も無くってよ。初詣も行けるかどうか…」
ピピピ、と麗子の携帯が鳴る。
『Happy New 風祭~!!
宝生君、新年早々だが、新年会の予定を…』
ブチ、と麗子は携帯を切った。
「紅茶のおかわりをいただける?」
「かしこまりました、お嬢様。」
(…終わり。)
99:名無しさん@ピンキー
12/01/06 21:52:35.26 OirxuNux
>>98
GJ!
100:名無しさん@ピンキー
12/01/07 00:13:23.38 jsh+lhmL
>>98
GJ!!!!
101:名無しさん@ピンキー
12/01/07 00:17:10.11 mg7eISbF
>>67
GJGJGJ!!!!
ショックを受ける神山が個人的に良かったw
102:名無しさん@ピンキー
12/01/07 00:49:56.39 M/KqdcjG
>>98
GJ~~!!
麗子お嬢様の女心の機微が凄く良かった~~
エロもいい~
103:お嬢様ゲーム(制作秘話)
12/01/07 20:39:11.55 l8fMScii
ありがとうごさいます!
設定はドラマ版準拠。
でも口調や世界観をらしくするためときどき原作を参考にしました。
原作2巻を読んで、ああ麗子にとって影山って…ヘェ~
とニヤニヤしましたので。
影山はドS。でもガツガツさせない、麗子が本当に嫌がることはしない…
と心がけてたら結局最後にはデレた。何故だ。
オチは複数考えたんですが、やっぱり安定の風祭でw
104:名無しさん@ピンキー
12/01/08 00:53:39.80 Q6WJdptl
>>103
GJGJ!
>影山はドS。でもガツガツさせない、麗子が本当に嫌がることはしない…
うんうん、これ自分もまさにこういうイメージ!
「キスさせて」に読んでて萌え禿げたww
また何かよろしくお願いします!
105:名無しさん@ピンキー
12/01/08 21:38:07.75 lRFrwrK/
>>103
風祭オチすき!
Happy New 風祭www
106:名無しさん@ピンキー
12/01/09 14:47:08.82 Bswa6DO0
age
107:名無しさん@ピンキー
12/01/09 17:44:53.68 qFFaqM7b
今キタ!最後の投下やっと読んだ~
すごくよかった
GJです!!
108:迷宮プリンセス1
12/01/09 22:22:05.29 /CrGFuvB
※「お嬢様ゲーム」の続きです。宝生邸の謎に影山が挑む…?
宝生邸にはあまたの使用人がいる。
だがそのほとんどが日ごろ姿を見せない。
しかし彼らは日夜仕事をしている。
そう、すべては麗子のために。
「影山、あとで私の部屋に…きて。」
麗子は内線で影山に夜のお誘いをしていた。
明日は非番なので多少の夜更かしは大丈夫…
すでにシャワーを浴び、お気に入りのコロンを付けた。
ベッドの上で愛する執事の到着を待つ。
「…ん?」
ふと、ベッドに違和感を感じる。
…枕が二つある。
「メイドさんが気を利かせてくれたのかしら…?」
室内を見回す。
なんとなく、部屋の雰囲気が変化しているような気がする。
麗子は、なんとなくこの部屋が影山との事を祝福してくれているような気がして、嬉しくなった。
109:迷宮プリンセス2
12/01/09 22:50:21.19 /CrGFuvB
影山は麗子からの電話を受けたあと、身支度を済ませていた。
麗子の部屋に持っていく必要なものを小さなカバンに詰め…
「…ん?」
カバンの中に覚えの無い小さな水色の紙袋が入っている。
「影山様へ」との小さなメモが貼ってあった。
自分宛てなのだろう、と中身を確認する。
男性物の香水と、口臭スプレー。
「…使え、ということでしょうか。」
おそらくは使用人の誰かからだろう。
影山は確信した。
自分とお嬢様との関係は、すでに宝生邸の皆に知られている。
「まぁ、妬まれていたらもっと下世話な物が贈られてくるのでしょうがね。」
どちらかといえば、好意的なプレゼントだろう、と影山は解釈した。
ただ、素直に好意的に受け取っていいものか…。
その男性物の香水と、口臭スプレーのラベルには、デカデカと…
「タバコの臭い消しに」と書かれていた。
(…続く。)
110:迷宮プリンセス3
12/01/10 20:48:29.10 V8suHuUM
そんな影山の微妙な心情はともかく、
麗子は熱い夜と楽しい休日を影山と過ごした。
恋はどんな化粧品よりも女を綺麗にする…
黒いパンツスーツに黒い伊達眼鏡。束ねた黒髪の地味な装い。
しかし鏡に映る自分は、ふわり、と華やいでいるように見える。
(…私、変わった?綺麗になった?)
廊下の備え付けの鏡を見て、麗子は両手を頬にやり、ニマ、と笑う。
(……幸せだわ。)
「どーうしたんだい宝生君!!鏡の前でニヤニヤして!
…ハイハイハイわかってるよこの風祭には!さては男でも出来たんだね!?」
…恋する女は美しい。
しかし職務中にその幸せに浮かれていては社会人失格であることを麗子は痛感した…。
111:迷宮プリンセス4
12/01/10 21:13:02.47 V8suHuUM
(なんなの、このシチュエーションは…)
「重要容疑者確保!」の一言で、麗子は取調室に連れてこられた。
目の前には風祭警部、そして二組の湯気の出ているカツ丼。
「あの、警部。」
「なにかな、宝生君。」
「私、カツ丼好きじゃないんですけど。」
「ああ気にしないでくれたまえ、僕が食べたかっただけだから。」
自分が食べたかっただけかい!と麗子は心の中で突っ込んだ。
「さて本題に入ろう。最近男ができたね?」
麗子はハァ、とため息を付いた。
「なんでそんなこと取り調べられなくちゃいけないんですか。」
「ま、可愛い部下の交際相手のことは知っておきたいからね。」
「警部にお話する義務はありません。プライバシーの侵害です。」
「相手の年は?いつごろ知り合った?」
無視ですか。
「30ちょっと。知り合って一年未満…とだけ。」
答えなければこのバカげた取調べは終わりそうに無い。
「相手の職業は?」
執事…と答えるわけにもいかない。
「…接客業です。ワインのサーブとか、すごく上手くて」
警部は眉を顰めた。
「まさかホストか?」
「ち・が・い・ま・す。」
「まあいい。相手がホストでも差別はしないさ。ただ君のような固そうな女には勧めないなぁ…」
冤罪ってこんな風に造られるんだろうか。
麗子は暗澹たる気分になった。
112:迷宮プリンセス5
12/01/10 21:40:19.29 V8suHuUM
「彼は君をどういうところに連れて行ってくれる?デート的な意味で。」
麗子は逡巡の後、答えた。
「……ラーメン屋、とか?」
影山が前にいい中華そば屋を前に紹介してくれたので、昨日の昼もそこに行ったのだ。
風祭はプッ、と笑った。
「いや失礼…、庶民的だねえ。」
ムカッ、と麗子の頭に血管が浮かぶ。
「少なくとも警部と食べるカツ丼より、はるかに美味しかったですよ!」
麗子の目の前のカツ丼は、一切手を付けられぬまま、すでに冷めていた…。
一方的な尋問は続く。
「大事な質問だが…交際は祝福されているかね?
ご両親や、友人に。」
麗子はピク、と固まる。
風祭は「ん?」と麗子の顔を覗き見る。
「…まだ、何も話していません。親にも、友人にも。」
「付き合っていることは、秘密です。」
113:迷宮プリンセス6
12/01/10 21:59:11.27 V8suHuUM
警部が怖い顔で自分を睨んでいる。
麗子は自分が本当に罪人になったような気分になった。
「何故、交際を隠す必要がある?やはりホストだからか?」
麗子は目をそらして答える。
「そうじゃ、ないんです。うまく、説明できませんけど…
彼は、私の親戚の兄にあたる間柄で…父にいたく信頼されていて…」
作り話の中にも、真実があった。
「彼と私が深い関係になったと父が知ったら…なんと言うか」
それは、麗子が最も恐れていることだ。
114:迷宮プリンセス7
12/01/10 22:35:38.34 V8suHuUM
「パパには知られたくない、か」
フッ、と警部が笑う。
「ま、自分にもそんなころがあったか。遠い昔だけどね。」
麗子は、なんとな~く、この警部に子ども扱いされたような気がして眉を顰めた。
コンコンと取調室の扉が叩かれる。
「風祭警部、ホウ・ショウレイ様という方がご面会を…」
「取調べ終了!今行きます、ショウレイさ~ん!」
制服巡査の言葉が終わるかいなや。
風祭警部は脱兎のごとく走り出していた。
「…影山。私は風祭警部とご面会する予定なんかないんだけど。」
「入国管理局に頼んで、ホァ・シャンレイ様という方を探して頂きました。
風祭警部は今頃人違いに気づいてガッカリされているでしょうね。」
当然のごとく、入ってきた制服巡査は影山であった。
「ところで、お嬢様…。大切なお話が…。」
ビク、と麗子は影山の真剣な眼差しに気づいた。
まさか今までの話、聞かれた…?
影山はいたって真剣に麗子に頼んだ。
「そのカツ丼…食べないなら頂けますか…?」
(…続く。)
115:名無しさん@ピンキー
12/01/11 09:09:05.39 UDH4cCiK
>>114
カツ丼かよw
続き期待!
116:迷宮プリンセス8
12/01/11 21:07:51.90 tnC070Mv
結局麗子は取調室でカツ丼を嬉しそうに食べる影山を見ながら、
コンビニのおにぎりをランチにして食べた。
影山、箸の持ち方綺麗ね…。
物を食べる姿こそ、金では買えない品格が問われる。
麗子も淑女として子供のころから箸の上げ下げ、ナイフとフォークのマナーを
きっちり叩き込まれた。
だが、カツ丼をここまで品良く食べられる自信は無い。
影山はどんな風に育ったんだろう。
どんな経歴を経て、どんな経緯で、執事になったのか…。
まだ私…影山のこと、何も知らない。
117:迷宮プリンセス9
12/01/11 21:24:31.84 tnC070Mv
影山は取調室で念願のカツ丼を食べた後、午後の職務…
麗子のストーキングを始めた。
今日もお嬢様は風祭警部に振り回されておられる。
望遠レンズで覗くお嬢様はいつも自然体だ。
風祭警部の迷推理に呆れ、ツッコみ、話の脱線を修正する。
捜査が上手く進まず、拗ねる警部殿を炊きつけ、やる気を出させる。
二人であーでもない、こーでもないと意見の食い違いがあり、今本気で怒っている。
「いーかげんにしてくださいっ!警部っ!」
「しかしだね宝生君!」
本人は気づいているだろうか。
お嬢様は、職務中…実に警部にありのままの自分を見せているということに。
………。
なんだろう、この感じは…。
影山は戸惑っていた。
何故、胸がチクリと痛むのだろう。
(…続く。)
118:迷宮プリンセス(中断中)
12/01/11 21:29:42.05 tnC070Mv
すみません、長いばっかでなかなかエロにたどり着けない!
一応これから風祭警部を交えた三角関係になる予定ですので、
苦手な方はご容赦ください…。
119:名無しさん@ピンキー
12/01/11 21:36:26.86 knlQvUWJ
>>118
パンツ脱いで待ってます。
120:名無しさん@ピンキー
12/01/11 23:03:20.44 FoniqrcK
いいよいいよ、すぐにHに走るだけがエロじゃない。
そこに至る過程もまた大事だし、じっくり描き出されればそれだけ美味しい
んだもんね。
ゆっくり待ってるよ。
121:名無しさん@ピンキー
12/01/12 09:34:55.79 lrPi0wN3
待ってるよー
自分結構風祭も好きだから絡めてもらえて嬉しいw
胸が痛む影山もええじゃないか!
122:迷宮プリンセス10
12/01/12 11:40:14.05 we0iIw2H
麗子はその夜、影山を部屋に呼びつけていた。
青い顔で。
影山は呼び出された理由がわからず怪訝な顔をしていた。
「影山…私の化粧台に入っている、あれは何?」
「化粧台ですか?わたくし、いじった覚えがありませんが…。」
と言い、影山は麗子の化粧台の開いた引き出しを覗き込む。
そこに入っていたのは…。
「ピルとコンドーム…ですね…。」
「ええ…それくらい見ればわかるわ。」
うんざりとした顔で麗子が言う。
「使え、と言うことなのでしょうね。」
「…でしょうね。でも一つ使い方を知らないものが…。」
「ああこれですか。」
影山はコンドームのケースの一つを摘みあげる。
「…女性用コンドームという物です。」
麗子は頭を振りベッドに座り込む。いまにも倒れこみそうだ。
「…心中お察しします。」
影山はさらに引き出しの中に入っていた小さな冊子を取り出す。
これはおそらく、産婦人科などで配布されているもの…
影山は読み上げた。
「…緊急避妊について。
望まない性交渉や、コンドームの破損などによる不測の避妊失敗時において、
受精卵の着床よりも先に子宮内膜を剥がして生理様の出血を起こし、
妊娠成立を阻止するために性交後に服用するホルモン剤がございます。
通常の避妊薬より体への負担が大きいので、処方の際は産婦人科へご相談ください…。」
「もー、イヤァァァァァァ!!!!」
麗子は絶叫した。
123:迷宮プリンセス11
12/01/12 12:06:48.88 we0iIw2H
「昔、初めて生理がきた時、似たようなことがあったのよ…。」
学校で男子にからかわれて。
保健室の先生に「大丈夫よ、病気じゃないからね。」と言われて。
家に帰ってきてもママはいなくて。
唐沢にも相談できなくて。
「そのときは小さな化粧箱に、生理用品とショーツ、生理についての説明書があったわ。
あの時はほんとありがたいと思ったけど…。」
麗子は怒りでドン!と化粧台を叩く。
「今回のはちょっとあんまりよっ!!」
ふー、ふー、と怒りのため息をつく。
…見かねて影山はつぶやく。
「今夜は私の部屋に来られますか?」
麗子はピョコ、と頭を上げる。
「…うん、そうね。そうする!」
麗子はちょっと元気をだした。
やれやれ、と影山は安堵する。
1時間後。
麗子は機嫌を直して、シャワーを浴びてから影山の部屋に行き…
そこで立ち尽くしている影山を見つけた。
「影山、どうしたの…。」
おそるおそる、麗子は尋ねる。
「お嬢様、私のベッド、何かいじられましたか…?」
影山は麗子に尋ねる。
麗子はベッドを見た。
…そこには枕が二つあった。
…この宝生邸では、麗子の欲しいものは何でもそろう。
必要なものはさらに先から先へ。
麗子と影山はあらためてこの魔法のような…
しかしやたらおせっかいなシステムを思い知ることとなったのだった。
(…続く。)
124:名無しさん@ピンキー
12/01/12 23:30:38.32 haq2PNfN
おおおお。面白いです‼
ワクワクする。。
125:名無しさん@ピンキー
12/01/13 00:08:31.61 2cLCupR1
面白い!
思いやりのつもりなんだろうけど、麗子と影山にしてみれば余計なお世話と
叫びたいだろうなぁ~
126:名無しさん@ピンキー
12/01/13 00:24:34.59 8TruHtEn
宝生邸が面白すぎる
まだまだエロには到達しなくても、この流れが笑えるから良し
この調子で続けて下さい
127:迷宮プリンセス12
12/01/13 20:30:15.87 zNCmpS3G
結局、二人ともなんだかそんな気にならず、
もう寝よう…という結論に至り、寝巻きに着替えて影山のベットに入った。
「ねえ影山…。」
「何ですか、お嬢様。浮かない顔して」
「私たちのこと、もう…お父様にバレちゃってるかなぁ。」
「…………。」
フ、と影山は微笑む。
「…大丈夫ですよ。この屋敷にはお嬢様の嫌がることをする者はいません。
たとえ旦那様が真の主でも、告げ口などしないでしょう。」
「…そっか。」
安堵した麗子に、影山は少し厳しい目線を向ける。
「ですが…いつまでも隠しておくわけにはいきませんよ…、お嬢様。」
「…やっぱ取調室での話、聞いてたでしょ…、影山。」
ジト目の麗子に、影山は更なる爆弾発言をする。
「明日、私が旦那様に報告に行ってきます。もうアポは取ってありますので。」
128:迷宮プリンセス13
12/01/13 20:57:34.51 zNCmpS3G
「ちょっとおぉぉぉぉ!!!」
麗子は絶叫した。
「私にひとっ言の相談も無くそんな大事なこと決めてんじゃないっつーの!!」
「相談したら、反対されるのが目に見えていましたので…。」
「~~~~~!!」
麗子は声にならない叫びを上げ、枕に突っ伏した。
「…あなた一人で行くの?大丈夫?」
「こういうことは、男同士腹を割って話し合ったほうがいいんですよ。
大丈夫です。旦那様も人間ですから、私を取って食いはしませんよ。」
「なんか…全然大丈夫に聞こえないけど…、
ゴメンね…。影山…。」
しょんぼりした麗子に、影山は尋ねる。
「なぜ謝るのです?」
「私が…宝生麗子だから…宝生グループのお嬢様だから…こんな面倒なことに…。」
影山は麗子の涙を拭う。
「…気に、しません。」
影山は執事で。私はお嬢様で。
影山は私に何でもしてくれるけど、私は影山に何にもしてあげられない…。
「……ねぇ影山。」
麗子は体を影山のほうへ摺り寄せる。
(…………おぉ?)
影山は麗子の熱い視線に気づいた。
しかし、その後に続く言葉は予測不可能だっただろう…。
「……ねぇ影山…あなた…フェラチオとかって興味ある?」
(…続く。)
129:迷宮プリンセス14
12/01/13 22:41:28.80 zNCmpS3G
影山の顔がみるみるうちに赤くなる。
体がふるふると震えている。
…あ、ヤバイ。影山怒ってる…
「どこでそんなはしたない言葉をお覚えになったのですかっ!!」
滅多に無い影山の怒鳴り声に麗子は首をすくめる。
「週刊誌…。普通の女性誌よ?」
影山の脳裏に麗子の部屋にあったファッション誌やゴシップ誌のバックナンバーが思い出された。
あれがお嬢様の情報源か…。
明日は廃品回収の日程でしたね…。(むろん、口には出さない。)
「もー、男の人って皆そうされるのが好きなんじゃないの?違うの?」
「いや、あのですね…。」
130:迷宮プリンセス15
12/01/13 22:59:44.27 zNCmpS3G
「お嬢様…私はお嬢様にそんな媚を売った行為をして欲しくありません。」
「媚を売った行為なの?」
麗子は首を傾げる。
このお嬢様の怖いもの知らずぶりは…経験の浅さゆえか…。
影山はため息を付く。
「大丈夫よ影山、最近じゃそんなアブノーマルなプレイじゃないらしいわ…
って先週のア○アンに…」
「雑誌で読んだ知識は捨ててくださいっ!お嬢様っ!」
いつになく影山はツッコんだ。
「じゃあ何したら影山は喜んでくれるの?コスプレ?」
「い、いや…私は個人的な趣味はセックスには持ち込まない主義で…」
「そう…良かった…
クイーンQのコスプレなんか希望されたらどうしようかと思っちゃった…。」
麗子は心底安堵した様子だった。
あの、お嬢様…。
お嬢様的にはクイーンQのコスプレはフェラチオより難度の高いプレイなんですか…?
(…続く。)
131:名無しさん@ピンキー
12/01/13 23:21:49.04 V/DxtkNz
影山がんばれwww
132:名無しさん@ピンキー
12/01/13 23:34:22.06 8TruHtEn
麗子お嬢様の中の順列はなんか変だ、でも可愛いなw
133:名無しさん@ピンキー
12/01/14 01:25:26.51 6tSiE4oD
麗子は純粋だから、影山を喜ばせたいと色々勉強しているんだね。
影山も大変だ。
134:名無しさん@ピンキー
12/01/14 12:13:52.76 oiJrKGmD
イイッ!!困る影山萌えー!
135:名無しさん@ピンキー
12/01/14 18:52:11.18 DybgnqX8
続きに期待
136:名無しさん@ピンキー
12/01/15 22:12:05.31 M6s2jwYh
がんばれ影山
137:迷宮プリンセス16
12/01/15 22:24:26.92 dwV0xAuj
「…お嬢様。」
影山が麗子を抱き寄せ、男の欲を持った目で見据える。
「…ん。」
麗子は影山の行為を受け入れる。
影山の手を、自分の素の肌に導く。
ネグリジェのくるみボタンが外される。
影山の唇が、麗子の胸元を啄ばむ。
「…あ。もう、そんなとこ…」
麗子の頬が赤らむ。
女の悦びに、瞳が濡れる。
「お嬢様、私の望むことは一つだけです。
お嬢様はたいそう魅力的なお方。
その目で、唇で、声で、仕草で…
…私以外の男を誘惑なさらないよう。」
138:迷宮プリンセス17
12/01/15 22:47:00.87 dwV0xAuj
麗子は影山に与えられる快楽にむせびながら考える。
…他の男を誘惑?
「バ、カら、しぃ…」
こんなに私のことを乱れさせて、ゾクゾクさせて、
でも安心させてくれる男が、他にどこにいるの。
「誘惑するほどの男なんか、いないわよ、あなた以外…ッ!」
影山が麗子の唇を塞ぐ。濃厚なキスで。
「…ん、…ん、…ん」
プハ、とキスから開放されて息をつく。
「…そんなことより、あなたのことをもっと教えてよ…」
影山の胸に、腕に、しなだれかかる。
この鍛えた、でも温かく優しい体に、どんな過去があるのだろう。
「…下の名前さえ知らない。教えてくれないし、名簿にも苗字しか…」
その深い色の瞳は、今までどんな景色を見てきたのだろう。
影山はあいまいな笑顔を浮かべる。
「いずれ…教えますよ。」
「約束よ…っっあ!」
今までに無いくらい、深く挿れられる。
「…ああっっ…影山ぁっ!」
…約束よ、約束よ、影山。
いつまでもあなたのこと苗字で呼びたくはないのよ。
…そして、いつか…
私のことを、「麗子」と呼んで。
139:迷宮プリンセス18
12/01/15 23:15:59.83 dwV0xAuj
そして、一夜が明け…
麗子はぼんやりして自販機の前に立っていた。
朝起きて、昨夜の後始末をして、朝食を食べて…
お父様に会いに行くという影山を見送って、自分はバスで通勤した。
「…大丈夫かしら、影山…。」
心配で、胸に手をやる。
ゆうべ影山に触れられたところが、まだ…熱い。
…ふぅ、とゆうべの情事を思い出し、ため息を付く。
「イカン、しゃきっとしないと…。」
ぶんぶん、と浮付いた気分を振り払い、
甘ったるい栄養ドリンクをぐいーっ、と飲み干し…
「…あー、ゆうべはお楽しみだったのかい?宝生君。」
「ぐふっ!!」
風祭警部の唐突な声かけに、麗子はちょっとむせた。
「ゲホゲホ…、いきなり背後に立つの、やめてくださいよっ!」
ニヤニヤ、と警部は面白そうに麗子の顔を見る。
「なかなかお盛んなようだね…君の彼も。」
麗子はイヤ~な顔をする。
「…おっしゃってる内容の意味がわかりません。
それより聞き込み、行きますよっ!」
スタスタ、と麗子は逃げるように警部から距離を取る。
…ったく、この肉食系セクハラ上司め…
心の中で警部に悪態を付き、はた、と麗子は立ち止まる。
クンクン、と自分の臭いを嗅ぐ。
…私、なんかヤバいフェロモン出てる…?
(…続く。)
140:名無しさん@ピンキー
12/01/16 11:09:18.02 1ODu+lt4
乙!乙!乙!
影山頑張れっ!
しかしながらフェラされる影山も見てみたいw
141:迷宮プリンセス19
12/01/16 21:44:15.35 4B2vL5Z4
「…遅い。」
麗子はベッドの上でイライラしていた。
雑誌の同じページを何度めくっただろう。同じポップスの音楽が何度流れただろう。
窓の外は土砂降りだった。車の影さえ見えない…
カチャリ、と部屋の扉が空いた。
麗子はベッドから跳ね起きた。
そして入ってきた執事の姿を見て、麗子は仰天した。
「影山!あなた一体どうしたの!」
「…お嬢様。」
影山はうつろな目で、麗子を見る。
そして麗子のベッドの上を見る。
「その雑誌、どうされたんですか…」
「いや、前からあたしの部屋にあった奴だけど…」
「今朝廃品回収に出しておいたのに…」
「は!?」
影山はズブ濡れで帰ってきていた。
「雑誌の件は後で追及するとして…まずお風呂に入るわよ!」
麗子は濡れネズミの影山の手を引いて、大理石のバスルームに向かった。
(…続く。)
142:名無しさん@ピンキー
12/01/16 23:39:10.89 2/t+BVLf
続きwktk!
143:名無しさん@ピンキー
12/01/17 00:23:15.30 /vSFASRt
影山に何があったのか気になる!
早く続きを~
144:迷宮プリンセス20
12/01/18 20:42:35.73 RGNf3Xee
何故、このようなことに…
影山は浴槽の中でそんなことを考えながら乳白色のお湯を見つめていた。
豪華さと実用性重視の大理石のバスルーム。
広さは一般家庭の物よりちょっと広めくらいだが贅を尽くしたものだ。
本来執事であっても(それこそ麗子が風呂で溺れでもしないかぎり)
立ち入ることの許されない場所を影山は使わせてもらっていた。
「お湯加減、どお?」
「あ、ちょうどよろしいです、お嬢様…」
「そう、顔色もずいぶん良くなったわよ。」
正直なところ影山は目のやり場に困っていた。
自分が入っている浴槽のすぐ隣で…
麗子が体を洗っているからだった。
145:迷宮プリンセス21
12/01/18 21:20:22.15 RGNf3Xee
脱衣所に連れて行かれ、お湯張りやら入浴剤の準備をしてくれている麗子に影山は礼を言うと、
「気にしないで影山、私も入るから。」
と言われ、あやうく脱いだスーツをハンガーから落としそうになった。
言うが早いか麗子はカシミヤのセーターを大胆に脱ぎ出す。
影山は慌てて壁のほうを向いた。
何度も肌を合わせているのにいまさら、という気もするが
それはそれ、これはこれだ。
そんなこんなで今にいたる。
(…まあ、お嬢様の裸は何度も見ているのですが。)
やはり薄暗い寝室の明かりと、明るいバスルームの明かりとでは違う。
ちらり、と麗子のほうを見る。
豊かな髪。小さな肩。
(…ああ。)
華奢な腕。小ぶりだが形の良い胸。長く綺麗な脚。
(…お綺麗だ。)
「…なにジロジロ見てんのよ、影山。」
…思いがけずガン見していたようだ。
ゴホ、と影山はわざとらしい咳払いをする。
麗子はタオルを体に巻き、「影山、あなたもうちょっと詰めなさい」といい
湯船に入ってくる。
ザブン、とお湯があふれた。
(…続く。)
146:名無しさん@ピンキー
12/01/19 00:37:32.48 f83hVAJh
影山が意識して、麗子が全く無頓着ってのも面白い構図。
147:名無しさん@ピンキー
12/01/19 12:53:22.06 1Dz9KcVO
もう少し文章が上手ければな…
148:名無しさん@ピンキー
12/01/20 04:13:58.64 j7m/Kuxp
わざわざ読んでそういうの要らない
149:迷宮プリンセス22
12/01/20 10:20:08.90 dD1QKpiv
心地よい熱さの湯船で、二人は寄り添う。
麗子のやや長めの髪が、影山の肩にかかる。
「…二人だとさすがに手狭ね。」
「…いえ、ちょうどよろしいかと。」
影山は麗子の温もりを感じながら思う。
…まるで、新婚夫婦のようですね…。
しかし、同じ心の中でこうも思う。
…自分は、愚かしい夢を見ている。
影山が一瞬顔を曇らせたのを、麗子は察した様子だった。
「影山…お父様に、何か言われたの?」
150:迷宮プリンセス23
12/01/20 10:48:29.82 dD1QKpiv
麗子のまっすぐな目を見て、影山は重い口を開いた。
「旦那様は、わたくしとお嬢様の関係、というか交際を反対されたわけではないのです…。
ただ…。」
「ただ?」
「わたくしがお嬢様のお傍にいる条件として…
旦那様とわたくしとで、大きく意見の相違がございました。
…結果、わたくし旦那様の怒りを買ってしまったようでございます。」
麗子は、影山の言ったことの意味が初めよくわからなかった。
しかし、彼女なりに影山の答えを理解すると…
「なによ、それ!」
バシャン、と麗子はお湯を叩く。
「ようするにお父様が無理難題を影山に押し付けたの?
いますぐ婚約しろ、とか、婿養子に入れ、とか…」
「いえ、そういうものでは…。
そもそもそれくらいでしたら、苦痛とも思いません。」
「ああ、もう、バカらしい!そんな条件、飲まなくたっていいわ!」
麗子は真剣に影山の目を見つめる。
「影山、あなた何にもお父様に遠慮することないのよ…
なんだったら執事やめてプロの探偵になればいいじゃない…。」
「プロの探偵?」
「そうよ、言ってたじゃない。本当はプロ野球選手かプロの探偵になりたかった、って!」
フフ、と影山が笑う。
「夢、ですか」
151:迷宮プリンセス24
12/01/20 11:21:46.34 dD1QKpiv
「お嬢様はなぜ刑事に?それが子供のころからの夢だったのですか?」
影山の唐突な問いに、麗子はちょっと考え…
「笑わない?」
と一言置いてから、
「…本当は、正義のスーパーヒロインになりたかったのよ。」
…影山は彼女の子供のころにやっていたであろう、某美少女戦士アニメを思い出していた。
アレの影響か…。お嬢様も、可愛らしいころがあったのですね…。
「ま、大人になるにつれて、『正義のヒロイン』なんていう職業は無いってことに気づいたけど…
高校生くらいのころに…颯爽としたSPの女性警官に会って…
まるでドラマに出てくるような、正義の味方のように思えたの。
それで、警察官になれないかな、なるなら刑事がいいな、なんて…」
影山は微笑んだ。
「…素晴らしい。お嬢様は形を変えつつも、ちゃんと夢をかなえたのでございますね。」
「ま、まあね。」
麗子はのぼせた訳でなく顔を赤らめる。
「だから、影山も…がんばってみたら?
プロの探偵に年齢制限なんてないわけだし…。」
しかし影山は深刻な顔でつぶやいた。
「しかしお嬢様、わたくしがプロの探偵になると一つ問題が…」
「なによ?」
「お嬢様の手柄を、わたくしすべて奪ってしまうかと」
一瞬の沈黙。
「言ったな、このぉ!」
麗子はバシャンバシャンと影山にお湯を浴びせた。
影山は笑いながら思う。
…このまま、二人お湯の中で溶け合ってしまえればいいのに。
…ですが、そんなわけにもいきませんね…。
どんな幸せな夢からも、いつかは目を覚まさなくてはいけない。
真実を知った以上、麗子に告げなくてはならない。
そして、私は…。
(…続く。)
152:名無しさん@ピンキー
12/01/20 11:28:53.97 K9BQn1y6
GJ
153:名無しさん@ピンキー
12/01/20 14:01:34.99 5vi0SXlE
続き楽しみにしてるよ~
154:名無しさん@ピンキー
12/01/20 16:16:49.76 ny7eSOvW
小出しでスレ独占してんなよ
155:名無しさん@ピンキー
12/01/20 16:53:43.74 K9BQn1y6
>>147=>>154なのかね
職人さんが萎えたら困る
頼むからやめれ
156:迷宮プリンセス25
12/01/20 20:03:52.23 dD1QKpiv
その日、宝生麗子は憂鬱だった。
影山がズブ濡れで帰ってきた次の日、父・宝生清太郎を電話で問い詰めたが
どうも歯切れの悪いことしか言わず、「とにかくもう一切干渉しないで」とだけクギを刺した。
これ以上お父様を問い詰めるのは難しいだろう。
影山からも何も聞きだせそうに無い。
だが、どう見てもお父様との会談以来影山の気力が落ちている。
仕事はそつなくこなしているが、なんとなく…耳としっぽの垂れた犬のように元気がないのだ。
プライベートも不調だが、仕事のほうも不調だった。
旧家・小笠原邸で若い長男が殺された事件はここ三日犯人の影どころか凶器さえ見つかっていない。
結局ほぼ収穫なしで風祭警部の「お疲れちゃん」の一言で解散となった。
「なーに心配無いぞ宝生君!
明日は明日の日が昇る!捜査もきっと進展するさ!」
「元気とやる気と根拠のない自信だけはみなぎってますね、警部…」
うんざり、という顔を風祭警部に向ける。
「どうした、彼氏とケンカでもしたのかい?」
「そんなんじゃありません!」
「…心配してるんだよ。ホントに。」
思いがけず、警部の口調は柔らかかった。
「…警部。」
麗子はほんのちょっとキツイ言い方を反省する。
この上司は…案外部下思いなのかもしれない。
「…警部、もし、相談に乗ってくれるのなら…教えてください。」
「いいよ、なんだい?」
「…男の人って、元気がないとき…彼女に何をしてもらうのが一番嬉しいですか?」
風祭警部は真剣に考え…真面目にこう答えた。
「裸エプロンとか…。」
「警部に聞いた私がバカでした!!もういいです!」
麗子の大声に風祭警部は植え込みに突っ込んだ。
…そんな麗子と風祭警部の様子を、影山は庭木の陰からじっと見つめていた…。
(…続く。)
157:名無しさん@ピンキー
12/01/20 20:17:02.82 OJUnlXNH
わんこ影山可愛いww
ここは職人さんが随分と現れなかったし、このままの投下ペースでもいいとオモ
どうせ過疎ってるしさ、毎日覗きにくるのも楽しみだしw
158:名無しさん@ピンキー
12/01/20 20:34:08.54 K9BQn1y6
>>157
自分もちょくちょく来てるw
今日は学校休みだったから張り付いてしまったよ
159:名無しさん@ピンキー
12/01/20 21:24:58.99 tRXUOy4u
自分も今定期的な投下が楽しみで毎日来てるよ。
ドラマ1話分くらいのボリュームと細かさで楽しく読んでますw
160:名無しさん@ピンキー
12/01/20 22:08:38.42 f1RCeQ/F
職人さんにも自分の生活があるんだから、自分のペースで更新してくれたらいいんじゃない?
確かにもどかしいけど、毎日の楽しみになっているし
161:名無しさん@ピンキー
12/01/21 00:04:18.76 ny7eSOvW
早く終わらせろよ
162:名無しさん@ピンキー
12/01/21 01:05:30.53 wCIFtUQ/
でももう10日以上かかってるんだよ。
こんなに長期的に独占状態って他スレでも見たことない。
まだ話を続けたいなら、まとめて投下するか、自分のサイトでやるべきだ。
163:名無しさん@ピンキー
12/01/21 04:52:35.85 aDBCRcnt
162
おまえが代わりに書いてくれるのか?
職人さん居なくなったらまた過疎るだろ
164:名無しさん@ピンキー
12/01/21 05:10:33.37 m68q+Yju
現在他に投下する職人さんが居ないっぽいしいいんじゃないの
続き楽しみに覗いてるよ
165:名無しさん@ピンキー
12/01/21 10:04:30.57 yHAG4Ufg
164
逆でしょ。
他の職人さんが投下したくても、続いているから投下できない。
空気読める職人さんだと、話の途中でぶち込むようなことはしない。
166:名無しさん@ピンキー
12/01/21 11:00:46.61 pq+l/jRN
うーん。
最初は普通に楽しんでたんだけど、ここまでブツ切りで続くばかりだとさすがに
嫌気が差すかな。
他のスレでこんなことしてたら叩かれること確実だ。
割と過疎り気味で職人の作品に飢えてるから、みんな何も言わないだけでさ。
167:名無しさん@ピンキー
12/01/21 13:34:15.87 9LpyUd9y
オレ、続き待ってる。別の投稿始まってもうれしい。色んな二人が見たい。
168:名無しさん@ピンキー
12/01/21 15:12:07.81 ykVm8pEY
待ってる
169:名無しさん@ピンキー
12/01/21 15:13:28.40 ykVm8pEY
待ってる
最初の頃に比べたら今の状況はマシ
全然人来なかったし
さみしかったし
170:名無しさん@ピンキー
12/01/21 16:16:04.63 P8gCVfp2
待ってる!
毎日の楽しみを奪わないでくれ
171:名無しさん@ピンキー
12/01/21 16:48:37.79 tK3lB3wp
いんじゃねーの
間に別の人が投下してもいいじゃない。待ってるよ。
ガチガチになって指摘するのは、ヤボかと。
このスレのまったりしたこの雰囲気。
この職人さんの話も、毎日のぞく楽しみになって、これはこれでいいかな、と自分は思ってるんだけど。
逆に今、それを指摘し過ぎて、
続けてる職人さんも、>>28さんも、他の職人さんも投下しづらくなったらいけない
ただ、あんまり、スレの動向が不穏な方向へ行くようなら、
その時は今投下続けてる職人さん、スレ的平和を考えて頂けるとありがたいかな~。
>>156の続きも、>>28さんも、他の職人さんも、待ってるんだからねっ
172:迷宮プリンセス26
12/01/21 21:16:52.88 o21vnxI6
「この事件、解決まで長引きそうね…」
いつものディナータイムにて。麗子は影山に事件の話をしたが、語れることはあまりなかった。
しかし影山は、
「いいえお嬢様、もう推理に必要な材料はすべてそろっております。」
という。
「ええ!?嘘でしょ?ウソウソ!」
「嘘ではございません。まずお嬢様を悩ませている見つからない凶器ですが…」
影山から語られた推理の内容は、驚くべきものだった。
「…あの、影山。」
「…先ほど犯人は長男の婚約者だと申し上げたはずですが。まだ何か?」
「…あなた…いつもの毒舌はどうしたの?」
そう。麗子が驚いたのは、事件の真相ではなく、影山が一切の毒舌を言わずに推理をすべて語ってしまったことだった。
「ああ…毒舌ですか。」
影山は面倒くさそうに言う。
「失礼ながらお嬢様…この程度の真実がお判りにならないとは、お嬢様の頭はアホを通り越して、可哀想なレベルでございます。」
…パキン!!
麗子の手でグラスが砕け散った。
「ふ、ふふ…思ったより元気そうね影山…毒舌も絶好調よ…」
麗子はわなわな震え、そして言った。
「クビよっ!クビクビクビクビ…」
麗子はいつも通り影山に解雇宣告を…
「私をクビにして、その後どうなさるおつもりですか。」
尋常でない気迫で影山は言った。
ビク、と麗子が固まる。
「私をクビにして…その後新しく雇った執事も…お嬢様はベッドにお誘いになるのですか…?」
173:迷宮プリンセス27
12/01/21 21:18:51.45 o21vnxI6
麗子は呆然とした。
「影山っ…!?あなた…言ってもいい事と悪いことが…」
「いいえ…私には言う権利と義務があります。真実を知る者として。」
影山は麗子をテーブルの上に押し倒した。ガシャン、と皿が何枚か割れた。
影山の体すべてで押さえ込まれ、麗子は変な体勢で手も足も出なくなってしまった。
「影山っ…何を…」
影山は獲物を捕らえた猛禽類のような目を麗子に向けた。
「お嬢様。私の正体を教えて差し上げましょう。」
「…私は類まれな幸運にて、旦那様にその頭の良さと羽の美しさを見初められた、一匹の鳥。この宝生邸に執事として迎え入れられたのは、ある目的あってのこと。」
麗子は戸惑う。
一匹の鳥…?目的…?
「この宝生邸と言う名の鳥カゴで…、旦那様の最愛の小鳥…
…お嬢様。貴女とつがいになることです。」
…つがい。つまり鳥の夫婦。
「…なにバカなこと言ってんのよ…。私は鳥なんかじゃないわ…。」
「いいえ、鳥です。カゴの中の鳥です。
豪華な食事と贅沢な寝床を与えられ、色取り取りのドレスとアクセサリーを着けた…
旦那様に飼われる、鳥なのです。」
麗子は影山の目に宿る残酷な感情に気づいた。
…哀れみ、だった。
174:迷宮プリンセス28
12/01/21 21:20:27.48 o21vnxI6
…イヤ。
…そんな目で、私を見ないで。
麗子はギュッと目を閉じる。瞳から涙がこぼれる。
「すべての犯人は、旦那様だったのですよ。お嬢様の元恋人達が不幸な目に遭ったのも、それでお嬢様がこの年まで誰とも結ばれなかったのも、私がこの若さでお嬢様付きの執事になれたのも。
執事と結婚させれば…旦那様はお嬢様をずっと手元で飼っていられますからね…。」
影山は麗子に口付ける。鷹が獲物を喰らうような、濃厚なキス。
「んっ…、んっ…」
麗子は泣きながら首を振った。
イヤ。こんなの影山じゃない。助けて…
ガチッ!
影山が唇を放す。下唇からは血が出ていた。ペロリ、と影山は血を舐めた。
「…それでこそ、お嬢様です。」
いつもの影山のような、優しい声。
「…どんな贅沢をしても、自由に勝る王冠はないでしょう?」
麗子はテーブルから降り、影山を睨みつけて言う。
「…あなたはお父様に飼われてカゴの鳥になるのはまっぴら御免、ってわけね。」
麗子は服の乱れを直す。
「…私もよ。」
「…お別れです、お嬢様。」
「…さよなら、影山。せいぜい自由を楽しみなさい。」
麗子は足早に部屋から出て行った。そして影山も…
(…続く。)
175:名無しさん@ピンキー
12/01/21 22:31:46.15 ehsKPyJ/
>>174
めっちゃ続き気になる…!
176:28
12/01/21 22:51:35.66 pq+l/jRN
>>171
連呼するなw
でもごめん。
書くと言っててずっと書けずにいた。
ドラマも見られるものは全部見て雰囲気やノリを掴んだつもりだったけど、つい
年末年始もあっていつも常駐しているスレにだけ行ってた。
その詫びに、エロにまだ到達してないけど短いの書いた。
これで勢いを掴みたい。
177:ワインは恋のアペリティフ 1/3
12/01/21 23:02:53.70 pq+l/jRN
壮麗なる宝生邸の夜。
今宵のディナーは格別のものがあった。
何しろ、麗子が自ら捜査した事件が見事早期解決したのだ。刑事としてこれほど嬉しいことはなく、
上機嫌でワインのグラスを幾度も干していく。
「…お嬢様、そろそろ止した方がよろしいかと存じますが」
いつものように付き従っている影山がそれとなく窘めるが、今夜の麗子は聞く耳を持たなかった。
「ふふーん、あんたなんていなくても私だって事件を解決出来るの。嬉しいんだから止めないでよ」
「それはもちろん結構なことでございます、しかし明日の仕事に差し障りますよ」
「…あー、もう。いっっっつもうるさいなあっ」
いつもなら右から左に聞き流すだけの影山の小言が、せっかくの上機嫌に水を差すもののようで
少しだけ気になった。
手にしていたグラスを干し終えると、催促するように片手を上げる。
「もっと別の、こう…何て言うのかしら。気分がウキウキしてくるようなワインはないの?」
無茶ブリもいいところではあるが、そんなことで怯む影山ではなかった。美貌も頭脳も教養も家柄も、
全てが生まれながらに常人とは桁違いなほどメチャクチャ備わっている麗子とまともに対峙すると
いうのはそういうことだ。
並みの常識と神経では務まらない。
「そのようなものはございませんが、先日面白いものは入手致しました。御覧になりますか?」
「なーに、それ。いいわ、見せてよ」
「かしこまりました」
過剰なほど恭しく頭を下げて何処かへ下がり、程なくして戻って来た影山は一本のワインを手にして
いた。
「これはお嬢様がワインの味にうるさいと聞いたソムリエの友人から、譲り受けたものでございます。
もしもまだ飲み足りないのでしたら、お試しになりますか?」
ラベルは馴染みのないものだったが、確かに飲み足りてはいない麗子はすかさず同意した。
「…いいわ、それを頂戴な」
「分かりました、では今すぐに」
ソムリエにも劣らない澱みのない所作で影山はワインの封を開け、コルクを抜く。まるで静かで優雅
なダンスを見ているようだ、と思った。
新しいグラスに、鮮やかな色のワインが注がれる。
「さ、どうぞ。お嬢様…本来であればワイン担当の者が給仕を致しますところですが、何卒御容赦を」
す、とテーブルの上に差し出されたワインはゆらりと緩やかに揺れて、麗子を挑発していた。銘柄から
してこれまで飲んだことのないワインではあるが、妙に麗子の興味を引いていた。
ワインの瓶が影山のしなやかで美しい手に収まっていた風情が何となく気になっていたのだろうか。
178:ワインは恋のアペリティフ 2/3
12/01/21 23:03:37.79 pq+l/jRN
グラスの中の赤く艶やかな液体をこくり、と一口飲む。
まろやかで芳醇な香が喉から鼻孔に豊かに抜ける。これ以上もこれ以下も、ワインなら幾らでも口に
してきた麗子だったが、このワインにはそれまでにない何か印象的なものが舌に残った。
「…うん、美味しい…」
「お気に召したようで何よりでございます、お嬢様」
影山は満足そうに軽く会釈した。
「これはどこのワインかしら」
「お嬢様のような教養がおありの方でも把握しきれない、フランスの名もなき農園の産でございます。
ただし、元となった葡萄の栽培や醸造方法はバイオダイナミクスによるものでございますが」
「…ああ、そうなの」
バイオダイナミクス、その言葉は以前聞いたことがある。
葡萄の生育に関して農薬や化学肥料を一切使用せず、土壌本来の活力を最大限に利用し、太陽や
月など惑星の動きが環境に及ぼす影響を考慮しながらワイン造りを進めるものだ。有機肥料を使う
だけではなく自然に働きかけて、土地が本来備えている力を引き出すといわれている。
この方法を取り入れて生産されるワインも世界各地で最近増えてきたとは聞いていたが、実際に口に
したのは初めてだった。
もう一口、含む。
「……本当に、美味しいわね」
仕事柄とは全く関係なく、生まれつき合理主義の麗子はオカルト的要素のあるものなど一切信じて
いない。要するに『幽霊はいない』と言い張る子供のようなものだ。
しかし、ひょんなことで影山が持ってきた一本のワインから、少しは科学で説明出来ないことも世の中
にはあるのでは、とも思い始めていた。それほどにこのワインは薫り高く麗子を魅了している。
「ねえ影山」
「何でございましょうか、お嬢様」
「このワインを持って来たのは、偶然じゃないわよね?」
最後の一口を喉に流してから、少しだけ酔ってしまった麗子がとろりとした悩ましい目付きで影山を
見た。
「…何のことでしょうか」
この、常に従順で常に折り目正しい、そして麗子が持ち込んだ事件に的確な推理をして、時に毒舌を
吐く憎らしくも愛しい執事はやはり今この時でも素知らぬ振りをする。
……分かっている癖に。
麗子は胸の中で一人ごちた。
179:ワインは恋のアペリティフ 3/3
12/01/21 23:04:25.16 pq+l/jRN
「あんた私に挑戦しているわね」
とん、と空になったグラスの縁を指先で戯れに叩く。最高のワインが酔いを早めているようで、頭の中
がくらくらしてきた。
「そんなことがある筈もございません、わたくし風情がお嬢様になど」
「じゃ…どうしてこれは私が生まれた年のワインなのかしら」
「…ああ、やはりそこに勘付かれましたね。さすがです」
大袈裟な動作でいかにも感服、といった様子を影山は見せた。嘘臭いにも程がある。
「当然よ」
ふん、と得意そうに麗子はするりとラベルを指先でなぞった。そこにはフランス語でバイオダイナミクス
の手法によって製造された年が明記されている。それが麗子の生まれた年だったのだ。本当に小さな
文字で、よく確認しなければ分かる筈もない。しかも小さな農園で作られたワインである。ラベルの中
にも紛らわしい数字の羅列があって、普通であれば誤認してもおかしくはない。
それを麗子は一発で見抜いた。
もちろんこの影山も同様で、何か祝い事があった時にでもサプライズとして出すつもりだったのだろう。
「お嬢様のような方に召し上がって頂けるなんて、友人もさぞ喜んでくれることでしょう」
もう一杯、グラスに注ぎながら嬉しそうに告げてくる。
「…ふ、ふん。その肝心の私のコメントが『美味しい』だけで悪かったわね」
これだけ最高のワインを口にしたのなら、もっと気の利いたことを言うべきだったと今になって後悔し
始めた。今更ながら語彙の少なさが恨めしい。
「とんでもない」
しかし、影山はものともしないようだった。
「良いものは良い、それだけで結構なのですよ。余計な薀蓄など、プロである友人が過不足なく言う
ことです。お嬢様はそのまま『美味しい』と仰って頂ければワインも幸せでしょう」
「そ…そうなのかしら」
「ええ、そうなのです」
その言葉に静謐な雰囲気を湛える端正な横顔をつい見上げると、まるっきり麗子など心の中にもない
様子で薄く微笑んでいる。
本当に、どこまで憎らしい男なのだろう。
わずかに何かを期待すれば呆気なくはぐらかされる。それでいてこの無駄のない所作と優雅な仕草
が常に忘れられなくさせるのだ。
「…ねえ影山」
もう、どうでもいい。そう思った。
どのみちもう酔い始めている。都合の悪いことは全部このワインのせいにしてしまえ、と半ば投げやり
な気持ちで次の言葉を口にした。
ずっと、言えずにいたことを。
「キスしてちょうだい…いい?」
終
180:迷宮プリンセス(中断中)
12/01/22 19:52:36.62 mmY6g1Wi
す、すいません!
三角関係書きたいなー、と意気込んで書いてたらなんか尋常でない長さに…
まだ完結しないけどここからがクライマックスだぜ!
>>177さんへ。
素敵なお話、ありがとうございます。
自分に遠慮せず、どんどん書き込んでくださいねっ!
181:迷宮プリンセス29
12/01/22 19:54:04.32 mmY6g1Wi
「…犯人が自供しました。警部、後はお願いします。」
いつもなら『ハイハイハイ僕にはわかっていたよ宝生君…』と風祭警部の声が続くところだが。
今日は違う言葉が返ってきた。
『…声が変だな。泣いてたのか?』
「なっ、なに言ってるんですかっ、泣いてなんかいません!」
『いーや、相当声がおかしい。ノドつぶれてるぞ。』
風祭警部の言うとおりだった。
屋敷を出て、自分の足で(というか、タクシーで)小笠原邸まで向かい、犯人に自首するよう進め…
すべてが終わって、窓ガラスに映った自分の姿を見て泣いてしまったのだ。
黒いスーツの、ただの地味な女がそこにいた。
私のことを、お父様に飼われるカゴの鳥、と影山は言った。
でも私は…本当は美しい鳥などではなかった。
自分の力で手に入れたのは、刑事の地位だけではないか。
子供のころに読んだ童話を思い出す。
他の鳥の羽で着飾った真っ黒なカラス。どんなに美しくても、みんな、借り物…
だから影山は去っていったのかもしれない。
鳥カゴのなかでいばっていたバカなカラスを見限って…
「…そうですよ、警部…。泣いてますよ…。フラれたんです!」
「やっぱりそうか…僕にはわかっていたよ、宝生君。」
「うわぁ!」
いつのまにか、風祭警部は麗子の後ろに立っていた。
182:迷宮プリンセス30
12/01/22 19:55:26.06 mmY6g1Wi
「脅かさないでくださいよっ!警部っ!」
「単刀直入に聞こう。なんでフラれた?」
ああ、もう、また取り調べ?
うんざりとした顔で麗子は答えた。
「彼が…私と一緒になってカゴの鳥になるのはイヤだ…と言ったんです。
自由に勝る王冠はなし、とも。」
もういいでしょ?早く帰らせてよ…と言いたかったが。
「バカな男だな。そいつは。」
風祭警部は真面目に…そして不機嫌そうに言った。
「必ず後悔するぞ。男には…自由だのプライドだの、そんなもん放り捨ててでも…
…絶対に手放しちゃいけない女がいるんだよ。」
あまりに真剣な言葉に。
麗子は風祭警部の顔をまじまじと見つめた。
「…警部、ずいぶん重みのある言葉ですが…ひょっとして実体験?」
「まあ…な。おかげさまで四十になってもいまだ独り身だよ。」
麗子はちょっと微笑んだ。
風祭警部もニッ、と笑った。
「まあ僕のことはどうでもいい。宝生君、どうだい、お互い寂しい独り身同士、今夜は僕のジャガーでイタリアンでも…」
「いえ…警部」
いつもなら。「けっこうです。」とか「歩いて帰ります。」とかの断りの言葉を続けるのだが。
今日は違う言葉を返した。
「…和食でしたら…お付き合いいたします。」
183:迷宮プリンセス31
12/01/22 19:56:44.08 mmY6g1Wi
影山は自室のベッドで横になっていた。
麗子と何度か床を共にしたベッド。シーツはとうに取り替えられている。
…彼女の残り香など、あるはずもない。
明日の早朝、この屋敷を出て行こう。荷物は簡単にまとめてある。
そんなことを考えていると。
扉がノックされた。
「…?」
戸を開けても誰もいない。かわりに、水色の封筒がぽとり、と床に落ちた。
(…またか…。)
封筒の中にはメモ書きが入っていた。
『お嬢様から本日ディナーのお誘いを受け遅くなるとの連絡。
風祭警部殿と。和銀亭にて。
和銀亭 住所 …………。』
要点のみの簡潔なメモだが、影山には責められているように感じた。
(もう…放っておいてくれ。)
お嬢様の人生は、もう旦那様が決めたレールから…つまりは私と結ばれる運命から…とうに外れているのだ。
相手が風祭警部なら、順当なルートだろう。
明治からの創業を誇る和食亭とは渋いデートコースだが、いまごろお酒も入っていい感じになって…
そのままホテルに直行なんてことに…
「……………。」
184:迷宮プリンセス32
12/01/22 19:57:59.51 mmY6g1Wi
額に脂汗が浮かぶ。
…いやまさか。いくらなんでも早すぎるだろう?
しかし影山の脳裏には恐ろしい光景が浮かび上がった。
ホテルのスイートで男女の行為に及んでいる麗子と風祭警部が。
自分とのセックスよりずっと淫らに喘いでいる麗子。甘い言葉で風祭警部に愛を囁き、互いの性器を舐めあい、肉欲の限りを尽くしている麗子。
「う、わぁあああああっ!!」
影山はこのときばかりは自分の想像力の豊かさを呪った。
止めろ!お嬢様を自分の妄想で汚すな!
「旦那さまが今のわたくしを見たら…きっと嘲笑うでしょうね…」
宝生清太郎との会談を思い出す。
『何故だ?何故私のやり方が気に入らない?』
『失礼ながら旦那様は…お嬢様の人格を、人生の決定権を、何だと思っていらっしゃるのですか。わたくしはこんなことのために…執事になったわけではない。』
『それは…麗子を捨てる、ということか。』
恐ろしい顔で旦那様は私を睨み付けた。
私は負けじと答えた。
『いいえ…捨てるのは…自分の欲です。わたくしがお嬢様の運命の相手だったなどと…思い上がりも、甚だしかった。』
自分の欲を捨てられる?
そんなことは不可能だ。
しょせん自分は…執事の皮を一枚脱ぎ捨てれば…ただの欲の塊の一人の男ではないか。
185:迷宮プリンセス33
12/01/22 19:59:47.03 mmY6g1Wi
ゴロリ、とベッドに横になる。
そして想像する。お嬢様の最も美しいであろう姿を。
純白のドレスを着た、お嬢様の姿。
「影山。来てくれたんだ。」
「お久しぶりです。お嬢様。よく私めなどに…招待状をくださいましたね。」
「恨みもしたけど…今の私があるのは影山のおかげだから…。」
幸せそうに、お嬢様は微笑む。
「じゃあ行くね。新郎を待たせてるの。」
「行ってらっしゃいませ。お嬢様…いえ、」
「奥様」
グシャリ、と影山は水色の封筒を目の前で握りつぶした。
怖い顔で虚空を見つめる。
神よ。この愚かな獣を笑うなら笑え。
影山は決意を胸にベッドから跳ね起きた。
(…続く。)
186:28=177
12/01/22 21:20:34.63 b8fEJKWi
ごめん。
ぶっちゃけ>>166も自分ですorz
いくら土下座してもし足りないぐらい失礼発言で申し訳ない。
すごく好きな話で、続きを期待しているから変な勢いが余ってしまった。
この先の展開が楽しみなのでまた覗きに来ます。
そんで自分も出来るだけ早く続き書きます。
187:名無しさん@ピンキー
12/01/22 21:56:45.82 RsgjJvKn
>>179
乙!
面白かった!!
188:名無しさん@ピンキー
12/01/23 00:25:14.40 eQpE3+8X
>>177さん
意地っ張りだけど、お酒の力を借りたことにして素直な麗子が可愛い。
>>189さん
風祭が意外な形で絡んできましたね。自分の妄想に焦る影山が面白い。
昔は自分のサイトで小説書いていたんだけど、今は妄想するだけに
なってしまった。
影山と麗子の関係が好きで色々考えるんだけど、まとまらない。
189:迷宮プリンセス34
12/01/23 12:08:09.77 yxPOMeAT
和銀亭から出てきて。麗子は自分の吐く息の白さに驚く。
「寒くないか?」
「いえ…大丈夫です。」
狭い道を、離れた駐車場まで二人で歩く。
今日はどうかしている、と麗子は思った。
自分があの風祭警部のジャガーに乗ってディナーを共にするなんて。
「いいお店知ってますね。さすが四十台独身貴族」
「ハハハ、君さえ良ければいつでもご一緒するよ。」
麗子はジト目で風祭警部を見る。
「…『ショウレイさん』のことはいいんですか?」
麗子のイヤミに、風祭警部は笑う。
「愚問だな。どんな美女でも…
出会えなければ、恋はできないね。」
麗子はピタリ、と足を止める。
影山。
どんな運命でも…出会えて恋ができただけで私は幸せだったのに。
悲しみを思い出し、うつむく。
「宝生君。…まだ、泣き足りないのか?」
「……………。」
麗子は恥ずかしくなる。さっきも店の中で…泣いたのだ。
「…すみません。今日は警部に、みっともないところばかり見せてますね…。」
「…気にするな。いつも僕のほうが、君にみっともないところばかり見せているよ。」
麗子は驚く。
「…自覚あったんですか!?」
「…………君ねぇ。」
190:迷宮プリンセス35
12/01/23 12:09:11.13 yxPOMeAT
「宝生君。泣き顔よりも…眼鏡を取った、君の美人顔が見たいな。」
風祭警部の言葉に、麗子は凍りついた。
どうしよう。
眼鏡を取ったら…私がホウ・ショウレイだとバレてしまう。
でも。
…やがて意を決して、麗子は言った。
「…いいですよ。たいした顔じゃありませんけど。」
…人生が。抜け出せない迷宮なら。
この人に真実を見せることで道が開けるかもしれない。
…たとえ、後戻りできない道だとしても。
麗子は瞳を閉じて風祭警部に顔を向ける。街灯の下、風祭警部は麗子の顎に手をかける。
だが警部の目的は麗子の眼鏡を外すことではなかった。
(宝生君…。いいよな…。)
麗子は気づいていない。
風祭警部の顔が間近にせまっていることに。
(この流れなら…キスくらい…。)
麗子の薄い紅を塗った唇に、風祭の唇がもう後数センチ…というところに。
「…お嬢様っ!!」
麗子の聞き覚えのある声が、夜道に響いた。