ラストエグザイル 銀翼のファムでエロパロat EROPARO
ラストエグザイル 銀翼のファムでエロパロ - 暇つぶし2ch666:名無しさん@ピンキー
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745:鬼畜ルスキニア×リリアーナ
12/04/30 01:38:22.40 8tNhBJaB
自分は一期総集編から見始めた人間なのですが
前半をリアルタイムで見てたらこんなの読みたかっただろうなと思ったので投下します
ぬるいですが鬼畜陵辱で戦火系なので苦手な方はスルーよろ


746:鬼畜ルスキニア×リリアーナ(1/11)
12/04/30 01:39:29.61 8tNhBJaB
目覚めたリリアーナは自分が寝台の上で拘束されていることに気が付いた。
窓のない、おそらくは地下の一室を、青白い照明が照らしていた。
噂に聞くアデス連邦の秘密情報部の本営だろうか。
記憶はかの国の総統ルスキニア・ハーフェズの旗艦インペトゥスの艦橋でミリアと再会したところで途切れている。
次第にはっきりとしていく意識の中で、真っ先に思い浮かんだのは彼女の安否だった。
前後の記憶が混濁しているのか、何があったかを精確に思い出せない。
妹は…‥ミリアは無事なのだろうか。手がかりを探ろうと、必死になって曖昧な記憶を呼び起こす。
あの時、ルスキニアが何事かを唱えた途端、身体に衝撃が走り、そして…‥
「目覚めたようだな」
ねっとりと絡み付くような声に顔を上げると、そこには冷ややかな目で己を見下ろすアデス軍総統の姿があった。
「ルスキニア……!」
引き攣った声を上げたリリアーナに歩み寄った男が、黒い手袋に包まれた腕をゆっくりと伸ばす。
手首に嵌められたルドラクシャが鈍い光を放った。
「触らないで!それ以上近付くのならば、舌を噛みます!」
髪を振り乱してリリアーナが叫ぶと、男は僅かに首を傾げてみせた。
金属製の耳飾りが揺れ、乾いた音を立てる。
「ひとつ忠告をしてやろう。舌を噛むだけで自害できると思っているのなら、それは大きな間違いだ。
 まさか、姫は、舌を噛めば怒りによって憤死するとでも思っているのではあるまいな。
 そんなことがあるものか。あれは単に、噛んだ舌や血が喉に詰まることによる窒息死だ。 
 死体の顔面は腫れ上がり、通常より早く、しかも大量の死斑が現れる」
滔々と語った男が一旦言葉を切ってリリアーナを見遣った。
その口から溢れる残虐な言葉に何の感慨も抱いていないような無感動な顔をしていた。
「醜い屍体を晒したいのならば止めはしない。自害するというのならば好都合だ。
 姫の亡骸は存分に辱めたうえでインペトゥスの機首に掲げさせていただく。
 蛆が沸き、鳥の餌になるような凄惨な姿でも、兵の士気の高揚くらいには役に立つだろう」
「この……人でなし!野蛮人!!」
「なんとでも呼ぶがいい」
靴音高く歩み寄った男がリリアーナの顎を掴んで上を向かせた。
抵抗しようにも、手足を拘束された現状では無駄な足掻きだった。
「この綺麗なお顔が朽ち果てて行く様はさぞかし見物だろうな」

747:鬼畜ルスキニア×リリアーナ(2/11)
12/04/30 01:40:47.07 8tNhBJaB
「離しなさい!無礼者!!」
毅然として拒絶の言葉を言い放ったリリアーナだったが、その虚勢はルスキニアの次の一言によって容易く瓦解した。
「いいのか、そんな口を利いて。お前が死ねば、俺はお前の妹に同じ事をさせるぞ」
「……!」
リリアーナは戦慄した。まさかミリアはあのままルスキニアの手に落ちてしまったのだろうか。
あの子だけは…‥あの子だけは、悲惨な争いや権謀術数から何としても遠ざけておきたいと願っていたのに。
「エグザイルについてはお前も既に理解しているな。遥かいにしえの移民船、エグザイル。
 その防衛機構は強大な攻撃力を持つ。喩えでなく、それひとつで一国を滅ぼすほどの、な」
「エグ…‥ザイル……」
「だが、エグザイルの起動には生体キーが必要だ。
 古来より、トゥランの生体キーは王家によって受け継がれて来たという。
 そう、お前が今代のエグザイルの鍵だ。リリアーナ」
「わたくしが…‥鍵…?」
訝しげなリリアーナの問いかけに、男は頷いてみせた。
「鍵の機能は、継承者が死ねば最も近しい近親者に移る。
 幼いミリア姫には酷な話だが、お前が拒むというのならば致し方の無い話だ」
淡々と話す男の様子にリリアーナは震え上がった。
事務的な言葉の裏にはルスキニアの本気が透けて見えた。
彼はそれが必要とあらばどんな無体でもしてみせることだろう。
「やめて!お願い……ミリアには、手を出さないで……!」
「ならば、自ずとお前の去就も決まってくるというものではないか」
リリアーナは唇を噛み締めて目を伏せた。
堪え難い屈辱だったが、ミリアの身を危険に晒すくらいなら、この身を犠牲にするほうがまだましだった。
「わたくしを利用したいのならお好きになさい。けれど」
言葉をきって男を睨みつけた。
「たとえこの身を汚されようとも、心まで貶める事はできないわ」
「良い心がけだ。容易く命乞いをする輩と比べれば、よほど気骨がある。
 では、お言葉どおり好きにさせて頂くこととしよう」
そう言った男の手が、リリアーナの着衣の裾に伸びた。
制止する間もなく、捲り上げられた布地の下に秘められていたリリアーナの局部がルスキニアの目に晒された。
「なっ…‥!」
突然のことに、頭の回転が付いて行かない。リリアーナはひどく混乱していた。

748:鬼畜ルスキニア×リリアーナ(3/11)
12/04/30 01:41:31.58 8tNhBJaB
「下履きを着けていないのか。用意のいいことだ」
揶揄するような男の言葉に、彼女は激昂した。
「下着を身に着けないのは、トゥランの王族の嗜みです!侮辱することは許しません!」
「許さなくて結構。お前の感情など、これから行うことに何の影響も及ぼさない」
「なんですって…!」
「好きなだけ泣き喚くがいい。そのほうが、堕とし甲斐があるというものだ」
「なにを…するというの……」
「わからないのか?陵辱だ」
「陵…辱…‥?」
「トゥランはすでに我が手に落ちた。敗戦国の女がどのように扱われるか、知らぬ訳ではあるまい」
「そんな…‥!協定違反です!あなたには誇りというものがないのですか!」
「知った事か」
無情に言い放った男の手が伸びて、リリアーナの白い下着の胸元を掴んだ。
そのまま、長く垂らされたリボンを解くこともなく力任せに布地を引き裂く。
「きゃぁあああ!!」
「これはこれは。なかなか良いものをお持ちではないか」
転び出た張りのある豊かな双球を無遠慮に鷲掴みにした男が言った。
「痛っ!!」
白い乳房に男の太い指がくい込む。柔らかな肉が、無惨に形を変えていた。
そのまま、握りつぶすような強さで胸を捏ね回され、リリアーナの口から悲鳴が上がった。
「痛い!やめて!いやぁああ!!」
「この贅肉は、何のために付いていると思っている?男を誘惑して子種を吐き出させるためだろうが」
事も無げにそう言った男が、着衣の前をくつろげる。
奥から現れた赤黒いものを見てリリアーナは息を詰まらせた。
「ひっ!」
リリアーナはこの歳になるまで男性器を目にした事がなかった。
いつか来る日の為にと知識だけは与えられていたが、所詮は付け焼き刃に過ぎなかった。
ルスキニアの手に握られているものは、彼女の予想を遥かに超えて醜悪だった。
男が先程口にした陵辱という言葉が急速に現実味を帯びてくる。
リリアーナの知識が正しければ、あのグロテスクな凶器はこれから彼女の股の間に挿し込まれるのだ。
毎月、月のものが下りてくるその血の道に。
「お願い……無理よ。そんなもの、入るわけない……」
力なく首を振って拒絶する彼女の身体を押さえ付けるように圧し掛かった男が、腰を掴んで狙いを定める。
必死に脚を閉じようとするが、拘束によって大きく開かされているため叶わなかった。
リリアーナの性器は、無防備に男の前に晒されていた。


749:鬼畜ルスキニア×リリアーナ(4/11)
12/04/30 01:43:20.66 8tNhBJaB
「帰還民によって蹂躙されたアデスの民の痛みを、その身を以て知るがいい」
「いやっ!やめて……お願いです、ルスキニア。わたくしはまだ男の方を知らないの!
 こんな風に散らされるために純潔を守ってきたのではないわ……!」
ここへ来ても、リリアーナは目の前の男に一縷の希望を抱いていた。
互いに国を背負う者として争いは避けられなくとも、一人の人間としては分かり合えるのではないかと思っていた。
遠い昔、転んだ幼い自分を助け起こしてくれた少年の面影が、彼女の判断力を鈍らせていたのだ。
「なんと、姫は未だ生娘か。歳のわりに熟れた身体をしておいでゆえ、蔭間の一人や二人侍らせているかと思ったが」
「わ、わたくしは、そんな不潔なことはいたしません!」
感情を露にして反駁したリリアーナの目に涙が込み上げてくる。
ルスキニアが信じ難い外道であることは、もはや疑いようもなかった。
こんな下劣な男を信用しようとしていた数日前までの自分を殺してやりたいとさえ思った。
愚かだった。
淡い初恋の思い出にすっかり目を眩まされ、重大な判断を誤ったのだ。
「不潔、か。子を孕むくらいしか能のない不浄そのものの身で、よくそんなことが言えたものだ」
「いや……お願い……ルスキニア……」
王族としての威厳をかなぐり捨て、リリアーナは懇願した。
恐怖に見開かれた瞳には涙が浮かび、花のような唇は緊張によってわなわなと震えていた。
「アデスの民が泣いて頼めばトゥランは帰還を諦めたか?そんなわけはないな。
 どれだけ泣き叫ぼうと、お前の未来は変わらない。
 トゥラン第一王女の処女は、アデス連邦総統ルスキニア・ハーフェズが散らせて頂く」
言葉が終わると同時に、股間に熱いもの押し当てられた。
それが何なのか理解する前に、リリアーナの身体に未だかつてない衝撃が走った。


750:鬼畜ルスキニア×リリアーナ(5/11)
12/04/30 01:43:59.33 8tNhBJaB
「いや!!いやあぁあああああああああああ!!!!!!!!」
濡れてもいない窪みに剛直を突き立てられたリリアーナが絶叫する。
比喩ではなく、身体を中心から裂かれるような痛みが彼女を挿し貫いていた。
「ひっ、ぎぃ……ぃ!」
一瞬白目を剥いて気を失いかけたリリアーナだったが、ルスキニアによって髪を掴まれたことで現実に引き戻された。
「気を遣るにはまだ早かろう」
「ひっ…!」
髪を掴んだ手をそのまま持ち上げられ、リリアーナの頭が宙に浮く。
加重に耐えきれなくなった毛根が音を立てて引き抜かれた。
「美しい髪だ……この艶を保つ為に、何人の人間が腹を満たす食糧もなく路頭に迷って死んでいくか、お前は知っているのか?
 知らないだろう。だから平和などという生温い理想を追い求める」
氷のように冷えきっていたルスキニアの瞳に、暗い炎が灯っていた。
「わ…たくしは……」
「富める者がいればそこには必ず餓える者がいる。それがこの世界の理だ。
 全ての民が満たされ、幸福のうちに生きてゆく術など存在しない。
 奪う者がいれば、奪われる者はそれを恨まずにはいられない。復讐は連鎖を生み、
 世界は怨嗟の内に鎖される。グランレースが…ファラフナーズの死が俺にそれを教えてくれた」
「ル…ス、キニア……」
「忘れてしまったのかとお前は問うたな……覚えているさ。そして、これが俺の出した答えだ。
 失うことを恐れるのならば、奪われる前に全てを奪い尽くすほかにない」
無造作に指を開いたルスキニアの手から解放されたリリアーナの顔が寝台の上で弾んだ。
「あぅ!」
千切れた黄金色の髪が音もなく辺りに散る。
涙で汚れ、痛みによって引き攣ったその顔は、かつての美貌が見る影もなかった。
「犯す者がいれば犯される者がいる。それもまた世の理だとは思わないか。リリアーナ」
目を細めて見下ろす男の薄い唇に、初めて表情らしきものが浮かんだ。
それを目にしたリリアーナの顔が恐怖に歪む。
「いや…」
「俺と、お前のようにな!」
拒絶の言葉も虚しく、男は律動を開始した。
「いやあっ!!あああっ!!ああああああ゛あ゛――っ!!!」
突き込まれる痛みは言うに及ばない。だが、引き抜かれる動作にも同等かそれ以上の苦痛が伴っていた。
「あ゛っ!っぐ…!…っぁ!!!」
膣の中を圧し進むルスキニアの亀頭がリリアーナの膜を引き裂き、
引き抜かれるカリ首が傷ついたばかりの内壁を蹂躙する。
艦隊の進軍と同じように、その動きに躊躇いはなかった。
接合部はいまや滲み出た破瓜の血で真っ赤に染まっていた。
それでも、男の動きは止まらない。
自らが快楽を得るためではなく、相手に苦痛と屈辱を与えるためだけに腰を振っているのだった。


751:鬼畜ルスキニア×リリアーナ(6/11)
12/04/30 01:44:40.53 8tNhBJaB
◆ ◆ ◆

「っ……ひ、ぐぅ……」
リリアーナの口から、くぐもった嗚咽が洩れる。
突き上げられるたびに迸っていた悲鳴も今や途切れがちになっていた。
「いや……痛い、お願い……もう、許して……お父さま…ミリア……」
虚ろな目をして啜り泣くリリアーナを、仮面のように表情を崩さないルスキニアが見下ろした。
「存外他愛ないものだな。お前の矜持とはその程度のものか」
吐き捨てるように言ったその口で、枕元の小卓に置いてあった小瓶から赤黒い液体を煽る。
鼻を摘んで無理矢理開かせたリリアーナの口に、それを流し込んだ。
「ん、ぐぅうっ!」
喉を嚥下していく液体の生温さが、彼女の背筋を震わせた。
胃の腑に届いた途端カッと燃え上がるように熱くなった身体に気付いた女が目を見開く。
「わたくしに……わたくしに何をしたのです!?」
「媚薬を飲ませただけだ」
しれっとして言う男に焦点を合わせると口元を歪ませているのが目に入った。
嘲笑っているのだった。
「なんて……ことを…!この、悪魔!けだもの!!」
「まだ抵抗する気力が残っていたのか。面白い、やってみせろ」
「ルスキニアァアアアア!!」
嗤いながら見下ろす男に掴み掛かろうとしたリリアーナだったが、腕の縛めによってたちまち寝台へと叩き付けられた。
「あぐぅっ!!」
「姫はなかなか積極的だな。自慢の胸が楽しそうに揺れているぞ。そんなに弄って欲しいのか」
諧謔を弄した男の腕がリリアーナの乳房に触れた。
「な、なにをっ、あっ!?ぁあ!!」
先程のように力任せに掴まれるのかと思って身構えたリリアーナだったが、ルスキニアの手は予想に反して穏やかだった。
「気が変わった。苦痛を与えるよりも、よがらせたほうが面白くなりそうだ」
そう言って豊かに揺れる胸の頂を摘まみ上げる。
両胸の先端を捏ね回されたリリアーナの口から、甲高い悲鳴が上がった。
今まで感じた事のない刺激に、リリアーナの身体が跳ね上がる。
「い、いやっ、あっ、なに、これはっ!あ、あぁんっ、あぁあああっ!」
「なかなかよいお顔をしておいでだ、リリアーナ姫。とてもトゥラン国王代理とは思えぬ淫らな姿だ」
そう言ったルスキニアの手がほつれて頬に貼り付いたリリアーナの髪を掻き上げ、指の背で顔の輪郭をなぞる。
優しいとも言えるその手つきに、リリアーナの身体は意図せずに弛緩していった。

752:鬼畜ルスキニア×リリアーナ(7/11)
12/04/30 01:45:12.37 8tNhBJaB
「ル、ス…キ、ニ、アァ…」
頭がぼんやりとして正常な判断が下せない。
体内を巡る薬物が脳までも侵していくようだった。
潤んだ瞼の向こうで、ルスキニアの顔が少年の頃のそれと重なる。
差し伸べられた腕。薄い肩越しに見えた青い空。
群れた鳩が飛び立ち、辺りには白い羽根が舞っていた。
いっそ絶望的と言えるほど美しい記憶。
なぜ今になって十年も昔のことを思い出したのかわからなかった。
だが、脳裏に浮かんだその映像が彼女にもたらした変化は劇的なものだった。
「…‥…‥ぁ……はっ……あ」
先程破瓜されたときに貫いた痛みが走ったのと同じ道を、今度は得体の知れない感覚が這い登る。
きつく勃ち上がった胸の先端がじんじんと痛んだ。
弛んだ思考の隙間から、更なる刺激を期待して欲望が舌を出す。
「何が欲しいか、自分の口で言ってみせろ」
促す男の声に、全てを投げ出して従いたくなる誘惑に駆られる。
それでも、僅かに残った意識がそれを拒んでいた。

口を噤んだリリアーナに、男はあくまでも柔らかく語りかける。
「どうした?躊躇うことはない。先程自分が呑んだものを忘れたわけではあるまい。
 媚薬を飲まされ、理性を保てる者など居はしない。
 お前が我を忘れてよがったとしても、それを咎める者など誰もいない」
男の言葉は、リリアーナを縛り付けていた最後の鎖を容易く打ち砕いた。
そう、媚薬だ。
この尻を撫で上げるように肌を這い回る未知の感覚は、悪徳高いかの薬の効用によって齎されたもの。
ならば、この身に巣食うもどかしい熱もまた、彼女の意思によるものではないのだ。
すべては媚薬と、それを口にすることを強要した男の所為。
だから、この気が狂いそうな身体の疼きを鎮めるためには、彼の言葉に従う他に術はない。
(わたくしは、悪くないわ…‥仕方がないのよ、媚薬を呑まされてしまったのですもの。
 これからどんなことがあっても、それは全部…‥全部、薬のせいなんだわ…‥)
誇りという最後の砦を失った彼女の身体はどこまでも墜ちて行く。
墜落の果てに待っているのが破滅だとしても、今の彼女にはそのことに思い至れるほどの余裕はなかった。

753:鬼畜ルスキニア×リリアーナ(8/11)
12/04/30 01:50:05.12 8tNhBJaB
「もっと……」
劣情に背を押されて、無意識に蠢いた舌が唇を舐めた。
もはや、溢れる興奮を押し隠すのも困難になっていた。
「もっと……さわって……くだ、さい……」
「どこを?」
「む…む、ね、を……」
「承知した」
短く答えた男の手がたわわに実った果実のような大振りの乳房を掴み上げた。
「あんっ!」
リリアーナの口から、大げさなほど甘い嬌声が洩れる。
今や、下半身に埋め込まれたルスキニアの圧迫感ですら心地よい。
身じろぎした拍子に喰い締めれば、その形が手に取るように感じられた。
「この先はどうする」
「ぁ……さきほどのように、む、胸の…先を」
「胸の先とはどこのことだ。ここか?」
「ち、違っ……!」
「言葉で示せ」
「その、ち……乳首を…わたくしの、乳首を…もっと弄ってください……」
高貴なその唇が躊躇いながら発した卑猥な言葉にルスキニアは薄い唇を歪ませた。
「よかろう」
男の指先がリリアーナの蕾を捕らえ、捻り上げる。
「あひぃっ……!」
両胸の先から迸る痛みに女は悲鳴を上げた。
硬く尖った乳頭に爪の先を捩じ込まれて叫ぶ。
「いや……ルスキニア……!いたいのは、もういやなの。おねがい、やさしく…やさしくして……!」
「そうか、これは申し訳ない事をした。……血が滲んでいるな。治療をしてやろう」
ルスキニアの薄い唇が、赤く色づいたリリアーナの乳首を口に含んだ。
傷ついた先端を舌でちろちろとくすぐるように弄ばれ、次いで乳輪をべろりと大きく舐め上げられる。
「 んっ!く、ぅ…」
リリアーナの口から、熱い吐息とともに呻き声が洩れた。
そのまま硬い歯を押し当てらて、甘噛みをされればびくびくと身体が痙攣する。
「あ……あ、ァ」
だらしなく口を開けたまま舌を突き出し、快楽に溺れるリリアーナを見て、男が嗤った。
「そうしていると実にお可愛らしい。この舌を噛み切ろうとは愚かなことを考えたものだ」
更なる快楽を乞うように差し出された舌をルスキニアの指が摘んだ。
そのまま口内に指を差し入れられ、中を掻き回される。
頭の中で、ぬちゃぬちゃという湿った音が響いてリリアーナは全身を震わせた。
熱く火照った身体は、すでにどんな刺激をも快感として捉え、反応するようになってしまっていた。
もはや抵抗する意思など絶え果てた様子のリリアーナを見て、男はその脚を拘束していた縄を解いた。
自由になった脚の太腿を掴み、寝台に仰臥する女に押し付けるようにして股を開かせる。
「あっ…‥!ル、ルスキニアっ!いやっ!みないで!だめ……っ!いやぁ!あっ!あっ!!」
男をくわえこんだ秘部が露になり、リリアーナの身体は羞恥に燃え上がった。
構わず腰を突き込んだルスキニアのものを最奥に叩き付けられ、女の口から高い声が漏れる。
「あ!ああ!お、おくに……!おくに、あたるの!あなたが……あなたが!ルスキニア!ルスキニア!!」
髪を振り乱しながら叫ぶリリアーナを寝台に沈めるように男が腰を打ち付ける。
脚を大きく開いて仰臥する女はまるで展翅された蝶のようだった。
ルスキニアがその欲望で子宮口を叩くたびに、リリアーナは断末魔の獣のように喘いだ。
「ああっ!あああああっ!!!!」
ひときわ深い一突きのあと、女の膣はひどく痙攣し、次いで弛緩した。

754:鬼畜ルスキニア×リリアーナ(9/11)
12/04/30 01:52:15.81 8tNhBJaB
「達したのか」
「あ……ぁ、あ……」
声にならない声を垂れ流す女の顔を覗き込む。目を開けてはいるが視線は虚ろに彷徨っていた。
衰えぬ怒張を一度引き抜き、弛緩したリリアーナの身体を裏返したルスキニアは、
王女の秘裂から血液以外のものが溢れていることに気が付いた。
破瓜の血と混じって色づいた体液が内股を伝い、艶かしく肉感的な太腿にまで垂れていた。
「…‥ずいぶんな濡れようだな」
破瓜の血に赤く染まった肉棒を再び押し込めると、女のそこは抵抗なく受け入れた。
軽く抜き差しをしてみれば、結合した下腹部からはぐちゃぐちゃと湿った音が響いた。
「すっかり馴染んで、まるで使い込まれた娼婦の性器のようではないか。なぁ、リリアーナ姫よ」
「ひっ!ぁっ…あ、ふぅ」
腰を高く突き上げた淫らな体勢のまま、リリアーナの腰が拙く揺れる。
無意識のうちに、自ら快楽を求めているのだった。
「今日初めて男を知ったばかりというのに、すでにこの有様とは恐れ入る。姫には淫乱の素質があるのではないか」
「やっ、ぁああっ!」
豊かな臀部を掴んで奥深く突き入れると、女の背中が大きく撓った。
「無理矢理犯されて感じるとは、随分よい趣味をお持ちだ。これも王族の嗜みなのか?
 護衛上がりの下賎な私には理解できかねる感情だな」
腰を振る男の動きに合わせて、肌のぶつかる音がぱんぱんと小気味よく響いた。
「っあ、や、あぁん!はぁっ、ああっ!あああ!!」
「どうだ、心地よいか」
耳元で低い声でそう囁かれ、リリアーナは身体を震わせた。
それに合わせ、膣の中を行き来するルスキニアの肉棒を、わななく内壁がゆるく、きつく締め付ける。
「あっ、いいっ!きもち、いいのっ……!おねがい、ルスキニア…!もっと…!
 もっとわたくしを…わたくしを、めちゃくちゃにして…っ!あっ!ぁあん!」
腰をくねらせてねだるリリアーナの額で、王族の証である緑色の貴石が淫らな動きに従って揺れる。
唇から洩れるのは嬌声と涎ばかりというこの現状において、
もはや彼女がその宝冠に値しない、ただの女であることは明白だった。
「正直な人間は好ましい。自らの欲望に忠実な女もな」
そう言いながら、後ろから手を回したルスキニアの指がリリアーナの陰部をまさぐる。
熱く潤んだ肉の襞を掻き分け、硬く隆起した突起を指先で捕らえた。
「あ、いや、そこは…!っあ!あぁあ!!」
指の腹で押しつぶすようにしてやると、女の唇から甲高い悲鳴が上がった。
「ぁああ!だめっ!だめぇええええ!!」


755:鬼畜ルスキニア×リリアーナ(10/11)
12/04/30 01:54:05.92 8tNhBJaB
もう何度目になるかわからない絶頂を迎えたリリアーナの髪を掴んで己を振り向かせたルスキニアは、
その耳元で静かに告げた。恋人に睦言を囁くように楽しげな声色だった。
「いいことを教えてやろうか、姫。先ほど媚薬を飲ませたと言ったが、あれは、嘘だ」
「……え?」
快楽の余韻に浸っていたリリアーナの虚ろな瞳に、僅かに理性の光が戻った。
「中身はただの果実酒。催淫効果など欠片もない」
「どういう…‥こと…」
「知れたことよ。お前はいま、正真正銘、正気のままでよがり狂っているということだ」
「う…そ……、そ、そんなことはでたらめです。
 あなたは、わたくしを貶める為に、わざとそんなことを…!」
「残念だが、事実だ」
ことのからくりを告げられたリリアーナの表情の変化は見物だった。
初めに疑惑、そして戸惑い。次いで恐れ、焦り。さらには混乱。
朝露に濡れた花が次第に開いていくように徐々に移り変わる彼女の表情を、ルスキニアは満足げに堪能した。
「そんな……そんな、わたくしは……わたくしは……!」
残酷な真実に辿り着いたリリアーナの唇から、悲痛な叫びが洩れた。
最後にその顔に焼き付いたのは、見紛い様のない絶望だった。
「うそっ!嘘よ!!そんなこと認めないわ。お願い、嘘だと言って!!!」
「くっ、くくくっ」
ルスキニアは哄笑した。
「はははっ!はーっはははははははははっははははははははははっ!!!!!
 哀れだな!!リリアーナ・イル・グラツィオーソ・メルロー・トゥラン!!
 故国を滅ぼした男に、獣のように犯される気分はどうだ!?」
「いやっ…‥!いや!!やめて、ルスキニア!抜いて…‥お願い、抜いてえぇえええええ!!!」
号泣しながら絶叫し、男の腕から逃れようとするリリアーナを押さえ込み、ルスキニアは腰の動きを再開した。
「恐ろしいか?どれほど悲嘆に暮れようと、心も身体も、もはやお前の思い通りにはならない!
 お前の誇る気高さも、理想も、本能の前には何の役にも立たぬ塵芥に過ぎないのだ!」
「やっ!ああっ!ああん!!あうっ…‥!ふ、ぁああああああ!!!」
心とは裏腹に、リリアーナの性器はルスキニアのそれを物欲しげに捕らえて離さない。
本人の意思など知らぬ顔で、女の身体は再び快楽の海に堕ちて行く。
窓のない部屋に、朝は訪れない。
夜は永遠に明けず、この陵辱は彼女の心が壊れるまで続くのだ。
情報部の厚い防音壁に阻まれ、狂ったように笑い続ける男の声と女の悲鳴が地上に届くことは決してなかった。

756:鬼畜ルスキニア×リリアーナ(11/11)
12/04/30 01:56:30.89 8tNhBJaB
◆ ◆ ◆

アデス連邦の首都モリヴァリードの再深部、総統直属の秘密情報部の一室に、音もなく入り込む一つの影があった。
気配に気付いたルスキニアは振り返らず彼の名を呼んだ。
「アラウダか。後始末を頼む」
投げやりな様子でそう言った男を見て、アラウダは溜め息を吐いた。
寝台に腰掛けたルスキニアの視線の先には、裸の女がひとり横たわっている。
総統閣下が哀れな捕虜にどのような拷問を加えたのかは一目で明らかだった。
無造作に投げ出された女の身体には、至る所に指の形をした痣や由来の知れた鬱血の痕がある。
それを隠すために必要な衣装を用意する算段をしながら、アラウダは苦言を呈した。
「あまり無茶なことはするな、ルキア。使い物にならなくなったらどうするつもりだ」
「なに、生きてさえいれば問題はなかろう」
珍しく口元に笑みさえ浮かべているルスキニアを見て、アラウダは困惑した。
「……楽しんでいるのか?」
「そう見えるか」
「意外だな。お前がこういうことに悦びを見出す質だとは知らなかった」
「抵抗する気力を殺ごうとしただけだ。他意はない」
そう言って寝台の上で横たわる白い裸体を視線で辿り、目を細める。
「だが、俺が手加減なく抱いても壊れない女は貴重だ。
 ギルド人の血を引かない地球の女の身体は脆弱に過ぎるからな」
そのせいで今までに何人の娼婦を潰して来たかわからない。
彼は生来、手を抜くということが不得手だ。
ルスキニアに抱かれた女は、正気を保つどころか、命があることさえ稀だった。
「楽しむのは構わないが、リリアーナ姫にはまだ演じて貰わなくてはならない茶番がある。
 精神に異常を来しては、役者としても使い物にならなくなるぞ」
「ファラフナーズ様を犠牲にして生き長らえた女だぞ。
 エグザイルの鍵であることは別として、最低でもこのくらいは役に立ってもらわねば困る」
吐き捨てるようにそう言ったルスキニアは、次いで薄い唇を笑みの形に歪ませた。
「それに、具合はなかなか悪くない。馴らせば充分、名器の部類に入るだろう。
 腐っても王族だ。下士官どもに払い下げるわけにはいかないが、お前が慰み者にしたいというなら貸してやってもいい。
 なんなら、二人掛かりで弄んでやるのも一興だ」
「遠慮しておくよ。若い女に興味はない」
「さすが、老若男女を籠絡して手駒にしてきた情報部の長は言う事が違う」
珍しく饒舌に語るルスキニアの言葉に構う事なく女の身体を清拭しようと近付いたアラウダは、
彼女の性器から垂れる白濁に気が付いて眉を顰めた。
「避妊しなかったのか。孕んだらどうするつもりだ」
「エグザイルの鍵に予備ができるな。喜ばしいことではないか」
「……」
振り返ったアラウダは、ルスキニアの真意を探るように視線を合わせた。
冷えきった瞳の中に感情らしきものは見当たらなかった。あえて押し殺しているのか、あるいは…‥


757:鬼畜ルスキニア×リリアーナ(12/11)
12/04/30 01:58:20.58 8tNhBJaB
「どうした。言いたいことがあるのなら、口にすればいい」
「いや。俺はルスキニア総統の手足。手足に思考など必要ない。そうだろう」
「…‥違いない」
アラウダからの視線を断ち切るように、瞼を伏せて頷いたルスキニアは一息おいて立ち上がった。
「自害しないよう見張りを付けておけ。後は好きにさせて構わん」
くつろげていた軍服の襟を正す。
歩を進め、扉に手をかけたまま振り返らずに言った。
「君はどう思う、アラウダ」
「なんのことだ」
「…‥いや。忘れてくれ」
怪訝な顔で見送るアラウダを残し、厚い扉が、重い音を立てて閉ざされた。
彼は、寝台の上で眠る女を見て溜め息を吐いた。
次にあの扉が開かれるとき、彼女の身に降り掛かるであろう災厄の数々を想像したからだった。
それは確かに、哀れみに足る運命であるとアラウダは考えた。
膣に残る精液を掻き出し、間に合わせの薄衣を纏わせたリリアーナを再び寝台に横たわらせる。
女の眠りは深く、身体は死人のように力なく重かった。
ふと顔を上げたアラウダは、枕元の小卓に置かれた小瓶に気が付いた。
半ば残った赤い液体の匂いを嗅ぎ、口に含む。
強い甘味の後に、噎せ返るような酒精特有の芳香が薫った。
「柘榴酒、か」
僅かなえぐみが、いつまでも舌先を痺れさせて消えなかった。
人の肉の味がするという益体もない伝承を思い出した。
黄泉路を往く者の糧になるのだとも聞いたことがあった。
そういえば、とアラウダは思った。
先程リリアーナの身支度を整えた時に、彼女の口からも同じ薫りがしていた。
だが、彼の気がかりは、ルスキニアからもまた同じ果実の香がしていたことだった。
それが意味するところを考えて彼は独り言ちた。
「甘いな」
低い呟きは、受け取り手を持たず闇に溶けて消えた。


758:名無しさん@ピンキー
12/04/30 02:02:23.31 8tNhBJaB
投下は以上です。読んで下さった方、ありがとうございました

リリアーナはこの後淫乱調教するもよし、ヤリ捨てるもよしという感じで
ルスキニアは本気でリリアーナ憎んでるでも恨まれるためにわざと鬼畜演じてるでもお好きなほうをドゾー

分割ミスって名前欄が妙なことになってますが気にしないで頂けると有り難いです

759:名無しさん@ピンキー
12/04/30 11:55:17.58 pTFEsFwX
>>758乙です!
純粋にお互いを想ってる感じのルスリリもいいけど、こんな感じで鬼畜ルッスーと凌辱リリー様も
なかなかくるものがあるな ふう…

760:名無しさん@ピンキー
12/04/30 12:38:14.59 gROpPuJp
>>758
乙です。いろんなパターンのルスリリが読めて嬉しい。

761:名無しさん@ピンキー
12/04/30 20:07:36.90 i4u6kGnM
>>758
乙!鬼畜ルッスーもいいな
ファラフナーズや、なんでもお見通しそうな勘のいいアラウダは
ルスリリを物語って行く上でやはり必須キャラだなw

762:名無しさん@ピンキー
12/05/01 07:54:36.70 v+6h6YJk
おはようからおやすみまでルスキニアの覇道を支えるアラウダさんなら
喋らないローターや性技の指南書にもなってくれるに違いない

763:名無しさん@ピンキー
12/05/01 08:17:47.67 WlBaeD98
性技の指南書…実技で教えるほうが何かと捗るな
まずは3Pから初めてはいかがだろうか

764:名無しさん@ピンキー
12/05/01 19:29:10.35 s9zErVnQ
>>758
GJ!面白かった!放送終わっても投下してくれるの有難い
淫乱調教されちゃうリリアーナ様ぺろぺろ

765:名無しさん@ピンキー
12/05/02 12:39:40.89 yceTDEWo
一口に淫乱調教といっても快楽堕ちから精神崩壊までパターンは選り取りみどりですぞ

opでルスキニアに縋るリリー様見てこれはお口でご奉仕くるで!と思ってた頃が懐かしい・・・

766:名無しさん@ピンキー
12/05/02 20:58:31.19 yz2FSvjh
快楽墜ち→お口でご奉仕という流れだな

767:名無しさん@ピンキー
12/05/03 13:29:11.94 4Wdo1btt
完全に堕ちるまでは危険だから服を脱がせておかないといけませんね
リリー様はお胸も立派でいらっしゃるから有効活用しない手はないですね
完堕ち確認のためにもアナル調教をする必要がありますね
すべてはファラフナーズ様の理想の世界を作るためだから仕方ないですね

768:名無しさん@ピンキー
12/05/03 21:43:14.40 uqYWGOst


769:名無しさん@ピンキー
12/05/03 21:44:05.31 uqYWGOst


770:名無しさん@ピンキー
12/05/03 21:44:40.51 uqYWGOst


771:名無しさん@ピンキー
12/05/03 21:45:03.98 uqYWGOst


772:名無しさん@ピンキー
12/05/03 21:45:39.43 uqYWGOst


773:名無しさん@ピンキー
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774:名無しさん@ピンキー
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775:名無しさん@ピンキー
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776:名無しさん@ピンキー
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778:名無しさん@ピンキー
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779:名無しさん@ピンキー
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780:名無しさん@ピンキー
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791:名無しさん@ピンキー
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831:名無しさん@ピンキー
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833:名無しさん@ピンキー
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12/05/03 22:03:31.12 uqYWGOst


835:名無しさん@ピンキー
12/05/03 22:05:01.40 uqYWGOst


836:名無しさん@ピンキー
12/05/03 22:06:13.63 uqYWGOst


837:名無しさん@ピンキー
12/05/05 01:17:52.14 yZJ4jYYd


838:名無しさん@ピンキー
12/05/05 01:18:22.77 yZJ4jYYd


839:名無しさん@ピンキー
12/05/05 01:19:42.93 yZJ4jYYd


840:名無しさん@ピンキー
12/05/05 01:20:15.14 yZJ4jYYd


841:名無しさん@ピンキー
12/05/05 01:21:03.64 yZJ4jYYd
ルスリリw

842:名無しさん@ピンキー
12/05/05 01:21:50.54 yZJ4jYYd
アラルスリリwwwww

843:名無しさん@ピンキー
12/05/05 01:23:11.44 yZJ4jYYd
リリ様w3Pwクソビッチww

844:名無しさん@ピンキー
12/05/05 01:23:45.15 yZJ4jYYd


845:名無しさん@ピンキー
12/05/05 01:25:17.23 obcIObY8


846:名無しさん@ピンキー
12/05/05 01:25:46.05 obcIObY8


847:名無しさん@ピンキー
12/05/05 01:26:17.81 obcIObY8


848:名無しさん@ピンキー
12/05/05 01:26:59.52 obcIObY8
リリ様w

849:名無しさん@ピンキー
12/05/05 01:27:36.48 obcIObY8


850:名無しさん@ピンキー
12/05/05 01:28:29.29 obcIObY8


851:名無しさん@ピンキー
12/05/05 01:29:12.20 obcIObY8


852:名無しさん@ピンキー
12/05/05 01:31:51.06 obcIObY8


853:名無しさん@ピンキー
12/05/05 09:54:03.84 3Gg+JvMS
このままだと次スレになっちゃいそうだ
テンプレどうしよっか。ファム可愛いはあんまりだろw

854:名無しさん@ピンキー
12/05/05 10:33:33.08 NV7j9iUW
他スレのテンプレとか参考にするとこんなかな
追加修正適当に頼む

-----------------------------------------------------

「ラストエグザイル-銀翼のファム-」のエロパロスレです。

・キャラ、カプ否定や萎え、sage発言はダメです。荒らしアンチはスルー
・次スレは>>960居なかったら>>980が立てましょう
・職人さん募集中です

【過去作品(1期)】
2chエロパロ板SS保管庫
URLリンク(green.ribbon.to)
↑ここの『dat落ちスレッドの部屋その1』

【前スレ】
ラストエグザイル 銀翼のファムでエロパロ
スレリンク(eroparo板)

-----------------------------------------------------------
中盤で話題に出たこれ↓も>2あたりに貼っておいた方がいいのかな

SS書きの控え室
URLリンク(hikaeshitsu.h.fc2.com)

855:名無しさん@ピンキー
12/05/06 13:25:10.70 jQ9PR8mf
書き手Wikiって何だったんだ。俺はいまだにたどり着けん
それはともかく俺忍法帳のレベル10もないんだが
うっかり960踏んだらどうしようこわいw

856:名無しさん@ピンキー
12/05/06 18:04:26.67 LdtV5W25
立てられなかったら代わりの人に頼んで立つまで減速でいいんじゃね?

新スレになって新しい職人さんも来てくれるといいな

857:名無しさん@ピンキー
12/05/08 23:06:06.98 UmlEvOb3
ファムは骨盤、ミリアは鎖骨、ジゼは二の腕がエロいと思う
そんでリリアーナは尻、アルは太腿、ヴァサントは頬っぺた
異論は認める

858:名無しさん@ピンキー
12/05/09 00:46:54.24 BsTApzka
なにを言う!ミリアはロリミリア全身が至高に決まってる!
ちくしょうエロいことしたいのに相手がいない!

859:名無しさん@ピンキー
12/05/09 01:28:04.30 zv7h0NWm
個人的には、リリーは尻も良いが、2話ミュステリオン発動時のおっぱいが至高だと思う

ロリミリアはレース中ひとりで抜け出した時に、街中のモブおっさん達に目をつけられて…

860:名無しさん@ピンキー
12/05/11 07:14:34.75 gJadoScX
ファラフナーズが円盤では美熟女に修正されてるて本当すか
39歳で美人ならいける気がする
エロテロリストに期待

861:名無しさん@ピンキー
12/05/11 15:59:22.32 hXajvbJh
手練れのババアにあれこれされる無表情若ルスキニアなんて興奮するが
多分誰もついて来れないと思うので自重、自重だ!

862:名無しさん@ピンキー
12/05/11 19:07:26.79 a5Yd0S/k
うん。腐ったお姉さん以外ついていけないから自重してくれ。
つーかこっちより801にスレ立てた方が良かったんじゃないの。
ほとんどレスしてるの腐女子でしょ。

863:名無しさん@ピンキー
12/05/11 21:12:14.52 zcw5pp6Z
そうね男らしいエロが読みたいけど。あなたどう

864:名無しさん@ピンキー
12/05/11 21:17:38.26 zcw5pp6Z
801と腐の意味もわからんバカは半年romってろと返せばおk

865:名無しさん@ピンキー
12/05/14 07:04:56.62 AKoZ30V3
そもそもイラストでさえラスエグの男性向け二次をほとんど見かけない
供給が追いついてないのかそもそも需要がないのか…

866:名無しさん@ピンキー
12/05/14 21:30:35.03 sYqm3d/f
作品自体が知られてない(作品は知ってるけど見てない)でFA
でも俺得だからミリアが薄汚いおっさんにリンカーンされたりアリスの筆おろしとか
リリアーナ様の凌辱二次マダー?

867:名無しさん@ピンキー
12/05/15 12:32:32.07 6L58Zdty
領土確保のためにシルヴィウスクルーに身売りするミリア、アリスに性的な悪戯されるテディ
ラサス特攻前に兵士達の士気を盛り上げるために身体を差し出すリリー様なんかもいいな。

個人的には内乱を阻止するためにアラウダか皆殺し部隊あたりに凌辱・監禁されて
骨抜きにされるヴァサントなんてのも読んでみたいものだ。

868:名無しさん@ピンキー
12/05/16 06:02:25.69 bd2toBMe
おヴァサントはまかせた
俺は元気なファムとミリ穴姫を犯してくる

869:名無しさん@ピンキー
12/05/16 21:23:36.28 Bn50opfy
>>868
ミリアはともかくファムの喘ぎ声が想像できない
ちょっと試しに書いてみてくれないか

870:名無しさん@ピンキー
12/05/21 20:53:13.48 WDIO5yMF
誰も居ないみたいなのでロリリーは頂いていきますね
穿いてない股間クンカクンカ(*´д`*)

871:名無しさん@ピンキー
12/05/21 22:35:54.20 NRjw+s1B
ファムのあえぎ

「ふ! あ! ふ! あ! ふ! あ! ふ! あ!」
ぎし ぎし ぎし ぎし…

「ちょっ! ファム! ちょい、声でかいぜ! はっ! はっ!」
ぎし ぎし ぎし ぎし…

「ふぁっ!! だっ、だって! きもぢ! いぃ!
 ふぁっ!! ふぁっ!! ふぁっ!! ふぁはあああ!!!!! …ん …んん…」
がくがく ぴくぴく

「くぅ! すげぇ…しめつけ! だ!だすぜ!ファムぅ!」
どぴゅっ! どく… どくぅ…

「はぁ はぁ… えっ? あれ? 何、これ… まさか、まさか…
 ああぁ!! 中に出しちゃってええ!!」
「いや、あんま気持ちよかったから ファムおまえ最高だったよ…って あいてぇ!!!」

872:名無しさん@ピンキー
12/05/22 07:41:13.17 Ne+5jrpl
>>871
相手はフリッツか?
この二人はケンカップルっぽくて可愛いなw

873:名無しさん@ピンキー
12/05/26 03:40:03.91 wdKCkA8v
ファラフナーズ生存ifの続きをwktkしながらずっと待ってる…

874:名無しさん@ピンキー
12/05/26 13:20:44.73 C/JvPKNb
>>854
新スレに合わせて、このスレのSSの保管も保管庫に頼んだ方がいいのかな?

875:名無しさん@ピンキー
12/05/26 21:18:18.73 iYU/wnSd
保管庫って中の人に依頼する形式だっけ?

>>868
ミリ穴って書くとなんかキツそうな感じがする

876:名無しさん@ピンキー
12/05/30 20:44:32.91 uzX4Kdsn
ミリアとリリアーナで姉妹丼もいいなぁ…

877:名無しさん@ピンキー
12/05/30 22:45:53.89 cQBy1I6v
「わたくしはどうされてもいいからミリアにだけは…!」ってやつですね
そしてリリーの素知らぬ所でミリアも調教されて最終的に姉妹丼 これでいこう


878:名無しさん@ピンキー
12/06/04 01:39:40.98 KiL6LQzz
姉妹丼いいな

しかし人いないな… 4月アニメに流れていったのか

879:名無しさん@ピンキー
12/06/04 16:22:05.51 eTvGlO/O
自分はひたすら873のを待機中

ミリアやリリアーナとか貴族の性教育は早いのかな
家庭教師に教わるのか授業風景を覗きたい

880:名無しさん@ピンキー
12/06/06 21:29:57.99 EE2tRZOX
>>879
おひいさまの性教育…実用的な種搾り取る系か全てを殿方に委ねて…系かどっちかな。
「天井の染みを数えている間に終わります」って言われてたのに実際はそんな訳なくて
動揺するミリアやリリアーナを視姦したい。天井の穴から。

881:名無しさん@ピンキー
12/06/07 20:25:34.94 BeIJ8LIM
生き残った五将軍のうちの誰かと肉体関係になるものの相手は勅命だから仕方なく抱いているだけと思い込み、
(わたしがアウグスタだから…!)と絶望しながら後背位でガンガン突かれちゃうサーラたん(16歳)下さい

882:名無しさん@ピンキー
12/06/16 21:41:54.43 BPQAF9XC
>>879
身を守らせるためにも性教育は早そう
子供ができる仕組みを始めて聞いた時表向きは冷静なふりしてても
内心「なななななんて破廉恥なの!」と動揺してるロリリアーナだといい
>>881
16歳かピチピチ食べごろだな
相手はリードが上手そうな手慣れたソルーシュ希望

883:名無しさん@ピンキー
12/06/28 21:07:21.79 ELn7IRVx
初体験の緊張と恐怖で涙ぐむアウグスタ萌え

884:名無しさん@ピンキー
12/06/29 20:38:26.56 IfMCc6dH
サーラはお母さん似では無いから将来あまり乳がでかくならないかもな

885:名無しさん@ピンキー
12/07/03 16:57:35.17 v0Mw9vHA
処女は
サーラ・アル・ミリア・リリアーナ・ファム・ジゼ・ディアン
経験済みか謎なのは
ヴァサント・タチアナ・アリス・ソフィアあたりか

886:名無しさん@ピンキー
12/07/14 02:31:05.70 HkVxUdEb
リリアーナぺろぺろ

887:名無しさん@ピンキー
12/07/26 18:54:28.50 YPtFoNJb
ソフィアぺろぺろ

888:名無しさん@ピンキー
12/08/02 00:39:19.77 0xm1p2+4
873の続きをずっと待ってる!

889:名無しさん@ピンキー
12/08/26 22:55:38.46 yL0kUrH4
人いないな

ファムでもエアリエルログ発売らしいから、新しいネタが明かされて
投下があるといいが…

890:名無しさん@ピンキー
12/08/29 23:17:31.53 X6iYJQ2A
1つでも新規燃料があれば妄想し放題なんだがな

891:姫君と護衛2(0/12)
12/09/02 15:20:42.90 ZZDhyxHP
ファラフナーズ生存ifの続きを投下します
グランレースでのテロが起こらなかった世界線で、姫と護衛が擦った揉んだする話
かなりオリジナル要素が強くなっていますのでご注意ください
今回もエロはほとんどありません。苦手な方はスルーをお願いします

892:姫君と護衛2(1/12)
12/09/02 15:22:27.18 ZZDhyxHP
リリアーナが再びグランレースを観戦するのには、二年の歳月を待たねばならなかった。
五年ぶりにグランレースの開催されたその翌年、いよいよ病を篤くした父の代わりに
摂政として政に采配を振るい始めたリリアーナには、開催地へと赴く時間すら許されていなかった。
だが、平和を望むトゥランの意志を他国に示すには国使の派遣が不可欠だった。
国内情勢などを考え併せた結果、名代には妹姫のミリアが立つこととなった。
幼い彼女を一人で遣るのには不安もあったが、本人は大いに意気込んでいるようだった。
ファラフナーズの望みどおり毎年開催されるようになった平和の祭典に参加できないことは、
リリアーナにとって只ただ残念だった。
しかし、それ以上に周囲の人間に余計な未練を気取られぬよう隠すのに苦労した。
王族らしく感情を押し殺すのに慣れてきてはいたが、ともすれば溢れそうになる想いが自分の中にあることをリリアーナは知っていた。
許されぬ想いだということは理解していた。
それでも、育てまいとしていた種はこの二年のうちに彼女の心に深く根を張っていた。
初めて気付いた時には戸惑った。 否定しようと思ったこともあった。
彼女にとってそれは、物語の中や侍女たちの噂話の中にしか存在しないはずのものだった。
すべてを押し流す激流のようだというその感情が自分を訪れる日は来ないと思っていた。
憧れがなかったわけではない。だが、同じくらい恐れてもいた。

リリアーナはルスキニアに恋をしていた。
相手がなぜあの護衛の青年なのか、自分でも不思議だった。
彼は確かに親切だったが、そのような扱いを受けるのはリリアーナにとって珍しいことではなかった。
立場上、彼女に敬意を払わない男など存在しなかった。
優しくされたことが原因とは考えにくかった。
むしろ、彼の言動はリリアーナを前にした男のものとしてはぞんざいな部類に大別されるだろう。
それなのに、ルスキニアほど彼女の情緒を揺さぶる人間は他にいなかった。
若い男からの見え透いた下心や世辞には辟易していたが、彼の言動はそれらとは一線を画しているように思えた。
起伏の見えにくい彼の表層から心情を読み取ろうとする時のときめきは他の何にも代え難かった。
お気に入りのグラスの縁をなぞるようにその感覚を思い出しては幾度も辿った。
記憶の中の感動は何度繰り返しても色褪せることはなかった。

いつしか、彼と過ごした短い時間を思い返すことがリリアーナの就寝前の日課となっていた。
思い出のよすがは、あの時ルスキニアが貸し与えてくれた白い手巾だった。
返す機会を逸して持ち帰ってしまったのだ。
手渡してくれた人と同じ色をしたその布からは異国の香りがした。
アウグスタと同じ香の向こうに僅かに残る彼自身の匂いを探した。
時が経つうちに匂いは完全に消え失せてしまったが、リリアーナは毎晩その手巾を嗅ぎながらルスキニアを想った。
あの晩、彼の視線が辿った部分に指で触れると甘い痺れが身体を走った。
繰り返すうちに地を這いながら空を行く術を覚えた。
後ろめたさよりも快感のほうが大きかった。
誰が聞いているとも知れないので、名を呼ぶことだけは絶対にしなかった。
宿直の侍女が隣室で聞き耳を立てていることは知っていた。
自慰をすることは黙認されていたが、それが特定の男を想ってのことだと知れれば許されないのは明白だった。
彼女の身体は髪の一筋に至るまでトゥランの国のものであり、彼女だけのものであったことはなかった。

893:姫君と護衛2(2/12)
12/09/02 15:25:10.39 ZZDhyxHP


旅立つミリアを見送るときも、リリアーナの心を占めていたのはルスキニアのことだった。
「わたしの代わりに、諸国の皆さまによくご挨拶をしてきてくださいね」
旅装に身を包んだミリアの手を握りしめた指に我知らず力が籠った。
「はい、お姉さま。トゥラン第二王女の名に恥じぬよう、精一杯努めて参ります」
満面の笑みを浮かべたミリアの屈託の無さが、いまは恨めしかった。
一瞬、旅立っていく妹を呼び止めて彼への伝言を頼もうという考えが過ったことにリリアーナは驚いた。
何を伝えると言うのだろう。
舞踏会の夜、転んだ彼女を助け起こしてくれたのを突き飛ばして逃げ出して以来、男とは口もきいていなかった。
あれだけのことをしでかして、のうのうとルスキニアの前に立とうと考えている自分がいることに戸惑っていた。
あの夜何があったのかを考えれば、彼との邂逅は喜ばしいだけのものではないとリリアーナは考えた。
現実に再会するということは、記憶の中の彼と戯れるのとはわけが違った。
彼が自分のことをどう思っているのか、想像しようとするだけで気が狂いそうだった。
確認する術を断たれたのはむしろ幸いと言うべきかもしれなかった。
しかし、それでもルスキニアにもう一度会いたいという想いを捨て去ることはできなかった。
幸いなことに、彼女には手巾を返すという口実がある。
思い出は美化される傾向にあるということを、リリアーナは幼いながらに理解していた。
会えば幻滅するだけかもしれない。それでも、そうならない可能性も大いにあり得るのだ。
グランレースの期間中、トゥランでひとり政務に明け暮れていたリリアーナだったが、
頭の片隅では常にルスキニアへの想いがさざ波のように去来していた。

数日後、ミリアは祭りの匂いを濃厚に振りまきながら帰ってきた。
それとは気取られぬよう、細心の注意を払いながらツインの様子を尋ねたリリアーナだったが、
アウグスタの護衛風情には何の興味のないミリアからは二人が健在であることしか聞き取れなかった。
驚くべきことは、彼女はアウグスタ・ファラフナーズにさえ大した興味は持っていなかった。
それでも、姉がこの偉大な女帝を敬愛しているということだけは覚えていたらしかった。
「来年はぜひお姉さまもおいでになるようにと、アウグスタがおっしゃっておられました」
「ファラフナーズさまが?」
「お姉さまは来年成人されるでしょう。ぜひアデスでもお祝いをさせてください、ですって。
 すごいわ、お姉さま。あのアウグスタにそんなことを言ってもらえるなんて!」
「そう…」
ミリアは先年に知り合った空族の少女たちと再会したらしく、すぐに話題はそちらへと逸れてしまった。
投げ遣りにならない程度に感情を込めた相槌を打ちながらリリアーナは、
来年は何としてでもグランレースに参加しない訳にはいかないと考えていた。

894:姫君と護衛2(3/12)
12/09/02 15:28:25.28 ZZDhyxHP
* * *

一年後。季節は巡り、グランレースは三度の開催を数えることとなった。
グランレースは気候の穏やかな春先に行われることが多かったが、この年のグランレースが開催されたのは初夏だった。
この時期までもつれ込んだのは、参加する国が増えたことにより、予定の調整が遅れたためだった。
かつては数十の属州を持つ大国であったアデス連邦は、近年ファラフナーズの意向により独立と自治が進められていた。
強大な軍事力によって周辺諸国を併合してきたアデス連邦にとっては、
アウグスタの押し進めるこの政策は歴史を巻き戻すようなものだった。
軍部においてはアデスが弱体化することを危惧する向きもあったが、
最高位にあるサドリ元帥がアウグスタの意志を支持していることで事無きを得ていた。
ファラフナーズの存在によって危うい均衡が保たれている状態は相変わらずだったが、
数年前までのように本国と属州という対立の構造は崩れつつあった。
連邦という国家形態の代わりにファラフナーズが打ち出したのは、外交や安全保障政策の共通化と、
通貨の統合を基盤とした統合体だった。
グランレイク周辺諸国の多くはこれに賛同し、多くの国が連邦からの独立を成し遂げた。
利に聡い者たちの中にはアウグスタの狙いは政治と経済の分離にあることを見抜いている者もいた。
民族の誇りは尊重しつつ、国家単位の貧富の差を均すことがこの政策の目的だった。

「お姉さま。アウグスタの偉大さは不肖のミリアにも充分理解できました」
次第に熱の籠り出したリリアーナの講義にこっそりと欠伸を噛み殺していたミリアは、
とうとう耐えられなくなって姉の言葉を遮った。
旗艦ラサスの高窓から降り注ぐ日差しは、いつの間にか午後の柔らかさを含みつつあった。
早朝にトゥランを出発してからこちら、リリアーナは喋り詰めだった。
内容は主としてアウグスタ・ファラフナーズの偉大さとその理想の深遠さについてであり、正直なところミリアの興味の範疇外だった。
「少し休憩しましょうよ。喉が渇かれたのではありません?お茶を用意させますね」
「待ちなさい、ミリア。まだ話は終わっていませんよ」
気にせず侍従の少年に茶の用意を申し付けたミリアは、姉に向き直って愛らしく首を傾げてみせた。
「緊張していらっしゃるの、お姉さま」
彼女の言葉はリリアーナにとって思いがけないもののようだった。
「そんな、わたしはただ…」
「アデス領までは、まだ一日はかかるのですもの。もっと気を楽になさらなくては」
昨今何かと気忙しい王宮を抜け出しての久しぶりの外出だというのに、延々と政治の講義を聞かされては堪ったものではなかった。
「グランレースがただ楽しいだけのお祭りではなくて、
 政治的にも重要な行事だということだけ分かっていればいいのでしょう?
 成人される前の最後の旅行なのですから、お姉さまももっと楽しまなくては損をしてしまうわ」
「ミリア…」

いつの間にかしっかりした物言いをするようになった妹に促されるまま、リリアーナは茶器を手に取った。
嗅ぎ慣れた紅茶の香りが鼻先をくすぐり、思わず微笑む。
「いい香り。わたしの好きな茶葉を選んでくれたのね」
「よかった。やっと笑ってくださった」
「ミリア?」
「お姉さま、最近塞ぎ込んでおられることが多かったでしょう。隠しても分かります。
 わたしはまだ頼りなくて、お姉さまの相談相手にもなれないかもしれないけれど、
 でも、いつもお姉さまの味方よ。
 お父さまも、マリアンヌも、テディも。皆きっとそう思っているわ」
リリアーナは瞠目した。
心の内の動揺を、幼いミリアにも気付かれているとは不覚だった。
しかし、無邪気なばかりだった妹がこんなふうに気遣いを見せてくれるようになったのは嬉しい成長でもある。
「ありがとう、ミリア」
どうしようもなく込み上げてくる気鬱を押し殺して、リリアーナは笑みを作ってみせた。
「あなたの言うとおりだわ。せっかくのグランレースですもの、わたしたちも、目一杯楽しまなければね」

895:姫君と護衛2(4/12)
12/09/02 15:32:09.35 ZZDhyxHP


「リリー様、今宵のお召し物はいかがなさいますか」
ふいに掛けられた声に顔を上げたリリアーナは、自分が物思いに耽っていたことに気が付いた。
侍女のマリアンヌが微笑みを浮かべた顔をこちらに向けていた。
「ごめんなさい、ちょっと、考え事をしていたの」
「お疲れになったのではありませんか。昼間は大変な騒ぎでございましたもの」
しとやかさを絵に描いたような侍女は、顔を顰めてそう言った。
グランレースは、はじめて見物したマリアンヌにはたいそうな刺激だったようだ。
「そうね、一昨年とは比べものにならないくらい盛大になっていたから、わたしも驚いてしまったわ」
未だに耳の中に残るファンファーレの音を思い出しながら、リリアーナは微笑んだ。
舞い散る紙吹雪。人々の歓声。
何一つ欠けるところのないような祝福の渦の中で、それでも彼女はひとり物足りなさを噛み締めていた。
「……ファラフナーズ様にはご挨拶もできず、残念でございましたね」
気遣わしげなマリアンヌの言葉に、リリアーナは目を伏せた。
今回のグランレースでは、安全の確保のため、王族達には決められた桟敷席での観覧が推奨されていた。
主催者であるファラフナーズは式典に顔を見せる必要上、他の王族達とは異なる席が設けられており、
以前のように共に観戦することは叶わなかった。
「仕方のない事よ。警備や式の運営を考えれば、従来のようなやり方では無理が出てきてしまうもの。
 それに、お話をする機会は今からでも充分にあるわ」
「今宵の舞踏会はさぞかし絢爛なものになるのでしょうね」
「そうね。並みいる紳士淑女の皆さんを押しのけてファラフナーズ様の御前に立つのは、骨が折れそう」
肩をすくませたリリアーナに、マリアンヌはにこやかに笑ってみせた。
「では、アウグスタにトゥランのリリアーナ姫ここにありとお目を留めて頂くことが、わたくしの腕の見せ所ですわね。
 何かご希望はございますか。天使でも魔女でも、お好きなものに変身させて差し上げますわ」
自信に満ちた女の笑顔は眩しく見えた。
自分が真に望むものはファラフナーズとの邂逅ではないと告げたら、この忠実な侍女はどう思うだろうか。
裏表なく仕えてくれる彼女に自身の内面を告げないのはひどい裏切りかもしれないとリリアーナは思った。

「さあさ、今宵お供の栄誉に預かる果報者を選んでくださいませ」
楽しげにそう言うマリアンヌが、誇らしげに並べてみせたドレスはどれも色鮮やかで美しかった。
いずれも上等で肌触りの良い、滑らかな布地で作られ、完璧な裁断でリリアーナの身体に合うように縫合されていた。
逆に言えば、それらはどれも同じに見えた。
極端な話をすれば、リリアーナは装うことにあまり興味がなかった。
同じ年頃の少女たちのように、優良な伴侶を捕らえるために着飾る必要がなかったからだ。
王族としての体面のために威厳のある服装を心がけてはいたが、どちらかと言えば湖上の儀式で着るような楽な服装の方が心が安らいだ。
大仰な装飾よりは機能的なものを好ましく感じた。
だが、今宵のように公式な社交の場においては美しくあることも務めのうちだった。

896:姫君と護衛2(5/12)
12/09/02 15:35:30.72 ZZDhyxHP
「あなたが見立ててくれたものなら、何でも構わないわ。 マリアンヌ。
 わたくしが外からどう見えるか、一番よく分かっているのはあなたですもの」
「ええ、ええ。よく存じておりますとも。グランレイク周辺諸国の姫君の中で、一番お美しいのが我らのリリー様です」
「マリアンヌったら。褒めても何も出ないわよ。あら?」
「どうかなさいました?」
「いえ…その白いドレス…」
リリアーナの示した先には、簡素な白いドレスが下がっていた。
「ああ、こちらは、まだお召しになったことがございませんね。
 装飾も地味ですし、夜会には不向きかもしれません」
「いえ、これがいいわ」
側に寄って触れてみれば、質素に見えた白い衣装は意外と手の込んだものであることがわかった。
布地にびっしりと縫い込まれた刺繍を指でなぞりながらリリアーナが想像したのはルスキニアのことだった。
彼はいつもギルド式の白い服を着ていた。鮮やかな色合いは彼の隣に相応しくない。
だが、この白い衣装でならば、彼の傍らに立つのに気後れせずに済みそうだと思えた。
たかが、手巾を返すだけのことだ。
そうは思いながらも、リリアーナは自分が浮き足立っていることを認めない訳にはいかなかった。
今までリリアーナは特定の誰かのために着飾ろうと考えたことなどなかった。
だが、今宵だけはどうしても彼からの眼差しが欲しかった。
「マリアンヌ、お願いするわ。このドレスを基調に、わたくしを仕立ててちょうだい」

白いドレスを纏い、緩く髪を結い上げたリリアーナを見て、マリアンヌは思わず溜め息を吐いた。
自分の作り上げた作品の出来に満足したのだ。
地味で目立たないと思っていたドレスは、リリアーナが身につけることでその隠された真価を否応なく発揮していた。
姫君が大きく胸を刳った衣装を身に纏うようになってからまだ日も浅かったが、
それ故に滲む恥じらいの色が、白いドレスに初々しい色を与えていた。
控えめな意匠が却って彼女の幼さの残る美貌を引き立てていた。
最低限の装飾品と化粧しか身につけていないにも関わらず、今宵のリリアーナは女神のように美しかった。
「間違いありません、今日の夜会でリリー様に目を奪われない殿方はいないでしょう。
 また崇拝者が増えてしまいますね。付け文を断るのに苦労しそうですわ」
うっとりとした様子でそう言うマリアンヌを尻目に、リリアーナは苦笑した。
腹心の部下と言ってもいい彼女でさえ、己の望みがただ一人からの視線であることを知らないのだ。
「冗談はよして、マリアンヌ。わたくしにそんな価値はないわ」
「戯れ言ではございませんよ、リリー様。人の口に鍵は掛けられぬもの。
 思い余った輩が今日を逃してはと、不逞な真似に及ばぬとも限りません。
 尊い御身に何かあってからでは遅いのです」
「大丈夫よ。アデスの警護は堅牢ですもの。あなたも昼間のグランレースを見たでしょう。
 これだけ多くの国が集まる行事なのに、まだ一度もテロや暴動が起きていないのよ。
 邪な思いを持つ者がいたとしても、護衛の方々に排除されてしまうに違いないわ」
マリアンヌの不安げな眼差しを受けとめたリリアーナは、彼女を安心させるように微笑んでみせた。
口にした言葉の意味するところを、彼女は欠片も疑っていなかった。
彼らならきっとやってのけるだろう。
ファラフナーズの白い天使たち、空の国からやって来たあのアラウダとルスキニアならば。
力強いリリアーナの言葉を受け、マリアンヌの顔にも安堵が浮かんだ。
それを見届けたうえで、姫君は鏡に映る自身の姿をもう一度確認した。
満足のいく出来栄えだった。
そこにいるのは天使でなければ魔女でもない。
ただの人間の少女だ。
だが、リリアーナという一人の少女が持ちうる美しさというものが、遺憾なく立ち現れていることに疑いの余地はなかった。
この舞踏会は、彼女がただのリリアーナとしてルスキニアに対峙することのできる最後の機会だ。
みすみすそれを逃す訳にはいかない。
けれど、とリリアーナは考えた。
自分のこの姿は、ルスキニアの感官に響くものを持ち合わせているだろうか。
国策に関わる権謀術数はいくらでも巡らせることができる。
しかし、ことこの事に限っては、何をもって最善とすべきなのか、彼女にはさっぱりわからなかった。

897:姫君と護衛2(6/12)
12/09/02 15:38:37.24 ZZDhyxHP
* * *

舞踏会の行われている広間の外は長い回廊になっていた。
こっそりと会場を抜け出したリリアーナは、石造りの壁にもたれ掛かった。
無機質な岩石が火照った身体を冷やしてくれた。
左手に掛けていた扇を取り出して風を送ると、目の覚める心地がする。

かねてからの約定のとおり、ファラフナーズはこの舞踏会で、近く訪れるリリアーナの誕生日を祝ってくれた。
「みなさま、お聞きください。
 ここにおられるトゥランの第一王女、リリアーナ姫は、このたび17歳の誕生日を迎えられます。
 偉大なるトゥランの未来の国王の、すこやかなご成長を、みなで共に祝おうではありませんか」
世界中の尊敬を集めるアデス連邦の盟主に手を取られ、グランレースと共に賞賛を受けるのは悪い気分ではなかった。
だが、この舞踏会で以前のように親しく話ができるものと思っていたリリアーナの計算は狂ってしまった。
なによりの誤算は、ルスキニアに近付く機会を逸してしまったことだった。
口々に喝采の声を上げる人々の波の向こうで、無表情のまま周囲と同じように手を叩く彼を見て、リリアーナは我知らず目を伏せた。
嬉しいという気持ちに偽りはなかったが、彼が遠くなってしまったように感じて胸が痛んだ。

開いていた扇を閉じて胸元に当てると、自分の鼓動が脈打つのを感じた。
乏しい光源のもとで、アデス風の幾何学模様とこの地方独特の図案を描いた壁掛けが、うっすらと浮かび上がっているのが目に入った。
リリアーナは目を凝らした。
赤を基調とする画面の中には、小さな植物や兎などの小動物が所狭しと散りばめられている。
中央では豪奢な衣装を着た女が、角の生えた白い馬のような生き物を捕らえようとする様子が描かれていた。
あと一分。それで、ルスキニアが現れなければ諦めよう、とリリアーナは思った。
六枚組のつづれ織りの最後の画面には、リリアーナの知らない国の言葉が織り込まれていた。
もっとよく見ようと首を伸ばしたところに、白い影が二つ視界の隅を過るのが見えた。

「ルスキニア!アラウダ!」
咄嗟に叫んだリリアーナの声が回廊に響いた。
「リリアーナ姫。なぜこのような場所に」
驚いたように口を開いたのはアラウダのほうだった。
「人に…‥酔ってしまって」
ちらりとルスキニアを盗み見たが、彼の注意は周囲にある暗がりに潜んでいるかもしれない不埒者の気配を探ることにあるようだった。
リリアーナの視線を追ったアラウダの顔に、得心に似た表情が浮かんだ。
「おひとりでは、危険ですよ。休まれるのでしたら、従者をお呼びしますが」
アラウダの言葉に、リリアーナは首を振った。
その従者に気取られぬよう抜け出すのには、苦労をしたのだ。

「あの、お二人はどちらへ」
「外の警備の様子を確認に」
「もう一度、戻っていらっしゃる?」
「いえ、そのままサーラ様の宿直に行くつもりです」
幼い姫君は夜会には出ずに部屋へ下がっていた。
慣れない宿所に不安がってツインの二人を呼んでいるのだという。
リリアーナは焦慮した。
彼女の問いかけに応えるのはアラウダばかりで、ルスキニアはリリアーナのことを避けているように感じたからだ。
「では、ルスキニアにこれを」
リリアーナが強引に目の前に差し出した白い手巾を見てルスキニアは首を傾げた。
「これが、何か」
「覚えておられませんか?一昨年お会いしたときにお借りしたものです」
「ああ。捨てて頂いて構いませんでしたのに」
受け取った男は大した感慨もなくそれを隠しにしまった。


898:姫君と護衛2(7/12)
12/09/02 15:42:44.43 ZZDhyxHP
用が済めばリリアーナが彼を引き止める理由はなくなってしまった。
ルスキニアがちらりと光の洩れる扉の向こうへ目を遣った。
「戻らなくてよいのですか。あなたは今宵の主賓のはずでは」
「いいのです。みな、口実がどうであれ、馬鹿騒ぎしたいだけなのですから」
口を尖らせてそう言ったリリアーナにアラウダがにやりと笑った。
「姫は見かけによらず、なかなか辛辣ですね」
「よせ、アラウダ」
軽口を叩くアラウダをルスキニアが嗜めた。
ルスキニアの視線を軽く受け流したアラウダがリリアーナに向き直った。

「何か理由があって抜け出されたのでしょう。姫は、何をお望みですか」
その問いは単純だったがリリアーナの胸を深く穿った。
「わたくしは……」
微笑んではいるが、アラウダの瞳には真摯な色が浮かんでいた。
彼女は己がなんのためにここへ来たのかを思い出した。
この機会を逃せば彼と会話することはますます難しくなるだろう。
ならば、伝えることを躊躇う理由は無い。
リリアーナの望みは、元よりひとつだった。
「わたくしは、ルスキニアと話がしたいのです」

その言葉を聞いて、アラウダの表情が綻んだ。
ルスキニアの肩を叩くと彼は言った。
「見回りには俺が行こう。ルキア、お前はリリアーナ姫のお相手を」
「アウグスタに任された仕事を放り出すわけにはいかない」
「そのアウグスタがおっしゃった言葉を忘れたのか。
 客人を持て成すのも、我々の務めの内だ」
相棒の背を押しながら、アラウダは意味ありげに目を瞬かせた。
「それに、女性をこんなところに一人残していくのには心が痛まないか。
 アデスの臣民として、お前にはリリアーナ姫の護衛をする義務があると私は思う」

半ば強引に押し切るような形で、アラウダは立ち去ってしまった。
二人きりになると途端に気詰まりになった。
「「あの」」
二人同時に発した声が薄暗い回廊に響いて反響した。
「どうぞ、先におっしゃって」
促すリリアーナの言葉にルスキニアは逡巡したようだったがやがて口を開いた。
「あの時は、申し訳ありませんでした。一昨年の、夜会の折です」
単刀直入なルスキニアの言葉に、リリアーナの心臓は跳ね上がった。
だが、同時に懐かしくも思う。
そう、ルスキニアとは、こういう男だ。
何事も唐突で、不器用で、でもその芯にはわかりにくいが確かな誠実さがある。

「私が付いていながら、姫を転ばせるような事態になったこと、深く反省しております」
生真面目に頭を下げるルスキニアを見て、リリアーナは慌てて顔を上げるように促した。
「わたくしこそ、ごめんなさい。あんなに取り乱すべきではありませんでした。
 …………たかが、黒子くらいで」
「は?」
「あのとき、わたくしの太腿にある黒子をご覧になったのではないの?」
「いえ、気付きませんでした」
「ルスキニア。トゥランでは、他人に黒子を見られるということは、大変な恥とされているのです。
 ですから、このことは他言無用になさってください」
開いた扇で口元を隠しながら悪戯っぽく笑うリリアーナに、ルスキニアは目を丸くした。
見開かれた瞳が、彼が本当に驚いていることを示していた。
それでも、姫君の表情には何か感じるものがあったらしい。

899:姫君と護衛2(8/12)
12/09/02 15:45:15.75 ZZDhyxHP
「私は……私は、何かその……ひどい思い違いをしていたようです」
「そのようですね」
見合わせた視線から、二人の間にあったわだかまりの種が消え去ったのが見て取れた。
舞台の幕を落とすように音を立てて扇を閉じながら、リリアーナは言った。
「それより、ひどいわ、ルスキニア。わたくしの前では、気の置けない友人でいると約束してくださったでしょう」
「どういうことでしょうか」
「また、ご自分のことを『私』とおっしゃっています」
ルスキニアは僅かに目を瞠った。
「失礼いたしました」
リリアーナの言葉の意図するところを、今度は正確に受け取ったようだった。
「では」
男の手が、無造作にすらりと宙に伸びた。
手品のようにどこからともなく白い花を取り出したルスキニアは、それをリリアーナの鼻先に突き出した。
「お詫びにこれを」
差し出された花は小ぶりな百合の花だった。
リリアーナはその百合をよく知っていた。トゥランが原生の、珍しい品種だったのだ。
女性の髪を飾るために花弁を小さく改良されたその花は、トゥラン以外の地では根付きにくいと聞いていた。
国内やトゥラン女性の持ち物としてならともかく、アデスの地で目にする事があろうとは考えたこともなかった。

「ルスキニア……この花、どうなさったのです」
差し出された花を受け取ったリリアーナの疑問に、男は事も無げに言った。
「覚えておられませんか。二年前の舞踏会の折、あなたが髪に挿しておられたものです」
思い返してみると、あの時は確かにこれと同じ花をトゥランから持ち込んでいた。
だが、リリアーナはいまの今まで花を落としたことに気付いてもいなかった。
よもや、ルスキニアから二年の時を経て手渡される日が来ようとは、思いもよらないことだった。
「あの時あなたが花を落とされて、すぐにお返ししようと後を追ったのですが叶いませんでした。
 またお会いする機会があればと思い、常に持ち歩いていたのです」
「それで、いまこれをわたくしに?」
よく見ると、手のうちの花は生花ではなかった。
どのようなギルドの技術によるものか、白い花は瑞々しく、たったいま手折られたかのような艶を保っている。
大切に保管されていたのであろうことは明白だった。
包まれてもいない剥き出しの花は、彼そのものだと思った。
それを与えられるとはどういうことか。


900:姫君と護衛2(9/12)
12/09/02 15:48:13.14 ZZDhyxHP
「ありがとう、とても嬉しい」
込み上げてくるものを隠しきれずに微笑んだリリアーナはその白い花を髪に挿してみせた。
「いかがかしら?」
よくあるような世辞の言葉を期待していたわけではなかった。
だからルスキニアの顔に笑みと呼べる表情が浮かんだのを見てリリアーナは驚いた。
彼女の知る限り、彼がこれほど表情を露にしたのは初めてだった。
「よく……似合っておいでです」
リリアーナは惚けたようにルスキニアの顔を見つめた。
「どうされました」
「いえ……そんなお顔もされるのですね」
「何かおかしな顔をしていましたか」
無表情に戻ったルスキニアが軽く首を傾けた。
「いいえ、とても素敵な表情でした」

噛み締めるように微笑んだリリアーナは、爪先立ってルスキニアの耳元に唇を寄せた。
察した彼が少し身を屈めた。
その何気ない気遣いが、リリアーナの胸を詰まらせた。
自分が彼に惹かれるのは、この不器用な優しさゆえなのだと確信した。
皆人が気付くわけではない彼の美徳に触れることのできた自分が誇らしかった。
万感を込めて、彼女は囁いた。
「あなたは素敵よ、ルスキニア」
それ以上の言葉を口にすることを、自分に許すことは出来なかった。
未婚の王族としてはこれだけでも充分はしたない行動と言えた。
身体を離しても、まともに彼の顔を見られなかった。
俯いた視界に自分の爪先が映った。これ以上踏み込めない臆病者の爪先だった。
それでも、何かしらの感情は彼に伝わったようだった。

「……ありがとう…ございます」
そう呟いたルスキニアの声に、今までにない色を感じて面を上げたリリアーナは彼の顔を見て息を呑んだ。
これまでどうしても作り物めいた印象を拭えなかった彼が、初めて紛れもなく、人間の顔をして見えた。
男の顔に浮かんでいたのは、紛れもない微笑みだった。
硬く閉ざされていた蕾がほころんだような、柔らかな表情だった。
リリアーナは、自分が一人の女として放った言葉を、彼もまた一人の男として受けとめてくれたのだと感じた。
思いがけない僥倖に、これまで努めて押さえ込んでいた欲望が溢れるのを感じた。
最後に、ただ一度だけの我が儘を自分に許そうと思った。
込み上げてくる熱いものを堪えながら、リリアーナは精一杯微笑んだ。
「わたくし、今宵は以前こちらに伺った時に果たせなかったことを為しに来たのです。
 あの日は叶わなかったけれど……今度こそ、噴水を見せてくださる?」
ルスキニアは先程のように会場に戻れとは言わなかった。差し伸ばした手は恭しく受け入れられた。
「御心のままに、リリアーナ姫」
顔を上げた男と目が合った。
氷のようだと思っていた瞳が、今は霞のかかった春の空のように柔らかく見えた。

901:姫君と護衛2(10/12)
12/09/02 15:50:20.42 ZZDhyxHP
* * *

「きれい…」
月明かりに照らされてさざめく水面を見てリリアーナは呟いた。
ようやく目にする事のできたアデスの噴水は、トゥランのもののように豪快に水飛沫を噴上げる類いのものではなかった。
濡れて艶めく硬質な石の上を、透き通った水が滑るように流れ落ちていた。

「姫、そろそろ戻られたほうが。供の者が心配をするでしょう」
水の流れをぼんやりと眺めていたリリアーナに背後で控える青年が声をかけてきた。
言われて彼女は自分が何の断りもなく会場を抜け出して来たことを漸く思い出した。
「ごめんなさい、ルスキニア。あと、もう少しだけ」
リリアーナには、ルスキニアにどうしても伝えなければならない言葉があった。
そのために、慣れない服に身を包み、待ち伏せなどというはしたない真似をしてまでこの機会を得たのだ。
その言葉を発するのに相応しい場は、いまここをおいて他にないことは明らかだった。
しかし、いざとなると彼女の舌は縫い付けられたように動かなかった。
どうやって切り出そうかと思案したまま、時だけが二人の上に降り積もってゆく。

月が空の上で位置を変え、噴水に木立の影が差した。
水面に反射する光が翳るのを見たリリアーナは漸く心を決めた。
「最後に、お会いできてよかった。これで諦めがつきますもの」
ルスキニアが微かに身じろぎしたのがわかった。
月影に照り映える彼の白い顔を横目でちらりと確認する。
相変わらず彫像のように直立したままの男を見て僅かに微笑みながら再び噴水に目を遣った。
流れる水は時の流れを象徴しているかのようだった。
月日は止め所なく流れていく。塞き止める事などできるはずもない。
早く大人になりたいと思っていた頃、時間はリリアーナにとって頼もしい味方だった。
夜眠りに就く時は、朝になるのが待ちきれなかった。
朝目覚めて鏡を覗き込む時は、その中に一歩大人に近付いた自分を認めるのが嬉しかった。
だが今は違う。
彼女にとって時の流れは、忌まわしい敵以外の何者でもなくなっていた。

傍らから無言で先を促す気配を感じてリリアーナは言葉を続けた。
「わたくし、結婚することになりました」
ルスキニアは戸惑ったようだった。
「いつ」
「半年後に。このあと、トゥランに戻ったらすぐに準備に取りかかります。
 お父さまは、わたくしが十七歳になるのを待っていたのですって。
 次期トゥラン国王として、わたくしは早急に、国民に世継ぎの顔を見せて安心させねばなりません」


902:姫君と護衛2(11/12)
12/09/02 15:52:47.62 ZZDhyxHP
リリアーナは婚約者のことを考えた。彼は遠縁の貴族の青年だった。
王室に他国の血を入れることを善しとしなかった父が選んだ相手だ。
無難な選択だと彼女も考えた。幼い頃から知っている男は決して悪い人間ではない。
よき夫、よき父親となり、リリアーナの治世を支えてくれるだろうと誰もが言った。
だが、彼女は自分が彼の胸に抱かれ、子供をもうけることを全く想像できなかった。
その理由は痛いほど自覚していた。

「嫌だと言って駄々を捏ねられるほど、無邪気ならよかったのにと思うことがあります。
 実際は、そんな可愛げなどわたくしにはないのですけれど」
リリアーナは力なく自嘲した。
ルスキニアが食い入るようにこちらを見ているのを知っていた。
目を向けると案の定、目が合った。
なにかしらの言葉が発せられるのを待ったが男の唇が開かれることはなかった。

「おめでとう、と言ってはくださらないのね」
ぽつりと呟いて視線を落とした。
何を期待しているのだろうと思った。
彼から祝福の言葉を受けて、それで未練を断ち切れるとでも思っていたのだろうか。
あるいは、彼がこの結婚に異を唱えてくれることを望んでいたのかもしれない。
ルスキニアが自分のことをどう思っているのかは知らない。
だが、別の男の物になると告げれば少しでも心を動かしてくれるのではないかと、
愚かにも思ってしまったのだった。

―なんて浅ましい。
俯いた視界に爪先が入った。おろしたばかりの白い靴は庭を歩いたせいで少し汚れていた。
どうせなら、こんな汚い己を知らず清らかなまま花嫁になれたのならよかったのに。
再び熱いものが込み上げてきたが、自分には泣く権利などないと知っていた。
泣いてはいけない。王族らしく、気高く優雅にあらねばならない。それが彼女に課せられた運命だ。
リリアーナにはリリアーナの、ルスキニアにはルスキニアの運命がある。
未来の国主と他国の護衛官ではその運命が交わろうはずもない。
感情を殺し、心を殺して―そうやって、石のように堅く乾いた大人になるのだ。


903:姫君と護衛2(12/12)
12/09/02 15:55:10.11 ZZDhyxHP
リリアーナは唇を噛んで堪えた。
それでも、溢れた涙の数滴が乾いた土に落ちて染みを作った。
砂の擦れる音がして、見慣れぬ靴が目に入った。
顔を上げるとルスキニアが立っていた。表情の乏しい白い顔が、彼女を見下ろしていた。
見上げなければ顔が目に入らないほど近い距離だった。
薄い唇が、前触れもなく言葉を発した。
「自分を偽ることなど出来ない」
驚いて後ずさろうとしたリリアーナを男の手が阻んだ。両肩を掴まれて息を呑んだ。
「俺も、そしてあなたも」

腕にくい込むルスキニアの指は痛いほどだった。
生まれてこの方、リリアーナはこんな風に腕を掴まれたことなどなかった。
無礼者と叱責して振り払うこともできたはずだが、何故か頭を掠めもしなかった。
初めて目の前の男に恐怖を感じた。
「ルスキニア、何を」
「あなたに、謝らなければならないことがある」
こちらを見つめるルスキニアの瞳の奥に、野火のように燃え盛るものがあった。
「二年前のあの夜、俺は自分の欲望であなたを汚した」
燻っていた燠火が、突然火を噴いたようだった。
見知らぬ炎が、彼を内側から燃やしているのがわかった。
恐ろしかった。だが、同時に興奮もしていた。
彼がこれほどの熱を彼女の前で示したのは初めてのことだった。
そしてその感情は、リリアーナただ一人に向けられているのだ。

「それだけではありません。あれ以来、俺はあなたを思って身を焦がさない夜はなかった」
彼女は生娘だったが、それが甘ったるいだけの意味ではないことは理解した。
一年前ならば、意味が分からず困惑しただろう。
一年後であれば、動揺を押さえ込んで微笑み、上手くあしらうことも出来たかもしれない。
だが、今のリリアーナにはそのどちらの道も用意されていなかった。
本来なら交わらなかったかもしれない二人の運命を繋ぐことが出来るのは、今このときだけだった。
恐ろしくなかったと言えば嘘になる。
それでも、リリアーナはなけなしの勇気を振り絞ってルスキニアの袖を引いた。
震え出した計器が誤った方向へ振り切れようとしているのが分かったが止められなかった。
思うより先に、言葉は溢れていた。
「いま、わたくしはあなたの目の前にいるのに、触れてはくださらないの」

904:891
12/09/02 16:00:44.62 ZZDhyxHP
今回の投下は以上です。読んでいただきありがとうございました
前回投下分に頂いた感想も読ませていただきました
励みになります。ありがとうございます

1回分の予定が長くなりすぎて分割したため、中途半端なところで終わってしまいすみません
次回はルスキニア視点で本番ありの予定です
よろしくお願いいたします

905:名無しさん@ピンキー
12/09/02 20:34:36.68 ToIFPMvf
投下GJです
村田氏の銀ファム本2冊と交互に読んでニヤニヤしてるw
次回を気長に待ってますよー

村田氏本やエアログで何か萌えネタ投下あるといいなぁ

906:名無しさん@ピンキー
12/09/02 21:08:09.21 DhZ7RQRy
うおお!続き待ってましたー!!!
投下ありがとうそして面白かった!!
次回も楽しみにしてます!

907:名無しさん@ピンキー
12/09/03 01:27:12.61 kqd0IpC+
>>904
キター!!続き投下してくれて有難う!
リリアーナの葛藤凄いぐっと来た。ルスキニアもイイヨイイヨー
wktkしながら次待ってます

908:名無しさん@ピンキー
12/09/04 13:24:08.09 FsOmN75u
>>904
続き来てたー!乙です
いいところで終わってて先が気になる
続きのんびりお待ちしてます

909:名無しさん@ピンキー
12/09/04 19:55:23.45 Ic6Ai6UL
読みごたえあっていいねー。キュンキュンするわぁ
そしてこれからのエロ展開も非常に楽しみ。
頑張れルスキニア、押し倒せ!w

910:名無しさん@ピンキー
12/09/04 23:09:42.32 tSA4Kkcu
>>904
待ってました!続き投下乙です
こっちのルスリリは大人の方とはまた違って可愛くてニヤニヤ
次回も楽しみにしてます

911:名無しさん@ピンキー
12/09/13 19:37:54.89 oUvxWDRN
>>904
うおおお素晴らしい乙です
次も楽しみだ
前回の投下は5ヶ月前なのか
首を長くして待ってます

912:名無しさん@ピンキー
12/09/14 22:42:11.28 lUzpaaGO
レンジが描いた若ルスキニアとギリロリリーが見たい・・・

913:名無しさん@ピンキー
12/09/14 23:40:10.09 4m5eTuzU
>>904です
続きを投下します
グランレースの悲劇が起きなかった未来で
ルスキニア(22)とリリアーナ(16)がにゃんにゃんしてるだけ

規制中のため実験的なサイトを使って書き込んでいます
途中で投下止まったらスマソ

914:姫君と護衛3(1/8)
12/09/14 23:41:56.95 4m5eTuzU
* * *

「お前に足りないのは、言葉や感情表現ではなく思慮深さだ」
いつだったか、アラウダにそう言われたことがあった。
緑陰から降り注ぐ木漏れ日が白い額を斑に染めていた。
光の加減で左右の目が違う色をして見えた。
虹彩に日差しが射し込んで玉虫色に輝いた。
何事も飲み込みの早い相棒は、心の有り様においてですらルスキニアの先を行くらしい。
「女性に興味を持つようになったのはいいが、匙加減を間違えるなよ、ルキア。
 リリアーナ姫は未来のトゥラン国王だ。お前が懸想したところで、どうこう出来る相手じゃない」
「なぜその名前が出て来る」
苦々しげに言ったルスキニアにアラウダは事もなく答えた。
「違うのか」
「……明言したことはない」
「見れば分かる」
アラウダは声を上げて笑った。
「お前は、自分で考えているより、よほど分かりやすい人間だよ」
「適当なことを言うのはよせ」
見透かしたようなことを言う片割れは、ルスキニアの心を苛立たせた。
しかし睨みつけた視線は遠くを見つめる瞳に受け流された。
「恋はいい。心を豊かにする。だが、身の程を弁えなければ痛い目を見ることになる。
 俺は、俺なりにお前の事を心配しているんだ」
するりと頬を撫でながら感慨深そうにそう言うアラウダに、近頃女の影がちらついていることにルスキニアは気付いていた。
「女は怖いぞ、ルキア。あれは、我々の理解の範疇を超えた存在だ」
「くだらない。男も女も人には変わりないだろう」
その時ルスキニアはアラウダの言を益体もない妄言と切って捨てた。
だが、今にして思えば、あれらの言葉は蓋し至言であったのだ。

* 

「ルスキニア」
震える声で名を呼ばれて、ルスキニアは我に返った。
耳を赤く染めて俯いた姫君が、彼の服の布地を控えめに掴んでいた。
見下ろした首筋から背中にかけての曲線がうっすらと桃色に上気していた。
「わたくしは……わたくしは、あなたに触りたい。もっとよく、あなたのことを知りたいわ」
ルスキニアは混乱していた。
姫君の言葉は大方彼の予想外だった。
己の告白は彼女を不快にさせこそすれ、好意を抱かせるようなものではなかったはずだ。
嫌悪され、軽蔑されてしかるべきだと思っていた。
むしろ、想いを断ち切るために言ったつもりの言葉だった。

混迷する思考の中でただ一つ確かなことがあった。
ここで彼が身を引けば、彼女の面目が潰れるだろうということだ。
いまこそアラウダの言っていた言葉を身を以て体感する時だった。
彼に足りないのは、まさに思慮の二文字だった。
そもそも思慮深い人間であれば、みすみすこのような事態を招く行動は慎んでいたはずだ。
会場の外で花を渡したとき、そこを抜け出して宵闇の庭園へと足を踏み出したとき。
あるいは、噴水を眺める姫君に会場に戻ることを勧めたとき。
引き返そうと思えば出来たはずのいくつもの機会を、自分から取り零してきたのだということに彼は気が付いた。

915:姫君と護衛3(2/8)
12/09/14 23:44:12.52 4m5eTuzU
「あなたも同じように思ってくださっているのなら……どうか、お願いです」
ルスキニアは彼女の頬が涙のせいだけでなく上気していることに気が付いた。
薄く開いた口の歯列の間からは幼い欲望が顔を覗かせていた。
ここに至って、ルスキニアは重要なことに思い及んだ。
それはリリアーナもまた彼を望んでいるのかもしれないという可能性だった。
甘く香る花に誘われて罠に嵌り込んだのは自分の方かもしれなかった。
己の指が、我知らず少女の身体に触れているのにルスキニアは気が付いた。
手の内にある身体の華奢さに身震いした。
なるほど、女は恐ろしい。

「リリアーナ」
何かに背を押されるように一歩踏み込んだ彼に、今さら怯んだ様子の姫君が身を竦ませた。
「ルスキニア、わたくしは」
「黙って」
急いた唇がリリアーナのそれに触れた。少女は軽く息を詰めたようだった。
抵抗されたらすぐに引き下がるつもりだった。
少なくとも、彼の心の裡ではそうだった。
だが、姫君は逃げなかった。

驚いたように見開かれた瞳がゆっくりと閉ざされて、ルスキニアは自分の行いが赦されたことを悟った。
こんなふうに他人から受け入れられたのは初めての経験だった。
触れ合った唇の柔らかさに何故か怒りのような感情を覚えた。
自分より以前に彼女に同じことをした人間がいなければいいと思った。肩を掴む手に力が籠った。
背後の木立に縫い付けるように押さえ込むと、少女の背が大きく撓った。
もどかしく投げ捨てた理性が地に落ちるよりも早く、ルスキニアの舌は獲物を捕らえていた。

唇と唇の狭間から、仔猫が乳を舐めるようなあえかな水音が響く。
息継ぎをするたび洩れる鼻息が、どう聞いても間抜けな音だった。
火照った頬に触れる鼻先の冷たさが妙に印象に残った。
時折くぐもった嗚咽のような声を漏らす姫君の様子を鑑みれば、余裕がないのはお互い様のようだった。
崩れた思考が混ざり合って意味をなさない形状を作る。積み上げては崩して壊すことを繰り返した。
いつの間にか草むらの中に倒れ込んでいることにすら気付かなかなかった。
後はただ、溺れる人のように互いの身体にしがみついた。
直に触れた肌は不安を覚えるほど柔らかかった。
強くすれば壊れてしまうのではないかと思った。
指先で慎重に形を辿れば、楽器を奏でるように高い声が洩れた。
うぶな反応とは対照的に、彼女の身体はすでに女として完成されていた。
堅く閉じられた蕾を抉じ開けると目も眩むような芳香がした。
草いきれの中に横たわるリリアーナは一つの大きな花のようだった。
隠された彼女の秘密を暴いていくのは、幾重にも折り畳まれた厚い花弁を一枚ずつ捲っていくのに似ていた。
開き切った蕾の奥には鍵を待ちわびる扉があった。
許可を求めて目を合わせると少女は恥じ入るように瞼を伏せた。ルスキニアはそれを了承ととった。

916:姫君と護衛3(3/8)
12/09/14 23:46:17.95 4m5eTuzU
性急に押し付けた熱が触れたぬかるみに沈むと目の前で星が散った。
押し開いた先には温かな闇が待っていた。
手つかずの海に沈んだルスキニアは悦びに打ち震えた。
この場所は、あの夜以来、何度も繰り返し彼の夢見て来た場所だった。
己はずっとここを目指して飛び続けて来たのだと思った。
甘美な物だろうと予測はしていた。
だが、これ程のものだとは思わなかった。これ以上があるとも思えなかった。
これこそが彼が最も望んでいたものであり、同時に最も恐れていたものだった。
心地よいと言うにはあまりにも凶暴な感覚だった。
頭の中で、何かを繋いでいた楔が引き千切れる音がした。
このまま引きずり込まれ、二度と生きては帰れないような気がした。

「ルスキニア」
彼の背に爪を立てたリリアーナが、白い喉を仰け反らせて喘いだ。
締め付ける肉が強さを増して、ルスキニアも呻いた。
数度往復するのが限界だった。
体中の血が逆流するようなその衝撃は、致命的な傷を負ったときの症状によく似ていた。
手負いの獣が生命の残り火を燃すように、ルスキニアはリリアーナの中で蠢動した。
抱きしめた身体が同調するように痙攣した。
リリアーナと自分が、何か大きな一つの生き物になったような気がした。
恐ろしいほどに幸福だった。
同時に、限りない絶望を感じてもいた。
一度離れれば、再び同じようには交われないことだけが解っていたからだった。



「ルスキニア、重い」
耳元に流し込まれた呻き声で我に返ったルスキニアは、目の前の惨状を見て青ざめた。
組み敷かれ、仰臥した姫君は泥と草にまみれていた。
美しく結い上げられていた髪は解け、ほつれた毛束が頬を彩っている。
開いたままの脚の奥では、純潔の証が白いドレスの裾を汚していた。
「俺は…なんてことを……」
「ルスキニア」
顔を覆って呻き声を上げたルスキニアを、緩慢な動作で身を起こしたリリアーナが抱きしめた。
「わたくしは、後悔していないわ。お願いです。あなたもそうだとおっしゃって」
耳朶を打ったその言葉にルスキニアは息を呑んだ。

「リリアーナ」
顔を覆っていた手を離し、震える手で彼女を抱きしめた。
温かかった。
細い身体は彼の腕の中で確かに息づいている。
「リリアーナ、俺は」
咄嗟に口をついた言葉は少女の細い指に阻まれて押し籠められた。
「今宵のことは、誰にも言いません。だから、きっと大丈夫」
リリアーナはそういって微笑んでみせた。
「あなたが失うものなど何もないのよ。これは、どこまでもわたくしの我が儘なのですから」
噛み締めるようなその言葉にルスキニアは呆然とした。
姫君は、いまこの時を一夜の過ちにしようとしている。
自分が、もう彼女なしには三日と生きていられないだろうと確信しているその横で。

917:名無しさん@ピンキー
12/09/14 23:57:01.80 flKyFB3d


918:姫君と護衛3(4/8-1)
12/09/14 23:59:45.76 iuq4er7W
「逃げましょう」
無意識のうちに口から零れ落ちた言葉に誰よりも驚いたのはルスキニア自身だった。
そんなことができるとは考えたこともなかった。
しかし、いまはそれ以外に術などないと思った。
誰にも知られずここを抜け出し、邪魔するものなど何一つない世界で彼女を思う存分愛することができたなら。
だが、姫君は容易く頷かなかった。
「無理です。わたくしは、トゥランを捨てることなどできないわ」
吐き出されたリリアーナの言葉は重かった。
国を統べる者がどのような立場に置かれているのか、護衛とはいえアウグスタの側近くに控えるルスキニアは充分想像がついた。
ましてや、リリアーナは生まれた時から国母となるべく育てられてきたのだ。
国を捨て、私情に走ることなど、彼女には考えも及ばぬことに違いない。
それでも、ルスキニアに迷いはなかった。

919:姫君と護衛3(4/8-2)
12/09/15 00:01:29.13 iuq4er7W
「ならば、無理にでも攫うだけのこと」
肩を掴んで引き離したリリアーナの顔を覗き込んだ。
見開いた瞳に無様に取り乱す自分の姿が映っていた。
姫君の目の中には僅かな躊躇いがあった。
ルスキニアにとって、それだけが一縷の望みを繋いでいた。
「真実はいずれ白日の下に晒される。俺があなたにしたことが知れたら、無事では済まないでしょう。
 どうせ滅びるのなら、これ以上ないほどあなたを味わい尽くしてからから果てたい。
 俺を哀れと思うのなら、その為の時間を与えてくれないか」
「ルスキニア…」

920:姫君と護衛3(4/8-3)
12/09/15 00:02:29.04 iuq4er7W
いっそ狂的とさえ言えるその言葉が、どのように姫君に届いたのかはわからなかった。
小さな唇から息が一つ洩れた。
リリアーナの手が伸びて肩を掴むルスキニアの指に触れた。絡み取るように視線が合った。
見下ろした青い瞳の中に、もう迷いはなかった。
「離して下さい」
「嫌だ」
「勘違いをしないで。あなたが罪に落ちるのならば、わたくしも共に参ります」
ルスキニアの見ている前で、リリアーナは躊躇う事なく白いドレスの裾を引き裂いた。
脚に絡まる長い裾は、道行きには不向きだったのだ。
身軽になった姫君がルスキニアの手を取って彼を見上げた。
「行きましょう、ルスキニア。わたくしたちの未来のために、退路を用意して」

921:姫君と護衛3(4/8-3)
12/09/15 00:02:53.75 LP7EUUae
いっそ狂的とさえ言えるその言葉が、どのように姫君に届いたのかはわからなかった。
小さな唇から息が一つ洩れた。
リリアーナの手が伸びて肩を掴むルスキニアの指に触れた。絡み取るように視線が合った。
見下ろした青い瞳の中に、もう迷いはなかった。
「離して下さい」
「嫌だ」
「勘違いをしないで。あなたが罪に落ちるのならば、わたくしも共に参ります」
ルスキニアの見ている前で、リリアーナは躊躇う事なく白いドレスの裾を引き裂いた。
脚に絡まる長い裾は、道行きには不向きだったのだ。
身軽になった姫君がルスキニアの手を取って彼を見上げた。
「行きましょう、ルスキニア。わたくしたちの未来のために、退路を用意して」

922:姫君と護衛3(5/8)
12/09/15 00:05:10.82 Qgyooa0A


夜陰に紛れて駆け出した彼らの耳に、会場から姿を消して久しい主君を探す従僕たちがリリアーナを呼ばう声が聞こえた。
トゥラン側からの要請があったのだろう。アデスの兵も混じっているようだった。
「ルスキニア」
不安げに見上げたリリアーナに、ルスキニアは声を出さず頷いた。
遠く木々の向こうで、幾多の篝火が揺れているのが見えた。
「こちらへ」
リリアーナの手を引いたルスキニアが、護衛の任に携わる者しか知らぬ抜け道へと彼女を誘った。
「どこへ行くのですか」
「この先に格納庫がある。今日のレースで使われた機体がまだ残っているはずだ」
「あなたが操縦を?」
尋ねるリリアーナにルスキニアは頷いてみせた。
「訓練は受けている」
盗むのか、とはリリアーナは尋ねなかった。
自分たちが、ヴァンシップよりももっと大変なものを剽窃しようとしていることをよく心得ていたからだ。

ベリファイ・チェックを終えた機体を格納庫から引き出したところでリリアーナが身を竦ませた。
風に乗って、思いがけない近さで己を呼ぶ声が聞こえたからだった。
「お姉さま!どこにいらっしゃるのですか?お姉さま!」
リリアーナが傍らのルスキニアの服を掴んだ。
「ミリアだわ」
ルスキニアは黙ったままリリアーナの手を引いて格納庫の扉の陰に隠れた。
やがて、ヴァンシップの駆動音を聞きつけたらしい少女が短い草を踏み分ける足音が聞こえた。
「誰か……いるの?」
無人に見える格納庫を覗き込んだミリアを内側に引き込み、口元を押さえた。
「静かに」
くぐもった声を上げて暴れ出しそうになった妹姫を制止したのは、リリアーナだった。
「ミリア、わたしです」

泥だらけのリリアーナを見たミリアが、力を弱めたルスキニアの手を振りほどいた。
短い悲鳴が上がった。
「お姉さま!そのお姿…どうなさったのです」
引き裂かれたドレスは、どう見ても暴漢に襲われた後のそれだった。
「ミリア姫、大きな声を出さないでください」
声を掛けたルスキニアを振り仰いだミリアはわなわなと唇を震わせた。
「お前は…」
白い彫像のようなその男が何者なのか、知らないミリアではなかった。
アウグスタ・ファラフナーズの護衛、初めて参加したグランレースで幼かった自分を怯えさせた張本人だ。
ここへきて、リリアーナの惨状にこのいけ好かない男が関わっているのは明らかだった。
「ギルド人!お姉さまに何をしたの!」
激昂した妹を遮るように、リリアーナが二人の間に割って入った。

923:姫君と護衛3(6/8)
12/09/15 00:06:16.56 Qgyooa0A
「ミリア、よく聞いて。わたくしたちはいまからこの島を出ます」
「お姉さま、何をおっしゃって…」
「わたくしたちが結ばれるにはこうするしかなかったのです」
真剣な面持ちでそう言う姉の姿を見て、ミリアの中で符合するものがあった。
沈みがちな面差し、物憂げな瞳。
結婚を間近に控えた姉の様子がおかしいことには気付いていた。
彼女はそれを、花嫁特有の気鬱だと思っていた。
だが、それが勘違いだったのだとしたら。
この状況で、リリアーナが目の前の男のことをどう思っているのかわからないほど、ミリアは鈍感ではなかった。

「本気なのですか」
妹の瞳の中に非難の色を見出したリリアーナが唇を噛んで顔を背けた。
迷いを断ち切るように目を閉ざして言った。
「ごめんなさい……」
「本気で、トゥランを……わたしたちを捨てて、その男の手を取るというの?」
「ごめんなさい、ミリア。許して頂戴」
肩に触れた姉の手は小刻みに震えていた。
「お姉さま……」
「わかってくれとは言いません。あなたには、途方もないものを背負わせてしまうわね。
 でも、この道を選ばなければ、わたくしはわたくしでなくなってしまうの。だから……お願いです」

ミリアは大きく息を吐いた。
リリアーナの言を受け入れるのならば、彼女は多くの物を姉姫から受け取ることになるだろう。
だが、それと同じくらい、否、それ以上の物を失うことになる。
覚悟を決めなければ。
「これを」
硬い顔をした姉の手の内に、いつも身につけていたペンダントを外して押し込める。
「ミリア?」
「中にカルタッファルの…わたくしの知己の空族が住む場所の地図が入っています。
 周辺諸国へ逃げても、すぐに追っ手が付きます。でも、国家にまつろわない彼らなら」
「でも、そんなことをしたらあなたのお友達が…」
受け取るのを躊躇い、返そうとしたリリアーナから、ルスキニアがペンダントを奪った。
薄い色の瞳がミリアを見た。
「感謝する」
どこまでも気に障る男だ、と彼女は思った。
「ルスキニア。お姉さまを泣かせたら、わたくしが許さないわ」
「ああ」
睨みつけるミリアの眼光をものともせずに男は頷いた。
「そんなことがあれば、俺も自分を許さない」


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