11/11/13 00:12:25.56 x+E30rcd
風呂場でのぼせそうになった時は、窓を開けた時に入ってくる空気の冷たさが嬉しい。絵理ちゃんが脱衣
場で服を着ている間、僕はこうして、湯気が外に出て行くのを眺めながら涼んでいる。
「涼さん、ちょっと……」
脱衣場の扉から、絵理ちゃんの困った顔が現れた。
「どうしたの?」
「下着とブラウス、うっかり洗濯機に入れちゃった……」
「えっ、ホント?」
「乾くまで、何か借りてもいい?」
本当に意図せずにそうしてしまったらしく、絵理ちゃんは申し訳なさそうに、半分俯きながらそう言った。
「いいよ」
絵理ちゃんはそれほど体が大きいわけじゃないから、緩くなってしまうことを考慮しなければ着られる服
はたくさんある。下着だって……アテはある。それが僕のだってことが、ちょっぴり悲しいことだけど。
先に着替えさせてもらってから、体にバスタオル一枚身につけただけの絵理ちゃんを部屋まで案内し、僕
は絵理ちゃんの着られそうなものを見繕った。クローゼットの奥に隠していた女物の下着よりも、僕が普段
使っているボクサーブリーフを身につけることを絵理ちゃんは選んだ。体に密着するタイプだから、ショー
ツとそれほど大きな差がなくていい、と言っていた。
「上は……大丈夫?」
まだトップレスに近い状態であろう絵理ちゃんの方を直視したい気持ちを我慢しながら、そっぽを向いた
ままで、女装に使っているブラの感想を尋ねる。
「……微妙に、合わない?」
アンダーが緩くて、トップがきついらしい。アンダーが合わないのは仕方ない。絵理ちゃんがスリム過ぎ
るんだ。トップは……服の上からじゃ分かりにくいけど、何気に大きいからなぁ……。カップからこぼれ落
ちそうになっているそれを想像して、下腹部の中心が疼いた。
「やっぱり、無しでいい」
結局、絵理ちゃんが上半身に身につけたのは、黒いタンクトップ一枚だけだった。それも華奢な体にはブ
カブカで、ちょっと覗きこめば、横からも上からも「女の子のカラダ」が見えてしまいそう。
身につけるものを身につけて、絵理ちゃんは髪を乾かし始めた。腕を上げる度に腋の辺りに視線が行って
しまい、目のやり場に困ってしまうから、僕は乱暴に頭を拭いて、無造作に取り出したマンガ本をただ漠然
と読んでいた。
直接視界に入れなくても、僕が使うのと同じなのにやけに濃密で芳しいシャンプーの匂いが、ドライヤー
の温風に運ばれてくる。自分以外の人間が、自分の生活空間にいる。絵理ちゃんが無防備な姿でプライベー
トを晒している。落ち着くことなんて、できやしなかった。
「涼さん、終わったよ」
「うん……わっ!」
マンガ本から視線を上げると、声の聞こえていたのよりも随分近い場所に、絵理ちゃんの顔があった。そ
して、顎の向こう側には、重力に引かれて釣り鐘のようになった乳房が見えている。その先端にあるピンク
も、黒いタンクトップがキャンバスになって、やけに目立ってしまう。
「……えっち」
僕の視線は絵理ちゃんに悟られていた。ばっと胸元を腕で隠して、絵理ちゃんは半身になった。