ポケモン その21at EROPARO
ポケモン その21 - 暇つぶし2ch201:Bad Maniacs
11/11/07 15:43:59.66 2YH4FSFx
―翌日 カントー国際空港 正面ゲート
 十一月上旬。気温は然程低くは無いが、それでも時折冷たい風が吹いて体温を奪っていくかの様だ。道歩く人々が二人の側を通り過ぎ、次々と消えていく。旅へ出る者、帰って来た者。顔を見るだけではそれは判らなかった。
 兄妹の服装は何時もの通り。リベンジの時に着用した初代仕様ではなく、リメイク時の服装にややアレンジを加えた形になっている。只、髪と目の色だけは戻っていなかった。
「暫く、カントーとはさよならかあ」
 やたらとデカいパンパンに膨らんだ旅行鞄を軽々と抱えてリーフが零す。
 年内中には恐らく帰らない。卒論発表会は一月末なのでそれに合わせて帰る必要はあるだろうが、その後の事は全く決めていなかった。
 指導教員を口説き落としてゴーサインを貰うにも随分苦労したと、その時の様子を思い出して、直ぐに思考をシャットアウト。あんまり思い出したくは無かった。
「やっぱ寂しいかよ」
 隣に控えるレッドも容量限界に挑んだかの様な破裂しそうに膨らんだズタ袋を担いでいた。
 長年慣れ親しんだ土地を離れるのだ。もう二度と帰らない訳では無いが、それに際し一抹の寂しさが過ぎるのは人間の性だろう。レッドだってそうだ。
「そりゃそうよ。エリカやナツメと暫く飲めないからさあ」
「まあな。グリーンの愚痴聞くのも、タケシからかうのもお預けだもんな」
 遠く離れれば徐々に疎遠になるのが人間関係だ。今迄の様に気軽には会えないし、電話で繋がっていると言っても以前の様な深い関係では無くなってしまう。
 それは、確かに淋しい事だろう、
「でも……一人じゃないからさ。そんなに寂しくない」
 そんな中でリーフが頼るのは隣に何時も居てくれたお兄ちゃんの存在だ。そして、それは決して依存的なモノではない。
「兄貴が……レッドが居てくれるなら、あたしは十分だよ」
 もっと深い、恋人……否、伴侶……否、buddyとして。
 相棒を信じているからこそ、旅の不安は一切感じなかった。
「また何時消えちゃうか判らないけどさ。こんなあたしで良ければ、レッドの側に居させて」
 そう言ってリーフは悲しそうに囁いた。
 唯一の懸念事項がそれ。一度、リーフは確かに世界から退場して、消え去った。兄が役目を負わせたとは言っているが、それが何時まで続くか判らない。
 何故なら、今の自分達はシナリオを無視して好きに動いている。今この瞬間だって、消されると言う恐怖が付いて回っているのだ。
 そんな厄介な自分に手を差し伸べ、一緒に居てくれる優しいお兄ちゃん。甘えるなと言う方が無理な相談だった。



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