12/03/09 14:47:08.17 sMzZbbGK
>>617
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5分、だった。
神山は壁に上半身が埋まり、山崎は銃弾に倒れ、原田はブラックウィドーにからめ捕られた。
累々たる仲間の死体の上で、血まみれの近藤勲が倒れた。
「ひ…きょう者…がぁっ!」
『斬るならコイツごと斬ってみろ』と沖田を盾にしたメガトロンにひるんだ一瞬の隙に、近藤はスコルポスの突きに
腹を撃ち抜かれ、敗北した。
最後に残った土方も、自分と同等の戦闘力を持つ伊東との戦闘で体力を使い切り、ミツバの姿を見て動揺した所をタッカーが
所持していた麻酔銃で撃ち抜かれ、どうと膝をついた。
「いやあ意外とあっけなかったザマス」
テラザウラーがケタケタと下品に笑い、沖田の襟首を粋と掴んだ。
「彼ほど調教班に適した人材はいないからね。成長が楽しみだよ」
既にタッカーはどう彼を改造するかで頭がいっぱいのようだった。
「あ、あの、近藤さんたち、死んでおりませんよね」
「アア? 心配しなくていいよ。最低でも名前がEDテーマのスタッフロールに出ている連中は生きてるさ」
伊東はにっこりと微笑んでミツバの手を取った。
その1時間後、江戸のターミナルから登録されていない船が出港したという。
★
そして月日は流れる。
「おい佐藤ー、なんか飯作れ」
「あいよ」
金髪に咥え煙草の「お前はどこの黒足の海賊だ」と問いかけたくなる容姿のイケメンコックに、調教部隊副隊長・沖田総悟は
テーブルに顎を乗っけて注文した。ここは愛奴牧場の社員食堂。竿師、捕獲員、調教員、科学者、事務員など枠を超えて
人々(雌畜でないものを差す)が集い、腹を慰める場所である。
人口声帯なしでうまくしゃべれない少女がラーメンをすすっていたり、眉毛の繋がった警官がかつ丼をかきこんでいたり、
ゲイカップルがいちゃついていたり、金髪眉毛男が『そ、その辺でやめてくれると助かるんだが…』と4皿目のカレーライスを
食おうとしている鎧姿の少女にストップをかけたりしている中、佐藤潤は皿を差し出した。
「今日は何なんだ?」
「麻婆豆腐だ。お前、疲れてるみたいだからな。これでも食って今日は早く寝ろ」
「そうだな。今日は日課の上条虐めもやめとくか」
ちなみに上条虐めは基本的に朝昼晩の三回やるのが沖田のセオリーであった。
紫煙をくゆらせて去っていく佐藤を尻目に、沖田は麻婆豆腐を口にした。
今日も、外は小雨が降っている。
「・・・・かれぇ」
つぅっと涙が頬を流れ落ちた。
心の中に引っかかる何かを感じながら、沖田は食事を続けた。