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>>264 上条サーガ最終章!
からん、と小さく音がして、グラスが傾けられた。
ごくんごくんと喉を鳴らして、ヴェントは再び俺の淹れた烏龍茶を喉に流し込んだ。
「一つ思うんだがよ」
涅槃寸前の仏陀のようなポーズをして、賢者モードの俺はヴェントに問いかけた。
「雌畜ってザーメン飲む時、すっげえ美味そうな顔して飲むんだよな。
まさかあんなに臭くてドロドロしたモンが美味く感じるのか?」
「ん、まあ、基本的にはそうね」
唇を軽く手の甲で擦って、ヴェントは答えた。
「私達、舌や鼻の神経もいじられてるらしくて、キモい脂ぎったデブハゲオヤジのザーメンですらすっごく美味しく感じちゃうわけよ。
それこそ極上の味に感じるわけでさ。まあ私等はうまいもの食ってきたからいいけどさ、可哀想なのはこども牧場の幼女よ。
本来ならもっとおいしいものだって食べられたのにさ…」
そう言って彼女は窓の外の遠い町明かりに目をやった。
可哀そう、かぁ。
意味が分からんな。
なぜそんな死語を使う必要があるんだ?
この世に可哀そうな奴なんざいるもんか。少なくとも、この牧場に生きている限りは飯も保証されるし生きる分には困らねえだろうに。
そう俺は思ったが、あえて口には出さないことにした。
口に出したところで、何も変わりはしないからな。
★
「畜生ォォ、私は従わないぞ!! 何があっても信仰は捨てない! お前らなんかに屈しない!!」
X型の十字架に拘束されたその女は、ピアスだらけの顔を歪めて叫んでいた。
彼女の服は全て剥ぎ取られ、残った部分にはありったけの呪印と生傷が残っていたが、それでも女は歯を食いしばり、眦を引き裂いて
叫び続けていた。
「ええい、なんてしぶとい奴だ。常人ならもう6回は死んでるぞ」
リモバイの端末と焼けた鉄串を握りしめた眉毛の繋がった中年男性が、呆れたように声を上げた。
数多くの女を単なる雌畜に叩き落としてきた彼の手腕をもってしても、『神の右席』が一角、前方のヴェントを堕とすのは無理だった
のだ。
「おいピアス女。お前がこの誓約書にサインさえしてくれればもうこんなお遊びは御仕舞なんだぞ。わかってるのか?」
「誰が書くかこの北京原人が! 地獄に落ちやがれ! 世界が終るまで焼けた泥の中で鬼ごっこでもしてな!!」
この劣勢を何も感じないのか、女は神に仕える身とは思えないような暴言を吐いた。
その時だ。
「ねぇー終わったぁー? 入っていいー?」
『勘吉ちゃん』『そろそろ』『交代の時間だよ』