11/11/10 02:20:32.73 ME512XlL
どうも、前スレ344こと不自由なる風の人です。>>207の続き行きます。
シャワーの音が聞こえだした。
化粧を落とした方がいいんじゃないかな、なんて言ってみただけだったのだが、まさか本気にするとはな。
無造作に脱ぎ捨てられた彼女のごてごてとしたワンピース(・・・いかん、この単語だけで寒気してきた)をちらりと見やり、
俺はベッドに向かい歩を進めた。
(香水とかはつけてねーみたいだな。魔術的な要素なのか?)
別に俺は匂いフェチという訳ではないのだが、ふと気になってヴェントの服に顔を近づけてみた。雌畜独特のやたら
甘ったるい匂いがするだけで、むしろ萎えた。ドカリと俺はベッドに腰を下ろし、ポケットに入れていた『封神演義(安能務版)』
を読み始めた。
「何この申公豹さんカッコイイ。原作のヘタレ粘着質精神はどこ行った」
すっかり俺が安能ワールドに浸かっていると、キィ、と小さな音がした。
「上条、上がったよ」
高く澄んだ声が響き、俺は栞を挟んで後ろを振り向いた。
・・・・?
・・・・・・・?
・・・・・・・・・・・?
「おかしい俺は確かにチェンジしてくれと頼んだがここまでの美女は注文した覚えはないぞ」
「それ、褒めてるの?」
俺の上げた台詞に反応し、亜麻色の髪の乙女は柳眉を逆立てた。
「…俺はお前みたいな美女は知らないぞ」
そう正直に告げると、白人の美女は急に顔を赤らめて、バスタオル一丁の裸の胸にパンパンと掌を当てて返した。
「び、美女って…私だよ、わからないの?ヴェントだよ」
「ヴェント? ヴェントがどこにいるんだよ?」
「私がそうだって言ってんだろうがゴルァァァァ!!!」
「『紙絵』!!」
ボッゴーン!!
女はクロゼットに立てかけてあった鎚を引っ掴み、俺めがけ水平に叩きつけた。
壁が爆発して吹っ飛んだ瞬間、俺は此奴の正体を確信した。
「えっ、えええええっ!? あなたが前方のヴェントサン? なんでわざわざあんなパンクなお化粧をする必要があったので
せうか!?」
「あ・れ・は! デフォルトでああだっただけなのよ! 戦闘時にはできるだけ相手に敵意を抱かせやすい外見にしてるの!」
「ポン!(←手を叩いた音)」
「納得速いわねアンタ…」
はぁーあ、と彼女は額に手を当てて嘆息した。
しかし、俺が何も考えずに「美女」と言ってしまうほど、目の前で立っている女は端麗な姿だった。白磁のような艶やかな
肌はほんのりと上気して水滴を弾き、眼はアーモンド状の碧眼で、意志の強さが見て取れた。他の雌畜に比べれば見劣りはするが
小柄なくせに胸は割と大きめで、きゅっとくびれたウエストや、むちむちとした太腿など、十分に生の彼女は女性的な魅力に
満ち溢れていた。