12/06/08 23:48:15.88 /fG1y84n
コンプティークのコミカライズもたぶん終了したので俺も惑星ヒロインうめちゃん編。
結構難産だったけどいつまでも出さないと先延ばしにしてしまうので。
草木も眠る丑三つ時―全体的に古びて湿った埃と黴の臭いが漂う商店街を若干不似合いな少女三人が歩いてゆく。
先頭を行くのは日向葵。そのすぐ後ろをウェヌス・ドーンと須藤りのんが並び立って歩く。
りのんの足元はと見れば白くてフワフワした小動物がちょこちょこ歩いて続いている。りのんの相方である魔法の妖精的な存在、通称あんみつだ。
「出てこい出てこいゾンビちゃんっ」
葵は歩みに合わせて右手に持ったヒマワリの花を揺らす。綺麗ではあるもののそれだけの花一輪に見えるが、しかし葵がひとたび念を込めれば鋼鉄をも刺し貫く鋭利な槍となる。
今回の話は葵が聞き付けてきたものである。今日―厳密には昨日だが、昼食中の世間話の中でクラスメイトが三組の子がこの辺でゾンビに追いかけられたらしいと教えてくれたのだ。
そのような経緯もあって葵は俄然やる気を見せている。
「はぁゾンビですか」
張り切る葵に対して目に見えてやる気がないのがウェヌスである。極星帝国はレムリアの彼女はアンデッドなど見飽きるほど見てきて珍しくもない。むしろあまり好きではなかった。
ウェヌスが若い生命力に溢れているからかも知れないが、命というものは一度限りだから尊いものなのだと思う。
それにアンデッド化すると魔力の影響や肉体損傷を防ぐ為に全力を出さないよう抑制する自己防御機能が解除される事で肉体能力が強化されるが、それもまた気に食わない。
「せめてジュバ将軍くらいのものだといいけれど」
「ジュバ? グァバ? おいしいよねあれ」
「ジュバ」
極星帝国十将軍の一人ジュバは極星皇帝マクシミリアン・レムリアース・ベアリスが王太子時代から仕え、彼が王位を姉一派と争った内戦での活躍からその名を賜ったレムリアきっての勇士だった。
その後の極星帝国統一戦争で命を落としたがアンデッドロードとして復活し引き続きマクシミリアンの懐刀として仕えてきたが、
こちら側の地球の敵対勢力重鎮厳島美鈴と藤宮真由美の二名と戦って死霊術を解呪されてついに散ったのだという事だ。