【友達≦】幼馴染み萌えスレ23章【<恋人】at EROPARO
【友達≦】幼馴染み萌えスレ23章【<恋人】 - 暇つぶし2ch379:名無しさん@ピンキー
12/01/24 00:46:05.74 RW6n54yb

凜子には絵の才能がある。

小学生のころ、凜子が絵を描くようになったきっかけは、健一の絵だった。
健一は、子供にしては見たものを書き写す精度は高かったようで、度々賞などを得て、同級生からは神童などと揶揄されることもあった。
言われるままに自分が神童だとは思わなかったが、健一も褒められて悪い気はしなかった。
中でも、健一の絵をいたく評価していた凜子は、或る日彼に絵の描き方を教わりたいと言い出したのだ。

凜子は、健一とは対照的に描く対象をこれでもかというほど改変した。
そういうことは正しくと写せるようになってからにしろ、という彼の言葉も聞かず、こっちのほうがいいよ、と言っては雪の中にヒマワリが咲いていたり。
上達するにつれてそれはさらに顕著になっていき、そして健一は才能というものを知った。


健一は彼女の絵に感動してしまった。
俺には到底描けないだろうなぁ、とも思った。
この満たされない感情はなんだろう。
嫉妬ではない。恋い焦がれるような思いだ。
以来、彼が絵を描くとき、いつもリンコの絵が脳裏に浮かんで、彼は自分の絵に嫌気がさす。

俺の絵とはなんだ。
俺の絵は空っぽだ。誰の絵でもない。
佐々木経一が書いたには違いないが、作者の欄は空欄だ。
そこに誰の名前が書かれようと、俺の知ったことではない。



我が校の美術部の顧問は、文化祭に際して毎年お気に入りの生徒に自分名義の作品を作らせた。
彼女はその世界には割と名の知れた教師らしく、彼女の機嫌を損ねることはあまり得策ではなく、毎年必ず誰か犠牲になるらしい。そう先輩は口にしていた。
今年はたまたまその標的がリンコだった。
サッカー部とを兼部する彼女だが、一年時に一枚大きな絵を描いている。
誰が言ったわけでもないが、どう考えてもそうだろう。
仮にも彼女は美術教師だ。素人でもリンコの絵が突出していることはわかる。

経一は、押し入れの奥底で何年も眠っていた古びた水彩画を引っ張り出した。
俺が描いた最後の作品。
久しぶりに対面したそいつは、至らないところが目に余って、彼は見ていられなかった。

経一はリンコの絵の代替としては心もとないと思ったが、結果的にはうまくいった。
初め、もともと幽霊部員の面識もない彼が絵を持ってきたことに、その美術教師は非常に胡散臭そうに経一をねめ回した。
しかし、こと絵に関しては意外にも好印象だったらしく、彼は心にもない世辞を浴びせて、なんとか彼女から目的の言葉を引き出したのであった。



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