11/12/25 11:12:15.23 wjteJVmX
「桜子、この前俺の押入れ勝手に開けてエロ本捨てたろ」
「……あ、あはは、なんのこと?」
「今までは黙認してたのに酷くね?傷付いたぞアレ」
捨てましたすみません。
うん、ちょっとした喧嘩の腹いせに確かにそんなことをしたような。
……やっぱりちょっとやりすぎだったかもしれない。
「ごめん。…う、まさか罰ゲームで買ってこいとか言わないよね」
「まさか」
てっちゃんが、実に意地悪そうに、私の手にもう一度くちづけをしてから、口の端で笑った。
「俺が新しいの買ってくるから全ページ俺の前でめくって読む」
「ええええーーー!? さ、サイテー!てっちゃん最っ低、変態!!!」
「こ、声大きい!!」
焦って口を塞がれる。
確かに大きかったと反省して、少し声を押さえながら抗議する。
「ばかっ。ナシ、それなし。絶対だめ!」
「別に、桜子が頑張ればいいんだろ?どんなに失敗してても完成すればいいじゃん」
「てっちゃんいつからそんな意地悪になったの? ひどい。いいよもう、クリスマスはうちで夕ご飯とケーキ食べるから。デートとか絶対しないから」
「ええ、ちょ、ちょっと待」
「てっちゃんの命令聞くのは手だけでしょー。足がどこに行くかは私の勝手でしょ? 知らないからね」
「っていうか、だから、なんで最初から完成できないって前提なんだよ、諦め早すぎるだろ!」
「だって無理じゃない!」
どんどん喧嘩が不毛になる。
なんだかんだとくだらないやり取りをして拗ねたり怒ったりしながら。
去年の今頃は、てっちゃんの大学受験のやる気がどうのこうので怒っていたことを考えると、ずいぶん平和だなぁと不意におかしくなった。
グダグダになって、頭を冷やして仕切り直しと外階段に出てみると、空が白くて雪がパラついていた。
ともあれ、どんな予定になるとしても。
今年も、303号室の幼馴染の少年の隣でクリスマスを過ごすことだけは、変わらず決定しているのだった。
おわり