11/09/18 20:16:53.70 yz3SpMfL
ノックも無しに17歳の娘の部屋を開けて着替えを目撃したとなれば、これは間違いなく
闖入者が悪い。反対に、外からよく見える室内で小学生にイチモツを晒していたオジさんは、
迷惑行為で立件されたそうである。
では、この場合─ドアを開け放して着換え女の部屋にやってきた男を、彼女は咎める
ことが出来るのか。
少なくとも、そんなことを考える暇が、皆瀬那津子にはあった。制服を着直すにも扉を
閉めるにも足りなかっただろうが、アクションを取らずにボーっとしていたのは彼女の
意思だ。
「うぃーす、なっちゃん。クーラー借りに……っって、暑っ! 何この部屋!」
スカートを膝まで下げたセーラー服姿を正面から見つめて、西野亮一は開口一番そう
のたまった。
「ご覧の通り、今帰ったとこなんだよ」
「制服ってことは、そっか。なっちゃんは今日始業式?」
「そ。私立のおぼっちゃまは休みが長くて羨ましいわー」
「おぼっちゃまなら、節電を盾にクーラー禁止令出されたりされたりしねえって。お袋の
やつ、居間だけは付けっぱOKなんて自己中にも程がある……」
ぶつくさ言いつつ、持ち込んだ大荷物(勉強道具やら本やら果てはノートPCまで)を
床のテーブルに拡げ終わると、亮一は窓に手を掛けた。
「ちょっと、勝手に開けないでよ」
「この部屋、外より全然暑いぞ。クーラーより先に、一度熱気を出した方がいい」
「そうじゃなくて、着換え中なんだけど」
ショーツ姿で上着のリボンタイを抜きながら、那津子は言う。
「……そういうことは、ちゃんとドアを閉めて着替える人が言わないと」
眉を落として半眼になりつつも、亮一は後ろ手でカーテンを引いた。