11/12/12 10:20:58.93 W+dHvzGy
「風花ってさ、はじめて知り合った時より、今のほうがずっと活き活きしてるよ」
勝ち気な少女が風花の方に顔を向けていて笑っていた。
サンドイッチの最後の一かけらを口にほお張り、105円のコーヒーパックを飲む。
そうして食べ物を胃に流し込んでからコーヒーが入ったパックを置いて言った。
「なんかね、恋してる女の子の顔、って感じがする。そういうの好きだよ」
金髪碧眼の少女も、『恋してる女の子の顔』というのはよくわかりませんが、と前置きして言う。
「今の風花さんの心はとても穏やかでゆったり、でもうきうきノリノリなのが感じられます。私も好きです」
風花はなんだか2人からかけられた言葉に嬉しかった。
目の前で一緒にお昼を共にしている2人に相談した目的。
それは単に嫌なものを吐き出したかっただけだった。愚痴だ。
それが理解を得られ、そして風花自身の今の生き方も肯定してくれた。
嬉しくって緊張が解けたのか、急に周囲の雑音が耳に入ってくるようになった。
風花達3人に向かって、こそこそした話し声があちこちから聞こえる。
もしかして自分が打ち明けた話―特に今、風花が穿いている下着の話まで聞かれてしまったのか。
正直、心が弱かった時の彼女はこの雑音が嫌でしょうがなかった。
自分の事を悪く言っているのではないか、もし言っていたらどうしよう、と無駄に意識を割いていた。
風花はそれらの雑音を、あえて無視して、穏やかな口調で目の前の2人に言った。
「2人とも、ありがとう。人と話すだけでこんなに気持ちが楽になれるものなんだね」
気持ちを吐き出した効果なのか、風花は今やるべき事が見えてきた。
「私、彼に謝らなきゃ。今頃どうしてるのかはわからないけど、会ってちゃんと話しないとね」
勝ち気な少女がニコニコしながらうんうんと頷く。
そして勝ち気な少女は人差し指を立てて、風花の行動に一言付け加える。
「会う前に、事前にメールで連絡してお伺い立てるの忘れずにね。親しき中にもなんとやら、って。ね?」