11/10/28 23:45:34.81 uT+/o6mD
魔法少女の必死の言い訳は、助けるべき一般人の圧倒的な声にかき消される。心の中から逃げ
る選択肢を抉り出されるようにして、か弱い少女の訴えは虚しく押し潰された。
これは、魔女の感覚に近いのではないかと、まどかはふと思った。
人間の負の感情を好む魔女は、こうして人間の絶望等を感知して、標的を探しているのかもしれな
かった。もっとも、魔法少女である自分が、魔女でなければ役に立たないような感覚をどうして手に
入れることができるのか、消耗した心では考えることもままならなかった。
今は、じっと、祈るような気持ちでほむらの言葉を待つ。そして、
「ねぇ、逃げようよ……だって仕方ないよ……誰も鹿目さんを恨んだりしないよ……」
何千人という怨嗟の声を聞くまどかの心に、ほむらの言葉は虚しく響いた。
しかし、それでも、彼女は少しだけ心に安定を取り戻し、肩の力をゆっくりと抜いた。情けないことだ
が、いっしょに逃げようという言葉に、魔法少女の孤独は少しだけ癒されたのだった。
「ほむらちゃん。私はね」
同時に、覚悟は決まる。
目の前にいる大切な親友を守ること。そして、魔女と戦うこと。
それができなければ、きっと自分はこのまま絶望に押し潰されてしまうだろうから。
まどかは不安的になる心を押さえつけて、魔法少女として再び歩き出す。
立ち向かう敵は、最強最悪の魔女・ワルプルギスの夜。
「あなたと友達になれて、嬉しかった」
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