12/03/18 09:07:59.03 9TxHfTQG
乙乙
351:名無しさん@ピンキー
12/03/22 01:25:17.79 0bPZEcWJ
乙!!!
352:64-285
12/03/29 00:25:23.67 Adz7DQF/
「みずたまりのほとり ゆたか視点」(3日目・前編)を投下します。
3日目は長くなったので前後編に分けます…。
・10レス前後使用予定
・時間軸でみなみ視点の3日目の前半に対応
353:みずたまりのほとり ゆたか視点 17
12/03/29 00:27:15.56 Adz7DQF/
次の日の朝…。
お姉ちゃんは、苦しそうにベッドに寝ていました。
「…38度7分」
おじさんが、体温計の数字を読みました。
「学校行くの…無理かな…?」
「無理に決まってるだろ。静かに寝てなきゃ」
お姉ちゃんの苦しそうな言葉を、おじさんが即座に打ち消しました。
「ゆーちゃん、ごめん…学校、一人で大丈夫かな…」
こんな状態でも、私のことを心配してくれるお姉ちゃん。
「大丈夫だよ。だから、ゆっくり休んで」
学校に行く準備はもうできていました。
「行ってきまーす」
私は一昨日までと同じぐらい元気に見えるように、家を出ました。
…元気に、見えるように。
家から見えないところまで来たとたんに、足が重くなりました。
(大丈夫なの?本当は、いじめられて我慢できなかったら
お姉ちゃんのところに行って泣き付こうって思ってたでしょ?)
『私』の言葉をきっぱり否定できない自分が…嫌でした。
(代わりはふゆき先生かな?…でも、保健室に行ったら
『あらあら、またおもらしですか?』って迷惑がられたりしてね)
「………」
重い足取りで駅まで行って、電車に乗りました。
引き返さなかったのが、自分でも不思議なぐらいです…。
電車から降りて、バスに乗って…。
周りに同じ制服の人が多くなってきました。
(同じクラスの人は今のところいないね。
でも、おもらしのこと、知ってる人はいると思うよ。
そういう噂はすぐ広がっちゃうからね…)
私はずっと、顔が見えないように下を向いていました…。
354:みずたまりのほとり ゆたか視点 18
12/03/29 00:28:41.40 Adz7DQF/
バスが学校前のバス停に着いて…バスから降りました。
「ゆたか…」
バス停の前に、一番会いたくて…一番会わなきゃいけない人。
みなみちゃんが立っていました。
「み…」
喋ろうとした、そのとき。
(『近付かないで…おしっこくさくなっちゃう』)
『私』が、あの夢の中のみなみちゃんの言葉を繰り返して…。
「……!」
…気が付いたら、私はみなみちゃんを置いて駆け出していました。
………
「はぁ…はぁ…」
校舎の前までぱたぱた走っただけで、疲れ切ってしまいました。
この前は学校のマラソン大会も完走できたのに…。
自分がどこまでも弱気になってるってことを、実感しました。
振り向いてみても、みなみちゃんはいませんでした。
(追いかけてきてくれると思った?
せっかく待っててくれたのに、話もしないで逃げといて…)
おもらししたのはみなみちゃんのせいじゃないって、伝えなきゃいけなかったのに。
私は、せっかく訪れたチャンスを自分で蹴飛ばしてしまいました。
…学校にいれば、またチャンスはあるよ。
自分をそう慰めながら、一人でとぼとぼ教室まで行きました。
教室に一歩入ると…みんなの視線が集まってくるのを感じました。
(『おもらし女』…『きたない』…『出て行け』…)
『私』がまた、夢の中で聞いた言葉を繰り返して…
私は鞄を投げ出すように机に置いて、教室から駆け出しました。
…誰もいない空き教室の、外から見えない隅っこに座り込んで、
気がつくと、HRが始まるチャイムが鳴っていました。
先生がいれば…いじめられない…たぶん。
恐る恐る教室の前に戻ると、ちょうど先生が来るところでした。
先生と同時に教室に入って、席につきました。
席についてからも、ずっと下を向いて息を潜めて、気配を消そうとしました。
石ころみたいに、誰も私の存在を気にしないでくれるように祈り続けました。
355:みずたまりのほとり ゆたか視点 19
12/03/29 00:30:48.69 Adz7DQF/
………
1時間目の授業が始まって…終わりました。
すぐ教室から出て、さっきの空き教室の、さっきと同じ隅っこに座り込んで、
2時間目のチャイムが鳴るまで時間を潰しました。
チャイムが鳴ると、教室に戻って…先生と同時に中に入りました。
………
2時間目の授業が終わると、すぐまた同じ空き教室に行って、座り込みました…。
(こんなので、みなみちゃんと話すチャンスがあるの?
一昨日は保健室で会いたくないって言って、今朝は待っててくれたの無視して、
それでもみなみちゃんが諦めないで探しに来てくれるとか、思ってる?)
「………」
『私』の声に何も言えないでいるうちに…3時間目のチャイムが鳴りました。
………
3時間目が終わって…また休み時間。
また空き教室にいると…。
がらっ。
突然、誰かが入ってきました。
もしかして…。
「小早川さん…こんなところにいたんだ」
入ってきたのは…田村さんでした。
田村さんが近づいてきます。
(『小早川さんのおもらしイラスト描いてみたんだ。見てくれる?』)
『私』がまた、あの夢を思い出させる言葉を繰り返して…
私は慌てて立ち上がって、空き教室から駆け出しました。
そのままあてもなく廊下を歩いていると、4時間目のチャイムが鳴りました。
………
4時間目が終わって…昼休みです。
お弁当を持って、私は教室から駆け出しました。
あの空き教室はもうだめだと思って…屋上に行ってみることにしました。
屋上には誰もいませんでした。
お弁当を食べて、5時間目のチャイムが鳴るまでそのまま時間を潰しました。
次の休み時間も、ここで時間が潰せるかもしれません。
356:みずたまりのほとり ゆたか視点 20
12/03/29 00:33:46.13 Adz7DQF/
………
5時間目も終わって、屋上で時間を潰して…。6時間目が始まりました。
黒井先生の授業でした。
このまま一日が終わる…そう思っていました。
でも…その授業中に、今までと違うことが起きたのです。
誰かが、私の背中をつっつき始めました。
(とうとう、授業中でもいじめが始まったかな…?)
やめて…。
私は石ころだよ…相手にしないで…。
気付かないふりをしていると…その誰かが、もっと背中を強くつっつきました。
そのつつき方は、遊んでいるんじゃなくて、まるで助けを求めるかのようでした。
恐る恐る振り向くと…田村さんでした。
田村さんは下を向いたまま、震える手で私に1枚のメモを差し出していました。
表情は分かりませんでしたが、全身が苦悶に震えていて…何かの理由で、
ものすごく追い詰められているのが分かりました。
メモを受け取ると…乱れた走り書きでこうありました。
『いわさきさんがおもらししちゃう』
「!?」
みなみちゃんを見ると…、
顔が青白くて、視線が虚空をさまよっていて、
全身ががたがた震えていて、呼吸も苦しそうで…。
あの時の私と同じ…いえ…もっとひどい状態に見えました。
スカートは濡れてなくて、まだ手遅れではないようでした。
でも…いつそうなってもおかしくない状態でした…。
それだけのことを即座に見て取った、その直後。
みなみちゃんも私の方を見て…視線が合いました。
みなみちゃんは、視線で私に『何かをして』と訴えていました。
でも…どうしても『何をしてほしいか』が分からないのです。
普通、こんな状況だったら『助けて』だと思います。
なのに『助けて』じゃないことだけが分かるのです…。
みなみちゃんの視線が『早く…もうあんまり待てないよ…』と訴えてきます。
待てないのは分かるの…。でも、どうしてほしいか分からないんだよ…。
『助けて』じゃないなら…何をしてほしいの?
こんな状況で、他にしてほしいことなんて、思いつかないよ…。
357:みずたまりのほとり ゆたか視点 21
12/03/29 00:36:12.04 Adz7DQF/
…焦っているうちに、周りの人がみなみちゃんの様子に気付き始めました。
少しずつ、視線がみなみちゃんに集まっていきます…。
「…ん?」
黒井先生もとうとう気付きました。もう考えてる余裕はありません。
がたっ!
黒井先生が言葉を発する前に、私は大きな音を立てて立ち上がりました。
みんなの視線が、みなみちゃんからこちらに移りました。
みんなに見られるのは嫌だったけど、今はそんなこと気にしていられません。
「先生…みなみちゃ…岩崎さん、具合が悪そうなので、保健室に連れて行きます」
とっさに考えた、無難な言葉。
「…あー、ウチもちょうど今気付いた。
めっちゃ顔色悪いし、震えとるし…岩崎、無理せんと早く行っとき。
言いだしっぺやし、小早川、頼めるか?」
黒井先生はすぐに許可してくれました。
私は急いでみなみちゃんに駆け寄りました。
みなみちゃんは震えながら、切なげに私を見つめてきます…。
さっきはびっくりしていて気付きませんでしたが…かわいいです。
いつもクールなみなみちゃんが、おしっこしたくて震えてる。
そのギャップが、さらにかわいさを後押ししてて…。
このまま、みなみちゃんがおもらしするの…見てみたい。
一瞬だけ…本当に一瞬だけ、そんないけないことを考えてしまいました…。
「…行こう、みなみちゃん」
いけない考えを振り払って、そう言うと…みなみちゃんは首を振りました。
「だめ、行けない…」
「無理しちゃだめ、行こう!抱っこはできないけど、支えるから…!」
このままここにいたって、いずれ限界が来ておもらししてしまうだけです。
みなみちゃんは私なんかよりずっと意思も体も強いから、
こんな状態になっても、まだ動けるかもしれない。
その可能性に賭けるしかありません。
私はそっと、みなみちゃんを立たせるために手を伸ばしました…。
358:みずたまりのほとり ゆたか視点 22
12/03/29 00:38:16.96 Adz7DQF/
…みなみちゃんの表情が変わりました。
目が潤んで…幸せな夢を見ているような、不思議な微笑が浮かびました。
その微笑を見たとき…一つの予感がしました。
私が触ったら…みなみちゃんはおしっこをしちゃう…。
思わず、伸ばしかけた手を止めました。
すると…みなみちゃんは困ったような表情になって…。
『どうしたの…ゆたか、早く触って…』
視線でそう訴えてきました。
さっきと違って、今訴えていることははっきり分かりました。
だめだよ…触れないよ…。だって、触ったら…。
『…早く、ゆたか…』
…どうしたらいいの?
このまま諦めたら…みなみちゃんはここでしちゃう…。
でも…連れて行くために触れば…それでも…。
『時間をかけるなんて、残酷だよ…』
みなみちゃんが懇願するように見つめてきます…。
その視線は、ずるいって思うぐらい魅惑的で…。
気が付いたら、操られたように手が動いていて、
みなみちゃんの腕をそっと掴んでいました…。
「あ……」
吐息交じりのぞくっとするような声と共に、
みなみちゃんが目を閉じて…おなかの緊張を解いたのが分かりました…。
「だめえええっ!」
「!!」
私の絶叫で、みなみちゃんがびくっと体を震わせて…、
気を失いかけたように一瞬よろめいて…、
放心したように再び私を見つめました。
そのときの私は、みなみちゃんがおしっこをしてしまう気配で
パニックになって叫んでしまっただけでした。
それが、予想外の奇跡を起こしました。
びっくりしたことで、みなみちゃんの体のおしっこを出す動作が
止まってしまったようなのです。
(だめ…ここでしちゃだめだよ!トイレ行こう…みなみちゃん!)
私は、誰にも聞こえないように囁きました。
夢から覚めたように、みなみちゃんの瞳に生気が戻って、
触ったらもらしちゃうという予感が消えました。
今ならみなみちゃん、動けそうです…。
359:みずたまりのほとり ゆたか視点 23
12/03/29 00:41:31.75 Adz7DQF/
「立たせて、いい?」
「…うん」
私はそっとみなみちゃんを立たせました。
「歩ける…?」
みなみちゃんは、私の言葉で恐る恐る一歩を踏み出しました。
「歩けそう…少しの間なら」
「じゃあ行くよ。ゆっくり、急いで」
私は、みなみちゃんを支えて教室から出ました。
教室でざわめきが始まって…ここまで聞こえてきました。
「トイレだったよな、どう見ても…」
「間に合うかな、あんな状態で…」
「そういや岩崎、5時間目から様子変だったような…」
「今日、岩崎さん、席から離れたの一回も見てない…」
「じゃあ、もしかしたら一回もトイレ行ってないってこと?」
「どうして…?」
「もしかして、小早川…」
「はいはい、つまらん詮索すな。授業続けんでー」
黒井先生がざわめきを鎮めて、何も聞こえなくなりました。
…今は余計なことを考えてる暇はありません。
お手洗いまでゆっくり、急がなきゃ。
………
無事にお手洗いに着きました。
個室のドアを開けて、みなみちゃんを中に入れました。
「もう大丈夫…離していい…外に出てて…」
みなみちゃんの言葉に従い、そっと体を離して、
お手洗いの外まで駆け出しました。
360:みずたまりのほとり ゆたか視点 24
12/03/29 00:43:54.30 Adz7DQF/
お手洗いの前で一人になって…さっきの続きを考えました。
聞こえた言葉が本当なら…
みなみちゃんは、わざとおしっこを我慢していたことになります。
最後の、途中で遮られた言葉を思い出して、どきっとしました。
『もしかして、小早川…』
もしかして…みなみちゃんは…
私のために、私と同じようにみんなの前でおもらしするつもりだったの?
…そんなの、何の意味もない。
おもらしした人が増えたって、私はしたことは消えない。
みなみちゃんも私のとこまで落ちちゃうだけ…誰も救われない。
みなみちゃんも同じように傷付いて…いじめられる…。
想像しただけで、悲しくなって…、
どうしてそんなばかなことするのって、理不尽な怒りも湧いてきて…。
…待って。落ち着こう。
周りの人の言葉から、私が勝手に想像してるだけ。
みなみちゃん本人に聞かなきゃ、本当のことは分からない…。
何とか心を落ち着けたところに…みなみちゃんが、お手洗いから出てきました。
つい、気になって下の方を見て…、
みなみちゃんが素脚なのに気付いて、どきっとしました。
「みなみちゃん…タイツ、もしかして…」
「今日は、はいてきてない」
「そ、そうだっけ…。じゃあ…大丈夫だった?」
「うん」
「少しも?」
「うん。確認した…」
ひとまず、安心です…。
361:64-285
12/03/29 00:47:09.18 Adz7DQF/
ゆたか視点 3日目前半は以上です。
今回はここまでです。
362:名無しさん@ピンキー
12/03/29 00:48:34.82 xaSJfhe4
乙でした!
363:名無しさん@ピンキー
12/03/29 21:20:34.46 TFEUPM3S
乙です!
続き楽しみにしてます
364:64-285
12/04/09 01:11:59.98 QpDzvU0R
「みずたまりのほとり ゆたか視点」(3日目・後編)を投下します。
・11レス前後使用予定
・時間軸でみなみ視点の3日目後半(エピローグ直前まで)に対応
・みなみ視点とクロスするシーンで、大きな流れは同じですが
細かい言い回しなどを所々変えてます
365:みずたまりのほとり ゆたか視点 25
12/04/09 01:13:45.31 QpDzvU0R
…でも、みなみちゃんの顔色はおしっこを我慢していたときと同じぐらい悪くて、
その上…どこか痛いのを我慢しているように見えました。
「みなみちゃん…どこか痛いの?」
「…う、うん。おなかが…ちょっと」
ちょっとには、見えませんでした。
「もしかして…膀胱、傷めちゃったのかも…」
私よりずっと意志の強いみなみちゃんが、歩けなくなるほど我慢したのです。
膀胱にかかった負担は私の場合とは比べ物にならなかったはずです。
「そうかもしれない…でも、どうでもいいから…」
「どうでもいいって、そんな…!」
「え…。あ…ごめん、大丈夫だから、って言いたかった」
そう言って微笑んで見せるみなみちゃんは、大丈夫になんて見えませんでした。
話をするのも辛そうで、本当に保健室に行って休んだ方がいいぐらい…
それどころか…今すぐ病院に行かなきゃいけない状態にだって見えました。
「…みなみちゃん」
なのに私は、みなみちゃんに本当のことを聞きたい気持ちを抑えられませんでした。
「教室から出た時、みんなが話してたの聞こえたんだけど…。
5時間目から…もしかしたらもっと前からずっと我慢してたみたいだって。
…本当なの?」
「…うん」
みなみちゃんは少しためらってから、肯定しました。
「どうして?」
「………」
みなみちゃんは何も言いませんでした。
それは、私の『どうして?』が聞こえなかったからじゃなくて、
理由がなかったからでもなくて、私が悲しむような理由だから言えないのです。
「みなみちゃん…みんなの前でおもらしするつもりだったんだね。
私がしちゃったからって…同じようにって…」
366:みずたまりのほとり ゆたか視点 26
12/04/09 01:16:15.84 QpDzvU0R
みなみちゃんは…さっきより長い間ためらって…そっと肯きました。
さっきの悲しみと、理不尽な怒りが心の中にまた燃え上がって…。
「……ばかあっ!」
気が付いたら叫んでいて、みなみちゃんがびくっと体を震わせました。
「みなみちゃんまでおもらししたって、何にもならない!
私がしちゃったことは消えないよ!
私と同じように傷付く人が、もう一人増えちゃうだけだよ!」
「でも……でも……」
弱々しいみなみちゃんの声。
「私は…ゆたかに…おもらしさせて…傷付けた…だから…。
私も…同じように傷付けば…ゆたかが…少しは…」
「みなみちゃんが傷付いたらどうだっていうの?
もっともっと悲しくなるだけだよ!
みなみちゃんが傷付くのなんか見たくない!
そんなの、想像するだけでも悲しくなっちゃうよ…!」
悲しみと理不尽な怒りに突き動かされ、一方的にまくし立てる私。
「………」
みなみちゃんはおびえたように黙り込んでしまいました。
私の中の怒りはしぼんで、悲しみだけが残りました。
「みなみちゃん…。みなみちゃんがおもらしして傷付いたら…
仲間ができて嬉しいって、私が喜ぶと思ったの?
みなみちゃんが、私と同じところまで落ちてきたらいいって…
そんなこと考えてるって、思ってたの?」
それでも…声のトーンが落ちただけで、私は止まりませんでした。
残った悲しみだけでも、私を突き動かし続けるのには十分だったのです。
「………」
みなみちゃんは、何も言わないで黙っているだけでした。
でも、その追い詰められた表情は、言葉と同じようにはっきり告げていました。
『否定できない』…と。
そのとき…やっと分かりました。
教室で、私が立ち上がる前、みなみちゃんが視線で訴えていたことが何なのか。
あのときみなみちゃんが、私に何をしてほしかったのか。
「みなみちゃん…教室で私が立ち上がる前に伝えようとしてたことって…。
一昨日の仕返しにおもらしさせて、ってことだったんだね?
おもらしのことでみなみちゃんを恨んでて、仕返ししたがってるって…
私のこと、そんな自分勝手で意地悪な人だって…思ってたの?」
367:みずたまりのほとり ゆたか視点 27
12/04/09 01:18:01.68 QpDzvU0R
「………」
みなみちゃんは、黙っているだけでした。
「みなみちゃん…どうして何も言ってくれないの?
違うんだったら、違うって言ってよ…」
「………」
みなみちゃんは、それでも黙っていました。
『違う!そんなわけない…!』って言いたそうに見えました。
でも、声にして言わないのは…やっぱり否定できないということです。
みなみちゃんの中で…私はそういう子だったのです。
「そうなんだ…私のこと…そんな風に思ってたんだ…。
ひどい…ひどいよ…みなみちゃん…」
涙が浮かんできて…下を向いた、一呼吸の後。
……ぽたっ。
足元で、涙の雫が弾けました。
…私の涙は、まだあふれていないのに。
「え…」
顔を上げると…同じように下を向いていたみなみちゃんの瞳から
二粒目の涙が落ちていって…。
……ぽたっ。
足元で、同じ音を立てて弾けました。
「みなみちゃん!?」
私の驚いた声に、みなみちゃんは顔を上げました。
顔を上げたことで、またあふれた涙は、すぐに落ちないで頬を伝いました。
「え…」
みなみちゃんは手でさっと目の辺りを拭って…。
また、涙が伝って…。
「……!」
みなみちゃんはそのとき初めて、自分が泣いているのに気付いたのでしょう。
目をぎゅっと閉じて…。
閉じた目から、また涙がこぼれて…。
「……っ!」
両手で顔を押さえて…。
それでも、押さえた手から涙がこぼれ落ちていきました…。
368:みずたまりのほとり ゆたか視点 28
12/04/09 01:19:44.33 QpDzvU0R
「みなみちゃん…」
(泣かせちゃった…みなみちゃんが泣くなんて、どれだけ傷付いたんだろう…)
『私』の声で、みなみちゃんを泣かせてしまったことを今頃になって自覚しました。
「みなみちゃん…あ…あの…ご…ごめん…私…言い過ぎた…」
(今さら何言ってるの?口から出した言葉は戻せないよ)
『私』の声に同意したかのようなタイミングで、
みなみちゃんが顔を押さえたまま、無言で首を横に振りました…。
(ほら、『今さら謝っても遅いよ!』って言いたいんだよ、きっと)
「みなみちゃん…そんなつもりじゃなかったんだよぉ…」
(どういうつもりだったの!言ってみてよ!)
『私』の声が今までで一番冷たく、そして強く頭の中に響きました。
「………」
何も…言えませんでした。
(…どうして言えないか、教えてあげる。
私がしたのはただのいじめだって、認めたくないからだよ。
みなみちゃんが弱ってて抵抗できないから、調子に乗って泣くまでいじめただけ。
学校でいじめられるっておびえてずる休みまでしたくせに、
抵抗できない相手がいたらいじめっ子に早変わり…勝手すぎだよ)
そんな…そんなつもりじゃなかったんだってば…。
みなみちゃんが無茶なことしたのが悲しかったから…。
みなみちゃんに変な風に思われてたのが悲しかったから…。
(無茶なことさせたのも、変な風に思わせたのも、私じゃないの?
もっと早くみなみちゃんに本当のこと教えてたら、
みなみちゃん、おもらししようとなんてしなかったんじゃないの?
支えようとした手を振り払われて、顔見たくないって言われて、
待ってて話しかけようとしても口もきかずに逃げられて、
それでも恨まれてるって思わない方が変じゃないの?)
そこまで言って、不意に『私』は、言葉を切りました。
聞こえるのは、みなみちゃんのかすかな嗚咽と、涙が足元で弾ける音だけ。
私は…自分でそうさせたことなのに、みなみちゃんを責めて泣かせてしまった。
そのことを噛み締め、絶望が心を覆い始めて…、
それを待っていたように『私』は言葉を続けます…。
(…最後に残ってた希望、自分で壊しちゃった。
ずっと見捨てないでくれてたみなみちゃんの心まで踏みにじって…
もう味方になってくれる人なんていない。本当に一人ぼっち。
あの夢、やっぱり本当になった…というより、自分で本当にしたんだよ)
369:みずたまりのほとり ゆたか視点 29
12/04/09 01:21:36.10 QpDzvU0R
もう…もういいよ…わかった…わかったから……。
絶望に呑み込まれて…私自身のこと、消したいぐらい嫌になって…
みんなの前から消えてしまおうって…駆け出そうとした、そのとき。
みなみちゃんが顔から手を離して…涙できらきら輝く瞳と視線が合いました。
「違う…違うの…」
え…?
「ゆたかのせいで…泣いたんじゃないの…」
みなみちゃんは、涙が止まらないまま喋り始めました。
「どうして…泣いてるのか…自分でも…分からないの…。
私…泣きたいなんて思ってない…。
頭…真っ白になって…気が付いたら…涙が出てて…止まって…くれないの…」
その声は震えて途切れ途切れだけど、涙声じゃなくてはっきり聞き取れました。
泣いていても、完全には自制を失っていないのです。
「ゆたかの…言う通りだよ…おもらしさせたこと…もう…消せない…。
せめて…ゆたかが…立ち直るきっかけ…作りたかった…。
そうできたら…私は…どうなってもよかった…。
なのに…私のしたことは…ゆたかの気持ち…考えないで…また悲しませただけで…、
今度は…泣き出して…困らせてる…。ばかだよね…訳…分からないよね…。
全部…私が自分でまいた種で…泣く資格なんか…ないのに…」
みなみちゃんが、喋れば喋るほど辛くなっているのが分かりました。
涙がもっといっぱい出てきて…体が小刻みに震えて…。
それでも感情を懸命に抑えて、喋り続けるみなみちゃん。
「私……本当に……ばかだ……。
どんどん……頭……真っ白になって……何も……考えられない……。
もう……どうしたらいいのか……分からない……分からないよぉ……!」
『分からないよぉ……!』でとうとう涙声になって…、
みなみちゃんはそれっきり何も喋れなくなりました。
みなみちゃんを泣かせたのは…やっぱり、私でした。
みなみちゃんはあのときからずっと、
どうしたらいいのか分からなくて泣きたいのを抑え付けてきて、
今、とうとう抑え切れなくなったのです。
そして…どうしたらいいか分からなくさせていたのは、私なのだから。
みなみちゃんが今言ったことは、みんな逆。
みなみちゃんの気持ちを考えないで、ずっと悲しませ、困らせ続けたのは私。
ばかで、訳が分からないことばかりしてたのは私。
全部の種をまいたのも、私だったのです…。
370:みずたまりのほとり ゆたか視点 30
12/04/09 01:25:21.68 QpDzvU0R
みなみちゃんへの罪悪感はさらに大きくなって、胸がずきずき痛みました。
なのに、さっきのような駆け出したい衝動はもう起きませんでした。
心が落ち着いて…というより、目の前のみなみちゃんに心を奪われてしまって
余計なことが考えられませんでした。
泣いているみなみちゃんは…そのぐらい綺麗だったのです。
きらきら輝く涙は、流れ落ちて宝石に変わってる…。
足元に視線を向けたとき、半分ぐらい本気でそう思っていました。
…もちろん、足元にあったのは、小さな水たまりだけでした。
でも、それはただの水たまりじゃなく、みなみちゃんの心が溶け込んでいて、
私の嫌な心も優しく溶かしていく、魔法の水たまりでした。
みなみちゃんに言葉をかけることも、涙を拭いてあげることも忘れて、
私は、少しずつ大きくなり続ける水たまりのほとりで立ち尽くしていました…。
どのぐらいの時間が経ったのか…。
みなみちゃんの涙が止まって…私はようやく我に返りました。
すぐにハンカチを出して、みなみちゃんの涙を拭きました。
「みなみちゃん…ごめんね。ずっと誤解させたままでいて…」
言わなきゃいけなかったこと、ようやく言えました。
「あのとき…おもらししたの、みなみちゃんが触ったからじゃない。
あの時にはもう、少しもれてて、スカート濡れちゃってた。
あのとき、私が言ってたのは、動いたらもれちゃうって意味じゃなく、
動いたらもらしたおしっこが見られちゃう、って意味だった…。
みなみちゃんが来なくたって、あのまま全部もらしてた。
みなみちゃんが責任を感じる必要なんて、全然なかったんだよ…」
「………」
みなみちゃんは私の顔を見て、嘘じゃないことを分かってくれたようでした。
でも、みなみちゃんは首を横に振って…、
「私は保健委員なのに、ゆたかの事、注意してなかった。
ちゃんと休み時間にトイレ行ってるかな、おしっこしたくないかな、って
いつも注意してなきゃいけなかった。
授業中におしっこしたそうな素振りを見せたら、すぐに気付いて
連れ出してあげなきゃいけなかった…」
…真顔で、そう言ったのです。
371:みずたまりのほとり ゆたか視点 31
12/04/09 01:27:41.43 QpDzvU0R
☆☆☆☆☆☆☆
休み時間に、みなみちゃんが来て…。
「ゆたか…おしっこない?」
「ないよぉ。お昼休みに行ったもん」
「でも、お昼にカフェオレ飲んだし…行っておいた方がいいと思う」
「大丈夫だよぉ」
そして、授業中…
「…んっ」
ぎゅっ。
「…んん…」
もじもじ…。
私がそわそわし出すと、みなみちゃんがすぐに立ち上がって…。
「ゆたか、行こう」
「うん…」
私はみなみちゃんに連れられて教室を出て、小走りにお手洗いに向かいます…。
すっきりしてお手洗いから出ると、みなみちゃんが待っていました。
「…ほら、さっき休み時間に行っておいた方がよかった」
「うん…ありがとう、連れ出してくれて…」
みなみちゃんは微笑みました。
「私がいつも注意してる。ゆたかは、おしっこの心配なんかしなくていい…」
☆☆☆☆☆☆☆
……ぼんっ。
頭から煙が出て、そんな想像を振り払いました…。
「う~~……」
私は、真っ赤になって、変な声を出してしまいました。
ちょっとだけいいかもと思ってしまった自分が、すごく恥ずかしいです。
でも、みなみちゃんに真顔で言われたら、何だか心がほわほわして、
怒ろうとしても、ぷーってふくれるだけになっちゃって…。
「あのね~、みなみちゃん…。
私、おしっこしたくても言えない赤ちゃんじゃないんだよ…?
そこまでいつも注意されてたら、すごく恥ずかしいんだけど…」
372:みずたまりのほとり ゆたか視点 32
12/04/09 01:30:01.87 QpDzvU0R
「そ…そうかな…?」
みなみちゃんの声の調子も、何だか和らいでいました。
(一昨日『おしっこしたい』って言えないでおもらししたのは誰だっけ…)
『私』がそうつぶやいた気がしましたが、スルーできました。
そのぐらい、ほわほわしていたのです…。
「そうだよっ!もうっ!今回のことだって、
私が自分で言ってトイレ行かせてもらえばよかっただけだよっ!
みなみちゃんに責任なんか全然ない!
みなみちゃん、私のこと、子ども扱いしすぎだよぉ!」
「ご、ごめん…」
何だか雰囲気が和んでしまって…。
このまま笑い合って終われたらって、思いました。
でも、そんなわけにもいきません。
「昨日の夜、お姉ちゃんから聞いた…。
みなみちゃんが自分のせいだって誤解して思い詰めてたってこと」
私は話を戻しました。
「違うんだよ、って伝えなきゃって思って、今日、学校に来たのに…
みなみちゃんを見たとたんに逃げて…もっと誤解させちゃった。
その後だって…みなみちゃんのところにいけば話せたのに、
夢と同じようにいじめられるのが怖くて、休み時間は誰もいない所に逃げて…
先生がいればいじめられないと思って、授業の時だけ戻って…
そんなこと、繰り返してた…」
「夢?」
「一昨日の夜、見たの…。
おもらしのことでみんなにいじめられて…
最後にみなみちゃんにも嫌われて…一人ぼっちになっちゃう夢。
きっとほんとになるんだって…ずっとおびえてた…」
「………」
みなみちゃんは少しの間の後、安心したように微笑みました。
「夢は…夢だよ。本当になる場合もあるけど…間違っている場合だってある。
その夢で、絶対に間違ってる所、一つ、すぐに言える。
…私は、ゆたかの事、嫌いになったりなんかしない。
ゆたかの事、ずっと好きなままだよ。今も、これからも」
373:みずたまりのほとり ゆたか視点 33
12/04/09 01:32:08.68 QpDzvU0R
「あ……」
一瞬だけ、幸せに包まれそうになりましたが…。
その幸せは、すぐに悲しみへとひっくり返りました。
自分勝手で、弱虫で、みなみちゃんの優しさも踏みにじった私。
みなみちゃんに好きって言ってもらう資格なんかないから…。
……でも。
みなみちゃんの微笑みは、私の勝手さ、弱さ、それに今したこと、
全てを受け入れてくれていて…
『これ以上、何も悲しまなくていいんだよ』と告げてくれていたのです。
悲しみが…幸せにまたひっくり返って…。
今度こそ、幸せに包み込まれて…また涙が浮かんできました。
一昨日から何度も流してきた涙とは、違う涙。
あの時からずっと忘れていた笑顔が、戻ってくるのを感じました。
「みなみちゃん…ありがとう…。
私…どんなにいじめられたって、負けないで頑張っていける…。
みなみちゃんが見捨てないでいてくれる…それだけでいい…」
「…ゆたか」
みなみちゃんは、首を横に振りました。
「私だけじゃない。ひよりだって、他の人だって、みんなゆたかの事を心配してる。
ゆたかをいじめるのは…ゆたかだけだよ」
「え…」
「おもらしのことで自分を責めたり、自分がいじめられるって想像したり…、
そうやって、自分で自分のこと、いじめてる。
もし他の誰かがおもらししたって、ゆたかはそんな風にいじめたりしないよね。
それと同じように…ゆたか自身のこともいじめないであげて。
私や他の人に優しいのと同じように…自分にも優しくしてあげたらいい…。
それで、もう、ゆたかをいじめる人はいない…」
「………」
みなみちゃんの言葉が、胸に染み込んできました。
(…みなみちゃんの言いたいこと、分かるね?
みなみちゃんが言ってるのは、今、このときだけの話じゃないよ)
『私』が言いました。
その声は、みなみちゃんの声と変わらないぐらい温かくなっていました。
374:みずたまりのほとり ゆたか視点 34
12/04/09 01:34:36.08 QpDzvU0R
『私』は、私自身。
『私』があの夜からずっと冷たかったのは、
私が自分のことを嫌になっていたのに呼応していただけ。
今は、もう違います。
(みんなから今回のことの記憶を消せるわけじゃない。
だから、これから先、今回のことを話題にされることはきっとある。
軽い気持ちでからかわれることだってあるかもしれない。
だからって、またすぐさっきまでの私に戻っちゃだめ…ってことだよ)
「…うん。分かった」
私は、はっきりと言いました。
それは、みなみちゃんへの言葉でもあり、『私』への言葉でもありました。
(…よし。もう大丈夫。元通りの私に戻ったよ)
『私』が、去った…いえ、私の中に戻っていったのを感じました。
元に戻れたっていうのを実感して…、
みなみちゃんがくれた幸せが、今は包むだけじゃなく
心の中までいっぱいに染み込んでいました。
「ありがとう…みなみちゃん。本当に…」
私はみなみちゃんの手を取って、ありったけの想いを込めて言いました。
本当はぎゅ~って抱きつきたかったけど…自重しました。
しばらくそうしていて…
ふと、みなみちゃんの顔色がさっきより良くなっているのに気付きました。
「みなみちゃん…おなか痛いの、大丈夫?」
「…うん。本当は、さっきまで破れてるみたいに痛かったけど…。
今はもう和らいだ。ゆたかが…治してくれた」
「私が…?」
「ゆたかが本当の笑顔になってくれて…手を取ってくれて…
すごく幸せで…痛いのが飛んで行っちゃった…」
照れたようにそう言うみなみちゃんは、こぼれるような笑顔でした。
今の私も、こんな素敵な笑顔になれてるのかな…。
375:64-285
12/04/09 01:37:08.87 QpDzvU0R
ゆたか視点の三日目後半は以上です。
後はエピローグだけですが今回はここまで…。
376:名無しさん@ピンキー
12/04/09 01:39:09.01 WEHlRfys
乙です!
377:名無しさん@ピンキー
12/04/09 21:16:00.28 y3XUKO17
>>375
GJ
378:64-285
12/04/11 01:21:00.81 lYxTp2/A
「みずたまりのほとり ゆたか視点」(エピローグ)を投下します。
・4レス前後使用予定
379:みずたまりのほとり ゆたか視点 エピローグ1
12/04/11 01:23:32.26 lYxTp2/A
………
教室を出てから、とても長い時間を過ごしたように感じましたが、
まだ教室を出たときと同じ、6時間目の授業中でした。
「教室、戻ろうか」
「うん」
私とみなみちゃんは教室に向かって歩き出しました。
「…今まで見たことないみなみちゃん、いっぱい見ちゃった」
今まで知らなかったみなみちゃんの魅力を、いっぱい知ることができました。
そのきっかけは、授業中におもらししちゃったこと。
そう考えると…おもらしって案外いいものかも、ってちょっとだけ思えてきて…
さすがにそれはない、と思い直しました…。
「……呆れた、よね」
「…え?」
「おもらししそうになったり…泣いたり…みっともないとこばかり見せちゃった…」
みなみちゃんは自嘲するようにため息をつきました…。
「そんなことないよっ!
おもらししそうだった時のみなみちゃん、ずるいって思うぐらいかわいかった!
震えてた体も、切ない表情も、私を見つめてた瞳も、何もかも全部!
だから、あのとき……」
…私の言葉は、そこでいきなり途切れました。
『このままおもらしするの見たい、ってちょっとだけ思っちゃった』なんて、
いくらなんでも言えません…。
「…とにかく、みっともなくなんかなかった!呆れるなんてとんでもないよ!」」
「………」
みなみちゃんは真っ赤になってしまいました…。
「泣いてる時だって、すごく綺麗だった!
私みたいにわーわー泣くんじゃなくて、自制を失ってなくて、静かで、大人で…、
涙を拭いてあげるのも忘れて、涙が止まるまで黙って見惚れちゃった…。
涙も宝石みたいにきらきら輝いてて…流れ落ちて本当に宝石に変わってるって
半分ぐらい本気でそう思っちゃった…。
綺麗な人は泣いたって綺麗で…それどころか流した涙まで綺麗なんだなぁ…って
羨ましくなっちゃった…」
「………………」
380:みずたまりのほとり ゆたか視点 エピローグ2
12/04/11 01:25:40.10 lYxTp2/A
私が感じたことをありのまま伝えれば伝えるほど、
みなみちゃんはどんどん恥ずかしそうになって…。
教室に着く頃には、今にも頭から蒸気を吹いて倒れてしまいそうでした…。
教室のドアを開けると…。
みんながみなみちゃんを一目見るなり、気の毒そうに話し始めました。
「生脚になってる…ってことは…」
「いや、タイツは朝からはいてなかったよ」
「でも、この表情は…」
「うん、それに目も…」
「苦しくて涙出たとかのレベルじゃない…思いっきり泣いた後…」
「だめだったんだね…」
「あの状態じゃしょうがないよな…」
「むしろ、あの状態まで耐えた上に少しでも歩けたことがすごいよ…」
みんなが口々にそんな事を言いました。
「……?」
みなみちゃんと私は、教室の入口に立ったままで顔を見合わせました。
みんなの言っている意味が分かりません。
みなみちゃんにも分からないようです。
「あちゃー…その様子だと間に合わんかったようやな」
状況を悟るきっかけになったのは、黒井先生の言葉でした。
「え…」
「まー、気ぃ落とすな。おもらしなんて大した失敗やないって。
泣くだけ泣いたんやろ?もう忘れーな」
おしっこが限界寸前の状態で教室を出ていったみなみちゃん。
そして…戻ってきたみなみちゃんの、真っ赤に泣き腫らした目。
今にも倒れてしまいそうなほどの恥ずかしさを湛えた表情。
みなみちゃんは、間に合わずにおもらしして泣いてしまった。
他の人から見たら、そう誤解されても仕方ない状況だったのです…。
381:みずたまりのほとり ゆたか視点 エピローグ3
12/04/11 01:27:33.96 lYxTp2/A
「え、え、ちょっと…」
慌ててみなみちゃんを見ると…、
苦笑しながら、『まあ、別にいいや』という感じでため息をついています。
誤解を解く気はないようです…。
「ち、違うよ!」
そんなの、だめだよ!
誤解、絶対に解かなきゃ…!
「泣いたのはそんな理由じゃないよ!
みなみちゃん、おもらしなんかしてない!」
どうしよう…どうやったらおもらししてないって証明できるの…?
…そうだ。
私がおもらししたときはスカートがびちょびちょになっちゃった。だから…。
「ほら、スカートだって全然濡れてない!」
私は、みなみちゃんのスカートを掴んでみんなに示しました。
「ほら、横も!後ろも!こっち側も!」
私はみなみちゃんの体を90度ずつ回転させて、
スカートがどこも濡れてない事をみんなにはっきりと示しました。
「…ね!濡れてなかったでしょ?」
みんなを見回しましたが…納得したようには見えませんでした。
後になって考えれば、私の突然の行動に驚いてそれどころじゃなかったのでしょう。
でも、納得した様子が見えないことに私はもっと焦ってしまって…。
…どうして?
どうしてみんな納得してくれないの?
382:みずたまりのほとり ゆたか視点 エピローグ4
12/04/11 01:29:32.59 lYxTp2/A
……分かった!
私のときにスカートがびちょびちょになったのは、椅子に座ったままもらしたからで、
そうじゃない状態でもらしたら、スカートが濡れるとは限らない。
だから、スカートが濡れてなくたって中のパンツはびちょびちょなんじゃないかって
疑ってるんだ!
だったら、こうすれば!
「ほら、スカートの中だって濡れてない…!」
ばさっ。
私は、みなみちゃんのスカートを思いっきりまくり上げました。
みなみちゃんは、少しももらしてないって、確認したって言ってました。
だから、これで完全に証明できるはず…。
「………」
…気が付くと、教室の中が凍り付いていました。
「あ……」
自分がしたことの意味に気付いて…私はみなみちゃんのスカートを離しました。
…でも、遅すぎました。
凍り付いた教室の中で、誰かが、ある色の名前をつぶやきました。
私は夢中だったので見てなくて、断定はできないけど…、
状況からして、それはみなみちゃんのパンツの色を描写したもの。
つまり、みんなにばっちり見えてしまったということ…。
しゅー………ぼん。
みなみちゃんの頭から蒸気が出て…。
……ぱたっ。
みなみちゃんは、気を失ってしまいました…。
「きゃあああ!みなみちゃあああん!」
パニックになる私。さらに…。
たぱたぱたぱ…。
教室の中から、何か流れ落ちる音がし始めて…、
「うわー、こっちもやばい!」
「血が!血が止まんないぞー!」
すでにパニックだった私には、誰に何が起きたのか分かりませんでしたが…
それが起きたのは、明らかに私が今したことが原因です…。
あああぁぁぁ、私、どうしたらいいの……?
(おわり)
383:64-285
12/04/11 01:33:19.89 lYxTp2/A
以上でゆたか視点は完結です。
お付き合い下さりありがとうございました。
なお、エピローグ部分で増えた謎はひより視点で解明されます…。
384:名無しさん@ピンキー
12/04/11 01:33:57.27 nrKpgmkV
乙です!
ひより視点も楽しみに待ってます!
385:64-285
12/05/02 01:03:02.84 u9g3RWby
「みずたまりのほとり ひより視点」(1日目)を投下します。
・基本的な注意事項はみなみ視点・ゆたか視点に準拠
・ひよりも話が進むにつれて壊れてきます(みなみ・ゆたかとは別の意味で)
・時間軸でみなみ視点・ゆたか視点の1日目に相当
・8レス前後使用予定
386:みずたまりのほとり ひより視点 1
12/05/02 01:04:54.78 u9g3RWby
授業中…みなみちゃんが不意に立ち上がった。
「先生…小早川さんの具合が悪そうです。保健室に連れて行きます」
見ると、ゆーちゃんは確かに顔色が悪く、がたがた震えていた。
さすがみなみちゃん。ゆーちゃんのこと、よく注意してる。
みなみちゃんが近づくと、ゆーちゃんは首を振った。
「だめ…行けない…」
「無理しちゃだめ」
「だめなの…動けないの…」
「歩けないほど辛いの?だったら抱っこしてあげる…だから、行こう」
…私の脳内に、0.05秒でお姫様抱っこの図が完成する。
すでに手が走って、ノートにラフを描き始めていた。
「だめ…触らないで…」
恥ずかしいのか、首を振っていやいやをするゆーちゃん。
大丈夫!何も恥ずかしいことないから!早くお姫様抱っこされて見せて!
「やめて!動いたら…!」
ゆーちゃんの声に構わず、みなみちゃんは手を伸ばす。いいよいいよー!
みなみちゃんの手が触れた瞬間…。
「おしっこがぁ!!」
「!?」
みなみちゃんはすぐに手を離した。
…でも、手遅れだった。
ぽたっ…ぽたっ…ちょろろろ……しゃあああああぁぁ……。
ゆーちゃんが座っている椅子の下に、あったかそうな液体が流れ落ち始めた。
「うわあああんっ!」
ゆーちゃんは机に泣き伏してしまった。
それでもおしっこは止まらず、椅子の下に水たまりになっていく…。
「……」
私は魂を奪われたように、大きくなっていく水たまりを見続けた…。
387:みずたまりのほとり ひより視点 2
12/05/02 01:06:50.15 u9g3RWby
「……」
みなみちゃんもまた、魂を奪われたようにその場に立ち尽くしていた。
「ぐすっ…えぐっ…みない…で…」
ゆーちゃんが顔を伏せたまま言った。
みなみちゃんは慌てて目をそらし、自分の席に戻った。
やがて、おしっこは止まったけど…。
「ひっく……うぅぅ……えぐっ……うえぇぇん……」
ゆーちゃんは濡れた椅子に座ったまま、いつまでも泣き続けた…。
みなみちゃんがまた立ち上がり、ゆーちゃんの所に行った。
「保健室…行こう。着替えなきゃ、風邪ひいちゃう…」
「……ぐすっ…」
ゆーちゃんがよろめきながら立ち上がった。
みなみちゃんが支えようと手を伸ばすと…、
ぱしっ!
ゆーちゃんはその手を払いのけて、一人で走って教室を出て行ってしまった。
「………」
みなみちゃんは、払いのけられた手をもう片方の手でそっと押さえた。
一瞬だけ浮かんだ、悲痛な表情。
みなみちゃんがどれだけの痛みを感じていたか…私には想像もできない。
…それでも、みなみちゃんは次の瞬間には気を取り直していた。
自分の席に戻らず、掃除用具入れに向かってバケツと雑巾を数枚取ってきた。
みなみちゃんは、おしっこの後始末をするつもりなんだ…。
雑巾を水たまりの上に置いて、吸わせて、バケツに絞る。
水たまりはとても大きくて、一回では吸い取りきれない。
また雑巾を水たまりの中に置いて…バケツに絞る。
一片のためらいもなく、素手でその作業を繰り返すみなみちゃん。
みなみちゃんは優しい人だって…改めてそう思った。
どきどきして、みなみちゃんから目が離せなかった。
そのどきどきが何によるものか、自分でも理解できなかった。
「…んぐっ」
無意識のうちに、私は音を立てて唾を飲み込んでいた。
それを聞いたみなみちゃんが、ふと手を止めた。
「…見てる必要は、ないと思う」
みなみちゃんは、振り向かずにそうつぶやいた。
その声は怒っていたわけじゃなく、むしろ穏やかで…
…ものすごく冷たかった。
388:みずたまりのほとり ひより視点 3
12/05/02 01:08:53.15 u9g3RWby
「!!」
それは私にピンポイントで向けられた言葉だと思って、慌てて目をそらした。
…でも、周りを見ると、他の人も同じようにたった今慌てて目をそらした様子だった。
見ていたのは私だけじゃなくって、みなみちゃんの言葉も私だけじゃなく
周りの全員に向けられたものだったらしい。
視線がそれたのを確認し、みなみちゃんが後始末を再開した。
でも、その後も私は気付かれないようにちらちらと見てしまった…。
みなみちゃんはおしっこを吸い取り終わると、バケツを持って出て行った。
バケツに水を汲んで戻ってきて、床と椅子の上を雑巾で丁寧に水拭きし始めた。
その頃にはまた、元のようにみんなの視線が集まっていたけど、
みなみちゃんはもう気にする様子もなく淡々と後始末を続けた。
みなみちゃんは、自分が好奇の視線に晒されるのなんてどうでもよかったんだ。
さっきの意思表示は、ただゆーちゃんの気持ちだけを考えて、
おしっこの水たまりが人目に晒されないようにしたかった…そういうこと。
みなみちゃんは水拭きを終えると、作業の完璧さを確認するように
自らゆーちゃんの席に座り、机の上に残っていた涙の跡をハンカチで拭いた。
再び立ち上がり、雑巾とバケツを洗ってきて元の場所に戻し、
落としたペンケースを拾いに立っただけのように平然と自分の席に戻った。
みなみちゃんが席に戻っても、パニックの余韻は消えなかった。
そんな中、『何を騒いでるのか分からない…』というように
一人平然とした表情のみなみちゃん。
…でも、いつもみなみちゃんを観察している私には分かっていた。
みなみちゃんがいつもと変わらないその表情の下でずっと、
泣き出しそうなほどの動揺を懸命に押し隠していたことを…。
389:みずたまりのほとり ひより視点 4
12/05/02 01:10:40.45 u9g3RWby
☆☆☆☆☆☆☆
みなみは、授業中におもらしをしてしまったゆたかを保健室に連れてきました。
他の生徒はおらず、ふゆき先生もどこかに出ていて、保健室は空でした。
ふゆき先生がいなくても、今は特に困ることはありませんでした。
むしろ、好都合だったと言えるでしょう。
保健委員であるみなみは、どこに何の備品があるかをすっかり心得ていました。
みなみは手早く棚の中からタオルと体育着のショートパンツを取り出し、
奥のカーテンで仕切られた空間にゆたかを導きました。
「はい…これ。下着はないから直接はくしかないけど、
今はいてるのはすぐに洗濯して乾かすから…それまで少し我慢して」
みなみはタオルと着替えをゆたかに渡そうとしましたが…、
「ひっく…ひっく…ぐす……」
ゆたかはスカートを掴んだまま泣きじゃくるだけで、受け取ろうとしません。
(私が目の前にいるせいで、動きづらいんだね…)
そう思ったみなみは、
「…ここに置くね。向こう側で待ってる。
脱いだものは洗濯機で洗うから、このかごに入れて出して」
手近のかごをゆたかに示し、タオルと着替えを傍らのベッドに置いて
カーテンの外に出ようとしました。
「やだ…」
ゆたかが呟きました。
「え?」
「いっちゃ…やだ…」
涙声で聞き取りにくいですが、ゆたかは確かにそう言っていました。
「ゆたか、着替えるんだから、外に出てた方が…」
「ひとりにしちゃ…やだあぁ…!」
教室にいたときのように、また大声で泣き出しそうになるゆたか。
「わわわ、分かった…。じゃ、後ろ向いてるから…着替えて」
みなみはゆたかに背を向け、着替えるのを待ちました…。
390:みずたまりのほとり ひより視点 5
12/05/02 01:12:37.44 u9g3RWby
………
いつまで経っても、着替えが始まる気配がありません。
ゆたかが動いている気配がまったくないのです。
「ゆたか…そっち、見ていい?」
「…うん」
みなみは振り向きました。
やはり状況は、みなみが後ろを向く前とまったく変わっていませんでした。
ゆたかは着替えを手に取ろうともせず、スカートを掴んだまま泣いているだけです。
「ゆたか…どうして着替えないの?」
みなみは困った様子で言いましたが、ゆたかは泣き続けるだけでした。
「そのままじゃ、風邪ひいちゃうよ…」
それでも、ゆたかは何もしようとしません…。
一体、ゆたかはどうしたのでしょう。
まるで、泣くことしかできない赤ちゃんです。
おもらしのショックで精神が退行してしまったのでしょうか…。
「………」
みなみは少し考え込んだ後…、
「ゆたか…自分で着替えないなら…私が脱がせて、着替えさせちゃうよ?」
わざと意地悪な調子で言いました。
もちろん、本気じゃありませんでした。
こう言えば、びっくりして着替えを始めてくれるだろうと思っての言葉でした。
…しかし。
「…うん…きがえさせて…みなみちゃん」
ゆたかはその言葉を待っていたかのように、顔を赤らめてそう答えたのです。
「!?」
「きがえさせて…みなみちゃん」
凍り付いたみなみに、ゆたかは繰り返しました。
「…ゆたか。何言ってるか…分かってる?」
「わかってる…」
「着替えさせるって…ことは…その…スカートも…下着も…
私の手で…脱がせちゃうってこと…」
動揺で途切れ途切れになるみなみの声。
「うん…いいよ」
ゆたかは…どう見ても、どう聞いても本気で言っていました。
391:みずたまりのほとり ひより視点 6
12/05/02 01:15:30.53 u9g3RWby
「赤ちゃんのおむつ替えるのと…同じようなこと…しちゃうんだよ?
脚とかも…拭かなきゃいけないし…
脱いだ状態の…見ちゃうかも…しれないよ…?」
「いいよ…わたし…おもらししちゃう…あかちゃんだから…」
ゆたかは照れてはいましたが…間違いなく本気でした。
(どうしよう……)
みなみは困り果ててしまいました。
「…くしゅん!」
ゆたかがくしゃみをしました。
「うぇぇ…つめたいよぉ…さむいよぉ…みなみちゃん…はやくきがえさせてよぉ…」
ゆたかが身震いしました。
風邪をひいてしまう前兆かもしれません。
(これ以上、ゆたかをこのままの状態にはしておけない…)
「分かった…着替えさせるよ…」
意を決したみなみは、ゆたかのそばにそっと座りました。
(スカートはこのままにしておいて、下着を脱がせて、脚とかを拭いて、
ショートパンツをはかせて、最後にスカートを脱がせる…)
手順はすぐにまとまりました。
スカートもびちょびちょなので早く脱いだ方がいいのですが、
スカートで隠していないと、下着を脱がせたり拭いたりするのは不可能です。
隠してなくても、ゆたかはいいかもしれません。…たぶん、いいのでしょう。
でも…みなみの方が耐えられません。
「このまま下着、脱がせるから…スカートめくれないように、そのまま掴んでて」
「…うん」
下着を脱がせるには、ゆたかのスカートの中に手を突っ込まなければいけません。
緊張で手が震えます…。
「…んくっ」
思わず音を立てて唾を飲み込んでしまい…、
変な意味に取られてしまったかも、と思って慌てるみなみ。
でも、ゆたかは何事もなかったようにみなみを見つめていました。
気付かなかったのか、気付いたけど変な意味には取らなかったのか、
もしかしたら…変な意味に取った上でそれを喜んで受け入れたのか。
…どれだとしても…今はどうでもいいことです。
みなみは深呼吸をした後、手をそっとゆたかのスカートの中に……
392:みずたまりのほとり ひより視点 7
12/05/02 01:17:15.88 u9g3RWby
☆☆☆☆☆☆☆
「…うわあああああ!」
シャープペンを片手に頭を抱える私。
学校から帰って、部屋で今日のあの出来事を思い出していて…
気が付いたら、ノート十数ページにわたってこんなネームが描き連なっていた。
…この後はもちろん、パンツを脱がせ終わって拭いてあげてるうちに
二人とも変な気持ちになって、そのままなし崩しに…。
「だああああああ!」
続きを描き始めようとする手を、もう一方の手で必死に押さえ込んだ。
「自重しろ…自重しろ…何をネタにしてるんだ私…!」
あの出来事を茶化すつもりなんか絶対にない。
腐った目で見なくたって、おもらしして泣いてたゆーちゃんは
保健室に連れてってお着替えさせてあげたくなるほどかわいかった。
そして、懸命にフォローしようとしていたみなみちゃんも
健気で優しくて魅力的だった。
だから物書きとして、純粋に二人の魅力を作品にしたいと思ったからで…。
「……はぁ」
私はため息をついて、ネームを書き連ねたノートを引き出しの最奥に封印した。
どんな理屈を並べたって、あの出来事を漫画のネタにするのは許されない。
少なくとも、時間が過ぎて、笑って話せるようになるまでは…。
…でも、目に焼きついていたゆーちゃんのおもらしシーンをイラストに一枚描くまで
むらむらして眠ることができなかった。
ああ…私、今日のことで何かに目覚めてしまったのかもしれない…。
393:64-285
12/05/02 01:19:24.01 u9g3RWby
ひより視点の1日目は以上です。
もしかするとこのスレに最後まで収まらないかも…?
394:名無しさん@ピンキー
12/05/04 02:51:17.98 7zYe0I1K
かがみの尿道にカテーテル挿して
ガラスコップに溜まった琥珀水を見せる恥辱プレイ
395:名無しさん@ピンキー
12/05/05 10:52:24.62 NFw4OtPl
金環日食の暗がりで輪姦されるかがみん
396:64-285
12/05/10 00:36:31.09 MfN9HP8/
「みずたまりのほとり ひより視点」(2日目・前編)を投下します。
・7レス前後使用予定
・時間軸でみなみ視点の2日目前半(朝~6時間目開始直前)に対応
・ゆたかは登場しません
397:みずたまりのほとり ひより視点 8
12/05/10 00:38:17.18 MfN9HP8/
朝になった。
昨日の夜と違って、気分はすっきりしていた。
たぶん、ネームやイラストに描いたことによって、
心に溜まっていた何かがある程度発散できたのだろう。
これなら、ゆーちゃんとみなみちゃんに普段通り接することができそう。
安心しながら、身支度をして家を出た。
でも…。
通学途中で、不意にかすかな不安が胸に浮かんだ。
その不安は、根拠も分からないのに少しずつ大きくなっていった。
…この不安の正体は、何?
あの出来事をネタにいろいろ描いたのがばれないか、ってこと?
そうじゃない。
あれが他の人、特にゆーちゃんやみなみちゃんにばれたら大変なのは事実だけど、
不安なのはそんなことじゃない。
…結局、不安の原因は分からないまま学校に着いた。
教室に入っても、みなみちゃんとゆーちゃんはいなかった。
普段だったらそんなの、いちいち心配することじゃない。
私が二人より先に着いたってだけのこと。珍しいことじゃない。
もうすぐ、いつものようにバス停で合流して、二人で一緒に来るはず。
頭ではそう分かっているのに、さっきから抱いてる不安が、大きくなった。
………
二人が、来ない。
………
がらっ。
HR開始のチャイムが鳴る直前、みなみちゃんが教室に入ってきた。
みなみちゃんは…一人だった。
「おはよう、岩崎さん…」
私は不安を抑えながら声をかけた。
「…おはよう」
みなみちゃんは、無理して笑顔を作って答えた。
「あの…小早川さんは…?」
みなみちゃんが一人で来たこと自体が明白な答えなのに、尋ねずにはいられなかった。
「……来なかった」
みなみちゃんの無理した笑顔はあっさり消え、悲しみと不安がその表情を覆った。
「………」
私も、みなみちゃんも、それっきり何も言えなかった。
398:みずたまりのほとり ひより視点 9
12/05/10 00:40:22.29 MfN9HP8/
さっきから感じていた不安の正体が、分かった。
そして、その不安はもう現実のものになっていた。
ゆーちゃんは昨日の出来事で、学校に来られないぐらい落ち込んじゃったんだ…。
朝のHRが始まった。
先生から、ゆーちゃんは風邪で休みだと告げられた。
風邪は本当なのかもしれない。濡れたままでしばらく泣いてたし、
帰るまではお風呂で温まることもできなかっただろうから。
でも…
「ほんとは、昨日のあれが原因だろうね…」
教室のどこかから、そんな声が上がった。
それは勝手な想像に過ぎないけど…誰もが同じ事を思っていた。
「すっごい泣いてたもんね…」
「立ち直るまでしばらく休んじゃうのかな…」
「立ち直るったって…一日や二日じゃ無理そう…」
「もしかしたら、このままもう学校やめちゃったり…」
出てくる見解はどんどん暗くなる。
みなみちゃんの表情は、それらを聞くたびに深く沈み込んでいった。
自分のせいでこうなったんだって、責任を感じているのに違いなかった…。
「そこまで落ち込まなくてもいいのにな…」
誰かがそう言って、教室が同意の空気に包まれた。
そう。ゆーちゃんは落ち込む必要なんかない。
おもらしなんて萌えイベントの一つにすぎない。
非18禁の作品でも普通にある。泉先輩も某萌えドリルでやっちゃうらしいし…。
もし私がしちゃって5分や10分で立ち直れるかって言われたら困るけど、
とにかく、二度と立ち直れないような失敗じゃない。
おもらしのことでゆーちゃんをいじめるような雰囲気もない。
みんな、ゆーちゃんのことを心配してる。
ゆーちゃんが元気に学校に来たら、それで元通りになる…。
それに、みなみちゃんも責任を感じる必要なんかない。
あのとき…結果としては、みなみちゃんが触ったことが
ゆーちゃんにとどめを刺してしまったのかもしれない。
でも、みなみちゃんのしたことはあの状況では当然のこと。
あんな苦しそうなゆーちゃんを放っておけるわけ、絶対にない。
それに、触られただけでもらしちゃうような状態まで行っちゃったら
トイレまで歩くどころか、立つことだって無理だったはず。
みなみちゃんが何もしなかったとしても、結末はきっと同じだった。
ゆーちゃんがまだ動けるうちに気付いてあげられなかった、
という意味での責任なら、あるかもしれない。
でも、それはみなみちゃんだけじゃなく私にだって言えることで、
みなみちゃんだけが一人で背負い込むことじゃない…。
399:みずたまりのほとり ひより視点 10
12/05/10 00:42:31.89 MfN9HP8/
………
1時間目の授業が終わると、みなみちゃんは三年生の教室の方に向かっていった。
泉先輩にゆーちゃんのことを聞きに行くのだろう。
一緒に行きたいと思ったけど、みなみちゃんの雰囲気は何だか近寄りにくくて
そのまま見送ってしまった。
教室で待っていて…また、一つの不安がよぎった。
ゆーちゃんが、みなみちゃんの手を払いのけたことを思い出したから。
…あれは、私の目には、恥ずかしくて反射的にやってしまったことに見えた。
でも、絶対にそうだっていう根拠はどこにもない。
もしゆーちゃんが、おもらししたのをみなみちゃんのせいだって考えてて、
それをそのまま泉先輩に伝えていたら…。
泉先輩は、みなみちゃんを責めるかもしれない。
…ううん、大丈夫。
泉先輩はそこまで単純で短気な人じゃない。
もしゆーちゃんがそんな風に伝えてたとしても、
みなみちゃんの言い分もちゃんと聞こうとするはず…。
…でも、待って。
そうなったとき、みなみちゃんはまともに弁解できるだろうか?
どう考えても…無理だ。
それどころか、聞かれる前に自分のせいだって言ってしまいそう。
そして、みなみちゃん本人からそう聞けば、泉先輩だってそうだと信じて…。
…がたっ。
心配が大きくなって、今からでも行こうと立ち上がった。
…でも、そのとき、当のみなみちゃんが戻ってきた。
私の心配は、ただの取り越し苦労だった。
みなみちゃんは、泉先輩と話したことで胸のつかえが少しだけ取れたように見えた。
…ただ、みなみちゃんが今も自分を責め、思い詰めているのは変わりなかった。
私はすぐみなみちゃんに話しかけた。
「泉先輩に聞いてきたんだね。小早川さんのこと」
「…うん」
400:みずたまりのほとり ひより視点 11
12/05/10 00:44:09.14 MfN9HP8/
「やっぱり…あのこと?」
「…うん。今朝も、ベッドから出られないぐらい落ち込んでたって…」
「そう…」
「………」
会話が途切れた。
「あのね…」
今朝から、みなみちゃんに言おうと思っていたこと。
今こそ、言うとき。
「…岩崎さんが責任を感じることなんて、ないと思う」
「………」
みなみちゃんは、黙ったまま。
「あのときの小早川さん…本当に苦しそうだったもの。
抱っこしてでもすぐ保健室に連れて行こうって、誰だって思うよ。
あのとき岩崎さんがしたことは、間違ってなんかない。
それに…もし岩崎さんが何もしなくたって、あんな状態になってたんじゃ
トイレに行くの、結局は無理だったと思う。
岩崎さんのせいだなんて、誰も思ってないよ…きっと、小早川さんも」
「……ありがとう」
みなみちゃんは微笑んで見せた。
「何だか、気持ちが楽になったよ」
…みなみちゃんは、気持ちを隠すのは上手なのに、嘘をつくのは下手すぎた。
401:みずたまりのほとり ひより視点 12
12/05/10 00:47:25.16 MfN9HP8/
………
お昼が過ぎて、5時間目の授業の最中。
…ぞくっ。
「う…」
突然、おなかに嫌な感覚が走った。
…おしっこ。
しまった…いろいろ考えっぱなしでトイレに行くの忘れてた。
一瞬、ゆーちゃんと同じ運命を辿る自分のイメージが頭に浮かぶ…。
いかんいかん、危ない危ない。
素数を数えて落ち着こう。
i、2i、3i、4i、5i…。
待て待て、それは虚数だ。
頭の中でそんなやりとりをしてるうちに、意識がおしっこから離れて落ち着いた。
あと10年…は無理だけど、10分は戦える。
問題は…授業がまだ20分あること。
おしっこを我慢し続けられる時間をnとする。
私はおしっこを1秒我慢できる。当たり前。つまりn=1が成り立つ。。
そしておしっこをk秒我慢できる、つまりn=kが成り立つと仮定する。
そこからさらに1秒ぐらいは我慢できるはずだから…n=k+1も成り立つ。
したがって、nは全ての自然数で成り立つ。
だから、私はおしっこをいつまでも我慢し続けられる…。
数学の時間に習った理論の応用で、何とか気分を楽にしようとしていると…。
…ぶるっ。
…ん?今、みなみちゃんの体が震えたような…。
気のせいかな…。
ぎゅっ…。
「!」
みなみちゃん、今度は思いっきり脚を閉じた。
そして…そわそわ落ち着かなくなった。
もしかして…みなみちゃんも…おしっこ?
そういえば、今日はみなみちゃんがトイレ行ったの、一度も見てない。
私と同じように、ゆーちゃんのことを考えてて忘れてたのかも…。
…やがて、みなみちゃんのそわそわは収まった。
落ち着いたみたい…よかった。
402:みずたまりのほとり ひより視点 13
12/05/10 00:49:17.06 MfN9HP8/
それにしても…みなみちゃんがあんなに焦っちゃってるの、初めて見た。
普段のクールさとのギャップがたまらない…。
…気が付くと、私の左手は既に、さっきのそわそわしてたみなみちゃんを
ラフ画にしてノートに記録していた。
これを見たら…みなみちゃん、さすがに怒るだろうな。
おしっこ我慢の仕草には どこか危うくて切なそうで
これから何か始まる? 期待してみたいほど…
…頭の中に、歌の断片のようなものが浮かんた。
どうしたんだ私。落ち着け。
期待してみたいって、何をよ…。
………
ずっとどきどきしながら見ていたけど、みなみちゃんはその後
事態が悪化する様子もなく、5時間目の授業は無事に終わった。
…休み時間になって、数分経った。
直ちにトイレに行くものと思っていたのに、
みなみちゃんは席から動く気配がまったくない。
みなみちゃん、トイレ行きたくないのかな?
さっきの授業中のそわそわは、私の気のせいだった?
思い返してみても、とてもそうは思えないけど…。
私はみなみちゃんに近づき、小声で話しかけた。
「ちょっと失礼なこと聞いても…いいかな?」
みなみちゃんは困った様子で、でも覚悟はしてたというようにうなずいた。
「さっきの授業中から、トイレ行きたそうに見えるんだけど…気のせい?」
「…気のせいじゃない。行きたい…」
やっぱり、そうだった。
「そわそわしてたの…他の人にもばれてたかな?」
「ううん、大丈夫だと思う。そんなに長くはそわそわしてなかったし…。
実は、さっきの授業中に私も行きたくなっちゃって。
たまたま同じ状態だったから気付けたんだと思う」
みなみちゃんは少しだけ安心したようだった。
「そんなわけで、今から行くけど…よかったら一緒にどうかな?」
私がそう言うと、みなみちゃんは首を横に振った。
「行かない。私、このままで次の授業を受ける」
403:みずたまりのほとり ひより視点 14
12/05/10 00:52:41.12 MfN9HP8/
「え…?」
私は思わず当惑を声に出してしまった。
「………」
みなみちゃんは、それ以上言葉を付け加える気がなさそうだった。
どうしてなのか、詳しく聞きたい…。
…と、思ったんだけど…。
ずきゅぅぅん!
「はうっ!?」
おなかの内側から、全身に電撃が走った。
…そうだよ!みなみちゃんに気を取られて忘れてたけど、
私もおしっこ、かなり危険になってたんだった!
「分かった…じゃあまた後で」
私は何とかそれだけ言って、反転してトイレにダッシュした。
みなみちゃん、びっくりしたかも。
廊下は無事に駆け抜けたけど、トイレがいっぱいだった。
さらに、二人も並んでいた…。
すぐにおしっこできないというショックで、余計に尿意が煽られる。
頭の中がおしっこでいっぱいになって、時間の感覚がおかしくなる。
1秒が、1分に感じる。
0.5秒が、10分に感じる。
0.1秒が、1時間に感じる。
個室が一つ空いて、前の人は一人になった。
でも、そこからがまた長かった。
もう、出るところをぎゅーっと押さえてなきゃいけなかった。
おなかから下がしびれて、感覚がない。
力を入れすぎて、押さえた手までしびれてくる。
膝ががくがく震える。
苦しくて、涙が浮かんできた…。
「ううぅぅ……」
「あ、あの…次が空いたら先に入っていいよ」
前の人が見かねて順番を譲ってくれた。
でも、あと一つがなかなか空かない…。
0.05秒が、10時間に感じる…。
1ミリ秒が、1日に感じる…。
一瞬が、永遠になる…。
404:みずたまりのほとり ひより視点 15
12/05/10 00:56:19.63 MfN9HP8/
理性が、吹っ飛びかける。
泣き出して、その辺のドアを乱打して『早く出てよー!』って叫び出しそうだった。
それか、もうパンツ下ろしてその場でしちゃいそうだった。
…幸い、そのどちらかを実行する前に、目の前の個室が空いた。
………
じゃあああああ……。
済ませて、水を流した。
まさに間一髪のセーフだった。
うぅ…危なかったぁ。
並んでる間の痴態を思い出して、耳まで真っ赤になる。
みなみちゃんが一緒に来てなくて、本当によかった…。
学校でここまでおしっこに追い詰められたのは初めてだった。
昨日のゆーちゃんの苦しみを、私も少しは共有できたのかな…。
少しぐらいもれててもおかしくなかったけど、被害はゼロだった。
スカートの押さえていた部分がもみくちゃになってたけど、
引っ張ったり手でプレスしたりしてみたら、なんとか直った。
スカートのもみくちゃが直った頃には、もう休み時間は残り1分ぐらいだった。
手を洗ってトイレから戻ると、みなみちゃんは変わらず席に座っていた。
トイレに行く気配は全くない。行こうにももう時間はなかったけど…。
みなみちゃん…どうしてトイレに行かなかったんだろう。
行きたいって、認めていたのに。
さっきの私ほど差し迫ってないんだとしても、別に我慢する必要なんて…。
チャイムが鳴った。
次は、6時間目。
昨日の…あの出来事が起きたのと同じ時間。
もしかして…同じ時間におしっこを我慢することで、
みなみちゃんも、昨日のゆーちゃんの苦しみを共有しようとしているの?
405:64-285
12/05/10 00:57:43.12 MfN9HP8/
2日目前編は以上です。
今回はここまでです。
406:名無しさん@ピンキー
12/05/10 01:43:39.94 DgNFaGZT
岩崎みなみの無乳を揉んで吸って美乳にするスレ
スレリンク(campus板)
407:名無しさん@ピンキー
12/05/12 11:39:39.50 jv2Hhcjf
百合に過剰反応してスレから追い出そうとするやつって
どこにでも居るけどこのスレは大丈夫だったの?
百合好きなのに荒れるせいで好きな作品で百合れないのが辛い・・・
408:名無しさん@ピンキー
12/05/15 04:47:55.13 fr/xZMaS
澪ちゃん、ちゃんと歌おうよ ダメダメダメ!絶対!
-―‐- ___ ____
/ : : : : : /: ヽ: \ /::::::::::::::::::::`丶 r-=7´ : : : : : : \
/: : : : : |: : |==:ハ: : :∨::::::::::/::∧::::::::::::::ヽ {:/T: : : : : : : : : : :ヽ
{/: : : : : |: : |=:/´N ∨:::/:: /∨ Vヘ:::::j:::::| |{/| : |/ : : : : : : :/:}
,′:〉: : (l: : l? 0´i: :| イ:: /○ ○∨:| :| |:}_| : |) : : : : : : { 君が代歌うだけで何でそんな反応なんだよ!?
レ{:/: : : : |: : ∨'" 〈: 厶i:::リ U U { ::|:/ lノ│: |: :/: : : : : :
厶-ヘ 八: : :{. ノ/ |:人 r'⌒) /::/ |ヽ|: :ハ : : : : :xヘ〉
/  ̄ ̄ ̄∨ /|::::::}>r--yイ|:::|^ヽ ∨  ̄\∧/\
/ ヾ |:::/ |_>く_/ |:::| ∨ 〉
/ __ \V >〈〈_∧〉〉 |:::| / / l/
′ r∠ \__〉\</レ' / |::〈 /\ _ |
409:名無しさん@ピンキー
12/05/16 18:14:52.86 +eolpVTf
>>407
1にOKって書いてあるから
いないんじゃね
410:名無しさん@ピンキー
12/05/16 18:35:36.80 1moi+oGB
>>407
よく知らないけど、このスレは元々百合厨が立てたスレじゃないのかな?
最初から百合がメインだったのだから、追い出されるはずがない。
411:名無しさん@ピンキー
12/05/18 23:48:18.57 gIdUd6T5
>>407
保管庫を見て傾向を見てきたら?
412:名無しさん@ピンキー
12/05/19 02:35:04.12 p8fMQid9
>>405
乙です!
ひよりんかわいいよひよりん
413:名無しさん@ピンキー
12/05/23 07:01:57.25 CCLj0Art
死ねチョンコロ死ねチョンコロ死ねチョンコロ
死ねチョンコロ死ねチョンコロ死ねチョンコロ
死ねチョンコロ死ねチョンコロ死ねチョンコロ
死ねチョンコロ死ねチョンコロ死ねチョンコロ
414:名無しさん@ピンキー
12/05/23 09:30:39.63 nUTyt9xP
>>409
書いてあっても叩きにくるんだぜ、あいつら
415:名無しさん@ピンキー
12/05/25 08:28:32.02 eHmeHv5Z
チョンコロ半島って中国にぶら下がってるインポの短小包茎祖チンにしか見えん
まさに中国の属国、奴隷にふさわしい形だ
416:名無しさん@ピンキー
12/07/07 03:15:24.90 4GSIc+de
続きこないかな~