11/11/17 12:37:27.25 7xoY2Jqk
「……そうかもね」
彼女の気持ちが覚めてしまわないうちに、男はゆたかの手を取り竿へと導いた。
ペニスを拒むつもりなのか、ゆたかが握りこぶしを作る。
男は握ったその指を一本ずつ開いて強引に小さな手のひらで太いペニスを包み込ませた。
「あっ、あの……いったい何を…………?」
「今度は、ゆたかに気持ちよくしてもらおうかなって」
ゆたかの手の上に自分の手を添えて、前後に動かしペニスを扱かせる。
「え、ええっ……先生……?」
戸惑いの目を向けるゆたか、だがすぐにどうしてほしいのか察したようで
ちょうどいい力加減で肉槍を握り、指を絡ませて竿に刺激を加え始めた。
「ううっ、上手だな……すべすべしてて気持ちいいよ」
ゆたかは恥じらいに目を細めながらも、うれしそうに笑った。
褒められたことに気をよくしたゆたかは、指先の押し付けを強くして、上下の運動をより大きなものにした。
「先生……どうですか?」
鈴口からにじみ出る先走りがカリ首を伝って竿のほうまで垂れてくれば
ゆたかの手がそれをまぶし、ねちゃぬちゃという音が立ち始める。
「っ……先っぽのほうも……くっ……触ってくれる?」
「はい………ひゃ、ああっ……すごい、びくびくって…………」
指先が亀頭の上を這い回り、穴の周りをなぞる。上質な絹糸の心地に、男がすっかり酔いしれていると
ゆたかは扱く力加減を変えてきたり、カリ首に指を滑らせたりと教えてもいないことまでし始めた。
これ以上何かを教える必要はないと、男は添えていた手を戻し、代わりにゆたかの太ももを撫で始める。
「んんぅっ……触られると、うまくできない……」
指が引っかかるところのない清らかな肌、豊満ではないが柔らかい肉付き……男は上へ上へ、クレバスのほうへと手を向かわせる。
「ん、あんっ……はあう……」
ゆたかはその手を無視するように、ペニスを握った手を動かすことに没頭しているようだった。
だんだんと激しくなり圧力を増す手に、思わず腰を引いてしまう。
襞の刻まれた粘膜とはまた違い、全方向から強烈な圧迫感を覚える、それだけではなく
人差し指から小指までは肉幹にイソギンチャクの触手みたいにうねうねと絡みつく一方で
親指は亀頭を形が変わるまで押しつぶしたりカリを押し扱いたりと……はるかに縦横無尽に動く。
「んぅ、どんどん……大きくなってますね」
汗に濡れたゆたかの童顔が、蛍光灯の光にきらめく。普段の快活な太陽の輝きとは違い、月のように妖しくほのかに光っていた。
------------------------
先生の男根は、弓のように反り返っており、先端は威圧感たっぷりに睨みをきかせていた。
血管の浮き出たどす黒い肌、それとは対照的に赤く腫れ上がった亀頭……
ゆたかが手で触れると、びくびくっと中で暴れ跳ね、恐怖すら覚えてしまった。
「ん、んっ……ああ、ぁ…………」
しかし、触っているうちに伝わる鼓動と熱がゆたかを落ち着かせ、さらに間近で感じる男性の臭いが、ゆたかの心に一気に火をつけた。
「ふう、意外と積極的なんだね……もっと嫌がるかと思ったけど」
先生の手が、太ももの間をくぐり、下着越しの割れ目に触れる。そこはすでに蜜をたっぷりとたたえている。
切っ先の一番上に開いている穴からにじむ液体の臭いを嗅いでいるだけで興奮は高まる一方だった。
「……んあ、だって…………んんっ!」
「だって、何?」
身体中に巻きついて離れない恍惚とした気持ちに浸りながら、ゆたかは先生を見上げる。
目が合ったとき、何か……眼に見えない妖しい手のひらみたいなものが触れたような気がした。
「先生が……えっちなこと、してくるから……んあぁ、ふうっ…………」
絡まる先生の目線に、ゆたかは金縛りに遭い動きが止まってしまった……それでも手だけは動かしていたが。
「でも、こうやってチンポシコシコしてくれるってことは嫌じゃないんだろ?」
先生の言う通りだった、自分の手は操られたようにペニスから離れない。
先走りで滑る竿を根元から頂点まで満遍なく擦り立てながら、ゆたかは裏筋に指を引っ掛けてその部分の摩擦を強くする。
「く、うっ…………!」
先生の呻き声とともに、スカートの中に潜り込んだ手が下着にかけられた。
秘所を守る布切れはあっという間に引き摺り下ろされ、中で熱をこもらせてぬかるみを作っていた割れ目が露になった。
「ひうっ、ああん……せんせ、い…………」
198: ◆EqHQZWqzB.
11/11/17 12:37:48.64 7xoY2Jqk
手を止めないでという無言の訴え、ゆたかはそれに応じこれまで以上に手を激しくし
ぬちゅぬちゅと粘っこい音が大きくなるまで太竿を扱き上げた。
五本の指を不規則に動かし、先生の敏感なところを探る。今までは攻められっぱなしだったが、裏側の筋になった所や
先端と棒の境目、根元の袋に近いほうといろいろ指を這わせていくうちに、どこが弱いのか少しずつわかってきたので
少しずつ心に余裕ができ始めた。
「っ……ゆたか、気持ちいいよ……本当にうまいじゃないか、才能、あるよ……」
「んんぁっ、はう、ひ……っ……ああん、っ」
こんな才能がなんの役に立つのかわからないが、先生が気持ちよさそうにしているのを見ると、もっと刺激を強くしてあげたくなった。
先生の呻き声を聞きながら、ゆたかは親指と人差し指で輪っかを作り、亀頭のエラが張っている部分を締め上げてみる
お返しのつもりだろうか、先生はスリットになぞらせた指をわずかに蜜の中を潜らせる。
「はひゃ、んんっ……! そこ、はああぁ…………」
思わぬ衝撃に、ゆたかは先生のペニスを強く握り締めてしまう。
ぬめった手は亀頭まで滑り、五指で掴んだ先端を手のひらでさらに圧迫していた。
「う、ううっ……ゆたか…………!」
だがそれがちょうどよい刺激になったのか、先生が声を絞り出すと、びくっびくっと勢いよくペニスが脈打ち
先端から精を撒き散らす。
ちょうど手のひらで精液を受け止める形になり、一定のリズムで続く射精に
ゆたかの小さな手は白く濁った液体でいっぱいにさせられた。
「あ、あああぁ……先生……」
精子をほとばしらせる快感をに夢中になっている先生は、ゆたかの陰部をくすぐる手を止めていた。
扱いている間もずっと中指が宛がわれていたので、ゆたかは指に自分の蜜浸しに鳴った亀裂を摺り寄せて、緩やかな刺激を楽しむ。
先生が大きく息をつくと、ようやく射精が止まった。それとともに指が引き抜かれると名残惜しい気分になる。
もっとしてほしいのに……周りのこともあまり気にならなくなってきたからなのか
身体は先生の愛撫を求めむずむずと身悶えしている。
「ふう、気持ちよかった……何日も抜いてなかったからな。ほら……ザーメンいっぱい出たでしょ?」
「あ……え、は、はい…………」
手の上に溜まった白い液体に目をやる、どろりと指先にまとわりつく濃厚な精液にゆたかは思わず生唾を飲み込む。
「飲んでみる?」
首を大きく左右に振りながら、渡されたティッシュで手を拭く。
一枚では足りず、二枚、三枚……やっと手がきれいになったころにはティッシュを7枚も使ってしまっていた。
「…………次はゆたかもっとを気持ちよくしてあげないとね、パンツ脱いで、四つんばいになって」
「ええっ!? そんな……恥ずかしいの…………できません」
お尻を丸出しにして先生のほうに向けるということは、後ろの穴まで見せてしまうということで、顔を真っ赤にして声を荒げてしまう。
「おっと、静かにしないと外に聞こえちゃうよ……別に、ゆたかが嫌だって言っても、無理矢理やっちゃうけどね」
「そんなぁ…………」
断りたかったが、先生の目を見ているとこれ以上何も言うことはできなかった。
それに、もっと気持ちよくなれるかもという期待もあった。
「ううっ、わかり……ました。でもっ……ずーっと見たりとか、だめですからね…………?」
ゴムに指を引っ掛ける、さっき先生に触られたときに、半分くらい下げられていた下着をゆっくりと脱いでいく。
それをベッドの傍らに置くと、先生がプリント付きのパンツを早速手に取った。
「へえ……この前のとは全然違うんだね、小学生みたいだな……これ」
「あっ、だめです……返してっ」
先生から下着を取り返そうとすると手で制されてしまい、ゆたかはしぶしぶ元の四つんばいの姿勢に戻った。
さっきまではいていた下着をポケットの中に突っ込んで、先生は間近からお尻を覗き込んだ。
「こっちの穴もきれいなピンク色か……」
おそるおそる後ろを向くと、先生がお尻を左右に割り開いて、中心にある穴をまじまじと見ていた。
しかも、顔を近づけて匂いまで嗅いでくる……恥ずかしさのあまり体温が急上昇するのがわかった。
「あ、あの……そっちは、だめ…………です」
「どうして? こんなにきれいでかわいい穴なのに。ひくひく震えてるな……本当は触ってほしいんじゃないの?」
199: ◆EqHQZWqzB.
11/11/17 12:38:08.34 7xoY2Jqk
「ち、違いますっ! そっちは……その……」
大きな声を出すと、先生もさすがに諦めたのか左右のお尻を割り開いていた手を離し、太ももに手を絡ませ、撫で回し始めた。
お尻の穴への突き刺さる視線を感じなくなり、ゆたかは一安心するが、奇妙な心の高ぶりは、まだ残ったままだった。
「ひうっ、はあぁ、んっ……あう、っ」
太ももの上を緩やかに踊る先生の指、スライドし、ターンし、ジャンプし、着地する……
まるでフィギュアスケートの選手のようだった。
めまぐるしく動く指はゆたかの感じやすい部分を的確に押さえており、沈み込む指がツボをちょうど突くことで
肌はさらに熱っぽくなり、身体の力はどんどん抜けていった。
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ゆたかの真っ赤に染まった頬からは、激しい運動の後で燃え立った快活さが再び覗きだす。
菊門に触れたことで恐怖感を呼び起こしてしまったかと不安にも思ったが、どうやら大丈夫のようで、男は安堵の息をついた。
「太ももしか触ってないのに……相当感じやすくなってるね」
「あ、はあっ、んんっ……だって、気持ちいい…………んはああぁ」
熱を帯びたゆたかの柔肌、指を押し当てればクッションのような柔らかさを楽しむことができるが
みずみずしい弾力と張りも持ち合わせており、わずかに指を押し返してくる。
内側に、そして上方に手を進ませると、太ももの肉はさらに柔らかく熱くなっていく。
「ひゃ、あうっ……んっ、はあぁ…………」
声が大きくなると、ゆたかは自分の口をふさいで喘ぎの大きさをコントロールしようとする。
いくら気持ちいいからといっても、見つかりたくはないのだろう。
「……何か聞こえるな、誰か来たかな?」
口を押さえたまま肩を、お尻を震わせるゆたかの仕草がかわいくて、男は嘘をつく。
「ごめん、気のせいだった」
「っ、んぅっ……先生…………ひいああっ!!」
男の言葉が嘘だとわかると、ゆたかは泣きそうな顔をしてこっちをにらみつけた。
普段の小動物のような愛らしさとは異なる剣幕に男は一瞬たじろぐが、すぐにスリットに指を突っ込めば
その怒りもどこかに消え去ったみたいでお尻を高く突き出したままベッドに身を任せる。
「やっぱり、まだ恥ずかしい?」
「………………」
片手をお尻に添えて、やわやわと揉みしだきながら、片手の指で秘裂と陰核を指でなぞる。
泥濘と化したそこは、指が動くだけで、含んだ愛液をじゅぷっ、ぴちゃっとこぼし、太ももやシーツまで汚していく。
「ひあっ……誰か、来たら、んんああっ!」
大声を出した途端、ゆたかの肉鞘は収縮を開始し、入り込んだ男の指を締め付ける。
ぬめりのある水分をたっぷりと蓄えた粘膜は、引き抜き、差し込みを続けるだけで男の指をふやけさせていき
発する水音も粘度の高いものへと変わりつつあった。
「誰かって? 岩崎さんとか?」
「んん、はあっ……みなみ、ちゃん……? そ、そんなの絶対にだめですっ」
昇天しそうにうつろな顔を向けながら、ゆたかはシーツを掴む。
ぎゅっと小さな手に力を込めるのを見ながら、男はもう一度ゆたかのお尻に顔を近づけた。
「やっぱりお尻の穴触らせてよ……汚くなんかないって」
お尻の谷間近くで鼻を鳴らして匂いを嗅ぐと、こもった汗の匂いがした。
むわっと立ち込める甘酸っぱい匂いに男はたまらなくなり、親指で小さな窄まりを軽くつつく。
「ひ、ひゃあっ……だめ、そっちは、やああぁ……先生、だめ、だめぇ」
だめと言いながらもゆたかの抵抗はそこまで激しくない、それどころかお尻を振り立てるその姿は色気たっぷりの艶かしいもので
むずがるゆたかを無視して、男は野菊を思わせる乱れのない皺に沿って指をなぞらせた。
「ピンク色で、小さな蕾みたいだな。これだけかわいいと、こっちに入れたくなるな」
親指を押し込み、人差し指を入り口のほんの浅いところをほじる。たったそれだけのことであっても
ゆたかの反応は著しく、割線の窄まりは、歯噛みする赤ちゃん猫のように指先を噛み締めてきた。
「ひっ、ううっ、ああん、はあ、ああぁ……!」
かわいい尻たぶの一番奥にある、愛らしささえ覚えてしまうゆたかの菊腔、そっと人差し指でつついてみれば
まるで指先を受け入れるように肉門が口を開いた。
その穴に指をねじ込んでいくと、ゆたかの背中が弓状に反り返る。
200: ◆EqHQZWqzB.
11/11/17 12:38:26.84 7xoY2Jqk
男はしなやかな背中のラインによって指を滑らせると、ゆたかは腰を泳がせて、菊穴を一気に締め付ける。
「あ、あ、ああんっ……やぁ、あっ……せんせい、んあああっ」
入り口の締まり具合なら膣穴以上だろうかと、背中、腰、お尻と下らせた指を蜜海に飛び込ませ
ぐちょぐちょになったそこで泳がせる。
後孔はまったく開発されていないため、指一本を浅く潜らせただけでも強いこわばりを見せ、男の指はあっさりと押し戻された。
しかし、前孔はゆたかがオナニーを繰り返していたことで
以前よりもわずかではあったが男の指を柔らかく飲み込むようになっていた。
「ん、やっ、おしりの穴……だめ、あああんっ、あう、んうぅっ…………」
「……本当はそっちも好きなんじゃないの? 声がだいぶエロくなってきてるけど」
「そんな、ことっ……ないです、ぅ……はああん」
円を描いた指で窄まりを解していくと、それに合わせてゆたかの膣壁も男の指に噛み付くように締め上げてくる。
「ケツ穴で気持ちよくなるなんて岩崎さんが知ったら、どう思うかな?」
「んんぅっ、ああん、おしえちゃ、だめ……です、ああん、ううぅ……」
ぷりっとした小さなお尻は、天に向かって突き出される、眼前に晒された
巾着の口に近い形をしたアナルにぎりぎりのところまで顔を近づけて鼻を鳴らすと、ゆたかの途端に声のトーンが変わった。
「ひゃっ、ああん……んふ、だめ、だめぇ、ん……ああっ」
艶やかに光る薄桃色の後口が、魚の口のように開ききって、ひくつくように収縮していた。
その一方で、膣粘膜の多重層に絡み付かれた指は蠕動とともに奥へ奥へと導かれる。
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お尻をもじもじとさせながら、ゆたかは燃え上がる羞恥の炎に汗を浮かばせながら耐えていた。
自分でオナニーするときでさえも、こんなところを触ってはいけないという思いから、お尻の穴に触れることはなかった。
「んぅっ、あう、んんっ、はう……っ」
だから、先生がお尻の穴をマッサージすればするほどに拒否感は強くなる一方だった。
だが、皺になった部分に指先を立てられ、穴の入り口を押し広げられると
お尻から背骨を伝って、後ろ暗い喜びのようなものが全身に広がった。
本来は触れるべきではないところに指が当たっているという実感が
ゆたかの気持ちを異常なまでに興奮させ、結果として先生を誘うように悩ましげな熱い息が漏らしてしまう。
「やあ、っ……はあ、んっ、は、ひいっ……」
「もっと素直になってもいいと思うけど…………?」
肛門を指がくぐることで身体中に駆け巡るむずがゆい何か……全身を掻き毟りたい衝動に駆られながら、ゆたかは背中を震わせ
頭の中に残る刺激の余韻に、自分がおかしくなってしまったことを恥じつつも、もっともっと乱れたいという思いも膨らみ始めた。
「はあ、ひゃうんっ! んむぅ……ん、っ」
叫び声を上げると、ゆたかは先生にかじりついた。
直後、自分が大きな声を上げていたことに気がつくとドアのほうに目を向けて口をきゅっと閉じる。
「……ん、っ…………んふ、ぅ……ん」
先生の指が亀裂から深くに潜り込み、愛液を泡立たせるように膣口をかき混ぜた。
身体がとろけてしまいそうな刺激に、声を出して発散したかったが、口を押さえたまま喘ぎを押し殺した。
先生はそれをあざ笑うかのように指の動きを激しくし、容赦のない抽送で粘膜を擦り立ててきて
そのせいでゆたかの頭の中には白く光る火花がたくさん飛び始めた。
「マンコとケツ穴、どっちにチンポ入れてほしい? 俺はどっちでもいいんだけどな……」
先生の不意の問いかけ、そして後穴から勢いをつけて引き抜かれる指……性感帯ではない場所への愛撫が終わり
ほっとするものの、背中を引っ張られるような後ろめたい気持ちが中に消えたことに、ゆたかはなぜか寂しさすら覚えてしまう。
「…………ふ、普通の穴で……」
ただ、気持ちいい反面、これ以上の罪悪感には耐えられそうになかった。
「わかったよ、じゃあケツ穴はまた次回ってことで」
この次も、またお尻の穴を攻められてしまうだろうか……
今度は断ることができるだろうかと不安に思っていると、先生はいきなり二本の指を膣穴に突き立ててきた。
「ひゃぅっ、んんああっ!」
汁をにじませた赤桃色の合わせ目に入り込んだ中指と人差し指は、洪水状態となった女芯を掻き広げる。
201: ◆EqHQZWqzB.
11/11/17 12:38:47.63 7xoY2Jqk
剥き身の粘膜には指先がぴったりと密着し、ゆたかが何もしなくても息づく生きた洞窟が指を締め上げ押し戻そうとする。
「指三本は、さすがに入らないかな……」
朱がにじんだ肉花には幾重にも襞が集まり、先生の指はよじれて縮こまったそれを広げて伸ばそうとしてくる。
自分でしたときとはまったく違う、荒波に飲み込まれるような快感……
先生の指使いは少し乱暴だったが、身体はそれを受け入れているようで
太い指を飲み込む肉の重なりは自分とは別の、妖しい生物なのではと思うくらいに蠢き、指を沈ませる。
「ふうっ、あああんっ……はぁ、う、っ……ひいうっ」
先に進むほどに花蜜は、白く粘度の高いものとなり
先生の指で撹拌されたそれはゆっくりと秘裂の下端から太ももを伝い細い滝を作る。
「クリトリスもちっちゃくてかわいいな」
開ききった花びらはねっとりと潤みに塗れており、先にあるクリトリスも例外ではなかった。
ゆたかの指先よりも小さいそれは、先生の愛撫を期待して突起物となっている。
「ひゃあんっ、あ、ううっ……んく、ああぁ」
当然上端にある突端にも触れたことはある、だがあまりに敏感だったので、小粒を隠す包皮はそのままに、外側からつつくだけだった。
それなのに先生は、突起を探り立てて莢を払い、中にある果実をもぐように指で押し転がす。
「ふああっ、あ、んっ……ひゃう、ぅっ……先生、んんっ……そこ、弱い、です……」
指が掠り、圧力を加えるたびにゆたかは声を絞り出し
お尻を振り上げてくねらせ、身体中で気持ちいいということをアピールしてしまう。
先生はそれを知った上で、クリトリスを引っ張り上げながらぬめる穴口に指を沈ませ
襞にそって指を蠢かせ、官能を煽っているのだろう。
太ももに手が当たる、なんだろうと思っているうちに、間に勃起した肉棒が入り込んできた。
脈動に驚いて脚を開こうとすると、先生はそれを許さず脚を閉じるように促した
「ゆたかがエロい声ばっかり出すから、俺も興奮してきちゃったよ……」
「え、ええ……っ、あう…………」
内腿の間を我慢汁を吐き出しながら前後するペニス、何がなんだかわからなかったが
薄白の液体が照り光る陰裂を亀頭が摩擦すると、腰が抜けそうなくらいに気持ちよかった。
「ああっ……すべすべしてて、いいなぁ、これ……」
竿が、挟み込んでくる太ももの肉をを掻き分けて進むと、楕円形に開かれようとしている入り口の上を滑り、粘膜同士を触れ合った。生々しく息づく秘口への刺激に耐えかねて脚を閉じれば、ペニスの硬さと脈動がはっきりと皮膚に染み込んできて
だからといって脚を開けばくちゅりと音が立ち
粘っこい汁に塗れた割れ目にペニスがもぐりこもうとしてきて、麻痺に近い気持ちよさが全身を貫く。
「あ、ああっ、ううん……はあ、や、ぁ…………」
「……そろそろ、いいかな…………?」
「………………は、はいぃ」
先生が何をしたいか、ゆたかにはわかっていた。気持ちよさに身体を痙攣させながら、軽くうなずく。
------------------------
蜜壷は絶えず収縮を繰り返し、淫靡にきらめいたまま、愛液とともに濃い匂いを吐き出していた。
その香りが先走りの牡臭と相まって、例えようのない卑猥な芳香となって二人の周りを包み込む。
「じゃあ、行くよ……」
「え、えっと……このまま、するんですか?」
男がゆたかのお尻を掴み、薄紅色の花肉の層に先端を宛がい
くぼんだ入り口の奥にある桃色の虚をふさいだところでゆたかが身を捩りだした。
「そうだけど、どうして?」
「後ろからなんて、恥ずかしいです。あの………先生のほう、向いても……」
羞恥と戸惑いが見て取れる紅の彩り、うっすらと涙が覆う大きな瞳、愛らしさの中に覗くしっとりとした潤い、男は思わず息を飲んだ。
「…………先生の顔、見ながらえっちしたい………………」
「そうだな……わかった……」
(あんまりいじめるのも、よくないよなぁ……)
ゆたかの素直なお願いに、少しやりすぎたかと反省し、焦ることはないと考えを切り替えた。
男は、ゆたかの身体を反転させて向き合うと、開いた脚の向こうにある毛の生えていない土手に肉頭を押し当てる。
そこは、一点のくすみもない白磁のような肌に、縦に刻まれたスリットは
その狭隘さの割に最大限に勃起した屹立をすんなりと受け入れる。
202: ◆EqHQZWqzB.
11/11/17 12:39:05.45 7xoY2Jqk
「先生…………」
女陰を組み立てているそれぞれの部品が、沈む亀頭によって口を開き、穴を大きくする。
処女穴を引き裂いた前回とは違い、ゆたかの膣孔は、圧着しながらも肉棒に合わせて形を変える。
オナニーを何度もしたというのは本当なのだろう、絡みつく襞の締め付けの中にも
先端から根元まで飲み込もうとする柔らかさがあった。
「あっ、んん……ぅ、はう、ふぁ、あ…………」
「動くよ……痛くない?」
ゆたかの小さな身体に覆いかぶさったまま、男は腰をゆっくりと突き動かす。
若さ、経験のなさを示す淡い彩色の粘膜をちらつかせる割れ口は、溢れんばかりの蜜汁によって妖しい光沢を放っていた。
押し進ませた剛直に四方八方から押し寄せるつるつるふわふわの粘膜……
シロップをかけたマシュマロのように柔らかく、強く突き上げたらすぐにでも崩れてしまいそうな頼りなさも感じられた。
「あんっ……! 痛い……っ、もっと、ゆっくり……」
「っ……ごめんごめん」
思わず感嘆の声が漏れるほど、ゆたかの濡れ花筒は心地がよかった。
そのためにピストンを強くしすぎてしまったようでゆたかが顔をしかめながら腕を掴んで前後運動を制してきた。
折り重なった肉の翅がカリ首に、頭裏と敏感なところを責める絶妙な甘噛みに
激しい突き上げをしたいという衝動を押しとどめつつ、男はゆっくりとした抽送を繰り返す。
「ひ、っ……ん、あう、はあぁ、んんっ!」
神聖な蜜芯はぽっかりと赤く口を開け、ペニスを飲み込む。
先端は肉の壁によって形作られた洞の肉奥を撹拌し、粘液を、さらに粘膜を抉り取るように突き進む。
水源から滾々と湧き出る甘蜜を、ペニスが舐め拭う。それに対して、柔らかな襞虫は肉棍棒に合わせて形を変える。
挿入の角度を右にずらせば右から、左にずらせば左から押し寄せてきた。
「はあん、んっ、んあぁ……っ、ふう、ひう……ぅ……」
ゆたかはわななき、伸ばした脚で空を切り、手をシーツを皺になるまで掴む。
汗ばみ赤く染まった肌、唾液に濡れた唇、髪の張り付いた額、伏目がちな瞳……
ペニスをくぐり進ませるごとに、秘められた官能が引きずり出されているみたいだった。
「相当オナニーしたみたいだな……チンポ、おいしそうに食べてるよ」
「んんっ、あああ……ん……んぅ、そん、なっ…………私は……」
ひらがなの”ろ”の字を、肉筆を駆使して肉層の中で書き続ける。
筒内に含まれた牡棹は、気がつけばわずかに根元を残すまでにねじ込まれていた。
さらに、ゆたかは根元を陰唇をぴくぴくと締め付けながら、奥で軽くスライドさせてきた。
その動きが意図的なものかはわからないが、これにより、ペニスはさらに先へ導かれていった。
「ん、んふっ……あ、ぅっ…………ひああぁ」
粘り気に富んだ番の肉びらの向こうには、何重にも折り畳まれた蝶の濡れ翅があった。
男がゆっくりと腰を沈めれば、ベビーピンクのびらつきがそよぎ、絡み、男性器をくわえ込む。
「ひゃあ、っ! 先生っ、んん…………ああ……っ!」
ゆたかはペニスによって粘膜をこねくり返されるたびにあられもなく声を上げる。
他の場所を触っていたとき、指で生花肉を構い立てていたときとは比較できないほどの嬌声。
「……声、大きいって……本当に外に聞こえちゃうよ?」
男の言葉に、ゆたかは陶然としつつも怯えた顔を見せ、シーツを掻き毟っていた両手で口をふさぐ。
男としても見つかるのは避けたかったので、ゆたかが落ち着くまでの間
肉壷の内部に矛先を進めることはせず、亀頭で泉の淵をやんわりとまさぐるだけにとどめた。
「ん、うっ……はあ、はあぁ…………も、う……大丈夫です」
淫溝は男の突き上げによって捲れ上がり、互いの性器がつながったその場所からは、突き込みのたびに淫花の雫が滴り落ちた。
経験の浅いゆたかの柔果肉ではあったが、自分で慣らしたことで
青さを残しつつも粘りつくようにぬたつき、たるまって男のペニスを食い締めていく。
「っ、じゃあ……もっと、激しく、っ……してもいい?」
「は、はいっ……んああっ、はう、んひ……ぃ……」
ゆたかが首を振ってのけぞる、まだ口をふさいだままだったので歓喜の声も、出口をふさがれてくぐもったものになっていた。
鉄竿が突き刺さった花園からは、甘露が大量に溢れ、かき回された狭い秘肉のあわいからは
絞りたての果汁を思わせる淫水が次から次へと湧き上がる。
「くうっ……ゆたか…………」
203: ◆EqHQZWqzB.
11/11/17 12:39:27.27 7xoY2Jqk
とば口から続く子宮に続く径は締め付けるばかりではなく弛みも見せていたが、亀頭を突き潜らせるごとに穴は狭隘になっていく。
まとわり付いてくる、ぷるぷるとしたゼリーの円環に構わずに進めば
狭い輪がさらに収縮を見せ、最後の入り口に向かう肉槍の行く手を阻む。
「はあっ、あああ……ん、ふう、ぅ…………んはあああっ!」
ひねりを咥えながら、少し動いて止まってと狭穴に先端をねじ込んでいく。
襞の間隔が細くなるにつれて、蠢動もより大きなものへと変化し、肉の洞窟が壁ごと侵入者に迫ってくるようだった。
さらに、裏筋は柔らかい潤いと粒立ちから刺激を受け、異なる気持ちよさが男をためらいなく射精へと追い込んだ。
性を感じさせないあどけないゆたかの膣内がここまで淫らなものだということに
男は驚きつつも柔襞の蠕動がもたらす強烈な快楽に、次第に理性を失い始めていた。
「……そんなにぎゅうぎゅうしたら、すぐにいっちゃうんだけどな」
せり上がってくる射精衝動があまりに大きすぎて、苦しいのか気持ちいいのかよくわからなくなってきた。
それでも、男は小さな花びらをまさぐり続け、螺旋状の模様が刻まれた蜜穴を突き捏ねる。
熱い水飴の壷の中をかき混ぜるような感触がペニスを包み込み、さらに秘壁の締め付けもあって
いよいよストロークが大きく荒々しいものへと変わった。
「ん、はあ、っ……ああん、あうぅ…………」
ゆたかの手がシーツから男の腰へ、ふらふらと上体を起こすとしがみついてきて
肉穴がもたらす圧力も変化し、襞環も不規則に形を変える。
肉棒によりくつろげ開かれた膣内は細かく痙攣し、熱い涙を侵入物に染み込ませた。
そしてそれが、蠢く真綿のような柔肉と淫刀の摩擦を弱め、ゆたかを気遣ったままの激しいピストンを可能にした。
「あうっ、んんっ……はう、ぅ」
一方で、膣洞いっぱいに膨れ上がった海綿体を、これでもかと食い締めることも忘れてはいないようで
ぬかるんだ花鞘は、探りたてる切っ先に対して収縮と弛緩、そしてわななきで返してきた。
「ひゃ、あんっ……先生、んぅ、うっ……んああ、もっと、奥まで」
「ゆたかがこんなにエロかったなんてな……思ってた以上だよ」
膣火口は、マグマを噴出すように、子宮口から結合部に向かって膣蜜をしとどに溢れさせる。
そしてそれ自体が芸術品を思わせる襞模様に浴びせかけ、突き込みを繰り出す男の抽送を促す。
すでに、男のズボンも、ゆたかの下腹や太ももも、シーツも花雫に汚れてしまうほどの、愛液の量……
ここまで濡れているからこそ、割り裂くように進む剛直も受け入れられていた。
「ん、あっ、ああ、ああっ! はあ、んううっ、ひう……!」
だが、これだけでは満足できなかった、無数の起伏や模様の奥にあるもう一つの入り口を、沼底を宝冠部をで貫きたい。
この思いは膨らむ一方だった。
------------------------
「はう、んんっ、ああ、ああぁ……」
先生のペニスが、下の口に隙間無く咥え込まされていく。あられもなく開かれたその部分は
太いペニスによってすでに限界近くまで押し広げられていた。
しかし、湧き立つ泉のおかげで、処女を奪われたときと比べれば痛みはほとんどなかった。
さらに、あの時以上に気持ちよさが全身を包んでおり、交互に訪れる浮遊感と落下感、膣壁の収縮と亀頭の突き上げ……
全ての感覚が一つになって、悦びへと置き換わり、ゆたかを支配しつつあった。
「……こっちのほうは、どうかな?」
「ふあっ、あ、んんんっ、ひゃ……あ!」
先生が上方にある突起を指腹で押し撫でてきた、不意打ちに、ゆたかは思わず上半身を傾斜させて倒れ込みそうになってしまう。
さらに、クリトリスの周囲を這い回る指は、フードをむき、露出した小粒の頭部を構い立てる。
ダイレクトな刺激に、呻き、喘ぎつつ吐息をついて、全身を伸びきらせた。
「っふう……ああん、せん、せい……はううんっ」
突端から広がる快楽に夢中になっていると、さらに奥のほうまでペニスがめり込んでいく。
身体中を揉み抜かれ、腰がとろけてしまいそうなほどの気持ちよさ、浴びると本能はとっさに叫びを上げようとした。
「っ……、ん、ぅっ…………!」
だが、もちろんそれは許されない。ここは学校の保健室で、いつ誰が来るかわからないからだ。
必死に自分を押さえつけたまま、ゆたかは脳にまで直接響くような、しかしねっとりと甘くとろける感覚に身を浸していった。
204: ◆EqHQZWqzB.
11/11/17 12:39:48.23 7xoY2Jqk
「…………失礼します」
「ふえっ……あ、うぅ…………みなみちゃん……」
膣穴を突き貫くペニスに愛しさすら覚えたところで、ノックの音、そして扉を引く音が聞こえた。
足音がカーテンのすぐそばにまで近づくが、先生は腰を動かすのをやめてくれない。
「せ、先生……みなみちゃんが……」
「わかってるよ、だから……うまく追い返してくれないかな? カーテンはくれぐれも開けさせないように」
ひそひそとささやいている間も、先生の肉器が開ききった孔の中に打ち込まれ続けていた。
こんな状況にもかかわらず、先生は信じられないほどのパワーとスピードで
休みなく巨大なシャフトを膣奥に向かわせようとしていた。
肌がぶつかる音が静かな部屋の中に響く、みなみに聞こえてしまうのでは……とゆたかは喘ぎを潜め薄布越しの彼女の様子を窺った。
「ゆたか……具合、大丈夫?」
「あっ……う、うん…………んんっ、だい、じょうぶ……だよ? みなみちゃんこそ……委員会のっ、ほうは……?」
「……話し合いが長引いて、途中で休憩取ることになったから……開けても、いい?」
「だ、だめえっ!」
みなみの言葉に、全身がさーっと冷たくなり、考えるよりも先に拒絶の意思を投げつけていた。
「……どうして?」
先生のペニスが一番奥を遠慮がちにノックし始めた。
感電してしまったのではと思うくらいの強い痺れと、その後に残る、ふわふわと落ち着かない気持ちよさ。
考える力を奪ってしまうほどの快感が全身をぞよめかせ、閉ざしたはずの口の端からは声が漏れてしまう。
「んふ、うっ……はあ……ぁ、えっと…………ひゃ、っ」
「ゆたか…………?」
みなみの声のトーンが変わる、たぶんゆたかの態度に不審なものを感じたのだろう。
先生のほうを見て首を振るが、子宮にまで向かうくらいの突き上げをやめてくれる気配はなかった。
「……調子が悪いなら、ここにいるけど」
獰猛なペニスの動き、身体の奥まで抉り取られるようなピストン運動……声を出さずにいられるのが不思議だった。
肉と肉の合わせ目から発せられる愛液と先走りの混合汁を溢れさせる音、自分の湿っぽい息遣い……
全部みなみに聞こえているのでは……と不安が脳裏を掠めた。
「開けるね…………」
「だめっ! 絶対にだめ!!」
みなみに対してここまで声を荒ぶらせたのは、これが初めてかもしれない。
自分を大切にしてくれるのはうれしいが、こんなところは見られたくない、早く出て行ってほしいと
動揺と羞恥の感情にゆたかはひたすら祈り続けた。
「どうして? 何か…………あるの?」
みなみの疑問はもっともだ、何か答えないととゆたかは頭をフル回転させるが、彼女を納得させる言葉は出てこない。
その間も、先生は身体が揺さぶられてどこかに飛んでいってしまいそうな強烈なピストンを続けている。
「ん、ぁあ……っ、まだ、ちょっと……寝ていた、い……からぁ、んんっ、はあ……」
みなみと話しているのに、穴はぐにゅりぐにゅりと蠢き、争ってペニスに食らいついていた。
大切なお友達の前でセックスをしているという後ろ暗さ、みなみにとんでもないところを見られてしまうかもという恥ずかしさ。
頭の中ではわかっていた、今すぐそそり立つ肉剣を引き抜いて、みなみを心配させないために何事もなくふるまう必要があると。
しかし、身体は、心は先生のペニスを求めていた……みなみにそれを邪魔されたくないという気持ちさえ芽生えてしまう。
カーテンの向こうで、みなみはどんな顔をしているだろうか。みなみのことを考えるほどに
こんなことしてはいけないという気持ちが強くなるが
それが逆に子宮を起点にして広がる快美のおののきとなっていき、ゆたかは自分を疑った。
「そこに、誰かいるの?」
頭の中は今にも真っ白になりそうだった、身体中のすべての感覚が快楽を浴び、それが光の束となって脳内を駆け抜けた。
早くいなくなってほしい、でもみなみにも見てほしい……両立しない二つの気持ちがゆたかの心の中で大きく膨らむ。
ゆたかとみなみのやり取りの間も、先生のペニスは太まる一方で、収縮する子宮口は悦びに震えおののいていた。
埋没する男性器の先っぽがそこを遠慮なく突くと、痙攣する膣壁が肉棒を押さえつけるように圧迫した。
「ん、はあっ……誰も、いない……よぉ…………みなみ、ちゃん……私…………」
「わかった、何かあったら呼んで……」
ドアの閉まる音、遠ざかる足音……ようやく安心できたが、そうすると今度は激しい官能の波がゆたかの身体を飲み込む。
205: ◆EqHQZWqzB.
11/11/17 12:40:03.32 7xoY2Jqk
「岩崎さんにばれてたりして……」
「そんなこと、っ……ないです………ああ、んんっ!」
糸のようなか細い声は、暴れるペニスのせいではばかりのない嬌声へと変えられる。
しかも、その動きは荒々しくなり続け、一番奥の行き止まりは何度も何度も突き押されていた。
「うっ……ゆたか、そろそろ…………さっきから限界だったんだよ」
先生の動きが激しくなった理由がようやくわかった、ゆたかはしばらくためらったものの
狂おしく腰を跳ね上げさせたまま先生に抱きつき、両脚を絡めてしがみついた。
「……中に出しても、いいんだよね?」
「は、はいっ……先生の…………いっぱい、ください……ああああああっ!!」
頭の天辺から突き抜けるような声を張り上げると、ぎこちなく身体を揺さぶった。先生よりも早く、自分がいってしまいそうだ。
「それなら、っ……遠慮はしないからね」
オナニーのときよりもずっと気持ちがいい、膣内で存在感を増し続けるペニスに
他のことを考える余裕はすべて奪われ、ゆたかは絶頂への階段を上り続ける。
「はあうっ、あ、ああんっ、気持ちいい、先生のっ……おちんちん、はあ、はあ、んうっ……もっと、あああんっ」
子宮の入り口を打ちのめされたことで、オーガズムが一気に近づいた。いくかいかないかの波間で漂っていたゆたかを
先生の一打一打は絶頂へと引き上げた。
まるでエレベーターのように、一度そこに乗っかってしまえば、あとは上るだけ……
頭の中に飛ぶ火花がゆたかの視界まで白く塗りつぶす。
「ゆたか………ううっ!」
「あ、ああぁ……先生の、んんっ……はあ、ぁ…………っ」
先生がくぐもった声を出した次の瞬間、猛々しく反り返った先端から、すさまじい勢いで精液がどろどろと噴き上げてくる。
それはお湯のように熱く、下腹部がやけどしそうなくらいの熱を帯びていた。
一回……また一回と膨らんではしぼんでを繰り返す亀頭からもたらされる精液のほとばしり。
煮えたぎったそれが子宮に注がれることで、ゆたかも絶頂を迎えた。
「はあ、ああん……ぅあ、ああぁ……いっちゃう、いっちゃううぅ」
髪を振り乱して、しゃくり上げながら、滑白い裸体に先生の胸に柔らかく崩れ伏す。
自分がどこか遠くに飛んで行ってしまいそうだったので、ゆたかは先生の背に爪を立てて身体の支えにした。
ブリッジに近い体勢になって、同時に膣内の収縮と締め付けも最高潮となり
まるでおもらしでもしたかのように愛液が洪水となり、ゆたかと先生の股間をぐっしょりと濡らす。
「ふう……ゆたか………………?」
花液のほとばしりを感じながら、遠くに先生の声を聞きながら、ゆたかはゆっくりと意識を失った。
「ゆたか? どうしたんだ? しっかり…………」
206: ◆EqHQZWqzB.
11/11/17 12:40:16.63 7xoY2Jqk
「…………先生、こんなの……誰かに見られたら……」
保健室での二度目のセックスの後、ゆたかと先生は毎日のように交わり続けた。
教室、体育倉庫、電車の中……いつも、誰かに見つかりそうな場所で身体を求められていた。
最初は恥ずかしくて死んでしまいそうなくらい嫌だった。
しかし今では少し慣れて、周りの目を気にしつつだったが、肌を露出することができるようになってしまっていた。
「ゆたかはそればっかりだな、大丈夫だって」
ゆたかは先生の前でスカートをたくし上げる。
夜の公園、それも茂みの中ということで簡単に見つかってしまうような場所ではなかったが
外ということもあり、ゆたかはいつになく緊張していた。
「ちゃんと捲らないとマンコが見えないぞ……ほら、もう少し」
「は、はい……っ」
間近で覗き込む先生、熱い吐息が毛の生えていない秘所に吹きかけられると、手足を落ち着きなくもじもじと動かしてしまう。
肌は焼け付くように熱くなり、やがてそれは興奮に、悦楽に置き換わる。
「………………」
すぐ近くで茂みががさりと動く……誰か来るのでは、とゆたかは身を硬くしたが、全身を駆け巡る緊張感が妙に心地よかった。
「どうしたの……?」
「……なんでもないです、先生……早く…………」
207: ◆EqHQZWqzB.
11/11/17 12:40:31.27 7xoY2Jqk
以上です、ちょっと長すぎましたかね……
208:名無しさん@ピンキー
11/11/17 19:56:12.65 ebcPRDB+
GJ!久々の力作キタコレ
209:名無しさん@ピンキー
11/11/17 20:44:22.46 O+eAnUw9
お疲れ様!
GJ
210:名無しさん@ピンキー
11/11/17 21:10:01.76 1VJdwk+j
後で読もう
とりあえず投稿乙
211:名無しさん@ピンキー
11/11/26 14:19:21.35 qDSMBbEc
キャラクターの性格や特徴つかめてないから、微妙だったなあ。
らき☆すたのキャラクターじゃなくてもいい作品に思える。
作品投下は嬉しいから、ただのエロ小説じゃなく、らき☆すたのエロパロになるよう努力してほしい。
212:名無しさん@ピンキー
11/11/26 15:14:08.81 GB60Kp7v
じゃあ>>211ならゆたかでどういう作品を書く?
213:名無しさん@ピンキー
11/11/26 23:01:57.81 qJv5Yoy+
BJ! FY!
214:名無しさん@ピンキー
11/12/17 10:53:51.59 t/3p7cb5
ほ
215:名無しさん@ピンキー
11/12/24 02:49:11.60 pI5hv86t
らき☆すた同人まとめ
URLリンク(doujinlist.info)
216:名無しさん@ピンキー
12/01/02 07:19:12.77 SI/Q6P9/
特定キャラを持ち上げるために他キャラを貶めている率
が異常に高いのがらき☆すたSSの特徴
217:名無しさん@ピンキー
12/01/08 02:47:11.86 gqGii0h5
確かに
こなたとゆたかが駆け落ちするシリーズとかかなりひどかった
218:名無しさん@ピンキー
12/01/21 17:03:46.93 PGIZqb6N
今さらだが、ゲーマーズ行ったら特製表紙が神過ぎて思わず久しぶりに買っちまった
久しぶりに読んだら、フィルターかかって同じコマにいるだけでつかこなに見えてしまう
219:名無しさん@ピンキー
12/01/22 16:56:08.03 bu1uBhuL
どんな内容でもありがたく押し頂け、との版元のご託宣
220:名無しさん@ピンキー
12/02/05 05:06:54.98 JiTOjQYp
ほしゅ
221:名無しさん@ピンキー
12/02/09 11:30:51.36 /H6bvMnG
準備されている方がいらっしゃらなければ投下したいと思います。
222:松
12/02/09 11:35:04.98 /H6bvMnG
ご無沙汰してます。ようやっと新しいのが書きあがったので投下します。
・11レス使用予定。
・原作 7巻のネタをつなぎ合わせて構成してます。
・こなかがもので、かがみ視点になります。
・前、中、後篇に分かれてます。
・今回は前篇のみ投下します。
では、よろしくお願いします。
223:○かがみの気持ち と こなたの想い 前篇 1
12/02/09 11:37:47.39 /H6bvMnG
む―――。
お風呂上り。
私は目の前に佇む、約30センチ四方のとある器具を睨んでいた。
その器具は一般家庭だったらどこにでもある極々平凡な健康器具でありながら、見たくもない現実を直視させるという、
まったく、開発したやつを呪いたくなるような代物だ。
なんでこんな機械の数字1つで一喜一憂せなならんのだ・・・。
本っっっっっっ当に憎たらしい・・・。
などと、開発者が聞いたら「言いがかりも甚だしい」と怒り出しそうなことを考えていると、
背後に誰か人の動く気配を感じた。
しかし私が振り向こうとするよりも一瞬早く、その気配の主はおもむろに言葉を発した。
「かがみさぁ。普通に乗ってもゆっくり乗っても結果は変わんないよ?」
「ぎゃ――っ!!」
思わず叫び声をあげながら振り返ると、そこにはどこかで見たことのあるようなニマニマした顔で私を見つめる、まつりお姉ちゃんが立っていた。
「かがみはさー、口で言う程、危機感ないんじゃないのー?」
「えー。そっかなぁ」
いくら姉とは云え、年頃の風呂上りの妹の背後に立ち、挙句デリカシーもへったくれもない言葉を放ったことに対して文句を一通り言い終えた私は、
髪の毛をタオルで拭きながらそれでもあっけらかんと笑っている姉と会話を続けていた。
「やっぱ、そういうモチベーションを維持するにはアレだね。『恋』だネ!!
可愛くなりたいって気持ちが大事よ」
なんだろう・・・。この人に言われても、あんまり納得できない。
でも、それをそのまま言うのは人として憚られるから、当たり障りなく返答しよう。
「えー・・・。まぁ、わかる気もするけど・・・・・・。
じゃー、誰かいい人紹介してよ」
「こらこら。何を甘えているのかねキミは――」
お姉ちゃんは、ふぃーとため息をついて首を振る。
「大体、そんな人がいたら、まず私が狙ってるって。あんたにゃまわさないヨ?」
毎年クリスマスには家族全員がそろう我が家の現状を省みると、妙に説得力のある答えだった。
「そうね・・・・・・。そうだったわね・・・・・・」
かと言って、大学に入っても勉強三昧の自分の現状を振り返ってみても、これと言って特に出会いがあるわけでもない。
私の日常は大学と家の往復を繰り返しているのみだ。
224:○かがみの気持ち と こなたの想い 前篇 2
12/02/09 11:39:34.59 /H6bvMnG
はぁ・・・。こんなんじゃ、私もお姉ちゃんと同じ末路を辿るのかなぁ・・・。
一抹の不安と何とも言えない物悲しい気分に暗く落ち込んでいると、
そんな私を気にもしていないような明るい声でお姉ちゃんが口を開いた。
「ま、そうはいっても、あんたにはあんな可愛い彼女がいるんだし」
「はぁ?! だ、誰のことよ! っていうか、彼女って何!?」
私の驚きをよそに、お姉ちゃんは相変わらずニマニマ笑いながら私の肩を叩いた。
「ほら。あのちっちゃくて、よくあんたと遊んでいた子」
「こ、こなたのこと?」
「そうそう。高校の時、な~んかすごく仲良かったじゃない? あの子のためと思えば、ダイエットだって成功すると思うわよ」
お姉ちゃんの爆弾発言と、その突拍子もない発想に呆れながらも、私はつっこみをいれずにはいられなかった。
「な、何言ってんのよ!! こなたはただの友達じゃない!
つーか何で女の子なのよ!?」
「そう? 傍から見てるとそういう風に見えるけどな~。かがみってそっちなのかと思ってたけど?」
「ば、ばばばかなこと言わないでよ!! っていうか、妹がそんなだったら普通心配するもんでしょ!?」
「別に相手が女の子だっていいんじゃない? 私もここまでくると女の子でもいいかとおも」
「おいっ!! そんなんで方向転換すんな!!」
ムキになって言い返していると、お姉ちゃんはさも愉快そうに笑い出した。
「あははははは。冗談よ。冗談。ま、かがみはそこまで太ってないんだし、気にしなくても良いと思うけどね?」
お姉ちゃんは無責任なことを言うだけ言うと、ケタケタと笑いながら2階に上がっていった。
・・・・・・。あれでも私の姉なのか?
そんな姉を見送った私は洗面所に行き、タオルであらかた乾いた髪にドライヤーを当てながら、なんとなくその言葉を反芻する。
――ま、そうはいっても、あんたにはあんな可愛い彼女がいるんだし。
ったく・・・。なんで私がこなたのためにダイエットしなくちゃならないのよ・・・。
そりゃあ、こなたとは仲良かったけどさ・・・。
・・・・・・・・・。
「こなたが・・・彼女・・・・・・か・・・」
何気なくそう呟くと、突然脳裏に制服姿のこなたが浮かんだ。
こなたは少し照れたような顔で私を見つめ、幸せそうに笑いかける。
その笑顔は私の胸の鼓動をゆっくりと強め、それに合わせるかのように忘れていた何かを思い出させていった。
225:○かがみの気持ち と こなたの想い 前篇 3
12/02/09 11:41:19.58 /H6bvMnG
へ? な、なんで・・・。
予想もしなかった自分の反応に戸惑いながら鏡を見返すと、なぜか私の顔は真っ赤に色づいていた。
ちょ! な、何で私、こんな顔・・・・・・。
ち、ちがうって!! そんな風にこなたのこと見たことなんてないし!
あ! き、きっとお姉ちゃんが変なこと言うからよね! うん! きっとそうよ!!
無理やりに自分を納得させると、私はそそくさと自分の部屋に戻った。
でも、ベッドに横になっても頭に浮かぶのはこなたのことばかり。
その所為で、否応無しに私の意識は高校時代に向けられていった。
お姉ちゃんの言う通り、高校の時に1番仲が良かったのはこなただ。
それは断言できる。
人の気にしているところをズバズバ言って、しかもいたずらばっかりしてきて。
でも、私からの思わぬ反撃にたじろいだり、普段とは想像もつかないような可愛い顔で照れたり。
小学校、中学校と思い返しても、こなたとの関係が今までで1番近かったと思う。
こなたがどう思っていたかはわからないけれども、それは世間一般的に見れば、『親友』と呼べるような間柄なんだろう。
それに異論はない。
・・・でも・・・・・・。
私の中に、『親友』という言葉だけでは割り切れない、何か特別な気持ちがあったのも否定できない。
それがこなたを拒否するような感情でないことだけはわかっていたけれども、その感情に何て名前をつけたら良いのか、
結局高校を卒業しても、そして今になっても私にはわからなかった。
・・・・・・・・・・・・。
いや・・・本当はわかっていた・・・。
ただ、「それ」を認識できるきっかけも口に出す勇気もなかっただけで・・・。
言い訳かもしれないけれど、今の自分にはそう思える。
だけど、それを伝えることも改めて認識するのも今更な気がする。
それにこなたにそれを伝えることを考えただけで顔が高潮していくのを感じる一方、
なぜか言いようのない不安が私の心を満たしていく。
そして、それがこなたに拒否されたときのことを想像してのことなのは、自分でも良く分かっていた。
だからこそ、私は自分の気持ちに気づかない振りをしてきたんだ・・・。
そんな危険を冒すくらいなら、今までの関係を・・・。
『親友』の関係を続けて行くことを選んだんじゃない・・・。
いつの間にかそうやって自分を納得させていたはずなのに、今更になってその感情は私の元に舞い戻り、
まるで出口の見えない迷路に陥ったようにグルグルと同じところを回り続けていた。
考えても答えはでないはずなのに、その思考を止められない私には、この日いつまで経っても睡魔は近づいてこなかった。
226:○かがみの気持ち と こなたの想い 前篇 4
12/02/09 11:42:36.22 /H6bvMnG
あくる日、私は久しぶりにかつてのクラスメイト、日下部に電話をした。
なんで直接こなたに電話しなかったのかって?
それは、たまたま目についた番号が日下部だっただけで・・・。
べ、別に久しぶりに電話するのが恥ずかしかったとか、お姉ちゃんに言われて意識しちゃってたとか、そんなんじゃないんだからね!!
「おーす、日下部。久し振りー」
「おう、ひぃらぎ。調子どう?」
高校の時と変わらない元気そうな声が聞こえ、昨晩から続く重苦しい気持ちが少しだけ和らいだ。
「んー。こっちはぼちぼち。そっちは?」
「こっちもまーまーかなー? ちびっ子もいるし」
やっぱりこなたと一緒にいるんだ・・・。
・・・・・・当然ちゃ、当然か。同じ大学行ってんだもんね・・・。
少しだけ胸がチクリと痛んだ。
でも、楽しそうに話す日下部の声にすぐに意識は受話器の向こうに戻される。
「ひぃらぎもあやのもいねーから、いろいろ面倒っちーけど。レポートとかな~」
「それが普通だっつーの!! でも、その感じだと何とかやってるみたいね」
「まーなー。わたしなりにちゃんとやってるよー」
日下部の楽しそうな話に、一人置き去りにされたような孤独感と胸を締め付けられるような思いがした。
私と比べるとなんだか楽しそう・・・。
・・・・・・自分で選んだ道なのに・・・ちょっと寂しい・・・。
「とりあえず、ちびっことジャンケンして負けた方がやってくることにしてんだ~」
「全っ然ちゃんとやってねーな。お前等どれだけダラけてんだ」
だけど、高校の時と変わらずダラけた2人の様子につっこみを入れるだけでまるで私も高校の時に戻ったような気持ちになり、
それはそれで少しだけ嬉しかった。
「そういえばこなたも元気なの?」
「まぁ、そこそこじゃん? ん? ひぃらぎは連絡とってねーの?」
「え? あ、ま、まぁ・・・わ、私も忙しいから」
「へぇ~。高校の時はあんなに仲良かったのに珍しいな。
っていうか、ひぃらぎから連絡したらいいじゃん? ちびっ子も喜ぶと思うよ」
「な、何でよ?」
「いやー、最近ちょっと寂しそうにしてるしさ」
「え? こなたが?」
「うん。なーんか、元気ねーっていうか・・・。
話しかけても上の空っていうか・・・」
「そうなんだ・・・」
「そうだ。今度、久しぶりにみんなで会わねーか?」
「そうね・・・。今はちょっと忙しいんだけど、時間が空いたらまた連絡するわ」
「わかった。んじゃ、またな~」
227:○かがみの気持ち と こなたの想い 前篇 5
12/02/09 11:44:20.86 /H6bvMnG
電話を切り、そのままベッドに横になる。
こなた・・・なんで元気ないんだろ・・・。
日下部とは仲良くやってるみたいだけど・・・。
なんかあったのかなぁ・・・。
こなたとは春休み中は頻繁に連絡をとったり遊んだりしていたものの、実際に大学が始まると、
講義の複雑さや予習復習の大変さからいつしか疎遠になっていた。
心配ならばすぐにでもこなたに電話すれば良いことなのに、私は携帯に表示されたこなたの番号を見つめたまま、
その指を動かすことができなかった。
「お姉ちゃ~ん。いる~?」
その時、不意につかさの声が聞こえると同時にドアが開けられた。
私はなぜか咄嗟に携帯を枕の下に隠す。
「あ、電話中だった?」
「え? う、ううん。もう終わったから大丈夫よ。ど、どうしたの?」
「この前お姉ちゃんが教えてくれた本貸してくれる?」
「あ、ああ、あれね。そこに置いてあるから持ってっていいわよ」
「ありがと~」
とその時、つかさの携帯から音楽が流れる。
「あれ? えーと・・・あ、田村さんからだ。もしも~し」
いつものようにおっとりとした口調で電話に出たつかさは、ひとしきり挨拶を交わすと、
突然飛び上がらんばかりに大声を上げた。
「ええ!? お姉ちゃんに? すごいなぁ・・・・・・」
「な、なによ?」
そのただならぬ様子に思わずつかさの肩を叩くと、つかさは電話口を抑えたまま、焦ったように早口で私に話しかけた。
「お姉ちゃん宛のラブレターがあったんだって!」
「・・・・・・へ?」
何の脈絡も無いつかさの言葉に、私の頭の上にはクエスチョンマークがいくつも浮かぶ。
それに気付いたのかつかさは一息つくと、もう一度説明をした。
「だから、お姉ちゃんの使ってた机の中に入ってたラブレターを、田村さんの先輩が見つけたんだってさ」
「え? ラブ・・・・・・・・・って、えええぇぇぇぇぇぇ!!」
「!? ひ、ひぇぇぇ!」
想像もしていなかった事実に思わず大声をあげると、その声に驚いたつかさの指がスピーカーのボタンを押したらしく、
携帯からは田村さんの声が聞こえてきた。
228:○かがみの気持ち と こなたの想い 前篇 6
12/02/09 11:46:06.00 /H6bvMnG
「お届けにあがるか、泉先輩にお願いしようかと・・・・・・」
それを聞いた瞬間、私はほぼ反射的につかさの携帯を取り上げ、
「小早川さん経由で・・・」と言っている田村さんの言葉を遮った。
「あー、もしもし田村さん? あいつには教えちゃ駄目よ?」
いたって普段通りに言ったつもりだったけれど、田村さんはなぜか理由も聞かずに、怯えたように即答した。
「りょ、了解っス」
申し訳ないんだけど家までもってきてもらいたいと丁寧にお願いすると、
田村さんは今にも泣きそうな声で了承して電話を切った。
電話を返そうと振り向くと、つかさは目をキラキラさせて私を見つめていた。
「お姉ちゃん、すごいねぇ~」
「で、でも、高校の時でしょ? い、今更な感じよね」
「え~。そんなことないよ。もしかしたら、そこから出会いがあるかも~」
「はは・・・。流石にもう時効でしょ?」
内心ドキドキしながらも、私はそれを悟られないように軽口を叩きベッドに座り直した。
「この話したら、きっとこなちゃんもびっくりするだろうなぁ~」
そう言われた瞬間、胸の奥の方で何かがざわめいた。
「え・・・? な・・・何で・・・?」
突然襲ったその感覚に戸惑っている私に気付かず、つかさはあくまでも無邪気な笑顔のまま言葉を続けた。
「え~? だって、こなちゃんこういう話好きだったし、きっとすごく驚くと思うよ」
その時、心臓が思い切り締め付けられた。
私はまるでその力に絞り出されるように言葉を吐く。
「だ・・・・・・だ、だめよ! 絶対こなたには言っちゃだめだからね!!」
「え? な、なんで?」
つかさは私の剣幕をきょとんとした表情で返し、首を少しだけ傾けた。
その反応に我に返った私は、しどろもどろになりながら言葉を繋ぐ。
「へ? え・・・えっと・・・その・・・・・・。 だ、だって、こ、こなたがこのこと知ったら、絶対冷やかしにくるでしょ?」
「そ、そうかも・・・」
「ね? それに、今更高校の時のことなんて、恥ずかしくてこなたには知られたくないし」
「そ、そっか~・・・」
「だから・・・その、こなたには黙っていて欲しいんだ・・・」
「う、うん・・・わかった。お姉ちゃんがそう言うなら・・・」
「ありがと、つかさ」
229:○かがみの気持ち と こなたの想い 前篇 7
12/02/09 11:48:46.13 /H6bvMnG
私の説得につかさは納得しつつも、「でも、すごいなぁ~」と言い、楽しげな表情であれこれ想像を巡らしているようだった。
そんなつかさの顔を横目で見ながら、内心ホッと胸を撫で下ろす。
でもそれは、こなたに冷やかされることを避けられたからではない。
本当はそれをきっかけにこなたと恋愛の話になることを避けたかっただけ。
きっとそうなったら、一旦納得させたこなたへの気持ちがもう一度私を苦しめるだろうし、それにもしかしたら、こなたが私以外の誰かに特別な感情を持つようになったことを知ることになるかもしれない。
そんなことはこなたの自由だといくら頭ではわかっていても、それでも私はそれを聞くのが怖かった。
そしてそれを知った時、きっと自分にとって大切なものを永遠に失ってしまう・・・。
そんな薄暗い恐怖を感じている私とは対称的に、つかさは相変わらず遠くを見つめながら微笑んでいた。
後日――
「お姉ちゃん。今日田村さんから預かっておいたよ~」
「お、おお~。さんきゅっ」
こなたへの気持ちはさておき、それでもラブレターをもらうことは内心嬉しかった。
気恥かしく思いながらも、一体どんなことが書かれているんだろうかと期待に胸を膨らませて手を伸ばすと、
どこからともなくつつつと二人の姉が現れた。
「かがみさんっ、3年間、ずっとアナタのコトを見ていました!!」
「言葉にできなかった想いを手紙に認めます」
・・・・・・・・・・・・。
「アレらはこなたと同類でしょーがぁ・・・・・・」
「な、何か、持ってるとそわそわしちゃって・・・・・・っ」
ニマニマした顔で「早く開けよーよーっ」と言っている姉二人を無視し、私は部屋に入って1人封を開いた。
――拝啓 柊かがみ様へ
突然の手紙で申し訳ありません。
面と向かってはお話しづらいことでしたので、先に手紙にて失礼します。
私は3年間、ずっとあなただけを見てきました。
あなたの何事にも真面目に取り組まれる姿勢を見て、私自身大きな影響を受け、少しでもあなたのようになりたいと思っていました。
そして、周囲に対する細やかな気遣いや優しさが、尚一層あなたへの気持ちを強くさせました。
私には勇気がなく、このような機会でしか気持ちをお伝えすることができませんでしたが、もしご迷惑でなければ直接お伝えしたいことがありますので、卒業式の後屋上にきていただければと思います。
ではまた。
230:○かがみの気持ち と こなたの想い 前篇 8
12/02/09 11:51:46.25 /H6bvMnG
・・・・・・・・・。
・・・うん・・・。
・・・その・・・。
・・・えーと・・・。
始まりはお姉ちゃんたちが言ったことと同じで・・・って、あいつら読んだんじゃないだろうな?
ま、まぁ、ここまで私のことを想ってくれた人がいたっていうのは悪い気はしないわね・・・というか、正直嬉しい・・・。
はぁ・・・何で気がつかなかったのかなぁ・・・。
実際、卒業式の時にこの手紙に気がついて屋上に行っていたとしても、私はその人と付き合うという判断はしなかったと思う。
でも、ここまで私のことを想ってくれていたのなら、どんな人だったのか知りたい気持ちもあった。
だけど手紙には差出人の名前もなく、今となってはその事実も確かめようが無い。
ただ、それでも後悔する気持ちは少なく、頭の片隅ではこなたの顔がちらついていた。
手紙って言えばあいつ・・・ふふ。
エイプリルフールの時に偽物の手紙書いて呼び出されたっけな。
あの時もドキドキして待ってて・・・。
だけどなかなか来なくて・・・。
諦めかけた時にこなたが来て・・・。
そう・・・。
一瞬だけ、こなたが手紙の送り主かと思ったけど・・・。
結局いたずらだったんだよな・・・。
その時何とか気持ちは抑えたけど、でも帰ってからずっと泣いてて・・・。
あまりにも残酷だって思ったけど・・・。
でも、やっぱりこなたとの関係は崩せなかった・・・。
・・・・・・・・・・・・。
「・・・・・・こなたのバカ・・・私の気も知らないでさ・・・」
1人そう呟くと、私は手紙を抱えたままベッドに寝転んだ。
天井を見上げるその先にはこなたの顔が浮かんでいる。
はぁ・・・。
これがこなたからの手紙だったら良かったのにな・・・。
それもいたずらじゃなくって、本当の・・・・・・。
そう考えた途端、顔が思いきり熱くなり、胸元に置いた手にまで心音が伝わってきた。
その感情に身もだえるようにベッドをコロコロ転がりながらも、不思議と心は満たされていた。
231:○かがみの気持ち と こなたの想い 前篇 9
12/02/09 11:54:32.59 /H6bvMnG
変に怖がってないで、電話しちゃおっかな・・・。
でも・・・余計なこと言っちゃったらまずいし・・・。
それにこなたの恋愛の話になっちゃったらやだし・・・。
なんてウジウジ考えながら携帯を見つめたまま、時間だけが過ぎていく。
う~・・・。だけど、もうダメ!
このままこなたの声聞かないと妄想ばっかり膨らんじゃうわ。
よしっ! 大丈夫!
こなたとは友達よ。友達。友達なのよ。
・・・・・・・・・・・・。
はぁ・・・・・・。
自分で言ったセリフに軽く落ち込みながらもようやく決心した私は、微かに震える指で発信ボタンを押した。
コール音が聞こえるたびに今にも切ってしまいたい衝動を我慢しながら待つと、
携帯の向こうから高校時代に散々聞かされた気の抜けたような声が聞こえた。
「やふ~、かがみん。久しぶりだね」
「うん。元気だった?」
「ま、ぼちぼちだよ」
あれだけ緊張していたのに、そんな他愛もない挨拶から始まる。
かなり久しぶりの電話なのに、お互いまるでつい最近まで話していたような口調。
なんか懐かしいようで、でも日常のようで。
私はこの時間がいつも好きだった。
そして、またこの時間を味わうことができてすごく嬉しかった。
「いや~。かがみも忙しいみたいだね」
「まぁね~。ところであんたはいっつも遊んでんじゃないの?」
「むぅ~。そんなことないよ。これでも結構忙しいんだよ」
「ほぅ。何がそんなに忙しいのよ?」
「ほら、バイトと講義とレポートと」
「ふぅ~ん。日下部と交代でレポート書いてるのに?」
「うぉぅっ!! な、なぜそれを・・・」
「ちっちっちっ。私の情報網を甘く見ないでもらいたいわね」
「ま、どうせみさきちが言ったんだろうけど」
「って、もう少し食いつけよ!!」
さっきまで感じていた不安はどこかに消えてしまい、私は高校の時と同じ『親友』として話していた。
それは私にとって辛い選択であると同時に、何ものにも代えがたい大切なものを守るために必要な選択だった。
私はこの時間を、この感覚を守りたかった・・・。
私は胸にチクチクと刺すような痛みを感じながらも、こなたといる瞬間がいかに安心できて、
いかに大切な時間だったのかを再確認していた。
232:○かがみの気持ち と こなたの想い 前篇 10
12/02/09 11:58:47.14 /H6bvMnG
「あはは・・・。ところでかがみ。今日はずいぶん上機嫌だね~」
んなっ! ななな、なんで? そ、そんなにテンション上がってた!?
「さては、大学いって春でもきたかナ~?」
「や!! いやいやいやいや。そんなワケないでしょ!!」
こなたと話せて嬉しかったからなんて絶対言えないよね・・・。
と、内心落ち込みながらも、それを気取らないように私は平静を装う。
「あー。春といえばさ。卒業式の時、悪戯で偽ラブレターを机に入れといたのに、
かがみ気付かずに帰っちゃうんだもんな~っ。つまんないのー」
え―――。
その時、一瞬にして思考が停止し、目の前が真っ暗になった。
「あれ? もしもし、かがみ?」
私を呼ぶこなたの声がひどく遠くから聞こえる。
まるで、自分だけがこの世界に取り残されたような感覚。
同時に、私が必死に守ろうとしてきたものがガラガラと音を立てて崩れていくような気がした。
「どうしたの? かがみ?」
心配そうに少し強めのトーンで聞き返すこなたの声に、ようやく現実に引き戻される。
「・・・え? ・・・あ・・・な、なんでもないわ・・・」
何とか言葉を繋いだけれど、身体は小刻みに震え、携帯を持つ手にはじんわりと汗が浮いた。
でも、そんな様子を見ることもできないこなたは不信そうな声は出すものの、そのまま話を進めていった。
「そう? あ、そうだ。久しぶりに今度遊ばない?」
「ん・・・うん・・・。いいわよ」
「? 何かあった?」
「あ、い、いや。何でもないわ」
「んじゃ、また連絡するね~」
「う・・・うん・・・」
こなたが電話を切ると携帯からは無機質な音が繰り返された。
まるでその音に誘われるかのように、逃れようの無い現実が私の中に流れ込んでくる。
233:○かがみの気持ち と こなたの想い 前篇 11
12/02/09 12:01:25.63 /H6bvMnG
確かにこなたは友達だった。
それは紛れもない現実。
そして、・・・私の選んだ現実・・・。
「もう・・・。こなたのいたずらなんて、いつものことじゃない・・・。
何をそんなに落ち込んでるのよ・・・」
その現実は私にとってあまりにも辛い。
「それに・・・・・・私の気持ちだって、私が勝手に想ってるだけなんだし・・・。
そんなの・・・こなたには関係ないわけだし・・・・・・」
それでも私は必死でその現実を守ろうとしている。
自分を納得させる事で・・・・・・。
でも・・・・・・・・・。
本当は少しだけ期待していた・・・。
100%じゃなくてもいい。
たとえこの手紙の100分の1くらいでもいいから、私のことを想ってくれてたらなって・・・。
「・・・・・・ほんと・・・」
でも、そんな幻想は木っ端みじんに砕かれた。
騙されたことへの傷つきなんて微塵も感じない。
そんなことよりも、この手紙みたいに私のことを想ってくれるこなたはこの現実にはいないんだってわかったことのほうが、その何倍も辛かった。
「・・・・・・バカみたい・・・」
だけど、頭でいくら納得しようとしても心は悲鳴をあげている。
その声にならない悲鳴は涙となって両眼から溢れ、パタパタと音を立てて絨毯を濡らしていった。
「・・・ひぐっ・・・・・・こなた・・・」
私は目の前に佇む制服姿のこなたに呼びかける。
それが現実のこなたではないことはわかっている。
だけど今にも心が折れてしまいそうな私は、それでも尚それにすがらずにはいられなかった。
「私・・・・・・ぐすっ・・・こんなにも・・・こんなにも辛いんだよ?
・・・こんなにも・・・苦しいんだよ?
・・・わ、私・・・うぅ・・・・・・どうしたら・・・いいの・・・・・・?」
でもこなたは何も言わず、ひどく傷ついている私に、ただ柔らかな笑顔を向けているだけだった・・・。
続
234:松
12/02/09 12:03:45.92 /H6bvMnG
以上になります。
続きは近日中にまた投下したいと思います。
ではでは。
235:名無しさん@ピンキー
12/02/09 16:01:05.37 ZVKIup/M
>>234
FY!
こなかが厨刺ね
236:名無しさん@ピンキー
12/02/09 16:50:27.22 Ye/9m80T
>>234
おお、久々の投稿!
後編期待してます!
237:名無しさん@ピンキー
12/02/09 20:46:12.73 pIzM3J3S
>>234
GJでした
238:名無しさん@ピンキー
12/02/12 21:19:23.51 zC/mjalg
準備されている方がいなければ投下します。
239:松
12/02/12 21:21:34.74 zC/mjalg
コメントありがとうございます。
先日の続きの中篇を投下します。
以下注意書きを。
・8レス使用予定。
・原作 7巻のネタをつなぎ合わせて構成してます。
・こなかがもので、かがみ視点になります。
・前、中、後篇に分かれてます。
・今回は中篇のみ投下します。
240:○かがみの気持ち と こなたの想い 中篇 1
12/02/12 21:23:54.84 zC/mjalg
前回の電話の後、こなたから電話が来ることはなかった。
こなたがすぐに連絡をしてくることがないのはいつものことだけれども、今回はこちらから連絡することもなく、
私はいつもと同じ日常を過ごしていた。
あれだけ衝撃的な出来事があったのだからこなたを避ける気持ちがあっても当然だ。
・・・というのは建前で、結局私はこなたへの気持ちに向き合うことも、それを伝えることも避けただけ。
こなたから連絡が来なければ・・・。
私からも連絡をしなければ・・・。
その分だけ気持ちを整理する時間がとれる。
時間がすべてを解決してくれる。
そう。つまり私は一番消極的で受動的な方法を選んだだけ。
「・・・我ながら優柔不断よね・・・・・・」
この日は一日休校で、私は午前中から先日の講義の復習をしていた。
一区切りつき時計を見ると、針はもうすぐ12時を指そうとしている。
1階からは、同じく学校が休みのつかさがお昼を作り始めた音が聞こえてきた。
私は傍らにペンを置くと、机の端に置いた写真立てを見つめた。
こなたに腕を組まれ困ったような顔をした私とは対照的に、こなたは笑顔でこちらを向いている。
高校の時、戯れに撮った一枚の写真。
それを見るたび私は、この自分の性格を恨む。
いくらこなたが近づいてきても、私は裏腹な態度しかとれない。
私はいつも素直になれない。
そして・・・。
大学生になってもそれは何一つ変わっていない。
どうしてこんな性格になったのか。
元々そういう性格なのか。
今まで散々悩み、そして今もその答えは見つからない。
でも、きっとそれが私なんだ・・・。
最終的な結論はいつもそこに行きつく。
そう思うことで自分を納得させざるを得ない。
これが幾度となく繰り返してきたパターン。
これ以上無理をしたって結末は変わらない。
だったら安全な道を選んだほうがましだ。
傷つきながらもそうやって生きていくことが、私にとってもこなたにとっても幸せなんだ。
私は自分の身に住まうこなたへの想いを、そう考えることでずっと抑え込んできた。
241:○かがみの気持ち と こなたの想い 中篇 2
12/02/12 21:25:21.66 zC/mjalg
「あれから1週間か・・・・・・」
でも、そんなことを考えながら結局こなたを想う気持ちは諦められない。
だからこそこうやって写真を見つめ、この前の電話を思い出しながら携帯をいじっているんだろう。
「・・・なんで私って・・・こんなにわかりづらいのかなぁ・・・」
そして私はこなたからの電話を待っている。
もし電話が来れば、きっとこの前のことを思い出して苦しくなる。
だけどその代わり、そんな辛さを忘れてしまうくらい楽しいこなたとの時間を過ごすことができる。
つまるところ私はその二つを天秤にかけ、安全牌を選んでいるだけ。
前進もしなければ後退もしない。
そんな中途半端なことを繰り返していく。
「結局の所、こなたと離れるのが嫌なだけなんだよな・・・」
あれだけ傷ついてきたくせに、それでも本心を隠してこなたと一緒にいようとする自分が本当に嫌になる。
こんな意気地なしの自分が・・・。
「・・・はぁ・・・・・・」
重苦しい気持ちを吐き出し、もう一度携帯を見つめた瞬間、何の前触れもなく突然携帯が鳴り出した。
「・・・え? あっ、ちょ!」
普段とは違う着信音。
高校の時は頻繁に聞き、最近はまったく聞いていなかったその曲。
それはこなた専用に設定していた、当時私が一番好きだった曲。
携帯はまるで私を追い立てるかのようにその音楽を奏で続けた。
「う、うそ・・・どうしよ・・・」
まったく気持ちの準備もしていない。
何を言うかも考えていない。
それに、前回のことだってある・・・。
「でも・・・出ないと変に思われちゃうかもしれないし・・・・・・」
だけど本当は嬉しかった。
あんなこと言われても。
あの手紙みたいにこなたが僅かでも私のことを想っていなくても。
それでもこなたが私に電話をしてくれたのは嬉しかった。
僅かな逡巡の後、私は意を決して通話ボタンを押した。
242:○かがみの気持ち と こなたの想い 中篇 3
12/02/12 21:27:58.96 zC/mjalg
「も、もしもし? いきなり何よ?」
よし。多少声は裏返ったけれど、いつもと同じ滑り出し。
「やあやあかがみん。元気だったカナ?」
こなたはマイペースに返事をする。
これもいつもと同じ。
「ま、まぁ、相変わらずよ」
「ふ~ん。てっきり電話がなくて寂しがってたかと思ったんだけど」
こなたにとっては挨拶代わりのいつもの冗談。
だけど本心を見透かされたような台詞に内心ドキリとする。
「ふ、ふぇ? な、なに言ってんのよ!」
こなたは私の言葉にはまったく反応せず、いつもと同じ態度を崩さない。
それどころか電話口からは嬉しそうな声が聞こえてくる。
「あはは。相変わらずかがみはかわゆすなぁ」
「バ、バカ言ってんじゃないわよ!」
冗談だってことはわかってるはずなのに、私の心臓は早鐘のように鳴り響く。
さっきまでの重い不安は消え、逆に妙な高揚感が訪れる。
私ってなんでこんなに単純なんだろ・・・。
自分でもバカだなと思いながらも、どうしても口元は緩んでしまう。
「つーかさ、いきなりどうしたのよ?」
こなたのペースから逃れるように質問する。
これも長年培ってきた対応方法だ。
すると、こなたはさっきよりも少しだけ声のトーンを上げて話し始めた。
「んー? ちょっと、かがみに聞きたいことがあってさぁ」
「な、何よ?」
「ところで、今って家にいるの?」
「え? あ、そ、そうだけど・・・」
「そっか」
「って、意味わかんないんだけど! いったい、何なのよ?」
私の言葉を聞いたこなたは、一呼吸置いてさらに嬉しそうな声で囁いた。
243:○かがみの気持ち と こなたの想い 中篇 4
12/02/12 21:29:48.53 zC/mjalg
「届いてたんだって?」
「はぁ? 何がよ?」
「て・が・み」
その瞬間、それまで激しく動いていた心臓が動きを止めた。
「え・・・・・・?」
そしてわかってしまった。
こなたが何のために電話をし、これから何を言わんとしているのか。
そして、それを聞くことが私にとってどんな意味を持つのか。
わかりたくもない結末が、私にはわかってしまった。
「まったく、届いてたんなら言ってよ~」
だけど、今更耳をふさぐことはできない。
「かがみはウソつくの下手なんだからさ~」
今更誤魔化すことも出来ない。
「ねぇねぇ、読んだ時どうだった? ちょっとは嬉しかった?」
今更・・・・・・・・・・・・どうしようもできない・・・。
「? どったの?」
受話器の向こうからは邪気の無いこなたの声が聞こえる。
だけど、それはもう私に安心を与えてはくれない。
私に高揚感を与えてもくれない。
むしろその声は、私が今まで閉じ込めてきた気持ちを、本心を、想いを・・・。
その全てを解き放とうとする。
そしてそれが、この仮初の現実を壊してしまうことはわかっていた。
だけど・・・・・・。
「・・・嬉しかったわよ・・・・・・」
私の口からでたのは、その結末を望む様な言葉だった。
「・・・嬉しかったに決まってんでしょ・・・。
3年間私のことだけ見ててくれた人がいたってわかったんだもん・・・。
あんなにも私のことを想ってくれてた人がいたんだもん・・・」
「・・・え?」
私の言葉に戸惑ったようなこなたの声が聞こえる。
でも、今まで抑えていたものがまるで堰を切ったように言葉は止まらない。
そして、言葉と同時に私の頬を熱いものが伝っていく。
244:○かがみの気持ち と こなたの想い 中篇 5
12/02/12 21:31:45.96 zC/mjalg
「それに気がつけなかったのも後悔した・・・。
どんな人か見てみたかった・・・」
「か・・・かがみ・・・?」
こなたが私の名前を呼ぶ。
でもその声は遠くか細い。
そんな声では止まらない。
「・・・・・・・・・・・・でも・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
携帯の向こうからは何も聞こえず、ただこなたの息を呑む気配だけが伝わってくる。
「・・・・・・でも・・・」
この時、私の意識は最後の抵抗を試みていた。
それを言ったら後戻りはできない。
現実が・・・。
私が守ろうとした現実が壊れてしまう・・・。
「でもっ!!」
だけどそんな抵抗も虚しく、まるで最悪の結末を知りながらも止めようの無い悪い夢を見ているような感覚で、私の口は独りでに動いた。
「それが・・・・・・あんただったらよかった・・・・・・」
「え・・・・・・?」
それ以上は何も言えなかった。
何も思いつかなかった。
受話器の向こうからは何も聞こず、ただこなたの気配だけが伝わってきた。
「・・・ごめん・・・。もう切るね・・・」
「あ! ちょ、かが」
無機質な電子音と共にこなたの言葉は途切れた。
そのまま携帯の電源を落としベッドに放り投げる。
「・・・・・・・・・・・・」
私は椅子に座ったまま、何も言わないその携帯を同じように無言で見つめた。
「・・・・・・・・・バカ・・・」
一言呟くと椅子を回し、私はもう一度机に向かった。
さらさらと音を立ててノートの上をペンが走る。
「バカよ・・・ほんとバカ・・・」
245:○かがみの気持ち と こなたの想い 中篇 6
12/02/12 21:33:34.51 zC/mjalg
ノートには、『バカ』という文字だけが繰り返し書かれていく。
「・・・何であんなこと言うのよ・・・」
その文字は、変わらずに流れ続ける涙によって滲んでしまっていた。
「我慢するって決めたのに・・・」
私はもう一度写真を見つめる。
笑顔のこなたと困った私。
私がずっと守ってきたこの現実は、今壊れてしまった。
私がずっと大切にしてきたものは、永遠に離れていってしまった。
「なんで・・・なんでなのよ・・・・・・ひっく・・・。
私はこなたと・・・うぅ・・・こなたと一緒にいたいだけだったのに・・・・・・」
ハラハラとこぼれ落ちる涙と共に、高校の時の場面が鮮明に蘇る。
チョココロネを頬張るこなた。
楽しそうに深夜アニメの話をするこなた。
宿題見せてと、甘えた顔で頼みに来るこなた。
そんな何気ない日常の記憶が私の脳裏を駆け巡る。
そのすべてが私に流れ込み、私の心を締め付ける。
「こなた・・・うぅぅ・・・苦しいよぉ・・・。
私・・・ふぇ・・・私・・・どうしたら・・・・・・」
私はこなたが好きだ。
誰よりもこなたが好きだ。
ずっと一緒にいたい。
片時も離れたくない。
伝えることも、はっきりと自覚することもなく、ずっと隠してきた私の本心。
「もう無理だよ・・・・・・。もう・・・隠せないよ・・・」
今更後悔しても始まらないほど遅すぎた結論。
すべてを後回しにしてきたツケ。
今の私の状態は何とでも表現の仕様がある。
でも、それを解決する手段は何もない。
私はただ打ちひしがれ、泣き、後悔し、自分を蔑むことしかできなかった。
だから私は泣いた。
泣くことしかできなかった。
まるで、3年間溜め続けたこなたへの想いを洗い流すかのように・・・。
246:○かがみの気持ち と こなたの想い 中篇 7
12/02/12 21:35:31.71 zC/mjalg
「あ、あの・・・お姉ちゃん・・・?」
「!?」
その時、背後から突然声が聞こえ驚いて振り向くと、そこにはつかさが呆然と立っていた。
「・・・・・・つ・・・・・・つか・・・さ?」
一瞬にして思考が止まる。
「うん・・・。呼んでも返事なかったから・・・心配になって・・・」
つかさはそう言って、ひどく心配そうな表情で私を見つめた。
「・・・泣いて・・・るの? だ、大丈夫? どこか痛いの?」
そして足早に私に近づくと、私の震える肩に手を置いた。
「つかさ・・・う・・ぐす・・うぇ・・・・・・つかさ~!!」
その瞬間、私はまるで弾かれたバネのような勢いでつかさに抱きついた。
「あっ! お、おねえちゃ・・・」
突然のことに戸惑っているつかさを気にかけている余裕もなく、私はそのまま全てを話した。
「・・・あ・・・あのラブレター・・・ひぅ・・・実は・・・こなたの・・・
ひぐっ・・・こなたの・・・いた・・・ずら・・・で」
そう・・・。
それは、いつものこなたのいたずらで・・・。
「で・・・でも・・・ひぐっ・・・ち、ちがうの・・・。
騙された・・・う・・・うぅぅ・・・せいじゃ・・・ない・・・の・・・」
私がこんなに哀しいのは・・・。
いたずらのせいじゃない・・・。
「・・・私・・・ひっく・・・私ね・・・。 高校の時から・・・ぐすっ・・・こなたのこと・・・」
ずっと・・・。
ずっとこなたのことが・・・。
247:○かがみの気持ち と こなたの想い 中篇 8
12/02/12 21:37:48.74 zC/mjalg
「・・・・・・・・・・・・好きだったの・・・」
今更こんなことを言ったって・・・
しかも本人のいないところで言ったって・・・。
もう、どうにもならないことなのに。
わかっていても言葉は止まらなかった。
今まで溜めこんでいたものを吐きだしたかった。
そんなエゴで凝り固まった独白を、つかさは何も言わずに私の頭を撫でながら優しく話を聞いてくれた。
その優しさが嬉しくて、でもこなたに優しくできなかった自分が悔しくて、涙は止まることなく流れ続けた。
「お姉ちゃん・・・」
私の告白が途切れ部屋に沈黙が訪れると、つかさはゆっくりと口を開いた。
「今ね・・・。こなちゃんが来てるの・・・」
「・・・・・・え?」
驚いて顔を上げると、ドアの前にはこなたが立っていた。
しかも、なぜか高校の時の制服姿で・・・。
「う、うそ・・・」
さっきまで電話してたはずじゃ・・・・。
それに、なんで制服着て・・・・・・。
こなたは何も言わず、ひどく哀しそうな顔で私を見つめていた。
私の想像していたのと同じ姿で・・・。
私には目の前の光景が現実とは思えなかった。
そして、これが夢だったらどんなに良かっただろうと思った。
「かがみ・・・・・・」
でも目の前のこなたはいつも想像していた嬉しそうな表情とは裏腹で、それが紛れもない現実であることを証明していた。
現実のこなたは部屋に入り、そのまま少しずつゆっくりと私に近づいてくる。
でもその顔は辛そうで・・・。
苦しそうで・・・。
そして、泣きそうだった・・・。
続
248:松
12/02/12 21:39:35.92 zC/mjalg
以上になります。
次で最後になります。
また近日中に投下しますのでよろしくお願いします。
ではでは。
249:名無しさん@ピンキー
12/02/13 03:38:01.19 XHm7tMs8
>>248
乙です
次も楽しみにしてます
250:名無しさん@ピンキー
12/02/13 05:46:56.37 f65bGRM/
>>248
醜い。要りません。
251:名無しさん@ピンキー
12/02/13 22:04:28.71 0zp177Qb
>>248
期待してます!
252:名無しさん@ピンキー
12/02/14 04:46:05.24 ge7Fpd44
>>248
忌避してます!
253:名無しさん@ピンキー
12/02/14 23:43:41.60 87pWwuoi
>>248
続き、待ってます。
>>250
消えてください、お願い!!
254:名無しさん@ピンキー
12/02/15 23:02:48.17 xDtG1Pbp
>>248
要りません。
どうか来ないで!
255:名無しさん@ピンキー
12/02/16 00:06:25.40 ZPcLN+H1
別カプが好きなら作品書いて勝負せい 見苦しい
256:名無しさん@ピンキー
12/02/16 18:24:51.49 Ucmb72qU
>>255
激しく同意。
257:名無しさん@ピンキー
12/02/16 19:54:08.80 b53hHAtk
という風に話題そらしのいつもの手
258:名無しさん@ピンキー
12/02/16 21:52:40.25 Ucmb72qU
>>250
>>254
>>257
同一人物? 粘着ねばね~ばwww
259:名無しさん@ピンキー
12/02/16 22:33:02.94 U8lsFqt1
>>255
激しく同意。
260:名無しさん@ピンキー
12/02/16 23:25:26.29 y/KOeMV+
>>254
お前がこの世から出て行け
261:名無しさん@ピンキー
12/02/18 00:19:37.46 +epT84+7
保管庫見てたら
みなみんって
結構性的被虐キャラなんだなあ
262:名無しさん@ピンキー
12/02/18 00:44:03.49 HqusSjVb
相方のゆたかがドSにされる傾向があるからな
263:名無しさん@ピンキー
12/02/18 01:59:12.71 bmw3cDFP
準備されている方がいらっしゃらなければ投下したいと思います。
264:松
12/02/18 02:01:16.33 bmw3cDFP
色々とコメントありがとうございます。
後篇を投下します。
以下注意書きを。
・11レス使用予定。
・原作 7巻のネタをつなぎ合わせて構成してます。
・こなかがもので、かがみ視点になります。
265:○かがみの気持ち と こなたの想い 後篇 1
12/02/18 02:06:27.55 bmw3cDFP
「かがみ・・・ごめん・・・」
こなたは近づきながら声をかける。
その声を合図にしたようにつかさはスッと後ろに下がり、ハラハラした顔で私たちを見ていた。
「そんなに・・・かがみのこと傷つけてたんだなんて・・・」
その声は震えていた。
その双眸からは涙が流れていた。
「私・・・かがみの気持ち・・・知らなくて・・・。
こんな冗談・・・ひっく・・・最低・・・だよね・・・。
かがみのこと・・・いっぱい・・・ぐすっ・・・・・・いっぱい傷つけちゃったよね・・・」
目の前にまで来たこなたは、そう言って諸手を伸ばす。
その手は小さく震えながら、それでも優しく私を抱きしめようとしていた。
でも・・・・・・。
「・・・・・・え・・・?」
私は、反射的にその手を払っていた。
「か・・・かがみ?」
こなたの顔が驚愕に歪む。
「・・・・・・・・・どうせ・・・」
「え?」
「・・・・・・どうせまた嘘なんでしょ?」
私の言葉にこなたは目を見開き、慌ててもう一度手を伸ばした。
「!? そ、そんなこと・・・」
でも私は椅子から立ち上がり、その手を避ける様に後ろへ下がりながら、尚も言葉を続ける。
「そうやってまた私を騙すんでしょ?」
私から拒否されても尚、こなたは私の方へゆっくりと歩いてくる。
「ち、ちが・・・・・・」
今までの私なら、口では反発しながらもきっとその抱擁を受け入れていたのだろう。
そして、そんなこなたの悪戯もきっと許してしまっていたのだろう。
だからこそこなたは驚きながらも近づけるのだろう・・・。
だけど・・・・・・。
266:○かがみの気持ち と こなたの想い 後篇 2
12/02/18 02:08:10.85 bmw3cDFP
「もう・・・・・・来ないで・・・」
私の消えそうな声と明確に拒否した言葉はこなたの歩みを止めた。
こなたはまるで信じられない現実を目の当たりにしたように、私を呆然と見つめていた。
「そうよ・・。私は・・・・・・あんたのことが好きだった・・・。
いつも一緒に・・・いろんなとこに遊びに行って、買い物して、宿題して・・・」
私の脳裏にはその時の光景が鮮明な記憶として映っていた。
「私は・・・・・・・・・すごく幸せだった・・・」
そう、幸せ・・・・・・だった・・・。
「でも、そんなこと言えないじゃない・・・。
それに、あんたのこと・・・・・・好きだなんて・・・」
あの時そう言えていれば、きっとこんな結末にはならなかったのかもしれない。
もっと幸せな気持ちでいられたのかもしれない。
「ラブレターだって・・・・・・もらった時はすごくドキドキしたけど・・・。
でも・・・・・・本当はそれがあんたからだったらって思ってた・・・」
でも私はそれを選ばなかった。
ううん・・・選べなかった・・・。
こんなどうしようもない意気地なしの私には・・・。
「ふふ・・・。あんたの予想とは違うかもしれないけど・・・。
ドッキリ成功したわね・・・・・・」
この期に及んでまで、私は目の前の現実を信じたくなかった。
こなたが謝罪し、私に歩み寄ってくれているという現実を。
だって・・・。
それを信じてしまったら、『私を好きなこなた』は永遠にこの世界に存在しなくなってしまう。
私を気遣い、その心痛を汲み取ろうとするこなたは『親友のこなた』であって、『私を好きなこなた』ではない。
あれほど私を安心させてくれたこなたは、ただ俯いたまま微かに身体を震わせていた。
でも私はこなたに近づけない。
近づけばそこで現実を受け入れなくてはならない。
こなたは今や、その苦しい現実に向き合わせるだけの存在でしかなかった。
私は無言で佇むこなたの横をスッと抜け、ドアに向かって歩き出した。
私はただ逃げたかった。
この場にいることも。
こなたの答えを聞くことも。
でもその歩みは、私の左腕を掴むこなたの右手によって止められた。
267:○かがみの気持ち と こなたの想い 後篇 3
12/02/18 02:11:09.89 bmw3cDFP
「ま、待って・・・」
こなたが絞り出すような声を出し、今にも崩れ落ちそうな様子で私を見つめる。
その掌からこなたの体温が伝わってくる。
こんな状況なのにこなたに触れられて嬉しい。
でもその柔らかく優しい感触が苦しい。
嬉しいのに苦しくて仕方がない。
「は、離しなさい・・・」
その気持ちは一旦治まったはずの涙をもう一度呼び起こす。
「やだ・・・」
こなたは俯いたまま小さく声を漏らす。
「離してったら!」
私の胸は押し潰されるように息苦しい。
私はこなたの手を振りほどこうと乱暴に手を振る。
「やだ!! 絶対やだっ!!」
こなたは負けじと両手で私の腕を掴みその動きを止めようとする。
「だったら・・・・・・」
私はこなたに握られた腕をそのままに、
「だったら、なんで今更こんなことするのよ!!」
涙を流し続けるその瞳で、まっすぐにこなたを射るように見つめた。
「そ・・・それ・・・は・・・」
こなたは目を見開いたままその場で固まった。
その身体は小刻みに震え呼吸が荒くなっている。
「それは・・・・・・」
そして、ゆっくりとその口を開き、
「かがみのことが・・・・・・好きだから・・・」
―――え?
268:○かがみの気持ち と こなたの想い 後篇 4
12/02/18 02:14:02.34 bmw3cDFP
「私・・・本当にかがみのことが好き・・・。好きなんだ・・・。
だから・・・・・・」
目の前のこなたは、いつも眠たげだったあの瞳を涙で濡らしていた。
それはまるで宝石みたいに輝いていて、その滑らかな表面には私の顔が映っていた。
それまでかたくなだった私の気持ちがぐらりと揺れる。
こなたは私を好きだと言った。
こなたは私と同じ気持ちだった。
嬉しい・・・。
すごく嬉しい・・・。
――だけど。
それは本当?
目の前のこなたがウソを言ってるとは思えない。
こんなにも真剣な顔で。
こんなにも必死な声で。
でも・・・。
それでも信じられない。
好きなのに、目の前のこなたを信じられない。
信じたいのに、こなたの言葉を信じられない。
こんなのって・・・。
こんなのってないよ・・・。
まるで心が二つに引き裂かれたみたいに苦しい・・・。
「もう・・・・・・」
耐えきれなくなった苦しさは私の口を通して流れ出す。
「もうわかんない!」
――もう何も考えられない。
「あんたの言うことが本当かどうかなんてわからない!」
――本当のことなんてわからなくて良い。
「あんたのこと好きなのに・・・すごく好きなのに・・・・・・」
――真実なんて見えなくても良い。
269:○かがみの気持ち と こなたの想い 後篇 5
12/02/18 02:16:00.72 bmw3cDFP
「好きだって言えない!!」
そう言った瞬間、ふわりと優しい香りと共に私の唇に温かな感触が触れ、そこで言葉が止まった。
「え・・・・・・?」
気がつくと目の前には目を瞑ったこなたがいて、唇には柔らかな感触があった。
何が起こったのか理解する前に微かな余韻を残してこなたが離れた。
「な・・・・・・」
突然のことに二の句がつげない私をじっと見つめていたこなたは、やがて静かに口を開いた。
「ごめん・・・」
――その声は小さく震えていて。
「全部私の所為・・・」
――その顔は涙で濡れてくしゃくしゃになっていて。
「でも・・・」
――だけど涙はキラキラ輝いていて。
「・・・かがみが信じてくれるまでずっと言う・・・」
――その声は透き通っていて。
「私はかがみが好き・・・。世界中の誰よりも好き・・・・・・だから」
――そのすべてが綺麗だった。
「だから・・・・・・だから嫌いにならないで・・・。
う・・・う・・・は・・・離れ・・・ぐすっ・・・ないで・・・」
そう言ってこなたは、私にすがりついたまま泣き崩れた。
「もう・・・ひぐ・・・う・・・ウソ・・・つかないから・・・。
もう・・・誤魔化さない・・・だから・・・ひっく・・・。
いなく・・・ならないで・・・・・・かがみ・・・」
270:○かがみの気持ち と こなたの想い 後篇 6
12/02/18 02:18:15.08 bmw3cDFP
こなたはまるで独り言のように一人泣きながら言葉を続けた。
でもその言葉は私の中に染み込み、少しずつ形となっていく。
こなたは自分の気持ちに素直になれなかっただけ・・・。
だから悪戯したりウソついたり・・・。
でもそれって私だって同じ・・・。
素直になれなくて・・・。
気持ちを誤魔化して・・・。
そっか・・・。
私とこなたは同じだったんだ・・・。
私はそっと座ると、泣き続けるこなたの両肩に手を添えた。
「こなた・・・・・・」
瞬間、こなたの身体がビクッと震える。
私はそれでもしっかりと両手に力を入れ、こなたに語りかけた。
「・・・ごめん・・・」
「え・・・?」
こなたは驚いた表情で顔を上げる。
「・・・ごめんね・・・こなた・・・」
信じられないものを見たような顔でこなたが私を見つめる。
「な・・・なんで・・・? なんでかがみが謝るの?」
私はその顔を苦笑しながら見つめる。
「だって・・・私もあんたと一緒だったんだもん・・・」
「え?」
「自分の気持ちに素直になれなくて・・・誤魔化してばかりで・・・。
だから、あんたのこと怒れる立場じゃないのよ・・・」
「・・・かがみ・・・」
こなたは少し哀しそうな顔で私の名前を呼んだ。
「怒って・・・ないの?」
こなたの不安な気持ちが声を通して伝わってくる。
「うん・・・。今はね・・・。だって気がついたんだもん。あんたと私は同じだって」
「かがみ・・・・・・」
271:○かがみの気持ち と こなたの想い 後篇 7
12/02/18 02:20:28.90 bmw3cDFP
私はその不安を包み込むようにこなたを優しく抱きしめ、その耳元でそっと囁いた。
「こなた・・・私も好き・・・。世界で一番大好き・・・」
こなたは私の背中に手を回し、ぴったりと身体を寄せる。
「う・・・ひっく・・・かがみ・・・か・・・かがみぃ・・・」
そしてそのまま、まるで子どものように大きな声をあげて泣いた。
「こなた・・・ごめんね・・・ぐすっ・・・こなた・・・」
それに呼応するかのように私の瞳からも熱い涙が溢れ、私たちは抱き合ったまま互いに泣き続けた。
その涙が何なのか説明するのは難しい。
気持ちが通じ合えて嬉しかったからなのか、それとも今まで気持ちが言えなかったことへの後悔なのか、それともその両方なのか。
その涙に名前はつけられないけれど、きっとこなたも同じ気持ちなんだって思ったら、泣いているのになぜか嬉しくて、すっごく幸せだった。
「かがみ・・・これからも、ずっと一緒にいてくれる?」
こなたは顔を上げ、涙で真っ赤に腫らした瞳で私を見つめた。
「うん・・・。私も、これからずっと一緒にいたい。いい?」
きっと私も同じような眼をしているんだろう。
「うん!」
だけどいつもの笑顔でこなたが笑ってくれるとそんなことは全然気にならなくて、私はそれが嬉しくて一緒になって笑った。
ひとしきり笑い合った後、こなたは私の顔を見つめ、ゆっくりと口を開く。
「・・・かがみ・・・大好きだよ・・・」
優しげなその声は、私の気持ちまで優しくさせる。
「私も・・・。こなた・・・大好き・・・」
二人の距離が少しずつ近づき、その柔らかな唇が触れあう瞬間、背後で大きな物音がした。
「きゃあ!」
驚いて振り向くと、つかさが床につまずいて転んでいた。
無言でそれを見ていると、つかさはバツが悪そうに笑いながら振り向いた。
「え、えへへ・・・。あ、あの、お邪魔かなって思って・・・。
そ、その、静かに出ようと思ったんだけど・・・。
えと・・・その・・・・・・ご、ごゆっくり~!!」
つかさは何とも言えない台詞を残して物凄い勢いで階段を降りていった。
272:○かがみの気持ち と こなたの想い 後篇 8
12/02/18 02:22:18.72 bmw3cDFP
とまあ、何とも締りのない終わりを迎えてしまったのだけれど、つかさが去った後にもう一度きちんと話をして、
結果的にこなたと私はめでたく付き合うことになった。
その間何があったのかはご想像にお任せするわ。
あ、そうだ。
ちゃんと連絡しておかないとな。
こなたが帰宅し一応の落ち着きを取り戻した私は、携帯電話を取り出してある人物に電話をした。
「もしもし田村さん? 今日、こなたからすっごい上機嫌な電話がきてね?」
「い、いや!! これにはその・・・・・・深ぁ~~~いワケが・・・・・・」
なぜか田村さんは最初から謝罪モードだったけれど、私は構わずに感謝の言葉を伝えた。
「・・・・・・ありがと・・・」
「ほ、ほんっとーに、すみ・・・・・・へ?」
「え、えっと・・・その・・・た、田村さんのお陰で、うまくいったの」
「あえ? な、何がっスか?」
「あー、その・・・えーと・・・は、話すと長くなるから後で言う・・・っていうか、言えるのか、これ・・・」
「え? 言えないようなことなんスか?」
「い、いや! と、とにかく! 田村さんには感謝してるのよ。
後で必ずお礼に行くから」
「そ、そそそそそんな、お、お礼なんて・・・って、いわゆるあの特別な『お礼』とかじゃないっスよね?」
「特別? あー、わかった。そういうのが良いの?」
「い、いやいやいやいやいや! そ、そんな特別なのなんて大丈夫っスから!!
ま、間に合ってまス!!」
「そんな遠慮しなくていいのに。とりあえず、時間見つけて挨拶に行くから。じゃあね~」
電話を切る瞬間、なぜか田村さんの「いやぁぁぁぁぁ!! 逃げ」とかいう叫び声のようなのが聞こえたけれど何でだろう?
ま、手紙も持ってきてもらっちゃったし、どちらにしろお礼はしないとな。
でもどんなのだったら田村さんは喜ぶのかな?
ん~・・・・・・そうだ! こなたに聞けばわかるかも。
早速電話しようっと。
と、田村さんへのお礼を相談するためなのか、さっきまで一緒にいたのに寂しくなっちゃって声が聞きたくなったからなのかは不問にしていただいて、
私は携帯の通話履歴の一番上の番号に発信した。
今夜も電話が長くなりそうね。
273:○かがみの気持ち と こなたの想い 後篇 9
12/02/18 02:24:22.57 bmw3cDFP
とある休日の昼下がり――。
私は部屋で勉強をしている。
いつもと変わらない日常。
でも、1つだけ違うことがある。
「ねぇねぇ、かがみ。この本の続きってどこ~?」
「あ~、と、その棚に入ってない?」
「ん~? 見当たらないけど・・・」
「あれ~? おっかしいなぁ・・・。この前まで置いといたんだけど・・・」
そう。
私のベッドには、足をパタパタさせながらラノベを読むこなたがいる。
「むうぅ。続きが気になるんだよなぁ・・・」
「ちょっと待って。ベッドの脇に落ちたりしてないかしら・・・っと」
こなたを乗り越えるような形で、壁とベッドの間に手を入れると、その瞬間、不意に下からこなたに抱きしめられた。
「きゃっ!」
「『きゃっ』だって。案外かがみも女の子っぽい声だすんだねぇ~」
「い、いきなり何だよ! つーか、私は女だって!」
「いやぁ、かがみのいい匂いがしたら、ついムラムラっと・・・」
「って、お前はおっさんか!」
「まぁまぁ。よいではないか」
こなたはいつもの猫口でニマニマしながら私を見つめた。
「ま、まぁ、別にいいんだけどさ・・・」
「とか言って~。ホントは嬉しいんじゃないの~?」
「ぐっ・・・」
・・・この前素直になろうと決めたのに・・・。
こなたに図星をつかれたことに少しだけ悔しさを感じながらも、その温かな体温と柔らかな感触は私の心を満たしてくれた。
全身でこなたの存在を感じていると、その時、頭の中に1つの質問が思い浮かんだ。
「ねぇ。こなた?」
「うん?」
「私・・・もう少しやせた方がいいと思う?」
「へ? いつも思うけど、そんな気にすることないんじゃない?」
「でも気になっちゃって・・・こなたはさ、私にどうなってほしい?」
「え? う~ん・・・」
少しだけ考え込むように目を瞑ったこなたは、目を開けると私に笑いかけた。
274:○かがみの気持ち と こなたの想い 後篇 10
12/02/18 02:26:07.74 bmw3cDFP
「そのままで良いと思うよ。かがみ気持ちいいし」
そう言うとこなたは私を抱き寄せ、ぴったりと身体をくっつけた。
「あのさぁ・・・それって、太ってて気持ちがいいんじゃなくて?」
「ちっ、違うよ! そ、そういうんじゃなくて・・・」
こなたはしどろもどろになりながらも、頬を赤らめてゆっくりと口を開いた。
「・・・・・・その・・・私は、かがみがやせてても、太ってても気になんないよ。
ただ、かがみにくっついてると、すっごく安心するっていうか・・・・・・。
何か・・・離れたくなくなっちゃって・・・もっと一緒にいたくなっちゃうというか・・・」
こなたは耳まで赤くし、次第にその瞳も熱を帯びていく。
「・・・だから強いて言えば・・・・・・その・・・ずっと好きでいてほしい・・・・・・」
「 っ!? 」
こなたは不意打ちの一言で私の心臓を射抜くと、間髪入れずに第2撃を放った。
「ねぇ・・・? かがみは・・・私のこと・・・・・・好き?」
少しだけ瞳を潤ませ、こなたは私を見つめた。
そんな顔見たら、ウソなんてつけない。
つけるはずがない。
「・・・・・・・・・うん・・・・・・大好き・・・」
私はそう言ってこなたに笑いかける。
こなたも嬉しそうに微笑む。
その顔は、私がいつも思い描いていたものと同じだった。
でも今までとは違う。
そこにあるのは私の想像ではなく、紛れも無い『現実』のこなたの笑顔。
「かがみ・・・」
「こなた・・・」
私たちは互いの名前を呼び合い、徐々に近づいていく。
そのまま2人の唇が触れ・・・。
275:○かがみの気持ち と こなたの想い 後篇 11
12/02/18 02:28:21.54 bmw3cDFP
「お姉ちゃ~・・・あ、こなちゃんきてたんだ~」
その時突然ドアが開かれ、つかさが顔を覗かせた。
「「 のわぁぁぁぁぁ!! 」」
驚きのあまり2人同時に声をあげ、ベッドから転げ落ちんばかりの勢いで離れる。
「の、ののののの、ノックくらいしなさいよ!!」
「あっ! ご、ごめんなさい・・・」
思わず声を荒げると、つかさはしょんぼりと下を向いた。
「まぁまぁ。つかさも悪気があったわけじゃないんだし」
「そ、そりゃそうだけど・・・」
「ごめんね、お姉ちゃん。こなちゃん」
「大丈夫だよ、つかさ。それに、どうせこの前ちゅーしてるとこ見られてるし」
「おいっ! 少しは気にしろよ!」
「あ、そっか。今のはちゅーしようとしてたんだね?」
「だから、つかさも冷静に分析すんな!」
はぁ・・・・・・。
1人で突っ込むのは疲れる・・・。
「あ! つかさ。そういえば、この前、私の本持っていった?」
「え? あ、うん。部屋に置いてあるけど」
「こなたがそれ読みたいみたいなんだけど、返してもらってもいい?」
「うん。昨日読み終わって返すの忘れてたよ。今、持ってくるね~」
そう言って部屋を出ようとしたつかさは、もう一度部屋に顔を出した。
「あ、そうだ。さっきあやちゃん家でケーキ作ってきたんだ。
みんなで食べない?」
「おぉ~。さすがつかさ。かがみも休憩しておやつにしようよ」
「あ、う、うん。そうね」
「じゃあ、お茶の準備してくる・・・あれ? そういえばお姉ちゃんってダイエット中じゃなかったっけ?」
つかさの言葉に一瞬こなたと顔を見合わせる。
こなたも私の言わんとすることがわかったのか、すぐに笑顔になると頷いた。
私はその笑顔に勇気づけられるように、つかさに向かって言った。
「ダイエットはやめたの。私もちょうだい」
お姉ちゃんが言った通りにはならなかった。
きっと私のダイエットは成功しない。
だって私の大好きな人からお墨付きもらったからね。
ふふ。大好きよ、こなた。
了
276:松
12/02/18 02:30:38.98 bmw3cDFP
以上になります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
一応、こなた視点のものも書いてありますので、折を見て投下できればと思います。
お目に触れたときはよろしくお願いします。
ではでは。
277:名無しさん@ピンキー
12/02/18 10:02:11.85 G9+MWjBE
久々にストレートなこなかが、完走乙でした!
278:名無しさん@ピンキー
12/02/18 12:50:12.09 ItDtv5UK
乙でした。
久々のこなかが分、充電できました。
279:名無しさん@ピンキー
12/02/18 12:59:01.20 vxWdv01N
>>276
二度と来るなゴミ。
280:名無しさん@ピンキー
12/02/18 23:47:02.19 RVS/Pu3f
>>276
GJ!
いいお話でした
281:名無しさん@ピンキー
12/02/19 00:01:01.92 Yvi0Nj6U
>>279
だ~れにも相手にされてない件www
282:名無しさん@ピンキー
12/02/19 16:05:30.60 vystcTj8
ゴミなものでもいまは数が足りないんだし・・・
283:名無しさん@ピンキー
12/02/19 23:15:58.76 6eMsxqqx
>>276
素敵なお話をありがとうございました。
かがみの心情がストレートに伝わってきて清々しかったです。
284:名無しさん@ピンキー
12/02/20 20:56:13.44 YDZXsfvM
>>276
FY!
五年経ってもなお虐待を止めない
その腐り切った性根に弔意を表します。
285:名無しさん@ピンキー
12/02/25 23:38:59.69 4+Guvy6U
投下します。
注意事項が多めです…。
・話の主軸はみなみとゆたか
・恋愛要素は薄め
・みなみ達が1年生の頃の話
・直接的な性描写はなし
ただし、おもらしやおしっこ我慢などの少しマニアックな描写あり
・話が進むに従ってみなみが壊れ気味に…
・作中で3日間にわたる話で、今回は1日目のみ投下
286:みずたまりのほとり みなみ視点 1
12/02/25 23:42:14.94 4+Guvy6U
ゆたかの様子がおかしい。
すごく顔色が悪い。全身ががたがた震えてる。
具合が悪いなら保健室に行かなきゃ。
どうして黙って苦しんでるの、ゆたか…。
もしかして…具合が悪すぎて、人に知らせることさえできないの?
だとしたら、猶予はできない。
私は立ち上がった。
「先生…小早川さんの具合が悪そうです。保健室に連れて行きます」
先生はゆたかの様子を見てすぐに了承してくれた。
私はゆたかの所に行った。
「行こう。ゆたか」
ゆたかは首を振った。
「だめ…行けない…」
「無理しちゃだめ」
「だめなの…動けないの…」
「歩けないほど辛いの?だったら抱っこしてあげる…だからとにかく…」
私はゆたかを抱き抱えようとした。
「だめ…触らないで…」
私は構わずに動作を続けた。
「やめて!動いたら…!」
ゆたかの声に構わず、私の手がゆたかに触れた瞬間…。
「おしっこがぁ!」