11/07/31 22:07:21.13 6iRaIpBm
後日、村へ帰ったハンターは考えていた。
あの激昂したラージャンは、おそらく性的に興奮した個体だったのだろう。
私から出ている匂いに気付き、ああして生殖活動に入ったのではないだろうか。
そう、わたしはあの時、生理を前にした、繁殖に非常に適した時期だったのだ。
そんな私から発せられるフェロモンに、彼はああして反応したのだろう。
さらに彼女は考えていた。
この事実をハンターとして、ハンター協会や古龍観測所に報告すべきなのだ。
その凶暴性から、時に古龍よりも恐れられ、古龍すら生きる糧にするというラージャン。
彼の生態が明らかになれば、人々の危険は確実に減少するのだ。ハンターの本懐ではないか。
しかし。
彼女は、考えるまでもなく結論を出していた。
私が報告をすることで、彼も、私自身も徹底的に調べられるだろう。
それをすることは、愛するものを失うのと同義だ。
彼自身は、私の報告自体ではゆるぎないだろう。凡百のハンターなど相手になるまい。
しかし、わたしはどうしても失うわけにはいかないのだ。
お腹に芽吹いた、我が子を。
うつろな目で笑みを浮かべながら、女ハンターは膨らんだ腹を愛おしげに撫でていた。