12/10/20 03:07:26.95 sxONPjZx
>>77
「おわ!」
「ん~やっぱり翔クンカワイイねぇ!」
「え…ちょ…」
「相変わらずだな、タロー」
「それ、そっくりそのままハジメチャンに返すよ。硝子チャンも相変わらず、美人サンだねぇ」
等と言いつつもタローと呼ばれた少年は翔から離れようとはしない。
「随時年寄り染みた物言いじゃない。私と同い年のくせに」
「硝子チャン相変わらずきびしー」
「あはは…。えっと、タローさん…は、この旅館の仲居さんなんですか?」
「違うよ~。大体仲居サンっていうのは女の人を指すから、ボクじゃどうしてもなれないよ」
「あ、そうなんだ。ごめんなさい…」
思わぬ所で自分の無知が露呈してしまい、ハヤトは自分の顔が熱くなるのを感じた。
「ま~ま~気にしない。皆結構間違えるんだよ。それにボクはただ手伝っているだけだから、従業員も正解じゃ無いかな~?」
「そ、そうなんですか…」
どうにも翔とは違ったベクトルの明るさに、ハヤトは対応出来無い。
分かり易い翔と違い、このタローという人物が全く見えない。
「そんな事より、君がハヤトクンだね?ハジメチャンから君の事は聞いてるから、遠慮せずに何でも気軽に言ってくれちゃって良いよ~」
「は、はい。宜しくお願いします…」
「そんじゃー早速お部屋の方へとご案内致しましょうかね~。ハジメチャ~ン、も少しだからガンバってね」
「てめぇは手伝いなんだろが。少しは手伝え!」
「ん~手伝っても良いけど、それでハジメチャンがどんな目に遭ってもボクは知らないヨ~」
「………自分で運ぶ」
取り敢えず只者では無いとだけは判明した。
底の見えなさは硝子並み。
否、なまじ表面が明るい分硝子以上に底が見えない。
(翔先輩の周りって、ホント両極端…)