11/07/20 18:11:09.63 zXAlWH1h
俺たちは同時に笑い、
「あっ」
同時に空いている方の手で、夜空の一点を指さした。
「見た?」
「見た」
それからしばらく、夢中になって流れ星を探した。
童心に還って、見つけた流れ星の数を競った。
三十も数えた頃だろうか。
「……できたっ」
と、桐乃が嬉しそうに言った。
何ができたんだ、と尋ねると、
「今、流れ星が消える一瞬の間に、心の中でお願いを言えたの。一回だけ」
「一回だけなら、叶う確率は三分の一だな」
「……あと二回、別の流れ星に一回ずつ祈れば百パーセントになるし」
「どんな願いごとをしたんだ?」
「ひ、秘密」
「いいじゃねえか、隠さないで教えろよ」
隣を見る。
蒼白い星明かりの下、桐乃は顔を真っ赤にして言った。
その声に、今のように夜空を見上げた、幼い桐乃の声が重なった。
「兄貴と、ずっと一緒にいられますように……」
『お兄ちゃんと、ずっといっしょにいられますように……』
おしまい!