【俺の妹】伏見つかさエロパロ20【十三番目のねこシス】at EROPARO
【俺の妹】伏見つかさエロパロ20【十三番目のねこシス】 - 暇つぶし2ch619:風(後編) 59/63
11/07/18 11:05:19.28 8mgfk2k0

 通話を終えて、安堵のため息を吐いた俺を、胸をはだけたままのあやせが、泣きべそ顔でじっと見ていた。

「まぁ、聞いての通りだ。明日は、俺の大学の友人で、陶山っていう奴と、その彼女である川原さんって人
を、お前のお目付け役にする」

「お、お兄さんのお友達なんて、信用できません……。きっと、お兄さんとどっこいどっこいの変態で嘘吐
きなんでしょ?」

 俺は、陶山と川原さんを悪し様に言うあやせに少々ムカついたが、あやせの言い分にも一理ある。
 全く面識のない奴をお目付け役だって言われても、警戒心しか湧かないよな。

「陶山ってのは、医学部の学生で、ものすごく頭のいい奴だ。川原さんは陶山の同級生で、やはり医学部の
学生だ。二人とも正直で、気のいい連中だぜ。明日、本人たちに会ってみれば、お前だって納得するだろう」

「……もう、それしかない、って言うことですか?」

 俺は、恨めしげなあやせに無言で頷いた。こうでもしなきゃ、危なくって仕様がない。

「だったら、そ、それでいいです……。でも、お兄さん……」

「今度は何だよ……」

 いつになく哀れっぽい口調が気になったが、俺はそっけなく振る舞った。あやせには油断がならないから
な。色々と……。

「……あ、あの……、わ、わたし……、お、お兄さんに……」

「俺に何だって?!」

 先刻、いきなり首を締められたから、かなりきつい口調で言い返しちまったな。
 その俺の一言で、あやせが、びくっ、と身を震わせたようだった。

「……あ、あの……」

「だからどうした?」

 この口調もきつかったかな。どうも、さっき殺されかけたってんで、語気が荒くなっちまう。

「い、いえ……。何でもありません……。も、もう……、いいです……」

「そうかい……」

 そう言って、俺はすっくと立ち上がった。

「ど、どこへ?」

「隣の部屋だ。さっきみたいなことがあったんじゃ、おちおち眠れないからな。俺は隣の部屋で寝ることに
するよ」

 あやせに殺されるのが怖い、というのは自分でもよく分からないが、多分本当じゃない。
 あやせと同室で寝たら、きっと彼女を犯してしまうだろ。性的な衝動を抑え切れない自分が怖かった。
 頭では自分を殺そうとした女を抱けないと思っても、本能は違う。
 事実、俺のリヴァイアサンは、はち切れんばかりに怒張したままじゃないか。


620:風(後編) 60/63
11/07/18 11:06:22.50 8mgfk2k0
「あ、あの……」

 あやせが何かを言いかけたようだったが、俺は彼女に背を向けて自室から出た。廊下に出て、階段を下り、
洗面所で顔を洗った。

「……高坂さん……。何かあったんですか? ちょっと騒々しいようでしたけど……」

 洗顔を終えて階段を上がろうとしたところを、下宿の女主人に呼び止められた。
 あれだけの騒ぎだ。昔ながらの重厚な造りの下宿屋であっても、何らかの物音は伝わる。

「ああ、どうもすいません。妹と格闘系のゲームをやっていたものですから、ついつい熱が入って、俺も妹
も荒っぽい言葉遣いになっていたようです。ちょっと反省してます」

「ああ、そうですか。それなら結構です」

 下宿の女主人は、安堵したのか、表情を和らげた。兄と(自称)妹との禁断の愛の営みが展開されている
と思ったんだろう。実際は、もっとヤバイ状況だったんですけどね……。

「それと、妹の奴は、俺の部屋で寝たいんだそうです。ですので、俺が自室の隣の部屋で寝てもいですか?」

「ええ、いいですよ。お布団は、お部屋の押入れに入っているものを自由に使ってください」

「はい、ありがとうございます」

 許可を得た俺は、自室の隣部屋に入り、布団を敷いて横になった。
 長いこと仕舞ったままだったせいか、何となくカビ臭いが、これぐらいなら我慢できる。

「しかし、疲れているのに、寝付けねぇな……」

 あやせが馬乗りになるまでは、眠くってしょうがなかったのに、今はあやせの乳房と秘所の感触を思い出
すと、気持ちが昂ってなかなか眠れない。

 それでも、ようやく夢うつつになった頃、自室の襖が開く音と、あやせのものらしい足音が聞こえてきた。
 俺ははっとして身構えたが、足音はそのまま俺が居る部屋の前を素通りし、階下へと向かって行った。

「何だ、トイレかよ……」

 しばらく経ってから、階下から水を流す音が聞こえてきた。

「ずいぶんと長いトイレだな……」

 そんなことを呟きながら、俺はいつしか泥の様な深い眠りに落ちていった。


*  *  *
 翌朝、膨れっ面というか、まぶたを腫らしたあやせを伴って、俺は大学の正門前に向かった。

「やっほぉ〜〜!! 高坂くん、こっちこっちぃ〜〜〜!」

 正門前には既に川原さんと陶山が待っていた。
 川原さんは、いつもは一本のお下げにしている長い髪に軽くウェーブをかけて、腰の辺りまで伸ばしていた。
 ファッションは、普段パンツルックがほとんどだってのに、今日に限って白いゆったりとしたスカート、
ノースリーブの黒っぽいカットソーにベージュ色した薄手のカーディガンを羽織り、鍔が大きな白い帽子で
キメ、襟元にはダイヤらしい宝石がちりばめられたネックレスが輝いていやがる。


621:名無しさん@ピンキー
11/07/18 11:06:47.80 AIRKZsxF
どうしてこっちに来るの?
また荒らしたいのかよ。

622:風(後編) 61/63
11/07/18 11:07:26.51 8mgfk2k0
 う〜〜ん、そういや、川原さんだって、開業医の娘なんだよな。スケールは、保科さんや沙織とかに比べ
ればささやかかも知れないが、やっぱお嬢様なんだと今さらながら実感しちまったぜ。
 相方の陶山は、ダークグレーのスタンドカラーシャツにカーキ色というかオリーブ色に近い腰丈の
ジャケットを羽織り、黒いデニムを穿き、八ピースの丸っこいハンチングを被っている。

 対する俺たちはというと、俺は普段と代わり映えのしない長袖のダンガリーシャツにジーンズで、あやせ
はチャコールグレーのコットンパンツ、白黒の市松模様の長袖ブラウス、それにいつぞや加奈子が出た
メルルのイベントで桐乃の目を欺くために着用したキャスケットを目深に被っている。

「済まねぇ。ちょっと遅れちまったみたいだな」

「いや、今がちょうど九時だ。こいつに急かされて、俺たちはだいぶ早く着いちまったのさ……」

 陶山は自分の腕時計をチラ見してから、相方の川原さんに向けて顎をしゃくった。
 その川原さんは、喜色満面で、時折、「うほほぉ〜〜い!」とか訳の分からないことを口走っている。
 こりゃ、桐乃以上にヤバイかも知れねぇ。
 あやせはハイテンションな川原さんを警戒してか、俺の後ろの方で緊張して縮こまっていた。

「もう分かるよな? あのお姉さんが川原さん、で、眼鏡を掛けているのが、川原さんの同級生で陶山だ」

「よろしくぅ〜〜〜。川原瑛美でぇ〜〜す」

「俺は陶山亮一。高坂とはいつも一緒に昼飯を食う仲なんだ。今日はよろしく……」

 陶山は警戒しているあやせを気遣っているのか、できるだけさりげなく振る舞うように心掛けていること
が何となく分かった。
 本人が『気遣いの陶山』を自認していたが、俺も、たしかにそうだと思うな。

「で、その子が、高坂くんの妹さん? どれどどれ……。うっひゃ〜〜〜、かわいい〜〜〜」

 気遣いの陶山に対して、川原さんは自分の欲望に忠実なタイプらしい。ずぃ! とばかりにあやせの前に
歩み寄り、帽子で顔を隠そうとしているあやせを舐め回すようにガン見している。
 相方の陶山が、「おい、大概にしろ……」という小言とともに、カーディガンの裾を引っ張ったが、当の
川原さんはお構いなしだ。

「は、初めまして、こ、高坂あやせです。あ、あやせって呼んでください……」

 その瞬間、川原さんが「ん?」と呟き、帽子を目深に被っているあやせの顔を凝視し直した。

「……あ、あやせちゃん?」

「は、はい……、あ、あやせと申します……」

 おずおずと言いかけたあやせも、川原さんと目が合った瞬間、「えっ?!」と短く叫んで身を強張らせている。

「ど、どうしたんだよ?」

「………………」

 俺の問い掛けにあやせは押し黙ったままだ。

 陶山は川原さんに、「ひょっとして、知り合いか?」と尋ねている。俺から見てもそんな感じだったよな。
 だが川原さんは、

「知り合いっていうか、何ていうか……。ど、どう説明したらいいのかな……」


623:風(後編) 62/63
11/07/18 11:08:30.41 8mgfk2k0

 と、言い淀んでいる。俺と陶山は顔を見合わせた。本当に何なんだろうね。
 言い難そうな事情がありそうなところが、かえって気になるよな。だが、それよりも……、

「それはそうと、俺と瑛美は、千葉から来るっていうお前の友人とお前が一緒の時、お前の妹さんの面倒を
見なきゃならん理由を未だ聞いてない……」

 こっちが先決だ。昨夜の電話でも、『会った時に話す』と約束したからな。
 俺は、千葉から来る友人は(沙織は神奈川からだが……)世に言うオタクで、あやせとは趣味が合わない
から一緒にはさせたくないことをまずは手短に話した。

「なるほど……。それで妹さんを隔離する訳か……」

「うん……、できれば隔離したいんだが、こいつは俺と俺の友人が何を話すのかが気になるらしく、目立た
ない様に監視したいそうだ。しかし、あやせ一人だとちょっと不安だから、二人にお目付け役を頼みたいん
だよ」

 言い終えて気付いたが、これってあやせを子供扱いしてるよな。案の定、誇り高き自称俺の妹様は、
膨れっ面で会話に割り込んできた。

「あ、兄は、オタクな連中と付き合っちゃいけないと思います。わ、わたしは兄のことが心配で……」

「“お兄さん”思いなのね」

 すかさず川原さんの突っ込みが入った。
 だが、川原さんは、『お兄さん』の部分をことさら強調したような気がしたが、まぁいいか……。

「おっと、メールが来たか……」

 俺は鳴動している携帯電話の画面を確かめた。沙織からのメールだった。

『京介氏
 本日は宜しくでござる
 しかしながら、待ち合わせの場所を変更致したく候
 中央駅ではなく、中央駅の南口にある喫茶店にて落ち合いましょうぞ
 しからば、御免』

 という文面とともに、店の所在を示すURLが張ってあった。
 しかし、俺は駅の南側には一回も行ったことがないから、沙織が指示した喫茶店にはまるで心当たりがない。

「知ってるか? この店……」

 俺は陶山と川原さんに沙織からのメールを見せた。こういう時に頼りになるのは地元の人間だな。

「ああ、ここね。ものすごくおっきな喫茶店よ。ワンフロアが、うちの大学の学食ぐらいありそうな……」

「そんなにでかいのか……」

 それはかえって好都合だな。あやせが、他の客に紛れて、俺と黒猫と沙織のやりとりを監視し易くなる。

「場所も中央駅のすぐそばだから、地下鉄で行くのがいいだろうな」

 幸先よし……。俺は、 黒猫や沙織とのシビアになりそうな話し合いと、それをあやせが監視するという
厄介なミッションの成功を半ば確信した。これなら、万事うまくいくだろう。
 俺とあやせとの関係修復を除いて……。


624:風(後編) 63/63
11/07/18 11:09:25.12 8mgfk2k0

 地下鉄に乗って俺たちは移動し、目指す店の前にたどり着いた。

「なるほど。たしかにでかいな……」

 都内にもこれだけの規模の喫茶店は少ないだろう。いや、違うか。東京は、あちこちに喫茶店があるから、
大規模なものはそうそう必要ないんだろうな。
 都内に比べて鄙びたところがあるこの街では、喫茶店の数が少ない代わりに、こうした大規模なもので
カバーしているということか。

「高坂から先に入った方がいいだろうな。そうすれば高坂の友人たちの目は高坂に集中する。その隙に、
俺と瑛美があやせちゃんを後ろに隠して入店するよ」

「だな……。そうしてくれると助かるよ」

 陶山も川原さんも背が高いから、あやせの姿をカムフラージュしてくれるだろう。

 俺は三人に「じゃあ、先に行くぞ」と告げて、自動ドアではない扉を押し開けた。
 店内は思った以上に広く、ざわめいていた。これじゃ黒猫や沙織がどこに居るのかさっぱり分からねぇ。

 だが、店内中央辺りのコンパートメントから、さっと右手を挙げる奴が居た。バンダナに眼鏡姿の沙織
だった。そのコンパートメントは、入り口からは太い柱で一部分が遮られていやがる。これじゃ、沙織が
挙手してくれなかったら分からなかったな。

「やれやれ……」

 これから始まる話し合いのシビアさを思うと気を引き締めなきゃならないんだが、ようやく沙織を見つけ
られたってんで、ちょっと安堵しちまった。油断は禁物だってのによ。

 沙織が居るコンパートメントを遮っている太い柱を回り込むようして歩いていくと、いつもながらのゴス
ロリファッションでキメている黒猫の姿が見えてきた。そして、黒猫の隣りには……、

「な、なんで、お前がここに居る!!」

 オレンジ色のタンクトップの上にダークブラウンのレザーっぽい腰丈よりも短いジャケットを羽織り、
下はマイクロミニスカートにブーツのあいつが、俺の目の前に居やがった。

 そいつは、大きな瞳でぎょろりと俺を睨みつけ、呪いの言葉を肺腑から絞り出した。

「………アンタ。逃げるなんて許さない………」

(以降、『火』(Kwa)に続く)


625:SL66 ◆Fy08o57TSs
11/07/18 11:11:38.73 8mgfk2k0
以上で『風』は終わりです。

それにしても、単発レスのジャミングが連投規制よけになりました。
IDを変えて単発レスするしか能のない輩も多少は役に立つんですね。

一応は礼を言っときますか。

626:名無しさん@ピンキー
11/07/18 11:14:32.15 AIRKZsxF
どうしてアンタ、いつも煽るの?
普通に迷惑なんだけど。

627:名無しさん@ピンキー
11/07/18 11:14:51.38 pD4R1rvn
荒らせて満足したならとっとと首でも括って死ねよクズ
駄文過ぎて毛ほども引き込まれねえよ

628: 忍法帖【Lv=13,xxxPT】
11/07/18 11:20:10.16 sMmv/I8r
そうやって余計な煽りを入れるなよ
全部台無しじゃん
投下するならするで余計なこと言わなければいいのに……

629:名無しさん@ピンキー
11/07/18 11:25:20.57 P2ZAuKZZ
触れるな。そして喧嘩腰になるな。前スレの二の舞にしたいのか。

630:名無しさん@ピンキー
11/07/18 11:27:47.03 BQyQ5rrP
誰かSS投下してこの嫌な空気を換気してくれ

631:名無しさん@ピンキー
11/07/18 11:29:12.19 Sxk1gObR
一応誘導貼っとくわ
以後この話題は専用スレで
【SL66専用】伏見つかさ総合【俺妹】
スレリンク(eroparo板)

632:名無しさん@ピンキー
11/07/18 11:29:58.88 oFS8uKTF
ずっと前に予告してた黒猫エロものできました

・「もしも京介と黒猫が円満な恋人生活を営んでいたら」
・言うまでもなく京介×黒猫
・エロ描写有
・黒猫は転校していない設定

投下してもおkでしょうか?

633:名無しさん@ピンキー
11/07/18 11:34:21.67 AIRKZsxF
投下していいよ。

634:名無しさん@ピンキー
11/07/18 11:37:13.58 oFS8uKTF
IFストーリー『もしも京介と黒猫が円満な恋人生活を営んでいたら』
30レス程度です


残暑も遠退く中秋の候、俺はとある平屋の一軒家を訪ねていた。
ピンポーン、とチャイムを押して待つこと数秒。

「はいはいは~~~~いっ。京介くんですかっ?京介くんだよねっ?」
「おねぇちゃん、わたしも、わたしもおにぃちゃんとお話する」
「ほら、やっぱり京介くんだ!今行くから待っててね!逃げちゃダメだからね!
 ほらほらっ、珠希も行くよ、愛しのおにぃちゃんに会えるよ~」
「あっ、待って、おねぇちゃん」

ガチャ、ツー、ツー。
口角泡の飛沫を錯覚し、思わず顔に触れていた。
喧噪の坩堝とは、五更家のインターホンのことを言うのではなかろうか。
ドタドタと床を踏みならす音が、家の外まで聞こえて来て、がらりと引き戸が開く。

「いらっしゃーい、京介くぅんっ!
 もーっ、来るの遅いよぉ~~~。
 京介くんが来るの、ずっと待ってたんだからぁ~~~~」

おさげを犬の尻尾のように揺らし、
つっかけに爪先を通すことさえもどかしそうにして、日向がこちらに駆け寄ってくる。
彼我の距離が5メートルに縮まったところで、盛大にジャンプ。
イヤな予感、というよりは経験則が、俺の手足を動かした。

「あははっ、やっぱりちゃんと受け止めてくれるねっ!」
「お前な……怪我したらどうしよう、とか考えないのか?」

下手すりゃ、俺の代わりに大地と抱き合ってたところだぞ。
日向はぐりぐりと顔を俺の胸に押しつけつつ、

「ぜーんぜんっ!京介くんのこと信じてるから!
 それにィーこうしないと京介くん、あたしのこと抱き締めてくれないじゃ~ん?」

635:名無しさん@ピンキー
11/07/18 11:37:59.50 oFS8uKTF
いい歳した男が他所様の女子小学生と抱き合ってたら、色々と問題があるんだよ。

「ヨソサマなんてひっどぉ~~~~~いっ!
 京介くんはルリ姉の未来の夫でー、あたしはルリ姉の妹でー、
 てことは、あたしと京介くんは血の繋がらない兄妹ってことでしょ~?」

はいはい、分かったからいい加減に俺から離れろ。
通りすがりのおばさんが物凄い形相で俺たちのこと見てたぞ。

「え~やだぁ~」

と甘えた声を出し、なおも離れまいとする日向を無理矢理引き剥がそうとしたところで、

「おにぃちゃんっ」

微かな衝撃が下半身を襲う。
視線を下げれば、黒のつむじが見て取れた。

「珠希か。元気にしてたか」
「たまきは、おにぃちゃんにすごく会いたかったです!」

ぎゅうう、と太股を抱き締めてくる。
一度こうした珠希は、滅多なことでは離れようとしない。
傍から見るとますます誤解を招く図柄になっているらしく、
通りすがりの女子高生が、チラチラとこちらを盗み見ながら、携帯を弄っていた。
通報されてないことを祈るしかねえ。

「日向、珠希」

涼やかな声が聞こえてきたのは、
俺がいよいよ身動きが取れなくなり、助けを乞おうとしていた折だった。

636:名無しさん@ピンキー
11/07/18 11:38:36.61 oFS8uKTF
「再会の喜びには、家の中で浸りなさいな。
 いらっしゃい、京介。妹たちが迷惑をかけて悪いわね」
「いいさ、もう慣れっこだ」

瑠璃が歩み寄ってくると、まるで磁力を失ったかのように下の妹二人が離れる。
流石の威厳だな。同じ妹を持つ身として尊敬するよ。

「これも躾の賜よ」

ふふん、と胸を反らせる瑠璃を見て、日向と珠希が噴き出した。

「何がおかしいのかしら?」
「あたしと珠希は、ルリ姉が嫉妬しないように気を遣ってあげてるだけだしィー。
 ねーねー知ってる、京介くん?
 ルリ姉はねぇ~~~、あたしや珠希に京介くんを取られるんじゃないかって、本気で心配してるんだぁ~~~」
「ばっ、馬鹿も休み休み言いなさい」
「だってホントのことじゃん?
 この前なんかさぁ、京介くんが帰った後に、『京介が迷惑だから見境無く抱きついてはダメよ』とか、
 『京介はあなたたちの遊び相手である前に、わたしの彼氏なのよ』とか、いちいち説教してくるんだもん。
 他の女の子が相手なら分かるけどさぁ、妹にまで嫉妬するとか、ルリ姉ってば大人気なさすぎィ―あいたッ」

ぺしこーん、といい音が鳴った。

「そこまでにしておくことね。
 さもなければ"薄氷の衝撃"の上位魔法、"死の鉄槌"を使わざるを得ないわ」

一応解説しておくと、前者は平手、後者は拳骨の厨二病的解釈である。

「助けて京介く~ん、ルリ姉が虐める~~」

叩かれた頭を押さえつつ、俺の背後に隠れる日向。
こらこら俺を盾にするな。瑠璃も勘弁してやれ。
意外にも日向に助け船を出したのは、それまでジーッと瑠璃を観察していた珠希だった。

637:名無しさん@ピンキー
11/07/18 11:39:32.44 oFS8uKTF
「お顔が真っ赤ですよ、姉さま?」
「なっ」
「そうだよルリ姉、ただの冗談だったのに、必死すぎ~」

さすがに末っ子に手を上げるのには、母性が呵責したのだろう。
歯軋りする瑠璃、俺を盾に煽る日向、無垢な笑顔で長女の顔色を質す珠希、という膠着状態が続くこと十秒。
俺は訪問者として、至極まっとうな意見を口にした。

「……いい加減、家の中に入れてくれないか?」

瑠璃と付き合いだしてから、早二ヶ月。
『運命の記述(ディスティニー・レコード)』に指定された儀式を一通り済ませた俺と瑠璃は、
予言書の背表紙の外側にある、自由気儘な恋人生活を送っていた。
夏休みが終わった後は、週末に五更家を訪れることが恒例化し、今日がその日というわけだ。
初見の頃から馴れ馴れしかった日向も、初めは大人しく控え目だった珠希も、
今や、扱いに困るほど俺に懐いてくれている。
ちゃん付けが呼び捨てに変わったのは最近のことで、二人にリクエストされたことが切欠だった。

『鎮まれ、俺の右腕よ、鎮まれ―!』
『ククク、真夜よ。やはりお前一人では、異形の血を制御できないようだな』
『それはどうかしら、ルシファー。
 真祖の名において命ずる。彼の者に宵闇の加護を授けたまえ!』
『夜魔の女王!?
 真夜―、貴様、闇の眷属に魂を売り渡したというのか!?』

昼過ぎの長閑な空気に、厨二病患者たちの応酬が木霊する。
マスケラ二期のDVDを観ましょう、と言い出したのはもちろん瑠璃で、
その目的は日向の教育(という名の洗脳)らしいのだが、
当の日向は画面には目もくれず、メルルのお絵描きに勤しんでいる。

638:名無しさん@ピンキー
11/07/18 11:40:17.90 oFS8uKTF
そして俺はと言えば、

「こんな問題解くための公式、まだ習ってないんだけど」
「よく図形を見てみろ。
 とりあえず全体の面積を出してから、斜線部以外の面積を引けばいいんだよ。
 長方形とか三角とか丸とかの面積の出し方は習っただろ?」
「へぇ~~~~っ、そーいうことかー。頭いいねっ、京介くん!」

絶賛、日向の家庭教師役を務め中である。
日向が問題を解いている間、何気なく瑠璃のほうを見ると、阿吽の呼吸で目が合った。

「…………」

瑠璃が何を考えているのか、何を望んでいるのかは、手に取るように分かった。
が、まだ少し早いんじゃないか、と視線を逸らした矢先、
畳の上に伸ばした足の裏に、柔く冷ややかな感触が走る。
俺のふくらはぎ、膝裏、内股を伝い、股間を圧迫するそれは、瑠璃の爪先以外には有り得ない。

「………っふ」

いや、「………っふ」じゃねえし。
いくら卓袱台の下の出来事だからって、すぐ近くに日向や珠希がいるんだぞ。
バレたら何て説明するつもりだ、と非難の視線を向ける余裕は、瑠璃の足捌きで刈り取られた。

「お前な………」

負けじと俺も爪先を伸ばし、瑠璃のワンピースのスカート部分に差し入れる。
足指に、滑らかな布地の感触。
だいたいの見当を付けて関節を曲げると、

「……っ……ぁ……」

瑠璃は期待どおりの反応を示した。

639:名無しさん@ピンキー
11/07/18 11:41:01.85 oFS8uKTF
きゅっと下唇を噛み締め、声は押さえているものの、表情の変化は隠せない。
堪える仕草に嗜虐心をそそられ、もう一度足指の関節を曲げようとしたその時、

「できました!」
「できたっ!」

日向と珠希が快哉を叫んだ。

「おにぃちゃん、これ、なんだか分かりますか?」
「ん……あぁ、アルファ・オメガか。
 ダークうぃっちモードのセカンド・フォルムだよな。よく描けてる」
「せいかいですっ!」
「京介くん、京介くんっ、答え合わせして!
 これ、近年稀に見るあたしの自信作だからっ!」
「いや、裏に解答載ってるだろ……おっ、正解だ。やればできるじゃねーか」

妹にしてやるノリで、お絵描きと宿題を達成した二人の頭を撫でてやる。

「……………」

あのー、瑠璃さん?
欲求不満な視線で俺を射貫くの、やめてもらえませんかね?
マスケラ見ろよマスケラ、ちょうど今作画ぬるぬるの戦闘シーンだぜ。

「もう見飽きてしまったわ。
 目を瞑っていても、真夜とルシファーの一挙手一投足を想像できるくらい」

言いつつ、瑠璃は足先に力を込める。
このエロ猫め、相当焦れてやがるな。
俺は仕置きの意を込めて、卓袱台の下に手を差し込み、悪さをする足の裏をくすぐってやった。

640:名無しさん@ピンキー
11/07/18 11:41:07.08 sn/MbZeu
何でこっちに書いてるの?

641:名無しさん@ピンキー
11/07/18 11:41:44.14 oFS8uKTF
「ひゃんっ!」
「どっ、どうしたんですか、姉さま?」
「ちょっとぉー、いきなり大きな声出さないでよね、ルリ姉」

妹二人からの非難を浴びて、恨めしげに睨み付けてくる瑠璃。
俺に足裏をくすぐられた、と言えば、なぜそんな場所に足を置いていたのか、と訊かれるのは必定で、
まさか隠れてえっちぃことしてました、と告白できるはずもなく、瑠璃が返答に窮していると、

「ただいまー」

玄関より福音来たる。

「おかえりなさぁい」と日向。
「おかぁさん、おにぃちゃんが来てますよ」と珠希。

襖が開いて現れたのは、瑠璃が大人になったらこんな風になるのだろうか、と思わせられる、
妙齢の和風美人こと、五更家三姉妹の母君である。
パートの仕事をされていて、今日は午前のみのシフトだったようだ。

「こんちわ、お邪魔してます」
「あら、いらっしゃい京介くん。
 お昼ご飯はもう食べた?瑠璃に作ってもらったのかしら?」
「いえ、家で食ってきました」
「そう。今日は、これからどこかに出かけるの?」

俺と瑠璃は顔を見合わせ、首を横に振る。
するとおばさんはニッコリ笑って、

「じゃあ、日向と珠希は邪魔ね。
 二人とも、お母さんと一緒に買い物に行きましょう?」

642:名無しさん@ピンキー
11/07/18 11:42:29.27 oFS8uKTF
「えー、やだぁ~~。せっかく京介くんが来てるのに~~」
「おにぃちゃんも、いっしょに買い物に行きます?」
「お姉ちゃんとお兄ちゃんはお留守番。
 お菓子買ってきてあげるから、お母さんの荷物持ち手伝って?」

珠希は俺と母親の顔を何度も見比べていたが、
甘味の誘惑には抗えなかったようで、クレヨンを置いて立ち上がった。
意外だったのは日向の反応で、

「あたしィー、前から欲しかったシャーペンがあるんだけどぉー、
 それ買ってくれるなら、荷物持ちしてあげてもいいよ?
 どーせ珠希は重いもの持てないし、あたしがいないと困るでしょっ?」
「……仕方ないわね、一つだけよ」
「やったっ」

交渉は成立した模様。
お菓子や文房具で釣られるとは、やっぱガキだなコイツら。
……べっ、別に拗ねてるわけじゃないんだからね!

「京介くん、晩ご飯食べてくでしょ?何か食べたいものとかある?」
「日向ちゃんや珠希ちゃんの好きな物にしてあげてください」
「もう、遠慮しなくていいのに」
「ハイハーイ、あたしオムライスが食べたいな~~~っ」
「たまきはカレーライスがたべたい、です」
「どっちもなんて無理よ。二人で相談して一つに決めなさい。
 それじゃあ、瑠璃、京介くん、お留守番頼むわね?」
「ええ」
「了解っす」

643:名無しさん@ピンキー
11/07/18 11:43:26.05 oFS8uKTF
まず最初におばさんが玄関を出て、
オムライスがいい、カレーライスがいい、と舌鋒鋭く言い合いつつ、日向と珠希が後に続いた。
家は俄に静かになった―かと言えばそうでもなく、居間のTV画面の中では依然として、
マスケラの登場人物がスワヒリ語もかくやの難解極まる必殺技名を叫んでいる。
だが雑音の有無は大した問題ではなく、焦点はむしろ、
この家に俺と瑠璃以外の人間が存在しているか否か、にあった。

「瑠璃」
「京介」

俺たちはどちらからともなく唇を合わせた。
優しく触れあうような上品なキスは程なくして、激しく貪りあうような獣の接吻へ。

「京介っ………」

喘ぎながらも俺の名を呼ぶ姿がいじらしい。
瑠璃の体を壁に押しつけ、覆い被さるように抱き竦める。
ワンピースのスカート部分を捲り上げ、閉じられた瑠璃の股に、右足を差し入れる。
瑠璃の下腹部は、既に熱を持っていた。
薄い布越しに秘核を撫でると、瑠璃の体がぴくんと跳ねた。
俺は邪魔な下着を脱がしにかかった。その時だった。

「だ……だめっ……」

トン、と胸を突かれ、後じさる。
唇を繋ぐ銀の糸が断たれたのと同時に、俺は我に返った。

「……何がダメなんだよ?」

644:名無しさん@ピンキー
11/07/18 11:44:46.89 oFS8uKTF
瑠璃は息を整えながら、責めるような声で言った。

「はぁっ……はぁ……こんなところで……来客があったら……どうするつもりなの……?」
「見せつけてやりゃあいい。取り込み中だと分かったら帰るだろ」
「ば、莫迦……本気で言っているなら、正気を疑うわよ」

それなら、と俺は訊いた。

「どこでならOKなんだ?」

瑠璃は顔を背けて「着いてきて」と言い、早足で歩き出した。
白いワンピースが、幻惑するように翻る。
行き先は瑠璃の部屋と相場が決まっていた。
俺はさながら獲物を追い詰める肉食動物のように、瑠璃の後を追いかけたのだが……しかし。

「おい、開けてくれよ」
「不可能よ。あなたが真名を取り戻すまで、真理の扉が開かれることはないわ」

ぴしゃりと閉め切られた襖の向こうから、瑠璃の低い声が聞こえてくる。

「真名?俺の名前は京介だろうが」
「いいえ、あなたはルシファーに裏切られたショックで、一時的に記憶を失っているだけ」

先ほどまでのエロ猫モードからは一転、
果たして何の気紛れか、瑠璃は黒猫モードに入っているらしかった。
だが、まあいい。天然の焦らしプレイには慣れている。少しくらいは付き合ってやるさ。

「近くに、あなたが記憶を取り戻すのに必要な魔導具が落ちているはずよ」

足下に視線を転じると、いつかコスプレ撮影会をした時に着た衣装と、文庫本くらいの厚さの小冊子が置かれていた。

645:名無しさん@ピンキー
11/07/18 11:45:34.17 oFS8uKTF
「魔導具は見つかったかしら」
「……ああ、見つかった」
「よろしい。では、まず闇の渦と交信なさい。
 変身の仕方くらいは覚えているでしょう?」

俺は『変身』を『着替え』に脳内変換し、着衣を交換していく。
泣けることに、玄関先で元気にはしゃいでいた俺のリヴァイアサンは、
今や、真夏のアスファルトに投げ出されたミミズのように萎縮していた。

「……変身したぞ」
「上出来よ。次に、"月夕の教典(ムーンライト・ダイアログ)"の113ページを開きなさい」

なんちゃらの教典とやらは、この荒い装丁の小冊子のことを指すのだろうか。
数ヶ月前にも"運命の記述(ディスティニー・レコード)"に振り回された記憶があるが、
よもやあの時の焼き直しをするんじゃあるまいな。
恐る恐る指定された113ページを開く。それは一言で表すなら―。

「マスケラのト書きか、これ?」
「な、何をわけの分からないことを言っているのかしら。
 世迷い言を喋る暇があるなら、早くそこから166ページまでを暗記なさい」

厨二病全開のセリフと情景描写の約50ページ分を、今ここで暗記しろと?
冗談じゃねえ。三日掛けても無理だ。

「せめて、軽く目を通して」

切実な声に、渋々と肯く俺。
ざっとページを捲るが、ほとんど地の文のみで、真面目に読む気はさらさら無かった。
冒頭の会話から推察するに、かなり前に五更家の居間のテレビで見た、
主人公・真夜と旧敵・夜魔の女王が契約を結ぶシーンのようだが……。

646:名無しさん@ピンキー
11/07/18 11:46:19.85 oFS8uKTF
「目を通したぞ」
「早いわね。それじゃあ冒頭の一文を読み上げて頂戴」
「えーっと……"真名を思い出した真夜は、夜魔の女王と再会を果たすべく、精神世界に没入(ダイブ)した"」
「違うわ。冒頭の真夜の『セリフ』よ」

なら初めからきちんとそう言えや。

「"これが真理の門……ここを通れば、俺はこれまで封滅した能力者たちと、再び相見えることになる……"」

うおお、鳥肌が立ってきた。
ただコスプレをするのみならず、セリフも言うとなると相当の苦行だな、こりゃ。
瑠璃はナレーター風に地の文を読み上げる。

「"長い葛藤の末、真夜はゆっくりと門に手を当て、押し開いた"」
「…………」
「"押し開いた"」
「…………」
「聞こえなかったかしら?"真夜が門を押し開いた"と言っているのよ」
「俺は今からナレーター……お前の言う通りに動かなくちゃならないのか」
「そうよ」
「俺の目の前にあるのは襖で、押し開くこともできないんだが」
「融通の利かない雄ね。これ以上わたしを失望させないで頂戴」

瑠璃はコホン、と空咳をひとつ、

「"長い葛藤の末、真夜はゆっくりと門に手を当て、押し開いた"」

俺はハァ、と溜息をひとつ、真理の門もとい襖を横に引いた。
内装は以前入ったときと特に変わりはない。
ただ、瑠璃の姿がどこにも見当たらなかった。

647:名無しさん@ピンキー
11/07/18 11:47:11.50 oFS8uKTF
「"門の先に広がっていたのは、荒漠たる常夜の世界。
  これまでに屠ったディアブロの想念を一身に浴びながら、
  真夜はただひたすらに、夜魔の女王の気配を探し求めた"」

声は明らかに押し入れの中から聞こえているのだが、
突っこんでも余計な怒りを買うだけだと思い、

「"クイーン、お前の力が借りたい"」
「"真夜の心象世界に、彼の声は虚しく響き渡った。
  負の思念は刻一刻と強くなっていく。長居は彼の肉体の所有権を、思念に奪われるも同義だった"」
「"出てこい、クイーン!俺の体が欲しくないのか!"」
「"真夜の精神体が限界を迎えかけたそのとき、紅蓮の炎が彼を取り囲んだ。
それは彼に害なす思念を灰燼に帰し、常夜の闇を嚇耀と照らしだした"」

ガラリ、と勢いよく押し入れの襖が開き、
二階部分から、新衣装を身に纏った瑠璃が現れる。
転倒を危ぶみ手を差し伸べると、ペシリ、と払い除けられた。
旧敵の助けは無用らしい。

「"クックック……無様ね、漆黒……いえ、今は真夜と呼ぶべきかしら。
姿形は能力者でも、肝心の力が使えないようでは、何の意味もないものね"」

瑠璃は横木に頭を打たないよう、姿勢を低くしながら押し入れから飛び出した。
お披露目をするように、クルリと畳の上でターンする。
そして上目遣いに俺を見つめ、

「どうかしら……おかしくない……?」

お前はいいよな。好き勝手に素に戻れて。

648:名無しさん@ピンキー
11/07/18 11:48:14.71 oFS8uKTF
俺は上から下に瑠璃を眺め、忌憚なき感想を言ってやった。

「すげー似合ってるよ」
「……あ、ありがとう」

瑠璃が着ているのは、マスケラ二期の夜魔の女王の新コスチュームだった。
一期のロングドレス風とはうってかわって、上はスリーブレス、下はミニのフレアスカートと、
全体的に露出度の高い、要するにエロっちいテイストに仕上がっている。
おかげで俺のリヴァイアサンも僅かに復活し、

「また裁縫の腕上げたんじゃないか?
 ほら、こんな細かいところも―」

さり気なく触れようとしたところで、ひらりと身を躱される。

「"あなたがここに現れた理由は、全て分かっているわ"」

幕間はこれにて終了らしい。

「"ルシファーの裏切りに遭い、あなたは能力を失った。
  他の能力者と戦うためには、新たなディアブロと契約を結ぶ必要がある。
  けど、この私―夜魔の女王―が、そう易々と闇の力を譲り渡すと思って?"」

俺は冊子を構え直して言った。

「"どうすれば、俺と契約を結んでくれる?"」
「"あなたは一度私を滅ぼした仇敵。代償は大きいわよ"」
「"早く言え"」

初めて俺と真夜の気持ちが一致した瞬間である。

649:名無しさん@ピンキー
11/07/18 11:49:05.51 oFS8uKTF
「"そうね……良いことを思いついたわ。
  あなた、未来永劫、このわたしに傅くと誓いなさいな"」
「"ふざけるな。俺はお前の言いなりになんてならない。
  交渉条件はイーブンだ。俺はお前と契約しなければ戦えない。
  お前は俺と契約しなければ、俺が死ぬまで、この墓場のようなところで過ごすことになる"」
「"っふ、それはどうかしらね。わたしが存外、この場所を気に入っているとしたら?"」
「"……くっ"」
「"冗談よ。わたしとて、いつまでもこんな場所に引き籠もっているのはご免よ。
  けど……、契約の前に、ひとつ約束して頂戴。
  戦いが終わったその時は、わたしを闇の渦に返すと"」
「"分かった"」

瑠璃はナレーター役に転じ、

「"炎の円環の中、真夜とクイーンの距離は徐々に狭まっていく。
  熱気と殺気に入り交じり、一刹那、肉欲の香が匂い立った"」

と言いながら、現実でも距離を詰めてきた。
なにしろ部屋が狭いので、移動は一瞬で終わった。

「"―これより、契約の儀を執り行う"」

瑠璃は厳かに言い……、前触れ無く、キスを仕掛けてきた。
応えようとしたところを、目線で制される。
されるがままでいろ、ということだろうか。
瑠璃の舌先が俺の唇を割り、まるで探し物を探すかのように、口内を満遍なく刺激する。
唾液の嚥下さえ許されない状況で、瑠璃は手際よく、俺の上着を脱がしていった。
瑠璃のひんやりした手が、俺の胸板に触れ、乳首を撫でさする。

650:名無しさん@ピンキー
11/07/18 11:49:43.79 oFS8uKTF
「っ……く……」

変な声を上げそうになるのを必至に堪えながら、
俺は今の状況に纏わる、ある事実を思い出していた。
マスケラ二期の契約シーンは、その過激さから放送倫理に引っかかり、放映時に大幅な改変を余儀なくされたこと。
そして改変前の台本が制作関係者によりインターネット上に流出したと、掲示板で噂になっていたこと。
つまり、さっきの小冊子は……。

「……ん……む……っ……」

執拗に口蓋を侵され、思考を中断される。
復活した俺のリヴァイアサンに、瑠璃は右手で、衣装越しに触れてきた。
裏筋のあたりを爪先でなぞり、掌で玉袋の辺りを圧迫する。
情けない男の声が聞こえたと思ったら、それは俺自身の声だった。

「"契約には心身の同調が必要不可欠よ"」

夜魔の女王になりきった瑠璃が、耳許で囁く。

「"あなたはただ、わたしに身を委ねていればいい"」

耳穴が、温かく湿った何かに蹂躙される。
首筋を撫でられ、耳たぶを甘噛みされるごとに、背筋を快楽の電流が走った。
服越しの刺激だけで、射精してしまいそうな感覚があった。

「"フフ、出してしまいなさい、真夜。きっと、ものすごく気持ちよくなれるわ"」

瑠璃は俺の頭を抱え、止めとばかりに舌を絡めてくる。
股間を摩擦する瑠璃の手が速まり、重く、怠い感覚が腰を包み込む。

「ああっ、ダメだ……俺……もうっ……!」

651:名無しさん@ピンキー
11/07/18 11:51:01.34 oFS8uKTF
勝ち誇った笑みを浮かべて、瑠璃は俺を見つめた。
俺も満面の笑顔で瑠璃を見つめ返してやった。

「"我慢できねぇ……なーんて言うと思ったか、夜魔の女王"」
「え?」

呆気に取られた瑠璃の頬を両手で挟み、今度はこちらから唇を押しつける。
玄関先でしたものと比較にならないほど濃厚なキスをしてやると、
瑠璃は腰が抜けたように座り込み、潤んだ瞳で俺を見上げた。
ささやかな背徳感が脳裏を過ぎる。

「"け、契約の儀はわたしが―"」
「"俺がしてやられてばかりだと思うなよ"」

攻守反転。
瑠璃の体に体重をかけ、畳の上に組み敷く。
手製の衣装を傷つけないよう、優しく上の着衣を脱がせると、
先ほどまでの威厳はどこへやら、瑠璃はイヤイヤをするように首を振った。
裸を見せ合った回数は既に十を超えているが、未だに羞恥は消えないようだ。
無論、俺としてもその方がそそるが。

「"契約を結ぶには、心身を同調させる必要があるんだろ?
  なら、俺もお前を気持ちよくしてやらないとな"」
「そんなセリフ……どこにも……や……んっ」

固く尖った乳首を口に含み、舌先でつつき、歯を立てる。
艶っぽい嬌声を聞きながら、瑠璃の秘所へと手を伸ばす。
サテン地のスカートを捲り上げると、ワンピースを着ていた時と違う黒の下着が覗いた。
おそらく、このコスプレのためにわざわざ履き替えたのだろう。
その役者魂には怖れ入るが……この分だと、また履き替える必要がありそうだ。

652:名無しさん@ピンキー
11/07/18 11:51:58.28 oFS8uKTF
「"大洪水じゃねえか、夜魔の女王。
 俺を責めてる時からこんなにしてたのか?とんだ変態だな"」
「ち、違っ……」
「……何が違うんだ?言ってみろよ」

言葉で嬲りつつ、俺は瑠璃の下着のクロッチ部分を脇にずらし、
濡れそぼった茂みに中指を埋没させていった。
股を閉じて抵抗しても、遅い。
親指の腹で充血した秘核を摩擦しながら、根本まで埋まった中指を、指先で円を描くように動かしてやると、

「っ……はぁっ……」

切なげな吐息を漏らし、身悶えする瑠璃。
しばし手淫を楽しんだ後、俺はお約束として、引き抜いた指を瑠璃の目の前に持って行き、

「"夜魔の女王も、所詮は女だな。いや、厭らしい雌か。
  ぐしょぐしょに股ぐらを濡らして、ずっと男が欲しかったんだろう?あん?"」

あれ、真夜ってこんなキャラだったっけ。
自信は無いが、瑠璃の反応を見る限り、台詞選びは悪くなかったようだ。

「"そんなに意地悪……しないで頂戴……"」

白皙の肌を朱色に染めて、懇願するような眼差しを注いでくる。
ただそれだけの仕草で、俺のリヴァイアサンの硬度は三割増である。
俺は下の衣装を脱いで一物を取り出し、物欲しそうにひくつく割れ目に宛がった。
が、すぐには突き入れずに、瑠璃の耳許で囁く。

「"契約が完了すれば、俺とお前は対等の関係になるのかもしれない"」
「"…………"」
「"でも今だけは、俺がお前の主だ。
  いいか、夜魔の女王。お前はこれから、ただの人間の男に、犯されるんだ"」

653:名無しさん@ピンキー
11/07/18 11:53:16.02 oFS8uKTF
言い終えると同時に、一息に腰を沈ませる。
肉壺はこれまでにない熱さと湿り気で、俺の一物を包み込んだ。

「――ッ」

背筋を弓形に反らせ、呼吸さえ忘れて快感に溺れる瑠璃。
性行時の快楽の度合いは、女の場合、精神状態が大きく影響するという。
その理論を信じるなら、夜魔の女王のコスプレをして、同じく仇敵・真夜のコスプレをした男に犯されているという状況は、
瑠璃に最高の快楽をもたらしているに違いなかった。
彼氏彼女のエッチよりも気持ちいい、と言外に言われたようで、悔しくないと言えば嘘になるが、
まあ仕方ないか、と諦めている自分がいるのも事実だ。
実際、普段よりずっと瑠璃の中の具合がいいしな。

「"もっとだ、もっと俺を満足させろ、夜魔の女王"」

小ぶりなお尻を抱え上げ、性欲処理機を相手にしているかのように、乱暴に腰を打ち付ける。
瑠璃は息を弾ませながら、

「"はぁっ……あっ……ふっ……あなた……真夜ではないわね……"」

役から外れすぎたか、と一瞬ドキリとしたが、

「"あっ……んっ……真夜の中の異形の血が……っ……本能の解放と共に目覚めたというの……"」

流石は瑠璃、脳内補正バッチリである。
コレ幸いと俺も追加設定に乗っかり、

「"ああ、そうだ。今の俺は真夜でも漆黒でもない、お前を犯し尽くすために生まれた人格だ"」

なるたけ低い声色で言い、根本まで一物を突きいれる。

654:名無しさん@ピンキー
11/07/18 11:54:49.09 oFS8uKTF
最初の三回までは試行錯誤の連続だったものの、
今や瑠璃の体の悦ばせ方は、本人の次に知悉している自負が俺にはあった。
一物のカリ首を使い、秘核の裏側にあたる部分を、孫の手の要領で刺激すると、
「ああぁっ」と甲高い悲鳴を上げ、瑠璃はあっさりと絶頂に達した。
が、そこでストロークを加減してやるほど、俺が演じている役は優しくない。

「"もう……っ……ダメ……許して……お願い……"」
「"お前は黙って契約に集中しろ。
  それともイキ癖がついて、契約に集中できなくなったか?"」

瑠璃は息も絶え絶えの様子で、首を横に振る。

「"はぁ……あぁっ……もう少しで……んっ……契約は、完了よ……"」
「"いいだろう。完了と同時に、俺もお前の中に、たっぷりと子種を注ぎ込んでやる。
  どんなガキを孕むか楽しみだな"」
「"だ、ダメっ……それだけは……そんなことをされたら……わたしっ……"」

言葉とは裏腹に、瑠璃の中はキツさを増していった。
無数の襞が、ひとつひとつ別個の生き物のように絡みつき、
全体としての肉壁が、精を絞り尽くさんと蠕動する。
瑠璃に弄ばれていた時と違う、本物の射精感が込み上げてくる。
無論、さっきの台詞は演技で、俺は射精寸前で一物を引き抜き、瑠璃の真っ白なお腹の上で果てるつもりだった。
が、いざその時が来ると、一定以上腰を引くことができない。
理由は単純、瑠璃の両腕が俺の背中に、瑠璃の両足が俺の腰に絡みついているからである。

「お、おま……」
「大丈夫……っはぁ……今日は……安全な日……っ……だからぁ……」

ええい、ままよ。ここまで来たら、その言葉を信じるしかない。
俺は瑠璃の背中を浮かせるようにして、斜め下から一際強く、瑠璃の体を刺し貫いた。

「"イくぞ、夜魔の女王っ!"」
「"あぁぁあぁぁぁっ!"」

一体感に脳髄が痺れ、電流が脊髄を駆け抜ける。
溜まりに溜まった熱い塊を吐き出すように、俺は瑠璃の最奥で射精した。

655:名無しさん@ピンキー
11/07/18 11:55:54.87 oFS8uKTF
「本当に大丈夫な日だったんだろうな」

畳の上に寝っ転がりながら、俺は隣の瑠璃に訊いた。

「……嘘はついていないわ」

危険日に中出しした場合、妊娠する確率は約10パーセントらしいが、
果たして安全日に中出しした場合は何パーセントなのだろうか……。
ああ、こんなことなら、もっと学友の猥談の輪に入っていれば良かったぜ。

「なあ……」

隣を見れば、瑠璃は未だ恍惚醒めやらぬ、と言った様子で、ぼうっと天井を見つめている。

「はは、よっぽどコスプレエッチが気に入ったか」
「な―わたしは本来、アニメに忠実な契約シーンの再現をするつもりだったのよ。
 それをあなたが暴走して……」
「言い訳すんな。お前は最初から、俺を焦らして、暴走させるつもりだったんだろ。
 そうすりゃ、俺に無理矢理コスプレエッチをさせられたって言い訳ができるからな」

きゅ、と下唇を噛む瑠璃。言い返せないってことは、図星だってことだ。
俺はそんな彼女の髪を、手櫛で梳いてやりながら、

「なら、最初から正直に言えっての。俺が嫌がると思ってたのか?」
「そんなこと……面と向かって、言えるわけがないじゃない」

それもそうか、と納得する。
俺だって瑠璃に『エッチの時俺のことをお兄ちゃんって呼んでくれ!』なんて死んでも言えねえ。
や、勘違いすんなよ、そんな願望はこれっぽっちもねえからな。

656:名無しさん@ピンキー
11/07/18 11:57:46.80 oFS8uKTF
「これからは、好みの場面が出て来たら、遠慮なく言え。
 俺も出来る限りの範囲で、役を演じてやるからよ」
「ええ……分かったわ。わたしは最早遠慮しない。
 でも、当分の間は、二期の契約シーンに勝るシチュエーションは出てこないでしょうね」

やれやれ、そんなに真夜×夜魔の女王がお気に入りか。
真夜×ルシファーの健気責めツンデレ受け以外認めませんッ、という瀬菜の声が聞こえた気がしたが、無視した。

「けどな、瑠璃。コスプレエッチに協力するにあたって、一つ、条件があるぜ」
「何かしら?」

髪を撫でられるのが心地よいのか、蕩けた瞳で瑠璃がこちらを見る。

「コスプレエッチの後は、恋人同士のフツーのエッチもする。それが条件だ」
「ふふっ……」

と瑠璃は妖艶に笑い、獲物の反応を伺う蛇のように目を細めた。

「あなたは、真夜に妬いているのかしら?
 それとも自分の代わりがいるのではないかと、不安になったのかしら?」

ああ、そうだ。その通りだ。
俺はお前の望み通りの役柄を演じながら、一種の寂しさを感じていた。
瑠璃の目に映っているのは、俺ではなく、マスケラの主人公・真夜そのものなのではないか?
俺でなくとも、真夜を演じることができる男なら、瑠璃は誰でも良いのではないか?
なーんてことを考えていたのさ。

「本当に、莫迦な雄ね」

瑠璃はくつくつと喉を鳴らし、身を起こして、俺の体にすり寄ってきた。

657:名無しさん@ピンキー
11/07/18 11:58:48.92 oFS8uKTF
「わたしにとって、あなたは唯一無二の存在よ。
 代わりなんていない。いるわけがない。
 あなたがいなくなれば……、きっとわたしは死んでしまう」
「瑠璃……」
「さあ、今度は闇の契約ではなく……恋人の契りを交わしましょう?」

瑠璃が俺の上に跨がり、すっかり固さを取り戻した一物を、優しく手に取り、自身の秘裂に導く。
涎のように垂れる白濁液が、たまらなく淫靡だった。

「んっ……はぁぁ……」

一物が完全に呑み込まれる。
俺は瑠璃の体を引き寄せ、ぴたりと上半身を密着させながら、騎乗位で突き上げた。

「京介……あぁっ……好きぃっ……」
「俺もだ……大好きだぞ……瑠璃………」

コスプレエッチもいいが、やはり俺は、こっちの方が好みだ。
それから買い物に出かけた"二人"が帰宅する直前まで、俺たちは深く愛し合った。


さて、この話には少し続きがある。
五更家で晩ご飯―カレーライス―をご馳走になった俺は、
今、下の妹二人と一緒に、居間でテレビを眺めていた。
台所ではおばさんと瑠璃が洗い物をしている。
親父さんは家から遠く離れた仕事場で、泊まり込みでお仕事……らしい。
何度か顔を合わせたことがあるが、外見内面ともに穏やかな、優しい人だった。
壁時計が八時の鐘を鳴らすのと同時に、珠希が小さな欠伸をした。

「ん、珠希、もうおねむ?今日は早いね」
「買い物に行ったせいで、疲れたのかもな」

658:名無しさん@ピンキー
11/07/18 11:59:35.75 oFS8uKTF
日向は普通のお姉ちゃんらしく、優しい口調で尋ねた。

「どうする?今日はお風呂入らないで、お布団入る?」
「……お風呂、入りたいです」

この歳でも女の子か。

「便所ついでに、風呂の準備してくる。寝入るなよ、珠希」

俺は珠希の頭を撫でて、立ち上がった。
五更家の勝手は知ったるもので、俺はさして迷うことなく、縁側の廊下を進んでいった。

「待って待って、京介くんっ!」

トットットット、と小気味良い八拍子が聞こえ、背中に何かが激突したかと思えば、日向だった。

「あたしもお風呂入れるの、手伝うよ」
「一人で出来る。つーか、手伝うって何を手伝うんだ」
「ねーねー、京介くんは今日お泊まりするの?」

人の話聞いてねえな、コイツ。

「しねえよ」
「え~~~~っ!なんでなんで?
 今日はお父さんも仕事でいないしィ、あたしと一晩中ラブラブする絶好のチャンスじゃん?」
「黙れマセガキ。お前とラブラブしてどうすんだ」
「京介くんひっどぉ~~~~い!今あたし超傷ついたんだからね!」

659:名無しさん@ピンキー
11/07/18 12:00:30.67 oFS8uKTF
ぷくーと頬を膨らませ、睨み付けてくる日向。
……良い機会だ。ここらで灸を据えてやるとするか。
俺は屈み込み、日向と視線の高さを合わせて、

「お前、ラブラブの意味分かって言ってんのか?」
「えっ」
「ラブラブするってのが何をすることか、具体的に言えるか?」
「えっと、それは……」

日向は顔を真っ赤にさせて言った。

「し、知らないっ!」
「ウソつけ」
「ウソなんかついてないもん!」
「見たままを言えばいいんだ、できるだろ」

日向の顔色が、赤→白→青→赤と目まぐるしく変化する。

「お前なあ……覗きがバレてないとでも思ってたのか」
「……なんで」
「足音とか……なんつーか、気配?」
「ル、ルリ姉も知ってるの?」
「いいや、あいつは気づいてないみたいだ。
 気づいてたら、何かしらお前に言ってただろうしな」

660:名無しさん@ピンキー
11/07/18 12:02:21.94 oFS8uKTF
日向が俺とルリの秘め事を覗き見していることには、結構前から気づいていた。
今日、日向が母親の買い物に着いていった時も、
晩飯をオムライスとカレーライスのどちらするか珠希と揉めていたが、
結局出て来たのは珠希が希望したカレーライス、
日向が折れたのか、とおばさんに聞いてみたところ、
道中、突然日向が「友達を見つけたから喋ってくる!」と言って、お手伝いを放棄したからだそうで、
しかし日向の行き先は十中八九、俺と瑠璃が愛し合う自宅だったに違いない。
一部始終を盗み見た日向は、おばさんや珠希が帰ってくる頃を見計らい、
一度家を出た後で、友達と遊んできた風を装い、遅れて帰宅したのだろう。あくまで推測だが。

「京介くん、エスパー?」

当たってたのかよ。俺は溜息を吐いて言った。

「性に興味があることを、責める気はねえ。
 でもな、そういうのは、保健体育の教科書見て満足しとけ」
「小学校で……そういうの、教えてくれないし」
「そりゃあ、お前くらいの年で、んな知識はまだ必要ねえからな。実技の観察なんて尚更だ」

踵を返して風呂場に向かうと、日向は俺の行く手に回り込み、腰の辺りに抱きついてきた。

「京介くんは、勘違いしてる。
 あたしが京介くんとルリ姉が、エッチなことしてるの見てたのは……悔しかったから。
 ルリ姉ばっかり、ずるい。あたしだって、京介くんのこと大好きなのに」

声には湿り気が混じり、本気の度合いが伝わってきた。

「……ルリ姉にしてるのと同じこと、あたしにもしてよ」

661:名無しさん@ピンキー
11/07/18 12:03:12.24 oFS8uKTF

頭痛と目眩と顔の火照りが、いっぺんに俺を襲う。
オー、ジーザス。
なぜ神はかような試練を、無垢なる羊に与えたもうたのか。
どうすればいい。どうすれば、この場を丸く収められる?
どう答えれば、日向を傷つけずにすむ?

「なあ、日向。顔を上げてくれ」
「……うん」

結局、俺は先人の知恵に頼ることにした。
彼女の妹に惚れられたが、その子の幼さ故に、慕情を退けざるを得ない、
そんなエロゲ的展開を乗り切れるのは、同じくエロゲ主人公のみである。
ありがとう桐乃。俺、マジで妹ゲーやっといて良かったわ。

「俺がお前に、瑠璃にしたみたいなことをしたら、色々と問題があるんだよ。
 それくらいは分かるよな?」
「うん……犯罪になっちゃうんだよね?」
「そうだ。それに何より、お前の体が、まだ完全に男を受け入れられるように出来てない。
 お前も最初に覗いたときは、怖かったんじゃないか?」

コクコク、と日向は頷き、

「でもね、ルリ姉も最初の頃はすっごく痛がってたけど、
 三回目くらいからかなぁ、今度はすっごく気持ち良さそうに―」
「あーあー皆まで言うな。とにかく、だ。
 お前が俺とそういうことをするには、まだ五年も六年も早い。
 いっぱい飯食って、いっぱい成長して、出るとこ出してから出直してこい」

662:名無しさん@ピンキー
11/07/18 12:04:10.14 oFS8uKTF
俺は冗談交じりに言って、日向の胸を突いてやった。
きゃ、と可愛らしい悲鳴を上げて、日向は無い胸を隠す素振りをする。

「京介くんのエッチ……でも、期待してもいいんだよね」
「おう」

中学生、高校生に上がれば、日向も人並みに恋をするだろう。
そうすれば数年後には、この日の約束は、恥ずかしい思い出として風化しているはずだ。
俺はそう高をくくっていた。

「あたし、一途だよ。京介くんが思ってるより、ずっと」

ちゅ、と懐かしい響きが聞こえた。

「呪い、かけたから。ルリ姉がかけたのと、同じくらい強力なヤツ」

はにかみ笑いを浮かべた日向が、ステップを刻んで距離を取る。
唇に残る、熱く湿ったキスの痕。頬にされるのとは訳が違う。
しかも呪いって……お前は五更家の反厨二病勢力筆頭じゃなかったのかよ。
狼狽える俺を余所に、日向の体がピタリと静止した。

「どうしたんだ……?」
「…………」

日向は一点を凝視したまま、一言も喋らない。
俺は妙な胸騒ぎを感じて振り返った。


―夜魔の女王がそこにいた。

663:名無しさん@ピンキー
11/07/18 12:04:57.90 oFS8uKTF
「そう。そういうことだったのね。
 これまで考えすぎだと、有り得ないと、自分に言い聞かせてきたけれど……。
 やっぱり、わたしが甘かったみたい。
 あなたがここまで節操のない雄だと、見極め切れていなかったのだから」
「瑠璃、少しでいい。少しでいいから俺の話を、」
「言い訳無用。あなたの罪は極刑……いえ、万死に値するわ」
「ル、ルリ姉、京介くんは悪くないよ」
「黙りなさい」
「ひうっ」

ああ、今日は世にも珍しい日だ。
黒猫、白猫、エロ猫、そして闇猫。瑠璃の四変化を見られるなんてな。
どこから持ってきたのだろうか、彼女の手には、鋭利なGペンが握られていた。
あれで刺されたらさぞかし痛いことだろう。

「死になさい」

ああ、いったい俺は、どこで選択肢を間違えちまったんだ?
凄艶な笑顔が、鬼の形相に変わった。
俺は土下座作戦を中止し、裸足で庭に逃げ出した。


おしまい!

664:名無しさん@ピンキー
11/07/18 12:08:24.02 BQyQ5rrP
よくやってくれた

665:名無しさん@ピンキー
11/07/18 12:12:51.34 AIRKZsxF
GJ。地文とエロさと台詞のギャップが面白かったです。
安全な日だからとのたまう夜魔の女王様が可愛い。

666:名無しさん@ピンキー
11/07/18 12:14:19.21 pD4R1rvn
GJ
こういうのが読みたかったんだよ

667:名無しさん@ピンキー
11/07/18 12:17:23.69 pTIZUXZF
>>625
相変わらず面白くないな
純粋に話作りの才能がまるでない
こういう本格的な話が書きたいならまずは本を散々読んでからにしたほうが良い
恥さらし過ぎ

668:名無しさん@ピンキー
11/07/18 12:20:48.38 HgCzM6j4
煽るなら尚更専スレ行けよ
荒らし行為は歓迎しないわ

669:名無しさん@ピンキー
11/07/18 12:22:56.42 jNIIFPOG
>>633
GJ!


ところで専用スレの意味がない件

670:名無しさん@ピンキー
11/07/18 12:50:18.82 BF789LiY
クソみたいなSSの後にお手本のような良SS
三姉妹も上手く書けてたしエロくて良かった

671:名無しさん@ピンキー
11/07/18 13:51:27.05 QrypJqV/
ふう、和むぜ
いや、和んでもいられないオチのような気もするがw
しかし、旧五更家にインターホンなどと言うハイカラな物はあるのだろうか

ところでマスケラのDVD見てるシーン、多分、お絵かきしてる珠希の名前が日向になってますね
あと、瀬菜の一押しカプは、真×ルシじゃなくてルシ×真。追憶の台詞とか見ても、ルシファーの方が健気キャラらしい

672:名無しさん@ピンキー
11/07/18 14:06:30.90 GjDT2m0Q
>>625
ちゃんと話に区切りがつくかと期待していたのになあ。
ちょっと失望しました。


673:名無しさん@ピンキー
11/07/18 15:33:40.59 oOZEXLvI
やたら伸びてると思ったら専用スレがあるのにこっちに
投下する荒らしが沸いたのか

>>663
そんななか乙

674:名無しさん@ピンキー
11/07/18 15:49:25.83 ynnn9gJu
もうっ、SL氏ったら

675:名無しさん@ピンキー
11/07/18 16:40:21.70 sdaX9Uy+
>>625
めちゃめちゃ面白かった。

続きもお願いしますね!

676:名無しさん@ピンキー
11/07/18 16:55:07.22 igei/a+H
たまちゃん「おねぇさまたちばかりずるいです」

つまりこういうことだな

677:名無しさん@ピンキー
11/07/18 18:04:36.22 E16JIPVV
>>625
まず作品投下乙。今回はエロ描写はいいな。
続いて堂々とこっちに投下した心意気へ乙。一部のガキは気にせずまた読ませてくれ。

さて、今回はオリキャラとあや京の掛け合いだがはっきり言って読む気がしない。
描写なり段階を踏むのは否定しないが極力圧縮してくれることを望む。

最後に黙って投下すれば良い。擁護する人間はいるんだから煽るな。
他の作者に迷惑をかけるやりかたはよくないな。

678:名無しさん@ピンキー
11/07/18 18:08:51.68 /kZr3Yzs
>>625
GJ!!!!続きを激しく期待!!!!

679:名無しさん@ピンキー
11/07/18 18:57:54.55 JQFGJgI2
S,Lさん自演やめてね

680:名無しさん@ピンキー
11/07/18 19:01:11.78 0QCWEKhB
ほっとけー

681:名無しさん@ピンキー
11/07/18 19:30:25.17 ClL3gvAB
>>625
>>663
個人的には両方ともすごく楽しめました、GJ!

682:名無しさん@ピンキー
11/07/18 19:38:11.82 kZCKUpIf
SLのゴミの後にマトモなのが来てくれて良かったよ。

683:名無しさん@ピンキー
11/07/18 19:45:33.01 bNRZ1mzZ
というか、SLの話はもうここら辺までにしとこうぜ。
空気悪くなるし
それよりか誰か日向ちゃんと京介のエロパロ書いてください…
お願いします…

684:名無しさん@ピンキー
11/07/18 23:35:13.57 QqUl39I+
SLさんも香ばしい作品を投下しなきゃここまで嫌われなかっただろうに
読み応えがあるだけに残念だ

685:名無しさん@ピンキー
11/07/18 23:37:59.27 H5eVNHr7
いや香ばしいのは作品じゃなくて本人の性格……もうええっちゅーの

686:名無しさん@ピンキー
11/07/18 23:59:27.60 pD4R1rvn
無駄に長けりゃ読み応えあるんだな
アホくさ

687:名無しさん@ピンキー
11/07/19 00:07:23.77 cEgP1GK4
取り合えず専用スレにいこうな、な?

688:名無しさん@ピンキー
11/07/19 00:20:36.42 Mhp7wym+
ageレスとその後の数レスは高確率で嵐と誘いレスだから触らないことだな

689:名無しさん@ピンキー
11/07/19 00:49:14.26 fT6y2Isn
>>625
つまらなかった。
オリキャラが全然死んでるよ。
あやせも京介もあやせや京介である必然性がゼロ。
やっぱアンタオリジナルで書いたほうがいい。

>>663
うん。まさにこれがSSだね。
キャラクターが原作っぽいし愛もあふれてるのがわかる。
もっと読みたいな。書いておくれよ

690:名無しさん@ピンキー
11/07/19 00:49:35.40 V0Lfam0C
SL氏、面白かったですぞな!
そして、連発で新しいSSを書いてくれた人、GJでした!
住み分けとか言う、いじめっ子が良くやる手口や、何でも比べたがる荒しは無視して、
是非とも続きを頑張ってください!
お二方とも応援してます!

691:名無しさん@ピンキー
11/07/19 01:16:00.09 6Kx1oY6V
黒猫もかわいいけど日向ちゃんもかわいいわー
一途に思われるなんて京介爆発汁

692:名無しさん@ピンキー
11/07/19 01:43:25.41 QzWEksYM
片や、トリを付けオリキャラだらけの駄文を投下し胸くそ悪い捨てゼリフを吐く書き手
片や、原作に忠実かつ構成文章ともに優れた良作を投下し去り際も見事な無名の書き手

俺は後の人がいれば満足
前の人は専用スレでやってくれ

693:名無しさん@ピンキー
11/07/19 01:52:49.54 FVVXvWO0
V0Lfam0C必死すぎるだろ

694:名無しさん@ピンキー
11/07/19 02:05:27.11 AehSU2wI
プロ顔負けのSL氏のすぐ後に投下してる
恥知らずでどうしようもない奴がいると聞いて。

SL氏は荒らしに負けず頑張って!
悪く言ってる奴は全部あなたの才能に嫉妬してるワナビですよ。

695:名無しさん@ピンキー
11/07/19 02:10:34.80 2mBc9zCd
内容のことは置くにしてもさ、どうしていつも余計な事を言って去るんだろうな、SL氏は
そして、自分の気に入らない書き込みには噛み付いて捨て台詞残すくせに
一度だって、>>694みたいなのを嗜める発言をしたことはない。それをするだけでも、大分印象が違うのに
それとも、694みたいに言われて、本気でいい気分に浸っているんだろうか? 違うと信じたい

696:名無しさん@ピンキー
11/07/19 02:15:50.89 ia/CNuiq
恥知らずでどうしょうもない奴は誰だって話だな

697:名無しさん@ピンキー
11/07/19 02:21:31.71 xsoNYqqL
>>695
信者も荒らしもSLの中では当価値だから

698:名無しさん@ピンキー
11/07/19 02:29:44.68 r3BpCc3P
SLはエロシーンの描写だけ途端にアホっぽくてワロタ
まあせっかく結構な長文を書いてるんだから余計なことして荒らさず粛々と投下してくれ

699:名無しさん@ピンキー
11/07/19 02:29:49.69 GVItIXHd
大学生ネタばっかでどんだけ未練があるんだよとは思う

700:名無しさん@ピンキー
11/07/19 02:37:35.21 r3BpCc3P
個人的には大学生編やること自体は歓迎なんだけど
本編ではやらないだろう続編てのは二次創作の醍醐味ではある
オリキャラだって構わない
要はなんのためにそれをやるかだけど

≫695
愉快犯もいるけど何割かは本人の自演
過去スレなんか見れば明白

701:名無しさん@ピンキー
11/07/19 02:41:31.75 ++YGFnZT
SLの書くssすごい好きなんだけど言動が残念や

702:名無しさん@ピンキー
11/07/19 02:47:19.63 ia/CNuiq
まあ問題はSL本人よりも痛すぎる擁護と他の書き手馬鹿にしてる屑なんですけどね

703:名無しさん@ピンキー
11/07/19 02:54:53.15 r3BpCc3P
なにより本編にまでおかしな爆弾仕込もうとしないかが気がかりだわw
言動や前科(?)からして
そうなると「投下だけしてれば」ということすら言えなくなる

704:名無しさん@ピンキー
11/07/19 02:58:29.12 zVT7Aycc
お前ら作者批判する前にもっと作品の批評しろよ
作品に遠慮のない意見をすれば作者は自然に淘汰されていくだろ
稀にゴキブリレベルのヤツもいて困るが

705:名無しさん@ピンキー
11/07/19 03:11:39.03 r3BpCc3P
いや別に淘汰しなくてもいいし
俺妹で楽しく二次創作したいってスタンスならハードルは下がったほうがいい
おかしなやつじゃない限り

706:名無しさん@ピンキー
11/07/19 03:56:39.65 eu4nDBqE
いや明らかに信楽が100%悪いから
基本を守れないとかカス過ぎw

707:名無しさん@ピンキー
11/07/19 03:58:08.08 eu4nDBqE
こりゃ失敬orz

708:名無しさん@ピンキー
11/07/19 04:50:28.54 /3lz+I5/
失敬が、失禁に見えた俺は病気orz

709:名無しさん@ピンキー
11/07/19 04:53:41.13 fGrCZ98r
ちなみに誰のおもらしが見たいんだい?

710:名無しさん@ピンキー
11/07/19 05:13:37.55 K65KLx60
失禁シチュが一番映えるのは潔癖なあやせたん。京介の前で漏らしちゃって羞恥で泣き出すとか可愛い
次点で黒猫。黒猫の場合は京介だけじゃなく、妹達の前でしてしまうってシチュが一番羞恥ダメージ大きそう
あとはブリジットちゃんがイベント後に間に合わなくてってのは鉄板だな

711:名無しさん@ピンキー
11/07/19 06:45:14.71 SPJvu96h
>>710

ためしに書いてみようと思うが、ここであげないほうがいいかな?

712:名無しさん@ピンキー
11/07/19 07:03:39.94 PyxJkkqc
沙織の輪物見てェ…

ダークでもいいけど
いつものメンバー達との乱交ものでも…
(沙織以外はペニバンとか…)

713:名無しさん@ピンキー
11/07/19 07:43:25.59 va574IJM
『信者』とかもまともに書けないアンチって、義務教育受けてんのか?

あ、亡国(あえてこう書く)の民辱学校出身か。納得

714:名無しさん@ピンキー
11/07/19 08:02:11.96 V0Lfam0C
>>711
ここで上げても良いんじゃないかな?
変なの居るけど、負けないで上げて欲しいです。

715:名無しさん@ピンキー
11/07/19 11:28:56.38 Veu2N3b4
>>711
いやいやいやここに上げるんだ

716:名無しさん@ピンキー
11/07/19 12:06:58.45 IKKbqliG
SL66のせいで他の作者の作品みにこれなくなった

717:名無しさん@ピンキー
11/07/19 12:13:08.82 /3lz+I5/
>>711
どのキャラでも、加奈子でお願いします

718:名無しさん@ピンキー
11/07/19 12:28:09.12 tk+LcCJ+
SLさんは専用スレが立つほど凄い人なんだから、こんなスレに来ていただかなくてもいいよ。

719:名無しさん@ピンキー
11/07/19 13:14:58.79 vG1h/GFU
というわけでで感想は専用スレでね

720:名無しさん@ピンキー
11/07/19 14:44:27.95 YgiClEdD
ここはNTRもの書くべきだ。そして京介が主人公補正で
奪い返す話を…。もしくはあやせを緑の悪魔風に…。

721:名無しさん@ピンキー
11/07/19 14:56:28.45 saRPPWWm
>>625
専用スレにゴー

722:名無しさん@ピンキー
11/07/19 15:13:01.02 AAF0faiA
>>632
神おつです

723:名無しさん@ピンキー
11/07/19 16:18:14.49 q7MVcc4T
>>632
面白かった
ああ、日向と珠希が黒猫の年子だったら良かったのに

724:名無しさん@ピンキー
11/07/19 17:23:47.87 saRPPWWm
小学生と幼稚園児だから萌えるんじゃないか!

725:名無しさん@ピンキー
11/07/19 17:50:58.63 7c66Y3rf
普通の恋愛をすることもなく、かといって仲間と連んで馬鹿騒ぎをしたりすることもなく
特に目的もなく生活を送ったためにとても悔いの残る大学生時代であった
講義が終わればそそくさと家に帰り、誰にも呼び止められず、小説に向かう日々が続く
そんな鬱屈した思いが募り、エロパロ板に来ては少しばかり他人より上手い文章ん散らかし
煽り、驕り、荒らし、ちょっとした優越感を手に入れる
自分が振り向かれなかったせいか、とらどらの亜美、俺芋のあやせ等自分を引っ張ってくれそうなキャラを取り上げては
自分の思い通りに動かす。思い通りにしたいから原作とはかけ離れるも気にはしない
他人から指摘されても幾ばくかの自演と信者により聞こえないふりをして
今日も必死に投下作業


そんなワナビに私もなりたい

726:名無しさん@ピンキー
11/07/19 18:11:53.01 n8Btofd+
>>725
俺のことか…




俺のことなのかああああぁぁぁぁぁぁ

727:名無しさん@ピンキー
11/07/19 19:37:37.44 bnyWzJa3
ID変えつつ粘着否定レスを投下するほどとはよほど恨みが深いのだな
SLさんも専用スレに行けばいいのに、本スレじゃ一般SS作者さんの恨み妬みをかうだけ
専用スレに投下されても読み専は読みに行くよ

728:名無しさん@ピンキー
11/07/19 22:05:47.90 46RDzL2F
>>727
正論

729:名無しさん@ピンキー
11/07/19 22:25:00.40 cEgP1GK4
だがその話も専用スレでやれ

730:名無しさん@ピンキー
11/07/19 22:53:15.00 7c66Y3rf
今日が初めてだから粘着とかは知らないが、書いたこと割と本気
本人も痛いのな。頼むから専用スレにいってくれよ

731:名無しさん@ピンキー
11/07/19 23:14:18.82 saRPPWWm
SL


732:名無しさん@ピンキー
11/07/19 23:17:05.82 bnyWzJa3
割と本気なら相当痛い奴なんだな君って
作者間のイザコザだの、キャラがどうだのなんて読むほうにはどーでもいいことだ
中傷や罵倒で続きが読めなくなるのが一番ダメだ
分かったらさっさとSSを書いて投下しろ

733:名無しさん@ピンキー
11/07/20 00:16:07.29 ofjHpe+w
>>732
痛い奴がID変えて何度も登場だもの
笑っちゃうよね

本当にヒマなんだな

734:名無しさん@ピンキー
11/07/20 00:24:53.19 xSk1AZ7R
自虐しなくてもいいだろ

735:名無しさん@ピンキー
11/07/20 00:31:48.45 ZaMMhsXR
続き読めなくなるのがダメなのはホントだよね。
読み手は出ていけなんて別に思わないよ。
書き手さんたちはなんで仲良くできないのかな。

736:名無しさん@ピンキー
11/07/20 00:33:15.71 ERa4lI+F
日付変わったしやめようかと思ったが
確かに定期的にID変えつつアンチに勤しむやついるのはわかるけど
なんでもかんでも一人でやってると思わんと精神が安定できん病気かなんかなのか

>>734
日本語で
俺はいたって普通に馬鹿騒ぎしつつ楽しく過ごしてるよ

737:名無しさん@ピンキー
11/07/20 00:38:13.23 ofjHpe+w
お前の上から目線も病気だな
何様のつもりだ? SLか?
書き手らしいが、その態度なら、さぞかしいいもの書いてるんだろうな

俺の先入観を裏切るようなことは勘弁な

738:名無しさん@ピンキー
11/07/20 00:39:18.12 ZaMMhsXR
一人でも数人でもケンカはやめたほうがいいよ。
スレはSSで埋めましょう。

739:名無しさん@ピンキー
11/07/20 00:50:06.01 xSk1AZ7R
>>736
いや、お前誰だよ。お前にいってねーよ

740:名無しさん@ピンキー
11/07/20 01:06:33.03 zXAlWH1h
中~長編で書けるようなお題を募集してもいいですか
最近アイデアが枯渇気味で困っています

741:名無しさん@ピンキー
11/07/20 02:03:21.45 112eIcU4
>>625
GGGGGGGGGGGJ!!!
最高でした!
あなたの文章はエロパロどころか総ての読み手にとって”宝”だと思う
たった一人のアンチは無視してこれからも頑張ってほしい

P.S
物分りのいいファンの振りしてスレを追い出そうとなりすまししてる馬鹿がいます
そうゆうのに引っかかる人ではないとしんじていますが
ご注意を・・・・

742:名無しさん@ピンキー
11/07/20 02:15:57.05 LNplvvXm
隔離病棟から出てくんなよ

743:名無しさん@ピンキー
11/07/20 02:19:09.67 NHjqGJ75
>>740
きりりんのお漏らしネタで
やっぱ妹と言えばお漏らしだよね!

744:名無しさん@ピンキー
11/07/20 02:24:30.42 wbdMZj7V
妹キャラの基本は、物理的な距離が近い事を生かした夜討ち朝駆けだろう

745:名無しさん@ピンキー
11/07/20 02:26:03.09 nqDkJj+x
むしろ悶々と前戯だけくりかえして本番の無いやつお願いします

746:名無しさん@ピンキー
11/07/20 03:01:50.22 6MY+i5hh
>>740
加奈子が本当に魔女っ子やる話で

747:名無しさん@ピンキー
11/07/20 03:42:45.98 8uKVGYph
>>663
GJ!!!

いやあ、これは良かった。なによりキャラに対する愛をひしひしと感じた。
黒猫も京介も妹たちも活き活きとしてるのは書き手がキャラに対して深い思い入れがあるからなんだろうな。

すばらしいものを読ませてくれてありがとう。

748:名無しさん@ピンキー
11/07/20 07:45:59.43 CinEHwEj
>>740
京介の忙しさによるご無沙汰シチュエーションとかどうでしょうか?
相手は誰を想定しても良いので、

恋人になって何度か身体を重ねたものの、京介が忙しくなってしばらくご無沙汰。
京介に抱かれる快感を知ってしまった身体を持て余して、一人で耽ってみたり、何とか抱いて貰おうと一生懸命誘惑してみる……

みたいな話。

749:名無しさん@ピンキー
11/07/20 08:52:05.80 BJfInf0t
>>740
黒猫と妹たちのほのぼの日常モノで頼む

750:名無しさん@ピンキー
11/07/20 12:03:32.38 yysdlKJl
>>740
ヒロインズは程々でいいので格好良い京介メインでお願いします

751:名無しさん@ピンキー
11/07/20 14:07:36.98 SvFqUu24
カッコいい京介が五更家三姉妹と日常的にほのぼのSEX?

752:名無しさん@ピンキー
11/07/20 14:39:12.81 gZycxyd7
鬼の力に覚醒した京介が三姉妹とにゃんにゃんするんですね

753:名無しさん@ピンキー
11/07/20 14:43:29.19 xnlCpvJ9
三女はガチロリだからやめとけよ
次女と背徳感セックスが望ましい

754:名無しさん@ピンキー
11/07/20 15:45:06.30 fjCiHsdh
>>753
想像したらおっきした

755:名無しさん@ピンキー
11/07/20 17:39:32.76 zXAlWH1h
・「京介と桐乃の流星観察」
・言うまでもなく京介×桐乃
・原作の一年ほど未来の話
・20レス程度

投下してもおkでしょうか?

756:名無しさん@ピンキー
11/07/20 17:46:53.17 clfG1Mc0
問題ない。是非ともお願い

757:名無しさん@ピンキー
11/07/20 17:48:31.98 zXAlWH1h
「京介と桐乃の流星観察」


八月の初旬。
俺は妹を流星観察に誘った。

「ペルセウス座流星群?」
「ああ、名前くらい聞いたことあるだろ?」
「……知らない」
「そうか?流星群の中じゃ結構有名なんだぜ?」
「だから、知らないって言ってるじゃん。バカにしてんの?」
「バカになんかしてねーよ。とにかく、一緒に見に行かないか?」
「……なんで?」
「あん?」
「なんであたしを誘うの?」
「兄貴が妹を誘うのに、理由がいるかよ」
「大学で気になってる女の子でも誘えばいいじゃん」
「生憎、俺の周りには一緒に星を観に行ってくれるような女がいなくてな」
「ふぅん。それで、妹のあたしを慰み者にするんだ?」
「ネガティブ思考も大概にしとけよ。
 行きたくないならハッキリそう言え」
「だ、誰もそんなこと言ってないじゃん」
「お前、さっきから、のらりくらりと質問かわしてばっかりじゃねーか。
 行くのか?行かないのか?どっちなんだよ」
「あたしは……兄貴がどうしてもあたしと一緒に行きたいって言うなら、行ってあげてもいいケド?」
「はぁ……俺はどうしても、お前と一緒に行きたい。どうだ、これで満足か」
「………………うん」
「日時は明後日の夜。車で迎えに行く。
 着く直前にメール送るから、玄関先で待っててくれ」

758:名無しさん@ピンキー
11/07/20 17:49:08.12 zXAlWH1h
「……あ、あのさ。流星群は、あたしたちだけで観に行くの?」
「そのつもりだ。大所帯で観に行くようなモンでもねえしな。
 なんだ、誰か誘いたいヤツでもいるのか?」
「ううん。あやせも加奈子も、その日は予定があって忙しいって言ってたし……」
「そっか。じゃあ、明日の朝早いから、切るぜ。おやすみ、桐乃」
「うん。……おやすみ、兄貴」

携帯電話を充電器に挿し、ベッドに寝転がる。
耳を澄ませば、隣の部屋から桐乃の声が聞こえるような気がした。
でも、それは錯覚だ。
ここは安普請のアパートの一室。両隣に住まうは赤の他人。
今年の春から、俺は一人暮らしをしている。
大学への通学時間を短縮するため。
自由気儘な独身生活を満喫するため。
理由はいくつか挙げられるが、最後に背中を後押ししたのは、やはり、妹の存在だった。

―『どうして、何も言ってくれなかったの?』―

耳許で蘇る、湿った声。

―『嘘でしょ?ねえ、嘘って言ってよ』―

碧眼が潤み、涙が頬を伝う光景は、今でも瞼の裏に焼き付いている。

―『やだっ、取り消して!無かったことにして!』―

痣が残っているわけでもないのに、叩かれた胸が痛んだ。

759:名無しさん@ピンキー
11/07/20 17:49:43.07 zXAlWH1h
家を出てから、もう四ヶ月が経というとしている。
時の流れを早く感じるのは、充実していた証だろうか。
大学、バイト、一人暮らし。
環境の変化に追われて、慣れることで精一杯だった。だから、過去を顧みる余裕がなかった。
違うだろ、と誰かが心の裡で言った。
順序が逆だ。お前は過去を顧みることを避けていた。だから、忙殺されることを望んだ……。

「……もう、許してくれてるよな」

独りごちて、目を閉じた。
その夜、俺は久しぶりに、ガキの頃の夢を見た。


時は流れ二日後。
バイトを早上がりさせてもらい、俺はその足で実家に向かった。
車は中古のトールワゴン。無数の擦り傷はご愛敬。

『あと五分で着く』

と桐乃にメールを送ると、

『お母さんとお父さんに会ってけば』

と返ってきた。
そこから一度も赤信号に遭わなかったために、返信することなく自宅に到着する。
遠目に見えた三つの人影は、お袋と、親父と、桐乃だった。

760:名無しさん@ピンキー
11/07/20 17:50:34.53 zXAlWH1h
助手席側の窓を開けて、俺は言った。

「一家総出かよ。大げさだな」

お袋が言った。

「あんたねえ、夏休みくらいは顔を見せに帰ってきなさいよ。
 あたしはそうでもないけど、お父さんなんか京介が出てってから、ずっと寂しそうにしてるんだから」
「なっ、でたらめを言うな!」と親父が慌てて否定する。
「ほらね?」

親父は咳払いを一つ、衰え知らずの眼光で俺を射貫くと、

「……京介、学生は学業が本分であることを忘れてはいないだろうな」
「酒にもギャンブルにも溺れてねえよ」

もちろん女にも、な。

「健康には常に気を遣え。体が資本だ、若い内は特にな」
「へいへい」

いい加減、電話で耳にタコができるほど聞かされたセリフだ。
なんだその返事の仕方は、ちゃんと分かっているのか、と憤慨する親父を宥めながら、

「気を付けて行ってらっしゃい」

とお袋が桐乃の肩から手を離した。
コクリ、と肯く桐乃の様子は、まるで借りてきた猫のよう。

761:名無しさん@ピンキー
11/07/20 17:51:01.87 zXAlWH1h
「くれぐれも危険のないようにな」と親父。
「あんたが変なことしちゃダメだからね」とお袋。

「分かってるっつーの。……行ってきます」

桐乃が乗り込んだことを確認し、俺は車を発進させた。
バックミラーに映る親父とお袋の姿が、どんどん小さくなっていく。
今度バイトの休みをもらって、ゆっくり帰省するか……。
そんな思いを巡らせつつ、俺は助手席の寡黙な妹に話しかけた。

「今日は随分とめかし込んでるな」
「……悪い?」
「悪かねーけど、お前、これからどこ行くか、ちゃんと分かってんのか?」
「知らない。ていうか、あんただって教えてくれなかったじゃん」
「星を見るなら、光害の少ない田舎と相場が決まってんだよ」

ファッションセンスを競い合う都会の街角じゃねえぞ。
それに、いくら夏とは言え、あんまり露出度の高い格好は感心しねえな。
大きく胸元が開いたシャツも、ピチピチ丈のミニスカートも、
ちょいと派手な動きしただけで、大事な部分が見えちまうぞ。

「うっさい、エロい目で見んな!
 あたしがどんな服着ようが、あたしの勝手でしょ?
 それよか、あんた、他に言うことがあるんじゃないの?」
「……髪、黒に戻したんだな」
「反応遅すぎ」

762:名無しさん@ピンキー
11/07/20 17:52:24.85 zXAlWH1h
「気づいてなかったわけじゃねえよ。
 お袋からも電話で聞かされてたしな。
 にしても、いったいどういう心境の変化だ。
 俺は茶髪の時より、今の方が断然好みだけどよ?」
「べっ、別に、あんたを喜ばせるために戻したワケじゃないし!
 これからは清純系がウケるってプロデューサーの人に勧められたから、その通りにしただけ」

じゃ、俺はその人に感謝しねえとな。
ついでに清純系の流行が長続きしますように、と祈っておくか。
県道に入るためにハンドルを切ると、ふと、左手の甲に視線を感じた。

「……車の運転、もう慣れたんだ」
「そりゃあ、毎日使ってるからな。
 ついでに言うと、料理の腕もかなり上達したんだぜ」
「ドヤ顔で言うのやめてくんない?」
「毎日自炊してんだ、少しくらい自慢してもいいだろ。
 お前もモデル業に飽きたら、俺みたいにキッチンで働けよ。嫌でも腕が上がるぞ」

その前に客の苦情で辞めさせられなければ、の話だがな。
桐乃が作った料理の不味さは、実兄の極書つきだ。

「モデルの仕事に飽きるとか有り得ないから。
 ていうか、なんでこのあたしが暑苦しい厨房に立たなくちゃならないワケ?
 フツーに考えて、ウェイトレスでしょ?適材適所って言葉知ってる?」
「料理が出来ない女は、いい嫁さんになれねえぞ。
 花嫁修業だと思ってやってみたらどうだ」
「女の子は可愛ければ、結婚できるし。
 それに……料理ができなかったら、料理ができる男捕まえればいいだけじゃん」

763:名無しさん@ピンキー
11/07/20 17:53:37.11 zXAlWH1h
なんつー安直な思考回路だ。
しかし桐乃が中学の頃と比べ、さらにワンランク上の美貌とプロポーションを手に入れているのは事実、
このまま順調に歳を重ねれば、成人する頃には男を侍らす小悪魔系女子になっていること請け合いである。
同じ母親の腹から生まれたってのに、俺とはえらい違いだよな、まったく。
懐かしの劣等感に溜息を吐きつつ、俺は言った。

「高校はどうだ。楽しくやってるか」

料理下手をからかわれたことをまだ根に持っているのか、

「お父さんみたいなこと、訊いてこないでよ」

と桐乃はつれないことを言う。

「妹の学校生活を気に掛けるのは、何も親父だけの特権じゃねえだろ」
「さっきみたいなアバウトな質問が、一番答えにくてウザいの」
「じゃあ、質問を変える。高校生入ってから、何人に告白された?」
「ちょ……いきなり何聞いてきてるワケ!?」
「可愛い妹を持つ兄として、至極まっとうな疑問だろうが。ほら、言ってみ」
「……手紙とかメールとかも合わせたら、十人くらいかな」

俺は堂々のゼロ人だというのに。
ここに顔面偏差値による格差社会の縮図を見た。

「で、返事はどうしたんだ?」
「全部断ったに決まってんじゃん」

764:名無しさん@ピンキー
11/07/20 17:54:07.75 zXAlWH1h
桐乃は声を尖らせて言った。

「前に言ったよね?
 最低でも三つ以上年上の男じゃないと、あたしの眼中には入んないって。
 いきなり告白とかしないで、普通に喋りかけてくる男もいるケド……。
 下心見え見えで、相手にしてらんないっつーの」
「お前な……、その調子じゃいつまで経っても男の友達できねえぞ」
「できなくていい」

即答かよ。

「あの、さ……、仕事場でもそういうの、全然ないから。
 変なのが寄ってきても、先輩が追い払ってくれるし……あたしも隙見せないからね」
「仕事と言えば、この前、御鏡がお前の仕事ぶりを誉めてたぞ」
「御鏡さんと?この前って、いつの話?」
「先週、一緒に飯を食った時の話だ」
「御鏡さん、あたしのことなんて言ってた?」
「んー、そうだな……お前が毎回質の高い仕事して、エタナーブランドの売上に貢献してくれてる、とか、
 これからも良き仕事のパートナーとして、趣味を語り合える友達として、末永く付き合いたい、とか」
「……なんか、照れる」
「お前はどう思ってるんだ、御鏡のこと」
「どうって、すっごくいい人だよ。
 新作できたら、一番にあたしのところに持ってきてくれるし、
 仕事場で趣味を明け透けに話せる、唯一の人だし……」
「それだけか?」
「……言っとくけど、あの時みたいなことは、有り得ないから。
 御鏡さんには好きな人いるし、あたしにもそういう気持ちはない。これっぽっちも」

765:名無しさん@ピンキー
11/07/20 17:54:39.97 zXAlWH1h
車中に微妙な沈黙が立ち込める。
ストレートに探りすぎたか、と後悔したそのとき、桐乃が砕けた調子で言った。

「てか、さっきからあたしが質問されてばっかりじゃん。
 兄貴は、大学どうなの?」
「お前、さっき自分が言ったこともう忘れてるだろ」
「あっ、ごめん。……兄貴は確か、地味子と同じサークルに入ってるんだよね」
「そのこと、お前に話したっけ?」
「お母さんが言ってた」

なるほど。

「でも、正直ありえなくない?サークル、文芸系でしょ?創作とかできんの?
 兄貴は運動系の緩いトコ、地味子は料理同好会にでも入ると思ってたんだケド」
「最初はお互い、そのつもりだったんだけどな、
 それじゃあ余りに接点が無くなるってことで、一緒に無難なところを選んだんだ。
 俺も麻奈実も、サークルじゃ専ら読み手に回ってるよ」
「ふぅん。……兄貴と地味子、学部は別々なんだよね」
「ああ」
「前から聞きたかったんだけど、なんで同じ学部に入らなかったの?」
「それは聞くな」

同じ地元の大学に通う―麻奈実との約束を果たすため、致し方なく取った安全策だ。

「他に、高校から一緒に行った人、いないの?」
「瀬菜の兄貴も一緒だぞ」
「その人の学部は?」
「麻奈実と同じところだ」

766:名無しさん@ピンキー
11/07/20 17:54:54.70 ULskidjG
次女もガチロリだろw

767:名無しさん@ピンキー
11/07/20 17:55:22.86 zXAlWH1h
「……兄貴、その人に地味子取られちゃうかもね」
「ハハ、なにバカなこと言ってんだ」

と笑い飛ばしつつも、それはない、と言い切れないのが苦しいところである。
『どうすれば田村さんの気を引けるんだ?』と赤城に泣きつかたのが先日の話、
なげやりに答えた『和菓子屋巡りでも誘えよ』の一言をあいつが真に受けていれば、
近日中には麻奈実から、『京ちゃんどうしよう、赤城くんからね……』と相談電話がかかってくるはずだ。
高二の時から麻奈実が気になっていた、と赤城に聞かされた時は心底ビックリしたっけ。
おかげで俺は今、恋のキューピッドなんて柄でもない役回りを押しつけられている。

「大学でも、あんたと地味子の関係、周りから誤解されまくりなんじゃない?」
「まあな。でも、その都度、ただの幼馴染みだってちゃんと説明してる。
 それに色眼鏡で見られるのは、中学、高校の時から慣れっこだしよ」
「……兄貴、サークルで、あんまり女の子から話しかけられないでしょ?」
「どうしてそう思う?」
「フツー遠慮するって。彼女じゃなくても、彼女みたいな女があんたの隣にひっついてたら」
「そうかぁ?俺も誤解されないように、ちっとは努力してんだぜ」
「例えば?」
「具体例を挙げるのは難しいな」
「ぷっ……全然努力できてないじゃん」

桐乃は小馬鹿にするように笑い、話題を変えてきた。

「ね、兄貴のバイト先って、大学から少し離れたところにある居酒屋だよね」
「ああ」
「今度、撮影で近くまで行くんだけど……、寄ったら、何かサービスしてくれる?」
「バカ、居酒屋は高校生が来るようなところじゃねーよ。
 そもそも、俺はキッチンで仕事してんだ、お前が来ても分からないと思うぜ」
「大きな声で兄貴の名前を呼んだら、聞こえるんじゃない?」
「恥ずかしいからやめろ」

768:名無しさん@ピンキー
11/07/20 17:56:34.37 zXAlWH1h
「冗談だって。……ね、兄貴が一緒に働いてる人って、どんな人たち?」
「んー、厨房はおっさんと、俺と同い年か、少し上くらいの男ばっかだな。
 ホールは店長の趣味で、若い女の子で固められてる」
「……バイト上がりに、みんなでどこか遊びに行ったりするの?」
「いいや。毎日鬼のように忙しくて、上がる頃にはクタクタで、遊ぶ体力なんて残ってねえよ」
「ホールの子たちと、話したりはしないんだ?」
「事務的な会話ばっかりだ。キッチンの奴らとは、だいぶ打ち解けてるけどな」
「……あんたさぁ、知らない間に何かやらかして、ホールの子たちに嫌われてるんじゃないの?」
「なわけねーだろ。
 店長曰く、俺が入るよりも前から、ホールとキッチンは仲が悪かったんだとよ。
 ホール側からしたら、新人の俺に罪が無くても、キッチン側にいるってだけで、
 話しかけにくいところがあるんじゃねえ?」

と信じたい。

「ふぅん、そうなんだ。
 残念だね、大学でもバイト先でも女の子と話す機会がないとかさぁ」

残念がってくれている割には、声からまったく同情の念が感じ取れないんだが

「一昨日に電話で言ってたコト、嘘じゃなかったんだね」
「なんの話だ?」
「兄貴の周りには、一緒に星を見に行ってくれるような女がいない、って話」
「…………」

実を言えば、新しくできた女の知り合いには、誘えば肯いてくれそうな候補が二人いた。
サークルで、好きな作家が同じで話が盛り上がった同期の子と、バイト先で、帰りが一緒になったホールの子。
が、それを明かせば、桐乃が機嫌を損ねるのは目に見えている。

769:名無しさん@ピンキー
11/07/20 17:57:28.14 zXAlWH1h
「どうしたの?急に黙り込んで」
「別に。運転に集中してただけだ。
 そういやお前、最近は沙織や黒猫と、連絡取ってるのか?」
「沙織は受験勉強で忙しいみたいだから、たまにだけど、黒猫とはほぼ毎日電話で話してるよ」
「ほー、ラブラブだな、お前ら」
「いいじゃん、友達なんだから」

黒猫が松戸市に引っ越して以来、桐乃と黒猫は、互いに素直になることを覚えたようだった。
呼び方も「黒いの」から「黒猫」へ、「ビッチ」から「桐乃」へと変わり、
さっきのように、逡巡無く相手を友達と認めるデレっぷりである。

「兄貴はどうなの?沙織や黒猫と連絡取ってる?」
「や、最近は全然だな。
 沙織はお前も言った通り、受験で忙しそうだから遠慮して、黒猫は……」
「……黒猫は?」
「俺さ、今あいつから着拒食らってんだよ」
「へ?それ初耳……なんで?
 あんた、何か黒猫怒らせるようなことした?」
「さあな。今度電話したときにでも、聞いといてくれよ」
「な、何その言い方。自分で聞かなきゃ意味ないじゃん。
 後であたしの携帯貸すから……」
「いいって」

知らず、語気が尖っていたのか、桐乃が萎縮する気配がした。

「……着拒されてんの、いつから?」
「四月の頭からだ」
「あっ……」

桐乃は少し考え、俺が黒猫から着拒されている理由に思い当たったようだった。

770:名無しさん@ピンキー
11/07/20 17:58:07.71 zXAlWH1h
―『失望したわ。臆病で、懦弱で、弱虫で……なんて、意気地のない雄。
   わたしが拱手傍観を決めた理由を、あなたは何だと思っているのかしら?
   その貧相な頭が答えを出すまで、金輪際、わたしには連絡をしてこないで頂戴』―

最後の電話で浴びせかけられた、辛辣な言葉を思い出した。
車内に、再び居心地の悪い沈黙が降りる。
文字通り空気を入れ換えるべく、俺は運転席側の窓を開けた。桐乃もそれに倣う。
緑と水が豊かな土地のせいだろうか、真夏の夜にしては涼しい風が、肌に心地よかった。
周囲に人工の明かりはなく、道の両脇に広がる梨畑を、月影が静かに照らしていた。
舗装された山道を、安全運転で走ること十分。
小さなログハウスが見えてきた辺りで、俺は言った。

「着いたぞ」
「……看板に休憩所って書いてあったけど、ホントにここで合ってんの?」
「ああ。俺たちの他にも、星を見に来てる奴らがいるはずだ」

駐車場に車を停め、用意してきた荷物を、荷台から引っ張りだしていく。
手持ち無沙汰そうにしている桐乃に、俺は虫除けスプレーを手渡した。

「しっかり吹っ掛けとけよ」

シュッ、と三秒にも満たない噴霧音が聞こえ、

「はい。兄貴もすれば」
「……お前な、香水の匂いが消えるのと、ヤブ蚊に噛まれまくるの、どっちがイヤなんだ?」
「どっちもイヤ」
「ワガママ言うな。じっとしてろ」

俺はスプレー缶を振り、桐乃の無駄に露出した肌に、満遍なく吹きかけていった。
虫取りの前に、夜祭りの前に、花火の前に―今と同じことを、幼い桐乃にもしてやっていたことを思い出した。
自分でやれと言うと嫌がるクセに、俺がしてやると大人しくなるところは、あの頃とちっとも変わっていない。

771:名無しさん@ピンキー
11/07/20 17:58:50.37 zXAlWH1h
「かけすぎ。ベタベタして気持ち悪い」
「大げさなくらいが丁度いいんだよ。すぐ乾くから我慢しろ」

俺は自分にも虫除けスプレーをかけ、荷物を抱えてログハウスの裏手に回った。
裏手は斜面が横にせり出した、小さな平地のようになっていて、
既に結構な人数の先客が、流星観察の準備に取りかかっていた。
望遠鏡も星図も持たない俺たちは、ブルーシートを引き、蚊取線香を焚いて、それで準備完了である。
靴を脱いで寝っ転がる。
ややあって、俺から体一つ分を空けて、桐乃が寝転がる気配がした。
息を呑む音が聞こえ、隣を見なくても、桐乃が星空に見入っていることが分かった。

「こんなに綺麗な星空見たの、生まれて初めてかも……」
「いいトコだろ。中々の穴場らしいぜ」
「どうやって知ったの?Beegle?」
「学部に、高校で天文学部だったヤツがいてな。そいつから仕入れた情報だ」
「じゃあ、その人も、ここに来てるワケ?」
「いんや、そいつは別の場所で見るそうだ。ここは初心者向けなんだとよ」
「―あっ」

不意に桐乃が、空の一点を指さして言った。

「流れ星!ねっ、兄貴も見た?今スーッて流れてった!」
「見逃した」

俺はそもそも、夜空を見ちゃいなかった。
星空に魅入る桐乃の横顔を眺めていた。
見逃した理由を明かさずに、俺は言った。

772:名無しさん@ピンキー
11/07/20 18:00:01.82 zXAlWH1h
「流星群は、まだまだこれからだぜ。
 一時間に三十から六十は星が流れるらしいからな。
 運が良けりゃ、一分に一つ見られる計算だ」
「そうなんだ。……じゃあ、お願いし放題だね」
「……くっ」
「なんで笑ってんの?あたし、何か変なこと言った?」
「やっぱり桐乃は、桐乃だと思ってな」
「い、意味わかんない」
「ガキの頃にも、親父に連れられて流れ星見に行ったこと、覚えてるか?」
「覚えてない」
「そっか。あの時のお前、小さかったもんな。
 で、流星観察に行く前から、お前は大はしゃぎしてたんだよ。
 親父にたくさん流れ星が見られるって聞かされて、紙に願いごとを山ほど書いてた」
「……こ、子供の頃の話でしょ。
 流石に今は、流れ星が流れる間に三回願いごとを念じれば、それが叶うなんて話、信じてないし」
「そうか?別に信じてても、俺は笑ったりしねえぞ。
 せっかくなんだし、あの日のリベンジを果たせばいい」
「リベンジ?」
「親父に連れてってもらった時は、結局一回もお願いが成功しなかった、って大泣きしてたんだぜ、お前」
「もうっ、昔の話蒸し返すの、やめてくんない?」

桐乃が八重歯を剥いてこちらを向く。
視線が交錯し、手が触れた。が、それも一瞬のことで、

「…………」

威勢を失った桐乃は、再び夜空に視線を戻す。

773:名無しさん@ピンキー
11/07/20 18:00:39.37 zXAlWH1h
横顔を見ていたことがバレた俺も、夜空に視線を移した。
一口には表現できないほど、素晴らしい情景がそこにはあった。
深い暗黒を背景にした、無数の星の瞬き。
夜空には一筋の雲霞さえ見て取れず、月は主役の座を譲るかのように、端で鳴りを潜めている。
北の空に、黒地のキャンバスにナイフで切れ込みを入れたかのような、白い筋が見えた。
次に星が流れたら、話を切り出そうと決めていた。

「桐乃」
「なに?」
「話があるんだ。そのままの姿勢で聞いてくれるか」
「……その話をすることが、あたしを流星観察に誘った理由?」
「ああ」

四ヶ月ぶりに電話がかってきて、いきなり流星観察に誘われて、戸惑ったよな。
でも、俺はお前の目を見ながら、この話を最後まで話し終える自信が無かったんだ。

「ごめんな、桐乃」
「…………」
「お前に相談もせず、勝手に家を出て、悪かった」
「…………」
「あの時の俺は、お前に―」

告解は、零下の声で遮られた。

「やめてよ」
「桐乃……」

774:名無しさん@ピンキー
11/07/20 18:01:40.80 zXAlWH1h
「なんで兄貴が、あたしに謝るワケ?
 その言い方だと……、まるであたしが、傷ついてたみたいじゃん。
 あたしが兄貴のこと、ずっと恨んでたみたいじゃん」
「…………」
「あたしは……兄貴が出てって、せいせいしてる。
 壁が薄いの、気にしなくて済むし、
 友達だって好きなときに呼べるし、
 楽なカッコしてても、お父さん以外に文句言われないし……それに……」

その言葉が嘘で、強がりだということを、俺は知っている。
桐乃は傷ついていたし、俺のことを恨んでもいた。
なんでそう言い切れるかって?
逆に言わせてもらうが、俺が何年、桐乃の兄貴をやってると思ってる。
それに何より、俺が家を出るときに桐乃が見せた涙が、全てを物語っていた。

―『勝手に行くなっ、バカ兄貴っ!あたしを……あたしを一人にしないでよっ!』―

そうだ。あの時の俺は、本当に勝手で、独り善がりな大バカ野郎だった。
距離を置くことが、妹の兄離れのための、最良の選択だと信じていた。
でも、違ったんだ。やっと分かったんだ。
溢れそうになる思いを押さえて、俺はもう一度言った。

「ごめんな、桐乃」
「だから、やめてってば。
 もう、あたしに気を遣わなくていい。優しくしてくれなくていい。
 兄貴はさ、あたしが近くにいるのが、イヤだったんだよね?
 あたしの気持ちが迷惑で、気持ち悪かったんでしょ?
 あたしと一緒にいるのが堪えられなくて、それで、家を出たんでしょ?」

775:名無しさん@ピンキー
11/07/20 18:02:18.63 zXAlWH1h
脳裏に、桐乃に告白された時の情景が浮かぶ。
大学の合格祝いに、家族で外食に出かけた日の夜。
胸に重みを感じて目を開けると、目の前に桐乃がいた。
暗闇の中、思い詰めた妹の表情を仰ぎ見ながら、
俺は初めて、桐乃が人生相談を持ちかけてきた時のことを思い出していた。
それから長い時間をかけて、桐乃は言葉を紡いでいった。
小さい頃から、俺のことが好きだったこと。
冷戦を隔てて、関係が修復されてからは、兄としてではなく、男として好きになったこと。
思いの丈を語り終えた桐乃に、俺は返す言葉を持たなかった。
沈黙を貫く俺の頬に、一粒の熱い雫を落として、桐乃は部屋を出て行った。
翌日、俺たちは何事も無かったかのように接した。
しかしその日から、俺は一人暮らしのための準備を整え始めた。
桐乃に悟られないよう、こっそりと……。

「あんなこと言うなんて、どうかしてた。
 フツー有り得ないよね、兄妹で……好き、とか
 あたしも後から冷静になって、自己嫌悪で死にそうになってたんだ」
「…………」
「あはっ、あんたからしたら、超キモイよね。
 いくらシスコンでも、ドン引きだよね。
 だからさ、謝らなきゃいけないのは、あたしの方。
 兄貴がいっぱい優しくしてくれて、それを勝手に、
 兄貴もあたしのことを好きなんじゃないかって勘違いした、あたしが……ひくっ……悪かったの……っ……」

俺は言った。

「勘違いじゃねえよ、桐乃」

776:名無しさん@ピンキー
11/07/20 18:03:41.61 zXAlWH1h
「えっ」
「……俺も、お前のことが好きだった。
 お前と仲直りした二年前から、妹じゃなくて、女として、お前のことを見てた」

はっきりと自覚したのは、つい最近のことだ。
俺はずっと、俺は桐乃のことが妹として好きなのだ、と自分に言い聞かせていた。
その自己暗示に、桐乃の告白がヒビを入れた。
漠然と、家を出なければならないと感じた。
自分の臆病さを、桐乃のせいにした。
これ以上桐乃に好かれないために、桐乃から離れなければならないと思った。
でも、実際は違ったんだ。
俺が本当に恐れていたのは……俺が本気で、桐乃を愛してしまうことだった。

「兄貴……」

手が触れ合い、指が絡んだ。
洟を啜って、桐乃は言った。

「あたしね……今でも、兄貴のことが好き」
「そうか。じゃあ、俺たちはめでたく両思いだな」

ぎゅ、と桐乃は俺の手を握りしめながら、

「でも、さ……やっぱり兄妹で恋愛とか、おかしいのかな」
「世間様から見りゃあ、異常だろ。
 でも、二年前、お前に人生相談を受けるまで、俺とお前は他人同然だった。
 そっから仲直りして、ガキの頃みたいな兄妹関係を再開する、っていうのが、土台無理な話だったんだよ」
「あたしが兄貴のことを男として見るようになったのも、仕方ないことだったってコト?」

777:名無しさん@ピンキー
11/07/20 18:08:13.61 zXAlWH1h
「そういうことだ」
「ぷっ……変な慰め方」
「俺の溢れんばかりの魅力のせいだ、なんて言っても馬鹿にするだけだろ、お前」
「馬鹿になんてしない。
 だって、あたしは、あんたが兄貴だったから、兄貴のことを好きになったの。
 趣味を守ってくれて、友達を作るのに協力してくれて……」
「あーあー、それ以上言うな」

真面目に返してくるとは、予想外にも程がある。

「……あたし、これから週末は、兄貴のアパートに行く」
「どうやって?結構な距離があるぞ」
「あんたが車で、あたしを迎えに来るの。当然でしょ?」
「別に構わねえけど、俺の部屋に来て何するんだよ?」
「何って……掃除とか、料理とか?」

料理、という単語に不穏なものを感じつつ、俺は言った。

「なんか通い妻みたいだな。お前って尽くすタイプだったのか」
「う、うるさい」
「それにお前、俺の部屋に来てやることで、大切なことを忘れてるぞ」

桐乃の体が強張る気配があり、

「俺が家を出る時に、お前、こっそり段ボールにエロゲ詰めただろ。
 あれ、忙しくて全然手を付けてなかったんだ。一緒にやろうぜ?」

はぁ、と溜息を吐く音が聞こえた。

「……うん。あと、シスカリの新作、持ってくね。久しぶりに対戦しよ?」
「おう」
「でも、一人暮らしの大学生の部屋に、超可愛い女子高生が通ってたら、変な噂が立っちゃうかも」
「問題ねえよ。表向きは仲の良い兄妹だ」

778:名無しさん@ピンキー
11/07/20 18:11:09.63 zXAlWH1h
俺たちは同時に笑い、

「あっ」

同時に空いている方の手で、夜空の一点を指さした。

「見た?」
「見た」

それからしばらく、夢中になって流れ星を探した。
童心に還って、見つけた流れ星の数を競った。
三十も数えた頃だろうか。

「……できたっ」

と、桐乃が嬉しそうに言った。
何ができたんだ、と尋ねると、

「今、流れ星が消える一瞬の間に、心の中でお願いを言えたの。一回だけ」
「一回だけなら、叶う確率は三分の一だな」
「……あと二回、別の流れ星に一回ずつ祈れば百パーセントになるし」
「どんな願いごとをしたんだ?」
「ひ、秘密」
「いいじゃねえか、隠さないで教えろよ」

隣を見る。
蒼白い星明かりの下、桐乃は顔を真っ赤にして言った。
その声に、今のように夜空を見上げた、幼い桐乃の声が重なった。

「兄貴と、ずっと一緒にいられますように……」
『お兄ちゃんと、ずっといっしょにいられますように……』


おしまい!

779:名無しさん@ピンキー
11/07/20 18:14:09.16 nWhrAXzx
>>778
超GJ!
いいわ~こういうの
ものすごく好みだわ~

乙っした!

780:名無しさん@ピンキー
11/07/20 18:19:10.39 clfG1Mc0
>>778
GJでした
こういうちょっと切ないのが読みたかったんだ
やっぱこの兄妹大好きだわ


781:名無しさん@ピンキー
11/07/20 18:28:19.45 SvFqUu24
桐乃スレでやりゃいいような

782:名無しさん@ピンキー
11/07/20 18:30:02.64 zXAlWH1h
桐乃派の俺は、やっぱり桐乃×京介を書いてる時が一番楽しい

>>740にレスを返して下さった方、ありがとうございました
次回のSSを書く際に、参考にさせて頂きます

783:名無しさん@ピンキー
11/07/20 18:58:48.09 BJfInf0t
超乙

桐乃派ってことは偽の人?
もうトリつけてよ
あとここに投下した作品示してくれない?読むから

784:名無しさん@ピンキー
11/07/20 19:14:37.84 4iuW5G5U
エロ…

785:名無しさん@ピンキー
11/07/20 19:32:00.06 xnlCpvJ9
おっけー、その調子で黒猫妹の話も書くんだ

786:名無しさん@ピンキー
11/07/20 19:35:33.94 ULskidjG
桐乃すれ?

787:名無しさん@ピンキー
11/07/20 20:06:18.64 5ZFyBHei
お疲れ。
何か気になる設定も見え隠れしていていろいろ想像してしまった。
そうなると登場していない人達の動向も気になってしまってひきつけれてしまった。

788:名無しさん@ピンキー
11/07/20 20:08:21.20 E0JM+QNK
>>778
読みやすく、すがすがしい読了感だ。情景を文で表現するとは相当な書き手とみえる。
ただ2点ほど注文。黒猫は本当に必要だったのか?
説明不足で意図が読めんし、落としたあとのフォローがない。

あとは京介だな。簡単に落としすぎじゃないか?
家を出て落ち着くまでの葛藤なり、その上での妥協点なんかを入れれば深みが増したんじゃないかと思う

789:名無しさん@ピンキー
11/07/20 20:18:03.73 TIcQVsCT
>>778
GJ
欲を言えばエロパロ的ななにかが欲しかったな
そこが桐乃スレでって言う奴の気持ちだろ

790:名無しさん@ピンキー
11/07/20 20:21:42.27 ky7O97oA
8巻後の設定なら京介呼びを入れもよかったんじゃないかな
でも乙であります

791:名無しさん@ピンキー
11/07/20 20:23:29.04 F1NdDUzT
批評して書き手を追い出す作戦とか何番煎じだよwww

792: ◆Ec95DXH7wk
11/07/20 20:34:47.72 zXAlWH1h
>>783
このスレでは
「もしも京介が黒猫の告白を断っていたら+続き」
「あやせと京介の夏祭り」
「もしも京介と黒猫が円満な恋人生活を営んでいたら」
「京介と桐乃の流星観察」
の四つ(五つ?)です
トリは結構昔からこれですが、面倒なので外しがちです

>>788
黒猫が京介にキレて着拒したのは
『わたしが桐乃のために身を引いたのに京介が桐乃から逃げてどうする!』的な思惑があって
この話の後、きちんと仲直りの予定です
一人暮らしを始めてからの京介の葛藤については完全に描写が足りず、ごめんなさい
指摘、ありがとうございました

あと、今回は微エロさえなくてすみません……
エロパロなのに雰囲気を優先させすぎました


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