【俺の妹】伏見つかさエロパロ20【十三番目のねこシス】at EROPARO
【俺の妹】伏見つかさエロパロ20【十三番目のねこシス】 - 暇つぶし2ch592:風(後編) 36/63
11/07/18 10:29:14.29 8mgfk2k0
 だが……、緊張が解けたら、足の痺れが一気にきやがった。

「高坂さん、大丈夫ですか?」

 傍目にもヤバイ状況なんだろうな。
 さっきまでは全然気にならなかったのに、今は膝から下が石みたいにコチコチで、全然感覚がねぇ。

 砂の上に緋毛氈が敷いてあったから意外にクッションがある感じだったが、その砂に膝頭が妙にめり込ん
で、かえって脚の血行を損ねたらしい。
 何よりも、保科さんに指摘された細身のズボンが仇になった。

「もう少しの辛抱ですから……」

 茶事はもう終わり、招待客たちは保科邸の中庭をめでながら四方山話をしている。
 その話題も、市の行政のこととか、寺での行事のこととか、聖俗ごちゃまぜでとりとめがない。
 取り敢えずは、俺にもあやせにも関係のない話題だから、もっぱら聞き役に徹することにした。というか、
全然話題についていけないし、何よりも足の具合が相当にヤバくて、じっと黙っているしかなかった。

「お兄さん……、お菓子でも食べれば、少しは気が紛れるんじゃ……」

「……そうだな、未だ落雁を食べていない」

 俺の状態が洒落にならないくらい宜しくないことが、あやせにも分かったようだ。
 そういや、こいつがこんな気遣いを見せるのは、これが初めてかも知れねぇな。

 そんなことを思いつつ、俺は懐紙で包んでおいた落雁を一口かじった。嫌味のないまったりとした甘さが
あって、今まで食べたどの落雁よりも、つまりは麻奈実の実家である田村屋のものよりも旨い。
 どうやら、普通の白砂糖ではなく、和三盆あたりの超高級なものを使っているようだ。

「この落雁、結構美味しいものなんですね」

 普段のあやせだったら、もはや宿敵の一人であろう保科さんを前にして、こんなことは言わなかっただろ
う。一応は、俺の気を紛らわせようということか。

「甘さが上品なのに加えて、粉っぽい感じがしない。相当な高級品だな」

 俺もあやせに相槌を打った。
 実際、あやせと何かしらの会話があると、束の間だが、石の様になっちまった自分の足のことを忘れられる。 
 そのあやせは、ちょっと保科さんの方を窺っていた。
 そして、今は彼女が招待客たちとの談笑に気を取られていることを確認すると、俺の耳元で囁いた。

「来てよかったですか……」

「……今はピンチだが、こうした茶事に出られるのは、一生のうちでそうそうないだろう。だから、来てよ
かった……」

「そうですね……。わたしも、ちょっとだけそんな風に思いました」

「……そうか、それなら救いがある……」

 空はうす曇で、暑くなく寒くなく、絶好の野点日和だった。
 気をしっかり保つために、俺は中庭の枯山水をじっと見た。実のところは、高さが子供の背丈にも満たな
い庭石がいくつかと、その庭石の間に白砂が敷かれているだけなのだが、箒目で水の流れを表現した白砂を
凝視していると、本当にそこに水流があるような気がしてきた。



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